説明

情報処理装置および情報処理システム

【課題】画像処理技術を提供する。
【解決手段】表示画像生成部150が、ユーザからの変更指示に応じて、表示画像の拡大縮小処理や、スクロール処理を行う。クリップ指示受付部114がクリップ指示を受け付けると、クリッピング領域特定部162が、クリップ指示により切り出す領域を特定する。サムネイル画像生成部164は、特定した領域に対応するサムネイル画像を生成する。位置情報取得部166は、特定した領域の、全体画像における位置を特定する位置情報を取得する。コンテンツID取得部168は、クリップ指示を受け付けたときに表示されている画像を特定する識別情報を取得する。ハードディスクドライブ50は、識別情報、サムネイル画像、位置情報とを対応付けて記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データを処理する情報処理装置で利用される技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲームプログラムを実行するだけでなく、動画を再生できる家庭用エンタテインメントシステムが提案されている。この家庭用エンタテインメントシステムでは、GPUがポリゴンを用いた三次元画像を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6563999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来より、高精細な写真などのディジタル画像から生成された複数の解像度のタイル画像を用いて、表示画像の拡大/縮小処理や、上下左右方向の移動処理を行う技術が提案されている。この画像処理技術では、原画像となる全体画像のサイズを複数段階に縮小して異なる解像度の画像を生成し、各階層の画像を一又は複数のタイル画像に分割して、原画像を階層構造で表現する。通常、最も解像度の低い画像は1つのタイル画像で構成され、最も解像度の高い原画像は、最も多い数のタイル画像で構成される。画像処理装置は、表示画像の拡大処理または縮小処理時に、使用しているタイル画像を、異なる階層のタイル画像に切り替えることで、拡大表示または縮小表示を迅速に行うようにしている。この画像処理技術によると、表示対象となる画像を拡大または縮小した場合であっても、表示解像度を高く維持して、高精細な画像をユーザに提供できる。
【0005】
近年では、高速なネットワーク環境が整備されたことにともなって、インターネットを介して、映像や音楽などのコンテンツデータを配信するサービスが普及している。そのため端末装置は、タイル画像を用いた画像処理を行う際に、全ての階層のタイル画像を保持していなくても、必要なタイル画像をサーバから適宜取得することで、ユーザからの変更指示にほぼリアルタイムに応答して、表示画像を生成できるようになる。
【0006】
そこで本発明者は、この画像処理技術の有用性に着目し、この画像処理技術を利用した新たなアプリケーションを想到するに至った。また本発明者は、画像処理技術と、高速通信とをリンクさせることで、複数ユーザで情報を共有するアプリケーションを想到するに至った。
【0007】
本発明は、画像データを処理する有用な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の情報処理装置は、全体画像の全部または一部をディスプレイに表示する情報処理装置であって、表示画像の変更指示を受け付ける第1受付部と、変更指示に応じて、全体画像の全部または一部である表示画像を生成する画像処理部と、クリップ指示を受け付ける第2受付部と、クリップ指示を受けて、クリップ処理を行うクリップ処理部とを備える。クリップ処理部は、クリップ指示により切り出す領域を特定するクリッピング領域特定部と、特定した領域に対応するサムネイル画像を生成するサムネイル画像生成部と、特定した領域の、全体画像における位置を特定する位置情報を取得する位置情報取得部と、サムネイル画像と位置情報とを対応付けて記憶する記憶部とを有する。
【0009】
本発明の別の態様もまた、情報処理装置である。この装置は、全体画像の全部または一部をディスプレイに表示する情報処理装置であって、表示画像の変更指示を受け付ける第1受付部と、変更指示に応じて、表示するべき画像の全体画像のなかの位置を特定する位置情報を決定する位置情報決定部と、決定した位置情報にしたがって表示画像を生成する表示画像生成部と、決定した位置情報を別の情報処理装置に送信する送信部と、を備える。
【0010】
本発明のさらに別の態様は、情報処理システムである。この情報処理システムは、第1情報処理装置と第2情報処理装置とがネットワークで接続された情報処理システムであって、第1情報処理装置は、表示画像の変更指示を受け付ける第1受付部と、変更指示に応じて、表示するべき画像の全体画像における位置を特定する位置情報を決定する位置情報決定部と、決定した位置情報にしたがって、全体画像の全部または一部である表示画像を生成する表示画像生成部と、決定した位置情報を、第2情報処理装置に送信する送信部とを有する。第2情報処理装置は、位置情報を受信する受信部と、受信した位置情報にしたがって表示画像を生成する表示画像生成部とを有する。
【0011】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、画像データを処理する有用な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例にかかる情報処理システムを示す図である。
【図2】入力装置の外観構成を示す図である。
【図3】情報処理システムにおいて使用する画像データの階層構造を示す図である。
【図4】情報処理装置の機能ブロック図である。
【図5】情報処理装置における制御部の構成を示す図である。
【図6】コンテンツ閲覧アプリケーションを操作するためのメニュー画面の一例を示す図である。
【図7】コンテンツ画像の表示処理開始時に出力装置に示される表示画像の一例を示す図である。
【図8】初期画像から拡大表示した表示画像の一例を示す図である。
【図9】サムネイル画像に付与するメモを入力するための操作画像の一例を示す図である。
【図10】クリップ処理の終了を示す画面の一例を示す図である。
【図11】スクラップブックが表示された画面例を示す図である。
【図12】クリップ処理を示すフローチャートである。
【図13】チャット接続を確立する処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の実施例にかかる情報処理システム1を示す。情報処理システム1は、ネットワーク18で通信可能に接続された情報処理装置10、情報処理装置14、入力装置20、画像データ提供サーバ2、蓄積サーバ3およびネットワークサーバ4を備える。ネットワーク18は、たとえばTCP/IPプロトコルを用いるインターネットであってよい。
【0015】
情報処理装置10は出力装置12を有し、情報処理装置14は出力装置16を有する。出力装置12、16は、画像を出力するディスプレイと、音声を出力するスピーカを有するテレビであってよく、またコンピュータディスプレイであってもよい。出力装置12、16は、それぞれ情報処理装置10、14に有線ケーブルで接続されてよく、また無線LAN(Local Area Network)などにより無線接続されてもよい。入力装置20は、ユーザにより操作されて、情報処理装置10に対してユーザの操作指示を入力するための入力インタフェースである。情報処理装置10、入力装置20および出力装置12は、一体に形成されてもよく、たとえば画像処理機能を搭載した携帯端末装置として構成されてもよい。
【0016】
情報処理システム1において、情報処理装置10、14は、それぞれ単独で動作して画像処理を実行する機能を有する。情報処理装置10、14は、同一の画像処理機能を有して構成され、以下においては代表して情報処理装置10の動作を例に、画像処理機能を説明する。情報処理装置10は、ユーザから入力装置20に入力される操作情報に応じて、出力装置12のディスプレイに表示する表示画像の拡大/縮小処理や、上下左右方向への移動処理など、表示画像を変更する処理を行う。
【0017】
情報処理装置10は、GUIアプリケーションやゲームアプリケーションを実行するゲーム装置であって、画像処理用のプログラムをロードすることで画像処理機能を実現してもよい。また情報処理装置10は、様々なアプリケーションを実行可能なパーソナルコンピュータであってもよく、画像処理用のプログラムをロードすることで画像処理機能を実現してもよい。
【0018】
情報処理装置10は、ネットワーク18に接続し、入力装置20に入力される操作情報に応じて、画像データ提供サーバ2から表示画像の生成に必要なタイル画像を適宜ダウンロードして取得する。なお情報処理装置10は、画像データ提供サーバ2から階層化された圧縮画像データの全体をダウンロードして取得してもよい。
【0019】
画像データ提供サーバ2は、全体画像を複数の解像度のタイル画像で表現する階層化された画像データを保持している。画像データ提供サーバ2は、情報処理装置10からの要求に応じて、情報処理装置10において表示画像の生成に必要なタイル画像を情報処理装置10に提供する。なお画像データ提供サーバ2、階層化された画像データの全体を情報処理装置10に提供してもよい。
【0020】
また、情報処理システム1において、情報処理装置10および情報処理装置14は、互いにコンテンツに関する情報を共有する。情報処理装置10および情報処理装置14は、コンテンツに関する情報を同期して共有してもよく、また非同期で共有してもよい。実施例では、情報処理装置10と情報処理装置14とが通信するとき、情報処理装置10がホスト装置として動作し、情報処理装置14がクライアント装置として動作する。
【0021】
ネットワークサーバ4は、情報処理装置10および情報処理装置14の間の通信を管理する。情報処理システム1の1つの態様においては、ネットワークサーバ4がチャットシステムを構築し、情報処理装置10が、コンテンツに関する情報をチャットメッセージに添付して、情報処理装置14に送信する。これにより、情報処理装置10および情報処理装置14の間で、コンテンツに関する情報が共有される。情報処理システム1では情報処理装置14も、画像処理機能を有しているため、情報処理装置10と情報処理装置14とで、コンテンツに関する同じ画像を表示できる。
【0022】
情報処理装置10は、入力装置20に入力される指示に応じて、出力装置12に表示されている表示画像の全体または一部を切り出すクリップ処理(スクラップ処理)を行う機能を有する。情報処理装置10は、このクリップ処理において、切り出した画像のサムネイル画像を生成し、スクラップブックに蓄積していく。情報処理装置10は、スクラップブックに蓄積されたサムネイル画像を選択すると、そのサムネイル画像で特定されるコンテンツにアクセスできる。スクラップ情報は、情報処理装置10のスクラップブックに蓄積されるが、蓄積サーバ3に蓄積されてもよい。
【0023】
図2は、入力装置20の外観構成を示す。入力装置20は、ユーザが操作可能な操作手段として、十字キー21、アナログスティック27a、27bと、4種の操作ボタン26を備える。4種の操作ボタン26は、○ボタン22、×ボタン23、□ボタン24および△ボタン25から構成される。
【0024】
情報処理システム1において、入力装置20の操作手段に、表示画像の拡大/縮小指示、および上下左右方向へのスクロール指示を入力するための機能が割り当てられる。たとえば、表示画像の拡大/縮小指示の入力機能は、右側のアナログスティック27bに割り当てられる。ユーザはアナログスティック27bを手前に引くことで、表示画像の縮小指示を入力でき、また手前から押すことで、表示画像の拡大指示を入力できる。表示画像のスクロール指示の入力機能は、アナログスティック27aに割り当てられる。ユーザはアナログスティック27aを前後左右に倒すことで、表示画像のスクロール指示を入力できる。本実施例において、表示画像の拡大指示や縮小指示、スクロール指示を、まとめて画像変更指示とよぶ。
【0025】
入力装置20は、入力された画像変更指示信号を情報処理装置10に伝送する機能をもち、本実施例では情報処理装置10との間で無線通信可能に構成される。入力装置20と情報処理装置10は、Bluetooth(ブルートゥース)(登録商標)プロトコルやIEEE802.11プロトコルなどを用いて無線接続を確立してもよい。なお入力装置20は、情報処理装置10とケーブルを介して接続して、画像変更指示信号を情報処理装置10に伝送してもよい。
【0026】
図3は、情報処理システム1において使用する画像データの階層構造を示す。この画像データは画像データ提供サーバ2において保持されており、画像データ提供サーバ2は、情報処理装置10に対して、表示画像の生成に必要なタイル画像を適宜提供する。なお画像データ提供サーバ2は、情報処理装置10に対して画像データの階層構造を示す構造データを通知し、情報処理装置10は、このデータを用いて、入力装置20の操作情報から、フレーム画像(表示画像)を特定する空間座標を導出してもよい。なお、この階層構造は、すべてのコンテンツにおいて共通化されており、したがって情報処理装置10は、その共通化された構造データをもとに、以下に示すように空間座標を導出してもよい。
【0027】
画像データは、深さ(Z軸)方向に、第0階層30、第1階層32、第2階層34および第3階層36を含む階層構造を有し、以下、この階層構造をもつ画像データを「階層データ」とよぶ。なお第4階層以上の高階層があってもよい。図3に示す階層データ28は4分木の階層構造を有し、各階層は、1以上のタイル画像38で構成される。すべてのタイル画像38は同じ画素数をもつ同一サイズに形成され、たとえば256×256画素を有する。各階層の画像データは、一つの全体画像(コンテンツ画像)を異なる解像度で表現しており、最高解像度をもつ第3階層36の原画像を複数段階に縮小して、第2階層34、第1階層32、第0階層30の画像データが生成される。たとえば第N階層の解像度(Nは0以上の整数)は、左右(X軸)方向、上下(Y軸)方向ともに、第(N+1)階層の解像度の1/2であってよい。
【0028】
図3に示す階層データ構造において、深さ(Z軸)方向における位置は、解像度を示し、第0階層30に近い位置ほど解像度が低く、第3階層36に近い位置ほど解像度は高い。ディスプレイに表示される画像の大きさに注目すると、深さ方向における位置は、縮尺率に対応し、第3階層36の表示画像の縮尺率を1とすると、第2階層34における縮尺率は1/4、第1階層32における縮尺率は1/16となり、第0階層30における縮尺率は1/64となる。したがって深さ方向において、表示画像が第0階層30側から第3階層36側へ向かう方向に変化する場合、表示画像は拡大していき、第3階層36側から第0階層30側へ向かう方向に変化する場合は、表示画像は縮小していく。
【0029】
画像データ提供サーバ2において、階層データ28は、所定の圧縮形式で圧縮された状態で記憶装置に保持されている。階層データにおいて、圧縮処理は、タイル画像単位に行われていてもよく、また同一階層内または異なる階層間において複数のタイル画像単位に行われていてもよい。画像データ提供サーバ2は、複数のコンテンツの階層データ28を保持している。複数の階層データ28は、コンテンツを特定する識別情報(以下、「コンテンツID」とよぶ)で識別される。本実施例において、コンテンツ画像は、たとえば1つの雑誌の見開き、すなわち雑誌を開いたときに向き合っている左右の2ページである。階層データ28は、まず雑誌の見開きのスキャン画像を生成し、そのスキャン画像を順次縮小することで、複数階層の画像データとして構成される。画像データ提供サーバ2は、1つの雑誌に関して、全ての見開きの階層データを保持していてもよく、この場合に、コンテンツIDは、雑誌(コンテンツ)名と、ページ番号などから構成されてよい。
【0030】
階層データ28の階層構造は、図3に示すように、左右方向をX軸、上下方向をY軸、深さ方向をZ軸として設定され、仮想的な3次元空間を構築する。この階層構造において、X軸およびY軸は、原点を等しくする共通の座標系を定義する。情報処理装置10は、入力装置20から供給される画像変更指示から表示画像の変更量を導出し、導出した変更量を用いて、階層を特定する情報と、その階層におけるテクスチャ座標(UV座標)を導出する。この階層特定情報およびテクスチャ座標の組み合わせを、空間座標と呼ぶ。仮想空間における空間座標は、使用するタイル画像の特定処理、および表示画像の生成処理に利用される。なお情報処理装置10は、表示画像の変更量を用いて仮想空間におけるフレーム画像の4隅の座標を導出してもよい。この4隅のフレーム座標も、空間座標と呼ぶ。また情報処理装置10は、空間座標として、仮想空間におけるフレーム画像の中心座標(X,Y)と縮尺率SCALEを導出してもよい。情報処理装置10は、入力装置20から供給される画像変更指示信号から、適切な階層のタイル画像38の使用領域を特定できればよく、いずれの手法を採用してもよい。情報処理装置10は、導出した空間座標を画像データ提供サーバ2に送信し、画像データ提供サーバ2は、空間座標より特定されるタイル画像を情報処理装置10に提供する。なお画像データ提供サーバ2は、たとえば将来的に必要となるであろうタイル画像を予測により特定し、前もって情報処理装置10に提供してもよい。なお、情報処理装置10が、階層データの全体を画像データ提供サーバ2からダウンロードしている場合には、情報処理装置10が、導出した空間座標から、タイル画像38の使用領域を特定すればよい。
【0031】
図4は、情報処理装置10の機能ブロック図を示す。情報処理装置10は、無線インタフェース40、スイッチ42、表示処理部44、ハードディスクドライブ50、記録媒体装着部52、ディスクドライブ54、メインメモリ60、バッファメモリ70および制御部100を有して構成される。表示処理部44は、フレームメモリを利用して、出力装置12のディスプレイに表示するデータをバッファリングする。本実施例において情報処理装置14も、情報処理装置10と同様の機能を有して構成されてよい。
【0032】
スイッチ42は、イーサネットスイッチ(イーサネットは登録商標)であって、外部の機器と有線または無線で接続して、データの送受信を行うデバイスである。スイッチ42は、外部のネットワーク18に接続し、画像データ提供サーバ2からタイル画像データを受信する。またスイッチ42は無線インタフェース40に接続し、無線インタフェース40は、所定の無線通信プロトコルで入力装置20と接続する。入力装置20においてユーザから入力された画像変更指示信号は、無線インタフェース40、スイッチ42を経由して、制御部100に供給される。
【0033】
ハードディスクドライブ50は、データを記憶する補助記憶装置として機能する。スイッチ42を介して受信された圧縮画像データは、メインメモリ60に格納されてもよい。なお、階層データの全体をダウンロードする際には、階層データがハードディスクドライブ50に格納されてもよい。記録媒体装着部52は、メモリカードなどのリムーバブル記録媒体が装着されると、リムーバブル記録媒体からデータを読み出す。ディスクドライブ54は、読出専用のROMディスクが装着されると、ROMディスクを駆動して認識し、データを読み出す。ROMディスクは、光ディスクや光磁気ディスクなどであってよい。なお圧縮画像データは、ハードディスクドライブ50にプリインストールされていてもよい。また圧縮画像データは、リムーバブル記録媒体またはROMディスクに記録されていて、表示処理の実行時に、メインメモリ60に読み出されてもよい。
【0034】
制御部100は、マルチコアCPUを備え、1つのCPUの中に1つの汎用的なプロセッサコアと、複数のシンプルなプロセッサコアを有する。汎用プロセッサコアはPPU(Power Processing Unit)と呼ばれ、残りのプロセッサコアはSPU(Synergistic-Processing Unit)と呼ばれる。
【0035】
制御部100は、メインメモリ60およびバッファメモリ70に接続するメモリコントローラを備える。PPUはレジスタを有し、演算実行主体としてメインプロセッサを備えて、実行するアプリケーションにおける基本処理単位としてのタスクを各SPUに効率的に割り当てる。なお、PPU自身がタスクを実行してもよい。SPUはレジスタを有し、演算実行主体としてのサブプロセッサとローカルな記憶領域としてのローカルメモリを備える。ローカルメモリは、バッファメモリ70として使用されてもよい。メインメモリ60およびバッファメモリ70は記憶装置であり、RAM(ランダムアクセスメモリ)として構成される。SPUは制御ユニットとして専用のDMA(Direct Memory Access)コントローラをもち、メインメモリ60とバッファメモリ70の間のデータ転送を高速に行うことができ、またフレームメモリとバッファメモリ70の間で高速なデータ転送を実現できる。本実施例の制御部100は、複数のSPUを並列動作させることで、高速な画像処理機能を実現する。表示処理部44は、出力装置12に接続されて、ユーザからの要求に応じた画像処理結果を出力する。
【0036】
図5は、情報処理装置10における制御部100の構成を示す。制御部100は、入力受付部110、送信部120、情報取得部130、画像処理部140およびクリップ処理部160を備える。入力受付部110は、入力装置20から操作情報を受け付ける機能を有し、変更指示受付部112、クリップ指示受付部114、文字入力受付部116、開始指示受付部118、スクラップブック表示指示受付部122およびサムネイル選択指示受付部124を有する。画像処理部140は、表示画像の生成処理、具体的には表示画像の拡大/縮小、スクロールなどの変更処理を実行する機能を有し、画像データ取得部142、デコード部144、変更量導出部146、空間座標決定部148、表示画像生成部150、メニュー画像生成部152およびガイド画像生成部154を有する。クリップ処理部160は、クリップ処理(スクラップ処理)を実行する機能を有し、スクラップ情報生成部180、スクラップ情報書込部170、スクラップ情報読出部172、スクラップブック生成部174および操作画像生成部176を有する。スクラップ情報生成部180は、クリッピング領域特定部162、サムネイル画像生成部164、位置情報取得部166およびコンテンツID取得部168を有する。
【0037】
図5において、さまざまな処理を行う機能ブロックとして記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、その他のLSIで構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。既述したように、制御部100は1つのPPUと複数のSPUとを有し、PPUおよびSPUがそれぞれ単独または協同して、各機能ブロックを構成できる。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。
【0038】
情報処理システム1において、情報処理装置10が、登録したコンテンツの閲覧アプリケーションを実行する。この閲覧アプリケーションのメニュー画面には、登録されたコンテンツのサムネイル画像が表示される。このサムネイル画像は、静止画像であっても、動画像であってもよい。情報処理装置10は、登録したコンテンツを特定するコンテンツIDを保持しており、メニュー画面の生成時には、画像データ提供サーバ2から、登録コンテンツのサムネイル画像を取得する。メニュー画面は、たとえばカテゴリ毎に生成されてよく、情報処理装置10は、生成するメニュー画面に応じて、必要なサムネイル画像を画像データ提供サーバ2から取得する。
【0039】
図6は、コンテンツ閲覧アプリケーションを操作するためのメニュー画面の一例を示す。出力装置12のディスプレイにおいて、メニュー画面には、登録したコンテンツのカテゴリを選択するためのカテゴリ選択領域200が設けられる。ユーザは入力装置20を操作して、カテゴリ選択領域200に含まれるカテゴリを選択できる。図6では、カテゴリ「car」が選択され、登録コンテンツ表示領域204a、204b、204cに、カテゴリ「car」に関して登録されているコンテンツのサムネイル画像が表示されている。ユーザは入力装置20を操作して、選択枠206を動かすことでサムネイル画像を選択でき、選択枠206が配置されたサムネイル画像の拡大画像が選択コンテンツ表示領域202に表示される。
【0040】
以上のメニュー画像は、メニュー画像生成部152により生成される。ハードディスクドライブ50は、メニュー画像の生成に必要なメニュー情報210を保持している。メニュー情報210は、カテゴリ名、カテゴリに対応付けられたコンテンツIDなどを含み、画像データ提供サーバ2から提供される。メニュー画像生成部152は、カテゴリ選択領域200においてカテゴリが選択されると、メニュー情報210から選択されたカテゴリに対応付けられたコンテンツIDを読み出す。送信部120は、読み出されたコンテンツIDをスイッチ42経由で画像データ提供サーバ2に送信し、画像データ提供サーバ2は、コンテンツIDに対応付けられたサムネイル画像を情報処理装置10に提供する。画像データ取得部142がサムネイル画像を受け取ると、メニュー画像生成部152は、サムネイル画像を登録コンテンツ表示領域204に貼り付ける。
【0041】
サムネイル選択指示受付部124が、登録コンテンツ表示領域204に表示されたサムネイル画像の選択指示すなわち選択枠206の移動指示を受け付けると、メニュー画像生成部152は、選択枠206を登録コンテンツ表示領域204間で動かし、選択コンテンツ表示領域202に、選択されたサムネイル画像の拡大画像を表示する。なお、この拡大画像は、画像データ提供サーバ2から提供されてもよい。図6に示すメニュー画面において、ユーザが入力装置20の○ボタン22を押下すると、選択コンテンツ表示領域202に示されるコンテンツ画像の表示処理が開始される。
【0042】
図7は、コンテンツ画像の表示処理開始時に出力装置12に示される表示画像の一例を示す。図6に示すメニュー画面においてユーザが○ボタン22を押下すると、開始指示受付部118が、その操作情報を、表示処理の開始指示として受け付け、画像データ取得部142が、画像データ提供サーバ2から、コンテンツ画像の初期画像データを取得する。画像データ提供サーバ2は、情報処理装置10にて初期画像を生成するためのタイル画像を予め保持しており、送信部120から初期画像の取得要求がコンテンツIDとともに送信されると、情報処理装置10に、そのコンテンツIDで特定される初期画像を構成するタイル画像を送信する。画像データ取得部142が、タイル画像を取得すると、表示画像生成部150が、タイル画像を用いて、図7に示す初期画像を生成する。
【0043】
ユーザが入力装置20のアナログスティック27を操作すると、画像変更指示信号が情報処理装置10に送信される。変更指示受付部112は、入力装置20から、ディスプレイに表示されている表示画像の変更指示信号を受け付ける。
【0044】
変更量導出部146は、変更指示信号をもとに、表示要求される表示画像の変更量を導出する。表示画像の変更量は、階層データの仮想3次元空間において、1フレームごとの表示画像の上下左右方向の移動量および深さ方向の移動量である。空間座標決定部148は、前回フレームの空間座標から、導出された変更量により移動する今回フレームの空間座標(位置情報)を決定する。ここで空間座標は、フレーム画像の中心座標(X,Y)と縮尺率SCALEで特定される位置情報(X,Y,SCALE)である。変更量導出部146は、変更指示信号をもとに変更量(ΔX,ΔY,ΔSCALE)を導出し、空間座標決定部148は、前回フレームの位置情報(Xprev,Yprev,SCALEprev)に変更量(ΔX,ΔY,ΔSCALE)を加えて、今回フレームの位置情報(X,Y,SCALE)を決定する。なお、既述したように、空間座標は他のパラメータにより定められてもよい。
【0045】
送信部120は、空間座標決定部148で決定された空間座標を、画像データ提供サーバ2に送信する。画像データ提供サーバ2は、空間座標を受け取ると、情報処理装置10にて表示画像を生成するためにタイル画像を変更する必要があるか判定し、タイル画像を変更する必要がある場合には、そのタイル画像を情報処理装置10に提供する。画像データ取得部142はタイル画像を取得すると、メインメモリ60に保持させる。デコード部144は、メインメモリ60から表示画像の生成に用いるタイル画像を読み出してデコードし、バッファメモリ70に保持させる。表示画像生成部150は、位置情報にもとづいて、バッファメモリ70に保持されたタイル画像を用いて表示画像を生成し、フレームメモリ90に供給する。
【0046】
ガイド画像生成部154は、画面右下の領域に表示するガイド画像220を生成する。ガイド画像220は、コンテンツの全体画像における表示画像の領域の位置を特定するインジケータである。コンテンツの全体画像とは、本実施例では雑誌の見開き全体の画像であり、階層データにおいて1つの階層に含まれる全てのタイル画像で構成される画像である。ガイド画像生成部154は、フレームの空間座標から、全体画像における表示画像の領域の位置を特定し、その領域を示すガイド画像220を生成する。図7の例では、表示画像がコンテンツの全体画像であるため、ガイド画像220がコンテンツ枠222に重なっている。コンテンツ枠222は、コンテンツの全体画像の外枠を縮小したものであり、ガイド画像生成部154は、コンテンツ全体画像の外枠と表示画像の領域との関係を、コンテンツ枠222とガイド画像220との関係で表現する。ガイド画像生成部154は、生成した画像を表示処理部44に供給する。表示処理部44は、表示画像生成部150で生成された表示画像に、ガイド画像生成部154で生成されたガイド画像を重畳表示して、フレーム画像を生成する。
【0047】
以上のように表示画像生成部150が表示画像を生成することで、情報処理装置10は、表示画像の拡大、縮小処理、またスクロール処理を高速に実行し、スムーズな画像の変化をユーザに提供できる。またガイド画像生成部154がガイド画像を生成することで、ユーザが、全体のコンテンツ画像における表示画像の位置を容易に把握できる。
【0048】
図8は、図7に示す初期画像から、ハンドルを拡大表示した表示画像の一例を示す。ガイド画像生成部154は、フレームの空間座標から、全体画像における表示画像領域の位置を特定し、ガイド画像220をコンテンツ枠222内に配置する。
【0049】
情報処理装置10は、出力装置12に表示されている表示画像の全体または一部を切り出すクリップ処理(スクラップ処理)を行う機能を有する。表示画像の全体とは、出力装置12に表示されているフレーム画像の全体を意味し、表示画像の一部とは、フレーム画像の一部を意味する。このクリップ処理は、クリップ処理部160により実行される。このクリップ処理によると、コンテンツ画像が表示されている間、ユーザは入力装置20の所定のボタン(たとえば○ボタン22)を押下することで、表示画像の全体または一部をスクラップできる。以下では、図8に示す表示画面において、ユーザが○ボタン22を押下した場合を例に説明する。
【0050】
クリップ指示受付部114が、入力装置20より○ボタン22の操作情報を、コンテンツの全体画像から、表示画像の全体または一部を切り出すクリップ指示として受け付ける。本実施例では、クリップ指示受付部114が、○ボタン22の操作情報を、表示画像の全体を切り出すクリップ指示として受け付け、この例では、図8に示すハンドルの画像がクリップ処理される。なお、たとえばユーザが、表示画像上で、切り出す領域を特定する矩形領域を設定できるようにしてもよい。
【0051】
クリップ指示受付部114がクリップ指示を受け付けると、スクラップ情報生成部180が、クリッピングする画像を特定するスクラップ情報を生成する。まずスクラップ情報生成部180において、クリッピング領域特定部162が、クリップ指示によりコンテンツ画像の全体から切り出す領域を特定する。既述したように、ここでは表示画像の全体が、切り出す領域として特定される。サムネイル画像生成部164は、特定した領域に対応するサムネイル画像を生成する。サムネイル画像生成部164は、切り出した表示画像を縮小して、サムネイル画像を生成してもよい。位置情報取得部166は、特定した領域の、全体画像における位置を特定する位置情報を取得する。この位置情報は、階層構造をもつ画像データにおいて、表示画像を生成する領域の位置情報(X,Y,SCALE)であり、表示画像の全体をクリッピングするときには、ガイド画像220を生成する際に用いられる情報であってよい。なお、ユーザが表示画像上で切り出す領域を特定する矩形領域を設定する場合には、位置情報取得部166は、その矩形領域の位置情報を演算により導出して取得する。このように本実施例では、位置情報取得部166が、表示画像の空間座標を、位置情報として取得する。さらにコンテンツID取得部168は、コンテンツ画像の識別情報(コンテンツID)を取得する。スクラップ情報書込部170は、取得したコンテンツID、生成したサムネイル画像および取得した位置情報とを、互いに対応付けて、スクラップ情報212としてハードディスクドライブ50に格納する。
【0052】
図9は、サムネイル画像に付与するメモを入力するための操作画像の一例である。クリップ指示受付部114がクリップ指示を受け付けると、スクラップ情報生成部180がスクラップ情報を生成するとともに、操作画像生成部176が、スクラップ画像に付加する文字情報を入力するための操作画像230を生成する。操作画像230では、ユーザが入力装置20を操作して文字(たとえばアルファベット)を選択でき、スクラップ画像に付加する文字列を入力できる。図示の例では、「NEW CAR」の文字列が入力されている。入力された文字列は、サムネイル画像に関連付けられて、スクラップ情報としてハードディスクドライブ50に格納される。
【0053】
図10は、クリップ処理の終了を示す画面の一例を示す。スクラップ情報書込部170は、コンテンツID、サムネイル画像、位置情報および文字列を、スクラップ情報212としてハードディスクドライブ50に格納する。スクラップ情報書込部170は、クリップ指示が生成されるたびに、スクラップ情報212を生成してハードディスクドライブ50に格納する。
【0054】
ユーザは、スクラップしたコンテンツの一覧を見ることができる。コンテンツ閲覧アプリケーションの実行中、ユーザは入力装置20の所定のボタン(たとえば□ボタン24)を押下することで、ハードディスクドライブ50に蓄積したサムネイル画像を一覧表示させる。スクラップしたコンテンツの一覧を画像で表現することにより、ユーザが直観的にコンテンツを把握できるインタフェースを提示できる。以下では、図7に示す表示画面において、ユーザが□ボタン24を押下した場合を例に説明する。なお、スクラップ画像の一覧表示は、たとえば図8に示す表示画面から遷移することも可能である。
【0055】
図11は、スクラップブック240が表示された画面例を示す。スクラップブック表示指示受付部122が、入力装置20より□ボタン24の操作情報を、仮想的なスクラップブックを表示させる指示として受け付ける。スクラップブック表示指示受付部122がスクラップブック表示指示を受け付けると、スクラップ情報読出部172が、ハードディスクドライブ50に格納されているスクラップ情報を読み出す。ここでは、スクラップ情報読出部172が、スクラップ情報のうち、サムネイル画像および付随する文字列を読み出す。スクラップブック生成部174は、読み出されたサムネイル画像を用いて、ユーザがサムネイル画像を選択できるように提示するスクラップブック240を生成して、表示処理部44に供給する。表示処理部44は、表示画像生成部150で生成された表示画像に、スクラップブック生成部174で生成されたスクラップブック240を重畳表示して、フレーム画像を生成する。スクラップブック240は、ユーザが入力装置20を操作することで、サムネイル画像を上下方向に動かせるように構成される。スクラップブック240において、縦方向の中央部に選択領域242が設定され、ユーザが所定のボタンを押下すると、選択領域242に配置されたサムネイル画像に対応するコンテンツ画像が表示される。
【0056】
図11に示す例では、「NEW CAR」と文字列が付加されたハンドルのサムネイル画像が選択領域242に表示されている。このサムネイル画像は、図10においてクリップ処理されたものである。この状態でユーザが所定のボタン(たとえば○ボタン22)を押下すると、サムネイル選択指示受付部124が、その操作情報を、選択領域242に表示されているサムネイル画像の選択指示として受け付ける。この選択指示は、画像データ取得部142に供給される。
【0057】
画像データ取得部142は、サムネイル画像の選択指示を受けると、そのサムネイル画像に対応付けられているスクラップ情報212をハードディスクドライブ50から読み出す。送信部120は、読み出したコンテンツIDおよび位置情報を画像データ提供サーバ2に送信し、画像データ提供サーバ2は、コンテンツIDおよび位置情報で特定されるタイル画像を情報処理装置10に提供する。このとき画像データ提供サーバ2は、そのコンテンツの初期画像データも情報処理装置10に提供してよい。
【0058】
画像データ取得部142はタイル画像を取得すると、メインメモリ60に保持させる。デコード部144は、メインメモリ60から表示画像の生成に用いるタイル画像を読み出してデコードし、バッファメモリ70に保持させる。表示画像生成部150は、バッファメモリ70に保持されたタイル画像を用いて表示画像を生成し、フレームメモリ90に供給する。これにより、サムネイル画像と同じクリップ画像が、より高い解像度で出力装置12に表示されることになる。
【0059】
なお、この画像を表示する前に、表示画像生成部150は、初期画像データを用いて初期画像を生成してもよい。初期画像はコンテンツの全体画像を示すため、初期画像を表示することで、ユーザは、コンテンツの全体を容易に認識できる。なお、初期画像の表示時間は1秒程度と短くてよく、初期画像の表示後、拡大処理によりクリップ画像にスムーズに遷移することが好ましい。なおクリップ画像が初期画像と同じである場合には、初期画像がそのまま表示され続けることになる。
【0060】
図12は、クリップ処理を示すフローチャートである。クリップ指示受付部114がクリップ指示を受け付ける(S100)と、クリッピング領域特定部162が、クリップ指示によりコンテンツ画像の全体から切り出す画像領域を特定する(S102)。本実施例では、表示画像の全体の領域が、切り出し領域として特定される。位置情報取得部166は、特定した領域の、コンテンツの全体画像における位置を特定する位置情報を取得する(S104)。この位置情報は、表示画像を生成する際に用いられる空間座標であってよい。なおこの空間座標は、縮尺率に関連する情報を含んでいる。サムネイル画像生成部164は、特定した領域に対応するサムネイル画像を生成する(S106)。コンテンツID取得部168は、コンテンツ画像の識別情報(コンテンツID)を取得する(S108)。スクラップ情報書込部170は、取得したコンテンツID、生成したサムネイル画像および取得した位置情報とを互いに対応付けて、スクラップ情報としてハードディスクドライブ50に格納する(S110)。
【0061】
以上のように、情報処理装置10は、ユーザが直観的にコンテンツを認識しやすいクリップ処理を実行する。現実世界では、友人と同じ雑誌や新聞などを見ながら語り合い、互いの感覚を共有することができる。しかしながら、実際にはスケジュール調整など難しいことも多く、特に遠隔地の友人と集合することは難しい。そこで情報処理システム1では、ネットワーク上の仮想空間で、情報を共有できる環境を提供する。
【0062】
一つの例として、情報処理装置10が、スクラップ情報を情報処理装置14に供給することで、他のユーザ(たとえば友人)との間で情報を共有する。情報取得部130は、ハードディスクドライブ50からスクラップ情報212を取得し、送信部120が、特定の情報処理装置14に、スクラップ情報212を送信する。このとき送信部120は、スクラップ情報のうち、コンテンツIDと位置情報のみを送信するようにしてもよい。情報処理装置14は、情報処理装置10と同じ画像処理機能を有しており、コンテンツIDと位置情報を受信すれば、画像データ提供サーバ2にアクセスして、コンテンツ画像を表示できる。情報処理装置14は、少なくとも、コンテンツIDと位置情報を受信する受信部と、受信したコンテンツIDと位置情報を画像データ提供サーバ2に送信する送信部と、画像データ提供サーバ2から提供される画像データを取得する画像データ取得部と、取得した画像データを用いて、位置情報にしたがって表示画像を生成する表示画像生成部とを有する。このようにして、情報処理システム1においては、スクラップした情報を複数ユーザで共有することができる。
【0063】
たとえば送信部120は、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)などで用いられるメッセージ機能を利用して、情報処理装置14にスクラップ情報212を送信してもよい。情報処理装置14は、ゲームアプリケーションなどを実行中であっても、メッセージを受信すると、出力装置16にアイコン等を表示することで、ユーザに、メッセージを受信したことを知らせることができる。このユーザは、好きなタイミングでメッセージを開封し、情報処理装置10から送信されたスクラップ情報212を取得する。これにより情報処理装置14のユーザは、情報処理装置10のユーザがスクラップした情報を共有できるようになる。なお情報処理装置14は、まず最初にスクラップ情報212により特定されるクリッピング画像を出力装置16に表示するが、既述したように情報処理装置10と同じ画像処理機能を有しており、ユーザの操作により表示画像を自由に拡大縮小または動かして表示できる。
【0064】
なお、情報処理装置10が、スクラップ情報を蓄積サーバ3に蓄積してもよい。たとえば情報処理装置14は、所望のタイミングで蓄積サーバ3にアクセスして、情報処理装置10が生成したスクラップ情報を取得してもよい。蓄積サーバ3にスクラップ情報が蓄積されると、情報処理装置14は、任意のタイミングでスクラップ情報を取得でき、利便性の高い環境を実現できる。
【0065】
別の例として、情報処理装置10が、リアルタイムで、表示している画像の情報を情報処理装置14に供給してもよい。これにより情報処理装置14では、情報処理装置10で表示されている画像と実質的に同じ画像が表示される。この同期処理を実現するために、情報処理システム1では、チャットシステムを利用する。
【0066】
実施例の情報処理システム1では、ホスト装置となる情報処理装置10が、チャット用の仮想的な部屋(チャットルーム)をネットワークサーバ4に生成させる。情報処理装置10のホストユーザは、チャットルームに招待するゲストユーザを指定して、そのゲストユーザの情報処理装置14に対して招待メッセージを情報処理装置10から送信する。ゲストユーザが情報処理装置14を介してチャットルームへの招待に同意し、チャットルームに入室すると、チャットルームに入室したユーザ同士の間でチャットシステムが構築される。
【0067】
図13は、チャット接続を確立する処理を示すシーケンス図である。ネットワークサーバ4は、情報処理システム1に参加する情報処理装置のネットワークID、アドレス情報およびユーザIDを対応づけて管理している。まず情報処理装置10が、チャットルームの生成要求を作成する(S10)。チャットルームの生成要求はネットワークサーバ4に送信され(S12)、ネットワークサーバ4は、チャットルームを生成する(S14)。情報処理装置10は、複数の他人のユーザIDを予め保持しており、チャットルームに招待するゲストユーザを選択して(S16)、ゲストユーザのユーザIDおよび招待メッセージをネットワークサーバ4に送信する(S18)。
【0068】
ネットワークサーバ4は、ゲストユーザのユーザIDから、ゲストユーザの情報処理装置14のネットワークIDを特定し(S20)、そのネットワークIDに対応づけられているアドレスに招待メッセージを転送する(S22)。情報処理装置14は、招待メッセージに同意することを示す入室要求を生成し(S24)、ネットワークサーバ4に送信する(S26)。それを受けてネットワークサーバ4は、ゲストユーザのチャットルームへの入室を許可し(S28)、情報処理装置10に情報処理装置14のアドレス情報を送信する(S30)。情報処理装置10は、送信されたアドレス情報をもとに情報処理装置14にアクセスし、チャット接続を確立する(S32)。これにより、情報処理装置10のホストユーザと、情報処理装置14のゲストユーザが、チャットすることが可能となる。
【0069】
情報処理装置10は、他の情報処理装置との間でも同様の処理をすることで、複数のゲストユーザがチャットルームに入室できる。チャットルームに入室した全てのユーザのアドレス情報が、それぞれの情報処理装置14に通知されて、情報処理装置10および各情報処理装置14は、自分以外の入室ユーザに対して、ストリームデータまたはテキストデータを送信する。これにより、チャットルームに入室したユーザ同士の間でチャットすることが可能となる。
【0070】
本実施例の情報処理システム1においては、情報処理装置10が、チャットメッセージに、表示画像に関する情報を添付する。ここで表示画像に関する情報は、表示しているコンテンツのIDと、位置情報(空間座標)を含む。これらの情報を受け取った情報処理装置14は、画像データ提供サーバ2にアクセスして、必要なタイル画像を取得し、表示画像を生成する。これにより情報処理装置14は、情報処理装置10と同期して表示画像を生成することができ、したがって、各ユーザは、あたかも同じ空間で、一緒にコンテンツを閲覧する感覚を得ることができる。
【0071】
なお情報処理装置10は、招待メッセージに対する応答がない場合には、既述したように、スクラップ情報212をメッセージ機能を利用して、情報処理装置14に送信しておいてもよい。これにより情報処理装置14は、メッセージを開封することで、スクラップ情報212を取得できるようになる。なお、メッセージに、チャットルームをあらためて開設する時期などを書き込んでおき、情報処理装置14のユーザに、一緒にコンテンツを閲覧する約束をとりつけるようにしてもよい。
【0072】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0073】
実施例では、表示画像を生成するために階層データを利用した。複数階層の画像データを利用することで、表示画像をスムーズに遷移させることが可能となる。しかしながら、情報処理装置10は、1階層の画像データのみを用いて、表示画像を生成してもよい。
【0074】
なお、クリップ処理部160は、ハードディスクドライブ50に格納したスクラップ情報212を定期的に整理してもよい。たとえば、画像データ提供サーバ2において既に削除されたコンテンツのスクラップ情報212は、削除されることが好ましい。したがってクリップ処理部160は、スクラップ情報212に含まれるコンテンツIDが画像データ提供サーバ2に存在しているか定期的に画像データ提供サーバ2に問い合わせてもよい。このとき、既に削除されているコンテンツについては、そのコンテンツIDで特定されるスクラップ情報212が削除される。これにより、スクラップ情報212を整理することができる。
【符号の説明】
【0075】
1・・・情報処理システム、2・・・画像データ提供サーバ、3・・・蓄積サーバ、4・・・ネットワークサーバ、10・・・情報処理装置、12・・・出力装置、14・・・情報処理装置、16・・・出力装置、18・・・ネットワーク、20・・・入力装置、100・・・制御部、110・・・入力受付部、112・・・変更指示受付部、114・・・クリップ指示受付部、116・・・文字入力受付部、118・・・開始指示受付部、120・・・送信部、122・・・スクラップブック表示指示受付部、124・・・サムネイル選択指示受付部、130・・・情報取得部、140・・・画像処理部、142・・・画像データ取得部、144・・・デコード部、146・・・変更量導出部、148・・・空間座標決定部、150・・・表示画像生成部、152・・・メニュー画像生成部、154・・・ガイド画像生成部、160・・・クリップ処理部、162・・・クリッピング領域特定部、164・・・サムネイル画像生成部、166・・・位置情報取得部、168・・・コンテンツID取得部、170・・・スクラップ情報書込部、172・・・スクラップ情報読出部、174・・・スクラップブック生成部、176・・・操作画像生成部、180・・・スクラップ情報生成部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体画像の全部または一部をディスプレイに表示する情報処理装置であって、
表示画像の変更指示を受け付ける第1受付部と、
変更指示に応じて、全体画像の全部または一部である表示画像を生成する画像処理部と、
クリップ指示を受け付ける第2受付部と、
クリップ指示を受けて、クリップ処理を行うクリップ処理部とを備え、
前記クリップ処理部は、
クリップ指示により切り出す領域を特定するクリッピング領域特定部と、
特定した領域に対応するサムネイル画像を生成するサムネイル画像生成部と、
特定した領域の、全体画像における位置を特定する位置情報を取得する位置情報取得部と、
サムネイル画像と位置情報とを対応付けて記憶する記憶部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記変更指示は、表示画像の拡大、縮小または移動を指示するものであることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記クリップ処理部は、前記第2受付部がクリップ指示を受け付けたときに表示されている画像を特定する識別情報を取得する識別情報取得部をさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記クリップ処理部は、サムネイル画像をユーザが選択できるように提示するスクラップブックを生成するスクラップブック生成部をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
ディスプレイに表示されているサムネイル画像の選択指示を受け付ける第3受付部をさらに備え、
前記画像処理部は、選択されたサムネイル画像に対応付けられた位置情報をもとに、表示画像を生成することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記画像処理部は、全体画像を複数の解像度のタイル画像で表現する階層化された画像データのうち、少なくとも1つのタイル画像を用いて表示画像を生成するものであって、
前記位置情報取得部は、縮尺率に関連する情報を、位置情報として取得することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記画像処理部は、ネットワークを介して画像データ提供サーバからタイル画像を取得することを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
識別情報および位置情報を、ネットワークを介して他の情報処理装置または蓄積サーバに送信する送信部をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項9】
全体画像の全部または一部をディスプレイに表示する情報処理装置であって、
表示画像の変更指示を受け付ける第1受付部と、
変更指示に応じて、表示するべき画像の全体画像における位置を特定する位置情報を決定する位置情報決定部と、
決定した位置情報にしたがって表示画像を生成する表示画像生成部と、
決定した位置情報を、別の情報処理装置に送信する送信部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
第1情報処理装置と第2情報処理装置とがネットワークで接続された情報処理システムであって、
第1情報処理装置は、
表示画像の変更指示を受け付ける第1受付部と、
変更指示に応じて、表示するべき画像の全体画像における位置を特定する位置情報を決定する位置情報決定部と、
決定した位置情報にしたがって、全体画像の全部または一部である表示画像を生成する表示画像生成部と、
決定した位置情報を、第2情報処理装置に送信する送信部と、を有し、
第2情報処理装置は、
位置情報を受信する受信部と、
受信した位置情報にしたがって表示画像を生成する表示画像生成部と、を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項11】
コンピュータに、
表示画像の変更指示を受け付ける機能と、
変更指示に応じて、全体画像の全部または一部である表示画像を生成する機能と、
クリップ指示を受け付ける機能と、
クリップ指示により切り出す領域を特定する機能と、
特定した領域に対応するサムネイル画像を生成する機能と、
特定した領域の、全体画像における位置を特定する位置情報を取得する機能と、
サムネイル画像と位置情報とを対応付けて記憶部に記憶する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−118546(P2011−118546A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273847(P2009−273847)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(310021766)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (417)
【Fターム(参考)】