説明

情報処理装置、情報処理方法、プログラム、及び光学顕微鏡を搭載した撮像装置

【課題】光学顕微鏡により得られる画像に発生する複雑なディストーションを、高精度に補正することができる情報処理装置、情報処理方法、プログラム、及び光学顕微鏡を搭載した撮像装置を提供すること。
【解決手段】情報処理装置により、チェッカーパターンが撮影された校正用画像の輝度分布に関する標準パターン情報として、正弦波状の曲面を表す関数が生成される。校正用画像の各画素の輝度値と関数の値とのマッチング処理により、校正用画像上の交点が高い精度で判定される。これにより上記交点と理論的なチェッカーパターンの交点との差分に基づいて算出される補正用ベクトル場22の精度も高いものとなる。また補正用ベクトル場22は、平行移動成分と回転成分とをのぞく成分として算出されるので試料画像の補正量を少なくすることができる。以上により光学顕微鏡により得られた試料画像に発生する複雑なディストーションを高精度に補正することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子により得られた画像信号を処理することで、出力される画像のディストーションを補正する情報処理装置、情報処理方法、プログラム、及び光学顕微鏡を搭載した撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、撮像機器として、例えばCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子を備えたデジタルスチルカメラ等が広く用いられている。このような撮像機器により対象物が撮影されるときには、撮像機器が有するレンズの形状等に起因して、得られる画像にディストーションが発生することがある。このディストーションを補正するために、種々のディストーション補正技術が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のキャリブレーション・システムでは、上記のディストーションを補正するために用いられる歪みパラメータが以下のようにして推定される。まず、キャリブレーション・システム内で、幾何形状が定義済みのパターンからなる基準画像が生成される。そしてこの基準画像がスクリーン平面上に投影され、カメラにより撮影される。基準画像と、撮影された基準画像の撮像画像との間で、画像合わせ込み処理がなされ、これによりディストーション補正のための歪みパラメータが推定される(特許文献1の段落[0094]等参照)。
【0004】
また、特許文献1では、レンズ歪みを考慮した撮像画像平面上の点ndから、レンズ歪みを考慮しない撮像画像平面上の対応する点nuが算出されている。特許文献1の段落[0084]に示されるように、点nuは、歪み中心からの距離に基づいた数式により算出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−350239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば光学顕微鏡により得られた画像がデジタル化される場合、顕微鏡が有する複雑な拡大光学系により、出力される画像に予測することが難しい複雑なディストーションが発生することが多い。この場合、特許文献1に記載のような歪み中心からの距離に基づいた数式を用いて画像のディストーションを補正することは困難である。
【0007】
また、例えば光学顕微鏡により1つの対象物が高倍率で観察される際には、対象物の各部分を撮像して得られた複数のデジタル画像がスティッチング処理されることで、その対象物の画像が一つにまとめられる場合がある。このスティッチング処理が適正に行われるためには、各デジタル画像のディストーションが高い精度で補正されることが求められる。
【0008】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、光学顕微鏡により得られる画像に発生する複雑なディストーションを、高精度に補正することができる情報処理装置、情報処理方法、プログラム、及び光学顕微鏡を搭載した撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る情報処理装置は、第1の記憶手段と、生成手段と、判定手段と、第1の算出手段と、第2の算出手段と、補正手段とを具備する。
前記記憶手段は、互いに直交する2軸方向にそれぞれ輝度が規則的に変化する輝度分布を有する校正用パターンの、前記輝度が変化する複数の輝度変化点の各座標を記憶する。
前記生成手段は、光学顕微鏡により得られる像を撮影することが可能な撮像手段により前記校正用パターンが撮影されることで生成された校正用画像の輝度分布に関する標準パターン情報を生成する。
前記判定手段は、前記校正用画像の輝度分布と前記生成された標準パターン情報とのマッチング処理により、前記校正用パターンの各々の前記輝度変化点に対応する前記校正用画像の輝度変化点の座標を補正用輝度変化点の座標としてそれぞれ判定する。
前記第1の算出手段は、前記記憶された前記輝度変化点の座標と、当該輝度変化点に対応して前記判定手段により判定された前記補正用輝度変化点の座標との差分を、歪みベクトル場として算出する。
前記第2の算出手段は、前記歪みベクトル場から平行移動成分と回転成分とをのぞく成分を補正用ベクトル場として算出する。
前記補正手段は、前記算出された補正用ベクトル場を用いて、前記撮像手段により撮像される画像を補正する。
【0010】
この情報処理装置では、校正用パターンが撮影されることで生成された校正用画像の輝度分布に関する標準パターン情報が生成される。そして校正用画像の輝度分布と標準パターン情報とのマッチング処理により、校正用画像上の上記補正用輝度変化点が高い精度で判定される。従って、上記歪みベクトル場及び補正用ベクトル場の精度も高いものとなり、撮像手段により撮像された画像に予測することが難しい複雑なディストーションが発生しても、それを高精度に補正することができる。また補正用ベクトル場は、歪みベクトル場から平行移動成分と回転成分とをのぞく成分として算出される。これにより補正される画像の補正量を少なくすることができるので、高精度の画像補正が実現する。
【0011】
前記情報処理装置は、前記第2の算出手段により算出された前記補正用ベクトル場を記憶する第2の記憶手段をさらに具備してもよい。この場合、前記補正手段は、前記第2の記憶手段により記憶された前記補正用ベクトル場を用いて前記画像を補正してもよい。
【0012】
この情報処理装置では、第2の記憶手段により、照明光学系等が定められた所定の撮影条件についての補正用ベクトル場が記憶される。従って、その同じ撮影条件で撮像手段により画像が撮像される場合に、改めて補正用ベクトル場を算出する必要がなく、記憶されている補正用ベクトル場を用いて、撮像される画像を高精度に補正することができる。これにより画像補正に要する処理時間を短くすることができる。
【0013】
前記生成手段は、前記校正用画像が複数の領域に分割されて得られる分割領域ごとに、各前記分割領域の輝度情報に関する前記標準パターン情報をそれぞれ生成してもよい。この場合、前記判定手段は、前記分割領域の輝度分布と前記分割領域ごとに生成された前記標準パターン情報とのマッチング処理により、前記分割領域ごとに前記補正用輝度変化点を算出してもよい。
【0014】
この情報処理装置では、校正用画像の分割領域ごとに標準パターン情報が生成され、分割領域ごとにマッチング処理が行われる。従って分割領域ごとに、その分割領域とのマッチング処理に適した標準パターン情報を生成することができる。これにより、各分割領域上の補正用輝度変化点を高い精度で判定することができる。
【0015】
前記校正用パターンは、前記2軸方向でそれぞれ一定のサイズを有する明部及び暗部が交互にそれぞれ1以上配置されたチェッカーパターンでなってもよい。
この場合、前記第1の記憶手段は、前記チェッカーパターン上の前記明部と前記暗部との境界にあたる複数の交点の各座標を記憶してもよい。
また前記生成手段は、前記校正用画像をフーリエ変換することで、前記2軸方向のそれぞれにおいて、スペクトルの強度が最も大きい周波数を算出し、前記算出された前記2軸方向の各前記周波数のうち少なくとも1つを用いて前記標準パターン情報を生成してもよい。
また前記判定手段は、前記校正用画像の各画素の輝度値と前記標準パターン情報との相関値を計算することで、前記校正用画像上の明部と暗部との境界にあたる複数の交点の各座標を判定してもよい。
【0016】
この情報処理装置では、校正用パターンとして上記チェッカーパターンが用いられ、チェッカーパターンの交点が輝度変化点として記憶される。また校正用画像がフーリエ変換されることで算出された上記各周波数のうち少なくとも1つを用いて標準パターン情報が生成される。そして校正用画像の各画素の輝度値と標準パターン情報との相関値を計算することで、校正用画像上の交点が補正用輝度変化点として高い精度で判定される。
【0017】
本発明の一形態に係る情報処理方法は、情報処理装置により実行される以下の方法である。
すなわち、情報処理装置は、互いに直交する2軸方向にそれぞれ輝度が規則的に変化する輝度分布を有する校正用パターンの、前記輝度が変化する複数の輝度変化点の各座標を記憶する。
光学顕微鏡により得られる像を撮影することが可能な撮像手段により前記校正用パターンが撮影されることで生成された校正用画像の輝度分布に関する標準パターン情報が生成される。
前記校正用画像の輝度分布と前記生成された標準パターン情報とのマッチング処理により、前記校正用パターンの各々の前記輝度変化点に対応する前記校正用画像の輝度変化点の座標が補正用輝度変化点の座標としてそれぞれ判定される。
前記記憶された前記輝度変化点の座標と、当該輝度変化点に対応して前記判定された前記補正用輝度変化点の座標との差分が、歪みベクトル場として算出される。
前記歪みベクトル場から平行移動成分と回転成分とをのぞく成分が補正用ベクトル場として算出される。
前記算出された補正用ベクトル場を用いて、前記撮像手段により撮像される画像が補正される。
【0018】
本発明の一形態に係るプログラムは、上記情報処理方法を情報処理装置に実行させる。前記プログラムが記録媒体に記録されていてもよい。
【0019】
本発明の一形態に係る、光学顕微鏡を搭載した撮像装置は、光学顕微鏡と、撮像手段と、記憶手段と、生成手段と、判定手段と、第1の算出手段と、第2の算出手段と、補正手段とを具備する。
前記撮像手段は、前記光学顕微鏡により得られる像を撮影することが可能である。
前記記憶手段は、互いに直交する2軸方向にそれぞれ輝度が規則的に変化する輝度分布を有する校正用パターンの、前記輝度が変化する複数の輝度変化点の各座標を記憶する。
前記生成手段は、前記撮像手段により前記校正用パターンが撮影されることで生成された校正用画像の輝度分布に関する標準パターン情報を生成する。
前記判定手段は、前記校正用画像の輝度分布と前記生成された標準パターン情報とのマッチング処理により、前記校正用パターンの各々の前記輝度変化点に対応する前記校正用画像の輝度変化点の座標を補正用輝度変化点の座標としてそれぞれ判定する。
前記第1の算出手段は、前記記憶された前記輝度変化点の座標と、当該輝度変化点に対応して前記判定手段により判定された前記補正用輝度変化点の座標との差分を、歪みベクトル場として算出する。
前記第2の算出手段は、前記歪みベクトル場から平行移動成分と回転成分とをのぞく成分を補正用ベクトル場として算出する。
前記補正手段は、前記算出された補正用ベクトル場を用いて、前記撮像手段により撮像される画像を補正する。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、光学顕微鏡により得られる画像に発生する、予測することが難しい複雑なディストーションを高精度に補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1の実施形態に係る情報処理装置を含む撮像システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す光学顕微鏡及び撮像装置の構成を模式的に示す図である。
【図3】図1に示す撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【図4】図3に示す撮像装置により生成される画像データとしてのRawデータを模式的に示す図である。
【図5】図1に示すPCの構成例を示すブロック図である。
【図6】図1に示すPCの処理を示すフローチャートである。
【図7】図6に示す交点抽出処理に用いられる、校正用画像を示す図である。
【図8】図7に示す校正用画像がフーリエ変換された際の、x軸方向におけるスペクトルの周波数応答とその強度を示すグラフである。
【図9】図7に示す校正用画像の輝度分布の標準パターン情報として生成された関数が表す正弦波状の曲面を説明するための図である。
【図10】理論的なチェッカーパターンの交点の座標と校正用画像上の交点の座標との差分から算出された歪みベクトル場を説明するための図である。
【図11】図6に示す整列処理を詳しく説明するための図である。
【図12】図6に示す整列処理を詳しく説明するための図である。
【図13】図6に示す整列処理を詳しく説明するための図である。
【図14】図6に示すディストーション補正処理の方法について説明するための図である。
【図15】図13に示す補正用ベクトル場を用いて校正用画像を補正した際の、理論的なチェッカーパターンとの比較結果を示す図である。
【図16】第2の実施形態に係る校正用画像に対する処理について説明するための図である。
【図17】その他の実施形態に係る撮像システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0023】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置を含む撮像システムの構成例を示すブロック図である。図2は、図1に示す光学顕微鏡及び撮像装置の構成を模式的に示す図である。この撮像システム400は、光学顕微鏡300と、撮像手段としての撮像装置200と、情報処理装置としてのPC(Personal Computer)100とを有する。撮像装置200としては、例えばデジタルスチルカメラ等が用いられる。
【0024】
光学顕微鏡300は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源301と、照明光学系302及び結像光学系303と、照明光学系302及び結像光学系303の光路上に設けられた試料台304とを有する。試料台304上には試料305が載置される観察領域306が設けられており、この観察領域306の像が生成される。
【0025】
撮像装置200は、例えばCCD等の撮像素子201を有し、光学顕微鏡300により得られた観察領域306の像を撮影し画像データとして保持することが可能である。この画像データがPC100により読込まれ、以下で説明するデータ処理が行なわれて出力される。
【0026】
ここで撮像装置200及びPC100について詳しく説明する。
【0027】
図3は、撮像装置200の構成例を示すブロック図である。図4は、撮像装置200により生成される画像データとしてのRawデータを模式的に示す図である。
【0028】
撮像装置200は、撮像素子201と、前処理回路202と、記録媒体インターフェイス(I/F)203と、記録媒体204とを有する。記録媒体204としては、例えばメモリカード、光ディスク、光磁気ディスク等が用いられる。
【0029】
図示しないレンズにより、所定の撮影条件(絞り、ズーム、フォーカス等)で入射光が集光され、撮像素子201の撮像面に光学像が形成される。撮像素子201は、撮像面に形成された光学像の撮像結果を前処理回路202に出力する。本実施形態では、撮像素子201として、G市松センサーが用いられるが、例えば3板センサー、白黒センサー、ラインセンサー、又はマルチセンサー等が用いられてもよい。
【0030】
前処理回路202は、撮像素子201からの出力信号を前処理し、記録媒体I/F203を制御し、Rawデータファイルを記録媒体204に記録する。図4に示すように、Rawデータファイルには、Rawデータ205として、OPB(Optical Black)等の無効画素の領域206、有効画素の領域207、及び実行画素の領域208を有する矩形状のCCDイメージがG市松点順次で格納されている。
【0031】
[情報処理装置の構成]
図5は、PC100の構成例を示すブロック図である。PC100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、操作部105、表示部106、記録媒体I/F107、プリンタインターフェースI/F108、及びこれらを互いに接続するバス109を備える。
【0032】
CPU101は、ROM102等からオペレーティングシステム(OS)等のシステムプログラムを読出し、RAM103上に確保される作業領域を用いて実行する。またCPU101は、ROM102、RAM103、HDD104等から画像処理プログラム等を読み出し、RAM103上に確保される作業領域、CPU101に設けられる1次および/または2次キャッシュを用いて実行する。
【0033】
CPU101は、上記したRawデータ205に対して、光学補正処理、ガンマ補正処理、デモザイク処理、ノイズリダクション処理等を含む一連の画質補正処理を行うことが可能である。また、CPU101は、所定のデータ圧縮方式により輝度データおよび色データを圧縮して記録用画像データを形成し、記録用画像データを伸張することで圧縮されたRawデータ205を復元する。ここで、CPU101は、処理実行部、進捗情報管理部、リソース情報取得部、処理優先度設定部、処理制御部として機能する。
【0034】
ROM102は、CPU101により実行されるプログラムや処理に必要とされる各種のデータ等を記憶している。
【0035】
RAM103は、図示しない画像表示用のビデオRAM(VRAM)を含み、主に各種の処理が行なわれるための作業領域として利用される。
【0036】
HDD104は、ハードディスクを含み、CPU101による制御に応じて、ハードディスクに対するデータの書込み/読出しを行う。
【0037】
操作部105は、数字キー、文字キー、上下左右キー、各種のファンクションキー等を含んでおり、ユーザからの操作入力をCPU101に供給する。操作部105は、マウス等のポインティングデバイスを含んでもよい。この操作部105を介してユーザにより入力される操作入力に応じて、CPU101が各部を制御し操作入力に応じた処理を行う。
【0038】
表示部106は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)等の表示素子を有し、輝度データおよび色データから形成される画像信号に対応する画像を表示する。
【0039】
記録媒体I/F107は、例えばメモリカード、光ディスク、光磁気ディスク等の記録媒体110に対するデータの書込み/読出しを行う。あるいは、記憶媒体I/F107及び記録媒体110として、ハードディスクを有するHDDが用いられてもよい。
【0040】
プリンタI/F108は、画像の印刷データ等をプリンタ111に出力する。
【0041】
[情報処理装置の動作]
図6は、本実施形態に係る情報処理装置である、PC100の処理を示すフローチャートである。ここでは撮像装置200により生成された、試料305が配置された観察領域306の画像である試料画像のRawデータファイルが、圧縮された状態でPC100のHDD104に記録されているものとする。
【0042】
PC100のCPU101は、HDD104に記録されている試料画像のRawデータファイルを伸張する。そして、Rawデータファイルに格納された試料画像のRawデータ205を、伸張された状態でRAM103上の所定の格納領域に格納する。
【0043】
CPU101は、あらかじめ、ユーザの指示や工場調整によってキャリブレーション処理をする。キャリブレーション処理とは、撮像装置200による校正用画像の撮像を伴う補正テーブル作成のための処理であり、交点抽出処理(ステップ101)及び整列処理(ステップ102)を含む。このキャリブレーション処理については後に詳しく説明する。
【0044】
CPU101は、試料画像のRawデータ205に対して、欠陥補正やRawNR(ノイズリダクション)等の光学補正処理を行う(ステップ103)。またCPU101は、試料画像のRawデータ205に対して、デモザイク処理を行う(ステップ104)。デモザイク処理とは、G市松点順次で格納されている試料画像のRawデータ205に対してRGBを同時化する処理である。以後、試料画像の各画素は画像空間上で一致した位置にあるRGBの3値により構成される。なお、本実施形態においては、ガンマ補正処理等の、RGB同時化後ディストーション補正前に行われる処理も、このデモザイク処理に含まれるものとする。
【0045】
CPU101は、ユーザに、例えばユーザインターフェイス等を介して、ディストーション補正をするか否かの指示を仰ぐ(ステップ105)。ユーザからディストーション補正をする指示を受けると、CPU101は、上記したキャリブレーション処理によって算出した補正テーブルに基づいてディストーション補正処理をする(ステップ106)。ディストーション補正処理とは、試料画像の形状の歪みを画素ごとに補正するための処理であり、詳しくは後述する。
【0046】
CPU101は、進捗フラグに従って未完の処理を判定する(ステップ107)。そして、未完の処理があれば、未完の処理がなくなるまで、処理を続ける(ステップ108)。本実施形態では、ディストーション補正後に行う処理は、全てこの工程で処理される。CPU101により、処理された試料画像のRawデータ205がエンコードされて(ステップ109)、画像処理が終わる。
【0047】
[交点抽出処理]
図7は、図6に示すステップ101の交点抽出処理に用いられる、校正用画像を示す図である。
【0048】
例えば、ユーザにより、操作部105のキャリブレボタンを介してキャリブレーション処理の指示が入力されたとする。そうすると撮像装置200により、校正用パターンとしてのチェッカーパターン1を有する図示しない校正用被写体が撮影され、校正用画像2のRawデータファイルが生成される。
【0049】
校正用被写体は、例えば試料台304に載置されるスライドガラス上に配置される。あるいはチェッカーパターン1が描かれたスライドガラスが、校正用被写体として用いられてもよい。本実施形態では、光学顕微鏡300により20倍の倍率で表された校正用被写体の像が撮像装置200により撮影され、サイズが60×40(Kpixel)となる校正用画像2が生成される。しかしながら、倍率や校正用画像2のサイズは適宜設定可能である。
【0050】
本実施形態では、互いに直交する2軸方向であるx軸方向及びy軸方向で、それぞれ一定のサイズを有する明部3及び暗部4が交互にそれぞれ1以上配置されたチェッカーパターン1が撮影される。チェッカーパターン1の明部3の色は均一な白であり、暗部4の色は均一な黒である。また明部3及び暗部4の形状は、1辺のサイズが50μmの正方形である。しかしながら、明部3及び暗部4の色や形状は適宜設定可能である。
【0051】
CPU101は、撮影されるチェッカーパターン1の形状に基づいて、理論的なチェッカーパターン1’を算出し、HDD104等に記憶させる。理論的なチェッカーパターン1’は、撮影されるチェッカーパターン1の形状に基づいて算出される。例えば、本実施形態では、光学顕微鏡300の倍率、チェッカーパターン1の明部3及び暗部4の1辺のサイズ、及び撮像素子201の画素ピッチ(本実施形態では5.94μm)に基づいて、以下の式により、理論的なチェッカーパターン1’の明部3’及び暗部4’の1辺のサイズが算出される。
【0052】
【数1】

【0053】
これにより、HDD104には、チェッカーパターン1’の輝度変化点として、明部3’と暗部4’との境界にあたる交点5’の座標が記憶される。座標は、例えば図7に示すチェッカーパターン1’の左上等に基準となる原点O’を定め、その原点O’を基準とした座標が定められればよい。
【0054】
校正用画像2のRawデータファイルは、データ圧縮された状態でPC100のHDD104に記録される。なお、予め撮像装置200により生成された校正用画像2のRawデータファイルが、PC100のHDD104に記憶されていてもよい。
【0055】
光学顕微鏡300の照明光学系302及び結像光学系303等の複雑な拡大光学系により、校正用画像2には、予測することができない複雑なディストーションが発生する。図7では、形状の歪みが複雑でない校正用画像2が図示されているが、これは本実施形態に係るディストーション補正処理について分かりやすく説明するためである。
【0056】
CPU101により、校正用画像2のRawデータが伸張された状態でRAM103の所定の領域に格納される。そして校正用画像2のRawデータに対して、図6に示すステップ102及び103で説明した光学補正処理及びデモザイク処理が行われる。これにより、校正用画像2は、理論的なチェッカーパターン1’に対比して、照明光学系302、試料台304に載置されるスライドガラス、及び結像光学系303等に起因する全ての形状の歪み成分が回転成分と平行移動成分と共に重畳された画像となる。ここでいう回転成分及び平行移動成分とは、例えば結像光学系303が有するレンズの取り付けに伴う公差や、撮像装置200の取り付けに伴う公差、又は試料台304に載置されるスライドガラスの位置ずれ等に起因する成分である。
【0057】
CPU101は、60×40(Kpixel)のサイズでなる校正用画像2を、例えばLanczos等のフィルタにより、256×256(pixel)のサイズに縮小する。そしてCPU101は、縮小された校正用画像2’に対してフーリエ変換を行う。校正用画像2を縮小することで、フーリエ変換に要する演算量を少なくすることができる。しかしながら、縮小されない校正用画像2がフーリエ変換されてもよい。
【0058】
図8は、フーリエ変換された校正用画像2’の、x軸方向におけるスペクトルの周波数応答とその強度を示すグラフである。縮小された校正用画像2’のサイズは256×256(pixel)であるので、サンプリング周波数fsは、fs=256/256と考えることができる。そうするとナイキスト限界は、サンプリング周波数fsの1/2なので、fs/2=128/256となる。CPU101は、ナイキスト限界fs/2よりも小さい周波数に着目し、スペクトルの強度が最も大きくなる周波数fmax=18/256を算出する。
【0059】
周波数fmax=18/256の正弦波は、256(pixel)のサイズ内を18回振動する正弦波となるので、その波長は256/18(pixel)のサイズとなる。この正弦波を、60×40(Kpixel)のサイズでなる校正用画像2にあてはめると、その波長は以下の式で表されるように、333(pixel)となる。
【0060】
【数2】

【0061】
CPU101は、校正用画像2の輝度分布の標準パターン情報として、正弦波状の曲面を表す関数z(x,y)を生成する。関数z(x,y)は、以下に示すように、波長が333(pixel)でなる正弦波sin(fx)及びsin(fy)の積で表される。
【0062】
【数3】

【0063】
図9は、上記の関数z(x,y)により表される正弦波状の曲面Zを説明するための図である。図9(A)は、曲面Zをx軸、y軸、及びz軸の座標系Cで示した図である。関数z(x,y)に用いられるsin(fx)は、x=0のときにsin(f0)が変曲点となるように設定されている。同様にsin(fx)もy=0のときにsin(f0)が変曲点となるように設定されている。従って、図9(A)に示すように、曲面Zは、座標系Cの原点(0,0)で、z(0,0)=0となる曲面となる。
【0064】
ここで関数z(x,y)>0となる(x,y)の範囲を、チェッカーパターンの明部に相当する範囲とし、関数z(x,y)<0となる(x,y)の範囲を、チェッカーパターンの暗部に相当する範囲とする。そうすると、図9(B)に示すように、関数z(x,y)は、互いに直行するx軸方向及びy軸方向で、それぞれ333(pixel)/2=166.5(pixel)のサイズでなる明部6及び暗部7を複数有するチェッカーパターン8を表すものとみなすことができる。また、図9(A)に示す座標系Cの原点(0,0)は、チェッカーパターン8の交点9に相当する。
【0065】
CPU101は、校正用画像2及び曲面Zのマッチング処理のために、校正用画像2の各画素の輝度値と関数z(x,y)とで畳み込み積分を行う。例えばCPU101は、校正用画像2と曲面Zとを、相対的な位置をずらしながら重ね合わせ、以下に示す相関値を算出する。
【0066】
【数4】

【0067】
ここで、I(x’,y’)は、校正用画像2上に定められた座標(x’,y’)に位置する画素の輝度値である。座標(x’,y’)は、図7に示すHDD104等に記憶された理論的なチェッカーパターン1’に定められた座標に対応している。すなわち校正用画像2の左上の点を原点とする座標である。一方関数z(x,y)は、図9(A)に示す座標系Cの座標である。上記の式では、校正用画像2と曲面Zとが重ね合わされたときに、座標系Cにおいて座標(x,y)で表される位置にある校正用画像2の画素の座標(x’,y’)が用いられる。従って、校正用画像2と曲面Zとの相対的な位置が変われば、座標(x,y)の位置にある画素も異なるものとなり、その座標(x’,y’)も変わることになる。
【0068】
CPU101は、算出された相関値が最も大きい値(極大値)となるときに、校正用画像2と曲面Zとが最もマッチングしていると判断する。そしてCPU101は、そのときの、座標系Cでみた原点(0,0)に対応する画素の座標(x’,y’)を、補正用輝度変化点としての交点10(図7参照)の座標として判定する。これにより、校正用画像2から交点10が抽出される。校正用画像2上の座標(x’,y’)と、座標系Cの座標(x,y)との関係については、その対応関係を把握できるのであれば適宜設定可能である。
【0069】
上記マッチング処理は、関数z(x,y)において、一定の範囲のx及びyで表される曲面Zを用いて、校正用画像2上で局所的に行われてもよい。例えばその範囲を以下のように定める。
−166.5(pixel)≦x≦166.5(pixel)
−166.5(pixel)≦y≦166.5(pixel)
【0070】
そうすると、関数z(x,y)により、図9(A)に示すような、チェッカーパターン8の明部6及び暗部7にそれぞれ相当する部分を2つずつ含む曲面Zが表現される。この曲面Zにより校正用画像2上で局所的にマッチング処理が行われることで、校正用画像2上の交点10の座標を精度よく判定することができる。x及びyの範囲は適宜設定されてよい。
【0071】
あるいは、校正用画像2全体にわたるような曲面Zにより、校正用画像2と曲面Zとが1回マッチング処理されることで、校正用画像2上の全ての交点10の座標が一度に算出されてもよい。なお相関値を算出するための演算としては、校正用画像2と曲面Zとが重なる領域において、輝度値及び関数値の差の自乗を計算するといったもの等、上記で説明したものの他に、校正用画像2と曲面Zとの類似性を判断するための各種の演算が考えられる。
【0072】
上記マッチング処理により、照明光学系302、試料台304に載置されるスライドガラス、及び結像光学系303等に起因する全ての形状の歪み成分が回転成分と平行移動成分と共に、校正用画像2上の交点10として抽出される。例えば、60×40(Kpixel)からなる校正用画像2が撮像される場合、光学顕微鏡300の照明光学系302及び結像光学系303等により定められる回折限界に起因して、校正用画像2内のエッジ部分がぼける場合がある。その場合、校正用画像2の各画素の輝度値のみに基づいて交点10を判定するのは困難である。しかしながら本実施形態では、上記マッチング処理により校正用画像2の交点10を高い精度で判定することができる。
【0073】
CPU101は、HDD104等に記憶された理論的なチェッカーパターン1’の交点5’の座標と、各交点5’に対応する、抽出された校正用画像2上の交点10の座標との差分を、歪みベクトル場として算出する。
【0074】
図10は、その歪みベクトル場を説明するための図である。以下の説明では、理論的なチェッカーパターン1’及び校正用画像2上の交点5’及び10に着目する。従って図10では、説明を分かりやすくするために、明部及び暗部についての図示が簡略化され、その数も少なくされている。また図10では、校正用画像2として、形状が歪んだチェッカーパターンが図示されている。
【0075】
図10に示すように、CPU101は、理論的なチェッカーパターン1’を、図中に示す左上の原点O’に対して回転成分のないものとして設定する。そして理論的なチェッカーパターン1’の各々の交点5’の座標と、対応する校正用画像2上の交点10との差分を歪みベクトル場11として算出する。そうすると歪みベクトル場11は、結像光学系303等に起因する全ての形状の歪み成分が、回転成分及び平行移動成分と共に含まれるものとなる。
【0076】
この歪みベクトル場11を用いて、撮像装置200により撮像される試料画像を補正することも可能である。しかしながら、歪みベクトル場11が有する、試料画像の各画素に対する離散データ(各ベクトル12)は座標の整数頂点に必ずしも対応するものではないので取り扱いが容易ではない。また60×40(Kpixel)ものサイズを有する試料画像を、回転成分と平行移動成分とを共に含む歪みベクトル場11により補正することは、過大な演算量及びメモリ量が必要となる。また試料画像に対する補正量も多くなるので、高精度のディストーション補正を実現することが難しい。
【0077】
そこで本実施形態ではCPU101により、以下に説明する整列処理(図6に示すステップ102)が行われる。
【0078】
[整列処理]
整列処理とは、ガウス関数等の評価関数により、歪みベクトル場11から、回転成分と平行移動成分とを抽出し、これの逆写像をかけることにより理論的なチェッカーパターン1’の交点5’に対応した空間位置でリサンプリングを行う処理である。
【0079】
本実施形態では、以下に示す関数を用いることで整列処理が行われる。
【0080】
【数5】

【0081】
図11〜図13は、上記関数を用いた整列処理を詳しく説明するための図である。まず、CPU101により、図11に示す歪みベクトル場11内の複数のベクトル12についての平均ベクトル13が算出される。そして、歪みベクトル場11の各ベクトル12から平均ベクトル13が減算される。これにより、歪みベクトル場11から平行移動成分がのぞかれ、図11に示す中間歪みベクトル場14が生成される。この中間歪みベクトル場14は、回転成分が残留したベクトル場となる。
【0082】
図12に示すように、CPU101により、中間歪みベクトル場14の各ベクトル15が極座標に変換され、変換後の中間歪みベクトル場14’が生成される。中間歪みベクトル場14’の各ベクトル15’は、回転成分を表す角度方向の成分と、校正用画像2の中心に対応する位置から半径方向に拡散する成分とで表される。
【0083】
CPU101により、極座標で表された複数のベクトル15’についての平均ベクトル16が算出される。平均ベクトル16は、角度成分すなわち回転成分17と拡散成分18とに分解される。分解された回転成分17及び拡散成分18のうち回転成分17が抽出され、変換後の中間歪みベクトル場14’の各ベクトル15’から回転成分17が減算される。これにより、極座標で表された補正用ベクトル19を複数有する補正用ベクトル場20が生成される。この補正用ベクトル場20の各補正用ベクトル19が極座標から元の座標に戻され、補正用ベクトル21を複数有する補正用ベクトル場22が算出される。補正用ベクトル場22は、結像光学系303等に起因する全ての形状の歪み成分から回転成分及び平行移動成分をのぞいた成分を有するものとなる。
【0084】
図13に示すように、理論的なチェッカーパターン1’に対応した空間位置に、回転成分及び平行移動成分をのぞいた歪み成分を有する校正用画像2が設定されたとする。そうすると補正用ベクトル場22は、チェッカーパターン1’上の交点5’の座標と、校正用画像2上の交点10の座標との差分により表されるベクトル場に相当する。補正用ベクトル場22は、HDD104等に記憶され、あるいはRAM103の所定の格納領域に格納され、CPU101により補正テーブルとして用いられる。
【0085】
例えば、照明光学系302や結像光学系303の設計変更、撮像装置200の取り付け、あるいは経年変化等により、キャリブレーション処理の更新が必要となることがある。こような場合にも、例えばユーザからのキャリブレーションの指示により上記の交点抽出処理及び整列処理が行われ、補正用ベクトル場22の補正テーブルが生成される。
【0086】
[ディストーション補正処理]
図14は、図6に示すステップ106のディストーション補正処理の方法について説明するための図である。
【0087】
CPU101は、HDD104等に記憶された補正用ベクトル場22の補正テーブルから試料画像23の各画素24の座標に応じた逆マップ25を算出する。例えば図14に示すように、試料画像23上の画素24aが、交点抽出処理により判定された校正用画像2上の交点10と同じ座標を有するとする。この場合、補正用ベクトル場22が有する、当該交点10に対応した補正用ベクトル21の逆ベクトルを逆マップ25aとして算出する。そして逆マップ25aに基づいて、試料画像23上の画素24aに対する補正後の画素26aの座標が算出される。補正後の画素26aの座標は、図13に示すように理論的なチェッカーパターン1’及び校正用画像2が設定された際の、チェッカーパターン1’上の交点5’の座標に相当する。
【0088】
一方、校正用画像2上の交点10と異なる座標を有する画素24bに対しては、複数の補正用ベクトル21に対応した複数の逆マップ25aで補間することにより、画素24bに応じた逆マップ25bが算出される。本実施形態では、画素24bの周囲で最も近い位置にある4つの画素24aに応じた4つの逆マップ25aが用いられる。画素24bと、その周囲に位置する4つの画素24aとのそれぞれの距離に応じて、各逆マップ25aの割合が定められ、それらを足し合わせたものが画素24bに応じた逆マップ25bとして算出される。算出された逆マップ25bに基づいて、画素24bに対する補正後の画素26bの座標が算出される。
【0089】
試料画像23上の画素24bに応じた逆マップ25bの補間については、例えば試料画像23上の画素24aから一定の範囲内にある画素24bについては、画素24aに応じた逆マップ25aがそのまま用いられるような補間方法でもよい。その他、各種の補間方法を採用可能である。また複数の補正用ベクトル21により、校正用画像2上の交点10以外の画素に応じた補正用ベクトルが補間され、その逆ベクトルが試料画像23上の画素24bに応じた逆マップ25bとして用いられてもよい。
【0090】
CPU101は、算出された補正後の画素26a及び26bの座標に位置する画素に、補正前の画素24a及び24bの輝度値を上書きする。これにより試料画像23のディストーションが補正される。ここで補正される歪み成分は、照明光学系302、スライドガラス及び結像光学系303等に起因する全ての形状の歪み成分から回転成分及び平行移動成分をのぞいた成分である。
【0091】
図15は、上記補正用ベクトル場22を用いて校正用画像2を補正した際の、理論的なチェッカーパターン1’との比較結果を示す図である。
【0092】
図15に示す、補正後の校正用画像27上の各交点28から延びるベクトル29は、理論的なチェッカーパターン1’の交点5’からのずれ量を示している。このずれ量の大きさを算出すると、最大ずれ量は1.9(pixel)であり、平均ずれ量は0.6(pixel)であった。また各交点28から延びるベクトル29の方向に規則性は見られなかった。すなわち本実施形態に係るディストーション補正処理により、60×40(Kpixel)ものサイズを有する校正用画像2に対して、規則性のない複雑なディストーションが平均ずれ量0.6(pixel)の誤差、すなわち1(pixel)以内の誤差で補正されていることが分かる。
【0093】
光学顕微鏡300の光学系の仕組みは複雑であり、数十回の組立公差が重なり合う。また光学系には、ミラーやプリズム等の、光軸中心に対して点対称でない光学系も多数用いられる。従って上記したように撮像される試料画像23には、複雑なディストーションが発生する。また光学顕微鏡300が有する被写界深度の狭い撮像光学系では、光源301からの光の放射角や照明絞りにより試料からの光が並行ではなく一定の角度を持つ。かつ、試料はスライドガラス等の屈折率の異なるガラス越しに撮影される。このためハレーションのような光軸中心非対称な画像の形状の歪みも重ねて発生する場合がある。従って、歪み中心からの距離に基づいた数式を用いて試料画像23のディストーションを補正することは困難である。また撮像条件に基づいたシミュレーション値からディストーション補正のための数式を適宜設定しようとしても、シミュレーション不可能なディストーションが発生する可能性が高いので高精度のディストーション補正は難しい。
【0094】
しかしながら、本実施形態に係る情報処理装置であるPC100では、チェッカーパターン1を有する校正用被写体が撮影され、校正用画像2が生成される。また校正用画像2の輝度分布に関する標準パターン情報として、正弦波状の曲面Zを表す関数z(x,y)が生成される。そして校正用画像2の各画素の輝度値と、関数z(x,y)の値とのマッチング処理により、校正用画像2上の交点10が高い精度で判定される。これにより、校正用画像2上の交点10に基づいて算出される歪みベクトル場11及び補正用ベクトル場22の精度も高いものとなる。この結果、撮像装置200により撮像された試料画像23に予測することが難しい複雑なディストーションが発生しても、それを高精度に補正することができる。これにより、試料画像23の諧調性向上、解像感向上、ダイナミックレンジ拡大、あるいは色再現向上等を図ることができる。
【0095】
また本実施形態では、算出された歪みベクトル場11から平行移動成分と回転移動成分とをのぞく成分が補正用ベクトル場22として算出される。図2に示すように撮像装置200により撮影される試料305は、試料台304上に載置される。従って試料画像23には、光軸方向における歪み、すなわち奥行き成分の歪みは発生しない。従って、歪みベクトル場11から平行移動成分及び回転移動成分をのぞくことができる。これにより、撮像装置200により撮像される試料画像23に対する補正量を少なくすることができ、高精度の画像補正が実現する。
【0096】
また1つの試料305の各部分が撮像された複数の画像がスティッチング処理される場合、各画像に対して本実施形態に係るディストーション補正処理が行われる。上記したように歪みベクトル場11から平行移動成分及び回転移動成分がのぞかれるので、各画像には平行移動成分及び回転成分が残留することになる。しかしながら、各画像に対して等しい量の平行移動成分及び回転成分が残留することになるので、各画像に対するスティッチング処理は適正に行われる。従って、本実施形態に係るディストーション補正処理は、精度の高い画像補正が求められるスティッチング処理において、十分に効果を奏することができ有効である。
【0097】
さらに本実施形態では、例えば光源301、照明光学系302及び結像光学系303等が定められた所定の撮影条件における補正用ベクトル場22の補正テーブルがHDD104等に記憶される。従って、同じ撮影条件で新たな試料が撮像される際に、改めて校正用画像2が撮像され、補正用ベクトル場22が算出される必要がなく、HDD104に記憶されている補正テーブルに基づいて、試料画像を高精度に補正することができる。これによりディストーション補正処理に要する処理時間を短くすることができる。
【0098】
補正テーブルは、ユーザの指示によりロードされてもよいし、自動的にロードされてもよい。例えば、上記したようなスティッチング処理が行われる場合、試料の各部分が撮像されるごとに、補正テーブルが自動的にロードされれば、ユーザの利便性が高くなる。
【0099】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態に係る情報処理装置について説明する。これ以降の説明では、第1の実施形態で説明した撮像システム400に用いられる各種の装置やデータ等と同様なものについては、その説明を省略又は簡略化する。
【0100】
図16は、本実施形態に係る校正用画像2に対する処理について説明するための図である。本実施形態では、CPUにより校正用画像2を複数の領域に分割する分割領域30ごとに、フーリエ変換が行われる。そして、分割領域30ごとにスペクトルの強度が最も大きい周波数が算出され、その周波数を用いて正弦波状の曲面を表す関数が生成される。CPUは、生成された関数を用いて、分割領域30ごとに、その領域内の交点10の座標を算出する。
【0101】
このように、複雑なディストーションを有する校正用画像2の分割領域30ごとに、正弦波状の曲面を表す関数が生成される。これにより交点10の座標を判定するためのマッチング処理に最適な関数を生成することができる。この結果、分割領域30内の交点10の座標を高い精度で判定することができる。
【0102】
分割領域30のサイズや数は適宜設定可能である。必要とされる演算量、演算速度、及び交点10の座標の判定精度等を考慮したうえで、所定のサイズ及び数の分割領域30が設定されればよい。また、複数の分割領域30は、例えば1画素分重なるように設定される等、互いに重なる領域を有するように設定されてもよい。あるいは、校正用画像2上の所定の領域を含む分割領域30のみがフーリエ変換され、正弦波状の曲面を表す関数が生成されてもよい。フーリエ変換されない分割領域30については、フーリエ変換された分割領域30に基づいて生成された関数とマッチング処理され、領域内の交点10の座標が判定されればよい。これにより、交点抽出処理に要する処理時間を短くすることができる。
【0103】
CPUにより、分割領域30ごとに判定された交点10の座標に基づいて、図10に示す歪みベクトル場11が生成され、以下第1の実施形態と同様に整列処理及びディストーション補正処理が行われる。
【0104】
CPUにより、分割領域30ごとに歪みベクトル場が生成され、その歪みベクトル場に基づいて、分割領域30ごとに補正用ベクトル場が算出されてもよい。CPUは、撮像装置200により撮像された試料画像を、上記分割領域30に対応するように、複数の分割領域に分割する。そして、分割領域30ごとに生成された補正用ベクトル場を用いることで、試料画像上の分割領域ごとにディストーション補正処理を行う。このように、試料画像上の複数の分割領域ごとにディストーション補正が行われることで、例えば60×40(Kpixel)のサイズからなる、大容量のデータ量を有する試料画像が補正される場合でも、PCのCPUやRAM等の処理リソースに対する負荷が軽減され、一定の処理速度の向上が図られる。
【0105】
上記した各実施形態に係る情報処理装置は、例えば、医療または病理等の分野において、光学顕微鏡により得られた、生体の細胞、組織、臓器等の画像をデジタル化し、そのデジタル画像に基づき、医師や病理学者等がその組織等を検査したり、患者を診断したりするシステム等に用いられる。しかしながら、この分野に限られず他の分野においても適用可能である。
【0106】
<その他の実施形態>
本発明に係る実施形態は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態がある。
【0107】
上記の各実施形態では、情報処理装置としてPCを一例に挙げて説明した。しかしながら、例えば図1で示す撮像装置200により、交点抽出処理、整列処理、又はディストーション補正処理の一部あるいは全部の処理が行われてもよい。この場合、撮像装置200及びPC100が本発明の実施形態に係る情報処理装置として用いられる。さらに、例えば光学顕微鏡の機能を有するスキャナ装置等が、図1で示す光学顕微鏡300、撮像装置200、PC100の機能をあわせ持つ、本発明の実施形態に係る、光学顕微鏡を搭載した撮像装置として用いられてもよい。
【0108】
また、図17に示すように、本発明の実施形態として用いられるスキャナ装置500により生成された校正用画像や試料画像のRawデータが、PC100とは別のコンピュータやサーバ600に記憶され、ユーザが端末装置として使用するPC100が、それら別のコンピュータやサーバ600にアクセスしてそのRawデータを受信してもよい。この場合、端末装置としてのPC100とサーバ600等とがLANまたはWAN等のネットワーク700を介して接続されてもよい。特に、WANが使用されることにより遠隔病理学(Telepathology)や遠隔診断等を実現することができる。
【0109】
第1の実施形態では、図8のグラフに示すように、校正用画像2がx軸方向でフーリエ変換されることで算出された、スペクトルの強度が最も大きい周波数を用いて、正弦波状の曲面Zを表す関数z(x,y)が生成された。しかしながら、校正用画像2がy軸方向でフーリエ変換されることで算出された、スペクトルの強度が最も大きい周波数が用いられてもよい。あるいは、関数z(x,y)として、x軸方向で算出された周波数の正弦波と、y軸方向で算出された周波数の正弦波との積が用いられてもよい。
【0110】
上記では、交点抽出処理及び整列処理が予め行われる場合について説明した。しかしながら、交点抽出処理又は整列処理の一部あるいは全部が、ディストーション補正処理と同時に行われてもよい。この場合、試料を保持するために用いられるスライドガラスに、校正用パターンを有する校正用被写体が備えられてもよい。
【0111】
上記では、校正用パターンとして、チェッカーパターンが用いられた。この他、校正用パターンとしては、例えばドットパターンやMTF(Modulation Transfer Function)パターン等が挙げられる。
【0112】
上記では、交点抽出処理、整列処理、及びディストーション補正処理が光学補正処理やデモザイク処理の後に行われる場合について説明した。しかしながら、交点抽出処理、整列処理、及びディストーション補正処理は、その全て、もしくはその一部が光学補正処理やデモザイク処理の前に行われてもよい。
【0113】
上記では、校正用画像の交点を判定するために、校正用画像の各画素の輝度値と、正弦波状の曲面を表す関数の値との相関値が計算された。しかしながら、交点判定のために、校正用画像と、校正用画像をずらした画像とがマッチング処理されてもよい。また、交点判定のためのマッチング処理に、パターン認識や学習回路等のアルゴリズムが用いられてもよい。
【0114】
上記では、整列処理後の補正用ベクトル場の補正テーブルが作成された。しかしながら、例えば整列処理前の歪みベクトル場の補正テーブルが作成され、ディストーション補正処理が行われる際に、読み出された歪みベクトル場に整列処理が行われてもよい。また、補正用ベクトル場の各ベクトルの逆ベクトルが、逆マップとして記憶された補正テーブルが作成されてもよい。
【0115】
また、補正用テーブルとして、補間された補正用ベクトルを含む、試料画像の各画素に対応する補正用ベクトル全体が記憶されたものが作成されてもよい。あるいは、周辺画素と平滑化した上で、補正用ベクトル場が補正テーブルとして記憶されてもよい。その他、フーリエ変換し、数式、もしくは係数が用いられることで、補正テーブルが作成されてもよい。
【0116】
上記で説明した補正用ベクトル場は、試料画像の各画素に対してRGBごとに算出されてもよい。あるいは、カラーフィルタに対応したRGrGbBごとに算出されてもよい。
【0117】
また、Z位置、観察領域に対する撮影位置、照明光学系、結像光学系、試料、センサー、撮像装置、画像処理方法、温度、視野絞り、露光時間、アナログゲイン設定値、露出補正設定値、彩度設定値、あるいは倍率設定値等が変更されるたびにキャリブレーション処理が行われ、補正用ベクトル場の補正テーブルが作成されてもよい。
【0118】
上記では、補正用ベクトル場の補正用ベクトルが全て用いられたが、処理時間の短縮や演算量の軽減のために、補正用ベクトルが間引かれてもよい。例えば、所定の範囲内にある複数の画素に対しては、同じ補正用ベクトルが割り当てられることで、ディストーション補正処理に用いられる補正用ベクトルの数を少なくしてもよい。
【0119】
上記では、図3に示す撮像装置200により、校正用画像及び試料画像のRawデータを含むRawデータファイルが作成された。しかしながら、撮像装置200により、Rawデータに画像処理が行われてもよいし、撮像装置200を特定する情報や撮影条件を特定する情報等の各種のデータを含んだRawデータファイルが作成されてもよい。また、それらの各種のデータが、交点抽出処理、整列処理、又はディストーション補正処理のために用いられてもよい。
【0120】
また、上記で説明した、各画像のRawデータ、補正テーブル、又はディストーション補正処理等が行われた試料画像が、キャリブレーション処理時、又はディストーション補正処理時に利用される統計データや校正データ等をとるために用いられてもよい。
【0121】
上記では、撮像装置によりチェーカーパターンを有する被写体が撮影され、校正用画像が生成された。しかしながら、例えば80%グレー等の均一な被写体に、チェッカーパターンな光源により照明光が照射され、その状態の被写体が撮影されて校正用画像が生成されてもよい。また理想のディストーション特性を有するように、校正用画像が撮像されてもよい。
【符号の説明】
【0122】
1…チェッカーパターン
1’…理論的なチェッカーパターン
2…校正用画像
3…チェッカーパターンの明部
3’…理論的なチェッカーパターンの明部
4…チェッカーパターンの暗部
4’…理論的なチェッカーパターンの暗部
5’…理論的なチェッカーパターンの交点
10…校正用画像の交点
22…補正用ベクトル場
23…試料画像
30…分割領域
100…PC
101…CPU
102…ROM
103…RAM
104…HDD
110…PCの記録媒体
200…撮像装置
300…光学顕微鏡
400…撮像システム
500…スキャナ装置
600…サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する2軸方向にそれぞれ輝度が規則的に変化する輝度分布を有する校正用パターンの、前記輝度が変化する複数の輝度変化点の各座標を記憶する第1の記憶手段と、
光学顕微鏡により得られる像を撮影することが可能な撮像手段により前記校正用パターンが撮影されることで生成された校正用画像の輝度分布に関する標準パターン情報を生成する生成手段と、
前記校正用画像の輝度分布と前記生成された標準パターン情報とのマッチング処理により、前記校正用パターンの各々の前記輝度変化点に対応する前記校正用画像の輝度変化点の座標を補正用輝度変化点の座標としてそれぞれ判定する判定手段と、
前記記憶された前記輝度変化点の座標と、当該輝度変化点に対応して前記判定手段により判定された前記補正用輝度変化点の座標との差分を、歪みベクトル場として算出する第1の算出手段と、
前記歪みベクトル場から平行移動成分と回転成分とをのぞく成分を補正用ベクトル場として算出する第2の算出手段と、
前記算出された補正用ベクトル場を用いて、前記撮像手段により撮像される画像を補正する補正手段と
を具備する情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記第2の算出手段により算出された前記補正用ベクトル場を記憶する第2の記憶手段をさらに具備し、
前記補正手段は、前記第2の記憶手段により記憶された前記補正用ベクトル場を用いて前記画像を補正する
情報処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の情報処理装置であって、
前記生成手段は、前記校正用画像が複数の領域に分割されて得られる分割領域ごとに、各前記分割領域の輝度情報に関する前記標準パターン情報をそれぞれ生成し、
前記判定手段は、前記分割領域の輝度分布と前記分割領域ごとに生成された前記標準パターン情報とのマッチング処理により、前記分割領域ごとに前記補正用輝度変化点の座標を判定する
情報処理装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の情報処理装置であって、
前記校正用パターンは、前記2軸方向でそれぞれ一定のサイズを有する明部及び暗部が交互にそれぞれ1以上配置されたチェッカーパターンでなり、
前記第1の記憶手段は、前記チェッカーパターン上の前記明部と前記暗部との境界にあたる複数の交点の各座標を記憶し、
前記生成手段は、前記校正用画像をフーリエ変換することで、前記2軸方向のそれぞれにおいて、スペクトルの強度が最も大きい周波数を算出し、前記算出された前記2軸方向の各前記周波数のうち少なくとも1つを用いて前記標準パターン情報を生成し、
前記判定手段は、前記校正用画像の各画素の輝度値と前記標準パターン情報との相関値を計算することで、前記校正用画像上の明部と暗部との境界にあたる複数の交点の各座標を判定する
情報処理装置。
【請求項5】
互いに直交する2軸方向にそれぞれ輝度が規則的に変化する輝度分布を有する校正用パターンの、前記輝度が変化する複数の輝度変化点の各座標を記憶し、
光学顕微鏡により得られる像を撮影することが可能な撮像手段により前記校正用パターンが撮影されることで生成された校正用画像の輝度分布に関する標準パターン情報を生成し、
前記校正用画像の輝度分布と前記生成された標準パターン情報とのマッチング処理により、前記校正用パターンの各々の前記輝度変化点に対応する前記校正用画像の輝度変化点の座標を補正用輝度変化点の座標としてそれぞれ判定し、
前記記憶された前記輝度変化点の座標と、当該輝度変化点に対応して前記判定された前記補正用輝度変化点の座標との差分を、歪みベクトル場として算出し、
前記歪みベクトル場から平行移動成分と回転成分とをのぞく成分を補正用ベクトル場として算出し、
前記算出された補正用ベクトル場を用いて、前記撮像手段により撮像される画像を補正する
ことを情報処理装置が実行する情報処理方法。
【請求項6】
互いに直交する2軸方向にそれぞれ輝度が規則的に変化する輝度分布を有する校正用パターンの、前記輝度が変化する複数の輝度変化点の各座標を記憶し、
光学顕微鏡により得られる像を撮影することが可能な撮像手段により前記校正用パターンが撮影されることで生成された校正用画像の輝度分布に関する標準パターン情報を生成し、
前記校正用画像の輝度分布と前記生成された標準パターン情報とのマッチング処理により、前記校正用パターンの各々の前記輝度変化点に対応する前記校正用画像の輝度変化点の座標を補正用輝度変化点の座標としてそれぞれ判定し、
前記記憶された前記輝度変化点の座標と、当該輝度変化点に対応して前記判定された前記補正用輝度変化点の座標との差分を、歪みベクトル場として算出し、
前記歪みベクトル場から平行移動成分と回転成分とをのぞく成分を補正用ベクトル場として算出し、
前記算出された補正用ベクトル場を用いて、前記撮像手段により撮像される画像を補正する
ことを情報処理装置に実行させるプログラム。
【請求項7】
光学顕微鏡と、
前記光学顕微鏡により得られる像を撮影することが可能な撮像手段と、
互いに直交する2軸方向にそれぞれ輝度が規則的に変化する輝度分布を有する校正用パターンの、前記輝度が変化する複数の輝度変化点の各座標を記憶する記憶手段と、
前記撮像手段により前記校正用パターンが撮影されることで生成された校正用画像の輝度分布に関する標準パターン情報を生成する生成手段と、
前記校正用画像の輝度分布と前記生成された標準パターン情報とのマッチング処理により、前記校正用パターンの各々の前記輝度変化点に対応する前記校正用画像の輝度変化点の座標を補正用輝度変化点の座標としてそれぞれ判定する判定手段と、
前記記憶された前記輝度変化点の座標と、当該輝度変化点に対応して前記判定手段により判定された前記補正用輝度変化点の座標との差分を、歪みベクトル場として算出する第1の算出手段と、
前記歪みベクトル場から平行移動成分と回転成分とをのぞく成分を補正用ベクトル場として算出する第2の算出手段と、
前記算出された補正用ベクトル場を用いて、前記撮像手段により撮像される画像を補正する補正手段と
を具備する、光学顕微鏡を搭載した撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【図7】
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【図9】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−188083(P2011−188083A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49020(P2010−49020)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】