説明

情報処理方法、集積回路、及び情報記録装置

【課題】正常に記録を行えない領域に情報の記録が行われることを防止することにより、記録された情報の信頼性を高めるとともに、記録にかかる時間を短縮する。
【解決手段】情報記録装置100は、多層光記録媒体103に記録された欠陥リストを読み出す。読み出された欠陥リストは、欠陥リスト登録部134によって記憶される。欠陥判定部125及び欠陥位置取得部126は、第1記録層の欠陥位置を特定する。欠陥領域推定部128は、欠陥判定部125及び欠陥位置取得部126によって特定された第1記録層の欠陥位置に基づいて第2記録層の欠陥領域を推定する。欠陥リスト登録部134は、欠陥領域推定部128によって推定された欠陥領域に含まれる記録位置を、評価が必要な要評価欠陥位置として、記憶している欠陥リストに追加登録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層光記録媒体に対して情報を記録する情報記録装置、当該情報記録装置による情報処理方法、及び当該情報記録装置に設けられる集積回路に関し、特に、記録時に情報が傷、ごみ等によって欠落する危険を回避する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光記録媒体としてCD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)が広く利用されている。この種の光記録媒体に要求される記録容量は年々増大してきており、この要求に対応するために様々な提案がなされている。例えば、情報記録層を2層構造にすることによって記録容量を増大したDVDが実用化されている。また、近年、更なる記録容量の増大を図るために、ブルーレイ・ディスク(Blu-ray Disc)(以下、BDと呼ぶ)やHD−DVD(High Definition DVD)等の新世代光ディスク規格が提案され、これら新世代光ディスクについても、同様に2層以上の規格が提案されてきている。
【0003】
特許文献1に開示された従来の情報記録方法では、第1記録層に対する記録中に反射光の状態に基づいて光入射面の欠陥位置を特定し、特定した欠陥位置を示す欠陥情報に基づいて欠陥領域を推定する。そして、第2記録層に対して、推定した欠陥領域を回避しながら情報の記録を行う。また、上記従来の情報記録方法では、特許文献1の段落0018に記載されているように、多層光記録媒体が外部に取り出された場合、次に挿入されるまでに新たな表面欠陥が生じる可能性を考慮し、収集した欠陥情報を初期化するようになっている。
【特許文献1】特開2007−207299号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の情報記録方法では、多層光記録媒体を一度外部に取り出して再度挿入する場合、新たな表面欠陥が生じる可能性を考慮して欠陥情報を初期化するようになっている。このことから、おそらく、取り出し前に推定した欠陥領域も、再度の挿入後の記録時には考慮されないと考えられる。
【0005】
しかしながら、取り出し前に推定した欠陥領域が、再度の挿入後にも、正常に記録を行えない領域のままとなっている場合もある。例えば、欠陥の原因が修復困難な傷である場合や、指紋やゴミが拭き取られない場合である。このような欠陥領域に対して情報の記録を行うと、正しく情報が記録されず、記録される情報の信頼性が低くなるおそれがある。また、記録動作によって当該領域が欠陥領域であると認識され、別の領域に情報が記録し直されたとしても、欠陥領域に対する記録動作及び別の領域への記録動作の両方が行われるので動作量が多くなり、記録にかかる時間が長くなる。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑み、多層光記録媒体に対する情報記録において、正常に記録を行えない領域に情報の記録が行われることを防止することにより、記録された情報の信頼性を高めるとともに、記録にかかる時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は、多層光記録媒体の記録領域に含まれる欠陥位置を示す欠陥リストを読み出し、所定の要求位置への情報の記録要求がある場合に、当該要求位置に情報を記録するか、又は代わりの位置に情報を記録するかを、前記欠陥リストに基づいて決定する情報記録装置における情報処理であって、前記多層光記録媒体における第1記録層の欠陥位置を特定する欠陥位置特定処理と、前記欠陥位置特定処理において特定された第1記録層の欠陥位置に基づいて、前記第1記録層とは異なる記録層である第2記録層の欠陥領域を推定する欠陥領域推定処理と、前記欠陥領域推定処理において推定された欠陥領域に含まれる各記録位置を欠陥位置として示す推定欠陥位置情報を推定欠陥位置情報記憶部によって記憶する推定欠陥位置情報記憶処理と、前記推定欠陥位置情報記憶部によって記憶されている推定欠陥位置情報を、前記多層光記録媒体の規格に応じた欠陥リストのデータ形式で、当該多層光記録媒体に記録する推定欠陥位置情報記録処理とを有することを特徴とする。
【0008】
これにより、第2の記録層について推定された欠陥領域に含まれる各記録位置を欠陥位置として示す推定欠陥位置情報が、多層光記録媒体の規格に応じた欠陥リストのデータ形式で、多層光記録媒体に記録される。したがって、当該多層光記録媒体を情報記録装置から一旦取り出して再度挿入した場合や、当該多層光記録媒体を別の情報記録装置に挿入した場合においても、当該多層光記録媒体に記録された推定欠陥位置情報を読み取ることによって、当該推定欠陥位置情報に示される記録位置を回避して情報を記録できる。したがって、正常に記録を行えない領域に情報の記録が行われることを防止でき、記録された情報の信頼性を高めることができる。また、記録のやり直しが行われにくくなるので、記録にかかる時間を短縮できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、正常に記録を行えない領域に情報の記録が行われることを防止でき、記録される情報の信頼性を高めることができるとともに、記録にかかる時間を短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
《実施形態1》
本発明の実施形態1に係る情報記録装置(Drive)100は、図1に示すように、IT(information technology)分野のHOST(コンピュータ)101、又はAV分野のB/E(Back End,AVエンコーダ/デコーダ部)102に接続されて情報記録システムを構成する。HOST101及びB/E102はいずれも、記録するための情報を発信し、多層光記録媒体103(図2参照)への情報の記録を情報記録装置100に対して要求する。本実施形態の情報記録装置100は、多層光記録媒体103として、DVD−RAM、BD−R、及びBD−REに対して記録を行うようになっている。
【0012】
情報記録装置100は、図2に示すように、レーザー光源111、レーザーコントローラ112、光学機構113、多層光記録媒体103を回転させるディスクモータ114、ディスクモータ114の回転制御を行うモータドライバ115、光検出機構116、アナログ信号処理機構117、及び制御装置118を備えている。また、レーザー光源111及び光学機構113によって光ピックアップ110が構成されている。
【0013】
レーザー光源111は、半導体レーザーであり、記録・再生に利用するレーザー光Zを発生する。
【0014】
レーザーコントローラ112は、レーザー光源111を制御する。
【0015】
光学機構113は、レーザー光Zを多層光記録媒体103に導く。詳しくは、光学機構113は、図示しないハーフミラー、プリズム、及び対物レンズを備え、レーザー光Zの焦点を各情報記録層L0〜Lnに適宜合わせることが可能となっている。また、上記ハーフミラーやプリズムは、情報記録層L0〜Lnからの反射光を取り出して光検出機構116に導くように構成されている。
【0016】
光検出機構116はフォトディテクタであり、光学機構113から導かれたレーザー光Zの反射光を受光(検出)し、受光した光の量に応じた受光信号を出力する。
【0017】
アナログ信号処理機構117は、光検出機構116によって出力された受光信号に対して解析処理及び整形処理を行い、多層光記録媒体103に記録されたデータ(アドレス情報やユーザデータ等)を再生するための解析情報及び整形情報を生成する。
【0018】
HOST101及びB/E102からの記録要求データを多層光記録媒体103に記録する場合、記録要求データを受け取った制御装置118による指示に基づいて、レーザーコントローラ112がレーザー光源111を制御して、所定のレーザー光Zを発生させる。このレーザー光Zは、光学機構113によって案内され、L0〜Ln情報記録層のいずれかに照射される。そして、レーザー光Zの照射位置であるレーザースポットのエネルギーによって、L0〜Ln情報記録層に記録マークが形成される。
【0019】
一方、多層光記録媒体103に記録された情報を再生する場合、レーザー光源111が再生レーザー光を発生し、この再生レーザー光がL0〜Ln情報記録層における再生位置に照射される。再生レーザー光はL0〜Ln情報記録層で反射し、その反射光が光学機構113を介して光検出機構116に導かれ、アナログ信号処理機構117及び制御装置118を経て再生信号としてHOST101及びB/E102に提供される。
【0020】
制御装置118は、CPU(中央演算装置:central processing unit) を内在するODC(光ディスクコントロ−ラ:Optical Disc Controller)として、アナログ信号処理機構117によって生成された解析情報及び整形情報に基づいて、レーザーコントローラ112及びモータドライバ115を制御する。また、制御装置118は、集積回路によって構成され、サーボ制御機構119、多層光記録制御機構120、及び情報記録制御機構121を備えている。
【0021】
サーボ制御機構119は、トラッキング、フォーカス、チルト等の制御を行っている。これらの各制御は、制御残差を小さくするように行われる。傷、ゴミ等の外乱により、これらの制御が破綻したり、制御残差が大きくなったりする。
【0022】
情報記録制御機構121は、情報の記録に関する制御を行う。
【0023】
多層光記録制御機構120は、図3に示すように、欠陥位置特定部122、欠陥領域推定部128、記録未記録管理部132、欠陥位置管理部133、再生確認位置決定部139、再生確認処理部140、交替複写記録部141、タイミング制御部142、情報記録制御部143、及び欠陥リスト記録部(推定欠陥位置情報記憶部)144を備えている。
【0024】
欠陥位置特定部122は、多層光記録媒体103における第1記録層(L0〜Ln情報記録層のいずれか)の欠陥位置を特定する。欠陥位置特定部122は、記録位置管理部123、制御エラー検出部124、欠陥判定部125、及び欠陥位置取得部126を備えている。
【0025】
記録位置管理部123は、現在記録中の位置を示す記録位置情報を取得し、管理する。
【0026】
制御エラー検出部124は、サーボ系エラー検出部124a、アナログ信号処理系エラー検出部124b、及び記録系エラー検出部124cを備えている。
【0027】
サーボ系エラー検出部124aは、トラッキング制御の破綻、フォーカス制御の破綻、チルト制御の破綻、トラッキング制御の制御残差(トラッキングエラー信号)が所定閾値を超えること、フォーカス制御の制御残差(フォーカスエラー信号)が所定閾値を超えること、及びチルト制御の制御残差が所定閾値を超えることをエラーとして検出する。
【0028】
アナログ信号処理系エラー検出部124bは、多層光記録媒体103に照射する記録用レーザー光の反射光が途切れること、及び急激な光量減衰、例えば、当該反射光の光量の減衰速度が所定以上になることをエラーとして検出する。反射光の途切れや急激な光量減衰は、多層光記録媒体103の表面に傷やゴミがある場合等に生じる。
【0029】
記録系エラー検出部124cは、多層光記録媒体103に照射する記録用レーザー光自体が途切れること、当該記録用レーザー光の光量の減衰速度が所定以上になること、当該記録用レーザー光のパワー(光量)が所定以上となること、及び当該記録用レーザー光を発生する半導体レーザーの駆動電流値として所定以上の値が反射光の光量に基づいて算出されることをエラーとして検出する。
【0030】
制御エラー検出部124は、サーボ系エラー検出部124a、アナログ信号処理系エラー検出部124b、及び記録系エラー検出部124cのうちの少なくとも1つによってエラーが検出されている場合にエラー信号を出力する。
【0031】
欠陥判定部125は、制御エラー検出部124によってエラー信号が出力されたタイミングと、記録位置管理部123によって取得された記録位置情報とに基づいて、エラーの検出された記録位置(セクタ)を、第1記録層における欠陥位置として特定する。
【0032】
なお、サーボ系エラー検出部124a、アナログ信号処理系エラー検出部124b、及び記録系エラー検出部124cのすべてを設けることが望ましいが、いずれか1つ又は2つのみを設けるようにしてもよい。また、制御エラー検出部124によってエラーとして検出される事象のすべてではなく、一部の事象を欠陥位置の特定のために用いるようにしてもよい。
【0033】
欠陥位置取得部126は、情報が正しく記録されていないと情報記録に伴う情報再生(後述するベリファイ処理)により判定された記録位置(セクタ)を、第1記録層における記録位置を欠陥位置として特定する。
【0034】
ここで、欠陥判定部125及び欠陥位置取得部126をそれぞれどのような状況で動作させるかについて説明する。
【0035】
例えばAV(Audio Video)記録を行う場合には、TV(Television)放送などのリニアタイム・ストリーム・コンテンツを途切らすことなくリアルタイムに記録する必要があるので、記録途中にHOST101及びB/E102に、記録情報提供の待機を要求することができない。よって、記録途中に記録情報の再生確認(ベリファイ処理)を行うことができず、記録中のサーボ制御状態、記録中の多層光記録媒体103からの反射光の光量に応じたアナログ信号、記録状況等に基づいて、欠陥位置を特定する必要がある。したがって、AV記録等、情報をリアルタイムに記録する場合には、記録位置管理部123、制御エラー検出部124、及び欠陥判定部125を用いて欠陥位置を特定することが望ましい。
【0036】
一方、データコピー等、IT関係の記録(ベリファイ付き記録)を行う場合には、ある媒体(HDD(Hard Disk Drive)、コンピュータ上のRAM(Random Access Memory)等)にデータが既に有り、それをコピーすることによって行う。よって、情報記録途中にHOST101及びB/E102に記録情報提供の待機を要求し、記録情報提供を待機させた状態でベリファイ処理を行うことができる。ベリファイ処理とは、情報(データ)の記録(書き込み)をある記録位置に対して行った後に、当該記録位置に記録された情報を読み出す(再生する)ことにより、情報が正しく記録されているか否かを判定(照合)する処理である。したがって、データコピー等、IT関係の記録を行う場合には欠陥位置取得部126を用いて欠陥位置を特定することが望まれる。なお、一般に、多層光記録媒体103がDVD−RAMやBDである場合には、通常の記録処理において、ベリファイ処理が行われることが多い。
【0037】
欠陥領域推定部128は、欠陥位置特定部122の欠陥判定部125及び欠陥位置取得部126によって特定された第1記録層の欠陥位置に基づいて、第1記録層とは異なる記録層である第2記録層(L0〜Ln情報記録層のいずれか)の欠陥領域を推定する。欠陥領域推定部128は、最適対象層選択部129、他層欠陥位置算出部130、及び他層欠陥領域算出部131を備えている。
【0038】
(最適対象層選択部129について)
最適対象層選択部129は、欠陥領域の推定の対象となる第2記録層を、第1記録層がいずれの記録層であるかに応じて選択する。
【0039】
層数が多く、かつ発見した欠陥が光入射面に対して浅い場合、深く遠い層に影響が及んでいる可能性は低い。しかし、発見した欠陥が光入射面に対して深い場合、浅い層にも影響が及んでいる可能性が高い。
【0040】
ここで、図4を用いて、多層光記録媒体103が4層BDである場合に、データの記録/再生を行うために、入射したレーザー光Zの焦点を、L0情報記録層50、L1情報記録層51、L2情報記録層52、及びL3情報記録層53のいずれかに合わせる場合について説明する。この場合、例えば図4(a)に示すように、L0情報記録層50に焦点を合わせる際には、このL0情報記録層50において、レーザー光Z0のビームスポットSが実質的に最小となるようにフォーカス制御される。この際、多層光記録媒体103(Disc)の光入射面には、ビームスポットSよりも大きな中間ビームスポットS0がレーザー光Z0により形成される。
【0041】
また、図4(b)に示すように、L1情報記録層51に焦点を合わせる際には、このL1情報記録層51において、レーザー光Z1のビームスポットSが実質的に最小となるようにフォーカス制御される。この際、多層光記録媒体103の光入射面には、ビームスポットSよりも大きな中間ビームスポットS1がレーザー光Z1により形成される。
【0042】
また、図4(c)に示すように、L2情報記録層52に対して記録/再生を行う際には、このL2情報記録層52において、レーザー光Z2のビームスポットSが実質的に最小となるようにフォーカス制御される。この際、多層光記録媒体103の光入射面には、ビームスポットSよりも大きな中間ビームスポットS2がレーザー光Z2により形成される。
【0043】
さらに、図4(d)に示されるように、L3情報記録層53に対して記録/再生を行う際には、このL3情報記録層53において、レーザー光Z3のビームスポットSが実質的に最小となるようにフォーカス制御される。この際、多層光記録媒体103の光入射面には、ビームスポットSよりも大きな中間ビームスポットS3がレーザー光Z3により形成される。
【0044】
上記中間ビームスポットS0と同程度の傷等が光入射面に存在する場合、L0情報記録層50に対して記録を行う際、レーザー光Z0が全て遮られる。また、L3情報記録層53に対して記録を行う場合でも、レーザー光Z3が全て遮られる。逆に、中間ビームスポットS3と同程度の傷等が光入射面に存在する場合、L3情報記録層53に対して記録を行う際にはレーザー光Z3が全て遮られるが、L0情報記録層50上に対して記録を行う際にはレーザー光Z0を遮る部分が小さくなり、傷等の影響が小さい。
【0045】
なお、BDにおいては、特許文献1の図12等で示されているように、上下層間の距離が約80μm以上になると、支障のないレベルのエラーレートになるようである。
【0046】
したがって、多層光記録媒体103がBDである場合、欠陥を発見した第1記録層よりレーザー光入射面側の3層、及び当該第1記録層よりレーザー光入射面とは反対側の1層を、最適対象層選択部129が第2記録層として選択するようにすることが考えられる。なお、現在、4層BDの規格が策定中であるが、多層光記録媒体103が4層BDである場合には、欠陥が発見されれば、全ての層を第2記録層として選択するようにする事が考えられる。
【0047】
ただし、第2記録層の選択方法、すなわち、第2記録層の層数や、欠陥を発見した層からいずれの方向の層を第2の記録層として選択するかは、上記の例に限らず、媒体の種類に応じて設定すればよい。例えば、記録層間距離、NA(対物レンズ開口数)、記録層の位置(媒体内での深さ)等を鑑みて設定することが考えられる。
【0048】
(他層欠陥位置算出部130について)
他層欠陥位置算出部130は、欠陥判定部125又は欠陥位置取得部126によって特定された欠陥位置と、最適対象層選択部129により選択した第2記録層がいずれの層であるかと、規格にて定められたアドレスの関係とに基づいて第2記録層の推定欠陥位置のアドレスを算出する。
【0049】
アドレスの関係は、例えば、オポジット方式の2層のDVDにおいては、アドレスXの欠陥位置に対応する推定欠陥位置のアドレスYはY=(Xの2の補数)となる。また、パラレル方式の2層のDVDにおいては、アドレスXの欠陥位置に対応する推定欠陥位置のアドレスYはY=Xとなる。また、オポジット方式のBDでは、各層の層番号を、隣り合う層同士で1ずつ異なる整数の層番号に設定した場合、アドレスXの欠陥位置に対応する推定欠陥位置のアドレスYは、奇数層同士及び偶数層同士ではY=Xに、奇数層と偶数層との間ではY=(Xの2の補数)となる。したがって、媒体の規格に合わせて推定欠陥位置のアドレスを算出する事が可能である。
【0050】
(他層欠陥領域算出部131について)
他層欠陥位置算出部130によって算出されたアドレスは、1セクタの記録位置を示すものであり、第1記録層の欠陥位置と全く同じ物理的な位置を示す可能性は低い。そこで、他層欠陥領域算出部131は、1セクタよりも広い領域(位置群)を第2記録層の欠陥領域として推定する。当該欠陥領域は、他層欠陥位置算出部130において算出されたアドレスによって示される推定欠陥位置を含むように推定される。また、欠陥領域として、例えば、推定欠陥位置を包含する数トラック分の同心円領域又は扇面領域が推定される。以下、欠陥領域の推定方法について説明する。
【0051】
他層欠陥領域算出部131は、他層欠陥位置算出部130によって算出された推定欠陥位置のアドレスと、規格にて定められた最大偏心量の2倍の値とに基づいて第2記録層の欠陥領域(ドーナツ状)を推定(算出)する。詳しくは、推定される欠陥領域は、上記最大偏心量の2倍分のトラック数によって構成され、推定欠陥位置を含むドーナツ状の領域となる。算出の基準を、規格にて定められた最大偏心量の2倍を基にした理由は、規格の最大偏心量は、単一層に対して、媒体の真の中心からの遍芯を規定している為、逆相の最大偏心量が規格値の2倍となるからである。
【0052】
なお、他層欠陥領域算出部131による欠陥領域の推定が、規格にて定められた最大偏心量ではなく、現在記録/再生の対象にしている多層光記録媒体103について実際に測定した絶対偏心量や相対偏心量(物理偏心量)に基づいて行われるようにしてもよい。また、ドーナツ状の領域を欠陥領域として推定していたが、スキュー差を求めることによって扇面状の領域を推定するようにしてもよい。
【0053】
ここで、スキュー差、絶対偏心量、及び相対偏心量の算出方法について説明する。
【0054】
(スキュー差の算出方法)
スキュー差の算出方法には2種類あり、いずれの方法を用いてもよい。
【0055】
第1の方法は、PSN(physical Sector Number:物理セクタナンバー)に基づいて半径位置を求め、求めた半径位置、円周長さ、及びセクター数に基づいてスキュー差(角度差)を求めるものである。
【0056】
まず、あるPSNの位置にて層間ジャンプを行い、アドレスの相関関係を計測する。この時のジャンプ元アドレスをA、ジャンプ先アドレスをA2とする。また、他層欠陥位置算出部130によって算出されたアドレスをAxとする。
アドレスと半径位置との関係は、
PSN:物理セクタナンバー=物理セクタアドレス
R0:PSN=0の位置の半径位置(多層光記録媒体103の中心からの距離)
sl:1セクタ長
tp:トラックピッチ=セクタ幅
半径=rの位置のアドレスをa(PSN)とした場合、
【0057】
【数1】

【0058】
となる。
上記の式を変換し、PSNから半径rを出す式にすると、
【0059】
【数2】

【0060】
となる。
円周長さをLとすると、
【0061】
【数3】

【0062】
となる。
スキュー差をθとした場合、
【0063】
【数4】

【0064】
となる(%は、余りを算出する演算子とする)。
A2の半径r1とAxの半径rxは、r1≒rxとなりうるので、
【0065】
【数5】

【0066】
以上により、スキュー差を求めることが出来る。
【0067】
第2の方法は、ディスクモータFG(Frequency Generator)により、スキュー差を求めるものである。
【0068】
ディスクモータFGは、昨今の光ディスクドライブでは、一般的なCAV(Constant Angular Velocity)制御に利用され、ディスクモータ1回転中に、定められた周波数のパルスを一定周期で発生するものである。
【0069】
まず、あるPSNの位置にて層間ジャンプを行い、アドレスの相関関係を計測する。この時のジャンプ元アドレスをA0、ジャンプ先アドレスをA1とする。また、他層欠陥位置算出部130によって算出されたアドレスをAxとする。
【0070】
層間ジャンプ中、レーザー光の照射位置がアドレスA1の位置からアドレスAxの推定欠陥位置まで移動する間、パルス出力回数をディスクモータFGによって計測する。そして、レーザー光の照射位置がアドレスA1の位置からアドレスAxの推定欠陥位置まで移動する間のパルス出力回数がNxであった場合、
N:ディスクモータ1回転中のパルス出力回数
とすると、
【0071】
【数6】

【0072】
となる(%は、余りを算出する演算子とする)。
以上により、スキュー差を求めることが出来る。
ちなみに、アドレスAyの推定欠陥位置を含むトラックでのセクター数差Syをスキュー差で表すと、
【0073】
【数7】

【0074】
となり、さらに(数2)、(数3)の式により、
【0075】
【数8】

【0076】
となる。
【0077】
上記(数7)において、Lyは、アドレスAyの推定欠陥位置を含むトラック1周分のセクタ数である。
【0078】
以上、A0をレイアー0、A1をレイアー1、Ax>A1と想定して説明したが、多層Discおよび偏心の位相関係によって、レイアー1からレイアー2へ相関ジャンプを行うことや、A1>Axである場合もある。これらの場合、上記式を適宜補正して用いることにより、スキュー差を求めることができる。
【0079】
(絶対偏心量の算出方法)
図5は、偏心を持つ記録層のトラック1011、1012、1013を模式的に同心円上に示す説明図である。1010はトラック1011、1012、1013の中心である。1002は、偏心により1000が回転の中心となっている場合にトラッキング制御を行わずに多層光記録媒体103を一周させたときのレーザー光の軌跡である。図6は、このときのレーザー光の照射位置と中心1010との距離を示すグラフである。
【0080】
各層の絶対偏心量d(偏心本数)は、1周分のトラッククロス数の1/2であるので、1周分のトラッククロス数を求めることによって算出できる。
【0081】
(相対偏心量の算出方法)
相対偏心量の算出方法には2種類あり、いずれの方法を用いてもよい。
【0082】
1つは、特願2006−224066に「詳細な手順の第一の例」として示される方法であり、ある層から相対偏心量計測対象記録層に対して、層間ジャンプを複数回繰り返し、ジャンプ先のアドレスに基づいて、前記(数2)の式を利用し、ずれ量d、すなわち相対偏心量を算出するものである。
【0083】
ある層の同心円状のジャンプ元アドレスをA01〜A0nとし、ジャンプ先のアドレスをA11〜A1nとした場合、その各アドレスに対応する位置と記録層の中心との距離(半径)をr01〜r0n,r11〜r1nとすると、A01〜A0nに対応する位置が同一トラック上となるため、r01=r0m (m=2…n)となる。
よって、
【0084】
【数9】

【0085】
【数10】

【0086】
となる。
特願2006−224066の説明により、
【0087】
【数11】

【0088】
として算出できる。詳細は、特願2006−224066の詳細な手順の第一の例を参照されたい。
【0089】
もう1つは、特願2006−224066に「詳細な手順の第二の例」として示される方法であり、ある層と相対偏心量計測対象記録層のトラッキングエラー量、又はトラッキング駆動量をサンプリングし、そのサンプルタイミングに基づいてずれ量dを算出するものである。
【0090】
トラッキングエラー量(te)又はトラッキング駆動量(tkd)を多層光記録媒体103の1周分サンプリングする機構は、サーボのディジタル制御を行うシステムに備わっている。
また、teとトラック本数との比、及びtkdとトラック本数との比は、ドライブシステムの構成によって定数として定まる。
【0091】
ここで、ある層の最大トラッキングエラー量をte0、最大トラッキング駆動量をtkd0、その時のサンプルタイミングをt0とする。また、相対偏心量計測対象記録層の最大トラッキングエラー量をte1、トラッキング駆動量をtkd1、その時のサンプルタイミングをt1とする。そして、多層光記録媒体103の1周のサンプル数をS、トラック1本あたりのte値をTEN、トラック1本あたりのtkd値をTKDNとした場合、特願2006−224066の説明から、
【0092】
【数12】

【0093】
と算出できる。詳細は、特願2006−224066の詳細な手順の第二の例を参照されたい。
【0094】
なお、スキュー差、偏心量を算出するための様々な数値の測定は、外周部において低倍速で行うことが望ましい。計測のために層間ジャンプを行うことや測定精度を考慮すると、外周部において低倍速で測定することが、各数値の時間的要因による測定誤差の影響度合いを緩和すると考えられるからである。
【0095】
他層欠陥領域算出部131は、上記のように算出したスキュー差、絶対偏心量、及び相対偏心量のうちの少なくとも1つを用いて、以下のように欠陥領域を推定できる。
【0096】
例えば、各記録層の絶対偏心量が前もって測定され、他層欠陥領域算出部131が、他層欠陥位置算出部130によって算出された推定欠陥位置のアドレスと、各記録層の絶対偏心量のうちで最も大きいもの、及び2番目に大きいものとに基づいて、第2記録層の欠陥領域(ドーナツ状)を推定するようにしてもよい。例えば、上記最も大きい絶対偏心量と2番目に大きい絶対偏心量との和に相当するトラック数によって構成され、推定欠陥位置を含むドーナツ状の領域を、欠陥領域として推定してもよい。
【0097】
また、各記録層の絶対偏心量が前もって測定され、他層欠陥領域算出部131が、他層欠陥位置算出部130によって算出された推定欠陥位置のアドレスと、第1記録層の絶対偏心量と第2記録層の絶対偏心量との和に基づいて、第2記録層の欠陥領域(ドーナツ状)を推定するようにしてもよい。例えば、第1記録層の絶対偏心量と第2記録層の絶対偏心量との和に相当するトラック数によって構成され、推定欠陥位置を含むドーナツ状の領域を欠陥領域として推定してもよい。
【0098】
また、第1記録層に対する第2記録層の相対偏心量を前もって測定しておき、他層欠陥領域算出部131が、他層欠陥位置算出部130によって算出された推定欠陥位置のアドレスと、第1記録層に対する第2記録層の相対偏心量とに基づいて、第2記録層の欠陥領域(ドーナツ状)を推定するようにしてもよい。例えば、第1記録層に対する第2記録層の相対偏心量の2倍に相当するトラック数によって構成され、推定欠陥位置を含むドーナツ状の領域を、欠陥領域として推定してもよい。この推定方法は、相対偏心量を基準としているため、規格で定められた偏心量や絶対偏心量を基準とする場合に比べ、層同士の関係を算出結果によりよく反映させることができ、必要最小限の欠陥領域(ドーナツ状)を推定することができる。
【0099】
また、前記スキュー差の算出方法によって各層間のスキュー差を前もって算出しておき、他層欠陥位置算出部130にて算出されたアドレスに対応する第2記録層の推定欠陥位置に対して、上記(数7)で算出したセクター数分の補正を行うことにより、欠陥領域の基点を、欠陥判定部125によって特定した欠陥位置が位置する放射線(多層光記録媒体103の中心から延びる放射線)により近い位置とすることができる。これにより、基点を中心とした扇面状の第2記録層の欠陥領域を算出する事が可能となる。例えば、他層欠陥位置算出部130にて算出されたアドレスに対して、上記(数7)で算出したセクター数分の補正を行い、補正後のアドレスによって示される位置をトラックの半径方向及び周方向の中心とする扇面状の領域を欠陥領域として推定するようにしてもよい。
【0100】
図7は、ドーナツ状の欠陥領域を示す説明図である。2000は、他層欠陥位置算出部130で算出されるアドレスにより示される推定欠陥位置であり、2001は、他層欠陥領域算出部131によって推定されるドーナツ状の欠陥領域である。同図では、推定欠陥位置は、欠陥領域の放射線方向の真中にあるが、トラッキング移動方向やシステムの性質等に応じて、推定欠陥位置から欠陥領域の外側縁までの距離と推定欠陥位置から欠陥領域の内側縁までの距離との比率が決定されるようにしてもよい。
【0101】
図8は、扇面状の欠陥領域を示す説明図であり、2000は、他層欠陥位置算出部130で算出されるアドレスにより示される推定欠陥位置であり、欠陥領域の基点となる。2002は、他層欠陥領域算出部131によって推定される扇面状の欠陥領域である。
【0102】
記録未記録管理部132は、多層光記録媒体103全体の各記録位置が既記録位置と未記録位置のいずれであるかを示す記録未記録情報を取得し、記憶する。記録未記録管理部132は、R系媒体の記録未記録情報を取得し、記憶する。R系媒体に対して記録を行う場合、既記録位置に再度記録(上書き記録)を行えないため、いずれの記録位置が既記録位置であるかを把握する必要がある。BD−Rに対してRandom Recording Mode(RRM)で記録を行う場合、記録未記録情報は、SBM(Space Bit Map)として、Lead−In及びLead−OutのINFO(Information領域)に記録される。また、Sequential Recording Mode(SRM)では、SBMは記録されないが、LRA(Last Recorded user data Address)探索により、記録/未記録を判別できるようになっている。一方、RW系媒体には記録未記録情報が記録されていない。RW系媒体に対して記録を行う場合、既記録位置に再度記録(上書き記録)を行えるため記録/未記録を判別する必要がないためである。したがって、記録未記録管理部132は、RW系媒体に対して記録を行う場合には記録未記録情報を取得しない。
【0103】
欠陥位置管理部133は、欠陥リスト登録部(推定欠陥位置情報記憶部)134、R系欠陥領域情報再構成部135、RW系欠陥領域情報再構成部136、要評価位置有無判定部137、及び再評価開始タイミング発生部138を備えている。
【0104】
欠陥リスト登録部134は、欠陥リストを記憶しており、欠陥領域推定部128によって推定された第2記録層の欠陥領域に含まれる各記録位置を、評価が必要な要評価欠陥位置として前記欠陥リストに登録する。欠陥リストへの登録は、多層光記録媒体103の種類に応じた欠陥リスト(DFL:Defect List)規格に合ったDFLエントリーの形式で行う。例えば、多層光記録媒体103がBDである場合、欠陥領域推定部128によって推定された第2記録層の欠陥領域に含まれる記録位置のアドレスを、DL Entory.Status1の値(b0100)と対応付けて登録する。これにより、欠陥リストにおいて、欠陥領域推定部128によって推定された第2記録層の欠陥領域に含まれる記録位置が、評価が必要な要評価欠陥位置(タイプ(type):PBA)として示される。
【0105】
ただし、欠陥領域推定部128によって推定された欠陥領域が扇面状である場合には、当該欠陥領域に含まれる記録位置のアドレスを、DL Entory.Status1の値(b0100)と対応付けて登録すると、欠陥リストの情報量が増える。そこで、現状の規格では不可能であると考えられるが、起点PSN、連続セクター数、及びトラック本数を、記録位置のタイプを要評価欠陥位置に特定する情報と対応付けて欠陥リストに登録すると、起点PSN、連続セクター数、及びトラック本数によって示される欠陥領域全体が要評価欠陥位置であるとみなされるようにしてもよい。図9において、2005が起点、2006が連続セクター数、2007がトラック本数である。
【0106】
R系欠陥領域情報再構成部135は、前記欠陥リストにおいて要評価欠陥位置(タイプ:PBA)として示された各記録位置について、既記録位置と未記録位置のいずれであるかを判定する。この判定は、記録未記録管理部132によって取得されている多層光記録媒体103全体の記録未記録情報に基づいて、多層光記録媒体103がR系媒体である場合にのみ行われる。そして、R系欠陥領域情報再構成部135は、要評価欠陥位置として示された記録位置が既記録位置である場合には、当該記録位置を欠陥リストから削除し、非欠陥位置とする。これは、要評価欠陥位置として登録された既記録位置が、その後の評価によって交替位置を割り当てた評価不要欠陥位置にされたとしても、当該既記録位置に記録された情報を正しく取り出して交替位置に記録できる可能性が低いからである。
【0107】
また、R系欠陥領域情報再構成部135が、さらに、前記欠陥リストにおいて要評価欠陥位置として示された各記録位置について、当該記録位置が未記録位置である場合に、当該記録位置を、評価が必要な要評価欠陥位置ではなく、交替位置を割り当てていない評価不要欠陥位置として登録し直すようにしてもよい。例えば、多層光記録媒体103がBDである場合、当該記録位置のアドレスを、DL Entory.Status1の値(b0001)及びDL Entory.Status2の値(b0000)と対応付けて登録することにより、交替位置を割り当てていない評価不要欠陥位置(タイプ:NRD)として当該記録位置が示されるようにしてもよい。また、要評価欠陥位置として示された複数の連続する記録位置のうちの始端又は終端のアドレスを、交替位置を割り当てて、DL Entory.Status1の値(b0000)及びDL Entory.Status2の値(b0001)又は(b0010)と対応付けて登録することにより、当該複数の記録位置が評価不要欠陥位置(タイプ:CRD)として示されるようにしてもよい。
【0108】
RW系欠陥領域情報再構成部136は、後述する再生確認位置決定部139に再生確認位置の決定を指示する。再生確認位置決定部139が再生確認位置を決定すると、後述する再生確認処理部140が、決定された再生確認位置に対して再生確認処理を行う。再生確認処理は、再生を行うことにより記録位置における記録品質が所定の基準よりも良好であるか否かを確認し、当該記録品質が上記所定の基準よりも良好であるか否かを示す再生確認情報を生成する処理である。例えば、再生した情報に対してECCエラー訂正が行われる場合、エラー訂正が成功した場合には、記録品質が所定の基準よりも良好であることを示す再生確認情報を生成する一方、エラー訂正が失敗した場合には、記録品質が所定の基準よりも良好でないことを示す再生確認情報を生成するようにする。そして、RW系欠陥領域情報再構成部136は、再生確認処理部140によって生成された再生確認情報に基づいて、欠陥リストを再構成する。詳しくは、RW系欠陥領域情報再構成部136は、再生確認位置決定部139によって決定された再生確認位置に含まれる既記録位置について、記録品質が所定の基準よりも良好でないと前記再生確認情報によって示されており(ベリファイNGであり)、かつ当該既記録位置の情報が再生可能(再生OK)である場合には、要評価欠陥位置の再利用防止及び情報保全の目的で、当該既記録位置に記録された情報を交替位置にコピーするよう、後述する交替複写記録部141に指示する。そして、当該再生確認位置のアドレスを、交替位置のアドレスと対応付けて欠陥位置として欠陥リストに登録し直す。一方、記録品質が所定の基準よりも良好でないと前記再生確認情報によって示されており、かつ当該既記録位置の情報が再生不可能(再生NG)である場合には、当該既記録位置を非欠陥位置とする。これにより、当該既記録位置の情報が誤った情報として交替位置に記録されることにより記録情報が完全に抹消してしまうことが防止され、当該既記録位置が正しく再生できる状態にDiscクリーニングによって復帰し、再生可能となる可能性を残す。
【0109】
例えば、多層光記録媒体103がBD−REである場合、RW系欠陥領域情報再構成部136は、記録未記録情報、及び再生確認情報に基づいて、再生確認処理を行った記録位置のアドレスを、DL Entory.Status1の値(b0000)又は(b1000)と対応付けて登録することにより、交替位置を割り当てた評価不要欠陥位置(タイプ:RAD)として当該記録位置が示されるようにする。あるいは、再生確認処理を行った記録位置のアドレスを、DL Entory.Status1の値(b0001)と対応付けて登録することにより、交替位置を割り当てていない評価不要欠陥位置(タイプ:NRD)として当該記録位置が示されるようにする。
【0110】
要評価位置有無判定部137は、多層光記録媒体103が情報記録装置100に挿入されてLead−In情報が読み込まれた時に、読み込まれたLead−In情報によって示される欠陥リストに要評価欠陥位置が含まれているか否かを判定する。具体的には、欠陥リストに要評価欠陥位置が含まれているか否かの判定は、PBAとして登録されているアドレスが存在するか否かを判定することによって行う。なお、当該判定は、読み込まれたLead−Out情報によって示される欠陥リストに対して行われるようにしてもよい。また、規格によって決められた所定の欠陥リスト情報が全て読み出され、当該判定が、信頼性判定の上確定した欠陥リストに対して行われるようにしてもよい。
【0111】
また、欠陥リストに要評価欠陥位置が含まれているか否かの判定が、ドーナツ状又は扇面状に連続する欠陥位置が登録されているか否かや、ドーナツ状又は扇面状に連続する欠陥位置が複数の記録層に亘って登録されているか否かを判定することによって行われるようにしてもよい。
【0112】
RW系欠陥領域情報再構成部136が十分に動作しないうちに、多層光記録媒体103の排出要求を受けた場合、欠陥領域として推定された要評価欠陥位置が評価されていない状態で、多層光記録媒体103のLead−In領域及びLead−Out領域の規格によって定められた所定の位置に欠陥リストが記録される。そしてその後、多層光記録媒体103が排出される。この様に排出された多層光記録媒体103が再挿入された場合には、要評価位置有無判定部137が、欠陥リストに要評価欠陥位置が含まれていると判定する。
【0113】
再評価開始タイミング発生部138は、要評価位置有無判定部137によって欠陥リストに要評価欠陥位置が含まれていると判定された場合に、情報記録装置100の状況に応じたタイミングで、RW系欠陥領域情報再構成部136の起動トリガ(動作トリガ)、又は後述するタイミング制御部142の起動トリガ(動作トリガ)を発生させる。これにより、RW系欠陥領域情報再構成部136、又は後述するタイミング制御部142が起動する。多層光記録媒体103より読み込んだ欠陥リストは、できるだけ早くRW系欠陥領域情報再構成部136で再評価を行うことが望ましいが、再生/記録要求を受けている状況等、情報記録装置100の状況によっては、RW系欠陥領域情報再構成部136を遅れて起動させることが望まれる場合もある。再評価開始タイミング発生部138は、遅延起動するか否かを判断し、判断結果に応じて起動トリガを発生する。
【0114】
再生確認位置決定部139は、欠陥リスト登録部134によって記憶されている欠陥リストにおいて要評価欠陥位置として示された記録位置を、再生確認処理を行う再生確認位置として決定する。この再生確認位置の決定は、RW系欠陥領域情報再構成部136による再生確認処理の指示に応じて行われる。また、再生確認位置決定部139は、決定した再生確認位置に含まれる未記録位置を、再生確認前にサーティファイ記録を行うべき位置として特定する。未記録位置の特定は、通常、情報記録装置100に備えられている記録済箇所検索機能(ライトチェック機能)を利用して行う。また、再生確認位置決定部139は、上記再生確認位置の決定、及び未記録位置の特定を、多層光記録媒体103がRW系媒体である場合にのみ行う。
【0115】
再生確認処理部140は、再生確認位置決定部139によって決定された再生確認位置に含まれる未記録位置に対しては、サーティファイ記録(検査用データ記録)及び再生確認処理を実施する。また、決定した再生確認位置に含まれる既記録位置に対しては、記録済み情報を利用した再生確認処理を実施する。そして、これらの再生確認処理により、要評価欠陥位置を評価するための元情報となる再生確認情報を生成する。この再生確認情報は、記録品質が所定の基準よりも良好であるか否かを示す情報である。
【0116】
交替複写記録部141は、再生確認位置決定部139によって決定された再生確認位置に含まれる既記録位置について、記録品質が所定の基準よりも良好でないと再生確認処理部140によって生成された再生確認情報によって示されており、かつ当該既記録位置の情報が再生可能である場合に、当該既記録位置に記録された情報を交替位置に複写記録する。この複写記録は、RW系欠陥領域情報再構成部136による指示に応じて行われる。
【0117】
タイミング制御部142は、再評価開始タイミング発生部138が発生させた起動トリガに応じて起動する。起動後は、HOST101又はB/E102による記録要求及び再生要求が一定期間ないことをタイマー動作によって検出することにより、RW系欠陥領域情報再構成部136の起動タイミングを決定する。そして、記録要求及び再生要求が一定期間ないことを検出した場合には、起動信号を出力することによりRW系欠陥領域情報再構成部136を起動させる。
【0118】
情報記録制御部143は、所定の要求位置への情報の記録要求がある場合に、当該要求位置に情報を記録するか、又は代わりの位置に情報を記録するかを前記欠陥リストに基づいて判断し、判断結果に応じて記録制御を行う。また、要求位置が、評価の必要な要評価欠陥位置であり代わりの位置に情報を記録する場合には、要評価欠陥位置である当該要求位置を、情報を記録した代わりの位置を交替位置として割り当てた評価不要欠陥位置として欠陥リストに登録し直す。
【0119】
欠陥リスト記録部144は、欠陥リスト登録部134によって記憶された欠陥リストが多層光記録媒体103のLead−In領域及びLead−Out領域の規格によって定められた所定の位置に記録されるように光ピックアップ110を制御する。例えば、多層光記録媒体103がBD−REである場合には、Lead−In領域及びLead−Out領域のDMA(Defect Management Area)に欠陥リストが記録され、多層光記録媒体103がBD−Rである場合には、Lead−In領域及びLead−Out領域のTDMA(Temporary Defect Management Area)に欠陥リストが繰り返して記録される。
【0120】
ここで、本実施形態の情報記録装置100による動作を説明する。
【0121】
まず、多層光記録媒体103が情報記録装置100に挿入されると、情報記録装置100は、多層光記録媒体103のLead−In領域及びLead−Out領域の規格によって定められた所定の位置に記録された欠陥リストを読み出す。読み出された欠陥リストは、欠陥リスト登録部134によって記憶される。そして、要評価位置有無判定部137が、記憶された欠陥リスト、すなわち、読み出された欠陥リストに、要評価欠陥位置が含まれているか否かを判定する。そして、要評価位置有無判定部137によって要評価欠陥位置が含まれていると判定され、かつ再評価を開始できない所定の事情がない場合には、後述するRW系欠陥リスト再構成処理(図11の(S2001)〜(S2003))が実行される。再評価を開始できない所定の事情とは、再生/記録要求の発生等である。
【0122】
また、多層光記録媒体103の情報記録装置100外部への取り出し要求があった場合、多層光記録媒体103が外部へ取り出される前に、情報記録装置100が、欠陥リスト記録部144による光ピックアップの制御によって、欠陥リスト登録部134により記憶されている欠陥リストを、多層光記録媒体103のLead−In領域及びLead−Out領域の規格によって定められた所定の位置に繰り返して記録する。
【0123】
多層光記録媒体103から読み出された欠陥リストが欠陥リスト登録部134によって記憶された後にHOST101又はB/E102からの記録要求があると、情報記録装置100が記録動作を開始する。このとき、情報記録制御部143は、要求位置に情報を記録するか、又は代わりの位置に情報を記録するかを、欠陥リスト登録部134によって記憶された欠陥リストに基づいて判断する。そして、この判断結果に応じた位置に情報の記録が行われる。ここで、記録中に制御エラー検出部124によってエラーが検出された場合、欠陥判定部125が、制御エラー検出部124によってエラー信号が出力されたタイミングと、記録位置管理部123によって取得された記録位置情報とに基づいて、エラーとなっているセクタの第1記録層における欠陥位置を特定する。また、ベリファイ処理を行いながら記録を行っている場合に、ベリファイ処理によって情報が正しく記録されていないと判定された場合には、欠陥位置取得部126が、情報が正しく記録されていないと判定された記録位置を欠陥位置として特定する。欠陥判定部125又は欠陥位置取得部126によって欠陥位置が特定された場合には、図10に示すような処理が行われる。
【0124】
(S1001)最適対象層選択部129が、第2記録層を、第1記録層がいずれの記録層であるかに応じて選択する。
【0125】
(S1002)他層欠陥位置算出部130が、欠陥判定部125又は欠陥位置取得部126によって特定された欠陥位置と、(S1001)において選択された第2記録層がいずれの層であるかと、規格にて定められたアドレスの関係とに基づいて第2記録層の推定欠陥位置のアドレスを算出する。
【0126】
(S1003)他層欠陥領域算出部131が、他層欠陥位置算出部130において算出されたアドレスによって示される推定欠陥位置を含む領域を、第2記録層の欠陥領域として推定する。詳細な推定方法は上述した通りである。
【0127】
(S1004)欠陥リスト登録部134が、(S1003)において推定された欠陥領域に含まれる記録位置を、評価が必要な要評価欠陥位置として、記憶している欠陥リストに追加登録する。つまり、欠陥リスト登録部134は、(S1003)において推定された欠陥領域に含まれる記録位置を要評価欠陥位置として示す情報(要評価位置情報)を、前から記憶している欠陥リストと一体にしてアドレス順に整列させた欠陥リスト(統合欠陥リスト)の形で記憶する。
【0128】
(S1005)多層光記録媒体103がR系媒体である場合には(S1006)の処理に進み、多層光記録媒体103がR系媒体でない場合には図10での処理を終了する。
【0129】
(S1006)R系欠陥領域情報再構成部135が、欠陥リスト登録部134によって記憶されている欠陥リストに要評価欠陥位置として示されている記録位置が、既記録位置である場合には、当該記録位置を欠陥リストから削除する。
【0130】
この時点で、例えば、多層光記録媒体103がBDである場合に、HOST101及びB/E102より再生要求が有った場合、要評価欠陥位置(タイプ(type):PBA)として示された領域については、非欠陥位置と同様に再生を行えば、支障なく既記録情報を再生できる。交替位置の再生等が必要となっている既記録位置は、本来PBAとして登録されていないためである。
【0131】
またこの時点で、HOST101及びB/E102より所定の要求位置への記録要求が有った場合、PBAの領域へは、記録要求の状況に合わせて、スリップ記録又は交替記録を行い、スリップ記録及び交替記録のいずれを行ったかに応じて、前記要求位置がRAD、CRD又はNRDとして示されるように欠陥リストを書き換える。要求位置のアドレスを、DL Entory.Status1,2の値(b0000)、(b0000)と対応付けて登録することにより、前記要求位置をRADとして示すことができる。また、要求位置のアドレスを、DL Entory.Status1,2の値(b0000)、(b0001)又は(b0010)と対応付けて登録することにより、前記要求位置をCRDとして示すことができる。また、要求位置のアドレスを、DL Entory.Status1,2の値(b0001)、(b0000)と対応付けて登録することにより、前記要求位置をNRDとして示すことができる。BD以外の媒体の場合には、同様の考え方で規格に応じた処理が行われるようにすればよい。
【0132】
多層光記録媒体103がRW系である場合、(S1001)〜(S1006)の処理が終了した時点で、欠陥リスト登録部134によって記憶された欠陥リストには、実質的に欠陥では無い位置や、記録情報の存在する既記録位置が、要評価欠陥位置として登録されている可能性がある。そこで、記録領域の効率化を目的としてより適当な欠陥リストを生成するために、本実施形態の情報記録装置100では、図11に示すようなRW系欠陥リスト再構成処理が行われる。この処理は、HOST101又はB/E102による記録要求が一定期間ないことをタイミング制御部142がタイマー動作によって検出した場合に実行される。
【0133】
(S2001)RW系欠陥領域情報再構成部136が、再生確認位置決定部139に再生確認位置の決定を指示する。そして、この指示に応じて、再生確認位置決定部139が、欠陥リスト登録部134によって記憶されている欠陥リストにおいて要評価欠陥位置として示された記録位置を、再生確認位置として決定する。
【0134】
(S2002)再生確認処理部140が、(S2001)において決定された再生確認位置について再生確認処理を行い、記録品質が所定の基準よりも良好であるか否かを示す再生確認情報を生成する。
【0135】
(S2003)RW系欠陥領域情報再構成部136が、(S2002)において生成された再生確認情報に基づいて、欠陥リスト登録部134によって記憶されている欠陥リストを再構成する。詳しくは、再生確認位置に含まれる既記録位置について、記録品質が所定の基準よりも良好でないと再生確認情報によって示されており、かつ当該既記録位置の情報が再生可能である場合には、当該既記録位置に記録された情報を交替位置にコピーするよう、交替複写記録部141に指示する。そして、当該再生確認位置のアドレスを、交替位置のアドレスと対応付けて評価不要欠陥位置として欠陥リストに登録し直す。一方、記録品質が所定の基準よりも良好でないと再生確認情報によって示されており、かつ当該既記録位置の情報が再生不可能である場合には、当該既記録位置を非欠陥位置とする。交替複写記録部141は、RW系欠陥領域情報再構成部136によって指示された場合には、既記録位置に記録された情報を交替位置に複写記録する。
【0136】
したがって、本実施形態によると、第1記録層の欠陥位置に基づいて推定した第2記録層の欠陥領域を回避して情報を記録できる。したがって、第2記録層に記録した情報の信頼性を向上させることができる。また、記録のやり直しが行われにくくなるので、記録にかかる時間を短縮できる。
【0137】
また、第2記録層の欠陥領域に含まれる各記録位置を要評価欠陥位置として示す推定欠陥位置情報が、多層光記録媒体103の規格に応じた欠陥リストのデータ形式で、多層光記録媒体103に記録される。したがって、多層光記録媒体103を情報記録装置100から一旦取り出して再度挿入した場合や、多層光記録媒体103を別の情報記録装置に挿入した場合においても、多層光記録媒体103に記録された推定欠陥位置情報を読み取ることによって、当該推定欠陥位置情報に示される記録位置を回避して情報を記録できる。したがって、正常に記録を行えない領域に情報の記録が行われることを防止でき、記録される情報の信頼性を高めることができる。
【0138】
また、欠陥リスト登録部134が、上記推定欠陥位置情報を、規格で定められた欠陥リストとして記憶するので、従来の欠陥リストの使用方法によって活用することができる。
【0139】
また、欠陥領域推定部128によって推定された第2記録層の欠陥領域に含まれる記録位置が、RW系欠陥領域情報再構成部136等によって再評価されることにより、欠陥リストがより適当なデータに再構成される。これにより、記録容量の効率的な利用が可能になる。また、要評価欠陥位置が既記録位置であった場合、当該既記録位置の情報を安全な領域に移動させる(記録する)ことにより、欠陥位置の再利用を前もって抑制できる。
【0140】
また、多層光記録媒体103の外部への取り出し要求があった場合に、欠陥リスト登録部134によって記憶されている欠陥リストが多層光記録媒体103に書き出されるので、それまでに取得した推定欠陥位置情報を無駄にすることなく再利用できる。また、欠陥リストに、RW系欠陥領域情報再構成部136による評価が行われていない要評価記録位置が残っていても、多層光記録媒体103が情報記録装置100に次に挿入された際に、評価を行うことができる。
【0141】
さらに、多層光記録媒体103の再投入時に、読み出された欠陥リストに対して、要評価位置有無判定部137が要評価欠陥位置の有無の判定を行い、要評価欠陥位置に対して評価が行われる。そしてこの評価結果に応じて欠陥リストがより適当なデータに再構成される。これにより、記録容量の効率的な利用が可能になる。例えば、要評価欠陥位置が既記録位置であった場合、当該既記録位置の情報を安全な領域に移動させる(記録する)ことにより、欠陥位置の再利用を前もって抑制できる。
【0142】
《実施形態2》
本発明の実施形態2に係る情報記録装置100は、実施形態1の多層光記録制御機構120に代えて、図12に示す多層光記録制御機構220を備えている。同図に示すように、多層光記録制御機構220は、実施形態1の欠陥領域推定部128に代えて、欠陥領域推定部228を備えている。この欠陥領域推定部228は、実施形態1の欠陥領域推定部128の他層欠陥位置算出部130に代えて、ジャンプ位置取得部230を備えている。その他の構成は実施形態1と同じであるので、その詳細な説明を省略する。
【0143】
ジャンプ位置取得部230は、欠陥判定部125又は欠陥位置取得部126によって特定された第1記録層の欠陥位置から、最適対象層選択部129によって選択された第2記録層にレーザー光の照射位置がジャンプするように光ピックアップ110を制御する。そして、ジャンプ後(先)の前記レーザー光の照射位置を推定欠陥位置として特定し、特定した照射位置のアドレスを算出する。この算出されたアドレスが、実施形態1で他層欠陥位置算出部130によって算出されたアドレスと同様に用いられる。
【0144】
本実施形態によると、実施形態1と同様の効果が得ることができる。また、レイアジャンプにより、レーザー光の照射位置を、第1記録層の欠陥位置と同じトラック又は近いトラックに移動させることができる。したがって、演算により推定欠陥位置を特定する実施形態1に比べ、光学機構113の一部を実際に移動させる本実施形態では、推定欠陥位置の特定に時間がかかるというデメリットはあるが、実際の記録対象である多層光記録媒体103により即した確実な値を、推定欠陥位置のアドレスとして取得できる。つまり、第1記録層の欠陥位置と物理的により近い位置を推定欠陥位置として特定できる。したがって、欠陥領域推定部128によって推定される第2記録層の欠陥領域が、本当に欠陥のある位置を含む確率が高くなると考えられる。
【0145】
《実施形態3》
本発明の実施形態3に係る情報記録装置100は、実施形態1の多層光記録制御機構120に代えて、図13に示す多層光記録制御機構320を備えている。同図に示すように、多層光記録制御機構320は、欠陥位置管理部133に代えて欠陥位置管理部333を備え、情報記録制御部143に代えて情報記録制御部343を備え、再生確認位置決定部139に代えて再生確認位置決定部339を備えている。欠陥位置管理部333は、推定欠陥位置情報記憶部334、R系欠陥領域情報再構成部335、RW系欠陥領域情報再構成部336、要評価位置有無判定部337、再評価開始タイミング発生部138、及び欠陥リスト統合部345を備えている。その他の構成は実施形態1と同じであるので、その詳細な説明を省略する。
【0146】
推定欠陥位置情報記憶部334は、多層光記録媒体103から読み出された欠陥リストを記憶しているとともに、欠陥領域推定部128によって推定された第2記録層の欠陥領域に含まれる各記録位置を要評価欠陥位置として示す推定欠陥位置情報を上記欠陥リストとは別に記憶する。つまり、推定欠陥位置情報を、後述する統合欠陥リストを構成していない状態で記憶する。
【0147】
R系欠陥領域情報再構成部335は、欠陥リストではなく、推定欠陥位置情報記憶部334において記憶された推定欠陥位置情報に対して、既記録位置の削除を行う。
【0148】
RW系欠陥領域情報再構成部336も、欠陥リストではなく、推定欠陥位置情報記憶部334において記憶された推定欠陥位置情報の再構成を行う。したがって、再生確認位置決定部339は、推定欠陥位置情報記憶部334において記憶された推定欠陥位置情報において要評価欠陥位置として示された記録位置を、再生確認処理を行う再生確認位置として決定する。
【0149】
要評価位置有無判定部337は、実施形態1の要評価位置有無判定部137と同様に、多層光記録媒体103から読み出した欠陥リストに要評価欠陥位置が含まれているか否かを判定する。また、要評価位置有無判定部337は、さらに、当該読み出した欠陥リストに含まれる要評価欠陥位置を抽出し、推定欠陥位置情報記憶部334によって欠陥リストとは別に記憶された推定欠陥位置情報に要評価欠陥位置として追加する。
【0150】
また、情報記録制御部343は、所定の要求位置への情報の記録要求がある場合に、当該要求位置に情報を記録するか、又は代わりの位置に情報を記録するかを、前記欠陥リストではなく、推定欠陥位置情報記憶部334において記憶された欠陥リスト及び推定欠陥位置情報をマージ(merge)した情報に基づいて判断する。
【0151】
また、欠陥リスト統合部345は、統合欠陥リストを生成する。この統合欠陥リストは、推定欠陥位置情報記憶部334において記憶された前記推定欠陥位置情報を、推定欠陥位置情報記憶部334において記憶された欠陥リストと一体にしてアドレス順に整列させたリストであり、多層光記録媒体103の規格に応じたデータ形式のものである。この統合欠陥リストの生成処理は、多層光記録媒体103の情報記録装置100外部への取り出し要求があり、かつ推定欠陥位置情報記憶部334によって推定欠陥位置情報が欠陥リストとは別に記憶されている場合に行われる。
【0152】
そして、欠陥リスト統合部345によって統合欠陥リストが生成されると、情報記録装置100は、欠陥リスト記録部144による光ピックアップの制御によって、生成した統合欠陥リストを、多層光記録媒体103のLead−In領域及びLead−Out領域の規格によって定められた所定の位置に繰り返して記録する。
【0153】
したがって、本実施形態によると、実施形態1と同様に、記録される情報の信頼性を高めることができる。
【0154】
また、上記推定欠陥位置情報が、規格で定められた統合欠陥リストとして、推定欠陥位置情報記憶部334において記憶された欠陥リストと一体となって多層光記録媒体103に記憶されるので、従来の欠陥リストの使用方法によって活用することができる。
【0155】
また、欠陥領域推定部128によって推定された第2記録層の欠陥領域に含まれる記録位置が、RW系欠陥領域情報再構成部336等によって再評価されることにより、推定欠陥位置情報がより適当なデータに再構成される。これにより、記録容量の効率的な利用が可能になる。また、要評価欠陥位置が既記録位置であった場合、当該既記録位置の情報を安全な領域に移動させる(記録する)ことにより、欠陥位置の再利用を前もって抑制できる。
【0156】
また、多層光記録媒体103の外部への取り出し要求があった場合に、推定欠陥位置情報記憶部334によって記憶されている推定欠陥位置情報が多層光記録媒体103に書き出されるので、取得した推定欠陥位置情報を無駄にすることなく再利用できる。
【0157】
さらに、多層光記録媒体103の再投入時に、読み出された欠陥リストに対して、要評価位置有無判定部337が要評価欠陥位置の有無の判定を行い、欠陥リストに含まれていた要評価欠陥位置が、推定欠陥位置情報に追加される。そして、当該推定欠陥位置情報に対して評価が行われ、この評価結果に応じて推定欠陥位置情報がより適当なデータに再構成される。これにより、記録容量の効率的な利用が可能になる。例えば、要評価欠陥位置が既記録位置であった場合、当該既記録位置の情報を安全な領域に移動させる(記録する)ことにより、欠陥位置の再利用を前もって抑制できる。
【0158】
また、R系欠陥領域情報再構成部335による既記録位置の削除、及び再生確認位置決定部339による再生確認位置の決定が、欠陥リストとは別に記憶された推定欠陥位置情報に対して行われる。したがって、これらの処理を、実施形態1、2のように欠陥リスト全体に対して行う場合よりも、容易に行うことができる。
【0159】
なお、上記実施形態1〜3の情報処理装置の機能の一部は、ソフトウェアを用いて実現することができる。従来、情報処理装置に用いられるソフトウェアは、ソフトウェアダウンロード、及びCD−ROM等の記録媒体等によって配布され、更新が可能になっている。上記実施形態1〜3で説明した情報処理装置の機能は、情報処理装置の全体の機能の一部であるので、従来配布されているソフトウェアを情報処理装置のソフトウェア更新方法に準じて更新することにより実現できる。
【0160】
《その他の実施形態》
なお、上記実施形態1〜3においては、欠陥リスト登録部134や推定欠陥位置情報記憶部334が、欠陥領域推定部128によって推定された第2記録層の欠陥領域に含まれる記録位置を、要評価欠陥位置として記憶するようになっていたが、評価不要欠陥位置として記憶するようにしてもよい。
【0161】
また、欠陥領域推定部128に他層欠陥領域算出部131を設けず、他層欠陥位置算出部130によって算出されたアドレスによって示される推定欠陥位置のみが欠陥領域として推定されるようにしてもよい。
【0162】
また、上記実施形態1〜3においては、欠陥リストが、DVD−RAM及びBDの規格に対応して、多層光記録媒体103のLead−In領域及びLead−Out領域の規格によって定められた所定の位置に繰り返して記録されるようになっていた。しかし、多層光記録媒体103がDVD−RAM及びBD以外である場合には、他の領域に欠陥リストが記録されるようにしてもよい。また、必ずしも欠陥リストは繰り返して記録されなくてもよく、1箇所にのみ記録されるようにしてもよい。なお、欠陥リストが複数箇所に繰り返して記録された場合、一箇所にだけ記録された場合に比べ、欠陥リストが読み出せなくなる可能性が低くなる。
【0163】
また、欠陥リストのデータ形式として、BDの規格に対応するものについてのみ実施形態1で詳細に説明したが、欠陥リストのデータ形式は当然、BDの規格に対応するものに限らない。例えば、DVD−RAMの欠陥リスト(Defect List)がPDL(Primary Defect List)とSDL(Secondary Defect List)とで構成されているように、欠陥リストが複数のリストによって構成されるようにしてもよい。
【0164】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0165】
本発明に係る情報処理方法、集積回路、及び情報記録装置は、正常に記録を行えない領域に情報の記録が行われることを防止でき、記録された情報の信頼性を高めることができるという効果を有し、記録した情報が傷、ごみ等によって欠落する危険を回避する技術等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【図1】本発明の実施形態1に係る情報記録装置を備えた情報記録システムの構成を示すブロック図である。
【図2】同、情報記録装置の構成を示すブロック図である。
【図3】同、多層光記録制御機構の構成を示すブロック図である。
【図4】(a)同、L0情報記録層にレーザー光の焦点を合わせたときの照射領域を説明する説明図である。(b)同、L1情報記録層にレーザー光の焦点を合わせたときの照射領域を説明する説明図である。(c)同、L2情報記録層にレーザー光の焦点を合わせたときの照射領域を説明する説明図である。(d)同、L3情報記録層にレーザー光の焦点を合わせたときの照射領域を説明する説明図である。
【図5】同、偏心を持つ記録層のトラック1011、1012、1013を同心円上に示す説明図である。
【図6】同、トラッキング制御を行わずに偏心を有する多層光記録媒体を一周させた場合におけるレーザー光の照射位置と中心との距離を示すグラフである。
【図7】同、ドーナツ状の欠陥領域を示す説明図である。
【図8】同、扇面状の欠陥領域を示す説明図である。
【図9】同、扇面状の欠陥領域を、起点PSN、連続セクター数、及びトラック本数によって示す方法を説明する説明図である。
【図10】同、欠陥位置が特定された場合に情報処理装置によって行われる処理を示すフローチャートである。
【図11】同、RW系欠陥リスト再構成処理を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施形態2に係る情報記録装置の多層光記録制御機構の構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の実施形態3に係る情報記録装置の多層光記録制御機構の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0167】
100 情報記録装置
103 多層光記録媒体
110 光ピックアップ
118 制御装置(集積回路)
122 欠陥位置特定部
128 欠陥領域推定部
129 最適対象層選択部
130 他層欠陥位置算出部
132 記録未記録管理部
134 欠陥リスト登録部 (推定欠陥位置情報記憶部)
135 R系欠陥領域情報再構成部
136 RW系欠陥領域情報再構成部
137 要評価位置有無判定部
139 再生確認位置決定部
140 再生確認処理部
141 交替複写記録部
144 欠陥リスト記録部(推定欠陥位置情報記録部)
228 欠陥領域推定部
230 ジャンプ位置取得部
334 推定欠陥位置情報記憶部
335 R系欠陥領域情報再構成部
336 RW系欠陥領域情報再構成部
337 要評価位置有無判定部
339 再生確認位置決定部
345 欠陥リスト統合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層光記録媒体の記録領域に含まれる欠陥位置を示す欠陥リストを読み出し、所定の要求位置への情報の記録要求がある場合に、当該要求位置に情報を記録するか、又は代わりの位置に情報を記録するかを、前記欠陥リストに基づいて決定する情報記録装置における情報処理方法であって、
前記多層光記録媒体における第1記録層の欠陥位置を特定する欠陥位置特定ステップと、
前記欠陥位置特定ステップにおいて特定された第1記録層の欠陥位置に基づいて、前記第1記録層とは異なる記録層である第2記録層の欠陥領域を推定する欠陥領域推定ステップと、
前記欠陥領域推定ステップにおいて推定された欠陥領域に含まれる各記録位置を欠陥位置として示す推定欠陥位置情報を推定欠陥位置情報記憶部によって記憶する推定欠陥位置情報記憶ステップと、
前記推定欠陥位置情報記憶部によって記憶されている推定欠陥位置情報を、前記多層光記録媒体の規格に応じた欠陥リストのデータ形式で、当該多層光記録媒体に記録する推定欠陥位置情報記録ステップとを有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項2】
請求項1の情報処理方法において、
前記欠陥位置特定ステップは、
トラッキング制御の破綻、フォーカス制御の破綻、チルト制御の破綻、トラッキング制御の制御残差が所定閾値を超えること、フォーカス制御の制御残差が所定閾値を超えること、チルト制御の制御残差が所定閾値を超えること、前記多層光記録媒体に照射する記録用レーザー光の反射光が途切れること、当該反射光の光量の減衰速度が所定以上になること、前記記録用レーザー光自体が途切れること、当該記録用レーザー光の光量の減衰速度が所定以上になること、当該記録用レーザー光のパワーが所定以上となること、及び当該記録用レーザー光を発生する半導体レーザーの駆動電流値として所定以上の値が反射光の光量に基づいて算出されることのうちの少なくとも1つをエラーとして検出し、エラーの検出された記録位置を欠陥位置として特定することを特徴とする情報処理方法。
【請求項3】
請求項1の情報処理方法において、
前記欠陥位置特定ステップは、記録位置に記録された情報を再生することにより、当該情報が正しく記録されているか否かを判定し、当該情報が正しく記録されていないと判定された記録位置を前記欠陥位置として特定することを特徴とする情報処理方法。
【請求項4】
請求項1の情報処理方法において、
前記欠陥領域推定ステップは、
前記欠陥位置特定ステップにおいて特定された第1記録層の欠陥位置のアドレスに基づいて、前記第2記録層の推定欠陥位置のアドレスを算出する他層欠陥位置算出ステップを有し、
当該他層欠陥位置算出ステップにおいて算出されたアドレスで示される推定欠陥位置を含む領域を、前記第2記録層の欠陥領域として推定することを特徴とする情報処理方法。
【請求項5】
請求項1の情報処理方法において、
前記欠陥領域推定ステップは、
前記多層光記録媒体におけるレーザー光の照射位置が、前記欠陥位置特定ステップにおいて特定された第1記録層の欠陥位置から第2記録層にジャンプした際に、ジャンプ後の前記レーザー光の照射位置を特定するジャンプ位置取得ステップを備え、
当該ジャンプ位置取得ステップにおいて特定された照射位置に基づいて、前記第2記録層の欠陥領域を推定することを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
請求項4及び請求項5のうちのいずれか1項の情報処理方法において、
前記欠陥領域推定ステップは、規格により定められた最大偏心量にさらに基づいて、前記第2記録層の欠陥領域を推定することを特徴とする情報処理方法。
【請求項7】
請求項4及び請求項5のうちのいずれか1項の情報処理方法において、
前記欠陥領域推定ステップは、実際に測定した前記多層光記録媒体の絶対偏心量又は相対偏心量にさらに基づいて、前記第2記録層の欠陥領域を推定することを特徴とする情報処理方法。
【請求項8】
請求項1〜7のうちのいずれか1項の情報処理方法において、
前記欠陥領域推定ステップは、前記第1記録層がいずれの記録層であるかに応じて前記第2記録層を選択する最適対象層選択ステップを有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項9】
請求項1〜8のうちのいずれか1項の情報処理方法において、
前記データ形式は、欠陥位置をアドレス順に整列させて示す形式であり、
前記推定欠陥位置情報記憶ステップは、前記推定欠陥位置情報を、前記読み出した欠陥リストと一体にしてアドレス順に整列させた統合欠陥リストの形で記憶し、
前記推定欠陥位置情報記録ステップは、前記統合欠陥リストを前記多層光記録媒体に記録することを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
請求項1〜8のうちのいずれか1項の情報処理方法において、
前記データ形式は、欠陥位置をアドレス順に整列させて示す形式であり、
前記推定欠陥位置情報記憶部によって記憶されている推定欠陥位置情報を前記読み出した欠陥リストと一体にしてアドレス順に整列させた統合欠陥リストを生成する欠陥リスト統合ステップをさらに有し、
前記推定欠陥位置情報記録ステップは、前記統合欠陥リストを前記多層光記録媒体に記録することを特徴とする情報処理方法。
【請求項11】
請求項1〜10のうちのいずれか1項の情報処理方法において、
前記推定欠陥位置情報記憶部によって記憶されている推定欠陥位置情報から既記録位置を削除するR系欠陥領域情報再構成ステップをさらに有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項12】
請求項1〜10のうちのいずれか1項の情報処理方法において、
前記推定欠陥位置情報記憶ステップは、前記欠陥領域推定ステップにおいて推定された欠陥領域に含まれる各記録位置を要評価欠陥位置として示す推定欠陥位置情報を推定欠陥位置情報記憶部によって記憶するものであり、
前記推定欠陥位置情報記憶部によって記憶されている推定欠陥位置情報において要評価欠陥位置として示されている位置を、再生確認処理を行う再生確認位置として決定する再生確認位置決定ステップと、
前記再生確認位置決定ステップにおいて決定された再生確認位置に対して再生確認処理を行うことにより、記録品質が所定の基準よりも良好であるか否かを示す再生確認情報を生成する再生確認処理ステップと、
前記再生確認処理ステップにおいて生成された再生確認情報に基づいて、前記推定欠陥位置情報記憶部によって記憶されている推定欠陥位置情報を再構成するRW系欠陥領域情報再構成ステップとをさらに有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項13】
請求項12の情報処理方法において、
前記再生確認位置決定ステップにおいて決定された再生確認位置に含まれる既記録位置について、前記再生確認処理ステップにおいて生成された再生確認情報によって記録品質が所定の基準よりも良好でないと示されており、かつ当該既記録位置の情報が再生可能である場合に、当該既記録位置に記録された情報を交替位置に複写記録する交替複写記録ステップをさらに有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項14】
請求項12及び請求項13のうちのいずれか1項の情報処理方法において、
記録要求及び再生要求が一定期間ないことを検出した場合に、前記RW系欠陥領域情報再構成ステップを実行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項15】
請求項1〜14のうちのいずれか1項の情報処理方法において、
前記推定欠陥位置情報記録ステップは、前記多層光記録媒体の外部への取り出し要求があった場合に、前記多層光記録媒体が外部へ取り出される前に実行されることを特徴とする情報処理方法。
【請求項16】
請求項12〜14のうちのいずれか1項の情報処理方法において、
前記多層光記録媒体が前記情報処理装置に挿入された際に、前記読み出した欠陥リストに要評価欠陥位置が含まれているか否かを判定する要評価位置有無判定ステップを有し、
前記要評価位置有無判定ステップにおいて欠陥リストに要評価欠陥位置が含まれていると判定された場合に、
前記読み出した欠陥リストにおいて要評価欠陥位置として示されている位置を、再生確認処理を行う再生確認位置として決定する第1のステップと、
前記第1のステップにおいて決定された再生確認位置に対して再生確認処理を行うことにより、記録品質が所定の基準よりも良好であるか否かを示す再生確認情報を生成する第2のステップと、
前記第2のステップにおいて生成された再生確認情報に基づいて、前記読み出した欠陥リストを再構成する第3のステップとを実行し、
前記推定欠陥位置情報記録ステップは、前記多層光記録媒体の外部への取り出し要求があった場合に、前記多層光記録媒体が外部へ取り出される前に実行されることを特徴とする情報処理方法。
【請求項17】
多層光記録媒体の記録領域に含まれる欠陥位置を示す欠陥リストを読み出し、所定の要求位置への情報の記録要求がある場合に、当該要求位置に情報を記録するか、又は代わりの位置に情報を記録するかを、前記欠陥リストに基づいて決定し、決定結果に従って光ピックアップによるレーザー光の照射によって情報の記録を行う情報記録装置に設けられる集積回路であって、
前記多層光記録媒体における第1記録層の欠陥位置を特定する欠陥位置特定部と、
前記欠陥位置特定部によって特定された第1記録層の欠陥位置に基づいて、前記第1記録層とは異なる記録層である第2記録層の欠陥領域を推定する欠陥領域推定部と、
前記欠陥領域推定部によって推定された欠陥領域に含まれる各記録位置を欠陥位置として示す推定欠陥位置情報を記憶する推定欠陥位置情報記憶部と、
前記推定欠陥位置情報記憶部によって記憶されている推定欠陥位置情報が、前記多層光記録媒体の規格に応じた欠陥リストのデータ形式で当該多層光記録媒体に記録されるよう前記光ピックアップを制御する推定欠陥位置情報記録部とを有することを特徴とする集積回路。
【請求項18】
請求項17の集積回路において、
前記欠陥位置特定部は、
トラッキング制御の破綻、フォーカス制御の破綻、チルト制御の破綻、トラッキング制御の制御残差が所定閾値を超えること、フォーカス制御の制御残差が所定閾値を超えること、チルト制御の制御残差が所定閾値を超えること、前記多層光記録媒体に照射する記録用レーザー光の反射光が途切れること、当該反射光の光量の減衰速度が所定以上になること、前記記録用レーザー光自体が途切れること、当該記録用レーザー光の光量の減衰速度が所定以上になること、当該記録用レーザー光のパワーが所定以上となること、及び当該記録用レーザー光を発生する半導体レーザーの駆動電流値として所定以上の値が反射光の光量に基づいて算出されることのうちの少なくとも1つをエラーとして検出し、エラーの検出された記録位置を欠陥位置として特定することを特徴とする集積回路。
【請求項19】
請求項17の集積回路において、
前記欠陥位置特定部は、情報が正しく記録されていないと、情報を再生させることにより判定された記録位置を前記欠陥位置として特定することを特徴とする集積回路。
【請求項20】
請求項17の集積回路において、
前記欠陥領域推定部は、
前記欠陥位置特定部によって特定された第1記録層の欠陥位置のアドレスに基づいて、前記第2記録層の推定欠陥位置のアドレスを算出する他層欠陥位置算出部を有し、
当該他層欠陥位置算出部によって算出されたアドレスで示される推定欠陥位置を含む領域を、前記第2記録層の欠陥領域として推定することを特徴とする集積回路。
【請求項21】
請求項17の集積回路において、
前記欠陥領域推定部は、
前記光ピックアップによって照射されたレーザー光の前記多層光記録媒体における照射位置が、前記欠陥位置特定部によって特定された第1記録層の欠陥位置から第2記録層にジャンプした際に、ジャンプ後の前記レーザー光の照射位置を特定するジャンプ位置取得部を備え、
当該ジャンプ位置取得部によって特定された照射位置に基づいて、前記第2記録層の欠陥領域を推定することを特徴とする集積回路。
【請求項22】
請求項20及び請求項21のうちのいずれか1項の集積回路において、
前記欠陥領域推定部は、規格により定められた最大偏心量にさらに基づいて、前記第2記録層の欠陥領域を推定することを特徴とする集積回路。
【請求項23】
請求項20及び請求項21のうちのいずれか1項の集積回路において、
前記欠陥領域推定部は、実際に測定した前記多層光記録媒体の絶対偏心量又は相対偏心量にさらに基づいて、前記第2記録層の欠陥領域を推定することを特徴とする集積回路。
【請求項24】
請求項17〜23のうちのいずれか1項の集積回路において、
前記欠陥領域推定部は、前記第1記録層がいずれの記録層であるかに応じて前記第2記録層を選択する最適対象層選択部を備えていることを特徴とする集積回路。
【請求項25】
請求項17〜24のうちのいずれか1項の集積回路において、
前記データ形式は、欠陥位置をアドレス順に整列させて示す形式であり、
前記推定欠陥位置情報記憶部は、前記推定欠陥位置情報を、前記読み出した欠陥リストと一体にしてアドレス順に整列させた統合欠陥リストの形で記憶し、
前記推定欠陥位置情報記録部は、前記統合欠陥リストを前記多層光記録媒体に記録することを特徴とする集積回路。
【請求項26】
請求項17〜24のうちのいずれか1項の集積回路において、
前記データ形式は、欠陥位置をアドレス順に整列させて示す形式であり、
前記推定欠陥位置情報記憶部によって記憶されている推定欠陥位置情報を前記読み出した欠陥リストと一体にしてアドレス順に整列させた統合欠陥リストを生成する欠陥リスト統合部をさらに有し、
前記推定欠陥位置情報記録部は、前記統合欠陥リストを前記多層光記録媒体に記録することを特徴とする集積回路。
【請求項27】
請求項17〜26のうちのいずれか1項の集積回路において、
前記推定欠陥位置情報記憶部によって記憶されている推定欠陥位置情報から既記録位置を削除するR系欠陥領域情報再構成部をさらに備えていることを特徴とする集積回路。
【請求項28】
請求項17〜26のうちのいずれか1項の集積回路において、
前記推定欠陥位置情報記憶部は、前記欠陥領域推定部によって推定された欠陥領域に含まれる各記録位置を要評価欠陥位置として示す推定欠陥位置情報を記憶するものであり、
前記推定欠陥位置情報記憶部によって記憶されている推定欠陥位置情報において要評価欠陥位置として示されている位置を、再生確認処理を行う再生確認位置として決定する再生確認位置決定部と、
前記再生確認位置決定部によって決定された再生確認位置に対して再生確認処理を行うことにより、記録品質が所定の基準よりも良好であるか否かを示す再生確認情報を生成する再生確認処理部と、
前記再生確認処理部によって生成された再生確認情報に基づいて、前記推定欠陥位置情報記憶部によって記憶されている推定欠陥位置情報を再構成するRW系欠陥領域情報再構成部とをさらに備えていることを特徴とする集積回路。
【請求項29】
請求項28の集積回路において、
前記再生確認位置決定部によって決定された再生確認位置に含まれる既記録位置について、前記再生確認処理部によって生成された再生確認情報によって記録品質が所定の基準よりも良好でないと示されており、かつ当該既記録位置の情報が再生可能である場合に、当該既記録位置に記録された情報を交替位置に複写記録する交替複写記録部をさらに有することを特徴とする集積回路。
【請求項30】
請求項28及び請求項29のうちのいずれか1項の集積回路において、
記録要求及び再生要求が一定期間ないことを検出するタイミング制御部を備え、
前記RW系欠陥領域情報再構成部は、前記タイミング制御部によって記録要求が一定期間ないことが検出された場合に前記再構成を行うことを特徴とする集積回路。
【請求項31】
請求項17〜30のうちのいずれか1項の集積回路において、
前記推定欠陥位置情報記録部は、前記多層光記録媒体の外部への取り出し要求があった場合に、前記多層光記録媒体が外部へ取り出される前に、前記推定欠陥位置情報記憶部によって記憶されている推定欠陥位置情報が前記多層光記録媒体に記録されるよう前記光ピックアップを制御することを特徴とする集積回路。
【請求項32】
請求項28〜30のうちのいずれか1項の集積回路において、
前記多層光記録媒体が前記情報処理装置に挿入された際に、前記読み出した欠陥リストに要評価欠陥位置が含まれているか否かを判定する要評価位置有無判定部を有し、
前記推定欠陥位置情報記録部は、前記多層光記録媒体の外部への取り出し要求があった場合に、前記多層光記録媒体が外部へ取り出される前に、前記推定欠陥位置情報記憶部によって記憶されている推定欠陥位置情報が前記多層光記録媒体に記録されるよう前記光ピックアップを制御し、
前記要評価位置有無判定部によって欠陥リストに要評価欠陥位置が含まれていると判定された場合に、
前記再生確認位置決定部が、前記読み出した欠陥リストにおいて要評価欠陥位置として示されている位置を、再生確認処理を行う再生確認位置として決定し、
前記再生確認処理部が、前記再生確認位置決定部によって決定された再生確認位置に対して再生確認処理を行うことにより、記録品質が所定の基準よりも良好であるか否かを示す再生確認情報を生成し、
前記RW系欠陥領域情報再構成部が、前記再生確認処理部によって生成された再生確認情報に基づいて、前記読み出した欠陥リストを再構成することを特徴とする集積回路。
【請求項33】
請求項17〜32のうちのいずれか1項の集積回路と、
前記光ピックアップとを備えた情報記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−3366(P2010−3366A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−161838(P2008−161838)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】