説明

情報処理装置、通信システムおよび情報処理方法

【課題】無線通信を利用して所定のネットワークに接続するための接続権を複数の無線通信装置間において適切に共有する。
【解決手段】情報処理装置は、無線通信を利用して所定のネットワークに接続するための接続権を共有する複数の無線通信装置についてユーザ操作または所定規則に基づいて優先度を設定する設定部を具備する。また、複数の無線通信装置間において無線通信を利用して接続権の移転を行う場合に、その移転の対象となる各無線通信装置に設定されている優先度に基づいてその移転が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、情報処理装置に関する。詳しくは、ネットワークに接続する情報処理装置、これを備える通信システムおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、公衆無線通信ネットワークの技術仕様を策定している3GPP(3rd Generation Partnership Project)において機能拡張が検討されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
この機能拡張(Machine to Machine Equipmentと称される)によれば、サービス利用可能であることを示す情報について柔軟な使い方が可能になる。このサービス利用可能であることを示す情報は、MCIM(Machine Communication Identity Module)である。例えば、MCIMをネットワークからダウンロードしたり、一時的に停止したり、再開することができるようになる。
【0004】
また、現在、このMCIMに相当する情報は、SIM(Subscriber Identity Module)カードと呼ばれる物理デバイスに保存する必要がある。しかしながら、MCIMをソフトウェアとして扱うことにより、保存方法も柔軟にすることができるようになる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP TR 33.812 V9.2.0(2010-06)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の機能拡張を利用することにより、従来とは異なるMCIMの使用方法が考えられるようになる。
【0007】
例えば、複数の無線通信装置間においてMCIMを共有することが想定される。ただし、このようにMCIMを共有する場合でも、MCIMが設定されていない無線通信装置は、MCIMに基づく通信機能を使用することができない。このため、例えば、ユーザが意図しない無線通信装置にMCIMが設定されることを防止して、複数の無線通信装置間においてMCIMを適切に共有することが重要である。
【0008】
本技術はこのような状況に鑑みて生み出されたものであり、無線通信を利用して所定のネットワークに接続するための接続権を複数の無線通信装置間において適切に共有することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本技術は、上述の問題点を解消するためになされたものであり、その第1の側面は、無線通信を利用して所定のネットワークに接続するための接続権を共有する複数の無線通信装置についてユーザ操作または所定規則に基づいて優先度を設定する設定部を具備し、上記複数の無線通信装置間において無線通信を利用して上記接続権の移転を行う場合に当該移転の対象となる各無線通信装置に設定されている優先度に基づいて当該移転が行われる情報処理装置およびその情報処理方法ならびに当該方法をコンピュータに実行させるプログラムである。これにより、複数の無線通信装置間において無線通信を利用して接続権の移転を行う場合に、その移転の対象となる各無線通信装置に設定されている優先度に基づいて、その移転が行われるという作用をもたらす。
【0010】
また、この第1の側面において、上記情報処理装置は、上記複数の無線通信装置をグループとして管理する情報処理装置であり、上記複数の無線通信装置間において上記接続権を移転するための移転要求を受け付けた場合には、当該移転要求に係る各無線通信装置に設定されている優先度に基づいて当該各無線通信装置間において上記接続権を移転させるための制御を行う制御部をさらに具備するようにしてもよい。これにより、複数の無線通信装置間において接続権を移転するための移転要求を受け付けた場合には、その移転要求に係る各無線通信装置に設定されている優先度に基づいてその各無線通信装置間において接続権を移転させるという作用をもたらす。
【0011】
また、この第1の側面において、上記設定部は、上記複数の無線通信装置を構成する第1の無線通信装置および第2の無線通信装置について上記第1の無線通信装置に設定される優先度よりも低い優先度を上記第2の無線通信装置に設定し、上記制御部は、上記第1の無線通信装置から上記第2の無線通信装置に上記接続権を移転するための上記移転要求を上記第1の無線通信装置以外の無線通信装置から受け付けた場合には、所定条件を満たす場合にのみ、上記第1の無線通信装置から上記第2の無線通信装置に上記接続権を移転させるための制御を行うようにしてもよい。これにより、第1の無線通信装置から第2の無線通信装置に接続権を移転するための移転要求を第1の無線通信装置以外の無線通信装置から受け付けた場合には、所定条件を満たす場合にのみ、第1の無線通信装置から第2の無線通信装置に接続権を移転させるという作用をもたらす。
【0012】
また、この第1の側面において、上記制御部は、上記第1の無線通信装置から上記第2の無線通信装置に上記接続権を移転するための上記移転要求に係る移転の承認処理が上記第1の無線通信装置において行われた場合に上記所定条件を満たすと判断するようにしてもよい。これにより、第1の無線通信装置から第2の無線通信装置に接続権を移転するための移転要求に係る移転の承認処理が第1の無線通信装置において行われた場合に所定条件を満たすと判断するという作用をもたらす。
【0013】
また、この第1の側面において、上記設定部は、上記複数の無線通信装置を構成する第1の無線通信装置および第2の無線通信装置について上記第1の無線通信装置に設定される優先度よりも低い優先度を上記第2の無線通信装置に設定し、上記制御部は、上記第2の無線通信装置から上記第1の無線通信装置に上記接続権を移転するための上記移転要求を受け付けた場合には、上記第2の無線通信装置から上記第1の無線通信装置に上記接続権を移転させるための制御を行うようにしてもよい。これにより、第2の無線通信装置から第1の無線通信装置に接続権を移転するための移転要求を受け付けた場合には、第2の無線通信装置から第1の無線通信装置に接続権を移転させるという作用をもたらす。
【0014】
また、この第1の側面において、上記制御部は、上記第2の無線通信装置から上記第1の無線通信装置に上記接続権を移転するための上記移転要求を上記第2の無線通信装置以外の無線通信装置から受け付けた場合には、所定条件を満たす場合にのみ、上記第2の無線通信装置から上記第1の無線通信装置に上記接続権を移転させるための制御を行うようにしてもよい。これにより、第2の無線通信装置から第1の無線通信装置に接続権を移転するための移転要求を第2の無線通信装置以外の無線通信装置から受け付けた場合には、所定条件を満たす場合にのみ、第2の無線通信装置から第1の無線通信装置に接続権を移転させるという作用をもたらす。
【0015】
また、この第1の側面において、上記制御部は、上記第2の無線通信装置から上記第1の無線通信装置に上記接続権を移転するための上記移転要求に係る移転の承認処理が上記第2の無線通信装置において行われた場合と、当該移転要求に係る移転の承認処理が上記第2の無線通信装置において行われず、かつ、当該移転要求に係る移転の承認処理が上記第1の無線通信装置において行われた場合とに上記所定条件を満たすと判断するようにしてもよい。これにより、第2の無線通信装置から第1の無線通信装置に接続権を移転するための移転要求に係る移転の承認処理が第2の無線通信装置において行われた場合と、その移転要求に係る移転の承認処理が第2の無線通信装置において行われず、かつ、その移転要求に係る移転の承認処理が第1の無線通信装置において行われた場合とに所定条件を満たすと判断するという作用をもたらす。
【0016】
また、この第1の側面において、上記設定部は、上記複数の無線通信装置を構成する第1の無線通信装置および第2の無線通信装置について上記第1の無線通信装置に設定される優先度よりも低い優先度を上記第2の無線通信装置に設定し、上記制御部は、上記第1の無線通信装置から上記第2の無線通信装置に上記接続権を移転するための上記移転要求を上記第1の無線通信装置から受け付けた場合には、上記第1の無線通信装置から上記第2の無線通信装置に上記接続権を移転させるための制御を行うようにしてもよい。これにより、第1の無線通信装置から第2の無線通信装置に接続権を移転するための移転要求を第1の無線通信装置から受け付けた場合には、第1の無線通信装置から第2の無線通信装置に接続権を移転させるという作用をもたらす。
【0017】
また、この第1の側面において、上記設定部は、上記複数の無線通信装置毎の優先順位を上記優先度として設定するようにしてもよい。これにより、複数の無線通信装置毎の優先順位を優先度として設定するという作用をもたらす。
【0018】
また、この第1の側面において、上記情報処理装置は、上記複数の無線通信装置をグループとして管理する情報処理装置であり、上記複数の無線通信装置と上記設定された優先度とを上記無線通信装置毎に関連付けて上記グループ単位で記憶する記憶部をさらに具備するようにしてもよい。これにより、複数の無線通信装置と設定された優先度とを無線通信装置毎に関連付けてグループ単位で記憶する記憶部を用いるという作用をもたらす。
【0019】
また、この第1の側面において、上記情報処理装置は、上記無線通信装置であり、上記複数の無線通信装置間において上記接続権を移転するための上記移転要求をRO(Registration Operator)に対して行う制御部をさらに具備するようにしてもよい。これにより、複数の無線通信装置間において接続権を移転するための移転要求をROに対して行うという作用をもたらす。
【0020】
また、この第1の側面において、上記接続権を、通信事業者が運営する基地局に接続するための契約認証情報に基づいて上記基地局に接続する権利とするようにしてもよい。これにより、通信事業者が運営する基地局に接続するための契約認証情報に基づいて基地局に接続する権利を接続権として用いるという作用をもたらす。
【0021】
また、本技術の第2の側面は、無線通信を利用して所定のネットワークに接続するための接続権を共有する複数の無線通信装置についてユーザ操作または所定規則に基づいて優先度を設定する情報処理装置を具備し、上記複数の無線通信装置間において無線通信を利用して上記接続権の移転を行う場合に当該移転の対象となる各無線通信装置に設定されている優先度に基づいて当該移転が行われる通信システムおよびその処理方法ならびに当該方法をコンピュータに実行させるプログラムである。これにより、複数の無線通信装置間において無線通信を利用して接続権の移転を行う場合に、その移転の対象となる各無線通信装置に設定されている優先度に基づいて、その移転が行われるという作用をもたらす。
【発明の効果】
【0022】
本技術によれば、無線通信を利用して所定のネットワークに接続するための接続権を複数の無線通信装置間において適切に共有することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本技術の第1の実施の形態における複数の無線通信装置(デバイス)の使用例を簡略化して示す図である。
【図2】本技術の第1の実施の形態における通信システム10のシステム構成例を示すブロック図である。
【図3】本技術の第1の実施の形態における通信システム100のシステム構成例を示すブロック図である。
【図4】本技術の第1の実施の形態におけるグループ管理データベース220を模式的に示す図である。
【図5】本技術の第1の実施の形態における第1の無線通信装置300の内部構成例を示すブロック図である。
【図6】本技術の第1の実施の形態における第1の無線通信装置300の表示部370に表示される表示画面例(優先順位設定画面400)を示す図である。
【図7】本技術の第1の実施の形態における第1の無線通信装置300の表示部370に表示される表示画面例(移転先設定画面410)を示す図である。
【図8】本技術の第1の実施の形態における各無線通信装置間におけるMCIMの使用権の移転に関する判断基準の一例を示す図である。
【図9】本技術の第1の実施の形態における無線通信装置の表示部370に表示される表示画面例(移転結果通知画面430、433)を示す図である。
【図10】本技術の第1の実施の形態における無線通信装置の表示部370に表示される表示画面例(移転不可通知画面436)を示す図である。
【図11】本技術の第1の実施の形態における通信システム100を構成する各装置間における通信処理例を示すシーケンスチャートである。
【図12】本技術の第1の実施の形態における通信システム100を構成する各装置間における通信処理例を示すシーケンスチャートである。
【図13】本技術の第1の実施の形態における通信システム100を構成する各装置間における通信処理例を示すシーケンスチャートである。
【図14】本技術の第1の実施の形態における通信システム100を構成する各装置間における通信処理例を示すシーケンスチャートである。
【図15】本技術の第1の実施の形態における通信システム100を構成する各装置間における通信処理例を示すシーケンスチャートである。
【図16】本技術の第1の実施の形態における通信制御装置(第1通信事業者)200による通信処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図17】本技術の第2の実施の形態における各無線通信装置間におけるMCIMの使用権の移転に関する判断基準の一例を示す図である。
【図18】本技術の第2の実施の形態における無線通信装置の表示部370に表示される表示画面例(移転承認画面450)を示す図である。
【図19】本技術の第2の実施の形態における通信システム100を構成する各装置間における通信処理例を示すシーケンスチャートである。
【図20】本技術の第2の実施の形態における通信システム100を構成する各装置間における通信処理例を示すシーケンスチャートである。
【図21】本技術の第2の実施の形態における通信制御装置(第1通信事業者)200による通信処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図22】本技術の第3の実施の形態における各無線通信装置間におけるMCIMの使用権の移転に関する判断基準の一例を示す図である。
【図23】本技術の第3の実施の形態における通信システム100を構成する各装置間における通信処理例を示すシーケンスチャートである。
【図24】本技術の第3の実施の形態における通信システム100を構成する各装置間における通信処理例を示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態と称する)について説明する。説明は以下の順序により行う。
1.第1の実施の形態(通信制御:各無線通信装置に設定されている優先順位に基づいてMCIM(Machine Communication Identity Module)の使用権の移転処理を行う例)
2.第2の実施の形態(通信制御:優先順位が上位の無線通信装置における承認を考慮してMCIMの使用権の移転処理を行う例)
3.第3の実施の形態(通信制御:優先順位が下位の無線通信装置からの申立てを考慮してMCIMの使用権の移転処理を行う例)
【0025】
<1.第1の実施の形態>
[無線通信装置の使用例]
図1は、本技術の第1の実施の形態における複数の無線通信装置(デバイス)の使用例を簡略化して示す図である。
【0026】
図1(a)には、ユーザ60が所有する4つの無線通信装置(第1の無線通信装置300、第2の無線通信装置130、第3の無線通信装置140および第4の無線通信装置150)を示す。
【0027】
第1の無線通信装置300は、例えば、携帯電話装置(例えば、通話機能およびデータ通信機能を備えるスマートフォン)である。また、第2の無線通信装置130は、例えば、無線通信機能を備える撮像装置(例えば、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ(カメラ一体型レコーダ))である。また、第3の無線通信装置140は、例えば、無線通信機能を備える音声出力装置(例えば、携帯型ミュージックプレーヤー)である。また、第4の無線通信装置150は、例えば、無線通信機能を備える表示装置(例えば、デジタルフォトフレーム)である。
【0028】
なお、これらの無線通信装置は、ソフトウェアダウンローダブルSIM(Subscriber Identity Module)を利用することが可能な無線通信装置の一例である。また、ソフトウェアダウンローダブルSIMを利用することが可能な他の無線通信装置(例えば、無線通信機能を備える電子書籍表示装置)についても適用することができる。また、例えば、無線通信機能を備える無線通信機器を装着することにより、無線通信を行うことが可能な情報処理装置(例えば、無線通信機能を備えていないパーソナルコンピュータ)についても適用することができる。なお、第1の無線通信装置300、第2の無線通信装置130、第3の無線通信装置140および第4の無線通信装置150は、特許請求の範囲に記載の情報処理装置の一例である。
【0029】
また、これらの4つの無線通信装置は、所定のネットワークに接続するための接続権を共有するグループ(グループ名:グループAB)に属しているものとする。この接続権は、例えば、MCIM(Machine Communication Identity Module)の使用権として把握することができる。
【0030】
ここで、MCIMは、契約認証情報の一例であり、契約認証情報は、電話の加入者(Subscriber)情報と、認証鍵(Authentication)の情報とを含む情報である。MCIMは、例えば、デバイス購入時には特定の通信事業者(例えば、携帯電話事業者)に限定されず、購入後に柔軟に通信事業者を設定することができる契約認証情報(いわゆる、ソフトSIM)である。また、MCIMをネットワーク上から書き換え可能とすることにより、携帯電話機の販売と通信事業者選択とを分離し易くなり、さらに、複数の無線通信装置間で契約認証情報を容易に共有することができる。また、MCIMの使用権を保持していない場合は、例えば、MCIM自体を保持していない場合、または、MCIMの無効化処理により無効とされたMCIMのみを保持している場合を意味する。
【0031】
図1(b)には、第2の無線通信装置130を用いて写真撮影を行う場合を簡略化して示す。
【0032】
ここで、例えば、第2の無線通信装置130(例えば、カメラ)は、インターネット等のネットワークに接続して通信処理を行うことが比較的少ないと想定される。このため、第2の無線通信装置130については、インターネット等のネットワークに常時接続しておく必要はない。例えば、運動会等のイベントにおいて写真撮影を行った場合に、その写真をコンテンツサーバ(図示せず)にアップロードするため、第2の無線通信装置130を、インターネット等のネットワークに接続することが想定される。
【0033】
すなわち、第2の無線通信装置130(例えば、カメラ)のようなデバイスは、通常時には、限定接続状態としておき、必要に応じて、MCIMの使用権を一時的に利用することにより、対応が可能であることが多い。また、第3の無線通信装置140、第4の無線通信装置140のようなデバイスについても同様であると考えられる。
【0034】
このように、グループABを構成する各無線通信装置をユーザ60が操作することにより、グループABに属する任意の無線通信装置にMCIMの使用権を割り当てることができる。しかしながら、MCIMの使用権が割り当てられていない無線通信装置は、MCIMに基づく通信機能を使用することができないため、動作上多くの制約が発生することが想定される。また、他の無線通信装置にMCIMの使用権を移転すると、特定の処理を継続して行うことができなくなる可能性がある。
【0035】
例えば、ユーザ60は、通常時には、第1の無線通信装置300を使用することが多いため、MCIMの使用権を第1の無線通信装置300に保持させておくものとする。このため、他の無線通信装置において通信処理を行う場合には、ユーザ60による手動操作によりMCIMの使用権を移転するものとする。
【0036】
しかしながら、ユーザ60による誤操作等により、ユーザ60が意図せずに無線通信装置300からMCIMの使用権が解除されたり、意図しない無線通信装置にMCIMの使用権が割り当てられたりすることも考えられる。
【0037】
そこで、本技術の第1の実施の形態では、グループを構成する各無線通信装置に優先順位(優先度)を設定しておき、この優先順位を用いてMCIMの使用権を複数の無線通信装置間において適切に共有する例を示す。
【0038】
[通信システムの構成例]
図2は、本技術の第1の実施の形態における通信システム10のシステム構成例を示すブロック図である。図2では、SHO(Selected Home Operator)およびRO(Registration Operator)から構成されるネットワーク構成を前提とする場合における通信システムの構成例を示す(例えば、非特許文献1参照。)。
【0039】
また、図2(a)には、第1の無線通信装置300が有効なMCIM(MCIMの使用権)301を保持している場合における無線通信例を示す。また、図2(b)には、第1の無線通信装置300が有効なMCIM(MCIMの使用権)301を保持していない場合における無線通信例を示す。
【0040】
通信システム10は、RO20と、SHO30と、基地局21、31と、ネットワーク40と、情報処理装置51と、第1の無線通信装置300とを備える。
【0041】
ここで、RO、SHOは、論理的な役割を示すものであり、異なる事業者により運営されることが想定されるが、同一の事業者により運営されることも想定される。また、RO、SHOは、それぞれ複数存在することも想定される。また、RO、SHOのそれぞれは、情報処理装置として一体として構成されるようにしてもよく、複数の装置により構成されるようにしてもよい。ここで、RO、SHOは、有効なMCIMを有する無線通信装置を基準とする場合における相対的な役割を意味するものである。このため、1つの無線通信装置についてROに相当するものが、他の無線通信装置についてはSHOに相当する可能性もある。
【0042】
図2(a)に示すように、第1の無線通信装置300が有効なMCIM(MCIMの使用権)301を保持している場合には、第1の無線通信装置300は、MCIM301に基づいて、基地局31を介してSHO30と接続することが可能となる。これに対して、図2(b)に示すように、第1の無線通信装置300が有効なMCIM(MCIMの使用権)301を保持していない場合には、第1の無線通信装置300は、SHO30と接続することができない。ただし、この場合には、第1の無線通信装置300は、PCID(Provisional Connectivity Identity)に基づいて、基地局21を介してRO20と接続することが可能となる。
【0043】
ここで、PCIDは、ROに接続するための識別子(例えば、図4に示すネットワーク上の端末識別情報225)であり、ソフトウェアダウンローダブルSIMの仕組みを有する全ての無線通信装置(デバイス)に付与される。
【0044】
ネットワーク40は、電話網、インターネット等のネットワーク(例えば、公衆回線網)である。また、ネットワーク40とSHO30とは、ゲートウェイ(図示せず)を介して接続される。同様に、ネットワーク40とRO20とは、ゲートウェイ(図示せず)を介して接続される。
【0045】
RO20は、初期接続登録等のサービスを提供する無線事業者により管理される通信制御装置である。RO20は、例えば、無線接続サービスを提供する無線事業者(例えば、携帯電話事業者)に対応する。また、RO20は、制御部(図示せず)を備える。
【0046】
RO20の制御部は、基地局21を介して接続される無線通信装置の認証制御を行うものである。例えば、RO20の制御部は、基地局21を介して接続される無線通信装置について、PCIDに基づく認証を行う。そして、RO20は、認証された無線通信装置について、初期接続登録等のサービスを提供する。また、RO20の制御部は、SHO30と接続され、SHO30との間で各種情報のやり取りを行う。
【0047】
基地局21は、無線回線を介して第1の無線通信装置300およびRO20を接続する移動体通信基地局(NodeB)である。
【0048】
SHO30は、無線接続サービスを提供する無線事業者により管理される通信制御装置である。SHO30は、インターネット・サービス等を提供するものであり、例えば、無線接続サービスを提供する無線事業者(例えば、携帯電話事業者)に対応する。また、SHO30は、制御部(図示せず)を備える。
【0049】
SHO30の制御部は、基地局31を介して接続される無線通信装置の認証制御を行うものである。例えば、SHO30の制御部は、基地局31を介して接続される無線通信装置のうち、SHO30の有効なMCIM(契約認証情報)を保持する無線通信装置を認証する。そして、SHO30は、認証された無線通信装置をゲートウェイ(図示せず)を介してネットワーク40に接続する。
【0050】
また、SHO30の制御部は、RO20と接続され、RO20との間で各種情報のやり取りを行う。ここで、有効なMCIM(契約認証情報)を保持していない無線通信装置は、その無線通信装置のPCIDに基づいて、SHO30を介したRO20との接続(限定接続)が可能である。
【0051】
基地局31は、無線回線を介して第1の無線通信装置300およびSHO30を接続する移動体通信基地局(NodeB)である。
【0052】
サービス提供会社50は、コンテンツ保存サービス、コンテンツ配信サービス等の各種通信サービスを提供する会社(SP(Service Provider))であり、これらの通信サービスを提供するための情報処理装置51を備える。また、情報処理装置51は、ネットワーク40を介してRO20およびSHO30に接続される。ここで、各種通信サービスを行う事業者は、無線接続サービスを提供する通信事業者、MVNO(Mobile Virtual Network Operator)(いわゆる、仮想通信事業者と称される事業形態の事業者)等が想定される。
【0053】
情報処理装置51は、ネットワーク40を介して各種通信サービスを提供する情報処理装置であり、無線通信を利用して第1の無線通信装置300に各種通信サービスを提供する。例えば、情報処理装置51は、Webサービス、データダウンロードサービス、データアップロードサービス、オンラインゲーム等の通信サービスを提供する。
【0054】
例えば、図2(a)に示すように、第1の無線通信装置300が有効なMCIM301を保持する場合には、第1の無線通信装置300は、MCIM301に基づいて、無線回線を介して基地局31と接続され、基地局31を介してSHO30と接続される。この場合には、第1の無線通信装置300は、基地局31を介してSHO30と接続され、情報処理装置51からの各種サービスの提供(例えば、コンテンツのダウンロード)を受けることができる。また、有効なMCIM301を保持する第1の無線通信装置300がRO20と接続する場合には、SHO30を介してRO20と接続される。
【0055】
また、図2(b)に示すように、第1の無線通信装置300が有効なMCIM301を保持していない場合は、第1の無線通信装置300は、保持されているPCIDに基づいて、基地局21を介してRO20との接続(限定接続)が可能である。この場合には、第1の無線通信装置300は、基地局21を介してRO20と接続(限定接続)されるが、限定的な通信(例えば、MCIMのダウンロード、MCIMの有効化/無効化)のみを行うことができる。
【0056】
なお、第1の無線通信装置300が有効なMCIM301を保持していない場合には、第1の無線通信装置300は、使用されている位置に応じて、基地局21、31の何れについても接続が可能であり、これらの基地局を介してRO20と接続される。
【0057】
このように、有効なMCIM301を保持していない第1の無線通信装置300については、情報処理装置51からの各種サービスの提供を受けることができない。すなわち、MCIMの使用権を保持していない無線通信装置は、サービス限定接続しているデバイス(RO Connected Device)として把握することができる。これに対して、MCIMの使用権を保持する無線通信装置は、サービス接続(通常接続)しているデバイス(SHO Connected Device)として把握することができる。なお、MCIMの使用権を保持していない無線通信装置は、MCIMの使用権をRO20経由で取得(例えば、MCIMのダウンロード、MCIMの有効化)することにより、SHO30への接続が可能となる。また、第2の無線通信装置130、第3の無線通信装置140、第4の無線通信装置150についても同様である。
【0058】
[通信システムの構成例]
図3は、本技術の第1の実施の形態における通信システム100のシステム構成例を示すブロック図である。
【0059】
通信システム100は、ネットワーク110と、基地局121、122、206と、第1の無線通信装置300と、第2の無線通信装置130と、第3の無線通信装置140と、第4の無線通信装置150とを備える。また、通信システム100は、通信制御装置(第2通信事業者)120と、通信制御装置(第1通信事業者)200とを備える。
【0060】
ここで、通信システム100は、図2に示す通信システム10に対応するシステムである。具体的には、通信制御装置(第2通信事業者)120は、図2に示すSHO30に対応し、通信制御装置(第1通信事業者)200は、図2に示すRO20に対応する。このため、この例では、図2に示す通信システム10と共通する部分についての説明の一部を省略する。
【0061】
ネットワーク110は、電話網、インターネット等のネットワーク(例えば、公衆回線網)である。また、ネットワーク110と通信制御装置(第2通信事業者)120とは、ゲートウェイ(図示せず)を介して接続される。同様に、ネットワーク110と通信制御装置(第1通信事業者)200とは、ゲートウェイ(図示せず)を介して接続される。
【0062】
通信制御装置(第2通信事業者)120は、無線接続サービスを提供する無線事業者により管理される通信制御装置であり、図2に示すSHO30に対応する。すなわち、通信制御装置(第2通信事業者)120は、インターネット・サービス等を提供するものであり、例えば、無線接続サービスを提供する無線事業者(例えば、携帯電話事業者)に対応する。また、通信制御装置(第2通信事業者)は、制御部125を備える。なお、通信制御装置(第2通信事業者)120は、特許請求の範囲に記載の情報処理装置の一例である。
【0063】
制御部125は、基地局121、122を介して接続される無線通信装置の認証制御を行うものである。例えば、制御部125は、基地局121、122を介して接続される無線通信装置のうち、通信制御装置(第2通信事業者)120の有効なMCIM(契約認証情報)を保持する無線通信装置を認証する。そして、通信制御装置(第2通信事業者)は、認証された無線通信装置をゲートウェイ(図示せず)を介してネットワーク110に接続する。
【0064】
また、制御部125は、通信制御装置(第1通信事業者)200と接続され、通信制御装置(第1通信事業者)200との間で各種情報のやり取りを行う。ここで、有効なMCIM(契約認証情報)を保持していない無線通信装置は、その無線通信装置のPCIDに基づいて、通信制御装置(第2通信事業者)120を介した通信制御装置(第1通信事業者)200との接続(限定接続)が可能である。また、制御部125は、MCIMの移転要求を無線通信装置から受信した場合には、その移転要求を通信制御装置(第1通信事業者)200に送信する。
【0065】
基地局121、122は、第1の無線通信装置300、第2の無線通信装置130、第3の無線通信装置140、第4の無線通信装置150と、通信制御装置(第2通信事業者)120とを無線回線を介して接続する移動体通信基地局(NodeB)である。
【0066】
例えば、通信システム100において、有効なMCIMを保持する無線通信装置は、無線回線を介して基地局121、122と接続され、基地局121、122を介して通信制御装置(第2通信事業者)120と接続される。また、有効なMCIMを保持する無線通信装置が通信制御装置(第1通信事業者)200と接続する場合には、通信制御装置(第2通信事業者)120を介して通信制御装置(第1通信事業者)200と接続される。
【0067】
また、有効なMCIMを保持していない無線通信装置は、その無線通信装置のPCIDに基づいて、基地局206を介して通信制御装置(第1通信事業者)200との接続(限定接続)が可能である。なお、有効なMCIMを保持しない無線通信装置は、使用されている位置に応じて、基地局121、122、206の何れについても接続が可能であり、これらの基地局を介して通信制御装置(第1通信事業者)200と接続される。
【0068】
通信制御装置(第1通信事業者)200は、初期接続登録等のサービスを提供する無線事業者により管理される通信制御装置であり、図2に示すRO20に対応する。通信制御装置(第1通信事業者)200は、例えば、無線接続サービスを提供する無線事業者(例えば、携帯電話事業者)に対応する。また、通信制御装置(第1通信事業者)200は、通信部205と、制御部210と、グループ管理データベース220と、設定部230とを備える。
【0069】
通信部205は、制御部210の制御に基づいて、各種情報の送受信を行うものである。通信部205は、例えば、通信制御装置(第2通信事業者)120、基地局206と接続され、これらを介して接続される各無線通信装置との間で各種情報の送受信を行う。
【0070】
制御部210は、通信部205(または、通信部205および通信制御装置(第2通信事業者)120)を介して接続される無線通信装置に関する各種制御を行うものである。例えば、制御部210は、MCIMの使用権を共有する複数の無線通信装置により構成されるグループに関する情報(グループ情報)をグループ管理データベース220から取得する。そして、制御部210は、そのグループ情報を、通信部205、通信制御装置(第2通信事業者)120を介して無線通信装置に供給する。
【0071】
ここで、複数の無線通信装置間においてMCIMの使用権(MCIMを使用する権利)を移転することにより、複数の無線通信装置によりMCIMを共有することができる。この場合には、この共有に係る複数の無線通信装置を1つのグループとして設定することができる。このグループについては、グループ管理データベース220により管理することができる。
【0072】
このグループは、接続権(ネットワーク接続権)を共有するグループである。この接続権は、無線通信を利用して所定のネットワーク(例えば、ネットワーク110)に接続するための権利であり、例えば、MCIMの使用権に対応する。すなわち、接続権は、通信事業者が運営する基地局に接続するためのMCIM(契約認証情報)に基づいて、その基地局に接続するための権利である。また、例えば、接続権の有無は、MCIMの使用権の有無に対応する。
【0073】
グループ管理データベース220は、MCIMを共有する複数の無線通信装置により構成されるグループを管理するためのデータベースである。また、グループ管理データベース220は、複数の無線通信装置と、優先順位(優先度)とを無線通信装置毎に関連付けてグループ単位で記憶する。なお、グループ管理データベース220については、図4を参照して詳細に説明する。また、グループ管理データベース220は、特許請求の範囲に記載の記憶部の一例である。
【0074】
設定部230は、制御部210の制御に基づいて、MCIMを共有する複数の無線通信装置についてユーザ操作または所定規則に基づいて優先度を設定するものである。例えば、無線通信装置毎の優先順位が、優先度として設定される。この優先度の設定については、図6を参照して詳細に説明する。
【0075】
ここで、通信システム100において、MCIMの使用権を移転する例(ネットワーク接続権の移転例)について説明する。例えば、各無線通信装置にMCIMを保持させておく。そして、制御部210からの指示に基づいて、通信制御装置(第2通信事業者)120が各無線通信装置に保持されているMCIMの有効化/無効化を行うことにより、MCIMの使用権を移転することができる。なお、各無線通信装置に保持されているMCIMの有効化/無効化については、通信制御装置(第1通信事業者)200側で行うことも可能である。このため、制御部210が、各無線通信装置に保持されているMCIMの有効化/無効化を行うことにより、MCIMの使用権を移転するようにしてもよい。
【0076】
また、各無線通信装置にMCIMを保持させる代わりに、MCIMそのものを移転することにより、MCIMの使用権を移転するようにしてもよい。例えば、第1の無線通信装置300から第2の無線通信装置130にMCIMの使用権を移転する場合を想定する。例えば、MCIMの移転要求が、第1の無線通信装置300から制御部210に送信される。この場合には、制御部210からの指示に基づいて、第1の無線通信装置300に保持されているMCIMが通信制御装置(第2通信事業者)120により無効(消去)とされる。また、制御部210を介して通信制御装置(第2通信事業者)120から第2の無線通信装置130に設定情報(MCIMを含む)が送信される。この設定情報に含まれるMCIMを第2の無線通信装置130に保持させることにより、第2の無線通信装置130に有効なMCIMが設定される。なお、各無線通信装置への設定情報(MCIMを含む)の送信については、通信制御装置(第1通信事業者)200側で行うことも可能である。このため、制御部210が、各無線通信装置に設定情報(MCIMを含む)を送信することにより、MCIMの使用権を移転するようにしてもよい。
【0077】
このように、通信システム100は、契約認証情報をネットワーク経由で書き換え可能な無線通信装置(デバイス)を有する無線通信システムである。また、通信システム100は、契約認証情報を複数の無線通信装置(デバイス)で共有し、各無線通信装置に設定されている優先順位(優先度)に基づいて、適切な無線通信装置(デバイス)に接続権を割り当てることができる無線通信システムである。すなわち、複数の無線通信装置間において無線通信を利用して接続権の移転を行う場合に、その移転の対象となる各無線通信装置に設定されている優先度に基づいてその移転が行われる。
【0078】
また、制御部210は、MCIMの移転要求を受け付けた場合には、その移転要求に係る各無線通信装置に設定されている優先度に基づいて、各無線通信装置間において接続権を移転させるための制御を行う。
【0079】
[グループ管理データベースの構成例]
図4は、本技術の第1の実施の形態におけるグループ管理データベース220を模式的に示す図である。
【0080】
図4には、グループABに、第1の無線通信装置300、第2の無線通信装置130、第3の無線通信装置140および第4の無線通信装置150が登録されている場合を示す。
【0081】
グループ管理データベース220には、グループ名称221と、グループID222と、グループパスワード223と、デバイスネーム224と、端末識別情報225と、有効無効情報226と、優先順位情報227とがグループ単位で関連付けて記憶されている。これらの情報は、例えば、各無線通信装置からの各要求(グループ追加要求、グループ削除要求)に基づいて、制御部210により順次更新される。
【0082】
グループ名称221には、グループに付与されている名称が格納される。この名称は、例えば、グループの作成時に格納される。
【0083】
グループID222には、グループに付与されているIDが格納される。また、グループパスワード223には、グループに付与されているパスワードが格納される。これらのIDおよびパスワードを用いて、例えば、新たな無線通信装置をグループに追加するグループ追加要求が行われる。また、グループに属する各無線通信装置は、そのグループに付与されているIDおよびパスワードを記憶しておくようにしてもよい(例えば、図5に示すメモリ340に記憶)。または、IDおよびパスワードを無線通信装置に記憶させずにユーザに毎回入力させるような態様とするようにしてもよい。
【0084】
デバイスネーム224には、無線通信装置に付与されている名称が格納される。この名称は、例えば、無線通信装置のグループへの追加登録時に格納される。
【0085】
端末識別情報225には、無線通信装置の端末識別番号が格納される。この端末識別情報は、無線通信装置を識別するための識別情報であり、例えば、PCIDが格納される。また、図4では、端末識別情報225の「PCID#1」が第1の無線通信装置300に対応するものとする。同様に、端末識別情報225の「PCID#2」が第2の無線通信装置130に対応し、端末識別情報225の「PCID#3」が第3の無線通信装置140に対応し、端末識別情報225の「PCID#4」が第4の無線通信装置150に対応するものとする。
【0086】
有効無効情報226には、無線通信装置におけるMCIMが有効であるか、無効(または、MCIMを未保持)であるかを示す情報が格納される。なお、図4では、説明の容易のため、MCIMが有効である無線通信装置には「有効」を示し、MCIMが無効である無線通信装置には「無効」を示す。
【0087】
優先順位情報227には、グループを構成する各無線通信装置に設定されている優先順位(優先度)を示す情報が格納される。この優先順位については、例えば、図6に示す優先順位設定画面400を用いたユーザ操作により設定される。ただし、設定部230が所定規則に基づいて優先順位を自動で設定するようにしてもよい。例えば、各無線通信装置の無線通信機能の使用頻度に応じて優先順位を設定することができる。また、例えば、グループを構成する各無線通信装置を複数のユーザで使用するような場合には、これらの複数のユーザから投票を受け付け、これらの集計結果に応じて優先順位を設定するようにしてもよい。なお、図4では、説明の容易のため、優先順位情報を1位、2位等で簡略化して示す。
【0088】
このように、グループ管理データベース220において、MCIMを共有する複数の無線通信装置により構成されるグループが管理される。なお、本技術の第1の実施では、同一のグループに属する無線通信装置間でMCIMの移転処理が行われることを想定して説明する。
【0089】
ここで、MCIMを共有する複数の無線通信装置により構成されるグループに、新たな無線通信装置を追加する例について説明する。例えば、追加対象となる新たな無線通信装置において、追加登録操作を行うことにより、そのグループに新たな無線通信装置を追加登録することができる。この場合に、新たな無線通信装置以外の1または複数の無線通信装置(グループに登録されている)において、その追加登録の承認操作が行われたことを条件に、そのグループに新たな無線通信装置を追加登録するようにしてもよい。
【0090】
なお、本技術の実施の形態では、説明の容易のため、複数の無線通信装置により構成されるグループについて、1つのMCIMを共有する例を示す。ただし、M個の無線通信装置により構成されるグループについて、N個のMCIM(M>N)を共有する場合についても同様に適用することができる。
【0091】
[無線通信装置の構成例]
図5は、本技術の第1の実施の形態における第1の無線通信装置300の内部構成例を示すブロック図である。なお、第2の無線通信装置130、第3の無線通信装置140および第4の無線通信装置150の内部構成(無線通信機能に関する構成)については、第1の無線通信装置300と同様であるため、ここでの説明を省略する。また、図6以降において、第2の無線通信装置130、第3の無線通信装置140および第4の無線通信装置150を用いて説明する場合には、第1の無線通信装置300に対応する名称および符号を付して説明する。
【0092】
第1の無線通信装置300は、アンテナ311と、アンテナ共用部312と、変調部321と、復調部322と、制御部330と、メモリ340と、MCIM情報記憶部350とを備える。また、第1の無線通信装置300は、操作部360と、表示部370と、位置情報取得部380と、マイクロフォン391と、スピーカ392とを備える。また、各部がバス331により接続される。第1の無線通信装置300は、例えば、通話およびデータ通信が可能な携帯電話装置により実現される。
【0093】
例えば、受信処理が行われる場合には、アンテナ311により受信された電波が、アンテナ共用部312を経由して復調部322により復調され、この復調された受信データが制御部330に供給される。その受信処理が受話処理である場合には、その復調された受信データ(音声データ)が制御部330を経由してスピーカ392から音声として出力される。
【0094】
また、例えば、送信処理が行われる場合には、制御部330により出力された送信データが変調部321により変調され、変調された送信データがアンテナ共用部312を経由してアンテナ311から送信される。その送信処理が送話処理である場合には、マイクロフォン391から入力された音声データが制御部330を経由して変調部321により変調され、変調された送信データ(音声データ)がアンテナ共用部312を経由してアンテナ311から送信される。
【0095】
制御部330は、メモリ340に格納されている制御プログラムに基づいて各種の制御を行うものである。制御部330は、例えば、マイクロプロセッサにより構成される。例えば、制御部330は、変調部321および復調部322と接続され、基地局121、122を介して接続される通信制御装置(第2通信事業者)120との間で行われる各種データの送受信を行う。また、制御部330は、例えば、MCIMを用いずにPCIDに基づく限定接続により無線回線を介して通信制御装置(第1通信事業者)200と接続する接続処理を行う。なお、制御部330は、特許請求の範囲に記載の設定部および制御部の一例である。
【0096】
メモリ340は、制御部330が各種制御を行うための制御プログラム、送信データ、受信データ等を格納するメモリである。メモリ340は、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)により構成される。また、メモリ340には、第1の無線通信装置300を特定するための端末識別情報(PCID#1)と、第1の無線通信装置300のデバイスネーム(例えば、図4に示すデバイスネーム224)とが記憶されている。このデバイスネームについては、例えば、ユーザ操作により登録される。また、メモリ340には、第1の無線通信装置300が属するグループABに付与されているIDおよびパスワード(例えば、図4に示すグループID222、グループパスワード223)が記憶されている。このグループIDおよびパスワードについては、例えば、グループ追加要求に応じたグループ追加認証結果に含めて、通信制御装置(第1通信事業者)200から送信されて、メモリ340に記録される。
【0097】
MCIM情報記憶部350は、MCIM(契約認証情報)を保持するメモリである。MCIM情報記憶部350として、例えば、UICC(Universal Integrated Circuit)カードを用いるようにしてもよく、MCIMをセキュアに保つための専用メモリを用いるようにしてもよい。なお、MCIM情報記憶部350としてUICCカードを用いる場合には、MCIMが固定的に書き込まれているものではなく、MCIMの有効化処理および無効化処理が可能なものを用いる。すなわち、アンテナ311から受信して復調された移転情報に基づいて制御部330がMCIMの有効化処理および無効化処理が可能なものを用いる。また、MCIMの書換処理が可能なものを用いる。なお、MCIMの有効化処理および無効化処理については、3GPP(Third Generation Partnership Project)に規定されている有効化処理および無効化処理により行うことができる。また、メモリ340にセキュアな領域を確保することにより、MCIM情報記憶部350をメモリ340内に設けるようにしてもよい。
【0098】
操作部360は、ユーザにより操作された操作入力を受け付ける操作受付部であり、受け付けられた操作入力に応じた信号を制御部330に出力する。操作部360は、数字キーやアルファベットキー等の各種キーを備える。
【0099】
表示部370は、制御部330の制御に基づいて、各種情報(文字情報や時刻情報等)を表示する表示部である。表示部370は、例えば、各種設定を行うための情報(例えば、図6、図7に示す表示画面)を表示する。なお、表示部370として、例えば、有機EL(Electro Luminescence)パネル、LCD(Liquid Crystal Display)パネル等の表示パネルを用いることができる。なお、操作部360および表示部370については、使用者がその指を表示面に接触または近接することにより操作入力を行うことが可能なタッチパネルを用いて一体で構成することができる。
【0100】
位置情報取得部380は、第1の無線通信装置300が存在する位置を示す位置情報を取得するものであり、この取得された位置情報を制御部330に出力する。位置情報取得部380は、例えば、GPS(Global Positioning System)信号受信アンテナ(図示せず)により受信されたGPS信号に基づいて位置情報を算出するGPSユニットにより実現することができる。この算出された位置情報には、GPS信号の受信時における緯度、経度、高度等の位置に関する各データが含まれる。また、他の位置情報の取得方法により位置情報を取得する位置情報取得装置を用いるようにしてもよい。例えば、周囲に存在する無線LAN(Local Area Network)によるアクセスポイント情報を用いて位置情報を導き出し、この位置情報を取得する位置情報取得装置を用いるようにしてもよい。
【0101】
[優先順位設定画面の表示例]
図6は、本技術の第1の実施の形態における第1の無線通信装置300の表示部370に表示される表示画面例(優先順位設定画面400)を示す図である。
【0102】
優先順位設定画面400は、グループABを構成する無線通信装置の優先順位を設定するための設定操作を行うための表示画面である。優先順位設定画面400は、例えば、第1の無線通信装置300におけるユーザ操作に応じて通信制御装置(第1通信事業者)200から送信される情報に基づいて表示される。例えば、優先順位設定画面400の表示要求を行うための表示画面(第1の無線通信装置300の表示部370に表示)において、ユーザ操作により、グループABのグループパスワードおよびグループIDが入力される。これらの入力されたグループパスワードおよびグループIDについて、通信制御装置(第1通信事業者)200が認証処理を行う。そして、その認証処理により認証がされた場合に、通信制御装置(第1通信事業者)200から第1の無線通信装置300に、優先順位設定画面400を表示するための情報が送信される。
【0103】
優先順位設定画面400には、デバイス一覧表示領域401と、優先順位表示領域402と、矢印ボタン403乃至405と、確定ボタン406と、戻るボタン407とが設けられている。
【0104】
デバイス一覧表示領域401は、グループABを構成する各無線通信装置を一覧表示するための領域である。
【0105】
優先順位表示領域402は、グループABを構成する各無線通信装置を優先順位に従って一覧表示するための領域である。すなわち、優先順位表示領域402には、ユーザ操作により設定された優先順位に従って、グループABを構成する各無線通信装置が一覧表示される。
【0106】
矢印ボタン403乃至405は、グループABを構成する各無線通信装置の優先順位の設定操作を行う際に用いられるボタンである。具体的には、矢印ボタン403は、デバイス一覧表示領域401に表示されている無線通信装置(グループABを構成する各無線通信装置)を優先順位表示領域402に表示させるためのボタンである。
【0107】
ここで、図6では、デバイス一覧表示領域401に表示されている4つの無線通信装置のうち、2つの無線通信装置(第1の無線通信装置300、第3の無線通信装置140)が優先順位表示領域402に表示されている例を示す。この場合に、例えば、デバイス一覧表示領域401に表示されている無線通信装置のうち、第2の無線通信装置130(カメラ君)を選択状態(例えば、異なる色が付された状態)として矢印ボタン403を押下する。このように選択状態として矢印ボタン403が押下されると、その選択状態の第2の無線通信装置130(カメラ君)が優先順位表示領域402における最下位(一番下に表示されている第3の無線通信装置140(音楽さん)の下側)に表示される。
【0108】
また、矢印ボタン404および405は、優先順位表示領域402に表示されている無線通信装置の優先順位を入れ替えるためのボタンである。例えば、図6に示すように、優先順位表示領域402に表示されている無線通信装置のうち、第3の無線通信装置140(音楽さん)を選択状態(例えば、異なる色が付された状態)として矢印ボタン404を押下する。このような選択状態において矢印ボタン404が押下されると、その選択状態の第3の無線通信装置140(音楽さん)が優先順位表示領域402における1つ上側に移動する。すなわち、矢印ボタン404が一度押下されると、選択状態の無線通信装置の優先順位が1つ上がる。一方、矢印ボタン405が一度押下されると、選択状態の無線通信装置の優先順位が1つ下がる。このように、矢印ボタン404および405の何れかが押下された場合には、その押下されたボタンの方向に、その押下の回数に応じて優先順位が変更される。すなわち、矢印ボタン404および405の押下に応じて、優先順位表示領域402に表示されている無線通信装置の優先順位が順次変更される。
【0109】
確定ボタン406は、上述した各操作(入力操作)がされた後に、その操作内容を確定する際に押下されるボタンである。すなわち、確定ボタン406が押下された場合には、優先順位表示領域402に表示されている優先順位(グループABを構成する各無線通信装置の優先順位)が確定される。また、確定ボタン406が押下された場合には、制御部330は、優先順位表示領域402に表示されている優先順位に関する情報(優先順位設定情報)を通信制御装置(第1通信事業者)200に送信する。すなわち、制御部330は、MCIMを共有する複数の無線通信装置についてユーザ操作または所定規則に基づいて優先度を設定する設定部として把握することができる。また、その優先順位設定情報の内容を、通信制御装置(第1通信事業者)200の設定部230が、グループ管理データベース220の優先順位情報227に格納する。
【0110】
戻るボタン407は、例えば、直前に表示されていた表示画面に戻る場合に押下されるボタンである。なお、図6では、第1の無線通信装置300を用いて優先順位を設定する例を示すが、優先順位の設定後には、優先順位を設定(変更)することができる無線通信装置を制限するようにしてもよい。例えば、優先順位が1位の無線通信装置のみに優先順位を設定する権利を付与することができる。また、自機に設定されている優先順位よりも下位の優先順位のみを設定する権利を各無線通信装置に付与するようにしてもよい。
【0111】
[移転先設定画面の表示例]
図7は、本技術の第1の実施の形態における第1の無線通信装置300の表示部370に表示される表示画面例(移転先設定画面410)を示す図である。
【0112】
移転先設定画面410は、グループに属する各無線通信装置に関する情報(グループ情報)を一覧表示してMCIMの使用権を移転させるための表示画面である。移転先設定画面410は、例えば、第1の無線通信装置300に実行させる機能を選択するための表示画面(例えば、メニュー画面)における選択操作に応じて表示される。また、移転先設定画面410は、通信制御装置(第1通信事業者)200のグループ管理データベース220の内容に基づいて表示される。
【0113】
具体的には、移転先設定画面410には、移転元表示領域411と、デバイス一覧表示領域412と、ラジオボタン表示領域413と、確定ボタン414と、戻るボタン415とが設けられている。
【0114】
移転元表示領域411には、グループに属する各無線通信装置のうちでMCIMの使用権を保持する無線通信装置を表す名称等が表示される。例えば、グループ管理データベース220に格納されているデバイスネームおよび端末識別情報(図4に示すデバイスネーム224および端末識別情報225)が表示される。
【0115】
デバイス一覧表示領域412には、グループに属する各無線通信装置を表す名称等が一覧表示される。移転元表示領域411と同様に、例えば、グループ管理データベース220に格納されているデバイスネームおよび端末識別情報(図4に示すデバイスネーム224および端末識別情報225)が表示される。
【0116】
ラジオボタン表示領域413には、グループに属する各無線通信装置間でMCIMの使用権を移転させる場合に、移転先の無線通信装置を選択するためのラジオボタンが表示される。すなわち、ラジオボタン表示領域413には、デバイス一覧表示領域412に表示されている無線通信装置毎にラジオボタンが表示される。例えば、移転先の無線通信装置の選択操作が行われた場合には、その選択された無線通信装置に対応するラジオボタン表示領域413に黒丸が付される。
【0117】
確定ボタン414は、移転先設定画面410において、MCIMの使用権を移転させる操作が行われた後に、その操作を確定する際に押下されるボタンである。
【0118】
戻るボタン415は、例えば、直前に表示されていた表示画面に戻る場合に押下されるボタンである。
【0119】
[MCIMの使用権の移転に関する判断基準例]
ここで、図7に示す移転先設定画面410においてMCIMの使用権の移転指示操作が行われた場合を想定する。この場合には、その移転指示操作に応じて通信制御装置(第1通信事業者)200により移転処理が行われる。しかしながら、ユーザによる誤操作や意図しない操作等により、ユーザが意図しない無線通信装置にMCIMの使用権が割り当てられたりすることも考えられる。そこで、本技術の第1の実施の形態では、操作を行う無線通信装置(操作デバイス)と、移転元および移転先の無線通信装置の上下関係(優先順位の上下関係)とに基づいて、MCIMの使用権を移転するか否かを判断する。
【0120】
本技術の実施の形態では、MCIMの使用権を移転するか否かを判断する際における判断基準として、次の3つの例を示す。
(1)優先順位のみに基づいてMCIMの使用権の移転の可否を判断する例(第1の実施の形態)
(2)上位デバイスによる承認を考慮してMCIMの使用権の移転の可否を判断する例(第2の実施の形態)
(3)下位デバイスからの申立てを考慮してMCIMの使用権の移転の可否を判断する例(第3の実施の形態)
【0121】
図8は、本技術の第1の実施の形態における各無線通信装置間におけるMCIMの使用権の移転に関する判断基準の一例を示す図である。
【0122】
図8では、操作デバイス421と、上位デバイスから下位デバイスへのMCIMの使用権の移転422と、下位デバイスから上位デバイスへのMCIMの使用権の移転423との関係例を示す。
【0123】
操作デバイス421には、移転指示操作を行う無線通信装置の優先順位に関する情報を示す。
【0124】
上位デバイスから下位デバイスへのMCIMの使用権の移転422には、上位の無線通信装置から下位の無線通信装置へのMCIMの使用権の移転指示操作が行われた場合におけるその移転の可否を示す。
【0125】
下位デバイスから上位デバイスへのMCIMの使用権の移転423には、下位の無線通信装置から上位の無線通信装置へのMCIMの使用権の移転指示操作が行われた場合におけるその移転の可否を示す。
【0126】
このように、下位の無線通信装置から上位の無線通信装置へのMCIMの使用権の移転指示操作が行われた場合には、その移転指示操作に応じてMCIMの使用権が移転される。これに対して、上位の無線通信装置から下位の無線通信装置へのMCIMの使用権の移転指示操作が行われた場合には、その移転指示操作に応じたMCIMの使用権の移転が制限される。すなわち、その移転指示操作が、その移転の対象となる2つの無線通信装置のうち、優先順位が上位となる無線通信装置による操作である場合のみ、その移転指示操作に応じたMCIMの使用権の移転が行われる。
【0127】
ここで、例えば、図4に示すように、第2の無線通信装置130に設定されている優先順位が、第1の無線通信装置300に設定されている優先順位よりも低い場合を想定する。この場合に、通信制御装置(第1通信事業者)200の制御部210は、MCIMの移転要求を受け付けた場合には、その移転要求に係る各無線通信装置の優先順位に基づいて、その各無線通信装置間においてMCIMの使用権を移転させるための制御を行う。
【0128】
例えば、第2の無線通信装置130から第1の無線通信装置300にMCIMの使用権を移転するための移転要求を受け付けた場合を想定する。この場合には、制御部210は、第2の無線通信装置130から第1の無線通信装置300にMCIMの使用権を移転させるための制御を行う。
【0129】
また、例えば、第1の無線通信装置300から第2の無線通信装置130にMCIMの使用権を移転するための移転要求を、第1の無線通信装置300から受け付けた場合を想定する。この場合には、制御部210は、第1の無線通信装置300から第2の無線通信装置130にMCIMの使用権を移転させるための制御を行う。一方、その移転要求を、第1の無線通信装置300以外の無線通信装置から受け付けた場合には、第1の無線通信装置300から第2の無線通信装置130にMCIMの使用権は移転されない。
【0130】
[移転結果通知画面の表示例]
図9は、本技術の第1の実施の形態における無線通信装置の表示部370に表示される表示画面例(移転結果通知画面430、433)を示す図である。移転結果通知画面430、433は、MCIMの使用権の移転処理を行った後の移転先および移転元の無線通信装置に表示される表示画面である。
【0131】
図9(a)には、MCIMの使用権の移転処理を行った後の移転元の無線通信装置(例えば、第1の無線通信装置300)に表示される移転結果通知画面430を示す。移転結果通知画面430には、MCIMの使用権の移転処理を行った旨が表示され、移転先デバイス表示領域431および確認ボタン432が表示される。
【0132】
移転先デバイス表示領域431には、MCIMの使用権が移転された移転先の無線通信装置に関する情報が表示される。移転先の無線通信装置に関する情報として、例えば、デバイスネームおよび端末識別情報が表示される。
【0133】
確認ボタン432は、移転結果通知画面430の内容を確認した後に、他の表示画面(例えば、初期画面)に遷移する際に押下されるボタンである。
【0134】
図9(b)には、MCIMの使用権の移転処理を行った後の移転先の無線通信装置(例えば、第2の無線通信装置130)に表示される移転結果通知画面433を示す。移転結果通知画面433には、MCIMの使用権が移転された旨が表示され、移転元デバイス表示領域434および確認ボタン435が表示される。
【0135】
移転元デバイス表示領域434は、MCIMの使用権が移転された際におけるその移転元の無線通信装置に関する情報が表示される領域である。移転元の無線通信装置に関する情報として、例えば、デバイスネームおよび端末識別情報が表示される。
【0136】
確認ボタン435は、移転結果通知画面433の内容を確認した後に、他の表示画面(例えば、初期画面)に遷移する際に押下されるボタンである。
【0137】
[移転不可通知画面の表示例]
図10は、本技術の第1の実施の形態における無線通信装置の表示部370に表示される表示画面例(移転不可通知画面436)を示す図である。
【0138】
移転不可通知画面436は、MCIMの使用権の移転指示操作を行った後に、その移転指示操作に係る移転を行わないと判断された場合に、その移転指示操作を行った無線通信装置に表示される表示画面である。すなわち、図8に示す判断基準例において、「不可」となる場合に移転不可通知画面436が表示される。
【0139】
移転不可通知画面436には、MCIMの使用権の移転処理を行うことができない旨が表示され、確認ボタン437が表示される。
【0140】
確認ボタン437は、移転不可通知画面436の内容を確認した後に、他の表示画面(例えば、初期画面)に遷移する際に押下されるボタンである。
【0141】
[MCIMの使用権の移転処理を行う場合における通信例]
図11および図12は、本技術の第1の実施の形態における通信システム100を構成する各装置間における通信処理例を示すシーケンスチャートである。
【0142】
図11および図12では、グループABにおいて、第1の無線通信装置300がMCIMの使用権を保持している場合を想定して説明する。また、グループABを構成する各無縁通信装置に設定されている優先順位については、図4に示すものとする。また、図11および図12では、第1の無線通信装置300を操作することにより、第1の無線通信装置300から第2の無線通信装置130にMCIMの使用権を移転させる場合における通信処理例を示す。すなわち、優先順位が上位の無線通信装置を用いて、優先順位が上位の無線通信装置から下位の無線通信装置にMCIMの使用権を移転するための移転指示操作を行う例を示す。
【0143】
なお、図11および図12では、第1の無線通信装置300が通信制御装置(第2通信事業者)120と接続状態(501)とされているものとする。また、第2の無線通信装置130および第3の無線通信装置140が通信制御装置(第1通信事業者)200と接続状態(502、503)とされているものとする。なお、第4の無線通信装置150等については、図示を省略する。
【0144】
最初に、ユーザ操作により、MCIMの使用権を移転するための操作(MCIMの移転指示操作)を行うための表示画面を第1の無線通信装置300の表示部370に表示させる(504)。例えば、第1の無線通信装置300の表示部370には、図7に示す移転先設定画面410が表示される。
【0145】
ここで、第1の無線通信装置300の制御部330は、例えば、通信制御装置(第2通信事業者)120を介して通信制御装置(第1通信事業者)200のグループ管理データベース220からグループ情報を定期的または不定期に取得する。そして、第1の無線通信装置300の制御部330は、その取得されたグループ情報をメモリ340に記憶しておくことができる。このように、メモリ340に記憶されているグループ情報に基づいて、制御部330は、図7に示す移転先設定画面410を表示部370に表示させることができる。また、制御部330は、移転先設定画面410を表示させるためのユーザ操作が受け付けられる毎に、通信制御装置(第2通信事業者)120を介して通信制御装置(第1通信事業者)200からグループ情報を取得するようにしてもよい。この場合には、制御部330は、その取得されたグループ情報に基づいて、移転先設定画面410を表示部370に表示させることができる。
【0146】
このように、図7に示す移転先設定画面410が表示部370に表示されている場合に(504)、MCIMの使用権を移転させる移転先のラジオボタン(ラジオボタン表示領域413)に黒丸が付される(505)。
【0147】
例えば、第2の無線通信装置130を移転先とする場合には、図7に示すように、そのラジオボタン(ラジオボタン表示領域413)に黒丸が付される。このように、移転先のラジオボタン(ラジオボタン表示領域413)に黒丸が付された後に、確定ボタン414が押下される(505)。このように、第1の無線通信装置300においてMCIMの移転指示操作が受け付けられた場合には(505)、MCIMの移転要求が第1の無線通信装置300から通信制御装置(第1通信事業者)200に送信される(506乃至509)。この場合には、第1の無線通信装置300が通信制御装置(第2通信事業者)120と接続状態(501)とされている。このため、MCIMの移転要求は、第1の無線通信装置300から通信制御装置(第1通信事業者)200に通信制御装置(第2通信事業者)120を介して送信される(506乃至509)。
【0148】
ここで、MCIMの移転要求には、その操作を行った無線通信装置(操作端末)の端末識別情報(PCID#1)と、移転元および移転先の無線通信装置の端末識別情報(PCID#1、PCID#2)が含まれる。操作端末および移転元(第1の無線通信装置300)の端末識別情報(PCID#1)として、例えば、メモリ340に記憶されている端末識別情報(例えば、図4に示す端末識別情報225)を用いることができる。また、移転先(第2の無線通信装置130)の端末識別情報(PCID#2)として、例えば、グループ情報に含まれる端末識別情報(例えば、図4に示す端末識別情報225)を用いることができる。なお、MCIMの移転要求にグループABのIDおよびパスワードを含め、これらを通信制御装置(第1通信事業者)200における認証処理に用いるようにしてもよい。
【0149】
MCIMの移転要求を受信すると(509)、通信制御装置(第1通信事業者)200の制御部210は、受信したMCIMの移転要求に係る移転処理を行うか否かをグループ管理データベース220を用いて確認する(510)。
【0150】
具体的には、通信制御装置(第1通信事業者)200の制御部210は、受信したMCIMの移転要求に含まれる移転元の端末識別情報に基づいて、MCIMの移転要求を送信した無線通信装置が属するグループを抽出する。すなわち、受信したMCIMの移転要求に含まれる移転元の端末識別情報に一致する端末識別情報がグループ管理データベース220から抽出され、この抽出された端末識別情報に係るグループが抽出される。例えば、移転元の第1の無線通信装置300が属するグループとして「グループAB(図4に示す)」が抽出される。
【0151】
そして、通信制御装置(第1通信事業者)200の制御部210は、受信したMCIMの移転要求に含まれる移転元および移転先の各無線通信装置が同一のグループに属するか否かを判断する。なお、受信したMCIMの移転要求に含まれる移転元および移転先の各無線通信装置が同一のグループに属していない場合には、操作端末(第1の無線通信装置300)に、MCIMの使用権の移転処理を行うことができない旨が通知される。
【0152】
また、受信したMCIMの移転要求に含まれる移転元および移転先の各無線通信装置が同一のグループに属している場合には、移転元および移転先の各無線通信装置のそれぞれの優先順位が確認される。例えば、移転元の優先順位が下位であり、移転先の優先順位が上位である場合には、図8に示す判断基準例では「可」となる。このため、受信したMCIMの移転要求に係る移転処理が行われる。
【0153】
また、例えば、移転元の優先順位が上位であり、移転先の優先順位が下位である場合には、移転指示操作がその移転元(優先順位が上位)による操作である場合のみ、図8に示す判断基準例では「可」となる。このため、受信したMCIMの移転要求に係る移転処理が行われる。しかしながら、移転元の優先順位が上位であり、移転先の優先順位が下位である場合において、移転指示操作がその移転元(優先順位が上位)による操作でない場合には、図8に示す判断基準例では「不可」となる。このため、受信したMCIMの移転要求に移転処理が行われない。
【0154】
このように、通信制御装置(第1通信事業者)200の制御部210は、移転元および移転先の優先順位に基づいて、受信したMCIMの移転要求に係る移転処理を行うか否かを判断する(510)。そして、通信制御装置(第1通信事業者)200の制御部210は、受信したMCIMの移転要求に係る移転処理を行うと判断した場合には、MCIMの無効化情報を第1の無線通信装置300に送信する(511乃至514)。このMCIMの無効化情報は、移転元の無線通信装置に保持されているMCIMの使用権を無効化するための情報である。
【0155】
MCIMの無効化情報を第1の無線通信装置300が受信すると(514)、第1の無線通信装置300の制御部330は、MCIM情報記憶部350に記憶されているMCIMの無効化処理を行う(515)。これにより、第1の無線通信装置300に保持されているMCIMが無効化され、第1の無線通信装置300は、MCIMに基づく通信制御装置(第2通信事業者)120との接続を行うことができなくなる。このため、第1の無線通信装置300は、PCIDに基づく限定接続により通信制御装置(第1通信事業者)200と接続する接続状態となる(516)。
【0156】
このように、移転元におけるMCIMの無効化処理が行われ(515)、移転元および通信制御装置(第2通信事業者)120の接続が切断されると、この切断を通信制御装置(第1通信事業者)200の制御部210が検出する(517)。例えば、MCIMの無効化処理が行われた後に、その旨を移転元(第1の無線通信装置300)から通信制御装置(第1通信事業者)200に送信することにより、その切断を制御部210が検出することができる(517)。また、PCIDに基づく限定接続により移転元(第1の無線通信装置300)が通信制御装置(第1通信事業者)200と接続する状態(接続状態)となったことを制御部210が検出することにより、その切断を制御部210が検出することができる(517)。
【0157】
このように、移転元および通信制御装置(第2通信事業者)120の切断を制御部210が検出すると(517)、制御部210は、グループ管理データベース220の内容を更新する(518)。例えば、図4に示す有効無効情報226について、第1の無線通信装置300(端末識別情報225「PCID#1」)が「有効」から「無効」に変更される。一方、第2の無線通信装置130(端末識別情報225「PCID#2」)が「無効」から「有効」に変更される。
【0158】
また、移転元および通信制御装置(第2通信事業者)120の切断を通信制御装置(第1通信事業者)200の制御部210が検出すると(517)、制御部210は、MCIMの設定情報を第2の無線通信装置130に送信する(519、520)。このMCIMの設定情報は、無線通信装置にMCIMの使用権を設定するための情報(有効化情報)である。なお、第2の無線通信装置130が通信制御装置(第1通信事業者)200と接続状態(502)とされているため、MCIMの設定情報は、通信制御装置(第1通信事業者)200から第2の無線通信装置130に直接送信される(519、520)。
【0159】
MCIMの設定情報を第2の無線通信装置130が受信すると(520)、第2の無線通信装置130の制御部330は、MCIM情報記憶部350に記憶されているMCIMの設定処理(有効化処理)を行う(522)。これにより、第2の無線通信装置130にMCIMの使用権が設定されるため、第2の無線通信装置130は、MCIMに基づく通信制御装置(第2通信事業者)120との接続を行うことができる。このため、第2の無線通信装置130は、MCIMに基づく接続により通信制御装置(第2通信事業者)120と接続する接続状態となる(523)。
【0160】
このように、優先順位が上位である無線通信装置においてMCIMの移転指示操作が行われた場合には、MCIMの使用権の移転に係る承認等を行うことなく、移転処理を行う。
【0161】
なお、この例では、MCIMの有効化/無効化を行うことにより、MCIMの使用権を移転する例を示したが、MCIMそのものを転送することにより、MCIMの使用権を移転するようにしてもよい。この場合には、MCIMの無効化情報が第1の無線通信装置300に送信されると、第1の無線通信装置300に保持されているMCIMが無効(消去)とされる。一方、MCIMの設定情報(MCIMを書き込むための情報を含む)が第2の無線通信装置130に送信されると、その設定情報に基づいて、第2の無線通信装置130のMCIM情報記憶部350に有効なMCIMが記録される。これにより、第2の無線通信装置130にMCIMの使用権が設定される。
【0162】
また、図11および図12では、優先順位が上位の無線通信装置を用いて、優先順位が上位から下位へのMCIMの使用権の移転に係る移転指示操作を行う例を示したが、その移転指示操作を他の無線通信装置において行うことも想定される。この例を図13に示す。
【0163】
[MCIMの使用権の移転処理を行う場合における通信例]
図13は、本技術の第1の実施の形態における通信システム100を構成する各装置間における通信処理例を示すシーケンスチャートである。具体的には、移転元の優先順位が上位であり、移転先の優先順位が下位である場合に、その移転元以外の無線通信装置を用いてMCIMの使用権の移転処理を行う場合における通信例を示す。
【0164】
なお、図13に示すシーケンスチャートは、図11および図12の変形例であるため、図11および図12と共通する部分については、その説明の一部を省略する。また、図13では、MCIMの使用権を保持していない第3の無線通信装置140を用いて移転要求を行う例について説明する。
【0165】
図13に示す各処理(525乃至528)は、図11に示す各処理(504乃至509)に対応する。ただし、上述したように、第3の無線通信装置140は通信制御装置(第1通信事業者)200と接続状態(503)とされている。このため、第3の無線通信装置140および通信制御装置(第1通信事業者)200間における情報のやりとりが、通信制御装置(第1通信事業者)200および第3の無線通信装置140間で直接行われる点が異なる。
【0166】
MCIMの移転要求を受信すると(528)、通信制御装置(第1通信事業者)200の制御部210は、受信したMCIMの移転要求に係る移転処理を行うか否かをグループ管理データベース220を用いて確認する(529)。
【0167】
ここで、図13に示す例では、移転元の優先順位が上位であり、移転先の優先順位が下位であり、移転指示操作がその移転元(優先順位が上位)による操作でないため、図8に示す判断基準例では「不可」となる。このため、通信制御装置(第1通信事業者)200の制御部210は、受信したMCIMの移転要求に係る移転処理を行わないと判断する(529)。
【0168】
続いて、通信制御装置(第1通信事業者)200の制御部210は、MCIMの移転要求を行った無線通信装置(第3の無線通信装置140)に、MCIMの使用権の移転処理を行うことができない旨の移転不可通知を送信する(529、531)。この移転不可通知は、例えば、図10に示す移転不可通知画面436を、第3の無線通信装置140の表示部370に表示させるための情報である。
【0169】
第3の無線通信装置140が、移転不可通知を受信した場合には(531)、その移転不可通知を表示部370に表示する(532)。例えば、図10に示す移転不可通知画面436が第3の無線通信装置140の表示部370に表示される。
【0170】
なお、図13では、第3の無線通信装置140を用いてMCIMの移転指示操作を行う例を示した。ただし、第2の無線通信装置を130や他の無線通信装置(グループABに属しない無線通信装置を含む)を用いてMCIMの移転指示操作を行う場合についても同様とすることができる。
【0171】
[MCIMの使用権の移転処理を行う場合における通信例]
図14および図15は、本技術の第1の実施の形態における通信システム100を構成する各装置間における通信処理例を示すシーケンスチャートである。具体的には、移転元の優先順位が下位であり、移転先の優先順位が上位である場合に、移転対象以外の無線通信装置を用いてMCIMの使用権の移転処理を行う場合における通信例を示す。
【0172】
なお、図14および図15に示すシーケンスチャートは、図11および図12の変形例であるため、図11および図12と共通する部分については、その説明の一部を省略する。また、図14および図15では、MCIMの使用権を保持せず、移転対象(移転元、移転先)とはならない第3の無線通信装置140を用いて移転要求を行う例について説明する。
【0173】
また、図14および図15では、第2の無線通信装置130がMCIMの使用権を保持し、第2の無線通信装置130が通信制御装置(第2通信事業者)120と接続状態(536)とされているものとする。また、第1の無線通信装置300および第3の無線通信装置140が通信制御装置(第1通信事業者)200と接続状態(535、537)とされているものとする。なお、第4の無線通信装置150等については、図示を省略する。
【0174】
図14に示す各処理(538乃至541)は、図11に示す各処理(504乃至509)に対応する。ただし、上述したように、第3の無線通信装置140は通信制御装置(第1通信事業者)200と接続状態(537)とされている。このため、第3の無線通信装置140および通信制御装置(第1通信事業者)200間における情報のやりとりが、通信制御装置(第1通信事業者)200および第3の無線通信装置140間で直接行われる点が異なる。
【0175】
MCIMの移転要求を受信すると(541)、通信制御装置(第1通信事業者)200の制御部210は、受信したMCIMの移転要求に係る移転処理を行うか否かをグループ管理データベース220を用いて確認する(542)。
【0176】
ここで、図14および図15に示す例では、移転元の優先順位が下位であり、移転先の優先順位が上位であるため、図8に示す判断基準例では「可」となる。このため、通信制御装置(第1通信事業者)200の制御部210は、受信したMCIMの移転要求に係る移転処理を行うと判断する(542)。
【0177】
図14および図15に示す各処理(543乃至554)は、図11および図12に示す各処理(511乃至523)に対応する。ただし、MCIMの使用権の移転元および移転先が逆となっている点が異なる。
【0178】
[通信システムの動作例]
次に、本技術の第1の実施の形態における通信システム100の動作について図面を参照して説明する。
【0179】
[通信制御装置(第1通信事業者)の動作例]
図16は、本技術の第1の実施の形態における通信制御装置(第1通信事業者)200による通信処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0180】
制御部210は、MCIMの移転要求を受信したか否かを判断し(ステップS901)、MCIMの移転要求を受信していない場合には、監視を継続して行う。MCIMの移転要求を受信した場合には(ステップS901)、制御部210は、受信したMCIMの移転要求に係る移転対象となる無線通信装置が属するグループをグループ管理データベース220から抽出する(ステップS902)。なお、ステップS901は、特許請求の範囲に記載の受付手順の一例である。
【0181】
続いて、制御部210は、受信したMCIMの移転要求に係る移転対象となる2つの無線通信装置(移転元、移転先)が同一のグループに属するか否かを判断する(ステップS903)。そして、移転対象となる2つの無線通信装置が同一のグループに属しない場合には(ステップS903)、制御部210は、そのMCIMの移転要求を送信した無線通信装置に移転不可通知を送信する(ステップS906)。この移転不可通知は、受信したMCIMの移転要求に係る移転は不可である旨を示す通知である。
【0182】
また、移転対象となる2つの無線通信装置が同一のグループに属する場合には(ステップS903)、制御部210は、受信したMCIMの移転要求は、優先順位が上位から下位への移転要求であるか否かを判断する(ステップS904)。その移転要求が、優先順位が上位から下位への移転要求でない場合(すなわち、下位から上位への移転要求である場合)には(ステップS904)、ステップS907に進む。一方、その移転要求が、上位から下位への移転要求である場合には(ステップS904)、制御部210は、その移転要求を送信した無線通信装置が所定条件を満たすか否かを判断する(ステップS905)。この所定条件は、その移転要求を送信した無線通信装置が、その移転要求に係る移転対象となる無線通信装置であり、かつ、優先順位が上位の無線通信装置であることである。
【0183】
その移転要求を送信した無線通信装置が、移転対象となる無線通信装置でない場合、または、その移転要求が、優先順位が下位となる無線通信装置からの送信である場合には(ステップS905)、ステップS906に進む。
【0184】
その移転要求を送信した無線通信装置が、その移転要求に係る移転対象となる無線通信装置であり、かつ、優先順位が上位の無線通信装置である場合には(ステップS905)、制御部210は、MCIMの無効化情報を移転元に送信する(ステップS907)。
【0185】
続いて、制御部210は、MCIMの無効化処理が行われた移転元および通信制御装置(第2通信事業者)120の接続の切断を検出したか否かを判断し(ステップS908)、その切断を検出していない場合には、監視を継続して行う。その切断を検出した場合には(ステップS908)、制御部210は、グループ管理データベース220の内容を更新する(ステップS909)。すなわち、MCIMの使用権の移転処理後の内容となるように、グループ管理データベース220の内容が更新される。
【0186】
続いて、制御部210は、MCIMの設定情報を移転先に送信する(ステップS910)。なお、ステップS902乃至S910は、特許請求の範囲に記載の制御手順の一例である。
【0187】
このように、本技術の第1の実施の形態では、MCIMの使用権を共有するグループを構成する各無線通信装置に優先順位を設定する。このように各無線通信装置に優先順位を設定することにより、通信リソースを適切に割り当てることができる。すなわち、MCIMの使用権を適切に移転することができる。例えば、所定条件(優先順位が高い無線通信装置による移転指示操作)を満たさない場合には、優先順位が低い無線通信装置へのMCIMの使用権の移転を禁止することができる。
【0188】
また、例えば、ユーザによる誤操作(例えば、MCIMの移転指示操作)や複数ユーザの同時使用による意図しない割り当て(すなわち、意図しないMCIMの使用権の移転)を防止することができる。また、優先順位が低い無線通信装置がMCIMの使用権を独占することを防止し、優先順位の高い無線通信装置が必要な時にMCIMの使用権を容易に取得することができる。すなわち、MCIMの使用権を複数の無線通信装置間において適切に共有することができる。
【0189】
<2.第2の実施の形態>
本技術の第1の実施の形態では、優先順位が上位から下位への移転要求がされた場合には、その移転要求を送信した無線通信装置が所定条件を満たす場合にのみ、その移転要求に係る移転処理を行う例を示した。すなわち、優先順位が上位の無線通信装置からの移転要求以外については、優先順位のみに基づいて移転処理を行うか否かを判断する例を示した。ただし、優先順位が上位の無線通信装置からの移転要求以外についても、例えば、上位の無線通信装置による承認があったことを条件に移転処理を行うようにしてもよい。
【0190】
そこで、本技術の第2の実施の形態では、優先順位が上位の無線通信装置からの移転要求以外についても、上位の無線通信装置による承認があったことを条件に移転処理を行う例を示す。なお、本技術の第2の実施の形態における通信システムの構成については、図3等に示す例と略同様である。このため、本技術の第1の実施の形態と共通する部分については、その説明の一部を省略する。
【0191】
[MCIMの使用権の移転に関する判断基準例]
図17は、本技術の第2の実施の形態における各無線通信装置間におけるMCIMの使用権の移転に関する判断基準の一例を示す図である。なお、図17に示す判断基準は、図8の一部を変形したものであるため、図8に相当する名称には、同一の符号を付してこれらの説明を省略する。
【0192】
具体的には、図17に示す判断基準は、図8に示す判断基準において「不可」となる状態でも、上位の無線通信装置により承認処理が行われたことを条件に、移転を行うものである。
【0193】
すなわち、上位の無線通信装置から下位の無線通信装置へのMCIMの使用権の移転指示操作が行われた場合において、上位の無線通信装置による承認があったことを条件に、MCIMの使用権の移転の制限を緩和する。
【0194】
ここで、例えば、図4に示すように、第2の無線通信装置130に設定されている優先順位が、第1の無線通信装置300に設定されている優先順位よりも低い場合を想定する。例えば、第1の無線通信装置300から第2の無線通信装置130にMCIMの使用権を移転するための移転要求を第1の無線通信装置300以外の無線通信装置から受け付けた場合を想定する。この場合には、制御部210は、所定条件を満たす場合にのみ、第1の無線通信装置300から第2の無線通信装置130にMCIMの使用権を移転させるための制御を行う。例えば、制御部210は、その移転要求に係る移転の承認処理が第1の無線通信装置300において行われた場合に所定条件を満たすと判断する。
【0195】
[移転承認画面の表示例]
図18は、本技術の第2の実施の形態における無線通信装置の表示部370に表示される表示画面例(移転承認画面450)を示す図である。
【0196】
移転承認画面450は、MCIMの使用権の移転元または移転先の無線通信装置に関する情報を表示して、MCIMの使用権の移転をユーザに承認させるための表示画面である。具体的には、移転承認画面450には、移転対象デバイス表示欄451と、OKボタン452と、NGボタン453とが設けられている。
【0197】
移転対象デバイス表示欄451には、MCIMの使用権の移転元および移転先の無線通信装置に関する情報が表示される。移転元または移転先の無線通信装置に関する情報として、例えば、デバイスネームおよび端末識別情報が表示される。
【0198】
この例では、移転元または移転先の無線通信装置に関する情報として、デバイスネームおよび端末識別情報を同時に表示して、その無線通信装置をユーザに通知する例を示す。なお、通信制御装置(第1通信事業者)200の制御部210から送信される移転承認要求(例えば、図19に示す)に含まれる情報(例えば、無線通信装置が図形化された画像(デバイスアイコン))を移転承認画面450に表示させるようにしてもよい。また、例えば、第2の無線通信装置130に保持されている登録情報(例えば、デバイスアイコン情報)に基づいて、相手先の無線通信装置に関する他の情報(例えば、デバイスアイコン)を、デバイスネームおよび端末識別情報とともに表示させるようにしてもよい。また、移転元または移転先の無線通信装置に関する情報以外に、MCIMの移転要求を送信した無線通信装置に関する情報を表示するようにしてもよい。
【0199】
OKボタン452は、移転対象デバイス表示欄451に表示されている無線通信装置間におけるMCIMの使用権の移転処理を行うことをユーザが承認する場合に押下されるボタンである。
【0200】
NGボタン453は、移転対象デバイス表示欄451に表示されている無線通信装置間におけるMCIMの使用権の移転処理を行うことをユーザが承認しない場合に押下されるボタンである。
【0201】
なお、この例では、移転承認画面450において、OKボタン452が押下された場合には、MCIMの使用権の移転処理を行うことをユーザが承認したと判断する例を示す。ただし、例えば、OKボタン452の押下操作以外に、所定のパスワード(例えば、グループのパスワード)が入力されたことを条件に、MCIMの使用権の移転処理を行うことをユーザが承認したと判断するようにしてもよい。
【0202】
[MCIMの使用権の移転処理を行う場合における通信例]
図19および図20は、本技術の第2の実施の形態における通信システム100を構成する各装置間における通信処理例を示すシーケンスチャートである。具体的には、移転元の優先順位が上位であり、移転先の優先順位が下位である場合に、その移転元以外の無線通信装置を用いてMCIMの使用権の移転処理を行う場合における通信例を示す。
【0203】
なお、図19および図20に示すシーケンスチャートは、図11および図12の変形例であるため、図11および図12と共通する部分については、その説明の一部を省略する。また、図19および図20では、MCIMの使用権を保持せず、移転対象(移転元、移転先)とはならない第3の無線通信装置140を用いて移転要求を行う例について説明する。
【0204】
図19に示す各処理(561乃至564)は、図11に示す各処理(504乃至509)に対応する。ただし、上述したように、第3の無線通信装置140は通信制御装置(第1通信事業者)200と接続状態(503)とされている。このため、第3の無線通信装置140および通信制御装置(第1通信事業者)200間における情報のやりとりが、通信制御装置(第1通信事業者)200および第3の無線通信装置140間で直接行われる点が異なる。
【0205】
MCIMの移転要求を受信すると(564)、通信制御装置(第1通信事業者)200の制御部210は、受信したMCIMの移転要求に係る移転処理を行うか否かをグループ管理データベース220を用いて確認する(565)。
【0206】
ここで、図19および図20に示す例では、移転元の優先順位が上位であり、移転先の優先順位が下位であり、移転指示操作がその移転元(優先順位が上位)による操作でないため、図17に示す判断基準例では「上位デバイスの承認時のみ可」となる。このため、通信制御装置(第1通信事業者)200の制御部210は、移転元の無線通信装置(優先順位が上位)による承認を受けたことを条件に、受信したMCIMの移転要求に係る移転処理を行うと判断する(565)。この場合には、通信制御装置(第1通信事業者)200の制御部210は、移転元(第1の無線通信装置300)に送信する移転元および移転先に関する各情報(デバイスネーム、端末識別情報等)をグループ管理データベース220から取得する。
【0207】
続いて、通信制御装置(第1通信事業者)200の制御部210は、受信したMCIMの移転要求に含まれる移転元の端末識別情報により特定される無線通信装置に、移転承認要求を送信する(566乃至569)。この移転承認要求には、受信したMCIMの移転要求に含まれる移転元および移転先に関する各情報を含める。
【0208】
また、第1の無線通信装置300が移転承認要求を受信すると(569)、第1の無線通信装置300の制御部330は、MCIMの使用権の移転をユーザに承認させるための移転承認画面を第1の無線通信装置300の表示部370に表示させる(570)。例えば、図18に示す移転承認画面450が表示部370に表示される。
【0209】
ここで、図18に示す移転承認画面450において、OKボタン452が押下されたものとする(571)。このようにMCIMの使用権の移転承認操作(OKボタン452の押下操作)が行われた場合には(571)、MCIMの使用権の移転を承認する旨の移転承認情報が通信制御装置(第1通信事業者)200に送信される(572乃至575)。なお、NGボタン453が押下された場合には(571)、MCIMの使用権の移転を承認しない旨の移転承認情報が、第1の無線通信装置300から通信制御装置(第1通信事業者)200に送信される(572乃至575)。このようにNGボタン453が押下された場合には、これ以降のMCIMの使用権の移転処理が行われない。また、MCIMの使用権の移転要求を送信した無線通信装置(第3の無線通信装置140)に、未承認である旨が送信されてその旨の通知が表示される。
【0210】
なお、図19および図20では、移転承認画面450におけるOKボタン452の押下操作により、MCIMの使用権の移転を承認する例を示した。ただし、例えば、OKボタン452の押下操作後に、パスワード等の入力操作を求め、この入力が正しいことを条件に、MCIMの使用権の移転を承認するようにしてもよい。
【0211】
また、図19および図20では、MCIMの使用権の移転に係る承認操作をユーザが第1の無線通信装置300において手動で行う例を示した(571)。ただし、例えば、移転承認要求を受信した場合に(569)、第1の無線通信装置300が自動で移転承認情報を送信するようにしてもよい(572)。例えば、第1の無線通信装置300において、グループABを構成する無線通信装置間におけるMCIMの使用権の移転を承認する旨を予め登録しておく。そして、第1の無線通信装置300が移転承認要求を受信した場合には、移転承認情報を自動で通信制御装置(第1通信事業者)200に送信するようにしてもよい。
【0212】
また、例えば、通信制御装置(第1通信事業者)200が移転承認要求を第1の無線通信装置300に送信せずに、グループ管理データベース220の内容を確認した後に、自動でMCIMの移転処理を行うようにしてもよい。このように自動で各処理を行う場合には、例えば、その旨の設定をユーザが予め行っておくものとする。このように、各承認処理を自動で行うことにより、例えば、承認操作に用いる無線通信装置が比較的離れているような場合でも、ユーザが意図する承認を容易に行うことができる。
【0213】
また、通信制御装置(第1通信事業者)200が移転承認情報を受信した場合には(575)、制御部210は、MCIMの無効化情報を第1の無線通信装置300に送信する(576乃至579)。
【0214】
図20に示す各処理(576乃至587)は、図11および図12に示す各処理(511乃至523)に対応する。
【0215】
なお、図19および図20では、第3の無線通信装置140を用いてMCIMの移転指示操作を行う例を示した。ただし、第2の無線通信装置を130や他の無線通信装置(グループABに属しない無線通信装置を含む)を用いてMCIMの移転指示操作を行う場合についても同様とすることができる。
【0216】
[通信制御装置(第1通信事業者)の動作例]
図21は、本技術の第2の実施の形態における通信制御装置(第1通信事業者)200による通信処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図21は、図16の変形例であるため、図16と共通する部分については、同一の符号を付して、その説明の一部を省略する。
【0217】
移転対象となる2つの無線通信装置が同一のグループに属しない場合(ステップS903)、移転要求を送信した無線通信装置が所定条件を満たさない場合には(ステップS905)、制御部210は、移転承認要求を送信する(ステップS921)。この移転承認要求は、移転元の無線通信装置(優先順位が上位)に送信される。
【0218】
続いて、制御部210は、承認する旨の移転承認情報を受信したか否かを判断し(ステップS922)、承認する旨の移転承認情報を受信した場合には、ステップS907に進む。また、承認する旨の移転承認情報を受信していない場合には(ステップS922)、制御部210は、移転承認要求を送信してから所定時間が経過したか否かを判断し(ステップS923)、所定時間が経過していない場合には、ステップS922に戻る。また、移転承認要求を送信してから所定時間が経過した場合には(ステップS923)、ステップS906に進む。このように、一定時間が経過しても返答が返ってこない場合には、移転承認要求については否認されたとみなすことができる。
【0219】
このように、本技術の第2の実施の形態では、優先順位が上位の無線通信装置からの移転要求以外についても、上位の無線通信装置による承認があったことを条件に移転処理を行う。すなわち、MCIMの使用権を移転する場合には、優先順位の高い無線通信装置における承認を必要とすることにより、例えば、MCIMを使用中の無線通信装置から、その使用中のMCIMの移転を防止することができる。
【0220】
<3.第3の実施の形態>
本技術の第1および第2の実施の形態では、優先順位が下位から上位への移転要求がされた場合には、その移転要求に係る移転処理を行う例を示した。ただし、優先順位が下位の無線通信装置にMCIMの使用権が設定されている場合に、何らかの理由(例えば、一定期間使用する予定)で、優先順位が下位から上位への移転を拒否する必要があることも想定される。
【0221】
そこで、本技術の第3の実施の形態では、優先順位が下位から上位への移転要求がされた場合には、下位の無線通信装置の申立てを考慮する例を示す。なお、本技術の第3の実施の形態における通信システムの構成については、図3等に示す例と略同様である。このため、本技術の第1の実施の形態と共通する部分については、その説明の一部を省略する。
【0222】
[MCIMの使用権の移転に関する判断基準例]
図22は、本技術の第3の実施の形態における各無線通信装置間におけるMCIMの使用権の移転に関する判断基準の一例を示す図である。なお、図22に示す判断基準は、図17の一部を変形したものであるため、図17に相当する名称には、同一の符号を付してこれらの説明を省略する。
【0223】
具体的には、図22に示す判断基準は、図17に示す判断基準において「可」となる状態でも、下位の無線通信装置による否認時(申立て時)には、上位の無線通信装置による承認を受けたことを条件に、移転を行うものである。
【0224】
すなわち、下位の無線通信装置から上位の無線通信装置へのMCIMの使用権の移転指示操作が行われた場合でも、MCIMの使用権の移転に一定の制限を設ける。
【0225】
ここで、例えば、図4に示すように、第2の無線通信装置130に設定されている優先順位が、第1の無線通信装置300に設定されている優先順位よりも低い場合を想定する。例えば、第2の無線通信装置130から第1の無線通信装置300にMCIMの使用権を移転するための移転要求を第2の無線通信装置130以外の無線通信装置から受け付けた場合を想定する。この場合には、制御部210は、所定条件を満たす場合にのみ、第2の無線通信装置130から第1の無線通信装置300にMCIMの使用権を移転させるための制御を行う。例えば、制御部210は、その移転要求に係る移転の承認処理が第2の無線通信装置130において行われた場合に所定条件を満たすと判断する。または、制御部210は、その移転要求に係る移転の承認処理が第2の無線通信装置130において行われず、かつ、その移転要求に係る移転の承認処理が第1の無線通信装置300において行われた場合に所定条件を満たすと判断する。
【0226】
[MCIMの使用権の移転処理を行う場合における通信例]
図23および図24は、本技術の第3の実施の形態における通信システム100を構成する各装置間における通信処理例を示すシーケンスチャートである。
【0227】
なお、図23および図24に示すシーケンスチャートは、図14および図15の変形例であるため、図14および図15と共通する部分については、その説明の一部を省略する。また、図23および図24では、MCIMの使用権を保持せず、移転対象(移転元、移転先)とはならない第3の無線通信装置140を用いて移転要求を行う例について説明する。
【0228】
図23に示す各処理(591乃至594)は、図14に示す各処理(538乃至541)に対応する。
【0229】
MCIMの移転要求を受信すると(594)、通信制御装置(第1通信事業者)200の制御部210は、受信したMCIMの移転要求に係る移転処理を行うか否かをグループ管理データベース220を用いて確認する(595)。
【0230】
ここで、図23および図24に示す例では、移転元の優先順位が下位であり、移転先の優先順位が上位であり、移転指示操作がその移転元(優先順位が下位)による操作でない。この場合に、図22に示す判断基準例では「下位デバイスの否認時のみ上位デバイスで再承認後に可」となる。このため、通信制御装置(第1通信事業者)200の制御部210は、移転元の無線通信装置(優先順位が下位)に移転承認を行う。
【0231】
ここで、その移転承認が否認された場合には、移転先の無線通信装置(優先順位が上位)による承認を受けたことを条件に、通信制御装置(第1通信事業者)200の制御部210は、受信したMCIMの移転要求に係る移転処理を行うと判断する(595)。
【0232】
また、移転元の無線通信装置(優先順位が下位)により移転承認がされた場合には、移転先の無線通信装置(優先順位が上位)による承認を受けることなく、受信したMCIMの移転要求に係る移転処理を行うと判断する(595)。
【0233】
また、通信制御装置(第1通信事業者)200の制御部210は、移転元(第1の無線通信装置300)に送信する移転元および移転先に関する各情報(デバイスネーム、端末識別情報等)をグループ管理データベース220から取得する。
【0234】
続いて、通信制御装置(第1通信事業者)200の制御部210は、受信したMCIMの移転要求に含まれる移転元の端末識別情報により特定される無線通信装置に、移転承認要求を送信する(596乃至599)。この移転承認要求には、受信したMCIMの移転要求に含まれる移転元および移転先に関する各情報を含める。
【0235】
また、第2の無線通信装置130が移転承認要求を受信すると(599)、第2の無線通信装置130の制御部330は、MCIMの使用権の移転をユーザに承認させるための移転承認画面を第2の無線通信装置130の表示部370に表示させる(600)。例えば、図18に示す移転承認画面450が表示部370に表示される。なお、MCIMの移転承認操作については、図19に示す処理(571)と同様であるため、ここでの詳細な説明を省略する。
【0236】
MCIMの使用権の移転承認操作(OKボタン452の押下操作)が行われた場合には(601)、MCIMの使用権の移転を承認する旨の移転承認情報が、第2の無線通信装置130から通信制御装置(第1通信事業者)200に送信される(602乃至605)。ここで、MCIMの使用権の移転を承認する旨の移転承認情報が通信制御装置(第1通信事業者)200に送信された場合には(602乃至605)、移転先の無線通信装置に対する移転承認要求に係る各処理(606乃至611)は行わない。
【0237】
また、一定時間が経過しても移転元から返答が返ってこない場合には、移転承認要求については承認されたとみなすことができる。
【0238】
また、MCIMの使用権の移転承認操作(NGボタン453の押下操作)が行われた場合には(601)、MCIMの使用権の移転を承認しない旨の移転承認情報が第2の無線通信装置130から送信される(602乃至605)。
【0239】
このようにMCIMの使用権の移転を承認しない旨の移転承認情報を受信した場合には(605)、通信制御装置(第1通信事業者)200の制御部210は、移転先の無線通信装置に移転承認要求を送信する(606、607)。この移転承認要求の送信以降の各処理(606乃至623)については、図19および図20に示す処理(568乃至587)と略同様であるため、ここでの詳細な説明を省略する。
【0240】
このように、本技術の第3の実施の形態では、下位の無線通信装置による否認時(申立て時)には、上位の無線通信装置による承認を受けたことを条件にMCIMの使用権の移転処理を行う。すなわち、MCIMの使用権の移転に関する可否を移転元(下位)から受け付け、MCIMの使用権の移転を承認しない申立てを受け付けた場合には、MCIMの使用権の移転に関する最終判断を移転先(上位)にゆだねる。
【0241】
なお、図23および図24では、第3の無線通信装置140を用いてMCIMの移転指示操作を行う例を示した。ただし、第2の無線通信装置を130や他の無線通信装置(グループABに属しない無線通信装置を含む)を用いてMCIMの移転指示操作を行う場合
【0242】
なお、本技術の実施の形態では、グループを構成する各無線通信装置について異なる優先順位を設定する例を示したが、同一の優先順位を複数の無線通信装置に設定するようにしてもよい。このように同一の優先順位が設定されている無線通信装置間においてMCIMの使用権を移転する場合には、例えば、優先順位が上位から下位への移転とみなして判断することができる。または、同一の優先順位が設定されている無線通信装置間においてMCIMの使用権を移転する場合には、優先順位の判断を行わずに、MCIMの使用権の移転処理を行うようにしてもよい。
【0243】
また、グループを構成する各無線通信装置について優先順位を設定する際に、同じ優先順位の設定を認めないようにしてもよい。
【0244】
なお、本技術の実施の形態では、一体として構成される情報処理装置(通信制御装置120、200等)を例にして説明した。ただし、これらの情報処理装置が備える各部(例えば、制御部210、グループ管理データベース220)を複数の装置により構成する情報処理システムについても本技術の実施の形態を適用することができる。また、本技術の実施の形態では、4の無線通信装置により構成されるグループABを例にして説明したが、2、3、または、5以上の無線通信装置により構成されるグループについても本技術の実施の形態を適用することができる。
【0245】
また、携帯型の無線通信装置(例えば、データ通信専用端末装置)や、固定型の無線通信装置に本技術の実施の形態を適用することができる。例えば、自動販売機のデータ収集を目的とする無線通信装置、エレベータ、自動車、電子機器(例えば、家電製品、ゲーム機、デジタルフォトフレーム)に搭載されている無線通信装置に本技術の実施の形態を適用することができる。
【0246】
また、本技術の実施の形態では、ネットワーク接続権(接続権)として、MCIMの使用権を例にして説明した。ただし、他の情報(例えば、USIM(Universal Subscriber Identity Module))に基づいて、所定のネットワークと接続するための接続権についても、本技術の実施の形態を適用することができる。
【0247】
なお、上述の実施の形態は本技術を具現化するための一例を示したものであり、実施の形態における事項と、特許請求の範囲における発明特定事項とはそれぞれ対応関係を有する。同様に、特許請求の範囲における発明特定事項と、これと同一名称を付した本技術の実施の形態における事項とはそれぞれ対応関係を有する。ただし、本技術は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施の形態に種々の変形を施すことにより具現化することができる。
【0248】
また、上述の実施の形態において説明した処理手順は、これら一連の手順を有する方法として捉えてもよく、また、これら一連の手順をコンピュータに実行させるためのプログラム乃至そのプログラムを記憶する記録媒体として捉えてもよい。この記録媒体として、例えば、CD(Compact Disc)、MD(MiniDisc)、DVD(Digital Versatile Disk)、メモリカード、ブルーレイディスク(Blu-ray Disc(登録商標))等を用いることができる。
【0249】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1) 無線通信を利用して所定のネットワークに接続するための接続権を共有する複数の無線通信装置についてユーザ操作または所定規則に基づいて優先度を設定する設定部を具備し、
前記複数の無線通信装置間において無線通信を利用して前記接続権の移転を行う場合に当該移転の対象となる各無線通信装置に設定されている優先度に基づいて当該移転が行われる
情報処理装置。
(2) 前記情報処理装置は、前記複数の無線通信装置をグループとして管理する情報処理装置であり、
前記複数の無線通信装置間において前記接続権を移転するための移転要求を受け付けた場合には、当該移転要求に係る各無線通信装置に設定されている優先度に基づいて当該各無線通信装置間において前記接続権を移転させるための制御を行う制御部をさらに具備する
前記(1)に記載の情報処理装置。
(3) 前記設定部は、前記複数の無線通信装置を構成する第1の無線通信装置および第2の無線通信装置について前記第1の無線通信装置に設定される優先度よりも低い優先度を前記第2の無線通信装置に設定し、
前記制御部は、前記第1の無線通信装置から前記第2の無線通信装置に前記接続権を移転するための前記移転要求を前記第1の無線通信装置以外の無線通信装置から受け付けた場合には、所定条件を満たす場合にのみ、前記第1の無線通信装置から前記第2の無線通信装置に前記接続権を移転させるための制御を行う
前記(2)に記載の情報処理装置。
(4) 前記制御部は、前記第1の無線通信装置から前記第2の無線通信装置に前記接続権を移転するための前記移転要求に係る移転の承認処理が前記第1の無線通信装置において行われた場合に前記所定条件を満たすと判断する前記(3)に記載の情報処理装置。
(5) 前記設定部は、前記複数の無線通信装置を構成する第1の無線通信装置および第2の無線通信装置について前記第1の無線通信装置に設定される優先度よりも低い優先度を前記第2の無線通信装置に設定し、
前記制御部は、前記第2の無線通信装置から前記第1の無線通信装置に前記接続権を移転するための前記移転要求を受け付けた場合には、前記第2の無線通信装置から前記第1の無線通信装置に前記接続権を移転させるための制御を行う
前記(2)から(4)のいずれかに記載の情報処理装置。
(6) 前記制御部は、前記第2の無線通信装置から前記第1の無線通信装置に前記接続権を移転するための前記移転要求を前記第2の無線通信装置以外の無線通信装置から受け付けた場合には、所定条件を満たす場合にのみ、前記第2の無線通信装置から前記第1の無線通信装置に前記接続権を移転させるための制御を行う前記(5)に記載の情報処理装置。
(7) 前記制御部は、前記第2の無線通信装置から前記第1の無線通信装置に前記接続権を移転するための前記移転要求に係る移転の承認処理が前記第2の無線通信装置において行われた場合と、当該移転要求に係る移転の承認処理が前記第2の無線通信装置において行われず、かつ、当該移転要求に係る移転の承認処理が前記第1の無線通信装置において行われた場合とに前記所定条件を満たすと判断する前記(6)に記載の情報処理装置。
(8) 前記設定部は、前記複数の無線通信装置を構成する第1の無線通信装置および第2の無線通信装置について前記第1の無線通信装置に設定される優先度よりも低い優先度を前記第2の無線通信装置に設定し、
前記制御部は、前記第1の無線通信装置から前記第2の無線通信装置に前記接続権を移転するための前記移転要求を前記第1の無線通信装置から受け付けた場合には、前記第1の無線通信装置から前記第2の無線通信装置に前記接続権を移転させるための制御を行う
前記(2)から(7)のいずれかに記載の情報処理装置。
(9) 前記設定部は、前記複数の無線通信装置毎の優先順位を前記優先度として設定する前記(1)から(8)のいずれかに記載の情報処理装置。
(10) 前記情報処理装置は、前記複数の無線通信装置をグループとして管理する情報処理装置であり、
前記複数の無線通信装置と前記設定された優先度とを前記無線通信装置毎に関連付けて前記グループ単位で記憶する記憶部をさらに具備する
前記(1)から(9)のいずれかに記載の情報処理装置。
(11) 前記情報処理装置は、前記無線通信装置であり、
前記複数の無線通信装置間において前記接続権を移転するための前記移転要求をRO(Registration Operator)に対して行う制御部をさらに具備する
前記(1)から(10)のいずれかに記載の情報処理装置。
(12) 前記接続権は、通信事業者が運営する基地局に接続するための契約認証情報に基づいて前記基地局に接続する権利である前記(1)から(11)のいずれかに記載の情報処理装置。
(13) 無線通信を利用して所定のネットワークに接続するための接続権を共有する複数の無線通信装置についてユーザ操作または所定規則に基づいて優先度を設定する情報処理装置を具備し、
前記複数の無線通信装置間において無線通信を利用して前記接続権の移転を行う場合に当該移転の対象となる各無線通信装置に設定されている優先度に基づいて当該移転が行われる
通信システム。
(14) 無線通信を利用して所定のネットワークに接続するための接続権を共有する複数の無線通信装置間において無線通信を利用して前記接続権の移転を行うための移転要求を受け付ける受付手順と、
前記移転要求が受け付けられた場合に当該移転要求に係る移転の対象となる各無線通信装置に設定されている優先度に基づいて当該移転を行う制御手順と
を具備する情報処理方法。
【符号の説明】
【0250】
10、100 通信システム
21、31、121、122、206 基地局
40、110 ネットワーク
50 サービス提供会社
51 情報処理装置
120 通信制御装置(第2通信事業者)
125、210、330 制御部
130 第2の無線通信装置
140 第3の無線通信装置
150 第4の無線通信装置
200 通信制御装置(第1通信事業者)
205 通信部
220 グループ管理データベース
230 設定部
300 第1の無線通信装置
311 アンテナ
312 アンテナ共用部
321 変調部
322 復調部
330 制御部
331 バス
340 メモリ
350 MCIM情報記憶部
360 操作部
370 表示部
380 位置情報取得部
391 マイクロフォン
392 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信を利用して所定のネットワークに接続するための接続権を共有する複数の無線通信装置についてユーザ操作または所定規則に基づいて優先度を設定する設定部を具備し、
前記複数の無線通信装置間において無線通信を利用して前記接続権の移転を行う場合に当該移転の対象となる各無線通信装置に設定されている優先度に基づいて当該移転が行われる
情報処理装置。
【請求項2】
前記情報処理装置は、前記複数の無線通信装置をグループとして管理する情報処理装置であり、
前記複数の無線通信装置間において前記接続権を移転するための移転要求を受け付けた場合には、当該移転要求に係る各無線通信装置に設定されている優先度に基づいて当該各無線通信装置間において前記接続権を移転させるための制御を行う制御部をさらに具備する
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記設定部は、前記複数の無線通信装置を構成する第1の無線通信装置および第2の無線通信装置について前記第1の無線通信装置に設定される優先度よりも低い優先度を前記第2の無線通信装置に設定し、
前記制御部は、前記第1の無線通信装置から前記第2の無線通信装置に前記接続権を移転するための前記移転要求を前記第1の無線通信装置以外の無線通信装置から受け付けた場合には、所定条件を満たす場合にのみ、前記第1の無線通信装置から前記第2の無線通信装置に前記接続権を移転させるための制御を行う
請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1の無線通信装置から前記第2の無線通信装置に前記接続権を移転するための前記移転要求に係る移転の承認処理が前記第1の無線通信装置において行われた場合に前記所定条件を満たすと判断する請求項3記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記設定部は、前記複数の無線通信装置を構成する第1の無線通信装置および第2の無線通信装置について前記第1の無線通信装置に設定される優先度よりも低い優先度を前記第2の無線通信装置に設定し、
前記制御部は、前記第2の無線通信装置から前記第1の無線通信装置に前記接続権を移転するための前記移転要求を受け付けた場合には、前記第2の無線通信装置から前記第1の無線通信装置に前記接続権を移転させるための制御を行う
請求項2記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第2の無線通信装置から前記第1の無線通信装置に前記接続権を移転するための前記移転要求を前記第2の無線通信装置以外の無線通信装置から受け付けた場合には、所定条件を満たす場合にのみ、前記第2の無線通信装置から前記第1の無線通信装置に前記接続権を移転させるための制御を行う
請求項5記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第2の無線通信装置から前記第1の無線通信装置に前記接続権を移転するための前記移転要求に係る移転の承認処理が前記第2の無線通信装置において行われた場合と、当該移転要求に係る移転の承認処理が前記第2の無線通信装置において行われず、かつ、当該移転要求に係る移転の承認処理が前記第1の無線通信装置において行われた場合とに前記所定条件を満たすと判断する請求項6記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記設定部は、前記複数の無線通信装置を構成する第1の無線通信装置および第2の無線通信装置について前記第1の無線通信装置に設定される優先度よりも低い優先度を前記第2の無線通信装置に設定し、
前記制御部は、前記第1の無線通信装置から前記第2の無線通信装置に前記接続権を移転するための前記移転要求を前記第1の無線通信装置から受け付けた場合には、前記第1の無線通信装置から前記第2の無線通信装置に前記接続権を移転させるための制御を行う
請求項2記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記設定部は、前記複数の無線通信装置毎の優先順位を前記優先度として設定する請求項1記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記情報処理装置は、前記複数の無線通信装置をグループとして管理する情報処理装置であり、
前記複数の無線通信装置と前記設定された優先度とを前記無線通信装置毎に関連付けて前記グループ単位で記憶する記憶部をさらに具備する
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記情報処理装置は、前記無線通信装置であり、
前記複数の無線通信装置間において前記接続権を移転するための前記移転要求をRO(Registration Operator)に対して行う制御部をさらに具備する
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記接続権は、通信事業者が運営する基地局に接続するための契約認証情報に基づいて前記基地局に接続する権利である請求項1記載の情報処理装置。
【請求項13】
無線通信を利用して所定のネットワークに接続するための接続権を共有する複数の無線通信装置についてユーザ操作または所定規則に基づいて優先度を設定する情報処理装置を具備し、
前記複数の無線通信装置間において無線通信を利用して前記接続権の移転を行う場合に当該移転の対象となる各無線通信装置に設定されている優先度に基づいて当該移転が行われる
通信システム。
【請求項14】
無線通信を利用して所定のネットワークに接続するための接続権を共有する複数の無線通信装置間において無線通信を利用して前記接続権の移転を行うための移転要求を受け付ける受付手順と、
前記移転要求が受け付けられた場合に当該移転要求に係る移転の対象となる各無線通信装置に設定されている優先度に基づいて当該移転を行う制御手順と
を具備する情報処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−81051(P2013−81051A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219703(P2011−219703)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】