説明

情報処理装置、情報処理方法およびプログラム

【課題】撮像素子から信号を読み出す際の間引き処理を適切に設定する。
【解決手段】情報処理装置は、検出部と決定部とを備える。検出部は、位相差検出による合焦判定を行うための信号を生成する複数の位相差検出画素と画像を生成するための信号を生成する複数の画像生成画素とを備える撮像素子により生成された画像に含まれる被写体の動きを検出する。決定部は、撮像素子から信号を読み出す際の間引き処理を検出部により検出された被写体の動きに応じて決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、情報処理装置に関し、特に、撮像素子における間引き処理を行うことができる情報処理装置およびその情報処理方法ならびに当該方法をコンピュータに実行させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人物等の被写体を撮像して撮像画像を生成し、この生成された撮像画像を記録するデジタルスチルカメラ等の撮像装置が普及している。また、この撮像装置として、ユーザの撮影操作を簡便にするため、撮像時のフォーカス(ピント、焦点)調整を自動的に行うオートフォーカス(AF:Auto Focus)機能を備える撮像装置が広く普及している。
【0003】
このような撮像装置として、例えば、フォーカス位置をずらしながら複数の画像を撮像し、最もコントラストが高いフォーカス位置を合焦位置とするコントラスト検出方式によりオートフォーカスを行う撮像装置が提案されている。また、撮像レンズを通過した光を瞳分割して1対の像を形成し、その形成された像の間隔を計測(位相差を検出)することによって撮像レンズの位置を決定する位相差検出方式によりオートフォーカスを行う撮像装置も提案されている。
【0004】
さらに、コントラスト検出方式と位相差検出方式との両方の機能を備える撮像装置も提案されている。このような撮像装置として、例えば、撮像レンズを通過した光を瞳分割する画素(位相差検出画素)と、撮像画像の生成用の画素(画像生成画素)との両方の画素を1つの撮像素子に設ける撮像装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−134389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の従来技術では、位相差検出画素と画像生成画素の両方の画素を1つの撮像素子に設けるため、この撮像素子から読み出された信号に基づいて、コントラスト検出方式と位相差検出方式とを両方とも行うことができる。
【0007】
また、この撮像素子をCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどのXYアドレス型のセンサで実現した場合には、ライン単位で読み出すことができる。すなわち、ライブビュー画像(モニタ画像)などの高解像度を必要としない画像を撮像する場合には、間引き読み出しを行うことにより、読み出し速度(フレームレート)を上げることができる。
【0008】
しかしながら、この間引き読み出しでは、位相差検出画素が多く読み出されるように間引くと、位相差検出画素の割合が高くなってしまう。位相差検出画素の割合が高くなると、位相差検出画素の位置の画素値の補間処理が増加するため、画質(ライブビュー画像の画質)が劣化する。一方、位相差検出画素が少なくなるように間引くと、位相差検出の精度が低下するものの、画素値の補間処理が少なくてすむため、画質が向上する。
【0009】
すなわち、画質と合焦性能とが両立できるように、間引き処理を適切に設定することが望ましい。
【0010】
本技術はこのような状況に鑑みて生み出されたものであり、撮像素子から信号を読み出す際の間引き処理を適切に設定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本技術は、上述の問題点を解消するためになされたものであり、その第1の側面は、位相差検出による合焦判定を行うための信号を生成する複数の位相差検出画素と画像を生成するための信号を生成する複数の画像生成画素とを備える撮像素子により生成された画像に含まれる被写体の動きを検出する検出部と、上記撮像素子から信号を読み出す際の間引き処理を上記検出された被写体の動きに応じて決定する決定部とを具備する情報処理装置およびその情報処理方法ならびに当該方法をコンピュータに実行させるプログラムである。これにより、位相差検出画素と画像生成画素とを備える撮像素子の間引き処理を、被写体の動きに応じて決定させるという作用をもたらす。
【0012】
また、この第1の側面において、上記間引き処理は、上記位相差検出画素を含むラインから読み出された信号を用いて画像を生成する第1処理と、上記位相差検出画素を含まないラインのみから読み出された信号を用いて画像を生成する第2処理とを含み、上記決定部は、合焦判定を行う際に上記検出部により検出された上記被写体の動きが閾値を基準として大きい場合には、上記間引き処理として上記第1処理を決定し、上記被写体の動きが閾値を基準として小さい場合には、上記間引き処理として上記第2処理を決定するようにしてもよい。これにより、被写体の動きが閾値を基準として大きい場合には位相差検出画素を含むラインから信号を読み出す第1処理が設定され、被写体の動きが閾値を基準として小さい場合には位相差検出画素を含まないラインのみから信号を読み出す第2処理が設定されるという作用をもたらす。
【0013】
また、この第1の側面において、上記第1処理が決定された場合には、上記位相差検出による合焦判定に基づいてフォーカス制御を行い、上記第2処理が決定された場合には、コントラスト検出による合焦判定に基づいてフォーカス制御を行うフォーカス制御部をさらに具備するようにしてもよい。これにより、第1処理が決定されると位相差検出による合焦判定に基づいてフォーカス制御が行われ、第2処理が決定されるとコントラスト検出による合焦判定に基づいてフォーカス制御が行われるという作用をもたらす。
【0014】
また、この第1の側面において、上記第1処理において読み出し対象となるライン間の間隔と、上記第2処理において読み出し対象となるライン間の間隔とが同一であるようにしてもよい。これにより、第1処理と第2処理とが同じライン間の間隔で信号が読み出され、同じような信号処理を経て撮像画像が生成されるという作用をもたらす。
【0015】
また、この第1の側面において、上記決定部は、動画の撮像動作が行われる場合には、上記検出された被写体の動きに係わらず、上記位相差検出画素を含まないラインのみから読み出された信号を用いて画像を生成する第3処理を決定するようにしてもよい。これにより、動画の撮像動作が行われる場合には、間引き処理として第3処理が決定されるという作用をもたらす。
【0016】
また、この第1の側面において、上記間引き処理は、上記位相差検出画素を含むラインから読み出された信号を用いて画像を生成する第1処理と、上記位相差検出画素を含まないラインのみから読み出された信号を用いて画像を生成する第2処理とを含み、上記第3処理は、上記位相差検出画素を含まないラインにおいて、検出対象の被写体光の波長が同じ画素からの信号を読み出し前に加算し、上記第3処理において読み出し対象となるラインの数と、上記第1処理において読み出し対象となるラインの数とを同一とする間引き処理であるようにしてもよい。これにより、第3処理では、検出対象の被写体光の波長が同じ画素からの信号が読み出し前に加算されて、第3処理において読み出し対象となるラインの数と、第1処理において読み出し対象となるラインの数とが同一とされるという作用をもたらす。
【0017】
また、この第1の側面において、フォーカスモードの指定操作を受け付ける操作受付部をさらに具備し、上記決定部は、上記検出された被写体の動きに係わらず、上記受け付けられた指定操作に基づいて上記間引き処理を決定するようにしてもよい。これにより、ユーザによるフォーカスモードの指定操作が受け付けられた場合には、検出された被写体の動きに係わらず、受け付けられた指定操作に基づいて間引き処理が決定されるという作用をもたらす。
【0018】
また、この第1の側面において、上記間引き処理は、上記位相差検出画素を含むラインから読み出された信号を用いて画像を生成する第1処理と、上記位相差検出画素を含まないラインのみから読み出された信号を用いて画像を生成する第2処理とを含み、上記決定部は、高速に合焦させるためのフォーカスモードが指定されている場合には、上記間引き処理として上記第1処理を決定し、高速な合焦よりも画質を優先させるためのフォーカスモードが指定されている場合には、上記間引き処理として上記第2処理を決定するようにしてもよい。これにより、高速に合焦させるためのフォーカスモードが指定されている場合には、間引き処理として第1処理が決定され、高速な合焦よりも画質を優先させるためのフォーカスモードが指定されている場合には、間引き処理として第2処理が決定されるという作用をもたらす。
【0019】
また、この第1の側面において、上記間引き処理は、所定の間引き処理である第4処理と、読み出し対象となる信号における上記位相差検出画素の信号の割合が上記第4処理よりも低い第5処理とを含み、上記決定部は、合焦判定を行う際に上記検出部により検出された上記被写体の動きが閾値を基準として大きい場合には、上記間引き処理として上記第4処理を決定し、上記被写体の動きが閾値を基準として小さい場合には、上記間引き処理として上記第5処理を決定するようにしてもよい。これにより、被写体の動きが閾値を基準として大きい場合には所定の間引き処理である第4処理が設定され、被写体の動きが閾値を基準として小さい場合には位相差検出画素の信号の割合が第4処理よりも低い第5処理が設定されるという作用をもたらす。
【発明の効果】
【0020】
本技術によれば、撮像素子から信号を読み出す際の間引き処理を適切に設定することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施の形態における撮像システム10の内部構成の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における撮像システム10に関する機能構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本技術の第1の実施の形態における撮像素子220に備えられる画素の配置の一例を示す模式図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における画像生成画素および位相差検出画素の断面構成と、各画素が受光する被写体光との一例を示す模式図である。
【図5】本技術の第1の実施の形態の読み出しモード決定部270が全画素読み出しモードでの撮像を決定した場合の信号の読み出し例を示す模式図である。
【図6】本技術の第1の実施の形態の読み出しモード決定部270が位相差用間引きモードでの撮像を決定した場合の信号の読み出し例を示す模式図である。
【図7】本技術の第1の実施の形態の読み出しモード決定部270がコントラスト用間引きモードでの撮像を決定した場合の信号の読み出し例を示す模式図である。
【図8】本技術の第1の実施の形態の読み出しモード決定部270が動画用間引きモードでの撮像を決定した場合の信号の読み出し例を示す模式図である。
【図9】本技術の第1の実施の形態の動きベクトル検出部260が算出する面内MV総和と、読み出しモード決定部270が決定する読み出しモード(コントラスト用間引きモードまたは位相差用間引きモード)との関係を示す模式図である。
【図10】本技術の第1の実施の形態の読み出しモード決定部270が設定する読み出しモードの各モードの特徴を示す模式図である。
【図11】本技術の第1の実施の形態における撮像装置100の読み出しモード決定処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】本技術の第2の実施の形態の動きベクトル検出部260が算出する面内MV総和と、読み出しモード決定部270により決定されるフォーカス調整時の読み出しモードとの関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態と称する)について説明する。説明は以下の順序により行う。
1.第1の実施の形態(撮像制御:フォーカス調整時の読み出しモードを被写体の動きに応じて切り替える例)
2.第2の実施の形態(撮像制御:フォーカス調整時のフォーカス調整方法を被写体の動きに応じて切り替える例)
【0023】
<1.第1の実施の形態>
[撮像システムの内部構成例]
図1は、本発明の第1の実施の形態における撮像システム10の内部構成の一例を示す模式図である。この撮像システム10は、撮像装置100および交換レンズ170を備える。
【0024】
なお、この本発明の第1の実施の形態では、撮像システム10は、レンズが交換可能であって、画像を撮像することができる一眼レフカメラを想定する。なお、図1では、説明の便宜上、画像を撮像する際にはあまり使用しない内部構成(例えば、フラッシュに関する構成)については省略する。
【0025】
また、図1では、説明の便宜上、レンズの駆動に関してはフォーカスレンズの駆動に関する構成のみを示し、ズームレンズの駆動に関する構成については省略する。
【0026】
撮像装置100は、被写体を撮像して画像データ(デジタルデータ)を生成し、この生成した画像データを画像コンテンツ(静止画コンテンツまたは動画コンテンツ)として記録するものである。なお、以下では、画像コンテンツ(画像ファイル)として静止画コンテンツ(静止画ファイル)を記録する例を主に示す。この撮像装置100は、シャッターユニット112と、撮像素子113と、AFE(Analog Front End)114と、画像処理回路115と、位相差演算回路151とを備える。また、撮像装置100は、画像メモリ119と、電池121と、電源回路122、通信用I/F(InterFace)123と、カードI/F124と、メモリカード125とを備える。さらに、撮像装置100は、VRAM(Video Random Access Memory)126と、LCD(Liquid Crystal Display)127と、操作部128と、シャッタ駆動制御部131とを備える。また、撮像装置100は、シャッタ駆動モータ(M1)132と、絞り駆動制御部133と、フォーカス駆動制御部134と、メイン制御部136と、接続端子161乃至163とを備える。
【0027】
シャッターユニット112は、上下方向に移動する幕体により、撮像素子113に入射する被写体からの入射光の光路の開口および遮断を行うものであり、シャッタ駆動モータ(M1)132により駆動される。また、シャッターユニット112は、光路が開口している場合には、被写体からの入射光を撮像素子113に供給する。
【0028】
撮像素子113は、被写体からの入射光を電気信号に光電変換するものであり、被写体からの入射光を受光して、アナログの電気信号を生成する。また、撮像素子113は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサにより実現される。撮像素子113には、受光した被写体光に基づいて撮像画像を生成するための信号を生成する画素(画像生成画素)と、位相差検出を行うための信号を生成する画素(位相差検出画素)とが配置される。
【0029】
また、撮像素子113には、画像生成画素として、赤色(R)の光を透過するカラーフィルタにより赤色の光を受光する画素(R画素)と、緑色(G)の光を透過するカラーフィルタにより緑色の光を受光する画素(G画素)とが配置される。また、撮像素子113には、R画素およびG画素の他に、画像生成画素として、青色(B)の光を透過するカラーフィルタにより青色の光を受光する画素(B画素)が配置される。なお、撮像素子113については、図4を参照して説明する。撮像素子113は、その光電変換により生成した電気信号(アナログの画像信号)を、AFE114に供給する。
【0030】
AFE114は、撮像素子113から供給されるアナログの画像信号に所定の信号処理を施すものであり、例えば、アナログの画像信号にノイズの除去および信号の増幅などの信号処理を行う。そして、AFE114は、信号処理を施した画像信号をデジタル信号に変換して、デジタルの画像信号を生成する。また、AFE114は、メイン制御部136から供給される基準クロックに基づいて、撮像素子113の撮像動作に関するタイミングパルスを生成し、その生成したタイミングパルスを撮像素子113に供給する。また、AFE114は、その生成したタイミングパルスに乗せて、メイン制御部136が設定した撮像素子113の露光動作の開始及び終了の通知や、撮像素子113の各画素の出力選択の通知などの撮像素子113の動作に関する信号を供給する。このAFE114は、生成したデジタルの画像信号(画素値)を画像処理回路115および位相差演算回路151に供給する。
【0031】
画像処理回路115は、AFE114から供給された画像信号に所定の信号処理を施して画像信号を補正するものである。この画像処理回路115は、例えば、黒レベル補正、欠陥補正、シェーディング補正、混色補正、デモザイク処理、ホワイトバランス補正、γ補正等を行う。画像処理回路115は、コントラスト演算回路152においてコントラストを検出するために必要な処理(例えば、黒レベル補正、欠陥補正、シェーディング補正、ホワイトバランス補正)を施した信号を、コントラスト演算回路152に供給する。また、画像処理回路115は、撮像した画像の表示や記録に必要な処理(例えば、上記の全ての補正)を施した信号を、画像メモリ119に供給する。
【0032】
また、画像処理回路115は、撮像した画像のメモリカード125への記録処理や、記録された画像の再生処理などの際には、画像の符号化処理および複合化処理を行う。例えば、時系列で連続して撮像した画像(フレーム)を動画として保存する場合には、フレーム間の差異から動きベクトルを検出し、この検出した動きベクトルを用いたフレーム間予測による符号化処理を行う。
【0033】
位相差演算回路151は、AFE114から供給される位相差検出画素により生成された画像信号に基づいて、位相差検出方式でフォーカスのズレを検出するものである。ここで、位相差検出方式とは、撮像レンズを通過した光を瞳分割して1対の像を形成し、その形成された像の間隔(像の間のズレ量)を計測(位相差を検出)することによって合焦の度合いを検出する焦点検出方法である。この位相差演算回路151は、オートフォーカス(AF)するために、合焦対象物に対するフォーカスのズレを検出するための演算を行い、検出したフォーカスに関する情報をメイン制御部136に供給する。
【0034】
コントラスト演算回路152は、画像処理回路115から供給される画像信号に基づいて、コントラスト検出方式によりフォーカスが合焦しているか否か判定するものである。ここで、コントラスト検出方式による焦点検出とは、フォーカスレンズを少しずつ移動させながら画像を撮像し、最もコントラストが高い画像が撮像された位置を合焦位置と判断する焦点検出方式である。このコントラスト演算回路152は、最もコントラストが高い画像が撮像された位置の情報や、最もコントラストが高い画像を検出するためのフォーカスレンズの駆動情報などをメイン制御部136に供給する。
【0035】
画像メモリ119は、画像処理回路115から供給される画像信号を一時的に保持するものである。また、この画像メモリ119は、メイン制御部136からの制御信号に従って、画像信号に所定の処理を行うための作業領域として用いられる。なお、この画像メモリ119は、メモリカード125から読み出した画像信号を一時的に保持する。
【0036】
電池121は、撮像システム10が動作するための電力を供給するものであり、例えば、ニッケル水素充電池等の二次電池により構成される。また、電池121は、電力を電源回路122に供給する。
【0037】
電源回路122は、電池121から供給された電力を撮像システム10における各部が動作するための電圧に変換するものである。例えば、この電源回路122は、メイン制御部136が5Vの電圧で動作する場合には、5Vの電圧を生成して、その生成した電圧をメイン制御部136に供給する。また、電源回路122は、生成した電圧を撮像システム10における各部に供給する。なお、図1では、電源回路122から各部への電源供給線の一部を省略して示す。
【0038】
通信用I/F123は、外部機器とメイン制御部136との間のデータ転送を可能とするためのインターフェイスである。
【0039】
カードI/F124は、メモリカード125とメイン制御部136との間のデータ転送を可能とするためのインターフェイスである。
【0040】
メモリカード125は、画像信号を保持するための記憶媒体であり、カードI/F124を介して供給されたデータを保持する。
【0041】
VRAM126は、LCD127に表示する画像を一時的に保持するバッファメモリであり、その保持した画像をLCD127に供給する。
【0042】
LCD127は、メイン制御部136の制御に基づいて、画像を表示するものであり、例えば、このLCD127は、カラー液晶パネルにより構成される。このLCD127は、撮像された画像、記録済みの画像およびモードの設定画面などを表示する。
【0043】
操作部128は、ユーザの操作を受け付けるものであり、例えば、シャッターボタン(図示せず)が押下された場合には、その押下を知らせる信号をメイン制御部136に供給する。また、操作部128は、ユーザの操作に関する信号をメイン制御部136に供給する。
【0044】
シャッタ駆動制御部131は、メイン制御部136から供給されるシャッタの制御信号に基づいて、シャッタ駆動モータ(M1)132を駆動するための駆動信号を生成するものであり、その生成した駆動信号をシャッタ駆動モータ(M1)132に供給する。
【0045】
シャッタ駆動モータ(M1)132は、シャッタ駆動制御部131から供給される駆動信号に基づいて、シャッターユニット112を駆動するモータである。
【0046】
絞り駆動制御部133は、メイン制御部136から供給される絞りに関する情報に基づいて、絞りの駆動を制御する信号(絞り駆動制御信号)を生成するものであり、その生成した絞り駆動信号を、接続端子161を介して交換レンズ170に供給する。
【0047】
メイン制御部136は、撮像装置100の各部の動作を制御するものであり、例えば、制御プログラムを記憶するROMを備えるマクロコンピュータにより構成される。
【0048】
フォーカス駆動制御部134は、メイン制御部136から供給されるフォーカスに関する情報に基づいて、レンズの駆動量を示す駆動量信号を生成するものである。このフォーカス駆動制御部134は、その生成した駆動量信号を、接続端子163を介して交換レンズ170に供給する。
【0049】
交換レンズ170は、複数のレンズを備えており、撮像装置100が撮像する像の光を集光し、その集光した光を撮像面に結像させるものである。この交換レンズ170は、絞り駆動機構181と、絞り駆動モータ(M3)182と、レンズ位置検出部183と、レンズ駆動機構184と、レンズ駆動モータ(M4)185と、鏡胴190とを備える。また、鏡胴190は、絞り191およびレンズ群194を備える。なお、レンズ群194には、説明の便宜上、ズームレンズ192およびフォーカスレンズ193のみが示されている。
【0050】
絞り駆動機構181は、接続端子161を介して供給される絞り駆動制御信号に基づいて、絞り駆動モータ(M3)182を駆動するための駆動信号を生成するものである。この絞り駆動機構181は、その生成した駆動信号を、絞り駆動モータ(M3)182に供給する。
【0051】
絞り駆動モータ(M3)182は、絞り駆動機構181から供給される駆動信号に基づいて、絞り191を駆動するモータである。この絞り駆動モータ(M3)182は、絞り191を駆動することにより、絞り191の絞り径を変更する。
【0052】
レンズ位置検出部183は、レンズ群194のズームレンズ192およびフォーカスレンズ193の位置を検出するものである。このレンズ位置検出部183は、その検出した位置に関する情報(レンズ位置情報)を、接続端子162を介して撮像装置100に供給する。
【0053】
レンズ駆動機構184は、接続端子163を介して供給される駆動量信号とに基づいて、レンズ駆動モータ(M4)185を駆動するための駆動信号を生成するものである。このレンズ駆動機構184は、その生成した駆動信号を、レンズ駆動モータ(M4)185に供給する。
【0054】
レンズ駆動モータ(M4)185は、レンズ駆動機構184から供給される駆動信号に基づいて、フォーカスレンズ193を駆動するモータである。このレンズ駆動モータ(M4)185は、フォーカスレンズ193を駆動することにより、フォーカスを調整する。
【0055】
鏡胴190は、交換レンズ170においてレンズ群194を構成するレンズが備え付けられている部位である。
【0056】
絞り191は、撮像装置100に入射する被写体からの入射光の光量を調整するための遮蔽物である。
【0057】
ズームレンズ192は、鏡胴190の中を光軸方向に移動することにより焦点距離を変動させて、撮像画像に含まれる被写体の倍率を調整するものである。
【0058】
フォーカスレンズ193は、鏡胴190の中を光軸方向に移動することによりフォーカスを調整するものである。
【0059】
次に、撮像システム10の機能構成について、図2を参照して説明する。
【0060】
[撮像装置の機能構成例]
図2は、本発明の第1の実施の形態における撮像システム10に関する機能構成の一例を示すブロック図である。
【0061】
撮像システム10は、フォーカスレンズ210と、撮像素子220と、RAW補正処理部230と、カメラ信号処理部235、位相差検出部240と、コントラスト検出部250とを備える。また、撮像システム10は、動きベクトル検出部260と、読み出しモード決定部270と、レンズ駆動制御部280とを備える。また、撮像システム10は、画像表示処理部292と、表示部293と、画像出力処理部294と、出力部295と、画像記録再生処理部296と、記録部297と、操作受付部298と、制御部299とを備える。
【0062】
フォーカスレンズ210は、光軸方向に移動することによりフォーカスを調整するためのレンズであり、図1において示したフォーカスレンズ193に対応する。
【0063】
撮像素子220は、被写体からの入射光を電気信号に光電変換して画像信号を生成するものである。この撮像素子220には、画像生成画素および位相差検出画素が配置される。なお、これらの画素により生成されたアナログの画像信号は、相関2重サンプリング回路(CDS:Correlated Double Sampling)、オートゲインコントロール回路(AGC:Automatic Gain Control)等によりノイズの除去や、信号の増幅がされる。そして、生成されたアナログの画像信号は、A/D変換され、RAW補正処理部230および位相差検出部240に供給される。なお、撮像素子220は、図1において示した撮像素子113に対応する。
【0064】
また、撮像素子220は、読み出しモード決定部270から供給される読み出しモード情報に基づいて、信号を読み出すラインと、読み出さないラインとを設定し、信号を読み出すラインと設定されたラインの各画素から信号を読み出す。
【0065】
RAW補正処理部230は、撮像素子220から供給される画像信号に対して、黒レベル調整、画素欠陥処理、ホワイトバランス調整、シェーディング補正処理などの補正を施すものである。すなわち、RAW補正処理部230は、実時間処理が必要となるような各種補正処理を行う。このRAW補正処理部230は、補正を施した画像データ(RAWデータ)を、カメラ信号処理部235およびコントラスト検出部250に供給する。
【0066】
カメラ信号処理部235は、RAW補正処理部230から供給されたRAWデータに対して、画素補間処理、色補正処理、エッジ補正、ガンマ補正、解像度変換などのカメラ信号処理を施すものである。カメラ信号処理部235は、処理を施したデータ(画像データ)を、動きベクトル検出部260、画像表示処理部292、画像出力処理部294および画像記録再生処理部296に供給する。なお、RAW補正処理部230およびカメラ信号処理部235は、図1において示した画像処理回路115に対応する。
【0067】
位相差検出部240は、撮像素子220における位相差検出画素の信号(画素値)に基づいて、フォーカスを合わせる対象の物体(合焦対象物)に対してフォーカスが合っているか否かを位相差検出により判定するものである。位相差検出部240は、フォーカスのズレ量(デフォーカス量)を算出し、その算出したデフォーカス量を示す情報(例えば、ズレの画素数を示す値)をレンズ駆動制御部280に供給する。なお、位相差検出部240は、図1において示した位相差演算回路151に対応する。
【0068】
コントラスト検出部250は、RAW補正処理部230から供給されるRAWデータに基づいて、コントラスト検出方式によりフォーカスが合焦しているか否か判定するものである。例えば、コントラスト検出部250は、合焦判定のために撮像した複数の画像のうちから最もコントラストが高いものが撮像されたレンズ位置を検出し、その検出したレンズ位置へフォーカスを移動させるための情報をレンズ駆動制御部280に供給する。なお、コントラスト検出部250は、図1において示したコントラスト演算回路152に対応する。
【0069】
動きベクトル検出部260は、カメラ信号処理部235から供給される画像データに基づいて被写体の動きを検出するものである。例えば、動きベクトル検出部260は、画像に撮像されている各物体の動きベクトルを検出することにより被写体の動きを検出する。動きベクトル検出部260は、時系列で1つ前に撮像された画像(フレーム)の画像データを保持しており、この画像データと、RAW補正処理部230から供給される最新のフレームの画像データとの間で比較して被写体の遷移(ズレ)を検出する。そして、動きベクトル検出部260は、検出したズレの量を示す動きベクトルを算出する。なお、動きベクトル検出部260による動きベクトルの算出は、例えば、ブロックマッチング法などを用いて行われる。
【0070】
なお、動きベクトル検出部260による動きベクトルの検出は、動画の圧縮の際におけるフレーム間予測において算出される動きベクトルと同じである。このため、動きベクトルの検出は、撮像装置100において動画の圧縮処理を行う回路(図1では、画像処理回路115)において行われる。
【0071】
動きベクトル検出部260は、画像データから検出した動きベクトル(MV)の総和(画像全体の動き)を示す情報(面内MV総和情報)を、読み出しモード決定部270に供給する。なお、動きベクトル検出部260は、特許請求の範囲に記載の検出部の一例である。
【0072】
読み出しモード決定部270は、撮像素子220の各画素から信号を読み出す際の読み出しパターン(読み出しモード)を決定するものである。この読み出しモード決定部270は、制御部299からの命令と、動きベクトル検出部260からの面内MV総和情報とに基づいて読み出しモードを決定する。読み出しモード決定部270は、制御部299から動画の撮像命令が供給された場合には、読み出しモードのうちの動画を撮像するためのモード(動画用間引きモード)で撮像すると決定する。また、読み出しモード決定部270は、シャッターボタンが押下されて、静止画の撮像命令が制御部299から供給された場合には、読み出しモードのうちの静止画を撮像するためのモード(全画素読み出しモード)で撮像すると決定する。
【0073】
なお、読み出しモード決定部270は、静止画を撮像する際のフォーカスを調整するタイミング(例えば、シャッターボタンが押下される前の期間)においては、動きベクトル検出部260からの面内MV総和情報を用いて読み出しモードを決定する。読み出しモード決定部270は、フォーカス調整時において、面内MV総和情報の示す値が所定の閾値を基準にして大きい場合には、読み出しモードのうちの位相差検出方式で焦点検出を行うためのモード(位相差用間引きモード)により撮像すると決定する。
【0074】
また、読み出しモード決定部270は、フォーカス調整時において、面内MV総和情報の示す値が所定の閾値を基準にして小さい場合には、コントラスト検出方式で焦点検出を行うためのモード(コントラスト用間引きモード)により撮像すると決定する。なお、動画用間引きモードは図8で説明し、全画素読み出しモードは図5で説明し、位相差用間引きモードは図6で説明し、コントラスト用間引きモードは図7で説明するため、ここでの説明を省略する。
【0075】
読み出しモード決定部270は、決定した読み出しモードを示す情報(読み出しモード情報)を、撮像素子220、およびレンズ駆動制御部280に供給する。なお、読み出しモード決定部270は、特許請求の範囲に記載の決定部の一例である。
【0076】
レンズ駆動制御部280は、フォーカスレンズ210の駆動を制御するものである。レンズ駆動制御部280は、読み出しモード決定部270から供給される読み出しモード情報と、位相差検出部240から供給される情報と、コントラスト検出部250から供給される情報とに基づいてフォーカスレンズ210を駆動し、フォーカスを合焦させる。
【0077】
例えば、レンズ駆動制御部280は、コントラスト用間引きモードを示す読み出しモード情報が供給された場合には、コントラスト検出部250から供給される情報に基づいてフォーカスを合焦させる。また、レンズ駆動制御部280は、位相差用間引きモードを示す読み出しモード情報が供給された場合には、位相差検出部240から供給される情報を優先的に用いてフォーカスを合焦させる。なお、位相差用間引きモードを示す読み出しモード情報が供給された場合において、位相差検出が難しい場合(例えば、合焦対象物の輝度が低い)には、コントラスト検出部250から供給される情報に基づいてフォーカスを合焦させる。なお、読み出しモードと合焦判定の方法(合焦判定方法)との関係については、図5乃至図10において詳細に説明するため、ここでの詳細な説明を省略する。
【0078】
なお、位相差検出部240と、コントラスト検出部250と、レンズ駆動制御部280とは、特許請求の範囲に記載のフォーカス制御部の一例である。
【0079】
画像表示処理部292は、表示部293に表示させる画像(表示画像)を生成し、生成した画像のデータを表示部293に供給する。
【0080】
表示部293は、画像表示処理部292から供給された画像(撮像画像)を表示するものである。表示部293は、例えば、モニタ画像(ライブビュー画像)や、記録部297に記録された画像の再生画像などを表示する。この表示部293は、例えば、カラー液晶パネルにより実現される。なお、表示部293は、図1において示したLCD127に対応する。
【0081】
画像出力処理部294は、撮像装置100の外部の装置へ出力する画像を生成し、生成した画像のデータを出力部295に供給する。
【0082】
出力部295は、撮像装置100の外部の装置へ画像を出力するものである。例えば、出力部295は、例えば、HDMI(High Definition Multimedia Interface)規格のコネクタを備えている場合には、画像出力処理部294から供給されたデータをこの規格のデータ形式で出力する。
【0083】
画像記録再生処理部296は、カメラ信号処理部235から供給されたデータに対してデータ量を圧縮する処理(符号化処理)を施して、記録部297に記録される記録画像データを生成するものである。例えば、画像記録再生処理部296は、静止画像を記録する場合にはJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式の圧縮処理を行い。動画像を記録する場合にはMPEG(Moving Picture Experts Group)方式の圧縮処理を行う。画像記録再生処理部296は、生成した記録画像データを記録部297に供給し、記録部297に記録させる。
【0084】
また、画像記録再生処理部296は、記録部297に記録された記録画像データを再生する場合には、記録部297から供給された記録画像データに対して画像を復元する処理(複合化処理)を施して、再生画像データを生成する。生成された再生画像データは、画像表示処理部292または画像出力処理部294に供給され、再生画像データの表示部293への表示や、外部の装置への出力が行われる。なお、図2では、再生に関する信号線の図示を省略する。
【0085】
記録部297は、画像記録再生処理部296から供給される記録画像データを画像コンテンツ(画像ファイル)として記録するものである。例えば、この記録部297として、DVD(Digital Versatile Disk)等のディスクやメモリカード等の半導体メモリ等のリムーバブルな記録媒体(1または複数の記録媒体)を用いることができる。また、これらの記録媒体は、撮像装置100に内蔵するようにしてもよく、撮像装置100から着脱可能とするようにしてもよい。なお、記録部297は、図1においして示したメモリカード125に対応する。
【0086】
操作受付部298は、ユーザの操作を受け付けるものであり、図1において示した操作部128に対応する。この操作受付部298は、例えば、撮像モード(静止画の撮像モード(静止画モード)または動画の撮像モード(動画モード))を設定する選択操作を受け付けた場合には、その選択操作を知らせる信号を制御部299に供給する。また、操作受付部298は、静止画を撮像する際のフォーカス制御のモード(オート、高速AF(Auto Focus)モード、高画質AF(低速AF)モード)を設定する選択操作を受け付けた場合には、その選択操作を知らせる信号を制御部299に供給する。また、操作受付部298は、シャッターボタン(図示せず)が押下された場合には、その押下を知らせる信号を制御部299に供給する。
【0087】
制御部299は、撮像装置100における各部の動作を制御するものである。なお、図2では、読み出しモードの決定にかかる信号線のみを示し、他は省略する。例えば、制御部299は、ユーザにより撮像モードが設定された場合には、その設定された撮像モードを通知する信号を読み出しモード決定部270に供給する。また、制御部299は、フォーカスを調整するためのモード(フォーカスモード)がユーザにより設定された場合には、その設定されたフォーカスモードを通知する信号を読み出しモード決定部270に供給する。また、制御部299は、シャッターボタンが押下された場合には、その押下を知らせる信号を読み出しモード決定部270に供給する。
【0088】
[撮像素子における画素の配置例]
図3は、本技術の第1の実施の形態における撮像素子220に備えられる画素の配置の一例を示す模式図である。
【0089】
図3では、上下方向をY軸とし、左右方向をX軸とするXY軸を想定して説明する。また、同図において、左下隅をXY軸における原点とし、下から上へ向かう方向をY軸の+側とし、左から右へ向かう方向をX軸の+側とする。また、この撮像素子220における信号の読み出し方向は、X軸方向(行単位で読み出される)であるものとし、間引き読み出しされる場合は、行単位で間引かれるものとする。
【0090】
図3では、説明の便宜上、撮像素子220を構成する各画素のうちの一部の画素(12行×16列の画素)の領域(領域310)を用いて説明する。なお、撮像素子220における画素の配置は、領域310において示す画素配置のうちの一部の画素(6行×8列の画素)の領域(領域311)を1つの単位として、この単位に対応する画素配置が、X軸方向およびY軸方向に繰り返される配置である。
【0091】
同図では、1つの画素を1つの正方形で示す。なお、同図において、画像生成画素については、備えられるカラーフィルタを表す符号(R、G、B)を内に示した正方形により示す。すなわち、R画素321は、赤色(R)の光を透過するカラーフィルタにより赤色の光を受光する画素(R画素)を示し、B画素323は、青色(B)の光を透過するカラーフィルタにより青色の光を受光する画素(B画素)を示す。また、G画素322は、緑色(G)の光を透過するカラーフィルタにより緑色の光を受光する画素(G画素)を示す。
【0092】
また、位相差検出画素については、白色の矩形が付加された灰色の正方形により示す。なお、位相差検出画素における白色の矩形については、入射光が受光素子により受光される側(瞳分割を行うための遮光層に覆われていない側)を示す。
【0093】
ここで、図3において示されている位相差検出画素(右開口位相差検出画素325、左開口位相差検出画素326)について説明する。
【0094】
右開口位相差検出画素325は、右開口位相差検出画素325のマイクロレンズに入射する被写体光のうち射出瞳の右側を通過した被写体光を遮光するように遮光層が形成される位相差検出画素である。すなわち、この右開口位相差検出画素325は、射出瞳の左右(X軸方向の+−側)に瞳分割された光のうちの右側の光を遮光し、左側の瞳分割された光を受光する。
【0095】
左開口位相差検出画素326は、左開口位相差検出画素326のマイクロレンズに入射する被写体光のうち射出瞳の左側を通過した被写体光を遮光するように遮光層が形成される位相差検出画素である。すなわち、この左開口位相差検出画素326は、射出瞳の左右(X軸方向の+−側)に瞳分割された光のうちの左側の光を遮光し、右側の瞳分割された光を受光する。また、左開口位相差検出画素326は、右開口位相差検出画素325と対に用いられることで、一対の像を形成する。
【0096】
ここで、撮像素子220における画素の配置について説明する。なお、繰り返される配置の単位である領域311に着目して説明する。
【0097】
領域311における画素の配置は、図3に示すように、3種類の行(Grライン、Gbライン、AFライン)により構成される。Grライン(Grライン331、333、335)は、R画素321とG画素322とが列方向に交互に配置される行であり、Gbライン(Gbライン334、336)は、G画素322とB画素323とが列方向に交互に配置される行である。また、AFライン(AFライン332)は、G画素322とB画素323が列方向に交互に配置される行(Gbライン)において、一部のG画素322の代わりに、右開口位相差検出画素325および左開口位相差検出画素326のいずれかが配置される行である。なお、右開口位相差検出画素325および左開口位相差検出画素326は、瞳分割を精度良く行うために、この2つの画素の間隔(この2つの画素に挟まれて配置される画像生成画素の数)が小さいことが好ましい。このため、本技術の第1の実施では、右開口位相差検出画素325および左開口位相差検出画素326が1つのB画素323を挟んで配置される。また、領域311の各ラインは、行方向に隣接する領域のラインと同じラインになるように配置される。
【0098】
すなわち、撮像素子220では、画像生成画素のみが配置される複数の行(GrラインおよびGbライン)と、位相差検出画素が部分的に配置される1つの行(AFライン)とが、読み出し方向(行方向)に対して直行する方向(列方向)に交互に配置される。図4では、画像生成画素のみの行の連続する数が5行である例が示されている。なお、連続する画像生成画素の行において、画像生成画素は、ベイヤー配列で位置されている。
【0099】
なお、撮像素子220における画素の配置については、他にも種々のパターンが考えられる。画素の配置は、画像生成画素のみが配置される複数の行と、位相差検出画素が部分的に配置される1つの行とが、交互に配置されれば良い。すなわち、図3では、AFラインを1行含む6行×8列の画素の領域(領域311)を単位としたが、GrラインおよびGbラインをもっと増やしてAFラインの間隔を広げる場合や、列方向の画素を増やして位相差検出画素の対の間隔を広げる場合なども考えられる。
【0100】
また、図3で示すように、本技術の第1の実施の形態では、説明の便宜上、右開口位相差検出画素と左開口位相差検出画素との対(ペア)のみを示して説明するが、これに限定されるものではない。射出瞳の上下(Y軸方向の+−側)に瞳分割する位相差検出画素(上開口位相差検出画素、下開口位相差検出画素)の対を配置することも考えられる。この上下に瞳分割する位相差検出画素を配置する場合には、画像の列方向のズレを検出できるように、列方向において1列に並ぶように配置される。なお、右開口位相差検出画素と左開口位相差検出画素との対と、上開口位相差検出画素と下開口位相差検出画素との対との両方を配置することにより、一方で位相差が検出しにくい場合に他方で補えるため、位相差による検出の精度が向上する。また、上開口位相差検出画素および下開口位相差検出画素を、右開口位相差検出画素および左開口位相差検出画素とともに配置する場合においても、画像生成画素のみが配置される複数の行と、位相差検出画素が部分的に配置される行とが交互に配置される。
【0101】
次に、本技術の第1の実施の形態における画像生成画素の断面構成と、位相差検出画素の断面構成とについて、同図において示すB画素と、右開口位相差検出画素と、左開口位相差検出画素の断面構成を用いて説明する。
【0102】
次に、本発明の第1の実施の形態における画像生成画素の断面構成と、位相差検出画素の断面構成とについて、図4を参照して説明する。
【0103】
[画像生成画素および位相差検出画素の断面構成例]
図4は、本発明の第1の実施の形態における画像生成画素および位相差検出画素の断面構成と、各画素が受光する被写体光との一例を示す模式図である。
【0104】
図4では、右開口位相差検出画素325および左開口位相差検出画素326を含むAFライン332の4つの画素の断面構成と、これらの画素からみた絞りの形状である射出瞳(射出瞳340)とが模式的に示されている。なお、射出瞳は本来は円形に近い形であるが、説明の便宜上、図4では、Y軸方向を短くした射出瞳(楕円形)を示す。なお、図4では、左右方向をX軸方向とし、上下方向をZ軸方向とする断面構成を示す。また、図4では、撮像素子220の中央付近(軸上)における画像生成画素および位相差検出画素の断面構成について説明する。
【0105】
図4では、4つの画素の断面構成として、左から順に、右開口位相差検出画素325、B画素323、左開口位相差検出画素326、B画素323の断面構成が示されている。なお、各画素の断面構成は、カラーフィルタの色および配線層の形状が異なるのみであるため、同図では右開口位相差検出画素325の断面構成について説明し、他の画素については違いに着目して説明する。
【0106】
右開口位相差検出画素325の断面構成として、オンチップレンズ351と、Wフィルタ352と、配線層354と、受光素子355とが示されている。
【0107】
オンチップレンズ351は、被写体光を受光素子355に集光するためのマイクロレンズである。なお、撮像素子220においては、全ての画素に同じ物理構造(径および曲率)のオンチップレンズが設けられる。すなわち、右開口位相差検出画素325のオンチップレンズ351は、B画素323および左開口位相差検出画素326のオンチップレンズと同じオンチップレンズである。
【0108】
Wフィルタ352は、可視光領域の光は透過するがそれ以外の波長の光は吸収するフィルタ(Wフィルタ)であり、位相差検出画素に設けられるオンチップカラーフィルタ(OCCF;On Chip Color Filter)である。なお、本技術の第1の実施では、位相差検出画素(右開口位相差検出画素および左開口位相差検出画素)にはカラーフィルタとしてWフィルタが設けられることを想定する。なお、Wフィルタ352が配置される層はカラーフィルタが設けられる層であり、画像生成画素においては、各画素が受光する光の色(R、G、B)を透過するフィルタがこの層に設けられる。
【0109】
配線層353および354は、画素における各回路を接続するための配線の層(メタル層)である。図4(b)では、3層の配線が光軸に対して層状に配置されていることを示している。なお、本技術の実施の形態では、オンチップレンズ351と受光素子355との間において、オンチップレンズ351に近い側から順に、第1メタル、第2メタルおよび第3メタルと称することとする。第2メタルおよび第3メタルは、画素における各回路の電気信号を通す配線として用いられ、第1メタルはグランドとして用いられる。
【0110】
なお、第1メタルは、その画素のオンチップレンズを通過しなかった光がその画素の受光素子で受光されるのを防ぐための遮光マスクの層としても機能している。
【0111】
ここで、配線層353と配線層354との違いについて説明する。配線層354においては、第3メタルが受光素子355の左半分を覆うように突出している。この突出により、射出瞳340の右半分(Lr347)を通過した被写体光(2本の鎖線(線343および線344)の間を通過する被写体光)は遮光され、受光素子355に受光されない。一方、配線層353の第3メタルは、オンチップレンズ351から受光素子355への被写体光の光路上には配置されずにこの光路の周辺に配置される。これにより、射出瞳340の左半分(Ll346)を通過した被写体光(2本の破線(線341および線342)の間を通過する被写体光)は遮光されずに、受光素子355に受光される。
【0112】
このように、受光素子355に一番近いメタルの層(第3メタル)で受光素子355の受光面を覆うことにより、射出瞳の左側部分からの光束と、右半分からの光束とを分離(瞳分割)している。
【0113】
なお、B画素323では、第3メタルが受光素子355を覆うために突出しない。このため、射出瞳340の右半分(Lr347)を通過した被写体光と、左半分(Ll346)を通過した被写体光との両方を受光することができる。
【0114】
また、左開口位相差検出画素326では、受光素子の右半分を覆うように第3メタルが突出する。この突出により、射出瞳340の左半分(Ll346)を通過した被写体光を遮光する。
【0115】
受光素子355は、受けた光を電気信号に変換(光電変換)することによって、受けた光の量に応じた強さの電気信号を生成するものである。この受光素子355は、例えば、フォトダイオード(PD:Photo Diode)により構成される。なお、撮像素子220において、受光素子のサイズは全ての画素において同じサイズである。すなわち、位相差検出画素の受光素子と画像生成画素の受光素子とは同じサイズであり、撮像素子220では、同じサイズの画素が水平・垂直方向に沿って等しい間隔で隣接して配置される。
【0116】
このように、位相差検出画素では、第3メタルにより受光素子が覆われて、射出瞳の特定の領域からの光の受光が妨げられることにより、瞳分割が行われる。なお、図4では、左および右の開口の位相差検出画素の断面構成を説明したが、上および下の開口の位相差検出画素の場合には、受光素子の下半分または上半分を覆うように第3メタルが突出する。
【0117】
なお、図4では、撮像素子220の中央付近(軸上)における画像生成画素および位相差検出画素の断面構成の例を示した。しかしながら、位相差検出画素が瞳分割を行うための第3メタルの突出の度合いは、像高および瞳距離に応じて変化する。像高が変化すれば位相差検出画素に入射する主光線の角度が変化する。このため、主光線の角度に応じて第3メタルの突出の度合いを変えて(第3メタルの突出した側の端に主光線があたるようにする)、射出瞳340の右半分または左半分を通過した光を各像高において適切に受光できるように撮像素子を生成する。なお、瞳距離が変化しても主光線の角度が変化するため、複数の交換レンズに対応できるように、複数の瞳距離において射出瞳340の右半分または左半分を通過した光を各像高において適切に受光できるように撮像素子を生成する。
【0118】
次に、読み出しモード決定部270が決定する読み出しモードの各モードについて、図5乃至図8を参照して説明する。
【0119】
[全画素読み出しモードの読み出し例]
図5は、本技術の第1の実施の形態の読み出しモード決定部270が全画素読み出しモードでの撮像を決定した場合の信号の読み出し例を示す模式図である。
【0120】
図5(a)には、24行×13列の画素(領域411)が示され、全画素読み出しモードにおいて信号を読み出す際に信号が読み出される画素の位置が示されている。また、図5(b)には、全画素読み出しモードにおいて読み出された信号から生成される撮像画像のサイズを示す複数の画素(領域415)が示されている。なお、図5乃至図8では、信号が読み出される画素については図4と同様に示し、信号が読み出されない画素についてはクロスハッチングを付した矩形により示す。
【0121】
図5(a)の領域411に示すように、全画素読み出しモードでは、画像生成画素および位相差検出画素の全ての画素から信号が読み出される。すなわち、図5(b)の領域415に示すように、全画素読み出しモードでは、24行×13列の画素(領域411)の信号(画素値)から、24行×13列の画素数のデータが生成される。
【0122】
[位相差用間引きモードの読み出し例]
図6は、本技術の第1の実施の形態の読み出しモード決定部270が位相差用間引きモードでの撮像を決定した場合の信号の読み出し例を示す模式図である。
【0123】
なお、図6では、図5(a)と同様の24行×13列の画素の領域を用いて説明する。
【0124】
図6(a)には、図5(a)と同様の24行×13列の画素(領域421)が示され、位相差用間引きモードにおいて信号を読み出す際に信号が読み出される画素の位置が示されている。なお、図6(a)では、信号が読み出される画素については図4と同様に示し、信号が読み出されない画素についてはクロスハッチングを付した矩形(矩形422)により示す。また、図6(b)には、図6(a)の領域421において読み出される信号から生成される撮像画像のサイズを模式的に示す複数の画素(領域425)が示されている。
【0125】
図6(b)の領域421に示すように、位相差用間引きモードでは、位相差検出画素を含むライン(AFライン)は必ず読み出すように、2行置き(3行に1行読み出す垂直1/3間引き)で信号を読み出す。図6(b)に示す領域421では、2、5、8、11、14、17、20、23行目が読み出される。このように、読み出す行の数を1/3にすることにより、図5の全画素読み出しモードと比較して、信号の読み出しに必要となる時間が約1/3になる。すなわち、全画素読み出しモードに対して3倍の速度でフレーム内の全画角のデータを読み出すことができる。
【0126】
これにより、図6(b)の領域425に示すように、位相差用間引きモードでは、24行×13列の画素(領域421)の信号から、8行×13列の画素数のデータが生成される。なお、読み出された信号のうちの位相差検出画素の信号(画素値)は位相差検出部240において位相差検出に用いられる。一方、画像生成画素の信号(画素値)はRAW補正処理部230に供給され、撮像画像(ライブビュー画像)の表示や、動きベクトル検出部260における動きベクトルの検出のための画像補正処理が施される。すなわち、位相差用間引きモードでは、位相差検出画素を含むラインから読み出された信号を用いて画像が生成される。なお、位相差検出方式により合焦判定が行えない場合(例えば、位相差を検出できないぐらいに被写体が暗い場合)には、画像生成画素の画素値を用いてコントラスト検出方式による焦点検出がコントラスト検出部250により行われる。
【0127】
[コントラスト用間引きモードの読み出し例]
図7は、本技術の第1の実施の形態の読み出しモード決定部270がコントラスト用間引きモードでの撮像を決定した場合の信号の読み出し例を示す模式図である。
【0128】
なお、図7では、図5(a)と同様の24行×13列の画素の領域を用いて説明する。
【0129】
図7(a)には、図5(a)と同様の24行×13列の画素(領域431)が示され、コントラスト用間引きモードにおいて信号を読み出す際に信号が読み出される画素の位置が示されている。また、図7(b)には、図7(a)の領域431において示した読み出される信号から生成される撮像画像のサイズを模式的に示す複数の画素(領域435)が示されている。
【0130】
図7(a)の領域431に示すように、コントラスト用間引きモードでは、AFラインを読み出さないように、2行置き(3行に1行読み出す垂直1/3間引き)で信号を読み出す。図7(a)に示す領域431では、1、4、7、10、13、16、19、22行目が読み出される(計8行)。すなわち、位相差用間引きモードと同様に、全画素読み出しモードに対して3倍の速度でフレーム内の全画角のデータを読み出すことができる。しかしながら、AFラインを読み出さないため、位相差検出方式により焦点検出を行うことができない。なお、AFラインを読み出さずに画像生成画素のみのラインのみを読み出すため、位相差検出画素の画素値を補間する必要がなくなり、位相差用間引きモードよりも画質が良くなる。このように、コントラスト用間引きモードでは、位相差検出画素を含まないラインのみから読み出された信号を用いて画像が生成される。また、コントラスト用間引きモードは、位相差用間引きモードと比較して、信号が読み出される位相差検出画素の数(割合)が少ない。
【0131】
[動画用間引きモードの読み出し例]
図8は、本技術の第1の実施の形態の読み出しモード決定部270が動画用間引きモードでの撮像を決定した場合の信号の読み出し例を示す模式図である。
【0132】
図8(a)には、図5(a)と同様の24行×13列の画素(領域441)が示され、動画用間引きモードにおいて信号を読み出す際に信号が読み出される画素の位置が示されている。また、図8(b)には、図8(a)の領域441において示した読み出される信号から生成される撮像画像のサイズを模式的に示す複数の画素(領域445)が示されている。
【0133】
ここで、動画用間引きモードにおける信号の読み出しについて、図8(a)を参照して説明する。
【0134】
動画用間引きモードでは、1/3行および1/3列の間引きを行うとともに、信号を加算してから信号が読み出される。動画用間引きモードでは、AFラインを含むようにして2行置きに信号を読み出さない行(間引かれる行)を設定する。すなわち、動画用間引きモードでは、位相差用間引きモードで読み出された行(図6参照)が、信号を読み出さない行として設定される。また、動画用間引きモードでは、列方向に2列置きに信号を読み出さない列を設定する。そして、図8(a)に示すように、3行×3列のうちの同じ色の4つの画像生成画素の信号を加算して読み出しを行う。図8(a)では、加算して読み出される3行×3列の領域を、破線の枠(領域442)で示している。
【0135】
動画用間引きモードでは、読み出さない行および列を設定するとともに同色の画像生成画素の信号を加算して、この加算された信号が撮像素子220から出力される。これにより、図8(b)の領域445に示すように、画素が8行の画像が生成される。すなわち、信号を読み出す画素の行の数は全画素読み出しモードに対して2/3であるものの、信号を読み出す際の行(ライン)の数は全画素読み出しモードに対して1/3になる。これにより、位相差用間引きモードおよびコントラスト用間引きモードと同様に、信号の読み出しに必要となる時間が、全画素読み出しモードに対して約1/3(速度が3倍)になる。また、画素数が少なくなるものの、単純に1/3行間引きをしただけのコントラスト用間引きモードと比較して信号の読み出し対象の画素の数が多いために感度が良くなる。すなわち、高いフレームレートを要する動画の撮影に適した画像を得ることができる。
【0136】
図5乃至図8に示すように、本技術の第1の実施の形態では、撮像素子220の読み出しモードとして、4種類のモードが設定される。そして、読み出しモード決定部270は、静止画を撮像する場合には読み出しモードを全画素読み出しモードと決定し、動画を撮像する場合には読み出しモードを動画用間引きモードと決定する。また、読み出しモード決定部270は、静止画を撮像する際のフォーカス調整時の読み出しモードについては、図6および図7において説明したコントラスト用間引きモードおよび位相差用間引きモードのどちらかを読み出しモードとして決定する。読み出しモード決定部270は、コントラスト用間引きモードおよび位相差用間引きモードのどちらにするかがユーザ操作により決定されている場合(フォーカスモードが指定されている場合)には、その決定に応じてモードを決定する。また、読み出しモード決定部270は、コントラスト用間引きモードおよび位相差用間引きモードのどちらにするかの決定が自動(オート)に設定されている場合には、動きベクトル検出部260が供給する面内MV総和情報に基づいて決定する。
【0137】
次に、動きベクトル検出部260が供給する面内MV総和情報が示す値(面内MV総和)と、読み出しモード決定部270が決定する読み出しモード(コントラスト用間引きモードまたは位相差用間引きモード)との関係について、図9を参照して説明する。
【0138】
[面内MV総和の値と読み出しモードとの関係例]
図9は、本技術の第1の実施の形態の動きベクトル検出部260が算出する面内MV総和と、読み出しモード決定部270が決定する読み出しモード(コントラスト用間引きモードまたは位相差用間引きモード)との関係を示す模式図である。
【0139】
図9には、横軸を面内MV総和(面内MV総和情報が示す値)を示す軸とし、縦軸を読み出しモード(コントラスト用間引きモードまたは位相差用間引きモード)の決定結果として、面内MV総和の値と読み出しモードとの関係を示すグラフが示されている。なお、横軸は、図の左側を面内MV総和が低い側とし、図の右側(矢先側)を面内MV総和が高い側とする。
【0140】
このグラフには、コントラスト用間引きモードから位相差用間引きモードに切り替える判断の基準となる閾値(第1閾値461)と、位相差用間引きモードからコントラスト用間引きモードに切り替える判断の基準となる閾値(第2閾値462)とが示されている。
【0141】
図9に示すように、静止画像の撮像時のフォーカスを調整する際の読み出しモードは、面内MV総和が大きいと、位相差用間引きモードが決定され、面内MV総和が小さいとコントラスト用間引きモードが決定される。なお、画像のノイズ等での誤検出を起こりにくくするため、読み出しモードの決定にはヒステリシスを持たせる。このために、2つの閾値(第1閾値461および第2閾値462)が設定される。第2閾値462より値が大きい第1閾値461を面内MV総和が超える(以上またはより大きい)と、コントラスト用間引きモードから位相差用間引きモードに切り替わる。一方、第2閾値462を面内MV総和が下回る(以下またはより小さい)と、位相差用間引きモードからコントラスト用間引きモードに切り替わる。すなわち、面内MV総和が第1閾値461を超えると常に位相差用間引きモードになり、面内MV総和が第2閾値462を下回ると常にコントラスト用間引きモードになる。また、面内MV総和が第2閾値462から第1閾値461の間であると、コントラスト用間引きモードおよび位相差用間引きモードのうちの、以前の撮像(1つ前のフレームの撮像)の際に設定されたモードに設定される。
【0142】
このように、静止画像の撮像時のフォーカスを調整する際の読み出しモードが、被写体の動き(面内MV総和)に応じて、コントラスト用間引きモードと位相差用間引きモードとの間で切り替わる。なお、切り替わりの判断の基準となる閾値は、撮像装置の性能によって異なるが、例えば、コントラスト検出でフォーカスを調整して撮像してもそれほどフォーカスのズレが目立たないような動きの上限に近い値とする場合が考えられる。また、コントラスト用間引きモードから位相差用間引きモードに切り替わった際の画質の劣化が、被写体の動きによる像のブレ等により余り目立たなくなるような値を閾値とする場合なども考えられる。
【0143】
[読み出しモードの特徴例]
図10は、本技術の第1の実施の形態の読み出しモード決定部270が設定する読み出しモードの各モードの特徴を示す模式図である。
【0144】
図10(a)には、図5乃至図8において示した撮像素子220の4タイプの読み出しモードのそれぞれの特徴をまとめて示す表(表470)が示されている。この表470には、位相差検出の性能(列472)と、コントラスト検出の性能(列473)と、読み出し速度(列474)と、画質(列475)と、撮像画像の用途(列476)とが、読み出しモード(列471)ごとに示されている。
【0145】
表470に示すように、全画素読み出しモードでは、位相差検出とコントラスト検出とが共に可能であるが静止画の撮像中であるため、処理を軽くするためにコントラスト検出は行わずに、位相差検出のみで合焦判定が行われる。そして、位相差検出による合焦判定に基づいてフォーカスレンズが駆動され、次の撮像(連写なら静止画像、単写ならライブビュー画像)のための合焦処理が行われる。なお、この全画素読み出しモードは、全ての画素から信号を読み出すため、読み出し速度は最も遅い(図10(b)では「×1」と示す)。しかしながら、全ての画素から信号を読み出すため画質は最も良く、静止画像を取得する際に全画素読み出しモードが設定される。
【0146】
また、コントラスト用間引きモードは、位相差検出が実行不可能であり、コントラスト検出のみが実行可能である。そのため、コントラスト用間引きモードが設定されている際には、コントラスト検出のみで合焦判定が行われる。なお、コントラスト用間引きモードは、読み出す行(ライン)の数が全画素読み出しモードの1/3であるため、読み出し速度が3倍(×3)になる。また、行の数が全画素読み出しモードの1/3であるため、画質はやや悪い(位相差用間引きモードより良く、動画用間引きモードより悪い)。コントラスト用間引きモードで撮像した画像は、高画質なライブビュー画像として用いられる。
【0147】
位相差検出用間引きモードは、位相差検出とコントラスト検出とが共に可能であるが、面内MV総和が閾値よりも高い(被写体の動きが大きい)と設定されるモードであるため、位相差検出を優先して合焦判定が行われる。なお、コントラスト検出も実行可能であるため、位相差検出が難しい場合(例えば、被写体が暗い場合)などにおいても合焦判定が行えるように、コントラスト検出が位相差検出と併用される。また、位相差検出用間引きモードは、読み出す行の数が全画素読み出しモードの1/3であるため、読み出し速度が3倍(×3)になる。なお、読み出す行の数はコントラスト用間引きモードと同じであるが、コントラスト用間引きモードでは読み出された信号が全て画像生成画素の信号である一方、位相差検出用間引きモードでは位相差検出画素の信号も読み出される。すなわち、位相差検出用間引きモードでは補間が多くなり、コントラスト用間引きモードよりも画質は悪くなる(図10(a)では「最も悪い」と表示)。位相差検出用間引きモードで撮像した画像は、低画質なライブビュー画像として用いられる。
【0148】
動画用間引きモードは、位相差検出が実行不可能であり、コントラスト検出のみが実行可能であるため、コントラスト検出のみで合焦判定が行われる。なお、動画用間引きモードでは、1行間引いた上で、2行の画素の間で信号が加算されて読み出されるため(図8参照)、読み出し速度が3倍(×3)になる。また、全画素読み出しモードより悪く、コントラスト用間引きモードより良い画質(図10(a)では「やや良い」と表示)となり、動画用間引きモードで撮像した画像は、動画の画像として用いられる。
【0149】
図10(b)には、静止画撮像時の合焦判定時の読み出しモードの設定に着目し、合焦判定時の読み出しモードの判断に用いられる被写体の動き(面内MV総和)と、読み出しモードとの関係を示す表(表480)が示されている。この表480には、設定される読み出しモード(列482)と、合焦判定方法(列483)と、合焦速度(484)とが、被写体の動き(列481)ごとに示されている。
【0150】
表480に示すように、被写体の動きが無または小の場合には、読み出しモードがコントラスト用間引きモードに設定される。一方、被写体の動きが大の場合には、読み出しモードが位相差検出用間引きモードに設定される。すなわち、被写体の動きが無または小の場合には、コントラスト検出が行われ、合焦速度(AF速度)は遅い。一方、被写体の動きが大の場合には、位相差検出が優先的に実行され、合焦速度は速い。
【0151】
このように、被写体の動きが少ない場合はコントラスト用間引きモードが設定され、AF速度が遅いものの画質が良い。被写体の動きが少ない時には、コントラスト用間引きモードにおいて行われるコントラスト検出でフォーカスを調整しても時間的に十分である。また、被写体の動きが少ない時にはユーザが細かいところまで確認しやすいが、この時に良好な画質のライブビュー画像を表示することができる。すなわち、フォーカス調整時のライブビュー画像の画質を向上させることができる。
【0152】
また、被写体の動きが大きい場合には位相差検出用間引きモードが設定され、AF速度が速いものの画質が悪い。被写体の動きが大きい時にはコントラスト検出では間に合わないため、位相差検出用間引きモードで実行可能な位相差検出が適している。また、被写体の動きが大きい時にはライブビュー画像における被写体の像が流れたりぼやけたりするため、ユーザも細かいところまで確認できない。このため、画質が悪くともライブビュー画像の粗がユーザに目立たない。すなわち、画質の粗が目立たないタイミングで位相差検出によりフォーカス制御を行うことができ、ライブビュー画像の画質を犠牲にしないとともに、被写体に適切なフォーカス制御を行うことができる。
【0153】
このように、フォーカス調整時の読み出しモードを被写体の動きに応じて設定することができるため、合焦速度(AF速度)と画質とのバランスを自動的に調整することができる。すなわち、被写体に適切なフォーカス制御が行われるとともに、フォーカス調整時のライブビュー画像の画質を向上させることができる。
【0154】
[撮像装置の動作例]
次に、本技術の第1の実施の形態における撮像装置100の動作について図面を参照して説明する。
【0155】
図11は、本技術の第1の実施の形態における撮像装置100の読み出しモード決定処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0156】
なお、図11で示す読み出しモード決定処理手順は、撮像素子220を用いた撮像が行われる度に実行されることを想定する。すなわち、読み出しモード決定処理手順は、静止画の撮像のライブビュー画像を表示しながらフォーカス調整を行っている状態では、ライブビュー画像の表示やフォーカス調整で用いられる画像の取得の度(フレームごと)に行われる。
【0157】
まず、撮像素子220が撮像する前に、撮像モードに動画モードが設定されているか否かが、制御部299からの情報に基づいて、読み出しモード決定部270により判断される(ステップS911)。そして、動画モードが設定されていると判断された場合には(ステップS911)、撮像素子220の読み出しモードが動画用読み出しモードに設定され(ステップS912)、読み出しモード決定処理手順は終了する。
【0158】
一方、動画モードが設定されていないと判断された場合には(ステップS911)、次の撮像により取得される画像が、シャッターボタンの押下に基づく撮像であるか否かが、読み出しモード決定部270により判断される(ステップS911)。これにより、静止画の撮像のための撮像モード(動画モードが設定されていない)が設定されている場合において、撮像する画像が静止画像を保存するための画像であるか否かが判断される。そして、シャッターボタンの押下に基づく撮像である(静止画像の保存のための撮像である)と判断された場合には(ステップS913)、撮像素子220の読み出しモードが全画素読み出しモードに設定され(ステップS914)、読み出しモード決定処理手順は終了する。
【0159】
また、シャッターボタンの押下に基づく撮像でないと判断された場合には(ステップS913)、フォーカス調整のモードがオート(自動)であるか否かが、読み出しモード決定部270により判断される(ステップS915)。すなわち、ライブビューおよびフォーカス調整のための撮像であると判断されると、フォーカス調整のモードについて判断される。そして、フォーカス調整のモード(フォーカスモード)がオートでない(ユーザにより指定されている)と判断された場合には(ステップS915)、フォーカスモードに高速AFモードが設定されているか否かが判断される(ステップS916)。そして、フォーカスモードに高速AFが設定されていると読み出しモード決定部270により判断された場合には(ステップS916)、ステップS921に進む。
【0160】
一方、フォーカスモードに高速AFモードが設定されていない(高画質AF(低速AF)モードが設定されている)と判断された場合には(ステップS916)、撮像素子220の読み出しモードがコントラスト用間引きモードに設定される(ステップS917)。そして、ステップS917の後に、読み出しモード決定処理手順は終了する。
【0161】
また、フォーカスモードがオートであると判断された場合には(ステップS915)、1フレーム前の画像の動きベクトル(面内MV総和)が動きベクトル検出部260により検出され、この検出された面内MV総和が読み出しモード決定部270により取得される(ステップS918)。続いて、1フレーム前の画像の取得の際に設定されていた読み出しモードに応じた閾値と、取得した面内MV総和との比較が読み出しモード決定部270により行われる(ステップS919)。すなわち、ステップS919では、図9に示すように、読み出しモードの決定にヒステリシスを備えられるように閾値が設定(第1閾値461または第2閾値462)され、面内MV総和との比較が行われる。次に、面内MV総和が閾値を基準として大きいか否かが、読み出しモード決定部270により判断される(ステップS920)。そして、面内MV総和が閾値より小さい(動きが小さい)と判断された場合には(ステップS920)、ステップS917に進む。なお、ステップS918は、特許請求の範囲に記載の検出手順の一例である。また、ステップS920は、特許請求の範囲に記載の決定手順の一例である。
【0162】
一方、面内MV総和が閾値より大きい(動きが大きい)と判断された場合には(ステップS920)、撮像素子220の読み出しモードが位相差用間引きモードに設定され(ステップS921)、読み出しモード決定処理手順は終了する。
【0163】
このように、本技術の第1の実施の形態によれば、フォーカス調整時の読み出しモードを被写体の動きに応じて設定することにより、被写体に合った適切な間引き方法で撮像素子から信号を読み出すことができる。また、撮像動作(動画撮影や静止画撮影)が指定されている場合には、その指定に応じた適切な間引き方法で撮像素子から信号を読み出すことができる。すなわち、本技術の第1の実施の形態によれば、撮像素子から信号を読み出す際の間引き処理を適切に設定することができる。
【0164】
<2.第2の実施の形態>
本技術の第1の実施の形態では、静止画の撮像におけるフォーカス調整時の読み出しモードを、コントラスト用間引きモードと位相差用間引きモードとの間で面内MV総和(面内MV総和情報が示す値)に基づいて切り替える例について説明した。なお、コントラスト用間引きモードでは位相差検出画素からの信号が読み出されないため、コントラスト用間引きモードではコントラスト検出で合焦判定が行われ、位相差用間引きモードでは位相差検出による合焦判定が優先的に行われる。なお、これに限定されるものではなく、例えば、面内MV総和に基づいて切り替わる読み出しモードを3以上にする場合も考えられる。また、面内MV総和に基づいて読み出しモードを決定した上で、さらに、面内MV総和に基づいて合焦判定方法を切り替える場合なども考えられる。
【0165】
そこで、本技術の第2の実施の形態では、面内MV総和に基づいて読み出しモードを決定した上で、さらに、面内MV総和に基づいて合焦判定方法を切り替える例について、図12を参照して説明する。
【0166】
[面内MV総和の値と読み出しモードおよび合焦判定方法との関係例]
図12は、本技術の第2の実施の形態の動きベクトル検出部260が算出する面内MV総和と、読み出しモード決定部270により決定されるフォーカス調整時の読み出しモードとの関係を示す模式図である。
【0167】
図12(a)には、図9と同様に、静止画の撮像の際のフォーカス調整時の読み出しモード(コントラスト用間引きモードまたは位相差用間引きモード)と、面内MV総和(面内MV総和情報が示す値)との関係を示すグラフが示されている。なお、図12(a)は、横軸および縦軸のスケールが図9と異なる他は、図9のグラフと同様のものであるため、ここでの説明を省略する。
【0168】
図12(b)には、横軸を面内MV総和を示す軸とし、縦軸をフォーカス調整時の合焦判定方法の決定結果として、面内MV総和と合焦判定方法との関係を示すグラフが示されている。
【0169】
このグラフに示すように、第1閾値461は、合焦判定方法をコントラスト検出のみから位相差検出とコントラスト検出との併用による検出(併用検出)に切り替える判断の基準となる。また、第2閾値462は、併用検出および位相差検出のみからコントラスト検出のみに切り替える判断の基準となる。また、このグラフには、合焦判定方法を、コントラスト検出のみおよび併用による検出から位相差検出のみに切り替える判断の基準となる閾値(第3閾値511)が示されている。また、このグラフには、位相差検出のみから併用による検出に切り替える判断の基準となる閾値(第4閾値512)が示されている。なお、図12(b)のグラフにおいて示す第1閾値および第2閾値は、図12(a)において示した第1閾値461および第2閾値462と同じ値であるため、同一の符号を付して示す。また、合焦判定方法にヒステリシスを持たせるのは、読み出しモードの決定でヒステリシスを持たせるのと同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0170】
ここで、併用検出について説明する。併用検出では、フォーカスレンズを合焦位置に素早く駆動することができる位相差検出と、時間がかかるがより正確な合焦位置を検出することができるコントラスト検出との両方を用いてフォーカス制御が行われる。例えば、最初に、位相差検出で合焦位置を検出し、検出した合焦位置を確実に通り過ぎる位置を目指してフォーカスレンズを駆動する。この時に、位相差検出で検出した合焦位置の手前付近から通り過ぎる位置まで画像を複数撮像し、その撮像した画像を用いてコントラスト検出を行う。そして、コントラスト検出により検出された合焦位置へフォーカスレンズを駆動して最終的に合焦させる(例えば、特開2009−69255参照)。
【0171】
すなわち、併用検出では、コントラスト検出のみでフォーカス制御を行う場合と比較して、コントラスト検出で検出するフォーカス位置が異なる複数の画像の取得が少なくなる(山登り検出を行う期間が短くなる)ため、短い時間で合焦させることができる。
【0172】
図12(b)に示すように、本技術の第2の実施の形態では、面内MV総和がある程度大きい(第1閾値461より大きい)と、コントラスト用間引きモードから位相差用間引きモードに切り替わるとともに、合焦判定方法がコントラスト検出のみから併用検出に切り替わる。また、面内MV総和がかなり大きい(第3閾値511より大きい)と、間引きモードが位相差用間引きモードであり、合焦判定方法が位相差検出のみの状態になる。すなわち、本技術の第2の実施の形態では、被写体の動きの大きさに応じて、読み出しモードとともに合焦判定方法も切り替える。
【0173】
このように、本技術の第2の実施の形態によれば、フォーカス調整時の読み出しモードを被写体の動きに応じて設定するとともに、合焦判定方法を被写体の動きに応じて設定することができる。
【0174】
このように、本技術の実施の形態によれば、撮像素子から信号を読み出す際の間引き処理を適切に設定することができる。
【0175】
また、本技術の実施の形態によれば、フォーカス調整時の読み出しモードを被写体の動きに応じて設定することができるため、合焦速度(AF速度)と画質とのバランスを自動的に調整することができる。
【0176】
なお、本技術の実施の形態では、全ての間引きモード(位相差検出用間引きモード、コントラスト検出用間引きモード、動画用間引きモード)において、読み出すラインの数が、全画素読み出しと比較して1/3になる。すなわち、読み出すラインの数が増減しないため、RAW補正処理部230およびカメラ信号処理部235における処理内容を大幅に変更する必要がない。これにより、画像処理における負担を軽減することができる。
【0177】
また、本技術の実施の形態では、1/3間引きを想定して説明したが、これに限定されるものではなく、撮像素子における画素配置に応じて間引きの間隔が設定されればよい。また、本技術の実施の形態では、面内MV総和に応じて読み出しモードを切り替える例について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、合焦判定の対象物(フォーカスエリア内の物体)の動きに応じて切り替える場合なども考えられる。
【0178】
なお、本技術の実施の形態では、画像生成画素に備えられるカラーフィルタが3原色(RGB)のカラーフィルタであることを想定して説明したが、これに限定されるものではない。例えば、画像生成画素に補色のカラーフィルタが備えられる場合においても、同様に適用できる。また、1つの画素の領域で可視光領域の波長の光を全て検出する画素(例えば、青色用の画素、緑色用の画素、赤色用の画素が光軸方向に重ねて配置されている撮像素子)が画像生成画素である場合においても、本技術の実施の形態は同様に適用できる。
【0179】
また、本技術の実施の形態では、位相差検出画素は、2つに瞳分割された光の一方を受光することを想定して説明したが、これに限定されるものではない。例えば、瞳分割用遮光層を備えずに2つの受光素子を備え、瞳分割された光をそれぞれの受光素子で受光することができる位相差検出画素の場合においても、本技術の実施の形態を適用することができる。また、瞳分割用遮光層を備えずに半分の大きさの受光素子を備え、瞳分割された光の一方をその半分の大きさの受光素子で受光することができる位相差検出画素の場合においても、同様に、間引き処理を適切に設定することができる。
【0180】
また、位相差検出画素のカラーフィルタは、Wフィルタを想定して説明したが、これに限定されるものではなく、フィルタの代わりに透明層がある場合、Wフィルタの代わりにGフィルタを備える場合なども考えられる。また、G画素の位置に位相差検出画素を配置する例について説明したが、これに限定されるものではなく、R画素やB画素の一部が位相差検出画素とされている場合も考えられる。
【0181】
なお、上述の実施の形態は本技術を具現化するための一例を示したものであり、実施の形態における事項と、特許請求の範囲における発明特定事項とはそれぞれ対応関係を有する。同様に、特許請求の範囲における発明特定事項と、これと同一名称を付した本技術の実施の形態における事項とはそれぞれ対応関係を有する。ただし、本技術は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施の形態に種々の変形を施すことにより具現化することができる。
【0182】
また、上述の実施の形態において説明した処理手順は、これら一連の手順を有する方法として捉えてもよく、また、これら一連の手順をコンピュータに実行させるためのプログラム乃至そのプログラムを記憶する記録媒体として捉えてもよい。この記録媒体として、例えば、ハードディスク、CD(Compact Disc)、MD(MiniDisc)、DVD(Digital Versatile Disk)、メモリカード、ブルーレイディスク(Blu-ray Disc(登録商標))等を用いることができる。
【0183】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1) 位相差検出による合焦判定を行うための信号を生成する複数の位相差検出画素と画像を生成するための信号を生成する複数の画像生成画素とを備える撮像素子により生成された画像に含まれる被写体の動きを検出する検出部と、
前記撮像素子から信号を読み出す際の間引き処理を前記検出された被写体の動きに応じて決定する決定部と
を具備する情報処理装置。
(2) 前記間引き処理は、前記位相差検出画素を含むラインから読み出された信号を用いて画像を生成する第1処理と、前記位相差検出画素を含まないラインのみから読み出された信号を用いて画像を生成する第2処理とを含み、
前記決定部は、合焦判定を行う際に前記検出部により検出された前記被写体の動きが閾値を基準として大きい場合には、前記間引き処理として前記第1処理を決定し、前記被写体の動きが閾値を基準として小さい場合には、前記間引き処理として前記第2処理を決定する
前記(1)に記載の情報処理装置。
(3) 前記第1処理が決定された場合には、前記位相差検出による合焦判定に基づいてフォーカス制御を行い、前記第2処理が決定された場合には、コントラスト検出による合焦判定に基づいてフォーカス制御を行うフォーカス制御部をさらに具備する前記(2)に記載の情報処理装置。
(4) 前記第1処理において読み出し対象となるライン間の間隔と、前記第2処理において読み出し対象となるライン間の間隔とが同一である前記(2)または(3)に記載の情報処理装置。
(5) 前記決定部は、動画の撮像動作が行われる場合には、前記検出された被写体の動きに係わらず、前記位相差検出画素を含まないラインのみから読み出された信号を用いて画像を生成する第3処理を決定する前記(1)から(4)のいずれかに記載の情報処理装置。
(6) 前記間引き処理は、前記位相差検出画素を含むラインから読み出された信号を用いて画像を生成する第1処理と、前記位相差検出画素を含まないラインのみから読み出された信号を用いて画像を生成する第2処理とを含み、
前記第3処理は、前記位相差検出画素を含まないラインにおいて、検出対象の被写体光の波長が同じ画素からの信号を読み出し前に加算し、前記第3処理において読み出し対象となるラインの数と、前記第1処理において読み出し対象となるラインの数とを同一とする間引き処理である
前記(5)に記載の情報処理装置。
(7) フォーカスモードの指定操作を受け付ける操作受付部をさらに具備し、
前記決定部は、前記検出された被写体の動きに係わらず、前記受け付けられた指定操作に基づいて前記間引き処理を決定する
前記(1)から(6)のいずれかに記載の情報処理装置。
(8) 前記間引き処理は、前記位相差検出画素を含むラインから読み出された信号を用いて画像を生成する第1処理と、前記位相差検出画素を含まないラインのみから読み出された信号を用いて画像を生成する第2処理とを含み、
前記決定部は、高速に合焦させるためのフォーカスモードが指定されている場合には、前記間引き処理として前記第1処理を決定し、高速な合焦よりも画質を優先させるためのフォーカスモードが指定されている場合には、前記間引き処理として前記第2処理を決定する
前記(7)に記載の情報処理装置。
(9) 前記間引き処理は、所定の間引き処理である第4処理と、読み出し対象となる信号における前記位相差検出画素の信号の割合が前記第4処理よりも低い第5処理とを含み、
前記決定部は、合焦判定を行う際に前記検出部により検出された前記被写体の動きが閾値を基準として大きい場合には、前記間引き処理として前記第4処理を決定し、前記被写体の動きが閾値を基準として小さい場合には、前記間引き処理として前記第5処理を決定する
前記(1)に記載の情報処理装置。
(10) 位相差検出による合焦判定を行うための信号を生成する複数の位相差検出画素と画像を生成するための信号を生成する複数の画像生成画素とを備える撮像素子により生成された画像に含まれる被写体の動きを検出する検出手順と、
前記撮像素子から信号を読み出す際の間引き処理を前記検出された被写体の動きに応じて決定する決定手順と
を具備する情報処理方法。
(11) 位相差検出による合焦判定を行うための信号を生成する複数の位相差検出画素と画像を生成するための信号を生成する複数の画像生成画素とを備える撮像素子により生成された画像に含まれる被写体の動きを検出する検出手順と、
前記撮像素子から信号を読み出す際の間引き処理を前記検出された被写体の動きに応じて決定する決定手順と
をコンピュータに実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0184】
10 撮像システム
100 撮像装置
112 シャッターユニット
113、220 撮像素子
115 画像処理回路
119 画像メモリ
121 電池
122 電源回路
125 メモリカード
128 操作部
131 シャッタ駆動制御部
133 絞り駆動制御部
134 フォーカス駆動制御部
136 メイン制御部
151 位相差演算回路
152 コントラスト演算回路
170 交換レンズ
181 絞り駆動機構
183 レンズ位置検出部
184 レンズ駆動機構
190 鏡胴
192 ズームレンズ
193、210 フォーカスレンズ
194 レンズ群
230 RAW補正処理部
235 カメラ信号処理部
240 位相差検出部
250 コントラスト検出部
260 動きベクトル検出部
270 読み出しモード決定部
280 レンズ駆動制御部
292 画像表示処理部
293 表示部
294 画像出力処理部
295 出力部
296 画像記録再生処理部
297 記録部
298 操作受付部
299 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位相差検出による合焦判定を行うための信号を生成する複数の位相差検出画素と画像を生成するための信号を生成する複数の画像生成画素とを備える撮像素子により生成された画像に含まれる被写体の動きを検出する検出部と、
前記撮像素子から信号を読み出す際の間引き処理を前記検出された被写体の動きに応じて決定する決定部と
を具備する情報処理装置。
【請求項2】
前記間引き処理は、前記位相差検出画素を含むラインから読み出された信号を用いて画像を生成する第1処理と、前記位相差検出画素を含まないラインのみから読み出された信号を用いて画像を生成する第2処理とを含み、
前記決定部は、合焦判定を行う際に前記検出部により検出された前記被写体の動きが閾値を基準として大きい場合には、前記間引き処理として前記第1処理を決定し、前記被写体の動きが閾値を基準として小さい場合には、前記間引き処理として前記第2処理を決定する
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1処理が決定された場合には、前記位相差検出による合焦判定に基づいてフォーカス制御を行い、前記第2処理が決定された場合には、コントラスト検出による合焦判定に基づいてフォーカス制御を行うフォーカス制御部をさらに具備する請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1処理において読み出し対象となるライン間の間隔と、前記第2処理において読み出し対象となるライン間の間隔とが同一である請求項2記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記決定部は、動画の撮像動作が行われる場合には、前記検出された被写体の動きに係わらず、前記位相差検出画素を含まないラインのみから読み出された信号を用いて画像を生成する第3処理を決定する請求項1記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記間引き処理は、前記位相差検出画素を含むラインから読み出された信号を用いて画像を生成する第1処理と、前記位相差検出画素を含まないラインのみから読み出された信号を用いて画像を生成する第2処理とを含み、
前記第3処理は、前記位相差検出画素を含まないラインにおいて、検出対象の被写体光の波長が同じ画素からの信号を読み出し前に加算し、前記第3処理において読み出し対象となるラインの数と、前記第1処理において読み出し対象となるラインの数とを同一とする間引き処理である
請求項5記載の情報処理装置。
【請求項7】
フォーカスモードの指定操作を受け付ける操作受付部をさらに具備し、
前記決定部は、前記検出された被写体の動きに係わらず、前記受け付けられた指定操作に基づいて前記間引き処理を決定する
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記間引き処理は、前記位相差検出画素を含むラインから読み出された信号を用いて画像を生成する第1処理と、前記位相差検出画素を含まないラインのみから読み出された信号を用いて画像を生成する第2処理とを含み、
前記決定部は、高速に合焦させるためのフォーカスモードが指定されている場合には、前記間引き処理として前記第1処理を決定し、高速な合焦よりも画質を優先させるためのフォーカスモードが指定されている場合には、前記間引き処理として前記第2処理を決定する
請求項7記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記間引き処理は、所定の間引き処理である第4処理と、読み出し対象となる信号における前記位相差検出画素の信号の割合が前記第4処理よりも低い第5処理とを含み、
前記決定部は、合焦判定を行う際に前記検出部により検出された前記被写体の動きが閾値を基準として大きい場合には、前記間引き処理として前記第4処理を決定し、前記被写体の動きが閾値を基準として小さい場合には、前記間引き処理として前記第5処理を決定する
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項10】
位相差検出による合焦判定を行うための信号を生成する複数の位相差検出画素と画像を生成するための信号を生成する複数の画像生成画素とを備える撮像素子により生成された画像に含まれる被写体の動きを検出する検出手順と、
前記撮像素子から信号を読み出す際の間引き処理を前記検出された被写体の動きに応じて決定する決定手順と
を具備する情報処理方法。
【請求項11】
位相差検出による合焦判定を行うための信号を生成する複数の位相差検出画素と画像を生成するための信号を生成する複数の画像生成画素とを備える撮像素子により生成された画像に含まれる被写体の動きを検出する検出手順と、
前記撮像素子から信号を読み出す際の間引き処理を前記検出された被写体の動きに応じて決定する決定手順と
をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−97136(P2013−97136A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239041(P2011−239041)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】