説明

情報処理装置、処理方法、ならびに、プログラム

【課題】ユーザがタッチペンやマウス等で入力する際に、誤って入力することを防止するのに好適な情報処理装置等を提供する
【解決手段】情報処理装置301は、表示部302と、受付部303と、処理部304とを備える。表示部302は、選択可能な1つ以上の項目画像を画面に表示する。受付部303は、画面内における軌跡の入力を受け付ける。処理部304は、受け付けられた軌跡が、(a)所定の軌跡パターンに類似する場合、当該所定の軌跡パターンに対応付けられる処理を実行し、(b)当該所定の軌跡パターンに類似せず、当該項目画像の何れかに重なる場合、当該項目画像に対応付けられる処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザがタッチペンやマウス等で入力する際に、誤って入力することを防止するのに好適な情報処理装置、処理方法、ならびにこれらをコンピュータにて実現するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置において、ゲーム等の操作対象であるオブジェクトとその操作やオブジェクトの属性等を設定するための項目が、同一画面に表示される場合がある。例えば、特許文献1では、キャラクタを選択する画面と、選択したキャラクタに対する命令を設定する項目画像とが、1つの画面上に表示されたゲーム機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4137049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなゲーム機の場合、ユーザはキャラクタに対する操作を行うつもりであっても、手が滑るなどして、誤ってキャラクタに対する命令を設定する項目画像に接触してしまうことがある。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するもので、ユーザがタッチペンやマウス等で入力する際に、手が滑る等して意図しない項目に接触したとしても、その項目に対応づけられている処理を実行しないようにするのに好適な情報処理装置、処理方法、ならびにこれらをコンピュータにて実現するプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点に係る情報処理装置は、表示部、受付部、処理部を備え、以下のように構成する。
【0007】
表示部は、選択可能な1つ以上の項目画像を画面に表示する。
【0008】
例えば、ギターを弾くゲームの場合、表示部にはギターの他に、ギターの音色等を設定するための項目画像や、プレイを中断するための項目画像等が表示される。
【0009】
受付部は、画面内における軌跡の入力を受け付ける。
【0010】
例えば、タッチペンや指で画面をなぞる、又はマウスでポインタを動かすと、その軌跡を入力として受け付ける。
【0011】
処理部は、受け付けられた軌跡が、
(a)所定の軌跡パターンに類似する場合、当該所定の軌跡パターンに対応付けられる処理を実行し、
(b)当該所定の軌跡パターンに類似せず、当該項目画像の何れかに重なる場合、当該項目画像に対応付けられる処理を実行する。
【0012】
例えば、ギターを弾くゲームにおいて、ユーザが、画面内に表示されたギターの弦を、タッチペンで弦と交差する方向に擦るようにして軌跡を描いたとすると、当該軌跡はギターを弾くための軌跡パターンと類似すると判断され、受け付けた軌跡に従って音が出力される。一方、ユーザが、タッチペンで、弦の方向と並行に画面を擦るようにして軌跡を描き、その軌跡が例えば中断処理の項目画像に重なったとすると、ゲームは中断される。
【0013】
本発明によれば、ユーザが、手が滑る等して意図しない項目画像に接触してしまったとしても、所定の軌跡パターンを描いている限りは、その項目画像に対応づけられている処理を実行しないようにすることができる。
【0014】
本発明の第2の観点に係る情報処理装置は、表示部、受付部、処理部を備え、以下のように構成する。
【0015】
表示部は、選択可能な1つ以上の項目画像を画面に表示する。
【0016】
例えば、ゲームの設定処理や中断処理等に対応付けられた、長方形の項目画像等が画面に表示される。
【0017】
受付部は、画面内における軌跡の入力を受け付ける。
【0018】
例えば、タッチペンや指で画面をなぞる、又はマウスでポインタを動かすと、その軌跡を入力として受け付ける。
【0019】
処理部は、受け付けられた軌跡が、表示された項目画像を、当該項目画像の長手方向に沿ってなぞる場合、当該項目画像に対応づけられる処理を実行する。
【0020】
例えば、ゲームプレイの中断処理と対応づけられた長方形の項目画像が表示されているとする。ユーザが、タッチペンや指、マウスのポインタ等で、その項目画像を、項目画像の長手方向に沿ってなぞった場合、ゲームプレイの中断処理が実行される。
【0021】
本発明によれば、ユーザが、手が滑る等して意図しない項目に接触してしまったとしても、所定の方向に操作入力を行わない場合は、その項目に対応づけられている処理を実行しないようにすることができる。
【0022】
また、本情報処理装置において、表示部はタッチスクリーンを画面とし、受付部はタッチスクリーンへの接触操作の有無ならびに接触位置を検出して、当該検知された接触位置の軌跡を、入力として受け付けるように構成することができる。
【0023】
例えば、タッチスクリーンを備えた携帯型ゲーム機において、ユーザがタッチペン等でタッチスクリーンに接触操作を行うと、タッチペン等により描かれた軌跡が入力として受け付けられる。
【0024】
本発明は、上記発明の好適実施形態に係るものであり、携帯型ゲーム機のようなタッチスクリーンを備えた情報処理装置において、タッチペン等により意図しない接触操作が行われた場合に、その接触操作による誤動作を防ぐことができる。
【0025】
また、本情報処理装置は、受付部が、マウスによるドラッグ操作の軌跡を、入力として受け付けるように構成することができる。
【0026】
マウスによる操作入力を受け付ける情報処理装置において、ユーザがドラッグ操作を行い、画面上でポインタを動かすと、その軌跡が入力として受け付けられる。
【0027】
本発明は、上記発明の好適実施形態に係るものであり、マウスによる操作入力を受け付ける情報処理装置において、マウスにより意図しない操作が行われた場合に、その操作による誤動作を防ぐことができる。
【0028】
また、本情報処理装置は、入力された軌跡が、表示された項目画像の長手方向のいずれにも沿っていない場合、当該軌跡からゲームの成績を評価する評価部をさらに備えるように構成することができる。
【0029】
例えば、ゲームプレイ中に、タッチペン等で、画面に表示される長方形の項目画像を長手方向以外になぞったとしても、その項目に対応づけられている処理は実行されず、タッチペンによる接触操作は、ゲームの入力として処理される。
【0030】
本発明は、上記発明の好適実施形態に係るものであり、所定の方向に入力が行われなかった場合に項目画像に対応づけられる処理が実行されなかったとしても、その接触操作自体が無効とされるのではなく、ゲームに対する入力として処理されるようにすることができる。
【0031】
また、本情報処理装置において、処理部は、入力された軌跡が、表示された項目画像を、当該項目画像の長手方向に沿ってなぞり、当該軌跡の開始点と終了点の位置が当該項目画像が表示される領域に含まれる場合、当該項目画像に対応づけられる処理を実行するように構成することができる。
【0032】
すなわち、タッチペン等で項目画像を長手方向になぞったとしても、開始点又は終了点が項目画像以外の位置から開始された場合には、項目に対応づけられた処理は実行されない。
【0033】
本発明は、上記発明の好適実施形態に係るものであり、所定の限られた位置への軌跡のみを項目への入力とするので、ユーザが誤ってタッチペン等で項目画像を、項目画像の長手方向に沿ってなぞってしまったとしても、項目に対応づけられる処理が実行されるのを防ぐことができる。
【0034】
本発明の第3の観点に係る処理方法は、表示部、受付部、処理部を有する情報処理装置が実行する処理方法であって、以下のように構成する。
【0035】
表示工程では、表示部が、選択可能な1つ以上の項目画像を画面に表示する。
【0036】
受付工程では、受付部が、画面内における軌跡の入力を受け付ける。
【0037】
処理工程では、処理部が、受け付けられた軌跡が、
(a)所定の軌跡パターンに類似する場合、当該所定の軌跡パターンに対応付けられる処理を実行し、
(b)当該所定の軌跡パターンに類似せず、当該項目画像の何れかに重なる場合、当該項目画像に対応付けられる処理を実行する。
【0038】
本発明の第4の観点に係る処理方法は、表示部、受付部、処理部を有する情報処理装置が実行する処理方法であって、以下のように構成する。
【0039】
表示工程では、表示部が、選択可能な1つ以上の項目画像を画面に表示する。
【0040】
受付工程では、受付部が、画面内における軌跡の入力を受け付ける。
【0041】
処理工程では、処理部が、受け付けられた軌跡が、表示された項目画像を、当該項目画像の長手方向に沿ってなぞる場合、当該項目画像に対応づけられる処理を実行する。
【0042】
本発明の第5の観点に係るプログラムは、コンピュータを上記処理装置として機能させ、コンピュータに上記処理方法を実行させるように構成する。
【0043】
また、本発明のプログラムは、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、半導体メモリ等のコンピュータ読取可能な情報記憶媒体に記録することができる。
【0044】
上記プログラムは、プログラムが実行されるコンピュータとは独立して、コンピュータ通信網を介して配布・販売することができる。また、上記情報記憶媒体は、コンピュータとは独立して配布・販売することができる。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、ユーザがタッチペンやマウス等で入力する際に、誤って入力することを防止するのに好適な情報処理装置、処理方法、ならびにこれらをコンピュータにて実現するプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の処理方法が実現される情報処理装置の概要構成を示す図である。
【図2】本発明の処理方法が実現される情報処理装置の外観及び入力操作の一例を示す図である。
【図3】実施形態に係る情報処理装置の機能構成を示す図である。
【図4】実施形態の情報処理装置の各部が行う処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】横方向に配置された項目画像に対する入力例を示す図である。
【図6】開始点が項目画像内にない入力例を示す図である。
【図7】縦方向に配置された項目画像に対する入力例を示す図である。
【図8】軌跡の方向が項目画像の長手方向に沿っていない場合の例を示す図である。
【図9】軌跡の方向が項目画像の長手方向から逸れている場合の例を示す図である。
【図10a】ファイル削除処理の確認のためのダイアログを示す図である。
【図10b】ファイル削除処理に対応づけられた項目画像に対する入力例を示す図である。
【図10c】ファイル削除を中止する処理に対応づけられた項目画像に対する入力例を示す図である。
【図11】スライドスイッチを模した項目画像の例を示す図である。
【図12】受け付けた軌跡がゲームプレイの操作入力であるか否かを最初に判断する処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図13】ゲームプレイの操作入力として想定される軌跡パターンと異なる軌跡パターンの入力例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下に本発明の実施形態を説明する。以下では、理解を容易にするため、携帯型ゲーム機に本発明が適用される実施形態を説明するが、各種のコンピュータ、PDA、携帯電話、音楽プレイヤなどにおいても同様に本発明を適用することができる。すなわち、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であれば、これらの各要素もしくは全要素をこれと等しいものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0048】
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る典型的な携帯型情報処理装置の概要構成を示す模式図である。また、図2に携帯型情報処理装置の外観図を示す。以下、これらの図を参照して説明する。
【0049】
携帯型情報処理装置1は、処理制御部10、コネクタ11、カートリッジ12、無線通信部13、通信コントローラ14、サウンドアンプ15、スピーカ16、マイク17、操作キー18、第1の表示部19、第2の表示部20、タッチパネル21、を備える。
【0050】
処理制御部10は、CPU(Central Processing Unit)コア10a、画像処理部10b、VRAM(Video Random Access Memory)10c、WRAM(Work RAM)10d、LCD(Liquid Crystal Display)コントローラ10e、タッチパネルコントローラ10f、を備える。
【0051】
CPUコア10aは、携帯型情報処理装置1全体の動作を制御し、各構成要素と接続され制御信号やデータをやりとりする。具体的には、カートリッジ12がコネクタ11に装着された状態で、カートリッジ12内のROM(Read Only Memory)12aに記憶されたプログラムやデータを読み出して、所定の処理を実行する。
【0052】
画像処理部10bは、カートリッジ12内のROM 12aから読み出されたデータや、CPUコア10aにて処理されたデータを加工処理した後、これをVRAM 10cに格納する。
【0053】
VRAM 10cは、表示用の情報を記憶するフレームメモリであり、画像処理部10b等により加工された画像情報を記憶する。
【0054】
WRAM 10dは、CPUコア10aがプログラムに従った各種処理を実行する際に必要となるワークデータ等を記憶する。
【0055】
LCDコントローラ10eは、第1の表示部19および、第2の表示部20を制御し、所定の表示用画像を表示させる。例えば、LCDコントローラ10eは、VRAM 10cに記憶された画像情報を、所定の同期タイミングで表示信号に変換し、第1の表示部19に出力する。また、LCDコントローラ10eは、第2の表示部20に所定の指示アイコン等を表示する。
【0056】
タッチパネルコントローラ10fは、タッチペンやユーザの指によるタッチパネル21への接触(タッチ)を検出する。例えば、第2の表示部20に所定の指示アイコン等が表示されている状態で、タッチパネル21上の接触およびその位置等を検出する。
【0057】
コネクタ11は、カートリッジ12と脱着自在に接続可能な端子であり、カートリッジ12が接続された際に、カートリッジ12との間で所定のデータを送受信する。
【0058】
カートリッジ12は、ROM 12aと、RAM(Random Access Memory)12bと、を備える。
ROM 12aには、ゲームを実現するためのプログラムとゲームに付随する画像データや音声データ等が記録される。
RAM 12bには、ゲームの進行状況等を示す種々のデータが記憶される。
【0059】
無線通信部13は、他の携帯型情報処理装置1の無線通信部13との間で、無線通信を行うユニットであり、図示せぬアンテナ(内蔵アンテナ等)を介して所定のデータを送受信する。
なお、無線通信部13は、所定のアクセスポイントとの間で、無線LAN通信を行うこともできる。また、無線通信部13には、固有のMAC(Media Access Control)アドレスが採番されている。
【0060】
通信コントローラ14は、無線通信部13を制御し、所定のプロトコルに沿って、処理制御部10と他の携帯型情報処理装置1の処理制御部10との間で行われる通信の仲立ちをする。
【0061】
サウンドアンプ15は、処理制御部10にて生成された音声信号を増幅し、スピーカ16に供給する。
【0062】
スピーカ16は、例えば、ステレオスピーカ等からなり、サウンドアンプ15にて増幅された音声信号に従って、所定の楽曲音や効果音等を出力する。
【0063】
マイク17は、ユーザの声等のアナログ信号を受け付け、受け付けた信号は処理制御部10でミキシング等の処理がされる。
【0064】
操作キー18は、携帯型情報処理装置1に適宜配置された方向キー18aやボタン18b等から構成され、ユーザの操作に従って、所定の指示入力を受け付ける。操作キー18には、音量を調節するためのボタンや、つまみ等も含まれる。
【0065】
第1の表示部19および、第2の表示部20は、LCD等からなり、LCDコントローラ10eに制御され、ゲーム画像等を適宜表示する。
【0066】
タッチパネル21は、第2の表示部20の前面に重畳して配置され、タッチペン22やユーザの指の接触による入力を受け付ける。
タッチパネル21は、例えば、感圧式のタッチセンサパネル等からなり、ユーザの指等の圧力を検出し、接触状態および、接触状態から非接触状態への移行等を検出する。なお、タッチパネル21は、他に静電容量の変化等から、ユーザの指等の接触を検出してもよい。
【0067】
なお、本実施の形態に係る情報処理装置は、上述した典型的な携帯型情報処理装置1上に実現されるが、一般的なコンピュータやゲーム装置上に実現することもでき、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。一般的なコンピュータやゲーム装置は、上記携帯型情報処理装置1と同様に、CPUコアや、VRAM、WRAM、を備える。また、通信部として、例えば、LAN(Local Area Network)を構成する際に用いられる10BASE−T/100BASE−Tなどの規格に準拠するNIC(Network Interface Controller)、記憶装置としてハードディスクを有する他、DVD−ROMや、光磁気ディスク、等が利用できるようになっている。また、入力装置として、タッチパネルの代わりに、キーボードやマウスなどを利用する。そして、プログラムをインストールした後に、そのプログラムを実行させると、表示装置として機能させることができる。
【0068】
図3は、本実施形態に係る情報処理装置の機能構成を示す図である。以下、本図を参照して説明する。
また、本実施形態では、ギターを弾くゲームを例に取り説明する。本実施形態のギターを弾くゲームでは、図2に示すように、第2の表示部20にギターの画像(ギター23)とゲームの設定のための項目画像24やゲームを中断するための項目画像25が表示される。ユーザが、ギター23や項目画像24、25が表示されたタッチパネル21上に、タッチペン22や指等で線や点(以降、軌跡と呼ぶ。)を描くと、描いた軌跡に基づいた処理が行われる。例えば、ユーザが、タッチペン22で、ギター23の弦をギター23の弦と交差する方向になぞると、なぞった位置や方向等に対応したギターの音が出力される。
【0069】
本実施形態の情報処理装置301は、表示部302、受付部303、処理部304、評価部305、を備える。
【0070】
表示部302は、選択可能な1つ以上の項目画像を表示する。例えば、操作対象であるギター、ギターの音色等を設定するための項目画像、ゲームを中断するための項目画像等を同一画面内に表示する。また、表示部302は、項目画像の座標情報を処理部304に送る。したがって、CPUコア10aは、画像処理部10b、VRAM 10c、LDCコントローラ10e、及び第1/第2の表示部19、20と協働して、表示部302として機能する。
【0071】
受付部303は、表示部302により表示された画面内の、ユーザによって描かれた軌跡を入力として受け付け、軌跡の情報を処理部304に送る。したがって、CPUコア10aは、タッチパネルコントローラ10f及びタッチパネル21と協働して、受付部303として機能する。
【0072】
本実施形態における受付部303はタッチパネル21によって操作入力を受け付けているが、受付部303は、マウスによる操作を受け付けるように構成することもできる。例えば、マウスによって操作されたポインタの軌跡を入力として受け付ける。
【0073】
処理部304は、受付部303から軌跡の情報及び表示部302から項目画像の座標情報を受け付け、それらの情報に基づいて軌跡が項目画像に対する入力か否かを判断する。処理部304は、軌跡が項目画像の長手方向に沿って項目画像をなぞり、かつ、その軌跡の開始点及び終了点が項目画像内にある場合に、受け付けた軌跡を項目画像への入力と判断する。項目画像への入力と判断した場合は、項目画像に対応づけられている処理を実行し、項目画像への入力ではないと判断した場合は、評価部305に軌跡の情報を送る。したがって、CPUコア10aは、WRAM 10dと協働して、処理部304として機能する。
【0074】
また、処理部304において、ある一定の範囲内なら軌跡が項目画像の長手方向に正確に沿っていなくても長手方向に沿っていると判断させるように、誤差範囲を設けてもよい。例えば、誤差範囲を項目画像の長手方向から傾き±15度とすると、入力された軌跡が長手方向から15度傾いている場合でも項目画像への入力と判断する。
【0075】
評価部305は、入力された軌跡が、表示された項目画像の長手方向のいずれにも沿っていない場合、又は項目画像の長手方向に沿っていても軌跡の開始点及び終了点が項目画像内に無い場合、当該軌跡からゲームの成績を評価する。したがって、CPUコア10aは、WRAM 10dと協働して、評価部305として機能する。
【0076】
図4は、本実施形態の情報処理装置301にて実行される処理の流れを示すフローチャートである。以下、本図を参照して説明する。
【0077】
表示部302は、図2に示すように、ギターの他にギターの音色などを変えるための“設定”の項目画像24やプレイを中断するための“中断”の項目画像25を同一画面内に表示する(ステップS401)。また、表示部302は、表示した項目画像の座標情報を処理部304に送る。
【0078】
表示部302に項目画像を含む画像が表示されると、受付部303はユーザからの入力待ちの状態となる(ステップS402)。例えば、ユーザがタッチペン22によりタッチパネル21に接触操作を行うと、受付部303は“入力あり”と判断し(ステップS402;Yes)、タッチペン22で描かれた軌跡を検知する(ステップS403)。また、受付部303は、検知された軌跡の情報を処理部304に送る。受付部303に入力操作がされない場合は(ステップS402;No)、そのまま待機する。
【0079】
処理部304は、表示部302から受け付けた座標情報に基づいて、受付部303から受け付けた軌跡の開始点及び終了点が項目画像内にあるか否かを判断する(ステップS404)。例えば、図5のタッチペン22によって描かれた軌跡27は、開始点及び終了点共に項目画像25内にあると判断され(ステップS404;Yes)、図6の軌跡28は開始点が項目画像25内に無いと判断される(ステップS404;No)。
【0080】
軌跡の開始点及び終了点が項目画像内にある場合(ステップS404;Yes)、処理部304は、受け付けた軌跡が項目画像の長手方向と同じ方向に描かれているか否かを判断する(ステップS405)。図5の項目画像25は横方向が長手方向であるので、軌跡27は長手方向に沿って描かれていると判断される(ステップS405;Yes)。また、図7の項目画像29、30のように縦方向が項目画像の長手方向である場合は、軌跡31のように描かれると長手方向に沿っていると判断される(ステップS405;Yes)。一方、図8の軌跡32は、長手方向に沿っていないと判断され(ステップS405;No)、軌跡の開始点及び終了点が項目画像内にあっても項目画像への入力として判断されない。また、軌跡が長手方向に沿っているか否かについての判断に誤差範囲を設定することができるので、図9の軌跡33の場合は、その設定によって長手方向に沿っていると判断することも、沿っていないとも判断することもできる。
【0081】
受け付けた軌跡が項目画像の長手方向に沿って描かれていると判断されると(ステップS405;Yes)、処理部304は、項目画像に対応づけられている処理を実行する(ステップS406)。例えば、図5の場合は、ギターを弾くゲームの中断処理が実行される。
【0082】
受け付けた軌跡の開始点及び終了点が項目画像内にない場合(ステップS404;No)や、項目画像内に開始点及び終了点があっても長手方向でない場合は(ステップS405;No)、ゲームプレイの操作入力と判断され、ゲームの成績評価等が行われる(ステップS407)。ここで、ゲームプレイの操作入力とは、ゲームの成績評価の対象となる入力であり、例えば、ギターを弾くゲームでは、ギター23の弦をタッチペン22でなぞる等の操作である。受け付けた軌跡はギターを鳴らすための操作入力であると判断され、受け付けた軌跡の長さから出力音量を計算する処理等が行われる。
【0083】
本実施形態では、所定の方向に操作を行わないと、項目画像に対応づけられる処理は実行されないので、例えば図2に示すように、ギターを鳴らすゲームの最中に手が滑って“中断”の項目画像に接触してしまったとしても、その接触による意図しない動作の実行を防ぐことができる。
【0084】
また、ファイルの削除等のやり直しができないような危険な処理の操作入力の場合に、所定の操作を行わないと項目に対応づけられる処理が実行されず、危険でない処理の操作入力の場合には、接触すれば処理が実行されるようにしてもよい。例えば、図10(a)に示すファイル削除処理の確認のためのダイアログが表示され、ユーザがファイルを削除する場合には、図10(b)に示すように、“はい(Y)”の項目画像の長手方向に入力操作を行わないと削除処理が実行されない。一方、ユーザが削除処理を中止する場合には、図10(c)に示すように、“いいえ(N)”の項目画像にポインタが接触するだけで、削除処理が中止される。
【0085】
ユーザは項目画像に対して限られた方向に入力操作を行うために、通常の接触操作よりも注意を払わなければならないので、ファイルの削除等の、やり直しができないような処理の場合にも本実施形態の処理方法は有効である。
【0086】
また、本実施形態では、項目画像を図11に示すようなスライドスイッチを模した画像(スライドスイッチの項目画像35)にしてもよい。例えば、ユーザがタッチペン22でタッチパネル21に表示されたスライドスイッチを所定の方向(図11では軌跡34が示す方向)にスライドさせると、スライドスイッチの項目画像35に対応付けられる処理(図11では“中断”処理)が実行される。この場合、スライドスイッチの項目画像35に接触しただけでは、スライドスイッチの項目画像35に対応付けられる処理は実行されないので、誤った接触による誤動作を防ぐことができる。
【0087】
また、本実施形態では、処理部304は、受付部303から受け付けた軌跡が項目画像に対する入力か否かを最初に判断しているが、受け付けた軌跡がゲームプレイの操作入力であるか否かを最初に判断するようにしてもよい。
すなわち、処理部304は、受付部303から受け付けた軌跡がゲームプレイの操作入力として想定される軌跡のパターンと類似する場合は、その軌跡のパターンに対応付けられる処理を実行する。一方、受け付けた軌跡がゲームプレイの操作入力として想定される軌跡のパターンと類似せず、かつ、項目画像の何れかに重なる場合は、項目画像に対応付けられている処理を実行する。
【0088】
受け付けた軌跡がゲームプレイの操作入力であるか否かを最初に判断する処理の流れを、図12のフローチャートを参照して説明する。ここで、図12のステップS401〜ステップS403、ステップS406、及びステップS407は図4に示すステップと同じ動作を示す。ステップS403の後、処理部304は、受付部303から検知された軌跡の情報を受け取ると、受け付けた軌跡がゲームプレイの操作入力として想定されるパターンか否かを判断する(ステップS1204)。本実施形態のギターを弾くゲームの場合では、ゲームプレイの操作入力として想定される軌跡のパターンは、ギターの弦と交差する方向に描かれる軌跡のパターンであるとする。例えば、図2に示す軌跡26が入力された場合、軌跡26はギター23の弦と交差する方向に描かれているので、処理部304は、軌跡26が、ギターを鳴らすための操作入力として想定される軌跡のパターンと類似すると判断する(ステップS1204;Yes)。この場合、軌跡が仮に項目画像に触れたとしても、ギターを鳴らすための操作入力として判断する。処理部304は、受け付けた軌跡の位置や長さから音階や出力音量を計算する処理などを行う(ステップS407)。
【0089】
一方、図13に示す軌跡36が入力された場合、軌跡36は弦の方向と略並行方向に描かれているので、処理部304は、ギターを鳴らすための操作入力として想定される軌跡パターンとは類似しないと判断し(ステップS1204;No)、続いて軌跡36がいずれかの項目画像と重なるか否かを判断する(ステップS1205)。軌跡36は項目画像25に重なっているので、項目画像25への操作入力として判断され(ステップS1205;Yes)、処理部304は、項目画像に対応づけられている処理を実行する(ステップS406)。受け付けた軌跡が、ギターを鳴らすための操作入力として想定される軌跡パターンとは類似しないが(ステップS1204;No)、いずれの項目画像とも重ならない場合は(ステップS1205;No)、ギターを鳴らすための操作入力として判断され、処理部304は受け付けた軌跡に基づいて処理を行う(ステップS407)。
【0090】
上記のような構成にすることによっても、項目画像に誤って接触してしまったとしても、その接触による意図しない動作の実行を防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
以上説明したように、本発明によれば、ユーザがタッチペンやマウス等で入力する際に、誤って入力することを防止するのに好適な情報処理装置、処理方法、ならびにこれらをコンピュータにて実現するプログラムを提供することができる。
【符号の説明】
【0092】
1 携帯型情報処理装置
10 処理制御部
10a CPUコア
10b 画像処理部
10c VRAM
10d WRAM
10e LCDコントローラ
10f タッチパネルコントローラ
11 コネクタ
12 カートリッジ
12a ROM
12b RAM
13 無線通信部
14 通信コントローラ
15 サウンドアンプ
16 スピーカ
17 マイク
18 操作キー
18a 方向キー
18b ボタン
19 第1の表示部
20 第2の表示部
21 タッチパネル
22 タッチペン
23 ギター
24、25、29、30 項目画像
26、27、28、31、32、33、34、36 軌跡
35 スライドスイッチの項目画像
301 情報処理装置
302 表示部
303 受付部
304 処理部
305 評価部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択可能な1つ以上の項目画像を画面に表示する表示部と、
前記画面内における軌跡の入力を受け付ける受付部と、
前記受け付けられた軌跡が、
(a)所定の軌跡パターンに類似する場合、当該所定の軌跡パターンに対応付けられる処理を実行し、
(b)当該所定の軌跡パターンに類似せず、当該項目画像の何れかに重なる場合、当該項目画像に対応付けられる処理を実行する
処理部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
選択可能な1つ以上の項目画像を画面に表示する表示部と、
前記画面内における軌跡の入力を受け付ける受付部と、
前記受け付けられた軌跡が、前記表示された項目画像を、当該項目画像の長手方向に沿ってなぞる場合、当該項目画像に対応づけられる処理を実行する処理部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の情報処理装置であって、
前記表示部は、タッチスクリーンを前記画面とし、
前記受付部は、前記タッチスクリーンへの接触操作の有無ならびに接触位置を検知して、当該検知された接触位置の軌跡を、前記入力として受け付ける
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の情報処理装置であって、
前記受付部は、マウスによるドラッグ操作の軌跡を、前記入力として受け付ける
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項2ないし4のうちいずれか1項に記載の情報処理装置であって、
前記入力された軌跡が、前記表示された項目画像の長手方向のいずれにも沿っていない場合、当該軌跡からゲームの成績を評価する評価部
をさらに備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項2ないし5のうちいずれか1項に記載の情報処理装置であって、
前記処理部は、前記入力された軌跡が、前記表示された項目画像を、当該項目画像の長手方向に沿ってなぞり、当該軌跡の開始点と終了点の位置が当該項目画像が表示される領域に含まれる場合、当該項目画像に対応づけられる処理を実行する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
表示部、受付部、処理部を有する情報処理装置が実行する処理方法であって、
前記表示部が、選択可能な1つ以上の項目画像を画面に表示する表示工程と、
前記受付部が、前記画面内における軌跡の入力を受け付ける受付工程と、
前記処理部が、前記受け付けられた軌跡が、
(a)所定の軌跡パターンに類似する場合、当該所定の軌跡パターンに対応付けられる処理を実行し、
(b)当該所定の軌跡パターンに類似せず、当該項目画像の何れかに重なる場合、当該項目画像に対応付けられる処理を実行する
処理工程と、
を備えることを特徴とする処理方法。
【請求項8】
表示部、受付部、処理部を有する情報処理装置が実行する処理方法であって、
前記表示部が、選択可能な1つ以上の項目画像を画面に表示する表示工程と、
前記受付部が、前記画面内における軌跡の入力を受け付ける受付工程と、
前記処理部が、前記受け付けられた軌跡が、前記表示された項目画像を、当該項目画像の長手方向に沿ってなぞる場合、当該項目画像に対応づけられる処理を実行する処理工程と、
を備えることを特徴とする処理方法。
【請求項9】
コンピュータを、
選択可能な1つ以上の項目画像を画面に表示する表示部、
前記画面内における軌跡の入力を受け付ける受付部、
前記受け付けられた軌跡が、
(a)所定の軌跡パターンに類似する場合、当該所定の軌跡パターンに対応付けられる処理を実行し、
(b)当該所定の軌跡パターンに類似せず、当該項目画像の何れかに重なる場合、当該項目画像に対応付けられる処理を実行する
処理部、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
コンピュータを、
選択可能な1つ以上の項目画像を画面に表示する表示部、
前記画面内における軌跡の入力を受け付ける受付部、
前記受け付けられた軌跡が、前記表示された項目画像を、当該項目画像の長手方向に沿ってなぞる場合、当該項目画像に対応づけられる処理を実行する処理部、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10a】
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【図10b】
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【図10c】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−271760(P2010−271760A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−120697(P2009−120697)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】