説明

情報処理装置およびプログラム

【課題】セキュリティを保ちつつ、パスワードを誤入力した場合に簡単に確認することができる情報処理装置およびプログラムを提供する。
【解決手段】パスワード入力画面2を表示する場合に、乱数アルゴリズムを用いて各文字をその文字とは異なる文字にランダムに変換するための文字変換ルールを生成して文字変換テーブル41に設定し、パスワード入力画面2において受付けた各文字に対して、文字変換テーブル41を用いて受付けた文字とは異なる文字に変換し、パスワード入力画面2に表示する。これにより、入力したパスワードをマスキング表示しながら2度入力した文字が互いに一致しているか確認でき、セキュリティを保ちつつ、パスワードを誤入力した場合に簡単に確認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーや量販店等で用いられるPOS(Point Of Sales)端末等の情報処理装置では、端末の起動時や点検時に管理者はパスワードを用いてログインするようにして、不正に端末が起動されることを防止したり、端末内や販売システム内の情報が漏洩することを防止したりしている。
【0003】
一般に、パスワードの入力を受付ける画面では、図6に示すように、入力したパスワードが第3者に漏洩しないように入力した文字を全て「*(アスタリスク)」等の同じ文字を用いて表示してマスキングすることが広く行われている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、パスワードを新規に登録する際に、確認のため同じパスワードを2度入力する場合(図6参照)などには、入力文字数が2倍となるため入力ミスをし易くなる。しかしながら、入力した文字はマスキング表示されるため、ユーザが確認できるのは入力した文字数のみとなり、2度入力した文字が同一であるか否か判別することができず、パスワードを誤入力しても気付きにくいという問題があった。
【0005】
また、パスワードに同じ文字の繰り返しがある場合には、同じ文字を何度入力したか判別できないため、誤入力しやすいという問題があった。さらに、文字と数字が混在する場合、あるいは大文字と小文字が混在する場合について、文字と数字、または大文字と小文字の判別のみできるようにしたいという要望があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、セキュリティを保ちつつ、パスワードを誤入力した場合に簡単に確認することができる情報処理装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、パスワードに関する文字の入力を受付ける入力画面に対して、前記パスワードに関する文字の入力を受付ける入力受付手段と、前記入力受付手段が受付けた文字を文字変換ルールを用いて異なる文字に変換する文字変換手段と、変換した前記文字を前記入力画面に表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明のプログラムは、コンピュータを、パスワードに関する文字の入力を受付ける入力画面に対して、前記パスワードに関する文字の入力を受付ける入力受付手段と、前記入力受付手段が受付けた文字を文字変換ルールを用いて異なる文字に変換する文字変換手段と、変換した前記文字を前記入力画面に表示する表示手段と、して機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる情報処理装置およびプログラムは、入力画面に対してパスワードに関する文字の入力を受付けた場合に、受付けた文字を文字変換ルールを用いて異なる文字に変換して入力画面に表示するため、同一の文字は文字変換ルールに則って文字変換後も同一の文字により表示されるようになり、パスワードをマスキング表示しつつも入力した文字を感覚的に認識することができ、セキュリティを保ちつつ、パスワードを誤入力した場合に簡単に確認することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態にかかるPOS端末の構成を示す外観斜視図である。
【図2】図2は、POS端末の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、文字変換テーブルの一例を示す説明図である。
【図4】図4は、パスワード設定画面の一例を示す図である。
【図5】図5は、パスワード表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】図6は、従来のパスワード設定画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる情報処理装置およびプログラムの最良な実施の形態を詳細に説明する。本実施の形態においては、スーパーマーケットや量販店等の店舗において使用されるPOS端末に情報処理装置を適用する場合について説明する。
【0012】
図1は、本実施の形態にかかるPOS端末1の構成を概略的に示した外観斜視図である。POS端末1は、現金等を収容するためのドロワ12の上に載置されており、このドロワ12の引出し12aの開閉を制御する。POS端末1の正面側には、登録、点検、精算、設定などの各種業務モードを選択するためのモードキー14が設けられている。また、POS端末1の正面に設けられたキーボード13には、オペレータ(店員)が、例えば預かり金額などを置数するための置数キーや、1商取引として販売登録が行われた商品の合計出力を指示する小計キーなど、各種操作入力を行うための操作キーが配置されている。また、キーボード13に近接する位置には、カードリーダ11が設けられている。
【0013】
また、POS端末1には、商品に付与されたバーコードを読取るためのスキャナ19が接続されている。さらに、POS端末1には、正面側には店員用ディスプレイ15が、背面側には客用ディスプレイ16が取り付けられており、これらは販売登録された商品の品名、価格や、販売登録の終了が宣言された1商取引の合計金額、釣銭額などを表示するもので、液晶カラーディスプレイ等が用いられる。また、店員用ディスプレイ15は、パスワードを入力するためのパスワード入力画面2(図4参照)を表示する。また、POS端末1は、レシート、ジャーナルやクーポン等を印字するプリンタ17を内蔵しており、プリンタ17によって印字されたレシート等はPOS端末1の正面側に形成されたレシート発行口18から発行される。
【0014】
図2は、POS端末1の機能的構成を示すブロック図である。POS端末1は、CPU(Central Processing Unit)と、記憶手段として機能するROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等から構成されるコンピュータ構成の制御部31を備えている。ROMは、CPUが実行する各種プログラムや各種データを記憶する。RAMは、CPUが各種プログラムを実行する際に一時的にデータやプログラムを記憶するものであり、商品の販売記録を示す販売データや、店員用ディスプレイ15や客用ディスプレイ16に表示する各種の画面表示データを記憶するものである。
【0015】
制御部31は、I/O機器制御部34およびバス32を介して、キーボード13、店員用ディスプレイ15、客用ディスプレイ16、プリンタ17、スキャナ19、カードリーダ11、HDD40等のI/O機器を制御し、POS端末1のシステム全体を制御するものである。また、制御部31は、通信I/F33を介してLAN(Local Area Network)で接続されたストアサーバ(不図示)と相互に通信を行うことが可能となっている。本実施の形態のPOS端末1は、1台のPOS端末1が単独で商品登録および商品販売登録等を行っても良いし、店舗内に複数のPOS端末1が設置される場合には、これら複数のPOS端末1をストアサーバに接続して、商品登録および商品登録等の処理を一括して管理するように構成してもよい。
【0016】
HDD40は、CPUが実行する各種プログラムの他、入力した文字を異なる文字で表示器に表示するための文字変換ルールを設定する文字変換テーブル41を格納する。尚、文字変換テーブル41はHDD40に格納されるとしたが、RAM等のその他の記憶手段に格納されるとしてもよい。
【0017】
制御部31は、入力受付部35と、文字変換部36と、表示部37を備えている。本実施の形態の情報処理装置で実行されるプログラムは、上述の各部(入力受付部35、文字変換部36、表示部37)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、入力受付部35、文字変換部36、表示部37が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0018】
入力受付部35は、入力受付手段として機能するものであり、店員用ディスプレイ15に表示されたパスワード入力画面2(図4参照)において、キーボード13から入力された文字の入力を受付ける。また、入力受付部35は、パスワード入力画面2で「OK」が選択されると、パスワードの入力が確定した旨を受付ける。加えて、入力受付部35は、パスワードを新規設定する場合には、図4に示すパスワード入力画面2においてパスワードの入力を複数回受付けて、受付けたパスワードが互いに異なる文字列である場合にはユーザにパスワードを再入力するように指示する。これによりユーザがパスワードを誤入力した場合に誤ったパスワードを登録してしまうことを避けることができる。尚、入力受付部35は、店員用ディスプレイ15にタッチパネルが備えられている場合には、タッチパネルから文字の入力を受付けるとしてもよい。
【0019】
文字変換部36は、文字変換手段として機能するものであり、文字変換テーブル41に設定される文字変換ルールを適用して、入力受付部35が受付けた文字(入力文字)を異なる文字に変換するものである。より詳細には、パスワード入力画面2が表示される場合に、文字変換部36は、Mersenne twister法などの乱数アルゴリズムによって各文字をその文字とは異なる文字にランダムに変換する文字変換ルールを生成し、文字変換テーブル41に設定する。ここで、図3は、文字変換テーブル41の一例を示す説明図である。図3に示す文字変換テーブル41では、例えば「A」という入力文字に対して、「A」とは異なる文字である「#」がパスワード入力画面2に表示する文字(表示文字)として設定されている。
【0020】
そして、文字変換部36はこの文字変換テーブル41を参照して、入力受付部35が1文字の入力を受付ける度に、受付けた1文字に対応する変換後の文字を抽出して文字の変換を行う。加えて、文字変換部36は、入力受付部35がパスワードの入力が確定した旨を受付けた場合に、生成した文字変換テーブル41内のデータ、即ち文字変換ルールを消去(クリア)して、初期設定すなわち文字の対応が設定されていない状態にする。
【0021】
表示部37は、表示手段として機能するものであり、店員用ディスプレイ15にパスワード入力画面2を表示する他、文字変換部36が変換した変換後の文字をパスワード入力画面2に表示するものである。
【0022】
本実施の形態のPOS端末1は、各入力文字をランダムな表示文字に変換するが、同一のパスワード入力画面2では同一の文字変換ルールに基づいて文字を変換するため、同じ入力文字に対しては同じ表示文字(変換後の文字)で表示されることとなる。これにより、図4に示すように、同じパスワードを2回入力するようなパスワード入力画面2では、上下の表示文字が同じであるか確認すればよいので、1回目に入力したパスワードと2回目に入力したパスワードが一致しているか簡単に確認することができる。また、図4に示すように、同じ入力文字が2文字連続する場合には、マスキング表示後も「%%」と同じ表示文字が2文字連続して表示されるため、同じ文字を何文字入力したか簡単に確認することができる。
【0023】
次に、POS端末1が行うパスワード表示処理の手順について説明する。図5は、パスワード表示処理の手順を示すフローチャートである。
【0024】
まず、表示部37が店員用ディスプレイ15にパスワード入力画面2を表示する場合に、文字変換部36は文字変換ルールを生成し、文字変換テーブル41に設定する(ステップS1)。そして、ユーザがキーボード13からパスワードを1文字ずつ入力すると、入力受付部35は1文字ずつ入力を受付ける(ステップS2)。そして、文字変換部36は、文字変換テーブル41を参照して、受付けた文字に対応する変換後の文字を抽出して文字の変換をし、表示部37は変換後の文字をパスワード入力画面2に表示する(ステップS3)。そして、パスワード入力画面2において「OK」が選択されない間は(ステップS4:No)ステップS2〜S4の処理を繰り返す。一方、パスワード入力画面2において「OK」が選択された場合には(ステップS4:Yes)、入力受付部35はパスワードの入力が確定した旨を受付けて、文字変換部36は、文字変換テーブル41の文字変換ルールをクリアし(ステップS5)、処理を終了する。
【0025】
上述のように、本実施の形態のPOS端末1は、パスワードの入力が確定するまで同一の文字変換ルールに基づいて文字を変換し、同じ入力文字に対しては同じ表示文字で表示するため、入力したパスワードをマスキング表示しつつも、2度入力した文字が互いに一致しているか簡単に確認することが可能となり、セキュリティを保ちつつ、パスワードを誤入力した場合に簡単に確認することができるという効果を奏する。
【0026】
また、本実施の形態にかかるPOS端末1は、パスワード入力画面2を表示する度に新規の文字変換ルールを生成し、毎回異なる文字変換ルールを用いるので、パスワードを見破られづらくすることができ、セキュリティを保つことができるという効果を奏する。
【0027】
尚、上述では、文字変換部36は、乱数アルゴリズムに基づいて生成した文字変換ルールに則って、各文字をその文字とは異なる文字にランダムに変換するとしたが、文字変換ルールはこれに限定されるものではない。文字変換ルールのその他の例として、文字と数字を判別できるように文字を変換して、文字が入力された場合には一律に「*」に、数字が入力された場合には一律に「#」に変換してもよい。例えば「Password123」と入力した場合にはパスワード入力画面2には「********###」と表示されるので、文字と数字の判別が可能となり、文字と数字をそれぞれ何文字ずつ入力したかを簡単に確認することができる。
【0028】
さらに、文字変換ルールのその他の例として、大文字と小文字を判別できるように文字を変換して、例えば大文字が入力された場合には一律に「X」に、小文字が入力された場合には「x」に変換してもよい。例えば「Password」と入力した場合にはパスワード入力画面2には「Xxxxxxxx」と表示されるので、大文字と小文字の判別が可能となり、大文字と小文字を判別するパスワード認証において誤入力を防止することができる。
【0029】
尚、本実施形態の情報処理装置で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。本実施形態の情報処理装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。さらに、本実施形態の情報処理装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の情報処理装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上のように、本発明にかかる情報処理装置およびプログラムは、スーパーや量販店で用いられる販売情報管理用の情報処理装置に有用であり、特に、パスワードを用いて管理されるPOS端末やストアサーバに適している。
【符号の説明】
【0031】
1 POS端末
31 制御部
35 入力受付部
36 文字変換部
37 表示部
41 文字変換テーブル
2 パスワード入力画面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【特許文献1】特開2003−99854公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パスワードに関する文字の入力を受付ける入力画面に対して、前記パスワードに関する文字の入力を受付ける入力受付手段と、
前記入力受付手段が受付けた文字を文字変換ルールを用いて異なる文字に変換する文字変換手段と、
変換した前記文字を前記入力画面に表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記入力受付手段が受付ける文字と、前記入力画面に表示する文字とを対応付ける前記文字変換ルールを設定した文字変換テーブルを格納する記憶手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記文字変換手段は、前記入力画面を表示する度に前記文字変換テーブルに前記文字変換ルールを生成することを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記入力受付手段は、前記入力画面において前記パスワードに関する文字の入力を複数回受付け、
前記文字変換手段は、同一の前記文字変換ルールを用いて前記パスワードに関する文字を変換する、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記文字変換手段は、前記受付けた文字に対して乱数アルゴリズムを用いて、前記受付けた文字とは異なる文字をランダムに対応付けることで、前記文字変換ルールを生成することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータを、
パスワードに関する文字の入力を受付ける入力画面に対して、前記パスワードに関する文字の入力を受付ける入力受付手段と、
前記入力受付手段が受付けた文字を文字変換ルールを用いて異なる文字に変換する文字変換手段と、
変換した前記文字を前記入力画面に表示する表示手段と、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−81618(P2011−81618A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233660(P2009−233660)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】