説明

情報処理装置、情報処理方法及びプログラム

【課題】機密性の高い画像を保持している場合に、セキュリティー機能をより高くする。
【解決手段】撮影された位置の情報を含む撮影情報とともに画像データが記録媒体50に記録された状態でデジタルカメラ107が持ち出され、GPSユニット33によりGPS情報を取得した結果、現在位置がユーザにより予め設定された許可領域の範囲外に出た場合には、該当する画像データをコピーしてサーバーに送信し、送信した画像データを記録媒体90から削除するようにして、機密性の高い画像データがPCなどに転送されて画像を表示できないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関し、特に、機密性の高い画像の再生を防止するために用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、会社等の中で機密性の高い情報をデジタルカメラにより撮影した後に、デジタルカメラを会社外に持ち出して別の用途で使う場合があった。その際に、機密性の高い情報を含む画像については、会社外に持ち出す前に予め削除しておく必要があるが、これらの画像を消し忘れてしまうことがあった。このように機密性の高い情報を含む画像を消し忘れることを防ぐために、画像ごとに再生を許可または禁止する位置を記憶し、特定の場所に入ったら再生を禁止する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−62903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の方法では、画像そのものはデジタルカメラに残っているため、特定の場所に持ち出して再生が禁止されている状態であっても、パーソナルコンピュータ(PC)に画像データを転送すると画像を表示することができる。したがって、セキュリティー機能が十分ではない。
【0005】
本発明は前述の問題点に鑑み、機密性の高い画像を保持している場合に、セキュリティー機能をより高くすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報処理装置は、画像データを記録媒体に保持する情報処理装置であって、前記情報処理装置の位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段により検出された位置が所定の条件を満たす場合に、前記記録媒体に保持されている画像データを外部装置に送信する通信手段と、前記通信手段により送信した画像データを前記記録媒体から削除する削除手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、PCなどに転送して画像を表示することができないため、セキュリティー性をより高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態に係るデジタルカメラの構成例を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態において、画像の表示を許可する領域を指定する手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】図2のS202の処理により記憶される領域情報の一例を示す図である。
【図4】第1の実施形態において、画像を退避または復帰させる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施形態において、画像の表示を許可する許可領域を画像ごとに指定する手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】図5のS503の処理により記憶される領域情報の一例を示す図である。
【図7】第2の実施形態において、画像を退避または復帰させる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】第3の実施形態において、画像を退避または復帰させる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】第4の実施形態において、画像を退避させる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】第4の実施形態において、画像を復帰させる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係るデジタルカメラ107の構成例を示すブロック図である。
図1において、シャッター12は絞り機能を備えており、撮像素子14は光学像を電気信号に変換する。A/D変換器16は、撮像素子14のアナログ信号出力をデジタル信号に変換する。
【0010】
タイミング発生回路18は、メモリ制御回路22及びシステム制御回路50により制御され、撮像素子14、A/D変換器16、及びD/A変換器26にクロック信号や制御信号を供給する。画像処理回路20は、A/D変換器16からのデータ或いはメモリ制御回路22からのデータに対して所定の画素補間処理や色変換処理を行う。また、画像処理回路20においては、撮像して得られた画像データを用いて所定の演算処理を行う。そして、得られた演算結果に基づいてシステム制御回路50は、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、及びEF(フラッシュプリ発光)処理を制御する。さらに、画像処理回路20においては、撮像して得られた画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理も行う。
【0011】
メモリ制御回路22は、A/D変換器16、タイミング発生回路18、画像処理回路20、画像表示メモリ24、D/A変換器26、メモリ30及び圧縮・伸長回路32を制御する。A/D変換器16からのデータは、画像処理回路20及びメモリ制御回路22を介して、或いはメモリ制御回路22を直接介して、画像表示メモリ24或いは第1のメモリ30に書き込まれる。
【0012】
外部出力コネクタ27は、D/A変換器26からのデータを外部モニタに出力するためのものであり、例えば、HDMIコネクタ等が用いられる。外部出力コネクタ27にコネクタが挿入されている場合は、外部出力接続検知部97によりシステム制御回路50は外部出力状態であることを認識することができる。
【0013】
画像表示部28は、TFT、LCD等からなり、画像表示メモリ24に書き込まれた表示用の画像データがD/A変換器26を介して画像表示部28に表示される。このように画像表示部28に撮影した画像を逐次表示すれば、ライブビュー機能を実現することができる。また、画像表示部28には、不揮発性メモリ56に格納された地図データを表示することもできる。さらに、画像表示部28は、システム制御回路50の指示により任意に表示がON/OFFに切り替えられ、表示をOFFにした場合にはデジタルカメラ107の電力消費を大幅に低減することができる。
【0014】
第1のメモリ30は、撮像して得られた静止画像データや動画像データを格納するためのメモリであり、所定枚数の静止画像データや所定時間の動画像データを格納するのに十分な記憶量を備えている。これにより、複数枚の静止画像を連続して撮影する連写撮影やパノラマ撮影の場合にも、高速かつ大量に第1のメモリ30に書き込むことが可能となる。また、第1のメモリ30は、システム制御回路50の作業領域として用いられ、記録媒体90の書き込みバッファとしても用いられる。
【0015】
圧縮・伸長回路32は、適応離散コサイン変換(ADCT)等により画像データを圧縮伸長する回路であり、第1のメモリ30に格納された画像データを読み出して圧縮処理或いは伸長処理を行い、処理を終えたデータを第1のメモリ30に再度書き込む。
【0016】
露光制御部40は絞り機能を備えるシャッター12を制御し、測距制御部42は撮影レンズ10のフォーカシングを制御し、ズーム制御部44は撮影レンズ10のズーミングを制御する。露光制御部40及び測距制御部42は、TTL方式により制御されており、画像処理回路20によって演算した演算結果に基づき、システム制御回路50は、露光制御部40及び測距制御部42に対して制御を行う。
【0017】
システム制御回路50は、デジタルカメラ107全体の情報処理を制御する回路である。システム制御回路50は、不揮発性メモリ56に記録されたプログラムを実行することにより、後述する各処理を実現する。
【0018】
第2のメモリ52は、システム制御回路50の動作用の定数や、変数、不揮発性メモリ56から読み出したプログラム等を展開するメモリである。不揮発性メモリ56は、電気的に消去・記録可能なメモリであり、例えばEEPROM等が用いられる。不揮発性メモリ56には、システム制御回路50の動作用の定数、後述する各種フローチャートの処理を実行するためのプログラム、地図データ等が記憶されている。
【0019】
通信部57は、RS232CやUSB、IEEE1394、モデム、LAN、無線通信、赤外通信等の各種通信部により、他のコンピュータサーバーやプリンタ等の外部機器との間で画像データや特定の信号を送受信することができる。アンテナ58は、通信部57によりデジタルカメラ107と他の外部機器とを接続するコネクタとして機能し、無線通信の場合はアンテナとして機能する。
【0020】
シャッタースイッチ(SW1)62、シャッタースイッチ(SW2)64及び操作部70は、システム制御回路50の各種の動作指示を入力するための操作部である。これらは、スイッチやダイアル、タッチパネル、視線検知によるポインティング、音声認識装置等の単数或いは複数の組み合わせにより構成されている。
【0021】
シャッタースイッチ(SW1)62は、シャッターボタンの操作途中でONとなり、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理等の動作の開始を指示する。
【0022】
一方、シャッタースイッチ(SW2)64は、シャッターボタンの操作完了でONとなり、撮像素子14から読み出した信号を、A/D変換器16、メモリ制御回路22を介して第1のメモリ30に画像データとして書き込む露光処理の動作の開始を指示する。また、画像処理回路20やメモリ制御回路22での演算を用いた現像処理、第1のメモリ30から画像データを読み出して圧縮・伸長回路32で圧縮を行い、記録媒体90に画像データを書き込む記録処理という一連の処理の動作開始を指示する。また動画像を撮影する場合は、動画像の撮影の開始・停止を指示する。
【0023】
操作部70は、各種ボタンやタッチパネル等からなる。具体的には、メニューボタン、セットボタン、マクロボタン、マルチ画面再生改ページボタン、フラッシュ設定ボタン、単写/連写/セルフタイマー切り替えボタン、メニュー移動+(プラス)ボタン、メニュー移動−(マイナス)ボタンがある。また、再生画像移動+(プラス)ボタン、再生画像−(マイナス)ボタン、撮影画質選択ボタン、露出補正ボタン、及び日付/時間設定ボタンがある。
【0024】
さらに、操作部70は、以下に示すものがある。
各種機能の選択及び切り替えを設定する選択/切り替えボタン。
各種機能の決定及び実行を設定する決定ボタン。
画像表示部28のON/OFFを設定する表示ボタン。
撮影直後に撮影した画像データを自動再生するクイックレビュー機能を設定するクイックレビューON/OFFスイッチ。
撮影時にズームと広角を調節する、あるいは再生時に拡大/縮小を調節する、1画面表示/マルチ画面表示を切り替えるズーム操作部。
JPEG(Joint Photographic Expert Group)圧縮の圧縮率を選択するため、或いは撮像素子の信号をそのままデジタル化して記録媒体に記録するCCDRAWモードを選択するための圧縮モードスイッチ。
【0025】
電源制御部81は、電池の装着の有無、電池の種類、及び電池残量を検出し、検出結果及びシステム制御回路50の指示に基づいて、必要な電圧を必要な期間、記録媒体90を含む各部へ供給する。電源部86は、アルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Li電池等の二次電池、ACアダプター等からなる。
【0026】
インターフェース80は、メモリカードやハードディスク等の記録媒体90とのインターフェースである。インターフェースとしては、PCMCIAカードやCF(コンパクトフラッシュ(登録商標))カード等の規格に準拠したものを用いて構成してもよい。さらに、インターフェース80に各種通信カードを接続することにより、他機器との間で画像データや画像データに付属した管理情報を転送し合うことができる。
【0027】
保護部93は、デジタルカメラ107の撮影レンズ10を含む撮像部を覆うことにより、撮像部の汚れや破損を防止するバリアである。外部出力接続検知部97は、外部出力コネクタ27を介して外部モニタが接続されているかどうかを検知する。ここで、接続状態にあると検知した場合は画像表示部28の代わりに外部モニタを表示装置として用いることができる。
【0028】
マイク端子94は、外部マイクから音声データを取得する。音声A/D変換器95は、マイク端子94で得られた音声データをシステム制御回路50で取得するためにA/D変換を行う。記録媒体90はメモリカードやハードディスク等の記録媒体である。また、この記録媒体90がPCMCIAカードやCF等の場合は、情報記憶回路を内蔵しているものであってもよい。
【0029】
GPSアンテナ34は、GPS衛星からの電波を受信するアンテナであり、GPSユニット33は位置検出手段として機能し、その受信データから演算を行い、現在の位置を検出するためのGPSユニットである。検出した位置情報は、画像の撮影時に取得し、得られたた画像データのヘッダ領域に付加して記録媒体90に記録される。また、システム制御回路50は不揮発性メモリ56から地図データが読み出し、位置情報として画像が撮影した場所を地図に上書きして画像表示部28に表示することができる。なお、位置情報はGPS以外にも、ジャイロや無線LAN基地局からの信号などから取得してもよい。
【0030】
次に、本実施形態における動作について説明する。
図2は、デジタルカメラ107において、画像の表示を許可する領域を指定する手順の一例を示すフローチャートである。
まず、S201において、システム制御回路50は、不揮発性メモリ56に格納されている地図データを読み出し、その地図を画像表示部28に表示する。これによりユーザは、表示されている地図を見ながら操作部70を操作し、地図上に示される条件となる領域を、例えば矩形などで囲って指定することができる。そして、S202において、システム制御回路50により操作部70を介して指示された領域情報を不揮発性メモリ56に記憶する。
【0031】
図3は、図2のS202の処理により記憶される領域情報の一例を示す図である。
図3において、領域名301は、領域の名称を表し、領域302は、表示を許可する許可領域の隅の地点の情報を表している。例えば領域Aは、(東経120,北緯45)の地点を左隅とし、(東経130,北緯40)の地点を右隅とする矩形領域を表している。同様に、領域Bは、(東経145,北緯30)の地点を左隅とし、(東経146,北緯25)の地点を右隅とする矩形領域を表している。許可領域の指定方法としては、2点だけでなく、3点以上指定してもよいし、地図上の閉領域を指定できる方法であればどのような方法でもよい。
【0032】
本実施形態では、この許可領域で撮影された画像は、この許可領域の中にデジタルカメラ107が存在している時しか表示できないようにしている。例えば、領域Aが、ある会社の敷地を表している場合、その会社の敷地で撮影した画像は、その敷地内にデジタルカメラ107が存在する場合は表示できるが、その敷地外にデジタルカメラ107が持ち出された場合には、表示できなくなる。
【0033】
図4は、画像を退避または復帰させる処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図4に示す各処理は、システム制御回路50の制御により行われ、所定の時間毎に行われる。
まず、S401において、GPSユニット33によりGPSアンテナ34からGPS情報を受信し、現在の位置を検出する。そして、S402において、システム制御回路50は、現在の位置が図3のS302により不揮発性メモリ56に記憶された領域情報に示す許可領域の外に出たか否かを判断する。具体的には、システム制御回路50は、前回受信した位置が許可領域内であり、今回受信した位置が許可領域外である場合は、許可領域の外に出たと判断する。なお、前回受信したGPS情報は、記録媒体90に記録され、GPS情報を受信するたびに更新する。
【0034】
S402の判断の結果、現在の位置が許可領域外に出た場合はS403に進み、そうでない場合はS406に進む。そして、S403において、システム制御回路50は、その領域内で撮影して得られた画像データが記録媒体90に記録されているか否かを判断する。具体的には、システム制御回路50は、記録媒体90に記録されている画像データのヘッダに撮影情報として格納された位置情報と、許可領域の位置情報とを比較する。
【0035】
S403の判断の結果、許可領域内で撮影して得られた画像データが記録媒体90に記録されていない場合は、S406に進む。一方、許可領域内で撮影して得られた画像データが記録媒体90に記録されている場合は、S404において、システム制御回路50は、該当する画像データを記録媒体90から読み出し、第1のメモリ30に格納する。そして、第1のメモリ30に格納した画像データをコピーして、通信部57を介してサーバーに送信する。そして、S405において、システム制御回路50は、その画像データを記録媒体90から削除する。このように本実施形態では、会社の敷地など、特定の領域内で撮影した機密性の高い画像をデジタルカメラ107に保持したまま不用意に持ち出すことを防ぐことができる。
【0036】
次に、S406において、システム制御回路50は、S401で取得したGPS情報をもとに、許可領域内に入ったか否かを判断する。具体的には、システム制御回路50は、前回受信した位置が許可領域外であり、今回受信した位置が領域内である場合は、領域内に入ったと判断する。
【0037】
S406の判断の結果、現在の位置が許可領域内に入った場合はS407に進み、そうでない場合は処理を終了する。そして、S407において、システム制御回路50は、許可領域内で撮影された画像を保持しているか否かを確認する指示を、通信部57を介してサーバーに送信する。そして、サーバーから許可領域内で撮影された画像を保持している旨の通知を、通信部57を介して受信したか否かを判断する。
【0038】
この判断の結果、許可領域内で撮影された画像を保持している旨の通知を受信していない場合はそのまま処理を終了し、許可領域内で撮影された画像を保持している旨の通知を受信した場合はS408に進む。そして、S408において、システム制御回路50は、該当する画像データをコピーしてデジタルカメラ107に送信するようサーバーに指示を送る。そして、その画像データを通信部57から受信し、記録媒体90に記録する。
【0039】
次に、S409において、システム制御回路50は、その画像データを削除するようサーバーに指示を送り、処理を終了する。このように本実施形態では、会社の敷地などの特定の許可領域に戻った場合に、その許可領域で撮影された画像はデジタルカメラ107に戻るので、その会社の中でその画像を用いて作業等を行うことができる。
【0040】
なお、本実施形態では、画像の表示を許可する許可領域を指定した例について説明したが、逆に、画像の表示を禁止する禁止領域を指定してもよい。この場合、禁止領域に入ったときに、その禁止領域内で撮影した画像がある場合は、その画像をデジタルカメラからサーバーにコピーして、デジタルカメラからその画像を削除する。一方、禁止領域から出た場合は、その禁止領域内で撮影した画像がある場合は、その画像をサーバーからデジタルカメラに転送し、サーバーからその画像を削除するよう指示する。これにより、撮影した場所を含む近傍の領域では、その画像の表示を禁止することができる。
【0041】
(第2の実施形態)
本実施形態では、画像の表示を許可する許可領域を画像ごとに設定した場合の例について説明する。なお、本実施形態に係るデジタルカメラの構成については第1の実施形態で説明した図1に示すものと同様であるため、説明は省略する。
【0042】
図5は、画像の表示を許可する許可領域を画像ごとに指定する手順の一例を示すフローチャートである。
まず、図5のS501において、システム制御回路50は、不揮発性メモリ56に格納されている地図データを読み出し、その地図を画像表示部28に表示する。
【0043】
そして、S502において、システム制御回路50は、記録媒体90に記録されている画像データからサムネイル画像を生成して、画像表示部28に一覧表示する。これによりユーザは、表示された画像の中から、特定の領域でのみ表示したい画像を選択し、地図上でその領域を選択することができる。表示の許可領域を選択するときは、操作部70を用いて、例えば地図上を矩形などにより許可範囲を指定する。
【0044】
次に、S503において、システム制御回路50は、操作部70を介して指示された領域情報をその画像と関連付けて不揮発性メモリ56に記憶する。
【0045】
図6は、図5のS503の処理により記憶される領域情報の一例を示す図である。
図6において、画像名601には画像の名称を表しているが、画像を一意に特定する情報であれば、ファイル名でもよいし、IDでもよい。領域702は、その画像と関連付けて保存されている許可領域を表す。図6に示す例では、画像Aは、(東経120,北緯45)の地点を左隅とし、(東経130,北緯40)の地点を右隅とする矩形の領域で表示が許可されていることを表している。同様に、画像Bは、(東経145,北緯30)の地点を左隅とし、(東経146,北緯25)の地点を右隅とする矩形の領域で表示が許可されていることを表している。なお、第1の実施形態と同様に、地図上の閉領域を指定できる方法であればどのような方法でもよい。
【0046】
図7は、画像を退避または復帰させる処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図7に示す各処理は、システム制御回路50の制御により行われ、所定の時間毎に行われる。
まず、S701において、GPSユニット33によりGPSアンテナ34からGPS情報を受信し、現在の位置を検出する。そして、S702において、システム制御回路50は、S503で不揮発性メモリ56に記憶された領域情報を画像ごとに調べ、許可領域外に出た画像が存在するか否かを判断する。具体的には、システム制御回路50は、前回受信した位置が許可領域内であり、今回受信した位置が許可領域外である場合は、許可領域の外に出たと判断する。また、前回受信したGPS情報は、第1の実施形態と同様に記録媒体90に記録され、GPS情報を受信するたびに更新する。
【0047】
S702の判断の結果、許可領域外に出た画像が存在する場合はS703に進み、許可領域外に出た画像が存在しない場合はS705に進む。S703及びS704はそれぞれ、図4のS404及びS405と同様である。なお、S704では、さらにその画像がサーバーにある旨を図7に示す領域情報に付加し、デジタルカメラ107からその画像が削除されているが、その画像を特定できるようにしておく。
【0048】
次に、S705において、システム制御回路50は、S701で取得したGPS情報をもとに、S503で不揮発性メモリ56に記憶された領域情報を画像ごとに調べ、許可領域内に入った画像が存在するか否かを判断する。具体的には、システム制御回路50は、前回受信した位置が許可領域外であり、今回受信した位置が許可領域内である場合は、許可領域内に入ったと判断する。
【0049】
S705の判断の結果、許可領域内に入った画像が存在しない場合はそのまま処理を終了し、許可領域内に入った画像が存在する場合はS706に進む。S706及びS707はそれぞれ、図4のS408及びS409と同様である。
【0050】
以上のように本実施形態においては、画像ごとに表示を許可する許可領域の情報を関連付けて記憶するため、ユーザは画像ごとに表示したい領域を指定することができる。なお、その画像の撮影した場所に関係なく、領域を指定することもできる。例えば、特定の取引先の会社で特定の画像を表示したい場合は、その取引先の会社の敷地を許可領域として指定することにより、その会社の敷地から出ればその画像はデジタルカメラ107から削除される。そして、会社の敷地に入った場合にその画像はデジタルカメラ107にサーバーからコピーされることになる。
【0051】
なお、第1の実施形態と同様に、画像の表示を禁止する禁止領域を画像ごとに指定してもよい。この場合は、禁止領域に入った画像が存在する場合は、その画像をデジタルカメラからサーバーにコピーして、デジタルカメラカメラからはその画像を削除する。一方、禁止領域から出た画像が存在する場合は、その画像をサーバーからデジタルカメラに転送して、サーバーからその画像を削除するよう指示する。これにより、特定の場所においてその画像を表示することを禁止することができる。
【0052】
(第3の実施形態)
本実施形態では、撮影した場所から所定の距離以上に離れた場合に、画像をサーバーにコピーする例について説明する。なお、本実施形態に係るデジタルカメラの構成については第1の実施形態で説明した図1に示すものと同様であるため、説明は省略する。
【0053】
図8は、画像を退避または復帰させる処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図8に示す各処理は、システム制御回路50の制御により行われ、所定の時間毎に行われる。
S801において、GPSユニット33によりGPSアンテナ34からGPS情報を受信し、現在の位置を検出する。そして、S802において、撮影した場所から所定の距離以上に離れた画像が存在するか否かを判断する。具体的には、システム制御回路50は、記録媒体90に記録されている画像データのヘッダに撮影情報として付加されている撮影位置と、S801で検出した現在の位置との距離を、画像ごとに計算する。一方、ユーザにより操作部70から数値が入力され、システム制御回路50は、表示を許可する距離としてその数値を不揮発性メモリ56に予め記憶している。そして、計算した距離と、ユーザが予め設定した距離とを比較する。
【0054】
S802の判断の結果、撮影した場所から所定の距離以上に離れた画像が存在しない場合はS805に進み、撮影した場所から所定の距離以上に離れた画像が存在する場合はS803に進む。S803及びS804はそれぞれ、図4のS404及びS405と同様である。
【0055】
次に、S805において、システム制御回路50は、過去に送信した画像データのヘッダに付加されている撮影情報をサーバーに要求する。そして、通信部57を介して撮影情報を受信し、サーバーにコピーして送信した画像の中に、撮影した場所から所定の距離以内に近づいた画像が存在するか否かを判断する。具体的には、システム制御回路50は、画像データのヘッダに撮影情報として付加されている撮影位置と、現在の位置との間の距離を計算する。そして、前述したユーザが予め設定した距離と比較する。
【0056】
S805の判断の結果、撮影した場所から所定の距離以内に近づいた画像が存在しない場合はそのまま処理を終了し、撮影した場所から所定の距離以内に近づいた画像が存在する場合はS806に進む。S806及びS807はそれぞれ、図4のS408及びS409と同様である。
【0057】
以上のように本実施形態によれば、ユーザは距離を指定するだけで、撮影場所から所定の距離以上に離れた画像については、サーバーにコピーして転送され、デジタルカメラからその画像が削除される。逆に、所定の距離以内に近づくと、その画像がサーバーから転送される。これにより、現在のデジタルカメラの位置の近くで撮影した画像だけがデジタルカメラに存在するようになり、許可領域または禁止領域を厳密に定義しなくても、所定の領域で撮影した画像がその領域の近傍でのみ存在するようになる。
【0058】
なお、本実施形態では、ユーザにより予め1つの距離を設定する例について説明したが、第2の実施形態と同様に画像ごと距離を設定し、画像によって距離を変えるようにしてもよい。この場合は、機密性の高い画像は距離を短く設定し、機密性がそれほど高くない画像は距離を長くして、表示許可領域を画像ごとに変えることができる。
【0059】
また、本実施形態では、撮影場所から所定の距離以上離れた場合に画像をサーバーにコピーして送信し、所定の距離以内に近づいたら画像をサーバーから転送するようにした。一方、逆に、撮影場所から所定の距離以内に近づいたら画像をサーバーにコピーして送信し、所定の距離以上離れたら画像をサーバーから転送するようにしてもよい。
【0060】
(第4の実施形態)
本実施形態では、所定の信号を受信した時に、該当する画像データを転送して削除したり、該当する画像データを受信して記録したりする例について説明する。なお、本実施形態に係るデジタルカメラの構成については第1の実施形態で説明した図1に示すものと同様であるため、説明は省略する。
【0061】
図9は、デジタルカメラ107が退避領域指定信号を受信したときの動作手順の一例を示すフローチャートである。ここで、退避領域指定信号とは、デジタルカメラ107に対して画像データをサーバーに退避させることを指定する信号であり、どの領域で撮影された画像を退避させるかを示す退避領域情報とともに送られる。この退避領域指定信号を送る装置は、接触型あるいは非接触型の無線装置であってもよいし、赤外線送信装置などでもよい。
【0062】
まず、S901において、通信部57により、退避領域指定信号を受信する。そして、S902において、システム制御回路50は、退避領域指定信号とともに受信した退避領域情報を参照し、該当する画像データが記録媒体90に記録されているか否かを判断する。具体的には、記録媒体90に記録されている画像データのヘッダに撮影情報として付加されている位置情報と退避領域情報とを比較する。
【0063】
S902の判断の結果、該当する画像データが記録されている場合はS903に進み、該当する画像データが記録されていない場合はそのまま処理を終了する。S903及びS904はそれぞれ、図4のS404及びS405と同様である。
【0064】
図10は、デジタルカメラ107が復帰領域指定信号を受信したときの動作手順の一例を示すフローチャートである。ここで、復帰領域指定信号とは、デジタルカメラ107に対して画像データをサーバーからデジタルカメラ107に復帰させることを指定する信号であり、どの領域で撮影された画像を復帰させるかを示す復帰領域情報とともに送られる。この復帰領域指定信号を送る装置は、接触型あるいは非接触型の無線装置であってもよいし、赤外線送信装置などでもよい。
【0065】
まず、S1001において、通信部57により、復帰領域指定信号を受信する。そして、S1002において、システム制御回路50は、過去に送信した画像データのヘッダに付加されている撮影情報をサーバーに要求し、通信部57を介して撮影情報を受信する。そして、復帰領域指定信号とともに送られてきた復帰領域情報を参照し、サーバーに送信した画像の中に復帰させる画像が存在するか否かを判断する。
【0066】
S1002の判断の結果、対象となる画像が存在しない場合はそのまま処理を終了し、対象となる画像が存在する場合はS1003に進む。S1003及びS1004はそれぞれ、図4のS408及びS409と同様である。
【0067】
以上のように本実施形態によれば、GPS情報を受信する代わりに、画像をサーバーに退避させたり、サーバーから復帰させたりするための信号を受信する。これにより、例えば会社などの敷地の出入り口にこれらの信号を送出する装置を設けた場合に、その敷地を出たときに画像をサーバーに退避させてデジタルカメラからその画像を削除することができる。また、敷地内に戻ってきたときは、画像をデジタルカメラに復帰させることもできる。さらに、GPS衛星が捕捉できないときなどでも、画像を敷地外に持ち出すことを防ぐことができる。なお、本実施形態では、退避領域指定信号と復帰領域指定信号とで別々の信号として取り扱っているが、これらの信号を1つの信号としてもよい。
【0068】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0069】
33 GPSユニット
50 システム制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを記録媒体に保持する情報処理装置であって、
前記情報処理装置の位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段により検出された位置が所定の条件を満たす場合に、前記記録媒体に保持されている画像データを外部装置に送信する通信手段と、
前記通信手段により送信した画像データを前記記録媒体から削除する削除手段とを有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記通信手段により前記画像データを送信した後に、前記位置検出手段により検出された位置が前記所定の条件を満たさなくなった場合に、前記通信手段は、前記画像データを前記情報処理装置に送信する要求を前記外部装置に送信し、前記送信を要求した画像データを受信することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
ユーザの操作に応じて画像データの再生を許可する許可領域を設定する設定手段をさらに有し、
前記所定の条件とは、前記設定手段により設定された許可領域外であることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
ユーザの操作に応じて画像データの再生を禁止する禁止領域を設定する設定手段をさらに有し、
前記所定の条件とは、前記設定手段により設定された禁止領域内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記設定手段は、画像ごとに領域を設定することを特徴とする請求項3又は4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記所定の条件とは、前記所定の条件に関わる画像データの撮影位置から所定の距離以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
画像データを記録媒体に保持する情報処理装置であって、
前記情報処理装置が画像データを外部装置に送信すべき領域に入ったことを示す信号を受信する受信手段と、
前記受信手段により前記信号を受信した場合に、前記送信すべき対象となる画像データを前記外部装置に送信する通信手段と、
前記通信手段により送信した画像データを前記記録媒体から削除する削除手段とを有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
前記受信手段は、前記通信手段により前記送信すべき対象となる画像データを送信した後に、さらに、前記情報処理装置が前記画像データを外部装置から受信すべき領域に入ったことを示す信号を受信し、
前記通信手段は、前記受信手段により前記画像データを外部装置から受信すべき領域に入ったことを示す信号を受信したことに応じて、前記画像データを前記情報処理装置に送信する要求を前記外部装置に送信し、前記送信を要求した画像データを受信することを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記通信手段により受信された画像データを前記記録媒体に記録する記録手段をさらに有することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
画像データを記録媒体に保持する情報処理装置の情報処理方法であって、
前記情報処理装置の位置を検出する位置検出工程と、
前記位置検出工程において検出された位置が所定の条件を満たす場合に、前記記録媒体に保持されている画像データを外部装置に送信する通信工程と、
前記通信工程において送信した画像データを前記記録媒体から削除する削除工程とを有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項11】
画像データを記録媒体に保持する情報処理装置の情報処理方法であって、
前記情報処理装置が画像データを外部装置に送信すべき領域に入ったことを示す信号を受信する受信工程と、
前記受信工程において前記信号を受信した場合に、前記送信すべき対象となる画像データを前記外部装置に送信する通信工程と、
前記通信工程において送信した画像データを前記記録媒体から削除する削除工程とを有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項12】
画像データを記録媒体に保持する情報処理装置を制御するためのプログラムであって、
前記情報処理装置の位置を検出する位置検出工程と、
前記位置検出工程において検出された位置が所定の条件を満たす場合に、前記記録媒体に保持されている画像データを外部装置に送信する通信工程と、
前記通信工程において送信した画像データを前記記録媒体から削除する削除工程とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項13】
画像データを記録媒体に保持する情報処理装置を制御するためのプログラムであって、
前記情報処理装置が画像データを外部装置に送信すべき領域に入ったことを示す信号を受信する受信工程と、
前記受信工程において前記信号を受信した場合に、前記送信すべき対象となる画像データを前記外部装置に送信する通信工程と、
前記通信工程において送信した画像データを前記記録媒体から削除する削除工程とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−46284(P2013−46284A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183613(P2011−183613)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】