説明

微細構造化された表面を有するプラスチック体

本発明は、単数の構造体層または複数の構造体層は、1〜100質量%がポリメタクリレート成形材料からなり、このポリメタクリレート成形材料は、80〜100質量%がラジカル重合されたメチルメタクリレート単位からなり、0〜20質量%が他のラジカル重合可能なコモノマーからなり、30000g/モル〜70000g/モルの平均分子量(重量平均)Mwを有し、場合によっては、80〜100質量%がラジカル重合されたメチルメタクリレート単位からなり、0〜20質量%が他のラジカル重合可能なコモノマーからなり、90000g/モル〜200000g/モルの平均分子量(重量平均)Mwを有するポリメタクリレート成形材料99質量%までを有する混合物で存在し、単数の構造体層または複数の構造体層が複合体の製造後に公知の構造を与える方法によって微細構造化を備えていることを特徴とする、熱可塑性プラスチックまたは熱弾性プラスチックからの担体層と1つ以上の構造体層とからなる複合体を製造することによって微細構造化された表面を有するプラスチック体を製造する方法に関する。更に、本発明は、本発明により製造可能なプラスチック体それ自体ならびにその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細構造化された表面を有するプラスチック体、その製造法ならびに該プラスチック体の使用に関する。
【0002】
背景技術
工業的方法で製造された、微細構造化された表面を有する固体は、自体公知であり、天然から特に鮫肌によって公知の摩擦を減少させる物理的原理に従うものである。この固体は、以下、明らかに部分的に”鮫肌”とも呼称される。適当な構造化の場合、ガスまたは液体での乱流での溢流の際に摩擦抵抗または流れ抵抗の減少は観察されることができる。
【0003】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第3609541号明細書A1には、鋭利な稜のあるように構成されたリブによって互いに分離された、流れ方向に延在する溝を有し、減少された壁面剪断応力を有する、乱流で溢流される物体の表面によって流れ抵抗は、減少されることが記載されている。リブは、一貫した列で並行に配置されているのではなく、それぞれ互いにずれて配置されている。
【0004】
欧州特許出願公開第0846617号明細書A2には、流れ方向に向いた、流れ主要方向に対して側方に距離をもったリブを備え、このリブの高さがリブの間隔の45〜60%である、流れの主要方向を有する流れが乱流で溢流する壁面のための1つの表面が記載されている。このリブは、20〜50゜の楔角度を有する楔形に形成されている。列間の谷間は、平らであってもよいし、湾曲していてもよい。
【0005】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第4407468号明細書A1には、極めて微細に構造化された表面を有するプラスチック板を、構造を与える表面を有するロールを含む、押出機および三本ロールカレンダーを用いて押出す方法が記載されており、この方法は、装置が同時押出のために設計されており、プラスチック板が2個の押出機により高粘稠な基礎成形材料と押し出された低粘稠な成形材料との同時押出物として、三本ロールカレンダーにより表面的に構造化されることによって特徴付けられている。熱可塑性プラスチックとしては、ポリアクリレート、殊にポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリオレフィン、LDPE、HDPE、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンまたはポリアミドがこれに該当する。低粘稠な成形材料は、同一の種類のプラスチック、例えば基礎形成材料からなることができるが、しかし、この基礎材料と十分に相容性のプラスチックからなるものであってもよい。好ましくは、低粘稠な成形材料は、分離剤、例えば高級アルコールを例えば0.34質量%までの量で含有していてよい。2つの溶融粘度係数MFR(DIN57735またはASTM1238−70)の比は、約1対10である。好ましくは、エンボスロールの温度は、低粘稠な成形材料のガラス温度を70℃まで上廻っている。好ましくは、極めて微細に型押しされた構造を有するプラスチック板、例えば線形フレネルレンズもしくは同心フレネルレンズまたは半ホログラムを製造することができる。
【0006】
欧州特許出願公開第1189987号明細書には、a)耐衝撃性に変性されたポリメタクリレート成形材料80〜98質量%をb)低分子量のポリメタクリレート成形材料20〜2質量%と溶融液中で混合することによって得ることができる、少なくとも90℃のISO 306(B50)によるビカー軟化温度、23℃で少なくとも3.0KJ/mのISO 179/1eAによるノッチ付き衝撃強さKSZ(Charpy)および少なくとも11cm/10分のISO 1133による流動能MVR(230℃/3.8kg)によって特性決定された、耐衝撃性に変性されたポリメタクリレート成形材料が記載されており、この場合耐衝撃性の成形材料は、70〜99質量%がラジカル重合されたメチルメタクリレート単位80〜100質量%と場合によっては他のラジカル重合可能なコモノマー0〜20質量%からのマトリックスからなり、耐衝撃変性剤1〜30質量%を含有し、低分子量のポリメタクリレート成形材料は、80〜100質量%がラジカル重合されたメチルメタクリレート単位からなり、0〜20質量%が他のラジカル重合可能なコモノマーからなり、25〜35ml/gのISO 1628第6部によるクロロホルム中で測定された粘度数(ηsp/c)を有する。マトリックスポリマーは、90000g/モル〜200000g/モルの範囲内の分子量Mwを有することができる。耐衝撃性に変性された成形材料は、有利に射出成形に使用されることができる。
【0007】
課題および解決
ドイツ連邦共和国特許出願公開第4407468号明細書A1には、極めて微細に構造化された表面を有するプラスチック板、例えばフレネルレンズの押出法が記載されている。しかし、なおいっそう微細な構造体、殊に微細構造体は、もはや完全には満足に形成させることができないことが判明した。従って、ドイツ連邦共和国特許出願公開第4407468号明細書に記載の方法を、それによって微細に形成され、微細構造化された表面を有するプラスチック体を製造することができるように改善するという課題が課された。
【0008】
この課題は、単数の構造体層または複数の構造体層は、1〜100質量%がポリメタクリレート成形材料からなり、このポリメタクリレート成形材料は、80〜100質量%がラジカル重合されたメチルメタクリレート単位からなり、0〜20質量%が他のラジカル重合可能なコモノマーからなり、30000g/モル〜70000g/モルの平均分子量(重量平均)Mwを有し、
場合によっては、80〜100質量%がラジカル重合されたメチルメタクリレート単位からなり、0〜20質量%が他のラジカル重合可能なコモノマーからなり、90000g/モル〜200000g/モルの平均分子量(重量平均)Mwを有するポリメタクリレート成形材料99質量%までを有する混合物で存在し、
単数の構造体層または複数の構造体層が複合体の製造後に公知の構造を与える方法によって微細構造化を備えていることを特徴とする、熱可塑性プラスチックまたは熱弾性プラスチックからの担体層と1つ以上の構造体層とからなる複合体を製造することによって微細構造化された表面を有するプラスチック体を製造する方法によって解決される。
【0009】
更に、本発明は、プラスチック体それ自体ならびにその使用に関する。
【0010】
解決は、構造体層のプラスチックの変性に基づく。この場合、構造体層は、全部または部分的に低分子量のポリメチルメタクリレート成形材料から製造されていてよく、例えばこの構造体層は、欧州特許出願公開第1189987号明細書には、射出成形のための耐衝撃性に変性されたポリメタクリレート成形材料の流動特性を変性する目的が記載されている。しかし、この欧州特許出願公開明細書に記載された低分子量の成形材料が、単独でかまたは高分子量の成形材料との混合物で特殊な方法で成形方法により微細構造体の転用に適当であろうとは、予測することができなかった。
【0011】
発明を実施するための最良の形態
本発明による方法は、熱可塑性プラスチックまたは熱弾性プラスチックからの担体層と担体層よりも低い溶融粘度を有する1つ以上の構造体層とからなる複合体を製造することによって微細構造化された表面を有するプラスチック体を製造する方法を含む。
【0012】
微細構造化された表面は、1〜1000μm、有利に2〜500μm、殊に5〜200μmの範囲内の幾何学的寸法を有する微細構造を有する表面である。幾何学的寸法は、例えば高さ、半径、直径および/または荒さであり、この場合には、微細構造体、例えば溝、節、ピラミッド、リブ、プリズム構造体および類似物を記載することができる。この場合、微細構造体は、0.3〜10、有利に0.5〜5、殊に0.7〜3の高さ対幅のアスペクト比を有することができる。
【0013】
また、微細構造化された表面は、微細構造体における微細構造の実施形式である。例えば、プリズム微細構造体またはピラミッド微細構造体の縁部半径または尖端は、再び微細構造体のために表わされ、本発明による方法を使用しながら同様に相応して極めて正確に形成させることができる。
【0014】
微細構造化された表面を有する本発明によるプラスチック体の製造は、熱可塑性プラスチックまたは熱弾性プラスチックからの担体層と担体層よりも低い溶融粘度を有する1つ以上の構造体層とからなる複合体を製造することによって行なわれる。
【0015】
担体層と構造体層との複合体は、自体公知のプラスチック加工技術により、例えば同時押出、担体層上への構造体層の貼合せまたは担体層上への構造体層のラッカー塗布によって生じさせることができる。
【0016】
担体層は、単数の構造体層または複数の構造体層を支持する。担体層のプラスチックは、一般に構造体層のプラスチックよりも高い溶融粘度を有する。
【0017】
担体層は、0.4〜100mm、有利に0.05〜10mm、特に有利に0.07〜8mmの範囲内の実際に任意の層厚を有することができる。
【0018】
担体層は、実際に任意の形を有することができ、例えば中実板、シート、中空室板、殊にウェブ二重板、ウェブ多重板もしくは枠組み板または角形または円形の管または棒材であることができる。
【0019】
担体層のプラスチックは、例えば注型されたかまたは押し出されたポリメチルメタクリレートプラスチック、耐衝撃性に変性されたポリメタクリレート、ポリカーボネート−プラスチック、ポリスチレン−プラスチック、スチレン−アクリル−ニトリル−プラスチック、ポリエチレンテレフタレート−プラスチック、グリコール変性されたポリエチレンテレフタレート−プラスチック、ポリ塩化ビニル−プラスチック、ポリオレフィン−プラスチック、例えばポリエチレンもしくはポリプロピレン、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)−プラスチックまたは種々の熱可塑性プラスチックの混合物(配合物)であることができる。
【0020】
担体層は、ポリメチルメタクリレートプラスチックまたはポリメチルメタクリレートと相容性のプラスチックからなる。それによって、ポリメチルメタクリレートからの単数の構造体層または複数の構造体層の良好な結合が保証される。
【0021】
好ましいのは、80〜100質量%、有利に95〜99質量%がラジカル重合されたメチルメタクリレート単位からなり、0〜20質量%、有利に1〜5質量%が他のラジカル重合可能なコモノマーからなり、90000〜200000(g/モル)、殊に120000〜190000(g/モル)、特に有利に150000〜190000(g/モル)の平均分子量(重量平均)Mwを有するポリメタクリレート成形材料からなる担体層である。好ましいコモノマーは、C〜C−アルキル(メタ)アクリレート、殊にメチルアクリレート、エチルアクリレートまたはブチルメタクリレートである。特に好ましいのは、メチルメタクリレート95〜99質量%とメチルアクリレート1〜5質量%とからなる成形材料である。
【0022】
担体層のプラスチックは、90000〜200000、有利に100000〜130000または130000〜160000、殊に150000〜190000の平均分子量(重量平均)Mwに相当する、50〜80ml/g、有利に70〜75l/gの範囲内のISO 1628第6部によるクロロホルム中で測定された粘度数(ηsp/c)を有することができる。
【0023】
しかし、担体層は、ポリメチルメタクリレートと相容性でないかまたはポリメチルメタクリレートと劣悪に相容性であるプラスチックからなることもできる。しかし、この場合には、ポリメチルメタクリレートからの構造体層の良好な結合を保証するために、担体層に同時押出されたか、貼合せされたか、またはラッカー塗布された付着媒介する中間層を備えさせることは、有利である。
【0024】
場合によっては、複合体を微細構造の施与後に再び分離するために、プラスチックの非相容性を利用することもできる。これは、薄手に型押しされたシートを製造するために有利であり、この場合担体層は、単に、型押しの際に対向力を吸収するために使用される。
【0025】
付着媒介する層は、結合すべき2つのプラスチックに対して付着特性を有する。例えば、ポリメチルメタクリレート層は、ポリメチルメタクリレートと非相容性のプラスチックと付着媒介層を介して結合されることができ、この場合この付着媒介層は、例えばアルコールまたはエーテル官能基を有するかまたは例えばグリシジル−メタクリレート基からのエポキシ基を有する。適当な付着媒介剤は、例えばシラン、例えばメタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(MEMO)であることができる。当業者にとっては、種々のプラスチックの組み合わせに適した付着媒介剤が十分に公知である。
【0026】
構造体層
構造体層は、殊に同時押出法の場合または任意の後の時点、有利に複合体を貼合せまたはラッカー塗布によって製造した場合に、担体層との複合体の製造の展開において微細構造体の結合に使用される。担体層は、片側かまたは多数の側で構造体層で被覆されてよい。
【0027】
構造体層は、例えば1〜1000μm、有利に2〜500μm、特に有利に5〜200μmの範囲内の層厚を有することができる。
【0028】
構造体層は、1〜100質量%、有利に20〜80質量%、特に有利に30〜70質量%がポリメチルメタクリレート成形材料からなり、このポリメチルメタクリレート成形材料は、80〜100質量%、有利に95〜100質量%がラジカル重合されたメチルメタクリレート単位からなり、0〜20質量%、有利に0〜5質量%が他のラジカル重合可能なコモノマーからなり、30000g/モル〜70000g/モルの平均分子量(重量平均)Mwを有する。
【0029】
低分子量のポリメタクリレート成形材料は、30000〜70000、殊に40000〜60000の平均分子量(重量平均)Mwに相当する、25〜35ml/g、有利に27〜33ml/gの範囲内のISO 1628第6部によるクロロホルム中で測定された粘度数(ηsp/c)を有する。
【0030】
分子量は、例えば示差走査クロマトグラフィー法(DSC)によるかまたはゲルクロマトグラフィーにより、ポリメチルメタクリレート較正標準(Eichstandard)または粘度数と相関関係にある較正直線(Eichgerade)につき測定されることができる。
【0031】
記載された低分子量の成形材料の含量が100質量%未満である場合には、ポリメチルメタクリレート成形材料99質量%まで、有利に80〜20質量%、特に有利に70〜30質量%を有する混合物が存在し、このポリメタクリレート成形材料は、80〜100質量%、有利に80〜95質量%、殊に82〜88質量%がラジカル重合されたメチルメタクリレート単位からなり、0〜20質量%が他のラジカル重合可能なコモノマーからなり、90000〜200000、殊に100000〜150000(g/モル)の平均分子量(重量平均)Mwを有する。好ましいのは、メチルメタクリレート80〜98質量%、特に有利に82〜88質量%およびメチルアクリレート2〜20質量%、特に有利に12〜18質量%からなる成形材料である。
【0032】
高分子量のポリメチルメタクリレート成形材料は、有利に90000〜200000、殊に100000〜150000の平均分子量(重量平均)Mwに相当する、50〜80ml/g、有利に50〜55l/gの範囲内のISO 1628第6部によるクロロホルム中で測定された粘度数(ηsp/c)を有する。
【0033】
更に、コモノマーは、ラジカル重合で生じる官能性ビニル基以外に他の官能基、例えば酸基またはヒドロキシ基を有しない限り、原理的に本発明の実施可能性にとって重要ではない。適当なコモノマーは、例えばメタクリル酸のエステル(例えば、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート)、アクリル酸のエステル(例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート)またはスチレンおよびスチレン誘導体、例えばα−メチルスチレンまたはp−メチルスチレンである。
【0034】
好ましいコモノマーは、C〜C−アルキル(メタ)アクリレート、殊にメチルアクリレート、エチルアクリレートまたはブチルメタクリレートである。
【0035】
構造体層は、例えば1〜1000μm、有利に2〜500μm、特に有利に5〜200μmの範囲内の層厚を有することができる。
【0036】
微細構造体の施与
構造体層の微細構造化された表面は、公知の構造を与える方法、例えば型押し、熱間型押し、構造を与えるトリガー(Abzuege)またはベルト、制限ベルトまたはエンドレスベルトによって得ることができる。
【0037】
固体または相応する成形部材、殊に微細構造をプラスチック上に形成させるための金属からなる固体または相応する成形部材は、例えば原型法、変形法、切除加工または分離技術、型押し法、切削加工、注型、射出成形、エネルギーに富んだ放射(例えば、レーザービーム)またはフォトエッチング技術等で公知である。
【0038】
微細構造体は、押出装置の押出ノズルからの担体層および構造体層の溶融液からなる同時押出物の退出後に溶融状態で接続されたカレンダー中で1個以上のエンボスロールにより単数の構造体層中または複数の構造体層中に型押しされうる。
【0039】
また、微細構造体は、事後の熱間型押しによって既に凝固された構造体層中に転写される。これは、特に複合体が貼合せまたはラッカー塗布によって製造された場合に提供される。
【0040】
プラスチック体
好ましくは、担体層および1つ以上の微細構造化された構造体層からなる複合体であるプラスチック体を得ることができる。しかし、本発明によれば、構造体層および担体層の事後の分離の場合に微細構造化された構造体層のみからなるプラスチック体を得ることもできる。
【0041】
本発明によるプラスチック体は、中実板もしくはシート、波形板、中空室板、殊にウェブ二重板、ウェブ多重板もしくは枠組み板または角形または円形、楕円形または卵形の管または棒材であることができる。
【0042】
使用
本発明によるプラスチック体は、(空中、水中もしくは水上または陸上の)乗り物の表面上での空気流または水流の摩擦を減少させるための摩擦を減少させる表面を有する構造部材としてかまたは導管中および容器中で急速に流れる流体の場合の流体の流れの摩擦を減少させるための導管および容器として、流体を意図的に混合させるため、変性された音響特性を有する表面の製造のため、ミクロ滴定板またはナノ滴定板の製造のため、保護する価値のある表面上で汚染物質の付着を減少させるため、抗菌表面として、光転向表面、光誘導表面、光屈折表面および/または広汎性の光散乱表面としておよび/または抗鏡映表面として有利に使用されることができる。
【0043】
発明の好ましい作用
本発明による方法は、片側または多数の側で微細構造化された表面を有するプラスチック体を製造することを可能にする。殊に、公知の方法と比較して、よりいっそう微細な構造体は結像可能である。結像特性の好ましい改善は、例えば顕微的にあとづけることができる。
【0044】
例えば、幅より高い、即ち1を上廻るアスペクト比を有する、三角形の断面を有する溝付き構造体の場合には、10〜20μmの範囲内の溝幅を良好に実現させることができる。これとは異なり、この種の溝は、公知技術水準の型押し層を使用する場合には、実際に一定の幅で製造可能であるが、しかし、不所望にも全体的に特に上側で丸みをもって形成され、したがってアスペクト比は、多くの場合に1未満のままである。同様に、例えば1μmだけの程度の大きさの節状の凹所が形成された場合の改善を確認することができ、この場合峡谷構造は、規則的に型押しされて形成され、したがってこの峡谷構造は、殆んど意図した型押し構造に相応する。
【0045】
構造体層中での型押し構造の良好な形成可能性は、これまで可能であった型押し圧力よりも比較的僅かな型押し圧力での作業を可能にする。この結果、よりいっそう薄手の担体層および/またはよりいっそう軟質の担体層、例えば100000〜150000の僅かな平均分子量Mwを有するポリメチルメタクリレートプラスチックからなる担体層を使用する可能性が現れる。それによって、適当な材料の組み合わせの数は、よりいっそう大きくなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性プラスチックまたは熱弾性プラスチックからの担体層と1つ以上の構造体層とからなる複合体を製造することによって微細構造化された表面を有するプラスチック体を製造する方法において、単数の構造体層または複数の構造体層は、1〜100質量%がポリメタクリレート成形材料からなり、このポリメタクリレート成形材料は、80〜100質量%がラジカル重合されたメチルメタクリレート単位からなり、0〜20質量%が他のラジカル重合可能なコモノマーからなり、30000g/モル〜70000g/モルの平均分子量(重量平均)Mwを有し、
場合によっては、80〜100質量%がラジカル重合されたメチルメタクリレート単位からなり、0〜20質量%が他のラジカル重合可能なコモノマーからなり、90000g/モル〜200000g/モルの平均分子量(重量平均)Mwを有するポリメタクリレート成形材料99質量%までを有する混合物で存在し、
単数の構造体層または複数の構造体層が複合体の製造後に公知の構造を与える方法によって微細構造化を備えていることを特徴とする、微細構造化された表面を有するプラスチック体を製造する方法。
【請求項2】
構造体層のプラスチックがISO 1628第6部によりクロロホルム中で測定された粘度数(ηsp/c)25〜50ml/gを有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
担体層と構造体層との複合体を同時押出、担体層上への構造体層の貼合せまたは担体層上への構造体層のラッカー塗布によって生じさせる、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
構造体層のポリメタクリレート成形材料が他のコモノマーとしてC〜C−アルキル(メタ)アクリレート、殊にメチルアクリレート、エチルアクリレートまたはブチルメタクリレートを含有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
構造体層が1〜1000μmの範囲内の層厚を有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
微細構造体が1〜1000μmの範囲内の幾何学的寸法を有する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
微細構造体が高さ対幅のアスペクト比0.3〜10を有する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
微細構造体を押出装置の押出ノズルからの担体層および構造体層の溶融液からなる同時押出物の退出後に溶融状態で接続されたカレンダー中で1個以上のエンボスロールにより単数の構造体層中または複数の構造体層中に型押しする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
微細構造体を事後の熱間型押しによって既に凝固された単数の構造体層または複数の構造体層中に転写する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
担体層がポリメチルメタクリレートプラスチックまたはポリメチルメタクリレートと相容性のプラスチックからなる、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
担体層がポリメチルメタクリレートと相容性でないかまたはポリメチルメタクリレートと劣悪に相容性であるプラスチックからなるが、しかし、同時押出されたか、貼合せされたか、またはラッカー塗布された付着媒介する単数の中間層または複数の中間層を備えさせる、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
担体層がポリメチルメタクリレートと相容性でないかまたはポリメチルメタクリレートと劣悪に相容性であるプラスチックからなるが、しかし、同時押出されたか、貼合せされたか、またはラッカー塗布された付着媒介する中間層を備えさせずに複合体を微細構造体の施与後に再び分離し、微細構造化された構造体層を個別的に得る、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法により製造可能なプラスチック体。
【請求項14】
プラスチック体が担体層と微細構造化された表面を有する1つ以上の構造体層とからなる複合体である、請求項13記載のプラスチック体。
【請求項15】
プラスチック体が微細構造化された表面を有する構造体層からなり、請求項12の記載により製造可能である、請求項13記載のプラスチック体。
【請求項16】
中実板、波形板、中空室板、殊にウェブ二重板、ウェブ多重板もしくは枠組み板または角形または円形、楕円形または卵形の管または棒材が重要である、請求項13から15までのいずれか1項に記載のプラスチック体。
【請求項17】
(空中、水中もしくは水上または陸上の)乗り物の表面上での空気流または水流の摩擦を減少させるための摩擦を減少させる表面を有する構造部材のためかもしくは該構造部材としてかまたは導管中および容器中で急速に流れる流体の場合の流体の流れの摩擦を減少させるための導管および容器として、流体を意図的に混合させるため、変性された音響特性を有する表面の製造のため、ミクロ滴定板またはナノ滴定板の製造のため、保護する価値のある表面上で汚染物質の付着を減少させるため、抗菌表面として、光転向表面、光誘導表面、光屈折表面および/または広汎性の光散乱表面としておよび/または抗鏡映表面または反射表面としての請求項13から16までのいずれか1項に記載のプラスチック体の使用。

【公表番号】特表2007−516857(P2007−516857A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515755(P2006−515755)
【出願日】平成16年4月21日(2004.4.21)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004202
【国際公開番号】WO2005/002830
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(390009128)レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング  (293)
【氏名又は名称原語表記】Roehm GmbH 
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】