説明

心電計測装置

【課題】心電波形のR波の検出精度を高めることができる心電計測装置を提供する。
【解決手段】心電計測装置は、生体の上腕に接触した複数の第1電極10a〜10gからなる電極アレイ10と、電極アレイ10より手首側の生体に接触した第2電極12と、電極アレイ10の全ての第1電極10a〜10gについて、第2電極12との電位を差動検出することによって生体の心電波形のR波を計測する第1心電計測部と、第1心電計測部によるR波の計測結果に基づいて、最も大きな振幅で正の極性を持つR波を計測した電極アレイ10のうちの1つの第1電極と、最も大きな振幅で負の極性を持つR波を計測した電極アレイ10のうちの他の1つの第1電極とを特定する心電特定部と、心電特定部で特定された電極アレイ10のうちの1つの第1電極と他の1つの第1電極との電位を差動検出することによって生体の心電波形のR波を計測する第2心電計測部と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心電計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
心電図を得る発明としては、上腕での心電信号の計測に関して開示されている(例えば、特許文献1参照)。この発明では上腕で心電信号を取る際の電極として、電極アレイの中から最大の心電信号が得られるものを選択することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2007−504917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では電極アレイの中から最大の心電信号を得る具体的な方法は開示されていない。また、電極アレイの数が多くなるにつれ組合せ数は多くなり、総当たりにより心電信号が大きく取れる信号を探していたのでは、時間がかかる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]生体の上腕に接触した複数の第1電極からなる電極アレイと、前記電極アレイより手首側の前記生体に接触した第2電極と、前記電極アレイの全ての前記第1電極について、前記第2電極との電位を差動検出することによって前記生体の心電波形のR波を計測する第1心電計測部と、前記第1心電計測部によるR波の計測結果に基づいて、最も大きな振幅で正の極性を持つR波を計測した前記電極アレイのうちの1つの第1電極と、最も大きな振幅で負の極性を持つR波を計測した前記電極アレイのうちの他の1つの第1電極とを特定する心電特定部と、前記心電特定部で特定された前記電極アレイのうちの1つの第1電極と他の1つの第1電極との電位を差動検出することによって前記生体の心電波形のR波を計測する第2心電計測部と、を含むことを特徴とする心電計測装置。
【0007】
これによれば、各第1電極と第2電極との間の心電波形のR波を最も大きく検出できる電極の組合せを選択することで、心電波形の検出に最適な電極の組合せを選ぶことができる。これにより、安定した心電波形を計測できるので、心電波形のR波の検出精度を高めることができる。
【0008】
[適用例2]上記心電計測装置であって、前記電極アレイの複数の第1電極は、前記上腕の円周上に等間隔で置かれていることを特徴とする心電計測装置。
【0009】
これによれば、心電波形のR波の検出精度を容易に高めることができる。
【0010】
[適用例3]上記心電計測装置であって、前記第2電極は、前記上腕に接触し該上腕を一周する長さであることを特徴とする心電計測装置。
【0011】
これによれば、第2電極として、上腕を一周するような電極を用いることで、上腕の電位部分を加算したような中間電位を作り、その電位と各第1電極との電位を差動検出することができるので、心電波形のR波の検出精度をさらに高めることができる。
【0012】
[適用例4]上記心電計測装置であって、前記心電特定部は、各心電波形を該心電波形のR波の振幅と極性とでマッピングすることを特徴とする心電計測装置。
【0013】
これによれば、最も大きな振幅で正の極性を持つR波と、最も大きな振幅で負の極性を持つR波とを容易に特定することができる。
【0014】
[適用例5]上記心電計測装置であって、2つの入力の電位を差動増幅する差動増幅部と、交流信号を出力するスイッチ制御部と、前記スイッチ制御部から出力された交流信号に応じて、前記差動増幅部に入力する1つの心電信号を前記第1電極と前記第2電極とのどちらか一方の心電信号に切り替える機械式のスイッチと、をさらに含むことを特徴とする心電計測装置。
【0015】
これによれば、差動増幅部に入力する1つの心電信号を第1電極と第2電極とのどちらか一方の心電信号に容易に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施形態に係る心電計測装置のハードウェアの構成を示した図。
【図2】心電波形の時間的変化の正常波形を示した図。
【図3】第1の実施形態に係る1つの局面による電極アレイ及び電極Rの配置場所を示した図。
【図4】第1の実施形態に係る1つの局面による電極アレイ及び電極Rの配置場所を示した図。
【図5】第1の実施形態に係る1つの局面による電極アレイ及び電極Rの配置場所を示した図。
【図6】第2の実施形態に係る1つの局面による電極アレイ及び電極Rの配置場所を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る心電計測装置のハードウェアの構成を示した図である。本実施形態に係る心電計測装置2は、第1電極としての電極10a〜10gからなる電極アレイ10、電極アレイ10の中から心電波形の計測に使用する電極を選択するために使用する第2電極としての電極R12、電極アレイ10の中から2つの電極を選択し、後段へ接続するマルチプレクサー(MUX)14、予め定められた周波数の交流信号を出力するスイッチ制御部16、マルチプレクサー14の一方の出力と電極R12とのうちのどちらかを後段へ接続するスイッチ18、2つの入力の電位の差動増幅を行う差動増幅部としての計装アンプ20、心電信号から不要な高域成分を除去するLPF(低域通過フィルター)22、心電信号を必要な振幅レベルまで増幅する増幅部24、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部26、計測した心電信号をもとに種々の処理や電極選択のためのアルゴリズムを実行し、マルチプレクサー14やスイッチ制御部16を制御する制御部28で構成される。
【0018】
電極アレイ10は、人体(生体)Aの上腕B(図4参照)に接触する複数の電極10a〜10gからなる。
【0019】
電極10a〜10gは、心臓の活動に伴う人体Aの電位の変化を検知する電極であり、心電波形を得る際に人体Aに貼り付けられる電極である。電極10a〜10gは、上腕Bの円周上に等間隔に貼り付けられてもよい。電極10a〜10gはマルチプレクサー14に接続されている。
【0020】
電極R12は、電極アレイ10の電極10a〜10gとは異なる電極である。電極R12は、上腕Bの電極アレイ10より肘側(手首側)の上腕Bに貼り付けられる電極である。なお、電極R12は、前腕あるいは手のひらに貼り付けつけてもよい。電極R12はスイッチ18に接続されている。
【0021】
マルチプレクサー14は、機械的なスイッチと電子回路とがひとつのシリコン基板に形成されたIC(Integrated Circuit)、即ちMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)である。マルチプレクサー14は、電極10a〜10g、スイッチ18、及び計装アンプ20に接続されている。
【0022】
スイッチ制御部16は、スイッチ18の開/閉を制御する信号を出力する電子回路を備えており、制御信号は、CPU(Central Processing Unit)30からの制御によりHレベルかLレベルの方形波の信号を出力する。スイッチ制御部16は、スイッチ18及び制御部28に接続されている。
【0023】
スイッチ18は、導体の接触/非接触により電気信号の導通/遮断を行う機械式のスイッチあるいはトランジスター等を使用する電気的なスイッチである。スイッチ18は、スイッチ制御部16による制御の下、計装アンプ20の入力端子の接続先を、マルチプレクサー14と電極R12とのいずれかの出力端子に切り替える。スイッチ18の開/閉は、スイッチ制御部16から出力される信号で制御され、スイッチ制御部16から出力された方形波の信号の電圧が予め定められた閾値を超えたHレベルとなると計装アンプ20の入力端子の接続先がマルチプレクサー14となり、スイッチ制御部16から出力された信号のレベルが予め定められた閾値以下のLレベルとなると計装アンプ20の入力端子の接続先が電極R12となる。スイッチ18は、マルチプレクサー14、電極R12、計装アンプ20、及びスイッチ制御部16に接続されている。
【0024】
計装アンプ20は、高い入力インピーダンスを持った差動増幅専用のオペアンプである。計装アンプ20は、マルチプレクサー14あるいはマルチプレクサー14と電極R12との2つの入力信号の差分を一定係数(差動利得)で増幅する差動増幅回路である。計装アンプ20のゲインは例えば21である。計装アンプ20は、マルチプレクサー14、スイッチ18、及びLPF22に接続されている。
【0025】
LPF22は、フィルター回路の一種で、低周波を良く通し、ナイキスト周波数より高い周波数の帯域を通さないフィルターである。LPF22は、カットオフ周波数fc=40Hzのローパスフィルターであり、計装アンプ20から供給された心電信号の40Hz以上の高周波成分を除去することでサンプリング時の折り返し雑音(エイリアス)を排除して増幅部24に供給する。LPF22は、計装アンプ20及び増幅部24に接続されている。
【0026】
増幅部24は、入力された心電信号を増幅する電子回路である。増幅部24は、LPF22及びA/D変換部26に接続されている。
【0027】
A/D変換部26は、増幅部24で増幅されて出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する回路である。A/D変換部26は、高周波成分が除去された心電信号を所定のサンプリング周波数でデジタル信号に変換して制御部28に供給する。A/D変換部26は、増幅部24及び制御部28に接続されている。
【0028】
制御部28は、CPU30、ROM(Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)34などを備えたマイクロコンピューターである。制御部28が、ROM32に記憶されているプログラムを実行すると、A/D変換部26から入力されるデジタル信号を解析して心電図を表示部36に表示する機能や、求めた心電図を示すデータを生成し、生成したデータを記憶部38に記憶させる機能が実現する。制御部28では、取得した心電信号の保存、解析した心電波形のR波から心拍数の算出などが行われる。
【0029】
本実施形態において、制御部28では第1心電計測部、心電特定部、第2心電計測部が実現される。上記各部は、CPU30がA/D変換部26からの心電信号を所定のプログラムを処理することで実現される。
【0030】
第1心電計測部では、電極アレイ10の全ての電極10a〜10gについて、電極R12との電位を差動検出することによって人体Aの心電波形のR波を計測している。
【0031】
心電特定部では、第1心電計測部によって計測された各心電波形を心電波形のR波の振幅と極性とでマッピングしている。また、心電特定部では、マッピング結果に基づいて、最も大きな振幅で正の極性を持つR波を計測した電極アレイ10のうちの1つの電極と、最も大きな振幅で負の極性を持つR波を計測した電極アレイ10のうちの他の1つの電極とを特定している。
【0032】
第2心電計測部では、心電特定部で特定された電極アレイ10のうちの1つの電極と他の1つの電極との電位を差動検出することによって人体Aの心電波形のR波を計測している。
【0033】
表示部36は、画像を表示する表示デバイス(例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ)を有しており、制御部28の制御の下、心電図の画像や、心電計測装置2を操作するための画面及び文字列などを表示する。
【0034】
記憶部38は、不揮発性メモリーを有しており、制御部28の制御の下、制御部28が生成したデータを記憶する。
【0035】
操作部40は、心電計測装置2を操作するためのボタン等の操作子を複数有しており、制御部28に接続されている。操作子がユーザーによって操作されると、操作された操作子を示す信号が制御部28へ供給される。制御部28は、この信号をもとに操作者の行った操作や操作者からの指示を特定し、各部を制御する。
【0036】
本実施形態では、上腕Bにおいて、心電信号には2つの異なる信号が伝わってきており、計測部位により信号の大きさが異なる。上腕Bを円周上に一周覆うような電極アレイ10を配置させ、最適な電極アレイ10の電極を選択することにより、安定した心電波形のR波を計測することができる。
【0037】
ここで、心電波形におけるR波について説明する。
図2は、心電波形、すなわち心臓の活動電位の時間的変化の正常波形を示した図である。典型的な正常波形は、心拍1回ごとに大きくP、Q、R、S、Tの5つの波で構成され、中でも目立つQ、R、S波は一括してQRS波と呼ばれる。図にはないが、これ以外にもU波という波が存在する。P波は、心房の興奮により起こる活動電位の波であり、QRS波は、心室の興奮により起こる活動電位の波であり、T波は、興奮した心室の心筋細胞が再分極する過程で起こる活動電位の波である。心房に溜まった血液を心室に送るために心室が収縮する。このときの活動電位がP波であり、このとき心室が膨張状態になる。次に、心室が激しく収縮し、心室の血液を全身に送り出す。このときの活動電位がR−T波となる。
【0038】
図3は、左腕の正面図であり、本実施形態に係る1つの局面による電極アレイ10及び電極R12の配置場所を示した図である。図3に示すように、電極R12を上腕Bの肘側へ、電極アレイ10の電極10aを上腕Bの肩側へ配置し、電極R12と電極10aとの電位を差動検出し、上記構成を通すことにより心電波形のR波が計測できる。一方、電極アレイ10の電極10bを電極10aと異なる位置へ配置した場合、電極10bで計測した心電波形のR波の極性が電極10aで計測した心電波形のR波の極性と異なる信号を計測することができる。これは上腕Bに2つの異なる心電信号が伝わってきており、上腕Bを伝播する際に混ざりながら信号が伝わっていると考えられる。肘側の上腕Bに配置された電極R12は、混ざった信号を検出しており、電位的には中間点を表している。一方、電極10a,10bは上腕Bにおいて完全に混ざった信号となる前の別々の信号を検出している。
【0039】
本実施形態では上記特徴に注目し、以下の手順により電極アレイ10の中から差動検出に好適な2つの電極を選択する。
【0040】
図4及び図5は、左腕の正面図であり、本実施形態に係る1つの局面による電極アレイ10及び電極R12の配置場所を示した図である。図4に示すように、まず、心電図を計測される被計測者(生体)に電極10a〜10g、電極R12が貼り付けられる。具体的には、上腕Bには、導電性を有するジェルが塗られ、このジェルを介して電極10a〜10gは上腕Bの肩側、電極R12は上腕Bの肘側に貼り付けられる。また、電極10a〜10gは上腕Bの円周上に等間隔に貼り付けられる。
【0041】
次に、被計測者が心臓の計測の開始を指示する操作を操作部40において行うと、制御部28は、スイッチ制御部16を動作させる信号を出力する。この信号をスイッチ制御部16が受け取ると、制御信号がLレベルの方形波の信号をスイッチ18へ出力する。そして、この信号がスイッチ18に供給されると計装アンプ20の入力端子の接続先が電極R12に接続される。
【0042】
マルチプレクサー14により選択された電極10a〜10gのうちの1つの電極とスイッチ18により選択された電極R12とから出力される信号、つまり心臓の活動に伴う電位の変化を示す信号は、計装アンプ20で差動増幅される。計装アンプ20で差動増幅された信号は、LPF22で高周波成分が除去された後、増幅部24に入力される。増幅部24で増幅された信号は、A/D変換部26でデジタル信号に変換された後、制御部28に入力される。
【0043】
制御部28は、A/D変換部26から出力されたデジタル信号を受け取ると、第1心電計測部で受け取ったデジタル信号から電極の電位を計測し、この信号に基づいて電極10a〜10gのうちの1つの電極と電極R12とにおける電位の変化の波形、即ち心電図を求め、各電極の波形の画像が表示部36に表示されるように表示部36を制御する。なお、制御部28は、A/D変換部26から供給されたデジタル信号を記憶部38に記憶させる処理も行う。
【0044】
次に、電極10a〜10gで計測された心電波形から、R波が最も大きく極性がプラスのものと極性がマイナスのものをそれぞれ選択する。例えば、図5の丸で囲んだ部分42に示すように、電極10gがプラス極性のR波、また、丸で囲んだ部分44に示すように、電極10dがマイナス極性のR波として選択される。
【0045】
具体的には、心電特定部で第1心電計測部によって計測された心電波形の最大ピークのR波の振幅と極性とがマッピングされる。また、心電特定部では、マッピング結果に基づいて、最も大きな振幅で正の極性を持つR波を計測した電極アレイ10のうちの1つの電極と、最も大きな振幅で負の極性を持つR波を計測した電極アレイ10のうちの他の1つの電極とが特定される。ここで、ピーク検出には一般的なピーク検出方法や特定の波形パターン(例えば心電波形のR波)との相関演算による相関値などを用いることができる。
【0046】
次に、上記で選択された2つの電極10d,10gを用いて、その電極間の電位を差動検出することにより、上記同様に心電波形のR波を検出する。このとき、図1に示すように、マルチプレクサー14は上記で選択された2つの電極10d,10gの心電信号を計装アンプ20へ出力するように制御され、スイッチ18はマルチプレクサー14の心電信号を計装アンプ20へ接続するように制御される。
【0047】
本実施形態では、電極アレイ10の電極10d,10gを選択することで、上腕Bの円周上において振幅を大きく取れる電極の組合せ候補を、少ない演算で特定することができる。なお、電極アレイ10を7つの電極10a〜10gとして説明を行ったが、電極アレイ10の電極が増えれば増えるほど組合せが増えるため、特定の2つを選択することが困難となり、本実施形態のアルゴリズムにより選択を簡略化できる効果は大きくなる。
【0048】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、電極R12を2つの心電信号が混ざった信号を検出するために上腕Bの電極アレイ10より肘側の上腕Bへ配置する構成を説明した。
【0049】
図6は、左腕の正面図であり、本実施形態に係る1つの局面による電極アレイ10及び電極R46の配置場所を示した図である。本実施形態では、図6に示すように、第2電極としての電極R46を上腕Bに配置された電極アレイ10より肘側の上腕Bへ配置し、上腕Bを一周するような1つの電極として用いる。電極アレイ10は上腕Bの付け根周辺(脇の下)に装着されている。本実施形態に係る心電計測装置の電極R46は、上腕Bに接触し、上腕Bを一周する長さの電極で構成されている。電極R46では、電極R46が設けられた上腕Bの電位部分を加算したような中間電位が作られる。その電位と各電極10a〜10gとの差動検出を行うことで、第1の実施形態と同様なアルゴリズムを実行する。
【0050】
本実施形態では、2つの心電信号の混合が十分でない上腕Bの位置において、電極R46を用いることにより、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0051】
なお、電極R46は、厳密に上腕Bを一周する必要はなく、両方の心電信号が混ざる長さの電極とすればよい。また、一枚の電極ではなく、複数の電極を導線でつなぐ構成としてもよい。
【符号の説明】
【0052】
2…心電計測装置 10…電極アレイ 10a〜10g…電極(第1電極) 12…電極R(第2電極) 14…マルチプレクサー 16…スイッチ制御部 18…スイッチ 20…計装アンプ 22…LPF 24…増幅部 26…A/D変換部 28…制御部 30…CPU 32…ROM 34…RAM 36…表示部 38…記憶部 40…操作部 42,44…部分 46…電極R(第2電極)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の上腕に接触した複数の第1電極からなる電極アレイと、
前記電極アレイより手首側の前記生体に接触した第2電極と、
前記電極アレイの全ての前記第1電極について、前記第2電極との電位を差動検出することによって前記生体の心電波形のR波を計測する第1心電計測部と、
前記第1心電計測部によるR波の計測結果に基づいて、最も大きな振幅で正の極性を持つR波を計測した前記電極アレイのうちの1つの第1電極と、最も大きな振幅で負の極性を持つR波を計測した前記電極アレイのうちの他の1つの第1電極とを特定する心電特定部と、
前記心電特定部で特定された前記電極アレイのうちの1つの第1電極と他の1つの第1電極との電位を差動検出することによって前記生体の心電波形のR波を計測する第2心電計測部と、
を含むことを特徴とする心電計測装置。
【請求項2】
請求項1に記載の心電計測装置において、
前記電極アレイの複数の第1電極は、前記上腕の円周上に等間隔で置かれていることを特徴とする心電計測装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の心電計測装置において、
前記第2電極は、前記上腕に接触し該上腕を一周する長さであることを特徴とする心電計測装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の心電計測装置において、
前記心電特定部は、各心電波形を該心電波形のR波の振幅と極性とでマッピングすることを特徴とする心電計測装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の心電計測装置において、
2つの入力の電位を差動増幅する差動増幅部と、
交流信号を出力するスイッチ制御部と、
前記スイッチ制御部から出力された交流信号に応じて、前記差動増幅部に入力する1つの心電信号を前記第1電極と前記第2電極とのどちらか一方の心電信号に切り替える機械式のスイッチと、
をさらに含むことを特徴とする心電計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−147582(P2011−147582A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10719(P2010−10719)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】