説明

情報処理システムおよび情報処理プログラム

【課題】外部システムと連係してサービスを提供する場合に、内部ID体系と外部ID体系との互換性を保つことができる情報処理システムを提供する。
【解決手段】情報処理システムのサブスペース情報記憶手段は、共通識別子内の第1のサブスペース識別子と該第1のサブスペース識別子によって特定されるサブスペースを一意に識別でき、第1のサブスペース識別子とは異なる識別子である第2のサブスペース識別子とを対応させて記憶し、カテゴリー情報記憶手段は、共通識別子内の第1のカテゴリー識別子と該第1のカテゴリー識別子によって特定されるカテゴリーを一意に識別でき、第1のカテゴリー識別子とは異なる識別子である第2のカテゴリー識別子とを対応させて記憶し、変換手段は、共通識別子をサブスペース情報記憶手段又はカテゴリー情報記憶手段を用いて、第2のサブスペース識別子又は第2のカテゴリー識別子を用いた識別子に変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムおよび情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子的なサービスを提供するためには、様々な管理対象(ユーザー、コンテンツ等)を体系的に管理し、それらに対する処理を適切に実行する必要がある。そのために、管理対象を一意に特定できる識別子(IDentification、以下「ID」ともいう)を管理する必要がある。
例えば、電子的なサービスを提供する際のユーザー管理について、いくつかの方法が提案されている。例えば、IDフェデレーション技術を使用すれば、1人のユーザーが複数のサービスを利用することができる環境が提供される。
これらに関連する技術として、例えば、特許文献1に記載の技術は、IDフェデレーションの基本的な処理に関するものである。すなわち、特許文献1には、サービス提供サイトでのユーザー認証をユーザーID/パスワード(認証情報)により行う場合、認証情報はサービス提供サイトごとに管理されているため、ユーザーはサービス提供サイトごとの認証情報を記憶する必要があり、また、ユーザーが認証情報を忘れた場合、サービス提供サイトへのアクセス中止や認証情報再入手手続きなど、サービス提供サイトでの運用コスト負担も問題となることを課題とし、ユーザー認証管理サイトを設け、各サービス提供サイトで管理しているユーザー認証情報を統合管理することで、ユーザーは一つの認証情報により常にサービス提供サイトへアクセスできるようにすることが開示されている。
また、例えば、特許文献2に記載の技術は、登録した個人情報を他のサービスと共有するための機構に関するものである。すなわち、特許文献2には、利用者が各種サービス機関のサービス提供を受けようとする際に必要となる個人情報の管理を効率化し、利用者の利便性を向上することを課題とし、情報管理機関が各種サービス機関との間及び利用者との間に個人情報授受の契約を締結し、前記利用者の個人情報を一括管理するとともに、前記利用者が前記サービス機関のサービス提供を受ける際に必要に応じて前記サービス機関に対して個人情報を提供することが開示されている。
このように、IDフェデレーション技術は、複数の組織において管理されるユーザーを体系的に管理するための技術ととらえることができる。
【0003】
また、例えば、特許文献3に記載の技術は、コンビニエンスストア等において、ユーザー認証後に画像データをサーバーへ送信する機能に関するものである。すなわち、特許文献3には、ネットワーク接続可能な画像処理装置をコンビニエンスストア等の店舗に設置して、カメラ付き携帯電話等に記録した画像データを容易且つ信頼性の高い方法で保管することを課題とし、画像処理装置は、印刷装置を有する画像処理ユニット,該画像処理ユニットに接続された情報処理ユニットからなり、サーバー装置とネットワークを介して接続され、前記情報処理ユニットは、ユーザーのID情報、指紋データ、顔写真データを含む会員登録情報を記憶した記憶装置、認証手段、アップロード手段を有し、ユーザーから指紋が入力された場合に該指紋データと、記憶装置の指紋データとを照合し、両者が一致した場合に前記指紋データに応じたID情報及び顔写真データを記憶装置から抽出して画面上に表示し、前記ユーザーのカメラ付き携帯電話等の機器に記録された画像データを前記サーバー装置の予め決められた保管領域にアップロードすることが開示されている。
また、一般に文書データベースに文書を保存する場合や通常のOSのファイルシステムにおいてファイルにIDを付与することは、広く知られている一般的な手法である。
【特許文献1】特開2004−078622号公報
【特許文献2】特開2001−344379号公報
【特許文献3】特開2005−020582号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、実際に電子的なサービスを提供する場合には、ユーザーや文書だけでなく、サービス機能、契約、プリンタ、スキャナ、ユーザークライアント、サーバー等々様々な対象を管理する必要がある。さらに、場合によってはユーザーや文書も1種類ではなく、多くの種類となる可能性がある。例えば、自社で管理しているユーザーと顧客企業で管理しているユーザー、スキャン文書や加工済み文書等々である。
また、サービス提供が多方面にわたり大規模になる場合には、サービスを提供するシステムが分散化することは避けられず、これら分散サブシステムが自律的に動作するように構成する必要がある。
このように大規模で分散化し、自律的に動作するシステム上で種類の異なる複雑な管理対象を組み合わせてサービスを提供する際には、管理対象にIDを割り振り、IDのユニーク性を保証し、効率的にID付与対象を保管・検索することは、このようなシステムでサービスを実現する場合の基本となるものである。
さらに、実際にサービスを提供する際には、提供するシステムのID管理体系(「内部ID体系」とも呼ぶ)外のID体系(「外部ID体系」とも呼ぶ)と連係する必要がある。例えば、内部ID体系はバイナリー形式のIDである場合に、バイナリー形式のIDを受容しないシステムと連係してサービスを提供する場合がある。さらに、X.509証明書を取得する場合には、標準で決められた形式の識別名を指定する必要がある。また、電子メールやサーバーのアドレスには、標準で決められた形式があり、それ以外の形式を任意に指定することはできない。
【0005】
そこで、本発明は、複数種類の管理対象を組み合わせてサービスを提供するシステムに対して、その管理対象に対するIDの割り振りを効率的に実施でき、外部システムと連係してサービスを提供する場合に、内部で使用しているID体系と外部ID体系との互換性を保つことができるようにした情報処理システムおよび情報処理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[請求項1] カテゴリーを一意に識別できるカテゴリー識別子を受け付けるカテゴリー識別子受付手段と、
識別子空間を排他的な空間に分割するサブスペースを一意に特定できるサブスペース識別子を記憶しているサブスペース記憶手段と、
サブスペース内におけるカテゴリー別のエンティティの一意性を保証するエンティティ識別子を発行するエンティティ識別子発行手段と、
前記サブスペース記憶手段によって記憶されているサブスペース識別子と前記カテゴリー識別子受付手段によって受け付けられたカテゴリー識別子と前記エンティティ識別子発行手段によって発行されたエンティティ識別子とを合成して、識別子空間全体における識別子である共通識別子を生成する共通識別子生成手段と、
前記共通識別子生成手段によって生成された共通識別子内のサブスペース識別子である第1のサブスペース識別子と該第1のサブスペース識別子によって特定されるサブスペースを一意に識別でき、前記第1のサブスペース識別子とは異なる識別子である第2のサブスペース識別子とを対応させて記憶しているサブスペース情報記憶手段と、
前記共通識別子生成手段によって生成された共通識別子内のカテゴリー識別子である第1のカテゴリー識別子と該第1のカテゴリー識別子によって特定されるカテゴリーを一意に識別でき、前記第1のカテゴリー識別子とは異なる識別子である第2のカテゴリー識別子とを対応させて記憶しているカテゴリー情報記憶手段と、
前記共通識別子生成手段によって生成された共通識別子を前記サブスペース情報記憶手段又は前記カテゴリー情報記憶手段を用いて、第2のサブスペース識別子又は第2のカテゴリー識別子を用いた識別子に変換する変換手段
を具備することを特徴とする情報処理システム。
【0007】
[請求項2] カテゴリーを一意に識別できるカテゴリー識別子を受け付けるカテゴリー識別子受付手段と、
識別子空間を排他的な空間に分割するサブスペースを一意に特定できるサブスペース識別子を記憶しているサブスペース記憶手段と、
サブスペース内におけるカテゴリー別のエンティティの一意性を保証するエンティティ識別子を発行するエンティティ識別子発行手段と、
前記サブスペース記憶手段によって記憶されているサブスペース識別子と前記カテゴリー識別子受付手段によって受け付けられたカテゴリー識別子と前記エンティティ識別子発行手段によって発行されたエンティティ識別子とを合成して、識別子空間全体における識別子である共通識別子を生成する共通識別子生成手段と、
前記共通識別子生成手段によって生成された共通識別子内のサブスペース識別子である第1のサブスペース識別子と該第1のサブスペース識別子によって特定されるサブスペースを一意に識別でき、前記第1のサブスペース識別子とは異なる識別子である第2のサブスペース識別子とを対応させて記憶しているサブスペース情報記憶手段と、
前記共通識別子生成手段によって生成された共通識別子内のカテゴリー識別子である第1のカテゴリー識別子と該第1のカテゴリー識別子によって特定されるカテゴリーを一意に識別でき、前記第1のカテゴリー識別子とは異なる識別子である第2のカテゴリー識別子とを対応させて記憶しているカテゴリー情報記憶手段と、
外部より受け付けた第2のサブスペース識別子又は第2のカテゴリー識別子を用いた識別子を、前記サブスペース情報記憶手段又は前記カテゴリー情報記憶手段を用いて、第1のサブスペース識別子又は第1のカテゴリー識別子を用いた識別子に変換する変換手段
を具備することを特徴とする情報処理システム。
【0008】
[請求項3] コンピュータを、
カテゴリーを一意に識別できるカテゴリー識別子を受け付けるカテゴリー識別子受付手段と、
識別子空間を排他的な空間に分割するサブスペースを一意に特定できるサブスペース識別子を記憶しているサブスペース記憶手段と、
サブスペース内におけるカテゴリー別のエンティティの一意性を保証するエンティティ識別子を発行するエンティティ識別子発行手段と、
前記サブスペース記憶手段によって記憶されているサブスペース識別子と前記カテゴリー識別子受付手段によって受け付けられたカテゴリー識別子と前記エンティティ識別子発行手段によって発行されたエンティティ識別子とを合成して、識別子空間全体における識別子である共通識別子を生成する共通識別子生成手段と、
前記共通識別子生成手段によって生成された共通識別子内のサブスペース識別子である第1のサブスペース識別子と該第1のサブスペース識別子によって特定されるサブスペースを一意に識別でき、前記第1のサブスペース識別子とは異なる識別子である第2のサブスペース識別子とを対応させて記憶しているサブスペース情報記憶手段と、
前記共通識別子生成手段によって生成された共通識別子内のカテゴリー識別子である第1のカテゴリー識別子と該第1のカテゴリー識別子によって特定されるカテゴリーを一意に識別でき、前記第1のカテゴリー識別子とは異なる識別子である第2のカテゴリー識別子とを対応させて記憶しているカテゴリー情報記憶手段と、
前記共通識別子生成手段によって生成された共通識別子を前記サブスペース情報記憶手段又は前記カテゴリー情報記憶手段を用いて、第2のサブスペース識別子又は第2のカテゴリー識別子を用いた識別子に変換する変換手段
として機能させることを特徴とする情報処理プログラム。
【0009】
[請求項4] コンピュータを、
カテゴリーを一意に識別できるカテゴリー識別子を受け付けるカテゴリー識別子受付手段と、
識別子空間を排他的な空間に分割するサブスペースを一意に特定できるサブスペース識別子を記憶しているサブスペース記憶手段と、
サブスペース内におけるカテゴリー別のエンティティの一意性を保証するエンティティ識別子を発行するエンティティ識別子発行手段と、
前記サブスペース記憶手段によって記憶されているサブスペース識別子と前記カテゴリー識別子受付手段によって受け付けられたカテゴリー識別子と前記エンティティ識別子発行手段によって発行されたエンティティ識別子とを合成して、識別子空間全体における識別子である共通識別子を生成する共通識別子生成手段と、
前記共通識別子生成手段によって生成された共通識別子内のサブスペース識別子である第1のサブスペース識別子と該第1のサブスペース識別子によって特定されるサブスペースを一意に識別でき、前記第1のサブスペース識別子とは異なる識別子である第2のサブスペース識別子とを対応させて記憶しているサブスペース情報記憶手段と、
前記共通識別子生成手段によって生成された共通識別子内のカテゴリー識別子である第1のカテゴリー識別子と該第1のカテゴリー識別子によって特定されるカテゴリーを一意に識別でき、前記第1のカテゴリー識別子とは異なる識別子である第2のカテゴリー識別子とを対応させて記憶しているカテゴリー情報記憶手段と、
外部より受け付けた第2のサブスペース識別子又は第2のカテゴリー識別子を用いた識別子を、前記サブスペース情報記憶手段又は前記カテゴリー情報記憶手段を用いて、第1のサブスペース識別子又は第1のカテゴリー識別子を用いた識別子に変換する変換手段
として機能させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の情報処理システムによれば、複数種類の管理対象を組み合わせてサービスを提供するシステムに対して、その管理対象に対するIDの割り振りを効率的に実施でき、外部ID体系を有する外部システムと連係してサービスを提供する場合に、本情報処理システムで扱う内部ID体系を維持しつつ、他の外部ID体系によって管理された装置へのID送信を実施することができるようになるので、本構成を有していない場合に比較して、共通IDで管理されているサービスとその他のサービスとの連係がより容易になるという効果がある。
【0011】
請求項2記載の情報処理システムによれば、複数種類の管理対象を組み合わせてサービスを提供するシステムに対して、その管理対象に対するIDの割り振りを効率的に実施でき、外部ID体系を有する外部システムと連係してサービスを提供する場合に、本情報処理システムで扱う内部ID体系を維持しつつ、他の外部ID体系によって管理された装置からのID受信を実施することができるようになるので、本構成を有していない場合に比較して、共通IDで管理されているサービスとその他のサービスとの連係がより容易になるという効果がある。
【0012】
請求項3記載の情報処理プログラムによれば、複数種類の管理対象を組み合わせてサービスを提供するシステムに対して、その管理対象に対するIDの割り振りを効率的に実施でき、外部ID体系を有する外部システムと連係してサービスを提供する場合に、本情報処理プログラムによる情報処理システムで扱う内部ID体系を維持しつつ、他の外部ID体系によって管理された装置へのID送信を実施することができるようになるので、本構成を有していない場合に比較して、共通IDで管理されているサービスとその他のサービスとの連係がより容易になるという効果がある。
【0013】
請求項4記載の情報処理プログラムによれば、複数種類の管理対象を組み合わせてサービスを提供するシステムに対して、その管理対象に対するIDの割り振りを効率的に実施でき、外部ID体系を有する外部システムと連係してサービスを提供する場合に、本情報処理プログラムによる情報処理システムで扱う内部ID体系を維持しつつ、他の外部ID体系によって管理された装置からのID受信を実施することができるようになるので、本構成を有していない場合に比較して、共通IDで管理されているサービスとその他のサービスとの連係がより容易になるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に基づき本発明の好適な一実施の形態を説明する。
(装置の全体構成)
図1、図2は、本発明の一実施の形態の概念的なモジュール構成図を示している。
なお、モジュールとは、一般的に論理的に分離可能なソフトウェア、ハードウェア等の部品を指す。したがって、本実施の形態におけるモジュールはプログラムにおけるモジュールのことだけでなく、ハードウェア構成におけるモジュールも指す。それゆえ、本実施の形態は、プログラム、システムおよび方法の説明をも兼ねている。また、モジュールは機能にほぼ一対一に対応しているが、実装においては、1モジュールを1プログラムで構成してもよいし、複数モジュールを1プログラムで構成してもよく、逆に1モジュールを複数プログラムで構成してもよい。また、複数モジュールは1コンピュータによって実行されてもよいし、分散または並列環境におけるコンピュータによって1モジュールが複数コンピュータで実行されてもよい。また、以下、「接続」とは物理的な接続の他、論理的な接続を含む。
また、システムとは、複数のコンピュータ、ハードウェア、装置等がネットワーク等の通信手段で接続されて構成されるほか、1つのコンピュータ、ハードウェア、装置等によって実現される場合も含まれる。
以下、利用者として、法人、個人であるユーザーを主に例示して説明する。そして、記載を簡便にするために、ユーザー等が主体となって動作するように記載する場合もあるが、これはそのユーザーによる操作に応じて、システムが動作するものである。
【0015】
図1は、本実施の形態のサービスID管理交換装置の共通ID発行モジュール6内の概念的なモジュール構成図である。
サービスID管理交換装置は、全体が複数の機能単位(エンティティ管理サーバー11の共通ID発行モジュール6内のサブスペースID2に対応する機能)により構成されている。この機能単位のことを、サブスペースと呼ぶ。ID管理の視点から見ると、サブスペースは装置全体のID空間を複数の排他的な部分空間に分割したものである。そして、このサブスペースごとに一意のID(サブスペースID)が管理者によって割り振られている。
また、従来からあるシステムも共通IDによる論理空間内に包含できるように、このサブスペースをそのシステムに割り振られるようにしてもよい。
【0016】
また、本サービスID管理交換装置は、IDによって同定する複数の対象を同時に管理する装置である。この管理する対象に関する情報(管理する対象が情報そのものである場合には情報そのもの)をエンティティと呼び、エンティティの種類をカテゴリーと呼ぶ。カテゴリーには、管理者によって一意に識別できるID(カテゴリーID)が割り振られている。また、カテゴリーIDは、複数の種類(体系、論理的な空間、論理的な領域、対象とする世界、提供するサービス等)を一括に扱うためのものである。
エンティティは、一意に識別できるID(エンティティID)がエンティティID発行モジュール4によって割り振られる。
【0017】
そして、サブスペースID、カテゴリーID、エンティティIDを含めた全ID空間内におけるエンティティを一意に同定するためのIDを共通IDと呼ぶ。
なお、サブスペースID、カテゴリーIDは、管理者によって割り振られるとしたが、本サービスID管理交換装置が一定のアルゴリズム(例えば、発生順に順次番号を割り振る等)によって割り振るようにしてもよい。
【0018】
共通ID発行モジュール6は、共通ID発行受付モジュール1、サブスペースID2、共通ID生成モジュール3、エンティティID発行モジュール4、発行済エンティティID管理DB5を有している。そして、サブスペースごとに共通ID発行モジュール6がある。
共通ID発行受付モジュール1は、図1に示すように、共通ID生成モジュール3と接続されており、共通ID発行モジュール6の外部からカテゴリーIDとともに共通IDの発行要求を受け付け、共通ID発行の処理を開始する。
エンティティID発行モジュール4は、図1に示すように、共通ID生成モジュール3、発行済エンティティID管理DB5と接続されており、サブスペース内におけるカテゴリー別のエンティティの一意性を保証するIDを発行する。
発行済エンティティID管理DB5は、図1に示すように、エンティティID発行モジュール4と接続されており、エンティティIDの一意性を保証するための記録を記憶する。
サブスペースID2は、図1に示すように、共通ID生成モジュール3と接続されており、サブスペースを一意に特定するサブスペースIDである。サブスペースID2は、メモリ等の記憶装置に記憶されている。
共通ID生成モジュール3は、図1に示すように、共通ID発行受付モジュール1、サブスペースID2、エンティティID発行モジュール4と接続されており、サブスペースID2から取り出したサブスペースID、共通ID発行受付モジュール1によって受け付けられたカテゴリーID、エンティティID発行モジュール4によって発行されたエンティティIDを合成して共通IDを生成する。
【0019】
図2は、サービスID管理交換装置の構成を示すモジュール構成図である。
図2に示したサービスID管理交換装置は、エンティティ管理サーバー11、共通ID管理サーバー18、外部ID体系交換サーバー25を有している。これらは互いに、内部のネットワーク(回線)である内部チャネル26によって接続されている。また、外部ID体系交換サーバー25は、外部システムと外部ネットワーク27を介して接続されている。なお、エンティティ管理サーバー11、外部ID体系交換サーバー25は複数あってもよい。また、エンティティ管理サーバー11、共通ID管理サーバー18、外部ID体系交換サーバー25の各サーバーは、独立して構成されているが、例えばエンティティ管理サーバー11と外部ID体系交換サーバー25とを組み合わせて1つのサーバーとしてもよく、その組み合わせは任意である。また、1つの装置内にあるエンティティ管理サーバー11、共通ID管理サーバー18、外部ID体系交換サーバー25に対応するモジュールであってもよく、その場合、内部チャネル26は内部バスである。
【0020】
エンティティ管理サーバー11は、図1のモジュール構成図で示した共通ID発行モジュール6、共通ID発行要求モジュール7、エンティティ生成モジュール8、エンティティ管理モジュール9、エンティティ保管DB10を有している。
共通ID発行要求モジュール7は、図2に示すように、共通ID発行モジュール6、エンティティ生成モジュール8と接続されており、カテゴリーIDを指定して共通ID発行モジュール6へ共通IDの発行を要求し、共通ID発行モジュール6から共通IDを受け取る。そして、エンティティ生成モジュール8からの要求に従って、共通ID発行モジュール6が発行した共通IDをエンティティ生成モジュール8へ渡す。
エンティティ生成モジュール8は、図2に示すように、共通ID発行要求モジュール7、エンティティ管理モジュール9と接続されており、共通ID発行モジュール6が発行した共通IDを共通ID発行要求モジュール7より受け取り、その共通IDに対して管理対象となるエンティティを生成する。
【0021】
エンティティ保管DB10は、図2に示すように、エンティティ管理モジュール9からアクセスされ、エンティティの配信先情報を記憶している。エンティティの配信先情報とは、サブスペースID及びカテゴリーIDによって示される複数のエンティティが保管されるべき場所のことをいう。
エンティティ管理モジュール9は、図2に示すように、エンティティ生成モジュール8、エンティティ保管DB10と接続されており、エンティティ保管DB10によって記憶されている配信先情報に基づいて、エンティティ生成モジュール8によって生成された共通ID内のエンティティをエンティティ管理サーバー11の外部へ配信する。
【0022】
共通ID管理サーバー18は、サブスペース管理モジュール12、サブスペース情報DB13、カテゴリー管理モジュール14、カテゴリー情報DB15、エンティティ配信先管理モジュール16、エンティティ配信先DB17を有している。
図2に示すように、サブスペース管理モジュール12はサブスペース情報DB13と、カテゴリー管理モジュール14はカテゴリー情報DB15と、エンティティ配信先管理モジュール16はエンティティ配信先DB17とそれぞれ互いに接続されている。
【0023】
サブスペース情報DB13は、共通ID内のサブスペースIDとそのサブスペースIDによって特定されるサブスペースを一意に識別でき、そのサブスペースIDとは異なるID、具体的には文字列であるニーモニックコードとを対応付けて記憶する。
サブスペース管理モジュール12は、外部ID体系交換サーバー25からの要求に応じて、サブスペース情報DB13に対応付けを記憶させ、又はサブスペース情報DB13内のサブスペースIDまたはそれに対応するニーモニックコードを検索して、外部ID体系交換サーバー25へ渡す。
【0024】
カテゴリー情報DB15は、共通ID内のカテゴリーIDとそのカテゴリーIDによって特定されるカテゴリーを一意に識別でき、そのカテゴリーIDとは異なるID、具体的には文字列であるニーモニックコードとを対応付けて記憶する。
カテゴリー管理モジュール14は、外部ID体系交換サーバー25からの要求に応じて、カテゴリー情報DB15に対応付けを記憶させ、又はカテゴリー情報DB15内のカテゴリーIDまたはそれに対応するニーモニックコードを検索して、外部ID体系交換サーバー25へ渡す。
【0025】
エンティティ配信先DB17は、エンティティの持つサブスペース及びカテゴリーごとの配信先情報を記憶する。
エンティティ配信先管理モジュール16は、エンティティ配信先DB17に配信先情報等を記憶させ、又はエンティティ管理モジュール9から送信されたエンティティを受信し、エンティティ配信先DB17によって記憶されている情報に基づいて共通ID管理サーバー18の外部へ配信する。
【0026】
外部ID体系交換サーバー25は、外部送信指示受付モジュール19、外部ID体系変換モジュール21、外部送信モジュール23、内部送信モジュール20、共通ID変換モジュール22、内部送信指示受付モジュール24を有している。
図2に示すように、外部送信指示受付モジュール19と外部ID体系変換モジュール21と外部送信モジュール23とが接続されており、内部IDから外部IDへ変換する機能を有しており、内部送信モジュール20と共通ID変換モジュール22と内部送信指示受付モジュール24とが接続されており、外部IDから内部IDへ変換する機能を有している。
【0027】
外部送信指示受付モジュール19は、内部チャネル26を介して、外部システムが採用している外部ID体系へ共通IDを変換する共通ID変換指示及び共通IDを受け取る。そして、外部ID体系変換モジュール21に対して、共通IDを渡す。
外部ID体系変換モジュール21は、外部送信指示受付モジュール19より受け取った共通IDを外部ID体系に合わせて共通IDの表現形式を変換する。変換結果を外部送信モジュール23へ渡す。
外部送信モジュール23は、外部ID体系変換モジュール21で変換したIDを外部ネットワーク27を介して、外部システムへ送信する。
【0028】
内部送信指示受付モジュール24は、外部ネットワーク27を介して、外部ID体系を持つ外部システムからの共通ID変換指示及び外部IDを受け取る。そして、共通ID変換モジュール22に対して、外部IDを渡す。
共通ID変換モジュール22は、内部送信指示受付モジュール24より受け取った外部IDを内部形式で表現される共通IDに変換する。変換結果を内部送信モジュール20へ渡す。
内部送信モジュール20は、共通ID変換モジュール22で変換したIDを内部チャネル26を介して内部へ送信する。
【0029】
図3は、サービスID管理交換装置を具体的に実現した場合の設置例を表した図である。
オフィス、データセンター等に設置されている装置は、内部IDで対象が管理されており、そのオフィス等内の装置は、内部ID体系とは異なる外部ID体系を有している外部システムである外部サーバー、外部認証局等と連携してサービスを行う例である。
例えば、オフィス等には、複合機(多機能複写機とも呼ばれ、スキャナ、プリンタ、複写機、ファックス等の機能を有している、以下、MFP(Multi Function Peripherals)ともいう)等の機器やパソコン等が配置されている。エンティティ管理サーバー11は、データセンターに構築されている。そして、同様にデータセンターに構築された外部ID体系交換サーバー25が社内LANで接続されている共通ID体系のシステムとインターネット等で接続された外部ID体系の外部システムとの間でIDの交換を実施する。交換先としては、多様なサービスを提供している外部サーバー群や、PKIの認証局等がある。
【0030】
(共通IDの発行)
図4は、共通IDの発行処理例を示したフローチャートである。
共通ID発行要求モジュール7が発行すべき共通IDのカテゴリーIDとともに共通IDの発行依頼を共通ID発行モジュール6へ渡す。
そのカテゴリーID及び共通ID発行要求は、共通ID発行受付モジュール1の入力となる(ステップS402)。
【0031】
共通ID発行要求を受け付けた共通ID発行受付モジュール1は、共通ID生成モジュール3へカテゴリーIDを渡す。
共通ID生成モジュール3は、エンティティID発行モジュール4へエンティティIDの発行を要求する。
エンティティID発行モジュール4は、この共通ID発行モジュール6の管理するサブスペース内のカテゴリーにおいてユニークとなるIDを発行する。
発行済エンティティID管理DB5は、今までに発行したエンティティIDを記憶しており、エンティティID発行モジュール4は、この発行済エンティティID管理DB5が記憶しているエンティティIDと重複しないようにエンティティIDを発行する(ステップS404)。
【0032】
エンティティIDの発行が終了すると、その発行したエンティティIDを発行済エンティティID管理DB5に記憶させる(ステップS406)。
なお、発行済エンティティID管理DB5は、データベースの形態をとらなくとも、カテゴリーごとの不揮発性のカウンタを持ち、エンティティID発行ごとにカウンタをカウントアップするような単純な構成をとることも可能である。
【0033】
そして、共通ID生成モジュール3は、サブスペースIDとカテゴリーIDとエンティティIDとを合成して(ステップS408)、共通IDを発行する(ステップS410)。
図5を用いて、サブスペースIDとカテゴリーIDとエンティティIDを合成した共通IDにおける論理構造の例を説明する。サブスペースID、カテゴリーID、エンティティIDの順序に合成して、共通IDを構成しているが、もちろん、これらの順序はあらかじめ決まってさえいれば、どのようなものでもかまわない。
【0034】
共通IDのデータ構造では、サブスペースID、カテゴリーID、エンティティIDのそれぞれが、長さ情報と実際のIDとの組み合わせで表現される。つまり、サブスペースIDはサブスペースID長とサブスペースID実データからなり、サブスペースID長はサブスペースID実データのデータ長(8ビットを1単位としている、以下同様)を示しており、サブスペースID実データはサブスペースIDの本体(実体)であるデータを示している。カテゴリーIDはカテゴリーID長とカテゴリーID実データからなり、カテゴリーID長はカテゴリーID実データのデータ長を示しており、カテゴリーID実データはカテゴリーIDの本体であるデータを示している。エンティティIDはエンティティID長とエンティティID実データからなり、エンティティID長はエンティティID実データのデータ長を示しており、エンティティID実データはエンティティIDの本体であるデータを示している。
【0035】
より具体的には、「02−0051 : 02−0003 : 04−000000FF」といった共通IDが生成される。実際には人間が可読となるような区切りは不要であるが、ここでは説明のため、サブスペースID、カテゴリーID、エンティティIDの間の区切りを「:」で表現している。また、ID長とID自体との区切りに「−]を入れ、16進数で表現している。「02−0051 : 02−0003 : 04−000000FF」は、電子文書保管サービスのためのサブスペースIDとして「0051」(長さ2)が、企業ユーザーのためのカテゴリーIDとして「0003」(長さ2)が、特定のユーザーのエンティティIDとして「000000FF」(長さ4)が割り当てられていると仮定している。そこで、これらを合成し「02−0051 : 02−0003 : 04−000000FF」が共通IDとなる。
【0036】
(エンティティの生成)
図6は、共通IDを発行しエンティティを生成する処理例を示したフローチャートである。
まず、共通ID発行要求モジュール7が、カテゴリーIDを指定して共通IDの発行を共通ID発行モジュール6に対して要求する(ステップS602)。
カテゴリーIDを受け取った共通ID発行モジュール6は、図4に示したフローチャートによる処理を実行して共通IDを発行する(ステップS604)。
発行された共通IDに対してエンティティ生成モジュール8が、ステップS604で発行された共通IDを受け取り、エンティティを共通IDに付与する(ステップS606)。
【0037】
そして、エンティティ生成モジュール8はエンティティ管理モジュール9へ、エンティティを付与した共通IDを送付する(ステップS608)。
エンティティ管理モジュール9は、共通ID管理サーバー18内のエンティティ配信先管理モジュール16にエンティティの配信先を問い合わせ、エンティティ配信先情報を参照する(ステップS610)。なお、エンティティ配信先情報は、エンティティ配信先DB17に図7に示す形態で記憶されている。つまり、エンティティ配信先情報は、その番号を表す「No.」、サブスペースID、カテゴリーID、エンティティを保管(又は配信)すべき第1の場所を示す保管先#1、エンティティを保管(又は配信)すべき第2の場所を示す保管先#2を有している。
そして、エンティティ管理モジュール9は、そのエンティティを保管先#1又は保管先#2へ配信する(ステップS612)。
保管先#1又は保管先#2のエンティティ管理モジュール9は、エンティティ保管DB10にエンティティを記憶させる(ステップS614)。保管先が同一のサブスペースの場合もあり(送付したエンティティ管理モジュール9と受信したエンティティ管理モジュール9が同一のエンティティ管理サーバー11内にある場合)、その場合には、ローカルに記憶することになる。
【0038】
このようにして生成されたエンティティの例を示す。図8は、ユーザー管理情報エンティティの例を示している。つまり、姓、名、会社名、業種等からなるユーザー管理情報に対して、共通ID(図8の一つの例では「02−0001 : 02−0005 : 04−00000001」)が付与されている。
図9は、印刷・スキャンサーバー管理情報エンティティの例を示している。つまり、その装置が設置されている設置会社名、業種、部署名等からなる印刷・スキャンサーバー管理情報に対して、共通ID(図9の一つの例では「02−0001 : 02−0002 : 04−000000FF」)が付与されている。
図10は、スキャンイメージエンティティの例を示している。つまり、スキャナーで読み取られた画像に対して、共通ID(図10の一つの例では「02−0023 : 02−0003 : 04−00FFDDCC」)が付与されている。
【0039】
(共通IDの外部ID体系への送信)
図11は、共通IDを外部ID体系に合わせて変換処理し、エンティティを外部へ送信する処理を示したフローチャートである。主に、外部送信指示受付モジュール19、外部ID体系変換モジュール21、外部送信モジュール23で行われる処理である。
まず、外部送信指示受付モジュール19が、エンティティの外部送信指示を受け付ける(ステップS1102)。これは、内部システムがサービス連係のために外部ID体系に所属するサーバーを呼び出したり、X.509証明書を取得するための要求を出したりする処理にあたる。
そして、送信する外部ID体系の種類に応じて変換する形式を判定する(ステップS1104)。つまり、外部システムが採用している外部ID体系が16進形式、識別名をアスキー形式、識別名をバイナリー互換形式、アドレス名をアスキー形式、アドレス名をバイナリー互換形式に表現するもの等を対象としている場合に、その形式に応じて、次の処理を行う。
【0040】
16進形式の場合、外部ID体系変換モジュール21が、共通IDを図12に示すような形式へ変換する(ステップS1106)。これは、実際のバイナリー表現の共通IDをそのまま、16進表記にしたものである。人間には可読できないが、図12のIDは、「02−0001 : 02−0005 : 04−17A420E6」という共通IDを変換したものである。
【0041】
識別名がアスキー形式の場合、外部ID体系変換モジュール21が、共通IDを図13に示すような形式へ変換する(ステップS1108)。つまり、外部ID体系は、Country、Organization、3つのOrganizational Unit、Common Nameの階層的なデータからなる場合の例である。識別名であるCommon Nameがアスキー形式の場合の例である。
そして、「Country=Japan」、「Organization= EXAMPLE Co., Ltd.」はあらかじめ定めておく。つまり、この内部システムのCountry等は固定値であるので、一定値を設定する。
【0042】
「Organizational Unit=FXBID−A」は、内部ID体系の識別名がアスキー形式であることを示している。「Organizational Unit=E−SERVICE」は、サブスペースID=0001の値を基に、サブスペース情報DB13に図14に示すような形式で記憶されている情報から、サブスペース管理モジュール12がニーモニックコードの「E−SERVICE」を取得したものである。つまり、サブスペース情報DB13内のデータ構造は、図14に示すようにサブスペースID、そのサブスペースIDに対応するニーモニックコード、その説明をそれぞれ記憶する欄を有しているテーブルである。
【0043】
「Organizational Unit=USERS」は、カテゴリーID=0005の値を基に、カテゴリー情報DB15に図15に示すような形式で記憶されている情報から、カテゴリー管理モジュール14がニーモニックコードの「USERS」を取得したものである。「Common Name=FX123456」は、アスキー形式で表現されたエンティティIDである。つまり、カテゴリー情報DB15内のデータ構造は、図15に示すようにカテゴリーID、そのカテゴリーIDに対応するニーモニックコード、その説明をそれぞれ記憶する欄を有しているテーブルである。
【0044】
識別名がバイナリー互換形式の場合、外部ID体系変換モジュール21が、共通IDを図16に示すような形式へ変換する(ステップS1110)。つまり、外部ID体系は、Country、Organization、3つのOrganizational Unit、Common Nameの階層的なデータからなる場合であり、識別名であるCommon Nameがバイナリー互換形式の場合の例である。
「Country」「Organization」は前述したアスキー形式の場合と同様である。
「Organizational Unit=FXBID−B」は、共通ID体系の識別名がバイナリー互換形式であることを示している。
次の2つの「Organizational Unit」は、アスキー形式の場合と同様である。
「Common Name=32F1B03417A420ED」は、バイナリーを16進形式で表現したエンティティIDである。
【0045】
アドレス名がアスキー形式の場合、外部ID体系変換モジュール21が、共通IDを図17に示すような形式へ変換する(ステップS1112)。
末尾の「EXAMPLE.co.jp」はあらかじめ割り当てられたものである。つまり、この内部システムのCountry等は固定値であるので、一定値を設定する。
「FXBID−A」は、共通ID体系のアドレス名がアスキー形式であることを示している。
「E−SERVICE」は、サブスペースID=0001の値から、「USERS」は、カテゴリーID=0005の値から、それぞれニーモニックコードを取得したものである。
「FX123456」は、アスキー表現されたエンティティIDである。
【0046】
アドレス名がバイナリー互換形式の場合、外部ID体系変換モジュール21が、共通IDを図18に示すような形式へ変換する(ステップS1114)。
「@」マークより後は、「FXBID−B」が、共通ID体系のアドレス名がバイナリー互換形式であることを示している以外はアスキー形式と同じである。
「@」マークより前の「32F1B03417A420ED」は、バイナリーを16進形式で表現したエンティティIDである。
【0047】
ステップS1106〜ステップS1114のいずれかの処理の後、外部送信モジュール23が、エンティティにこれら変換されたIDを付与し、外部ID体系で管理されている外部システムへと送信する(ステップS1116)。
【0048】
(外部ID体系からの受信)
図19は、外部ID体系から受け取ったエンティティを、共通IDに合わせて変換処理し、共通ID管理体系内部へ送信する処理を示したフローチャートである。主に、内部送信指示受付モジュール24、共通ID変換モジュール22、内部送信モジュール20で行われる処理である。
まず、内部送信指示受付モジュール24が、外部ID体系からの受信、つまりエンティティの内部送信指示を受け付ける(ステップS1902)。これは、図11で示した処理で送信したエンティティへの処理に対し、外部システムによって処理された結果、例えば、外部サーバーからの返信を受け取ったり、X.509証明書の発行後の受領処理にあたる。
そして、受信した外部ID体系の種類に応じて変換する形式を判定する(ステップS1904)。つまり、外部システムが採用している外部ID体系が16進形式、識別名をアスキー形式、識別名をバイナリー互換形式、アドレス名をアスキー形式、アドレス名をバイナリー互換形式に表現するもの等を対象としている場合に、その形式に応じて、次の処理を行う。
【0049】
16進形式の場合、共通ID変換モジュール22が、図12に示すような形式から図5に示すような共通ID形式へ変換する(ステップS1906)。ステップS1106の逆処理である。
識別名がアスキー形式の場合、共通ID変換モジュール22が、図13に示すような形式から図5に示すような共通ID形式へ変換する(ステップS1908)。ステップS1108の逆処理である。
識別名がバイナリー互換形式の場合、共通ID変換モジュール22が、図16に示すような形式から図5に示すような共通ID形式へ変換する(ステップS1910)。ステップS1110の逆処理である。
アドレス名がアスキー形式の場合、共通ID変換モジュール22が、図17に示すような形式から図5に示すような共通ID形式へ変換する(ステップS1912)。ステップS1112の逆処理である。
アドレス名がバイナリー互換形式の場合、共通ID変換モジュール22が、図18に示すような形式から図5に示すような共通ID形式へ変換する(ステップS1914)。ステップS1114の逆処理である。
そして、内部送信モジュール20が、エンティティにこれら変換された共通IDを付与し、共通ID体系で管理されている内部システムへと送信する(ステップS1916)。
【0050】
なお、本実施の形態としてのプログラムが実行されるコンピュータのハードウェア構成は、図20に示すように、一般的なコンピュータであり、具体的にはパーソナルコンピュータ、サーバーとなり得るコンピュータ等である。共通ID発行受付モジュール1、共通ID生成モジュール3、エンティティID発行モジュール4、共通ID発行要求モジュール7、サブスペース管理モジュール12、外部ID体系変換モジュール21、共通ID変換モジュール22等のプログラムを実行するCPU(マイクロプロセッサ)2001と、そのプログラムやデータを記憶するRAM(ランダムアクセスメモリ)2002と、本コンピュータを起動するためのプログラム等が格納されているROM(リードオンリメモリ)2003と、補助記憶装置であるHD(ハードディスク)2004と、キーボード、マウス等のデータを入力する入力装置2006と、CRTや液晶ディスプレイ等の出力装置2005と、たとえばネットワークを介して他の装置と通信を行うための通信回線インタフェース2007、そして、それらをつないでデータのやりとりをするためのバス2008により構成されている。これらのコンピュータが複数台互いにネットワークによって接続されていてもよい。
【0051】
なお、図20に示すハードウェア構成は、1つの構成例を示すものであり、本実施の形態は、図20に示す構成に限らず、本実施の形態において説明したモジュールを実行可能な構成であればよい。例えば、一部のモジュールを専用のハードウェア(例えば特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)等)で構成してもよく、一部のモジュールは外部のシステム内にあり通信回線で接続しているような形態でもよく、さらに図20に示すシステムが複数互いに通信回線によって接続されていて互いに協調動作するようにしてもよい。また、特に、パーソナルコンピュータの他、情報家電、複写機、ファックス、スキャナ、プリンタ、複合機などに組み込まれていてもよい。
【0052】
前記実施の形態においては、図7〜図10、図12〜図18で示したデータ構造は、これらのデータ構造に限らず他のデータ構造であってもよい。例えば、テーブル構造のものはリンク構造等であってもよい。また、データ項目は、これらに図示したものに限られず、他のデータ項目を有していてもよい。
【0053】
なお、説明したプログラムについては、記録媒体に格納して提供してもよく、また、そのプログラムを通信手段によって提供してもよい。その場合、例えば、上記説明したプログラムについて、「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明として捉えてもよい。
「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、プログラムのインストール、実行、プログラムの流通などのために用いられる、プログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体をいう。
なお、記録媒体としては、例えば、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)であって、DVDフォーラムで策定された規格である「DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM等」、DVD+RWで策定された規格である「DVD+R、DVD+RW等」、コンパクトディスク(CD)であって、読出し専用メモリ(CD−ROM)、CDレコーダブル(CD−R)、CDリライタブル(CD−RW)等、光磁気ディスク(MO)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、ハードディスク、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去および書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)等が含まれる。
そして、上記のプログラムまたはその一部は、上記記録媒体に記録して保存や流通等させてもよい。また、通信によって、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット等に用いられる有線ネットワーク、あるいは無線通信ネットワーク、さらにはこれらの組み合わせ等の伝送媒体を用いて伝送させてもよく、また、搬送波に乗せて搬送させてもよい。
さらに、上記のプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、あるいは別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。また、複数の記録媒体に分割して
記録されていてもよい。また、圧縮や暗号化など、復元可能であればどのような態様で記録されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】共通ID発行モジュール内の概念的なモジュール構成図である。
【図2】サービスID管理交換装置の全体の概念的なモジュール構成図である。
【図3】エンティティ管理サーバー、外部ID体系交換サーバー、外部サーバー、外部認証局、印刷・スキャンサーバー、ユーザークライアントの設置例を示す説明図である。
【図4】共通IDの発行処理例を示すフローチャートである。
【図5】共通IDの論理構造例を示す説明図である。
【図6】エンティティの生成処理(配信先中央管理型)の例を示す説明図である。
【図7】エンティティ配布先DBによって管理される情報の例を示す説明図である。
【図8】ユーザー管理情報エンティティの例を示す説明図である。
【図9】印刷・スキャンサーバー管理情報エンティティの例を示す説明図である。
【図10】スキャンイメージエンティティの例を示す説明図である。
【図11】エンティティの外部ID体系管理機器へ送信処理を行う例を示すフローチャートである。
【図12】外部ID体系の16進形式の例である。
【図13】外部ID体系の識別名がアスキー形式の例を示す説明図である。
【図14】サブスペース情報DBに記憶されるサブスペース情報の例を示す説明図である。
【図15】カテゴリー情報DBに記憶されるカテゴリー情報の例を示す説明図である。
【図16】外部ID体系の識別名がバイナリー互換形式の例を示す説明図である。
【図17】外部ID体系のアドレス名がアスキー形式の例を示す説明図である。
【図18】外部ID体系のアドレス名がバイナリー互換形式の例を示す説明図である。
【図19】エンティティの外部ID体系管理機器からの受信処理を行う例を示すフローチャートである。
【図20】本実施の形態を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0055】
1…共通ID発行受付モジュール
2…サブスペースID
3…共通ID生成モジュール
4…エンティティID発行モジュール
5…発行済エンティティID管理DB
6…共通ID発行モジュール
7…共通ID発行要求モジュール
8…エンティティ生成モジュール
9…エンティティ管理モジュール
10…エンティティ保管DB
11…エンティティ管理サーバー
12…サブスペース管理モジュール
13…サブスペース情報DB
14…カテゴリー管理モジュール
15…カテゴリー情報DB
16…エンティティ配信先管理モジュール
17…エンティティ配信先DB
18…共通ID管理サーバー
19…外部送信指示受付モジュール
20…内部送信モジュール
21…外部ID体系変換モジュール
22…共通ID変換モジュール
23…外部送信モジュール
24…内部送信指示受付モジュール
25…外部ID体系交換サーバー
26…内部チャネル
27…外部ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテゴリーを一意に識別できるカテゴリー識別子を受け付けるカテゴリー識別子受付手段と、
識別子空間を排他的な空間に分割するサブスペースを一意に特定できるサブスペース識別子を記憶しているサブスペース記憶手段と、
サブスペース内におけるカテゴリー別のエンティティの一意性を保証するエンティティ識別子を発行するエンティティ識別子発行手段と、
前記サブスペース記憶手段によって記憶されているサブスペース識別子と前記カテゴリー識別子受付手段によって受け付けられたカテゴリー識別子と前記エンティティ識別子発行手段によって発行されたエンティティ識別子とを合成して、識別子空間全体における識別子である共通識別子を生成する共通識別子生成手段と、
前記共通識別子生成手段によって生成された共通識別子内のサブスペース識別子である第1のサブスペース識別子と該第1のサブスペース識別子によって特定されるサブスペースを一意に識別でき、前記第1のサブスペース識別子とは異なる識別子である第2のサブスペース識別子とを対応させて記憶しているサブスペース情報記憶手段と、
前記共通識別子生成手段によって生成された共通識別子内のカテゴリー識別子である第1のカテゴリー識別子と該第1のカテゴリー識別子によって特定されるカテゴリーを一意に識別でき、前記第1のカテゴリー識別子とは異なる識別子である第2のカテゴリー識別子とを対応させて記憶しているカテゴリー情報記憶手段と、
前記共通識別子生成手段によって生成された共通識別子を前記サブスペース情報記憶手段又は前記カテゴリー情報記憶手段を用いて、第2のサブスペース識別子又は第2のカテゴリー識別子を用いた識別子に変換する変換手段
を具備することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
カテゴリーを一意に識別できるカテゴリー識別子を受け付けるカテゴリー識別子受付手段と、
識別子空間を排他的な空間に分割するサブスペースを一意に特定できるサブスペース識別子を記憶しているサブスペース記憶手段と、
サブスペース内におけるカテゴリー別のエンティティの一意性を保証するエンティティ識別子を発行するエンティティ識別子発行手段と、
前記サブスペース記憶手段によって記憶されているサブスペース識別子と前記カテゴリー識別子受付手段によって受け付けられたカテゴリー識別子と前記エンティティ識別子発行手段によって発行されたエンティティ識別子とを合成して、識別子空間全体における識別子である共通識別子を生成する共通識別子生成手段と、
前記共通識別子生成手段によって生成された共通識別子内のサブスペース識別子である第1のサブスペース識別子と該第1のサブスペース識別子によって特定されるサブスペースを一意に識別でき、前記第1のサブスペース識別子とは異なる識別子である第2のサブスペース識別子とを対応させて記憶しているサブスペース情報記憶手段と、
前記共通識別子生成手段によって生成された共通識別子内のカテゴリー識別子である第1のカテゴリー識別子と該第1のカテゴリー識別子によって特定されるカテゴリーを一意に識別でき、前記第1のカテゴリー識別子とは異なる識別子である第2のカテゴリー識別子とを対応させて記憶しているカテゴリー情報記憶手段と、
外部より受け付けた第2のサブスペース識別子又は第2のカテゴリー識別子を用いた識別子を、前記サブスペース情報記憶手段又は前記カテゴリー情報記憶手段を用いて、第1のサブスペース識別子又は第1のカテゴリー識別子を用いた識別子に変換する変換手段
を具備することを特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
コンピュータを、
カテゴリーを一意に識別できるカテゴリー識別子を受け付けるカテゴリー識別子受付手段と、
識別子空間を排他的な空間に分割するサブスペースを一意に特定できるサブスペース識別子を記憶しているサブスペース記憶手段と、
サブスペース内におけるカテゴリー別のエンティティの一意性を保証するエンティティ識別子を発行するエンティティ識別子発行手段と、
前記サブスペース記憶手段によって記憶されているサブスペース識別子と前記カテゴリー識別子受付手段によって受け付けられたカテゴリー識別子と前記エンティティ識別子発行手段によって発行されたエンティティ識別子とを合成して、識別子空間全体における識別子である共通識別子を生成する共通識別子生成手段と、
前記共通識別子生成手段によって生成された共通識別子内のサブスペース識別子である第1のサブスペース識別子と該第1のサブスペース識別子によって特定されるサブスペースを一意に識別でき、前記第1のサブスペース識別子とは異なる識別子である第2のサブスペース識別子とを対応させて記憶しているサブスペース情報記憶手段と、
前記共通識別子生成手段によって生成された共通識別子内のカテゴリー識別子である第1のカテゴリー識別子と該第1のカテゴリー識別子によって特定されるカテゴリーを一意に識別でき、前記第1のカテゴリー識別子とは異なる識別子である第2のカテゴリー識別子とを対応させて記憶しているカテゴリー情報記憶手段と、
前記共通識別子生成手段によって生成された共通識別子を前記サブスペース情報記憶手段又は前記カテゴリー情報記憶手段を用いて、第2のサブスペース識別子又は第2のカテゴリー識別子を用いた識別子に変換する変換手段
として機能させることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項4】
コンピュータを、
カテゴリーを一意に識別できるカテゴリー識別子を受け付けるカテゴリー識別子受付手段と、
識別子空間を排他的な空間に分割するサブスペースを一意に特定できるサブスペース識別子を記憶しているサブスペース記憶手段と、
サブスペース内におけるカテゴリー別のエンティティの一意性を保証するエンティティ識別子を発行するエンティティ識別子発行手段と、
前記サブスペース記憶手段によって記憶されているサブスペース識別子と前記カテゴリー識別子受付手段によって受け付けられたカテゴリー識別子と前記エンティティ識別子発行手段によって発行されたエンティティ識別子とを合成して、識別子空間全体における識別子である共通識別子を生成する共通識別子生成手段と、
前記共通識別子生成手段によって生成された共通識別子内のサブスペース識別子である第1のサブスペース識別子と該第1のサブスペース識別子によって特定されるサブスペースを一意に識別でき、前記第1のサブスペース識別子とは異なる識別子である第2のサブスペース識別子とを対応させて記憶しているサブスペース情報記憶手段と、
前記共通識別子生成手段によって生成された共通識別子内のカテゴリー識別子である第1のカテゴリー識別子と該第1のカテゴリー識別子によって特定されるカテゴリーを一意に識別でき、前記第1のカテゴリー識別子とは異なる識別子である第2のカテゴリー識別子とを対応させて記憶しているカテゴリー情報記憶手段と、
外部より受け付けた第2のサブスペース識別子又は第2のカテゴリー識別子を用いた識別子を、前記サブスペース情報記憶手段又は前記カテゴリー情報記憶手段を用いて、第1のサブスペース識別子又は第1のカテゴリー識別子を用いた識別子に変換する変換手段
として機能させることを特徴とする情報処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−204412(P2008−204412A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−43112(P2007−43112)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】