説明

情報処理装置、及び多値符号データの生成方法

【課題】受信側でPLLを用いずにクロックを再生することが可能な多値符号の多値数を低減させて伝送品質を向上させた情報処理装置を提供すること。
【解決手段】互いに異なる第1及び第2のビット値で表現された送信データから連続する2ビットのビット列を符号化対象として選択し、当該ビット列の前1ビットを正の振幅A又はB(A≠B)で表現し、かつ、後1ビットを負の振幅−A又は−Bで表現することにより、前記送信データを2ビット単位で符号化して符号化データを生成する符号化部と、前記符号化部で生成された符号化データを送信する送信部と、を備え、前記符号化部は、前記第1のビット値を振幅A又は−Aで表現し、前記第2のビット値を振幅B又は−Bで表現する、情報処理装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、及び多値符号データの生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やノート型のパーソナルコンピュータ(以下、ノートPC)等の情報処理装置は、ユーザが操作する本体部分と、情報が表示される表示部分とを接続するヒンジ部分に可動部材が用いられていることが多い。ところが、ヒンジ部分には多数の信号線や電力線が配線されており、配線の信頼性を維持する工夫が求められる。まず、考えられるのが、ヒンジ部分を通る信号線の数を減らすことである。そこで、本体部分と表示部分との間においては、パラレル伝送方式ではなく、シリアル伝送方式でデータの伝送処理が行われるようにする。シリアル伝送方式を用いると、信号線の本数が低減されると共に、さらに電磁妨害(EMI;Electro Magnetic Interference)が低減されるという効果も得られる。
【0003】
さて、シリアル伝送方式の場合、データは符号化されてから伝送される。その際、符号化方式としては、例えば、NRZ(Non Return to Zero)符号方式やマンチェスタ符号方式、或いは、AMI(Alternate Mark Inversion)符号方式等が用いられる。例えば、下記の特許文献1には、バイポーラ符号の代表例であるAMI符号を利用してデータ伝送する技術が開示されている。また、同文献には、データクロックを信号レベルの中間値で表現して伝送し、受信側で信号レベルに基づいてデータクロックを再生する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−109843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ノートPCのような情報処理装置においては、上記の符号を用いるシリアル伝送方式を用いても、依然としてヒンジ部分に配線される信号線の本数が多い。例えば、ノートPCの場合、表示部分に伝送されるビデオ信号の他、LCDを照明するためのLEDバックライトに関する配線が存在し、これらの信号線を含めると数十本程度の信号線がヒンジ部に配線されることになる。但し、LCDは、Liquid Crystal Displayの略である。また、LEDは、Light Emitting Diodeの略である。
【0006】
そこで、本件発明者は、直流成分を含まず、かつ、受信信号からクロック成分を容易に抽出することが可能な符号化方式(以下、新方式)を開発した。この新方式に基づいて生成された伝送信号は直流成分を含まないため、直流電源に重畳して伝送することができる。さらに、この伝送信号から極性反転周期を検出することにより、受信側でPLLを用いずにクロックを再生することが可能になる。そのため、複数の信号線を纏めることが可能になり、信号線の本数を減らすことができると共に、消費電力及び回路規模の低減が実現される。但し、PLLは、Phase Locked Loopの略である。
【0007】
しかしながら、上記の新方式に基づいて生成された伝送信号は、1つのビット値を複数の振幅レベルで表現した多値信号となる。そのため、一般に用いられる1つのビット値を1つの振幅レベルで表現した2値の伝送信号に比べると所要SN比が10dB程度多く必要になる。上記の新方式は、機器内の信号伝送に用いることを想定して開発されたものである。そのため、上記の新方式が適用される伝送路は、無線伝送路に比べると格段に伝送品質が良い。しかし、伝送信号が多値になることから、予期せぬ外来ノイズや機器内部で発生するノイズ等による影響を受けて伝送誤りが発生してしまうことがある。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、DC遮断特性を持つ伝送路を通じて伝送可能であり、かつ、受信側でPLLを用いずにクロック再生可能な多値符号の多値数を低減することが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、及び多値符号データの生成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、互いに異なる第1及び第2のビット値で表現された送信データから連続する2ビットのビット列を符号化対象として選択し、当該ビット列の前1ビットを正の振幅A又はB(A≠B)で表現し、かつ、後1ビットを負の振幅−A又は−Bで表現することにより、前記送信データを2ビット単位で符号化して符号化データを生成する符号化部と、前記符号化部で生成された符号化データを送信する送信部と、を備え、前記符号化部は、前記第1のビット値を振幅A又は−Aで表現し、前記第2のビット値を振幅B又は−Bで表現する、情報処理装置が提供される。
【0010】
また、上記の情報処理装置は、前記符号化部で生成された符号化データのDCバランス値をNビット毎に算出するDCバランス値算出部と、あるNビットのビット列について前記DCバランス値算出部によりDCバランス値が算出された際、当該Nビットのビット列に関する第1のDCバランス値と、当該Nビットのビット列以前のビット列について前記DCバランス値算出部で算出されたDCバランス値の総和を示す第2のDCバランス値と、が同じ極性を有する場合に、前記第1のDCバランス値に対応する前記送信データのビット列について前記第1のビット値を前記第2のビット値に変換し、前記第2のビット値を前記第1のビット値に変換する極性反転部と、前記DCバランス値算出部でDCバランス値の算出対象とされた各Nビットのビット列について前記極性反転部による変換処理が施されたか否かを示す制御ビットを前記送信データに付加する制御ビット付加部と、をさらに備えていてもよい。この場合、前記制御ビット付加部は、連続したP*Nビット(Pは偶数)のビット列に対応するPビットの制御ビットを前記送信データに含まれる当該P*Nビットのビット列に付加し、前記符号化部は、前記制御ビット付加部により制御ビットが付加された送信データを2ビット単位で符号化して符号化データを生成する。
【0011】
また、前記DCバランス値算出部は、DCバランス値を算出する際に参照すべきNビットのビット列の直前にPビットの制御ビットが存在する場合、当該ビット列と前記制御ビットとで構成される(N+P)ビットのビット列についてDCバランス値を算出するように構成されていてもよい。
【0012】
また、上記の情報処理装置は、前記送信データの先頭にDCバランスが0の同期パターンを付加して送信フレームを生成する送信フレーム生成部をさらに備えていてもよい。
【0013】
また、上記の情報処理装置は、前記送信フレーム生成された送信フレームを前記符号化部で符号化して得られる符号化データを受信する受信部と、前記受信部で受信された符号化データから前記送信フレームに付加された同期パターンを検出する同期パターン検出部と、前記受信部で受信された符号化データから制御ビットを検出する制御ビット検出部と、前記同期パターン検出部で検出された同期パターンから前記制御ビット検出部で検出された制御ビットまでのビット列に対し、当該制御ビットの値に基づいてNビット毎に前記極性反転部による変換処理の有無を判定する変換判定部と、前記変換判定部による判定結果に基づき、前記極性反転部により変換処理が施されたNビットのビット列に対して当該変換処理の逆変換を施す逆変換部と、をさらに備えていてもよい。
【0014】
また、上記の情報処理装置は、前記同期パターン検出部で検出された同期パターンから前記制御ビット検出部で検出された制御ビットまでのビット列についてNビット毎にDCバランス値を算出する検査用DCバランス値算出部と、前記検査用DCバランス値算出部により、あるNビットのビット列について算出された第1のDCバランス値の極性と、当該第1のDCバランス値に対応するビット列以前の前記同期パターンから始まるビット列について算出された第2のDCバランス値の極性と、が同じになる部分を検出する誤り検出部と、をさらに備えていてもよい。
【0015】
また、上記の情報処理装置は、前記送信データを含む送信フレームを生成する送信フレーム生成部と、前記送信フレーム生成部で生成された送信フレームを前記符号化部で符号化して得られる符号化データを受信する受信部と、前記受信部で受信された符号化データから制御ビットを検出する制御ビット検出部と、前記送信フレームの先頭から前記制御ビット検出部で検出された制御ビットまでのビット列に対し、当該制御ビットの値に基づいてNビット毎に前記極性反転部による変換処理の有無を判定する変換判定部と、前記変換判定部による判定結果に基づき、前記極性反転部により変換処理が施された前記送信データのビット列に対して当該変換処理の逆変換を施す逆変換部と、をさらに備えていてもよい。
【0016】
また、上記の情報処理装置は、前記送信フレームの先頭から前記制御ビット検出部で検出された制御ビットまでのビット列についてNビット毎にDCバランス値を算出する検査用DCバランス値算出部と、前記検査用DCバランス値算出部により、あるNビットのビット列について算出された第1のDCバランス値の極性と、当該第1のDCバランス値に対応するビット列以前の前記送信フレームの先頭から始まるビット列について算出された第2のDCバランス値の極性と、が同じになる部分を検出する誤り検出部と、をさらに備えていてもよい。
【0017】
また、前記DCバランス値算出部は、16ビット毎にDCバランス値を算出するように構成されていてもよい。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、互いに異なる第1及び第2のビット値で表現された送信データから連続する2ビットのビット列を符号化対象として選択し、当該ビット列の前1ビットを正の振幅A又はB(A≠B)で表現し、かつ、後1ビットを負の振幅−A又は−Bで表現することにより、前記送信データを2ビット単位で符号化した符号化データを生成する符号化ステップを含み、前記符号化ステップでは、前記第1のビット値を振幅A又は−Aで表現し、前記第2のビット値を振幅B又は−Bで表現する、多値符号データの生成方法が提供される。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、DC遮断特性を持つ伝送路を通じて伝送可能であり、かつ、受信側でPLLを用いずにクロック再生可能な多値符号の多値数を低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】パラレル伝送方式を採用した携帯端末の構成例を示す説明図である。
【図2】シリアル伝送方式を採用した携帯端末の構成例を示す説明図である。
【図3】一般的なシリアル伝送方式を採用した携帯端末の機能構成例を示す説明図である。
【図4】AMI符号の信号波形を示す説明図である。
【図5】新方式に係る携帯端末の機能構成例を示す説明図である。
【図6】新方式に係る伝送信号(多値符号)の生成方法及び振幅判定方法の一例を示す説明図である。
【図7】多値符号(6値)の理想的なアイパターンの一例を示す説明図である。
【図8】AMI符号をベースとする多値符号の周波数スペクトラムを示す説明図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るDCバランス制御用の制御ビット付加方法の一例を示す説明図である。
【図10】同実施形態に係る多値符号の符号化方法、及び反転制御方法の一例を示す説明図である。
【図11】同実施形態に係る反転制御方法の一例を示す説明図である。
【図12】同実施形態に係る多値符号のアイパターンの一例を示す説明図である。
【図13】同実施形態に係る多値符号の周波数スペクトラムの一例を示す説明図である。
【図14】同実施形態に係る多値符号データのDCバランス特性の一例を示す説明図である。
【図15】同実施形態に係る携帯端末の機能構成の一例を示す説明図である。
【図16】同実施形態に係る送信フレームのフレーム構成例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0022】
[説明の流れについて]
ここで、以下に記載する本発明の実施形態に関する説明の流れについて簡単に述べる。まず、図1を参照しながら、パラレル伝送方式を採用した携帯端末100の装置構成について説明する。この中で、パラレル伝送方式に関する問題点について指摘する。次いで、図2を参照しながら、シリアル伝送方式を採用した携帯端末130の装置構成について説明する。
【0023】
次いで、図3を参照しながら、一般的な携帯端末130の機能構成について説明する。この中で、図4を参照しながら、AMI符号について簡単に説明する。但し、AMIは、Alternate Mark Inversionの略である。次いで、図5〜図8を参照しながら、上記の新方式に係る符号化方法を採用した携帯端末130の機能構成について説明する。次いで、図6を参照しながら、上記の新方式に係る符号化方法について説明する。この中で、図7、図8を参照しながら、新方式に係る符号化方式で生成される多値符号のアイパターン及び周波数スペクトラムについても簡単に説明する。
【0024】
次いで、図9を参照しながら、本発明の一実施形態に係るDCバランス制御方法、及び当該DCバランス制御用の制御ビット付加方法について説明する。次いで、図10、図11を参照しながら、同実施形態に係る符号化方法、及びDCバランスの反転制御方法について説明する。次いで、図12、図13を参照しながら、同実施形態に係る多値符号のアイパターン及び周波数スペクトラムについて説明する。また、図14を参照しながら、同実施形態に係る多値符号のDCバランス特性について説明する。
【0025】
次いで、図15を参照しながら、同実施形態に係る符号化方法及びDCバランス制御方法を実現することが可能な携帯端末300の機能構成について説明する。次いで、図16を参照しながら、同実施形態に係る送信フレームのフレーム構成について説明する。この中で、同実施形態のDCバランス制御方法に対する更なる工夫について述べる。最後に、同実施形態の技術的思想について纏め、当該技術的思想から得られる作用効果について簡単に説明する。
【0026】
(説明項目)
1:はじめに
1−1:パラレル伝送方式を採用した携帯端末100の構成
1−2:シリアル伝送方式を採用した携帯端末130の構成
1−3:新方式に係る携帯端末130の機能構成
2:実施形態
2−1:符号化方法及びDCバランス制御方法
2−2:携帯端末300の機能構成
2−3:送信フレームのフレーム構成
3:まとめ
【0027】
<1:はじめに>
まず、本発明の一実施形態に係る技術について詳細な説明をするに先立ち、同実施形態が解決しようとする課題について簡単に纏める。
【0028】
[1−1:パラレル伝送方式を採用した携帯端末100の構成]
まず、図1を参照しながら、パラレル伝送方式を採用した携帯端末100の装置構成について簡単に説明する。図1は、パラレル伝送方式を採用した携帯端末100の装置構成の一例を示す説明図である。図1には、携帯端末100の一例として携帯電話が模式的に描画されている。しかし、以下で説明する技術の適用範囲は携帯電話に限定されない。例えば、ノートPC等の情報処理装置や各種の携帯型電子機器にも適用可能である。
【0029】
図1に示すように、携帯端末100は、主に、表示部102と、液晶部104(LCD)と、接続部106と、操作部108と、ベースバンドプロセッサ110(BBP)と、パラレル信号線路112と、により構成される。但し、LCDは、Liquid Crystal Displayの略である。なお、表示部102を表示側、操作部108を本体側と呼ぶ場合がある。なお、ここでは説明の都合上、パラレル信号線路112を介して映像信号が伝送されるケースを例に挙げる。もちろん、パラレル信号線路112を介して伝送される信号の種類はこれに限定されず、例えば、制御信号や音声信号等もある。
【0030】
図1に示すように、表示部102には、液晶部104が設けられている。そして、液晶部104には、パラレル信号線路112を介して伝送された映像信号が入力される。そして、液晶部104は、入力された映像信号に基づいて映像を表示する。また、接続部106は、表示部102と操作部108とを接続する部材である。この接続部106を形成する接続部材は、例えば、表示部102をZ−Y平面内で180度回転できる構造を有する。また、この接続部材は、X−Z平面内で表示部102が回転可能に形成されていてもよい。この場合、携帯端末100は折り畳みできる構造になる。なお、この接続部材は、自由な方向に表示部102を可動にする構造を有していてもよい。
【0031】
ベースバンドプロセッサ110は、携帯端末100の通信制御、及びアプリケーションの実行機能を提供する演算処理部である。ベースバンドプロセッサ110から出力されるパラレル信号は、パラレル信号線路112を通じて表示部102の液晶部104に伝送される。パラレル信号線路112には、多数の信号線が配線されている。例えば、携帯電話の場合、この信号線数nは50本程度である。また、映像信号の伝送速度は、液晶部104の解像度がQVGAの場合、130Mbps程度となる。そして、パラレル信号線路112は、接続部106を通るように配線されている。
【0032】
つまり、接続部106には、パラレル信号線路112を形成する多数の信号線が配線されている。上記のように、接続部106の可動範囲を広げると、その動きによりパラレル信号線路112に損傷が発生する危険性が高まる。その結果、パラレル信号線路112の信頼性が損なわれてしまう。一方で、パラレル信号線路112の信頼性を維持しようとすると、接続部106の可動範囲が制約されてしまう。こうした理由から、接続部106を形成する可動部材の自由度、及びパラレル信号線路112の信頼性を両立させる目的で、シリアル伝送方式が携帯電話等に採用されることが多くなってきている。また、放射電磁雑音(EMI)の観点からも、伝送線路のシリアル化が進められている。
【0033】
[1−2:シリアル伝送方式を採用した携帯端末130の構成]
そこで、図2を参照しながら、シリアル伝送方式を採用した携帯端末130の装置構成について簡単に説明する。図2は、シリアル伝送方式を採用した携帯端末130の装置構成の一例を示す説明図である。図2には、携帯端末130の一例として携帯電話が模式的に描画されている。しかし、以下で説明する技術の適用範囲は携帯電話に限定されない。例えば、ノートPC等の情報処理装置や各種の携帯型電子機器にも適用可能である。また、図1に示したパラレル伝送方式の携帯端末100と実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付することにより詳細な説明を省略する。
【0034】
図2に示すように、携帯端末130は、主に、表示部102と、液晶部104(LCD)と、接続部106と、操作部108とを有する。さらに、携帯端末130は、ベースバンドプロセッサ110(BBP)と、パラレル信号線路132、140と、シリアライザ134と、シリアル信号線路136と、デシリアライザ138とを有する。
【0035】
携帯端末130は、上記の携帯端末100とは異なり、接続部106に配線されたシリアル信号線路136を通じてシリアル伝送方式により映像信号を伝送している。そのため、操作部108には、ベースバンドプロセッサ110から出力されたパラレル信号をシリアル化するためのシリアライザ134が設けられている。一方、表示部102には、シリアル信号線路136を通じて伝送されるシリアル信号をパラレル化するためのデシリアライザ138が設けられている。
【0036】
シリアライザ134は、ベースバンドプロセッサ110から出力され、かつ、パラレル信号線路132を介して入力されたパラレル信号をシリアル信号に変換する。シリアライザ134により変換されたシリアル信号は、シリアル信号線路136を通じてデシリアライザ138に入力される。シリアル信号が入力されると、デシリアライザ138は、入力されたシリアル信号を元のパラレル信号に復元する。そして、デシリアライザ138は、パラレル信号線路140を通じてパラレル信号を液晶部104に入力する。
【0037】
シリアル信号線路136には、例えば、NRZ符号方式で符号化されたデータ信号が単独で伝送されるか、或いは、データ信号とクロック信号とが一緒に伝送される。シリアル信号線路136の配線数kは、図1の携帯端末100が有するパラレル信号線路112の配線数nよりも大幅に少ない(1≦k≪n)。例えば、配線数kは、数本程度まで削減することができる。そのため、シリアル信号線路136が配線される接続部106の可動範囲に関する自由度は、パラレル信号線路112が配線される接続部106に比べて非常に大きい。また、シリアル信号線路136は高い信頼性を有する。シリアル信号線路136を流れるシリアル信号には、通常、LVDS等の差動信号が用いられる。但し、LVDSは、Low Voltage Differential Signalの略である。
【0038】
以上、携帯端末130の装置構成について簡単に説明した。シリアル伝送方式を採用した携帯端末130の全体的な装置構成は概ね上記の通りである。しかしながら、接続部106に配線される信号線の本数をどの程度低減させることができるかは、シリアル信号線路136に流れる信号の形態に依存する。そして、この信号の形態を決定するのがシリアライザ134及びデシリアライザ138である。以下、一般的なシリアル伝送方式におけるシリアライザ134及びデシリアライザ138の機能構成について簡単に説明する。その後、上記の新方式に係るシリアライザ134及びデシリアライザ138の機能構成について説明する。
【0039】
(一般的な構成)
ここでは、図3を参照しながら、一般的なシリアル伝送方式を採用した携帯端末130の機能構成について説明する。図3は、一般的なシリアル伝送方式を採用した携帯端末130の機能構成例を示す説明図である。但し、図3は、シリアライザ134、及びデシリアライザ138の機能構成を中心に描画した説明図であり、他の構成要素に関する記載を省略している点に注意されたい。
【0040】
(シリアライザ134について)
図3に示すように、シリアライザ134は、P/S変換部152と、エンコーダ154と、LVDSドライバ156と、PLL部158と、タイミング制御部160と、を有する。
【0041】
図3に示すように、シリアライザ134には、ベースバンドプロセッサ110から、パラレル信号(P−DATA)、及びパラレル信号用クロック(P−CLK)が入力される。シリアライザ134に入力されたパラレル信号は、P/S変換部152によりシリアル信号に変換される。P/S変換部152により変換されたシリアル信号は、エンコーダ154に入力される。エンコーダ154は、シリアル信号にヘッダ等を付加してLVDSドライバ156に入力する。LVDSドライバ156は、入力されたシリアル信号をLVDSによる差動伝送方式でデシリアライザ138に伝送する。
【0042】
一方、シリアライザ134に入力されたパラレル信号用クロックは、PLL部158に入力される。PLL部158は、パラレル信号用クロックからシリアル信号用クロックを生成し、P/S変換部152、及びタイミング制御部160に入力する。タイミング制御部160は、入力されるシリアル信号用クロックに基づいてエンコーダ154によるシリアル信号の送信タイミングを制御する。
【0043】
(デシリアライザ138について)
また、図3に示すように、デシリアライザ138は、主に、LVDSレシーバ172と、デコーダ174と、S/P変換部176と、クロック再生部178と、PLL部180と、タイミング制御部182と、を有する。
【0044】
図3に示すように、デシリアライザ138には、LVDSによる差動伝送方式でシリアライザ134からシリアル信号が伝送される。このシリアル信号は、LVDSレシーバ172により受信される。LVDSレシーバ172により受信されたシリアル信号は、デコーダ174、及びクロック再生部178に入力される。デコーダ174は、入力されたシリアル信号のヘッダを参照してデータの先頭部分を検出し、S/P変換部176に入力する。S/P変換部176は、入力されたシリアル信号をパラレル信号(P−DATA)に変換する。S/P変換部176で変換されたパラレル信号は液晶部104に出力される。
【0045】
一方、クロック再生部178は、外部から入力されるリファレンスクロック(Ref.CLK)を参照し、内蔵するPLL部180を用いてシリアル信号用クロックからパラレル信号用クロックを再生する。クロック再生部178により再生されたパラレル信号用クロックは、デコーダ174、及びタイミング制御部182に入力される。タイミング制御部182は、クロック再生部178から入力されたパラレル信号用クロックに基づいて受信タイミングを制御する。また、タイミング制御部182に入力されたパラレル信号用クロック(P−CLK)は、液晶部104に出力される。
【0046】
このように、ベースバンドプロセッサ110からシリアライザ134に入力されたパラレル信号(P−DATA)、及びパラレル信号用クロック(P−CLK)は、シリアル信号に変換されてデシリアライザ138に伝送される。入力されたシリアル信号は、デシリアライザ138により元のパラレル信号、及びパラレル信号用クロックに復元される。そして、復元されたパラレル信号及びパラレル信号用クロックは、液晶部104に入力される。パラレル信号が映像信号である場合、入力されたパラレル信号に基づいて液晶部104により映像が表示される。
【0047】
以上、シリアル伝送方式を採用した携帯端末130の一般的な機能構成について説明した。上記のように、パラレル信号をシリアル信号に変換して伝送することにより、その伝送線路がシリアル化される。その結果、シリアル信号線路が配置される部分の可動範囲が拡大し、表示部102の配置に関する自由度が向上する。例えば、携帯端末130を利用してテレビジョン放送等を視聴する場合において、表示部102の配置がユーザから見て横長になるように携帯端末130を変形させることができるようになる。こうした自由度の向上に伴い、携帯端末130の用途が広がり、通信端末としての各種機能に加えて、映像や音楽の視聴等、様々な利用形態が生まれている。
【0048】
なお、上記の例では、映像信号等のデータ信号をシリアル化して伝送する方法が示されたが、携帯端末130の接続部106にはデータ信号の伝送線路の他に少なくとも電源線が配線される。電源線の断線は致命的な欠陥となるため、その信頼性を高めることは非常に重要である。また、伝送線路が1本である場合と2本以上ある場合とでは、接続部106の可動範囲に課される制約が大きく異なる。そこで、データ信号を電力信号に重畳して伝送する方式が考案された。
【0049】
この方式は、データ信号をAMI符号(図4を参照)やマンチェスター符号のような直流成分を含まない符号形状に符号化し、電力信号に重畳して伝送するというものである。この方法を用いることで電源線の分だけ接続部106に配線される伝送線路の本数を低減させることが可能になる。
【0050】
(課題の整理1)
上記の通り、操作部108と表示部102との相対的な位置関係を自由に変化させるには、上記の携帯端末100のようにパラレル伝送方式には不都合があった。この課題に対し、上記の携帯端末130のように、シリアライザ134、及びデシリアライザ138を設けることでシリアル伝送を可能にし、表示部102の可動範囲を広げる方法が提案された。また、表示部102の可動性をさらに向上させるために、直流成分を含まない符号の特性を生かして、電源線に信号を重畳させて伝送する方式が提案された。
【0051】
ところが、図3に示すように、携帯端末130において、受信したシリアル信号のクロックを再生するためにPLL部180(以下、PLL)が用いられていた。このPLLは、マンチェスター符号方式等により符号化された信号からクロックを抽出するために必要なものである。しかしながら、PLL自体の電力消費量は少なくない。そのため、PLLを設けることで、その分だけ携帯端末130の消費電力が大きくなってしまう。こうした電力消費量の増大は、携帯電話等の小さな装置にとって非常に大きな問題となる。
【0052】
こうした問題に鑑み、本件発明者は、デシリアライザ138の側でPLLを設けずに済むよう、直流成分を含まず、かつ、クロック再生時にPLL回路が不要な符号を用いて信号を伝送する新規な伝送方式(新方式)を考案した。以下、この新方式について説明する。なお、以下の説明では、AMI符号をベースとする新方式の符号化方法が具体例として挙げるが、新方式の適用対象はAMI符号に限定されない点に注意されたい。
【0053】
[1−3:新方式に係る携帯端末130の機能構成]
まず、AMI符号について簡単に説明した上で、新方式に係る携帯端末130の機能構成、及び当該携帯端末130による符号化方法について説明する。
【0054】
(AMI符号の信号波形について)
まず、図4を参照しながら、AMI符号の信号波形、及びその特徴について簡単に説明する。図4は、AMI符号の信号波形の一例を示す説明図である。但し、以下の説明において、Aは任意の正数であるとする。
【0055】
AMI符号は、データ0を電位0で表現し、データ1を電位A又は−Aで表現する符号である。但し、電位Aと電位−Aとは交互に繰り返される。つまり、電位Aでデータ1が表現された後、次にデータ1が現れた場合、そのデータ1は電位−Aで表現されるというものである。このように極性反転を繰り返してデータが表現されるため、AMI符号は直流成分を含まない符号である。
【0056】
なお、AMI符号と同様の特性を持つ符号としては、例えば、PR(1,−1)、PR(1,0,−1)、PR(1,0,…,−1)等で表現されるパーシャル・レスポンス方式がある。このような極性反転を利用した伝送符号はバイポーラ符号と呼ばれる。また、新方式の符号化方法にはダイコード方式等も利用可能である。以下の説明においては、デューティ100%のAMI符号を用いて符号化方法が一例として挙げられる。
【0057】
図4には、期間T1〜T14のAMI符号が模式的に記載されている。図中において、データ1は、タイミングT2、T4、T5、T10、T11、T12、T14に現れている。タイミングT2において電位Aである場合、タイミングT4では電位−Aとなる。また、タイミングT5では電位Aとなる。このように、データ1に対応する振幅は、プラスとマイナスとが交互に反転する。これが上記の極性反転である。
【0058】
一方、データ0に関しては全て電位0で表現される。こうした表現によりAMI符号は直流成分を含まない。しかし、タイミングT6、…、T9に見られるように電位0が連続することがある。このように電位0が連続すると、PLLを用いずに、この信号波形からクロック成分を取り出すことが難しくなる。そこで、本件発明者は、新方式として、AMI符号(又は同等の特性を有する符号)にクロックを重畳して伝送する方法を考案した。この方法について、以下、詳細に説明する。
【0059】
(携帯端末130の機能構成)
以下、図5を参照しながら、新方式に係る携帯端末130の機能構成について説明する。図5は、新方式に係る携帯端末130の機能構成の一例を示す説明図である。但し、図5は、シリアライザ134、及びデシリアライザ138の機能構成を中心に描画した説明図であり、他の構成要素に関する記載を省略している。また、既に説明した携帯端末130の構成要素については詳細な説明を省略した。
【0060】
(シリアライザ134)
まず、シリアライザ134について説明する。図5に示すように、シリアライザ134は、P/S変換部152と、LVDSドライバ156と、PLL部158と、タイミング制御部160と、エンコーダ192とにより構成される。上記の一般的な構成との主な相違点はエンコーダ192の機能にある。
【0061】
図5に示すように、シリアライザ134には、ベースバンドプロセッサ110から、パラレル信号(P−DATA)と、パラレル信号用クロック(P−CLK)とが入力される。シリアライザ134に入力されたパラレル信号は、P/S変換部152によりシリアル信号に変換される。P/S変換部152により変換されたシリアル信号は、エンコーダ192に入力される。エンコーダ192は、シリアル信号にヘッダ等を付加して送信フレームを生成する。さらに、エンコーダ192は、生成した送信フレームを後述する新方式の符号化方法に基づいて符号化し、伝送信号を生成する。
【0062】
ここで、図6を参照しながら、エンコーダ192における符号化信号の生成方法について説明する。図6は、新方式に係る符号化方法の一例を示す説明図である。なお、図6には、AMI符号をベースとする符号の生成方法が記載されている。但し、新方式はこれに限定されず、AMI符号と同等の特性を有する符号に対しても同様に適用される。例えば、バイポーラ符号やパーシャル・レスポンス方式の符号等にも適用できる。
【0063】
図6の(C)に示された信号が新方式の符号化方法で符号化された信号である。この信号は、データ1を複数の電位A1(−1、−3、1、3)で表現し、データ0を電位A1とは異なる複数の電位A2(−2、2)で表現したものである。この信号は、クロックの半周期毎に極性反転するように構成されており、さらに、連続して同じ電位とならないように構成されている。例えば、タイミングT6、…、T9においてデータ0が続く区間を参照すると、電位が−2、2、−2、2となっている。そのため、図8に示すような周波数スペクトラムを有する。このような符号を利用することで、同じデータ値が連続して現れても、立ち上がり、立ち下がりの両エッジを検出してクロック成分を再生することが可能になる。
【0064】
さて、エンコーダ192は、上記のような符号を生成するため、加算器ADDを備えている。図6に示すように、エンコーダ192は、例えば、入力されたシリアル信号をAMI符号(A)に符号化して加算器ADDに入力する。さらに、エンコーダ192は、AMI符号の伝送速度Fbの半分の周波数(2/Fb)を持つクロック(B)を生成して加算器ADDに入力する。但し、クロックの振幅は、AMI符号のN倍(N>1;図6の例ではN=2)とする。そして、エンコーダ192は、加算器ADDによりAMI符号とクロックとを加算して符号(C)を生成する。このとき、AMI符号とクロックとはエッジを揃えて同期加算される。
【0065】
AMI符号(A)とクロック(B)とを同期加算して得られる符号(C)の振幅レベルは、図6に示す例の場合、3、2、1、−1、−2、−3の6値を取り得る。つまり、伝送信号は、6値の振幅レベルを持つ多値信号になる。そのため、AMI符号(A)をそのまま伝送する場合に比べ、伝送信号の振幅レベルの幅が大きくなり、伝送誤りが発生しやすくなる。なお、ここでは説明を簡単にするためにAMI符号(A)とクロック(B)とを同期加算する構成を例示したが、エンコーダ192においてデータを符号(C)の波形に直接エンコードするように構成してもよい。例えば、図6の場合、エンコーダ192により、データ列0、1、0、1、1、0、…、1が振幅レベル2、−1、2、−3、3、−2、…、−1に直接変換されてもよい。
【0066】
再び図5を参照する。上記のようにしてエンコーダ192により符号化されたシリアル信号は、LVDSドライバ156に入力される。LVDSドライバ156は、入力されたシリアル信号をLVDSによる差動伝送方式でデシリアライザ138に伝送する。一方、シリアライザ134に入力されたパラレル信号用クロックは、PLL部158に入力される。PLL部158は、パラレル信号用クロックからシリアル信号用クロックを生成し、P/S変換部152、及びタイミング制御部160に入力する。タイミング制御部160は、入力されるシリアル信号用クロックに基づいてエンコーダ192によるシリアル信号の送信タイミングを制御する。以上説明したように、シリアライザ134からデシリアライザ138にシリアル信号が符号化されて伝送される。
【0067】
(デシリアライザ138)
次に、デシリアライザ138について説明する。図5に示すように、デシリアライザ138は、主に、LVDSレシーバ172と、S/P変換部176と、タイミング制御部182と、クロック検出部196と、デコーダ194とにより構成される。上記の一般的な構成との主な相違点は、PLLを持たないクロック検出部196の存在にある。
【0068】
上記の通り、デシリアライザ138には、LVDSによる差動伝送方式でシリアライザ134からシリアル信号が伝送される。このシリアル信号は、LVDSレシーバ172により受信される。LVDSレシーバ172により受信されたシリアル信号は、デコーダ194、及びクロック検出部196に入力される。デコーダ194は、入力されたシリアル信号のヘッダを参照してデータの先頭部分を検出し、エンコーダ192が用いた符号化方式に従って符号化されたシリアル信号を復号する。
【0069】
ここで、再び図6を参照しながら、デコーダ194による復号方法について説明する。上記の通り、シリアル信号は、エンコーダ192により6値の振幅レベルを持つ符号(C)の信号波形に符号化されている。そこで、デコーダ194は、受信信号の振幅レベルがA1であるか、A2であるかを閾値判定することで、元のシリアル信号を復号することができる。例えば、図6の(C)に示す4つの閾値(L1、L2、L3、L4)を用いて、データ1に対応する振幅レベルA1(−1、−3、1、3)と、データ0に対応する振幅レベルA2(−2、2)とが判別される。まず、デコーダ194は、入力された信号の振幅レベルと上記の4つの閾値レベルとを比較し、振幅レベルがA1であるか、A2であるかを判定する。次いで、デコーダ194は、その判定結果に基づいて元のNRZデータを復号して送信されたシリアル信号を復元する。
【0070】
再び図5を参照する。このようにしてデコーダ194により復号されたシリアル信号はS/P変換部176に入力される。S/P変換部176は、入力されたシリアル信号をパラレル信号(P−DATA)に変換する。S/P変換部176で変換されたパラレル信号は、液晶部104に入力される。パラレル信号が映像信号である場合、液晶部104により映像信号に基づいて映像が表示される。
【0071】
さて、上記の復号処理を実行するにはクロックが必要になる。そこで、クロック検出部196は、LVDSレシーバ172から入力された信号に基づいてクロック成分を検出する。既に述べた通り、図6の符号(C)は、符号(A)にクロック(B)を同期加算して得られたものである。そのため、この符号(C)は、クロックの半周期毎に極性が反転するという特性を有している。この特性を利用すると、クロック成分は、振幅レベルと閾値レベルL0(電位0)とを比較して振幅の極性反転の周期を検出することにより得られる。その結果、クロック検出部196は、クロック成分を検出する際にPLLを用いないで済む。従って、PLLを設けずに済む分だけ、デシリアライザ138の消費電力及び回路規模を低減させることが可能になる。
【0072】
さて、クロック検出部196により検出されたクロック成分は、デコーダ194、及びタイミング制御部182に入力される。そして、デコーダ194に入力されたクロック成分は、多値符号の振幅レベル判定によるNRZデータの復号処理を実施する際に用いられる。また、タイミング制御部182は、クロック検出部196から入力されたクロックに基づいて受信タイミングを制御する。そして、タイミング制御部182に入力されたクロック(P−CLK)は液晶部104に出力される。
【0073】
なお、上記のデコーダ194、及びクロック検出部196で実施される閾値判定は、例えば、コンパレータを用いて実現される。クロック検出部196では、振幅レベル0を閾値とするコンパレータの出力結果からクロック成分が抽出される。一方、デコーダ194では、例えば、6値の振幅レベル3、2、1、−1、−2、−3を判定するために、4つの閾値レベル2.5、1.5、−1.5、−2.5に対応するコンパレータが用いられる。そして、これらのコンパレータの出力結果に基づいて各タイミングに対応する振幅レベルが判定される。さらに、その判定結果から元のNRZデータが復号される。
【0074】
このように、直流成分を含まず、極性反転周期からクロック成分を再生することが可能な符号を利用することで、デシリアライザ138において実行されるクロックの検出にPLLを用いずに済み、携帯端末130の消費電力を大きく低減させることが可能になる。なお、上記の例ではLVDSによる差動伝送方式が例示されていたが、直流の電力信号に多値信号を重畳して伝送する電源重畳方式を用いることもできる。このような構成にすることで、接続部106の可動範囲をより拡大することが可能になる。
【0075】
(課題の整理2)
以上、新方式に係る携帯端末130の機能構成、及び符号化・復号方法について説明した。上記の通り、新方式に係る符号化方法を用いることで、接続部106の配線数が大幅に低減され、さらに、回路規模の抑制や電力消費量の低減等、格別の効果が得られる。上記の通り、新方式は、機器内の信号伝送に用いることを想定して開発されたものである。このような伝送路は、無線伝送路に比べると格段に伝送品質が良い。しかしながら、新方式の符号化方法により生成された伝送信号は、1つのビット値を複数の振幅レベルで表現した多値信号となる。
【0076】
そのため、一般に用いられる1つのビット値を1つの振幅レベルで表現した2値の伝送信号に比べると所要SN比が10dB程度多く必要になる。その結果、予期せぬ外来ノイズや機器内部で発生するノイズ等による影響を受けて伝送誤りが発生してしまうことがある。例えば、上記のAMI符号をベースとする多値信号のアイパターンは、図7のような形状になる。但し、図7は、多値符号の生成時点等における理想的なアイパターンを模式的に示したものであり、実際には高域遮断特性を持つフィルタ回路や伝送路等を通過する際にエッジ部分が丸まったり、伝送線路内のノイズ等により振幅に幅が生じてしまう。その結果、閾値判定において誤りが生じやすくなってしまう。
【0077】
例えば、上記の新方式に係る6値符号の場合、AMI符号をベースとしているため、図8に示すような周波数スペクトラムとなる。図8から明らかなように、この周波数スペクトラムには、Fb/2の奇数倍の位置に線スペクトラムが生じてしまう。そのため、EMIの観点から、この線スペクトラムを減衰させるためのローパスフィルタが必要になる。しかし、ローパスフィルタを通過した多値符号のアイパターンは、図7に示すようなエッジが立った波形とはならず、振幅レベルの絶対値が大きくなるに連れて先細りするようなアイパターンとなる。このような波形の場合、クロック成分を抽出する際にジッタが生じてしまい、伝送誤りを誘発し易くなってしまう。このジッタを軽減する方法としては、周波数Fb/2の位置を通過帯域とするバンドパスフィルタを用いる方法が考えられる。しかし、伝送速度のスケーラビリティが失われるため、この方法は好ましくない。
【0078】
そこで、このような伝送誤りへの対策として誤り訂正を施すことが考えられる。通常、伝送品質を向上させるには、伝送データに畳み込み符号等の誤り訂正符号を付加して伝送し、受信側で誤り訂正を実施する。しかし、比較的伝送品質の良い伝送路が想定されているため、このような伝送路で発生する僅かの伝送誤りに対して畳み込み符号等を用いた高度な誤り訂正を実施するのは過剰である。また、このような過剰な誤り訂正を実現するには消費電力や回路規模の増大が伴うため好ましくない。そこで、新方式の多値符号と同等の特性を維持しつつ、多値数を減らすことが可能な符号化方式が求められている。また、多値数を減らすことができれば、受信側で復号時に用いられる閾値の数を減らすことができるため、その分だけ回路構成を簡略化することが可能になる。
【0079】
<2:実施形態>
以下、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態は、DC遮断特性を持つ伝送路におけるデータ伝送が可能であり、かつ、受信側においてPLLによるクロック再生が不要となる多値符号の生成方法に関し、特に、上記新方式のメリットを失うことなく、多値数を減らす方法を提案するものである。本実施形態に係る方法は、主に2つの技術的な特徴を有する。その1つは、新方式の特性を維持しつつ、多値数を減らした多値符号の生成方法に関する。もう1つは、当該多値符号を適用するに際し、より伝送品質を向上させるためにDCバランスを制御する方法に関する。以下、これら特徴点を中心に説明する。
【0080】
[2−1:符号化方法及びDCバランス制御方法]
ここでは、図9〜図14を参照しながら、本実施形態に係る符号化方法、及びDCバランスの制御方法について説明する。なお、以下の説明においては、具体的に16ビット単位のデータを送受信するケースを例に挙げるが、本実施形態に係る技術の適用範囲はこれに限定されるものではない。また、上記の新方式と実質的に同じ構成については、適宜簡単な注釈を付した上で詳細な説明を省略する場合がある。
【0081】
(符号化方法について)
まず、図10を参照しながら、本実施形態に係る符号化方法について説明する。図10は、本実施形態に係る符号化方法に関し、具体例として4値の多値符号を生成するための符号則を示した説明図である。なお、同図では、一例として、4つの振幅レベル2、1、−1、−2を持つ4値符号の生成方法が示されているが、これら振幅レベルの具体的な値については、本実施形態の技術的範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更可能である。
【0082】
さて、図10には、符号化対象のデータ(元データ)、符号化後のデータ(符号化)、及びDCバランス反転後のデータ(反転時)の具体例が示されている。ここでは元データ及び符号化の欄に注目する。なお、反転時の欄については後述する。図10に示すように、本実施形態に係る符号化処理は2ビット単位で実施される。例えば、符号化対象のデータ(0,0)は、符号化データ(1,−1)に変換される。同様に、符号化対象のデータ(0,1)は、符号化データ(1,−2)に変換される。また、符号化対象のデータ(1,0)は、符号化データ(2,−1)に変換される。そして、符号化対象のデータ(1,1)は、符号化データ(2,−2)に変換される。
【0083】
このように、本実施形態に係る符号化方法においては、符号化対象となる2ビットのうち、前1ビットについて、データ0が符号化データ1に、データ1が符号化データ2に変換される。同様に、後1ビットについて、データ0が符号化データ−1に、データ1が符号化データ−2に変換される。つまり、本実施形態に係る符号化方法を用いると、前1ビットの極性が正、後1ビットの極性が負であり、振幅レベル0を取らず、1ビット毎に極性反転する多値符号が得られる。そのため、多値符号がゼロクロスする点を検出することで極性反転周期が得られ、その極性反転周期からクロックを再生することができる。
【0084】
先の述べた通り、多値符号の振幅レベルは2、1、−1、−2の4値であり、上記新方式に係る多値符号よりも多値数が減少している。このことは図10に示した多値符号の符号則からも理解される点である。そのため、新方式の多値符号に比べ、高域遮断の影響によりクロック抽出時に発生するジッタや高振幅レベルに現れるアイパターンの先細り等、伝送誤りの発生原因が緩和され、結果的に伝送誤りの発生率を低減することができる。もちろん、受信側でPLLを用いずにクロックを再生できる点、電源に重畳して伝送できる点については新方式の多値符号と同様である。そのため、本実施形態の符号化方法を用いることで、新方式のメリットを失うことなく伝送品質を向上させることができる。
【0085】
(DCバランス制御方法について)
次に、図9〜図11を参照しながら、本実施形態に係るDCバランス制御方法について説明する。図9は、本実施形態に係るDCバランス制御方法のうち、制御ビットの付加方法を説明するための説明図である。また、図10、図11は、本実施形態に係るDCバランス制御方法のうち、DCバランスの反転制御方法を説明するための説明図である。
【0086】
なお、図10には、本実施形態に係る符号化方式で生成された多値符号のDCバランスを反転させるために実施する反転制御の具体的な方法が示されている。また、図11には、DCバランスの反転制御を実施するか否かの判定基準が示されている。以下、これらの図面を参照しながら、DCバランス制御方法について詳細に説明する。
【0087】
まず、図9を参照する。図9には、16ビットのデータX、16ビットのデータY、1ビットの制御ビットA、1ビットの制御ビットBで構成される送信データが模式的に示されている。本実施形態においては、まず、データX、データYについて図10に示す符号化則に基づく符号化処理が実施され、符号化データが生成される。例えば、データX及びデータYの部分に相当する32ビットのビット列が「0、1、1、0、0、0、1、0、1、0、0、0、1、1、1、1、0、1、0、1、1、1、0、0、1、1、0、1、0、0、1、1」であるとする。この場合、前半16ビット部分を構成するデータXは、符号化データ「1、−2、2、−1、1、−1、2、−1、2、−1、1、−1、2、−2、2、−2」に変換される。
【0088】
ここで、データX部分のDCバランス値S1は、S1=1−2+2−1+1−1+2−1+2−1+1−1+2−2+2−2=2である。もし、データXよりも前のビット列に関してDCバランス値S0がS0>0の場合、S1>0であることにより、DCバランスが更に正の方向に偏ってしまう。一方で、S0<0の場合、S1>0であることにより、S0とS1とが一部又は全部相殺されてDCバランスの偏りが軽減又は解消される。符号化データを電源等に重畳して伝送する場合、受信側でDC成分がカットされる。そのため、符号化データのDCバランス値は0に近い方が好ましい。つまり、上記の例では、S0の極性とS1の極性とが逆であることが好ましいのである。
【0089】
そこで、本実施形態においては、必要に応じて所定ビットを対象にDCバランスの極性を反転させる。例えば、上記のS0がS0>0である場合、S1<0となるようにデータXに対応する符号化データを反転させる。このような反転制御は、図10に示す反転制御方法に基づいて実施される。先に述べた通り、図10には、本実施形態に係る符号化方法が示されている。さらに、図10には、本実施形態に係る反転制御方法が具体的な反転則(「符号化」→「反転時」)の形で示されている。そこで、図10の中で「符号化」の欄と「反転時」の欄に注目する。「反転時」の欄には、本実施形態に係る反転制御方法により反転制御が施された符号化データ(以下、反転データ)が示されている。
【0090】
例えば、符号化データ(1,−1)は、上記反転制御により反転データ(2,−2)に変換される。同様に、符号化データ(1,−2)は、上記反転制御により反転データ(2,−1)に変換される。また、符号化データ(2,−1)は、上記反転制御により反転データ(1,−2)に変換される。そして、符号化データ(2,−2)は、上記反転制御により反転データ(1,−1)に変換される。このように、符号化データの振幅1、−1は反転データの振幅2、−2に各々変換され、符号化データの振幅2、−2は反転データの振幅1、−1に各々変換される。なお、反転データも符号化データと同様に、1ビット毎に極性が反転するように構成されている点に注意されたい。また、上記の変換処理は、符号化前のデータに関し、ビット値1をビット値0に変換し、ビット値0をビット値1に変換し、変換後のデータを上記符号則(「元データ」→「符号化」)に基づいて符号化することに相当する。
【0091】
あるビット列のDCバランス値は、そのビット列の中に存在する符号化データ(1,−2)の数が多いほど負に偏り、符号化データ(2,−1)の数が多いほど正に偏る。そのため、符号化データ(1,−2)、(2,−1)の数が逆転するように変換することで、DCバランス値を反転させることができる。もちろん、DCバランス値が0のビット列に対しては、上記反転制御を施してもDCバランス値が0のまま変化しない。そこで、本実施形態においては、参照するビット列以前のビット列についてDCバランス値を算出し、その極性に応じて図10に示す反転則を適用し、図11に示す反転制御を実施する。図11に示す反転制御を送信データの先頭から順次実施することにより、当該送信データのDCバランスが改善され、伝送品質が向上する。
【0092】
しかしながら、送信側で反転制御を実施した場合、受信側では、送信側で実施した反転制御の逆処理を実施する必要がある。そこで、この逆処理を実施可能にするため、送信データには、図9に示すように、送信側で実施した反転制御の内容を示す制御ビットが付加される。図9の例では、データXに対して反転制御が実施されたか否かを示す制御ビットAと、データYに対して反転制御が実施されたか否かを示す制御ビットBとがデータX及びデータYで構成される32ビットの送信データに付加されている。
【0093】
例えば、データXに反転制御が施された場合に制御ビットAには1が設定され、反転制御が施されていない場合に制御ビットAには0が設定される。同様に、データYに反転制御が施された場合に制御ビットBには1が設定され、反転制御が施されていない場合に制御ビットBには0が設定される。
【0094】
このような構成にすることにより、受信側で制御ビットを参照し、その制御ビットの値に基づいて、その制御ビットに対応するビット列を元に戻すことができる。このとき、受信側では、送信側で実施された反転制御(図10:「符号化」→「反転時」)とは逆の反転制御(図10:「反転時」→「符号化」)が実施される。なお、上記の制御ビットを付加したとしても、図9の例では32ビットのデータが34ビットになるだけで済んでおり(符号化率:32/34=94%)、非常に伝送効率の良い符号が実現されている点にも注意されたい。
【0095】
本実施形態に係るDCバランスの反転制御方法については以上の通りであるが、ここでDCバランス値の算出方法について説明を補足する。上記の通り、本実施形態においては、例えば、16ビット単位でDCバランス値S1を算出し、当該DCバランス値S1の算出対象としたビット列以前のビット列に関するDCバランス値S0との比較が行われる。DCバランス値S1の算出方法については、上記の通り、算出対象とするビット列の振幅和を算出することにより得られる。一方で、DCバランス値S0については、DCバランス値S1に対応するビット列以前の全てのビット列を対象に算出される。
【0096】
例えば、図9の例において、データYの反転制御を実施する際には、データX及びデータX以前のビット列に関するDCバランス値が比較対象として参照される。このDCバランス値は、データXの反転制御を実施した際に参照したデータX以前のビット列に関するDCバランス値に対し、データXに関する符号化データ又は反転データのDCバランス値を加算して得られる。つまり、データXに関する反転制御の有無に応じてデータY以前のビット列に関するDCバランスが変化するため、反転制御の有無を考慮したDCバランス値がデータYの反転制御時に参照されるのである。もちろん、データYの反転制御に限らず、送信データを構成する他のビット列についても同様である。
【0097】
ここで、図12〜図14を参照しながら、上記の反転制御を施した多値符号の信号特性について簡単に説明する。図12は、上記の反転制御を施した4値符号のアイパターンを示す説明図である。図13は、当該4値符号の周波数スペクトラムを示す説明図である。図14は、当該4値符号に関するDCバランス特性を示す説明図である。
【0098】
まず、図12を参照する。図12に示すように、本実施形態に係る4値符号のアイパターンは、4つの振幅レベル2、1、−1、−2を取る。また、同図から分かるように、本実施形態に係る4値符号は、伝送速度の半分に相当するクロック周波数fb毎に、正から負へ、負から正へと交互にゼロクロスする。そのため、新方式の多値符号を用いる場合と同様に、受信側でPLLを設けずとも容易にクロック抽出を行うことが可能になる。
【0099】
また、新方式の多値符号(図7を参照)に比べて多値数が減少しているため、新方式の多値符号を用いる場合に比べて所要SN比の劣化が抑えられる。例えば、AMI符号を用いてデータ伝送する場合に比べ、新方式の多値符号では所要SN比に10dB程度の劣化が生じるが、本実施形態の多値符号(4値符号)の場合は6dB程度の劣化で済む。従って、本実施形態の多値符号を用いることで、新方式のメリットを継承しつつ、伝送品質を向上させることができる。
【0100】
次に、図13を参照する。図13に示すように、本実施形態に係る多値符号の周波数スペクトラムは、上記の反転制御を実施したことにより、直流近辺の低域成分が抑圧された形状となる。例えば、伝送速度が500Mbps(fb=250MHz)の場合、fcは5MHz近傍になる。従って、5MHz近傍で直流遮断する伝送路においても、本実施形態に係る多値符号を伝送することが可能である。
【0101】
次に、図14を参照する。図14は、ランダムな16万ビットの送信データを用意し、当該送信データに本実施形態に係る符号化方式で符号化を施した場合におけるDCバランス値のシミュレーション結果である。横軸は、16ビット毎にDCバランス値を算出して加算した総DCバランス値S0の絶対値を示す。縦軸は、16万ビットの送信データについて総DCバランス値S0を順次Nビット毎に算出した際に各|S0|の値が発現した頻度を示している。
【0102】
図14に示すように、|S0|=1の頻度が最も多く、|S0|が大きくなるに連れて発現頻度が急激に減少していく。特に、|S0|=3を越えると、急激に発現頻度が減少し、|S0|=8を越えた辺りで頻度がほとんど0になる。なお、図14のグラフにおいて、|S0|=9の位置に示した発現頻度は、|S0|>8となる発現頻度の総和である。このように、|S0|が8以上となる確率は0に近いことが分かる。また、|S0|>3となる確率は、|S0|=1となる確率に比べると著しく低いことが分かる。従って、本実施形態のように所定長のブロック単位でDCバランス値の極性反転を実施することにより、全体のDCバランスを効果的に調整することが可能になる。
【0103】
以上、本実施形態に係る符号化方法及びDCバランス制御方法について説明した。以下では、上記の符号化方法及びDCバランス制御方法を実現することが可能な携帯端末300の機能構成について説明する。
【0104】
[2−2:携帯端末300の機能構成]
ここでは、図15を参照しながら、本実施形態に係る携帯端末300の機能構成について説明する。図15は、本実施形態に係る携帯端末300の機能構成例を示す説明図である。なお、上記の新方式に係る携帯端末130と実質的に同じ機能を有していたり、同じ用途で用いられる構成要素については適宜その対応関係について示唆を与える。
【0105】
図15に示すように、携帯端末300は、送信部310、及び受信部330により構成される。また、送信部310と受信部330とは、同軸ケーブル320により電気的に接続されている。なお、送信部310は、上記の携帯端末130におけるシリアライザ134に相当する。但し、送信部310は、先に説明した符号化方法及びDCバランス制御方法に関する構成要素について、上記のシリアライザ134とは異なる機能構成を有する。また、受信部330は、上記の携帯端末130におけるデシリアライザ138に相当する。但し、受信部330は、先に説明した符号化方法及びDCバランス制御方法に関する構成要素について、上記のデシリアライザ138とは異なる機能構成を有する。
【0106】
また、送信部310は、主に、符号化部312と、反転制御ビット付加部314と、ドライバ316と、重畳部318と、を有する。そして、受信部330は、主に、分離部332と、レシーバ334と、クロック抽出部336と、復号部338と、反転制御部340と、を有する。なお、図15の例においては、伝送信号を直流電源に重畳して伝送する構成が示されているが、本実施形態に係る技術の適用範囲はこれに限定されない。
【0107】
まず、送信部310には、送信データ、及び送信クロックが入力される。これら送信データ及び送信クロックは符号化部312に入力される。この符号化部312は、上記の携帯端末130におけるエンコーダ192に相当する。但し、その符号化方法が異なる点に注意されたい。符号化部312では、図10に示した符号則(「元データ」→「符号化」)に基づいて送信データを符号化し、符号化データを生成する。
【0108】
また、符号化部312は、生成した符号化データから所定ビット毎にDCバランス値S1を算出する。さらに、符号化部312は、DCバランス値S1を算出する際に参照した所定ビット長のビット列以前のビット列に関するDCバランス値S0を算出する。例えば、図9の例では、16ビット単位でデータYのDCバランス値S1と、データX及びそれ以前のビット列に関するDCバランス値S0とを算出する。符号化部312で生成された符号化データ及びDCバランス値S0、S1は、反転制御ビット付加部314に入力される。
【0109】
符号化データ及びDCバランス値S0、S1が入力されると、反転制御ビット付加部314は、図11に示した反転制御方法に基づいてDCバランス値S1に対応するビット列に反転処理を施すか否かを判断する。つまり、反転制御ビット付加部314は、条件:S0>0、かつ、S1>0であるか、条件:S0<0、かつ、S1<0である場合に反転処理を施すべきであると判断し、それら以外の条件である場合に反転処理を施すべきでないと判断する。図9に例では、データYの反転制御について判断する際、データYのDCバランス値S1と、データX及びそれ以前のビット列に係るDCバランスS0とに関し、上記条件を満たすか否かを判断してデータYに対する反転処理の要否が決定される。
【0110】
反転処理が必要であると判断した場合、反転制御ビット付加部314は、DCバランス値S1に対応するビット列に対し、図10に示した反転則(「符号化」→「反転時」)に基づいて反転処理を施す。さらに、反転制御ビット付加部314は、そのビット列に対応する制御ビットとして「反転有り」を示すビット値(例えば、1)を付加する。一方で、反転処理が不要であると判断した場合、反転制御ビット付加部314は、DCバランス値S1に対応するビット列に対して反転処理を施さず、そのまま出力する。但し、反転制御ビット付加部314は、そのビット列に対応する制御ビットとして「反転無し」を示すビット値(例えば、0)を付加する。図9の例では、32ビット毎にデータX、Yに対応する2ビットの制御ビットが付加されている。
【0111】
反転制御ビット付加部314により制御ビットが付加された符号化データの伝送信号は、ドライバ316に入力されて適切な振幅レベルに変換される。ドライバ316でレベル変換が施された伝送信号は、重畳部318に入力される。重畳部318では、伝送信号に電源から供給される直流の電力信号が重畳される。上記の通り、本実施形態に係る多値符号には直流成分がほとんど含まれない。そのため、伝送信号を電力信号に重畳したとしても、受信側で容易に伝送信号と電力信号とを分離することが可能である。このように、伝送信号を電力信号に重畳して伝送することにより、電源線と信号線とを分けずに済み、機器の可動部に設けられる配線の本数を1本程度に低減させることが可能になる。
【0112】
重畳部318で電力信号が重畳された伝送信号は、同軸ケーブル320を通じて受信部330に伝送される。そして、同軸ケーブル320を通じて伝送された伝送信号は、分離部332に入力される。分離部332では、伝送信号に重畳されていた電力信号が分離される。そして、分離部332に電力信号が分離された伝送信号は、レシーバ334で受信され、クロック抽出部336、及び復号部338に入力される。なお、クロック抽出部336は、上記の携帯端末130におけるクロック検出部196に相当する。また、復号部338は、上記の携帯端末130におけるデコーダ194に相当する。但し、デコーダ194と復号部338とでは振幅レベルの判定に用いる閾値レベルの数が異なる。
【0113】
クロック抽出部336では、入力された伝送信号の振幅レベルがゼロクロスするタイミングが検出され、その検出結果に基づいて送信クロックが再生される。先に述べた通り、本実施形態に係る多値符号は、クロック周波数の半周期毎に振幅レベルがゼロクロスするように構成されている。そのため、伝送信号の振幅レベルがゼロクロスするタイミングを検出することにより、PLLを用いずにクロック成分を抽出することができるのである。クロック抽出部336で再生されたクロックは、復号部338に入力される。
【0114】
クロックが入力されると、復号部338は、入力されたクロックを利用し、所定の閾値レベルを基準にして伝送信号の振幅レベルを判定して符号化データを再生する。そして、復号部338は、図10に示す符号則(「符号化」→「元データ」)に基づいて符号化データを元の送信データに復号する。但し、符号化データの一部には反転制御を受けたビット列が含まれている可能性がある。そこで、復号部338による復号後のデータ(以下、復号データ)は、反転制御部340に入力される。
【0115】
反転制御部340では、復号データに含まれる制御ビットの値に基づき、送信部310の反転制御ビット付加部314で施された反転処理の逆処理が実施される。ここで、図10を参照しながら、反転処理の逆処理について簡単に説明を補足する。図10の表には、反転処理が施されない場合の符号化ビット値(「符号化」)と、反転処理が施された場合の符号化ビット値(「反転時」)とが示されている。この表を参照すると、反転処理が施されたビット列を「符号化」→「元データ」の変換則で復号した場合、本来(1,1)、(1,0)、(0,1)、(0,0)であるべきデータが(0,0)、(0,1)、(1,0)、(1,1)と変換されることが分かる。
【0116】
そこで、反転制御部340は、反転処理が施されたビット列に対し、データ(0,0)、(0,1)、(1,0)、(1,1)を(1,1)、(1,0)、(0,1)、(0,0)に変換(逆変換)することで正しい受信データを得る。なお、制御ビットの値に応じて図10の参照すべき欄(「符号化」又は「反転時」)を変更しつつ、復号部338による閾値判定で得られた符号化データを直接「元データ」に復号することも可能である。つまり、反転制御を受けたビット列に対しては「反転時」→「元データ」の変換則を適用し、反転制御を受けていないビット列に対しては「符号化」→「元データ」の変換則を適用することで、符号化データから直接的に正しい受信データを得ることができる。
【0117】
受信部330が上記の携帯端末130におけるデシリアライザ138に対応する場合、反転制御部340による逆処理を経て生成された受信データは、受信部330が設けられる表示部102の他の構成要素に向けて出力される。また、上記のクロック抽出部336により再生されたクロックについても同様に表示部102の他の構成要素に向けて出力される。また、復号部338において、閾値判定により得られた符号化データから所定長のビット列単位で上記のDCバランス値S0、S1を算出し、同じ極性となるDCバランス値S0、S1を検査することで伝送誤りを検出することができる。
【0118】
以上、本実施形態に係る携帯端末300の機能構成について説明した。ここで説明した機能構成を適用することにより、本実施形態に係る符号化方法及びDCバランス制御方法を実現することが可能になる。なお、本実施形態の技術的範囲を逸脱しない範囲内において上記構成を適宜変形することもできる。例えば、ここでは説明の都合上、送信部310と受信部330とが1つの機器(携帯端末300)内に設けられているものと仮定したが、送信部310と受信部330とが2つの機器の形で別体に構成されていてもよい。
【0119】
[2−3:送信フレームのフレーム構成]
ここで、図16を参照しながら、本実施形態に係る送信フレームのフレーム構成について説明する。図16は、本実施形態に係る送信フレームのフレーム構成例を示す説明図である。上記の通り、本実施形態においては、ある所定長のビット列に対するDCバランス値S1と、そのビット列以前のビット列に対するDCバランス値S0とを比較し、その比較結果に応じて反転制御を行うことでDCバランスを改善している。
【0120】
しかし、伝送路において伝送誤りが発生すると、伝送誤りを含むビット列のDCバランス値S1が変化する。さらに、DCバランス値S1に対応するビット列以前に伝送誤りを含むビット列が存在すると、そのDCバランス値S1に対応するDCバランス値S0に伝送誤りの影響が含まれてしまう。つまり、あるビット列に含まれる伝送誤りの影響が、伝送誤りを含むビット列以降の全てのビット列に伝搬してしまうのである。そこで、このような伝送誤りの伝搬を抑制するために、本実施形態においては、図16に示すような送信フレームのフレーム構成が提案される。
【0121】
図16に示すように、本実施形態では、送信部310において送信データに同期コード(SYNC)が付加され、送信フレームが生成される。例えば、送信部310の符号化部312により送信フレームが生成される。ここで付加される同期コードは、特定のパターンを有し、送信フレームの先頭を検出するために用いられる。また、特定のパターンは、同期コードの部分に関する符号のDCバランス値が0になるように設定される。もちろん、送信データの部分には、本実施形態に係る4値の符号化データが用いられる。
【0122】
上記の通り、同期コードは、送信フレームの先頭を検出するために用いられるものである。しかし、本実施形態においては、DCバランス値を算出する際に、過去のDCバランス値S0をリセットするためのリセットコードとして用いられる。例えば、同期コードの直後に続く16ビットのビット列についてDCバランス値S1を算出し、当該DCバランス値S1に基づいて反転制御を行う際、参照すべき過去のDCバランス値S0は0とする。従って、この16ビットのビット列については反転制御が実施されない(図11を参照)。このビット列に続く16ビットのビット列についてDCバランス値S1を算出し、当該DCバランス値S1に基づいて反転制御を行う際、参照すべき過去のDCバランス値S0は、その直前16ビットのビット列に関するDCバランス値S0になる。つまり、同期コードの部分でDCバランス値S0がリセットされるのである。
【0123】
受信部330においては、受信したフレームの同期コードを検出し、その同期コードを基準に過去のDCバランス値S0を0にリセットした上で反転制御の逆処理を実施するか否かが判断される。例えば、復号部338で伝送誤りを検出する際、受信した符号化データから所定長のビット列に対してDCバランス値S1が算出され、そのビット列に対する過去のDCバランス値S0が算出される。このとき、過去のDCバランス値S0は、同期コードの位置で0にリセットされ、その同期コード以降のDCバランス値により決定される。従って、伝送誤りが発生していても、同期コードで誤りの伝搬が断ち切られるため、フレームを跨ぐような誤りの伝搬を防止することが可能になる。なお、同様の発想から、フレームを固定長にし、フレームの終端で過去のDCバランス値S0を0にリセットするような構成にしてもよい。
【0124】
以上、本実施形態に係る送信フレームのフレーム構成について説明した。以上説明した本実施形態の技術を用いることにより、消費電力が小さく、フレキシブルな変形を可能とする小型の電子機器が実現される。そして、こうした電子機器において、非常に伝送品質の良い伝送路が実現され、信頼性の高い高速なデータ伝送が可能になる。以下、本実施形態に係る技術的事項について、そのポイント部分を整理する形で纏める。
【0125】
<3:まとめ>
最後に、本実施形態の情報処理装置が有する機能構成と、当該機能構成により得られる作用効果について簡単に纏める。なお、この情報処理装置は、例えば、上記の携帯端末130、300のように携帯電話や携帯ゲーム機のような外形であってもよいし、ノートPCや携帯情報端末のような外形であってもよい。但し、上記の携帯端末300のように、送信部310、受信部330に相当する送信側、及び受信側の構成要素を有し、その間でデータ伝送する構成が含まれた電子機器に対して好適に用いられる。
【0126】
上記の情報処理装置の機能構成は次のように表現することができる。当該情報処理装置は、次に示すような符号化部と、送信部とを有する。当該符号化部は、互いに異なる第1及び第2のビット値で表現された送信データから連続する2ビットのビット列を符号化対象として選択し、当該ビット列の前1ビットを正の振幅A又はB(A≠B)で表現し、かつ、後1ビットを負の振幅−A又は−Bで表現することにより、前記送信データを2ビット単位で符号化して符号化データを生成するものである。さらに、上記の符号化部は、前記第1のビット値を振幅A又は−Aで表現し、前記第2のビット値を振幅B又は−Bで表現する。また、上記の送信部は、前記符号化部で生成された符号化データを送信するものである。
【0127】
このように、本実施形態に係る情報処理装置に設けられた符号化部は、2ビット単位でデータを符号化するものである。但し、符号化される2ビットのうち、前1ビットが正の振幅に、後1ビットが負の振幅に割り当てられる形で符号化される。そのため、1ビット毎に振幅の極性が反転する。従って、クロックの半周期毎に振幅の極性が反転する形になり、振幅の極性反転タイミングを検出することでクロックを再生することが可能になる。つまり、受信側でPLLを用いずとも、受信した信号の振幅レベルがゼロクロスするタイミングを検出することで、その検出結果からクロックを再生することができる。そのため、PLLを設けずに済む分だけ回路規模及び消費電力を抑制することが可能になる。
【0128】
また、上記符号化部で生成される符号は、ほとんど直流成分を持たないため、DC電源に重畳して伝送することが可能である。そのため、送信側と受信側とを繋ぐ配線数を低減させることができる。さらに、上記の符号化部で生成された符号化データは、1つのビット値を複数の振幅レベルで表現した多値符号である。そして、この多値符号は、振幅A、B、−A、−Bの4値で表現されている。送信データが少なくとも2つのビット値(第1及び第2のビット値)で表現されることから、1つのビット値を複数の振幅レベルで表現する多値符号としては、この4値が最小構成となる。そして、先に述べた新方式の6値符号に比べ、多値数を減らすことに成功している。つまり、新方式の6値符号を用いる場合に比べると、所要SN比を抑制することに成功しているのである。
【0129】
また、上記の情報処理装置は、次に示すようなDCバランス値算出部と、極性反転部と、制御ビット付加部とをさらに有していてもよい。
【0130】
上記のDCバランス値算出部は、前記符号化部で生成された符号化データのDCバランス値をNビット毎に算出するものである。例えば、DCバランス値算出部は、16ビット毎にDCバランス値を算出する。また、上記の極性反転部は、あるNビットのビット列について前記DCバランス値算出部によりDCバランス値が算出された際、当該Nビットのビット列に関する第1のDCバランス値と、当該Nビットのビット列以前のビット列について前記DCバランス値算出部で算出されたDCバランス値の総和を示す第2のDCバランス値と、が同じ極性を有する場合に、前記第1のDCバランス値に対応する前記送信データのビット列について前記第1のビット値を前記第2のビット値に変換し、前記第2のビット値を前記第1のビット値に変換するものである。このようにして変換された送信データを符号化すると、上記変換処理が、前記第1のDCバランス値に対応する符号化データの振幅Aを振幅Bに、振幅Bを振幅Aに、振幅−Aを振幅−Bに、振幅−Bを振幅−Aに変換する処理であることが分かる。
【0131】
このように、上記の極性反転部は、送信すべきNビットのビット列について、そのビット列に関するDCバランス値(現在のDCバランス値)と、そのビット列以前の総DCバランス値(過去のDCバランス値)とが同一の極性を持つか否かを判定する。もし、現在のDCバランス値と過去のDCバランス値とが同一の極性を持つと、データ全体のDCバランスが当該極性の方向に偏りを持ってしまうため、この偏りを解消する目的で上記の極性反転部は、現在のDCバランス値の極性を反転させるのである。上記の符号化部で生成された符号化データは、2ビット単位の符号化により生成されたものである。なお、(A,−A)、(B,−B)の組み合わせはDCバランス値に変化を与えない点に注意されたい。
【0132】
そこで、上記の極性反転部は、現在のDCバランス値に対応するビット列の中で、2ビットの組み合わせ(A,−B)又は(B,−A)の数が変化するようにビット列に所定の変換処理を施すのである。所定の変換処理として、本実施形態に係る情報処理装置は、比較的処理が簡単に済むように、振幅の絶対値がAのものを振幅の絶対値がBになるように変換し、振幅の絶対値がBのものを振幅の絶対値がAになるように変換するという手法を採用している。このような手法を用いることで現在のDCバランス値の極性を反転させることができる。但し、実際には送信データのビット値を第1のビット値から第2のビット値へ、第2のビット値から第1のビット値へ変換する処理により実現することが可能である。なお、2ビットの組み合わせ(A,−A)、(B,−B)については、これらを入れ替えてもDCバランス値には影響を与えない点に注意されたい。また、過去のDCバランス値は、極性反転部による反転処理が施された後のビット列に対して前記DCバランス値算出部により算出されたDCバランス値である点にも注意されたい。
【0133】
また、上記の制御ビット付加部は、前記DCバランス値算出部でDCバランス値の算出対象とされた各Nビットのビット列について前記極性反転部による変換処理が施されたか否かを示す制御ビットを前記送信データに付加するものである。上記のように、DCバランスを制御するためにビット列に反転処理を施した場合、受信側で各ビット列に関する反転処理の有無が分からないと、元のビット列を復元することができない。そこで、本実施形態に係る情報処理装置は、送信データに各Nビットのビット列に関する反転処理の有無を示す制御ビットを付加する。このような構成にすることで、受信側で反転処理が施されたビット列を認識することが可能になり、元のビット列を復元することができるようになる。
【0134】
但し、前記制御ビット付加部は、連続したP*Nビット(Pは偶数)のビット列に対応するPビットの制御ビットを前記送信データに含まれる当該P*Nビットのビット列に付加する。そして、前記符号化部は、前記制御ビット付加部により制御ビットが付加された送信データを2ビット単位で符号化して符号化データを生成する。このように、制御ビットも含めて偶数ビット単位で符号化することにより、制御ビットが付加された部分もクロックの半周期毎に極性反転する波形が得られる。その結果、極性反転する構成を実現するために制御ビットを付加する場合においても、受信側でPLLを用いずに容易にクロック抽出を行うことが可能になる。
【0135】
(備考)
上記のドライバ316、重畳部318は、送信部の一例である。上記の符号化部312は、符号化部、DCバランス値算出部、送信フレーム生成部の一例である。上記の反転制御ビット付加部314は、極性反転部、制御ビット付加部の一例である。上記の分離部332、レシーバ334は、受信部の一例である。上記の復号部338は、同期パターン検出部、検査用DCバランス値算出部、誤り検出部の一例である。上記の反転制御部340は、制御ビット検出部、変換判定部、逆変換部の一例である。
【0136】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0137】
100、130 携帯端末
102 表示部
104 液晶部
106 接続部
108 操作部
110 ベースバンドプロセッサ
112、132、140 パラレル信号線路
134 シリアライザ
136 シリアル信号線路
138 デシリアライザ
152 P/S変換部
154、192 エンコーダ
156 ドライバ
158、180 PLL部
160 タイミング制御部
172 レシーバ
174、194 デコーダ
176 S/P変換部
178 クロック再生部
182 タイミング制御部
196 クロック検出部
300 携帯端末
310 送信部
312 符号化部
314 反転制御ビット付加部
316 ドライバ
318 重畳部
330 受信部
332 分離部
334 レシーバ
336 クロック抽出部
338 復号部
340 反転制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる第1及び第2のビット値で表現された送信データから連続する2ビットのビット列を符号化対象として選択し、当該ビット列の前1ビットを正の振幅A又はB(A≠B)で表現し、かつ、後1ビットを負の振幅−A又は−Bで表現することにより、前記送信データを2ビット単位で符号化して符号化データを生成する符号化部と、
前記符号化部で生成された符号化データを送信する送信部と、
を備え、
前記符号化部は、前記第1のビット値を振幅A又は−Aで表現し、前記第2のビット値を振幅B又は−Bで表現する、情報処理装置。
【請求項2】
前記符号化部で生成された符号化データのDCバランス値をNビット毎に算出するDCバランス値算出部と、
あるNビットのビット列について前記DCバランス値算出部によりDCバランス値が算出された際、当該Nビットのビット列に関する第1のDCバランス値と、当該Nビットのビット列以前のビット列について前記DCバランス値算出部で算出されたDCバランス値の総和を示す第2のDCバランス値と、が同じ極性を有する場合に、前記第1のDCバランス値に対応する前記送信データのビット列について前記第1のビット値を前記第2のビット値に変換し、前記第2のビット値を前記第1のビット値に変換する極性反転部と、
前記DCバランス値算出部でDCバランス値の算出対象とされた各Nビットのビット列について前記極性反転部による変換処理が施されたか否かを示す制御ビットを前記送信データに付加する制御ビット付加部と、
をさらに備え、
前記制御ビット付加部は、連続したP*Nビット(Pは偶数)のビット列に対応するPビットの制御ビットを前記送信データに含まれる当該P*Nビットのビット列に付加し、
前記符号化部は、前記制御ビット付加部により制御ビットが付加された送信データを2ビット単位で符号化して符号化データを生成する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記DCバランス値算出部は、DCバランス値を算出する際に参照すべきNビットのビット列の直前にPビットの制御ビットが存在する場合、当該ビット列と前記制御ビットとで構成される(N+P)ビットのビット列についてDCバランス値を算出する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記送信データの先頭にDCバランスが0の同期パターンを付加して送信フレームを生成する送信フレーム生成部をさらに備える、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記送信フレーム生成された送信フレームを前記符号化部で符号化して得られる符号化データを受信する受信部と、
前記受信部で受信された符号化データから前記送信フレームに付加された同期パターンを検出する同期パターン検出部と、
前記受信部で受信された符号化データから制御ビットを検出する制御ビット検出部と、
前記同期パターン検出部で検出された同期パターンから前記制御ビット検出部で検出された制御ビットまでのビット列に対し、当該制御ビットの値に基づいてNビット毎に前記極性反転部による変換処理の有無を判定する変換判定部と、
前記変換判定部による判定結果に基づき、前記極性反転部により変換処理が施されたNビットのビット列に対して当該変換処理の逆変換を施す逆変換部と、
をさらに備える、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記同期パターン検出部で検出された同期パターンから前記制御ビット検出部で検出された制御ビットまでのビット列についてNビット毎にDCバランス値を算出する検査用DCバランス値算出部と、
前記検査用DCバランス値算出部により、あるNビットのビット列について算出された第1のDCバランス値の極性と、当該第1のDCバランス値に対応するビット列以前の前記同期パターンから始まるビット列について算出された第2のDCバランス値の極性と、が同じになる部分を検出する誤り検出部と、
をさらに備える、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記送信データを含む送信フレームを生成する送信フレーム生成部と、
前記送信フレーム生成部で生成された送信フレームを前記符号化部で符号化して得られる符号化データを受信する受信部と、
前記受信部で受信された符号化データから制御ビットを検出する制御ビット検出部と、
前記送信フレームの先頭から前記制御ビット検出部で検出された制御ビットまでのビット列に対し、当該制御ビットの値に基づいてNビット毎に前記極性反転部による変換処理の有無を判定する変換判定部と、
前記変換判定部による判定結果に基づき、前記極性反転部により変換処理が施された前記送信データのビット列に対して当該変換処理の逆変換を施す逆変換部と、
をさらに備える、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記送信フレームの先頭から前記制御ビット検出部で検出された制御ビットまでのビット列についてNビット毎にDCバランス値を算出する検査用DCバランス値算出部と、
前記検査用DCバランス値算出部により、あるNビットのビット列について算出された第1のDCバランス値の極性と、当該第1のDCバランス値に対応するビット列以前の前記送信フレームの先頭から始まるビット列について算出された第2のDCバランス値の極性と、が同じになる部分を検出する誤り検出部と、
をさらに備える、請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記DCバランス値算出部は、16ビット毎にDCバランス値を算出する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項10】
互いに異なる第1及び第2のビット値で表現された送信データから連続する2ビットのビット列を符号化対象として選択し、当該ビット列の前1ビットを正の振幅A又はB(A≠B)で表現し、かつ、後1ビットを負の振幅−A又は−Bで表現することにより、前記送信データを2ビット単位で符号化した符号化データを生成する符号化ステップを含み、
前記符号化ステップでは、前記第1のビット値を振幅A又は−Aで表現し、前記第2のビット値を振幅B又は−Bで表現する、多値符号データの生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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