説明

情報処理装置および方法、プログラム、並びに記録媒体

【課題】ノイズ成分を除去することにより、精度高く脳の活性化状態を測定することができるようにする。
【解決手段】サンプル取得部201は、発光部から近赤外光を出射させるとともに、信号処理部を制御して各計測チャネルの信号を取得し、取得された参照信号と脳内信号との組合せをそれぞれサンプルとして記憶する。係数特定部202は、取得されたサンプルに基づいて、例えば、参照信号値から脳内信号値を求める一次方程式を生成して、その一次方程式の係数を、最小自乗法などを用いて特定する。ノイズ除去信号抽出部204は、信号取得部203により取得された参照信号と、係数特定部202により特定された係数に基づいて、信号取得部203が取得した脳内信号から、ノイズ成分を除去する演算を行う。そして、ノイズ成分が除去された脳内信号が、被験者の感情などを推定するための信号として出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および方法、プログラム、並びに記録媒体に関し、特に、ノイズ成分を除去することにより、精度高く脳の活性化状態を測定することができるようにする情報処理装置および方法、プログラム、並びに記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、近赤外光を利用して脳血流の代謝を計測するシステムであるfNIRS(functional near infrared spectros copy)が活用されている。
【0003】
例えば、fNIRSを用いて脳賦活信号の計測が脳表面の任意対象部位に対して可能となっており、計測結果からの各種感情推定や脳機能計測といった評価技術、運動推定を用いてのブレインコンピュータインタフェース(以下BCI)など多様な分野への応用が研究されている。
【0004】
fNIRSでは、例えば、被験者の頭部に送光用プローブと受光用プローブを装着し、送光用プローブから近赤外光を照射して被験者の脳内で反射させ反射光の一部を受光用プローブで受光するようになされている。そして受光した光の強度などを信号として解析し、脳内の血流の変化などを測定できるようになされている。fNIRSでは、このような送光用プローブと受光用プローブによる測定が、被験者の頭部の各所において行われる。また、このような送光用プローブと受光用プローブによる測定が、近赤外光の波長を変えて行われる。
【0005】
fNIRSを用いて上述した測定を行うことにより、例えば、脳内の局所部において血中のヘモグロビンの量の変化などが計測され、その計測結果に基づいて当該局所部の賦活状態が推定されるようにすることが可能である。
【0006】
しかし、測定された脳内のヘモグロビンの量の変化などを表す信号には、脳内部からの信号に加えて、さまざまな外界からのノイズ、例えば、装置ノイズや体動信号などが重畳されてしまうことがある。
【0007】
そこで、脳内の血液量の変化を表す信号に、主成分分析や独立成分分析を行い、統計的に無相関な信号または確率密度的に独立な信号を抽出し、その抽出結果を表示することも提案されている。
【0008】
【特許文献1】特開2005−143609号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、fNIRS測定された脳内のヘモグロビンの量の変化などを表す信号には、脳の毛細血管内の酸素代謝による影響だけでなく、頭皮血管中の血流量変化の影響が混在していると考えられる。すなわち、外界からのノイズを除去したとしても、被験者の体内の状況に応じて生じるノイズが、fNIRSの測定結果に重畳されていることがこれまでの計測実験から明らかになっている。
【0010】
このため、fNIRSを用いて、より精度の高い計測を行うためには、計測された信号から頭皮の血流の影響などによるノイズ成分を除去する必要がある。
【0011】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、ノイズ成分を除去することにより、精度高く脳の活性化状態を測定することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一側面は、被験者の頭部に装着された計測具により取得される情報であって、前記被験者の頭の内部の各計測部位の血液成分の変化を表す情報を取得する内部情報取得手段と、前記取得された各計測部位の血液成分の変化を表す情報のうち、予め設定された計測部位の血液成分の変化を表す情報に基づいて生成される参照信号に基づいて、他の計測部位の血液成分の変化を表す情報に基づいて生成される脳内信号のノイズ成分を除去するノイズ除去信号抽出手段と、前記ノイズ成分が除去された脳内信号を、前記被験者の脳表層の各計測部位の活性化状態を表す信号として出力する出力手段とを備える情報処理装置である。
【0013】
前記被験者に特別な刺激を与えない状態で取得された前記参照信号と前記脳内信号に基づいて、前記各計測部位のそれぞれの脳内信号の出力値を、前記参照信号の出力値に基づいて求める関係式の係数を特定する係数特定手段をさらに備え、前記ノイズ除去信号抽出手段は、前記生成された参照信号および前記特定された係数に基づいて前記脳内信号に含まれるノイズ成分を求めて、そのノイズ成分を除去するようにすることができる。
【0014】
前記計測具は、前記被験者の頭部の前記各計測部位に対応する位置に取り付けられる、近赤外光を発光する発光プローブおよび前記発光プローブから発光された近赤外光を受光する受光プローブにより構成され、前記参照信号の生成に用いられる前記発光プローブと前記受光プローブとの間の距離が、前記脳内信号の生成に用いられる情報を取得するための前記発光プローブと前記受光プローブとの間の距離より小さく設定されているようにすることができる。
【0015】
前記脳内信号の各計測部位に対応する、複数の前記参照信号に対応する計測部位が設定されるようにすることができる。
【0016】
前記脳内信号の各計測部位のうち、所定の計測部位の前記発光プローブと前記受光プローブとの間の距離を小さく設定することにより、その所定の計測部位が前記参照信号の計測部位とされるようにすることができる。
【0017】
前記参照信号に対応する計測部位が予め設定された位置に1つ設定されるようにすることができる。
【0018】
前記参照信号の計測部位は、前記被検者の頭部において脳の大脳縦列に対応する位置に設定されるようにすることができる。
【0019】
前記参照信号の計測部位は、前記被験者の眉間の上方、20mm乃至30mmの位置であって、被験者の毛髪がない額の部分に設定されるようにすることができる。
【0020】
本発明の一側面は、被験者の頭部に装着された計測具により取得される情報であって、前記被験者の頭の内部の各計測部位の血液成分の変化を表す情報を取得し、前記取得された各計測部位の血液成分の変化を表す情報のうち、予め設定された計測部位の血液成分の変化を表す情報に基づいて生成される参照信号に基づいて、他の計測部位の血液成分の変化を表す情報に基づいて生成される脳内信号のノイズ成分を除去し、前記ノイズ成分が除去された脳内信号を、前記被験者の脳表層の各計測部位の活性化状態を表す信号として出力するステップを含む情報処理方法である。
【0021】
本発明の一側面は、コンピュータを、被験者の頭部に装着された計測具により取得される情報であって、前記被験者の頭の内部の各計測部位の血液成分の変化を表す情報を取得する内部情報取得手段と、前記取得された各計測部位の血液成分の変化を表す情報のうち、予め設定された計測部位の血液成分の変化を表す情報に基づいて生成される参照信号に基づいて、他の計測部位の血液成分の変化を表す情報に基づいて生成される脳内信号のノイズ成分を除去するノイズ除去信号抽出手段と、前記ノイズ成分が除去された脳内信号を、前記被験者の脳表層の各計測部位の活性化状態を表す信号として出力する出力手段とを備える情報処理装置として機能させるプログラムである。
【0022】
本発明の一側面においては、被験者の頭部に装着された計測具により取得される情報であって、前記被験者の頭の内部の各計測部位の血液成分の変化を表す情報が取得され、前記取得された各計測部位の血液成分の変化を表す情報のうち、予め設定された計測部位の血液成分の変化を表す情報に基づいて生成される参照信号に基づいて、他の計測部位の血液成分の変化を表す情報に基づいて生成される脳内信号のノイズ成分が除去され、前記ノイズ成分が除去された脳内信号を、前記被験者の脳表層の各計測部位の活性化状態を表す信号として出力される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ノイズ成分を除去することにより、精度高く脳の活性化状態を測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施の形態に係る情報処理システムの構成例を示すブロック図である。
【0026】
この例では、情報処理システム1が、計測装置10、情報処理端末20、およびディスプレイ41により構成されている。
【0027】
計測装置10は、機能的近赤外分光法によって、被験者31の脳表層における血流中のヘモグロビン濃度又はヘモグロビン濃度変化を計測するものであり、例えば、fNIRS(functional near infrared spectros copy)として構成される。詳細は後述するが、計測装置10は、計測装置本体部11、被験者31の頭部に装着される計測具12、および計測装置本体部11と計測具12とを接続するケーブル13によって構成される。
【0028】
情報処理端末20は、パーソナルコンピュータやモバイルコンピュータなどとして構成される。
【0029】
情報処理端末20は、CPU21を備え、そのバス22には、プログラムやデータが展開されるメインメモリ23、ハードディスクなどの不揮発性記憶媒体からなる記憶装置部24、および操作入力部25が接続される。
【0030】
記憶装置部24には、この発明の脳賦活状態の推定処理などを実行するためのプログラム、および必要な固定データなどが記録される。
【0031】
また、バス22には、入出力インタフェース26、画像処理出力部27が接続され、計測装置本体部11が入出力インタフェース26に接続されて、画像処理出力部27にディスプレイ41が接続されている。
【0032】
図2は、図1の計測装置10の構成例を示すブロック図である。
【0033】
計測装置10においては、被験者31の脳表層2の複数の部位が、それぞれ計測部位2aとされる。計測装置10は、被験者31の脳表層2のうちのどの部分(計測部位)がどの程度活性化しているかを表す情報を、情報処理システム1のユーザに提示するために、被験者31の脳表層2の各計測部位の血管内を流れる血液のヘモグロビンの濃度などを計測する装置である。
【0034】
計測装置10においては、駆動回路14によって駆動された発光部15から出射した近赤外光が、発光プローブを構成する光ファイバ16aを通じて、それぞれの計測部位2aに照射されるようになされている。なお、発光プローブのそれぞれは、実際には、被験者31の頭部(頭皮)に密着するように取り付けられる。
【0035】
それぞれの計測部位2aに照射された近赤外光は、それぞれの計測部位2aにおける血流中のヘモグロビン濃度、又はヘモグロビン濃度変化に応じて、それぞれの計測部位2aを透過し、被験者31の頭外に出射する。
【0036】
被験者31の頭外に出射した、それぞれの出射光は、受光プローブを構成する光ファイバ16bを通じて、受光部17で受光され、電気信号の受光信号に変換される。従って、受光プローブは、計測部位2aにおける血流中のヘモグロビン濃度に対応する強度の光を受光し、受光した光の強度に対応する電気信号が生成されることになる。
【0037】
それぞれの受光信号は、信号処理部18で、デジタルデータの計測値に変換され、さらに装置ノイズや体動など、被験者31の脳の外部からのノイズ成分を除去するためのフィルタリング処理などが施されて、制御部19を通じて情報処理端末20に送出される。
【0038】
制御部19は、計測装置10により実行される各種の処理を制御するようになされている。
【0039】
計測部位2aは、計測装置10により計測される信号の計測チャネルに対応して設定される。例えば、第1の計測部位2aにおいて計測された受光信号が、第1の計測チャネルの信号とされ、第2の計測部位2aにおいて計測された受光信号が、第2の計測チャネルの信号とされ、・・・のように、被験者の脳表層2において計測すべき局所(各計測部位)のそれぞれが各計測チャネルの信号とされる。
【0040】
受光部17の受光信号を解析することにより、計測部位2aのそれぞれにおける、酸素化ヘモグロビン濃度関連値の変化、脱酸素化ヘモグロビン濃度関連値の変化などが計測されることになる。あるいはまた、受光部17の受光信号を解析することにより、計測部位2aのそれぞれにおける血流(血液量の変化)などを計測することも可能である。
【0041】
このように各計測チャネルの信号を取得して解析することにより、被験者の感情などを推定することが可能となる。
【0042】
しかしながら、fNIRSを用いて計測された脳内のヘモグロビンの量の変化などを表す信号には、脳の毛細血管内の酸素代謝による影響だけでなく、頭皮血管中の血流の変化の影響が混在していると考えられる。すなわち、被験者の体内の状況に応じて生じるノイズが、fNIRSの測定結果に重畳されていることが、これまでの計測実験などにより明らかになっている。
【0043】
図3は、fNIRSを用いて計測された脳内のヘモグロビンの量の変化などを表す信号には、頭皮血管中の血流量変化の影響が混在していることを説明するための図である。同図においては、複数のグラフが示されている。同図の左下のグラフ101は、レーザドップラー血流計により計測された被験者の頭皮の血流の変化が示されている。図3のグラフ101以外のグラフは、それぞれの計測チャネルの信号であって、各計測チャネルに対応する計測部位における酸素化ヘモグロビンの量の変化、脱酸素化ヘモグロビンの量の変化、およびトータルヘモグロビンの量の変化を表すグラフとされる。それぞれの計測チャネルの信号のグラフに付された番号が、その計測チャネルの番号を表しており、この例では、第1乃至第42の計測チャネルのグラフが示されている。
【0044】
なお、図3のグラフは、全て横軸が時間、縦軸が量の増減値とされ、グラフ101の計測の時間と同一の時間において各計測チャネルの信号が計測されたものとする。
【0045】
例えば、被験者の頭皮の血流の変化を表すグラフ101と、第1計測チャネルのグラフ111とを比較すると波形が似通っていることが分かる。すなわち、グラフ101とグラフ111は、高い相関性を有していることになる。
【0046】
なお、図3においては、グラフ101がレーザドップラー血流計により計測された被験者の頭皮の血流の変化を表すと説明したが、例えば、各計測チャネルの信号と同様にヘモグロビンの量の変化が計測されるようにしてもよい。要は、被験者の脳表皮に達しない頭皮部分の血管内の血液成分の変化が、被験者の脳表皮または脳内の血管内の血液成分の変化に多大な影響を及ぼすことを説明しているのである。
【0047】
また、グラフ111と同様に、他のグラフの波形もグラフ101の波形と似ているものが多い。このことから、頭皮の血流の変化と、酸素化ヘモグロビンの量の変化、脱酸素化ヘモグロビンの量の変化、およびトータルヘモグロビンの量の変化との間には、高い相関性があるものと考えられるのである。
【0048】
従って、例えば、所定のチャネルのヘモグロビンの量の変化を表す波形が急峻な上下動を示している場合であっても、同じタイミングで頭皮の血流が大きく変化しているときは、その所定のチャネルのヘモグロビンの計測結果に基づいて被験者の感情などを推定すると、誤った結果が得られる可能性が高いのである。
【0049】
そこで本発明においては、頭皮の血管など、脳の外側の血管を流れる血液の量の変化をノイズとして認識し、そのノイズ成分を除去することにより、精度の高い計測結果が得られるようにする。
【0050】
図4は、図2の制御部19の機能的構成例を示すブロック図である。同図におけるサンプル取得部201および係数特定部202は、例えば、被験者の感情などを推定するための信号を実際に計測するのに先立って行われる事前処理を行う機能ブロックである。
【0051】
サンプル取得部201は、例えば、ユーザにより指令されたタイミングで、駆動回路14を制御し、発光部15から近赤外光を出射させるとともに、信号処理部18を制御して各計測チャネルの信号を取得するようになされている。
【0052】
このとき、計測チャネルのうちの少なくとも1つが、被験者の脳表皮に達しない頭皮の血管内のヘモグロビンの量の変化を計測するように、発光プローブと受光プローブが取り付けられる。このように、被験者の脳表皮に達しない頭皮の血管内のヘモグロビンの量の変化を表すものとして取得された信号を参照信号と称することにする。一方、その他の計測チャネルの信号であって、被験者の脳表皮または脳内の血管内のヘモグロビンの量の変化を表すものとして取得された信号は、脳内信号と称することにする。詳細は後述するが、参照信号の値は、被験者の脳表層の各計測部位の活性化状態を直接測定するものではなく、脳表層の各計測部位の脳内信号のノイズ成分を求めるために参照される値とされる。
【0053】
サンプル取得部201は、そのようにして取得された、参照信号と脳内信号とを記憶するようになされている。サンプル取得部201は、例えば、異なるタイミングでそれぞれ取得された参照信号と脳内信号との組合せをそれぞれサンプルとして、複数のサンプルを記憶するようになされている。
【0054】
係数特定部202は、サンプル取得部201により取得されたサンプルに基づいて、例えば、参照信号値から脳内信号値を求める一次方程式を生成して、その一次方程式の係数を、最小自乗法などを用いて特定する。なお、係数特定部202の処理の詳細については、後述する。
【0055】
図4における信号取得部203およびノイズ除去信号抽出部204は、例えば、被験者の感情などを推定するための信号を実際に計測する処理を行う機能ブロックである。
【0056】
信号取得部203は、サンプル取得部201と同様に、例えば、ユーザにより指令されたタイミングで、駆動回路14を制御し、発光部15から近赤外光を出射させるとともに、信号処理部18を制御して各計測チャネルの信号を取得するようになされている。そして、信号取得部203は、参照信号と脳内信号を同時に取得する。
【0057】
なお、信号取得部203は、サンプル取得部201と同一のものとして構成されるようにしても構わない。
【0058】
ノイズ除去信号抽出部204は、信号取得部203により取得された参照信号と、係数特定部202により特定された係数に基づいて、信号取得部203が取得した脳内信号から、ノイズ成分を除去する演算を行う。そして、ノイズ除去信号抽出部204は、ノイズ成分が除去された脳内信号を、例えば、被験者の感情などを推定するための信号として出力するようになされている。
【0059】
図5は、計測装置10において脳内信号を測定する場合の、発光プローブと受光プローブの取り付け位置を説明する図である。同図においては、被験者の頭部270を上から見た断面図が示されている。
【0060】
同図に示される黒い長方形が発光プローブを表しており、白い長方形が受光プローブを表している。なお、図2を参照して上述したように、実際には、発光プローブおよび受光プローブのそれぞれは、光ファイバにより計測装置本体部11に接続されるが、図5においては省略されている。
【0061】
発光プローブ251−1と受光プローブ252−1は、ペアとして、被験者の頭皮271に取り付けられる。発光プローブ251−1から発光された近赤外が頭皮271、頭蓋骨などを通過して被験者の脳272に至り、脳272に達した近赤外光の一部は、図中のハッチングで示される光路を通って受光プローブ252−1により受光されることになる。そして、受光プローブ252−1により受光された光が、上述したように、光ファイバ16bを通じて、受光部17で受光され、電気信号の受光信号に変換され、その受光信号に基づいて脳内信号が生成されることになる。例えば、発光プローブ251−1と受光プローブ251−2のペアにより第1計測チャネルの脳内信号が計測される。
【0062】
同様に、発光プローブ251−2乃至発光プローブ251−4と受光プローブ252−2乃至受光プローブ252−4は、それぞれペアとして、被験者の頭皮271に取り付けられる。そして、上述の場合と同様に受光信号に基づいて脳内信号が生成され、例えば、発光プローブ251−2乃至発光プローブ251−4と受光プローブ252−2乃至受光プローブ252−4のペアにより第2計測チャネル乃至第4計測チャネルの脳内信号が計測される。
【0063】
図5において、発光プローブ251−2乃至発光プローブ251−4と受光プローブ252−2乃至受光プローブ252−4のペアのそれぞれの光路は、脳272に達しているが、発光プローブと受光プローブとの間の距離により、光路の位置が異なる。具体的には、発光プローブと受光プローブとの間の距離により、光路が被験者の頭部270の中心に向かって奥深くまで達するようになったり、頭部270の表面に近い位置までしか達しないようになる。
【0064】
例えば、発光プローブと受光プローブとの間の距離を大きくすると、光路は、脳272の内部深くまで達するようになる。一方、発光プローブと受光プローブとの間の距離を小さくすると、光路は、脳272の表層まで達しないようになる。すなわち、発光プローブと受光プローブとの間の距離を調節することにより、例えば、計測部位を脳272の表層に位置させるようにしたり、計測部位を頭皮271の内側であって脳272の表層に達しない部分に位置させるようにすることが可能である。
【0065】
本発明では、上述した参照信号を取得するために、発光プローブ251−5と受光プローブ252−5を被験者の頭皮271に取り付ける。発光プローブ251−5と受光プローブ252−5との間の距離は、発光プローブ251−1乃至発光プローブ251−4と受光プローブ252−1乃至受光プローブ252−4との間の距離と比較して小さくなっている。
【0066】
発光プローブ251−5から発光された近赤外は、頭皮271の内部に至り、近赤外光の一部が、図中のハッチングで示される光路を通って受光プローブ252−5により受光されることになる。すなわち、発光プローブ251−5と受光プローブ252−5のペアの光路は、脳272の表皮に達していない。従って、受光プローブ252−5により受光された光の受光信号に基づいて、上述した参照信号を生成することができる。
【0067】
発光プローブ251−1乃至発光プローブ251−4と受光プローブ252−1乃至受光プローブ252−4との間の距離は、例えば、25mm乃至30mmとされることが望ましい。また、発光プローブ251−5と受光プローブ252−5との間の距離は、例えば、約10mmとされることが望ましい。
【0068】
図6は、従来の脳内信号を計測する場合の発光プローブと受光プローブの取り付け位置の例を示す図である。図中の黒い円が発光プローブの取り付け位置を表しており、図中の白い円が受光プローブの取り付け位置を表しており、ハッチングされた円が光路を表している。図6の例では、被験者の頭皮における図中縦方向に70mm、横方向に200mmの領域に、発光プローブが9個取り付けられており、受光プローブが10個取り付けられており、合計28箇所の計測部位が設定されることになる。従って、1つの発光プローブにより発光された近赤外光が2つの受光プローブにより受光されることがあるが、脳内信号が生成される方式は、図5を参照して上述したものと変わらない。
【0069】
この例では、発光プローブと受光プローブとの間の距離は、それぞれ26mmに設定されている。
【0070】
図7は、本発明において脳内信号と参照信号を計測する場合の発光プローブと受光プローブの取り付け位置の例を示す図である。図中の黒い円が発光プローブの取り付け位置を表しており、図中の白い円が受光プローブの取り付け位置を表しており、ハッチングされた円が光路を表している。なお、光路の位置は、被験者の脳表層における計測部位に対応する位置となる。同図の例では、図6の場合と同様に、被験者の頭皮における図中縦方向に70mm、横方向に200mmの領域301に、発光プローブが9個取り付けられており、受光プローブが10個取り付けられており、合計28箇所の計測部位が設定されることになる。
【0071】
なお、同図の領域301のサイズは例であり、計測部位の数などに応じて図中縦方向の長さ、横方向の長さが変化するものとする。
【0072】
また、図7の例では、領域301の図中上側の領域302に、発光プローブと受光プローブが、それぞれ1個取り付けられており、この発光プローブと受光プローブのペアが参照信号の生成に用いられることになる。なお、同図には図示されていないが、参照信号生成用の発光プローブと受光プローブとの間にも当然光路が存在する。
【0073】
この例では、領域301の内部に取り付けられている発光プローブと受光プローブとの間の距離は、それぞれ26mmに設定されている。すなわち、脳内信号の生成に用いられる発光プローブと受光プローブとの間の距離は、それぞれ26mmに設定されている。一方、参照信号生成用の発光プローブと受光プローブとの間の距離は、10mmに設定されている。
【0074】
図8は、被験者の前頭葉の脳内信号と参照信号を計測する場合の、発光プローブと受光プローブの取り付け位置を説明する図である。同図は、被験者の頭部320を前方向(顔)から見た図であり、被験者の前頭葉に対応する位置であって、額部分に領域301が設定されている。領域301に取り付けられる発光プローブと受光プローブは、図7を参照して上述した場合と同様である。また、領域301の上側に領域302が設定されており、発光プローブと受光プローブが領域302内に図中縦方向に並べられて取り付けられている。
【0075】
領域302は、被験者の脳の大脳縦列の部分に設定されることが望ましい。図8の図中左上側の図は領域302の位置を説明するための図である。被験者の脳322には、被験者の両目を結ぶ線を水平とした場合、垂直方向の溝が形成されており、この溝が大脳縦列と称される。大脳縦列は溝であるため、大脳縦列の部分においては、脳322の表皮が被験者の頭部320の中心方向に窪んでいることになる。従って、大脳縦列の部分においては、被験者の頭皮から脳322の表皮までの距離が大きくなるので、参照信号を取得し易くなるのである。
【0076】
さらに、領域302は、被験者31の眉間の上方、20mm乃至30mmの位置であって、被験者の毛髪がない額の部分に設定されることがのぞましい。領域302をそのような位置に設定するのは、被験者31の眉間の上方、20mm乃至30mmの位置は、被験者31の表情の変化などにより額部分の頭皮が大きく動く可能性が小さいので、より正確に参照信号を取得できるからである。また、被験者31の毛髪が発光プローブ、受光プローブに接触すると参照信号の出力値を正確に計測できなくなる可能性が高いからである。
【0077】
次に、係数特定部202の処理の詳細について説明する。上述したように、係数特定部202は、サンプル取得部201により取得されたサンプルに基づいて、例えば、参照信号値から脳内信号値を求める一次方程式を生成して、その一次方程式の係数を、最小自乗法などを用いて特定する。
【0078】
図9は、ある計測チャネルのサンプルの参照信号の出力値と脳内信号の出力値との関係を表すグラフである。同図の横軸は、参照信号の出力値とされ、縦軸は、脳内信号の出力値とされる。そして、その計測チャネルのサンプルとして取得された参照信号の出力値に対応する脳内信号の出力値が図中の円によりプロットされている。
【0079】
係数特定部202は、図9に示されるプロット点に基づいて、近似直線361を生成するのである。より、具体的には、参照信号とn番目の計測チャネルの脳内信号の関係を満たす一次式の係数を求めるのである。
【0080】
いま、参照信号を時刻tの関数Ref(t)で表すこととし、脳内信号を時刻tの関数Nn(t)で表すこととする。係数特定部202は、次式に各時刻での参照信号の出力値と脳内信号の出力値を代入する。
【0081】
Nn(t) = An・Ref(t) + Bn
【0082】
そして、係数特定部202は、例えば、最小自乗法を用いてAn及びBnを求める。これにより、n番目の計測チャネルの係数An及びBnが特定されることになる。
【0083】
係数特定部202は、同様に、n番目の計測チャネル以外の各計測チャネルのサンプルのそれぞれを用いて上述した処理を行い、各計測チャネルの係数を特定するのである。例えば、第1番目乃至第28番目の計測チャネルが存在する場合、A1乃至A28およびB1乃至B28が特定されることになる。
【0084】
なお、この例では、図9に示されるように、近似直線361を生成することが可能なので、1次式による関係式を求めたが、脳内信号の出力値と参照信号の出力値の分布の状態によっては多項式による関係式を用いてもよい。例えば、計測チャネルのサンプルとして取得された参照信号の出力値に対応する脳内信号の出力値をプロットした場合、それらのプロット点が直線状に形成されていない場合などは、適当な多項式による関係式を用いてもよい。
【0085】
このようにして特定された各計測チャネルの係数に基づいて、ノイズ除去信号抽出部204が、信号取得部203が取得した脳内信号から、ノイズ成分を除去する演算を行う。
【0086】
例えば、信号取得部203が取得したn番目の計測チャネルの脳内信号を、時刻tの関数Mn(t)とすると、ノイズ除去信号抽出部204は、ノイズが除去されたn番目の計測チャネルの脳内信号Sn(t)を次式により求める。
【0087】
Sn(t) = Mn(t) − An・Ref(t) − Bn
【0088】
図10は、例えば、被験者に特別な刺激を与えない状態で取得された各計測チャネルの脳内信号と参照信号の例を示す図である。同図においては、29のグラフが表示されており、それぞれ横軸が時間、縦軸が信号の出力値とされる。「CH1」乃至「CH28」と記されているグラフは、第1計測チャネル乃至第28計測チャネルの脳内信号のグラフであり、図中最も上側に表示されるグラフが参照信号のグラフとされる。
【0089】
図11は、図10に示される第1計測チャネル乃至第28計測チャネルの脳内信号のノイズが除去された場合の例を示す図である。図11の第1計測チャネル乃至第28計測チャネルの脳内信号のグラフは、図10の第1計測チャネル乃至第28計測チャネルの脳内信号のグラフと比較して、それぞれ波形が平坦になっている。
【0090】
図10に示されるグラフは、被験者に特別な刺激を与えない状態で取得された各計測チャネルの脳内信号の波形なので、本来、脳内の血管内のヘモグロビンの量には大きな変化が見られないはずである。すなわち、図10の第1計測チャネル乃至第28計測チャネルの脳内信号のグラフの波形は、参照信号の影響により、参照信号のグラフの波形と似通った形状となっていたのである。
【0091】
例えば、従来のfNIRSを用いて計測された脳内のヘモグロビンの量の変化などを表す信号には、頭皮血管中の血流量変化の影響が混在しているので、被験者に特別な刺激を与えない状態で取得された脳内信号であるにも係らず、グラフの波形に上下動が生じることがある。例えば、図10の第1計測チャネル乃至第28計測チャネルの脳内信号のグラフでは、それぞれ、ほぼ同様に、図中右から左へ下がっていく波形が示されている。このような、波形に基づいて、例えば、被験者の感情を正確に推測することは困難である。
【0092】
図12は、例えば、被験者に特別な刺激を与えた状態で取得された各計測チャネルの脳内信号と参照信号の例を示す図である。同図においては、29のグラフが表示されており、それぞれ横軸が時間、縦軸が信号の出力値とされる。「CH1」乃至「CH28」と記されているグラフは、第1計測チャネル乃至第28計測チャネルの脳内信号のグラフであり、図中最も上側に表示されるグラフが参照信号のグラフとされる。
【0093】
図13は、図12に示される第1計測チャネル乃至第28計測チャネルの脳内信号のノイズが除去された場合の例を示す図である。同図においては、29のグラフが表示されており、それぞれ横軸が時間、縦軸が信号の出力値とされる。「CH1」乃至「CH28」と記されているグラフは、第1計測チャネル乃至第28計測チャネルの脳内信号のグラフであり、図中最も上側に表示されるグラフが参照信号のグラフとされる。
【0094】
図12の第1計測チャネル乃至第28計測チャネルの脳内信号のグラフの波形は、それぞれが、ほぼ同様に、図中左から右に上がってその後さらに下がる形状を有している。一方、図13の第1計測チャネル乃至第28計測チャネルの脳内信号のグラフの波形は、それぞれが異なる形状を有している。
【0095】
すなわち、図12の第1計測チャネル乃至第28計測チャネルの脳内信号のグラフの波形は、参照信号の影響により、参照信号のグラフの波形と似通った形状となっていたのである。そして、参照信号の影響をノイズとして認識し、そのノイズを除去することにより、図13に示されるように、被験者に与えた刺激に対応する脳内の血管内のヘモグロビンの量の変化を、各計測部位に対応する各計測チャネルの脳内信号として観察することが可能になるのである。
【0096】
このように、被験者に特別な刺激を与えない状態における参照信号の出力値と脳内信号の出力値の関係を表す関係式(係数を含む)を予め求めておき、その関係式により得られる値をノイズ成分として、計測された脳内信号からノイズを除去するのである。このように、ノイズが除去された波形に基づいて、被験者の感情を推測するようにすれば、より正確に被験者の感情を推測することができる。
【0097】
次に、図14のフローチャートを参照して、本発明の情報処理システム1による計測事前処理について説明する。この処理は、例えば、被験者の感情などを推定するための信号を実際に計測するのに先立って行われる。
【0098】
ステップS101において、サンプル取得部201は、図15を参照して後述するサンプル取得処理を実行する。
【0099】
ここで、図15のフローチャートを参照して、図14のステップS101のサンプル取得処理の詳細について説明する。
【0100】
ステップS121において、情報処理システム1のユーザは、被験者を、特別な刺激を与えない無刺激状態にする。そして、ユーザは、計測装置10にサンプルの取得を指令する。
【0101】
ステップS122において、サンプル取得部201は、脳内信号と参照信号を同時に取得する。このとき、例えば、参照信号とともに、各計測部位に対応する各計測チャネルの脳内信号がそれぞれ取得される。
【0102】
ステップS123において、サンプル取得部201は、ステップS122の処理で取得された各計測チャネルの脳内信号を参照信号に対応付けてサンプルとして記憶する。
【0103】
なお、サンプル数は、1に限られるものではなく、複数取得されるようにしてもよい。すなわち、ステップS121乃至S123の処理が、例えば、繰り返し実行されて複数のサンプルが取得されるようにしてもよい。
【0104】
このようにしてサンプルが取得される。
【0105】
図14に戻って、ステップS101の処理の後、処理は、ステップS102に進む。
【0106】
ステップS102において、図16を参照して後述する係数特定処理を実行する。ここで、図16のフローチャートを参照して、図14のステップS102の係数特定処理の詳細について説明する。
【0107】
ステップS141において、係数特定部202は、ステップS101の処理により取得されたサンプルを用いて一次式を生成する。このとき、例えば、図9を参照して上述したように、具体的には、参照信号とn番目の計測チャネルの脳内信号の関係を表す関数を生成する。
【0108】
上述したように、参照信号を時刻tの関数Ref(t)で表すこととし、脳内信号を時刻tの関数Nn(t)で表すこととすると、係数特定部202は、次式に各時刻での参照信号の出力値と脳内信号の出力値を代入することで一次式を生成する。
【0109】
Nn(t) = An・Ref(t) + Bn
【0110】
ステップS142において、係数特定部202は、例えば、最小自乗法を用いてステップS141で生成した一次式を解いて、係数An及び係数Bnを求める。これにより、n番目の計測チャネルの係数An及び係数Bnが特定されることになる。同様に、係数特定部202は、n番目の計測チャネル以外の各計測チャネルのサンプルのそれぞれを用いて上述した処理を行い、各計測チャネルの係数を特定する。
【0111】
ステップS143において、係数特定部202は、ステップS142において特定した各計測チャネルの係数を記憶する。
【0112】
このようにして係数特定処理が行われる。
【0113】
このように、予め取得されたサンプルに基づいて脳内信号の関係を表す関数が生成されて、その関数の係数が特定されるようにしたので、後に測定される脳内信号から参照信号の成分を除去する演算を行うことが可能となる。
【0114】
次に、図17のフローチャートを参照して、本発明の情報処理システム1による脳内信号抽出処理について説明する。この処理は、例えば、図14を参照して上述した計測事前処理が実行された後、被験者の感情などを推定するための信号を実際に計測するために行われる。
【0115】
ステップS161において、情報処理システム1のユーザは、被験者に所定の刺激を与える。このとき、例えば、被験者に「喜び」、「悲しみ」などの情動を想起させるための刺激が与えられる。そして、ユーザは、計測装置10に脳内信号の抽出を指令する。
【0116】
ステップS162において、信号取得部203は、脳内信号と参照信号を同時に取得する。このとき、例えば、参照信号とともに、各計測部位に対応する各計測チャネルの脳内信号がそれぞれ取得される。
【0117】
ステップS163において、ノイズ除去信号抽出部204は、脳内信号から参照信号成分(すなわち、ノイズ成分)を除去する。このとき、ノイズ除去信号抽出部204は、例えば、図16のステップS143の処理により記憶されている、各計測チャネルの係数を読み出して、ステップS162の処理で取得した脳内信号から、ノイズ成分を除去する演算を行う。
【0118】
例えば、ステップS162の処理で信号取得部203が取得したn番目の計測チャネルの脳内信号を、時刻tの関数Mn(t)とすると、ノイズ除去信号抽出部204は、ノイズが除去されたn番目の計測チャネルの脳内信号Sn(t)を次式により求める。
【0119】
Sn(t) = Mn(t) − An・Ref(t) − Bn
【0120】
このようにして全ての計測チャネルの脳内信号のノイズが除去されていく。
【0121】
ステップS164において、ノイズ除去信号抽出部204は、ステップS163の処理でノイズを除去した各計測チャネルの脳内信号を、最終的な脳内信号として出力する。ここで、出力される信号が、被験者の脳表層の各計測部位の活性化状態を表す信号として用いられることになる。
【0122】
このようにして、ノイズが除去された脳内信号が抽出される。
【0123】
このように、本発明においては、頭皮の血管など、脳の外側の血管を流れる血液の量の変化を参照信号として取得し、その参照信号をノイズ成分として脳内信号から除去するようになされている。従って、例えば、頭皮の血管など、脳の外側の血管を流れる血液の量の変化などに影響されることなく、被験者の脳表層のどの部分がどの程度活性化しているのかを、より正確に計測することが可能となる。その結果、頭皮の血流などが大きく変化しているときであっても、被験者の感情などが誤って推定されてしまう可能性は小さくなる。
【0124】
以上においては、図8に示されるように、1組(ペア)の発光プローブと受光プローブにより参照信号を取得する例について説明した。すなわち、図8の例では、参照信号の計測部位は1箇所とされている。
【0125】
しかしながら、多くの計測部位において、参照信号を計測すれば、より正確にノイズ成分を除去することが可能となる。
【0126】
図18は、複数の計測部位において参照信号を取得する場合の発光プローブと受光プローブの取り付け位置の例を示す図である。同図において、図7と同様に、図中の黒い円が発光プローブの取り付け位置を表しており、図中の白い円が受光プローブの取り付け位置を表しており、ハッチングされた円が光路(計測部位に対応する)を表している。同図の例では、被験者の頭皮における図中縦方向に70mm、横方向に200mmの領域401に、発光プローブが11個取り付けられており、受光プローブが12個取り付けられており、合計28箇所の計測部位が設定されることになる。
【0127】
なお、同図の領域401のサイズは例であり、計測部位の数などに応じて図中縦方向の長さ、横方向の長さが変化するものとする。
【0128】
図18の例では、図7の場合と異なり、参照信号を取得する発光プローブと受光プローブを取り付けるための領域302に対応する領域が設けられていない。
【0129】
また、図18の例では、図7の場合と異なり、ほぼ矩形である領域401の四隅に取り付けられた発光プローブと受光プローブとの間の距離が、他の発光プローブと受光プローブとの間の距離より短く設定されている。例えば、発光プローブ421−1と受光プローブ422−2との間の距離は、26mmに設定されているのに対して、発光プローブ421−1と受光プローブ422−1との間の距離は、10mmに設定されている。同様に、発光プローブ421−3乃至421−5と受光プローブ422−3乃至422−5との間の距離も、それぞれ10mmに設定されている。
【0130】
すなわち、図18の例においては、発光プローブ421−1と受光プローブ422−1とのペア、および発光プローブ421−3乃至421−5と受光プローブ422−3乃至422−5とのペアにより、4つの参照信号が取得されるのである。この例では、4つの参照信号が取得されると説明したが、このように、脳内信号の取得のための領域401に取り付けら得た発光プローブと受光プローブにおいて、所定の発光プローブと受光プローブとの間の距離を短くするだけで、所望の数の参照信号を取得することができる。
【0131】
図18に示されるように、発光プローブと受光プローブを取り付けた場合、4つの参照信号を取得することができるので、例えば、取得された4つの参照信号の出力値の平均値を図9における参照信号の出力値として用いることもできる。このようにすることで、例えば、被験者31の頭皮の血流の局所的な変化などが参照信号の出力値に影響することを抑止することが可能となり、より正確にノイズ成分を除去することが可能となる。
【0132】
また、図18に示されるように、発光プローブと受光プローブを取り付けた場合、例えば、各計測チャネルに対応する計測部位に最も最も近い位置で計測された参照信号の出力値を図9における参照信号の出力値として用いることもできる。このようにすることで、例えば、被験者31の頭皮の血流の局所的な変化など生じた場合であっても、適応的にそれぞれの計測チャネルの脳内信号のノイズ成分を除去することが可能となる。
【0133】
あるいはまた、図18に示されるように、発光プローブと受光プローブを取り付けた場合、4つの参照信号の中から、ノイズ成分を除去する所定の計測チャネルの脳内信号と最も線形性の強い参照信号を選択して用いることもできる。このようにすることで、例えば、係数特定部202により特定される係数の値の信頼性をより高めることが可能となる。
【0134】
また、図18に示されるように、4つの参照信号を取得する場合、図9を参照して上述したようにプロット点に基づいて、4つの近似直線を得ることが可能となる。例えば、ノイズ成分を除去する所定の計測チャネルの脳内信号の出力値を、これら4つの近似直線と同一のグラフ(図9のグラフ)上にプロットした場合、そのプロットされた点が4つの近似直線のうちの、第2番目の近似直線と第3番目の近似直線との間に位置していたとする。このような場合、例えば、第2番目の近似直線と第3番目の近似直線の平均値として得られる値を、ノイズ成分として除去するようにしてもよい。
【0135】
つまり、4つの参照信号に対応して、傾きがほぼ同じであって、4つの異なる近似直線が得られた場合、所定の計測チャネルの脳内信号の出力値をプロットした位置に対応する仮想的な近似直線を生成し、その仮想的な近似直線によりノイズ成分を特定するようにしてもよい。
【0136】
すなわち、図18に示されるように、発光プローブと受光プローブを取り付けた場合、4つの参照信号のそれぞれに対応する近似直線を得て、ノイズ成分を除去する所定の計測チャネルの脳内信号の出力値と、それらの近似直線との距離に基づいて、ノイズ成分を演算するようにすることも可能である。
【0137】
なお、例えば、4つの近似直線の傾きが全く異なっていた場合、4つの近似直線がほぼ同一であった場合などは、上述した仮想的な近似直線を生成してノイズ成分を特定する方式は、用いないこととする。
【0138】
図19は、複数の計測部位において参照信号を取得する場合の発光プローブと受光プローブの取り付け位置の別の例を示す図である。同図において、図7と同様に、図中の黒い円が発光プローブの取り付け位置を表しており、図中の白い円が受光プローブの取り付け位置を表しており、ハッチングされた円が光路(計測部位に対応する)を表している。同図の例では、被験者の頭皮における図中縦方向に70mm、横方向に200mmの領域451に、発光プローブが37個取り付けられており、受光プローブが38個取り付けられており、合計28箇所の計測部位が設定されることになる。
【0139】
なお、同図の領域451のサイズは例であり、計測部位の数などに応じて図中縦方向の長さ、横方向の長さが変化するものとする。
【0140】
図19の例では、図7の場合と異なり、参照信号を取得する発光プローブと受光プローブを取り付けるための領域302に対応する領域が設けられていない。
【0141】
図19の例では、脳内信号の計測部位に対応する位置に、参照信号の計測部位が設定されており、28箇所の計測部位において参照信号が取得されるようになされている。すなわち、図19の例では、脳表層の血管内のヘモグロビンの濃度を計測するとともに、脳表層の血管の外側(脳表層の真上)の頭皮の血管の血流も計測されるようになされているのである。すなわち、図19の場合、各計測チャネルの脳内信号のノイズ成分を除去するために、最も適切な位置において計測チャネル数分の参照信号がそれぞれ取得されるのである。
【0142】
このようにすることで、より適切にノイズ成分を除去することが可能となる。
【0143】
ただし、図19のように、発光プローブと受光プローブの取り付ける場合、プローブの数が多いため、取り付け位置の設定、取り付け作業などが煩雑になるので、理想的な測定結果を得るためには、時間とコストを要する可能性が高い。
【0144】
図20と図21は、本発明の効果を説明する図である。
【0145】
図20は、従来のfNIRSを用いて計測された脳内信号に基づいて、被験者の感情を推定した場合の正解率と、本発明の情報処理システム1を用いて計測された脳内信号に基づいて、被験者の感情を推定した場合の正解率とを比較する表である。この表は、被験者に「喜び」、「悲しみ」、または「怒り」の情動を想起する所定の刺激を与え、また、被験者に特別な刺激を与えず「無情動」となるようにして、被験者の脳内信号を計測し、その計測結果に基づいて被験者の情動(または感情)を推定した結果を表している。被験者の脳内信号の計測結果に基づいて推定された情動が、実際に被験者が感じた情動と一致する場合、正解となる。
【0146】
すなわち、図20は、被験者に与えた刺激の内容を知ることなく、従来のfNIRSまたは本発明の情報処理システム1を用いて、被験者の情動をどれだけ正しく推定できたかを表すものである。
【0147】
図20に示されるように、「喜び」、「悲しみ」、「怒り」、または「無情動」のいずれの情動に対しても、本発明の情報処理システム1を用いて計測された脳内信号に基づいて、被験者の感情を推定した方が、従来と比較して、正解率が高くなっている。また、本発明の方が、当然、各情動の平均正解率も高くなっている。
【0148】
図21は、図20における各推定結果の内訳を表すグラフである。同図においては、「喜び」、「悲しみ」、「怒り」、および「無情動」の各情動が、それぞれ「喜」、「悲」、「怒」、および「無」として表されている。
【0149】
図21の図中左側のグラフは、従来のfNIRSを用いて計測された脳内信号に基づいて、被験者の感情を推定した場合の推定結果の内訳を表しており、図中右側のグラフは、本発明の情報処理システム1を用いて計測された脳内信号に基づいて、被験者の感情を推定した場合の推定結果の内訳を表している。
【0150】
例えば、図中左側のグラフの「喜」に対応する棒グラフは、被験者が感じた情動が「喜び」であった場合、fNIRSの推定結果が、「喜び」、「悲しみ」、「怒り」、または「無情動」のいずれであったかを表している。この例では、被験者が感じた情動が「喜び」であった場合、fNIRSの推定結果が「喜び」となったのは(すなわち正解率は)、62.3%であり、fNIRSの推定結果が誤って「怒り」となったものが多かったことが分かる。
【0151】
同様に、図中右側のグラフの「喜」に対応する棒グラフも、被験者が感じた情動が「喜び」であった場合、fNIRSの推定結果が、「喜び」、「悲しみ」、「怒り」、または「無情動」のいずれであったかを表している。これにより、被験者が感じた情動が「喜び」であった場合、fNIRS(いまの場合、本発明の情報処理システム1)の推定結果が「喜び」となったのは(すなわち正解率は)、73.1%であり、fNIRSの推定結果が誤って「怒り」となったものなどは、少なかったことが分かる。
【0152】
なお、図20と図21に示される本発明の情報処理システム1を用いて計測された脳内信号に基づく被験者の感情の推定結果は、図7に示されるように、1つの参照信号が得られるように発光プローブと受光プローブを取り付けて計測された脳内信号に基づく被験者の感情の推定結果とされる。
【0153】
このように、本発明によれば、より正確に被験者の情動を推定することが可能となる。
【0154】
なお、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。上述した一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば図22に示されるような汎用のコンピュータ700などに、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0155】
図22において、CPU(Central Processing Unit)701は、ROM(Read Only Memory)702に記憶されているプログラム、または記憶部708からRAM(Random Access Memory)703にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM703にはまた、CPU701が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0156】
CPU701、ROM702、およびRAM703は、バス704を介して相互に接続されている。このバス704にはまた、入出力インタフェース705も接続されている。
【0157】
入出力インタフェース705には、キーボード、マウスなどよりなる入力部706、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal display)などよりなるディスプレイ、並びにスピーカなどよりなる出力部707、ハードディスクなどより構成される記憶部708、モデム、LANカードなどのネットワークインタフェースカードなどより構成される通信部709が接続されている。通信部709は、インターネットを含むネットワークを介しての通信処理を行う。
【0158】
入出力インタフェース705にはまた、必要に応じてドライブ710が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア711が適宜装着され、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部708にインストールされる。
【0159】
上述した一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、インターネットなどのネットワークや、リムーバブルメディア711などからなる記録媒体からインストールされる。
【0160】
なお、この記録媒体は、図22に示される、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを配信するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フロッピディスク(登録商標)を含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini-Disk)(登録商標)を含む)、もしくは半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディア711により構成されるものだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに配信される、プログラムが記録されているROM702や、記憶部708に含まれるハードディスクなどで構成されるものも含む。
【0161】
なお、本明細書において上述した一連の処理を実行するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】本発明の一実施の形態に係る情報処理システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の計測装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】fNIRSを用いて計測された脳内のヘモグロビンの量の変化などを表す信号に、頭皮血管中の血流量変化の影響が混在していることを説明するための図である。
【図4】図2の制御部の機能的構成例を示すブロック図である。
【図5】計測装置において脳内信号を測定する場合の、発光プローブと受光プローブの取り付け位置を説明する図である。
【図6】従来の脳内信号を計測する場合の発光プローブと受光プローブの取り付け位置の例を示す図である。
【図7】本発明において脳内信号と参照信号を計測する場合の発光プローブと受光プローブの取り付け位置の例を示す図である。
【図8】被験者の前頭葉の脳内信号と参照信号を計測する場合の、発光プローブと受光プローブの取り付け位置を説明する図である。
【図9】ある計測チャネルのサンプルの参照信号の出力値と脳内信号の出力値との関係を表すグラフである。
【図10】被験者に特別な刺激を与えない状態で取得された各計測チャネルの脳内信号と参照信号の例を示す図である。
【図11】図10に示される計測チャネルの脳内信号のノイズが除去された場合の例を示す図である。
【図12】被験者に特別な刺激を与えた状態で取得された各計測チャネルの脳内信号と参照信号の例を示す図である。
【図13】図12に示される計測チャネルの脳内信号のノイズが除去された場合の例を示す図である。
【図14】計測事前処理の例を説明するフローチャートである。
【図15】サンプル取得処理の例を説明するフローチャートである。
【図16】係数特定処理を説明するフローチャートである。
【図17】脳内信号抽出処理を説明するフローチャートである。
【図18】本発明において脳内信号と参照信号を計測する場合の発光プローブと受光プローブの取り付け位置の別の例を示す図である。
【図19】本発明において脳内信号と参照信号を計測する場合の発光プローブと受光プローブの取り付け位置のさらに別の例を示す図である。
【図20】本発明による効果を説明する表である。
【図21】図20の表に対応するグラフである。
【図22】パーソナルコンピュータの構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0163】
1 情報処理システム, 2 脳表層, 2a 計測部位, 10 計測装置, 11 計測装置本体部, 12 計測具, 13 ケーブル, 14 駆動回路, 15 発光部, 16a,16b 光ファイバ, 17 受光部, 18 信号処理部, 19 制御部 20 情報処理端末, 21 CPU, 22 バス, 23 メインメモリ, 24 記憶装置, 25 操作入力部, 26 入出力インタフェース, 27 画像処理出力部, 31 被験者, 41 ディスプレイ, 201 サンプル取得部, 202 係数特定部, 203 信号取得部, 204 ノイズ除去部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の頭部に装着された計測具により取得される情報であって、前記被験者の頭の内部の各計測部位の血液成分の変化を表す情報を取得する内部情報取得手段と、
前記取得された各計測部位の血液成分の変化を表す情報のうち、予め設定された計測部位の血液成分の変化を表す情報に基づいて生成される参照信号に基づいて、他の計測部位の血液成分の変化を表す情報に基づいて生成される脳内信号のノイズ成分を除去するノイズ除去信号抽出手段と、
前記ノイズ成分が除去された脳内信号を、前記被験者の脳表層の各計測部位の活性化状態を表す信号として出力する出力手段と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記被験者に特別な刺激を与えない状態で取得された前記参照信号と前記脳内信号に基づいて、前記各計測部位のそれぞれの脳内信号の出力値を、前記参照信号の出力値に基づいて求める関係式の係数を特定する係数特定手段をさらに備え、
前記ノイズ除去信号抽出手段は、前記生成された参照信号および前記特定された係数に基づいて前記脳内信号に含まれるノイズ成分を求めて、そのノイズ成分を除去する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記計測具は、前記被験者の頭部の前記各計測部位に対応する位置に取り付けられる、近赤外光を発光する発光プローブおよび前記発光プローブから発光された近赤外光を受光する受光プローブにより構成され、
前記参照信号の生成に用いられる前記発光プローブと前記受光プローブとの間の距離が、前記脳内信号の生成に用いられる情報を取得するための前記発光プローブと前記受光プローブとの間の距離より小さく設定されている
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記脳内信号の各計測部位に対応する、複数の前記参照信号に対応する計測部位が設定される
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記脳内信号の各計測部位のうち、所定の計測部位の前記発光プローブと前記受光プローブとの間の距離を小さく設定することにより、その所定の計測部位が前記参照信号の計測部位とされる
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記参照信号に対応する計測部位が予め設定された位置に1つ設定される
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記参照信号の計測部位は、前記被検者の頭部において脳の大脳縦列に対応する位置に設定される
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記参照信号の計測部位は、前記被験者の眉間の上方、20mm乃至30mmの位置であって、被験者の毛髪がない額の部分に設定される
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
被験者の頭部に装着された計測具により取得される情報であって、前記被験者の頭の内部の各計測部位の血液成分の変化を表す情報を取得し、
前記取得された各計測部位の血液成分の変化を表す情報のうち、予め設定された計測部位の血液成分の変化を表す情報に基づいて生成される参照信号に基づいて、他の計測部位の血液成分の変化を表す情報に基づいて生成される脳内信号のノイズ成分を除去し、
前記ノイズ成分が除去された脳内信号を、前記被験者の脳表層の各計測部位の活性化状態を表す信号として出力するステップ
を含む情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータを、
被験者の頭部に装着された計測具により取得される情報であって、前記被験者の頭の内部の各計測部位の血液成分の変化を表す情報を取得する内部情報取得手段と、
前記取得された各計測部位の血液成分の変化を表す情報のうち、予め設定された計測部位の血液成分の変化を表す情報に基づいて生成される参照信号に基づいて、他の計測部位の血液成分の変化を表す情報に基づいて生成される脳内信号のノイズ成分を除去するノイズ除去信号抽出手段と、
前記ノイズ成分が除去された脳内信号を、前記被験者の脳表層の各計測部位の活性化状態を表す信号として出力する出力手段とを備える情報処理装置として機能させる
プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のプログラムが記録されている記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2009−285008(P2009−285008A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−138996(P2008−138996)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】