説明

情報処理装置、そのプログラム、および情報処理方法

【課題】実物の被写体における水平方向の視差を有する被写体の立体画像が生成される可能性を高める。
【解決手段】情報処理装置は、2次元的または3次元的に分散配置された3以上の撮像系を有する撮像手段と、情報処理装置の姿勢を判定する判定手段と、判定手段によって判定された情報処理装置の姿勢に応じて、当該3以上の撮像系のうち相互間の基線方向が水平方向に最も近い2つの撮像系を選択撮像系として選択する選択手段と、当該選択撮像系によってそれぞれ撮影された被写体の画像に基づいて被写体の立体画像を生成する生成手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体画像を生成する情報処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示される画像を立体視可能な三次元テレビなどの三次元表示装置の普及が進んでおり、三次元表示装置用の立体視可能な左目用および右目用の画像群(立体画像)を容易に生成可能な技術が望まれている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の複眼カメラは、長方形状の撮像素子と光学系とが組み合わされた撮像系を2つ備えたステレオカメラ部を備えており、観察者によって予め撮像系間の基線方向が水平方向となるように複眼カメラの姿勢が設定された状態で、該ステレオカメラ部によって撮影された左目用画像と右目用画像とが時系列的に交互に表示部に表示される。該表示部においては、表示される画像の切り替えに同期して画像に係る光路が光路切り替え部によって立体視可能に交互に切り替えられることによって、観察者が立体視可能な立体画像が表示される。
【0004】
より詳細には、当該複眼カメラは、ステレオカメラ部と、2つの撮像素子と、光路切り替え部とのそれぞれを、互いに平行な各回転軸を中心としてそれぞれ自転させ得る回転駆動機構を備えている。この回転駆動機構によって駆動されることにより、ステレオカメラ部は、その2つの撮像部が共通の軸を中心として略90度公転するように自転可能である。また、ステレオカメラの2つの撮像素子は、該公転に応じて、各々の光学系の光軸を中心としてそれぞれ略90度自転可能であり、光路切り替え部は、該公転に応じて、略90度自転可能である。
【0005】
従って、該複眼カメラにおいては、ステレオカメラ部の基線方向と、撮像素子の長辺の方向と、光路切り替え部の向きとの組み合わせの複眼カメラに対する配置関係として2通りの配置関係が設定され得る。該2通りの配置関係の何れにおいてもステレオカメラ部の基線方向と、光路切り替え部による左目用画像と右目用画像の間での光路の切り替え方向とが一致する。該2通りの配置関係の一方においては、ステレオカメラ部の基線方向と撮像素子の長辺方向とが一致し、該2通りの配置関係の他方においては、ステレオカメラ部の基線方向と撮像素子の長辺方向とは直交する。
【0006】
特許文献1の複眼カメラにおいては、該2通りの配置関係のそれぞれにおいて、ステレオカメラ部の基線方向が、水平方向、すなわち、観察者の両目の基線方向と一致するように、観察者によって複眼カメラの姿勢が変更された後に、被写体の撮影と、立体画像の表示とが行われる。従って、特許文献1の複眼カメラにおいては、撮影視野の形状が鉛直方向に長い縦撮影であっても、水平方向に長い横撮影であっても、観察者が立体視可能な立体画像が表示され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−188931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の複眼カメラには、ステレオカメラ部の基線方向が、鉛直方向である状態のままで被写体の撮影が行われた場合には、撮像された各画像における被写体の同一点にそれぞれ対応した各対応画素の間での各画像の画像空間における座標のずれ、すなわち視差は鉛直方向に生ずる。一方、画像の観察者は、目線が上向き、下向き、および水平の何れの状態であっても、通常、左右の目が水平方向に並んだ状態で被写体を観察する。このため、鉛直方向の視差を有する画像群がそのままの状態で立体画像を構成する画像群として観察者に提示されたとしても、観察者の両目の配列方向と、立体画像を構成する画像群の視差の方向とが異なるために、観察者は立体を認識することができない。
【0009】
また、例えば、ステレオカメラ部の基線方向が鉛直方向である特許文献1の複眼カメラによって被写体が撮影された後に該複眼カメラの姿勢が変更されることにより、画像間の視差の方向が鉛直方向から水平方向に変更された立体画像が観察者に提示された場合には、観察者は立体を認識できるものの、被写体の向きが、例えば、90度回転されて横向きに変わってしまうために観察者は違和感を覚える。
【0010】
このように、特許文献1の複眼カメラにおいては、観察者が、表示された被写体の画像の向きに違和感を覚えることなく立体を認識することができるようにするためには、被写体の撮影に先立ってステレオカメラ部の基線方向が水平方向に一致するように複眼カメラの姿勢が変更されなければならないといった問題がある。
【0011】
本発明は、こうした問題を解決するためになされたもので、被写体を撮像する装置の姿勢に関わらず、実物の被写体における水平方向の視差を有する被写体の立体画像が生成される可能性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、第1の態様に係る情報処理装置は、2次元的または3次元的に分散配置された3以上の撮像系を有する撮像手段と、前記情報処理装置の姿勢を判定する判定手段と、前記判定手段によって判定された前記情報処理装置の姿勢に応じて、前記3以上の撮像系のうち相互間の基線方向が水平方向に最も近い2つの撮像系を選択撮像系として選択する選択手段と、前記選択撮像系によってそれぞれ撮影された被写体の画像に基づいて前記被写体の立体画像を生成する生成手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
第2の態様に係る情報処理装置は、第1の態様に係る情報処理装置であって、前記選択手段が、前記判定手段によって判定された前記情報処理装置の姿勢が、前記3以上の撮像系のうち2つの撮像系の基線方向が水平方向と一致する姿勢であるときには、当該2つの撮像系を前記選択撮像系として選択することを特徴とする。
【0014】
第3の態様に係る情報処理装置は、第1または第2の態様に係る情報処理装置であって、前記3以上の撮像系が、仮想的な直角三角形の各頂点位置に配置された3つの撮像系を含むことを特徴とする。
【0015】
第4の態様に係る情報処理装置は、第3の態様に係る情報処理装置であって、前記直角三角形が不等辺三角形であることを特徴とする。
【0016】
第5の態様に係る情報処理装置は、第3または第4の態様に係る情報処理装置であって、ユーザに正対したときの左右方向と上下方向とがあらかじめ定義された情報伝達領域を有し、前記情報伝達領域を用いて前記情報処理装置とユーザとの間での情報の授受を行うヒューマンインターフェイス手段をさらに備え、前記直覚三角形の第1辺と第2辺との方向を、前記情報伝達領域の前記左右方向と前記上下方向とにそれぞれ一致させていることを特徴とする。
【0017】
第6の態様に係る情報処理装置は、第5の態様に係る情報処理装置であって、前記ヒューマンインターフェイス手段が、複数の方向にそれぞれ視差を有する各立体画像をそれぞれ表示可能な表示手段を備え、前記複数の方向は、前記3以上の撮像系の相互間の基線方向に一致していることを特徴とする。
【0018】
第7の態様に係る情報処理装置は、第5の態様に係る情報処理装置であって、前記ヒューマンインターフェイス手段が、複数の方向にそれぞれ視差を有する各立体画像をそれぞれ表示可能な表示手段を備え、前記複数の方向は、前記3以上の撮像系の相互間の基線方向からなる集合の中に含まれていることを特徴とする。
【0019】
第8の態様に係る情報処理装置は、第1から第7の何れか1つの態様に係る情報処理装置であって、前記3以上の撮像系の中の特定の基線方向を水平方向とするような前記情報処理装置の推奨姿勢の情報をユーザに報知する報知手段を更に備えたことを特徴とする。
【0020】
第9の態様に係る情報処理装置は、第8の態様に係る情報処理装置であって、前記情報処理装置から前記被写体までの距離情報に応じて、前記3以上の撮像系の相互間における各基線長のうち被写体の立体画像において予め設定された条件を満たす視差を生ずる1つの基線長を特定するとともに、特定された該1つの基線長に係る1つの基線方向を水平方向とするような前記情報処理装置の推奨姿勢の情報をユーザに報知する報知手段を更に備えたことを特徴とする。
【0021】
第10の態様に係る情報処理装置は、第9の態様に係る情報処理装置であって、前記報知手段が、立体画像の画像表示条件に基づいて前記1つの基線長を特定することを特徴とする。
【0022】
第11の態様に係る情報処理装置は、第6または第7の態様に係る情報処理装置であって、前記立体画像の表示における視差方向を水平方向とするような前記情報処理装置の推奨姿勢の情報をユーザに報知する報知手段を更に備えたことを特徴とする。
【0023】
第12の態様に係る情報処理装置は、第8から第11の何れか1つの態様に係る情報処理装置であって、前記報知手段が、前記判定手段によって判定された前記情報処理装置の姿勢が前記推奨姿勢とは異なる場合に、前記推奨姿勢の情報をユーザに報知する。
【0024】
第13の態様に係る情報処理装置は、第1から第12の何れか1つの態様に係る情報処理装置であって、前記3以上の撮像系のうち少なくとも1つの撮像系は焦点距離が可変であり、前記選択手段によって前記少なくとも1つの撮像系のうち1つが、前記選択撮像系のうち一方として選択された場合に、前記選択撮像系のうち他方の撮像系の焦点距離と、該一方の撮像系の焦点距離とが等しくなるように該一方の撮像系の焦点距離を調整する調整手段を更に備えたことを特徴とする。
【0025】
第14の態様に係るプログラムは、情報処理装置に搭載されたコンピュータにおいて実行されることにより当該情報処理装置を第1から第13の何れか1つの態様に係る情報処理装置として機能させることを特徴とする。
【0026】
第15の態様に係る情報処理方法は、2次元的または3次元的に分散配置された3以上の撮像系を有する撮像手段を備えた情報処理装置の姿勢を判定する判定工程と、前記判定工程によって判定された前記情報処理装置の姿勢に応じて、前記3以上の撮像系のうち相互間の基線方向が水平方向に最も近い2つの撮像系を選択撮像系として選択する選択工程と、前記選択撮像系によってそれぞれ撮影された被写体の画像に基づいて前記被写体の立体画像を生成する生成工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
第1から第15の何れの態様に係る発明によっても、判定された前記情報処理装置の姿勢に応じて、3以上の撮像系のうち相互間の基線方向が水平方向に最も近い2つの撮像系が選択され、選択された2つの撮像系によってそれぞれ撮影された被写体の画像に基づいて被写体の立体画像が生成されるので、実物の被写体における水平方向の視差を有する被写体の立体画像が生成される可能性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施形態に係る情報処理装置の外観構成の概略を示す模式図である。
【図2】実施形態に係る情報処理装置の外観構成の概略を示す模式図である。
【図3】実施形態に係る情報処理装置の外観構成の概略を示す模式図である。
【図4】実施形態に係る情報処理装置の主な構成の1例を示す図である。
【図5】実施形態に係る情報処理装置の機能構成の1例を示す図である。
【図6】実施形態に係るステレオカメラの主な機能構成の1例を示す図である。
【図7】左画像と右画像との1例を示す図である。
【図8】カメラ間の基線方向と表示部の視差方向との関係の1例を示す図である。
【図9】カメラ間の基線方向と表示部の視差方向との関係の1例を示す図である。
【図10】カメラ間の基線方向と表示部の視差方向との関係の1例を示す図である。
【図11】左カメラと右カメラとが選択される様子の1例を示す図である。
【図12】カメラ間の基線方向と表示部の視差方向との関係の1例を示す図である。
【図13】カメラ間の基線方向と表示部の視差方向との関係の1例を示す図である。
【図14】実施形態に係る情報処理装置の動作フローを例示する図である。
【図15】実施形態に係る情報処理装置の動作フローを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図面では同様な構成および機能を有する部分に同じ符号が付され、下記説明では重複説明が省略される。また、各図面は模式的に示されたものであり、例えば、各図面における画像上の表示物のサイズおよび位置関係等は正確に図示されたものではない。また、画像データと、該画像データに基づいて表示される画像とをまとめて「画像」と適宜総称する。更に、各図面では、画像の左上の画素が原点とされ、該画像の長辺に沿った方向(ここでは、横方向)がX軸方向とされ、該画像の短辺に沿った方向(ここでは縦方向)がY軸方向とされる。そして、各画像の右方向が+X方向とされ、各画像の下方向が+Y方向とされる。なお、図1〜図3、および図7〜図13には、直交するXYZの3軸が付されている。
【0030】
<実施形態について:>
<◎情報処理装置100Aの外観構成について:>
図1〜図3は、本発明の実施形態に係る情報処理装置100Aの外観構成の概略を示す模式図である。情報処理装置100Aは、携帯電話、カメラ、およびサーバ装置との間で無線通信等により各種情報の送受信を行う端末装置などとして機能する折り畳み式の携帯型情報端末として構成され、図1〜図3に示されるように、筐体200Aと、筐体250Aと、ヒンジ部400とを主に有している。ヒンジ部400は、筐体200Aと筐体250Aとを機械的に回動(折畳み)可能に接続するとともに、筐体200Aと筐体250Aとを電気的にも接続している。ヒンジ部400によって情報処理装置100Aは、折り畳み可能となっている。
【0031】
また、図1〜図3は、情報処理装置100Aが開かれた外観をそれぞれ示している。図1には、情報処理装置100Aが折り畳まれたときに情報処理装置100Aの外面となる面(「うら面」とも称される)が示されている。また、図2および図3には、情報処理装置100Aが開かれた状態における該うら面以外の面(「おもて面」とも称される)が示されている。図2においては、カメラ101および102の基線方向が、X軸方向(水平方向)に一致するとともに、図3においては、カメラ101および103の基線方向が、X軸方向に一致している。
【0032】
筐体200Aおよび筐体250Aは、それぞれ板状の部材であり、各種電子部材を格納する筐体としての役割を有している。具体的には、筐体200Aは、そのうら面側にカメラ101〜103を備えた多眼カメラ部300(図4、図5)を有するとともに、そのおもて面に表示部43を有している。また、情報処理装置100Aのそれぞれの機能要素のうち、カメラ101〜103や表示部43は筐体200A上の固定された位置にある。また、操作部42が搭載された筐体250Aは筐体200Aに対して回動(折畳み)可能であるが、実際の撮影操作のときには、筐体200Aと筐体250Aとはユーザが選択した相対角度を保っており、1回の撮影処理という短い時間で見ると相対的に固定された相対角度にある。換言すれば、筐体200Aと筐体250Aとは一体化されていて、情報処理装置100Aはその全体の姿勢を変更可能であるだけでなく、可搬性の装置であり、特に、ユーザが手中に保持した状態で姿勢を容易に変更できる携帯型の情報処理装置である。
【0033】
なお、図1〜図3に示された多眼カメラ部300は、筐体200Aの裏面に分散配置された3個のカメラを有しているが、多眼カメラ部300の構成は、図1〜図3に示された構成に限定されず、多眼カメラ部300が4以上のカメラを備えていたとしても本発明の有用性を損なうものではない。また、多眼カメラ部300が有する各カメラは、2次元的に、すなわち同一平面上に分散配置されるだけでなく、3次元的に分散配置されたとしても本発明の有用性を損なうものではない。すなわち、多眼カメラ部300は2次元的にまたは3次元的に分散配置された3以上の撮像系を有する撮像部である。
【0034】
また、筐体250Aは、ボタン等の操作部42をそのおもて面に有するともに、情報処理装置100Aを電気的に制御するCPU(Central Processing Unit)11A(図4)などをその内部に有している。
【0035】
情報処理装置100Aは、図2および図3などの各種姿勢において多眼カメラ部300における各カメラのうち基線方向が水平方向に最も近い左カメラ61および右カメラ62(図2、図3)によって撮影された被写体の各画像に基づいて観察者が立体視可能な立体画像を生成し、表示部43に表示する。
【0036】
より具体的には、操作者(観察者)によって設定された情報処理装置100Aの姿勢は、情報処理装置100Aの判定部14(図4、図5)によって判定される。
【0037】
情報処理装置100Aの選択部15(図4、図5)は、判定部14によって判定された情報処理装置100Aの姿勢に応じて、多眼カメラ部300が備える各カメラのうち相互間の基線方向が水平方向に最も近い2つのカメラを左カメラ61および右カメラ62としてそれぞれ選択する。
【0038】
例えば、情報処理装置100Aの姿勢が、図2に示されるようにカメラ101および102の配列方向が水平方向(X軸方向)に最も近い姿勢である場合には、選択部15は、カメラ101および102を、左カメラ61および右カメラ62としてそれぞれ選択する。また、情報処理装置100Aの姿勢が、図3に示されるようにカメラ101および103の列方向が水平方向(X軸方向)に最も近い姿勢である場合には、選択部15は、カメラ101および103を、左カメラ61および右カメラ62としてそれぞれ選択する。従って、判定部14によって判定された情報処理装置100Aの姿勢が、多眼カメラ部300が有する3以上の撮像系のうち2つの撮像系の基線方向が水平方向と一致する姿勢であるときには、選択部15は、当該2つの撮像系を前記選択撮像系として選択する。
【0039】
情報処理装置100Aの生成部16(図4、図5)は、選択部15によって選択された左カメラ61および右カメラ62によってそれぞれ撮影された被写体の左画像21および右画像22(図4、図5)に基づいて、操作者が立体視可能な被写体の立体画像29(図5)を生成する。立体画像29は、左目用画像27および右目用画像28(図4、図5)によって構成される。生成された立体画像29は、表示部43に表示される。
【0040】
情報処理装置100Aにおいては、判定部14によって判定された情報処理装置100Aの姿勢に応じて、選択部15によって多眼カメラ部300が有する3以上のカメラのうち相互間の基線方向が水平方向に最も近い2つのカメラが選択され、選択された2つのカメラによってそれぞれ撮影された被写体の各画像に基づいて被写体の立体画像が生成されるので、被写体を撮影する情報処理装置100Aの姿勢に関わらず実物の被写体における水平方向の視差を有する被写体の立体画像が生成される可能性を高めることができる。
【0041】
<◎多眼カメラ部300の構成と動作:>
次に、情報処理装置100Aの多眼カメラ部300の構成と動作について説明する。図1に示されるように、多眼カメラ部300のカメラ101〜103は、カメラ101および102の基線方向と、カメラ101および103の基線方向とが互いに直交するようにそれぞれ配置されており、カメラ101〜103の筐体200Aにおける配列は、仮想的な直角三角形を形成している。すなわち、多眼カメラ部300は、相互間の基線方向のうち2つの基線方向が互いに直交する3つのカメラを含んでいる。
【0042】
例えば、多眼カメラ部300の各カメラが長方形状の有効画素領域を有する撮像素子をそれぞれ有している場合において、さらに図2に示されるように、カメラ101および102の基線方向が水平方向(X軸方向)であるときに各撮像素子における有効画素領域の長辺の方向が水平方向である場合には、カメラ101および102によって撮影された被写体の画像は、縦方向よりも横方向の長さが長い「横撮影」の画像となる。
【0043】
カメラ101および102の基線方向と、カメラ101および103の基線方向とが互いに直交していれば、情報処理装置100Aの姿勢が図2から図3の状態に変更されたときには、基線方向が水平方向に最も近いカメラ101および103によって撮影された被写体の画像は、横方向よりも縦方向に沿った長さが長い「縦撮影」の画像となる。
【0044】
このように、多眼カメラ部300が、相互間の基線方向のうち2つの基線方向が互いに直交する3つのカメラを含んでいれば、該2つの基線方向のそれぞれに係る2対のカメラにおける各対のそれぞれが、相互間の基線方向が水平方向に最も近くなる2つのカメラとして選択され得るように情報処理装置100Aの姿勢の設定がなされることによって、被写体の横撮影と縦撮影とがそれぞれ可能となる。なお、多眼カメラ部300が、相互間の基線方向のうち2つの基線方向が互いに直交する3つのカメラを含んでいないとしても、本発明の有用性を損なうものではない。
【0045】
また、図1に示されるように、カメラ101および102の間における基線長b1と、カメラ101および103の間における基線長b2とは互いに異なっている。この場合、カメラ101〜103の配列は、直角三角形であるので、カメラ101〜103の相互間の各基線長は互いに異なったものとなる。すなわち、カメラ101〜103によって形成される仮想的な直角三角形が不等辺三角形となるので、被写体の撮影に係る基線長の選択枝を増加させることができる。なお、カメラ101〜103の配列が、例えば、2等辺三角形や正三角形を形成しているとしても、本発明の有用性を損なうものではない。
【0046】
ところで、後述するように、操作者が情報処理装置100Aを保持して操作部42および表示部43に正対したとき、すなわち操作者が情報処理装置100Aに正対したときに操作部42および表示部43に表示された文字等の向きは、その上下方向、左右方向が、操作者が最も該文字等を視認しやすい向きとなる。そして、図2に示されるように多眼カメラ部300におけるカメラ101〜103は、カメラ101〜103によって形成される仮想的な直角三角形において互いに直交する第1辺と第2辺との方向が該上下方向と該左右方向とにそれぞれ一致するように配置されている。従って、操作者が、情報処理装置100Aの姿勢を、最も操作性の良い姿勢、すなわち最も設定しやすい姿勢に設定することによって、各カメラ間の各基線方向の1つが水平となる状態が容易に実現される。
【0047】
図6は、実施形態に係る情報処理装置100Aに設けられた多眼カメラ部300の主な機能構成の1例を示す図である。なお、図6は、情報処理装置100Aが図2に示された姿勢に設定された結果、後述する選択部15(図4、図5)によって、カメラ101および102がそれぞれ左カメラ61および右カメラ62として選択された場合を例として、多眼カメラ部300の機能構成を説明する図である。カメラ103は、カメラ101および103のそれぞれと同様の構成を有しているため、カメラ103については説明を省略する。
【0048】
図6に示されるように、左カメラ61(カメラ101)と右カメラ62(カメラ102)とは、所定の基線長を隔てて設けられている。左カメラ61は、撮影光学系72a、撮像素子75a、および制御処理回路85aを主に備えて構成されている。また、右カメラ62は、撮影光学系72b、撮像素子75b、および制御処理回路85bを主に備えて構成されている。
【0049】
多眼カメラ部300の各種動作は、CPU11Aの制御部13から入出力部41およびデータ線DL1を介して供給される制御信号56(図5)に基づいて制御される。多眼カメラ部300は、被写体71からの光を左カメラ61および右カメラ62で撮影して左画像21および右画像22をそれぞれ取得する。生成された左画像21および右画像22は、データ線DL1を介してCPU11Aの入出力部41(図4)へと供給される。
【0050】
撮影光学系72aおよび72bは、薄肉レンズと該レンズを支持する不図示の鏡胴とを主に備えて構成されており、被写体71の画像をそれぞれ撮像素子75aおよび75b上に結像させる光学系である。このとき、被写体71上の物点Mの像は、光学中心73aおよび73bをそれぞれ通過する主光線76aおよび76bに沿って撮像素子75aおよび75b上にそれぞれ像点PaおよびPbとして結像される。光学中心73aおよび73bは、通常、撮像光学系の主点であるが、例えば、撮像光学系としてテレセントリック光学系が採用された場合には、通常、撮像光学系の焦点が光学中心となる。
【0051】
また、仮想主光線76avは、光学中心73bを通るように主光線76aを平行移動した仮想の主光線であり、像点Paに対応する仮想の像点Pavは仮想主光線76avに沿って撮像素子75b上に設定される。
【0052】
左カメラ61および右カメラ62の結像中心77aおよび77bは、それぞれ撮像素子75aと光軸74aとの交点、および撮像素子75bと光軸74bとの交点であり、また、撮影光学系72aおよび72b間の基線長b1は、光学中心73aおよび73b間の距離である。
【0053】
仮想の像点Pavと像点Pbとの距離dは、被写体71上の同一物点Mに対応する各像点PaおよびPbを、結像中心の座標が等しい共通の画像座標系で表現したときの各像点位置間の距離であり、物点Mに対する左カメラ61と右カメラ62との視差に相当する。
【0054】
ここで、多眼カメラ部300については、撮影光学系72aおよび72bのそれぞれ焦点距離fr(より正確には、光学中心と撮像素子との距離)は等しく、それぞれの光軸74aおよび74bは平行である。また、撮影光学系72aおよび72bの各主平面は光軸74aおよび74bのそれぞれに垂直な同一平面上にあり、それぞれの光学中心73aおよび73bも、該同一平面上にある。さらに、それぞれの撮影光学系の撮像素子75aおよび75bは、光軸74aおよび74bのそれぞれに垂直な同一平面上にある。また、左画像21および右画像22の相互間での対応点探索処理が容易に行えるように、撮像素子75aおよび75bは、それぞれの走査線が平行になるように設置されている。
【0055】
実際の構成においては、通常、上述した構成条件に対して誤差があるが、左カメラ61および右カメラ62からそれぞれ供給される左画像21および右画像22に対して、CPU11Aがカメラパラメータなどを用いた処理(「平行化処理」とも称される)を行うことによって多眼カメラ部300の各機能要素が上述した構成条件を満たす場合と同等の状態が実現され得る。
【0056】
平行化処理が行われた場合には、撮影光学系72aおよび72bの主平面と物点Mとの距離Dは、視差d、焦点距離fr、および撮影光学系72aおよび72b間の基線長b1を用いて(1)式によって与えられる。
【0057】
【数1】

【0058】
(1)式に示されるように、視差は、被写体上の点の多眼カメラ部300からの距離に関する指標値となっている。
【0059】
撮像素子75aおよび75bは、例えば、3456×2592画素サイズの有効画素数を持つCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどによって構成される撮像素子であり、撮像素子75aおよび75bに結像された像の強度に応じた画像信号を生成して制御処理回路85aおよび制御処理回路85bに供給する。なお、撮像素子75aおよび75bは、カラーイメージセンサであっても、モノクロイメージセンサであっても本発明の有用性を損なうものではない。また、撮像素子75aおよび75bについて、主走査方向(水平走査方向)の画素数と、副走査方向(垂直走査方向)の画素数とのうち何れか一方が他方よりも多いとしても、また、両者が同数であるとしても、本発明の有用性を損なうものではない。
【0060】
図6に示される制御処理回路85aおよび制御処理回路85bは、撮像素子75aおよび75bから供給される各画像信号を同期して処理してデジタル画像に変換することにより、各撮像素子の有効画素数に応じた左画像21および右画像22を生成する。
【0061】
なお、左画像21と右画像22とのそれぞれの撮影時における多眼カメラ部300に対する被写体の位置関係が同じであれば、左画像21と右画像22とは、同時刻に撮影されていなくても良い。また、多眼カメラ部300は、左カメラ61と右カメラ62との同期をとりつつ被写体を時間順次に連続的に撮影することによって、複数の左画像21および複数の右画像22(「時系列ステレオ画像」とも称される)を生成することもできる。
【0062】
<◎情報処理装置100Aの構成について:>
図4は、実施形態に係る情報処理装置100Aの主な構成の1例を示すブロック図である。図4に示されるように、情報処理装置100Aは、CPU11A、入出力部41、操作部42、表示部43、ROM44、RAM45、記憶装置46、姿勢センサ47および上述した多眼カメラ部300を主に備えて構成されている。
【0063】
○入出力部41:
入出力部41は、例えば、多眼カメラ部300および姿勢センサ47のそれぞれと電気的に接続されたデータ線DL1およびDL2と、信号線49とを電気的に接続するコネクタなどによって構成される。入出力部41は、多眼カメラ部300とCPU11Aなどとの間でデータの授受を行う。具体的には、入出力部41は、例えば、CPU11Aが多眼カメラ部300を制御するための各種の制御信号を、データ線DL1を介して入出力部41に接続された多眼カメラ部300へと供給する。また、入出力部41は、多眼カメラ部300が撮影した左画像21および右画像22をRAM45およびCPU11Aなどへとそれぞれ供給する。また、入出力部41は、姿勢センサ47が出力する出力信号51(図5)をCPU11Aに供給する。なお、入出力部41は、USBインタフェースなどの外部機器用のインタフェースもまた備えている。このため、情報処理装置100Aは、予め撮影されてコンピュータなどの外部機器に記憶された左画像21および右画像22を入出力部41を介して取得することもできる。また、情報処理装置100Aは、立体画像29を入出力部41を介して外部の表示装置に供給し、該外部の表示装置の表示画面において表示することもできる。なお、表示部43および該外部の表示装置に係る立体画像29の表示条件情報57は、予め、記憶装置46に記憶されている。
【0064】
○操作部42:
操作部42は、例えば、筐体250Aのおもて面に設けられた各種の操作ボタンなどによって構成されており、操作者が操作部42を操作することによって、該操作に対応した操作信号52が操作部42からCPU11Aへと供給される。CPU11Aは、供給された操作信号52に基づいて情報処理装置100Aの各種制御パラメータおよび各種動作モードの設定などを行う。また、情報処理装置100Aの各機能部は、操作部42を介して設定された各動作モードに応じた処理を行う。操作部42には、被写体を撮影するときの情報処理装置100Aの姿勢を操作者が情報処理装置100Aに入力するためのボタンまたはスイッチなどが設けられている。該姿勢は、例えば、図2に示されるようにカメラ101とカメラ102との配列方向が水平方向(X軸方向)となる情報処理装置100Aの姿勢、あるいは、図3に示されるように該配列方向が鉛直方向(Y軸方向)となる情報処理装置100Aの姿勢などである。この場合、操作信号52は、操作者による該姿勢の入力結果、あるいは該姿勢に関する情報を情報処理装置100Aに設定するために操作者が設定したスイッチの設定状態に対応した信号などである。また、操作部42に、情報処理装置100Aの各姿勢に応じて、操作者が操作しやすい位置に多眼カメラ部300の撮影ボタンがそれぞれ設けられるとともに、各撮影ボタンのうち何れが操作されたかを示す操作信号52がCPU11Aに供給されたとしても本発明の有用性を損なうものではない。
【0065】
なお、操作部42の各種の操作ボタンには、操作者が行う操作を支援するために、例えば、文字、記号、および図形のうち少なくとも1つが表示されている。そして、操作者が情報処理装置100Aを保持して操作部42に正対したときに、個々の操作ボタンに表示された文字等の向きと、各操作ボタンの配列方向とは、それぞれ、操作者が最も視認しやすい向きおよび方向となる。従って、操作部42は、ユーザに正対したとき左右方向と上下方向とがあらかじめ定義された情報伝達領域、すなわち操作ボタン領域を有するとともに、該情報伝達領域を用いて情報処理装置100Aと操作者との間での情報の授受を行うヒューマンインターフェイス部として機能する。
【0066】
また、後述する表示部43においても、その表示画面に情報処理装置100Aに関する情報が文字情報などとして表示されるが、該文字情報に係る各文字および文字列の向きも、操作部42の操作ボタンに表示された文字などと同様に、を表示して操作者に対して情報処理装置100Aに関する情報を提示し、操作者が情報処理装置100Aを保持して表示部43に正対したときに表示画面に表示された文字等の向きは、操作者が最も視認しやすい向きとなる。従って、表示部43もまた、操作部42と同様のヒューマンインターフェイス部として機能する。
【0067】
○表示部43:
表示部43は、例えば、CPU11Aからの制御に応じて表示部43における各バリア部の空間的な分布方向を、図2のX軸方向とY軸方向などの複数の方向のそれぞれに切り替え可能なパララックスバリア方式を採用した3次元表示用の液晶ディスプレイなどによって構成される。表示部43に表示する右目用画像と左目用画像との視差の方向に応じてCPU11Aが表示部43のバリアの方向を切り替えることなどによって、表示部43に表示された立体画像を観察する観察者が裸眼で立体を視認可能な方向が切り替えられる。
【0068】
また、例えば、表示部43が、左目用画像および右目用画像を交互に高速で切り替えて表示するとともに、該切り替えに同期して、左目および右目にそれぞれ対応した各シャッター部を交互に開閉可能な専用めがねを介して表示部43に表示された立体画像が観察される三次元表示方式が採用されたとしても本発明の有用性を損なうものではない。該三次元表示方式においては、CPU11Aが、表示部43に表示される左目用画像と右目用画像との視差の方向を切り替えることによって、専用めがねを着用した観察者が立体画像を観察して立体を認識可能な方向を切り替えることができる。なお、表示部43は、多眼カメラ部300から供給される左画像21、右画像22、および情報処理装置100Aに関する各種設定情報などが、二次元の画像や文字情報として観察者に視認され得るように表示することもできる。
【0069】
図8〜図10は、実施形態に係る情報処理装置100Aにおける各カメラの相互間の基線方向と表示部43の視差方向との関係の1例を示す図である。図8〜図10に示された情報処理装置100Aにおいては、筐体250Aおよびヒンジ部400の表示は省略されている。
【0070】
ここで、パララックスバリア方式など、予め設定された方向にのみ視差画像を表示可能な表示方式が採用される表示部43においては、表示画面において設定可能な視差方向の種類は、通常、高々数通りである。視差方向図8および図9に示される情報処理装置100Aにおいては、パララックスバリア方式が採用された表示部43は、その表示画面において互いに直交した2方向の視差方向92aおよび視差方向92bと、基線方向91bに対して約30度の角度を有する視差方向92cとの3方向に視差をそれぞれ有する立体画像をそれぞれ表示可能である。また、相互間の基線方向91a〜91cが視差方向92a〜92cとそれぞれ一致しているカメラ101および102と、カメラ101および103と、カメラ102および103との3対のカメラのそれぞれの対によって被写体の左画像21および右画像22が撮影可能に構成されている。このように、図8および図9に示された情報処理装置100Aは、互いに異なる予め設定された各視差方向に、それぞれ視差を有する各立体画像をそれぞれ表示可能な表示部43を備えている。そして、該予め設定された各視差方向と、多眼カメラ部300における各カメラの相互間の各基線方向とがそれぞれ一致している。従って、多眼カメラ部300における各カメラの相互間の全ての基線方向のそれぞれにおいて基線方向が水平となる左カメラ61と右カメラ62とが選択可能である。また、選択された左カメラ61と右カメラ62とによって撮影された被写体の左画像21と右画像22とに基づいて各基線方向と同一方向の視差を有する立体画像29を生成して表示部43に表示することができる。従って、多眼カメラ部300が有するカメラの個数を抑制しつつ、立体画像の撮影および表示が可能なカメラの基線方向の選択枝を増加させることができ、情報処理装置100Aの操作性の向上を図ることができる。
【0071】
図10に示される情報処理装置100Aにおいては、パララックスバリア方式が採用された表示部43は、その表示画面における視差方向92aおよび92bの互いに直交する2方向に視差をそれぞれ有する立体画像をそれぞれ表示可能である。また、相互間の基線長91aが視差方向92aと同一方向であるカメラ101および102と、相互間の基線長91bが視差方向92bと同一方向であるカメラ101および103との2対のカメラのそれぞれによって被写体の左画像21および右画像22が撮影可能に構成されている。このように図10に示された情報処理装置100Aは、互いに異なる予め設定された各視差方向に、それぞれ視差を有する各立体画像をそれぞれ表示可能な表示部43を備えている。そして、該予め設定された各視差方向と、多眼カメラ部300における各カメラの相互間の各基線方向の一部とがそれぞれ一致している。すなわち、該予め設定された各視差方向は、多眼カメラ部300における各カメラの相互間の各基線方向からなる集合の中に含まれる。従って図10に示された情報処理装置100Aにおいては、表示部43において設定可能な視差方向の個数を、多眼カメラ部300におけるカメラの各対のうち、予め設定された一部の対についての基線方向の個数に抑制することができるので、情報処理装置100Aの製造コストを抑制することができる。
【0072】
○ROM44:
ROM(Read Only Memory)44は、読出し専用メモリであり、CPU11Aを動作させるプログラムPGなどを格納している。なお、読み書き自在の不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリ)が、ROM44に代えて使用されてもよい。
【0073】
○RAM45:
RAM(Random Access Memory)45は、読み書き自在の揮発性メモリである。RAM45は、多眼カメラ部300が撮影した各種画像、情報処理装置100Aが生成した立体画像などを一時的に記憶する画像格納部として機能する。また、RAM45は、CPU11Aの処理情報を一時的に記憶するワークメモリなどとしても機能する。また、情報処理装置100Aにおける各機能部間の情報の授受は、通常、RAM45を介して行われる。
【0074】
○記憶装置46:
記憶装置46は、例えば、フラッシュメモリなどの読み書き自在な不揮発性メモリや小型のハードディスク装置等によって構成されており、情報処理装置100Aの各種制御パラメータや各種動作モードなどの情報を恒久的に記録する。また、記憶装置46には、多眼カメラ部300における各カメラの筐体200Aに対する配置情報53が記憶されるとともに、表示部43と、と外部の表示部として予め想定される外部表示装置とのそれぞれに係る立体画像29の表示条件情報57が記憶されている。表示条件情報57は、具体的には、例えば、表示部43の表示画面のサイズ情報、該表示画面に表示される画像の画素数、および該表示画面が観察される際の観察者と該表示画面との距離などである。
【0075】
○姿勢センサ47:
姿勢センサ47は、例えば、3軸のジャイロ・センサと3軸の加速度センサとがMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術などによって搭載された小型の姿勢センサなどによって構成される。姿勢センサ47は、データ線DL2によって入出力部41と電気的に接続されており、鉛直方向(重力方向)に対する情報処理装置100Aの姿勢に応じた出力信号51(図5)を、逐次、入出力部41へと供給する。また、CPU11Aは、入出力部41に供給される出力信号51を所定のタイミングで取得する。
【0076】
○CPU11A:
CPU(Central Processing Unit)11Aは、情報処理装置100Aの各機能部を統轄制御する制御処理装置であり、ROM44に格納されたプログラムに従った制御および処理を実行する。CPU11Aは、後述するように、取得部12、制御部13、判定部14、選択部15、生成部16、および報知部17としても機能する。
【0077】
CPU11Aは、これらの各機能部などによって、多眼カメラ部300によって撮影された被写体の画像から、被写体についての立体画像29を構成する左目用画像27および右目用画像28を生成する。また、CPU11Aは、多眼カメラ部300の撮像動作の制御などを行うとともに、表示部43を制御して、各種画像、立体画像、算出結果、および各種制御情報などを表示部43に表示させる。
【0078】
また、CPU11A、入出力部41、操作部42、表示部43、ROM44、RAM45、記憶装置46、姿勢センサ47等のそれぞれは、信号線49を介して電気的に接続されている。したがって、CPU11Aは、例えば、入出力部41を介した多眼カメラ部300の制御および多眼カメラ部300からの画像情報の取得、姿勢センサ47からの出力信号51の取得、および表示部43への表示等を所定のタイミングで実行できる。
【0079】
なお、図1に示される構成例では、取得部12、制御部13、判定部14、検出部15、生成部16、および報知部17の各機能部は、CPU11Aで所定のプログラムを実行することによって実現されているが、これらの各機能部はそれぞれ、例えば、専用のハードウェア回路などによって実現されてもよい。
【0080】
<◎情報処理装置100Aの各機能部の動作について:>
図5は、実施形態に係る情報処理装置100Aの主な機能構成の1例を示すブロック図である。図5に示されるように、情報処理装置100Aは、多眼カメラ部300の左カメラ61(図2および図3のカメラ101)による被写体の撮影に基づいて得られる左画像21と、右カメラ62(図2のカメラ101、図3のカメラ103)による該被写体の撮影に基づいて得られる右画像22とに基づいて、該被写体についての立体画像29、すなわち左目用画像27および右目用画像28をそれぞれ生成する。
【0081】
図14および図15は、実施形態に係る情報処理装置100Aが立体画像29を生成する処理に係る動作フローS100およびS200をそれぞれ例示する図である。以下に、図5、図14、および図15などを適宜参照しつつ、情報処理装置100Aの各機能部の動作について説明する。
【0082】
情報処理装置100Aによる被写体の立体画像29の生成処理に先立って、多眼カメラ部300に設けられたカメラ101〜103のうち少なくとも2つのカメラの両方から該被写体が撮影できるように、情報処理装置100Aの位置および姿勢が操作者によって調整される。そして、情報処理装置100Aの位置および姿勢が調整された状態で、操作部42に設けられた撮影ボタンが操作されると、図5に示されるように、多眼カメラ部300による撮影動作の開始を指示する操作信号52が取得部12に供給される。
【0083】
取得部12は、撮影動作の開始を指示する操作信号52を受け付けると、予め設定された動作モードに応じて、情報処理装置100Aの姿勢を表現した姿勢センサ47からの出力信号51、操作信号52、および記憶装置46などに記憶された撮影済みの左画像21(右画像22)の少なくとも1つを情報処理装置100Aの姿勢の判定用の判定用情報55として判定部14に供給するとともに、撮影動作の開始を指示する操作信号52を制御部13へと供給する。
【0084】
○判定部14の動作:
判定部14は、取得部12から供給された判定用情報55(図5)に基づいて情報処理装置100Aの姿勢を判定する(図14のステップS110)。該判定のための処理として、判定部14は、例えば、操作信号52のうち撮影時の情報処理装置100Aの姿勢を表現した信号に基づいて情報処理装置100Aの姿勢を判定する処理、姿勢センサ47の出力信号51に基づいて情報処理装置100Aの姿勢を判定する処理、撮影済みの左画像21および右画像22の少なくとも一方に対してOCR(optical character recognition)を施して画像中の文字の方向を判定することなどによって情報処理装置100Aの姿勢を判定する処理のうち少なくとも1つの処理を行う。また、撮影済みの左画像21または右画像22に基づいた情報処理装置100Aの姿勢の判定処理として、例えば、画像に対する人物認識処理を施して抽出された人物の両目の配列方向などの特徴部分に基づいて、判定部14が情報処理装置100Aの姿勢を判定する処理が採用されてもよい。判定部14によって判定された情報処理装置100Aの姿勢は、姿勢情報54として選択部15および報知部17に供給される。
【0085】
○選択部15の動作:
選択部15は、姿勢情報54を供給されると、姿勢情報54と、記憶装置46に記憶された多眼カメラ部300の各カメラの配置情報53とに基づいて、判定部14によって判定された情報処理装置100Aの姿勢情報54に応じて、多眼カメラ部300における3以上のカメラのうち相互間の基線方向が水平方向に最も近い2つのカメラを左カメラ61および右カメラ62としてそれぞれ選択する(図14のステップS120)。該選択は、多眼カメラ部300の各カメラの中から、実際の被写体における水平方向に最も近い方向の視差を有する左画像21および右画像22を撮影可能な一対のカメラを選択するために行われる。
【0086】
図11は、左カメラ61と右カメラ62とが選択部15によって選択される様子の1例を示す図である。図11においては、多眼カメラ部300における各カメラの相互間の基線方向のうちカメラ101とカメラ102とにおける基線方向が水平方向H1に最も近くなっている。従って、選択部15は、カメラ101および102を、左カメラ61および右カメラ62としてそれぞれ選択する。そして選択部15は、多眼カメラ部300における各カメラのうち選択された左カメラ61および右カメラ62をそれぞれ特定する選択情報81(図5)を制御部13へと供給する。
【0087】
○多眼カメラ部300および制御部13の動作:
制御部13は、取得部12から撮影動作の開始を指示する操作信号52を供給され、選択部15から選択情報81を供給されると、多眼カメラ部300の各カメラのうち選択情報81によって特定される左カメラ61および右カメラ62のそれぞれに撮影動作を行わせる制御信号56(図5)を、多眼カメラ部300に供給する。
【0088】
多眼カメラ部300は、制御信号56が供給されると、左カメラ61および右カメラ62によって互いに異なる方向から被写体を撮影する撮影動作を行う(図14のステップS130)。該撮影動作が終了すると、多眼カメラ部300の左カメラ61および右カメラ62によってそれぞれ撮影された被写体についての左画像21および右画像22が、それぞれ生成される。生成された左画像21および右画像22は、取得部12へと供給される。また、左画像21および右画像22の撮影に際して、例えば、多眼カメラ部300に測距センサが搭載されている場合には、多眼カメラ部300は、該測距センサによって測定された多眼カメラ部300に対する被写体の距離65(図5)を、左画像21および右画像22とともに取得部12に供給する。
【0089】
○取得部12による左画像21および右画像22の取得などの動作:
生成された被写体の左画像21および右画像22は、入出力部41(図4)を介して取得部12へと供給され、取得部12によってそれぞれ取得される(図14のステップS140)。取得された左画像21および右画像22は、生成部16へと供給される。
【0090】
図7は、左画像21および右画像22のそれぞれの1例として、情報処理装置100Aの姿勢が図2に示される姿勢である場合における左画像21eと右画像22eとをそれぞれ示す図である。
【0091】
図7において、左画像21eと、右画像22eとには、多眼カメラ部300に対して+Z方向に位置する同一の近側被写体についての近景被写体像66cおよび66dがそれぞれ撮影されているとともに、多眼カメラ部300に対して+Z方向に該近側被写体より遠方にある同一の遠側被写体についての遠景被写体像67cおよび67dがそれぞれ撮影されている。図7においては、説明を容易にするために、各被写体像のそれぞれにおける各特徴部のエッジ(輪郭)のみが表示されている。また、近景被写体像66c上の画素68cおよび近景被写体像66d上の画素68dは、近側被写体の同一の点にそれぞれ対応した画素であり、遠景被写体像67c上の画素69cおよび遠景被写体像67d上の画素69dは、遠側被写体の同一の点にそれぞれ対応した画素である。また、視差9aは、画素68cと画素68dとについての視差であり、視差9bは、画素69cと画素69dとについての視差である。図7においては、左画像21eと右画像22eとは、視差の把握を容易にするため該両画像の左端(右端)のX座標が等しくなるように鉛直方向(図7のY軸方向)に並べて表示されている。
【0092】
なお、本願においては、左画像21および右画像22(後述する左目用画像27および右目用画像28についても同様)との間における物体の同一部分を捉えた画素の位置のずれ量、より詳細には、物体の同一部分にそれぞれ対応した左画像21における注目画素と右画像22における対応画素とにおいて、(2)式によって、左画像21の画像空間における注目画素の位置(X座標)から右画像22の画像空間における対応画素の位置(X座標)が減算された減算結果は、「視差」とも称される。
【0093】
【数2】

【0094】
図7に示されるように、視差9aおよび視差9bは、水平方向(X軸方向)に生じている。また、多眼カメラ部300に対する近側被写体と遠側被写体とのそれぞれの距離の差異に起因して視差9aと視差9bとは異なった値となっている。より詳細には、視差9aと視差9bは、ともに正の値を有しており、近側被写体に対応した視差9aの方が遠側被写体に対応した視差9bよりも視差の大きさが大きくなっている。このように視差の大きさは、画像上の画素に対応した被写体上の点の多眼カメラ部300からの距離に応じて変動する。
【0095】
ここで、左画像21および右画像22(または、左目用画像27および右目用画像28)が立体画像として表示部43の表示画面に表示された場合、視差の値が正であれば、左目用画像における注目画素および右目用画像における対応画素に対応した物体の同一部分は、表示画面よりも近方に観察される。また、視差の値が零であれば、該同一部分は、表示画面と同じ位置に観察される。また、視差の値が負であれば、該同一部分は、表示画面よりも遠方に観察される。
【0096】
従って、図7に示された左画像21と右画像22とが、このままの状態で表示部43の表示画面に立体画像として表示された場合には、視差9aに対応した近側被写体上の点は、視差9bに対応した遠側被写体上の点よりも近方に観察されるとともに、これら2つの点は、ともに該表示画面よりも近方に観察される。従って、情報処理装置100Aにおいては、設定された動作モードに応じて、例えば、被写体の立体画像が表示部43の表示画面の前後方向、または主に表示画面の後方向に観察されるように左画像21および右画像22の視差の調整が生成部16によって行われる。
【0097】
また、取得部12は、設定された動作モードに応じて、過去の撮影動作によって撮影されて記憶装置46に記憶された左画像21および右画像22を対象とした対応点探索処理を行うことによって、例えば、左画像21の各画素にそれぞれ対応した右画像22の各対応画素を探索し、(2)式によって左画像21と右画像22との間における各視差を求める。なお、取得部12は、例えば、NCC(Normalized Cross Correlation)法、SAD(Sum of Absolute Difference)法、またはPOC(Phase Only Correlation)法などの相関演算手法を用いて対応点探索処理を行う。取得部12は、左画像21と右画像22との間における各視差に基づいて、例えば、双方の画像における主要被写体に係る各視差の平均値などを左画像21と右画像22との間における各視差の代表値として取得する。
【0098】
また、通常、被写体が撮影された画像の彩度は、撮像装置に対して被写体が近いほど彩度が高く、被写体が遠いほど彩度が低くなるので、取得部12が、設定された動作モードに応じて、例えば、左画像21の彩度に基づいた推定によって被写体の多眼カメラ部300からの距離を取得してもよい。
【0099】
取得部12は、動作モードに応じて、多眼カメラ部300から供給される被写体の距離65、視差の代表値、画像情報から推定した被写体の距離のうち少なくとも1つを距離情報58として報知部17に供給する。なお、本願においては、「視差」と「距離」との総称として「距離情報」という用語を使用する。
【0100】
◎生成部16の動作:
取得部12から左画像21および右画像22をそれぞれ供給されると、生成部16は、左画像21および右画像22の視差の調整を行う動作モードの設定がされているか否かを確認する(図14のステップS150)。
【0101】
ステップS150での確認の結果、左画像21と右画像22との視差の調整を行う動作モードが設定されていた場合には、生成部16は、左画像21と右画像22との上述した視差の調整を行い(図14のステップS160)、視差がそれぞれ調整された左画像21および右画像22を、立体画像29を構成する左目用画像27および右目用画像28として生成する。
【0102】
ステップS150での確認の結果、左画像21と右画像22との視差の調整を行う動作モードが設定されていない場合には、生成部16は、左画像21および右画像22をそのままの状態で、立体画像29を構成する左目用画像27および右目用画像28として生成する。
【0103】
生成部16によって生成された立体画像29は、表示部43へと供給され、表示部43の表示画面に立体画像として表示される(図14のステップS170)。また、立体画像29は、記憶装置46に供給されて記憶される。
【0104】
図2に示される姿勢の情報処理装置100Aの左カメラ61(カメラ101)および右カメラ62(カメラ102)によって左画像21および右画像22がそれぞれ撮影され、撮影された左画像21および右画像22に基づいて生成された立体画像29が、図2における表示部43に表示された場合において、表示部43を観察する観察者の左目と右目との配列方向が、水平方向(X軸方向)である場合には、観察者の両目の配列方向と、画像間の視差の方向とが一致するため、観察者は立体を認識できる。なお、表示部43が、例えば、パララックスバリア方式のディスプレイである場合には、表示部43における各バリアの長手方向はY軸方向(鉛直方向)に沿うように設定される。
【0105】
また、生成された立体画像29は、多眼カメラ部300におけるカメラの各対のそれぞれによる被写体の撮影に基づいて生成され得る各立体画像のうち、実際の被写体における水平方向に最も近い方向の視差を有する立体画像、すなわち、該各立体画像のうち観察者が覚える被写体の向きに関する違和感が最も小さくなる立体画像である。
【0106】
◎報知部17の動作:
報知部17は、多眼カメラ部300における3以上のカメラの相互間における各基線方向の何れか1つの基線方向を特定するとともに、特定された基線方向を水平方向とするような情報処理装置100Aの推奨される姿勢(「推奨姿勢」とも称される)に関する推奨姿勢情報59(図5)を操作者に報知する。報知部17が、推奨姿勢情報59を、例えば、表示部43に表示することや、不図示のスピーカ部から音声として出力することなどにより操作者に報知することによって、操作者による撮影前の情報処理装置100Aの姿勢決めが容易となる。
【0107】
図15は、報知部17による推奨姿勢情報59の報知動作に係る情報処理装置100Aの動作フローS200を例示する図である。動作フローS200は、例えば、図14に示された動作フローS100におけるステップS110の開始前、または、ステップS170の終了後などにCPU11A(報知部17)によって実行される。ステップS110の開始前の動作フローS200の実施は、例えば、情報処理装置100Aの電源投入による情報処理装置100Aの初期化動作の終了後、動作フローS100が開始されるまでの間に、所定の時間間隔で動作フローS200が繰り返し実行されることなどによって実現される。また、ステップS170の終了後の動作フローS200は、例えば、直近の立体画像29の生成動作の結果に基づいて新たな立体画像29の生成に用いられる左画像21と右画像22との撮影に係る情報処理装置100Aの姿勢を設定する操作を容易にするために、ステップS170の終了後、新たな動作フローS100が開始されるまでの間に、所定の時間間隔で動作フローS200が繰り返し実行されることなどによって実現される。
【0108】
動作フローS200が開始されると、報知部17は、情報処理装置100Aの推奨姿勢を決定するための情報を取得する(図15のステップS210)。該推奨姿勢を決定するための情報は、具体的には、例えば、記憶装置46に記憶された多眼カメラ部300の各カメラの配置情報53、表示部43における立体画像の表示条件情報57、および取得部12から供給される被写体の距離情報58、判定部14から供給される情報処理装置100Aの姿勢情報54などである。該推奨姿勢を決定するための情報が取得されると、報知部17は、情報処理装置100Aの推奨姿勢を決定する(図15のステップS220)。
【0109】
情報処理装置100Aの推奨姿勢の決定は、設定された動作モードに応じて、例えば、処理(a−1)、処理(a−2)などとして実現される。
【0110】
・処理(a−1):
処理(a−1)においては、報知部17は、被写体の距離情報58から立体画像29における目標視差を算出し、配置情報53における多眼カメラ部300の各カメラ間の基線長情報などに基づいて情報処理装置100Aの推奨姿勢情報を決定する。
【0111】
具体的には、報知部17は、情報処理装置100Aに対する被写体の距離情報58に応じて、多眼カメラ部300における各カメラの相互間における各基線長のうち被写体の立体画像において予め設定された条件を満たす視差を生ずる1つの基線長を特定する。そして報知部17は、特定された該1つの基線長に係る1つの基線方向が水平方向となる情報処理装置100Aの姿勢に基づいて情報処理装置100Aの推奨姿勢を決定する。
【0112】
ここで、観察者が表示部43の表示面の一点を見たときの両眼の視線の輻輳角と、立体画像29に係る立体を見たときの該輻輳角との差は、「視差角」とも称される。一般に、視差角が1度以内であれば、観察者は、表示部43の表示面に焦点を合わせつつ表示面の前後に立体を快適に認識することができる。1度以内の視差角を与える立体画像の視差の範囲は、表示条件情報57と、多眼カメラ部300における各カメラの配置情報53とに基づいて算出される。
【0113】
また、立体画像における、上述した予め設定された条件とは、例えば、観察者が表示部43の表示面に焦点を合わせつつ表示面の前後に立体を快適に認識できる視差の範囲内で最も大きな視差を有することなどである。上述したように該条件は、表示条件情報57に基づいて算出されれば精度良く算出され得るが、例えば、表示部43に係る実際の表示条件情報57が用いられることなく、予め設定された標準的な表示条件情報57が用いられたとしても本発明の有用性を損なうものではない。
【0114】
・処理(a−2):
処理(a−2)において、報知部17は、表示部43の設定可能な視差の方向情報と、情報処理装置100Aの姿勢情報54とに基づいて情報処理装置100Aの推奨姿勢情報を決定する。
【0115】
具体的には、報知部17は、表示部43における立体画像29の表示条件情報57に基づいて特定された設定可能な表示部43の各視差方向のうち、例えば、現在の情報処理装置100Aの姿勢において水平方向に最も近い1つの視差方向を特定するとともに、特定された該視差方向が水平方向となる情報処理装置100Aの姿勢を情報処理装置100Aの推奨姿勢として決定する。
【0116】
情報処理装置100Aの推奨姿勢が決定されると、報知部17は、情報処理装置100Aの推奨姿勢に係る推奨姿勢情報59を報知する(ステップS230)。推奨姿勢情報59は、決定された情報処理装置100Aの推奨姿勢そのものとして報知されたとしても、また、現在の情報処理装置100Aの姿勢情報54と、決定された情報処理装置100Aの推奨姿勢との差分情報として報知されたとしても本発明の有用性を損なうものではない。
【0117】
推奨姿勢情報59は、報知部17によって推奨姿勢情報59が求められる度に報知されても良いが、例えば、決定された情報処理装置100Aの推奨姿勢と、判定部14によって判定された情報処理装置100Aの姿勢情報54に係る姿勢とが異なる場合にのみ推奨姿勢情報59が報知されたとしても本発明の有用性を損なうものではない。
【0118】
上述したように、情報処理装置100Aにおいては、判定部14によって判定された情報処理装置100Aの姿勢に応じて、選択部15によって多眼カメラ部300が有する3以上のカメラのうち相互間の基線方向が水平方向に最も近い2つのカメラが左カメラ61および右カメラ62として選択される。そして、選択部15によって選択された2つのカメラによってそれぞれ撮影された被写体の左画像21および右画像22に基づいて被写体の立体画像が生成部16によって生成されるので、情報処理装置100Aの姿勢に関わらず、実物の被写体における水平方向の視差を有する被写体の立体画像が生成される可能性を高めることができる。
【0119】
<変形例について:>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0120】
例えば、情報処理装置100Aが、その各機能要素を全て備えた筐体200Aによって構成されていてもよい。また、情報処理装置100Aが、例えば、多眼カメラ部300および姿勢センサ47などをそれぞれ備えたデジタルスチルカメラ、またはデジタルビデオカメラであったとしても本発明の有用性を損なうものではない。
【0121】
また、上述した情報処理装置100Aにおいては、情報処理装置100Aの姿勢に応じて多眼カメラ部300の各カメラのうち左カメラ61と右カメラ62とが選択されるとともに、選択された左カメラ61と右カメラ62とによって被写体がそれぞれ撮影された左画像21および右画像22が取得され、左画像21および右画像22に基づいて立体画像29が生成されていた。しかしながら、例えば、多眼カメラ部300の全てのカメラによって被写体の各画像がそれぞれ撮影されるとともに、該各画像のうち選択された左カメラ61と右カメラ62との被写体の撮影に関する画像が左画像21および右画像22としてそれぞれ特定されて立体画像29の生成に用いられたとしても本発明の有用性を損なうものではない。
【0122】
また、多眼カメラ部300における3以上のカメラのうち少なくとも1つのカメラの焦点距離が可変であってもよい。より詳細には、判定部14によって該少なくとも1つのカメラのうち1つが、左カメラ61および右カメラ62のうち一方として選択された場合に、選択された左カメラ61および右カメラ62のうち他方のカメラの焦点距離と、該一方のカメラの焦点距離とが等しくなるように該一方のカメラの焦点距離が調整されてもよい。該調整は、例えば、制御部13が該一方のカメラの焦点距離を調整する調整手段として機能し、多眼カメラ部300における焦点距離の制御機構を制御することなどによって行われる。
【0123】
左カメラ61および右カメラ62の焦点距離、すなわち撮影倍率が異なったとしても、それぞれのカメラの一方によって撮像された画像の解像度を他方のカメラの解像度に合わせる調整(「画像の倍率調整」)を行うことなどによって、左カメラ61と右カメラ62とによって撮影された左画像21および右画像22に基づいて、被写体の立体画像を生成できるので、左カメラ61および右カメラ62の焦点距離が異なったとしても本発明の有用性を損なうものではない。しかし、左カメラ61と右カメラ62との撮影倍率を等しく調整できれば、画像の倍率調整を行うことなく被写体の立体画像を生成することができるので処理コストを低減できるとともに、被写体の撮影に係る画角の調整が容易にすることもできる。
【0124】
また、図12および図13は、変形例に係る情報処理装置100Bにおける各カメラの相互間の基線方向と表示部の視差方向との関係の1例を示す図である。情報処理装置100Bは、筐体200B、不図示の筐体250A、および不図示のヒンジ部400を主に備えて構成されている。情報処理装置100Bは、その多眼カメラ部としてカメラ101〜104の4つのカメラを筐体250Aの裏面に有していることを除いて、情報処理装置100Aと同様の構成を有している。
【0125】
カメラ101〜カメラ104の相互間の各基線方向のうちカメラ101および102と、カメラ101および103と、カメラ101および104とのそれぞれにおける基線方向91a、91b、および91dと、表示部43における視差方向92a、92b、および92dとがそれぞれ一致している。すなわち、表示部43は、互いに異なる予め設定された視差方向92a、92b、および92dに視差をそれぞれ有する各立体画像をそれぞれ表示することができる。情報処理装置100Bのように表示部43において予め設定された各視差方向と、筐体200Bにおける3以上のカメラの相互間の各基線方向のうち一部の各方向とがそれぞれ一致しているとしても本発明の有用性を損なうものではない。
【符号の説明】
【0126】
100A,100B 情報処理装置
200A,200B,250A 筐体
400 ヒンジ部
21 左画像
22 右画像
27 左目用画像
28 右目用画像
29 立体画像
51 出力信号
52 操作信号
53 配置情報
54 姿勢情報
55 判定用情報
56 制御信号
57 表示条件情報
58 距離情報
59 推奨姿勢情報
81 選択情報
61 左カメラ
62 右カメラ
66c,66d 近景被写体像
67c,67d 遠景被写体像
101,102,103,104 カメラ
b1,b2 基線長
DL1,DL2 データ線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置であって、
2次元的または3次元的に分散配置された3以上の撮像系を有する撮像手段と、
前記情報処理装置の姿勢を判定する判定手段と、
前記判定手段によって判定された前記情報処理装置の姿勢に応じて、前記3以上の撮像系のうち相互間の基線方向が水平方向に最も近い2つの撮像系を選択撮像系として選択する選択手段と、
前記選択撮像系によってそれぞれ撮影された被写体の画像に基づいて前記被写体の立体画像を生成する生成手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載された情報処理装置であって、
前記選択手段が、
前記判定手段によって判定された前記情報処理装置の姿勢が、前記3以上の撮像系のうち2つの撮像系の基線方向が水平方向と一致する姿勢であるときには、当該2つの撮像系を前記選択撮像系として選択することを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載された情報処理装置であって、
前記3以上の撮像系が、
仮想的な直角三角形の各頂点位置に配置された3つの撮像系を含むことを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載された情報処理装置であって、
前記直角三角形が不等辺三角形であることを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載された情報処理装置であって、
ユーザに正対したときの左右方向と上下方向とがあらかじめ定義された情報伝達領域を有し、前記情報伝達領域を用いて前記情報処理装置とユーザとの間での情報の授受を行うヒューマンインターフェイス手段、
をさらに備え、
前記直覚三角形の第1辺と第2辺との方向を、前記情報伝達領域の前記左右方向と前記上下方向とにそれぞれ一致させていることを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載された情報処理装置であって、
前記ヒューマンインターフェイス手段が、
複数の方向にそれぞれ視差を有する各立体画像をそれぞれ表示可能な表示手段を備え、
前記複数の方向は、前記3以上の撮像系の相互間の基線方向に一致していることを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
請求項5に記載された情報処理装置であって、
前記ヒューマンインターフェイス手段が、
複数の方向にそれぞれ視差を有する各立体画像をそれぞれ表示可能な表示手段を備え、
前記複数の方向は、前記3以上の撮像系の相互間の基線方向からなる集合の中に含まれていることを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7の何れか1つの請求項に記載された情報処理装置であって、
前記3以上の撮像系の中の特定の基線方向を水平方向とするような前記情報処理装置の推奨姿勢の情報をユーザに報知する報知手段、
を更に備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載された情報処理装置であって、
前記情報処理装置から前記被写体までの距離情報に応じて、前記3以上の撮像系の相互間における各基線長のうち被写体の立体画像において予め設定された条件を満たす視差を生ずる1つの基線長を特定するとともに、特定された該1つの基線長に係る1つの基線方向を水平方向とするような前記情報処理装置の推奨姿勢の情報をユーザに報知する報知手段、
を更に備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
請求項9に記載された情報処理装置であって、
前記報知手段が、
立体画像の画像表示条件に基づいて前記1つの基線長を特定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項11】
請求項6または請求項7に記載された情報処理装置であって、
前記立体画像の表示における視差方向を水平方向とするような前記情報処理装置の推奨姿勢の情報をユーザに報知する報知手段、
を更に備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項12】
請求項8から請求項11の何れか1つの請求項に記載された情報処理装置であって、
前記報知手段が、
前記判定手段によって判定された前記情報処理装置の姿勢が前記推奨姿勢とは異なる場合に、前記推奨姿勢の情報をユーザに報知することを特徴とする情報処理装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12の何れか1つの請求項に記載された情報処理装置であって、
前記3以上の撮像系のうち少なくとも1つの撮像系は焦点距離が可変であり、
前記選択手段によって前記少なくとも1つの撮像系のうち1つが、前記選択撮像系のうち一方として選択された場合に、前記選択撮像系のうち他方の撮像系の焦点距離と、該一方の撮像系の焦点距離とが等しくなるように該一方の撮像系の焦点距離を調整する調整手段、
を更に備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項14】
情報処理装置に搭載されたコンピュータにおいて実行されることにより当該情報処理装置を請求項1から請求項13の何れか1つの請求項に記載の情報処理装置として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項15】
2次元的または3次元的に分散配置された3以上の撮像系を有する撮像手段を備えた情報処理装置の姿勢を判定する判定工程と、
前記判定工程によって判定された前記情報処理装置の姿勢に応じて、前記3以上の撮像系のうち相互間の基線方向が水平方向に最も近い2つの撮像系を選択撮像系として選択する選択工程と、
前記選択撮像系によってそれぞれ撮影された被写体の画像に基づいて前記被写体の立体画像を生成する生成工程と、
を備えることを特徴とする情報処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−199759(P2012−199759A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62271(P2011−62271)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】