説明

情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータプログラム

【課題】直感的な入力により高い操作性を実現することが可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】本発明の情報処理装置は、操作面における指の移動方向および移動量を検出する検出部と、表示部に表示されたオブジェクトを移動させる指の移動方向に応じて、指の単位移動量あたりの表示部におけるオブジェクトの移動量を変化させる移動制御部と、を備える。本発明によれば、操作面で操作される指の移動方向に基づいて、表示領域内におけるオブジェクトの移動量が変化する。このように、オブジェクトの移動量が指の移動方向に応じて補正されることにより、オブジェクトの移動操作時の操作性に低下させる要因を改善し、操作性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータプログラムに関し、より詳細には、表示部に表示されたオブジェクトの移動操作を制御する情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像やテキストデータ等の情報を表示装置に表示させるとき、表示領域の大きさや情報量によっては表示領域内にすべての情報を表示できない場合がある。このような情報に対して、表示内容を上下左右に移動させて所望の情報が表示させることの可能なスクロール表示を適用することにより、同一の表示領域内ですべての情報を確認することが可能となる。スクロール表示された情報は、例えば、スクロールバーをマウス等のポインティングデバイスによってドラックすることがよって、スクロールバーの移動方向に表示内容を移動させることができる。あるいは、キーボードのカーソルキーを押下することによってもスクロール操作を行うことができる。
【0003】
このようなスクロール操作において、操作性を向上させるため、表示内容を移動させるスクロール量を調整することの可能なスクロール装置が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1のスクロール装置は、スクロール操作を行うデバイスの操作位置に応じてスクロール量を変化させることにより、細かくスクロールさせたり高速に大まかにスクロールさせたりすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−33695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記スクロール装置では、スクロール量を調整するために、ユーザは操作位置を意識してスクロール操作を行う必要があり、直感的な操作性に欠けるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、直感的な入力により高い操作性を実現することが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、操作面における指の移動方向および移動量を検出する検出部と、表示部に表示されたオブジェクトを移動させる指の移動方向に応じて、指の単位移動量あたりの表示部におけるオブジェクトの移動量を変化させる移動制御部と、を備える、情報処理装置が提供される。
【0008】
本発明によれば、操作面で操作される指の移動方向に基づいて、表示領域内におけるオブジェクトの移動量が変化する。このように、オブジェクトの移動量が指の移動方向に応じて補正されることにより、オブジェクトの移動操作時の操作性に低下させる要因を改善し、操作性を向上させることができる。
【0009】
ここで、移動制御部は、表示部の表示領域におけるオブジェクトの移動可能方向における移動可能距離に基づいて、オブジェクトの移動量を変化させるようにしてもよい。
【0010】
また、移動制御部は、指の先端から付け根へ向かう縦方向と、縦方向に直交する指の幅方向である横方向との移動のうち、指が横方向に移動されたときのオブジェクトの移動量を縦方向に移動されたときのオブジェクトの移動量よりも大きくしてもよい。
【0011】
さらに、移動制御部は、指の移動速度に応じて、移動方向毎のオブジェクトの移動量の比率を変化させてもよい。
【0012】
また、移動制御部は、検出部からの指の移動方向および移動量の入力がなくなる無入力状態となったとき、無入力状態直前の指の移動速度に応じて、継続してオブジェクトを移動させるようにしてもよい。
【0013】
さらに、移動制御部は、指の移動方向および移動量から決定されたオブジェクトの移動方向および移動量に基づいて、オブジェクトの移動に応じて所定の方向に移動する第2のオブジェクトの移動方向を決定してもよい。
【0014】
また、第2のオブジェクトの移動方向に対して、それぞれオブジェクトの移動方向および移動量により設定される移動方向認識領域が設定されており、移動制御部は、第2のオブジェクトの移動状況に応じて、移動方向認識領域を変更してもよい。
【0015】
さらに、検出部が配置された操作面は、縦方向は曲線状に形成し、横方向は直線状に形成してもよい。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、操作面における指の移動方向および移動量を検出するステップと、表示部に表示されたオブジェクトを移動させる指の移動方向に応じて、指の単位移動量あたりの表示部におけるオブジェクトの移動量を変化させるステップと、を含む、情報処理方法が提供される。
【0017】
さらに、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータに上記の情報処理装置として機能させるためのコンピュータプログラムが提供される。コンピュータプログラムは、コンピュータが備える記憶装置に格納され、コンピュータが備えるCPUに読み込まれて実行されることにより、そのコンピュータを上記の情報処理装置として機能させる。また、コンピュータプログラムが記録された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供される。記録媒体は、例えば磁気ディスクや光ディスクなどである。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明によれば、直感的な入力により高い操作性を実現することが可能な情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態にかかる入力ユニットの概略構成を示す説明図である。
【図2】同実施形態にかかる入力デバイスを示す上面図である。
【図3】同実施形態にかかる入力デバイスを示す側面図である。
【図4】同実施形態にかかる入力デバイスを示す平面図である。
【図5A】入力デバイスの他の形態を示す上面図である。
【図5B】図5Aに示す入力デバイスの側面図である。
【図6】入力デバイスの他の形態を示す上面図である。
【図7】入力デバイスの他の形態を示す上面図である。
【図8】同実施形態にかかる入力ユニットを構成する制御装置のハードウェアの一構成例を示すブロック図である。
【図9】同実施形態にかかる入力ユニットを構成する入力デバイスのハードウェアの一構成例を示すブロック図である。
【図10】同実施形態にかかる入力ユニットの機能構成を示す機能ブロック図である。
【図11】同実施形態にかかる入力デバイスを操作する親指の上下方向の動きを示す説明図である。
【図12】同実施形態にかかる入力デバイスを操作する親指の左右方向の動きを示す説明図である。
【図13】親指の移動可能範囲を示す説明図である。
【図14】表示領域の比率に基づくオブジェクトの移動量補正を説明するための説明図である。
【図15A】指の移動速度に対するオブジェクトの移動量倍率を示すグラフであって、オブジェクトの移動量倍率が一定である場合を示す。
【図15B】指の移動速度に対するオブジェクトの移動量倍率を示すグラフであって、指の移動速度に応じて線形にオブジェクトの移動量倍率が変化する場合を示す。
【図15C】指の移動速度に対するオブジェクトの移動量倍率を示すグラフであって、指の移動速度に応じて段階的にオブジェクトの移動量倍率が変化する場合を示す。
【図15D】指の移動速度に対するオブジェクトの移動量倍率を示すグラフであって、指の移動速度に応じてオブジェクトの移動量倍率が変化する他の例を示す。
【図15E】指の移動速度に対するオブジェクトの移動量倍率を示すグラフであって、指の移動速度に応じてオブジェクトの移動量倍率が変化する他の例を示す。
【図15F】指の移動速度に対するオブジェクトの移動量倍率を示すグラフであって、指の移動速度に応じてオブジェクトの移動量倍率が変化する他の例を示す。
【図16】指の動き(移動方向および速度)に基づくオブジェクトの慣性的移動量補正を説明する説明図である。
【図17】ハイライトアイテムにおけるオブジェクトの選択操作を説明する説明図である。
【図18】ハイライトアイテムにおいて選択するオブジェクトを決定するための一般的な決定方法を説明するための説明図である。
【図19】同実施形態にかかるハイライトアイテムにおいて選択するオブジェクトを決定する決定方法を示す説明図である。
【図20】縦認識領域および横認識領域の変化を示す説明図である。
【図21】認識領域の他の例を示す説明図である。
【図22】ハイライトアイテムにおけるハイライト位置を指の動きに合わせて移動させた状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.情報処理装置の概要
2.情報処理装置の具体的な構成
3.操作制御部による操作制御方法
【0022】
<1.情報処理装置の概要>
[情報処理装置の構成例]
まず、図1に基づいて、本実施形態にかかる情報処理装置である入力ユニットの構成例について説明する。なお、図1は、本実施形態にかかる入力ユニットの概略構成を示す説明図である。
【0023】
本実施形態にかかる入力ユニットは、入力情報に基づいて操作制御を行う制御装置と、入力情報を入力するための入力デバイスとから構成される。入力ユニットの一例として、本実施形態では、図1に示すように、表示装置の表示領域160に表示されたカーソル162を制御する制御装置100と、カーソル162を操作する入力情報を入力する入力デバイス200とからなる入力ユニットについて説明する。
【0024】
本実施形態にかかる入力デバイス200は、図1に示すように、マウスとして機能するマウスモードと、リモートコントローラのように機能するエアモードとの2つのモードを有している。マウスモードとして機能するとき、ユーザは、入力デバイス200を、一般的なマウスと同様、卓上に置かれた状態で移動させたりボタンを押下したりして、入力情報を入力することができる。一方、エアモードとして機能する場合には、ユーザは、入力デバイス200を持ち、親指でボタンを押下したり操作領域上で親指をスライドさせたりすることにより、入力情報を入力することができる。入力デバイス200のマウスモードとエアモードとの切り替えは、例えば入力デバイス200に設けられた切替ボタン(図2の符号245)を押下することにより行うことができる。
【0025】
入力デバイス200から入力された入力情報は、制御装置100へ送信され、処理される。制御装置100は、例えばパーソナルコンピュータのような表示装置に表示する情報を処理する処理装置や、制御部を備える表示装置、あるいは入力デバイス200自体に設けられる。制御装置100は、入力情報に基づいて、表示領域160に表示されているカーソル162等のオブジェクトや表示内容を移動させることができる。
【0026】
以下では、このような入力ユニットの入力デバイス200の詳細な構成と、制御装置によるオブジェクトの操作制御方法について、説明していく。なお、以下では、制御装置100は、入力デバイス200とは別体の、パーソナルコンピュータ等の処理装置に設けられているとし、入力デバイス200から送信された入力情報に基づいてオブジェクトの操作制御を行い、表示装置の表示に反映させるものとする。
【0027】
<2.情報処理装置の具体的な構成>
[入力デバイスの構成および機能]
まず、図2〜図4に基づいて、本実施形態にかかる入力デバイス200の構成とその機能について説明する。なお、図2は、本実施形態にかかる入力デバイス200を示す上面図である。図3は、本実施形態にかかる入力デバイス200を示す側面図である。図4は、本実施形態にかかる入力デバイス200を示す平面図である。なお、以下では、入力デバイス200の横方向をx方向、縦方向(長手方向)をy方向、高さ方向をz方向として説明する。また、表示領域160におけるオブジェクトの移動方向については、左右方向(横方向)をx方向、上下方向(縦方向)をy方向と規定する。
【0028】
本実施形態にかかる入力デバイス200は、上述したようなマウスモードおよびエアモードとして機能する入力装置である。入力デバイス200は、図2に示すように略長楕円形状の筐体210と、筐体210の上面および側面に設けられた複数の操作部とからなる。筐体210は、図2〜図4に示すように、上面部および背面部は略平坦に形成されており、外縁部が丸みを帯びた形状となっている。本実施形態にかかる入力デバイス200では、入力情報を入力するための操作部が設けられた領域より背面側(y軸負方向側)において筐体210の角を除去することにより、入力デバイス200を保持し易く、誤操作を低減させている。
【0029】
操作部は、入力情報を入力するために操作される部材であって、例えばセンサ部220と、四方向キー230と、ボタン241〜246(L、R)とからなる。センサ部220は、当該センサ部220の表面で移動される指の移動量を検出する検出部であって、光学式ポインティングデバイス222と、平面の形状が略円形の操作面224とからなる。センサ部220は、操作面224上で移動される指の指紋をセンサ窓の下に配置された光学式にセンシングするデバイス(光学式ポインティングデバイス222)によって検出し、指紋の移動量から操作対象であるオブジェクトを操作する入力情報を生成する。
【0030】
四方向キー230は、センサ部220の周囲に設けられた環状のボタンである。四方向キー230は、指で押圧されると、押圧位置に応じて上下方向(y方向)および左右方向(x方向)に操作対象であるオブジェクトを移動させることができる。
【0031】
ボタン241〜246(L、R)は、押圧されることにより、対応付けられた入力情報を出力する。例えば、ボタン241、242、243、244には、操作を戻す処理や表示部にソフトウェアキーボードを表示させるキーボード表示処理、操作を決定する決定処理、メニュー画面を表示させるメニュー表示処理を対応付けることができる。また、ボタン245には、マウスモードとエアモードとの切替処理、あるいは表示内容のスクロール操作を可能とするスクロール処理を対応付けることができる。ボタン246L、246Rには、入力デバイス200がマウスモードとして機能するときに、一般的なマウスの左ボタンおよび右ボタンの機能を対応付けることができる。
【0032】
このような入力デバイス200を用いて、表示部に表示された表示内容をスクロールさせるには、エアモード時にスクロール処理が対応付けられた例えばボタン245を押下して、スクロール操作を可能にする。そして、センサ部220の操作面224で指を移動させることにより、指の移動方向に応じて表示内容をスクロールさせることができる。
【0033】
ここで、指を移動させて行うスクロール操作によって表示部のオブジェクトが移動する方向は、入力デバイス200に規定された座標軸に基づいて決定される。すなわち、入力デバイス200で規定された上下方向(例えば、y方向)の移動が検出されると、表示内容は表示部の上下方向にスクロールされる。また、入力デバイス200で規定された左右方向(例えば、x方向)の移動が検出されると、表示内容は表示部の左右方向にスクロールされる。このようにスクロール方向が決定されるため、例えば表示部の表示内容を上下方向にスクロールさせるために操作面224上で指を上下方向に移動させたとしても、指の移動方向が入力デバイス200の上下方向と一致しなければ、表示内容を上下方向にスクロールさせることはできない。このため、表示内容をスクロールさせたい方向と対応する入力デバイス200の方向に合わせて指を移動させる必要がある。
【0034】
特に、本実施形態にかかる入力デバイス200は、図1に示すように、エアモード時には親指のみで操作される。親指は、指の先端と付け根との間で指を伸縮させる動きによって上下方向に移動し、指の付け根を軸として略平行に指先を移動させる動きによって左右方向に移動する。このため、親指は、左右方向へは略直線的に移動することができるが、上下方向への直線的な動きを行うことは難しい。したがって、親指を移動させてスクロール操作を行う場合、上下方向へのスクロール操作が左右方向へのスクロール操作と誤って認識される可能性がある。
【0035】
そこで、本実施形態にかかる入力デバイス200では、センサ部220の操作面224を、入力デバイス200の上下方向(y方向)に対して平行な断面(yz平面)からみると曲線状であり、左右方向(x方向)に対して平行な断面(zx平面)からみると平坦な直線状であるような形状にする。これにより、指の移動方向と入力デバイス200の方向と合致させ易くなる。すなわち、図3に示すように、yz平面においては、センサ部220の操作面224は、光学式ポインティングデバイス222が設けられた中央部が最も突出した凸状の曲線となる。一方、図4に示すように、zx平面においては、センサ部220の操作面224は、両端の角部が除去された平坦な直線となる。このように、センサ部220の操作面224は、円柱をその高さ方向に切断した部材の曲面部のように形成される。
【0036】
このような操作面224の形状により、親指を上下方向に移動させると、操作面224の曲面に沿って移動するようになり、直線的な動きを行い易くなる。このとき、曲面の方向を入力デバイス200の上下方向と一致させることにより、ユーザは入力デバイス200に規定された方向を意識しなくとも、操作面224の形状に沿って移動させることで入力デバイス200に規定された方向に親指を移動させることができる。したがって、表示部に表示された表示内容を正確に移動させることができ、スクロール方向が誤って認識されてしまう誤動作を低減させることができる。
【0037】
一方、上述したように、親指は左右方向に対しては略直線的な動きを行うことができる。したがって、操作面224が平坦であっても移動方向のずれは生じ難いので、上下方向のように曲面形状とする必要性は低い。また、上下方向のみを曲面とすることで、指が感知する操作面224の形状から、入力デバイス200において規定された方向のうちいずれの方向に指が移動しているかを認識することができる。ユーザは、指の移動方向を認識しながら指を動かすことができるので、スクロール方向が誤って認識されてしまう誤動作を低減させることができる。
【0038】
なお、指の移動方向と入力デバイス200に規定された方向との対応をユーザが認識し易くするため、例えば、操作面224に入力デバイス200の左右方向(x方向)に延びる溝を上下方向(y方向)に複数形成するようにしてもよい。このような形状とすると、ユーザは上下方向に指を移動させた場合にのみ表面の凹凸を認識する。あるいは、操作面224に入力デバイス200の上下方向(y方向)に延びる溝を左右方向(x方向)に複数形成するようにして、ユーザが左右方向に指を移動させた場合にのみ表面の凹凸を認識させるようにしてもよい。これにより、ユーザは入力デバイス200に対する指の移動方向を認識し易くなり、表示部に表示された表示内容のスクロール操作を的確に行うことができるようになる。
【0039】
さらに、センサ部220の操作面224は、僅かな凹凸を設けてざらざらしたテクスチャとすることにより、凹凸のない滑らかな表面とした場合に比べて摩擦を低減させることができる。これにより、操作面224における指の滑りが向上し、操作性を向上させることができる。特に、指を素早く移動させ易くなり、また、指の移動による疲労も軽減することができる。
【0040】
また、本実施形態にかかる入力デバイス200は、エアモード時、筐体210を保持する手の親指によって操作される。このため、親指の付け根より手首側にある手のひらのふくらみを回避するように筐体210の形状を決定する。これにより、親指の移動をスムーズに行うことができるとともに、操作時の指の動きによる入力デバイス200のぶれを低減させることができる。
【0041】
まず、筐体210の後端部(y軸負方向側)を内部側へ位置するように形成する。図2に示す入力デバイス200は、筐体210の後端部が半円形状となっている。筐体210の後端部を破線で示すような略直角の角部を有する形状とすると、入力デバイス200を手で保持した際、親指の付け根と手首との間にあるふくらみと入力デバイス200の後端部とが接触してしまい、親指が動かし難くなる。このように、操作の妨げとなる部位を除去すべく、後端部を入力デバイス200の内部側へ位置するように筐体210を形成することで、入力デバイス200の操作性を向上させることができる。
【0042】
また、親指を上方向に移動させると、親指の付け根と手首との間にあるふくらみも上方向へ移動する。このとき、筐体210の後端部と当該ふくらみ部分とが接触し易くなり、筐体210の先端部側が高さ方向(z方向)に浮き上がり易くなる。そうすると、入力デバイス200の保持状態が変化し、操作性が低下してしまう。このような問題を回避するために、本実施形態にかかる入力デバイス200の筐体210の後端部は、センサ部220の操作面224よりも高さが低い形状に形成される。例えば、図3に示すように、筐体210の後端部において、操作面224と略同一の高さを有する上面210aの高さが後方(y軸負方向側)に向かうにつれて低くなるように形成する。図3では、上面210aが筐体210の後端部に向かうにつれてz軸負方向側へ曲線を描くように、筐体210の角が面取りされている。
【0043】
本実施形態にかかる入力デバイス200の形状は、図2〜図4に示したものに限定されず、他の形状とすることもできる。例えば、図5Aおよび図5Bに示すように、四方向キー230の外周に沿って複数のボタンを環状に配置してもよい。図5Aのセンサ部220の操作面224は長楕円状であるが、上述したように、入力デバイス200の上下方向に対して平行な断面(yz平面)からみると曲線状であり、左右方向に対して平行な断面(zx平面)からみると平坦な直線状であるような形状にする。また、図5Bに示すように、筐体210の後端部において、上面210aに、筐体210の後端部に向かうにつれてz軸負方向側へ傾斜する平面210bを形成することにより、操作時に親指の付け根のふくらみと接触し易い筐体210の角を除去している。このような形状によって操作性のよい入力デバイス200を実現している。
【0044】
さらに、入力デバイス200の他の形状としては、図6に示すように、筐体210の後端部の上面210aに、筐体210の中央部分から外縁部分に向かうにつれて高さが低くなるような形状としてもよい。また、あるいは、図7に示すように、筐体210の形状を、上面210aが卵型のような曲面を有するように形成してもよい。いずれの形状でも、センサ部220の操作面224は、入力デバイス200の上下方向に対して平行な断面(yz平面)からみると曲線状であり、左右方向に対して平行な断面(zx平面)からみると平坦な直線状であるような形状にする。また、入力デバイス200の後端部においては、操作時に親指の付け根のふくらみと接触し易い筐体210の角を除去し、親指の付け根と手首との間にあるふくらみを回避する形状とする。これにより、操作性のよい入力デバイス200を実現している。
【0045】
図2〜図7に示したような入力デバイス200の形状は、操作性を向上させるだけでなく、入力デバイス200の操作によるユーザの疲れを低減することができるという利点もある。以上、本実施形態にかかる入力デバイス200の構成とその機能について説明した。
【0046】
[ハードウェア構成]
次に、図8および図9に基づいて、本実施形態にかかる入力ユニットのハードウェア構成について説明する。なお、図8は、本実施形態にかかる入力ユニットを構成する制御装置100のハードウェアの一構成例を示すブロック図である。図9は、本実施形態にかかる入力ユニットを構成する入力デバイス200のハードウェアの一構成例を示すブロック図である。
【0047】
(制御装置のハードウェア構成例)
本実施形態にかかる入力ユニットを構成する制御装置100は、上述したように、パーソナルコンピュータ等の処理装置により実現することができる。制御装置100は、図8に示すように、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、ホストバス104aとを備える。また、制御装置100は、ブリッジ104と、外部バス104bと、インタフェース105と、入力装置106と、出力装置107と、ストレージ装置(HDD)108と、ドライブ109と、接続ポート111と、通信装置113とを備える。
【0048】
CPU101は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って制御装置100内の動作全般を制御する。また、CPU101は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM102は、CPU101が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM103は、CPU101の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス104aにより相互に接続されている。
【0049】
ホストバス104aは、ブリッジ104を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス104bに接続されている。なお、必ずしもホストバス104a、ブリッジ104および外部バス104bを分離構成する必要はなく、一のバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0050】
入力装置106は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイク、スイッチおよびレバーなどユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU101に出力する入力制御回路などから構成されている。制御装置100のユーザは、該入力装置106を操作することにより、制御装置100に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0051】
出力装置107は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置およびランプなどの表示装置を含む。さらに、出力装置107は、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置を含む。本実施形態では、図3に示すように、出力装置107として後述の表示部140が設けられている。
【0052】
ストレージ装置108は、制御装置100の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置108は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。ストレージ装置108は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)で構成される。このストレージ装置108は、ハードディスクを駆動し、CPU101が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0053】
ドライブ109は、記憶媒体用リーダライタであり、制御装置100に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ109は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体に記録されている情報を読み出して、RAM103に出力する。
【0054】
接続ポート111は、外部機器と接続されるインタフェースであって、例えばUSB(Universal Serial Bus)などによりデータ伝送可能な外部機器との接続口である。また、通信装置113は、例えば、通信網15に接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。また、通信装置112は、無線LAN(Local Area Network)対応通信装置であっても、ワイヤレスUSB対応通信装置であっても、有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。
【0055】
(入力デバイスのハードウェア構成例)
本実施形態にかかる入力ユニットを構成する入力デバイス200は、図9に示すように、通信モジュール201と、光学式ポインティングデバイス202と、マウスモジュール203とを備える。また、入力デバイス200は、キー入力部204と、拡張部205と、バッテリー206とをさらに備える。
【0056】
通信モジュール201は、制御装置100との情報の送受信を行う通信デバイスである。通信モジュール201は、例えばBluetooth(登録商標)等の高周波無線通信を行うRF部201aと、通信制御を行う制御部201bとからなる。光学式ポインティングデバイス202、マウスモジュール203およびキー入力部204は、通信モジュール201により送信する情報を入力するための入力手段である。
【0057】
光学式ポインティングデバイス202は、指の動きを検出するデバイスであって、上述のセンサ部220の光学式ポインティングデバイス222に相当する。光学式ポインティングデバイス202は、検出対象(例えば指)の画像の取得や、取得した画像に対する画像処理、通信モジュール201とのインタフェース処理を行う制御回路と、LED等の発光部とからなる。マウスモジュール203は、一般的な光学マウスの入力機能を実現するためのモジュールであって、光を出力するLEDやレーザ光源等の発光部と、発光部から出力された光の反射光を検出する受光部と、入力デバイス200の移動量を算出する演算処理部からなる。キー入力部204は、ボタンやスイッチ、レバーなどの入力手段である。
【0058】
入力デバイス200が操作されることによって、光学式ポインティングデバイス202、マウスモジュール203およびキー入力部204から入力された情報は、入力制御回路などによって入力信号とされ、通信モジュール201へ出力される。キー入力部204と通信モジュール201との間には拡張部205を設けてもよい。また、入力デバイス200をワイヤレスに機能させるため、バッテリー206を備えている。
【0059】
[入力ユニットの機能構成]
次に、図10に基づいて、本実施形態にかかる入力ユニットの機能構成について説明する。図10は、本実施形態にかかる入力ユニットの機能構成を示す機能ブロック図である。なお、図10には、本実施形態にかかる操作制御処理を実行するにあたり機能する機能部のみ示しており、制御装置100および入力ユニット200は、他の処理を行う機能部をさらに備えていてもよい。
【0060】
本実施形態にかかる入力ユニットは、上述したように、制御装置100と入力デバイス200とから構成されている。入力ユニットを機能的にみると、制御装置100は、通信部110と、移動制御部120と、表示制御部130と、表示部140と、記憶部150とからなる。また、入力デバイス200は、検出部250と、制御部260と、通信部270とからなる。
【0061】
制御装置100の通信部110は、入力デバイス200との情報の送受信を行う機能部であって、図8の通信装置113に対応する。通信部110は、入力デバイス200から受信した入力情報を受信して、移動制御部120へ出力する。
【0062】
移動制御部120は、表示部140に表示された操作対象であるオブジェクトを、入力情報に基づいて移動させる。移動制御部120は、通信部110から入力情報を受信すると、入力情報に含まれる指の移動方向および移動量から、表示部140に表示されたオブジェクトの移動方向および移動量を算出する。この際、移動制御部120は、記憶部150に記憶された補正情報を参照して、指の移動方向に応じてオブジェクトの移動量を変化させる。移動制御部120は、算出したオブジェクトの移動方向および移動量を表示制御部130へ出力する。また、移動制御部120は、オブジェクトの移動方向および移動量に基づいて、オブジェクトの移動に応じて所定の方向に移動する第2のオブジェクトの移動方向を決定し、第2のオブジェクトの移動方向および移動量を表示制御部130へ出力する。
【0063】
表示制御部130は、表示部140に表示される表示情報を、制御部120から入力されたオブジェクトや第2のオブジェクトの移動方向および移動量に基づいて変更し、表示部140に表示可能な形態に処理する。表示制御部130は、表示処理した表示情報を表示部140に出力し、表示部140に表示させる。表示部140は、表示情報を表示する機能部であり、図8の表示装置107に対応する。なお、移動制御部120および表示制御部130は、図8のCPU101により機能を実現することができる。
【0064】
記憶部150は、オブジェクトの移動制御を行うために必要な各種情報を記憶する、例えばROM102やフラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。記憶部150には、例えば、入力デバイス200から入力された指の移動方向および移動量に基づいて、オブジェクトの移動量を補正する補正情報が記憶されている。補正情報は、上述したように入力デバイス200のセンサ部220の操作面224上で親指を移動させて入力情報を入力する場合に、その動作の特性を考慮して、ユーザが表示部140に表示されたオブジェクトを違和感なく移動できるようにするための情報である。補正情報および補正情報を用いた操作制御方法の詳細については後述する。
【0065】
また、記憶部150には、第2のオブジェクトの移動方向を決定するために用いる認識情報も記憶されている。認識情報は、オブジェクトの移動方向および移動量と第2のオブジェクトの移動方向との対応関係を示す情報である。当該認識情報および第2のオブジェクトの移動方向の決定方法の詳細については後述する。
【0066】
一方、入力デバイス200の検出部250は、検出対象である指の位置を検出する機能部である。検出部250は、例えば、所定領域における指の画像を取得することにより、当該領域内における指の任意の点(例えば、指紋等)を検出する。検出部250は、取得した指の位置情報を制御部260へ出力する。
【0067】
制御部260は、検出部250から入力された位置情報に基づいて、指の移動方向および移動量を算出する。制御部260は、時間の経過により指の任意の点の位置の変化から、指の移動方向および移動量を算出し、さらにこれらの情報から速度や加速度を算出する。制御部260は、算出したこれらの情報を入力情報として通信部270へ出力する。検出部250および制御部260は、図9の光学式ポインティングデバイス202に相当する。
【0068】
通信部270は、制御装置100との情報の送受信を行う機能部であって、図9の通信モジュール201に対応する。通信部270は、制御部260から入力情報が入力されると、当該入力情報を制御装置100へ送信する。
【0069】
以上、本実施形態にかかる入力ユニットの制御装置100および入力デバイス200の構成について説明した。かかる入力ユニットは、入力デバイス200を操作して表示部140に表示されたオブジェクトを移動させるとき、オブジェクトを操作し易いように、移動制御部120によって操作制御が行われている。以下では、本実施形態にかかる入力ユニットの移動制御部120による操作制御について説明する。
【0070】
<3.操作制御部による操作制御方法>
[オブジェクトの移動量補正]
本実施形態にかかる操作制御部120は、入力情報に基づいてオブジェクトの移動量の補正することができる。例えば、本実施形態にかかる入力デバイス200のセンサ部220の操作面224上で親指を移動させて入力情報を入力し、表示部140に表示された表示内容をスクロールさせるとする。表示部140の表示内容を上下方向にスクロールさせるときには、図11に示すように、入力デバイス200の操作面224上で親指を上下方向に移動させる動作が行われる。一方、表示部140の表示内容を左右方向にスクロールさせるときには、図12に示すように、入力デバイス200の操作面224上で親指を左右方向に移動させる動作が行われる。
【0071】
ここで、入力情報を入力する親指の操作面上224での動きをみると、図11に示すように、上下方向(y方向)に対しては親指を大きく移動させることができる。これに対して、左右方向(x方向)については、図12に示すように、上下方向のように親指を大きく移動させることができない。この違いは、指の形状による。親指を腹側から見た図を図13に示す。親指は、指の幅方向に比べて、指先から指の付け根に向かう縦方向へは長い形状となっている。
【0072】
本実施形態にかかる入力デバイス200のセンサ部220は、光学式ポインティングデバイス222上を移動する指の位置を検出して指の移動方向および移動量を検出する。このため、光学式ポインティングデバイス222上に指が存在しなければ、指の移動量を検出することができない。したがって、センサ部220により検出された指の移動量だけ表示部140の表示内容をスクロールさせるとすると、上下方向へは親指を大きく移動させることができるため、例えば指を上から下へ移動させる1回の動作によるスクロール量は大きい。しかし、指の幅方向に、例えば左から右へ移動させるとき、指は光学式ポインティングデバイス222の検出可能領域からすぐに外れてしまい、1回の動作によって表示部140の表示内容をスクロールできる量は、上下方向に比べてはるかに小さい。このため、表示内容を左右方向へ大きくスクロールさせるには、指を何度も移動させなければならなかった。
【0073】
本実施形態にかかる入力ユニットの移動制御部120は、このような問題を解決すべく、入力情報に基づくオブジェクトの移動量を補正する。以下、図14〜図16に基づいて、オブジェクトの移動量補正処理について説明する。なお、図14は、表示領域の比率に基づくオブジェクトの移動量補正を説明するための説明図である。図15A〜図15Fは、指の移動速度に対するオブジェクトの移動量倍率を示すグラフである。図16は、指の動き(移動方向および速度)に基づくオブジェクトの慣性的移動量補正を説明する説明図である。
【0074】
(1.表示領域の比率に基づく移動量補正)
まず、図14に基づいて、本実施形態にかかる入力ユニットによる、表示領域の比率に基づくオブジェクトの移動量補正処理について説明する。かかるオブジェクトの移動量補正処理は、オブジェクトが表示されている表示領域の縦横比率等、表示領域に基づいて決定された比率を用いて、オブジェクトの移動量を補正するものである。以下では、図14に示すように、表示部140の表示領域160には、操作対象(オブジェクト)であるポインタ162が表示されている状況を考える。ユーザは、入力デバイス200のセンサ部220で親指を移動させて、ポインタ162を表示領域160内で移動させることができる。
【0075】
表示領域の比率に基づくオブジェクトの移動量補正処理の一例として、入力ユニットは、例えばポインタ162が移動する表示領域160の縦横比(アスペクト比)に基づいて決定された補正情報を用いて、ポインタ162の移動量を補正する。例えば図14に示すような横長の表示領域160では、ポインタ162の移動可能距離は縦方向(y方向)よりも横方向(x方向)の方が大きい。そこで、親指を上下方向および左右方向に単位移動量だけ移動させたときの、表示領域160でのポインタ162の移動量を、縦方向よりも横方向を大きくする。これにより、移動可能距離の長い横方向のポインタ162の移動を容易に行うことができるようになる。
【0076】
このときのポインタ162の移動量に対する重み付け(補正情報)は、表示領域160の縦横比からa:bとなる。すなわち、親指が移動量uだけ移動されたとき、ポインタ162が縦方向に移動量vだけ移動したとすると、横方向へは(b/a)×v移動することになる。このように、移動可能距離の長い横方向におけるポインタ162の移動量を縦方向よりも大きくすることで、少ない指の移動量で横方向へ大きくポインタ162を移動させることが可能となる。
【0077】
なお、上記法歩では表示領域160のアスペクト比に基づいて補正情報を生成したが、例えば、予め設定された補正情報を用いて、表示領域160におけるポインタ162の移動可能方向についてそれぞれ設定されている移動可能距離の大きさに基づいて、移動量の補正を行ってもよい。具体的には、まず、図14に示す表示領域160においてポインタ162の移動可能方向である縦方向(y方向)および横方向(x方向)の移動可能距離を比較する。図14では横方向の移動可能距離が大きいため、横方向のポインタ162の移動量を縦方向に比べて所定倍率だけ大きくする。ここで、所定倍率は、指を単位移動量だけ移動させたときに縦方向と横方向とでのポインタ162の移動量が相違することによって操作時に違和感が生じないように、約2倍程度とするのがよい。
【0078】
(2.指の移動速度に基づく移動量補正)
次に、図15A〜図15Fに基づいて、本実施形態にかかる入力ユニットによる、指の移動速度に基づくオブジェクトの移動量補正処理について説明する。かかるオブジェクトの移動量補正処理は、指の移動速度に応じて、指の移動方向毎の単位移動量における表示領域160のポインタ162の移動量を変化させるものである。
【0079】
図11および図12に示したように、1回の動作における親指が移動可能な移動量は移動方向によって異なる。したがって、移動速度を同一としたとき、センサ部220の光学式ポインティングデバイス222により左右方向(x方向)に移動する親指を検出可能な検出時間は、上下方向(y方向)に移動する親指を検出する場合に比べて短い。指の移動速度が速くなると左右方向の検出時間はさらに短くなり、結果としてポインタ162の移動量が小さくなる。このように、親指を左右方向に素早く移動させて、所定の距離だけポインタ162を移動させるためには、指の移動回数が増加させなければならないことになる。
【0080】
そこで、本移動量補正処理では、指の移動速度に応じて、指の移動方向毎の単位移動量における表示領域160のポインタ162の移動量を変化させる。例えば、上下方向と左右方向の2方向に指を移動させる場合、指の単位移動量あたりのポインタ162の移動量を、補正情報に基づき、検出時間を長くとることのできる上下方向に対して、検出時間の短い左右方向の移動量を変化させる。
【0081】
補正情報としては、例えば図15B〜図15Fに示す速度倍率分布情報を用いることができる。図15Aは、親指の移動速度が変化しても上下方向および左右方向におけるポインタ162の移動量の比を変化させない場合の速度倍率分布情報である。これに対して、本補正量制御処理では、図15B〜図15Fに示すように、親指の移動速度が変化したとき、上下方向および左右方向におけるポインタ162の移動量の比を変化させる。図15B〜図15Fにおいて、縦軸の倍率は、指の単位移動量に対してポインタ162が上下方向に移動する縦移動量と左右方向に移動する横移動量との比(縦移動量/横移動量)を表している。
【0082】
例えば、図15Bに示すように、親指の移動速度が増加するにつれて、縦移動量と横移動量との比(すなわち、横移動量の縦移動量に対する倍率)を線形に増加させるようにしてもよい。図15Bに示す速度倍率分布情報を用いれば、親指の移動速度が減少すると、縦移動量と横移動量との比も減少し、親指の移動速度が増加すると縦移動量と横移動量との比も増加する。
【0083】
あるいは、図15Cに示すように、親指の移動速度が増加するにつれて、縦移動量と横移動量との比を段階的に増加させるようにしてもよい。この場合、ある移動速度区間(等倍区間)においては、親指の移動速度が変化しても、指の単位移動量に対する縦移動量と横移動量との比は変化しない。しかし、等倍区間を超えて指の移動速度が減少すると、縦移動量と横移動量との比が線形に減少し、等倍区間を超えて指の移動速度が増加すると、縦移動量と横移動量との比が線形に増加する。このとき、指の移動速度が減少して倍率が下限倍率となったとき、または指の移動速度が増加して上限倍率となったとき、それ以上速度が減少または増加しても倍率が下限倍率または上限倍率を超えないようにしてもよい。
【0084】
また、図15Cの速度倍率分布情報を、図15Dに示すように、等倍区間を超えて指の移動速度が減少すると、縦移動量と横移動量との比を曲線的に減少させ、等倍区間を超えて指の移動速度が増加すると、縦移動量と横移動量との比を曲線的に増加させてもよい。さらに、図15E、図15Fに示すように、指の移動速度に対して曲線的に縦移動量と横移動量との比を増減させてもよい。なお、図15B〜図15Fに示した速度倍率分布情報は一例であって、本移動量補正処理では他の速度倍率分布情報を用いることもできる。
【0085】
このような補正情報を用いると、指の移動速度が大きくなるにつれて、縦移動量と横移動量との比の移動量は大きくなる。すなわち、指が単位移動量だけ移動したときのポインタ162の縦移動量と横移動量との比が1より大きくなる。例えば、縦移動量と横移動量との比が1のときに指の単位移動量あたりのポインタ162の縦移動量および横移動量がともに10であったとする。その後、指の移動速度が増加して縦移動量と横移動量との比が2となると、ポインタ162の縦移動量は10、横移動量は20となる。一方、指の移動速度が減少して縦移動量と横移動量との比が0.4となると、ポインタ162の縦移動量は10、横移動量は4となる。
【0086】
このように、指の移動速度の変化に応じてポインタ162の縦移動量と横移動量との比を変化させることにより、移動方向による検出時間の相違から生じる操作性の悪さを改善することができる。なお、縦移動量と横移動量との比の上限は、上述したように、指を同一移動量だけ移動させたときの縦方向と横方向とでのポインタ162の移動量の相違による操作時の違和感が生じないように、約2倍程度とするのがよい。
【0087】
また、本操作量補正処理は、指の移動可能方向毎に、ポインタ162の移動量を補正する補正情報を設定して行ってもよい。例えば、指の上下方向(y方向)の移動と左右方向(x方向)の移動について、ポインタ162の移動量を補正する補正情報を設ける。ポインタ162の縦方向および左右方向の移動量ともに指の移動速度に応じて変化させてもよい。したがって、指の移動速度が速くなると、ポインタ162の縦移動量も横移動量も大きくなる。このとき、上記と同様、指の移動速度が大きくなるにつれて、ポインタ162の縦移動量よりも横移動量が大きくなるように、各移動可能方向の補正情報を生成する。これにより、上記と同様の効果を得ることができる。
【0088】
(3.指の動き(移動方向および速度)に基づくオブジェクトの慣性的移動量補正)
次に、図16に基づいて、本実施形態にかかる入力ユニットによる、指の動き(移動方向および速度)に基づくオブジェクトの慣性的移動量補正処理について説明する。上述した指の移動速度に基づく移動量補正は、センサ部220によって指の移動を検出しているときの補正処理であった。これに対し、慣性的移動量補正処理は、センサ部220が指の移動の検出がある状態から検出がなくなった状態となったとき、すなわち入力情報がなくなったときの補正処理である。かかる移動量補正処理は、センサ部220への入力がなくなったときの指の動きの移動量や移動方向に応じて、慣性的にオブジェクトを移動させるものである。
【0089】
通常、センサ部220に対して、操作対象であるオブジェクトを移動させるための入力情報の入力がなくなると、オブジェクトの動きは停止する。しかし、例えば、表示領域160に表示された表示内容をスクロールさせるときに、センサ部220への入力がなくなる度にスクロールが停止すると、操作性が悪い。そこで、センサ部220への入力情報がなくなったとき、入力がなくなる直前にセンサ部220において検出された速度(「無入力直前速度」とも称する。)が所定の大きさ以上であるとき、無入力直前速度に応じて、入力がなくなった後もオブジェクトを移動させる。
【0090】
図16に示すように、センサ部220の光学式ポインティングデバイス222の検出領域に指があるときには入力情報の入力がある状態であり、この状態においては、オブジェクトはセンサ部220により検出された指の移動方向および移動量に応じて移動される。一方、指が光学式ポインティングデバイス222の検出領域から外れると、センサ部220への入力情報の入力はなくなる。このとき、入力デバイス200の入力情報がなくなったことを検知した移動制御部120は、無入力直前速度の大きさが所定の大きさ以上であるか否かを判定する。そして、無入力直前速度が所定の大きさ以上であると判定したとき、移動制御部120は、入力情報の入力がなくなった後もオブジェクトを移動させる。
【0091】
入力情報の入力がなくなった後のオブジェクトの移動速度は、例えば、図16のパターン1に示すように、無入力直前速度vから直線的に減少させて、所定の時間が経過したときに速度がゼロとなるように補正してもよい。あるいは、パターン2に示すように、無入力直前速度vから曲線的に減少させて、所定の時間が経過したときに速度がゼロとなるように補正してもよい。入力情報の入力がなくなった後のオブジェクトの移動速度は、例えば、予め設定してもよく、入力状態があったときのオブジェクトの移動速度の変化状態から決定してもよい。このように、指の動作に基づいて入力情報がなくなった後もオブジェクトを慣性的に移動させることにより、オブジェクトの滑らかな移動を実現することができる。
【0092】
また、例えば、画面上の1点を指定し、そのまま任意の方向に素早くはじく動作(以下、「フリック」という。)を本実施形態の入力デバイス200の操作面224上で行う場合、親指の特性により、横方向のフリックは容易であるが縦方向のフリックは難しい。そこで、慣性的移動量補正処理に基づき、縦方向のフリック時の、入力情報の入力がなくなった後のオブジェクトの移動速度がゼロになるまでの減衰時間を、横方向のフリック時より長くするようにしてもよい。すなわち、操作制御部120は、無入力直前における指の移動方向が縦方向であれば、横方向である場合よりも減衰時間を長くするように補正するようにして、操作性をさらに向上させることもできる。
【0093】
以上、入力情報に基づくオブジェクトの移動量補正処理について説明した。このようにオブジェクトの移動量を補正することによって操作性を向上することができ、ユーザの操作時の疲労も低減することができる。なお、上述した3つの移動量補正制御は、それぞれ単独に適用してもよく、重複して適用してもよい。
【0094】
[ハイライトアイテムに対する操作制御]
次に、図17〜図22に基づいて、本実施形態にかかる入力ユニットによるハイライトアイテムに対する操作制御方法について説明する。なお、図17は、ハイライトアイテムにおけるオブジェクトの選択操作を説明する説明図である。図18は、ハイライトアイテムにおいて選択するオブジェクトを決定するための一般的な決定方法を説明するための説明図である。図19は、本実施形態にかかるハイライトアイテムにおいて選択するオブジェクトを決定する決定方法を示す説明図である。図20は、縦認識領域および横認識領域の変化を示す説明図である。図21は、認識領域の他の例を示す説明図である。図22は、ハイライトアイテムにおけるハイライト位置を指の動きに合わせて移動させた状態を示す説明図である。
【0095】
本実施形態において、ハイライトアイテムとは、選択対象となる複数のオブジェクトからなるオブジェクト群であって、選択されているオブジェクトをハイライト表示により表すものをいう。ハイライトアイテムには、例えば、図17に示すように、複数のオブジェクト164a〜164fが縦一列に配列されたオブジェクト群164等がある。通常、ハイライトアイテムでは、ハイライト表示されたハイライト位置166(第2のオブジェクト)は、ポインタ162(オブジェクト)の移動に応じてオブジェクト単位で移動される。例えば、図17に示すような6つのオブジェクト164a〜164fにおいて、ハイライト位置166は、ポインタ162が所定の距離だけ移動したとき、1オブジェクト分移動される。
【0096】
このようなハイライトアイテムの操作を本実施形態にかかる入力デバイス200で行う場合、上述した操作面224上で親指を移動させることによりハイライト位置166を移動させるための入力情報を入力することができる。
【0097】
一般的に用いられているハイライト位置166の決定方法は、図18に示すように、表示領域に表示されたポインタ162の検出点Pが、縦方向(y方向)または横方向(x方向)に所定の距離Lだけ移動したときの方向をハイライト位置166の移動方向とするものである。例えば、図18のようにポインタ162が左斜め下へ移動したとき、x方向の移動距離がLとなるとハイライト位置166の移動方向は横方向と判定される。
【0098】
本実施形態にかかる入力デバイス200を用いてハイライト位置166を操作する場合、上述したように、親指は、左右方向へは略直線的に移動することができるが、上下方向への移動はぶれやすく、直線的な動きを行うことは難しい。このため、例えばハイライト位置166を上から下へ移動させるとき、親指を操作面224上で上から下へ移動させたつもりであっても実際には斜めに移動してしまうことが多い。したがって、上記の一般的な方法によってハイライト位置166を移動させると、上下方向へハイライト位置166を移動させる操作が左右方向へ移動させる操作と誤って認識される可能性がある。このように、入力情報によっては、実際に移動させたい方向とは異なる方向にハイライト位置166が移動してしまう可能性が高い。
【0099】
このような誤認識を防ぐため、本実施形態では、ポインタ162の移動角度を考慮してハイライト位置166を移動させる。具体的には、移動制御部120は、ポインタ162が所定の距離rだけ移動したときの移動方向(すなわち、移動角度θ)に基づいて、ハイライト位置166の移動方向を決定する。この移動方向の決定方法を、図19を用いて説明する。
【0100】
図19に示すように、ポインタ162の周囲に、ハイライト位置166の移動方向を決定するための認識領域168を設定する。図19の認識領域168は、半径rの円であり、その中心を通る4つの境界線によって2つの横認識領域186Xおよび2つの縦認識領域168Yに区分されている。横認識領域168Xは、ポインタ162の移動量から横方向の移動量を認識するための領域であり、縦認識領域168Yは、ポインタ162の移動量から縦方向の移動量を認識するための領域である。2つの横認識領域168Xは、認識領域168の中心に対してx方向に対称に設けられており、2つの縦認識領域168Yは、認識領域168の中心に対してy方向に対称に設けられている。
【0101】
移動制御部120は、ポインタ162がrだけ移動したとき、認識領域168のうち、縦認識領域168Yまたは横認識領域168Xのうちいずれの領域に存在するかによってハイライト位置166の移動方向を決定する。すなわち、ポインタ162の移動した方向が、認識領域168の中心を通るy方向に平行な直線から0°〜±θの範囲内であれば、ハイライト位置166は上下方向に移動される。一方、ポインタ162の移動した方向が、認識領域168の中心を通るy方向に平行な直線からθ°〜±90の範囲内であれば、ハイライト位置166は左右方向に移動される。このように、移動角度を考慮してハイライト位置166の移動方向を決定することにより、ポインタ162の移動方向とハイライト位置166を移動させたい方向とが関連付けられ、誤動作を低減することができる。
【0102】
ここで、横認識領域168Xおよび縦認識領域168Yの設定は、任意に設定することができるが、本実施形態では、図19に示すように縦認識領域168Yを横認識領域Xより広く設定する。これは、使用する入力デバイス200および親指の動作特性から、親指の縦方向の移動がぶれやすいため、ハイライト位置166の移動方向を上下方向と認識する範囲を広く設定し、操作時のぶれによる移動方向のずれを許容するものである。これにより、親指を上下方向に移動させたときにその移動方向が入力デバイス200の上下方向に対して傾いていたとしても、ハイライト位置166の移動方向を上下方向と認識することができるので、操作性を向上することができる。
【0103】
さらに、縦方向の移動を検出しやすくするため、親指による操作状態に応じて、認識領域168の設定を変更させてもよい。例えば、図20に示すように、認識領域の初期状態(左図)において親指の縦方向の移動が検出されると、その後縦方向の移動を検出しやすいように認識領域168における縦認識領域168Yの比率を大きくする(中央図)。親指の縦方向への移動が所定の回数あるいは時間以上連続して検出された場合には、ユーザはハイライト位置166を縦方向に大きく移動させたいものと推定することができる。この場合、認識領域168の比率を変更して、親指の移動を縦方向の移動と認識しやすくすることにより、誤認識を低減し、同一動作を連続して行いやすくすることができる。認識領域168の比率の変更は、例えば、図20の中央に示すように縦認識領域168Yの中心角を初期状態より大きくしてもよく、認識領域168をすべて縦認識領域168Yとするようにしてもよい。
【0104】
認識領域168の比率が変更された後、所定の時間以上入力情報の入力がないとき、また親指の横方向の移動が検出されたときには、認識領域168の比率を初期状態に戻す(右図)。同一動作が連続して行われないときには初期状態とすることで、認識領域168の比率が小さくなった領域で検出される移動方向が検出され難い状態を解除することができる。
【0105】
なお、認識領域168は、上述したようにポインタ162が単位距離だけ移動したときの移動角度に応じて設定してもよく、図21に示すように、縦方向を認識するときのポインタ162の移動距離を、横方向を認識するときと比較して大きく設定してもよい。これにより、図19の場合と比較してより縦方向が検出され易くなる。
【0106】
このようなハイライトアイテムの移動制御は、図22に示すように、ハイライトアイテムにおけるハイライト位置166を指の動きに合わせて移動させることにも対応できる。上述したように、ハイライトアイテムにおけるハイライト位置166は、通常、オブジェクト単位で段階的に移動される。このハイライト位置166の移動を、指の動きを直接フィードバックさせて連続的に移動させるようにすることにより、ユーザに指の移動方向とハイライト位置166の移動方向との関連を伝えることができる。
【0107】
ハイライト位置166を連続的に移動させるには、例えば、まず、指の移動方向と移動距離を取得し、認識領域168での当該指の移動方向における単位距離を取得する。次いで、実際の指の移動距離の、認識領域168の単位距離に対する割合を決定する。ここで、段階的にハイライト位置166が移動されるときには、指が認識領域168の単位距離だけ移動される毎にハイライト位置166が単位オブジェクトだけ移動する。そこで、単位距離に対する割合に応じた単位オブジェクト間の距離だけハイライト位置166を移動させることにより、ハイライト位置166の連続的な移動を実現することができる。すなわち、図22の右図のように、ポインタ162が認識領域168の単位距離だけ移動される前にも、指の移動距離に応じてハイライト位置166が移動される。
【0108】
以上、ハイライトアイテムに対する操作制御について説明した。かかる操作制御は、本実施形態の入力デバイス200のセンサ部220からの入力形態のように、入力操作時の縦横の制限が緩やかな入力手段を用いる場合に有効である。例えば、入力デバイスを手で保持して三次元空間を移動させ、ジェスチャ入力を行う場合にも対応できる。この場合、ジャイロセンサ等により入力デバイスの位置情報(三次元座標)を取得して、上記と同様に三次元空間に対して設定された認識領域における移動方向および単位距離に基づき、ジェスチャによりオブジェクトを移動させる方向を決定することができる。
【0109】
また、かかる操作制御は、ハイライトアイテムのハイライト位置の移動以外にも、表示内容のスクロール操作等のように移動方向に制限のあるUI(例えば縦方向または横方向しか移動できないもの)に対して適用可能である。
【0110】
以上、本発明の実施形態にかかる入力ユニットの構成とその機能について説明した。本実施形態にかかる入力ユニットによれば、操作制御部120により、操作面における指の移動方向に応じて、指の単位移動量あたりのオブジェクトの移動量を変化させる。これにより、オブジェクトを移動する表示領域の形状や指の動作特性等を考慮してオブジェクトの移動量が補正され、操作性を向上させることができる。
【0111】
また、本実施形態にかかる入力ユニットは、ハイライトアイテムのハイライト位置を移動させる等オブジェクトの移動に応じて移動する第2のオブジェクトの移動方向を、オブジェクトの移動方向(移動角度)および移動量に基づいて決定する。移動角度を考慮して第2のオブジェクトの移動方向を決定することにより、オブジェクトの移動方向にずれが生じていたとしても所望の方向に第2のオブジェクトを移動させることができるので、誤動作を低減することができる。
【0112】
さらに、本実施形態にかかる入力ユニットは、入力デバイス200のセンサ部220の操作面224の形状を、入力デバイス200の上下方向に対して平行な断面からみると曲線状であり、左右方向に対して平行な断面からみると平坦な直線状である形状とする。これにより、操作面を操作する親指が、上下方向へは操作面の曲面に沿って移動するようになり、直線的な動きを行い易くなる。これにより、指の移動方向とオブジェクトの移動方向とが合致し易くなり、移動方向の誤認識を低減することができる。
【0113】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0114】
例えば、上記実施形態では、入力デバイス200はマウスモードとエアモードの2つの機能を備えていたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、マウスモードは搭載されておらず、少なくとも上記実施形態にかかる入力デバイス200のセンサ部220を備えるリモートコントローラ等であってもよい。
【符号の説明】
【0115】
100 制御装置
110 通信部
120 移動制御部
130 表示制御部
140 表示部
150 記憶部
160 表示領域
162 ポインタ
164 ハイライトアイテム
166 ハイライト位置
168 認識領域
200 入力デバイス
210 筐体
220 センサ部
222 光学式ポインティングデバイス
224 操作面
230 四方向キー
250 検出部
260 制御部
270 通信部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作面における指の移動方向および移動量を検出する検出部と、
表示部に表示されたオブジェクトを移動させる指の移動方向に応じて、指の単位移動量あたりの前記表示部における前記オブジェクトの移動量を変化させる移動制御部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記移動制御部は、前記表示部の表示領域における前記オブジェクトの移動可能方向における移動可能距離に基づいて、前記オブジェクトの移動量を変化させる、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記移動制御部は、指の先端から付け根へ向かう縦方向と、前記縦方向に直交する指の幅方向である横方向との移動のうち、指が前記横方向に移動されたときの前記オブジェクトの移動量を前記縦方向に移動されたときの前記オブジェクトの移動量よりも大きくする、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記移動制御部は、指の移動速度に応じて、移動方向毎の前記オブジェクトの移動量の比率を変化させる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記移動制御部は、前記検出部からの前記指の移動方向および移動量の入力がなくなる無入力状態となったとき、無入力状態直前の指の移動速度に応じて、継続して前記オブジェクトを移動させる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記移動制御部は、指の移動方向および移動量から決定された前記オブジェクトの移動方向および移動量に基づいて、前記オブジェクトの移動に応じて所定の方向に移動する第2のオブジェクトの移動方向を決定する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第2のオブジェクトの移動方向に対して、それぞれ前記オブジェクトの移動方向および移動量により設定される移動方向認識領域が設定されており、
前記移動制御部は、前記第2のオブジェクトの移動状況に応じて、前記移動方向認識領域を変更する、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記検出部が配置された操作面は、前記縦方向は曲線状に形成され、前記横方向は直線状に形成される、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項9】
操作面における指の移動方向および移動量を検出するステップと、
表示部に表示されたオブジェクトを移動させる指の移動方向に応じて、指の単位移動量あたりの前記表示部における前記オブジェクトの移動量を変化させるステップと、
を含む、情報処理方法。
【請求項10】
操作面における指の移動方向および移動量を検出する検出手段と、
表示部に表示されたオブジェクトを移動させる指の移動方向に応じて、指の単位移動量あたりの前記表示部における前記オブジェクトの移動量を変化させる移動制御手段と、
を備える、情報処理装置として機能させるためのコンピュータプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図15E】
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【図15F】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−48525(P2011−48525A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195038(P2009−195038)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】