説明

情報処理装置、情報処理方法及びプログラム

【課題】 見逃しシーン又は聞き逃しシーンを効率的に振り返ることができる情報処理装置を提供する。
【解決手段】 情報検索システム1は、所定の空間を撮影した映像情報に同期された人物の生体情報に基づいて、所定の人物の注視対象を判定する注視対象判定部10と、映像情報に同期された音声情報に基づいて、音圧対象を判定する音圧対象判定部11と、人物の注視対象と音圧対象に基づいて、映像情報内の見逃しシーン又は聞き逃しシーンに対して索引を付与する索引付与部12と、索引付与部12によって付与された索引を参照して、見逃しシーン又は聞き逃しシーンを検索する検索部16と、検索部16によって検索された見逃しシーン又は聞き逃しシーンを表示する表示制御部17とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から会議は、ほぼ毎日、時間毎に開催されている。このため、会議毎に捕捉され、蓄積された会議データは膨大である。またその数は日々増加していく。ここで、会議での決定事項を見返すなど、会議データを再利用したいときに、所望の会議を特定し、さらに会議データの中から所望の箇所(シーン)を探し出す手間は煩わしい。またこれを探し出すことは困難若しくは不可能である。
【0003】
また、会議などでの決定事項などは、後に発行される議事録を見返すことにより振り返ることができる。しかし、議事録には決定事項に至った詳細な経緯などは記録されないため、見たいシーンを効率良く振り返ることができない。また、当人にとっては重要であると思える発話の内容や資料の内容など、議事録に載らないような事柄でも後で思い出したいと思う場合もある。また、振り返りを支援する従来技術として以下のようなものが提案されている。
【0004】
特許文献1記載の装置は、動画像からある一定の時間間隔で抽出したシーン(静止画)を代表画像としてユーザに提示し、ユーザはその代表画像を頼りに時間的前後関係を推測することで、見たいシーンに辿り着くことができる。
【0005】
特許文献2記載の装置は、会議出席者が途中で中座した場合に、そのシーンの発話情報を言語化し、議事録として提供する。
【0006】
【特許文献1】特開2002−262240号公報
【特許文献2】特開2002−99530号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、会議やセミナー聴講の最中、メモの筆記や携帯電話での通話などによって、シーンを見逃したり聞き逃したりしてしまうことが頻繁に起こるという問題がある。また、会議やセミナー聴講すべてを録画した場合、情報量が膨大となり、検索性が著しく低くなる。
【0008】
また、特許文献1記載の技術では、動画像からある一定の時間間隔で抽出された代表シーンを見ながら、見逃しシーン又は聞き逃しシーンを見つけなければならないため、検索性が悪い。
【0009】
また、特許文献2記載の技術では、会議の出席者が途中で中座した場合に見逃し又は聞き逃し箇所の議事録を作成するようにしているが、見逃し又は聞き逃しは中座した場合以外にも発生するため、この議事録によっては、すべての見逃し又は聞き逃しシーンを振り返ることができない。
【0010】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、見逃しシーン又は聞き逃しシーンを効率的に振り返ることができる情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、所定の空間を撮影した映像情報に同期された人物の生体情報に基づいて、該人物の注視対象を判定する注視対象判定手段と、前記人物の注視対象に基づいて、前記映像情報内の前記人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンに対して索引を付与する付与手段とを備える情報処理装置である。本発明によれば、人物の注視対象によって映像情報内の人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンに対して索引を付与することができるので、人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンを効率良く振り返ることができる。
【0012】
本発明は更に、前記映像情報に同期された音声情報に基づいて、音圧対象を判定する音圧対象判定手段を備え、前記付与手段は、前記映像情報内の前記人物の注視対象及び前記音圧対象に基づいて、前記映像情報内の人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンに対して索引を付与する。本発明によれば、人物の注視対象及び音圧対象によって映像情報内の人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンに対して索引を付与することができるので、人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンを効率良く振り返ることができる。
【0013】
本発明は更に、前記映像情報に同期された音声情報に基づいて、音圧対象を判定する音圧対象判定手段を備え、前記付与手段は、前記映像情報内のシーンで前記人物の注視対象と前記音圧対象が同じシーンを前記人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンの候補から除外する。本発明によれば、人物の注視対象と音圧対象が同じ場合、視聴者は講演者を見ていることになるため、そのシーンについては見逃しシーン又は聞き逃しシーンの候補から除外する。
【0014】
本発明は更に、前記映像情報に同期された音声情報に基づいて、音圧対象を判定する音圧対象判定手段を備え、前記付与手段は、前記映像情報内のシーンで前記人物の注視対象と前記音圧対象が異なるシーンを前記人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンの候補として抽出する。本発明によれば、注視対象と音圧対象が異なる場合、視聴者は講演者を見ていないことになるため、これに該当するシーンについては人物の見逃し又は聞き逃しシーンの候補とすることによって、人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンを効率良く見つけることができる。
【0015】
本発明は、前記映像情報に同期された音声情報に基づいて、音圧対象を判定する音圧対象判定手段を備え、前記付与手段は、前記人物の注視対象と前記音圧対象が異なり、かつ前記人物が音圧を発生しているシーンを前記人物の聞き逃しシーンの候補として抽出する。本発明によれば、注視対象と音圧対象が異なり、視聴者が音圧を発生している場合、聞き逃しシーンであると考えられるため、このシーンに対して索引を付与することによって、聞き逃しシーンを効率良く振り返ることができる。
【0016】
本発明は、所定の空間を撮影した映像情報に同期された音声情報に基づいて、音圧対象を判定する音圧対象判定手段と、前記音圧対象に基づいて、前記映像情報内の人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンに対して索引を付与する付与手段とを備える情報処理装置である。本発明によれば、音圧対象に基づいて、映像情報内の人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンに対して索引付与することができるので、人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンを効率良く振り返ることができる。
【0017】
本発明は更に、前記人物の生体情報を前記映像情報に同期させる同期手段を備える。また本発明は更に、前記音声情報を前記映像情報に同期させる同期手段を備える。また本発明は更に、前記付与手段によって付与された索引を参照して、前記人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンを検索する検索手段を備える。また、本発明は更に、前記検索手段によって検索された人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンを表示する表示制御手段を備える。本発明によれば、人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンを効率良く振り返ることができる。
【0018】
本発明は、所定の空間を撮影した映像情報に同期された人物の生体情報から得た所定の人物の注視対象を用いて該映像情報内の該人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンに対して付与された索引を格納する格納手段と、前記格納手段に格納された索引を参照して、前記映像情報内の前記人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンを表示する表示制御手段とを備える。本発明によれば、人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンを効率良く振り返ることができる。
【0019】
本発明は、所定の空間を撮影した映像情報に同期された人物の生体情報に基づいて、所定の人物の注視対象を判定するステップと、前記人物の注視対象に基づいて、前記映像情報内の見逃しシーン又は聞き逃しシーンに対して索引を付与する付与ステップとを有する情報処理方法である。本発明によれば、人物の注視対象によって映像情報内の見逃しシーン又は聞き逃しシーンに対して索引を付与することができるので、見逃しシーン又は聞き逃しシーンを効率良く振り返ることができる。
【0020】
本発明は更に、前記映像情報に同期された音声情報に基づいて、音圧対象を判定するステップを有し、前記付与ステップは、前記人物の注視対象と前記音圧対象に基づいて、前記映像情報内の前記人物の見逃しシーン又は見逃しシーンに対して索引を付与する。本発明によれば、人物の注視対象及び音圧対象によって映像情報内の人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンに対して索引を付与することができるので、人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンを効率良く振り返ることができる。
【0021】
本発明は、所定の空間を撮影した映像情報に同期された音声情報に基づいて、音圧対象を判定するステップと、前記音圧対象に基づいて、前記映像情報内の人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンに対して索引を付与するステップとを有する情報処理方法である。本発明によれば、音圧対象に基づいて、映像情報内の人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンに対して索引付与することができるので、人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンを効率良く振り返ることができる。
【0022】
本発明は更に、前記索引を参照して、人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンを表示するステップを有する。本発明によれば、人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンを効率良く振り返ることができる。
【0023】
本発明は、所定の空間を撮影した映像情報に同期された人物の生体情報に基づいて、所定の人物の注視対象を判定するステップ、前記人物の注視対象に基づいて、前記映像情報内の前記人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンに対して索引を付与する付与ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムである。本発明によれば、人物の注視対象によって映像情報内の人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンに対して索引を付与することができるので、人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンを効率良く振り返ることができる。
【0024】
本発明は、所定の空間を撮影した映像情報に同期された音声情報に基づいて、音圧対象を判定するステップ、前記音圧対象に基づいて、前記映像情報内の見逃しシーン又は聞き逃しシーンに対して索引を付与するステップをコンピュータに実行させるためのプログラムである。本発明によれば、音圧対象に基づいて、映像情報内の人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンに対して索引付与することができるので、人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンを効率良く振り返ることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、見逃しシーン又は聞き逃しシーンを効率的に振り返ることができる情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は本発明の実施形態における情報検索システム1のブロック図である。図1に示すように、情報検索システム1は、生体情報検出部2、音声情報検出部3、会議映像検出部4、生体情報格納部5、音声情報格納部6、会議映像格納部7、同期部8、会議情報格納部9、注視対象判定部10、音圧対象判定部11、索引付与部12、インデックスファイル格納部13、検索要求入力部14、検索要求記録部15、検索部16、表示制御部17及び表示部18を備える。
【0027】
この情報検索システム1は、会議の映像から人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンを検索できるようにするものである。生体情報検出部2は、会議の視聴者の瞬きや瞳孔径、注視対象、注視時間など眼球に係る情報や、顔面皮膚温などの生体情報を検出するものである。ここで取得する生体情報は、特に会議の視聴者への計測機器の装着無しに取得可能なものであることが好ましい。
【0028】
生体情報検出部2は、カメラ及び画像処理装置等により構成され、瞬きや瞳孔径に係る情報を公知の手法を用いて視聴者の顔を撮像した顔画像から顔領域を抽出し、更に眼領域を特定し、瞬きの数をカウントしたり、瞳孔径を測定したりすることによって取得する。注視対象、注視時間については、注視対象候補側に配置したカメラ等により撮像した画像を用い、前記手法により眼領域を特定し、撮像したカメラの位置より注視対象を特定し、撮像された眼領域の撮影時間から注視時間を特定することによって取得できる。顔面皮膚温においては、赤外線カメラ、サーモグラフィ等により視聴者への計測機器を装着することなく取得することが可能である。
【0029】
音声情報検出部3は、例えば集音マイク等により構成され、会議の視聴者、話者の音声等を検出する。会議映像検出部4は、ビデオカメラ等により構成され、会議映像を検出する。会議映像検出部4には、会議で使用されるプレゼンテーション資料や視聴者等が広角で撮像できるカメラを用いても良い。生体情報検出部2、音声情報検出部3及び会議映像検出部4は、会議室内の所定の位置に設置される。会議映像検出部4による会議映像の撮影中に、会議の参加者の生態情報及び音声情報が検出される。
【0030】
生体情報格納部5は、生体情報検出部2で検出した生体情報をデータシートの形式で格納する。図2は、生体情報格納部5に格納されたデータシートを示す図である。図2において、生体情報は、瞳孔径x、y、注視対象、注視時間、瞬目、顔面皮膚温を含む。この生体情報は、視聴者ごとに、時刻tに対応させて格納されている。この時刻tは会議映像検出部4が検出する会議映像に対応する。注視対象は、注視対象側に設置されたカメラから撮像可能であったカメラ位置を特定することで注視対象とする。注視時間は、対象ごとに累積時間を算出して記録する。図2の例では、視聴者Aは、注視対象が1、2、3、及び1の順で移動しているのが分かる。
【0031】
音声情報格納部6は、音声情報検出部3で検出した音声等をデータシートの形式で格納する。図3は音声情報格納部6に格納されたデータシートを示す図である。図3において、音声情報は、発話有無、音量、話者発話有無、話者音量及び環境音を含む。この生体情報は、視聴者ごとに、時刻tに対応させて格納されている。特に環境音は、映像に付随して発生する音響情報を含む。図3に示す例では、視聴者Aは、発話「Y」の期間で音圧を発していることになる。
【0032】
会議映像格納部7は、会議映像検出部4によって検出された会議映像を一覧形式のデータシートで格納する。図4は会議映像格納部7に格納されたデータシートを示す図である。図4に示すように、会議映像は、識別記号IDに対応して格納されている。
【0033】
同期部8は、生体情報格納部5に格納された人物の生態情報及び音声情報格納部6に格納された音声情報を会議映像格納部7に格納された映像情報に同期させる。会議情報格納部9は、例えば、半導体メモリ、ハードディスク、フレキシブルディスクなどの記録装置により構成され、同期部8で同期化させた情報を会議インデックスファイルとして保持する。
【0034】
図5は会議情報格納部9に格納されたデータシートを示す図である。図5に示すように、会議情報は、時刻、瞳孔径、注視対象、注視時間、瞬目、顔面皮膚温などの生体情報と、発話有無、音量、話者発話有無、話者音量、環境音などの音情報と、会議映像情報データIDとを含む。会議情報は、視聴者ごとに、時刻に対応付けられている。
【0035】
注視対象判定部10は会議情報格納部9から取得した人物の生体情報に基づいて、所定の人物の注視対象を判定する。音圧対象判定部11は会議情報格納部9から取得した音声情報に基づいて、音圧対象を判定する。音圧対象とは音声を発声している対象をいう。索引付与部12は、人物の注視対象と音圧対象に基づいて、映像情報内の見逃しシーン又は見逃しシーンに対して索引を付与する。この索引付与部12は、人物の注視対象だけに基づいて、映像情報内の見逃しシーン又は聞き逃しシーンに対して索引を付与するようにしてもよい。インデックスファイル格納部13は、見逃しシーンID又は聞き逃しシーンIDと見逃しシーン又は聞き逃しシーンの索引を関連付けて格納する。したがって、インデックスファイル格納部13は、所定の空間を撮影した映像情報に同期された人物の生体情報から得られた人物の注視対象を用いて該映像情報内の見逃しシーン又は聞き逃しシーンに対して付与された索引を格納する。
【0036】
検索要求入力部14は、例えばタッチパネル、マウス又はキーボード等により構成される。ユーザはこの検索要求入力部14を操作することによって特定の検索要求を入力することができる。ユーザは、この検索要求入力部14から例えば特定の視聴者を指定する。検索要求記録部15は、例えば半導体メモリ、ハードディスク、フレキシブルディスクなどの記録装置により構成され、検索要求入力部14で入力された検索条件を記録する。
【0037】
検索部16は、検索要求入力部14から入力された検索要求に基づいて、インデックスファイル格納部13にアクセスし、見逃しシーンID又は聞き逃しシーンIDを表示制御部14へ送る。表示制御部17は、見逃しシーンID又は聞き逃しシーンIDに対応する映像情報を会議映像格納部7から取得して、描画情報を生成して表示部18に送る。表示部18は、表示制御部17からの描画情報に基づいて見逃しシーン又は聞き逃しシーンを表示する。なお、表示制御部17は、見逃しシーンID又は聞き逃しシーンIDに基づいて、映像情報のサムネイルを表示するようにしても良い。
【0038】
図6は生体情報、音声情報、会議映像情報の検出及び記録を説明するための図である。図6に示すように、会議室200内では、テーブル201の回りに視聴者A〜Dが椅子に座っている。プロジェクタ204は、スライド表示部205にスライドを投影する。このスライドに合わせて、話者206が講演を行っている。ビデオカメラ203は、上述の会議映像検出部4に対応し、会議映像を検出する。ビデオカメラ211、212、213及び214は、上述の生体情報検出部2に対応する。ここでは、スライド表示部205を注視対象(視対象)(1)、話者206を注視対象(2)、視聴者Aの前に置いてあるノートパソコン207を注視対象(3)、それ以外の他の位置(other)を注視対象(4)とする。
【0039】
視聴者Aがスライド表示部205を注視した場合、ビデオカメラ211により顔映像情報が検出され、視聴者Aの注視対象は(1)となる。視聴者Aが話者206を注視した場合にビデオカメラ212により顔映像情報が検出され、視聴者Aの注視対象は(2)となる。視聴者Aがノートパソコン207を注視した場合にビデオカメラ213により顔映像情報が検出され、視聴者Aの注視対象は(3)となる。視聴者Aが他の位置(other)を注視した場合にビデオカメラ214により顔映像情報が検出され、視聴者Aの注視対象は(4)となる。
【0040】
注視対象判定部10は、生体情報に基づいて、視聴者Aの注視対象を特定する。音圧センサー301、302は音声情報検出部3に対応する。音圧センサー301は視聴者Aの音声情報を検出し、音圧センサー302は話者206の音声情報を検出する。音圧対象判定部11は、音圧センサー301及び302によって検出された音声情報に基づいて、音圧対象を特定する。
【0041】
図7は、見逃し候補及び聞き逃し候補のシーン抽出を説明するための図である。図7において、上の図は、視聴者Aの注視対象(視対象)を示す図、下の図は音圧対象を示す図である。(1)〜(4)は図6で示した注視対象を示す。視聴者Aの注視対象は、(1)、(2)、(3)、(4)、及び(1)の順で移動しているのが分かる。音圧対象を示す図7の下の図において、実線で示した箇所が話者206の発話区間を示し、破線で示した箇所が視聴者Aの発話区間を示す。視聴者Aの注視対象が(2)で、音圧対象が話者206の場合、視聴者Aは、話者206の方を見ているため、このシーンを見逃しシーン又は聞き逃しシーンの候補から除外する。一方、視聴者Aの注視対象が(4)で、音圧対象が視聴者Aである場合、視聴者Aは、話者206以外の方を見ながら、自分で話しをしているため、このシーンを見逃し又は聞き逃しシーンの候補とする。
【0042】
次に、図7及び図8を用いて見逃しシーン及び聞き逃しシーンの候補を抽出する処理を説明する。図8は見逃しシーン又は聞き逃しシーンの抽出処理フローチャートである。なお、図8では1つのシーンについての見逃しシーン又は聞き逃しシーンの抽出フローを示す。
【0043】
ステップS101で、生体情報検出部2は、会議参加者の顔映像情報等を取得し、注視対象等を含む生体情報を検出する。音声情報検出部3は、話者206及び視聴者Aの音声情報を検出する。ステップS102で、同期部8は、生体情報及び音声情報を会議映像に同期させて会議情報格納部9に格納する。ステップS103で、注視対象判定部10は会議情報格納部9から取得した生体情報に基づいて、視聴者Aの注視対象を判定する。また、音圧対象判定部11は会議情報格納部9から取得した音声情報に基づいて音圧対象を判定する。
【0044】
ステップS104で、索引付与部12は、注視対象判定部10から取得した視聴者Aの注視対象及び音圧対象検出部11から取得した音圧対象に基づいて、音圧対象と注視対象がずれているかどうかを判断し、音圧対象と注視対象とが同じであると判断した場合、ステップ107に進み、判定しているシーンを聞き逃し/見逃し公報シーンから除外する。例えば、図7で、視聴者Aの注視対象が(2)で、音圧対象が話者206となる場合、人物の注視対象と音圧対象が同じになるため、視聴者は講演者の方を見ていることになる。このような場合、索引付与部12は人物の注視対象と音圧対象が同じシーンを見逃しシーン又は聞き逃しシーンの候補から除外する。
【0045】
ステップS104で、索引付与部12は、音圧対象と注視対象とがずれていると判断した場合、ステップS105に進み、視聴者Aが音圧を発生しているかどうかを判断し、視聴者Aが音圧を発生していないと判断した場合、ステップS108で見逃し候補として抽出し、このシーンに対して見逃しシーンを特定する索引を付与して、インデックスファイル格納部13に格納する。例えば、図7で、視聴者Aの注視対象が(3)で、音圧対象が話者206の場合、注視対象と音圧対象が異なる場合であるため、視聴者は講演者の方を見ていないことになる。このような場合、索引付与部12は人物の注視対象と音圧対象が異なるシーンを見逃しシーンの候補として抽出する。
【0046】
ステップS105で、索引付与部12は、視聴者Aが音圧を発生していると判断した場合、ステップS106で、このシーンを聞き逃し候補として抽出し、このシーンに対して聞き逃しシーンを特定する索引を付与して、インデックスファイル格納部13に格納する。例えば図7で、視聴者Aの注視対象が(4)で、音圧対象が視聴者Aの場合、注視対象と音圧対象が異なり、視聴者が音圧を発生している場合になるため、聞き逃しシーンであると考えられる。このような場合、索引付与部12は人物の注視対象と音圧対象が異なり、かつ人物が音圧を発生しているシーンであると判断し、聞き逃しシーンの候補として抽出する。
【0047】
次に、表示処理について説明すると、検索部16は検索要求入力部14の検索要求に基づいて、インデックスファイル格納部13内に格納された索引を参照して、見逃しシーン又は聞き逃しシーンを検索する。表示制御部17は検索部16によって検索された見逃しシーン又は聞き逃しシーンに対応する会議映像を会議映像格納部7から取り出して表示部18を介して表示する。表示部18の表示を見ることによって見逃しシーン又は聞き逃しシーンを効率良く振り返ることができる。
【0048】
なお、上記実施形態では、注視対象及び音圧対象を用いて索引を付与する例について説明したが、音圧対象だけを用いてシーンに索引を付与するようにしてもよい。この場合、情報処理装置は、所定の空間を撮影した映像情報に同期された音声情報に基づいて、音圧対象を検出する音圧対象判定部11と、音圧対象に基づいて、映像情報内の見逃しシーン又は聞き逃しシーンに対して索引を付与する索引付与部12とにより構成される。また情報検索システム1は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク装置及びディスプレイ装置等により構成される。
【0049】
なお、本発明の情報処理方法は、例えばCPU、ROM、RAM等を用いて実現され、プログラムをハードディスク装置や、CD−ROM、DVDまたはフレキシブルディスクなどの可搬型記憶媒体等からインストールし、または通信回路からダウンロードし、CPUがこのプログラムを実行することで、各ステップが実現される。
【0050】
プログラムは、所定の空間を撮影した映像情報に同期された人物の生体情報に基づいて、該人物の注視対象を検出するステップ、前記人物の注視対象に基づいて、前記映像情報内の見逃しシーン又は聞き逃しシーンに対して索引を付与する付与ステップをコンピュータに実行させる。また、プログラムは、所定の空間を撮影した映像情報に同期された音声情報に基づいて、音圧対象を検出するステップ、前記音圧対象に基づいて、前記映像情報内の見逃しシーン又は聞き逃しシーンに対して索引を付与するステップをコンピュータに実行させる。注視対象判定部10が注視対象判定手段に、音圧対象判定部11が音圧対象判定手段に、索引付与部12が付与手段にそれぞれ対応する。情報処理装置は情報検索システム1内に組み込まれている。
【0051】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。例えば上記各実施例では映像として会議映像を用いて説明したが本発明の映像は会議映像に限られるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態における情報検索システムのブロック図である。
【図2】生体情報格納部に格納されたデータシートを示す図である。
【図3】音声情報格納部に格納されたデータシートを示す図である。
【図4】会議映像格納部に格納されたデータシートを示す図である。
【図5】会議情報格納部に格納されたデータシートを示す図である。
【図6】生体情報、音声情報、会議映像情報の検出及び記録を説明するための図である。
【図7】見逃し候補及び聞き逃し候補のシーン抽出を説明するための図である。
【図8】見逃しシーン又は聞き逃しシーンの抽出処理フローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
1 情報検索システム 11 音圧対象抽出部
2 生体情報検出部 12 索引付与部
3 音声情報検出部 13 インデックス格納部
4 会議映像検出部 14 検索要求入力部
8 同期部 16 検索部
9 会議情報格納部 17 表示制御部
10 注視対象抽出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の空間を撮影した映像情報に同期された人物の生体情報に基づいて、該人物の注視対象を判定する注視対象判定手段と、
前記人物の注視対象に基づいて、前記映像情報内の前記人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンに対して索引を付与する付与手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記映像情報に同期された音声情報に基づいて、音圧対象を判定する音圧対象判定手段を更に備え、
前記付与手段は、前記人物の注視対象及び前記音圧対象に基づいて、前記映像情報内の前記人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンに対して索引を付与することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記映像情報に同期された音声情報に基づいて、音圧対象を判定する音圧対象判定手段を更に備え、
前記付与手段は、前記映像情報内のシーンで前記人物の注視対象と前記音圧対象が同じシーンを前記人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンの候補から除外することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記映像情報に同期された音声情報に基づいて、音圧対象を判定する音圧対象判定手段を更に備え、
前記付与手段は、前記映像情報内のシーンで前記人物の注視対象と前記音圧対象が異なるシーンを前記人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンの候補として抽出することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記映像情報に同期された音声情報に基づいて、音圧対象を判定する音圧対象判定手段を更に備え、
前記付与手段は、前記映像情報内のシーンで前記人物の注視対象と前記音圧対象が異なり、かつ前記人物が音圧を発生しているシーンを前記人物の聞き逃しシーンの候補として抽出することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
所定の空間を撮影した映像情報に同期された音声情報に基づいて、音圧対象を判定する音圧対象判定手段と、
前記音圧対象に基づいて、前記映像情報内の人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンに対して索引を付与する付与手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
前記人物の生体情報を前記映像情報に同期させる同期手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記音声情報を前記映像情報に同期させる同期手段を更に備えることを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか一項に記載に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記付与手段によって付与された索引を参照して、前記人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンを検索する検索手段を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記検索手段によって検索された人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンを表示する表示制御手段を更に備えることを特徴とする請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
所定の空間を撮影した映像情報に同期された人物の生体情報から得た所定の人物の注視対象を用いて該映像情報内の該人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンに対して付与された索引を格納する格納手段と、
前記格納手段に格納された索引を参照して、前記映像情報内の前記人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンを表示する表示制御手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項12】
所定の空間を撮影した映像情報に同期された人物の生体情報に基づいて、所定の人物の注視対象を判定するステップと、
前記人物の注視対象に基づいて、前記映像情報内の前記人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンに対して索引を付与する付与ステップと
を有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項13】
前記映像情報に同期された音声情報に基づいて、音圧対象を判定するステップを更に有し、
前記付与ステップは、前記人物の注視対象と前記音圧対象に基づいて、前記映像情報内の前記人物の見逃しシーン又は見逃しシーンに対して索引を付与することを特徴とする請求項12に記載の情報処理方法。
【請求項14】
所定の空間を撮影した映像情報に同期された音声情報に基づいて、音圧対象を判定するステップと、
前記音圧対象に基づいて、前記映像情報内の人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンに対して索引を付与するステップと
を有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項15】
前記索引を参照して、前記人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンを表示するステップを更に有することを特徴とする請求項12から請求項14のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項16】
所定の空間を撮影した映像情報に同期された人物の生体情報に基づいて、所定の人物の注視対象を判定するステップ、
前記人物の注視対象に基づいて、前記映像情報内の前記人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンに対して索引を付与する付与ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項17】
所定の空間を撮影した映像情報に同期された音声情報に基づいて、音圧対象を判定するステップ、
前記音圧対象に基づいて、前記映像情報内の人物の見逃しシーン又は聞き逃しシーンに対して索引を付与するステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−185187(P2006−185187A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−378220(P2004−378220)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】