説明

患者のMGMTレベルに基づいて癌を処置するための、テモゾロミドの改良された投薬養生法

【課題】癌、腫瘍、または転移性疾患のような増殖性障害に苦しむ被験体を処置するための新しい方法およびキットを提供すること。
【解決手段】処置を必要とする患者において癌を処置するための医薬の製造のためのテモゾロミドの使用が、開示されており、それは、患者のMGMTレベルに基づいた改良された投薬養生法および/または投薬計画に従ってテモゾロミドを投与することを包含する。テモゾロミドで患者を処置するためのさらに改良された投薬養生法および/または投薬計画も、開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、癌、腫瘍、または転移性疾患のような増殖性障害に苦しむ被験体を処置するための新しい方法およびキットを記述する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
本明細書中の参考文献の議論または引用は、そのような参考文献が本発明に対する先行技術であることの承認として、解釈されないものとする。
【0003】
非特許文献1は、脳腫瘍が、全ての悪性の疾患のうちのおよそ2%を構成することを報告する。しかしながら、100,000人に5人の発生率で、17,000より多くの症例が、アメリカ合衆国では毎年診断され、およそ13,000の関連死を伴うことが述べられている。Stuppらの報告によると、成人では、最も共通する組織学的知見は、グレード3の未分化神経膠星状細胞腫およびグレード4の多形性グリア芽細胞腫(「GBM」)である。Stuppらによると、悪性グリオームの標準的な管理は、実行可能な場合、外科的切除による細胞減少を含み、その後、補助的化学療法を伴うまたは補助的化学療法なしの放射線療法(RT)が続く。しかしながら、Stuppらは、この多方面からのアプローチにも関わらず、GBMの患者の予後が、悪いままであることを報告する。GBMのメジアン生存率は、典型的に9〜12ヶ月の範囲にあり、2年の生存率は、ほんの8%〜12%の範囲であると報告されている。
【0004】
ニトロソウレアは、悪性脳腫瘍の処置に用いられる主要な化学療法剤である。しかしながら、ニトロソウレアは、ほんの穏当な抗腫瘍活性を示してきた。アメリカ合衆国では頻繁に処方されているが、単剤であるカルムスチン(BCNU)もしくはロムスチンまたは組合せ養生法としてプロカルバジン、ロムスチン、およびビンクリスチンを用いた補助的化学療法の有効性は、未だ決定的に明らかにされていない。
【0005】
化学療法の効力である、致死の宿主毒性を引き起こすことなく腫瘍細胞を根絶するための化学療法の能力は、薬剤の選択性に依存する。抗癌剤のうちの一つのクラスであるアルキル化剤は、DNAに結合し、DNAらせん状構造を構造的にゆがめ、DNAの転写および翻訳を妨げることにより、細胞死を引き起こす。正常細胞では、アルキル化剤の損傷作用は、細胞のDNA修復酵素、特に、O−アルキルグアニン−DNA−アルキルトランスフェラーゼ(AGAT)としても公知のO−メチルグアニン−DNAメチルトランスフェラーゼ(MGMT)により修復され得る。MGMTのレベルは、同じ型の腫瘍間でさえ、腫瘍細胞で変化する。MGMTをコードする遺伝子は、一般に、変異も欠失もされない。むしろ、腫瘍細胞中のMGMTの低いレベルは、後成の改変に起因する;MGMTのプロモーター領域は、メチル化され、その結果、MGMT遺伝子の転写を阻害してMGMTの発現を妨げる。
【0006】
メチル化は、数系列の証拠により、遺伝子発現、細胞分化、腫瘍形成、X染色体の不活性化、ゲノムインプリンティング、並びに他の主要な生物学的プロセスにおいて役割を果たすことが示されている。真核細胞では、グアノシンのすぐ5’側に存在するシトシン残基のメチル化が、シトシン−グアニン(CG)の乏しい領域において主に存在する。反対に、正常細胞では、CpGアイランドは、X染色体の不活性化、並びに5’側の調節領域のメチル化が転写の抑制を誘導し得る親特異的なインプリンティングの間を除いて、メチル化されないままである。腫瘍抑制遺伝子の発現も、通常はメチル化されないCpGの新生DNAメチル化によって廃止され得る。
【0007】
DNA修復酵素をコードする遺伝子の過剰なメチル化は、一定の癌の処置に対する臨床的な応答を予測するためのマーカーとして働き得る。一定の化学療法剤(例えばアルキル化剤を含む)は、DNAを架橋することにより細胞の増殖を阻害して、細胞死を生じる。DNA修復酵素は、架橋された構造を除去するので、そのような化学療法剤を用いた処置の努力は、挫折し得、そしてそのような化学療法剤に対する抵抗性が、発達する。ほとんどの化学療法剤の有害性の副作用、並びに様々な処置のための一定の薬剤が効果的でないという観点から、化学療法剤での処置に対する臨床的な応答を予測することが、望ましい。
【0008】
特許文献1は、細胞増殖性障害についての化学療法の処置に関する方法を開示する。特に、特定のアルキル化剤を含む「一定の型の化学療法剤に対する臨床的応答を予測する」ための方法が、提供される。上記方法は、処置を必要とする患者由来のDNA修復酵素をコードする核酸のメチル化状態の決定、並びにそれと処置を必要としない被験体由来のDNA修復酵素をコードする核酸のメチル化状態との比較を伴う。上記方法は、しかしながら、好ましくない「予測」を有する任意の患者の臨床的結果を改善する方法についての示唆を提供していない。
【0009】
テモゾロミドは、アメリカ合衆国でのTemodar(登録商標)およびヨーロッパでのTemodal(登録商標)という商品名で、Schering Corp.から入手可能なアルキル化剤である。経口投与のためのTemodar(登録商標)カプセルは、イミダゾテトラジン誘導体であるテモゾロミドを含む。テモゾロミドの化学名は、3,4−ジヒドロ−3−メチル−4−オキソイミダゾ[5,1−d]−as−テトラジン−8−カルボキサミド(特許文献2を参照)である。テモゾロミドまたはその代謝産物であるMTICの細胞毒性は、主に、DNAのアルキル化に起因すると考えられる。アルキル化(メチル化)は、主に、グアニンのO位およびN位に生じる。
【0010】
Temodar(登録商標)(テモゾロミド)カプセルが、アメリカ合衆国では、新しく診断された多形性グリア芽細胞腫、並びに難治性の未分化神経膠星状細胞腫を有する成人の患者(即ち、ニトロソウレアおよびプロカルバジンを含む薬剤養生法に際して疾患の進行を経験したことのある、最初の再発の時期にいる患者)の処置のために、現在示されている。Temodal(登録商標)は、標準的な治療の後に再発または進行を示す多形性グリア芽細胞腫または未分化神経膠星状細胞腫のような、悪性グリオームを有する患者の処置のため、現在ヨーロッパで認可されている。一定の処置方法は、増殖性障害を有する一定の患者にとって有効であるが、(特に、特徴付けられた患者を標的とすることを含む)さらなる改良された処置の大きな必要性が、持続的に存在する。増殖性障害(特に癌)のための改良された処置の必要性という観点から、処置のための新規の方法が、当該分野にとって歓迎される貢献である。本発明は、まさにそのような処置方法を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,773,897号明細書
【特許文献2】米国特許第5,260,291号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Stuppら著、J.Clin.Onc.、2002年、第20巻、第5号、p.1375−1382
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の要旨)
本発明の一つの実施形態は、増殖性障害を有する患者を処置するための方法を提供し、上記方法は、上記患者にテモゾロミド(TMZ)の標準用量強度または増加された用量強度を、上記患者から得られた試料中のO−メチルグアニン−DNAメチルトランスファラーゼ(MGMT)遺伝子のメチル化状態に基づいて投与することを包含する。本発明のこの実施形態の一つの態様によると、上記患者由来の試料中のMGMTをコードする遺伝子(例えば、プロモーター領域)がメチル化されている場合、テモゾロミドの標準用量強度が、投与される;しかしながら、MGMTをコードする遺伝子がメチル化されていない(即ち、検出レベル未満)場合、テモゾロミドの増加された用量強度が、上記患者に投与される。本発明のこの実施形態の一つの態様は、以下の工程を包含する:(1)上記患者由来の試料中のMGMT遺伝子がメチル化されているか否かを評価する工程および;(2)(a)MGMT遺伝子のメチル化が検出される場合、上記患者にテモゾロミドの標準用量強度を投与する工程または(b)MGMT遺伝子のメチル化が検出されない場合、上記患者にテモゾロミドの増加された用量強度を投与する工程。本発明のこの実施形態の別の態様は、以下の工程を包含する:MGMTをコードする遺伝子のメチル化が検出されない患者に、増加された用量強度を投与する工程。
【0014】
本明細書中で用いられる通り、用語テモゾロミドの「標準用量強度」は、1日当り150〜200mg/mのテモゾロミドの投薬計画で、1000mg/m/4週間という最大全用量に関して28日周期において5日間投与される、5/28投薬養生法を意味する。この投薬養生法は、1.0という「用量強度」を提供する。
【0015】
本明細書中で用いられる通り、用語テモゾロミドの「増加された用量強度」は、(標準用量強度と比較した場合に)1.4〜4.2倍、好ましくは1.4〜2.8倍、より好ましくは1.8〜2.8倍強いテモゾロミドの用量強度を提供する投薬養生法および/または投薬計画を意味する。そのような増加された用量強度を提供する投薬養生法および投薬計画の非制限的な実施例が、表1および表2に図示されている。
【0016】
(表1)
TMZの投薬養生法および用量強度
【0017】
【表1】

本発明のこの実施形態によると、MGMT遺伝子のメチル化が検出されない場合、標準用量強度の少なくとも1.6倍または少なくとも1.8倍の用量強度を提供する投薬養生法および/または投薬計画が好ましい;そのような条件下で、標準用量強度の少なくとも2.0倍の用量強度がより好ましい。代替実施形態では、MGMT遺伝子のメチル化が検出されない場合、投薬養生法9番、11番または12番が好ましい。
【0018】
当業者によって理解され得る通り、MGMTをコードする遺伝子がメチル化されていない場合、MGMTタンパク質が発現され、そして、本明細書中の下に詳述される通りに(例えば、ウェスタンブロット、免疫組織化学的技術またはMGMT活性のための酵素アッセイなどによるか)もしくはMGMTのmRNAレベルのためのノーザンブロット(例えば、D’Atriら著、Journal of Pharmacological Exp.Ther.、2000年、第294巻、p.664−671を参照)またはMGMTのmRNAのためのRT−PCRにより(例えば、Patelら著、Mol.Cell.Biol.、1997年、第17巻、第10号、p.5813−5822;Wattsら著、Mol.Cell.Biol.、1997年、第17巻、第9号、p.5612−5619を参照)により検出され得る。従って、本発明の代替実施形態によると、MGMTタンパク質の存在または不在が、患者試料中にて評価される。標準用量強度または増加された用量強度が、上記患者に対して、上記患者試料中のMGMTタンパク質の不在または存在に基づいて投与される。本発明のこの態様と一致して、MGMTタンパク質が検出される場合、標準用量強度の少なくとも1.6倍または少なくとも1.8倍の用量強度を提供する、表1に示される通りの投薬養生法および/または投薬計画が、好ましい;そのような条件下で、標準用量強度の少なくとも2.0倍の用量強度が、より好ましい。代替実施形態では、MGMTタンパク質が検出される場合、投薬養生法9番、11番または12番が好ましい。
【0019】
本発明の別の実施形態は、増殖性障害を有する患者を処置する方法を提供し、上記方法は、上記患者に、上記患者から得られた試料中のMGMT遺伝子のメチル化の程度またはレベルに基づいたテモゾロミドの投薬養生法を割り当てる工程および/または上記投薬養生法を上記患者に投与する工程を包含する。本発明のこの実施形態の一つの態様によると、MGMT遺伝子のメチル化のレベルは、上記患者から得られた試料中のMGMTタンパク質のレベルを決定することにより評価される。上記レベルは、「低い」、「中等度の」、または「高い」として分類され、そして、上記患者は、下のスキーム1に示されるスキームに従って、表2に提示される投薬養生法のうちの一つによって処置される。
【0020】
(表2)
(TMZの投薬養生法および用量強度)
【0021】
【表2】

(スキーム1)
【0022】
【表3】

患者から得られた細胞試料中のMGMTタンパク質の程度またはレベルが、多様な方法のうちの任意の方法により評価され得る。本発明のこの実施形態の一つの態様によると、上記患者の細胞により発現されるMGMTタンパク質のレベルは、MGMTタンパク質の測定により(例えば、MGMTに特異的な抗体を用いたウェスタンブロットにより)評価される。上記レベルは、MGMTを発現することが公知の正常なリンパ球により発現されるレベルと比較される。患者のMGMTタンパク質のレベルは、以下の通り分類される:低い=正常なリンパ球により発現されるMGMTの0〜30%;中等度=正常なリンパ球により発現されるMGMTの31〜70%;および高い=正常なリンパ球により発現されるMGMTの71〜300%またはそれより高い。この実施形態によると、上記患者のMGMTタンパク質レベルが高い場合、養生法9番、11番、または12番が、好ましい。
【0023】
この実施形態の別の態様によると、上記患者の細胞により発現されるMGMTタンパク質のレベルは、規定された数の患者細胞に対して免疫組織化学的技術を用いたMGMTタンパク質の測定により(例えば、MGMTに特異的な標識された抗体を利用し、そして上記のレベルを、同一の規定された数の、MGMTを発現することが公知の正常なリンパ球により発現されるレベルと比較することにより)評価される。患者MGMTのレベルは、以下の通り分類される:低い=正常なリンパ球により発現されるMGMTの0〜30%;中等度=正常なリンパ球により発現されるMGMTの31〜70%;および高い=正常なリンパ球により発現されるMGMTの71〜300%またはそれより高い。この実施形態によると、上記患者のMGMTタンパク質レベルが高い場合、養生法9番、11番、または12番が、好ましい。
【0024】
この実施形態のさらなる別の態様によると、MGMTのレベルが、患者試料中の細胞により発現されるMGMTについての酵素アッセイにより評価される。例えば、タンパク質が、患者試料中の細胞の溶解産物から免疫沈降され、次いで酵素活性(即ち、DNAのグアニンのOまたはN位をメチル化する能力)が評価され、そしてMGMTを発現することが公知の正常なリンパ球の酵素活性と比較される。患者MGMTのレベルが、以下の通り分類される:低い=正常なリンパ球のMGMT酵素活性の0〜30%;中等度=正常なリンパ球のMGMT酵素活性の31〜70%;および高い=正常なリンパ球のMGMT酵素活性の71〜300%またはそれより高い。この実施形態によると、上記患者のMGMT酵素活性のレベルが高い場合、養生法9番、11番、または12番が、好ましい。
【0025】
代替実施形態では、MGMTの比活性が評価され、そしてMGMTを発現することが公知の細胞株と比較して、以下の通り分類される:低い=20fmol/mg未満;中等度=20〜60fmol/mg;または高い=60fmol/mgより高い;ここで、LOX細胞中のMGMTの比活性は、6〜9fmol/mgであり、DAOY細胞中では60〜100fmol/mgであり、そしてA375細胞中では80〜150fmol/mgである。この代替実施形態によると、上記患者のMGMT酵素活性が高い場合、養生法9番、11番、または12番が、好ましい。
【0026】
この実施形態のさらなる別の態様によると、MGMTのメチル化のレベルが、MGMTをコードする遺伝子のメチル化の定量的な決定により、評価される。組み合された亜硫酸水素塩制限解析(Combined Bisulfite Restriction Analysis)(COBRA)(Xiongら著、Nuc.Acids Res.、1997年、第25巻、p.2532−2534)と呼ばれる定量的技術は、この態様に有用である。上記患者の細胞中のMGMTをコードする遺伝子のメチル化のレベルが、同等な細胞数の、MGMTを発現することが公知の正常なリンパ球のレベルと比較される。当業者に理解される通り、MGMTを発現する正常なリンパ球は、MGMT遺伝子の低いレベルのメチル化を有する;反対に、MGMT遺伝子の高いレベルのメチル化を有する細胞は、低いレベルのMGMTタンパク質を発現する(例えば、Costelloら著、J.Biol.Chem.、1994年、第269巻、第25号、p.17228−17237;Qianら著、Carcinogen、1995年、第16巻、第6号、p.1385−1390を参照)。患者のメチル化されたMGMT遺伝子のレベルは、以下の通り分類される:低い=MGMT遺伝子のプロモーター領域中のCpGの0〜20%がメチル化されている;中等度=MGMT遺伝子のプロモーター領域中のCpGの21〜50%がメチル化されている;および高い=MGMT遺伝子のプロモーター領域中のCpGの51〜100%がメチル化されている。いったん、MGMT遺伝子のメチル化のレベルが評価され、そして患者が分類されると、患者は、スキーム2に示されたスキームを用いた表2に示された投薬養生法を用いて処置される。
【0027】
(スキーム2)
【0028】
【表4】

この実施形態のこの態様によると、患者のMGMT遺伝子のメチル化のレベルが低い場合、養成法9番、10番、または11番が、好ましい。
【0029】
この実施形態のさらなる別の態様によると、MGMT遺伝子のメチル化のレベルは、試料中のMGMT対立遺伝子のうちの何パーセントがメチル化されるかを決定するために、定量的に評価される。2001年12月18日に発行された米国特許第6,331,393号;Eadsら著、Nuc.Acids Res.、2000年、第28巻、第8号、p.e32を参照のこと。これらは、本発明のこの態様に有用な、説明に役立つ定量的方法のために、参考として本明細書中に援用されている。
【0030】
患者のMGMTのメチル化レベルが、決定され、そして以下の通り分類される:低い=細胞のうちの0〜20%がメチル化されているMGMT遺伝子を有する;中等度=細胞のうちの21〜50%がメチル化されているMGMT遺伝子を有する;および高い=細胞のうちの51〜100%がメチル化されているMGMT遺伝子を有する。いったん、メチル化レベルが評価され、そして患者が分類されると、患者は、上記のスキーム2に示されたスキームを用いた表2に示された投薬養生法を用いて処置される。
【0031】
本発明の別の代替実施形態は、増殖性障害を有する患者を処置するための改良された方法を提供し、その方法は、前出の表1中の養生法3〜16によると、上記患者に標準用量強度と比較して1.4〜2.8倍というテモゾロミドの用量強度を投与する工程を包含する。
【0032】
本明細書中に用いられる通り、「処置する」または「処置」は、ヒトのような哺乳動物における細胞増殖性障害を緩和することまたは軽減することを意味することを意図されている。
【0033】
本明細書中に記載される通りの細胞増殖性障害は、新生物であり得る。このような新生物は、良性か悪性のいずれかである。用語「新生物」は、細胞の新規の異常な増殖または正常より速く再生する異常な細胞の増殖に関する。新生物は、良性か悪性のいずれかであり得る構築されない塊(腫瘍)をつくる。用語「良性」は、癌でない腫瘍(例えば、その細胞は、周辺の組織に侵入したりまたは離れた場所に転移しない)に関する。用語「悪性」は、癌性、転移性であり、連続した組織に侵入し、またはもはや正常な細胞増殖の制御下にない腫瘍に関する。好ましい実施形態では、本発明の方法またはキットは、メラノーマ、グリオーム、前立腺癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、精巣癌、肝臓癌、腎臓癌、脾臓癌、膀胱癌、結腸直腸癌および/または結腸癌、頭部および頸部の癌、癌腫、肉腫、リンパ腫、白血病または菌状息肉腫を含むがこれらに限定されない増殖性障害を処置するために用いられる。より好ましい実施形態では、本発明の方法およびキットは、メラノーマ、グリオーム、肺癌、リンパ腫、結腸直腸癌および/または結腸癌、頭部および頸部の癌、もしくは卵巣癌を処置するために用いられる。
【0034】
本明細書中で用いられる通り、患者から得られた「試料」は、MGMTタンパク質かMGMT遺伝子の核酸のいずれかを含む腫瘍組織、脳組織、脳脊髄液、血液、血漿、血清、リンパ、リンパ節、脾臓、肝臓、骨髄、または任意の他の生物学的検体として得られるか、またはこれらから単離され得る。
【0035】
本発明は、増殖性障害を有する患者を処置するためのキットも提供する。上記のキットは、以下のものを包含する:(1)本発明の方法において用いられる試薬;並びに(2)本明細書中に記載される通りの方法を実行するための説明書。上記キットは、さらにテモゾロミドを包含し得る。
【0036】
当業者に理解され得る通り、テモゾロミドを用いて増殖性障害を有する患者を処置するための本発明の新規の方法およびキットは、単一治療法として用いられ得るか、または放射線療法並びに/または他の細胞毒性因子および/もしくは細胞増殖抑制因子および/もしくはホルモン性因子、または他の補助的療法と組み合わせて用いられ得る。
例えば、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
グリオームを有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
該患者にテモゾロミドを以下の養生法のいずれかに従って投与する工程:
I.メチル化特異的PCR(MSP)を用いて、MGMT遺伝子のメチル化が、該患者から得られた試料中に検出される場合、以下の養生法:
1日当り150〜200mg/mを28日周期において5日間;または
II.MSPを用いて、MGMT遺伝子のメチル化が、該患者から得られた試料中に検出されない場合、以下の養生法のうちの一つ:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;もしくは
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目2)
グリオームを有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
I.MSPを用いて、該患者から得られた試料中にて、MGMT遺伝子がメチル化されているかどうかを評価する工程;および
II.テモゾロミドを該患者に以下の養生法のいずれかに従って投与する工程:
a)MGMT遺伝子のメチル化が、該試料中に検出される場合、以下の養生法:
1日当り150〜200mg/mを28日周期において5日間;または
b)MGMT遺伝子のメチル化が、該試料中に検出されない場合、以下の養生法のうちの一つ:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;もしくは
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;もしくは
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目3)
項目2に記載の方法であって、ここで、前記試料は、腫瘍生体組織検査試料である、方法。
(項目4)
グリオームを有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
テモゾロミドを該患者に以下の養生法のいずれかに従って投与する工程:
a)MGMTタンパク質のためのウェスタンブロットイムノアッセイ、免疫組織化学的技術、または酵素アッセイを用いて、MGMTタンパク質が、該患者から得られた試料中に検出されない場合、以下の養生法:
1日当り150〜200mg/mを28日周期において5日間;または
b)MGMTタンパク質のためのウェスタンブロットイムノアッセイ、免疫組織化学的技術、または酵素アッセイを用いて、MGMTタンパク質が、該患者から得られた試料中に検出される場合、以下の養生法のうちの一つ:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;もしくは
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;もしくは
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目5)
グリオームを有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
I.該患者から得られた試料中のMGMTタンパク質の存在または不在を検出するために、ウェスタンブロット、免疫組織化学的アッセイ、または酵素アッセイを行う工程;および
II.テモゾロミドを該患者に以下の養生法のいずれかに従って投与する工程:
a)MGMTタンパク質が、該試料中に検出されない場合、以下の養生法:
1日当り150〜200mg/mを28日周期において5日間;または
b)MGMTタンパク質が、該試料中に検出される場合、以下の養生法のうちの一つ:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;もしくは
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;もしくは
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目6)
項目5に記載の方法であって、前記試料は、腫瘍生体組織検査試料である、方法。
(項目7)
グリオームを有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
テモゾロミドを該患者に以下の養生法の通り投与する工程:
a)該患者から得られた試料中に検出されたMGMTタンパク質のレベルまたは酵素活性が、正常なリンパ球のものと比較して、低い場合、以下の二つの養生法のうちのいずれか:
i.1日当り150〜200mg/mを28日周期において5日間;もしくは
ii.増殖因子と組み合わせて、1日当り250mg/mを28日周期において5日間;または
b)該患者から得られた試料中に検出されたMGMTタンパク質のレベルまたは酵素活性が、正常なリンパ球のものと比較して、中等度である場合、以下の四つの養生法のうちの一つ:
i.1日当り100mg/mを28日周期において14日間;もしくは
ii.増殖因子と組み合わせて、1日当り300mg/mを28日周期において5日間;もしくは
iii.1日当り75mg/mを28日周期において21日間;もしくは
iv.1日当り75mg/mを56日周期において42日間;または
c)該患者から得られた試料中に検出されたMGMTタンパク質のレベルまたは酵素活性が、正常なリンパ球のものと比較して、高い場合、以下の三つの養生法のうちの一つ:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;もしくは
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;もしくは
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目8)
項目7に記載の方法であって、ここで、前記試料は、腫瘍生体組織検査試料である、方法。
(項目9)
グリオームを有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
I.該患者から得られた試料中のMGMTタンパク質のレベルまたは酵素活性を評価し、そして該レベルまたは該活性を正常なリンパ球工程のものと比較して低い、中等度、または高いとして分類する工程;および
II.テモゾロミドを該患者に以下の養生法の通り投与する工程:
a)該患者のMGMTタンパク質のレベルまたは酵素活性が、工程Iにおいて、正常なリンパ球のものと比較して低いとして分類される場合、以下の二つの養生法のうちの一つ:
i.1日当り150〜200mg/mを28日周期において5日間;もしくは
ii.増殖因子と組み合わせて、1日当り250mg/mを28日周期において5日間;または
b)該患者のMGMTタンパク質のレベルまたは酵素活性が、正常なリンパ球のものと比較して中等度として分類される場合、以下の四つの養生法のうちの一つ:
i.1日当り100mg/mを28日周期において14日間;もしくは
ii.増殖因子と組み合わせて、1日当り300mg/mを28日周期において5日間;もしくは
iii.1日当り75mg/mを28日周期において21日間;もしくは
iv.1日当り75mg/mを56日周期において42日間;または
c)該患者のMGMTタンパク質のレベルまたは酵素活性が、正常なリンパ球のものと比較して高いとして分類される場合、以下の養生法のうちの一つ:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;もしくは
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;もしくは
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目10)
グリオームを有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
I.該患者から得られた試料中のMGMT遺伝子のメチル化のレベルを評価し、そして該レベルを正常なリンパ球工程のものと比較して低い、中等度、または高いとして分類する工程;および
II.テモゾロミドを該患者に以下の養生法の通り投与する工程:
a)該患者のMGMT遺伝子のメチル化のレベルが、正常なリンパ球のものと比較して低いとして分類される場合、以下の三つの養生法のうちの一つ:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;もしくは
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;もしくは
iii.MGMT遺伝子のメチル化が、上記試料中に検出されない場合、1日当り100mg/mを28日周期において21日間;または
b)該患者のMGMT遺伝子のメチル化のレベルが、正常なリンパ球のものと比較して中等度として分類される場合、以下の四つの養生法のうちの一つ:
i.1日当り100mg/mを28日周期において14日間;もしくは
ii.増殖因子と組み合わせて、1日当り300mg/mを28日周期において5日間;もしくは
iii.1日当り75mg/mを28日周期において21日間;もしくは
iv.1日当り75mg/mを56日周期において42日間;または
c)該患者のMGMT遺伝子のメチル化のレベルが、正常なリンパ球のものと比較して高いとして分類される場合、以下の二つの養生法のうちの一つ:
i.1日当り150〜200mg/mを28日周期において5日間;もしくは
ii.増殖因子と組み合わせて、1日当り250mg/mを28日周期において5日間。
(項目11)
メラノーマを有する患者を処置するための方法であって、該患者にテモゾロミドを以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程を包含する方法:
MSPを用いて、MGMT遺伝子のメチル化が、該患者から得られた試料中に検出される場合、以下の養生法のうちの一つ:
I.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
II.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
III.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目12)
メラノーマを有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
I.MSPを用いて、該患者から得られた試料中にて、MGMT遺伝子がメチル化されているかどうかを評価する工程;および
II.MGMT遺伝子のメチル化が、該試料中に検出される場合、テモゾロミドを該患者に以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目13)
項目12に記載の方法であって、ここで、前記試料は、腫瘍生体組織検査試料である、方法。
(項目14)
メラノーマを有する患者を処置するための方法であって、MGMTタンパク質のためのウェスタンブロットイムノアッセイ、免疫組織化学的技術、または酵素アッセイを用いて、MGMTタンパク質が、該患者から得られた試料中に検出されない場合、テモゾロミドを該患者に以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程を包含する方法:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目15)
メラノーマを有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
I.該患者から得られた試料中のMGMTタンパク質の存在または不在を検出するために、ウェスタンブロット、免疫組織化学的アッセイ、または酵素アッセイを行う工程;および
II.MGMTタンパク質が、該試料中に検出されない場合、テモゾロミドを該患者に以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目16)
項目15に記載の方法であって、ここで、前記試料は、腫瘍生体組織検査試料である、方法。
(項目17)
メラノーマを有する患者を処置するための方法であって、該患者から得られた試料中に検出されたMGMTタンパク質のレベルまたは酵素活性が、正常なリンパ球のものと比較して、低いかまたは中等度である場合、テモゾロミドを該患者に以下の三つの養生法のうちの一つに従って投与する工程を包含する方法:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目18)
項目17に記載の方法であって、ここで、前記試料は、腫瘍生体組織検査試料である、方法。
(項目19)
メラノーマを有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
I.該患者から得られた試料中のMGMTタンパク質のレベルまたは酵素活性を評価し、そして該レベルまたは該活性を正常なリンパ球のものと比較して低い、中等度、または高いとして分類する工程;および
II.該患者のMGMTタンパク質のレベルまたは酵素活性が、正常なリンパ球のものと比較して、低いかまたは中等度として分類される場合、テモゾロミドを該患者に以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目20)
メラノーマを有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
I.該患者から得られた試料中のMGMT遺伝子のメチル化のレベルを評価し、そして該レベルを正常なリンパ球のものと比較して低い、中等度、または高いとして分類する工程;および
II.該患者のMGMT遺伝子のメチル化のレベルが、正常なリンパ球のものと比較して、中等度であるかまたは高いとして分類される場合、テモゾロミドを該患者に以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目21)
肺癌を有する患者を処置するための方法であって、MSPを用いて、MGMT遺伝子のメチル化が、該患者から得られた試料中に検出される場合、該患者にテモゾロミドを以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程を包含する方法:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目22)
肺癌を有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
I.MSPを用いて、該患者から得られた試料中にて、MGMT遺伝子がメチル化されているかどうかを評価する工程;および
II.MGMT遺伝子のメチル化が、該試料中に検出される場合、テモゾロミドを該患者に以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目23)
項目22に記載の方法であって、ここで、前記試料は、腫瘍生体組織検査試料である、方法。
(項目24)
肺癌を有する患者を処置するための方法であって、MGMTタンパク質のためのウェスタンブロットイムノアッセイ、免疫組織化学的技術、または酵素アッセイを用いて、MGMTタンパク質が、該患者から得られた試料中に検出されない場合、テモゾロミドを該患者に以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程を包含する方法:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目25)
肺癌を有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
I.該患者から得られた試料中のMGMTタンパク質の存在または不在を検出するために、ウェスタンブロット、免疫組織化学的アッセイ、または酵素アッセイを行う工程;および
II.MGMTタンパク質が、該試料中に検出されない場合、テモゾロミドを該患者に以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目26)
項目25に記載の方法であって、ここで、前記試料は、腫瘍生体組織検査試料である、方法。
(項目27)
肺癌を有する患者を処置するための方法であって、該患者から得られた試料中に検出されたMGMTタンパク質のレベルまたは酵素活性が、正常なリンパ球のものと比較して、低いかまたは中等度である場合、テモゾロミドを該患者に以下の三つの養生法のうちの一つに従って投与する工程を包含する方法:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目28)
項目27に記載の方法であって、ここで、前記試料は、腫瘍生体組織検査試料である、方法。
(項目29)
肺癌を有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
I.該患者から得られた試料中のMGMTタンパク質のレベルまたは酵素活性を評価し、そして該レベルまたは該活性を正常なリンパ球のものと比較して低い、中等度、または高いとして分類する工程;および
II.該患者のMGMTタンパク質のレベルまたは酵素活性が、正常なリンパ球のものと比較して、低いかまたは中等度として分類される場合、テモゾロミドを該患者に以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目30)
肺癌を有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
I.該患者から得られた試料中のMGMT遺伝子のメチル化のレベルを評価し、そして該レベルを正常なリンパ球工程のものと比較して低い、中等度、または高いとして分類する工程;および
II.該患者のMGMT遺伝子のメチル化のレベルが、正常なリンパ球のものと比較して、中等度であるかまたは高いとして分類される場合、テモゾロミドを該患者に以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目31)
リンパ腫を有する患者を処置するための方法であって、MSPを用いて、MGMT遺伝子のメチル化が、該患者から得られた試料中に検出される場合、該患者にテモゾロミドを以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程を包含する方法:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目32)
リンパ腫を有する患者を処置する方法であって、以下の工程を包含する方法:
I.MSPを用いて、該患者から得られた試料中にて、MGMT遺伝子がメチル化されているかどうかを評価する工程;および
II.MGMT遺伝子のメチル化が、該試料中に検出される場合、テモゾロミドを該患者に以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目33)
項目32に記載の方法であって、ここで、前記試料は、腫瘍生体組織検査試料である、方法。
(項目34)
リンパ腫を有する患者を処置するための方法であって、MGMTタンパク質のためのウェスタンブロットイムノアッセイ、免疫組織化学的技術、または酵素アッセイを用いて、MGMTタンパク質が、該患者から得られた試料中に検出されない場合、テモゾロミドを該患者に以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程を包含する方法:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目35)
リンパ腫を有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
I.該患者から得られた試料中のMGMTタンパク質の存在または不在を検出するために、ウェスタンブロット、免疫組織化学的アッセイ、または酵素アッセイを行う工程;および
II.MGMTタンパク質が、該試料中に検出されない場合、テモゾロミドを該患者に以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目36)
項目35に記載の方法であって、ここで、前記試料は、腫瘍生体組織検査試料である、方法。
(項目37)
リンパ腫を有する患者を処置するための方法であって、該患者から得られた試料中に検出されたMGMTタンパク質のレベルまたは酵素活性が、正常なリンパ球のものと比較して、低いかまたは中等度である場合、テモゾロミドを該患者に以下の三つの養生法のうちの一つに従って投与する工程を包含する方法:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目38)
項目37に記載の方法であって、ここで、前記試料は、腫瘍生体組織検査試料である、方法。
(項目39)
リンパ腫を有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
I.該患者から得られた試料中のMGMTタンパク質のレベルまたは酵素活性を評価し、そして該レベルまたは該活性を正常なリンパ球のものと比較して低い、中等度、または高いとして分類する工程;および
II.該患者のMGMTタンパク質のレベルまたは酵素活性が、正常なリンパ球のものと比較して、低いかまたは中等度として分類される場合、テモゾロミドを該患者に以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目40)
リンパ腫を有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
I.該患者から得られた試料中のMGMT遺伝子のメチル化のレベルを評価し、そして該レベルを正常なリンパ球のものと比較して低い、中等度、または高いとして分類する工程;および
II.該患者のMGMT遺伝子のメチル化のレベルが、正常なリンパ球のものと比較して、中等度であるかまたは高いとして分類される場合、テモゾロミドを該患者に以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目41)
頭部および頸部の癌を有する患者を処置するための方法であって、MSPを用いて、MGMT遺伝子のメチル化が、該患者から得られた試料中に検出される場合、該患者にテモゾロミドを以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程を包含する方法:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目42)
頭部および頸部の癌を有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
I.MSPを用いて、該患者から得られた試料中にて、MGMT遺伝子がメチル化されているかどうかを評価する工程;および
II.MGMT遺伝子のメチル化が、該試料中に検出される場合、テモゾロミドを該患者に以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目43)
項目42に記載の方法であって、ここで、前記試料は、腫瘍生体組織検査試料である、方法。
(項目44)
頭部および頸部の癌を有する患者を処置するための方法であって、MGMTタンパク質のためのウェスタンブロットイムノアッセイ、免疫組織化学的技術、または酵素アッセイを用いて、MGMTタンパク質が、該患者から得られた試料中に検出されない場合、テモゾロミドを該患者に以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程を包含する方法:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目45)
頭部および頸部の癌を有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
I.該患者から得られた試料中のMGMTタンパク質の存在または不在を検出するために、ウェスタンブロット、免疫組織化学的アッセイ、または酵素アッセイを行う工程;および
II.MGMTタンパク質が、該試料中に検出されない場合、テモゾロミドを該患者に以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目46)
項目45に記載の方法であって、ここで、前記試料は、腫瘍生体組織検査試料である、方法。
(項目47)
頭部および頸部の癌を有する患者を処置するための方法であって、該患者から得られた試料中に検出されたMGMTタンパク質のレベルまたは酵素活性が、正常なリンパ球のものと比較して、低いかまたは中等度である場合、テモゾロミドを該患者に以下の三つの養生法のうちの一つに従って投与する工程を包含する方法:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目48)
項目47に記載の方法であって、ここで、前記試料は、腫瘍生体組織検査試料である、方法。
(項目49)
頭部および頸部の癌を有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
I.該患者から得られた試料中のMGMTタンパク質のレベルまたは酵素活性を評価し、そして該レベルまたは該活性を正常なリンパ球のものと比較して低い、中等度、または高いとして分類する工程;および
II.該患者のMGMTタンパク質のレベルまたは酵素活性が、正常なリンパ球のものと比較して、低いかまたは中等度として分類される場合、テモゾロミドを該患者に以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目50)
頭部および頸部の癌を有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
I.該患者から得られた試料中のMGMT遺伝子のメチル化のレベルを評価し、そして該レベルを正常なリンパ球のものと比較して低い、中等度、または高いとして分類する工程;および
II.該患者のMGMT遺伝子のメチル化のレベルが、正常なリンパ球のものと比較して、中等度であるかまたは高いとして分類される場合、テモゾロミドを該患者に以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目51)
卵巣癌を有する患者を処置するための方法であって、MSPを用いて、MGMT遺伝子のメチル化が、該患者から得られた試料中に検出される場合、該患者にテモゾロミドを以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程を包含する方法:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目52)
卵巣癌を有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
I.MSPを用いて、該患者から得られた試料中にて、MGMT遺伝子がメチル化されているかどうかを評価する工程;および
II.MGMT遺伝子のメチル化が、該試料中に検出される場合、テモゾロミドを該患者に以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目53)
項目52に記載の方法であって、ここで、前記試料は、腫瘍生体組織検査試料である、方法。
(項目54)
卵巣癌を有する患者を処置するための方法であって、MGMTタンパク質のためのウェスタンブロットイムノアッセイ、免疫組織化学的技術、または酵素アッセイを用いて、MGMTタンパク質が、該患者から得られた試料中に検出されない場合、
テモゾロミドを該患者に以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程を包含する方法:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目55)
卵巣癌を有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
I.該患者から得られた試料中のMGMTタンパク質の存在または不在を検出するために、ウェスタンブロット、免疫組織化学的アッセイ、または酵素アッセイを行う工程;および
II.MGMTタンパク質が、該試料中に検出されない場合、テモゾロミドを該患者に以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目56)
項目55に記載の方法であって、ここで、前記試料は、腫瘍生体組織検査試料である、方法。
(項目57)
卵巣癌を有する患者を処置するための方法であって、該患者から得られた試料中に検出されたMGMTタンパク質のレベルまたは酵素活性が、正常なリンパ球のものと比較して、低いかまたは中等度である場合、テモゾロミドを該患者に以下の三つの養生法のうちの一つに従って投与する工程を包含する方法:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目58)
項目57に記載の方法であって、ここで、前記試料は、腫瘍生体組織検査試料である、方法。
(項目59)
卵巣癌を有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
I.該患者から得られた試料中のMGMTタンパク質のレベルまたは酵素活性を評価し、そして該レベルまたは該活性を正常なリンパ球のものと比較して低い、中等度、または高いとして分類する工程;および
II.該患者のMGMTタンパク質のレベルまたは酵素活性が、正常なリンパ球のものと比較して、低いかまたは中等度として分類される場合、テモゾロミドを該患者に以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目60)
卵巣癌を有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
I.該患者から得られた試料中のMGMT遺伝子のメチル化のレベルを評価し、そして該レベルを正常なリンパ球のものと比較して低い、中等度、または高いとして分類する工程;および
II.該患者のMGMT遺伝子のメチル化のレベルが、正常なリンパ球のものと比較して、中等度であるかまたは高いとして分類される場合、テモゾロミドを該患者に以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目61)
結腸直腸癌および/または結腸癌を有する患者を処置するための方法であって、MSPを用いて、MGMT遺伝子のメチル化が、該患者から得られた試料中に検出される場合、該患者にテモゾロミドを以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程を包含する方法:
I.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
II.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
III.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目62)
結腸直腸癌および/または結腸癌を有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
I.MSPを用いて、該患者から得られた試料中にて、MGMT遺伝子がメチル化されているかどうかを評価する工程;および
II.MGMT遺伝子のメチル化が、該試料中に検出される場合、テモゾロミドを該患者に以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目63)
項目62に記載の方法であって、ここで、前記試料は、腫瘍生体組織検査試料である、方法。
(項目64)
結腸直腸癌および/または結腸癌を有する患者を処置するための方法であって、MGMTタンパク質のためのウェスタンブロットイムノアッセイ、免疫組織化学的技術、または酵素アッセイを用いて、MGMTタンパク質が、該患者から得られた試料中に検出されない場合、テモゾロミドを該患者に以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程を包含する方法:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目65)
結腸直腸癌および/または結腸癌を有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
I.該患者から得られた試料中のMGMTタンパク質の存在または不在を検出するために、ウェスタンブロット、免疫組織化学的アッセイ、または酵素アッセイを行う工程;および
II.MGMTタンパク質が、該試料中に検出されない場合、テモゾロミドを該患者に以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目66)
項目65に記載の方法であって、ここで、前記試料は、腫瘍生体組織検査試料である、方法。
(項目67)
結腸直腸癌および/または結腸癌を有する患者を処置するための方法であって、該患者から得られた試料中に検出されたMGMTタンパク質のレベルまたは酵素活性が、正常なリンパ球のものと比較して、低いかまたは中等度である場合、テモゾロミドを該患者に以下の三つの養生法のうちの一つに従って投与する工程を包含する方法:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目68)
項目67に記載の方法であって、ここで、前記試料は、腫瘍生体組織検査試料である、方法。
(項目69)
結腸直腸癌および/または結腸癌を有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
I.該患者から得られた試料中のMGMTタンパク質のレベルまたは酵素活性を評価し、そして該レベルまたは該活性を正常なリンパ球のものと比較して低い、中等度、または高いとして分類する工程;および
II.該患者のMGMTタンパク質のレベルまたは酵素活性が、正常なリンパ球のものと比較して、低いかまたは中等度として分類される場合、テモゾロミドを該患者に以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目70)
結腸直腸癌および/または結腸癌を有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
I.該患者から得られた試料中のMGMT遺伝子のメチル化のレベルを評価し、そして該レベルを正常なリンパ球のものと比較して低い、中等度、または高いとして分類する工程;および
II.該患者のMGMT遺伝子のメチル化のレベルが、正常なリンパ球のものと比較して、中等度であるかまたは高いとして分類される場合、テモゾロミドを該患者に以下の養生法のうちの一つに従って投与する工程:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;または
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;または
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目71)
項目1、11、21、31、41、51または61のうちのいずれかに記載の方法を行うための試薬および説明書を含む、キット。
(項目72)
グリオームを有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
I.該患者から得られた試料中のMGMTタンパク質の酵素活性を評価し、そして該酵素活性を、MGMTを発現することが公知の細胞株と比較して、低い、中等度、または高いとして分類する工程;および
II.テモゾロミドを該患者に以下の養生法の通り投与する工程:
a)該患者のMGMTタンパク質の酵素活性が、工程Iにおいて、低いとして分類される場合、以下の二つの養生法のうちの一つ:
i.1日当り150〜200mg/mを28日周期において5日間;もしくは
ii.増殖因子と組み合わせて、1日当り250mg/mを28日周期において5日間;または
b)該患者のMGMTタンパク質の酵素活性が、中等度として分類される場合、以下の四つの養生法のうちの一つ:
i.1日当り100mg/mを28日周期において14日間;もしくは
ii.増殖因子と組み合わせて、1日当り300mg/mを28日周期において5日間;もしくは
iii.1日当り75mg/mを28日周期において21日間;もしくは
iV.1日当り75mg/mを56日周期において42日間;または
c)該患者のMGMTタンパク質の酵素活性が、高いとして分類される場合、以下の養生法のうちの一つ:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;もしくは
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;もしくは
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目73)
メラノーマを有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
I.該患者から得られた試料中のMGMTタンパク質の酵素活性を評価し、そして該酵素活性を、MGMTを発現することが公知の細胞株と比較して、低い、中等度、または高いとして分類する工程;および
II.テモゾロミドを該患者に以下の養生法の通り投与する工程:
a)該患者のMGMTタンパク質の酵素活性が、工程Iにおいて、低いとして分類される場合、以下の二つの養生法のうちの一つ:
i.1日当り150〜200mg/mを28日周期において5日間;もしくは
ii.増殖因子と組み合わせて、1日当り250mg/mを28日周期において5日間;または
b)該患者のMGMTタンパク質の酵素活性が、中等度として分類される場合、以下の四つの養生法のうちの一つ:
i.1日当り100mg/mを28日周期において14日間;もしくは
ii.増殖因子と組み合わせて、1日当り300mg/mを28日周期において5日間;もしくは
iii.1日当り75mg/mを28日周期において21日間;もしくは
iV.1日当り75mg/mを56日周期において42日間;または
c)該患者のMGMTタンパク質の酵素活性が、高いとして分類される場合、以下の養生法のうちの一つ:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;もしくは
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;もしくは
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目74)
肺癌を有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
I.該患者から得られた試料中のMGMTタンパク質の酵素活性を評価し、そして該酵素活性を、MGMTを発現することが公知の細胞株と比較して、低い、中等度、または高いとして分類する工程;および
II.テモゾロミドを該患者に以下の養生法の通り投与する工程:
a)該患者のMGMTタンパク質の酵素活性が、工程Iにおいて、低いとして分類される場合、以下の二つの養生法のうちの一つ:
i.1日当り150〜200mg/mを28日周期において5日間;もしくは
ii.増殖因子と組み合わせて、1日当り250mg/mを28日周期において5日間;または
b)該患者のMGMTタンパク質の酵素活性が、中等度として分類される場合、以下の四つの養生法のうちの一つ:
i.1日当り100mg/mを28日周期において14日間;もしくは
ii.増殖因子と組み合わせて、1日当り300mg/mを28日周期において5日間;もしくは
iii.1日当り75mg/mを28日周期において21日間;もしくは
iV.1日当り75mg/mを56日周期において42日間;または
c)該患者のMGMTタンパク質の酵素活性が、高いとして分類される場合、以下の養生法のうちの一つ:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;もしくは
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;もしくは
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目75)
リンパ腫を有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
I.該患者から得られた試料中のMGMTタンパク質の酵素活性を評価し、そして該酵素活性を、MGMTを発現することが公知の細胞株と比較して、低い、中等度、または高いとして分類する工程;および
II.テモゾロミドを該患者に以下の養生法の通り投与する工程:
a)該患者のMGMTタンパク質の酵素活性が、工程Iにおいて、低いとして分類される場合、以下の二つの養生法のうちの一つ:
i.1日当り150〜200mg/mを28日周期において5日間;もしくは
ii.増殖因子と組み合わせて、1日当り250mg/mを28日周期において5日間;または
b)該患者のMGMTタンパク質の酵素活性が、中等度として分類される場合、以下の四つの養生法のうちの一つ:
i.1日当り100mg/mを28日周期において14日間;もしくは
ii.増殖因子と組み合わせて、1日当り300mg/mを28日周期において5日間;もしくは
iii.1日当り75mg/mを28日周期において21日間;もしくは
iV.1日当り75mg/mを56日周期において42日間;または
c)該患者のMGMTタンパク質の酵素活性が、高いとして分類される場合、以下の養生法のうちの一つ:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;もしくは
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;もしくは
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目76)
頭部および頸部の癌を有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
I.該患者から得られた試料中のMGMTタンパク質の酵素活性を評価し、そして該酵素活性を、MGMTを発現することが公知の細胞株と比較して、低い、中等度、または高いとして分類する工程;および
II.テモゾロミドを該患者に以下の養生法の通り投与する工程:
a)該患者のMGMTタンパク質の酵素活性が、工程Iにおいて、低いとして分類される場合、以下の二つの養生法のうちの一つ:
i.1日当り150〜200mg/mを28日周期において5日間;もしくは
ii.増殖因子と組み合わせて、1日当り250mg/mを28日周期において5日間;または
b)該患者のMGMTタンパク質の酵素活性が、中等度として分類される場合、以下の四つの養生法のうちの一つ:
i.1日当り100mg/mを28日周期において14日間;もしくは
ii.増殖因子と組み合わせて、1日当り300mg/mを28日周期において5日間;もしくは
iii.1日当り75mg/mを28日周期において21日間;もしくは
iV.1日当り75mg/mを56日周期において42日間;または
c)該患者のMGMTタンパク質の酵素活性が、高いとして分類される場合、以下の養生法のうちの一つ:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;もしくは
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;もしくは
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目77)
卵巣癌を有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
I.該患者から得られた試料中のMGMTタンパク質の酵素活性を評価し、そして該酵素活性を、MGMTを発現することが公知の細胞株と比較して、低い、中等度、または高いとして分類する工程;および
II.テモゾロミドを該患者に以下の養生法の通り投与する工程:
a)該患者のMGMTタンパク質の酵素活性が、工程Iにおいて、低いとして分類される場合、以下の二つの養生法のうちの一つ:
i.1日当り150〜200mg/mを28日周期において5日間;もしくは
ii.増殖因子と組み合わせて、1日当り250mg/mを28日周期において5日間;または
b)該患者のMGMTタンパク質の酵素活性が、中等度として分類される場合、以下の四つの養生法のうちの一つ:
i.1日当り100mg/mを28日周期において14日間;もしくは
ii.増殖因子と組み合わせて、1日当り300mg/mを28日周期において5日間;もしくは
iii.1日当り75mg/mを28日周期において21日間;もしくは
iV.1日当り75mg/mを56日周期において42日間;または
c)該患者のMGMTタンパク質の酵素活性が、高いとして分類される場合、以下の養生法のうちの一つ:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;もしくは
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;もしくは
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目78)
結腸直腸癌および/または結腸癌を有する患者を処置するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
I.該患者から得られた試料中のMGMTタンパク質の酵素活性を評価し、そして該酵素活性を、MGMTを発現することが公知の細胞株と比較して、低い、中等度、または高いとして分類する工程;および
II.テモゾロミドを該患者に以下の養生法の通り投与する工程:
a)該患者のMGMTタンパク質の酵素活性が、工程Iにおいて、低いとして分類される場合、以下の二つの養生法のうちの一つ:
i.1日当り150〜200mg/mを28日周期において5日間;もしくは
ii.増殖因子と組み合わせて、1日当り250mg/mを28日周期において5日間;または
b)該患者のMGMTタンパク質の酵素活性が、中等度として分類される場合、以下の四つの養生法のうちの一つ:
i.1日当り100mg/mを28日周期において14日間;もしくは
ii.増殖因子と組み合わせて、1日当り300mg/mを28日周期において5日間;もしくは
iii.1日当り75mg/mを28日周期において21日間;もしくは
iV.1日当り75mg/mを56日周期において42日間;または
c)該患者のMGMTタンパク質の酵素活性が、高いとして分類される場合、以下の養生法のうちの一つ:
i.1日当り100mg/mを21日周期において14日間;もしくは
ii.1日当り150mg/mを14日周期において7日間;もしくは
iii.1日当り100mg/mを28日周期において21日間。
(項目79)
項目72〜78のうちのいずれかに記載の方法を行うための試薬および説明書を含む、キット。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、4日周期のTMZ処理の後に存在する、DAOYヒトグリオーム細胞のコロニー、即ち高いMGMTレベルの細胞株の数を図示する。ここで、TMZは、以下の二つの異なる投薬計画のうちの一つに従って投与された:(i)連続的な毎日の投薬(1〜4日目);または(ii)単一パルス投薬(1日目)。
【図2】図2は、4日周期のTMZ処理の後に存在する、A375ヒトメラノーマ細胞のコロニー、即ち高いMGMTレベルの細胞株の数を図示する。ここで、TMZは、以下の二つの異なる投薬計画のうちの一つに従って投与された:(i)連続的な毎日の投薬(1〜4日目);または(ii)単一パルス投薬(1日目)。
【図3】図3Aは、4日周期のTMZ処理の後に存在する、LOXヒトメラノーマ細胞のコロニー、即ち低いMGMTレベルの細胞株の数を図示する。ここで、TMZは、以下の二つの異なる投薬計画のうちの一つに従って投与された:(i)連続的な毎日の投薬(1〜4日目);または(ii)単一パルス投薬(1日目)。図3Bは、8日周期のTMZ処理の後に存在する、LOXヒトメラノーマ細胞のコロニー、即ち低いMGMTレベルの細胞株の数を図示する。ここで、TMZは、以下の三つの異なる投薬計画のうちの一つに従って投与された:(i)連続的な毎日の投薬(1〜8日目);(ii)連続した2日間の投薬(1〜2日目);または(ii)断続的な2日間の投薬(1日目、5日目)。
【図4】図4Aは、TMZ処理の後の、A375ヒトメラノーマ細胞、即ち高いMGMTレベルの細胞株におけるMGMT酵素活性のレベルを図示する。図4Bは、TMZ処理の後の、A375ヒトメラノーマ細胞、即ち高いMGMTレベルの細胞株におけるMGMTタンパク質のレベルを図示する。レーン1〜4は、72時間のTMZ処理の後に調製された細胞溶解産物を表す。レーン5〜8は、72時間のTMZ処理、その後TMZ処理をしないでさらに72時間後に調製された細胞溶解産物を表す。
【図5】図5Aは、連続的な毎日の投薬の15日周期を二回連続(1〜15日目(第一周期)、16〜30日目(第二周期))でTMZ処置した後の、DAOYヒトグリオーム異種移植片腫瘍、即ち、高いMGMTレベルの細胞株における、平均腫瘍増殖曲線を図示する;ここで、投与されたTMZの全用量は、0mg/kg(mpk)、360mg/kg(mpk)、540mg/kg(mpk)、または810mg/kg(mpk)であった。図5Bは、連続した5日間の投薬の15日周期を二回連続(1〜5日目(第一周期)、16〜20日目(第二周期))でTMZ処置した後の、DAOYヒトグリオーム異種移植片腫瘍、即ち、高いMGMTレベルの細胞株における、平均腫瘍増殖曲線を図示する;ここで、投与されたTMZの全用量は、0mpk、360mpk、540mpk、または810mpkであった。図5Cは、断続的な5日間の投薬の15日周期を二回連続(1日目、4日目、7日目、10日目、13日目(第一周期);16日目、19日目、22日目、25日目、28日目(第二周期))でTMZ処置した後の、DAOYヒトグリオーム異種移植片腫瘍、即ち、高いMGMTレベルの細胞株における、平均腫瘍増殖曲線を図示する;ここで、投与されたTMZの全用量は、0mpk、360mpk、540mpk、または810mpkであった。
【図6】図6は、A375ヒトメラノーマ異種移植片腫瘍、即ち、高いMGMTレベルの細胞株の、15日周期のTMZ処置後の15日目における個々の腫瘍体積を図示する。ここで、TMZは、以下の三つの異なる投薬計画のうちの一つに従って投与された:(i)連続的な毎日の投薬(1〜15日目);(ii)連続した5日間の投薬(1〜5日目);または(ii)5日間(1日目、4日目、7日目、10日目、13日目)の断続的な投薬;ここで、投与されたTMZの全用量は、0mpk、180mpk、270mpkまたは405mpkであった。
【図7】図7は、LOXヒトメラノーマ異種移植片腫瘍、即ち、低いMGMTレベルの細胞株の、12日周期のTMZ処置後の18日目における個々の腫瘍体積を図示する。ここで、TMZは、以下の二つの異なる投薬計画のうちの一つに従って投与された:(i)連続的な毎日の投薬(1〜12日目);または(ii)連続した4日間の投薬(1〜4日目);ここで、投与されたTMZの全用量は、0mpk、36mpk、72mpkまたは144mpkであった。
【図8】図8は、DAOYヒトグリオーム異種移植片腫瘍、即ち、高いMGMTレベルの細胞株の個々の、連続した5日間のTMZ処置(ここで、投与されたTMZの全用量は、0または405mpkであった)の後のMGMT酵素活性のレベル;並びに細胞培養物から得られた処置されていないDAOYヒトグリオーム細胞のMGMT酵素活性のレベルを図示する。C1、C2およびC3は、媒体で処置された三匹の異なるマウスから単離された腫瘍を表すが、T1、T2、T3は、TMZで処置された別の三匹の異なるマウスから単離された腫瘍を表す。
【図9】図9は、4日周期のTMZ処理の後に存在する、DAOYヒトグリオーム細胞のコロニー、即ち高いMGMTレベルの細胞株の数を図示する。
【図10】図10は、4日周期のTMZ処理の後に存在する、A375ヒトメラノーマ細胞のコロニー、即ち高いMGMTレベルの細胞株の数を図示する。
【図11】図11は、4日周期のTMZ処理の後に存在する、LOXヒトメラノーマ細胞のコロニー、即ち低いMGMTレベルの細胞株の数を図示する。
【図12】図12は、8日周期のTMZ処理の後に存在する、LOXヒトメラノーマ細胞のコロニー、即ち低いMGMTレベルの細胞株の数を図示する。
【図13】図13は、4日周期のTMZ処理の後の、DAOYヒトグリオーム細胞のコロニー形成の阻害(%)を図示する。
【図14】図14は、4日周期のTMZ処理の後の、A375ヒトメラノーマ細胞のコロニー形成の阻害(%)を図示する。
【図15】図15は、4日周期のTMZ処理の後の、LOXヒトメラノーマ細胞のコロニー形成の阻害(%)を図示する。
【図16】図16は、8日周期のTMZ処理の後の、LOXヒトメラノーマ細胞のコロニー形成の阻害(%)を図示する。
【図17】図17は、二回の15日周期にわたるTMZ処置(ここで、その用量強度は、1、1.5、または2.25であった)の後の、DAOYヒトグリオーム異種移植片腫瘍即ち高いMGMTレベルの細胞株における腫瘍体積を図示する。
【図18】図18は、15日周期にわたるTMZ処置(ここで、その用量強度は、1、1.5、または2.25であった)の後の、A375ヒトメラノーマ異種移植片腫瘍即ち高いMGMTレベルの細胞株における腫瘍体積を図示する。
【図19】図19は、12日周期にわたるTMZ処置(ここで、その用量強度は、1、2、または4であった)の後の、LOXヒトメラノーマ異種移植片腫瘍即ち低いMGMTレベルの細胞株における腫瘍体積を図示する。
【図20】図20は、二回の15日周期にわたるTMZ処置(ここで、その用量強度は、1、1.5、または2.25であった)の後の、DAOYヒトグリオーム異種移植片腫瘍の腫瘍増殖阻害(%)を図示する。
【図21】図21は、15日周期にわたるTMZ処置(ここで、その用量強度は、1、1.5、または2.25であった)の後の、A375ヒトメラノーマ異種移植片腫瘍の腫瘍増殖阻害(%)を図示する。
【図22】図22は、12日周期にわたるTMZ処置(ここで、その用量強度は、1、2、または4であった)の後の、DAOYヒトメラノーマ異種移植片腫瘍の腫瘍増殖阻害(%)を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0038】
(発明の詳細な説明)
本発明は、増殖性障害を有する患者を処置するための新しい方法およびキットを提供し、上記方法およびキットは、上記患者に標準用量強度またはそれより強い用量強度を、上記患者から得られた試料中の上記MGMT遺伝子のメチル化状態に基づいて投与する工程を包含する。特定の実施形態では、上記メチル化状態は、上記MGMT遺伝子がメチル化されているか否かの決定により評価される。別の特定の実施形態では、上記メチル化状態は、上記MGMT遺伝子のメチル化レベルについての定量的な決定により評価される。さらに別の実施形態では、上記メチル化状態は、MGMTタンパク質が発現されているか否かの決定、または発現されているMGMTタンパク質のレベルの決定、または上記患者の試料中におけるMGMTの酵素活性の測定により評価される。
【0039】
本発明の一つの実施形態は、増殖性障害を有する患者を処置する方法を提供し、上記方法は、上記患者にテモゾロミド(TMZ)の標準用量強度または増加された用量強度のいずれかを、上記患者から得られた試料中の上記O−メチルグアニン−DNAメチルトランスフェラーゼ(MGMT)遺伝子のメチル化状態に基づいて投与する工程を包含する。本発明のこの実施形態における一つの態様によると、上記患者由来の試料中におけるMGMTをコードする遺伝子(例えば、プロモーター領域)がメチル化されている場合、テモゾロミドの標準用量強度が投与される;しかしながら、MGMTをコードする遺伝子がメチル化されていない(即ち、検出レベル未満)場合、テモゾロミドの増加された用量強度が、上記患者に投与される。本発明のこの実施形態の一つの態様は、以下の工程を包含する:(1)上記患者由来の試料中のMGMT遺伝子がメチル化されているか否かを評価する工程;(2)(a)MGMT遺伝子のメチル化が検出される場合、テモゾロミドの標準用量強度を上記患者に投与する工程、または(b)MGMT遺伝子のメチル化が検出されない場合、テモゾロミドの増加された用量強度を上記患者に投与する工程。本発明のこの実施形態の別の態様は、以下の工程を包含する:MGMTをコードする遺伝子のメチル化が検出されない患者に、増加された用量強度を投与する工程。
【0040】
本明細書中で用いられる通り、用語テモゾロミドの「標準用量強度」は、1日当り150〜200mg/mのテモゾロミドの投薬計画で、1000mg/m/4週間という最大全用量に関して28日周期において5日間投与される、5/28投薬養生法を意味する。この投薬養生法は、1.0という「用量強度」を提供する。
【0041】
本明細書中で用いられる通り、用語テモゾロミドの「増加された用量強度」は、(標準用量強度と比較した場合に)1.2〜2.8倍強いテモゾロミドの用量強度を提供する投薬養生法および/または投薬計画を意味する。そのような増加された用量強度を提供する投薬養生法および投薬計画の非制限的な実施例が、表1および表2に図示されている。
【0042】
本発明のこの実施形態によると、MGMT遺伝子のメチル化が検出されない場合、標準用量強度の少なくとも1.6倍または少なくとも1.8倍の用量強度を提供する投薬養生法および/または投薬計画が好ましい;そのような条件下で、標準用量強度の少なくとも2.0倍の用量強度がより好ましい。代替実施形態では、MGMT遺伝子のメチル化が検出されない場合、投薬養生法9番、11番または12番が好ましい。
【0043】
MGMT遺伝子がメチル化されるか否かを評価することは、当業者に公知の任意の方法を用いて行われ得る。遺伝子または核酸のメチル化を検出するために有用な技術は、以下の者によって記載されたものを含むが、これらに限定されない:Ahrendtら著、J.Natl.Cancer Inst.、1999年、第91巻、p.332−339;Belsinkyら著、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、1998年、第95巻、p.11891−11896;Clarkら著、Nucleic Acids Res.、1994年、第22巻、p.2990−2997;Hermanら著、Proc Natl Acad Sci U.S.A.、1996年、第93巻、p.9821−9826;XiongおよびLairdら著、Nucleic Acids Res.、1997年、第25巻、p.2532−2534;Eadsら著、Nuc.Acids.Res.、2002年、第28巻、p.e32;Cottrellら著、Nucleic Acids Res.、2004年、第32巻、p.1−8。ここで引用された全ての参考文献は、明細書中に参考として援用されている。
【0044】
メチル化特異的PCR(MSP;Hermanら著、Proc.Natl.Acad Sci.USA、1996年、第93巻、第18号、p.9821−9826;Estellerら著、Cancer Res.、1999年、第59巻、p.793−797)は、1998年7月28日に発行された米国特許第5,786,146号;2000年1月25日に発行された米国特許第6,017,704号;2001年3月13日に発行された米国特許第6,200,756号;並びに2001年7月24日に発行された米国特許第6,265,171号;2004年8月10日に発行された米国特許第6,773,897号も参照する;明細書中に参考として援用されているこれらの各々の全容は、メチル化感受性制限酵素の使用と独立して、CpGアイランド内の実質的に任意のグループのCpGサイトのメチル化状態を素早く評価し得る。このアッセイは、亜硫酸水素ナトリウムによるDNAに対する初めの改変、全てのメチル化されていないシトシン(メチル化されているシトシンを除く)をウラシルへ変換すること、そして続いて起こる、メチル化されていないDNAに対するメチル化されているDNAに特異的なプライマーを用いた複製を必要とする。MSPは、少量のDNAのみを必要とし、与えられたCpGアイランドの座における0.1%メチル化された対立遺伝子に感受性であり、そして、パラフィン包埋試料から抽出されたDNA上で行われ得る。MSPは、メチル化されたDNAとメチル化されていないDNAとを識別するための特異な制限酵素の分解に頼った従来のPCRに基づいたアプローチに固有の擬陽性の結果を除去する。この方法は、非常に簡単であり、そして少量の組織または数個の細胞において用いられ得る。当業者に理解されるように、MGMTをコードしている遺伝子がメチル化される場合、MGMTタンパク質が発現され、そして本明細書中において下に詳述されるように(例えば、ウェスタンブロット、免疫組織化学的技術またはMGMT活性のための酵素アッセイなどによって)MGMTタンパク質が検出され得る。従って、本発明の代替実施形態によると、MGMTタンパク質の存在または不在が、患者の試料中にて評価される。標準用量強度または増加された用量強度が、上記患者に上記患者の試料中のMGMTタンパク質の不在または存在に基づいて投与される。本発明の不在態様と一致して、MGMTタンパク質が検出される場合、表1に示される通り、標準用量強度の少なくとも1.6倍、または少なくとも1.8倍の用量強度を提供する投薬養生法および/または投薬計画が好ましい;そのような条件下、標準用量強度の少なくとも2.0倍の用量強度がより好ましい。代替実施形態では、MGMTタンパク質が検出される場合、投薬養生法9番、11番または12番が好ましい。
【0045】
本発明のこの実施形態に有用な、患者試料中のMGMTタンパク質のレベルを測定するためのウェスタンブロットアッセイの説明に役立つ例が、Liらによる米国特許第5,817,514号に提示されており、これらの全ての開示が、本明細書中に参考として援用されている。Liらは、天然のヒトMGMTタンパク質かまたはアルキル化された活性サイトを有するヒトMGMTタンパク質のいずれかに特異的に結合することが可能なモノクローナル抗体を記述した。本発明のこの実施形態に有用な、患者試料中のMGMTタンパク質のレベルを測定するための免疫組織化学的技術の説明に役立つ例は、米国特許第5,407,804号に提示され、この全体の開示は、本明細書中に参考として援用されている。単一細胞の調製物(免疫組織化学的染色アッセイ)並びに細胞抽出物(イムノアッセイ)の中のMGMTタンパク質に特異的に結合することが可能なモノクローナル抗体が、開示されている。細胞画像のデジタル処理と結び付けられた蛍光出力の使用が、記述され、そして、腫瘍生体組織検査試料が挙げられるがこれに限定されない患者試料または対照試料中のMGMTレベルの定量的測定を可能にする。
【0046】
MGMTタンパク質の酵素活性を測定するための有用な技術は、以下によって記載された方法を含むが、これらに限定されない:Myrnesら著、Carcinogenesis、1984年、第5巻、p.1061−1064;Futscherら著、Cancer Comm.、1989年、第1巻、p.65−73;Kreklawら著、J.Pharmacol.Exper.Ther.、2001年、第297巻、第2号、p.524−530;Nagelら著、Anal.Biochem.、2003年、第321巻、第1巻、p.38−43、これらの全体の開示は、本明細書中に参考として援用されている。
【0047】
本発明の別の実施形態は、増殖性障害を有する患者を処置する方法を提供し、上記方法は、上記患者に上記患者から得られた試料中のMGMT遺伝子のメチル化の程度またはレベルに基づいてテモゾロミドの投薬養生法を割り当てること、および/またはその投薬養生法を上記患者に投与することを包含する。本発明のこの実施形態の一つの態様によると、MGMT遺伝子のメチル化のレベルは、上記患者から得られた試料中のMGMTタンパク質のレベルを決定することにより評価される。上記レベルは、「低い」、「中等度」、または「高い」として分類され、そして、上記患者は、前出のスキーム1に示されるスキームに従って、表2に提示される投薬養生法のうちの一つによって処置される。
【0048】
患者から得られた細胞試料中のMGMTタンパク質の程度またはレベルは、任意の多様な方法(本明細書中の前出の参考文献を参照)によって評価され得る。
【0049】
本発明のこの実施形態の一つの態様によると、上記患者の細胞により発現されるMGMTタンパク質のレベルが、MGMTタンパク質の測定により(例えば、MGMTに特異的な抗体を用いたウェスタンブロットにより、例えば、MGMTのレベルを決定するためのウェスタンブロットアッセイの説明のためのLiらによる米国特許第5,817,514号(前出)を参照)評価される。上記レベルは、MGMTを発現することが公知の正常なリンパ球により発現されるレベルと比較される。患者のMGMTタンパク質のレベルが、以下の通り分類される:低い=正常なリンパ球により発現されるMGMTの0〜30%;中等度=正常なリンパ球により発現されるMGMTの31〜70%;および高い=正常なリンパ球により発現されるMGMTの71〜300%またはそれより高い。この実施形態に従って、上記患者のMGMTタンパク質のレベルが高い場合、養生法9番、11番、または12番が、好ましい。
【0050】
この実施形態の別の態様によると、上記患者の細胞により発現されるMGMTタンパク質のレベルは、規定された数の患者細胞に対して免疫組織化学的技術を用いたMGMTタンパク質の測定により(例えば、MGMTに特異的な標識された抗体を利用し、そして上記のレベルを、同一の規定された数の、MGMTを発現することが公知の正常なリンパ球により発現されるレベルと比較すること(例えば、有用な定量的免疫組織化学的アッセイの説明のためのYaroshによる米国特許第5,407,804号を参照)により)評価される。患者MGMTのレベルは、以下の通り分類される:低い=正常なリンパ球により発現されるMGMTの0〜30%;中等度=正常なリンパ球により発現されるMGMTの31〜70%;および高い=正常なリンパ球により発現されるMGMTの71〜300%またはそれより高い。この実施形態によると、上記患者のMGMTタンパク質レベルが高い場合、養生法9番、11番、または12番が、好ましい。
【0051】
この実施形態のさらなる別の態様によると、MGMTのレベルが、患者試料中の細胞により発現されるMGMTについての酵素アッセイにより評価される。例えば、タンパク質が、患者試料中の細胞の溶解産物から免疫沈降され、次いで酵素活性(即ち、DNAのグアニンのOまたはN位をメチル化する能力)が評価され、そしてMGMTを発現することが公知の正常なリンパ球の酵素活性と比較される(MGMTタンパク質の酵素活性を決定するために有用なアッセイの説明のための前出の参考文献を参照)。患者MGMTのレベルが、以下の通り分類される:低い=正常なリンパ球のMGMT酵素活性の0〜30%;中等度=正常なリンパ球のMGMT酵素活性の31〜70%;および高い=正常なリンパ球のMGMT酵素活性の71〜300%またはそれより高い。この実施形態によると、上記患者のMGMTタンパク質レベルが高い場合、養生法9番、11番、または12番が、好ましい。
【0052】
代替実施形態では、MGMTの比活性は、評価され、そしてMGMTを発現することが公知の細胞株との比較に基づいて以下の通り分類される:低い=20fmol/mg未満;中等度=20〜60fmol/mg;または高い=60fmol/mgより高い;ここで、LOX細胞中のMGMTの比活性は、6〜9fmol/mgであり、DAOY細胞中では60〜100fmol/mgであり、そしてA375細胞中では80〜150fmol/mgである。この代替実施形態によると、上記患者のMGMT酵素活性が高い場合、養生法9番、11番、または12番が、好ましい。
【0053】
この実施形態のさらなる別の態様によると、MGMTのメチル化のレベルが、MGMTをコードする遺伝子のメチル化の定量的な決定により、評価される。COBRA(Xiongら著、Nuc.Acids Res.、1997年、第25巻、p.2532−2534)と呼ばれる定量的技術は、この態様に有用である。Eadsら著、Nuc.Acids Res.、2000年、第28巻、第8号、p.e32;米国特許第6,331,393号の「methyl light」技術も、この態様のための定量的な決定に有用である。上記患者の細胞中のMGMTをコードする遺伝子のメチル化のレベルが、同等な細胞数の、MGMTを発現することが公知の正常なリンパ球のレベルと比較される。当業者に理解される通り、MGMTを発現する正常なリンパ球は、MGMT遺伝子の低いレベルのメチル化を有する;反対に、MGMT遺伝子の高いレベルのメチル化を有する細胞は、低いレベルのMGMTタンパク質を発現する(例えば、Costelloら著、J.Biol.Chem.、1994年、第269巻、第25号、p.17228−17237;Qianら著、Carcinogen、1995年、第16巻、第6号、p.1385−1390を参照)。患者のメチル化されたMGMT遺伝子のレベルは、以下の通り分類される:低い=MGMT遺伝子のプロモーター領域中のCpGの0〜20%がメチル化されている;中等度=MGMT遺伝子のプロモーター領域中のCpGの21〜50%がメチル化されている;および高い=MGMT遺伝子のプロモーター領域中のCpGの51〜100%がメチル化されている。いったん、MGMT遺伝子のメチル化のレベルが評価され、そして患者が分類されると、患者は、前出のスキーム2に示されたスキームを用いた前出の表2に示された投薬養生法を用いて処置される。
【0054】
この実施形態のこの態様によると、上記患者のMGMT遺伝子のメチル化のレベルが低い場合、養生法9番、10番、または11番が、好ましい。
【0055】
上に示される通り、COBRA(Xiongら著、Nuc.Acids Res.、1997年、第25巻、第12号、p.2532−2534)と呼ばれる定量的技術は、少量のゲノムDNA内の特定の遺伝子座におけるDNAメチル化レベルを、定量的に決定するために用いられ得る。制限酵素による消化は、亜硫酸水素ナトリウムで処理したDNAのPCR産物におけるメチル化依存性の配列の差異を明らかにするために用いられる(Tanoら著、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1990年、第87巻、p.686−690は、ヒトMGMT遺伝子の単離および配列を記述する)。元のDNA試料中のメチル化レベルは、DNAメチル化レベルの広いスペクトラムにわたり、直線的に定量的な様式で、消化されているPCR産物と消化されていないPCR産物との相対的な量によって表される。この技術は、顕微解剖されたパラフィン包埋組織試料から得られたDNAに信頼性をもって適用され得る。COBRAは、従って、使い易さ、定量的な正確さという強力な特徴と、パラフィン切片との適合性とを併せもつ。
【0056】
MGMTのmRNAのレベルを評価するために有用なRT−PCRアッセイの説明に役立つ例は、Wattsら著、Mol.Cell.Biol.、1997年、第17巻、第9号、p.5612−5619に記述されている。簡単にいうと、全細胞性RNAが、グアニジン イソチオシアネート細胞溶解により、次いで2.5時間、205,000×gでの5.7MのCsClを介した遠心により単離される。RNAは、Beckman TL−100分光光度計で、260nmにおける吸光度の測定により定量化される。全細胞性RNAは、200ngのRNA;1×PCR緩衝液(10mMのTris[pH8.3]、50mMのKCl、1.5mMのMgCl);1mMの各dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP;200pmolの任意の六量体、40UのRNasin、および24Uの鳥類の骨髄芽球症ウイルス逆転写酵素(Boehringer Mannheim、Indianapolis、Ind.)から構成される40μlの反応混合液を42℃で60分間インキュベートすることにより、逆転写される。この反応を、99℃で10分間インキュベートすることにより停止させる。MGMT特異的なPCRは、80μlの複製反応緩衝剤(1×PCR緩衝剤、25pmolのMGMT特異的プライマーおよび/または対照配列、並びに2UのTaqDNAポリメラーゼ)を20μlの逆転写反応混合物に添加し、次いで94℃で5分間のインキュベーション;94℃で1分間、60℃で15秒間、および72℃で1分間を30回;72℃で5分間の最終的な伸長;そして素早く冷やして4℃にすることにより行われる。例えば、MGMT遺伝子のエキソン4からの上流プライマー配列(ヌクレオチド665〜ヌクレオチド684)が、用いられ得る。ヌクレオチドの位置は、上記cDNA配列に由来し得る(Tanoら著、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1990年、第87巻、p.686−690)。対照のプライマー配列は、同じcDNA反応(例えば、ヒストン3.3遺伝子のためのプライマー)において用いられ得る。解析のため、各PCR産物のうちの10%が、3%アガロースゲルを通して分離され、そしてエチジウムブロマイド染色により可視化される。
【0057】
MGMTのmRNAのレベルを評価するために有用なノーザンブロットの説明に役立つ例が、D’Atriら著、Journal of Pharmacological Exp.Ther.、2000年、第294巻、p.664−671に記述されている。簡単にいうと、全細胞性RNAが、グアニジン チオシアネート−フェノール−クロロホルム法(ChomczynskiおよびSacchiら著、Anal Biochem、1987年、第162巻、第1号、p.156−159)により抽出される。引き続いて、一部分が、ホルムアルデヒドを含む1.2%アガロースゲル上における電気泳動により分画され、そして、RNA強度が、上記ゲルのエチジウムブロマイド染色に続く可視化により確認される。RNAは、その後ナイロン膜(Genescreen Plus;New England Nuclear、Boston、MA)へ転写され、そして42℃で24時間、32P標識されたMGMTのプローブおよび対照のプローブ(例えば、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH))とハイブリダイズされる。例えば、MGMTのプローブは、Molt−4細胞からのRNAの逆転写の後に得られたポリメラーゼ連鎖反応由来のcDNAプローブであり得る(Lacalら著、J Pharmacol Exp Ther、1996年、第279巻、第1号、p.416−422)。0.1×標準クエン酸塩(10mMの塩化ナトリウム、1.5mMのクエン酸ナトリウム)により室温で30分間洗浄の後、上記のブロットされた膜は、−80℃でx線フィルム(Kodak、Rochester、NY)に露光される。上記のブロットの二次元のデンシトメトリーは、Imaging densitometerGS−670(Bio−Rad、Richmond、CA)を用いて行われ得る。
【0058】
本発明の別の代替実施形態は、増殖性障害を有する患者を処置するための改良された方法を提供し、その方法は、前出の表1中の養生法3〜養生法16によると、上記患者に標準用量強度と比較して1.4〜2.8というテモゾロミドの用量強度を投与する工程を包含する。
【0059】
本発明の範囲内に包含されるのは、本明細書中の上記の通りのテモゾロミドとRARP阻害剤とを組み合わせて投与することである。遺伝子毒性のストレスに対する細胞内反応におけるポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)の役割に関する強制力のある証拠は、DNAを損傷する抗癌療法を増強させる治療薬として阻害剤を開発するための刺激であった。最近20年にわたり、強いPARP阻害剤が、構造活性相関(SAR)および結晶構造解析を用いて開発されてきた。これらのアプローチは、阻害剤と酵素との強い相互作用のための要となる望ましい性質を同定してきた。生じたPARP阻害剤は、古典的なベンズアミドよりも最大1,000倍強い。これら新規の強い阻害剤は、PARP阻害の治療上の可能性を定義するのを手伝ってきた。PARP阻害剤は、テモゾロミドを含む三つのクラスの抗癌剤の抗腫瘍活性を増加させる。PARP阻害剤は、本明細書中に記載されているようにテモゾロミドの投与の前か、それに付随するかまたはそれの後のいずれかに投与され得る。実験上のPARP阻害剤としては、CEP−6800(Cephalon;Miknyoczkiら著、Mol Cancer Ther、2003年、第2巻、第4号、p.371−382に記載されている);3−アミノベンズアミド(3−ABとしても公知である;Inotek;Liaudetら著、Br J Pharmacol、2001年、第133巻、第8号、p.1424−1430に記載されている);PJ34(Inotek;Abdelkarimら著、Int J Mol Med、2001年、第7巻、第3号、p.255−260に記載されている);5−ヨード−6−アミノ−1,2−ベンゾピロン(INH(2)BPとしても公知である;Inotek;Mableyら著、Br J Pharmacol、2001年、第133巻、第6号、p.909−919、GPI 15427(Tentoriら著、Int J Oncol、2005年、第26巻、第2号、p.415−422に記載されている);1,5−ジヒドロキシイソキノリン(DIQとしても公知である;WalisserおよびThiesら著、Exp Cell Res、1999年、第251巻、第2号、p.401−413に記載されている;5−アミノイソキノリノン(5−AIQとしても公知である;Di Paolaら著、Eur J Pharmacol、2004年、第492巻、第2〜3号、p.203−210に記載されている;AG14361(BryantおよびHelledayら著、Biochem Soc Trans、2004年、第32巻、Pt6、p.959−961;Veugerら著、Cancer Res、2003年、第63巻、第18号、p.6008−6015;並びにVeugerら著、Oncogene、2004年、第23巻、第44号、p.7322−7329に記載されている);ABT−472(Abbott);INO−1001(Inotek);AAI−028(Novartis);KU−54936(KuDOS;Farmerら著、「Targeting the DNA repair defect in BRCA mutant cells as a therapeutic strategy」、Nature、2005年、第434巻、第7035号、p.917−921);およびJagtapら著、Crit Care Med、2002年、第30巻、第5号、p.1071−1082に記載されている事柄;Lohら著、Bioorg Med Chem Lett、2005年、第15巻、第9号、p.2235−2238;Ferrarisら著、J Med Chem、2003年、第46巻、第14号、p.3138−3151;Ferrarisら著、Bioorg Med Chem Lett、2003年、第13巻、第15号、p.2513−2518;Ferrarisら著、Bioorg Med Chem、2003年、第11巻、第17号、p.3695−3707;LiおよびZhang著、IDrugs、2001年、第4巻、第7号、p.802−812;Steinhagenら著、Bioorg Med Chem Lett、2002年、第12巻、第21号、p.3187−3190);国際公開第02/06284号パンフレット(Novartis);および国際公開第02/06247号パンフレット(Bayer)に記載されているものが挙げられる。さらに、PARP−1阻害剤のためのハイスループットスクリーンが、Dillonら著、J Biomol Screen、2003年、第8巻、第3号、p.347−352に記載されている。
【0060】
一つの処置の方法は、治療法の処置の過程において哺乳類動物に投与されたテモゾロミドおよび/または放射線治療の有効性を改善することを含み、上記方法は、上記哺乳類動物に有効量のPARP阻害剤(化合物、薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、活性な代謝産物、または溶媒化合物)をテモゾロミドおよび/または放射線治療と共に投与することを包含する。
【0061】
−ベンジルグアニンは、当業者にとって公知である。造血の毒性を強調するために、肝細胞(または腫瘍細胞)中のMGMTの内因性活性が、O−ベンジルグアニン(OBG)により不活性化され得る。本発明は、上記の投薬養生法および/または投薬計画を用いて、癌を処置するためのテモゾロミドとO−ベンジルグアニン(OBG)とを組み合わせた使用も包含する。OBGは、本明細書中に記載されるようにテモゾロミドの投与の前か、それに付随するか、またはそれの後のいずれかに投与され得る。
【0062】
上記の通り表1および表2において、本発明の特定の投薬養生法では、特に、養生法4番、8番、10番および15番が、テモゾロミドと組み合わせた増殖因子の投与を包含する。好ましい実施形態によると、上記増殖因子は、GM−CSF、G−CSF、IL−1、IL−3、IL−6、またはエリスロポエチンである。増殖因子の非制限的な例は、Epogen(登録商標)(エポエチンアルファ)、Procrit(登録商標)(エポエチンアルファ)、Neupogen(登録商標)(フィルグラスチム、ヒトG−CSF)、Aranesp(登録商標)(高グリコシル化組換えdarbepoetin alfa)、Neulasta(登録商標)(Neupopegとも商標をつけられている、PEG化(pegylated)組換えフィルグラスチム、PEGフィルグラスチム(pegfilgrastim)、Albupoietin(登録商標)(長く作用するエリスロポエチン)、およびAlbugranin(登録商標)(アルブミンG−CSF、および長く作用するG−CSF)。より好ましい実施形態によると、上記増殖因子は、G−CSFである。
【0063】
本明細書中に用いられる通り、「GM−CSF」は、(a)Leeら著、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、1985年、第82巻、p.4360により記載される成熟した(シグナルペプチドを欠く)ヒトGM−CSFの配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、かつ(b)天然のGM−CSFに共通の生物学的活性を有する、タンパク質を意味する。
【0064】
アミノ酸配列の実質的な同一性は、その配列が、同一であるか、または生物学的活性を実質的に弱めない一つ以上のアミノ酸の改変(欠失、付加、置換)により異なることを意味する。ヒトGM−CSFの間で、ヌクレオチド配列およびアミノ酸(amino add)の不均質性が、観察されてきた。例えば、スレオニンおよびイソロイシンの両者が、アミノ酸配列のN末端位置に関してGM−CSFの100位で観察されてきた。Schrimsherら著、Biochem.J.、1987年、第247巻、p.195も、80位のメチオニン残基がイソロイシン残基で置換されているヒトGM−CSF変異体を開示している。マウスおよびテナガザルおよびラットのような他の種のGM−CSF(テナガザルのGM−CSFは3つのみのメチオニンを含む)も、本発明によって予想される。原核生物の発現システムにおいて産生される組換えGM−CSFは、当該分野で周知の通り、さらなるN末端のメチオニン残基を含み得る。上記の実質的な同一性要件を満たす任意のGM−CSFが、グリコシル化されようと(即ち、天然の供給源由来または原核生物の発現システム由来であろうと)グリコシル化されなかろうと(即ち、真核生物の発現システムまたは化学合成由来であろうと)含まれる。
【0065】
本発明における使用のためのGM−CSFが、天然の供給源から得られ得る(米国特許第4,438,032;Gassonら著、前出;Burgessら著、前出;Sparrowら著、Wuら著、前出)。実質的に同一のアミノ酸配列、並びに天然に存在するGM−CSFの活性を有するGM−CSFが、本発明で用いられ得る。GM−CSFの相補的なDNA(cDNA)が、多くの研究室(例えば、Goughら著、Nature、1984年、第309巻、p.763(マウス);Leeら著、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1985年、第82巻、p.4360(ヒト);Wongら著、Science、1985年、第228巻、p.810(ヒトおよびテナガザル);Cantrellら著、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1985年、第82巻、p.6250(ヒト)、Goughら著、Nature、1984年、第309巻、p.763(マウス);Wongら著、Science、1985年、第228巻、p.810(ヒトおよびテナガザル);Cantrellら著、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、1985年、第82巻、p.6250(ヒト))により、クローン化され、そして配列が読まれてきた。
【0066】
GM−CSFは、ワシントン州シアトルのImmunex、Inc. およびニュージャージー州ケニルワースのSchering−Plough Corporationから、並びにマサチューセッツ州ボストンのGenzyme Corporationからも得られ得る。
【0067】
本発明の有利な実施形態では、テモゾロミドが、本明細書中に教示される方法に従って抗催吐剤と組み合わせて、投与され得る。パロノセトロン、トロピセトロン、オンダンセトロン、グラニセトロン、ベメセトロンまたは前述の非常に選択的な作用物質のうちの少なくとも二つのくみあわせが、抗催吐剤として働く5HT受容体拮抗薬として用いられる。この点について、一回の投薬単位における活性な抗催吐物質の量は、2〜10mgに達することが好ましく、そして、5〜8mgという一回の投薬単位における活性物質の量が、特に好ましい。一日の用量は、一般的に2〜20mgという活性物質の量を含み、特に好ましいのは、5〜16mgという活性物質の量である。本発明の方法では、アプレピタント(aprepitant)のようなNK−1拮抗薬(ニューロキニン−1拮抗薬)は、単独でまたはデキサメタゾンのようなステロイドと組み合わせても、5HT受容体拮抗薬と共にまたは5HT受容体拮抗薬なしで用いら得る。必要である場合に、当業者は、その要件に従って、一回の投薬単位における活性物質および毎日の用量のレベルを変化させる方法を知る。体重、全体の構成、上記処置に対する応答などのような、上記方法を決定する因子は、必要な場合に、状況に応じて反応するために、かつ一回の投薬単位における活性物質の量を調整するかまたは一日の用量を調整するために、当業者により持続的にモニタリングされ得る。
【0068】
さらなる別の実施形態によると、テモゾロミドが、本明細書中に教示される方法を用いてファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤と組み合わせて投与される。
【0069】
別の実施形態によると、テモゾロミドは、別の抗催吐剤と共に投与され得る。他の有用な抗腫瘍剤の非制限的な例としては、ウラシルマスタード、クロルメチン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオフォスフォラミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、メトトレキサート、5−フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、リン酸フルダラビン、ペントスタチン、ゲムシタビン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、パクリタキセル、ミトラマイシン、デオキシコフォルマイシン、マイトマイシンC、L−アスパラギナーゼ、インターフェロン、エトポシド、テニポシド 17.アルファ.−エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストステロン、プレドニゾン、フルオキシメステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、テストラクトン、酢酸メゲストロール、タモキシフェン、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ロイプロリド、フルタミド、トレミフェン、ゴセレリン、シスプラチン、カルボプラチン、ヒドロキシウレア、アムサクリン、プロカルバジン、ミトタン、ミトキサントロン、レバミゾール、ナベルベン(Navelbene)、アナストラゾール、レトラゾール(Letrazole)、カペシタビン(Capecitabine)、レロキサフィン(Reloxafine)、ドロキシフェン(Droloxafine)、ヘキサメチルメラミン、オキサリプラチン(Eloxatin)(登録商標)、イレッサ(ゲフィチニブ、Zd1839)、ゼローデ(登録商標)(カペシタビン)、Tarceva(登録商標)(エルロチニブ)、アザシチジン(5−アザシチジン;5−AzaC)、並びにこれらの混合物をが挙げられる。
【0070】
テモゾロミドは、米国特許第5,824,346号、米国特許第5,939,098号、米国特許第5,942,247号、米国特許第6,096,757号、米国特許第6,251,886号、米国特許第6,316,462号、米国特許第6,333,333号、米国特許第6,346,524号、および米国特許第6,703,400号に開示されているような他の抗癌剤と共に投与され得、それらの特許文献は全て、参考として援用される。
【実施例】
【0071】
(実験)
一連の実験に基づく研究は下記の通りに行われた。
【0072】
(コロニー形成アッセイ)
以下に詳述される通り、インビトロコロニー形成アッセイにおけるDAOYヒトグリオーム細胞(高いMGMTレベル)、A375ヒトメラノーマ細胞(高いMGMTレベル)およびLOXヒトメラノーマ細胞(低いMGMTレベル)をTMZの異なる投薬計画により処理した。簡単にいうと、細胞(DAOY、A375、またはLOX)を含む未だコンフルエントではない(sub−confluent)プレートを6穴プレートに播種する前に、トリプシン処理し、次いですすぎ、そして、適切な培養培地に懸濁した。細胞を18〜24時間、37℃で、細胞が接着することを可能にするまでインキュベートした。段階的な濃度のTMZ、または同量の容量の希釈物を三連で添加した。TMZの各パルスを24時間続けた。例えば、連続的な毎日のTMZの投与を受けている細胞をTMZ含有培地で、24時間毎に、上記の周期を通じて処理した。一つの周期におけるTMZの最後のpulseの後に、TMZ含有培地を除去し、そして上記のインキュベーション期間の残りの期間、TMZを含まない新しい培地と交換した。生じたコロニーをクリスタルバイオレッド溶液で染色し、次いでImagePro plus software(Empire Imaging Systems、Inc.Asbury、N.J.)で定量化した。
【0073】
(DAOYヒトグリオーム細胞株(高いMGMTレベル))
図1に図示される通り、コロニー形成アッセイを行い、それによってDAOYヒトグリオーム細胞(高いMGMT)を4日周期において、以下の二つの異なる、TMZの投薬計画のうちの一つに従って処理した:(i)連続的な毎日の投薬(即ち、連続した4日間;1〜4日目に毎日投与した全量の1/4);または(ii)単一パルス投薬(即ち、1日における;1日目に投与した全量);ここで、投与するTMZの全量を、0μg、93μg、186μg、373μg、または746μgとした。簡潔にいうと、単一パルス投薬の、186μg、373μg、および746μgという全体のTMZレベルにおける、連続的な毎日の投薬よりも優れたコロニー形成に対する阻害を実証した。
【0074】
(A375ヒトメラノーマ細胞株(高いMGMTレベル))
図2に図示される通り、コロニー形成アッセイを行い、それによってA375ヒトメラノーマ細胞(高いMGMT)を4日周期において、以下の二つの異なるTMZの投薬計画のうちの一つに従って処理した:(i)連続的な毎日の投薬(1〜4日目);または(ii)単一パルス投薬(1日目);ここで、投与するTMZの全量を、0μg、62μg、124μg、249μg、または497μgとした。興味深いことに、A375ヒトメラノーマ細胞において、DAOYヒトグリオーム細胞と類似する応答のパターンを観察した。TMZによる用量依存的な阻害をTMZの投与計画の両者を用いて実証したが、単一パルス投薬は、62μg、124μg、249μg、497μgという全TMZレベルにおいて、連続的な毎日の投薬よりも優れたコロニー形成阻害を生じた。
【0075】
(LOXヒトメラノーマ細胞株(低いMGMTレベル))
図3Aおよび図3Bに図示される通り、コロニー形成アッセイを行い、それによってLOXヒトメラノーマ細胞(低いMGMT)を4日周期(図3A)または8日周期(図3B)のいずれかにわたるTMZの投薬計画により処理した。
【0076】
4日周期において、図3Aに図示される通り、TMZを以下の二つの異なる投薬計画のうちの一つに従って投与した:(i)連続的な毎日の投薬(1〜4日目);または(ii)単一パルス投薬(1日目);ここで、投与するTMZの全量を0μg、16μg、31μg、62μg、または124μgとした。単一パルス投薬は、連続的な毎日の投薬よりも優れたコロニー形成阻害を示した。
【0077】
8日周期において、図3Bに図示される通り、TMZを以下の三つの異なる投薬計画のうちの一つに従って投与した:(i)連続的な毎日の投薬(1〜8日目);(ii)連続した2日間(1〜2日目)の投薬;または(ii)2日間(1日目、5日目)の断続的な投与;ここで、投与するTMZの全量を0μg、31μg、62μg、124μg、または248μgとした。2日間の断続的な投薬は、連続的な毎日の投薬よりも優れたコロニー形成阻害を示した。さらに、2日間の断続的な投薬は、TMZの同じ全用量における連続した2日間の投薬よりも優れたコロニー形成阻害を示した。
【0078】
(MGMTアッセイ)
以下に詳述される通り、A375ヒトメラノーマ細胞中のMGMTの酵素活性およびタンパク質レベルを、TMZの異なる濃度レベル(0μg、10μg、40μg、および160μg)での以下のいずれかの期間における処理の後に決定した:(i)72時間のTMZ処理;または(ii)72時間のTMZ処理に続いて、TMZ処理をしないでさらに72時間。
【0079】
(MGMTの酵素活性アッセイ)
簡単にいうと、H−メチル化されたDNA基質を子ウシの胸腺DNAから調製した。この基質を50μgの細胞抽出液と共に、37℃で45分間インキュベートした。MGMTタンパク質への放射能の完全な転移の後、過剰のDNAを加水分解し、そして、トリクロロ酢酸(TCA)で洗浄した。MGMTタンパク質へ転移された放射能をシンチレーション計数により測定した。
【0080】
図4Aに図示される通り、A375メラノーマ細胞中のMGMTの酵素活性のレベルを、TMZの異なる濃度レベル(0mM、10mM、40mM、および160mM)での処理の後に測定した。72時間のTMZの処理は、用量依存的なMGMTの減少を引き起こした。さらに、MGMT活性の減少が薬物処理の除去後にどのくらいの期間持続するか評価するために、酵素活性を72時間の処理の後に洗浄し、そしてTMZを含まない培地中にてさらに72時間維持した細胞の対応するセットについても測定した。興味深いことに、上記の酵素活性は、用量依存的な様式で薬物除去後の72時間減少されたままであった。このことは、高用量のTMZのパルス処理は、MGMTのレベルに対して長期間の効果を有することを示す。また、このことは、これらの細胞におけるTMZ処理のさらなる用量が、TMZの細胞毒性を増強し得ることを示す。
【0081】
(MGMTのウェスタンブロット)
腫瘍細胞(5×10)を、10ml(90%DMEM(GIBCO、N.Y.)と10%のウシ胎児血清)を含む100mm×20mm培養プレート内に、播種した。細胞を、増加する濃度のTMZまたは同量の容量の希釈物で処理した。処理後の様々な時期において、全細胞溶解産物を、10mMのTris−HCl(pH7.5)と、10mMのNaHPO/NaHPOと、130mMのNaClと、1%のTriton X−100と、10mMのPPi(BD Biosciences Pharmingen)とを含む溶液中に、調製した。全タンパク質のうちの等量を、4〜12%のSDS−ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動し、そして、ポリビニリデンジフルオリド(polyvinylidene defluoride)膜へ電気的な転写を行った。上記のブロットを、Tris緩衝化生理食塩水(TBS)中5%脱脂粉乳でブロッキングし、そして、MGMTに対する特異的抗体(BD Bioscience Pharmingen)、または内部の対照としてのGAPDH(USBiological)に対する抗体でプローブした。
【0082】
図4Bに示される通り、A375メラノーマ細胞中のMGMTタンパク質のレベルを、異なる濃度レベル(0μM、10μM、40μM、160μM)でのTMZ処理の後に、ウェスタンブロットにより測定した。レーン1〜4は、72時間のTMZ処理の後に調製した細胞溶解産物を表す。レーン5〜8は、72時間のTMZ処理に続くTMZ処理をしないでさらに72時間の後に調製した細胞溶解産物を表す。検出したMGMTタンパク質レベルは、図4Aに記載されている同様に処理した細胞について測定したMGMT特異的活性のレベルと相関した。両者のアッセイにより、MGMTタンパク質レベルの用量依存的な減少を検出した。
【0083】
(インビボの研究)
以下に詳述される通り、TMZの異なる投薬計画を、DAOYヒトグリオーム細胞(高いMGMTレベル)、A375ヒトメラノーマ細胞(高いMGMTレベル)、並びにLOXヒトメラノーマ細胞(低いMGMTレベル)を用いて形成した異種移植片腫瘍において評価した。
【0084】
簡単にいうと、Charles River Laboratoriesからの、メスの無胸腺ヌードマウスまたはメスのSCIDマウス(4〜6週齢)をVAF障壁施設内で維持した。動物の操作を、実験動物の世話および使用のためのN.I.H.ガイドに説かれた規則に従って行った。
【0085】
DAOYヒトグリオーム細胞(5×10)、LOXヒトメラノーマ細胞(5×10)、およびA375ヒトメラノーマ細胞(5×10)を、上記動物の右側腹部に皮下接種した(SCIDマウスにおいてはLOX;ヌードマウスにおいてはDAOYおよびA375)。インビボでの増殖を促進するため、接種前にmatrigelをDAOY細胞(50%)およびA375細胞(50%)に混合した。腫瘍体積がおよび100mmになったとき、動物を無作為化し、そして群に分けた(n=10)。腫瘍体積および体重を、一週間当り二回、LabcatTM computer application(Innovative Programing Associates、N.J.)を用いて測定した。腫瘍体積を、式(W×L×H)×π×1/6により算出した。
【0086】
TMZを、腹腔内注射により、媒体としての20%HPβCD(1%DMSOを含む)とともに投与した。DAOYヒトグリオーム細胞、即ち高いMGMTレベルの細胞株の異種移植片腫瘍を保有するマウスを、三つの異なる投薬計画のうちの一つにより処置した。15日周期において、同一の全用量レベルで、マウスに以下のTMZ処置の一つを施した:(i)1日目から15日目まで;(ii)1日目から5日目まで;または(iii)断続的に、1日目、4日目、7日目、10日目および13日目。全ての投薬計画について、三つの異なる用量レベル(180、270、および405mg/kg全量)を用いた。
【0087】
A375ヒトメラノーマ細胞、即ち高いMGMTレベルの細胞株の異種移植片腫瘍を保有するマウスを、三つの異なる投薬計画により処置した。DAOYモデルについての上記計画に類似して、15日周期において、同一の全用量レベルで、マウスに以下のTMZ処置のうちの一つを施した:(i)1日目から15日目まで;(ii)1日目から5日目まで;または(iii)断続的に、1日目、4日目、7日目、10日目および13日目。全ての投薬計画について、三つの異なる用量レベル(180mg/kg全量、270mg/kg全量、および405mg/kg全量)を用いた。
【0088】
LOXヒトメラノーマ細胞、即ち低いMGMTレベルの細胞株の異種移植片腫瘍を保有するマウスを、二つの異なる計画を用いて、TMZで処置した。同一の全用量を、以下のいずれかの過程において、均等に分割して投与した:(i)4日間または(ii)12日間。TMZを、腹腔内注射により、36mg/kg、72mg/kg、または144mg/kgという累積的な全用量レベルを用いて投与した。
【0089】
図5に図示される通り、DAOYヒトグリオーム細胞、即ち高いMGMTレベルの細胞株の異種移植片腫瘍を保有するヌードマウスを、TMZについての三つの異なる計画により、用量依存的な様式で処置した。図5Aは、連続した毎日の投薬の15日周期を2回連続(1日目〜15日目(第一周期)、16日目〜30日目(第二周期))でTMZ処置した後の、DAOYヒトグリオーム異種移植片腫瘍の平均増殖曲線を図示する;ここで、投与するTMZの全用量は、0mg/kg(mpk)、360mg/kg(mpk)、540mg/kg(mpk)、または810mg/kg(mpk)とした。図5Bは、連続的な毎日の投薬(1〜5日目(第一周期))、16〜20日目(第二周期))という二つの連続した5日周期のTMZ処置の後の、DAOYヒトグリオーム異種移植片腫瘍の平均増殖曲線を図示する;ここで、投与するTMZの全用量は、0mpk、360mpk、540mpk、または810mpkとした。図5Cは、断続的な5日間の投薬の15日周期を二回連続(1日目、4日目、7日目、10日目、13日目(第一周期));16日目、19日目、22日目、25日目、28日目(第二周期))でTMZ処置の後の、DAOYヒトグリオーム異種移植片腫瘍の平均増殖曲線を図示する;ここで、投与するTMZの全用量は、0mpk、360mpk、540mpk、または810mpkとした。顕著に、上記の処理期間における各処置群の平均腫瘍体積を表している。この腫瘍モデルでは、連続した5日間の投薬と5日間の断続的な投薬の両者が、連続した毎日の投薬計画(1〜15日目)よりも優れた腫瘍増殖阻害を示した。実際、腫瘍の退縮は、連続した5日間の投薬計画における二つのTMZの高用量レベルのうちのいずれか(53または81mg/kg/日)による処置、並びに断続的な投薬計画における最高用量レベルのTMZ(81mg/kg/日)による処置のただ一周期の後に起こった。
【0090】
図6に図示される通り、A375ヒトメラノーマ細胞、即ち高いMGMTの細胞株の異種移植片腫瘍を保有するヌードマウスを、上記のDAOYヒトグリオーム異種移植片腫瘍についての実験の中のマウスと同じ投薬計画により処置した。A375ヒトメラノーマ異種移植片腫瘍において、DAOYグリオーム異種移植片腫瘍におけるパターンと類似のパターンを観察した。顕著に、断続的な投薬計画(1日目、4日目、7日目、10日目、13日目)における二つの高用量レベル、並びに連続した5日間(1〜5日目)の投薬における最高用量レベルは、連続した毎日の投薬計画(1〜15日目)における同等な用量レベルよりも有意に優れた効果を生じた。
【0091】
図7に図示される通り、LOXメラノーマ細胞、即ち、低いMGMTの細胞株の異種移植片腫瘍を保有するSCIDマウスを、12日周期の以下の二つの異なる投薬計画により処置した:(i)連続した4日間(1〜4日目)の投薬;または(ii)連続的な毎日の投薬(1〜12日目)。中間の用量(72mg/kg)において、4日間の処置計画は、12日間の計画(50%TGI)よりも有意に優れた効果(88%TGI)を誘導した。反対に、高用量レベルおよび低用量レベルにおいて、統計学的な差異は認められなかった。TMZの効果は計画に依存しており、さらに、連続4日間投薬した場合に、より優れた効果が認められた。
【0092】
(腫瘍中のMGMTの酵素活性)
簡単にいうと、81mg/kgのTMZまたは媒体のいずれかで、連続5日間、処理した三つのDAOY腫瘍を、マウスから回収した。各腫瘍を均質化し、そして処理の後にMGMTの酵素活性用の調製を行った。処理していないDAOY細胞から測定したMGMT活性も、対照として含めた。
【0093】
図8に図示される通り、細胞培養物から得たDAOY細胞と比較して、類似したMGMT活性レベルを有する媒体で処理した腫瘍と異なり、TMZで連続5日間処置した腫瘍については、ほとんどMGMT活性を検出しなかった。
【0094】
(要約)
前述の実験から得たデータのサブセットを、説明の便宜の目的のために、図9〜22において再度図表で表した。さらに、以下の表3〜5は、同一のデータのサブセットを要約する。
【0095】
(表3)
(コロニー形成アッセイ)
【0096】
【表5】

(表4)
(DAOYヒトグリオーム異種移植片腫瘍モデル)
【0097】
【表6】

(表5)
(A375およびLOXヒトメラノーマ異種移植片腫瘍モデル)
【0098】
【表7】

本発明者らは、これらの実験により、異種移植片腫瘍モデルにおいて調べた通り、増加させたTMZの全用量を用いた投薬計画が、高いレベルのMGMTを含む腫瘍細胞株における細胞増殖を阻害するという点で、より効果的であることを実証していると結論づける。とりわけ、上昇させた用量強度(即ち、1という用量強度より大きい)と相関するTMZの投薬計画は、高いレベルのMGMTを有する細胞株に由来する異種移植片における腫瘍細胞の増殖を阻害するという点で、標準用量強度(即ち、1という用量強度)よりも効果的である。
【0099】
本発明の一定の現在好ましい実施形態が本明細書中に記載されているが、記載された実施形態の変化および改変が本発明の精神および範囲から逸脱しないで行われ得ることは、当業者にとって明白であり得る。従って、本発明は添付された特許請求の範囲により要求される範囲にのみ限定されることが、意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−121960(P2011−121960A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3480(P2011−3480)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【分割の表示】特願2007−540176(P2007−540176)の分割
【原出願日】平成17年11月7日(2005.11.7)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】