説明

情報処理装置、データ保存方法、およびデータ保存プログラム

【課題】管理者等の特定のユーザの煩雑な作業を必要とせず、公開基準に則ったデータを公開するよう記憶装置に記憶させることのできる情報管理装置を提供する。
【解決手段】情報利用装置から指定されたデータの保存命令を受取ると、情報管理装置であるNASは、指定された保存先を特定し(S300)、その保存先のフォルダに設定されている公開ルールを示す情報を読出す(S301)。NASは予め公開ルールを記載しているタグについて判断方法を記憶しておき、記憶された判断方法と読出した公開ルールとを比較して判断手法を決定し(S303)、当該データが公開ルールに則っているか判断する(S305)。則っている場合には(S307でYES)指定された公開フォルダに保存して公開し(S309)、則っていない場合には(S307でNO)情報利用装置に対して通知し(S311)、非公開フォルダに当該データを保存する(S313)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は情報処理装置、データ保存方法、およびデータ保存プログラムに関し、特に、共有するデータを記憶する記憶装置に対してデータを保存する情報処理装置、データ保存方法、およびデータ保存プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク環境において、記憶装置に保存されたファイルを共有するシステムが構築されることがある。そのファイル共有システムにおいては、共有するファイルについて公開基準を定め、公開基準に則ったファイルが公開されて共有される仕組みとなっていることがある。
【0003】
しかしながら、ファイル共有システムにおいては、記憶装置に公開基準に則っていないファイルが保存されてしまう場合がある。公開基準に則っていないファイルが、公開基準に則っているファイルと混在して保存されて公開されることは、公開基準に則っているファイルの一覧性を妨げることにつながる。その結果、公開基準に則っているファイルへのアクセス効率を低下させることになる。
【0004】
特開2002−215644号公報(以下、特許文献1)は、ファイルに対してステートと呼ばれる状態を示す情報を付与し、ステートを利用してファイルを自動的に分類する管理方法を開示している。特許文献1の管理方法では、登録された直後のファイルには暫定的に非公開を示すステートが付与される。その後、管理者がファイルを確認してステータスを決定し、非公開から決定した状態を示すステータスに変更することで、そのファイルの公開/非公開が設定されるものである。
【特許文献1】特開2002−215644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の管理方法では、管理者等の特定のユーザがすべてのファイル内容をチェックし、登録時に付与されたステータスを変更する必要がある。そのため、管理者等の特定のユーザの作業が煩雑で、負担を強いるという問題がある。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、管理者等の特定のユーザの煩雑な作業を必要とせず、公開基準に則ったデータを公開するよう記憶装置に記憶させることのできる情報管理装置、データ保存方法、およびデータ保存プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、情報管理装置は、所定のユーザに対して公開するデータを記憶する仮想的な記憶領域である、第1の記憶領域と、特定のユーザに対して公開し、特定のユーザ以外のユーザに対して非公開とするデータを記憶する仮想的な記憶領域である、第2の記憶領域とが設定されたデータ保持手段と接続され、情報利用装置から、データを第1の記憶領域に保存するための命令を受信する受信手段と、上記命令において指定されたデータが、第1の記憶領域に対して設定された、保存するデータの基準である第1基準を満たしているか否かを判断することで、データを第1の記憶領域に保存するか否かを決定する判断手段と、判断手段での判断結果に応じて、データをデータ保持手段に保存する保存手段とを備え、保存手段は、判断手段においてデータを第1の記憶領域に保存すると決定された場合に、データを第1の記憶領域に保存し、判断手段においてデータを第1の記憶領域に保存しないと決定された場合に、データを第2の記憶領域に保存する。
【0008】
好ましくは、データ保持手段において、所定のユーザに対して公開するデータを記憶する仮想的な記憶領域である、第1の記憶領域を含んだ第3の記憶領域が設定されている場合、判断手段は、上記命令において指定されたデータが、第1基準、および第3の記憶領域に対して設定された、保存するデータの基準である第2基準を共に満たしているか否かを判断することで、データを第1の記憶領域に保存するか否かを決定する。
【0009】
より好ましくは、判断手段は、上記命令において指定されたデータが、第2基準を満たしているか否かの判断を、第1基準を満たしているか否かの判断よりも優先して行なう。
【0010】
好ましくは、上記命令において指定されたデータは、ファイルを収めたフォルダであり、判断手段は、上記フォルダおよび上記ファイルが共に第1基準を満たしているか否かを判断することで、上記フォルダを第1の記憶領域に保存するか否かを決定する。
【0011】
好ましくは、情報処理装置は、判断手段においてデータを第1の記憶領域に保存しないと決定された場合に、情報利用装置に対して、上記データを第1の記憶領域に保存しないことを通知する通知手段をさらに備える。
【0012】
より好ましくは、通知手段は、情報利用装置において上記命令を送信するための操作画面にポップアップの通知画面を表示させることで通知する第1の方法、情報利用装置に対してメールを送信して通知する第2の方法、および情報利用装置の表示画面に第2の記憶領域を示す情報をポップアップ表示させることで通知する第3の方法のうちの1以上を用いた方法で通知を行なう。
【0013】
好ましくは、判断手段は、さらに、上記命令に基づいて第2の記憶領域を決定し、第2の記憶領域は、上記命令から読出される、データを作成したユーザ、データを更新したユーザ、およびデータを保存したユーザのうちのいずれか、またはこれらの組合わせによって特定される領域である。
【0014】
好ましくは、第1基準には、保存するデータを識別する情報、保存するデータに付帯する情報、および保存するデータ内容の少なくとも1つが適用されている。
【0015】
本発明の他の局面に従うと、データ保存方法は、情報処理装置におけるデータ保存方法であって、情報処理装置は、所定のユーザに対して公開するデータを記憶する仮想的な記憶領域である、第1の記憶領域と、特定のユーザに対して公開し、特定のユーザ以外のユーザに対して非公開とするデータを記憶する仮想的な記憶領域である、第2の記憶領域とが設定されたデータ保持手段と接続され、情報利用装置から、データを第1の記憶領域に保存するための命令を受信するステップと、上記命令において指定されたデータが、第1の記憶領域に対して設定された、保存するデータの基準を満たしているか否かを判断することで、データを第1の記憶領域に保存するか否かを決定するステップと、データを第1の記憶領域に保存すると決定された場合に、データを第1の記憶領域に保存し、データを第1の記憶領域に保存しないと決定された場合に、データを第2の記憶領域に保存するステップとを備える。
【0016】
本発明のさらに他の局面に従うと、データ保存プログラムは、データ保存処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、コンピュータは、所定のユーザに対して公開するデータを記憶する仮想的な記憶領域である、第1の記憶領域と、特定のユーザに対して公開し、特定のユーザ以外のユーザに対して非公開とするデータを記憶する仮想的な記憶領域である、第2の記憶領域とが設定されたデータ保持手段と接続され、情報利用装置から、データを第1の記憶領域に保存するための命令を受信するステップと、上記命令において指定されたデータが、第1の記憶領域に対して設定された、保存するデータの基準を満たしているか否かを判断することで、データを第1の記憶領域に保存するか否かを決定するステップと、データを第1の記憶領域に保存すると決定された場合に、データを第1の記憶領域に保存し、データを第1の記憶領域に保存しないと決定された場合に、データを第2の記憶領域に保存するステップとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、管理者等の特定のユーザの煩雑な作業を必要とせず、ファイル共有システムにおいて、公開基準に則ったファイルを公開し、公開基準に則っていないファイルを非公開とすることができる。その結果、公開基準に則ったファイルと則っていないファイルとが混在して公開されているファイル共有システムと比較して、公開基準に則っているファイルの一覧性が向上する。そのため、公開基準に則っているファイルへのアクセス効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
【0019】
図1は、本実施の形態にかかるファイル共有システム(以下、システムと略する)の構成の具体例を示す図である。
【0020】
図1を参照して、本実施の形態にかかるシステムは、各々、情報入力装置である入力装置100A,100B…および情報出力装置であるモニタ101A,101B…に接続された、情報利用装置としてのパーソナルコンピュータ102A,102B…を含む。パーソナルコンピュータ102A,102B…を代表させてパーソナルコンピュータ(以下、PC)102と称し、入力装置100A,100B…を代表させて入力装置100と称し、モニタ101A,101B…を代表させてモニタ101と称する。入力装置100は、キーボードやマウスなどの指示操作を行なうための装置や、キーボードなどのテキスト情報を入力してテキストデータを入力するための装置や、スキャナなどの画像を読込んで画像データを入力するための装置や、記録媒体から記録されている情報を読込んで情報を入力するための読取装置などが該当する。
【0021】
PC102は通信回線103を介してハブ104と接続される。そのため、PC102A,102B…はハブ104を介して相互の通信が可能である。通信回線103は、たとえば赤外線通信などの無線による通信回線、およびイーサネット(登録商標)ケーブルなどの有線による通信回線を含む。ハブ104にはさらに情報管理装置および記憶装置としてのNAS(Network Attached Storage)106が接続される。そのため、NAS106とPC102とはハブ104を介して相互の通信が可能である。ハブ104にはルータ105が接続され、ルータ105を介して他のセグメント(システム)と相互に通信が可能となっている。
【0022】
なお、図1に示された構成はファイル共有システムの構成の1つの具体例であって、本発明においてファイル共有システムの構成は図1に示された構成に限定されない。たとえば、情報管理装置と記憶装置とが別装置で構成され、情報管理装置が記憶装置内のファイルを管理する構成であってもよい。また、ハブ104を含まず、PC102とNAS106とが直接接続される構成であってもよい。また、ルータ105を含まず、他のセグメントと通信を行なわない構成であってもよい。
【0023】
図2は、PC102のハードウェア構成の具体例を示すブロック図である。図2を参照して、PC102は、全体を制御するCPU(Central Processing Unit)20aと、CPU20aで実行されるプログラムやシステムで管理の対象となるファイルなどを記憶する記憶装置であるRAM(Random Access Memory)20b、ROM(Read Only Memory)20c、およびハードディスク20dと、CPU20aからの制御信号に従って各種処理を行なうための回路である各種回路20hと、ハブ104と接続するためのインタフェースである通信インタフェース(以下、I/F)20eと、モニタ101と接続するためのインタフェースである画像I/F20fと、入力装置100と接続するためのインタフェースである入力I/F20gとを含んで構成される。
【0024】
本実施の形態において、PC102は一般的なPCで構築され得る。そのため、図2に示されるハードウェア構成は一般的なPCのハードウェア構成である。したがって、PC102のハードウェア構成は図2に示された構成に限定されず、その他の構成が含まれていもよい。
【0025】
図3は、PC102の、本システムにおいてファイルを利用するための機能構成の具体例を示すブロック図である。図3に示される機能は、CPU20aがRAM20c等に記憶されるプログラムを実行することで実現される機能、および図2に示されたハードウェア構成によって実現される機能を含む。
【0026】
図3を参照して、PC102の上記機能は、認証部501、データ送受信部502、認証情報入力部503、指示/データ入力部504、データ/通知入力部505、表示処理部506、および認証情報保持部507を含んで構成される。
【0027】
認証情報入力部503は、キーボードやマウス等の入力装置100からの操作信号を受付けて、入力装置100から、ログイン名やパスワードなどのログインに必要な情報(認証情報と称する)の入力を受付ける。入力された認証情報は認証部501に入力され、認証処理が行なわれる。認証情報保持部507はRAM20cの所定領域などから構成され、図4に示されるようなログインデータテーブルとして、ログインを許可するユーザについての認証情報を保持する。具体的には、ユーザ名と、パスワードとを関連付けて記憶する。記憶されるパスワードは、入力装置100から入力されるパスワードそのものであってもよいし、入力されるパスワードのハッシュ値等、パスワードから算出される関数値であってもよい。認証部501は、認証情報保持部507に保持されるログインデータテーブル(図4)と認証情報入力部503が受付けた認証情報とを比較し、認証を行なう。認証に成功の場合には、入力された認証情報はデータ送受信部502に渡される。データ送受信部502は通信回線103およびハブ104を介してNAS106などとデータを送受信するための処理を行なう。そこで、認証部501から入力された認証情報は、データ送受信部502よりNAS106に送信される。
【0028】
指示/データ入力部504は、キーボードやマウス等の入力装置100からの操作信号を受付けて、入力装置100から、NAS106に対する指示やデータの入力を受付ける。入力された指示やデータはデータ送受信部502に渡され、NAS106に送信される。
【0029】
データ/通知入力部505は、データ送受信部502がNAS106から受信した信号を受付けて、データや通知の入力を受付ける。入力されたデータや通知は表示処理部506に渡され、モニタ101に表示するための処理が行なわれる。
【0030】
本実施の形態において、NAS106も一般的なPCで構築され得る。そのため、図2に示されるPC102のハードウェア構成の具体例は、NAS106のハードウェア構成の具体例でもあるものとする。
【0031】
図5は、NAS106において、保存されているファイルを管理するための機能構成の具体例を示すブロック図である。図5に示される機能は、NAS106のCPUがRAM等に記憶されるプログラムを実行することで実現される機能および図2に示されたハードウェア構成によって実現される機能を含む。
【0032】
図5を参照して、NAS106の上記機能は、認証部201、認証情報保持部207、管理対象のファイルを保持する保持部205、保持部205に保持されるファイルを操作するための操作部203、判断部204、通知部206、およびデータ送受信部202を含んで構成される。
【0033】
本実施の形態にかかるシステムはフォルダを用いてデータの分類を行なうシステムであり、フォルダごとに、ユーザ別のアクセス権を設定することができるものとする。保持部205は、RAMやハードディスク等の記憶装置の所定領域で構成され、公開領域2051としての記憶領域と、非公開領域2053としての記憶領域と、設定記憶領域2055とを含む。本実施の形態においては、図6に示されるように、保持部205の公開領域2051および非公開領域2053にデータが保持されているものとして、以下の説明を行なう。
【0034】
非公開領域2053は、ユーザ別のアクセス権が設定された、特定のユーザのみがアクセスできるフォルダを保持する領域である。図6の例では、非公開領域2053に「User1」,「User2」フォルダなどが保持されている。したがって、「User1」,「User2」フォルダなどは、各々、設定された特定のユーザにのみアクセスが許可されている。なお、以降の例において、設定された特定のユーザにのみアクセスが許可されているフォルダを、「非公開フォルダ」と称するものとする。ここでの「非公開」は、すべてのユーザに対してアクセスを許可していないことを指すのではなく、設定された特定のユーザにのみアクセスを許可し、設定されていないユーザに対してアクセスを許可していないことを指す。
【0035】
公開領域は、特定のユーザに対してのみアクセス権が設定されたものではない、当該システムを利用し得るどのユーザであってもアクセス可能なフォルダ、または任意のユーザからなるユーザグループによってアクセス可能なフォルダを保持する領域である。図6の例では、公開領域2051に、「Readme」,「Doc」フォルダなどが保持されている。したがって、「Readme」,「Doc」フォルダは、どのユーザに対しても、または任意のユーザからなるユーザグループに対してアクセスが許可されている。なお、以降の例において、どのユーザに対しても、または任意のユーザからなるユーザグループに対してアクセスが許可されているフォルダを、「公開フォルダ」と称するものとする。
【0036】
公開フォルダには、公開ルールを示すデータが保持されている。「公開ルール」とは、当該公開フォルダにファイルやデータを保存し、本システムで公開するために、当該公開ファイルに対して規定された公開基準を指す。本実施の形態においては、公開ルールを示すデータはpublic.ruleという名前のXML形式のテキストファイルであるものとし、対象とする公開フォルダに保持するものとする。また、管理者等の所定のユーザにのみ書替えや削除が許可された管理者権限のファイルである。図6の具体例において、公開フォルダである「Doc」フォルダには公開ルールとしてのXML形式のテキストファイルであるデータ「public.rule」が保持されている。なお、公開ルールを示すデータの形式はファイル形式に限定されず、たとえばレジストリ等、他の形式であってもよい。また、XML形式にも限定されず、他の形式であってもよい。さらに、公開ルールを保持する方法は該当する公開フォルダに保持する方法に限定されず、他の方法が採用されてもよい。他の方法としては、たとえば、所定記憶領域に公開フォルダとその公開フォルダに設定された公開ルールを示すデータとを関連付けて記憶する方法であってもよい。なお、公開ルールについては、具体例を後述する。
【0037】
公開フォルダおよび非公開フォルダは、本システムの管理者等特定のユーザや特定の操作をすることによって設定される。たとえば、管理者等の特定のユーザによって、非公開フォルダについて、ユーザ別のアクセス権の設定や変更がなされてもよい。また、公開フォルダの公開ルールの設定や変更がなされてもよい。
【0038】
なお、ここで、「領域」とは、ハードディスクやRAMなどのハードウェアのメモリ上の物理的な領域を指すものではなく、ファイルを置くことができる、仮想的な領域(ディレクトリ)を指すものとする。たとえばWindows(登録商標)やLinux(登録商標)などのOS(Operating System)では、「領域」は表示画面上でフォルダとして実現される。以下の例では「領域」がフォルダで実現されるものとする。
【0039】
さらに、上述のOSでは、フォルダやファイルのアドレスがパス(Path)で表現される。たとえば、ファイル「data.txt」のパス「/Doc/予算/temp/data.txt」は、図7に示されるように、ルートフォルダ(図7(A))に含まれる「Doc」フォルダ(図7(B))内の、「予算」フォルダ(図7(C))内の、「temp」フォルダ(図7(D))内のファイル「data.txt」のアドレスを示している。このアドレスは、ファイル「data.txt」のデータをハードウェアのメモリ上から読込むためには、メモリ上の物理的な位置と対応付けられていることになる。しかし、そのデータ自体はメモリ上で分散して記憶されても構わない。つまり、このアドレスは、メモリ上の物理的な領域を示すものではない。仮想的な領域としてのフォルダは、仮想的にその下位のフォルダやファイルが収められているものと考えることができる。そして、図7のように、収められている下位のフォルダやファイルを、リストとして表示することができる。
【0040】
再度図3を参照して、データ送受信部202は、通信回線103を介してPC102等の他の装置から送信されるパケットを受信し、そのパケットの中からNAS106に宛てて送信されたパケットをデータに復元する。
【0041】
復元されたデータがファイルやフォルダを操作するための操作信号である場合には、復元されたデータは操作部203に入力され、操作部203において解析処理され、解析結果が判断部204に入力される。
【0042】
判断部204は操作部203での解析結果に基づいて処理内容を判断し、必要な制御信号を操作部203および/または通知部206に入力する。その際、必要に応じて公開領域2051および非公開領域2053に保持されているファイルやフォルダに設定された権限を参照する。設定された権限を示す情報は、各ファイルやフォルダに付帯されていてもよいし、図8に示されるように、たとえばテーブル形式などのデータとして、設定記憶領域2055に別途記憶されていてもよい。具体的には、図8に示されるように、ファイルまたはフォルダを特定する情報(たとえばファイル名・フォルダ名)と、そのファイルまたはフォルダにアクセスが許可されているユーザを特定する情報(たとえばユーザ名)と、許可されているアクセスの種類と、そのファイルまたはフォルダのオーナー(作成者、管理者等のユーザ名)を特定する情報とを関連付けて記憶することが好ましい。
【0043】
なお、アクセスの種類としては、「読取り」(図8では「読可」)、「書込み」(同「書可」)、および「実行」(同「実行可」)が具体的に挙げられ、各ファイルまたはフォルダについて、各々の可/不可が設定される。各内容は、図9のように予めNAS106に対して設定されているものとする。具体的には、「読取り」はファイルやフォルダの読出しを指し、具体的には、NAS106に保持されているファイルやフォルダをPC102の作業領域にコピーしてモニタ101に表示させることを指す。「書込み」はNAS106に保持されているファイルの変更や、NAS106の記憶領域に新たなファイルを作成することや、ファイルに設定されている権限の変更、NAS106の記憶領域から保持されているファイルの削除を指す。「実行」は、NAS106に保持されているファイルが実行ファイルである場合に、PC102の作業領域にコピーして実行すること、フォルダを移動させることを指す。
【0044】
操作部203は保存部2031、振分部2033、読込部2035、およびリスト作成部2037を含み、判断部204からの制御信号に従って、上記各部での処理を行なう。また、判断部204からの制御信号に従って、所定の情報を通知部206に渡す。
【0045】
振分部2033はファイルまたはフォルダに設定された権限、およびまたは判断部204からの制御信号に基づいて、公開領域2051に保存するか非公開領域2053に保存するかを振分け、保存部2031にその情報を渡す。保存部2031は、判断部204からの制御信号に従って、振分部2033で決定された振分けに基づいてファイルまたはフォルダを公開領域2051または非公開領域2053に保存する。読込部2035は、判断部204からの制御信号に従って、公開領域2051または非公開領域2053から指定されたファイルまたはフォルダを読込み、データ送受信部202に渡す。また、読込部2035はファイル保持部205を走査し、後述する認証部201から入力されるユーザ名に基づいて該当するファイルまたはフォルダを示す情報をリスト作成部2037に入力する。リスト作成部2037は、読込部2035からの情報に基づいてファイルリストを作成し、データ送受信部202に渡す。ここで「ファイルリスト」とは、後述する認証部201から入力されるユーザ名に対してアクセスが許可されているファイルまたはフォルダの一覧を示すリストを指す。
【0046】
復元されたデータが認証情報である場合、復元されたデータは認証部201に入力され、認証処理が行なわれる。認証情報保持部207はRAMの所定領域などから構成され、ログインを許可するユーザについての認証情報を保持する。認証部201は、認証情報保持部207に保持される認証情報とデータ送受信部202から入力された認証情報とを比較し、認証を行なう。また、認証結果に応じて、認証情報に含まれるユーザ名が操作部203に入力される。
【0047】
通知部206は、判断部204からの制御信号に従って操作部203から渡されたデータを用いて通知用のデータを生成し、データ送受信部202に渡す。
【0048】
データ送受信部202は、操作部203から渡されたデータや、通知部206から渡されたデータを、通信回線103を介して指示されたPC102等の送信先に対して送信する。
【0049】
本システムにおいては、情報利用装置としてのPC102において、NAS106に保持されている情報であるファイルを読込む操作、およびNAS106に対してファイルを保存する操作が行なわれるものとし、NAS106がその操作に対してファイルの管理を行なうものとする。以下に、ファイル読込時の本システムで行なわれる処理、およびファイル保存時の本システムで行なわれる処理について、各々説明する。
【0050】
なお、その前提として、本システムではPC102およびNAS106において認証処理が行なわれる。
【0051】
図10は、PC102で実行される認証処理の1つの具体例を示すフローチャートである。図10に示される処理は、PC102のCPU20aがROM20c等に記憶されているプログラムを実行し、図3に示される各機能を実現することで実行される。
【0052】
図10を参照して、始めに、認証情報入力部503において、入力装置100からの操作信号に基づいて認証情報としてユーザ名とパスワードとの入力を受付ける(ステップS101)。認証部501においてステップS101で受付けた認証情報に基づいて認証処理が実行され(ステップS103)、その結果、ログインが許可されたユーザであると判断された場合、つまり認証が成功した場合には(ステップS105でYES)、認証部501においてログインが許可され(ステップS107)、認証処理が終了して次の画面が表示されるなど、次の処理に移行する。なお、引続いてNAS106に保持されているデータに対する処理を行なう場合、上記ステップS103の認証処理が成功すると、好ましくは、上記ステップS107でPC102に対するログインを許可すると共に、データ送受信部502より、NAS106に対して上記ステップS101で入力されたユーザ名とパスワードとが送信される。または、ステップS107でログインが許可された後、別途NAS106にログインするために認証情報を入力するための画面を表示するなどして、PC102において認証情報の入力を受付けて、受付けた認証情報をNAS106に送信するようにしてもよい。
【0053】
認証部501において、ログインが許可されたユーザではないと判断された場合、つまり認証に成功しなかった場合(ステップS105でNO)、認証部501においてログインが拒否され(ステップS109)、認証処理が終了して、初期画面やログイン用の画面が表示されるなど、次の処理に移行する。
【0054】
なお、以上の認証処理は、一般的な認証処理であり、本発明において認証処理は上述の図10に示された処理には限定されない。
【0055】
図11は、NAS106で実行される認証処理の1つの具体例を示すフローチャートである。図11に示される処理は、NAS106のCPUがROM等に記憶されているプログラムを実行し、図5に示される各機能を実現することで実行される。
【0056】
図11を参照して、始めに、データ送受信部202においてPC102から送信されたデータを受信し、認証情報としてユーザ名とパスワードとの入力を受付ける(ステップS201)。認証部201においてステップS201で受付けた認証情報に基づいて認証処理が実行され(ステップS203)、その結果、ログインが許可されたユーザであると判断された場合、つまり認証が成功した場合には(ステップS205でYES)、認証部201においてログインが許可される(ステップS207)。
【0057】
上記ステップS207で認証部201においてログインが許可されると、ユーザ名がファイル操作部203に渡され、読込部2035において、ファイル保持部205に保持されているファイルまたはフォルダが走査される(ステップS211)。上述のように、各ファイルまたはフォルダに設定された権限を示す情報が付帯されている場合には、上記ステップS211で読込部2035は各ファイルまたはフォルダを走査して、付帯されている情報においてステップS201で入力されたユーザ名についてアクセスが許可されているファイルまたはフォルダを抽出する。図8に示されるように、設定記憶領域2055に各ファイルまたはフォルダに設定された権限がテーブル形式のデータとして別途記憶されている場合には、そのデータを走査して、ステップS201で入力されたユーザ名についてアクセスが許可されているファイルまたはフォルダを抽出する。ステップS201で入力されたユーザ名が、検証しているファイルまたはフォルダについてアクセスが許可されていると判断された場合(ステップS213でYES)、読込部2035はそのファイルまたはフォルダを示す情報をリスト作成部2037に渡し、リスト作成部2037において、ファイルリストに追加される(ステップS215)。上記ステップS211〜S215はファイル保持部205に保持されているすべてのファイルまたはフォルダについて行なわれ、完了すると(ステップS217でYES)、ステップS215で作成されたファイルリストを上記ステップS201でログインしたPC102のモニタ101に表示させるために、データ送受信部202からPC102に対して送信する(ステップS219)。
【0058】
図6に示されるNAS106に保持されている各ファイルまたはフォルダに対して図8に示されたような権限が設定されている場合、ファイルリストにおいて、たとえば、「Doc」フォルダはすべてのユーザに対してアクセス可能として表示され、「User1」フォルダはユーザ名「User1」でログインしているPC102に対してアクセス可能として表示される。
【0059】
認証部201において、ログインが許可されたユーザではないと判断された場合、つまり認証に成功しなかった場合(ステップS205でNO)、認証部201においてログインが拒否され(ステップS209)、以降の処理をスキップして本処理を終了する。
【0060】
[ファイルの読込み]
図12は、PC102のモニタ101で、上記ステップ219で送信されたファイルリストに基づいてアクセスが許可されたファイルまたはフォルダの表示例を示す図であって、図6に示されるNAS106に保持されているデータのうち、「Doc」フォルダに収められているファイルおよびフォルダを表示させたときの表示例を示す図である。
【0061】
ここで、PC102の入力装置100において、「Doc」フォルダに収められているデータ「Data20070322.txt」の読込みを指示する操作がなされたものとする。上記操作は、たとえば図12に示される表示画面において、マウスである入力装置100でデータ「Data20070322.txt」を示すアイコンをダブルクリックするなどの操作が該当する。
【0062】
PC102の指示/データ入力部504は、入力装置100から上記操作に伴う操作信号を受付けると、データ送受信部502から通信回線103およびハブ104を介して、NAS106に対して読込命令を送信する。送信される読込命令には、NAS106に対してデータ「Data20070322.txt」を特定する情報を含む。具体的には、データ「Data20070322.txt」のNAS106での保存領域を示すパス(Path)が含まれ、図6の例によると、パス「/Doc/Data20070322.txt」を含んだ読込命令が送信される。
【0063】
NAS106のデータ送受信部202で上記パスを含んだ読込命令は受信され、操作部203において復元されて解析される。その解析結果を受取った判断部204は、読込命令に含まれるパスより、指定されたファイルの保存領域を特定し、特定された保存領域より当該ファイルを読込むための制御信号を操作部203に対して入力する。読込部2035において、上記制御信号に従ってファイルが読込まれ、データ送受信部202よりPC102に対して送信される。
【0064】
PC102のデータ送受信部502でNAS106から送信されたファイルが受信され、データ/通知入力部505において入力されると、表示処理部506において、そのファイルをモニタ101で表示するための処理が行なわれて、表示される。
【0065】
以上の流れで、本システムにおいて、NAS106で保持されたファイルまたはフォルダをPC102で読込む処理が行なわれる。
【0066】
[ファイルの保存]
PC102の入力装置100において、「Doc」フォルダに新たなデータ「Data20070324.txt」の保存(書込み)を指示する操作がなされたものとする。上記操作は、たとえば図12に示されるように、マウスである入力装置100でデータ「Data20070324.txt」を示すアイコンを「Doc」フォルダにドラッグアンドドロップするなどの操作が該当する。
【0067】
PC102の指示/データ入力部504は、入力装置100から上記操作に伴う操作信号を受付けると、データ送受信部502から通信回線103およびハブ104を介して、NAS106に対して保存命令を送信する。保存命令の具体的な内容については後述する。NAS106のデータ送受信部202でPC102から保存命令を受信すると、NAS106において保存処理が行なわれる。
【0068】
なお、以降の説明では、ファイルの保存のための処理は、図12に示されたように、フォルダに新たなファイルを保存する操作が行なわれることによって実行されるものとするが、その他の操作によっても行なわれ得る。その他の操作としては、たとえば、NAS106に保持されたファイルの、保存領域を変更するための操作が該当し、他の保存領域にコピーする操作や他の保存領域に移動する操作が含まれる。具体的な操作としては、該当するファイルを示すアイコンをドラッグアンドドロップする操作などが該当する。また、フォルダを保存する場合も同様であるものとする。
【0069】
図13は、NAS106で実行される保存処理の具体例を示すフローチャートである。図13に示される処理は、NAS106のデータ送受信部202でPC102から保存命令を受信することによって開始される処理であって、NAS106のCPUがROM等に記憶されているプログラムを実行し、図5に示される各機能を実現することで実行される。
【0070】
図13を参照して、始めに、操作部203から保存命令を受取った判断部204では、保存先として指定された領域(フォルダ)を特定し(ステップS300)、特定された保存先に設定されている公開ルールを読出す(ステップS301)。本実施の形態においては、公開ルールを示す情報が図6に示されたように設定された領域に格納されているものとするため、ステップS301で判断部204は、読込部2035に対して保存先として指定されたフォルダにアクセスして該当する情報を読出すよう制御信号を出力する。
【0071】
判断部204は、予め保存の可否を判断するために用いる手法を定めた情報を記憶しておくものとする。本具体例では、図14に示されるように、テーブル形式のデータの判断手法テーブルとして、上記情報を記憶している。判断手法テーブルは、公開ルールを示す情報はタグを用いたXML形式のテキストファイルであるものとし、タグ名ごとに、判断のための処理内容を規定する。判断部204は、記憶している判断手法テーブルと上記ステップS301で読出した保存先のフォルダの公開ルールを示す情報とを比較し(ステップS303)、判断手法テーブルに規定される処理内容のうち、該当する処理を用いて、指定されたファイルを当該フォルダに保存することの可否を判断するための処理を行なう(ステップS305)。
【0072】
ステップS305での処理の結果、指定されたファイルが保存先であるフォルダに設定された公開ルールに則ったものであると判断された場合(ステップS307でYES)、判断部204は、指定されたファイルを指定された保存先に保存するための制御信号を操作部203に対して出力し、ファイルの保存を実行させる(ステップS309)。
【0073】
ステップS305での処理の結果、指定されたファイルが保存先であるフォルダに設定された公開ルールに則ったものでないと判断された場合(ステップS307でNO)、判断部204は、操作部203に対して判断結果を示すエラーコードと、公開ルールの内容を示す情報とを出力する。操作部203は、これらの情報を通知部206に渡し、通知部206において、PC102に違反を通知するための信号を生成し、データ送受信部202に渡す。データ送受信部202からは上記信号がPC102に送信され、PC102において上記信号に基づいて通知画面が表示される(ステップS311)。さらに、保存命令に含まれている保存先を示す情報を、当該ファイルを非公開領域2053内のフォルダのパスに書替え、対象のファイルを書換えた保存先に保存するための制御信号を操作部203に対して出力する。これにより、振分部2033に保存先を指定された保存先と異なる領域に振分けさせ、保存部2031にファイルの保存を実行させる(ステップS313)。
【0074】
以上の処理について、保存命令の具体例および公開ルールの具体例を用いて、具体的に説明する。
【0075】
(実施例1)
NAS106は、PC102から図15に示される保存命令を受信したものとする。図15を参照して、保存命令には、具体的に、命令の種類が保存命令であることを示す情報、保存命令を出力したPC102を特定する情報、保存命令を出力したPC102にログインしているユーザを特定する情報、保存対象であるファイルまたはフォルダに付帯する情報、保存先、および保存対象であるファイルまたはフォルダ本体が含まれる。また、保存対象がファイルであることも示されている。
【0076】
上記ステップS300において、判断部204は、保存命令を解析して保存先に関する情報を読出し、保存先と指定されたフォルダを特定する。図15に示された保存命令には、ファイル保存先がパス「/Doc/Data20070324.txt」で示されている。上記ステップS301で判断部204は、保存命令より読出したパスのルート側(上位側)から順に、そのフォルダに設定された公開ルールを示す情報を読出す。図15の例では、「Doc」フォルダに設定された公開ルールを示す情報を読出す。なお、ここで、指定されたフォルダが複数階層のフォルダである場合には、ステップS301で判断部204は、各フォルダの公開ルールを示す情報を読出し、下位のフォルダに影響する公開ルールを示す情報を以下の処理に用いる。
【0077】
ここで、指定された保存先である「Doc」フォルダに設定された公開ルールを示す情報が、図16に示されたものであるとする。上記ステップS303で判断部204は、図16に示された保存先の公開ルールと、図14に示された記憶されている判断手法テーブルとを比較して、図16に示された公開ルールを用いて指定されたファイルまたはフォルダが当該フォルダの公開ルールに則っているか否かを判断するために用いる処理を特定する。具体的には、図16に示されたテキストデータで表わされる公開ルールにはタグ<filename>が含まれ、図14の判断手法テーブルにおいて、タグ<filename>について処理内容として処理対象ファイル名にタグ<content>で指定されている正規表現が存在するかチェックすることと規定されている。そこで、上記ステップS303で判断部204は、当該公開ルールがファイル名に関するルールであり、判断テーブルにおいてタグ<filename>について規定されている判断手法を用いて判断処理を行なうものと特定する。
【0078】
上記ステップS305で判断部204は、判断手法テーブルにタグ<filename>について規定される処理内容に沿って、保存命令において指定されたファイルのファイル名に、タグ<content>に正規表現により規定されている内容が存在するかチェックする。図16の例では、「ファイル名に数字が8つ連続していること」がタグ<content>に正規表現により規定されている。そこで、具体的に、図15の保存命令に含まれたファイル名「Data20070324.txt」が上記規定を満たしているか否かを判断する。なお、タグ<filename>によってファイル名に関するルールであることが示されているため、タグ<content>において、当然に拡張子まで含んだファイル名についてルールを規定することができる。
【0079】
図15,16に示される例では、対象のファイル名「Data20070324.txt」が規定された「ファイル名に数字が8つ連続していること」を満たしているため、上記ステップS305での判断処理において、判断部204は、対象のファイル「Data20070324.txt」が保存先である「Doc」フォルダに設定された公開ルールに則っていると判断し、ステップS309でファイル「Data20070324.txt」を指定された保存先である「Doc」フォルダに保存するための制御信号を操作部203に対して出力する。
【0080】
一方、NAS106がPC102から図17に示される保存命令を受信した場合について説明する。図17に示される保存命令は、図15に示された保存命令と比較して、対象とするファイル名が異なっている。図17の保存命令に含まれたファイル名「Data070324.txt」は、図16のタグ<content>に正規表現により規定されている「ファイル名に数字が8つ連続していること」を満たしていない。そこで、判断部204は、上記ステップS305での判断処理で、対象のファイル「Data070324.txt」が保存先である「Doc」フォルダに設定された公開ルールに則っていないと判断し、ステップS311で通知部206に対して、PC102に違反を通知するための処理をさせる制御信号を出力する。
【0081】
図18は、通知部206から違反を通知されたPC102において表示される通知画面の具体例を示す図である。通知画面においては、具体的に、対象ファイルが指定された保存先の公開ルールに則っていないことがポップアップした警告画面にて通知されることが好ましい。さらに、図18に示された通知画面においては、対象ファイルが指定された保存先の公開ルールに則っていないことが通知されると共に、ステップS313で書換えられた保存先が通知されることが好ましい。また、上記ステップS313でのパスの書替えは、図18に示される通知画面において操作者からの指示(図18ではOKボタンの押下)が検出されて行なわれてもよい。
【0082】
上記ステップS313で判断部204は振分部2033に制御信号を出力し、保存命令のパス「/Doc/Data20070324.txt」を書替えさせ、保存部2031に保存可能な領域に対象のファイルを保存させる。ここで書替えるパスとしては、1つの具体例として、保存命令に含まれるファイルに付帯する情報よりファイル作成者を特定する情報を読出し、ファイル作成者がオーナーとなっている、非公開領域2053のフォルダ(個人フォルダ)を示すパスが好ましい。図17の例ではファイル作成者「Taro.Tanaka」がオーナーとなっている、非公開領域2053のフォルダが挙げられ、たとえば「User1」フォルダなどが該当する。他の例としては、ファイル変更者(保存者)であるユーザ、ファイル保存者であるユーザ、またはPC102にログインしたユーザなど、保存命令から特定されるユーザがオーナーとなっている、非公開領域2053のフォルダや、これらユーザの組合わせで特定される、非公開領域2053のフォルダであってもよい。また、他の例としては、本システム管理者や、本システム管理者が指定したユーザ等の、予め設定された特定のユーザがオーナーとなっている、非公開領域2053のフォルダであってもよい。この場合には、判断部204は、予め設定されたユーザを記憶しておくものとする。上記ステップS303で判断部204は、保存命令を解析すること、または自身に記憶されている上記予め設定されたユーザを読出すことで、保存領域の変更先を判断する。
【0083】
なお、PC102への通知は、図18に示されるような通知画面に限定されず、電子メールによる通知や、非公開領域2053に保持されているログインユーザがオーナーであるフォルダ(「User1」フォルダ)をポップアップすることであってもよい。また、これらの通知方法のうちの2つ以上を組合わせるものであってもよい。なお、他の処理例としては、上記ステップS311の処理が行なわれず、PC102に通知されることなく上記ステップS313で非公開領域2053の他のフォルダに対象ファイルが保存されてもよい。
【0084】
(実施例2)
指定された保存先である「Doc」フォルダに設定された公開ルールを示す情報が、図19に示されたものであるとする。上記ステップS303で判断部204は、図19に示された保存先の公開ルールと、図14に示された記憶されている判断手法テーブルとを比較して、図19に示された公開ルールを用いて指定されたファイルまたはフォルダが当該フォルダの公開ルールに則っているか否かを判断するために用いる処理を特定する。
【0085】
具体的には、図19に示されたテキストデータで表わされる公開ルールにはタグ<tag>およびタグ<denied_tag>が含まれ、図14の判断手法テーブルにおいて、タグ<tag>について処理内容として処理対象ファイルの付帯情報にタグ<type>で指定されているタグが存在するかチェックすること、およびタグ<denied_tag>について処理対象ファイルの付帯情報にタグ<type>で指定されているタグが存在しないかチェックすることと規定されている。そこで、上記ステップS303で判断部204は、当該公開ルールが必要なタグおよび不要なタグに関するルールであり、判断テーブルにおいてタグ<denied_tag>およびタグ<denied_tag>について規定されている判断手法を用いて判断処理を行なうものと特定する。
【0086】
上記ステップS305で判断部204は、判断手法テーブルにタグ<tag>について規定される処理内容に沿って、保存命令に含まれる対象のファイルの付帯情報に、タグ<type>で指定されているタグが存在するかチェックする。また、タグ<denied_tag>について規定される処理内容に沿って、保存命令に含まれる対象のファイルの付帯情報に、タグ<type>で指定されているタグが存在しないかチェックする。図19の例では、タグ<tag>ではタグ<type>で「所属」および「機密区分」が指定され、タグ<denied_tag>ではタグ<type>で「template」が指定されている。そこで、具体的に、図15の保存命令に含まれたファイルの付帯情報に「所属」および「機密区分」が含まれていること、および「template」が含まれていないことを判断する。
【0087】
図15,19に示される例では、付帯情報に「所属」が含まれ、かつ「template」が含まれていないが、「機密区分」が含まれていない。つまり、ファイル「Data20070324.txt」はタグ<tag>およびタグ<denied_tag>での条件を満たしていない。そこで、上記ステップS305での判断処理において、判断部204は、対象のファイル「Data20070324.txt」が保存先である「Doc」フォルダに設定された公開ルールに則っていないと判断し、上記ステップS311で通知部206がPC102に通知し、ステップS313で非公開領域2053のフォルダに保存する。
【0088】
なお、上述の実施例1は、保存する対象がファイルであって、保存先のフォルダに設定された公開ルールがファイル名に関するルールである具体例である。また、実施例2は、ファイルの付帯情報に関するルールである具体例である。言うまでもなく、公開ルールは他のルールであってもよい。また、これらが組合わされてもよい。
【0089】
(実施例3)
NAS106は、PC102から図20に示される保存命令を受信したものとする。図20では、保存対象が「仕掛り」フォルダであることが示され、保存先として「Doc」フォルダが指定されている。
【0090】
上記ステップS300において、判断部204は、保存命令を解析して保存先に関する情報を読出し、保存先として「Doc」フォルダを特定する。
【0091】
ここで、「Doc」フォルダに設定された公開ルールを示す情報が、図21に示されたものであるとする。上記ステップS303で判断部204は、図21に示された保存先の公開ルールと、図14に示された記憶されている判断手法テーブルとを比較して、図21に示された公開ルールを用いて指定されたファイルまたはフォルダが当該フォルダの公開ルールに則っているか否かを判断するために用いる処理を特定する。
【0092】
具体的には、図21に示されたテキストデータで表わされる公開ルールにはタグ<folder_layer>およびタグ<folder_number>が含まれ、図14の判断手法テーブルにおいて、タグ<folder_layer>について処理内容として処理対象フォルダの階層構造の数がタグ<value>で指定されている数以下かチェックすること、およびタグ<folder_number>について処理内容として処理対象フォルダに収められているフォルダ数および保存先のフォルダに収められているフォルダ数の合計がタグ<value>で指定されている数以下かチェックすることと規定されている。そこで、上記ステップS303で判断部204は、当該公開ルールがフォルダの階層数およびフォルダの個数に関するルールであり、判断テーブルにおいてタグ<folder_layer>およびタグ<folder_number>について規定されている判断手法を用いて判断処理を行なうものと特定する。
【0093】
上記ステップS305で判断部204は、判断手法テーブルにタグ<folder_layer>について規定される処理内容に沿って、保存命令に含まれるフォルダ本体のデータを解析し、処理対象のフォルダの階層構造数がタグ<value>で指定されている数以下かチェックする。また、タグ<folder_number>について規定される処理内容に沿って、保存命令に含まれるパスとフォルダ本体のデータとを解析し、処理対象フォルダに収められているフォルダ数および保存先のフォルダに収められているフォルダ数の合計がタグ<value>で指定されている数以下かチェックする。図21の例では、タグ<folder_layer>ではタグ<value>で1が指定され、タグ<folder_number>ではタグ<value>で4が指定されている。そこで、具体的に、図20の保存命令に含まれたフォルダ本体のデータより「仕掛り」フォルダの階層構造数が1以下であること、および「仕掛り」フォルダに収められているフォルダ数と指定された保存先である「Doc」フォルダに収められているフォルダ数の合計が4以下であることを判断する。
【0094】
図20,21に示される例では、対象の「仕掛り」フォルダにフォルダが収められておらず、「仕掛り」フォルダの階層構造数が1である。また、「仕掛り」フォルダに収められているフォルダ数が0で「Doc」フォルダに収められているフォルダ数が4であるため、これらの合計が5である。つまり、対象の「仕掛り」フォルダはタグ<folder_layer>およびタグ<folder_number>での条件を満たしていない。そこで、上記ステップS305での判断処理において、判断部204は、対象の「仕掛り」が保存先である「Doc」フォルダに設定された公開ルールに則っていないと判断し、上記ステップS311で通知部206がPC102に通知し、ステップS313で保存部2031が非公開領域2053のフォルダに保存する。
【0095】
(実施例4)
なお、上述の実施例1は、保存する対象がファイルであって、保存先のフォルダに設定された公開ルールがファイル名に関するルールである具体例である。また、実施例2は、ファイルの付帯情報に関するルールである具体例である。また、実施例3は、保存する対象がフォルダであって、保存先のフォルダに設定された公開ルールがフォルダ数やフォルダ階層構造数に関するルールである具体例である。そこで、保存する対象がフォルダであって、そのフォルダにファイルが収められている場合、上述の実施例1または2に実施例3が組合わされることになる。
【0096】
また、上述の実施例1〜3では、保存先として指定されたフォルダに設定された公開ルールを満たすか否かの判断処理が行なわれるものとしているが、保存先として指定されたフォルダに上位フォルダが存在する場合、最上位のフォルダから順に、設定された公開ルールを満たすか否かの判断が行なわれてもよい。
【0097】
NAS106は、PC102から図22に示される保存命令を受信したものとする。図22では、保存対象が「仕掛り」フォルダであることが示され、保存先として「Doc」フォルダが指定されている。さらに、保存対象の「仕掛り」フォルダに、ファイル「Data_draft_20070326.txt」,「Data_draft_060122.txt」,「Data_draft_050826.txt」が収められていることが示されている。この場合、PC102からは、「仕掛り」フォルダを保存するための図22に示された保存命令が出力されると共に、収められているファイル「Data_draft_20070326.txt」,「Data_draft_060122.txt」,「Data_draft_050826.txt」の各々についての保存命令も出力される。図23は、上記3つのファイルのうちのファイル「Data_draft_20070326.txt」についての保存命令の具体例を示す図である。同様に、ファイル「Data_draft_060122.txt」,「Data_draft_050826.txt」についての保存命令も出力される。ファイル「Data_draft_20070326.txt」,「Data_draft_060122.txt」,「Data_draft_050826.txt」についての保存命令は「仕掛り」フォルダについての保存命令に含まれていてもよいし、別個のデータであってもよい。この場合、受信したNAS106では、判断部204において「仕掛り」フォルダについての保存命令を解析して指定された保存先の公開ルールに則っているか否かを判断すると共に、「仕掛り」フォルダに収められたファイル「Data_draft_20070326.txt」,「Data_draft_060122.txt」,「Data_draft_050826.txt」の各々についての保存命令も解析して、各ファイルが指定された保存先の公開ルールに則っているか否かも判断する。
【0098】
上記ステップS300において、判断部204は、保存命令を解析して保存先に関する情報を読出し、保存先として「Doc」フォルダを特定する。さらに判断部204は、保存命令に含まれるパスを解析して、保存先の「Doc」フォルダの最上位のフォルダから「Doc」フォルダまで順に、フォルダの階層構造を特定する。図22の例では、フォルダの階層構造がルートフォルダ−「Doc」フォルダであることが特定される。このとき、判断部204は、特定されたフォルダの階層構造に沿って、最上位のフォルダから指定されたフォルダまで順に、各フォルダに設定された公開ルールを読出す。
【0099】
ここで、ルートフォルダに設定された公開ルールを示す情報が図24に示されたものであり、「Doc」フォルダに設定された公開ルールを示す情報が図25に示されたものであるとする。上記ステップS303で判断部204は、図24に示された保存先の上位フォルダの公開ルールおよび図25に示された保存先の公開ルールと、図14に示された記憶されている判断手法テーブルとを各々比較して、図24,図25に示された公開ルールを用いて指定されたファイルまたはフォルダが当該フォルダの公開ルールに則っているか否かを判断するための用いる処理を特定する。
【0100】
具体的には、図24に示された公開ルールにはタグ<inheritance>が含まれ、図14の判断手法テーブルにおいて、処理内容として子フォルダ(下位のフォルダ)に適用することと規定されている。そこで、上記ステップS303で判断部204は、ステップS305での判断処理の際、保存先として指定された「Doc」フォルダに設定された公開ルールだけでなく、その上位フォルダであるルートフォルダに設定された公開ルールも用いるものと特定する。より具体的には、ルートフォルダに設定された公開ルール(図24)のタグ<inheritance>の要素としてタグ<filename>が含まれている。また、「Doc」フォルダに設定された公開ルール(図25)にはタグ<folder_layer>が含まれている。そこで、上記ステップS303で判断部204は、実施例1および実施例3で説明されたように、判断テーブルにおいてタグ<filename>およびタグ<folder_layer>について規定されている判断手法を用いて判断処理を行なうものと特定する。
【0101】
なお、保存先として指定されたフォルダに上位フォルダが存在する場合、上記ステップS305で判断部204は、上位フォルダに設定された公開ルールを、下位フォルダに設定された公開ルールよりも優先して判断処理に用い、その後に下位フォルダに設定された公開ルールを判断処理に用いることが好ましい。このようにすることで、フォルダが階層構造になっている場合において、上位フォルダの公開ルールを下位フォルダに自動的に適用することができ、管理者等による各フォルダへの公開ルールの設定を簡素化することができる。
【0102】
また、図22に示されたようなファイルを収めたフォルダを処理対象とした保存命令の場合、判断部204は、保存先として指定されたフォルダやその上位のフォルダに図24に示されるようなファイルについての公開ルールが設定されている場合、対象とするフォルダに含まれる各ファイルについても公開ルールに則っているか否かの判断処理を行なう。つまり、判断部204において「仕掛り」フォルダについての保存命令を解析して指定された保存先およびその上位のフォルダの公開ルールに則っているか否かを判断すると共に、「仕掛り」フォルダに収められたファイル「Data_draft_20070326.txt」,「Data_draft_060122.txt」,「Data_draft_050826.txt」の各々についての保存命令も解析して、各ファイルが指定された保存先およびその上位のフォルダの公開ルールに則っているか否かも判断する。
【0103】
図25の例ではタグ<folder_layer>ではタグ<value>で1が指定されており、図22の処理対象の「仕掛り」フォルダについての保存命令よりフォルダ本体にフォルダが収められいないため、判断部204は、「仕掛り」フォルダの階層構造数が1以下であることを判断する。タグ<filename>ではタグ<content>で「ファイル名に数字が8つ連続していること」が規定されている。そこで、判断部204は、「仕掛り」フォルダに収められているファイル「Data_draft_20070326.txt」,「Data_draft_060122.txt」,「Data_draft_050826.txt」の各々についての保存命令のファイル名より、ファイル「Data_draft_20070326.txt」について「ファイル名に数字が8つ連続していること」を判断する。ファイル「Data_draft_060122.txt」,「Data_draft_050826.txt」の各々については、「ファイル名に数字が8つ連続していること」を満たしていないと判断する。
【0104】
ステップS305の判断処理において、処理対象のフォルダに収められているファイルのうちの一部のファイルが、保存先またはその上位フォルダの公開ルールに則っていないと判断された場合、上記ステップS311において通知部206は、公開ルールに則っていないと判断されたファイルについてのみその旨をPC102に通知してもよい。その場合、ファイルごとに図18に示されたようなポップアップで通知画面を提示してもよいし、1つの通知画面において公開ルールに則っていないファイルをリストで提示してもよい。また、好ましくは、処理対象のフォルダについて公開ルールに則っていない旨をPC102に通知する。
【0105】
また、ステップS313において判断部204は、公開ルールに則っていないと判断されたファイルについてのみパスを書替え、非公開領域2053のフォルダに保存するようにしてもよい。より好ましくは、処理対象のフォルダに収められている複数のファイルのうちの一部でも保存先またはその上位フォルダの公開ルールに則っていないと判断された場合には、ステップS313において判断部204は、処理対象のフォルダについてパスを書換え、非公開領域2053のフォルダに保存する。このようにすることで、非公開領域2053のフォルダに保存された処理対象のフォルダについて公開ルールを満たすように変更して、再度、フォルダごと保存する際の操作が容易になる。
【0106】
(実施例5)
NAS106は、PC102から図26に示される保存命令を受信したものとする。図26は、保存命令の、以下の説明に関連する一部分を示した図である。図26では、保存対象が「仕掛り」フォルダであることが示され、保存先として「Doc」フォルダに収められている「pdf」フォルダが指定されている。
【0107】
上記ステップS300において、判断部204は、保存命令を解析して保存先に関する情報を読出し、保存先として「pdf」フォルダを特定する。さらに判断部204は、保存命令に含まれるパスを解析して、保存先の「pdf」フォルダの最上位のフォルダから「pdf」フォルダまで順に、フォルダの階層構造を特定する。図26の例では、フォルダの階層構造がルートフォルダ−「Doc」フォルダ−「pdf」フォルダであることが特定される。このとき、判断部204は、特定されたフォルダの階層構造に沿って、最上位のフォルダから指定されたフォルダまで順に、各フォルダに設定された公開ルールを読出す。
【0108】
ここで、保存先である「pdf」フォルダの上位の「Doc」フォルダに設定された公開ルールを示す情報が図21に示されたものであるとする。実施例3において説明されたように、上記ステップS303で判断部204は、「Doc」フォルダについて、保存するフォルダの階層構造の数がタグ<value>で指定されている1以下であるとする公開ルールが設定されていると特定する。
【0109】
この場合、上記ステップS305で判断部204は、処理対象の「仕掛り」フォルダについての保存命令を用いて判断処理を行なうよりも前に、判断手法テーブルにタグ<folder_layer>について規定される処理内容に沿って、保存先の「pdf」フォルダの上位の「Doc」フォルダについて、その下位の「pdf」フォルダがすでにタグ<folder_layer>での条件を満たしていると判断し、「pdf」フォルダに処理対象の「仕掛り」フォルダを保存することで、「pdf」フォルダがその上位の「Doc」フォルダに設定された公開ルールを満たさなくなると判断する。
【0110】
そこで、上記ステップS311で通知部206がPC102に通知し、ステップS313で保存部2031が非公開領域2053のフォルダに「仕掛り」フォルダを保存する。
【0111】
このように、保存先として指定されたフォルダに上位フォルダが存在する場合、上記ステップS301では最上位のフォルダから保存先のフォルダまで順に公開ルールを読出し、上記ステップS305ではフォルダに関するルール(階層構造数、収められるフォルダ数等)を、ファイルに関するルールよりも優先して判断処理に用い、その後にファイルに関するルール(ファイル名、付帯情報に含まれる語等)を判断処理に用いることが好ましい。このようにすることで、フォルダが階層構造になっている場合において、上位フォルダの公開ルールを下位フォルダに自動的に適用することができ、管理者等による各フォルダへの公開ルールの設定を簡素化することができる。
【0112】
本システムにおいて、ファイルまたはフォルダを公開領域に保存する際に上記処理が行なわれることで、操作者が保存先の公開ルールを把握せずに保存操作を行なった場合であっても、自動的に公開ルールに則っているか否かが判断され、則っているものが保存されて公開される。これにより、当該フォルダの管理者等の特定のユーザの煩雑な作業を必要とせず、公開ルールに則ったファイルを公開し、公開ルールに則っていないファイルを非公開とすることができる。その結果、公開フォルダに、公開ルールに則ったファイルと則っていないファイルとが混在することがなく、閲覧者にとってファイルの一覧性が向上する。
【0113】
また、公開ルールに則っていないファイルまたはフォルダは、自動的に非公開フォルダに保存されるため、操作者は、その領域において適宜ファイルまたはフォルダを公開ルールを満たすように変更することで、公開フォルダに保存させることができる。そのため、操作者にとっても操作性が向上する。
【0114】
なお、上記具体例においては、図1に示されたように、NAS106が情報管理装置および記憶装置として機能し、NAS106の記憶領域に記憶されたデータを管理するものとしているが、記憶装置は別装置として、情報管理装置としてのNASが別装置である記憶装置の仮想的な記憶領域に記憶されたデータを管理するものも本発明に含まれるものとする。また、記憶装置はNAS106や別装置などの、1台の装置に限定されず、複数台の装置であってもよい。
【0115】
さらに、上述のシステムにおいて公開領域にファイルまたはフォルダを保存する際の処理をコンピュータに実行させるプログラムを提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびメモリカードなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0116】
なお、本発明にかかるプログラムは、コンピュータのオペレーティングシステム(OS)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。このようなモジュールを含まないプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0117】
また、本発明にかかるプログラムは他のプログラムの一部に組込まれて提供されるものであってもよい。その場合にも、プログラム自体には上記他のプログラムに含まれるモジュールが含まれず、他のプログラムと協働して処理が実行される。このような他のプログラムに組込まれたプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0118】
提供されるプログラム製品は、ハードディスクなどのプログラム格納部にインストールされて実行される。なお、プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。
【0119】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】実施の形態にかかるファイル共有システムの構成の具体例を示す図である。
【図2】ファイル共有システムに含まれるPCのハードウェア構成の具体例を示すブロック図である。
【図3】ファイル共有システムに含まれるPCの、ファイル共有システムにおいてファイルを利用するための機能構成の具体例を示すブロック図である。
【図4】ログインデータテーブルの具体例を示す図である。
【図5】ファイル共有システムに含まれるNASにおいて、保存されているファイルを管理するための機能構成の具体例を示すブロック図である。
【図6】NAS106の保持部205に保持されているデータの具体例を示す図である。
【図7】「領域」について説明するための図である。
【図8】NAS106に保持されているファイルやフォルダに設定された権限を示す情報の具体例を示す図である。
【図9】NAS106に設定されているアクセスの種類ごとの内容の具体例を示す図である。
【図10】PC102で実行される認証処理の1つの具体例を示すフローチャートである。
【図11】NAS106で実行される認証処理の1つの具体例を示すフローチャートである。
【図12】PC102のモニタ101での表示例を示す図である。
【図13】NAS106で実行される保存処理の具体例を示すフローチャートである。
【図14】判断手法テーブルの具体例を示す図である。
【図15】保存命令の具体例を示す図である。
【図16】公開ルールを示す情報の具体例を示す図である。
【図17】保存命令の具体例を示す図である。
【図18】通知画面の具体例を示す図である。
【図19】公開ルールを示す情報の具体例を示す図である。
【図20】保存命令の具体例を示す図である。
【図21】公開ルールを示す情報の具体例を示す図である。
【図22】保存命令の具体例を示す図である。
【図23】保存命令の具体例を示す図である。
【図24】公開ルールを示す情報の具体例を示す図である。
【図25】公開ルールを示す情報の具体例を示す図である。
【図26】保存命令の具体例を示す図である。
【符号の説明】
【0121】
20a CPU、20b RAM、20c ROM、20d ハードディスク、20h 各種回路、20e 通信I/F、20f 画像I/F、20g 入力I/F、100,100A,100B 入力装置、101,101A,101B モニタ、102,102A,102B PC、103 通信回線、104 ハブ、105 ルータ、106 NAS、201 認証部、202 データ送受信部、203 操作部、204 判断部、205 保持部、206 通知部、207 認証情報保持部、501 認証部、502 データ送受信部、503 認証情報入力部、504 指示/データ入力部、505 データ/通知入力部、506 表示処理部、507 認証情報保持部、2031 保存部、2033 振分部、2035 読込部、2037 リスト作成部、2051 公開領域、2053 非公開領域、2055 設定記憶領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のユーザに対して公開するデータを記憶する仮想的な記憶領域である、第1の記憶領域と、特定のユーザに対して公開し、前記特定のユーザ以外のユーザに対して非公開とするデータを記憶する仮想的な記憶領域である、第2の記憶領域とが設定されたデータ保持手段と接続され、
情報利用装置から、データを前記第1の記憶領域に保存するための命令を受信する受信手段と、
前記命令において指定された前記データが、前記第1の記憶領域に対して設定された、保存するデータの基準である第1基準を満たしているか否かを判断することで、前記データを前記第1の記憶領域に保存するか否かを決定する判断手段と、
前記判断手段での判断結果に応じて、前記データを前記データ保持手段に保存する保存手段とを備え、
前記保存手段は、前記判断手段において前記データを前記第1の記憶領域に保存すると決定された場合に、前記データを前記第1の記憶領域に保存し、前記判断手段において前記データを前記第1の記憶領域に保存しないと決定された場合に、前記データを前記第2の記憶領域に保存する、情報処理装置。
【請求項2】
前記データ保持手段において、前記所定のユーザに対して公開するデータを記憶する仮想的な記憶領域である、前記第1の記憶領域を含んだ第3の記憶領域が設定されている場合、
前記判断手段は、前記命令において指定された前記データが、前記第1基準、および前記第3の記憶領域に対して設定された、保存するデータの基準である第2基準を共に満たしているか否かを判断することで、前記データを前記第1の記憶領域に保存するか否かを決定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判断手段は、前記命令において指定された前記データが、前記第2基準を満たしているか否かの判断を、前記第1基準を満たしているか否かの判断よりも優先して行なう、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記命令において指定された前記データは、ファイルを収めたフォルダであり、
前記判断手段は、前記フォルダおよび前記ファイルが共に前記第1基準を満たしているか否かを判断することで、前記フォルダを前記第1の記憶領域に保存するか否かを決定する、請求項1〜3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記判断手段において前記データを前記第1の記憶領域に保存しないと決定された場合に、前記情報利用装置に対して、前記データを前記第1の記憶領域に保存しないことを通知する通知手段をさらに備える、請求項1〜4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記通知手段は、前記情報利用装置において前記命令を送信するための操作画面にポップアップの通知画面を表示させることで通知する第1の方法、前記情報利用装置に対してメールを送信して通知する第2の方法、および前記情報利用装置の表示画面に前記第2の記憶領域を示す情報をポップアップ表示させることで通知する第3の方法のうちの1以上を用いた方法で前記通知を行なう、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記判断手段は、さらに、前記命令に基づいて前記第2の記憶領域を決定し、
前記第2の記憶領域は、前記命令から読出される、前記データを作成したユーザ、前記データを更新したユーザ、および前記データを保存したユーザのうちのいずれか、またはこれらの組合わせによって特定される領域である、請求項1〜6のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記第1基準には、保存するデータを識別する情報、保存するデータに付帯する情報、および保存するデータ内容の少なくとも1つが適用されている、請求項1〜7のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項9】
情報処理装置におけるデータ保存方法であって、
前記情報処理装置は、所定のユーザに対して公開するデータを記憶する仮想的な記憶領域である、第1の記憶領域と、特定のユーザに対して公開し、前記特定のユーザ以外のユーザに対して非公開とするデータを記憶する仮想的な記憶領域である、第2の記憶領域とが設定されたデータ保持手段と接続され、
情報利用装置から、データを前記第1の記憶領域に保存するための命令を受信するステップと、
前記命令において指定された前記データが、前記第1の記憶領域に対して設定された、保存するデータの基準を満たしているか否かを判断することで、前記データを前記第1の記憶領域に保存するか否かを決定するステップと、
前記データを前記第1の記憶領域に保存すると決定された場合に、前記データを前記第1の記憶領域に保存し、前記データを前記第1の記憶領域に保存しないと決定された場合に、前記データを前記第2の記憶領域に保存するステップとを備える、データ保存方法。
【請求項10】
データ保存処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記コンピュータは、所定のユーザに対して公開するデータを記憶する仮想的な記憶領域である、第1の記憶領域と、特定のユーザに対して公開し、前記特定のユーザ以外のユーザに対して非公開とするデータを記憶する仮想的な記憶領域である、第2の記憶領域とが設定されたデータ保持手段と接続され、
情報利用装置から、データを前記第1の記憶領域に保存するための命令を受信するステップと、
前記命令において指定された前記データが、前記第1の記憶領域に対して設定された、保存するデータの基準を満たしているか否かを判断することで、前記データを前記第1の記憶領域に保存するか否かを決定するステップと、
前記データを前記第1の記憶領域に保存すると決定された場合に、前記データを前記第1の記憶領域に保存し、前記データを前記第1の記憶領域に保存しないと決定された場合に、前記データを前記第2の記憶領域に保存するステップとを前記コンピュータに実行させる、データ保存プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2009−48254(P2009−48254A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−211330(P2007−211330)
【出願日】平成19年8月14日(2007.8.14)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】