説明

急冷チャンバ、凝縮装置及び冷却方法

反応混合物を冷却する装置は、反応混合物を形成する反応器と、広い端部と、狭い端部と、広い端部と狭い端部間に形成された急冷領域とを有する截頭円錐本体を有する急冷チャンバと、急冷チャンバから冷却粒子混合気体を吸い出す吸気発生器とを備える。急冷チャンバは、プラズマ反応器から、反応混合物が反応混合物インレットを介して急冷領域に供給され、調整流体が少なくとも1つの流体供給インレットを介して供給され、調整流体を急冷領域に流し、截頭円錐本体は、急冷領域への調整流体の流れによって、急冷領域内に乱流を生成し、これによって、反応混合物の冷却を促進し、冷却粒子混合気体を形成する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2005年4月19日に出願され、係属中の米国特許出願番号第11/110,341号、発明の名称「HIGH THROUGHPUT DISCOVERY OF MATERIALS THROUGH VAPOR PHASE SYNTHESIS」及び2007年5月11日出願され、係属中の米国仮特許出願番号第60/928,946号、発明の名称「MATERIAL PRODUCTION SYSTEM AND METHOD」の優先権を主張し、これらは何れも、引用することによって、本願に援用される。
【技術分野】
【0002】
気体又は気相粒子生成(gas or vapor phase particle production)は、人工材料(engineered materials)を生成するための重要な技術である。本発明は、気体又は気相粒子を含む反応媒体を急冷(quenching)する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
粒子生成反応器(particle producing reactor)では、基本的な生成種(basic product species)が、エネルギ供給ゾーン(energy delivery zone)から高温の反応媒体を噴出(ejection)した後の非常に短い時間に形成される。反応媒体を噴出した後、更なる形成機構が最終生成物の最終的な特性を決定する。
【0004】
化学反応、例えば前駆体物質(precursor material)内の核生成及び表面成長は、主にエネルギ供給の間に起こり、これらの形成機構は、噴出に続く第1の短い時間においても活発に行われる。噴出後の時間(post-ejection time period)においてより支配的になるのは、バルク形成機構、例えば、凝固(coagulation)及び合体(coalescence)であり、これは、既に形成された粒子に対して作用する。エネルギ供給ゾーンからの噴出に続く高温の反応媒体のあらゆる適切な条件は、所望の特性を有する最終生成物を形成するために、これらの及び他の形成機構を考慮する必要がある。幾つかの場合、高過ぎる温度で反応混合物(reactive mixture)を維持すると、最終生成物において、余りにも凝集(agglomerate)した粒子が生じることがある。
【0005】
粒子形成に加えて適切な条件では、生成物の形成後処理(post-formation processing)を考慮する必要がある。粒子は、一旦形成されると、放射熱損失によって急速に冷却されるが、形成後に粒子を浮遊させて運ぶ残留ガスは、特に、閉じ込められている場合、冷却速度が遅い。閉込め(Confinement)は、あらゆる制御環境(controlled environment)の処理システムにおいてもある程度必要であり、通常、経済的配慮のために、小さく閉じ込められた制御環境が要求される。したがって、このような処理システムは、処理システム内の回収点への生成物の効率的な輸送を提供するとともに、気体粒子生成物(gas-particle product)全体の冷却のための効率的な機構を提供しなければならない。
【0006】
ガス流(gas stream)内での粒子の輸送は、粒子の飛沫同伴(entrainment)に依存し、これは、主に粒子特性(particle properties)、例えば質量、温度、密度及び粒子間反応性(inter-particle reactivity)と、気体物性(gas properties)、例えば密度、速度、温度、粘性と、合成特性(composite properties)、例えば粒子ガス反応性(particle-gas reactivity)との関数である。気体の冷却は、定義上、気体温度に影響するが、質量を除く上に列挙した他の特性も容易に変化させる。以上を鑑み、気体粒子生成物のバランスがとれた効率的な冷却及び輸送は、プロセスパラメータの慎重な最適化が必要であり、本発明は、これを達成するものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一側面として、急冷チャンバ(quench chamber)を提供する。急冷チャンバは、広い端部と、狭い端部と、広い端部と狭い端部の間に形成された急冷領域(quench region)とを有する截頭円錐本体(frusto-conical body)を備える。急冷チャンバは、更に、反応混合物が供給され、この反応混合物を、狭い端部の方向に向けて、急冷領域に供給する反応混合物インレットを備える。急冷チャンバは、更に、調整流体(conditioning fluid)を、狭い端部の方向に向けて、急冷領域に供給する調整流体インレットを備える。截頭円錐本体は、急冷領域への調整流体の供給によって、急冷領域内に乱流を生成し、これによって、調整流体による反応混合物の冷却を促進し、冷却粒子混合気体(cooled gas-particle mixture)を形成する。急冷チャンバは、更に、狭い端部に配設された粒子混合気体アウトレットを備える。粒子混合気体アウトレットは、急冷領域から冷却粒子混合気体が供給される。
【0008】
本発明は、他の側面として、反応混合物を冷却して、反応混合物から粒子を凝固する(condense)凝縮装置を提供する。凝縮装置は、プラズマと前駆体物質から反応混合物を形成するプラズマ反応器を備える。凝縮装置は、更に、広い端部と、狭い端部と、広い端部と狭い端部の間に形成された急冷領域とを有する截頭円錐本体を有する急冷チャンバを備える。急冷チャンバは、プラズマ反応器から、反応混合物が反応混合物インレットを介して急冷領域に供給され、調整流体供給源から、調整流体が少なくとも1つの流体供給インレットを介して供給され、調整流体を急冷領域に流す。截頭円錐本体は、急冷領域への調整流体の流れによって、急冷領域内に乱流を生成し、これによって、調整流体による反応混合物の冷却を促進し、冷却粒子混合気体を形成する。凝縮装置は、更に、急冷領域の狭い端部におけるアウトレットに流体的に接続され、狭い端部において吸気を発生し、急冷チャンバから、冷却粒子混合気体をアウトレットを介して吸い出す吸気発生器(suction generator)を備える。
【0009】
本発明は、更に他の側面として、急冷チャンバ内で反応混合物を冷却する冷却方法を提供する。この冷却方法は、反応器から、反応混合物を、反応混合物インレットを介して、広い端部と狭い端部とがある截頭円錐形状を有する急冷領域に流すステップを有する。急冷領域は、截頭円錐面を有する急冷チャンバの一部内に形成され、反応混合物の流れが、広い端部から狭い端部に向かう混合物運動量ベクトルを形成する。調整流体は、少なくとも1つの流体供給インレットを介し、広い端部から狭い端部に向かう複数の調整運動量ベクトルに沿って急冷領域に流される。急冷領域への調整流体の流れは、急冷領域内に乱流を形成する。調整流体と反応混合物は、急冷領域の乱流内で混合され、これにより、調整流体によって反応混合物を急冷して、冷却粒子混合気体を形成する。冷却粒子混合気体は、急冷領域の狭い端部におけるアウトレットから流される。冷却粒子混合気体は、流体に飛沫同伴された複数の粒子を含む。
【0010】
好ましい実施の形態においては、急冷領域への調整流体の供給は、少なくとも1000のレイノルズ数を有する流れを生成する。
【0011】
一実施の形態においては、截頭円錐本体は、調整流体を、複数の運動量ベクトルに沿って急冷領域に供給し、複数の運動量ベクトルのうちの少なくとも2つは、90度以上の角度を形成する。
【0012】
他の実施の形態においては、反応混合物インレットは、反応混合物を、第1の運動量ベクトルに沿って急冷領域に供給し、截頭円錐本体は、調整流体を、第2の運動量ベクトルに沿って急冷領域に供給し、第2の運動量ベクトルは、第1の運動量ベクトルに対して、20度より大きい斜角を有する。
【0013】
更に、粒子混合気体アウトレットは、反応混合物インレットの中心から第1の距離だけ離間して配設され、截頭円錐本体は、反応混合物インレットの縁から少なくとも第2の距離だけ離間して配設されて、その間に間隙を形成する。第1の距離は、好ましくは、第2の距離より長い。截頭円錐本体と反応混合物インレットとの相対的位置は、調整可能であり、これによって、第1の距離及び第2の距離を調整することができる。
【0014】
また、同様に、本発明の他の部品及び側面は、調整可能に構成することができる。例えば、急冷領域の容積は、調整可能にすることができる。
【0015】
更に、截頭円錐本体は、好ましくは、調整流体を、複数の運動量ベクトルに沿って急冷領域に供給する。截頭円錐本体が調整流体を急冷領域に供給する角度は、調整可能とすることができる。
【0016】
更に、截頭円錐本体に冷却装置を連結し、冷却装置が截頭円錐本体の温度を調整するように構成してもよい。更に、急冷領域への調整流体の流速を調整する流体供給要素を更に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の原理に基づく粒子生産システムの一実施の形態の断面図である。
【図2】本発明の原理に基づく高乱流急冷チャンバを備える粒子生産システムの一実施の形態の断面図である。
【図3A】本発明の原理に基づく粒子生産システムの一部の概要の断面図及び対応する急冷速度のグラフを組み合わせて示す図である。
【図3B】本発明の原理に基づく高乱流急冷チャンバを備える粒子生産システムの一部の概要の断面図及び対応する急冷速度のグラフを組み合わせて示す図である。
【図4A】本発明の原理に基づく急冷チャンバの急冷領域内の調整流体の運動量ベクトルの一実施の形態の断面図である。
【図4B】本発明の原理に基づく急冷チャンバの高乱流急冷領域内の調整流体の運動量ベクトルの一実施の形態の断面図である。
【図5】本発明の原理に基づき、反応混合物を急冷し、粒子を凝固及び形成する方法の一実施の形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の説明は、本発明の幾つかの実施の形態に関するものである。好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。しかしながら、本発明の範囲は、図示する実施の形態にも、説明する実施の形態にも制限されず、本発明の範囲は、特許請求の範囲の文言に基づいて、可能な限り広く解釈される。
【0019】
以下の説明では、説明の目的のために、数多くの詳細及び代替案を説明する。なお、本発明が、これらの具体的詳細を使用することなく、実施できることは当業者には明らかである。他の例では、不要な詳細によって本発明の説明が不明瞭になることを避けるために、周知の構造及び機器は、ブロック図の形式で示している。
【0020】
この説明では、粒子(particles)及び粉末(powders)の両方について言及する。この2つの用語は、単一の「粉末」が粒子の集合を示すとの特別な記載がある場合を除き、同義である。本発明は、様々な粉末及び粒子に適用することができる。本発明の範囲に含まれる粉末としては、以下に限定されるものではないが、例えば、以下のような粉末がある。(a)平均粒径が250nm未満、アスペクト比が1〜100万のナノ構造粉末(nano-structured powders、ナノ粉末)。(b)平均粒径が1μm未満、アスペクト比が1〜100万のサブミクロン粉末(submicron powders)。(c)平均粒径が100μm未満、アスペクト比が1〜100万の超微粉末(ultra-fine powders)。(d)平均粒径が500μm未満、アスペクト比が1〜100万の微粉末(fine powders)。
【0021】
図1は、気相粒子生産システム(gas phase particle production system)100を示している。気相粒子生産システム100は、前駆体供給装置(precursor supply device)110と、処理ガス供給装置(working gas supply device)120とを備え、これらは、エネルギ供給ゾーン135がその内部に形成されるプラズマ生成チャンバ130に流体的に接続されている。プラズマ生成チャンバ130は、圧縮急冷チャンバ(constricting quench chamber、以下、単に急冷チャンバともいう)145の噴射口(injection port)140に流体的に接続され、これにより、エネルギ供給ゾーン135は、急冷チャンバ145と流体連通する(fluidly communicate)ことができる。また、1つ以上のポート190により、急冷チャンバ145は、制御空気装置(controlled atmosphere system)170(点線で示す)と流体連通(fluid communication)することができる。また、急冷チャンバ145は、排出口(ejection port)165に流体的に接続されている。
【0022】
通常、プラズマ生成チャンバ130は、反応器として機能し、ガス流内に粒子を含む出力を生成する。粒子生成(Particle production)は、混合(combination)と、反応(reaction)と、調整(conditioning)との処理を含む。例示的な実施の形態では、本発明は、2005年4月19日に出願された米国特許出願番号第11/110,341号、発明の名称「HIGH THROUGHPUT DISCOVERY OF MATERIALS THROUGH VAPOR PHASE SYNTHESIS」に開示されているものと同様に、ナノ粉末生産システム(nano-powder production system)を使用しており、この文献は、米国特許公開番号第2005−0233380A号として公開されている。このようなナノ粉末生産システムでは、処理ガスが、ガス源からプラズマ反応器に供給される。プラズマ反応器内では、処理ガスにエネルギが供給され、これによって、プラズマが生成される。このエネルギを供給するために、以下に限定されるものではないが、直流結合、容量結合、誘導結合及び共振結合を含む様々な異なる手段を用いることができる。1つ以上の材料投入装置(material dispensing device)は、少なくとも1つの材料を、好ましくは粉末の形態でプラズマ反応器に導入する。プラズマ反応器内におけるプラズマと、材料投入装置によって導入された材料との混合により、反応性が非常に高く、粉末を蒸発できる高いエネルギの混合物が形成される。この蒸発粉末(vaporized powder)の混合物は、プラズマ反応器内で処理ガスの流れ方向に移動する。混合物は、移動しながら冷却され、そこに粒子が形成される。高温ガス及び高エネルギ粒子を含む未だエネルギが高い出力混合物は、プラズマ反応器から放出される。
【0023】
例示的な実施の形態では、プラズマ生成チャンバ130は、前駆体供給装置110から供給される前駆体物質(好ましくは粉末の形態で)と、処理ガス供給装置120から供給される処理ガスとをエネルギ供給ゾーン135内で混合(combines)し、ここにおいては、処理ガスは、励起されて、プラズマを形成する。プラズマは、エネルギ供給ゾーン135内で前駆体物質に作用し、励起反応混合物(energized reactive mixture)を形成する。この励起反応混合物は、複数の相のうちの少なくとも1つの相の1つ以上の物質を含み、これらの相には、蒸気(vapor)と、気体(gas)と、プラズマとを含むことができる。
【0024】
励起反応混合物は、エネルギ供給ゾーン135から、噴射口140を介して、急冷チャンバ145に流れる。高温の混合物は、エネルギ供給ゾーン135から出ると、急冷チャンバ145内で急速に膨張し、冷える。混合物が急冷チャンバ145を流れている間、ポート190は、調整流体(conditioning fluid)を急冷チャンバ145の内面(interior surface)に沿って供給する。調整流体は、混合物と少なくともある程度混合し、急冷チャンバ145から、排出口165を介して流れ出る。
【0025】
急冷チャンバ145に入った直後の期間、粒子形成(particle formation)が起こる。更に、急冷チャンバ145の内面に沿って供給される調整流体は、反応混合物を調整し、その内部で粒子の飛沫同伴(entrainment)を維持し、物質が急冷チャンバ145の内面に付着(depositing)することを防止する。
【0026】
更に図1を参照して説明すると、急冷チャンバ145の構造は、かなりの熱を放散できる比較的薄い壁で囲まれた部品(以下、薄肉部品(thin-walled component)という)で形成することができる。例えば、薄肉部品は、急冷チャンバ145内部から熱を伝導し、熱を周囲に放射することができる。急冷チャンバ145は、略円筒状の円筒面(substantially cylindrical surface)150と、円錐様面(cone-like surface、以下、截頭円錐面(frusto-conical surface)ともいう)155と、噴射口140を円筒面150に接続する環状面(annular surface)160とを有する。噴射口140の大きさに比べて大きな直径を有する円筒面150は、混合物が急冷チャンバ145に流れ込んだ後に起こる反応混合物の膨張を収容する。円錐様面155は、噴射口140の反対側の円筒面150から排出口165に向かって延びている。円錐様面155は、急冷チャンバ145を介して排出口165に流れる流体を不必要に圧縮しないように十分に滑らかに変化している。
【0027】
混合物が急冷チャンバ145に入った後、混合物から、主に放射の形でかなりの熱が放出される。急冷チャンバ145は、この熱を効率的に放散するように設計することが好ましい。例えば、急冷チャンバ145の表面は、好ましくは、冷却装置(図示せず)に露出されている。
【0028】
更に図1を参照して説明すると、制御空気装置170は、好ましくは、タンク(reservoir)175から調整流体が導管180を介して導入されるチャンバ185を備える。調整流体は、好ましくは、アルゴンである。なお、他の不活性で、比較的重いガスも同様に用いることができる。更に、調整流体を急冷チャンバ145に供給する好ましい機構は、急冷チャンバ145と排出口165の間に圧力差を形成することである。このような圧力差は、調整流体を、ポート190を介して急冷チャンバ145に引き込む。これには劣るが、調整流体を供給する他の手法としては、以下に限定されるものではないが、チャンバ185内に正圧を形成することである。
【0029】
急冷チャンバ145の截頭円錐形状は、急冷領域内で適度の量の乱流を起こすことができ、それによって、調整流体と反応混合物の混合(mixing)を促進し、従来のシステムよりも急冷速度(quenching rate)を高める。なお、幾つかの状況では、急冷速度を更に高めることが望まれる。このような急冷速度の増加は、調整流体が反応混合物と混合される急冷チャンバの領域内により高い乱流を発生させることによって達成することができる。
【0030】
図2は、高乱流急冷チャンバ(highly turbulent quench chamber、以下、圧縮急冷チャンバ(constricting quench chamber)又は単に急冷チャンバともいう)245を備える気相粒子生産システム200を示している。気相粒子生産システム200は、図1を用いて上述したプラズマ生成チャンバ130と同様のプラズマ生成及び反応チャンバ230に流体的に接続された前駆体供給装置210と、処理ガス供給装置220とを備える。また、プラズマ生成及び反応チャンバ230には、エネルギ供給装置225も接続されている。プラズマ生成及び反応チャンバ230は、圧縮急冷チャンバ245に流体連通した噴射口240を備える。また、1つ以上のポート290により、急冷チャンバ245と、図1の制御空気装置170と同様の制御空気装置270とは、流体連通することができる。また、急冷チャンバ245は、アウトレット265に流体的に接続されている。
【0031】
通常、プラズマ生成及び反応チャンバ230は、図1のプラズマ生成チャンバ130と同様に、反応器として機能し、ガス流内に粒子を含む出力を生成する。生成は、後述するように、混合と、反応と、調整との基本的な処理を含む。この気相粒子生産システム200は、前駆体供給装置210から供給される前駆体物質と、処理ガス供給装置220から供給される処理ガスとをプラズマ生成及び反応チャンバ230のエネルギ供給ゾーン内で混合する。気相粒子生産システム200は、エネルギ供給装置225からのエネルギを用いて、プラズマ生成及び反応チャンバ230内で処理ガスを励起し、それによって、プラズマを生成する。プラズマは、プラズマ生成及び反応チャンバ230内で前駆体物質に作用し、励起反応混合物を形成する。この励起反応混合物は、複数の相のうちの少なくとも1つの相の1つ以上の物質を含み、これらの相には、蒸気(vapor)と、気体(gas)と、プラズマとを含むことができる。励起反応混合物は、プラズマ生成及び反応チャンバ230から、噴射口240を介して、急冷チャンバ245に流れる。
【0032】
急冷チャンバ245は、好ましくは、略円筒状の円筒面250と、截頭円錐面255と、噴射口240を円筒面250に接続する環状面260とを有する。截頭円錐面255は、アウトレット265に合うように狭くなっている。プラズマ生成及び反応チャンバ230は、その端部に噴射口240が配設された拡張部分を含む。この拡張部分は、噴射口240とアウトレット265間の距離を短くし、反応混合物と調整流体を混合する急冷領域と呼ばれる領域の容積を減少させる。好ましい実施の形態では、噴射口240は、アウトレット265と同軸上に配置されている。噴射口240の中心は、アウトレット265から第1の距離d離間して配置されている。噴射口240の縁は、截頭円錐面255の一部から第2の距離d離間して配置されている。噴射口240及び截頭円錐面255は、その間に上述した急冷領域を形成している。噴射口240の縁と截頭円錐面255の間の空間は、調整流体を急冷領域に供給するためのチャンネルとして機能する間隙を形成する。截頭円錐面255は、間隙を介して急冷領域に流体を流通させる漏斗面(funneling surface)として機能する。
【0033】
反応混合物が急冷チャンバ245を流れている間、ポート290は、調整流体を急冷チャンバ245に供給する。そして、調整流体は、截頭円錐面255に沿って移動し、噴射口240と截頭円錐面255との間の間隙を介して、急冷領域に流れ込む。幾つかの実施の形態では、制御空気装置270は、急冷領域に供給される調整流体の流速(volume flow rate)又は質量流量(mass flow rate)を制御するように構成されている。
【0034】
反応混合物は、噴射口240から出ると、膨張し、調整流体と混合される。好ましくは、調整流体が供給される角度は、高い度合の乱流を生成し、反応混合物との混合を促進する。この乱流は、多くのパラメータに依存する。好ましい実施の形態では、これらのパラメータの1つ以上を調整して、乱流の程度を制御できるようにする。これらの要素には、調整流体の流速と、截頭円錐面255の温度と、截頭円錐面255の角度(調整流体が急冷領域に供給される角度に影響する)と、急冷領域の大きさとが含まれる。例えば、截頭円錐面255と噴射口240との相対的位置は、調整可能であり、これを用いて、急冷領域の容積を調整することができる。これらの調整は、以下に限定されるわけではないが、自動手段及び手動手段を含む様々な異なる機構を用いて、様々な異なる方法で行うことができる。
【0035】
急冷チャンバ245に入った直後の短い期間に、粒子形成(particle formation)が起こる。粒子が凝集(agglomerate)する度合は、冷却速度によって異なる。冷却速度は、急冷領域内の流れの乱流によって定まる。気相粒子生産システム200は、好ましくは、高乱流を形成し、非常に分散された粒子を形成するように調整される。例えば、好ましい実施の形態では、急冷領域内の流れの乱流度(turbidity)は、流れのレイノルズ数が少なくとも1000になるようにする。
【0036】
更に図2を参照して説明すると、急冷チャンバ245の構造は、かなりの熱を放散できる比較的薄い壁で囲まれた部品(以下、薄肉部品という)で形成することが好ましい。例えば、薄肉部品は、急冷チャンバ245内部から熱を伝導し、熱を周囲に放射することができる。
【0037】
混合物が急冷チャンバ245に入った後、混合物から、主に放射の形でかなりの熱が放出される。急冷チャンバ245は、この熱を効率的に放散するように設計されている。急冷チャンバ245の表面は、好ましくは、冷却装置(図示せず)に露出されている。好ましい実施の形態では、冷却装置は、截頭円錐面255の温度を調整するように構成されている。
【0038】
急冷領域への噴射、冷却、粒子形成の後、混合物は、急冷チャンバ245からアウトレット265を介して流れる。吸気発生器(suction generator)295によって発生された吸気により、急冷領域から混合物及び調整流体が導管292に移動される。混合物は、アウトレット265から、導管292に沿って、吸気発生器295に向かって流れる。粒子は、好ましくは、吸気発生器295に到達する前に、回収又は抽出装置(collection or sampling system、図示せず)によって、混合物から取り出される。
【0039】
更に図2を参照して説明すると、制御空気装置270は、ポート290を介して急冷領域に流体的に接続されたチャンバ285を備え、チャンバ285には、タンク175等のタンクから調整流体が、導管280を介して導入される。上述したように、調整流体は、好ましくは、アルゴンである。なお、他の不活性で、比較的重いガスも同様に用いることができる。更に、上述したように、調整流体を急冷チャンバ245に供給する好ましい機構は、急冷チャンバ245とアウトレット265の間に圧力差を形成することである。このような圧力差は、調整流体を、ポート290を介して急冷チャンバ245に引き込む。調整流体を供給する他の手法としては、以下に限定されるものではないが、チャンバ285内に正圧を形成することである。
【0040】
図3A及び図3Bは、気相粒子生産システム内の急冷速度に関する、本発明の実施の形態において行われる調整の効果を示している。図3Aは、低乱流システム300の一部を示している。反応混合物は、反応器330から、噴射口340を介して、噴射口340と截頭円錐面355の間に形成された急冷領域に流れ込む。混合物は、截頭円錐面355の狭い端部に向かって流れる。急冷領域は、噴射口340の中心と急冷領域の狭い端部の間の距離dと、噴射口340の縁と截頭円錐面355間の距離dとのパラメータによって定義される。
【0041】
図3Aのグラフ部分は、反応器330から、噴射口340を介して、急冷領域に入り、急冷領域の狭い端部に向かう混合物の温度の例示的な変化をプロットしている。反応器330内である領域Zでは、温度は、略一定に保たれる。混合物は、噴射されて、急冷領域Zに一旦入ると、膨張して、最初は急速に冷却される。この最初の冷却中に、粒子の形成が開始される。
【0042】
しかしながら、屈曲点Iにおいて、混合物を膨張させるのに貢献する力と、低乱流気体の慣性力とが均衡し始める。この屈曲点Iでは、高温の混合物と調整流体間の混合は殆ど行われない。混合物の温度は、低下し続けるが、その割合は非常に小さい。この間は、温度は十分高く維持され、粒子は、互いに凝集(agglomerate)して、大質量の粒子を形成する。
【0043】
最終的には、これらの粒子と高温ガスは、混合され、調整流体に同伴され、狭い端部から導管領域Zに出て、温度は、更なる凝集が起こらない十分低い温度となる。
【0044】
図3Bは、高乱流システム300’の一部を示している。反応混合物は、反応器330’から、噴射口340’を介して、噴射口340’と截頭円錐面355’の間に形成された急冷領域に流れ込む。混合物は、截頭円錐面355’の狭い端部に向かって流れる。急冷領域は、噴射口340’の中心と急冷領域の狭い端部の間の距離d’と、噴射口340’の縁と截頭円錐面355’間の距離d’とのパラメータによって定義される。
【0045】
図3Bのグラフ部分は、反応器330’から、噴射口340’を介して、急冷領域に入り、急冷領域の狭い端部に向かう混合物の温度の例示的な変化をプロットしている。反応器330’内である領域Z’では、温度は、略一定に保たれる。混合物は、噴出されて、急冷領域Z’に一旦入ると、僅かに膨張して、急速に冷却される。急冷領域内の高乱流は、調整流体と反応混合物をZ’領域に亘って混合し続け、調整流体及び反応混合物が熱平衡に達するまで、混合物を滑らか且つ急速に冷却する。この冷却の間に、粒子が形成される。図3Aの低乱流システム300に比べ、図3Bの高乱流システム300’では、混合物がより急速に冷却されるので、凝集が起こる期間がより短い。
【0046】
粒子と高温ガスの混合物は、調整流体と混合され続け、混合気体(mixture of gas)と粒子は、狭い端部から流れ出て、導管領域Z’に入る。本発明の幾つかの実施の形態としての高乱流急冷領域(highly turbulent quench region)内の急冷時間の全体は、低乱流急冷領域よりも非常に短い。
【0047】
したがって、本発明の実施の形態によって生成される高乱流により、形成された粒子が互いに凝集できる期間が短縮され、それによって、より均一な大きさの粒子を生成し、ある場合には、より小さい大きさの粒子を生成する。これらの特徴の両方によって、分散性が高く、表面積対体積比が高い粒子が形成される。
【0048】
上述のように、截頭円錐面の角度は、調整流体を急冷領域に供給する角度に影響し、これは、急冷領域内の乱流の程度に影響する。調整流体は、好ましくは、複数の運動量ベクトルに沿って急冷領域に流れ込む。運動量ベクトル間の角度が大きい程、生成される乱流の程度が高くなる。好ましい実施の形態では、高乱流急冷チャンバは、截頭円錐面を有し、この截頭円錐面は、2つの運動量ベクトル間の角度が少なくとも90度となるように、少なくとも2つの調整流体の運動量ベクトルが急冷領域に導入される漏斗状に構成されている。
【0049】
図4Aは、低乱流急冷チャンバ、例えば図1又は図3Aに示す急冷チャンバの急冷領域内の調整流体の運動量ベクトルの一実施の形態400の断面図である。図4Aでは、調整流体は、矢印で示す運動量ベクトルに沿って急冷領域を流れる。この図からわかるように、運動量ベクトルの角度は、截頭円錐面455の角度に対応している。図4Aでは、運動量ベクトル間に形成される角度は、90度より小さい。
【0050】
図4Bは、高乱流急冷チャンバ、例えば図2又は図3Bに示す急冷チャンバの急冷領域内の調整流体の運動量ベクトルの一実施の形態400’の断面図である。図4Bでは、調整流体は、矢印で示す運動量ベクトルに沿って急冷領域を流れる。この図からわかるように、運動量ベクトルの角度は、截頭円錐面455’の角度に対応している。図4Bでは、運動量ベクトル間に形成される角度は、90度以上である。
【0051】
なお、他の角度の閾値を適用してもよいことは明らかである。例えば、調整流体の運動量ベクトルのうちの少なくとも1つと、反応混合物の運動量ベクトルとの間に形成される角度を用いることができる。高乱流急冷チャンバの一実施の形態においては、反応混合物インレットは、反応混合物を第1の運動量ベクトルに沿って急冷領域に供給するように構成され、截頭円錐面は、調整流体を第2の運動量ベクトルに沿って急冷領域に供給するように構成され、第2の運動量ベクトルは、第1の運動量ベクトルに対して、20度より大きい斜角(oblique angle)を有する。
【0052】
図5は、本発明の原理に基づいて、反応混合物を冷却し、反応混合物から粒子を凝固及び形成する(condense and form)方法500の一実施の形態を示すフローチャートである。ステップ510において、急冷領域内の乱流を調整するか(及びどのように調整するか)を決定する。
【0053】
乱流を、より高い乱流に調整すべきと決定した場合、処理は、ステップ515aに進み、ここにおいて、急冷チャンバを高乱流構成となるように調整する。このような調整には、以下に限定されるものではないが、調整流体の流速の増加、截頭円錐面の角度の増大(したがって、運動量ベクトル間の角度の増大)、急冷領域の容積の縮小(例えば噴射口とアウトレット間の距離の短縮による)及び温度調整装置(temperature control system)を用いた截頭円錐面の温度の低下が含まれる。
【0054】
一方、乱流を、より低い乱流に調整すべきと決定した場合、処理は、ステップ515bに進み、ここにおいて、急冷チャンバを低乱流構成となるように調整する。このような調整には、以下に限定されるものではないが、調整流体の流速の低減、截頭円錐面の角度の減少(したがって、運動量ベクトル間の角度の減少)、急冷領域の容積の拡大(例えば噴射口とアウトレット間の距離の増大よる)及び温度調整装置を用いた截頭円錐面の温度の上昇が含まれる。
【0055】
急冷チャンバの乱流を調整するか否かに拘わらず、ステップ520において、反応器は、好ましくは、処理ガス供給装置から供給された処理ガスと、前駆体供給装置から供給された前駆体物質とを用いて、反応混合物を生成する。好ましい実施の形態では、処理ガスは、反応器に流れ込み、エネルギが処理ガスに供給され、これによって、プラズマが生成される。プラズマは、反応器に流れ込んだ前駆体物質に作用する。前駆体物質とプラズマの混合によって、反応混合物が形成される。
【0056】
ステップ530において、反応混合物は、反応器から急冷チャンバの急冷領域に、好ましくは反応器を急冷領域に流体的に接続する噴射口を介して流れ込む。
【0057】
ステップ540において、調整流体は、急冷領域に、好ましくは調整流体供給装置、すなわち調整流体を一時的に保持するチャンバを急冷領域に流体的に接続する1つ以上のインレットを介して流れ込む。
【0058】
フローチャートでは、反応混合物が急冷領域に流れ込むステップの後に、調整流体が急冷領域に流れ込むステップを示しているが、調整流体は、反応混合物と同時に又は反応混合物より前に、急冷領域に流れ込んでもよい。更に、急冷チャンバの構造は、反応混合物及び調整流体を急冷領域に導入する手法に影響する。上述のように、所望の乱流の度合に応じて、以下に限定されるわけではないが、調整流体の流速、截頭円錐面の角度(したがって、運動量ベクトル間の角度)、急冷領域の容積、噴射口とアウトレット間の距離、截頭円錐面の温度を含む幾つかの要素を変化させることができる。
【0059】
ステップ550において、調整流体と反応混合物を急冷領域内で混合する際に、調整流体は、反応混合物を急冷する。上述したように、乱流の程度が高い程、急冷速度は速い。
【0060】
そして、処理は終了する。これに代えて、ステップ510に戻り、適切であれば、反応混合物を生成し、急冷する前に、乱流レベルに関する調整を行って、処理を繰り返してもよい。
【0061】
本発明の構造及び動作の原理を明瞭にするために、詳細を組み込んだ特定の実施の形態に関連して本発明を説明した。したがって、ここにおける特定の実施の形態及び詳細な説明は、特許請求の範囲を限定するものではない。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、ここに例示した実施の形態を変更できることは当業者にとって明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広い端部と、狭い端部と、該広い端部と該狭い端部間に形成された急冷領域とを有する截頭円錐本体と、
反応混合物が供給され、該反応混合物を、上記狭い端部の方向に向けて、上記急冷領域に供給する反応混合物インレットと、
調整流体を、上記狭い端部の方向に向けて、上記急冷領域に供給する調整流体インレットと、
上記狭い端部に配設され、上記急冷領域から冷却粒子混合気体が供給される粒子混合気体アウトレットとを備え、
上記截頭円錐本体は、上記急冷領域への上記調整流体の供給によって、該急冷領域内に乱流を生成して、該調整流体による上記反応混合物の冷却を促進し、上記冷却粒子混合気体を形成することを特徴する急冷チャンバ。
【請求項2】
上記截頭円錐本体は、上記調整流体を、複数の運動量ベクトルに沿って上記急冷領域に供給し、該複数の運動量ベクトルのうちの少なくとも2つは、90度以上の角度を形成することを特徴とする請求項1記載の急冷チャンバ。
【請求項3】
上記反応混合物インレットは、上記反応混合物を、第1の運動量ベクトルに沿って上記急冷領域に供給し、上記截頭円錐本体は、上記調整流体を、第2の運動量ベクトルに沿って上記急冷領域に供給し、上記第2の運動量ベクトルは、上記第1の運動量ベクトルに対して、20度より大きい斜角を有することを特徴とする請求項1記載の急冷チャンバ。
【請求項4】
上記粒子混合気体アウトレットは、上記反応混合物インレットの中心から第1の距離だけ離間して配設され、上記截頭円錐本体は、該反応混合物インレットの縁から少なくとも第2の距離だけ離間して配設され、その間に間隙を形成し、該第1の距離は、該第2の距離より長いことを特徴とする請求項1記載の急冷チャンバ。
【請求項5】
上記截頭円錐本体と上記反応混合物インレットとの相対的位置は、調整可能であり、これによって、上記第1の距離及び上記第2の距離は、調整可能であることを特徴とする請求項4記載の急冷チャンバ。
【請求項6】
上記急冷領域への上記調整流体の供給は、少なくとも1000のレイノルズ数を有する流れを生成することを特徴とする請求項1記載の急冷チャンバ。
【請求項7】
上記急冷領域の容積は、調整可能であることを特徴とする請求項1記載の急冷チャンバ。
【請求項8】
上記截頭円錐本体は、上記調整流体を、複数の運動量ベクトルに沿って上記急冷領域に供給し、該截頭円錐本体が該調整流体を該急冷領域に供給する角度は、調整可能であることを特徴とする請求項1記載の急冷チャンバ。
【請求項9】
上記截頭円錐本体の温度を調整する冷却装置を更に備える請求項1記載の急冷チャンバ。
【請求項10】
反応混合物を冷却して、該反応混合物から粒子を凝固する凝縮装置において、
プラズマと前駆体物質から上記反応混合物を形成するプラズマ反応器と、
広い端部と、狭い端部と、該広い端部と該狭い端部間に形成された急冷領域とを有する截頭円錐本体を有する急冷チャンバと、
上記急冷領域の狭い端部におけるアウトレットに流体的に接続され、該狭い端部において吸気を発生し、上記急冷チャンバから冷却粒子混合気体を、該アウトレットを介して吸い出す吸気発生器とを備え、
上記急冷チャンバは、上記プラズマ反応器から、上記反応混合物が反応混合物インレットを介して上記急冷領域に供給され、調整流体供給源から、調整流体が少なくとも1つの流体供給インレットを介して供給され、該調整流体を上記急冷領域に流し、
上記截頭円錐本体は、上記急冷領域への上記調整流体の流れによって、該急冷領域内に乱流を生成して、該調整流体による上記反応混合物の冷却を促進し、上記冷却粒子混合気体を形成することを特徴する凝縮装置。
【請求項11】
上記截頭円錐本体は、上記調整流体を、複数の運動量ベクトルに沿って上記急冷領域に供給し、該複数の運動量ベクトルのうちの少なくとも2つは、90度以上の角度を形成することを特徴とする請求項10記載の凝縮装置。
【請求項12】
上記反応混合物インレットは、上記反応混合物を、第1の運動量ベクトルに沿って上記急冷領域に供給し、上記截頭円錐本体は、上記調整流体を、第2の運動量ベクトルに沿って上記急冷領域に供給し、該第2の運動量ベクトルは、該第1の運動量ベクトルに対して、20度より大きい斜角を有することを特徴とする請求項10記載の凝縮装置。
【請求項13】
上記アウトレットは、上記反応混合物インレットの中心から第1の距離だけ離間して配設され、上記截頭円錐本体は、該反応混合物インレットの縁から少なくとも第2の距離だけ離間して配設され、その間に間隙を形成し、該第1の距離は、該第2の距離より長いことを特徴とする請求項10記載の凝縮装置。
【請求項14】
上記截頭円錐本体と上記反応混合物インレットとの相対的位置は、調整可能であり、これによって、上記第1の距離及び上記第2の距離は、調整可能であることを特徴とする請求項13記載の凝縮装置。
【請求項15】
上記急冷領域への上記調整流体の供給は、少なくとも1000のレイノルズ数を有する流れを生成することを特徴とする請求項10記載の凝縮装置。
【請求項16】
上記急冷領域の容積は、調整可能であることを特徴とする請求項10記載の凝縮装置。
【請求項17】
上記截頭円錐本体は、上記調整流体を、複数の運動量ベクトルに沿って上記急冷領域に供給し、該截頭円錐本体が該調整流体を該急冷領域に供給する角度は、調整可能であることを特徴とする請求項10記載の凝縮装置。
【請求項18】
上記截頭円錐本体の温度を調整する冷却装置を更に備える請求項10記載の凝縮装置。
【請求項19】
上記急冷領域への上記調整流体の流速を調整する流体供給要素を更に備える請求項10記載の凝縮装置。
【請求項20】
截頭円錐面を有し、急冷領域が形成された急冷チャンバ内で反応混合物を冷却する冷却方法において、
上記急冷領域は、広い端部と狭い端部とがある截頭円錐形状を有しており、反応器から、上記反応混合物を反応混合物インレットを介して該急冷領域に流し、該反応混合物の流れが、該広い端部から該狭い端部に向かう混合物運動量ベクトルを形成するステップと、
調整流体を、少なくとも1つの流体供給インレットを介し、上記広い端部から上記狭い端部に向かう複数の調整運動量ベクトルに沿って上記急冷領域に流し、該急冷領域への該調整流体の流れが、該急冷領域内に乱流を形成するステップと、
上記調整流体と上記反応混合物を、上記急冷領域の乱流内で混合して、該調整流体によって該反応混合物を急冷して、流体に飛沫同伴された複数の粒子を含む冷却粒子混合気体を形成するステップと、
上記冷却粒子混合気体を、上記急冷領域の狭い端部におけるアウトレットから流すステップとを有する冷却方法。
【請求項21】
上記複数の調整運動量ベクトルのうちの少なくとも2つは、90度以上の角度を形成することを特徴とする請求項20記載の冷却方法。
【請求項22】
上記複数の調整運動量ベクトルのうちの少なくとも1つは、上記混合物運動量ベクトルに対して、20度より大きい斜角を有することを特徴とする請求項20記載の冷却方法。
【請求項23】
上記アウトレットは、上記反応混合物インレットの中心から第1の距離だけ離間して配設され、上記截頭円錐面は、該反応混合物インレットの縁から少なくとも第2の距離だけ離間して配設され、その間に間隙を形成し、該第1の距離は、該第2の距離より長いことを特徴とする請求項20記載の冷却方法。
【請求項24】
上記截頭円錐面と上記反応混合物インレットとの相対的位置を調整して、上記第1の距離及び上記第2の距離を調整するステップを更に有する請求項23記載の冷却方法。
【請求項25】
上記急冷領域内の乱流は、少なくとも1000のレイノルズ数を有することを特徴する請求項20記載の冷却方法。
【請求項26】
上記急冷領域の容積を調整するステップを更に有する請求項20記載の冷却方法。
【請求項27】
上記複数の調整運動量ベクトルのうちの少なくとも1つの角度を調整するステップを更に有する請求項20記載の冷却方法。
【請求項28】
上記截頭円錐面の温度を調整するステップを更に有する請求項20記載の冷却方法。
【請求項29】
上記急冷領域への上記調整流体の流速を調整するステップを更に有する請求項20記載の冷却方法。
【請求項30】
上記調整流体は、不活性ガスであることを特徴とする請求項20記載の冷却方法。
【請求項31】
上記調整流体は、アルゴンであることを特徴とする請求項30記載の冷却方法。
【請求項32】
上記反応器から、上記反応混合物を上記急冷領域に流すステップの前に、該反応混合物を該反応器内で生成するステップを有し、
上記反応混合物を生成するステップは、
上記反応器内に処理ガスを流し込むステップと、
上記処理ガスにエネルギを供給して、プラズマを形成するステップと、
上記反応器内に前駆体物質を流し込むステップと、
上記反応器内で上記前駆体物質に上記プラズマを作用させ、上記反応混合物を形成するステップとを有することを特徴とする請求項20記載の冷却方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−526661(P2010−526661A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508373(P2010−508373)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【国際出願番号】PCT/US2008/005916
【国際公開番号】WO2008/140745
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(506352359)エスディーシー マテリアルズ インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】