説明

患者を乗せたまま土間と床上の段差をクリアする段差昇降車椅子。

【課題】患者を乗せたまま土間と床上の段差をクリアする段差昇降車椅子を提供する。
【解決手段】前輪2と後輪の間の空間に中輪5を設ける。後輪と中輪5は前輪2の半径程度の大きさの輪として、更にバランスと安全のために、後輪の後ろに引き出し棒10と支えゴマ6を設けて引き出し、上下レバー7を下げて中輪5を押し出して、これを支点に前輪2を浮かせて、まず前輪2を床上に上げてからブレーキを掛けて中輪を収納する。収納すれば中輪5を床上まで押し上げると重心は床上に移る。続いて後輪を押し上げる。ここで引き出し棒10を収納すれば床上の前輪駆動車椅子になる。降りる時はほぼ逆の手順で降りる。このように床上と土間は段差昇降車椅子で直接昇降ができる機能をもたせる。

【発明の詳細な説明】
【技術の分野】
【0001】
通常の車椅子のハンドリングの後輪を前輪に使い前輪駆動車とする。前輪と後輪との空間を埋める上下に出し入れのできる中輪を設けて、これをレバーで出してシーソー支点にして手押しハンドルを下げると前輪が持ち上がる。前輪が床上に上がるまで押して、ブレーキを掛けて出した中輪を収納してからブレーキを解き、更に押すと前輪と中輪だけに床上で重心が移動する。バランスと安全性を図るための引き出し棒にゴマを設けて、押すだけで一般住宅の土間と床上の段差を昇降できる車椅子にした。右折や左折にはハンドリングで後輪軸のバネと長穴を斜めにすることで曲がるようにした。この土間から床上に、床上から土間に直接車椅子で段差はクリアのすることに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車椅子は前輪がキャスターが小さいため少しの段差でも乗り越えるためにはバイアフリーやスロープの設備が必要であった。公共施設などには長いスロープも見かけるようになったが、日本の家屋では玄関も狭く土間と床上の段差が40センチにもなる。エレベーター式の段差昇降機やスロープなどもあるが常備するスペースもなく一々取り外しの必要があった。高齢化社会なのに車椅子で行きたい所にも行けず、行くにはまず車椅子で行けるか下見がいって不便であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
車椅子での訪問先には段差があると行けなかった。狭い玄関ではスロープは常備できない。長期の車椅子患者のいる家庭では毎日の段差のクリアガ大変な作業であった。そこでスロープなしで玄関から車椅子だけで直接昇降できないか。庭から縁側へ直接昇降ができないか。段差の心配はいらない車椅子があれば行きたい所に行ける。このような多くの課題があっため本段差昇降車椅子で解決を図った。
【課題を解決するための手段】
【0004】
僅かな段差でも従来の車椅子では越えるのが大変であった。出先での大きな段差のあるところへは立ち寄れなかった。障害者には身体の一部である車椅子は段差の問題がつきまとう。これを解決するには車椅子に段差解消装置を取り付けるしかない。この解決をしたのが段差昇降車椅子(1)である。既存の車椅子を改善して前輪(2)と後輪(4)の位置を変え、その透き間を埋め上下する中輪(5)と安定性を保つ引き出し棒(10)と支えゴマ(6)を追加するだけで、ブロック2枚の高さはこの車椅子だけでクリアできるようにした。このような機能に構成にした。
【発明の効果】
【0005】
追加の車輪の上げ下げや出し入れは簡単にした。住宅の玄関スロープがなくても40センチの高低差の段差の昇降は車椅子だけで可能にした。この段差昇降車椅子で知らない出先にも安心して出かけられる。それぞれの追加車輪を収納すれば前輪駆動の自走式車椅子になる。前輪のハンドリングで舵を取れば後輪の車軸位置がずれて自在に曲がれるようにした。全長は既存の車椅子と合わせてられる。前輪駆動だから腕や肩にも負担が掛からず走行姿勢もよく疲れも少なして高齢者や女性にも楽に乗れるようにした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明を実施するための昇降手順について説明する。
既存の車椅子では後輪ハンドリングだったが、段差昇降車椅子では前輪駆動のハンドリング(3)で走行する。前輪(2)が大きいために敷居など少々の段差では、搭乗者だけで乗り越えられる。極端に段差のある場合は、車椅子は前向きにタイヤを添えて後輪(4)に収まっている引き出し棒(10)を引き出し棒ピン(9)で止めて支えゴマ(6)を固定する。次に中輪(5)縦押し棒(11)の上下レバー(7)下げてから押し棒ストッパー(8)まで中輪(5)を下ろす。手押しハンドル(14)を押し下げることで、中輪(5)を支点にシーソー状態になり前輪(2)が浮き上がり(図2)前に押すと前輪(2)が床上に上がるので確認をしてからブレーキを掛け、中輪(5)の上下レバー(7)を上げて収納する。ブレーキを解き中輪(5)を床上に押し上げると搭乗者と車椅子の重心は床上に移動する(図4)。更に後輪(4)も手押しハンドル(14)で押して床上に上げる。床上に上がると引き出し棒(10)と支えゴマ(6)を収納する。これで前輪駆動の車椅子(図1)になり床上で走行ができる。床上より降りる場合は後ろ向きに引き出し棒(10)を出して、引き出し棒ピン(9)で止め、次に後輪(4)を床上より下ろして、中輪(5)をまで下ろしたら(図3)ブレーキを掛けて、ここで上下レバー(7)で縦押し棒(11)を出して中輪(5)を下げてから、ブレーキを解き前輪(2)をゆっくり下げる(図2)。中輪(5)がシーソー支点になるまで下がれば、上下レバー(7)を上げて前輪(2)と後輪(4)が着地すれば引き出し棒(10)を収納する。これで土間での前輪駆動の車椅子(図1)に戻る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】 段差昇降車椅子の前輪駆動の側面図である。
【図2】 段差昇降車椅子の前輪床上角位置の側面図である。
【図3】 段差昇降車椅子の中輪床上角位置の側面図である。
【図4】 段差昇降車椅子の後輪床上角位置の側面図である。
【図5】 段差昇降車椅子の後面図である。
【図6】 段差昇降車椅子の正面図である。
【図7】 段差昇降車椅子の骨組み図と後輪車軸部分の斜視図である。※ 図面は木製図であるが硬質樹脂製及び金属製にも変更ができる。
【符号の説明】
【0008】
1 段差昇降車椅子
2 前輪
3 ハンドリング
4 後輪
5 中輪
6 支えゴマ
7 上下レバー
8 押し棒ストッパー
9 引き出し棒ピン
10 引き出し棒
11 縦押し棒
12 後輪長穴
13 方向バネ
14 手押しハンドル
15 枕
16 背もたれ
17 座盤
18 足置き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車椅子用のスロープがなくても、患者を乗せたままで介助者により直接住宅の土間から床上に上がれる段差昇降車椅子(1)。日ごろは前輪駆動の車椅子として使用ができる。既存の自走式車椅子ハンドリングつきの後輪を段差昇降車椅子(1)では前輪駆動車として使用する(図1)。前輪(2)から後輪(4)までの全長は既存の車椅子と同サイズにして、この前輪(2)と後輪(4)の間の空間を埋めるために上下に出し入れのできる中輪(5)を設ける(図1)。これを縦押し棒(11)に取り付け出す長さは高低差により調整をする(図2)。更に車椅子の底部には後輪(4)内に収納のできる引き出し棒(10)と支えゴマ(6)も設ける。この後輪(4)と中輪(5)の大きさは前輪(2)のほぼ半径程度として、前輪(2)と中輪(5)と後輪(4)を順番に渡せるようにする。引き出し棒(10)の長さは車椅子の足置き(18)を除いた位置から後輪(4)の末端までの底辺全長とし、引き出すのはこの内の半分程度で、残された半分の長さで重量を支える(図2)。これらの車輪を前輪(2)から順番に送りながら(図3)(図4)段差の昇降を可能にする。
【請求項2】
昇降時に床に傷をつけないため接地点はタイヤを用い、介助者は手押しハンドル(14)を押すだけで持ち上げる必要はない。段差昇降車椅子(1)の搭乗者はハンドリング(3)で昇降を加勢をする。車輪の接点と床上角の接点は車輪半径の2/3以下の高低差であれば車輪の回転で容易に昇ることができる。引き出し棒(10)の支えゴマ(6)を引き出し、中輪(5)を上下レバー(7)で縦押し棒(11)を下げると押し棒ストッパー(8)が掛かる。介助者は手押しハンドル(14)を押さえることでシーソー状態となり中輪(5)を支点として前輪(2)は浮き上がる。これと同時に後輪(4)も浮き上がることになる(図2)。この時に車椅子は、この中輪(5)と支えゴマ(6)だけが着地し(図2)重量を支えることになる。浮き上がった前輪(2)を床上の角に当て押し上げる。この昇降時の操作に引き出し棒(10)と支えゴマ(6)は搭乗者の重心移動の安定や昇降角度の安全性を図る役目を果たす。
【請求項3】
車椅子の前輪(2)を大きくし前輪駆動にすることで、従来は越せなかった、やや高い段差も前輪駆動では越せるようになる。更に高い段差を昇降するためには前項の手順で床上に前輪(2)が上がれば(図3)ブレーキを掛けて上下レバー(7)を上げて収納した後、ブレーキを解いて中輪(5)まで押し上げる。中輪(5)が床上に上がれば搭乗者と車椅子の重心は床上に移動する(図4)。更に後輪(4)を押し上げれば、中輪(5)は床面より少し浮き上がり空転状態になる(図1)。ここで後輪(4)の後ろに引き出し棒(10)を収納すると床上で前輪駆動の車椅子に戻る(図1)。
【請求項4】
後輪(4)の左右の車輪は片側二枚づつの車輪にして合計4枚となる。前輪(2)のハンドリング(3)で右折、左折に舵を切ることで、後輪(4)の車軸穴は両側で遊びのある長穴にして、この後輪長穴(12)は後部になるほどやや低くなるように角度をつける。方向バネ(13)で前方に引き寄せておくようにするが、曲がるときは外回りになる車軸の方向バネ(13)が伸びて、内回りの車軸の方向バネ(13)は引っ張ったままの状態になる。これで外回りの車輪の軸は長穴の後部に移り下がるので外側の車輪は高くなり荷重が掛かる状態になる。これにより内回りの車輪より外回りの車輪軸の移動で円周も長くる(図7の後輪車軸部分図)。これで外側の車輪に荷重を掛けることで空回いを防ぎ内側に曲がるようになる。ブレーキは既存の車椅子の器具を使用する。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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