説明

情報処理プログラムおよび情報処理装置

【課題】ポインティングデバイスを利用して仮想3次元空間内のオブジェクトを操作するときの操作性を向上する。
【解決手段】タッチパネルへの接触位置である指示ポイントを、オブジェクトの動きの制御に利用される仮想3次元空間内の制御用ポイントに変換するときに利用される仮想面として、制御対象オブジェクトがボールであるときには第1仮想面が利用され、操作対象オブジェクトが犬であってかつその動作モードが注目モードであるときには第2仮想面が利用され、操作対象オブジェクトが犬であってかつその動作モードが舐めモードであるときには第3仮想面が利用され、操作対象オブジェクトが犬であってかつその動作モードが縄回しモードであるときには第4仮想面が利用され、操作対象オブジェクトが犬であってかつその動作モードがお回りモードであるときには第5仮想面が利用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2次元画面上に表示される3次元空間のオブジェクトを操作するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マウスやタッチパネル等のポインティングデバイスを用いて2次元画面上の所定座標位置を指示することで、その画面上に表示される仮想的な3次元空間のオブジェクトを操作する技術がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、タッチパネル上の1つの座標位置を指定することで3Dオブジェクトを移動したり、回転させたり、拡大/縮小したりする技術が示されている。
【0004】
また、特許文献2には、オブジェクトが配置された3次元空間内にそのオブジェクトの操作座標系(x軸、y軸、z軸)を設け、所望の1つの軸を回転軸として指定した後、残りのいずれかの軸の矢印の先端部分を所望の回転方向にドローすることで、そのオブジェクトを回転させる技術が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−259065号公報
【特許文献2】特開平10−293864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、例えば3Dオブジェクトを移動させるときに、指定された座標位置に応じて3Dオブジェクトの移動方向および移動速度を決定しているに過ぎないため、3Dオブジェクトを実際に手で掴んで移動させているかのような直感的な操作感は得られない。
【0007】
また、上記特許文献2に記載の技術では、オブジェクトを所望の方向に回転させるときに、まず操作座標系の位置や角度を設定しなければならないため、操作に必要な手順が増えてしまうという問題がある。
【0008】
それ故に、本発明の目的は、ポインティングデバイスを利用して仮想3次元空間内のオブジェクトを操作するときの操作性を向上し、より簡単かつ適切にオブジェクトを操作可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は以下のような構成を採用した。なお、括弧内の参照符号は、本発明の理解を助けるために図面との対応関係の一例を示したものであって、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0010】
本発明の第1の局面は、コンピュータ(21)に、表示ステップ(S72)、検出ステップ(S14、S22、S38、S48、S56、S76、S88)、変換ステップ(S16、S24、S30、S40、S50、S58、S78、S90)、および制御ステップ(S18、S26、S32、S42、S52、S60、S66、S70、S80、S92)を実行させるための情報処理プログラム(41)である。表示ステップは、仮想3次元空間内に配置されたオブジェクトを仮想カメラから見たときの画像を表示画面(12)に表示するステップである。検出ステップは、ポインティングデバイス(15)からの出力信号に基づいて、2次元座標で表される指示ポイントを検出するステップである。変換ステップは、前記指示ポイントを、所定の演算処理により、3次元座標で表される1つ以上の制御用ポイントに変換するステップである。制御ステップは、前記制御用ポイントを利用して前記オブジェクトの動きを制御するステップである。前記変換ステップで変換される制御用ポイントは、前記表示画面上における前記指示ポイントの位置と同一の位置に表示される仮想3次元空間中のポイントであって、その奥行き方向の位置は、状況に応じて変化する。
【0011】
ここで、仮想3次元空間内に配置されたオブジェクトを仮想カメラから見たときの画像を生成する典型的な方法としては、オブジェクトを構成する各ポリゴンの頂点座標(ワールド座標系)をカメラ座標系に変換した後、仮想スクリーンに投影変換する方法が挙げあれる。このような座標変換では、仮想カメラの位置や傾き(回転角度)や向き(視線方向)や視野角などを示すカメラ設定情報が適宜に利用される。
【0012】
また、ポインティングデバイスとしては、一例としてタッチパネルやマウスを利用することができる。
【0013】
また、「状況に応じて変化する」とは、制御ステップにおける制御用ポイントの用途に応じて変化することや、制御ステップでの制御対象となるオブジェクトの種類に依存して変化することや、オブジェクトの動作モードに依存して変化することを少なくとも含み、さらには、時間に応じて変化することなども含む。
【0014】
本発明の第2の局面は、上記第1の局面において、前記変換ステップで変換される制御用ポイントの奥行き方向の位置は、前記制御ステップにおける当該制御用ポイントの用途に応じて変化することを特徴とする。
【0015】
本発明の第3の局面は、上記第1の局面において、前記変換ステップで変換される制御用ポイントの奥行き方向の位置は、前記制御ステップでの制御対象となるオブジェクトの種類に依存して変化することを特徴とする。
【0016】
本発明の第4の局面は、上記第1の局面において、前記情報処理プログラムは、前記オブジェクトの動作モードを設定および更新し、当該設定または更新された動作モードを記憶装置に記憶するステップをさらに前記コンピュータに実行させるものであり、前記変換ステップで変換される制御用ポイントの奥行き方向の位置が、前記記憶装置に記憶されている動作モードに依存して変化することを特徴とする。
【0017】
本発明の第5の局面は、上記第1の局面において、前記変換ステップは、前記指示ポイントを3次元座標で表される基本制御用ポイントに変換するステップと、当該基本制御用ポイントと仮想カメラの位置とを結んだ直線を求めるステップと、前記直線と仮想3次元空間内に設定された仮想面との交点を求めるステップとを含み(図12)、前記仮想面の位置または形状が、状況に応じて変化することを特徴とする。ここで、仮想面とは、平面であってもよいし曲面であってもよい。
【0018】
本発明の第6の局面は、上記第5の局面において、前記情報処理プログラムは、前記オブジェクトの動作モードを設定および更新し(S68)、当該設定または更新された動作モード(51)を記憶装置(24)に記憶するステップをさらに前記コンピュータに実行させるものであり、前記オブジェクトを基準とした前記仮想面の相対位置が、前記記憶装置に記憶されている動作モードに依存して変化することを特徴とする。
【0019】
本発明の第7の局面は、上記第1の局面において、前記変換ステップでは、前記検出ステップで検出された指示ポイントが、第1のオブジェクトの制御のための第1の制御用ポイントと、第2のオブジェクトの制御のための第2の制御用ポイントとに変換され、前記変換ステップで変換される前記第1の制御用ポイントおよび前記第2の制御用ポイントは、いずれも、前記表示画面上における前記指示ポイントの位置と同一の位置に表示される仮想3次元空間中のポイントであり、前記制御ステップでは、前記第1のオブジェクトおよび前記第2のオブジェクトが、前記第1の制御用ポイントおよび前記第2の制御用ポイントをそれぞれ利用して個別にかつ同時に制御されることを特徴とする(図14)。
【0020】
本発明の第8の局面は、表示画面(12)と、ポインティングデバイス(15)と、表示制御手段(21)と、検出手段(21)と、変換手段(21)と、制御手段(21)とを備えた情報処理装置である。表示制御手段は、仮想3次元空間内に配置されたオブジェクトを仮想カメラから見たときの画像を前記表示画面に表示する手段である。検出手段は、前記ポインティングデバイスからの出力信号に基づいて、2次元座標で表される指示ポイントを検出する手段である。変換手段は、前記指示ポイントを、所定の演算処理により、3次元座標で表される1つ以上の制御用ポイントに変換する手段である。制御手段は、前記制御用ポイントを利用して前記オブジェクトの動きを制御する手段である。前記変換手段によって変換される制御用ポイントは、前記表示画面上における前記指示ポイントの位置と同一の位置に表示される仮想3次元空間中のポイントであって、その奥行き方向の位置は、状況に応じて変化する。
【0021】
本発明の第9の局面は、コンピュータ(21)に、表示ステップ、検出ステップ、変換ステップ、および制御ステップを実行させるための情報処理プログラムである。表示ステップは、仮想3次元空間内に配置された1以上のオブジェクトを仮想カメラから見たときの画像を画面(12)に表示するステップである。検出ステップは、ポインティングデバイス(15)からの出力信号に基づいて、2次元座標で表される指示ポイントを検出するステップである。変換ステップは、前記指示ポイントを、所定の演算処理により、3次元座標で表される複数の制御用ポイントに変換するステップである。制御ステップは、前記制御用ポイントを利用して前記1以上のオブジェクトの動きを制御するステップである。前記変換ステップでは、前記検出ステップで検出された指示ポイントが、第1の制御用ポイントと第2の制御用ポイントとに変換され、前記制御ステップでは、前記第1の制御用ポイントおよび前記第2の制御用ポイントを利用して前記1以上のオブジェクトの動きが制御される(図21)。
【0022】
本発明の第10の局面は、上記第9の局面において、前記制御ステップでは、仮想3次元空間内に配置された第1のオブジェクトおよび第2のオブジェクトが、前記第1の制御用ポイントおよび前記第2の制御用ポイントをそれぞれ利用して個別にかつ同時に制御されることを特徴とする(図21)。
【0023】
本発明の第11の局面は、表示画面(12)と、ポインティングデバイス(15)と、表示制御手段(21)と、検出手段(21)と、変換手段(21)と、制御手段(21)とを備えた情報処理装置である。表示制御手段は、仮想3次元空間内に配置された1以上のオブジェクトを仮想カメラから見たときの画像を前記表示画面に表示する手段である。検出手段は、前記ポインティングデバイスからの出力信号に基づいて、2次元座標で表される指示ポイントを検出する手段である。変換手段は、前記指示ポイントを、所定の演算処理により、3次元座標で表される複数の制御用ポイントに変換する手段である。制御手段は、前記制御用ポイントを利用して前記1以上のオブジェクトの動きを制御する手段である。前記変換手段は、前記検出手段によって検出された指示ポイントを、第1の制御用ポイントと第2の制御用ポイントとに変換し、前記制御手段は、前記第1の制御用ポイントおよび前記第2の制御用ポイントを利用して前記1以上のオブジェクトの動きを制御する(図21)。
【発明の効果】
【0024】
本発明の第1の局面によれば、指示ポイントに対応する制御用ポイントの奥行き方向の位置が状況に応じて自動的に変化するため、操作者は、わざわざ奥行き方向の位置を指定したりする手間をかけること無しに、オブジェクトの動きを簡易にかつ適切に制御することができる。
【0025】
本発明の第2の局面によれば、指示ポイントに対応する制御用ポイントの奥行き方向の位置が、制御用ポイントの用途に応じて変化するため、制御用ポイントが種々の用途で利用される場合においても、操作者は、わざわざ制御用ポイントの奥行き方向の位置を各用途に応じた最適な位置に指定したりする手間をかけること無しに、オブジェクトの動きを簡易にかつ適切に制御することが可能となる。
【0026】
本発明の第3の局面によれば、指示ポイントに対応する制御用ポイントの奥行き方向の位置が、制御対象となるオブジェクトの種類に応じて変化するため、操作者は、わざわざ制御用ポイントの奥行き方向の位置をオブジェクトの種類に応じた最適な位置に指定したりする手間をかけること無しに、オブジェクトの動きを簡易にかつ適切に制御することが可能となる。
【0027】
本発明の第4の局面によれば、指示ポイントに対応する制御用ポイントの奥行き方向の位置が、制御対象となるオブジェクトの動作モードに応じて変化するため、操作者は、わざわざ制御用ポイントの奥行き方向の位置をオブジェクトの動作モードに応じた最適な位置に指定したりする手間をかけること無しに、オブジェクトの動きを簡易にかつ適切に制御することが可能となる。
【0028】
本発明の第5の局面によれば、画一的な手法により指示ポイントを制御用ポイントに変換することができるので、座標変換のためのアルゴリズムをより簡素化できる。
【0029】
本発明の第6の局面によれば、オブジェクトの動作モードに応じてオブジェクトに対する仮想面の相対位置が変化するので、動作モードに応じてオブジェクトの動きをより適切に制御することができる。
【0030】
本発明の第7の局面によれば、ポインティングデバイスを用いて仮想3次元空間内の2つのオブジェクトを同時にかつ互いに同期して動作させることが容易に可能となる。また、指示ポイントとこの指示ポイントに基づく2つの制御用ポイントの画面上の位置が一致しているので、操作者は2つの制御用ポイントの位置を容易に把握することができ、操作性が良い。
【0031】
本発明の第8の局面によれば、第1の局面と同様の効果が得られる。
【0032】
本発明の第9の局面によれば、指示ポイントに基づく2つの制御用ポイントを利用して仮想3次元空間内の1以上のオブジェクトを動作させることができるため、1以上のオブジェクトにより多様な動作をさせることが可能となる。
【0033】
本発明の第10の局面によれば、ポインティングデバイスを用いて仮想3次元空間内の2つのオブジェクトを同時にかつ互いに同期して動作させることが容易となる。
【0034】
本発明の第11の局面によれば、第9の局面と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態に係るゲーム装置の外観図
【図2】本発明の一実施形態に係るゲーム装置の内部構成を示すブロック図
【図3】RAM24のメモリマップ
【図4】RAM24に記憶される犬情報42の詳細を示す図
【図5】RAM24に記憶されるアイテム情報43の詳細を示す図
【図6】仮想3次元空間における仮想カメラとオブジェクトの配置の一例
【図7】第2のLCD12に表示されるゲーム画面の一例
【図8】RAM24に記憶される仮想面情報46の詳細を示す図
【図9】仮想3次元空間における各仮想面の配置の一例
【図10】第1仮想面の利用例を示す図
【図11】第2仮想面の利用例を示す図
【図12】指示ポイントを制御用ポイントに変換する変換方法の一例を示す図
【図13】第3仮想面の利用例を示す図
【図14】第4仮想面の利用例を示す図
【図15】第5仮想面の利用例を示す図
【図16】ゲーム装置の動作を示すフローチャートの一部
【図17】ゲーム装置の動作を示すフローチャートの他の一部
【図18】ゲーム装置の動作を示すフローチャートのさらに他の一部
【図19】噛まれモード処理の詳細を示すフローチャート
【図20】お回りモード処理の詳細を示すフローチャート
【図21】本発明の他の実施形態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の一実施形態に係るゲーム装置の構成および動作を説明する。
【0037】
図1は、本発明の一実施形態に係るゲーム装置の外観図である。図1において、ゲーム装置10は、第1のLCD(Liquid Crystal Display:液晶表示装置)11および第2のLCD12を含む。ハウジング13は上側ハウジング13aと下側ハウジング13bとによって構成されており、第1のLCD11は上側ハウジング13aに収納され、第2のLCD12は下側ハウジング13bに収納される。第1のLCD11および第2のLCD12の解像度はいずれも256dot×192dotである。なお、本実施形態では表示装置としてLCDを用いているが、例えばEL(Electro Luminescence:電界発光)を利用した表示装置など、他の任意の表示装置を利用することができる。また任意の解像度のものを利用することができる。
【0038】
上側ハウジング13aには、後述する1対のスピーカ(図2の30a、30b)からの音を外部に放出するための音抜き孔18a、18bが形成されている。
【0039】
下側ハウジング13bには、入力装置として、十字スイッチ14a、スタートスイッチ14b、セレクトスイッチ14c、Aボタン14d、Bボタン14e、Xボタン14f、Yボタン14g、Lボタン14LおよびRボタン14Rが設けられている。また、さらなる入力装置として、第2のLCD12の画面上にタッチパネル15が装着されている。また、下側ハウジング13bには、電源スイッチ19や、メモリカード17やスティック16を収納するための挿入口も設けられている。
【0040】
タッチパネル15としては、例えば抵抗膜方式や光学式(赤外線方式)や静電容量結合式など、任意の方式のものを利用することができる。タッチパネル15は、その表面をスティック16で触れると、その接触位置に対応する座標データを出力する機能を有している。なお、以下ではプレイヤがタッチパネル15をスティック16で操作するものとして説明を行うが、スティック16の代わりにペン(スタイラスペン)や指でタッチパネル15を操作することももちろん可能である。本実施形態では、タッチパネル15として、第2のLCD12の解像度と同じく256dot×192dotの解像度(検出精度)のものを利用する。ただし、必ずしもタッチパネル15の解像度と第2のLCD12の解像度が一致している必要はない。
【0041】
メモリカード17はゲームプログラムを記録した記録媒体であり、下部ハウジング13bに設けられた挿入口に着脱自在に装着される。
【0042】
次に、図2を参照してゲーム装置10の内部構成を説明する。
【0043】
図2において、ハウジング13に収納される電子回路基板20には、CPUコア21が実装される。CPUコア21には、バス22を介して、コネクタ23が接続されるとともに、入出力インターフェース回路(図面ではI/F回路と記す)25、第1GPU(Graphics Processing Unit)26、第2GPU27、RAM24およびLCDコントローラ31が接続される。コネクタ23には、メモリカード17が着脱自在に接続される。メモリカード17は、ゲームプログラムを記憶するROM17aと、バックアップデータを書き換え可能に記憶するRAM17bを搭載する。メモリカード17のROM17aに記憶されたゲームプログラムはRAM24にロードされ、RAM24にロードされたゲームプログラムがCPUコア21によって実行される。RAM24には、ゲームプログラムの他にも、CPUコア21がゲームプログラムを実行して得られる一時的なデータや、ゲーム画像を生成するためのデータが記憶される。I/F回路25には、タッチパネル15、右スピーカ30a、左スピーカ30bおよび図1の十字スイッチ14aやAボタン14d等から成る操作スイッチ部14が接続される。右スピーカ30aと左スピーカ30bは、音抜き孔18a、18bの内側にそれぞれ配置される。
【0044】
第1GPU26には、第1VRAM(Video RAM)28が接続され、第2GPU27には、第2VRAM29が接続される。第1GPU26は、CPUコア21からの指示に応じて、RAM24に記憶されているゲーム画像を生成するためのデータに基づいて第1のゲーム画像を生成し、第1VRAM28に描画する。第2GPU27は、同様にCPUコア21からの指示に応じて第2のゲーム画像を生成し、第2VRAM29に描画する。第1VRAM28および第2VRAM29はLCDコントローラ31に接続されている。
【0045】
LCDコントローラ31はレジスタ32を含む。レジスタ32はCPUコア21からの指示に応じて0または1の値を記憶する。LCDコントローラ31は、レジスタ32の値が0の場合は、第1VRAM28に描画された第1のゲーム画像を第1のLCD11に出力し、第2VRAM29に描画された第2のゲーム画像を第2のLCD12に出力する。また、レジスタ32の値が1の場合は、第1VRAM28に描画された第1のゲーム画像を第2のLCD12に出力し、第2VRAM29に描画された第2のゲーム画像を第1のLCD11に出力する。
【0046】
なお、上記のようなゲーム装置10の構成は単なる一例に過ぎず、本発明は、ポインティングデバイス(タッチパネルに限らず、例えばマウスやタッチパッドやジョイスティックなどでもよい)と表示装置を有する任意の情報処理装置に適用することができる。また、本発明のゲームプログラムは、メモリカード17などの外部記憶媒体を通じて情報処理装置に供給されるだけでなく、有線または無線の通信回線を通じて情報処理装置に供給されてもよいし、さらには情報処理装置内部の不揮発性記憶装置に予め記録されていてもよい。
【0047】
図3に、RAM24のメモリマップを示す。RAM24の記憶領域は、大きく分けると、プログラム記憶領域とデータ記憶領域から成る。
【0048】
プログラム記憶領域には、メモリカード17のROM17aからゲームプログラム41がロードされる。
【0049】
データ記憶領域には、犬情報42、アイテム情報43、カメラ設定情報44、指示ポイント座標45、および仮想面情報46が格納される。
【0050】
犬情報42は、仮想3次元空間に存在する犬(より正確には犬を表すオブジェクト)に関する種々の情報であって、具体的には、図4に示すように、形状データ、テクスチャデータ、配置座標、動作モード51、および注目点座標52から成る。本実施形態では、仮想3次元空間に配置された犬は、所定のアルゴリズムに従って、まるで自分の意志で動いているかのように仮想3次元空間内を自律的に移動するものとする。
【0051】
形状データは、オブジェクトの形状に関するデータであって、例えばオブジェクトを構成するポリゴンの頂点座標などである。テクスチャデータは、オブジェクトを構成するポリゴンに貼り付けられる画像データである。配置座標は、仮想3次元空間における犬の配置座標である。
【0052】
動作モード51は、犬の現在の動作モードであって、動作モードの種類としては、後述するように、平常モード、注目モード、舐めモード、縄回しモード、噛みモード、お回りモードの6つの動作モードが存在する。動作モード51は、前述のアルゴリズムに従って適宜に変化する。例えば、後述するアイテムのうちの「縄」が仮想3次元空間に配置された場合には、犬はその縄に近づいて縄の端を加えるように自動制御される。そして、犬が縄の端を加えた時点で犬の動作モードが縄回しモードに変更される。
【0053】
注目点座標52は、仮想3次元空間における犬の注目点を示す座標である。この注目点座標52は、犬の動作モードが注目モード、舐めモード、縄回しモードおよびお回りモードのときに利用され、具体的には、犬が注目点座標52を向くように犬の頭部の位置および角度が制御される。
【0054】
アイテム情報43は、仮想3次元に配置される各種アイテムに関する種々の情報である。本実施形態では、仮想3次元に配置されるアイテムとして、図5に示すように、ボール、縄、タオルがあるものとする。ボールに関する情報としては、形状データ、テクスチャデータ、配置座標53がある。配置座標53は、仮想3次元空間におけるボールの配置座標である。縄に関する情報としては、形状データ、テクスチャデータ、手前端部座標54がある。手前端部座標54は、仮想3次元空間における縄の手前端部(縄の両端部のうち、プレイヤから見たときに手前にあるように表示される端部)の配置座標である。タオルに関する情報としては、形状データ、テクスチャデータ、手前端部座標55、動作モード56がある。手前端部座標55は、仮想3次元空間におけるタオルの手前端部(タオルの両端部のうち、プレイヤから見たときに手前にあるように表示される端部)の配置座標である。
【0055】
カメラ設定情報44は、仮想3次元空間に配置される仮想カメラに関する種々の設定値から成る情報であって、例えば、仮想カメラの配置座標、傾き(回転角度)、向き(視線方向)、視野角などである。図6に、仮想3次元空間における仮想カメラの配置例を示す。第2のLCD12には、仮想3次元空間に配置された犬やアイテムや地面などのオブジェクトを仮想カメラから見たシーンがゲーム画像として表示される。図7は、図6の仮想カメラに基づいて第2のLCD12に表示されたゲーム画像を示している。仮想カメラに基づいて仮想3次元空間の画像を生成する方法は周知技術であるため、ここではその詳細な説明は省略するが、簡単に説明すると、ワールド座標系で表されている各オブジェクトの頂点座標(より正確にはオブジェクトを構成するポリゴンの頂点座標)を仮想カメラを基準としたカメラ座標系に変換し、さらに透視投影変換を行うことによってそれらの頂点座標が2次元座標に変換される。
【0056】
指示ポイント座標45は、プレイヤが指やスティック16でタッチパネル15に触れたときの接触位置を示す座標であって、2次元座標で表される。この指示ポイント座標45はタッチパネル15の出力信号に基づいて随時更新される。
【0057】
仮想面情報46は、制御対象オブジェクトの種類および制御対象オブジェクトの動作モードと、仮想3次元空間に設定される仮想面との対応関係を示す情報である。仮想面とは、指示ポイント座標45を、オブジェクトの動きの制御に利用される仮想3次元空間内のポイント(制御用ポイント)に変換するときに利用される仮想的な面であって、平面であっても良いし、曲面であっても良い。また仮想面は、可視であっても良いし、不可視であっても良い。仮想平面を用いた指示ポイント座標45から制御用ポイントへの座標変換の詳細については後述する。
【0058】
図6に、仮想面情報46の一例を示す。この例では、制御対象オブジェクトがボールまたは縄であるときには第1仮想面(図9参照)が上記座標変換の演算に利用される。また、制御対象オブジェクトがタオルであってかつその動作モードが自由モードであるときには第1仮想面が利用され、制御対象オブジェクトがタオルであってかつその動作モードが噛まれモードであるときには第5仮想面が利用される。また、操作対象オブジェクトが犬であってかつその動作モードが注目モードであるときには第2仮想面が利用され、操作対象オブジェクトが犬であってかつその動作モードが舐めモードであるときには第3仮想面が利用され、操作対象オブジェクトが犬であってかつその動作モードが縄回しモードであるときには第4仮想面が利用され、操作対象オブジェクトが犬であってかつその動作モードがお回りモードであるときには第5仮想面が利用される。なお、操作対象オブジェクトが犬であってかつその動作モードが平常モードまたは噛みモードであるときには、犬の動きの制御に制御用ポイントが直接的には利用されないので、仮想面を用いた座標変換は不要である。
【0059】
図9に、上記第1仮想面から第5仮想面の具体的な配置例を示す。第1仮想面は、地面に対して垂直な仮想面であって、その位置は犬の位置に依存することなく仮想3次元空間において常に一定である。第2仮想面、第3仮想面および第4仮想面は、地面に対して垂直な仮想面であって、その位置は制御対象となる犬の位置を基準として、犬の位置からそれぞれ所定距離だけ仮想カメラ方向にずらした位置に配置される。つまり、これらの3つの仮想面の位置は、制御対象となる犬の位置に依存して変化する。図9に示すように、これらの3つの仮想面のうち、第2仮想面は犬から最も離れ、かつ仮想カメラに最も近い位置に配置され、第4仮想面は犬に最も近く、かつ仮想カメラから最も遠い位置に配置される。第5仮想面は、犬の動作モードが噛みモードのとき(つまりタオルの動作モードが噛まれモードのとき)と、犬の動作モードがお回りモードのときに利用される仮想面であって、犬の上方にかつ地面に対して水平に配置される。第5仮想面の位置も、犬の位置に依存することなく仮想3次元空間において常に一定である。なお、第5仮想面が利用されるとき(すなわち犬の動作モードが噛みモードまたはお回りモードのとき)には、仮想カメラの位置が図9に示すように犬を上から見下ろすような位置に一時的に変更される。
【0060】
以下、図10〜図15を参照して、第1仮想面から第5仮想面の各仮想面の利用例を説明する。
【0061】
図10は、第1仮想面の利用例を示す図である。第1仮想面は、プレイヤが仮想3次元空間においてアイテムとしてボールや縄やタオルを使用するときに利用される仮想面である。より具体的に説明すると、プレイヤは、操作スイッチ部14を操作することによってアイテム選択画面を呼び出し、そのアイテム選択画面においてボールか縄かタオルのいずれかを選択し、その後、スティック16をタッチパネル15上の所望の位置に接触させることによって、その位置に対応する仮想3次元空間内のポイントに、選択したアイテムを配置することができる。図10は、プレイヤがボールを配置する場合の例である。タッチパネル15上の各点は、第1仮想面上の各点に一対一にそれぞれ対応付けられており(すなわち一対一の写像の関係)、スティック16の接触位置(指示ポイント)に対応する第1仮想面上の点(制御用ポイント)にボールが配置される。そして、プレイヤがタッチパネル15上でスティック16をすべらせると、それに応じて第1仮想面上のボールの位置も移動する。なお、指示ポイントから制御用ポイントへの座標変換は、予め用意したマッピングデータを利用して行ってもよいし、行列を用いた演算によって行ってもよい。
【0062】
図11は、第2仮想面の利用例を示す図である。第2仮想面は、犬の動作モードが注目モードのときに、この犬の動きを制御するために利用される仮想面である。注目モードとは、例えば犬がプレイヤに少しだけ興味を抱いているときの犬の動作モードであって、この注目モードでは、プレイヤがタッチした点に注目するように、犬の動き(特に頭部の動き)が制御される。なお、犬がプレイヤに全く興味を抱いていないときには、プレイヤがタッチパネル15にタッチしても犬は無視し(平常モード)、犬がプレイヤに大いに興味を抱いているときには、プレイヤがタッチした点を舐めるようになる(後述する舐めモード)。なお、プレイヤに対する犬の興味度合は種々の条件に応じて随時変化し、その変化に応じて犬の動作モードが随時更新されるものとする。
【0063】
注目モード時には、図11に示すようにプレイヤがスティック16をタッチパネル15上の所望の位置に接触させると、その接触位置(指示ポイント)に対応する第2仮想面上の点(制御用ポイント)が、犬の注目点として設定される。なお、タッチパネル15上の各点が第2仮想面上の各点に一対一にそれぞれ対応付けられている点は、第1仮想面と同様であり、さらにこれは第3仮想面から第5仮想面についても同様である。第2仮想面上の制御用ポイントが犬の注目点として設定された結果、犬は、その制御用ポイントを注目しているかのように、その動きが制御される。そして、プレイヤがタッチパネル15上でスティック16をすべらせると、その接触位置を目で追うように犬は動作する。
【0064】
なお、指示ポイントから制御用ポイントへの座標変換は、予め用意したマッピングデータを利用して行ってもよいし、行列を用いた演算によって行ってもよい。さらには、図12に示すように、図10を用いて説明した要領で指示ポイントに対応する第1仮想面上の点を一旦求めた後、この点(以下、基本制御用ポイントと称す)と仮想カメラの位置とを結ぶ直線を求め、この直線と第2仮想面との交点(この交点が第2仮想面上の制御用ポイントとなる)を演算によって求めるようにしてもよい。これは、指示ポイントを第3仮想面および第4仮想面における制御用ポイントに変換する場合にも同様である。このような変換方法によれば、基本制御用ポイントから第2〜第4仮想面の各仮想面上の制御用ポイントへの変換処理は、非常に単純な演算によって実現できるため、例えば、指示ポイントを基本制御用ポイントに変換する処理をゲームプログラム41のメインルーチンに組み込んでおくことで、第2〜第4仮想面の各仮想面上の制御用ポイントを求める必要が生じたときに、すでに得られている基本制御用ポイントを利用して制御用ポイントを簡単に求めることができ、ゲームプログラム41の構造を簡素化することができる。なお、基本制御用ポイントは必ずしも第1仮想面上に設定される必要はなく、第1仮想面とは別の仮想面上に設定されてもよい。その場合には、基本制御用ポイントを用いて第1仮想面上の制御用ポイントを簡単に求めることができる。
【0065】
図13は、第3仮想面の利用例を示す図である。第3仮想面は、犬の動作モードが舐めモードのときに、この犬の動きを制御するために利用される仮想面である。注目モードとは、例えば犬がプレイヤに大いに興味を抱いているときの犬の動作モードであって、この舐めモードでは、プレイヤがタッチした点を舌で舐めるように、犬の動き(特に頭部の動き)が制御される。なお、注目モード時の仮想面の位置を舐めモード時と比べて犬から離しているのは、その方が第2のLCD12に表示される犬の挙動が違和感が無くなるためである。例えば、注目モード時の仮想面の位置を舐めモード時と同じ位置に設定すると、プレイヤにとっては、犬が接触点から少しだけずれた方向を向いているように見えてしまい、違和感を覚える。
【0066】
図14は、第4仮想面の利用例を示す図である。第4仮想面は、犬の動作モードが縄回しモードのときに、この犬の動きを制御するために利用される仮想面である。縄回しモードとは、プレイヤが仮想3次元空間に配置した縄の端(奥端部)を犬がくわえたときの犬の動作モードであって、この縄回しモードでは、指示ポイントに対応する第4仮想面上の制御用ポイントが犬の注目点として設定される。一方、縄の手前端部については、図10と同様に、指示ポイントに対応する第1仮想面上の制御用ポイントに配置される。また、縄の中央部分については、端部の動きに追従するようにその座標が随時更新され、実際の縄のような動きをする。その結果、プレイヤがタッチパネル15上で円を描くようにスティック16をすべらせると、このスティック16の動きに連動して、接触位置に表示される縄の手間端部と、縄の奥側端部をくわえている犬の頭部とが動作し、犬と一緒に縄を回している感覚をプレイヤに与えることができる。なお、第4仮想面の位置を第2仮想面および第3仮想面よりも犬寄りにしているのは、縄の奥側端部の動きを大きくするためである。縄の奥側端部の動きが大きくなると、縄の中央部分も動きやすくなり、縄が回りやすくなる。
【0067】
図15は、第5仮想面の利用例を示す図である。第5仮想面は、プレイヤが図10のようにして仮想3次元空間の第1仮想面上にタオルを配置した後、このタオルの端を犬がくわえたとき(すなわち噛まれモードのとき)に利用される仮想面である。また、第5仮想面は、プレイヤが操作スイッチ部14を操作することによってモード選択画面を呼び出し、そのモード選択画面においてお回りモードを選択したときにも利用される。噛まれモードでは、指示ポイントが第5仮想面上の制御用ポイントに変換され、この制御用ポイントにタオルの手前端部が配置される。なお、タオルの奥側端部は犬に噛まれているため、プレイヤがタッチパネル15上でスティック16をスライドさせることによってタオルが移動し、さらにタオルに引きずられるようにして犬も移動する。また、お回りモードでは、指示ポイントが第5仮想面上の制御用ポイントに変換され、この制御用ポイント犬の注目点として設定され、犬はその注目点の方向に顔と体を向けるように移動制御される。よって、プレイヤがタッチパネル15上で円を描くようにスティック16をスライドさせれば、犬はその接触位置を追って回転(すなわちお回り)する。
【0068】
以下、図16〜図20のフローチャートを参照して、ゲームプログラム41に従ったCPUコア21の処理の流れを説明する。
【0069】
図16において、ゲームが開始されると、まずステップS10でCPUコア21は仮想3次元空間において仮想カメラとオブジェクト(犬、地面)をそれぞれの初期位置に配置する。
【0070】
ステップS12では、プレイヤによってボールが使用されている(すなわち図10の状態)かどうかを判断し、ボールが使用されている場合にはステップS14に進み、ボールが使用されていない場合にはステップS20に進む。なお、図16〜図20のフローチャートでは、プレイヤがアイテム選択画面を呼び出してアイテムを選択したり、モード選択画面を呼び出してお回りモードを選択したりといった処理については省略している。
【0071】
ステップS14では、タッチパネル15の出力信号に基づいて指示ポイントを検出し、図5の指示ポイント座標としてRAM24に記憶する。
【0072】
ステップS16では、ステップS14で検出した指示ポイントを前述した方法で第1仮想面上の制御用ポイントに変換する。
【0073】
ステップS18では、ステップS16で求めた第1仮想面上の制御用ポイントにボールを配置する。より具体的には、ステップS16で求めた制御用ポイントを、図5の配置座標53としてRAM24に格納する。この配置座標53は、後述する図18のステップS72でゲーム画像を生成するときに参照され、その結果、図10のようにボールが第2のLCD12に表示されることになる。
【0074】
ステップS20では、プレイヤによって縄が使用されているかどうかを判断し、縄が使用されている場合にはステップS22に進み、縄が使用されていない場合には図17のステップS34に進む。
【0075】
ステップS22およびステップS24は、前述のステップS14およびステップS16とそれぞれ同じ処理である。
【0076】
ステップS26では、ステップS24で求めた第1仮想面上の制御用ポイントに縄の手前端部を配置する。より具体的には、ステップS24で求めた制御用ポイントを、縄の手前端部座標54としてRAM24に格納する。この手前端部座標54は、後述する図18のステップS72でゲーム画像を生成するときに利用される。
【0077】
ステップS28では、RAM24の犬情報42の動作モード51を参照して、犬の動作モードが縄回しモードかどうかを判断し、縄回しモードである場合にはステップS30に進み、縄回しモードでない場合には図17のステップS34に進む。
【0078】
ステップS30では、ステップS22で検出した指示ポイントを前述した方法で第4仮想面上の制御用ポイントに変換する。
【0079】
ステップS32では、ステップS30で求めた第4仮想面上の制御用ポイントを犬の注目点に設定する。より具体的には、ステップS30で求めた制御用ポイントを、犬の注目点座標52としてRAM24に格納する。この注目点座標52は、後述する図18のステップS66で犬の動きを自動制御するときに利用される。
【0080】
図17のステップS34では、プレイヤによってタオルが使用されているかどうかを判断し、タオルが使用されている場合にはステップS36に進み、タオルが使用されていない場合にはステップS46に進む。
【0081】
ステップS36では、タオルの奥側端部が犬に噛まれている(すなわち噛まれモード)かどうかを判断し、噛まれモードでない場合にはステップS38に進み、噛まれモードである場合にはステップS44に進む。
【0082】
ステップS38およびステップS40は、前述のステップS14およびステップS16とそれぞれ同じ処理である。
【0083】
ステップS42では、ステップS40で求めた第1仮想面上の制御用ポイントにタオルの手前端部を配置する。より具体的には、ステップS40で求めた制御用ポイントを、タオルの手前端部座標55としてRAM24に格納する。この手前端部座標55は、後述する図18のステップS72でゲーム画像を生成するときに利用される。
【0084】
ステップS44では、噛まれモード処理を実行する。この噛まれモード処理の詳細な処理については後述する。
【0085】
ステップS46では、RAM24の犬情報42の動作モード51を参照して、犬の動作モードが注目モードかどうかを判断し、注目モードである場合にはステップS48に進み、注目モードでない場合には図18のステップS54に進む。
【0086】
ステップS48は、前述のステップS14と同じ処理である。
【0087】
ステップS50では、ステップS48で検出した指示ポイントを前述した方法で第2仮想面上の制御用ポイントに変換する。ただし、プレイヤがタッチパネル15に触れていない場合(すなわちステップS48で指示ポイントが検出されなかった場合)には、このステップS50と次のステップS52の処理は省略される。
【0088】
ステップS52では、ステップS50で求めた第2仮想面上の制御用ポイントを犬の注目点に設定する。
【0089】
図18のステップS54では、RAM24の犬情報42の動作モード51を参照して、犬の動作モードが舐めモードかどうかを判断し、舐めモードである場合にはステップS56に進み、舐めモードでない場合にはステップS62に進む。
【0090】
ステップS56は、前述のステップS14と同じ処理である。
【0091】
ステップS58では、ステップS56で検出した指示ポイントを前述した方法で第3仮想面上の制御用ポイントに変換する。ただし、プレイヤがタッチパネル15に触れていない場合(すなわちステップS56で指示ポイントが検出されなかった場合)には、このステップS58と次のステップS60の処理はスキップされる。
【0092】
ステップS60では、ステップS58で求めた第3仮想面上の制御用ポイントを犬の注目点に設定する。
【0093】
ステップS62では、プレイヤによってお回りモードが選択されたかどうかを判断し、お回りモードが選択された場合にはステップS64に進み、お回りモードが選択されていない場合にはステップS66に進む。
【0094】
ステップS64では、お回りモード処理を実行する。このお回りモード処理の詳細な処理については後述する。
【0095】
ステップS66では、RAM24の犬情報42の注目点座標52を適宜に参照して、所定の自動制御アルゴリズムに基づいて犬の動きを自動制御する。より具体的には、犬の配置座標や、犬の各部の座標が更新される。
【0096】
ステップS68では、ステップS66の自動制御の結果に応じて犬の動作モードを必要に応じて変更し、RAM24の犬情報42の動作モード51を更新する。
【0097】
ステップS70では、RAM24のアイテム情報43の縄の手前端部座標54またはタオルの手前端部座標55を参照して、縄またはタオルの動きを制御(すなわち繩またはタオルの配置座標や各部の座標を計算)する。なお、犬の動作モードが縄回しモードまたは噛みモードの場合には、ステップS66で制御された犬の動きにも依存して縄またはタオルの形状が制御される。なお、縄もタオルも使用されていないときには、このステップS70の処理はスキップされる。
【0098】
ステップS72では、ステップS66およびステップS70の処理結果と、RAM24のカメラ設定情報44に基づいて、仮想カメラから見た仮想3次元空間の様子を示すゲーム画像を生成してフレームバッファ(図示せず)に格納し、ステップS12に戻る。こうして生成されたゲーム画像は適宜のタイミングで第2のLCD12に出力する。
【0099】
次に、図19を参照して、プレイヤが使用しているタオルの奥側端部を犬がくわえたときの噛まれモードの詳細を説明する。
【0100】
噛まれモードでは、まずCPUコア21はステップS74で、仮想カメラを図9に示すように犬を上から見下ろす位置に移動させる。これは、具体的にはRAM24のカメラ設定情報44を変えることによって行われる。
【0101】
ステップS76は、前述のステップS14と同じ処理である。
【0102】
ステップS78では、ステップS76で検出した指示ポイントを前述した方法で第5仮想面上の制御用ポイントに変換する。
【0103】
ステップS80では、ステップS78で求めた第5仮想面上の制御用ポイントにタオルの手前端部を配置する。より具体的には、ステップS78で求めた制御用ポイントを、タオルの手前端部座標55としてRAM24に格納する。
【0104】
ステップS82〜S88の処理は、前述のステップS66〜S72とほぼ同じである。
【0105】
ステップS90では、噛まれモードが終了したかどうかを判断する。噛まれモードが終了するタイミングは、例えば、プレイヤがスティック16をタッチパネル15から離すことによってタオルの手前端部が第5仮想面から離れて自由に移動可能になったときや、犬がタオルを離したときである。そして、噛まれモードが終了していない場合にはステップS76に戻り、噛まれモードが終了した場合にはステップS92に進む。
【0106】
ステップS92では、ステップS74で変更したカメラ設定情報44を元に戻すことによって、仮想カメラの位置を元に戻し、噛まれモード処理を終了する。
【0107】
次に、図20を参照して、お回りモードの詳細を説明する。
【0108】
ステップS94〜S98の処理は、前述のステップS74〜S78と同じ処理である。
【0109】
ステップS100では、ステップS98で求めた第5仮想面上の制御用ポイントを犬の注目点に設定する。
【0110】
ステップS102およびステップS104の処理は、それぞれ前述のステップS66およびステップS72と同じである。
【0111】
ステップS106では、お回りモードが終了したかどうかを判断する。お回りモードが終了するタイミングは、例えば、プレイヤが操作スイッチ部14を操作することによってモード選択画面を呼び出し、そのモード選択画面においてお回りモードの終了を指示したときである。そして、お回りモードが終了していない場合にはステップS96に戻り、お回りモードが終了した場合にはステップS108に進む。
【0112】
ステップS108では、ステップS94で変更したカメラ設定情報44を元に戻すことによって、仮想カメラの位置を元に戻し、お回りモード処理を終了する。
【0113】
以上のように、本実施形態によれば、ポインティングデバイスによってプレイヤによって指示された表示画面上の指示ポイントを常に一定の仮想面上の制御用ポイントに割り当てるのではなく、その制御用ポイントの用途に応じて、例えば犬に縄回しをさせたい場合には指示ポイントを第4仮想面上の制御用ポイントに変換するというように、状況に応じて異なる仮想面上の制御用ポイントに変換することにより、プレイヤは、わざわざ奥行き方向の位置を指定したりする手間をかけること無しに、オブジェクトの動きを簡易にかつ適切に制御することができる。
【0114】
また、図14のように、共通の指示ポイントを少なくとも2つの制御用ポイントに変換し、これらの2つの制御用ポイントを利用して複数のオブジェクトを同時に同期して動作させることもできる。
【0115】
なお、別の実施形態として、共通の指示ポイントを少なくとも2つの制御用ポイントに変換するが、これらの2つの制御用ポイントが必ずしも表示画面上で指示ポイントと同じ位置に表示されない場合の例を図21に示す。図21の例では、タッチパネル15上に所定の入力用エリアが設定されており、仮想3次元空間内にはこの入力用エリアとそれぞれ一対一の写像の関係にある2つの仮想面A,Bが配置されている。仮想面Aは、犬Aの動きを制御するための制御用ポイントが設定される仮想面であり、仮想面Bは、犬Bの動きを制御するための制御用ポイントが設定される仮想面である。具体的には、仮想面A上の制御用ポイントは、犬Aの注目点として利用され、仮想面B上の制御用ポイントは、犬Bの注目点として利用される。そして、犬Aおよび犬Bは1本の縄の一端および他端をそれぞれくわえており、プレイヤがタッチパネル15上の所定の入力用エリア内でスティック16をスライドさせると、そのスティック16の動きにあわせて犬Aと犬Bが首を振り、うまく縄を回すことができる。この例では、指示ポイントから変換される少なくとも2つの制御用ポイントが必ずしも表示画面上で指示ポイントと同じ位置に表示されるわけではないが、このように、共通の指示ポイントを少なくとも2つの制御用ポイントに変換し、これらの2つの制御用ポイントを利用して仮想3次元空間内のオブジェクトを制御することによって、プレイヤは複雑な操作を簡単に行うことができるようになる。なお、図21の例では、タッチパネル15の一部の領域を入力エリアとしているが、もちろん、前述の実施形態のように、タッチパネル15の全面を入力エリアとしてもよい。
【符号の説明】
【0116】
10 ゲーム装置
11 第1のLCD
12 第2のLCD
13 ハウジング
13a 上側ハウジング
13b 下側ハウジング
14 操作スイッチ部
14a 十字スイッチ
14b スタートスイッチ
14c セレクトスイッチ
14d Aボタン
14e Bボタン
14f Xボタン
14g Yボタン
14L Lボタン
14R Rボタン
15 タッチパネル
16 スティック
17 メモリカード
17a ROM
17b RAM
18a,18b 音抜き孔
19 電源スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
仮想3次元空間内に配置されたオブジェクトを仮想カメラから見たときの画像を表示画面に表示する表示ステップ、
ポインティングデバイスからの出力信号に基づいて、2次元座標で表される指示ポイントを検出する検出ステップ、
前記指示ポイントを、所定の演算処理により、3次元座標で表される1つ以上の制御用ポイントに変換する変換ステップ、および
前記制御用ポイントを利用して前記オブジェクトの動きを制御する制御ステップを実行させるための情報処理プログラムであって、
前記変換ステップで変換される制御用ポイントは、前記表示画面上における前記指示ポイントの位置と同一の位置に表示される仮想3次元空間中のポイントであって、その奥行き方向の位置は、状況に応じて変化することを特徴とする、情報処理プログラム。
【請求項2】
前記変換ステップで変換される制御用ポイントの奥行き方向の位置は、前記制御ステップにおける当該制御用ポイントの用途に応じて変化することを特徴とする、請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項3】
前記変換ステップで変換される制御用ポイントの奥行き方向の位置は、前記制御ステップでの制御対象となるオブジェクトの種類に依存して変化することを特徴とする、請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項4】
前記情報処理プログラムは、前記オブジェクトの動作モードを設定および更新し、当該設定または更新された動作モードを記憶装置に記憶するステップをさらに前記コンピュータに実行させるものであり、
前記変換ステップで変換される制御用ポイントの奥行き方向の位置が、前記記憶装置に記憶されている動作モードに依存して変化することを特徴とする、請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項5】
前記変換ステップは、前記指示ポイントを3次元座標で表される基本制御用ポイントに変換するステップと、当該基本制御用ポイントと仮想カメラの位置とを結んだ直線を求めるステップと、前記直線と仮想3次元空間内に設定された仮想面との交点を求めるステップとを含み、
前記仮想面の位置または形状が、状況に応じて変化することを特徴とする、請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項6】
前記情報処理プログラムは、前記オブジェクトの動作モードを設定および更新し、当該設定または更新された動作モードを記憶装置に記憶するステップをさらに前記コンピュータに実行させるものであり、
前記オブジェクトを基準とした前記仮想面の相対位置が、前記記憶装置に記憶されている動作モードに依存して変化することを特徴とする、請求項5に記載の情報処理プログラム。
【請求項7】
前記変換ステップでは、前記検出ステップで検出された指示ポイントが、第1のオブジェクトの制御のための第1の制御用ポイントと、第2のオブジェクトの制御のための第2の制御用ポイントとに変換され、
前記変換ステップで変換される前記第1の制御用ポイントおよび前記第2の制御用ポイントは、いずれも、前記表示画面上における前記指示ポイントの位置と同一の位置に表示される仮想3次元空間中のポイントであり、
前記制御ステップでは、前記第1のオブジェクトおよび前記第2のオブジェクトが、前記第1の制御用ポイントおよび前記第2の制御用ポイントをそれぞれ利用して個別にかつ同時に制御されることを特徴とする、請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項8】
画像を表示するための表示画面と、
前記表示画面上の任意のポイントを操作者が指示するためのポインティングデバイスと、
仮想3次元空間内に配置されたオブジェクトを仮想カメラから見たときの画像を前記表示画面に表示する表示制御手段と、
前記ポインティングデバイスからの出力信号に基づいて、2次元座標で表される指示ポイントを検出する検出手段と、
前記指示ポイントを、所定の演算処理により、3次元座標で表される1つ以上の制御用ポイントに変換する変換手段と、
前記制御用ポイントを利用して前記オブジェクトの動きを制御する制御手段とを備えた情報処理装置であって、
前記変換手段によって変換される制御用ポイントは、前記表示画面上における前記指示ポイントの位置と同一の位置に表示される仮想3次元空間中のポイントであって、その奥行き方向の位置は、状況に応じて変化することを特徴とする、情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータに、
仮想3次元空間内に配置された1以上のオブジェクトを仮想カメラから見たときの画像を画面に表示する表示ステップ、
ポインティングデバイスからの出力信号に基づいて、2次元座標で表される指示ポイントを検出する検出ステップ、
前記指示ポイントを、所定の演算処理により、3次元座標で表される複数の制御用ポイントに変換する変換ステップ、および
前記制御用ポイントを利用して前記1以上のオブジェクトの動きを制御する制御ステップを実行させるための情報処理プログラムであって、
前記変換ステップでは、前記検出ステップで検出された指示ポイントが、第1の制御用ポイントと第2の制御用ポイントとに変換され、
前記制御ステップでは、前記第1の制御用ポイントおよび前記第2の制御用ポイントを利用して前記1以上のオブジェクトの動きが制御されることを特徴とする、情報処理プログラム。
【請求項10】
前記制御ステップでは、仮想3次元空間内に配置された第1のオブジェクトおよび第2のオブジェクトが、前記第1の制御用ポイントおよび前記第2の制御用ポイントをそれぞれ利用して個別にかつ同時に制御されることを特徴とする、請求項9に記載の情報処理プログラム。
【請求項11】
画像を表示するための表示画面と、
前記表示画面上の任意のポイントを操作者が指示するためのポインティングデバイスと、
仮想3次元空間内に配置された1以上のオブジェクトを仮想カメラから見たときの画像を前記表示画面に表示する表示制御手段と、
前記ポインティングデバイスからの出力信号に基づいて、2次元座標で表される指示ポイントを検出する検出手段と、
前記指示ポイントを、所定の演算処理により、3次元座標で表される複数の制御用ポイントに変換する変換手段と、
前記制御用ポイントを利用して前記1以上のオブジェクトの動きを制御する制御手段とを備えた情報処理装置であって、
前記変換手段は、前記検出手段によって検出された指示ポイントを、第1の制御用ポイントと第2の制御用ポイントとに変換し、
前記制御手段は、前記第1の制御用ポイントおよび前記第2の制御用ポイントを利用して前記1以上のオブジェクトの動きを制御することを特徴とする、情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−169972(P2009−169972A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−102224(P2009−102224)
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【分割の表示】特願2005−57659(P2005−57659)の分割
【原出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【出願人】(000233778)任天堂株式会社 (1,115)
【Fターム(参考)】