説明

情報処理システム、情報処理装置、電源制御方法及びプログラム

【課題】最適な装置構成を自動で構築し、不要なモジュールの電源をOFFにすることにより、省電力化を図る情報処理システム、情報処理装置、電源制御方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置と、監視制御装置とを備えた情報処理システムであって、情報処理装置は、モジュールと、モジュールを制御する制御手段と、を有し、監視制御装置は、制御手段により、モジュールがオンラインにされ、モジュールの電源がオンにされた場合、モジュールの負荷状況を監視し、モジュールの負荷状況が予め設定された基準値を下回った場合、制御手段に対して、モジュールをオフラインにし、モジュールの電源をオフにするように命令し、制御手段は、監視制御装置からの命令に従って、モジュールをオフラインにし、モジュールの電源をオフにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構成制御により最適な装置構成を構築する情報処理システム、情報処理装置、電源制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連する技術例として、複数のサーバがネットワークにより接続され、1つ以上の業務が稼働する計算機システムにおいて、所定の条件で業務を稼働することで計算機システムが消費する電力を低減する「計算機システムの消費電力低減方法、及びそのプログラム」がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−310791号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、サーバ等の情報処理装置は、最大必要性能に合わせて装置構成を構築しており、手動によるモジュールの切り離しや、負荷に応じてのパーティション移動などは可能である。しかしながら、自動で不要なモジュールを装置から切り離し、切り離したモジュールのDC電源をOFFにする機能により、省電力化を図るものはなかった。なお、上記特許文献1もこのような機能は有していない。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、最適な装置構成を自動で構築し、不要なモジュールの電源をOFFにすることにより、省電力化を図る情報処理システム、情報処理装置、電源制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するために、本発明の情報処理システムは、情報処理装置と、監視制御装置とを備えた情報処理システムであって、情報処理装置は、モジュールと、モジュールを制御する制御手段と、を有し、監視制御装置は、制御手段により、モジュールがオンラインにされ、モジュールの電源がオンにされた場合、モジュールの負荷状況を監視し、モジュールの負荷状況が予め設定された基準値を下回った場合、制御手段に対して、モジュールをオフラインにし、モジュールの電源をオフにするように命令し、制御手段は、監視制御装置からの命令に従って、モジュールをオフラインにし、モジュールの電源をオフにすることを特徴とする。
【0006】
本発明の情報処理装置は、上記本発明の情報処理システムにおいて情報処理装置または監視制御装置として用いられる装置であることを特徴とする。
【0007】
本発明の電源制御方法は、情報処理装置が有するモジュールの電源を制御する電源制御方法であって、モジュールがオンラインにされ、モジュールの電源がオンにされた場合、モジュールの負荷状況を監視するステップと、モジュールの負荷状況が予め設定された基準値を下回った場合、モジュールをオフラインにし、モジュールの電源をオフにするステップと、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明のプログラムは、上記本発明の電源制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、装置構成の制御を自動で行い、不要なモジュールの電源をOFFにすることにより、省電力化に貢献することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
本発明の一実施形態として、情報処理システム及び情報処理装置(サーバ20)の構成を図1に示す。本実施形態の情報処理システムは、図1に示すように、サーバ20と、SNMP(Simple Network Management Protocol)マネージャ17とを有する。
【0012】
SNMPマネージャ17は、SNMPを用いて、サーバ20をネットワーク経由で監視・制御する情報処理装置(監視制御装置)である。なお、SNMPについては、当業者によって知られているため、ここでの説明は省略する。
【0013】
サーバ20は、複数のセル#1〜#m(mは整数)と、SP(Service Processor)18と、を有して構成される情報処理装置である。
【0014】
SP18は、サーバ20の制御手段であり、システム制御、構成制御、障害処理等を行い、SNMPマネージャ17と通信を行う。上記「構成制御」とは、必要なモジュールの組み込みや不要なモジュールの切り離しを行うことにより、最適な装置構成を構築する制御である。なお、「組み込み」はモジュールをオンライン(online)状態にすることであり、「切り離し」はモジュールをオフライン(offline)状態にすることである。
【0015】
セル#1〜#mは、複数のCPU(Central Processing Unit)、メモリ等のモジュール(電子部品)を実装したボードである。なお、図1では、複数のセルを有するように構成したが、セルの数は1つ(例えば、セル#1のみ)であってもよい。
【0016】
セル#1を例としてその構成を説明する。セル#1は、実装するモジュールの例として、複数のCPU1〜3、メモリ4、プロセッサバス(Front Side Bus)5、ノースブリッジ(North Bridge)6を有している。CPU1〜3は、プロセッサバス5を介してノースブリッジ6と接続されている。
【0017】
また、ノースブリッジ6の配下には、拡張デバイスであるPCIバス(Peripheral Components Interconnect bus)8を備えたサウスブリッジ(South Bridge)7が接続されている。PCIバス8の配下には、複数のPCIスロット(I/Oモジュール)9〜16が備えられている。
【0018】
次に、上述した本実施形態の情報処理システム及び情報処理装置(サーバ20)における動作(本発明の電源制御方法の一実施形態)について、図1及び図2を参照して以下に説明する。
【0019】
本実施形態の情報処理システム及び情報処理装置(サーバ20)では、構成制御を、自動で行う場合と、計画的に行う場合との2通りが可能である。どちらで構成制御を行うかについては、本情報処理システムの管理者(利用者)が選択できるようにしてもよい。
【0020】
まず、図2(a)を参照して、構成制御を自動で行う場合の動作について説明する。
〈ステップS1〉
システム立ち上げ時では、SP18は、予め設定されたモジュール(例えば、CPU1、メモリ4、PCIバス8)をオンラインとし、システムに組み込む。また、SP18は、残り(未設定)のモジュール(例えば、CPU3)をオフラインにしてシステムから切り離す。さらに、SP18は、システムに組み込んだモジュールのみ、DCをONにする。
【0021】
〈ステップS2〉
管理者は、SNMPマネージャ17において、モジュール(例えば、CPU1)の組み込み/切り離しを行う基準値を設定する。
【0022】
〈ステップS3〉
SNMPマネージャ17は、サーバ20のOS(Operating System)稼動時において、常にモジュール(例えば、CPU1)の負荷状況を測定(監視)しているものとする。そして、CPU1の負荷状況が、一定時間の間、上記基準値を下回った場合は、SNMPマネージャ17はそれを検知し、SP18に対して、CPU1を切り離し、DCをOFFにするように命令する。その命令を受けたSP18は、CPU1に制御信号を送り、DCをOFFにする。
【0023】
〈ステップS4〉
その後、SNMPマネージャ17は、CPU1の負荷状況が基準値を上回ったことを検知した場合は、CPU1のDCをONにして組み込むように、SP18に対して命令する。その命令を受けたSP18は、CPU1に制御信号を送り、DCをONにする。またこのとき、DCがONでオフラインである運用可能なCPU(障害処理用の予備モジュール。例えば、CPU2)がある場合、SP18は、CPU2に制御信号を送り、オンラインにして活用可能にする。すなわち、CPUのDCをONにする際にはCPUの診断も必要であり、時間がかかる。そこで、本実施形態では、DCがONの状態で、システムに組み込まれていない(オフラインで待機している)予備モジュールを使用するようにする。このように、障害処理用の予備CPU2をCPU1よりも先に組み込むことで、CPU1が活用可能になるまでのタイムラグを埋める。すなわち、CPU1に対してDC ON命令が出てから実際にCPU1が組み込まれるまでのタイムロスを防ぐことができる。
【0024】
〈ステップS5〉
CPU1が立ち上がって活用可能な状態となったら、SP18は、CPU1を予備モジュールとして組み込む。その後は、SNMPマネージャ17が各CPUの負荷状況を常に測定し、定期的にステップS3〜S5を繰り返す。
【0025】
また、上記ステップS2〜S4の動作を、CPUだけでなく、メモリ4やPCIバス8に対しても行う。
【0026】
〈ステップS6〉
セル#1に搭載されている、CPU1〜3,メモリ4,配下のPCIバス8を全てオフラインにしてシステムから切り離した際には、SP18は、セル#1ごとオフラインにしてシステムから切り離し、DCをOFFにする。
【0027】
以上説明したように、本実施形態によれば、サーバの運用中(OS稼働中)において、CPU、メモリ等のモジュールの負荷状況に基づいて、最適な装置構成への変更(構成制御)を自動で行い、余分なモジュールのDC電源をOFFにすることで、省電力化が図れる。
【0028】
次に、図2(b)を参照して、構成制御を計画的に行う場合の動作について説明する。
〈ステップS11〉
システム立ち上げ時では、SP18は、予め設定されたモジュール(例えば、CPU1、メモリ4、PCIバス8)をオンラインとし、システムに組み込む。また、SP18は、残り(未設定)のモジュール(例えば、CPU2,3等)をオフラインにしてシステムから切り離す。さらに、SP18は、システムに組み込んだモジュールのみ、DCをONにする。
【0029】
〈ステップS12〉
管理者は、SNMPマネージャ17において、モジュール(例えば、CPU1)の組み込み/切り離しを行うタイミング(例えば、時刻、曜日など)を設定する。
【0030】
〈ステップS13〉
SNMPマネージャ17は、時間を測定しているものとする。そして、切り離すタイミングに至った場合は、SNMPマネージャ17はそれを検知し、SP18に対して、CPU1を切り離し、DCをOFFにするように命令する。その命令を受けたSP18は、CPU1に制御信号を送り、DCをOFFにする。一方、組み込むタイミングに至った場合は、SNMPマネージャ17はそれを検知し、SP18に対して、CPU1のDCをONにし、組み込むように命令する。その命令を受けたSP18は、CPU1に制御信号を送り、DCをONにする。またこのとき、DCがONでオフラインである運用可能なCPU(障害処理用の予備モジュール。例えば、CPU2)がある場合は、SP18は、CPU2に制御信号を送り、オンラインにして活用可能にする。このように、障害処理用の予備CPU2を先に組み込むことで、CPU1が活用可能になるまでのタイムラグを埋める。すなわち、CPU1に対してDC ON指示が出てから実際にCPU1が組み込まれるまでのタイムロスを防ぐことができる。
【0031】
〈ステップS14〉
CPU1が立ち上がって活用可能な状態となったら、SP18は、CPU1を予備モジュールとして組み込む。その後は、SNMPマネージャ17が各CPUの負荷状況を常に測定し、定期的にステップS13〜S14を繰り返す。
【0032】
また、上記ステップS12〜S14の動作を、CPUだけでなく、メモリ4やPCIバス8に対しても行う。
【0033】
〈ステップS15〉
セル#1に搭載されている、CPU1〜3,メモリ4,配下のPCIバス8を全てオフラインにしてシステムから切り離した際には、SP18は、セル#1ごとオフラインにしてシステムから切り離し、DCをOFFにする。
【0034】
以上説明したように、本実施形態によれば、サーバの運用中(OS稼働中)において、予め設定したタイミングに基づいて、最適な装置構成への変更(構成制御)を行い、余分なモジュールのDC電源をOFFにすることで、省電力化が図れる。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
【0036】
例えば、上述した各実施形態における動作(図2に示す動作)は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成によって実行することも可能である。
【0037】
ソフトウェアによる処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ内のメモリにインストールして実行させてもよい。あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させてもよい。
【0038】
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROM(Read Only Memory)に予め記録しておくことが可能である。あるいは、プログラムは、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体に、一時的、あるいは、永続的に格納(記録)しておくことが可能である。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することが可能である。
【0039】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールする他、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送してもよい。または、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送してもよい。コンピュータでは、転送されてきたプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることが可能である。
【0040】
また、上記実施形態で説明した処理動作に従って時系列的に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力、あるいは、必要に応じて並列的にあるいは個別に実行するように構築することも可能である。
【0041】
また、上記実施形態で説明したシステムは、複数の装置の論理的集合構成にしたり、各装置の機能を混在させたりするように構築することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態に係る情報処理システム及び情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る情報処理システムの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0043】
1〜3 CPU
4 メモリ
5 プロセッサバス
6 ノースブリッジ
7 サウスブリッジ
8 PCIバス
9〜16 PCIスロット
17 SNMPマネージャ
18 SP
20 サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置と、監視制御装置とを備えた情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
モジュールと、
前記モジュールを制御する制御手段と、を有し、
前記監視制御装置は、
前記制御手段により、前記モジュールがオンラインにされ、前記モジュールの電源がオンにされた場合、前記モジュールの負荷状況を監視し、
前記モジュールの負荷状況が予め設定された基準値を下回った場合、前記制御手段に対して、前記モジュールをオフラインにし、前記モジュールの電源をオフにするように命令し、
前記制御手段は、
前記監視制御装置からの命令に従って、前記モジュールをオフラインにし、前記モジュールの電源をオフにすることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記監視制御装置は、
前記モジュールの負荷状況が前記予め設定された基準値を上回り、かつ、前記モジュールの予備モジュールが電源オンかつオフラインとなっている場合、前記制御手段に対して、前記モジュールの電源をオンにするように命令し、
前記制御手段は、
前記監視制御装置からの命令に従って、前記モジュールの電源をオンにするとともに、前記予備モジュールをオンラインにすることを特徴とする請求項1記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記モジュールが活用可能となった場合、前記モジュールを新たな予備モジュールとすることを特徴とする請求項2記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記モジュール及び前記モジュールの配下のモジュールを全てオフラインにした場合、前記モジュールが配置されるセルごとオフラインにし、前記セルの電源をオフにすることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記監視制御装置は、
計測している時間が予め設定されたオフラインのタイミングに至った場合は、前記制御手段に対して、前記モジュールをオフラインにし、前記モジュールの電源をオフにするように命令し、
前記制御手段は、
前記監視制御装置からの命令に従って、前記モジュールをオフラインにし、前記モジュールの電源をオフにし、
前記監視制御装置は、
計測している時間が予め設定されたオンラインのタイミングに至った場合は、前記制御手段に対して、前記モジュールをオンラインにし、前記モジュールの電源をオンにするように命令し、
前記制御手段は、
前記監視制御装置からの命令に従って、前記モジュールをオンラインにし、前記モジュールの電源をオンにすることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に情報処理システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理システムにおいて情報処理装置または監視制御装置として用いられる装置であることを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
情報処理装置が有するモジュールの電源を制御する電源制御方法であって、
前記モジュールがオンラインにされ、前記モジュールの電源がオンにされた場合、前記モジュールの負荷状況を監視するステップと、
前記モジュールの負荷状況が予め設定された基準値を下回った場合、前記モジュールをオフラインにし、前記モジュールの電源をオフにするステップと、
を有することを特徴とする電源制御方法。
【請求項8】
前記モジュールの負荷状況が前記予め設定された基準値を上回り、かつ、前記モジュールの予備モジュールが電源オンかつオフラインとなっている場合、前記モジュールの電源をオンにするとともに、前記予備モジュールをオンラインにするステップをさらに有することを特徴とする請求項7記載の電源制御方法。
【請求項9】
前記モジュールが活用可能となった場合、前記モジュールを新たな予備モジュールとするステップをさらに有することを特徴とする請求項8記載の電源制御方法。
【請求項10】
前記モジュール及び前記モジュールの配下のモジュールが全てオフラインにされた場合、前記モジュールが配置されるセルごとオフラインにし、前記セルの電源をオフにするステップをさらに有することを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の電源制御方法。
【請求項11】
時間を計測するステップと、
前記時間が予め設定されたオフラインのタイミングに至った場合は、前記モジュールをオフラインにし、前記モジュールの電源をオフにするステップと、
前記時間が予め設定されたオンラインのタイミングに至った場合は、前記モジュールをオンラインにし、前記モジュールの電源をオンにするステップと、
をさらに有することを特徴とする請求項7から10のいずれか1項に電源制御方法。
【請求項12】
請求項7から11のいずれか1項に記載の電源制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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