説明

患者モニタリングおよび薬剤投与システム、およびその使用方法

【課題】患者モニタリング(監視)および薬剤投与システム、より詳しくは、医療手技の能率を高めるための方法および装置を提供する。
【解決手段】診断、手術、またはその他の医療手技の間に用いられる患者モニタリングおよび薬剤投与システムおよび関連する方法が開示される。本発明の機能性によって、多くの時間を費やす困難な作業を最小にすることまたは時間が特に重要ではない手技の部分に移すことができる。本発明は、システム全体の構成および設計を2つの別個のユニットにすることで、患者ケア施設での能率を高めることができる。患者ユニット10は、患者モニタリング接続部からの入力信号を受け取り、受け取った信号を手技ユニットへ出力する。手技ユニット12は、医療手技中に動作し、患者への薬剤の投与を制御する。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔関連出願に対するクロス−リファレンス〕
本出願は、その内容の全体が本明細書で参照文献として引用される2003年3月4日に出願された米国仮特許出願第60/451,860号の優先権を主張している。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、大まかに言って患者モニタリング(監視)および薬剤投与システムに関し、より詳しく言うと、医療手技の能率を高めるための方法および装置に関する。
【0003】
〔背景技術〕
患者モニタリングシステムは、典型的には、診断手技または手術手技の間に患者の生理的パラメーターをモニタリングするために用いられる。さまざまな患者モニタリングシステムが、痛みを伴うまたは不安を引き起こす手技の間に投与される鎮痛薬または健忘薬(amnestic drug)の影響下にある患者をモニタリングする目的のみのために用いられてきた。正確かつ信頼性が高く患者をモニタリングできると共に容易に使えるモニタリングシステムが望まれている。
【0004】
残念なことに、既知のモニタリングシステムはいくつかの不利益をこうむっている。関連分野のモニタリングシステムは、通常2つのカテゴリー、すなわち、複数のデータを収集し典型的には手術中に用いられる高性能の多機能モニター、および、手術前(pre-procedure)の領域および回復の領域で典型的には用いられる基本的な生理的データのみを収集する小型で限定された機能のモニターに分類される。非能率さは、患者があるモニタリングシステムを取り外されて、手術室に移された後に、手術手技中にさらに重要な情報を提供するより頑健なモニタリングシステムを取り付けられるときに起こる。患者から複数の生理的データを獲得するプローブを取り付けおよび取り外すプロセスは、時間を費やす作業を追加し、非能率性を引き起こし、その結果全医療手技または手術手技全体をより長くする。
【0005】
能率を高める患者ケアシステムが多くの患者ケア施設で必要とされている。患者ケア施設では、能率を高めて与えられた一日でできるだけ多くのケースを安全に実施することが望まれている。多くの患者ケア施設では、手術室で臨床医が必要とする時間の量の最小化に関する能率の改善にもっとも大きな障害が見出されている。医者が与えられた一日で取り扱える症例数は、患者が手術室内にいる時間の量にある程度限定される。個々の手術を完了するのに必要な時間の量は、ある程度固定されていて、臨床医の技量および経験に基づいている。しかし、手術前手技および手術後手技の臨床的な実践には改良を加える余地がある。
【0006】
手術前の手技室では典型的には、看護師または専門技術者がこれから行われる手術のために患者に準備を施す。この準備には、手術に用いられるベースラインのデータを得る目的で患者にモニターを取り付けることが含まれている場合もある。一般に用いられるモニターには、血圧(収縮期血圧、拡張期血圧、および平均動脈血圧)、典型的には赤外線拡散センサーを用いて患者の動脈の酸素飽和度および心拍数を測定するパルスオキシメトリー(pulse oximetry)が含まれている。血圧の読み取り値は一般的に血圧カフを用いて得られる。看護師または専門技術者は血圧カフを患者の腕の周りに固定して球根形の装置を用いてポンプ作用で空気を血圧カフに送り込まなければならない。血圧カフからの読み取り値が安定すると、看護師または専門技術者は、通常は一枚の紙に手書きで、その読み取り値を手作業で記録し、後に手術中に参照できるようにするため、結局は患者の報告書のために、この情報(読み取り値)を保存しなければならない。看護師または専門技術者は、パルス酸素濃度計(pulse oximeter)から読み取り値を得るために、パルス酸素濃度計モジュールを起動し、パルス酸素濃度計プローブを患者に取り付け、患者からの読み取り値を得なければならない。この読み取り値も後に用いるために紙片に記録されなければならない。患者が手術のための準備が整ったと判定されると、看護師または技術者は、血圧カフおよびパルス酸素濃度計プローブを患者から取り外して、患者を手術前準備室から手術室へ移動できるようにしなければならない。
【0007】
患者が手術室に移されて手術が始められるようになる前に、いくつかの作業が患者に手術の準備を整えるために必要である。看護師または専門技術者は、手術が始められるようになる前に、血圧およびパルスオキシメトリーのための取り付けを患者に再度行わなければならない。血圧およびパルスオキシメシリーの他にも、例えば、カプノグラフィー、補助の酸素、および、心電図記録装置などの取り付けが必要である。大量の時間が、生理的モニターを患者に取り付けるため、そして生理的モニターをモニタリングシステムに接続するために必要とされる。看護師または専門技術者は、手術前準備室で患者に取り付けられていた生理的モニターを再度取り付けるために時間を費やさなければならない。これらの再度の取り付けのために要する時間は、貴重な手術室内での時間の一部を占め、能率を低下させる。患者が手術室にいる間にこれらのモニターの接続および再度の取り付けを最小にするまたはなくすことが明らかに必要とされている。
【0008】
センサーをモニターに接続するときに生ずることがある時間遅延の他にも、従来技術のモニタリングシステムは、ケーブルの配置に関して多くの課題を残している。多数のケーブルが患者とモニターの間に延在している。これまでは、少なくとも一つのケーブルがモニタリングされるべきパラメーターごとに設けられてきた。これらのケーブルおよびホースの配列が、患者の手術台の周りの人の動きを妨げている。ケーブルおよびホースの数が多くなるほど、誰かがケーブルまたはホースを偶発的に妨害する危険がより高くなる。手術の間に、看護師、専門技術者、および医者を含む多くの人は、周囲のケーブルを回避しながら行動する必要なしに、手術室内を移動でき患者にアクセスできなければならない。本発明は、患者とモニターの間のケーブルの数を最小にすることで、ケーブルの管理の問題を解決する。
【0009】
本発明の別の焦点は、迅速に効き目を現す鎮痛薬または健忘薬を用いて、ほとんどの手術手技の長さおよび術後の回復に必要な時間を短縮して、能率を高めることである。患者を痛みおよび不安から解放するための現在の解決法は、ピークの効き目を現すのに比較的長い時間を必要とし効き目が患者から過ぎ去るのに比較的長い時間がかかる薬剤の使用を必要とする。医者は手術手技を開始するために薬剤が十分な効き目を現すのを待たなければならない。薬剤が効き目を現すのを待つのに費やされる時間は、能率を低下させることになる浪費時間である。本発明は、能率を高めるために迅速に効き目を現す薬剤を安全にかつ高い信頼性で投与する手段を提供する。
【0010】
本発明のさらに別の焦点は、現在は臨床医によって行われているいくつかの機能を自動化して、能率を高めることである。現在の実務では、IV薬剤の投与の前に、看護師は、IVラインに捕獲されていることがある空気を、IVラインを患者につなぐ前に、IVラインから手動でガス抜きしなければならない。ガス抜きに失敗すると、空気が患者の血流中に侵入することによって患者に有害な影響が及ぼされることになる。このIVラインからのガス抜きプロセスは、かなりの長さの時間を費やし、能率を低下させる。本発明は、IVラインのガス抜きを自動化する手段を提供する。
【0011】
本発明のその他の目的および多くの意図された利点は、添付の図面と共に考慮される本発明の実施の形態の以下の詳細な説明を参照することでより良く理解されるので、容易に正しく認識されるはずである。
【0012】
〔発明の概要〕
本発明は、例えば米国特許出願公開第2002/0017296号明細書、同第2002/0017300号明細書、および同第2002/0188259号明細書に記載されているような医療手技中に、例えば、以下に限定されないが、鎮静薬(sedative drug)、鎮痛薬(analgesic drug)、または、健忘薬(amnestic drug)などの治療薬を能率よく患者に投与するための装置および方法を提供する。
【0013】
本発明の機能性によって、以下に限定されないが、時間を費やしかつ困難な多くの作業を最小にする、または、時間が特に重要ではない手技の部分へ移動する、ことができる。このために、本発明は、システム全体の構造および設計を、本明細書に記載されているように使用されると患者ケア施設での能率を高めることになる2つの別個のモニタリングユニットに物理的に分割できるようにしている。
【0014】
大まかに言って、本発明は、患者モニタリング接続部から入力信号を受け取る患者ユニットを備えたマイクロプロセッサーに基づく患者モニタリングシステムおよび薬剤投与システムである。その患者ユニットは、患者パラメーターを手技ユニットに出力し、患者パラメーターを表示するためのディスプレイスクリーンを含んでいる。手技ユニットは、医療手技の間に動作して、患者ユニットからの患者パラメーターを受け取る。手技ユニットは患者への薬剤の投与を制御する。
【0015】
本発明の別の態様は、手技中の患者記録の作成を容易にすることを指向している。現在の患者記録の作成方法は、患者の入院中に看護師によって行われる手作業での記録を含んでいる。この方法は、時間を費やし、記録の保存に誤りを生ずる可能性がある。本発明は、手技の間中に患者パラメーターをモニタリングし、データを電子的に捕獲し、看護師または専門技術者に記録保存の目的でそのデータのコピーを印刷するという選択肢を与える手段を提供する。
【0016】
本発明のさらに別の態様は、医療手技中に患者をモニタリングし少なくとも一つの薬剤を投与する方法であり、その方法は、患者の少なくとも一つの生理的パラメーターをモニタリングするために少なくとも一つのセンサーを患者に取り付ける過程と、少なくとも一つのセンサーから入力信号を受け取るための少なくとも一つの第1の接続点と患者の生理的パラメーターを出力するための少なくとも一つの第2の接続点を備えたマイクロプロセッサーに基づく患者ユニットを提供する過程と、患者ユニットに患者の身体の特性を入力する過程と、患者記録を作成する過程と、を有する。
【0017】
医療手技中に患者をモニタリングし少なくとも一つの薬剤を投与する方法の別の態様は、少なくとも一つの第2の接続点をマイクロプロセッサーに基づく手技ユニットに接続する過程と、薬ガラス瓶を収容した薬剤カセットを注入ポンプに接続する過程と、薬剤を患者に投与し医療手技を実行する過程と、少なくとも一つの第2の接続点を手技ユニットから切り離す過程と、を有する。
【0018】
上記方法のさらに別の態様は、患者の少なくとも一つの生理的な状態をモニタリングする過程と、少なくとも一つのセンサーからの入力信号を少なくとも一つの第1の接続点から切り離す過程と、患者記録の作成を終了する過程と、を有する。
【0019】
本発明の別の焦点は、好ましい実施の形態の以下の詳細な説明から明らかとなる。
【0020】
〔発明を実施するための最良の形態〕
本発明を詳細に説明する前に、本発明はその応用すなわち使用を添付の図面および説明に例示された細部の構造および部品の配置に限定されないことが理解されなければならない。本発明の例示的な実施の形態は、別の実施の形態、変形、および変更として実施されても、また、別の実施の形態、変形、および変更に組み込まれてもよく、さらに、さまざまな方法で実施または実行されてもよい。さらに、そうでないと記載されていない限り、本明細書で用いられている用語および表現は、読者の便宜を図るために本発明の例示的な実施の形態を記載する目的で選択されたもので、本発明を限定する目的で選択されたものではない。
【0021】
以下に記載される実施の形態、実施の形態の態様、例、および方法などのいずれか一つまたはいくつかは、以下に記載される別の実施の形態、実施の形態の態様、例、および方法のいずれか一つまたはいくつかと組み合わされることも理解されなければならない。
【0022】
図6のシステムブロック図は、本発明のある実施の形態のシステム構成を示している。このブロック図は、以下により詳しく記載される患者ケアシステム5のコンポーネント同士の関係を示している。手技ユニット12は、ECGモジュール36、カニューレモジュール38、バッテリー82、および蠕動性注入ポンプ72などのいくつかの一体化されたコンポーネントを含んでいる。外部酸素16および外部電源78は手技ユニット12に一体化されていないが、手技ユニット12と接続されている。蠕動性注入ポンプ72は薬剤カセットと接続されていて鎮痛薬または鎮静薬をポンプ作用で供給する。これらの鎮痛薬または鎮静薬は、IVチューブ76を通して患者へポンプ作用で供給される。臨床ユニット10および手技ユニット12に組み込まれたディスプレイに加えて、オプションのディスプレイ20が臨床医によって用いられるために利用でき、例えば、患者の生理的パラメーター、および、警報などの情報を表示する。手技ユニット12は、例えば「ブルートゥース(登録商標)(Blue Tooth)」のような無線通信装置を用いてオプションのディスプレイ20に配置された無線受信装置へ信号を送信する場合もある。連通ケーブル14は、手技ユニット12と臨床ユニット10の間のデータリンクとして働く。臨床ユニット10は、NIBPモジュール34、パルス酸素濃度計モジュール26、ARTモジュール30,32、および臨床ユニットバッテリー24などの複数の一体化された装置を含んでいる。臨床ユニット10は、以下に限定されないが、口腔鼻腔カニューレ48、ECGパッド50、NIBPカフ58、パルス酸素濃度計プローブ60、ART耳当て55、およびARTハンドピース57などの、臨床ユニット10とモニタリングされている患者との間のいくつかの接続を行えるようにしている。臨床ユニット10は、手技ユニット12と別個に、または手技ユニット12に接続されて、機能するように設計されている。
【0023】
図1に示されているように、患者ケアシステム5は、2つのモニタリングユニット、すなわち、臨床ユニット10および手技ユニット12を含んでいる。患者ケアシステム5の一つの例示的な用途は、医者による診断または手術手技を受けている間に患者パラメーターを監視(モニタリング)し、鎮静薬、鎮痛薬、および/または、健忘薬を意識のある挿管されていない自発的に肺換気を行っている患者に投与するために用いることである。この用途は、本発明の可能性のある全ての用途を網羅しているのではなく、本発明を説明するために用いられる。
【0024】
臨床ユニット10および手技ユニット12は、連通ケーブル14を介して接続されている。連通ケーブル14は、臨床ユニット10および手技ユニット12の間で電子的データおよびさまざまな液圧信号および気体を伝達するための手段を提供する。連通ケーブル14は、能率を良くするためにおよび使用者の便宜を図るために臨床ユニット10および手技ユニット12の何れからも取り外せる。臨床ユニット10および手技ユニット12は、連通ケーブル14が所定の位置に配置されていない場合には、互いに独立して自由に動かせる。これによって、各ユニットが互いに独立して動くことができるようになり、この特徴は、多量の医療手技を行い、患者をモニターにつなぐ時間がほとんどない病院でとりわけ重要である。臨床ユニット10および手技ユニット12は好ましくは、臨床医が望む場合に手術手技の間に患者に補助的な酸素を供給することが意図されている外部の酸素供給源に適応できる。IVチューブ76が、手技ユニット12に接続されて図示されていて、手術手技の間に鎮静薬または健忘薬を患者に投与する。
【0025】
図2に示されているように、臨床ユニット10は、ある部屋から別の部屋への移動にほとんど労力を要しないように小型かつ携帯可能である。ある実施の形態では、臨床ユニット10は、IVポールまたはベッドレールに据え付けられていて、これによって、臨床医は患者を移送する必要があるときにはいつでも臨床ユニット10を運ぶ負担から解放される。臨床ユニット10は看護師または専門技術者の手で保持されるよう十分に小型かつ軽量である。臨床ユニット10は、利用者が臨床タッチスクリーンアセンブリまたは簡単なキーパッド22を用いて情報を入力できるようにしている。臨床タッチスクリーンアセンブリ22は、臨床ユニット10の一つの表面に一体化されたディスプレイ装置で、患者パラメーターおよびシステムパラメーター、および装置の動作状態を表示する。例示的な臨床タッチスクリーンアセンブリ22は、サムスング(Samsung)製の5.25インチカラーLCDに取り付けられたマイクロテック(MicroTech)製の5.25インチ抵抗性タッチスクリーンである。看護または治療を行う看護師または医者は、例えば患者の体重および投薬量プロファイルなどの患者の情報を臨床タッチスクリーンアセンブリ22を用いて臨床ユニット10に入力することもある。臨床ユニットバッテリー24は、臨床ユニット10に固定して取り付けられていて、臨床ユニット10を長時間に亘って駆動できる十分な電力を供給できる、例えば、パナソニック(Panasonic)の型番LC−T122PUなどの標準的な再充電可能なバッテリーである。ある実施の形態では、臨床ユニットバッテリー24は、臨床ユニット10が連通ケーブル14によって手技ユニット12に接続されている間に充電され、または、別個の電源から直接充電される。
【0026】
図3に示されているように、臨床ユニット10は、患者の生命徴候をモニタリングし患者に補助の酸素を供給するために用いられる複数の患者センサーおよび周辺機器に接続されている場合がある。本発明のある態様は、薬剤投与を一つまたは複数の基本的な患者モニタリングシステムに一体化している。これらのシステムは、患者と接続されて、患者の生理的状態に関する電子的フィードバック情報を得る。口腔鼻腔カニューレ48は、外部の酸素供給源からの酸素を供給し、吐き出された気体のサンプルを収集する。口腔鼻腔カニューレ48は、ケーブル貫通接続部15に取り外し可能に取り付けられる。ケーブル貫通接続部15は、口腔鼻腔カニューレ48によって得られた信号を手技ユニット12内の炭酸ガス測定器(例えば、カーディオパルモナリー・テクノロジーズ(CardioPulmonary Technologies)のCO2WFA OEM)に直接送り、好ましくは連通ケーブル14(図1)を介して送る。炭酸ガス測定器は、二酸化炭素センサーによって患者の吸入/呼出の流れの二酸化炭素レベルを測定し、呼吸数も測定する。ケーブル貫通接続部15には、患者の心周期の電気的活性をモニタリングする標準的な心電計(ECG)50も接続されている。ECG50の信号は手技ユニット12に送られて処理される。
【0027】
臨床ユニット10には、パルス酸素濃度計プローブ60(例えば、ドルフィン・メディカル:Dolphin Medical)および非侵襲血圧(NIBP)カフ58も接続されている。パルス酸素濃度計プローブ60は、患者の動脈の飽和および心拍数を赤外線拡散センサーによって測定する。パルス酸素濃度計プローブ60によって回収されたデータは、パルス酸素濃度計ケーブル61によってパルス酸素濃度計モジュール26(例えば、ドルフィン・メディカル)に中継される。非侵襲血圧(NIBP)カフ58(例えば、サンテック・メディカル・インスツルメンツ(SunTech Medical Instruments)のNP92−0011−00)は、膨張可能なカフおよび必要な場合にはこれも組み込まれる空気ポンプ(例えば、サンテック・メディカル)によって、患者の動脈の収縮期血圧、拡張期血圧、および平均血圧を測定する。NIBPカフ58は、臨床ユニット10に配置されたNIBPモジュール34に取り外し可能に取り付けられている。
【0028】
患者の意識の確かさのレベルが、自動化応答テスター(ART)システムを用いて検出される。例示的なARTシステムは、本明細書に参照文献として引用される2003年9月29日に出願された米国特許出願第10/674,160号に開示されている。ARTシステムは、問い合わせ開始装置および問い合わせ応答装置を含んでいる。ARTシステムは、問い合わせ開始装置を用いて患者の注意を得、問い合わせ応答装置を駆動するように患者に命令を下すことで、動作する。問い合わせ開始装置は、問い合わせ応答装置を駆動するように患者に聴覚的な命令を与える耳当て55を介したスピーカーなどの任意のタイプの刺激であってよい。問い合わせ応答装置は、例えば、トグルスイッチまたはロッカースイッチ、または押し下げることができるボタンまたはハンドヘルドまたは患者がアクセスできるその他の可動部材の形態をとることができるハンドピース57であり、ハンドピース57は患者が応答するべき聴覚的またはその他の指令を受け取ったときに患者によって動かされまたは押される。その代わりに、振動機構がハンドピース57内に組み込まれていて、患者に問い合わせ応答装置を駆動するように行動開始の指示を与えてもよい。ある実施の形態では、問い合わせ開始装置は、円筒形のハンドヘルド装置57で、ハンドヘルド装置57が患者の手に振動を与えて応答を催促できるように小型の12V直流双方向モーターを含んでいる。
【0029】
問い合わせが開始された後、ARTシステムは、患者が問い合わせ開始装置に応答して問い合わせ応答装置を駆動するのに要した時間の長さを反映するために信号を発生する。これらの信号は、臨床ユニット10内の主論理ボードによって処理されて、臨床タッチスクリーンアセンブリ22、手技タッチスクリーンアセンブリ62(図4)、または、オプションのモニター20(図6)に表示される。患者が問い合わせに応答するのに要した時間の長さは、臨床医に患者の鎮静のレベルに関する認識を与える。ARTシステムは、2つのモジュール、すなわち、全体でARTシステムモジュール30,32と呼ばれる問い合わせ応答モジュール32および問い合わせ開始モジュール30を含んでいる。ARTシステムモジュール30,32は、問い合わせ応答装置57および問い合わせ開始装置55を動作させ臨床ユニット10に接続するのに必要な全てのハードウェアを含んでいる。
【0030】
ある実施の形態では、モニタリングモジュール26,30,32,34は、故障または技術的進歩の場合に別のモニタリングモジュールと容易に交換することができる。これらのモジュールは、それらの対応する周辺機器を動作させるのに必要な全てのハードウェアを含んでいる。上記の患者モジュールは、手技ユニット12および臨床ユニット10の各々に配置されたマイクロプロセッサーに基づく電子コントローラーまたはコンピューター(本明細書では主論理ボード:MLBとも呼ばれる。)に接続されている。電子コントローラーまたは主論理ボードは、例えば、テキサス・インスツルメンツ(Texas Instruments:例えば、XK21E)およびナショナル・セミコンダクター(National Semiconductor:例えば、HKL72)などの、市販されているさまざまな基板上のプログラマブルタイプのマイクロプロセッサー、およびその他の「チップ」、メモリデバイス、論理デバイスの組み合わせからなる。
【0031】
臨床ユニット10および手技ユニット12が連通ケーブル14によって接続されると、ECGおよびカプノグラフィーがモニタリングされ、補助の酸素が患者に供給される。しかし、好ましくは、これらの接続は能率を高めるために手術前準備室で行われる。これらの接続を手術前の準備室で行うことによって、カプノグラフィー、ECG、および手技ユニット12への補助の酸素を接続するための時間が手術室で必要なくなる。口腔鼻腔カニューレ48およびECGリード線51は、ケーブル貫通接続部15に直接接続される。ケーブル貫通接続部15は、臨床ユニット10に配置されていて、本質的には連通ケーブル14の延長部であり、ケーブル貫通接続部15によってECGリード線51および口腔鼻腔カニューレ48からの信号は臨床ユニット10をバイパスして手技ユニット12に直接送られるようになる。しかし、臨床ユニット10がECG50および口腔/鼻腔カニューレ48の信号を受け取ってそれらの信号を処理するように構成されていて、それによって手術前準備室で情報がスクリーン22上に提供され患者に補助の酸素が供給される場合もあることが当業者には明らかであろう。しかし、より多くの特徴部が臨床ユニット10に加えられるほど、携帯性がより制約される。
【0032】
今度は図3Aを参照すると、手技ユニット12と共に本発明に基づくコンソールアセンブリ410が示されている。この実施の形態では、コンソールアセンブリは、臨床ユニット10のより簡単なバージョン(変形)である。本明細書で用いられているように、用語「近位の」は、コンソールアセンブリ410を使用する装置に最も近い、したがって、コンソールアセンブリ410に接続された患者から最も遠いコンソールアセンブリ410の位置を意味する。用語「遠位の」は、コンソールアセンブリ410を使用している装置から最も遠く患者に最も近い位置を意味する。
【0033】
図3Aから図3Dに示されているように、コンソールアセンブリ410は、取り付け部412、コンソールボックス420、およびコンソールコネクタケーブル450を含んでいる。取り付け部412は、コンソールアセンブリ410を例えば患者のベッドレールまたはIVポールに水平にまたは垂直に容易に取り付けられるようにし、好ましくは、例えば、ポリカーボネートのような硬質の熱可塑性プラスチックで作られている。取り付け部412は、コンソールボックス420の近位の端部に取り付けられ、取り付けポスト414をその表面に含んでいる。取り付けポスト414は、取り付け部412を患者のベッドレールまたはIVポールにしっかりと取り付けるのを援助する。
【0034】
コンソールボックス420は、外側のケースが好ましくは例えばポリカーボネートのような硬質の熱可塑性プラスチックで作られていて、面板419およびハブ421を含んでいる。面板419は、以下に限定されないが、接着剤、機械的締結具、ねじ、および超音波溶接などの任意の取り付け手段によってハブ421に固定して取り付けられている。コンソールボックス420は、レセプタクル432をさらに含んでいる。レセプタクル432は、以下に限定されないが、パルス酸素濃度計ポート434、ECGモニターポート436、NIBPモニターポート438、ART耳当てジャック440、ARTハンドピースポート442、および補助の酸素の供給も行う口腔鼻腔カニューレポート444を含んでいる。レセプタクル432は、当業者に良く知られた標準的な医療器具接続部であるか、コンソールボックス420に接続するように注文設計された医療器具と共に用いるための注文された器具接続部である。コンソールボックス420は、対応するレセプタクル432からコンソールボックス420を通ってコネクタケーブル450内の対応する配線452、チューブ454、および電力ライン456に接続された複数の電気配線422、空気ライン424、および酸素供給チューブ426をさらに含んでいる。
【0035】
図3Aに示されているように、コンソールアセンブリ410は、複数のケーブル430をさらに含んでいる。ケーブル430は、レセプタクル432に接続されていて、特に、患者をモニタリングするために手術中にさまざまな装置が取り付けられる。それらの装置には、以下に限定されないが、特に、口腔鼻腔カニューレ、血圧カフ、ECGリード線、およびパルス酸素濃度計モニターなどがある。
【0036】
コネクタケーブル450は、例えばミルエン(mil-ene)またはシリコンのような絶縁物で覆われていて、一つのケーブルに一体化されていて電気信号、液圧信号、または酸素を供給すると共にコンソールボックス420を手技ユニット12に結線で接続できるようにする複数の配線452、チューブ454、および電力ライン456を含んでいる。コネクタケーブル450は、その遠位の端部の歪除去部451をさらに含んでいる。歪除去部は、当業者に良く知られていて、コネクタケーブル450およびコンソールボックス420の接続部で長期間使用された後に配線が破壊される原因となる屈曲を防止することを援助するのに重要な役割を果たす。
【0037】
図3Eに示されているように、コンソールボックス420は、回路基板459、マイクロブロセッサ460、取り外し可能なフラッシュメモリリーダー461、取り外し可能なフラッシュメモリ462、バッテリー464、および、少なくとも一つのコンピューターインターフェース466をさらに含んでいる。回路基板459は、多層プリント回路基板であってもよい。複雑な道路地図に似たトレースと呼ばれる銅製の回路通路が、回路基板459に亘って信号および電圧を運ぶ。多層製造技術が用いられて、回路基板459のいくつかの層がマイクロプロセッサー460および取り外し可能なフラッシュメモリ462のためのデータを運び、別の層が、交差部分で回路を短絡させる経路なしで、電圧およびグランド帰路を運ぶようにされていてもよい。絶縁された複数の層は、ひとつの完全な複合体のサンドイッチとして製造される。チップおよびソケットは、回路基板459に半田付けされてよい。回路基板459にはマイクロプロセッサー460が取り付けられている。マイクロプロセッサー460は、コンソールボックス420によって外部のモニターから受け取られたデータの計算エンジンである。マイクロプロセッサーは、コンピューター分野の当業者には良く知られていて、例えば、ペンティアム(登録商標)(Pentium)、K6、パワーピーシー(PowerPC)、スパーク(Sparc)、モトローラ・ドラゴンボール(Motorola Dragonball:商標)などのさまざまな適切なマイクロプロセッサーのうちの一つがマイクロプロセッサー460として用いられる。マイクロプロセッサー460は、ソフトウェアのアプリケーションによって作動させられてよい。ソフトウェアのアプリケーションは、以下に限定されないが、ジャバ(Java(登録商標))、シー・プラス・プラス(C++)、ビジュアル・ベーシック(Visual Basic)、およびフォートラン(Fortran)などの多くの公式なプログラミング言語のうちの一つで記述されていてよい。ソフトウェアのアプリケーションおよびマイクロプロセッサー460は両方で、コンソールボックス420および手技ユニット12を介して患者から収集された生理的パラメーターの全てのデータログを作成する。回路基板459も、電気的に取り付けられた取り外し可能なフラッシュメモリリーダー461を含んでいる。取り外し可能なフラッシュメモリリーダー461は、コンソールボックス420の外側ケースのスロットを含み、より詳しく言うとハブ421を含み、取り外し可能なフラッシュメモリ462を回路基板459に挿入し回路基板459から取り外せるようにしている。取り外し可能なフラッシュメモリ462が取り外し可能なフラッシュメモリリーダー461に挿入されると、取り外し可能なフラッシュメモリ462は、マイクロプロセッサー460、回路基板459、およびコンピューターインターフェース466との間でデジタルデータを送受信するようになる。取り外し可能なフラッシュメモリ462は、対応するソフトウェアのアプリケーションを実行しているマイクロプロセッサー460によって作成されたデータログを容易にかつ迅速に記憶するために用いられる固体記憶デバイスである。取り外し可能なフラッシュメモリ462は、コンピューターの分野の当業者には良く知られていて、例えば、スマートメディア・カード(SmartMedia(登録商標) Card)、マルチメディア・カード(MultiMedia Card)、または、コンパクトフラッシュ(登録商標)・カード(CompactFlash Card)などのさまざまな適切なフラッシュメモリカードのうちの一つが、取り外し可能なフラッシュメモリ462として用いられてよい。データは後に取り外し可能なフラッシュメモリ462から引き出す(retrieve)ことができるように記憶される。
【0038】
コンソールアセンブリ410が手技ユニット12またはその他の外部モニターから取り外されると、リチウムイオンを含むバッテリー464がマイクロプロセッサー460を含むコンソールボックス420内のコンポーネントに電力を供給する。マイクロプロセッサー460は、そのソフトウェアのアプリケーションおよび取り外し可能なフラッシュメモリ462と共に、コンピューターインターフェースを介してそのデータをデジタル的に送受信することができる。コンピューターインターフェース466には、以下に限定されないが、標準シリアルポート、USBポート、IEEE1394ポート、RS232ポート、イーサネット(登録商標)(Ethernet)ポートなどがある。コンピューターインターフェース466は、患者の報告書として印刷されるようにソフトウェアのアプリケーションでフォーマットされたデータを送る。さらに、取り外し可能なフラッシュメモリ462は、コンソールボックス420から取り外されて、多くの互換性のあるフラッシュメモリカードリーダーの一つに挿入することができ、データがパーソナルコンピューターまたはハンドヘルドデバイスにダウンロードできるようになっている。
【0039】
本発明のコンソールアセンブリ410を用いた手術手技の間、患者は最初に手術を許可されて手術の準備処理を施される。このステージの間に、健康ケア臨床医または外科医が、例えば、パルス酸素濃度計などのさまざまな生命徴候のモニターを患者に取り付ける。これらのモニターに関連するケーブル430がコンソールボックス420の対応するレセプタクル432に結合される。次に患者の記録がマイクロプロセッサー460およびフラッシュメモリ462に記憶されたその対応するソフトウェアのアプリケーションによって開始され、ケーブル430からの生命徴候などの患者のデータがこのときフラッシュメモリ462へ記憶されるようになる。次に、患者は手術室に移されて、コンソールアセンブリ410が手技ユニット12またはその他の医療モニタリング装置に接続される。フラッシュメモ462は、以下に限定されないが、生命徴候、投与された薬剤、およびその他の生理的パラメーターなどの情報をケーブル430および手技ユニット12からマイクロプロセッサー460を介して収集した患者の記録用のデータの収集を続ける。手術手技が完了した後、コンソールボックス420は手技ユニット12から取り外されて、患者は回復および退院ステージへ移される。このステージの間、フラッシュメモリ462は、以下に限定されないが、生命徴候および術後の薬剤などのデータをケーブル430から収集し続ける。患者が退院できるようになったとき、フラッシュメモリ462はデータの取得を停止し、患者の記録が閉じられる。
【0040】
こんどは図4を参照すると、手技ユニット12は、医者が鎮静薬または鎮痛薬などの薬剤を患者に安全に投与し、医療手技の間に患者をモニタリングできるようにしている。手技タッチスクリーンアセンブリ62は、手技ユニット12の一つの表面に一体化されたディスプレイ装置で、患者パラメーターおよびシステムパラメーター、および、装置の動作状態を表示する。ある実施の形態では、手技タッチスクリーンアセンブリ62は、サムスング製の15インチカラーLCDに取り付けられたマイクロテック製の15インチ抵抗性タッチスクリーンからなる。手技タッチスクリーンアセンブリ62は、主たる表示および入力手段であり、臨床タッチスクリーンアセンブリ22よりもかなり大型でより詳細な情報を表示できることが理解されなければならない。手技タッチスクリーンアセンブリ62に加えて、使用者は薬剤投与制御部80によって手技ユニット12に情報を入力することもできる。ボタンまたはダイヤルなどの薬剤投与制御部80は、手技ユニット12の一つの表面に配置されていて、好ましくは、臨床医がさまざまなシステムパラメーターを変更し手技タッチスクリーンアセンブリ62をバイパスすることができるようにしている。プリンター70が手技ユニット12の上部に一体的に取り付けられている。プリンター70は、臨床医が手術前および手術中の患者のデータを含む患者の報告書を印刷できるようにしている。患者の報告書の印刷および自動的なデータログの特徴を組み合わせることで、看護師および専門技術者が手術の間に患者の状態に関して費やさなければならない時間および労力の量が減らされる。プリンター70は、主論理ボードに配置されたプリンターインターフェース(例えば、パラレル・システムズ(Parallel Systems)のCK205HS)からのデータ信号を受け取る。プリンター70は、サーマルプリンター(例えば、アドバンスト・プリンティング・システムズ(Advanced Printing Systems:APSのELM205HS)であってよい。
【0041】
メモリカードリーダー85は、手技ユニット12の外側ケーシングのスロットを含み、フラッシュメモリカード84を手技ユニット12に挿入し手技ユニット12から取り外せるようにしている。フラッシュメモリカード84は、手技ユニット12によって作成されたデータログの情報を容易にかつ迅速に記憶するために用いられる固体記憶装置である。フラッシュメモリカード84は、コンピューター分野の当業者には良く知られていて、例えば、スマートメディア・カード、マルチメディア・カード、またはコンパクトフラッシュ・カードなどのさまざまな適切な取り外し可能なフラッシュメモリカードのうちの一つがメモリカードリーダー85で用いられてよい。データは後にフラッシュメモリカード84から引き出せるように記憶される。ある実施の形態では、メモリカードリーダー85は、患者ケアシステム5の機能をアップグレードするためのソフトウェアを収容したフラッシュメモリカード84を受容する。データポート88には、以下に限定されないが、標準シリアルポート、USBポート、RS232ポート、または、イーサネットポートなどがある。データポート88は、手技ユニット12を外部プリンターに接続して患者の報告書を印刷するために、または、電子ファイルをパーソナルコンピューターまたはメインフレームに転送するために、有用である。別の実施の形態では、データポート88は、プリンターまたは外部のコンピューター若しくはメインフレームに接続された無線受信機と相互に作用する無線送信機である。
【0042】
図4Bおよび図4Cをも参照すると、手技ユニット12は、蠕動性注入ポンプ72(例えば、ビー−ブラウン・マックガウ(B-Braun McGaw))のような注入ポンプによって患者に流体を供給する。蠕動性注入ポンプ72は、手技ユニット12に一体的に取り付けられている。蠕動性注入ポンプは、流体リザーバに結合された柔軟なチューブ内に流体の流れを生み出すために波に類似した動きを起こす蠕動性フィンガを用いる。薬剤カセット64は、蠕動性注入ポンプ72に隣接して配置されたほぼ長方形の構造である。薬剤カセット64は、好ましくは、例えば、ポリカーボネートのような硬質の熱可塑性プラスチックから作られている。薬剤カセット64は、好ましくは例えばポリプロピレン(例えば、ケルコート(Kelcourt))などの柔軟な熱可塑性プラスチックから作られたIVチューブ76を収容する内部キャビティを含んでいる。薬剤カセット64は、露出されたIVチューブ76を蠕動性注入ポンプ72の蠕動性フィンガに接触するように正確にかつ高い信頼性で配置する。IVチューブ76は、流体ガラス瓶68に取り付けられていて、IVチューブ76の全長の大部分は薬剤カセット64内に収容されている。IVチューブ76の全長のうちの僅かな部分は、薬剤カセット64の外側に配置されていて、蠕動性注入ポンプ72との相互作用が容易になるようにされている。IVチューブ76は、薬剤カセット64内で巻かれていて、手技ユニット12から離れた患者に到達するだけの長さを有する。薬剤カセット64の一つの内側壁には、流体検出センサー302が取り付けられている。流体検出センサー302は、例えば、エム・ティー・アイ・インスツルメンツ・インコーポレーテッド(MTI Instruments Inc.)によって製造されている、MTI−2000 フォトニック・センサー(Fotonic Sensor)、および、マイクロトラック−II・CCD・レーザー・トライアンギュレーション・センサー(Microtrak-II CCD Laser Triangulation Sensor)のような公知の流体センサーのいずれか一つが用いられてよい。流体検出センサー302は、以下に限定されないが、接着剤、機械的締結具、ねじ、および超音波溶接などの取り付け手段を用いて薬剤カセット64に固定して取り付けられている。好ましくは、IVチューブ76は、薬剤カセット64の外に出る前に流体検出センサー302を通る。
【0043】
動作方法のある実施の形態では、手技ユニット12は、薬剤カセット64および蠕動性注入ポンプ72と組み合わされて、IVチューブ76に「自動注入(auto prime)」を行うので、臨床医はIVチューブ76に手動で注入(manually prime)を行うための時間を費やす必要がない。薬剤カセット64は、「自動注入」プロセスの間インターロック状態となって臨床医がIVチューブ76にアクセスして不注意でIVチューブを患者につなぐことを防止する。しかし、自動注入プロセスが完了した後は、インターロックが解除されて、利用者は、自動注入プロセスの間は閉じた位置に固定された、例えば、アクセスドアなどを通して、IVチューブ76にアクセスできる。
【0044】
図4Aをも参照すると、看護師または臨床医は、臨床タッチスクリーンアセンブリ22または手技タッチスクリーンアセンブリ62のボタンを押して自動注入システムを開始する(ステップ350)。自動注入システムを開始する命令を受け取ると、蠕動性注入ポンプ72が駆動して新たなポンプサイクルを始める(ステップ352)。蠕動性注入ポンプ72は、流体を流体ガラス瓶68からIVチューブ76の全長に亘って変位させる(ステップ354)。流体検出センサー302は、IVチューブ76の先端に流体が存在するか否かをモニタリングする(ステップ356)。
【0045】
流体検出センサー302は、IVチューブ76内に流体が存在するか否かを連続的にモニタリングする(ステップ356)。流体が検出されない場合、看護師または専門技術者は、自動注入プロセスが完了していないことを示す聴覚的または視覚的警報を通報される(ステップ358)。注入が完了していないことを示す警報が与えられた後、主論理ボードは、蠕動性注入ポンプ72に動作を続けるように命令する(ステップ352)。ステップ352からステップ356までのプロセスが、流体検出センサー302が流体の存在を検出して、主論理ボードが蠕動性注入ポンプ72に次に命令を受けるまで停止するように命令するまで、続けられる(ステップ360)。ポンプサイクルが終了した後、看護師または専門技術者は、臨床ユニット10または手技ユニット12の視覚的警報によってまたは聴覚的警報によって自動注入システムが蠕動性注入ポンプに成功裡に注入を行ったことを通報される(ステップ362)。
【0046】
図4Cは、自動注入システムの別の実施の形態を示している。流体検出センサー302は蠕動性注入ポンプに一体化されているか、または、薬剤カセット64に隣接した別の堅固な構造に一体化されている。この実施の形態では、薬剤カセット64は、IVチューブ76の2つの露出した部分、すなわち、第1の部分320および第2の部分322を収容している。第1の部分320は、蠕動性注入ポンプ72がIVチューブ76を操縦してIVチューブ76に亘って流体をポンプ作用で供給できるようにしている。第2の部分322は、流体検出センサー302に隣接して配置されている。第2の部分322で流体の存在が検出されると、蠕動性注入ポンプ72は、IVチューブ76内に空気が残留していないことを確実にするために短い時間に亘って動作を続ける。この時間は、第2の部分322の下流側のIVチューブ76の長さ、および、蠕動性注入ポンプ72が動作する速度を計算することで手技ユニット12内の主論理ボードによって決定される。割り当てられた時間が経過すると、蠕動性注入ポンプ72はポンプサイクルを終了し、IVチューブ76は完全に注入されていることになる。
【0047】
こんどは図5を参照すると、連通ケーブル14が、複数の電気配線によって取り囲まれた複数の中心の空気式チューブを収容している。酸素導管100は、外部の酸素供給源から手技ユニット12を通して臨床ユニット10へ移動する酸素を供給する空気式チューブである。酸素導管100は、連通ケーブル14の全長に亘って延在し、口腔鼻腔カニューレ48で終端している。呼気ガス導管102も、患者の吐き出された呼吸ガスを口腔鼻腔カニューレ48からケーブル貫通接続部15を通して移動させ手技ユニット12で終端する空気式導管である。ECG導管104は、ECGリード線51として知られた複数の電気配線を収容している。ECGリード線51は、データ処理のために手技ユニット12と連通しているECGパッド50からの電気信号を受け取る。NIBP導体106は、患者の血圧の処理された信号を臨床ユニット10から手技ユニット12へ伝達する。パルス酸素濃度計導体108は、患者の酸素飽和レベルの処理された情報を臨床ユニット10から手技ユニット12へ伝達する。ART応答導体110は、ART刺激に対する患者の応答に関する処理された情報を臨床ユニット10から手技ユニット12へ伝達する。
【0048】
図7に示されているように、データフロー図が手術前準備室での典型的なプロセスの概要を示している。図示されているように、患者は、手術前準備室に到着する(ステップ200)。看護師または専門技術者が、臨床ユニット10をベッドレールまたはIVポールに取り付ける(ステップ201)。臨床ユニット10には、臨床ユニット10をベッドレールまたはIVポールに迅速かつ容易に取り付けるためにIVポールクランプまたはクイック・コネクト(quick connect)が設けられている。臨床ユニット10が所定の位置に配置されると、看護師または臨床医は、NIBPカフ58またはパルス酸素濃度計プローブ60を患者に取り付けることができる(ステップ202)。これらの取り付けは患者と臨床ユニット10の間で行われる。臨床ユニット10は、例えば、拡張期血圧および収縮期血圧、平均動脈血圧、心拍数、酸素添加体積曲線(oxygenation plethysmogram)、酸素飽和度(oximetry value)などのパラメーターのモニタリングを自動的に開始する(ステップ203およびステップ204)。臨床ユニット10によって取得された読み取り値は、看護師または専門技術者に対して臨床タッチスクリーンアセンブリ22上に表示される。患者のパラメーターがモニタリングされている間、看護師または専門技術者は別の作業を行うことができる。現在の実務では通例となっているように、看護師または専門技術者は、手術前の評価を完了する必要がある場合もある(ステップ206)。手術前の評価には、患者の生命徴候の記録、既知のいずれかのアレルギーの判定、患者のこれまでの医療履歴の判定などが含まれることもある。看護師または専門技術者が、手術前の評価を終了すると(ステップ206)、看護師または専門技術者は、カテーテルを患者の腕の中に配置することで、周辺IVを開始してよい(ステップ207)。IVカテーテルは、例えば、生理食塩水の500mlバッグのような主要なIV点滴装置に結合される。上記の作業が完了すると、看護師または専門技術者は、ECGパッド50、ARTハンドピース57、ART耳当て55、および口腔鼻腔カニューレ48を患者に取り付け始める(ステップ208)。好ましくは、患者ケアシステム5は、患者から臨床ユニット10への接続が行われたときにモニターが正しく接続されていることを自動的に検出し認識する能力を備えている。
【0049】
患者が上記のアイテムに接続されると、看護師または専門技術者は、ARTシステム52を患者に説明する場合もある。この説明には、看護師または専門技術者が、ART耳当て55からの聴覚的な刺激またはARTハンドピース57からの触覚的な刺激に対してARTハンドピース57を握り締めて応答するように患者に指導することが含まれる。患者が聴覚的な刺激にも触覚的な刺激にも応答しない場合には、患者が応答するようになるまで刺激の強さが増加される。この時点で、看護師は、自動化されたARTトレーニングを開始できる(ステップ209)。自動化されたARTトレーニングは、上述された米国特許出願第10/674,160号明細書に開示されているように、患者にART刺激の検出の仕方およびそのART刺激への応答の仕方を教えてベースラインの患者の応答を設定する臨床ユニット10によって実行されるプログラムである。看護師または専門技術者は、患者が自動化されたARTトレーニングで練習している間に、患者に関する別の作業を自由に行うことができる。臨床ユニット10は、看護師または専門技術者がその患者が自動化されたトレーニングで練習しているか否かを即座に判定できるように自動化されたARTトレーニングの状態を表示する。患者は、次に進むためには自動化されたARTトレーニングを成功裡に完了しなければならず(ステップ210)、患者がトレーニングを完了できない場合には、看護師または別の臨床医が介入して、その患者が続けてよいかどうかを判定しなければならない(ステップ210A)。臨床医が、使用者(患者)が進んでよいと判定した場合には、患者はステップ211に進み、臨床医がその患者が続けられないと判定した場合には、手技が中止される(ステップ213)。使用者は、患者が手術室に入るのを待つ必要がある場合に特定の間隔(例えば、10分間)で自動的に繰り返すように自動化されたARTトレーニングを好みに応じて変更してもよい。これは、新たに学習された応答を徐々に教え込むことを援助する。
【0050】
自動化されたARTトレーニングが成功裡に完了することに加えて、患者のパラメーターが許容範囲内になければならない(ステップ205)。臨床医は、臨床タッチスクリーンアセンブリ22を用いて臨床ユニット10に許容可能な範囲の情報を入力することによって、許容可能な範囲を決定することができる。モニタリングされているパラメーターのいずれかが与えられた範囲外にある場合には、患者は、看護師または別の臨床医が患者を検査して患者が続けられるか否かを判定するまで、手技を行うことを許可されない(ステップ205A)。臨床医が、患者が進んでよいと判定した場合には、患者はステップ211に進み、臨床医がその患者が続けられないと判定した場合には、手技が中止される(ステップ213)。手術室へ向かうために手術前準備室を出る直前に、看護師は、例えば、1.5マイクログラム/キログラム(mcg/kg)のフェンタニールなどの予め決められた低用量の鎮痛薬を投与する(ステップ211)。鎮痛薬を注入した後に、患者は手術室へ移される準備が整う(ステップ212)。
【0051】
図8は、患者が手術室にいる間の本発明の実施を例示したフロー図である。図示されているように、患者および臨床ユニット10は、手術室に移され、医者および手術看護師によって迎えられる(ステップ220)。臨床ユニット10は、患者が手術室に入ると、手技ユニット12に接続される(ステップ221)。接続さると、患者からのNIBP、脈拍、および酸素濃度の履歴が、自動的に手技ユニット12にアップロードされて、手技ユニット12が最新のモニタリング期間の患者の履歴を表示する。NIBP、脈拍、および酸素濃度の履歴に加えて、患者がARTトレーニングを完了していることを立証する記録もアップロードされる。臨床ユニット10を手技ユニット12に接続すると、臨床ユニット10の小型のディスプレイが、モニタリングスクリーンから手技ユニット12用の遠隔入力スクリーンへ直ちに切り替わる。臨床ユニット10からの表示情報は、手技ユニット12へ自動的に伝達される。
【0052】
この時点で、手技看護師は、口腔鼻腔カニューレ48を患者に取り付ける(ステップ222)。手技ユニット12は、患者と手技ユニット12との間の接続が全て完了しているので、例えば、ART、ECG、および、カプノグラフィー(呼気中の炭酸ガス含有量の連続記録)などの患者のパラメーターのモニタリングを開始できる(ステップ223)。手技ユニット12は、例えば、NIBP、脈拍、酸素濃度などの患者のパラメーターのモニタリングを続ける(ステップ224)。次に、手技看護師は、標準的な薬剤ガラス瓶を薬剤カセット64に配置し突き刺す(ステップ225)。薬剤カセット64は、弾性ゴム製のガラス瓶ストッパーを突き刺し流体が薬剤ガラス瓶から薬剤カセット64へ入るようにするのに役立つ一体的な薬剤ガラス瓶スパイクを含んでいる。次に、手技看護師は、IVチューブ76の露出された部分が蠕動性フィンガと確実に並ぶようにするために薬剤カセット64を蠕動性注入ポンプ72に隣接して配置しなければならない(ステップ226)。薬剤ガラス瓶および薬剤カセット64が正しく装填されると、看護師はIVチューブ76を自動注入(autoprime)できる。ある実施の形態では、手技看護師は、手技ユニット12に配置されたボタンを押して自動注入を開始する(ステップ227)。自動注入は、IVチューブ76から空気を自動的にガス抜きすることである。手技ユニット12は、自動注入が全体的に成功したことを判定するために自動注入プロセスを連続的にモニタリングする。手技ユニット12がIVチューブ76を適正にガス抜きするのに失敗した場合、看護師がIVチューブ76が成功裡にガス抜きされるまで自動注入手順を繰り返すように、警報が使用者に通報される(ステップ227)。
【0053】
自動注入シーケンスが成功裡に完了すると、手技看護師はポンドを単位として患者の体重を入力し、同時に医者は最初の薬剤維持投与速度および通常または迅速注入である投与方法を入力する(ステップ229)。患者の体重および投与速度が入力された後、医者または手技看護師が薬剤の注入を開始する(ステップ230)。薬剤が患者に効き目を現すようになっていく間に、医者は、例えば、視野の検査、およびいずれかの局所麻酔薬の投与などの標準的な手術に関連する作業を実施する。薬剤が患者に所望の効き目を現すと、医者および手技看護師は、手術手技を行えるようになる(ステップ231)。手術手技が完了すると、臨床医は、薬剤導入カセットをカテーテルから切り離し(ステップ232)、臨床ユニット10を手技ユニット12から切り離す(ステップ233)。臨床医が望む場合には、手技ユニット12は、このときに患者の生理的パラメーターの記録をプリンター70で印刷できる(ステップ234)。手技の記録の印刷には、例えば、NIPB、パルスオキシメトリー、カプノグラフィー、呼吸数、および、心拍数などの患者のモニタリングデータが含まれている。記録の印刷に含まれているその他のシステムの事象には、ART能力(ART competency)、手術手技の間のART応答性(ART responsiveness)、酸素供給履歴、薬剤投与量、モニタリング間隔、薬剤のボーラス(瞬時投与)量および時刻、手術手技中に投与された薬剤の総体積などである。印刷物には、例えば、追加して投与された麻酔薬、使用された局所スプレー、ラムゼイ鎮静スケール(Ramsey Sedation Scale)、手術手技の開始時刻および終了時刻、使用された焼灼ユニットおよび設定、焼灼接地部位、拡張器具のタイプおよび寸法、および、アルドレートスコア(Aldrete Score)などを看護師自身が書き留めるための部分がある。患者の記録が印刷された後に、患者は回復室に移される(ステップ235)。
【0054】
図9には、患者が回復室に居る間の本発明の実施を示すフロー図が示されている。図示されているように、患者は手術室を出た後に臨床ユニット10を取り付けられたまま回復室に到着する(ステップ240)。この時点で、臨床ユニット10は、バッテリーまたはAC電源で駆動されている。回復室に入ると、治療を行った臨床医は、ECGパッド、ECGリード線、ARTハンドピース、およびART耳当てを患者から取り外す(ステップ241)。臨床医の要望および患者の状態に応じて、患者は回復室に居る間に補助の酸素を必要とすることもある(ステップ242)。患者が補助の酸素を必要とする場合には、口腔鼻腔カニューレ48が患者の顔に残され、酸素がヘッドウォールまたはタンクなどの外部の供給源から入手される。看護師または専門技術者は、口腔鼻腔カニューレ48を臨床ユニット10から切り離して、標準的な酸素供給拡張設備に口腔鼻腔カニューレ48を直接差し込んで所望の流量の酸素を設定してもよい(ステップ243)。回復室で補助の酸素を必要としない場合には、看護師または専門技術者は、口腔鼻腔カニューレ48を患者から取り外す(ステップ244)。
【0055】
看護師または専門技術者は、こんどはECGリード線51およびARTハンドピース57を配列して次の患者のために用いられる臨床ユニット10の近くに配置する(ステップ245)。看護師または専門技術者は、患者の記録に追加の情報を書き込む必要があることもある(ステップ246)。看護師または専門技術者は、おそらく、回復期間の患者の状態を記載したメモを書き、回復する間の患者のNIBP、脈拍数、および、酸素濃度を記録するだろう。ECGパッド50および口腔鼻腔カニューレ48が、この時点で回復室に配置された標準の廃棄コンテナに廃棄される(ステップ247)。臨床ユニット10が、依然としてNIBP、脈拍数、および酸素濃度に関連したデータを収集している(ステップ248)ことに注目することが重要である。看護師または専門技術者は、患者が退院できるか否かを判定しなければならない(ステップ249)。退院のための基準は患者ケア施設ごとに異なるが、アルドレートスコアが10であることが退院のための一般的な基準である。退院のための基準のその他の尺度には、皮膚の色、痛みの評価、無傷のIV部位、NIBP、脈拍、呼吸数、酸素濃度の値などがあり、それらの全てが手術前に測定された値に近い値でなければならない。患者がこれらの基準のいずれかを満たさない場合には、その患者がさらにモニタリングを受けることが推奨される(ステップ248)。患者が退院のための基準を満たすと、看護師または専門技術者は、NIBPカフ58、パルス酸素濃度計プローブ60、およびまだ取り外されていない場合には口腔鼻腔カニューレ48を、患者から取り外す(ステップ250)。上記の全ての作業が完了すると、患者はケア施設から退院できる(ステップ251)。
【0056】
本発明の実施の形態および方法のいくつかの態様のこれまでの記載は、例示の目的で提供された。上記の記載は本発明を網羅することも本発明を開示された形態および手技に限定することも意図されておらず、上記の記載を考慮することでさまざまな変形および変更が明らかに行える。本発明の範囲が特許請求の範囲によって定義されることが意図されている。
【0057】
〔実施の態様〕
(1)医療手技関連システムであって、
(a)患者モニタリング接続部からの入力信号を受け取るための第1の複数の接続点と、患者パラメーターを出力するための第2の複数の接続点とを備えた、マイクロプロセッサーに基づく患者ユニットと、
(b)前記患者ユニットから前記患者パラメーターを受け取るための手技ユニットであって、前記患者パラメーターを表示するためのディスプレイスクリーンを備えた、医療手技中に用いられる、マイクロプロセッサーに基づく手技ユニットと、
(c)前記患者ユニットから前記手技ユニットへ前記患者パラメーターを送るための連通ケーブルと、
を有する、医療手技関連システム。
(2)実施態様1記載のシステムであって、
前記手技ユニットが、一つまたは複数の薬剤を患者へ供給する薬剤投与コントローラーである、システム。
(3)実施態様1記載のシステムであって、
前記患者ユニットが、薬剤を患者に投与するための接続点をさらに有する、システム。
(4)実施態様3記載のシステムであって、
前記薬剤が酸素である、システム。
(5)実施態様1記載のシステムであって、
前記患者ユニットが、患者問い合わせ装置用の接続点をさらに有する、システム。
【0058】
(6)実施態様5記載のシステムであって、
前記患者ユニットが、患者応答装置用の接続点をさらに有する、システム。
(7)実施態様5記載のシステムであって、
前記患者問い合わせ装置がスピーカーである、システム。
(8)実施態様5記載のシステムであって、
前記患者問い合わせ装置がハンドヘルドの振動装置である、システム。
(9)実施態様6記載のシステムであって、
前記患者応答装置が、ハンドヘルドの可動要素である、システム。
(10)実施態様1記載のシステムであって、
前記手技ユニットが、薬剤を患者に投与するための注入ポンプをさらに有する、システム。
【0059】
(11)実施態様10記載のシステムであって、
前記注入ポンプが、蠕動性ポンプである、システム。
(12)実施態様10記載のシステムであって、
前記手技ユニットが、所定の長さのIVチューブを備え前記注入ポンプに取り外し可能に接続される薬剤カセットをさらに有する、システム。
(13)実施態様12記載のシステムであって、
前記手技ユニットが、前記所定の長さのIVチューブの少なくとも一部を注入(priming)するための制御手段をさらに有する、システム。
(14)実施態様1記載のシステムであって、
前記患者ユニットが、患者記録を作成するための記憶手段をさらに有する、システム。
(15)実施態様1記載のシステムであって、
前記患者ユニットが、前記患者パラメーターを表示するためのディスプレイスクリーンをさらに有する、システム。
【0060】
(16)医療手技中の患者モニタリングおよび少なくとも一つの薬剤の投与方法であって、
(a)患者の少なくとも一つの生理的パラメーターをモニタリングするために少なくとも一つのセンサーを前記患者に取り付ける過程と、
(b)前記少なくとも一つのセンサーからの入力信号を少なくとも一つの第1の接続点を通して受け取るための前記少なくとも一つの第1の接続点と、前記患者の生理的パラメーターを出力するための少なくとも一つの第2の接続点とを備えた、マイクロプロセッサーに基づく患者ユニットを提供する過程と、
(c)前記患者ユニットに前記患者の身体の特性を入力する過程と、
(d)患者記録を作成する過程と、
を有する、医療手技中の患者モニタリングおよび少なくとも一つの薬剤の投与方法。
(17)実施態様16記載の方法であって、
(e)前記少なくとも一つの第2の接続点をマイクロプロセッサーに基づく手技ユニットに接続する過程と、
(f)薬剤ガラス瓶を収容した薬剤カセットを注入ポンプに接続する過程と、
(g)薬剤を患者に投与し医療手技を実行する過程と、
(h)前記少なくとも一つの第2の接続点を前記手技ユニットから切り離す過程と、
をさらに有する、方法。
(18)実施態様17記載の方法であって、
(i)前記患者の少なくとも一つの生理的状態をモニタリングする過程と、
(j)前記少なくとも一つのセンサーからの前記入力信号を前記少なくとも一つの第1の接続点から切り離す過程と、
(k)前記患者記録の作成を終了する過程と、
をさらに有する、方法。
(19)実施態様17記載の方法であって、
酸素を患者に供給する過程をさらに有する、方法。
(20)実施態様17記載の方法であって、
前記患者の意識のレベルを判定するために前記患者に問い合わせる過程をさらに有する、方法。
【0061】
(21)実施態様20記載の方法であって、
前記患者が応答装置を駆動する過程をさらに有する、方法。
(22)実施態様17記載の方法であって、
前記薬剤を前記患者に投与する前に、前記薬剤をIVチューブを通して導入して前記IVチューブを注入する過程をさらに有する、方法。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】臨床ユニットすなわち患者ニットおよび手技ユニットを示した、本発明に基づいて構成されたケアシステム装置のある実施の形態の斜視図である。
【図2】移動式の患者ユニットを示した、本発明に基づいて構成されたケアシステム装置のある実施の形態の斜視図である。
【図3】さまざまな患者センサーおよびその他の患者インターフェースと接続された患者ユニットを示した、本発明に基づいて構成されたケアシステム装置のある実施の形態の斜視図である。
【図3A】患者ユニットの別の実施の形態の斜視図である。
【図3B】手技ユニットに接続された図3Aの患者ユニットの斜視図である。
【図3C】図3Aの患者ユニットの分解斜視図である。
【図3D】ケーブル接続部および臨床接続部を示した、図3Aの患者ユニットの斜視図である。
【図3E】図3Aの患者ユニットの別の実施の形態の分解斜視図である。
【図4】手技ユニットの斜視図である。
【図4A】本発明の自動注入の態様を示すフロー図である。
【図4B】手技ユニットで用いるための薬剤カセットの一部切り欠き斜視図である。
【図4C】手技ユニットで用いるための薬剤カセットおよびポンプモジュールの別の実施の形態の斜視図である。
【図5】連通ケーブルの断面図である。
【図6】本発明の全体のブロック図である。
【図7】本発明の手術前手技の態様を示す全体的なデータフロー図である。
【図8】本発明の医療手技の態様を示す全体的なデータフロー図である。
【図9】本発明の手術後手技の態様を示す全体的なデータフロー図である。
【符号の説明】
【0063】
5 患者ケアシステム
10 臨床ユニット
12 手技ユニット
14 連通ケーブル
15 ケーブル貫通接続部
16 外部酸素
20 オプションのディスプレイ
22 臨床タッチスクリーンアセンブリ
24 臨床ユニットバッテリー
26 パルス酸素濃度計モジュール
30 問い合わせ開始モジュール
32 問い合わせ応答モジュール
34 NIBPモジュール
36 ECGモジュール
38 カニューレモジュール
48 口腔鼻腔カニューレ
50 ECGパッド
51 ECGリード線
55 ART耳当て
57 ARTハンドピース
58 NIBPカフ
60 パルス酸素濃度計プローブ
61 パルス酸素濃度計ケーブル
62 手技タッチスクリーンアセンブリ
64 薬剤カセット
68 流体ガラス瓶
70 プリンター
72 蠕動性注入ポンプ
76 IVチューブ
78 外部電源
80 薬剤投与制御部
82 バッテリー
84 メモリカードリーダー
85 フラッシュメモリカード
88 データポート
100 酸素導管
102 呼気ガス導管
104 ECG導管
106 NIBP導体
108 パルス酸素濃度計導体
110 ART応答導体
302 流体検出センサー
320 第1の部分
322 第2の部分
410 コンソールアセンブリ
412 取り付け部
414 取り付けポスト
419 面板
420 コンソールボックス
421 ハブ
422 電気配線
424 空気ライン
426 酸素供給チューブ
430 ケーブル
432 レセプタクル
434 パルス酸素濃度計ポート
436 ECGモニターポート
438 NIBPモニターポート
440 ART耳当てジャック
442 ARTハンドピースポート
444 口腔鼻腔カニューレポート
450 コンソールコネクタケーブル
451 歪除去部
452 配線
454 チューブ
456 電力ライン
459 回路基板
460 マイクロプロセッサー
461 フラッシュメモリリーダー
462 フラッシュメモリ
464 バッテリー
466 コンピューターインターフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療手技関連システムであって、
(a)患者モニタリング接続部からの入力信号を受け取るための第1の複数の接続点と、患者パラメーターを出力するための第2の複数の接続点とを備えた、マイクロプロセッサーに基づく患者ユニットと、
(b)医療手技中に用いられる、マイクロプロセッサーに基づく手技ユニットであって、前記患者ユニットから前記患者パラメーターを受け取るための、前記患者パラメーターを表示するためのディスプレイスクリーンを備えた、手技ユニットと、
(c)前記患者ユニットから前記手技ユニットへ前記患者パラメーターを送るための連通ケーブルと、
を有する、医療手技関連システム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムであって、
前記手技ユニットが、一つまたは複数の薬剤を患者へ供給する薬剤投与コントローラーである、システム。
【請求項3】
請求項1記載のシステムであって、
前記患者ユニットが、薬剤を患者に投与するための接続点をさらに有する、システム。
【請求項4】
請求項3記載のシステムであって、
前記薬剤が酸素である、システム。
【請求項5】
請求項1記載のシステムであって、
前記患者ユニットが、患者問い合わせ装置用の接続点をさらに有する、システム。
【請求項6】
請求項5記載のシステムであって、
前記患者ユニットが、患者応答装置用の接続点をさらに有する、システム。
【請求項7】
請求項5記載のシステムであって、
前記患者問い合わせ装置がスピーカーである、システム。
【請求項8】
請求項5記載のシステムであって、
前記患者問い合わせ装置がハンドヘルドの振動装置である、システム。
【請求項9】
請求項6記載のシステムであって、
前記患者応答装置が、ハンドヘルドの可動要素である、システム。
【請求項10】
請求項1記載のシステムであって、
前記手技ユニットが、薬剤を患者に投与するための注入ポンプをさらに有する、システム。
【請求項11】
請求項10記載のシステムであって、
前記注入ポンプが、蠕動性ポンプである、システム。
【請求項12】
請求項10記載のシステムであって、
前記手技ユニットが、所定の長さのIVチューブを備え前記注入ポンプに取り外し可能に接続される薬剤カセットをさらに有する、システム。
【請求項13】
請求項12記載のシステムであって、
前記手技ユニットが、前記所定の長さのIVチューブの少なくとも一部を注入(priming)するための制御手段をさらに有する、システム。
【請求項14】
請求項1記載のシステムであって、
前記患者ユニットが、患者記録を作成するための記憶手段をさらに有する、システム。
【請求項15】
請求項1記載のシステムであって、
前記患者ユニットが、前記患者パラメーターを表示するためのディスプレイスクリーンをさらに有する、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−525233(P2007−525233A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509030(P2006−509030)
【出願日】平成16年3月3日(2004.3.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/006458
【国際公開番号】WO2004/078033
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(595057890)エシコン・エンド−サージェリィ・インコーポレイテッド (743)
【氏名又は名称原語表記】Ethicon Endo−Surgery,Inc.
【Fターム(参考)】