説明

情報、詳しくは着陸航空機のパイロットに利用可能な滑走路状態に関する情報を改善又は増加するシステム及び方法

滑走路状態及び着陸時に遭遇する航空機停止性能に関するリアルタイム(又はほぼリアルタイム)の情報を着陸航空機のパイロットに与えるシステム及び方法が記載される。本システム及び本方法では、現在利用されているものよりも客観的なデータを使用し、当該情報を自動的に与えることが意図される。情報は従来の地上滑走路摩擦テスタを使用して取得されてもよいが、無人航空宇宙機(UAV)のような(ただし、これに限られない)空上機器を使用することが有利である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報又はデータの収集及び通信に関する。詳しくは、滑走路状態及び着陸時に遭遇する航空機停止性能に関するリアルタイム(又はほぼリアルタイム)の情報を着陸航空機のパイロットに与える自動化システム(機器も含む)及び方法に関する(ただし、これに限られない)。
【0002】
仮出願の参照
本願は、2006年12月19日に出願された、上記名称と同じ名称を有する米国仮出願第60/875,655号明細書に基づき本明細書においてこれを参照する。その仮特許出願の全内容は当該参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
ほとんど全ての民間航空機の機上にあるセンサは、離陸、着陸、及び飛行の間の所定の性能パラメータ及びコンフィギュレーション特性を日常的に測定する。測定に関するデータは記録されるか又はキャプチャされるのが典型的であり、必要が生じれば、その後検討又は評価される。一般に「フライトデータレコーダ」又は「ブラックボックス」と称される一つの記録メカニズムがあるが、これは、設置された航空機の壊滅的故障を免れる設計目的を有する。クイックアクセスレコーダ(QAR)等の装置又はシステムが付加的に使用されることもある。
【0004】
民間航空機のフライトデータ等のレコーダによってキャプチャされた情報は、当該航空機の外部にある任意の装置に必ずしも送信されるわけではない。しかし、Monroeによる米国特許第6,009,356号明細書は、所定のキャプチャされた情報を「リアルタイム又はほぼリアルタイムのサーベランスのために地上管制基地へ」送信することを意図する。Monroeの要約書第7−8行を参照のこと。Monroeの特許によれば、地上追跡基地は、航空機の飛行中にインフライトデータを問い合わせることができる。同文献第3コラム第35−37行参照のこと。少なくともいくつかの他の航空機に対しては、記録された情報は、メンテナンス目的で又は航空業務品質保証(flight operation quality assurance(FOQA))プログラムとの関連で時々送信される。
【0005】
着陸航空機に対する制動状態評価の欠陥により、多くのクラッシュ等の衝突が発生している。25年以上の間、米国の国家運輸安全委員会(National Transportation Safety Board(NTSB))による米国連邦航空局(Federal Aviation Administration(FAA))への勧告では、制動動作及び滑走路摩擦に関する問題が言及されている。こうした多くの勧告にもかかわらず、今日もなお、着陸航空機のリアルタイム性能のニーズに応えられていない。
【0006】
NTSBのこれまでの勧告は、減速度を測定するためのINS/INU(慣性航法システム(Inertial Navigation System)/慣性航法ユニット(Inertial Navigation Unit))データの使用、制動係数に関する定量報告を行う機上機器の使用、及び滑走路表面状態との相関の解析導出データの使用を推奨している。この領域ではいくらかの進展が見られるが、地上の摩擦装置の測定に含まれる誤差及び様々な航空機タイプの異なる特性により、解析導出された摩擦値の正確さには疑問が生じている。こうした見込み誤差(又は少なくとも不正確性)により、機体製造業者及び航空会社の間には憂慮が生じている。誤差(又は不正確性)を含んで計算された摩擦値が大きいことに起因して、航空機を必要以上に軽量化して運転することの経済的影響が見込まれるからである。同様に、そして恐らくはさらに重要なのだが、産業界は、この誤差マージンが、安全面で許容できないリスクを表すものと判断しているようである。したがって、かかる過去のNTSB勧告の採択は差し迫ったものとはなっていない。
【0007】
このため、現行の(又は現在予想される)システムには、一の航空機が遭遇する着陸状態に関する客観的情報を、引き続いて着陸する航空機のパイロットに与えるシステムがない。その代わりに、大抵の空港は、情報を収集するべく機械的な地上摩擦試験装置を使用し続けている。さらに、着陸したパイロットからの主観的な報告が、航空交通管制官又は司令官を介して着陸中の航空機のパイロットへ伝えられる。これは恐らく、2005年12月8日のサウスウェスト航空第1248便のパイロットに利用可能であった報告と同じタイプである。このフライトは、イリノイ州シカゴのミッドウェイ国際空港において滑走路の終端を離れて飛行場境界を逸脱した。USAトゥデイ紙は、パイロットは「航空交通管制官により無線連絡されたる他のパイロットからの報告に基づいて滑走路が「良好な」状態であったと思った」と記述する。しかし、客観的データのその後の解析は、滑走路が、「パイロットが減速しようとする際のジェット機のタイヤに対する最小トラクションを想定しても、人が歩行することも困難なくらい滑りやすく」、「その状態がせいぜい「不良」であったことを示している」。「クラッシュ時のあまりにも滑りやすいシカゴ滑走路」http://www.usatoday.com/news/nation/2006-03-01-slick-runway_x.htmを参照のこと。
【0008】
USAトゥデイ紙は以下のように指摘する。
事故は、国家安全上の意味を提起している。滑りやすい滑走路を試験するシステムが致命的欠陥を潜在的に有することが示されたからである。滑走路状態に関する正確な情報なしでは、パイロットは、警告を受けることなく危険に遭遇し得ることになる。
【0009】
(FAAは)滑りやすい滑走路をチェックするより良い方法が必要だが、全ての航空機にとって信頼できるシステムはまだ見つかっていない。
【0010】
(同文献)実際、NTSBの職員によれば、少なくとも今後数年間は、かかるシステムが開発される見込みはないとのことである。
【0011】
しかし、FAAは、その「次世代版」の主導を進めており、その教義には、問題のある領域又は地域周辺の高度な天気予報が含まれる。現在の努力は主に、雷雨のラインによって生じる飛行遅延を低減することを目的としている。それにもかかわらず、恐らく当該主導の一部として注目に値するのは、(特に冬季の)滑走路の運用制限のような他の悪天候シナリオである。例えば、高密度の飛行(いわゆる「超過密運行」)を抱える所定空港に対して提案されている将来的能力の中には、滑走路制動動作報告の自動配信がある。この配信が、滑走路の運用を制限しなければならない場合を高精度で決定するべく使用されることはほぼ間違いない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6,009,356号明細書
【発明の概要】
【0013】
(A.システム及び方法)
本発明は、滑走路状態及び着陸時に遭遇する航空機停止性能に関するリアルタイム(又はほぼリアルタイム)の情報をパイロット等のオペレータに与えるシステム及び方法を与える。本発明の所定実施例において、着陸直後の航空機の制動有効性に関する情報が(少なくとも)航空機のタイプとともに、同じ(又は近接する場合もある)滑走路に引き続いて着陸する予定のパイロットに送信される。かかる情報は、フライトデータレコーダ、クイックアクセスレコーダ、又はFOQA能力のいずれか又は全てから取得され、間もなく着陸する航空機のパイロットへの送信の前に処理を受ける。これは、異なるタイプの航空機が関係する場合に特に生じ得る(ただし、必ずしも必須というわけではない)。特定の滑走路状態に対する1つのタイプの航空機の制動の有効性が、類似の状態に遭遇する別のタイプの航空機の有効性とは完全には相関しないからである。しかし、パイロットに、その者たちが遭遇する可能性の高い状態に関する客観的情報を自動的に与えることは、本発明に関する価値とは関係しない。
【0014】
気象状態は短い時間間隔で著しく変化し得るので、収集直後に利用可能にすることで制動有効性情報の利便性が高まる。よって、かかる情報を迅速にコンパイルかつ処理することが望まれる。この目的のために、本発明のいくつかの実施例は、航空機フライトデータ等のレコーダによる記録に対して既に取得された(又は既に取得可能な)情報を利用することを意図する。さらに、本発明のいくつかの実施例は、1つのタイプの航空機によって収集された情報を、別のタイプの航空機のパイロットにとって有用な情報に変換するべくコンピュータプログラム又はシミュレーションを利用する。好ましくは当該情報は、可能な限り即座に利用可能とされる。ただし、状態が迅速には変化しない場合、約30分(又はこれよりも長い)遅延が許容されてもよい。
【0015】
制動有効性情報は、航空機のタイプ、重量、重心、時間の関数としての航空機速度、航空機のタッチダウンに関連して開始される制動の時、所定の滑走路位置に関連して開始される制動の位置、並びに逆推進力又は所定のフラップ若しくはスポイラが展開された時及び場所に関する情報を含むがこれらに限られない。取得すると潜在的に有用な他の情報には、タッチダウンの時及び場所、航空機重量、標準着陸ギア構成、制動適用速度、制動ABS設定のタイプ、アンチスキッド動作(パイロットの制動ペダルにより指令される制動圧力、及びアンチスキッド制御コンピュータ計算後に制動に送られる圧力を含む)、航空機停止点、フラップ/スラット設定、着陸ギア構成、並びに、着陸滑走距離の終了及びTAXIフェーズの開始を示す着陸中の通常前輪変位超過第1前輪チラー移動が含まれる。さらに、有用な可能性のある情報には、INU減速計から収集された減速比、並びに、着陸滑走距離計算を補助するための減速の時及び場所が含まれる。取得すると潜在的に有用なさらに付加的な情報には、航空機の任意の機器が最小限機器リスト(minimum equipment listing(MEL))ごとに動作不能又は劣化としてプラカード表示されているか否か、氷結防止又は除氷システムが使用中か否か、並びに、高層風(速度及び方向)、ウィンドシア検知、温度等を含む(がこれらに限られない)気象関連情報がある。(非限定的例示としての航空機アンチスキッドコントローラにより)航空機の機上で測定又は取得ができない場合、情報の一部又は全ては地上(又は他の)機器により測定される。かかる任意の測定は、航空機の機上で測定された情報を検証するべく利用されてもよい。
【0016】
必要であれば、データ処理が集中型設備にて行われてもよい。その代わりとして処理が他のどこで行われてもよい。処理済データの配布は、ACARS(航空機搭乗員通信アドレス・レポートシステム(Aircrew Communication Addressing and Reporting System))、ATIS(自動基地情報サービス(Automatic Terminal Information Service))等の地上対コクピット通信チャネルを介して行ってよい。さらに、データは、飛行場及び航空会社の運営に携わる人、航空交通管制官、及び航空機搭乗員にとって利用可能であることが好ましい。複製が履歴目的で又は解析するべく保存される。適切な場合、データには、通常は安全情報に与えられる保護が与えられてよい。さらに、データは、地上情報で補完されてよい。例えば、汚染深度、現行気象状態、降水強度、最後の滑走路プラウの時、滑走路センターラインからの距離に関連する最後の滑走路プラウの位置、及び滑走路の加塩/化学処理である。この付加的情報の少なくとも一部は、空港通信インテグレータの技術を使用した自動報告の態様で間もなく利用可能となる。
【0017】
「滑りやすい滑走路をチェックするためのより良い方法」を求めるFAAのニーズを満たすことが本発明の主な目的であるが、本発明はこの特定のニーズを満たすことに限られない。むしろ、本発明は、船舶、列車、バス、自動車、及びヘリコプターを含みこれらに限られない他の乗り物のオペレータに情報を与えることに適用可能である。したがって、与えられる情報が、必ずしも滑走路の制動有効性に関連する(又は専ら関連する)必要のないことは明らかである。その代わり、場合によっては、ドッキング結果、レール状態、又は道路制動有効性等に関連してもよい。船上情報の海上利用は、気象ブイ等の計器からのデータによって補完されてよい。同様に、出発する航空機の離陸データが、35フィートAGL等の適切な事象(経過時間又は離陸推進力からの減少を含むがこれらに限られない)の送信トリガとともに与えられてもよい。このトリガは、地理的座標とともに、航空機に対する離陸距離の定式化を可能にする。
【0018】
記録された/送信されたデータと公称値との比較が処理中に付加的に行われてよい。例えば、特定の航空機タイプに対して、実際の着陸距離(測定されたもの又は測定されたデータから計算されたもののいずれか)が、乾燥滑走路設定に対する公称値と比較される。当該比較情報は、着陸予定の航空機のパイロットに利用可能にされる。他の航空機タイプとの比較も同様にパイロットへ与えられてよい。
【0019】
本発明に係る、着陸中のパイロットへ送信される情報は、航空機飛行・性能マニュアルとともに、飛行中の重要な時にこれらのパイロットへ、より有用なデータを与える可能性が高い。当該情報及びデータは、人間の航空交通管制官を介してパイロットからパイロットへ口頭で伝えられる現行の情報よりも客観的であることが意図される。これらはまた、リアルタイム(又はほぼリアルタイム)で利用可能となって利便性が高められることが意図される。
【0020】
(B.データ収集機器)
現行の滑走路摩擦測定法は、地上減速計によって測定された摩擦係数に基づく。こうした測定摩擦係数と航空機制動係数との間には所定の相関が存在する可能性が高いが、これらは、実際の製造業者の飛行試験から得られた航空機性能データと十分に相関するわけではない。このため、地上機器を使用して測定された滑走路摩擦係数は、パイロットが航空業務マニュアル(flight operations manuals(FOM))、クイックリファレンスハンドブック(QRH)、航空機/飛行機フライトマニュアル(AFM)、又は離陸及び着陸の性能計算を行う機上パフォーマンスコンピュータ(OPC)を参照するときに使用されるのが典型的というわけではない。
【0021】
地上測定機器を使用する代わりに、本発明の実施例では航空機を代用することが意図される。測定値を取得する上で特に好ましいのは、無人航空宇宙機(unmanned aerospace vehicles(UAV))である。これは、空港の場周経路(traffic pattern)に(必要に応じて複数回)乗り入れて航空気象データ及び滑走路状態関連データの双方を取得するべく着陸する。少なくともUAVは機体である(すなわち揚力及び抗力のような空気力学的力を受けるか発生させる)から、UAVが取得する滑走路摩擦情報は、着陸予定航空機のパイロットが必要とするデータをより正確に表している可能性が高い。具体的には、必要であればUAVは、他の(固定翼)航空機タイプのほとんど又は全てに変換される基本データを与える。例えばFOM、QRH、AFM、又はOPCに記述される乾燥着陸距離に対する増加パーセントに関する情報を与える。
【0022】
さらに、空港が雪の場合、空港滑走路を閉鎖することなしに(現状のまま)除雪の有効性を決定するのにUAVが使用できる。これまでのNTSB安全勧告は、滑走路を閉鎖する必要がある場合を決定する値を要求している。その値、及びこれの決定方法のための基本情報を、UAVの使用により取得されたデータが与える。
【0023】
必要であれば空港は、任意時刻に滑走路状態を評価するべく利用可能な一つ以上のUAVを所有してよい。代替として、一つのUAVが2つ以上の空港に提供されて、複数の空港間を飛行して各々にて着陸及び離陸してもよい。さらに代替として、複数のUAVの飛行隊が様々な場所で待機していて、必要に応じて場周経路まで飛行して着陸してもよい。
【0024】
UAVは、アンチスキッド制動、並びに必要なデータを測定及び処理するのに十分な演算能力を有するのが望ましい。さらに、UAVは考えられる限りで、特定タイプの航空機に酷似するように修正されてよい。例えば、ボーイングが使用するタイプの着陸ギア制動アセンブリが組み込まれるように修正されるUAVがあってもよいし、エアバス(又はボンバルディア、エンブラエル、サーブ、フォッカー等)が使用するタイプのアセンブリを含むように修正されるUAVがあってもよい。
【0025】
本発明のいくつかの実施例において、UAV等の空上データ収集機器は、気象、滑走路、及び性能のデータを、(保護された)共有ネットワークを介して、所定位置で運航する複数の航空会社へ送信する。データが特定の航空機タイプでない場合は、様々な航空会社によって特定航空機タイプのための変換が行われる。その代わりに、特定サイトを中心として、又は製造業者、FAA等へデータが送信されてよい。必要又は所望の程度により、一のユーザ専用とみなされる情報を少なくとも所定の他のユーザがアクセスすることから保護するべく、セキュリティ保証が含まれてよい。
【0026】
したがって、本発明の選択的かつ非限定的な目的は、滑走路状態に関する情報を改善又は増加するシステム及び方法を与えることにある。
【0027】
本発明の他の選択的かつ非限定的な目的は、現在口頭で伝達されている主観的情報を代用する、自動化された客観的情報をパイロットに提示するシステム及び方法を与えることにある。
【0028】
また、本発明の選択的かつ非限定的な目的は、滑走路状態及び着陸時に遭遇する航空機停止性能に関するリアルタイム(又はほぼリアルタイム)情報のシステム及び方法を与えることにある。
【0029】
本発明のさらに選択的かつ非限定的な目的は、航空機を測定計器として使用することにより滑走路関連データを取得するシステム及び方法を与えることにある。
【0030】
さらに、本発明の選択的かつ非限定的な目的は、滑走路関連データを取得するべくUAVを使用するシステム及び方法を与えることにある。
【0031】
本願の以下の文章及び図面を参照することで、本発明の他の目的、特徴、及び利点が当業者にとって明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の様々な実施例に関連して使用される又は有用な所定の選択的な動作及び機器のフローチャートである。
【図2】本発明の様々な面を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1に示されるのは、システム10の選択的側面である。システム10により有効となる動作には典型的には、例えば滑走路状態及び航空機制動に直接的又は間接的に関連するデータの収集(ブロック14)、処理(ブロック18)、及び送信(ブロック22)が含まれる。本願の前節で述べたように、図1で特定されるような動作は、空上機器又は地上機器(又は双方)を使用して行われる。
【0034】
具体的には、データ収集(14)は、空港に最近着陸又は出発する有人航空機の機上機器(14A)、UAV(14B)のような無人航空機の機上機器、及び従来の地上滑走路摩擦テスタを含むがこれに限られない地上機器(14C)のいずれか又は全てを利用して行われる。しかし、かかる従来の摩擦テスタは使用されないのが好ましい。これは、滑走路閉鎖が必要になることと、その結果が機体の結果と十分に相関する可能性が低いこととの双方の理由による。その代わりに又はそれに加えて、情報は、最後に滑走路プラウがあった時、雪又は泥雪の深さ、除氷機器が使用中か否かのような飛行場状態を与える「飛行士への雪警報(Snow Warning to Airmen(SNOTAM/SNOWTAM))」報告から取得されてよい。
【0035】
データの収集に際し、データ処理(18)が、有人航空機(18A)の機上で、無人航空機(18B)の機上で、又は地上演算機器(18C)を使用して行われてよい。これらの処理装置の選択肢の組み合わせも同様に利用できる。所定の空港又は所定の状況においてはデータ処理の集中型が有利であるが、他の時又は場所においては分散型処理が有利である。
【0036】
任意の必要な場所へのデータ送信(22)は自動化されるのが好ましい。例えば、着陸予定航空機のパイロットは、他の空上機器(22A)から直接的に、又は地対空送信(22D)を介してデータを受け取り得る。他にも例えば、離陸予定航空機のパイロットは、地上送信機(22B)又は空上送信機(22C)からデータを受け取り得る。
【0037】
同様に図2は、システム10の選択された選択的側面を詳細に示す。地上(26A)及び空上(26B)トランシーバ又は中継器の一方又は双方を使用して、データ等の情報を航空機から又は航空機へ伝えてよい。航空機は、最近着陸した航空機(30A)、最近離陸した航空機(30B)、飛行中の航空機(30C)、及び着陸準備中の航空機(30D)を含む。航空機30A−Dのいずれも有人又は無人、私用又は商用、官用又は民間等であってよい。未処理又は一部処理済みのデータは、機体製造業者等により与えられたデータと比較されるか又はそのデータに関連して処理される(34)。システム10のいくつかの実施例において、処理済データは、航空会社、空港当局、FAA、航空交通管制(air traffic control(ATC))(38)のいずれか又は全てに、及び、ACARS、SATCOM、DATALINK等(42)を介してパイロットに送られてよい。その結果、システムは、自動パイロット報告(図2において「自動PIREP」で示す)を与える。自動パイロット報告は、特に(しかし必ずというわけではない)航空機フライトマニュアル及び性能マニュアルと組み合わされている場合に、特に特定の場所に着陸する際に予測される状態の高品質評価をパイロットに提示する客観的かつデータに基づく情報を含む。
【0038】
本発明は、当該システム及び方法を含む機器及び動作に関して柔軟性がある。このため、以上は、本発明の実施例を図示、説明、及び記述する目的で与えられる。これらの実施例に対する修正例及び適合例は当業者にとって明らかであり、本発明の範囲及び要旨を逸脱せずになし得る。しかし、本発明は有利なことに、滑走路状態、及び着陸予定機のパイロットにとって着陸時に遭遇する可能性の高い航空機停止性能に関するリアルタイム又はほぼリアルタイムの客観的データを与える。Radoの米国特許出願公開第2006/0243857号明細書はその全てが、本明細書に参照によって組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着陸又は離陸すべく滑走路に近づく航空機Aのオペレータに、前記滑走路の少なくとも一部に沿った他の航空機Bの移動に関連して生成される滑走路関連情報を与える方法であって、
(a)前記滑走路の前記少なくとも一部に沿った航空機Bの前記移動に基づいて滑走路関連情報を電子的に収集するステップと、
(b)前記収集された滑走路関連情報の少なくとも一部を、前記滑走路に対して着陸又は離陸すべきか否かを決める目的で前記オペレータによる評価を受けるべく航空機Aに送信するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記収集された滑走路関連情報の少なくとも一部を、前記オペレータによる評価を受けるべく航空機Aに送信するステップは、航空機Aが空上にある間に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記収集された滑走路関連情報の少なくとも一部を、前記オペレータによる評価を受けるべく航空機Aに送信するステップは、航空機Aが着陸するべく前記滑走路に近づいている間に行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記収集された滑走路関連情報の少なくとも一部を、前記オペレータによる評価を受けるべく航空機Aに送信するステップは、航空機Bが前記滑走路の前記少なくとも一部に沿って移動した後30分以内に行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記収集された滑走路関連情報の少なくとも一部は航空機Bの機上で記録される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記収集された滑走路関連情報の少なくとも一部を電子的に処理するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
航空機Bは無人である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記滑走路関連情報は、航空機Aの制動有効性に関連する情報を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記収集された滑走路関連情報の少なくとも一部を航空機Bの機上で電子的に処理するステップをさらに含み、
(a)前記収集された滑走路関連情報の少なくとも一部は航空機Bの機上で記録され、
(b)航空機Bは無人であり、
(c)航空機Aの前記オペレータはパイロットであり、
(d)前記滑走路関連情報は、航空機Aの制動有効性に関連する情報を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
着陸又は離陸すべく滑走路に近づく航空機Aのオペレータに、前記滑走路の少なくとも一部に沿った他の航空機Bの移動に関連して生成される滑走路関連情報を与えるシステムであって、
(a)前記滑走路の前記少なくとも一部に沿った航空機Bの前記移動に基づいて滑走路関連情報を電子的に収集する手段と、
(b)前記収集された滑走路関連情報の少なくとも一部を、前記滑走路に対して着陸又は離陸すべきか否かを決める目的で前記オペレータによる評価を受けるべく航空機Aに送信する手段と
を含むシステム。
【請求項11】
前記収集された滑走路関連情報の少なくとも一部を、前記オペレータによる評価を受けるべく航空機Aに送信する手段は、航空機Aが空上にある間に前記滑走路関連情報の少なくとも一部を送信する手段を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記収集された滑走路関連情報の少なくとも一部を、前記オペレータによる評価を受けるべく航空機Aに送信する手段は、航空機Aが着陸するべく前記滑走路に近づいている間に前記滑走路関連情報の少なくとも一部を送信する手段を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記収集された滑走路関連情報の少なくとも一部を、前記オペレータによる評価を受けるべく航空機Aに送信する手段は、前記電子的に収集する手段を使用しての滑走路関連情報の収集後30分以内に、前記収集された滑走路関連情報の少なくとも一部を、前記オペレータによる評価を受けるべく航空機Aに送信する手段を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記収集された滑走路関連情報の少なくとも一部は航空機Bの機上で記録される、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記収集された滑走路関連情報の少なくとも一部を電子的に処理する手段をさらに含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
航空機Bは無人である、請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
前記滑走路関連情報は、航空機Aの制動有効性に関連する情報を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項18】
前記収集された滑走路関連情報の少なくとも一部を航空機Bの機上で電子的に処理する手段をさらに含み、
(a)前記収集された滑走路関連情報の少なくとも一部は航空機Bの機上で記録され、
(b)航空機Bは無人であり、
(c)航空機Aの前記オペレータはパイロットであり、
(d)前記滑走路関連情報は、航空機Aの制動有効性に関連する情報を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
移動目的で表面に近づく第1乗り物のオペレータに表面関連情報を与える方法であって、
(a)前記第1乗り物と同じタイプの第2乗り物に前記表面の少なくとも一部に沿って移動させるステップと、
(b)前記第2乗り物の前記表面の少なくとも一部に沿った前記移動に基づいて表面関連情報を電子的に収集するステップと、
(c)前記収集された表面関連情報の少なくとも一部を電子的に処理するステップと、
(d)前記処理された表面関連情報の少なくとも一部を、前記表面に沿って移動すべきか否かを決める目的で前記オペレータによる評価を受けるべく前記第1乗り物に送信するステップと
を含む方法。
【請求項20】
前記第1及び第2乗り物は地上自動車であり、前記表面は道路である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1及び第2乗り物は列車であり、前記表面は線路である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記第1及び第2乗り物はボートであり、前記表面は水路である、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記滑走路関連情報を電子的に収集する手段は、航空機Bのアンチスキッドコントローラを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項24】
航空機Aのオペレータに、他の航空機Bの移動に関連して生成される、前記航空機Aが遭遇する気象に関連する情報を与える方法であって、
(a)航空機Bの前記移動に基づいて気象関連情報を電子的に収集するステップと、
(b)前記収集された気象関連情報の少なくとも一部を、前記オペレータの評価を受けるべく航空機Aに送信するステップと
を含む方法。
【請求項25】
前記収集された気象関連情報の少なくとも一部を、前記オペレータの評価を受けるべく航空機Aに送信するステップは、前記気象関連情報の収集後30分以内に行われる、請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−522366(P2010−522366A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543111(P2009−543111)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/087733
【国際公開番号】WO2008/127468
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(504097650)エンジニアード・アレスティング・システムズ・コーポレーション (7)
【氏名又は名称原語表記】ENGINEERED ARRESTING SYSTEMS CORPORATION
【住所又は居所原語表記】2550 Market Street, Aston, PA 19014, United States of America
【Fターム(参考)】