説明

情報処理装置および方法、プログラム、並びに記録媒体

【課題】自動車を利用する場面において、より便利な決済サービスを提供することができるようにする。
【解決手段】リーダライタ制御部71は、例えば、リーダライタによるアンテナを介した無線通信を制御し、情報取得部72は、通信可能な携帯電話機に搭載された非接触ICカードから、クレジットカード番号、プリペイド残高など決済に必要な情報を取得する。記憶制御部73は、取得された決済に必要な情報を、マイコンの内部のメモリに記憶し、決済処理部74は、自動車の外部にある決済制御装置との間で行われる料金の決済に関する処理を実行する。外部通信制御部75は、アンテナを介した決済制御装置との通信を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および方法、プログラム、並びに記録媒体に関し、特に、自動車を利用する場面において、より便利な決済サービスを提供することができるようにする情報処理装置および方法、プログラム、並びに記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カーナビゲーションシステム、ETC(electronic toll collection)など自動車に取り付けられる電子機器の普及がめざましい。
【0003】
ETCは、無線通信を用いて有料道路などの通行料金を、利用者に自動的に課金するシステムであり、これにより利用者は、有料道路の料金所をノンストップで通過することが可能となっている。
【0004】
また、携帯電話機を用いて各種のサービスや品物などの料金を決済する技術も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2003−150875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ETCを利用して決済可能なサービス、品物などの種類は限られており、また、ETCを利用可能な場所も限られている。
【0007】
一方で、携帯電話機による料金の決済は、コンビニエンスストアなどでも行われており、利用可能なサービス、品物、場所など広く普及しつつあるが、運転中の携帯電話の使用は、道路交通法により厳しく制限されている。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、自動車を利用する場面において、より便利な決済サービスを提供することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による情報処理装置は、ユーザが携帯する端末との間で行われる無線通信を制御する端末通信制御手段と、端末との間で通信が可能な場合、端末に記憶された情報を取得する情報取得手段と、情報取得手段により取得された情報を記憶する情報記憶手段と、端末に記憶された情報に基づいてユーザに所定のサービスを提供する処理を実行するサービス提供装置との間で行われる無線通信を制御する装置通信制御手段と、サービス提供装置からの通信要求があった場合、情報記憶手段により記憶された情報に基づいて、端末により行われるべき処理を端末に代わって実行する処理実行手段とを備える情報処理装置である。
【0010】
本発明の情報処理装置においては、ユーザが携帯する端末との間で行われる無線通信が制御され、端末との間で通信が可能な場合、端末に記憶された情報が取得され、取得された情報が記憶される。また、端末に記憶された情報に基づいてユーザに所定のサービスを提供する処理を実行するサービス提供装置との間で行われる無線通信が制御され、サービス提供装置からの通信要求があった場合、記憶された情報に基づいて、端末により行われるべき処理が端末に代わって実行される。
【0011】
したがって、ユーザは、端末を操作することなくサービスの提供を受けることができる。
【0012】
前記端末は、携帯電話機であり、端末通信制御手段は、携帯電話機に組み込まれた端末としての非接触ICカードとの間で無線通信を行うようにすることができる。
【0013】
前記情報取得手段により取得される情報には、非接触ICカードを用いて行われる決済において必要となる情報であって、電子マネーのプリペイド残高、またはクレジットカードの番号が含まれるようにすることができる。
【0014】
前記処理実行手段は、サービス提供装置がユーザに対して提供したサービスの代金を課金するとき、決済において必要となる情報に基づいて代金の決済処理を実行するようにすることができる。
【0015】
したがって、既存の決済の仕組みを有効に活用することができる。
【0016】
自動車に取り付けられ、装置通信制御手段は、サービス提供装置の無線通信部が、自動車と予め設定された距離以内の位置にあるとき、サービス提供装置との間で無線通信を行うようにすることができる。
【0017】
したがって、ユーザは、運転中に携帯電話機を操作することなく、決済を完了させることができる。
【0018】
前記サービス提供装置は、自動車に対して駐車料金を課金する駐車料金決済制御装置であるようにすることができる。
【0019】
前記サービス提供装置は、自動車に給油された燃料の代金を課金する携帯型POS端末であるようにすることができる。
【0020】
本発明による情報処理方法は、ユーザが携帯する端末との間で無線通信が可能か否かを判定し、端末との間で通信が可能な場合、端末との間で無線通信を行い、無線通信により端末に記憶された情報を取得し、取得された情報を記憶し、端末に記憶された情報に基づいてユーザに所定のサービスを提供する処理を実行するサービス提供装置からの通信要求があったか否かを判定し、サービス提供装置からの通信要求があった場合、サービス提供装置との間で無線通信を行い、無線通信により記憶された情報に基づいて、端末により行われるべき処理を端末に代わって実行するステップを含む情報処理方法である。
【0021】
本発明によるプログラムは、ユーザが携帯する端末との間で無線通信が可能か否かの判定を制御し、端末との間で通信が可能な場合、端末との間での無線通信を制御し、無線通信により端末に記憶された情報の取得を制御し、取得された情報の記憶を制御し、端末に記憶された情報に基づいてユーザに所定のサービスを提供する処理を実行するサービス提供装置からの通信要求があったか否かの判定を制御し、サービス提供装置からの通信要求があった場合、サービス提供装置との間での無線通信を制御し、無線通信により記憶された情報に基づいて、端末により行われるべき処理を端末に代わって実行するように制御するステップを含むコンピュータが読み取り可能なプログラムである。
【0022】
本発明による記録媒体は、ユーザが携帯する端末との間で無線通信が可能か否かの判定を制御し、端末との間で通信が可能な場合、端末との間での無線通信を制御し、無線通信により端末に記憶された情報の取得を制御し、取得された情報の記憶を制御し、端末に記憶された情報に基づいてユーザに所定のサービスを提供する処理を実行するサービス提供装置からの通信要求があったか否かの判定を制御し、サービス提供装置からの通信要求があった場合、サービス提供装置との間での無線通信を制御し、無線通信により記憶された情報に基づいて、端末により行われるべき処理を端末に代わって実行するように制御するステップを含むコンピュータが読み取り可能なプログラムが記録されている記録媒体である。
【0023】
本発明の情報処理方法およびプログラムにおいては、ユーザが携帯する端末との間で無線通信が可能か否かが判定され、端末との間で通信が可能な場合、端末との間で無線通信が行われ、無線通信により端末に記憶された情報が取得され、取得された情報が記憶され、端末に記憶された情報に基づいてユーザに所定のサービスを提供する処理を実行するサービス提供装置からの通信要求があったか否かが判定され、サービス提供装置からの通信要求があった場合、サービス提供装置との間で無線通信が行われ、無線通信により記憶された情報に基づいて、端末により行われるべき処理が端末に代わって実行される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、自動車を利用する場面において、より便利な決済サービスを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0026】
図1は、本発明の仲介処理装置が取り付けられる自動車の例を示す図である。本発明の仲介処理装置は、例えば、クレジットカード、プリペイドなどによる決済機能を有する携帯電話機から必要な情報を取得して自動車の運転者、所有者などが提供を受けるサービスや品物などの料金の決済処理を行うよう構成れている。
【0027】
仲介処理装置は、例えば、自動車10の車体の内部に組み込まれる構成とされており、自動車10のステアリングホイール11の近辺に取り付けられたリーダライタ用アンテナ51を介して携帯電話機との通信を行う。
【0028】
図2は、本発明の仲介処理装置の一実施の形態に係る構成例を示すブロック図である。同図に示されるように、仲介処理装置30は、マイコン31、リーダライタ32、外部通信部33、および各部を相互に接続するバス34により構成されている。
【0029】
リーダライタ32は、携帯電話機に搭載される非接触ICカードに記憶される情報の読出しまたは書込みを行う機能ブロックであり、アンテナ51を介した無線通信により、携帯電話機に搭載された非接触ICカードに記憶されている情報の送受信を行う。
【0030】
外部通信部33は、自動車10の外部にある決済制御装置との通信を行う機能ブロックとされる。ここで、決済制御装置は、例えば、駐車場の入出庫を管理し、駐車料金を自動的に課金する装置、ガソリンスタンドで給油した燃料の料金を自動的に課金する装置とされ、外部通信装置33は、自動車10から所定の範囲の距離にある決済制御装置と、アンテナ52を介した無線通信を行い、料金の決済に必要な情報の送受信を行う。
【0031】
マイコン31は、内部にプロセッサ、メモリなどを有する小型のコンピュータとして構成され、実装されたプログラムなどのソフトウェアなどによりバス34を介してリーダライタ32、および外部通信部33を制御する。マイコン31は、例えば、アンテナ51を介して通信可能な携帯電話機に搭載された非接触ICカードから、クレジットカード番号、プリペイド残高など決済に必要な情報を取得するようリーダライタ32を制御して取得された情報を自身の内部のメモリなどに記憶する処理を行う。また、マイコン31は、アンテナ52を介して通信可能な決済制御装置に、内部のメモリなどに記憶された決済に必要な情報を供給するように外部通信部33を制御する処理を行う。
【0032】
図3は、マイコン31に実装されるソフトウェアの機能的構成例を示すブロック図である。
【0033】
リーダライタ制御部71は、例えば、リーダライタ32によるアンテナ51を介して行われる無線通信を制御する。
【0034】
情報取得部72は、通信可能な携帯電話機に搭載された非接触ICカードから、クレジットカード番号、プリペイド残高など決済に必要な情報を取得するようリーダライタ32を制御する。
【0035】
記憶制御部73は、情報取得部72により取得された決済に必要な情報を、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などで構成されるマイコン31の内部のメモリに記憶する。
【0036】
決済処理部74は、自動車10の外部にある決済制御装置との間で行われる料金の決済に関する処理を実行する。例えば、決済処理部74は、決済制御装置からの要求に応じてメモリに記憶されているクレジットカード番号などを送信したり、プリペイド残高を減額したりする処理を実行する。
【0037】
外部通信制御部75は、外部通信部33を制御して、アンテナ52を介した決済制御装置との通信を行わせる。
【0038】
図4は、決済機能を有する携帯電話機100の構成例を示すブロック図である。同図に示される電源回路部135は、例えば、ユーザの操作により電源キーがオン状態にされると、バッテリパックから各部に対して電力を供給することにより携帯電話機100の各部を動作可能な状態に起動する。
【0039】
CPU、ROM、およびRAM等でなる主制御部31は、マイクロフォン118で集音した音声信号を音声コーデック140によってデジタル音声データに変換させる。デジタル音声データは変復調回路部139でスペクトラム拡散処理され、送受信回路部144でデジタルアナログ変換処理および周波数変換処理が施された後、アンテナ112を介して送信される。
【0040】
また、アンテナ112で受信した受信信号は、増幅されて周波数変換処理およびアナログデジタル変換処理が施され、変復調回路部139でスペクトラム逆拡散処理され、音声コーデック140によってアナログ音声信号に変換される。アナログ音声信号に対応する音声はスピーカ122から出力される。
【0041】
さらに、電子メールを送信する場合、操作キー116およびジョグダイヤル119の操作によって入力されたテキストデータが、操作入力制御部132を介して主制御部131に供給される。
【0042】
電子メールが受信される場合、アンテナ112を介して携帯電話機基地局2から受信した受信信号は変復調回路部139で逆スペクトラム拡散処理されて、元のテキストデータに復元された後、LCD制御部136を介して液晶ディスプレイ115に電子メールとして表示される。
【0043】
非接触ICカード146は、リーダライタ(例えば、リーダライタ32)を有する他の装置(例えば、仲介処理装置30)に近接され、そのリーダライタのアンテナ(例えば、アンテナ51)から輻射される電磁波を受信したとき、それに応じて、各種の情報をリーダライタに提供する。
【0044】
非接触ICカード146は、例えば、Felicaチップ(登録商標)などを用いて構成され、ループアンテナおよびコンデンサなどが1チップに格納されたICとして構成され、電磁誘導を利用して他の装置に設けられたリーダライタと各種のデータを通信するものであって、必ずしもカード状のものとして構成されるわけではない。
【0045】
また、非接触ICカード146は、内部にCPU、ROM、RAM、EEPROMなど有する構成とされ、例えば、電子マネーなどのプリペイド残高、クレジットカードの番号などの情報がEEPROMに記憶されている。
【0046】
次に、図5のフローチャートを参照して仲介処理装置30による記憶処理について説明する。この処理は、例えば、自動車10の運転者が、携帯電話機100(非接触ICカード146)に記憶された決済に必要な情報を、自動車10の運転に先立って仲介処理装置30に記憶させておくようにするとき実行される。
【0047】
ステップS101において、マイコン31は、リーダライタ32から通信可能な状態になった旨の通知があったか否かを判定し、通知があったと判定されるまで待機する。
【0048】
上述したように、非接触ICカード146は、リーダライタ32のアンテナ51から輻射される電磁波を受信したとき、それに応じて、各種の情報をリーダライタ32に提供し、リーダライタ32は、この情報の提供を受けて、マイコン31に通知を行う。自動車10の運転者が保有する携帯電話機100を、アンテナ51に近接させた場合、ステップS101において通信可能な状態になった旨の通知があったと判定される。
【0049】
ステップS102において、マイコン31は、ステップS101の処理による通知に基づいて、リーダライタ32が通信可能な携帯電話機100(非接触ICカード146)との通信を開始する。このとき、例えば、通信に先立って、仲介処理装置30と、携帯電話機100との間で相互に認証が行われ、互いに正当な通信相手であることが認証された場合のみ、通信が開始されるようにしてもよい。
【0050】
ステップS103において、マイコン31は、リーダライタ32を制御して携帯電話機100(非接触ICカード146)から決済に必要な情報を取得する。このとき、例えば、非接触ICカード146に記憶されている電子マネーなどのプリペイド残高、クレジットカードの番号などの情報が取得される。
【0051】
ステップS104において、マイコン31は、ステップS103の処理で取得された決済に必要な情報を内部のEEPROMに記憶する。
【0052】
ステップS105において、マイコン31は、ステップS104の処理により情報が記憶されてから、予め設定された所定の時間が経過したか否かを判定する。ステップS105において、まだ所定の時間が経過していないと判定された場合、処理は、ステップS101に戻り、それ以降の処理が繰り返し実行される。
【0053】
ステップS105において、所定の時間が経過したと判定された場合、処理は、ステップS106に進み、マイコン31は、ステップS104の処理で記憶した、プリペイド残高、クレジットカードの番号などの情報を削除する。そして処理は、再びステップS101に戻る。
【0054】
このようにして、自動車10の運転者は、携帯電話機100(非接触ICカード146)に記憶された決済に必要な情報を、自動車10の運転に先立って仲介処理装置30に記憶させておくことができる。また、決済に必要な情報は、所定の時間が経過すると削除されるので、例えば、運転者が代わったなどした場合に、他人のプリペイド残高やクレジットカードなどを用いて誤って決済が行われることが抑止される。
【0055】
図6は、図5を参照して上述した仲介処理装置30の記憶処理に伴って実行される携帯電話機100の処理の例を説明するフローチャートである。
【0056】
ステップS121において、主制御部131は、通信開始要求があったか否かを判定し、通信開始要求があったと判定されるまで待機する。例えば、携帯電話機100が、アンテナ51に近接され、アンテナ51から輻射される電磁波を非接触ICカード146が受信したとき、ステップS121においては、通信開始要求があったと判定される。
【0057】
ステップS122において、主制御部131は、ステップS121の処理に基づいて、非接触ICカード146が通信可能なリーダライタ32との通信を開始する。このとき、例えば、通信に先立って、仲介処理装置30と、携帯電話機100との間で相互に認証が行われ、互いに正当な通信相手であることが認証された場合のみ、通信が開始されるようにしてもよい。
【0058】
ステップS123において、主制御部131は、情報取得要求があったか否かを判定し、情報取得要求があったと判定されるまで待機する。例えば、図5のステップS103の処理に伴って、仲介処理装置30から情報取得要求が送信され、非接触ICカード146がこの情報取得要求を受信した場合、ステップS123において、情報取得要求があったと判定される。
【0059】
ステップS123において、情報取得要求があったと判定された場合、処理は、ステップS124に進み、主制御部131は、非接触ICカード146に記憶されている電子マネーなどのプリペイド残高、クレジットカードの番号などの情報を、仲介処理装置30(リーダライタ32)に送信する。これにより、図5のステップS103の処理で、決済に必要な情報が取得されることになる。
【0060】
ステップS125において、主制御部131は、非接触ICカード146の決済に関連する情報を更新する。このとき、例えば、プリペイド残高を減額する処理、または、決済に必要な情報の送信を記録するための情報をEEPROMなどに書き込む処理が実行されることになる。
【0061】
そして、処理は、ステップS121に戻り、それ以降の処理が繰り返し実行される。
【0062】
このようにして、携帯電話機100の処理が実行される。
【0063】
図5と図6を参照して上述した処理が行われることにより、仲介処理装置30のマイコン31の内部のEEPROMなどのメモリに、例えば、図7または図8に示されるような情報が記憶されることになる。
【0064】
図7は、図5のステップS103の処理で、例えば、電子マネーのプリペイド残高が取得された場合、ステップS104の処理によりメモリ記憶された情報の例を示す図である。この例では、記憶される情報が、「蓄積時刻」と「蓄積情報」により構成されており、蓄積時刻に対応して「2006/2/3/13:45」と記述されており、蓄積情報に対応して「ID(a331)」と「課金情報(10000)」と記述されている。これは、携帯電話機100に固有のIDが「a331」であり、10000円(ポイント)分のプリペイド残高が、西暦2006年2月3日13時45分に記憶されたことを表している。
【0065】
図8は、図5のステップS103の処理で、例えば、クレジットカード番号が取得された場合、ステップS104の処理によりメモリ記憶された情報の例を示す図である。この例では、記憶される情報が、やはり「蓄積時刻」と「蓄積情報」により構成されており、蓄積時刻に対応して「2006/2/3/13:45」と記述されており、蓄積情報に対応して「ID(a331)」と「課金情報(1234-2345-3456-4567)」と記述されている。これは、携帯電話機100に固有のIDが「a331」であり、決済に使用するクレジットカード番号として1234-2345-3456-4567が、西暦2006年2月3日13時45分に記憶されたことを表している。
【0066】
次に、仲介処理装置30により行われる決済の例について説明する。最初に、駐車料金を自動的に決済する例について説明する。
【0067】
従来、時間決め駐車場などの駐車料金は、次のようにして支払われていた。すなわち、ユーザ(運転者)は、自動車を駐車場に入庫(入場)するとき、駐車場に設置された装置から入庫時刻が記載されたカードなどを取得して保管しておく。そして出庫するとき、そのカードを駐車場に設置された装置に挿入し、駐車した時間分の料金を精算する。
【0068】
このように、従来の駐車料金の決済においては、自動車を入庫するときと、出庫するときに、例えば、運転席の横の窓を開けて、カードを装置から取ったり、カードを装置に挿入したりする必要があった。本発明においては、特に窓を開けるなどすることなく、駐車料金を自動的に決済できるようにする。
【0069】
図9は、駐車場の入庫または出庫ゲートの例を示す図である。同図に示される入庫または出庫ゲートは、例えば、駐車場の入口または出口に設けられており、自動車10を駐車する場合、運転者は、自動車10の入庫または出庫を規制するバー203の開閉を制御する開閉制御装置201と枠202により区切られた所定の空間内に、自動車10を運転して移動させる。
【0070】
開閉制御装置201の内部には、決済制御装置221が組み込まれており、決済制御装置221は、アンテナ222を介して仲介処理装置30と無線通信を行うように構成されている。決済制御装置221は、内部にプロセッサ、メモリなどを有する小型のコンピュータなどとして構成され、実装されたプログラムなどのソフトウェアなどにより所定の処理を実行し、処理結果に基づいて開閉制御装置201の動作を制御する制御信号を出力することにより、バー203を開けさせたり、閉じさせたりすることが可能となるように構成されている。
【0071】
決済制御装置221は、アンテナ222を介して予め設定された所定の周波数および所定のプロトコルにより、仲介処理装置30の外部通信部33と通信を行う。すなわち、自動車10の運転席側面のドアなどに埋め込まれたアンテナ52と、開閉制御装置201の図中右側の側面に取り付けられたアンテナ222がそれぞれ電波を送信または受信することにより、決済制御装置221と、仲介処理装置30との間で無線通信が行われる。なお、アンテナ52と、アンテナ222から出力される電波の強度は、アンテナ52とアンテナ222が充分に近づいたとき(例えば、1m以内に近接したとき)のみ、通信が可能となるような強度に設定されている。
【0072】
また、決済制御装置221には、例えば、CCD(Charge-Coupled Devices)イメージセンサなどを用いて構成される画像センサ223が接続されており、必要に応じて自動車10のナンバープレートの画像を撮像し、撮像された画像を解析することで自動車10の車両ナンバーを取得できるように構成されている。
【0073】
次に、自動車10の駐車場への入庫に伴って実行される決済制御装置221による駐車場入庫処理について、図10のフローチャートを参照して説明する。この処理は、例えば、レーダセンサなどにより、駐車場の入口に設置された開閉制御装置201と枠202により囲まれる空間内に自動車が入ってきたことが検知されたとき実行される。
【0074】
ステップS201において、決済制御装置221は、ポーリングを行う。このとき、予め設定された所定のポーリング信号が出力される。
【0075】
ステップS202において、決済制御装置221は、ステップS201の処理によるポーリングに対する応答があったか否かを判定する。開閉制御装置201と枠202により囲まれる空間内に進入してきた自動車10に外部通信部33(仲介処理装置30)が取り付けられている場合、決済制御装置221から送信されたポーリングに対する応答が外部通信部33により送信されて決済制御装置221によりこれが受信される。
【0076】
ステップS202において、応答があったと判定された場合、処理は、ステップS203に進み、決済制御装置221は、仲介処理装置30との通信を開始する。このとき、例えば、通信に先立って、仲介処理装置30と、決済制御装置221との間で相互に認証が行われ、互いに正当な通信相手であることが認証された場合のみ、通信が開始されるようにしてもよい。
【0077】
ステップS204において、決済制御装置221は、仲介処理装置30に対して自動決済情報の送信を要求する。これにより、仲介処理装置30は、自身が記憶している情報を決済制御装置221に送信する。
【0078】
ここで、自動決済情報は、決済制御装置221が駐車料金を自動的に決済するために必要となる情報であり、例えば、図5の記憶処理により仲介処理装置30に記憶されている情報の一部であって、携帯電話機100のID、および決済方式(例えば、プリペイド残高からの決済か、クレジットカードによる決済かを表す情報など)とされる。
【0079】
ステップS205において、決済制御装置221は、ステップS204での要求に対応する自動決済情報を受信したか否かを判定し、受信したと判定されるまで待機する。ステップS205において、ステップS204での要求に対応する自動決済情報を受信したと判定された場合、処理は、ステップS206に進む。
【0080】
ステップS206において、決済制御装置221は、画像センサ223により自動車10のナンバープレートの画像を撮像させ、撮像された画像を解析することにより、自動車10の車両ナンバーを読み取る。
【0081】
ステップS207において、決済制御装置221は、現在時刻と、ステップS205の処理で受信したと判定された自動決済情報、およびステップS206の処理で読み取られた車両ナンバーを対応づけてデータベースに記憶する。データベースは、決済制御装置221に設けられたHDD(Hard Disk Drive)などの記憶媒体上に生成されて記憶される。
【0082】
ステップS208において、決済制御装置221は、バー203を上げる(開ける)ように、開閉制御装置201を制御する制御信号を出力することによりゲートを開ける。これにより、バー203が開き、矢印231の方向(いまの場合、駐車場内)に自動車10を進行させることが可能となる。
【0083】
なお、ステップS202において、ステップS201のポーリングに対する応答がなかったと判定された場合、処理は、ステップS209に進み、決済制御装置221は、従来の処理を実行する。すなわち、開閉制御装置201の所定の部分から入庫時刻が記載されたカードなどを排出して運転者に取得させる処理が行われる。
【0084】
次に、図11のフローチャートを参照して、図10を参照して上述した駐車場入庫処理に伴って実行される仲介処理装置30の処理について説明する。
【0085】
ステップS221において、外部通信制御部75は、決済制御装置221からのポーリングを受信したか否かを判定し、受信したと判定されるまで待機する。例えば、図10のステップS201の処理により送信されたポーリングが受信された場合、処理は、ステップS222に進む。
【0086】
ステップS222において、外部通信制御部75は、ステップS221で受信したと判定されたポーリングに対する応答を送信し、決済制御装置221との通信を開始する。なお、通信に先立って、仲介処理装置30と、決済制御装置221との間で相互に認証が行われ、互いに正当な通信相手であることが認証された場合のみ、通信が開始されるようにしてもよい。
【0087】
ステップS223において、外部通信制御部75は、自動決済情報送信要求を受信したか否かを判定し、受信したと判定されるまで待機する。例えば、図10のステップS204の処理が実行されることにより、仲介処理装置30に対する自動決済情報送信要求が送信され、これが受信されたとき、ステップS223においては、自動決済情報送信要求を受信したと判定され、処理は、ステップS224に進む。
【0088】
ステップS224において、決済処理部74は、記憶制御部73を介してマイコン31の内部のメモリに記憶されている情報を読出し、読み出された情報を決済制御装置221に対して送信する。ここで送信された情報が図10のステップS205の処理で受信されることになる。
【0089】
図10と図11を参照して上述した処理が実行されることにより、決済制御装置221のデータベースには、図12に示されるような情報が記憶されることになる。同図においては、決済制御装置221のデータベースに記憶される情報が、「ID」、「入庫時刻」、「出庫時刻」、「駐車料金」、および「決済フラグ」の各項目により構成されるレコードとして示されている。
【0090】
図12の第1番目のレコードは、IDが「a101」、車両ナンバーが「品川33−た1234」、入庫時刻が「2006/2/3/15:30」、出庫時刻が「2006/2/3/17:00」、駐車料金が「\1500」、決済フラグが「ON」と記述されている。これは、運転者が所有する携帯電話機のIDが「a101」であり、車両ナンバーが「品川33−た1234」である自動車が、西暦2006年2月3日15時30分に入庫し、西暦2006年2月3日17時00分に出庫したことを表している。なお、この自動車に課金すべき駐車料金は、1500円であり、すでに決済されたことを表す決済フラグが「ON」とされている。
【0091】
図12の第2番目のレコードは、IDが「a202」、車両ナンバーが「品川33−け4321」、入庫時刻が「2006/2/3/16:00」と記述されており、出庫時刻、駐車料金、および決済フラグに対応する内容は記述されていない。これは、運転者が所有する携帯電話機のIDが「a201」であり、車両ナンバーが「品川33−け4321」である自動車が、西暦2006年2月3日16時00分に入庫し、まだ出庫しておらず、この自動車に課金すべき駐車料金は未定であり、決済も未済であることをあらわしている。
【0092】
なお、図12は、プリペイド残高からの決済が行われる場合の例とし、クレジットカードによる決済が行われる場合は、クレジットカードの決済に必要となる情報があわせて記憶されるものとする。
【0093】
このような情報が決済制御装置221により記憶されている。
【0094】
次に、自動車10の駐車場からの出庫に伴って実行される決済制御装置221による駐車場出庫処理について、図10のフローチャートを参照して説明する。この処理は、例えば、レーダセンサなどにより、駐車場の出口に設置された開閉制御装置201と枠202により囲まれる空間内に自動車が入ってきたことが検知されたとき実行される。
【0095】
ステップS251において、決済制御装置221は、ポーリングを行う。このとき、予め設定された所定のポーリング信号が出力される。
【0096】
ステップS252において、決済制御装置221は、ステップS251の処理によるポーリングに対する応答があったか否かを判定する。開閉制御装置201と枠202により囲まれる空間内に進入してきた自動車10に外部通信部33(仲介処理装置30)が取り付けられている場合、決済制御装置221から送信されたポーリングに対する応答が外部通信部33により送信されて決済制御装置221によりこれが受信される。
【0097】
ステップS252において、応答があったと判定された場合、処理は、ステップS253に進み、決済制御装置221は、仲介処理装置30との通信を開始する。このとき、例えば、通信に先立って、仲介処理装置30と、決済制御装置221との間で相互に認証が行われ、互いに正当な通信相手であることが認証された場合のみ、通信が開始されるようにしてもよい。
【0098】
ステップS254において、決済制御装置221は、仲介処理装置30に対して自動決済情報の送信を要求する。これにより、仲介処理装置30は、自身が記憶している自動決済情報を決済制御装置221に送信する。
【0099】
ステップS255において、決済制御装置221は、ステップS254での要求に対応する自動決済情報を受信したか否かを判定し、受信したと判定されるまで待機する。ステップS255において、ステップS254での要求に対応する自動決済情報を受信したと判定された場合、処理は、ステップS256に進む。
【0100】
ステップS256において、決済制御装置221は、画像センサ223により自動車10のナンバープレートの画像を撮像させ、撮像された画像を解析することにより、自動車10の車両ナンバーを読み取る。
【0101】
ステップS257において、決済制御装置221は、ステップS255の処理で受信したと判定された自動決済情報、およびステップS256の処理で読み取られた車両ナンバーをキーにしてデータベースを検索する。このとき、例えば、図12を参照して上述したデータベースが検索される。
【0102】
このように、仲介処理装置30から得られた自動決済情報(携帯電話機100のIDなど)だけでなく、自動車10の車両ナンバーも加えて課金すべき金額が算出されるので、例えば、同一の携帯電話機100を用いて、異なる自動車の駐車料金を決済する場合であっても誤って課金されることがないようにすることができる。
【0103】
ステップS258において、決済制御装置221は、ステップS257の処理で検索されたレコード(例えば、図12の第2番目のレコード)の出庫時刻に現在時刻を記述して、駐車時間(「出庫時刻」―「入庫時刻」)を算出する。そして、算出された駐車時間に基づいて駐車料金を算出する。
【0104】
ステップS259において決済制御装置221は、ステップS258の処理で算出した駐車料金を仲介処理装置30に対して課金する。このとき、例えば、予め設定された手続きで情報の送受信が行われ、課金が完了したか否かを表す情報が仲介処理装置30から取得される。
【0105】
ステップS260において、決済制御装置221は、ステップS259の処理で行われた課金ができたか否かを判定する。例えば、残高不足などにより、課金できなかった場合、仲介処理装置30からその旨を表す情報が通知され、ステップS260では、課金ができなかったと判定され、処理は、ステップS262に進み、エラー処理が実行される。これにより、例えば、駐車場の管理人に課金できない自動車が出庫しようとしていることが通知される。
【0106】
一方、仲介処理装置30により問題なく駐車料金を課金できた場合、決済制御装置221に対してその旨を表す情報が通知され、ステップS260では、課金できたと判定され、処理は、ステップS261に進む。
【0107】
ステップS261において、決済制御装置221は、バー203を上げる(開ける)ように、開閉制御装置201を制御する制御信号を出力することによりゲートを開ける。これにより、バー203が開き、矢印231の方向(いまの場合、駐車場の外)に自動車10を進行させることが可能となる。
【0108】
なお、ステップS252において、ステップS251のポーリングに対する応答がなかったと判定された場合、処理は、ステップS263に進み、決済制御装置221は、従来の処理を実行する。すなわち、開閉制御装置201の所定の部分から、ステップS209の処理に伴って発行されている入庫時刻が記載されたカードなどの挿入を受け付けて駐車料金を計算し、運転者に決済させる処理が行われる。
【0109】
次に、図14のフローチャートを参照して、図13を参照して上述した駐車場出庫処理に伴って実行される仲介処理装置30の処理について説明する。
【0110】
ステップS281において、外部通信制御部75は、決済制御装置221からのポーリングを受信したか否かを判定し、受信したと判定されるまで待機する。例えば、図13のステップS251の処理により送信されたポーリングが受信された場合、処理は、ステップS282に進む。
【0111】
ステップS282において、外部通信制御部75は、ステップS281で受信したと判定されたポーリングに対する応答を送信し、決済制御装置221との通信を開始する。なお、通信に先立って、仲介処理装置30と、決済制御装置221との間で相互に認証が行われ、互いに正当な通信相手であることが認証された場合のみ、通信が開始されるようにしてもよい。
【0112】
ステップS283において、外部通信制御部75は、自動決済情報送信要求を受信したか否かを判定し、受信したと判定されるまで待機する。例えば、図13のステップS254の処理が実行されることにより、仲介処理装置30に対する自動決済情報送信要求が送信され、これが受信されたとき、ステップS283においては、自動決済情報送信要求を受信したと判定され、処理は、ステップS284に進む。
【0113】
ステップS284において、決済処理部74は、記憶制御部73を介してマイコン31の内部のメモリに記憶されている情報を読出し、読み出された情報を決済制御装置221に対して送信する。ここで送信された自動決済情報が図13のステップS255の処理で受信されることになる。
【0114】
ステップS285において、決済処理部74は、課金情報を受信したか否かを判定し、受信したと判定されるまで待機する。例えば、図13のステップS259の処理が実行されることにより、仲介処理装置30に対する課金情報が送信され、これが受信されたとき、ステップS285においては、課金情報を受信したと判定され、処理は、ステップS286に進む。
【0115】
ステップS286において、決済処理部74は、ステップS285の処理で受信したと判定された課金情報に対応する処理を行う。例えば、記憶制御部73を介してマイコン31の内部のメモリに記憶されている情報を読出し、プリペイド残高から駐車料金分を減額する処理を実行する。あるいはまた、プリペイド残高が不足している場合、残高不足で課金できない旨を表すメッセージを作成し、決済制御装置221に対して送信する処理を実行する。
【0116】
このようにして、駐車料金の決済が自動的に行われる。
【0117】
ここでは、駐車料金の決済のみが行われる例について説明したが、駐車料金とともに、他のサービスや品物に対する代金が課金されるようにすることも可能である。例えば、ホテルの駐車場などに自動車10が駐車されていた場合、ホテルでは宿泊客である自動車10の運転者に対して提供した飲み物や土産物などの代金を記録しておき、それらの代金を、自動車10が出庫するとき、駐車料金と一緒に課金するようにしてもよい。
【0118】
次に、仲介処理装置30により行われる決済の別の例であって、ガソリンスタンドで給油料金を自動的に決済する例について説明する。
【0119】
従来、給油料金は、次のようにして支払われていた。すなわち、ユーザ(運転者)は、自動車をガソリンスタンドの所定の場所に停止させ、ガソリンスタンドの店員による給油を受ける。そして、ガソリンスタンドから出発するとき、現金またはクレジットカードなどにより給油料金を精算する。
【0120】
このように、従来の給油料金の決済においては、例えば、運転席の横の窓を開けて、店員との間で現金やクレジットカードの授受を行う必要があった。本発明においては、特に窓を開けるなどすることなく、給油料金を自動的に決済できるようにする。
【0121】
図15は、ガソリンスタンドにおいて給油を受けて給油料金を自動的に決済する仕組みを説明する図である。ガソリンスタンドには、給油機が設置されており、給油を受ける自動車は、給油機横に停車する。同図においては、ガソリンスタンドに給油機301−1乃至301−3が設置されており、自動車10−1と自動車10−2が給油を受けるために停車している。なお、給油機301−1乃至301−3は、図中上下両側に給油のためのノズルが配置されており、1台の給油機により2台の自動車に対して同時に給油できるものとする。
【0122】
ここでは、ガソリンスタンドの店員が給油機のノズルを自動車の給油口に差し込み自動車に給油するものとし、自動車10−1には、店員310−1が給油しており、自動車10−2には、店員310−2が給油している。
【0123】
給油機301−1乃至301−3は、ノズルから噴出された燃料(ガソリンなど)の量を算出して、所定のPOS端末などに、各自動車に対して給油された燃料の量を通知する。ここでは、ガソリンスタンドの店員310−1と310−2が、それぞれ携帯可能なPOS端末であるハンディターミナル321−1と321−2を携帯しているものとする。
【0124】
ハンディターミナル321−1と321−2は、それぞれに設けられた図示せぬアンテナなどを介して予め設定された所定の周波数および所定のプロトコルにより、仲介処理装置30の外部通信部33と通信を行う。すなわち、自動車10−1または10−2の給油口の付近に埋め込まれたアンテナ52−1または52−2と、ハンディターミナル321−1または321−2のアンテナがそれぞれ電波を送信または受信することにより、ハンディターミナル321−1または321−2と、自動車10−1または10−2の仲介処理装置との間で無線通信が行われる。
【0125】
なお、アンテナ52−1または52−2と、ハンディターミナル321−1または321−2のアンテナから出力される電波の強度は、アンテナ52−1または52−2とハンディターミナル321−1または321−2のアンテナが充分に近づいたとき(例えば、50cm以内に近接したとき)のみ、通信が可能となるような強度に設定されている。このように設定することで、例えば、自動車10−2の給油料金を、誤って自動車10−1に課金してしまうことが抑止される。
【0126】
次に、自動車10−1または10−2への給油に伴って実行されるハンディターミナル321−1または321−2の処理について、図16のフローチャートを参照して説明する。ここでは、例えば、自動車10−1に給油した店員310−1のハンディターミナル321−1の処理について説明し、以下適宜、自動車やハンディターミナルなどを個々に区別する必要がないときは、単に自動車10、ハンディターミナル321などのように記載する。
【0127】
この処理は、例えば、自動車10への給油が完了し、店員310がハンディターミナルに設けられた自動課金処理実行用のボタンなどを押下したとき実行される。
【0128】
ステップS301において、ハンディターミナル321は、ポーリングを行う。このとき、予め設定された所定のポーリング信号が出力される。
【0129】
ステップS302において、決済制御装置321は、ステップS301の処理によるポーリングに対する応答があったか否かを判定する。給油を受けた自動車10に外部通信部33(仲介処理装置30)が取り付けられている場合、ハンディターミナル321から送信されたポーリングに対する応答が外部通信部33により送信されてハンディターミナル321によりこれが受信される。
【0130】
ステップS302において、応答があったと判定された場合、処理は、ステップS303に進み、ハンディターミナル321は、仲介処理装置30との通信を開始する。このとき、例えば、通信に先立って、仲介処理装置30と、ハンディターミナル321との間で相互に認証が行われ、互いに正当な通信相手であることが認証された場合のみ、通信が開始されるようにしてもよい。
【0131】
ステップS304において、ハンディターミナル321は、仲介処理装置30に対して自動決済情報の送信を要求する。これにより、仲介処理装置30は、自身が記憶している情報をハンディターミナル321に送信する。
【0132】
ステップS305において、ハンディターミナル321は、ステップS304での要求に対応する自動決済情報を受信したか否かを判定し、受信したと判定されるまで待機する。ステップS305において、ステップS304での要求に対応する自動決済情報を受信したと判定された場合、処理は、ステップS306に進む。
【0133】
ステップS306において、ハンディターミナル321は、給油機301から供給される、自動車10に給油された燃料の量に基づいて給油料金を算出する。
【0134】
ステップS307においてハンディターミナル321は、ステップS306の処理で算出した給油料金を仲介処理装置30に対して課金する。このとき、例えば、予め設定された手続きで情報の送受信が行われ、課金が完了したか否かを表す情報が仲介処理装置30から取得される。
【0135】
ステップS308において、ハンディターミナル321は、ステップS307の処理で行われた課金ができたか否かを判定する。例えば、残高不足などにより、課金できなかった場合、仲介処理装置30からその旨を表す情報が通知され、ステップS308では、課金ができなかったと判定され、処理は、ステップS390に進み、エラー処理が実行される。これにより、例えば、ハンディターミナル321のディスプレイなどに課金できなかったことを通知するメッセージが表示される。
【0136】
一方、仲介処理装置30により問題なく駐車料金を課金できた場合、ハンディターミナル321に対してその旨を表す情報が通知され、ステップS308では、課金できたと判定され、処理は、終了する。
【0137】
なお、図16のハンディターミナルの処理の実行に伴って、伴って仲介処理装置30の処理も実行されることになるが、この処理は、図14を参照して上述した場合と同様なので、詳細な説明は省略する。
【0138】
このようにして、給油料金が自動的に決済される。
【0139】
このように、本発明においては、自動車の窓などを開けることなく、自動的に決済を行うことが可能となる。
【0140】
例えば、近年、治安の悪化などが懸念されており、料金の支払い等であっても簡単に自動車の窓を開けたくないユーザもいる。また、例えば、冬のガソリンスタンドなどは気温が低く、車内の暖房効果を高めるためにも窓を開けたくない場合がある。このような場合であっても、本発明によれば、簡単かつ確実に決済を完了させることが可能となる。
【0141】
また、本発明においては、決済を行うにあたって、コンビニエンスストアなどでも利用され広く普及しつつある決済機能を有する携帯電話機100を利用しているので、既存の決済システムなどを有効に活用することが可能となる。特に、運転中の携帯電話の使用が、道路交通法により厳しく制限されている中で、本発明においては、運転中に携帯電話機100を操作するなどの必要がなく、簡単かつ確実に決済を完了させることが可能となる。
【0142】
なお、以上においては、携帯電話機の非接触ICカードから決済情報を取得して決済処理を仲介する仲介処理装置の例について説明したが、決済情報を取得する対象は、携帯電話機や非接触ICカードに限られるものではない。
【0143】
また、以上においては、決済情報を取得して決済処理を仲介する仲介処理装置の例について説明したが、仲介処理装置は、決済以外の情報の交換を仲介するようにしてもよい。また、以上においては、仲介処理装置が自動車に取り付けられる例について説明したが、例えば、建物などに仲介処理装置が取り付けられ、訪問者があったときに、建物の中にいる人と訪問者が情報を交換する用途や、セキュリティ管理されている部屋に人やロボットが出入りせずに情報を交換する用途に用いられるようにすることも可能である。
【0144】
なお、上述した一連の処理をハードウェアで実現するか、ソフトウェアで実現するかは問わない。上述した一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば図17に示されるような汎用のパーソナルコンピュータ500などに、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0145】
図17において、CPU(Central Processing Unit)501は、ROM(Read Only Memory)502に記憶されているプログラム、または記憶部508からRAM(Random Access Memory)503にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM503にはまた、CPU501が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0146】
CPU501、ROM502、およびRAM503は、バス504を介して相互に接続されている。このバス504にはまた、入出力インタフェース505も接続されている。
【0147】
入出力インタフェース505には、キーボード、マウスなどよりなる入力部506、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal display)などよりなるディスプレイ、並びにスピーカなどよりなる出力部507、ハードディスクなどより構成される記憶部508、モデム、LANカードなどのネットワークインタフェースカードなどより構成される通信部509が接続されている。通信部509は、インターネットを含むネットワークを介しての通信処理を行う。
【0148】
入出力インタフェース505にはまた、必要に応じてドライブ510が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア511が適宜装着され、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部508にインストールされる。
【0149】
上述した一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構
成するプログラムが、インターネットなどのネットワークや、リムーバブルメディア511などからなる記録媒体からインストールされる。
【0150】
なお、この記録媒体は、図17に示される、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを配信するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フロッピディスク(登録商標)を含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini-Disk)(登録商標)を含む)、もしくは半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディア511により構成されるものだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに配信される、プログラムが記録されているROM502や、記憶部508に含まれるハードディスクなどで構成されるものも含む。
【0151】
また、本明細書において上述した一連の処理を実行するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】本発明の仲介処理装置が取り付けられる自動車の例を示す図である。
【図2】本発明の仲介処理装置の一実施の形態に係る構成例を示すブロック図である。
【図3】図2のマイコンに実装されるソフトウェアの機能的構成例を示すブロック図である。
【図4】携帯電話機の構成例を示すブロック図である。
【図5】記憶処理を説明するフローチャートである。
【図6】携帯電話機の処理を説明するフローチャートである。
【図7】図5の処理により記憶される情報の例を示す図である。
【図8】図5の処理により記憶される情報の例を示す図である。
【図9】駐車場の入庫または出庫ゲートの例を示す図である。
【図10】駐車場入庫処理の例を説明するフローチャートである。
【図11】図10の処理に伴って実行される仲介処理装置の処理の例を説明するフローチャートである。
【図12】決済制御装置により記憶される情報の例を示す図である。
【図13】駐車場出庫処理の例を説明するフローチャートである。
【図14】図13の処理に伴って実行される仲介処理装置の処理の例を説明するフローチャートである。
【図15】ガソリンスタンドにおいて給油を受けて給油料金を自動的に決済する仕組みを説明する図である。
【図16】ハンディターミナルの処理を説明するフローチャートである。
【図17】パーソナルコンピュータの構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0153】
10 自動車,
30 仲介処理装置,
31 マイコン,
32 リーダライタ,
33 外部通信部,
51 アンテナ,
52 アンテナ,
71 リーダライタ制御部,
72 情報取得部,
73 記憶制御部,
74 決済処理部,
75 外部通信制御部,
100 携帯電話機,
221 決済制御装置,
321 ハンディターミナル,
501 CPU,
502 ROM,
508 記憶部,
511 リムーバブルメディア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが携帯する端末との間で行われる無線通信を制御する端末通信制御手段と、
前記端末との間で通信が可能な場合、前記端末に記憶された情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段により取得された情報を記憶する情報記憶手段と、
前記端末に記憶された情報に基づいて前記ユーザに所定のサービスを提供する処理を実行するサービス提供装置との間で行われる無線通信を制御する装置通信制御手段と、
前記サービス提供装置からの通信要求があった場合、前記情報記憶手段により記憶された情報に基づいて、前記端末により行われるべき処理を前記端末に代わって実行する処理実行手段と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記端末は、携帯電話機であり、
前記端末通信制御手段は、前記携帯電話機に組み込まれた前記端末としての非接触ICカードとの間で無線通信を行う
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記情報取得手段により取得される情報には、前記非接触ICカードを用いて行われる決済において必要となる情報であって、電子マネーのプリペイド残高、またはクレジットカードの番号が含まれる
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記処理実行手段は、
前記サービス提供装置が前記ユーザに対して提供したサービスの代金を課金するとき、前記決済において必要となる情報に基づいて前記代金の決済処理を実行する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
自動車に取り付けられ、
前記装置通信制御手段は、前記サービス提供装置の無線通信部が、前記自動車と予め設定された距離以内の位置にあるとき、前記サービス提供装置との間で無線通信を行う
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記サービス提供装置は、前記自動車に対して駐車料金を課金する駐車料金決済制御装置である
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記サービス提供装置は、前記自動車に給油された燃料の代金を課金する携帯型POS端末である
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項8】
ユーザが携帯する端末との間で無線通信が可能か否かを判定し、
前記端末との間で通信が可能な場合、前記端末との間で無線通信を行い、
前記無線通信により前記端末に記憶された情報を取得し、
前記取得された情報を記憶し、
前記端末に記憶された情報に基づいて前記ユーザに所定のサービスを提供する処理を実行するサービス提供装置からの通信要求があったか否かを判定し、
前記サービス提供装置からの通信要求があった場合、前記サービス提供装置との間で無線通信を行い、
前記無線通信により前記記憶された情報に基づいて、前記端末により行われるべき処理を前記端末に代わって実行するステップ
を含む情報処理方法。
【請求項9】
ユーザが携帯する端末との間で無線通信が可能か否かの判定を制御し、
前記端末との間で通信が可能な場合、前記端末との間での無線通信を制御し、
前記無線通信により前記端末に記憶された情報の取得を制御し、
前記取得された情報の記憶を制御し、
前記端末に記憶された情報に基づいて前記ユーザに所定のサービスを提供する処理を実行するサービス提供装置からの通信要求があったか否かの判定を制御し、
前記サービス提供装置からの通信要求があった場合、前記サービス提供装置との間での無線通信を制御し、
前記無線通信により前記記憶された情報に基づいて、前記端末により行われるべき処理を前記端末に代わって実行するように制御するステップ
を含むコンピュータが読み取り可能なプログラム。
【請求項10】
ユーザが携帯する端末との間で無線通信が可能か否かの判定を制御し、
前記端末との間で通信が可能な場合、前記端末との間での無線通信を制御し、
前記無線通信により前記端末に記憶された情報の取得を制御し、
前記取得された情報の記憶を制御し、
前記端末に記憶された情報に基づいて前記ユーザに所定のサービスを提供する処理を実行するサービス提供装置からの通信要求があったか否かの判定を制御し、
前記サービス提供装置からの通信要求があった場合、前記サービス提供装置との間での無線通信を制御し、
前記無線通信により前記記憶された情報に基づいて、前記端末により行われるべき処理を前記端末に代わって実行するように制御するステップ
を含むコンピュータが読み取り可能なプログラムが記録されている記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−235658(P2007−235658A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−55815(P2006−55815)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】