情報処理装置および表示制御方法
【課題】複数の表示部を備えることでユーザビリティを向上させることができる情報処理装置および表示制御方法を提供すること。
【解決手段】情報処理装置は、キー入力部30を挟んで液晶ディスプレイ10およびタッチスクリーン20の複数の表示部を備え、タッチスクリーン20は、キー入力部30よりユーザの身体に近い側に設けられている。
【解決手段】情報処理装置は、キー入力部30を挟んで液晶ディスプレイ10およびタッチスクリーン20の複数の表示部を備え、タッチスクリーン20は、キー入力部30よりユーザの身体に近い側に設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の表示部を備える情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナル・コンピュータ等の情報処理装置には、いわゆるデスクトップ型、ノート型等の様々なタイプのものがあり、広く普及し利用されている。
【0003】
これらの情報処理装置の構成は、一般に、例えば、特許文献1に開示されているように、液晶ディスプレイ等の1つの表示部が、キーボード等の入力部とは別個に設けられたものであることが多い。
【特許文献1】特開2006−350533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の関連技術は、情報処理装置の表示部が1つの構成であり、情報処理装置の表示部がキーボード等の入力部を挟んで表示部を複数備える構成ではない。したがって、当該入力部よりユーザの身体に近い場所にさらなる表示部を設け、ユーザビリティを向上させること等については何ら考慮されていない。
【0005】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、複数の表示部を備えることでユーザビリティを向上させることができる情報処理装置および表示制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報処理装置は、キー入力部を挟んで複数の表示部を備える情報処理装置であって、
前記複数の表示部のうちの一の表示部は、前記キー入力部よりユーザの身体に近い側であることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の表示制御方法は、キー入力部を挟んで複数の表示部を備え、該複数の表示部のうちの一の表示部は、前記キー入力部よりユーザの身体に近い側であり、かつ、タッチスクリーンである情報処理装置の表示制御方法であって、
前記一の表示部にタッチスクリーンに対するユーザの入力に応じた表示をさせ、
前記複数の表示部のうちの他の表示部に前記キー入力部に対するユーザの入力に応じた表示をさせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の表示部を備えることでユーザビリティを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
<全体構成の概要>
図1に示す本実施の形態における情報処理装置は、第一の表示部としての液晶ディスプレイ10と、第二の表示部としてのタッチスクリーン20と、キー入力部30と、タッチセンサ部40と、制御部50とから構成されている。そして、ヒンジ部を介して、液晶ディスプレイ10およびタッチセンサ部40を含む第一の筐体が、キー入力部30およびタッチスクリーン20を含む第二の筐体と折り重なるように折り畳み可能に構成されている。なお、筐体に限らずシート状のもの等を広く含み、連続した単一の筐体等でなく複数の構成部分が結合されたものであってもよい。
図2は、本実施の形態における情報処理装置の開いた状態の全体構成を示す斜視図である。
図3は、本実施の形態における情報処理装置を折り畳んだ状態を上面から見た図であり、また、図4は本実施の形態における情報処理装置を折り畳んだ状態を側面から見た図である。
【0010】
液晶ディスプレイ10は、上記の特許文献1等に開示されている構成における表示部に相当し、公知の技術により実現されてよい。液晶ディスプレイに限定されず、表示機能を有する画面を構成に含む表示機構のすべてを含む。もちろん、タッチスクリーン等の付随機能を有するものであってもよい。
【0011】
タッチスクリーン20は、液晶パネル等により実現される表示機能を有している。この表示機能は本装置の使用フェーズ等あるいは外部入力に基づいて使用状況に応じた表示に切り替えられる。
また、タッチスクリーン20は、図5に示すようなスタイラス60等の外部入力装置からの入力情報をタッチセンサ機能により取得し、液晶パネル等に表示する機能も有している。例えば、図6に示すようなメモを記入することで、これまでポストイット等を装置に貼り付けて管理してきた情報をユーザの手元のタッチスクリーン20に保持することができる。
さらに、ポインティング・デバイスとしてのタッチパッド21等により実現される位置入力機能を有している。この位置入力機能により、GUI(Graphical User Interface)においてポインティング・デバイスが指し示している位置を表すカーソルを操作する。このカーソルは矢印等の図形等によりタッチスクリーン20および液晶ディスプレイ10の画面上に表示され得る。
そして、タッチスクリーン20は、表示されているオブジェクト等をユーザが指等で直接に接触して移動させることができる機能を有している。
なお、タッチスクリーン20は、併せてパームレストとして機能させられてもよい。すなわち、これまでパームレストとして機能させていた部材に本タッチスクリーン20を適用してもよい。
必ずしも図1に示すタッチスクリーン20の領域すべてがタッチスクリーン機能を有していなくてもよいことはもちろんである。
【0012】
キー入力部30は、アルファベットキー、数字キーおよび所定の処理を指示する各種のキー等から構成されるが、これらは公知の技術により実現されてよい。なお、キー入力に限定されず、何らかの入力処理を行う機構を広く含む。キーの構造上の厚みは必須ではないことはもちろんである。
【0013】
タッチセンサ部40は、ユーザの指等あるいはスタイラス等の外部入力装置の接触を検出する機能を有している。これは公知の抵抗膜式や静電気式等により実現されてよい。材質や厚みはタッチセンサ機能を実現できるものであれば限定されない。
図3を参照すると、本実施の形態におけるタッチセンサ部40は、透明であるため、情報処理装置を折り畳んだ状態では、タッチセンサ部40と対向するタッチスクリーン20の少なくとも一部の表示が透過されて視覚により判別できる。このように、タッチセンサ部40の色は、タッチスクリーン20の少なくとも一部の表示が透過されて視覚により判別できるように、タッチセンサ部40の少なくとも一部分が透明あるいは半透明であるが、透過可能に色や模様が付加されていてもよい。
なお、図1および図3に示すように、視覚により判別可能なステータスLED機能による電源ボタンのマーク41等が付加されていてもよい。
さらに、タッチセンサ部40は、本実施の形態における情報処理装置が開いた状態において、液晶ディスプレイ10と一体的に同一の表示部として機能してもよく、あるいは液晶ディスプレイ10とは別個であるが何らかの連携を保った表示部として機能してもよく、あるいは液晶ディスプレイ10とは別個ではあるが何らかの表示を行う表示部として機能することであってもよい。
【0014】
制御部50は、CPUや所定の記憶装置等から構成され、本装置の処理動作を司る機能を有している。本装置の任意の場所に設けられてよいが、図1では、上記の第二の筐体のキー入力部30の裏側に相当する位置の筐体内部に格納されている状態を示した。
【0015】
<キー入力部を挟んだ複数の表示部の構成>
液晶ディスプレイ10における単なるデュアルディスプレイとは異なり、ユーザの手許に近い場所(ユーザの身体に近い側)のタッチスクリーン20に対して入力操作が可能である。すなわち、液晶ディスプレイ10もユーザがスタイラス等で画面上から入力可能な場合であっても、ユーザの身体と液晶ディスプレイ10との物理的な距離がタッチスクリーン20とのそれに比して相対的に遠いため入力が困難となる。
【0016】
また、本実施の形態における情報処理装置のOSの起動には一定の時間が必要であり、ユーザには手待ち時間が発生するが、その時間を、タッチスクリーン20におけるメニュー選択等に費やし、有効活用することができる。
すなわち、これまでは情報処理装置の制御としてOSの立上げが完了した後に、液晶ディスプレイ10の画面に表示されたスタートボタン等からユーザが所望のアプリケーション等をカーソルを用いて選択していた。このOSの立上げ中のユーザの手待ち時間に次の処理動作であるメニュー選択を予め行っておけば、時間が節約される。
例えば、図7に示すように、制御部50は、情報処理装置のOSの立上げ中に、タッチスクリーン20にメニュー選択用の所定の図形22を表示させる。ユーザの指等の操作によりこの図形22が直接操作されたり、またユーザのカーソル等の操作により、所望のメニューが選択され、制御部50はその選択されたメニューの識別情報を取得して所定の記憶部に保持し、その識別情報に基づいてユーザにより選択されたメニューをOSの起動完了後に実行することであってもよい。
【0017】
また、制御部50は、ユーザのキーの押下げまたはキーボタンタッチ等によるキー入力部30に対する入力操作がなされたタイミングでタッチスクリーン20に画面ロックを施す制御を行ってもよい。画面ロックは、手のひら等によりタッチスクリーン20上のオブジェクト等が誤ってドラッグされて位置が移動してしまうこと等を回避するためになされる。誤移動等のリスクは、ユーザの手のポジションからキー入力部30に対する入力時が最も高いことを考慮し、当該タイミングで画面ロックを施す。ロック手法は、元の画面表示の状態のままロックしたり、またスクリーンセーバのような画面制御を伴ったり、完全に電源Off状態の画面制御や、その他ロック対象物を限定したロック、ロック領域を画面の一部に限定したロック等を広く含む。
制御部50は、タッチスクリーン20の使用状況に応じて画面ロックを施すか否かを決定することであってもよい。すなわち、タッチスクリーン20上には、手書き入力された文字のみが存在し、オブジェクトが存在しない場合等には、誤移動等のリスクはないので画面ロックを施さないこととしてもよい。
なお、ユーザが自己責任でロックを希望しない場合には、画面ロックがかからないことを選択できる仕組みが設けられていてもよい。
【0018】
図8に示すように、キー入力部30からユーザの押下げ等により入力されたキーに対応するアルファベットや数字等がタッチスクリーン20に表示される仕組みを備えていてもよい。これによりキー入力した回数・総量等がユーザに視覚的に示される。なお、上述の画面ロック時におけるスクリーンセーバ類似の表示に適用可能である。
【0019】
<表示部間の移動>
以下の三パターンについて説明する。
(1)カーソルおよびオブジェクトの移動
(2)オブジェクトのみの移動
(3)カーソルのみの移動
【0020】
ところで、本実施の形態の情報処理装置は、液晶ディスプレイ10とタッチスクリーン20という複数の表示部を備えるため、それぞれ独立した表示部として機能させる制御の他に、これらの複数の表示部を連携させて機能させる制御が考えられる。この点について、以下に、図9および図10のフローチャートを参照して詳細に説明する。なお、図10は、主として上記の「(1)カーソルおよびオブジェクトの移動」に関するものである。
【0021】
図9を参照すると、液晶ディスプレイ10にはオブジェクトである「象のイラスト」が表示されている。
まず、ユーザのタッチパッド21に対する指等の操作により、矢印図形のカーソルが当該「象のイラスト」上に位置させられ、続いてドラッグ操作により液晶ディスプレイ10の画面上を移動させられる(図10のS101)。これらは公知の操作であり、既知の技術が適用され実現されてよい。
【0022】
「象のイラスト」がカーソルによりドラッグされ、液晶ディスプレイ10の画面の最下端に到達すると(図10のS102)、制御部50は、さらに「象のイラスト」を下方に移動させるようにタッチパッド21の操作がなされているか否かを判定する(図10のS103)。
【0023】
そして、「象のイラスト」を下方に移動させるようにユーザのタッチパッド21の操作がなされている場合(図10のS103/Yes)には、制御部50は、「象のイラスト」およびカーソルが存在する液晶ディスプレイ10の画面両端からの座標データを検出し、所定の記憶部に保持する(図10のS104)。さらに、制御部50は、その所定の記憶部に保持した「象のイラスト」およびカーソルの座標データに基づいてタッチスクリーン20の対応する各座標を算出する(図10のS105)。
【0024】
制御部50は、ステップS905で算出された座標に基づき、「象のイラスト」およびカーソルを液晶ディスプレイ10の画面の最下端からタッチスクリーン20の上端に連続してドラッグされているように表示制御する(図10のS106)。
さらに、同様の仕組みで、タッチスクリーン20の上端から液晶ディスプレイ10の画面の最下端に連続してドラッグされているように表示制御されてもよい。液晶ディスプレイ10から移動されてきたオブジェクトの位置を記憶・保持しておき、その位置に戻す等の付加的な処理がなされてもよい。
なお、この複数の表示部間のオブジェクトおよびカーソルの移動は、種々の方法で実現されてよい。
【0025】
また、上記の「(2)オブジェクトのみの移動」として、カーソルは液晶ディスプレイ10の画面の最下端に留まり、オブジェクトのみが表示部間を移動することであってもよい。
なぜなら、タッチスクリーン20に移動させられたオブジェクトについては、タッチスクリーン20に、ユーザの指等の接触による操作により、あたかも指等にカーソルによるドラッグの代替的機能を持たせることで、カーソルを不要とした制御が可能だからである。この場合、オブジェクトは液晶ディスプレイ10の画面の最下端からタッチスクリーン20のタッチパッド21の近傍等の所定の位置に移動後、例えば2秒等の所定時間経過後に自由にユーザの指等の操作に応じて移動可能な状態に遷移することであってもよい。
【0026】
また、液晶ディスプレイ10がタッチスクリーンである場合には、カーソルとは無関係に、ユーザの指等の接触による操作でオブジェクの液晶ディスプレイ10の画面およびタッチスクリーン20間の移動が実現されてもよい。
【0027】
上記の「(3)カーソルのみの移動」として、ユーザのタッチパッド21に対する指等の操作により、カーソルのみが液晶ディスプレイ10からタッチスクリーン20へ移動されてもよい。
これは複数の表示部におけるカーソルの表示の制御として、一の表示部にはまったく表示させないという制御である。
タッチスクリーン20へ移動されたカーソルは、液晶ディスプレイ10上におけるマウス操作でのいわゆる右クリック機能に相当するカーソル独自の機能・処理はそのまま有効とされてもよい。例えば、オブジェクトに対するいわゆるコピー&ペースト操作により、液晶ディスプレイ10に表示されていたオブジェクトをタッチスクリーン20へ追加して表示させることができる。なお、この場合、液晶ディスプレイ10の元のオブジェクトとタッチスクリーン20のコピーされたオブジェクトを対応付けておき、一方のオブジェクトの画面上での移動と同期させて他方のオブジェクトも移動する等の制御がなされてもよい。
【0028】
タッチスクリーン20に移動して表示されたカーソルは、ユーザのタッチパッド21に対する指等の操作による、タッチスクリーン20上での移動の対象となる。また、タッチスクリーン20に移動して表示されたオブジェクトである「象のイラスト」は、カーソルでのドラッグによるタッチスクリーン20上の移動の対象となる。これらは公知の操作であり、既知の技術が適用され実現されてよい。
また、上述のとおり、タッチスクリーン20に移動させられたオブジェクトはユーザの指等の接触による既知の操作により移動可能である。
また、タッチスクリーン20に表示されたカーソルは、タッチスクリーン20の所定の位置、例えば、右下部分をユーザが指等で触れるとタッチセンサ機能によりその触れた位置あるいは予め定められた位置に瞬時に移動することであってもよい。これによりスクリーンの端から端まで連続してカーソルを移動させる場合等の労力が軽減される。
【0029】
<タッチパッドの領域変更>
図1に示す、本実施の形態の情報処理装置のタッチスクリーン20に設けられる、ポインティング・デバイスとしてのタッチパッド21は、そのタッチパッドとしての領域の位置、サイズおよび形状等をタッチスクリーン20内においてユーザの任意に変更することが可能である。以下に、図11のフローチャートを参照して、その処理の一例を説明する。
【0030】
まず、制御部50は、ユーザのモード変更ボタン23(図6参照)等に対する指等の操作に応じて、タッチスクリーン20の表示をタッチパッド21の領域を変更するモード(図12参照)に設定する(S111)。
【0031】
次に、図12に示すように、現在(変更前)のタッチパッド21の領域24がタッチスクリーン20に表示され、ユーザの変更操作に応じて、タッチパッド21の領域はユーザの所望の位置、サイズおよび形状等へ変更されて表示される(S112)。変更操作はボタン25等によってもよく、またユーザの指等によるタッチパッド21への直接の操作によってもよい。
【0032】
制御部50は、ユーザの決定ボタン等の操作により、ステップS112における領域の変更の確定を認識する(S113)。
【0033】
制御部50は、変更後のタッチパッド21の領域情報をタッチスクリーン20から取得し、所定の記憶装置等に格納されているタッチパッド21の既存の領域情報を変更後のものへ更新する(S114)。
【0034】
そして、制御部50は、ユーザのモード変更ボタン23等の操作に応じて、タッチスクリーン20の表示をタッチパッド21の領域を変更するモードから通常使用モードへ戻す(S115)。
【0035】
これにより、個々のユーザの好みの領域とすることができユーザの操作性が向上する。また、タッチパッド21に誤って触れることによる誤操作を最小限とする効果をもたらす。
【0036】
また、タッチパッド21の機能をOFFとする設定(タッチパッドとしての領域のサイズ=0)が可能であってもよい。マウス等の入力装置を接続したり、キー入力部に他の形状のポインティング・デバイスを設けたり、また矢印キーによりカーソルを操作する場合等には、重複した機能は不要だからである。
【0037】
<タッチセンサ部およびタッチスクリーンのセキュリティ・操作>
まず、前提として、上述したとおり、図3等に示す本実施の形態における情報処理装置のタッチセンサ部40は、透明であるため、情報処理装置を折り畳んだ状態では、タッチセンサ部40と対向するタッチスクリーン20の表示が透過されて視覚により判別できる構成となっている。なお、図3等に示すように、タッチスクリーン20の面積がタッチセンサ部40の透明部分よりも大きくてもよいが、逆にタッチスクリーン20の面積がタッチセンサ部40の透明部分以下であってもよい。
【0038】
ここで、本実施の形態における情報処理装置は、ユーザの本装置の利用が終了した場合には、セキュリティ、液晶ディスプレイ10・タッチスクリーン20の画面保護、キー操作部への汚れ付着防止等の観点より、図3等に示すように折り畳んだ状態とされ、次回の利用機会まで待機させられる。なお、本装置を折り畳んだ状態では、タッチセンサ部40を含む第一の筐体と、タッチスクリーン20を含む第二の筐体とが、磁石や物理的な勘合構造等により開いた状態とならないようにロックされる。このロックはヒンジ部の可動性が制限されることで実現されてもよく、広く種々のロック手法を含む。
【0039】
そして、本実施の形態における情報処理装置の利用開始に際しては、以下の処理が順になされる。(1)電源投入、(2)ロック解除用のユーザ認証、(3)ロック解除、(4)OS起動
以下に、図14を参照して本実施の形態における情報処理装置の利用開始に際しての処理フローを詳細に説明する。
【0040】
図13に示すように、折り畳んだ状態の情報処理装置は、タッチセンサ部40に設けられた電源ボタンのマーク41がユーザの指等で押されると、電源投入がなされ(S141)、タッチスクリーン20にロック解除用のユーザ認証のための表示がなされる(S142)。タッチセンサ部40は、透明であるため、タッチスクリーン20の表示をユーザは視認可能である。
図13では、ユーザ認証の方法を、一例として4桁の暗証番号の入力を要求する表示としているが、認証可能であれば、例えば、生体認証等その認証方法の種類は問わない。
【0041】
タッチスクリーン20の表示に従い、タッチセンサ部40がユーザの指等の接触による暗証番号等の入力を受け付けると(S143)、静電気等でその操作がタッチスクリーン20に伝達され、直接にタッチスクリーン20がユーザの指等で接触操作された場合と同様に認識される。
【0042】
制御部50は、所定の記憶装置等に対応付けられて格納されているユーザの識別情報と暗証番号情報に基づいてユーザ認証を行い(S144)、ユーザ認証が適正になされるとロックを解除する(S145)。これにより、タッチセンサ部40を含む第一の筐体と、タッチスクリーン20を含む第二の筐体との間にかけられていたロックが解除され、情報処理装置を開いた状態とさせることができる。
なお、上記のタッチスクリーン20の表示に従う認証に加えて、透明なタッチセンサ部40に、所定の位置を所定の順番で指等で接触すること等によるユーザ認証機構を設けることで、二重のセキュリティを実現できる。所定の位置等はメーカとの装置購入時の取決め等で決定され、なんら入力要求がなされないため、事情に通じていない第三者へのセキュリティ効果は高い。
【0043】
制御部50は、上記のステップS145でのロック解除処理に続いて、情報処理装置のOSを起動させることであってもよい(S146)。すなわち、ロック解除用のユーザ認証がログイン時の認証処理も兼ねる処理フローである。なお、OS起動のためのログイン処理が別途なされてもよい。
【0044】
また、上記した透明なタッチセンサ部40の所定の位置を所定の順番で指等で接触すること等によるユーザ認証を、電源投入段階での認証とすれば、ユーザ認証がなされなければ情報処理装置に電源すら投入されなく、データ漏洩等に対するより強固なセキュリティを確保することができる。これは、ユーザが本装置の利用を終了した場合であっても本装置を図1等に示すように開いた状態のままとしているときにも同様に適用できる。
【0045】
さらに、上述した、図14のステップS142およびステップS143における処理の説明と一部重複するが、折り畳んだ状態の情報処理装置のタッチスクリーン20に、例えば、図15に示すような所定の表示がなされると、タッチセンサ部40は、透明であるため、タッチスクリーン20の表示をユーザは視認可能である。
タッチスクリーン20の表示に応じて、タッチセンサ部40がユーザの指等により操作されると、静電気等でその操作がタッチスクリーン20に伝達され、直接にタッチスクリーン20がユーザの指等で接触操作された場合と同様に認識される。これによりタッチスクリーン20のオブジェクトの移動等やメモ機能が、情報処理装置が折り畳んだ状態であっても、開いた状態におけるタッチスクリーン20に対する操作と同様の感覚で実現される。
なお、この折り畳んだ状態での情報処理装置のタッチスクリーン20の表示・機能は限定的なものとし、例えば、ユーザ認証のレベルを段階的に設定し、折り畳んだ状態の操作のみ可能とするレベルの認証処理がなされてもよい。
【0046】
また、情報処理装置の液晶ディスプレイ10がタッチセンサ部40の領域をも含んでタッチスクリーン20に相当する部材で構成されており、さらにタッチスクリーン20に相当する部分がタッチセンサ部40に相当する透明等の部材で構成される場合には、上記の情報処理装置を折り畳んだ状態を裏返したのと同様となるので、タッチセンサ部およびタッチスクリーンを重ねた状態でのセキュリティ確保および操作を実現可能である。
【0047】
なお、上述する各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更実施が可能である。例えば、情報処理装置の機能を実現するためのプログラムを本装置に読込ませて実行することにより本装置の機能を実現する処理を行ってもよい。さらに、そのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であるCD−ROMまたは光磁気ディスクなどを介して、または伝送媒体であるインターネット、電話回線等を介して伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。また、情報処理装置の機能が他の装置によりまとめて実現されたり、追加の装置により機能が分散されて実現される形態も本発明の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態に係る情報処理装置の開いた状態の正面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る情報処理装置の開いた状態の全体構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る情報処理装置を折り畳んだ状態を上面から見た図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る情報処理装置を折り畳んだ状態を側面から見た図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るタッチスクリーンへの外部入力装置による入力を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る情報処理装置の使用中の表示を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るタッチスクリーンにメニュー選択用の図形を表示させることを示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る入力されたキーに対応する文字等がタッチスクリーンに表示されることを示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る表示部間のカーソルおよびオブジェクトの移動を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る表示部間のカーソルおよびオブジェクトの移動処理のフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態に係るタッチパッドの領域変更処理のフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態に係るタッチスクリーンの領域変更モード時の表示を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る認証サーバ側のデータ構造を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る情報処理装置の利用開始に際しての処理のフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態に係る情報処理装置の折り畳んだ状態のタッチセンサ部と対向するタッチスクリーンの表示・操作を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
10 液晶ディスプレイ
20 タッチスクリーン
21 タッチパッド
22 メニュー選択用の図形
23 モード変更ボタン
30 キー入力部
40 タッチセンサ部
41 電源ボタンのマーク
50 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の表示部を備える情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナル・コンピュータ等の情報処理装置には、いわゆるデスクトップ型、ノート型等の様々なタイプのものがあり、広く普及し利用されている。
【0003】
これらの情報処理装置の構成は、一般に、例えば、特許文献1に開示されているように、液晶ディスプレイ等の1つの表示部が、キーボード等の入力部とは別個に設けられたものであることが多い。
【特許文献1】特開2006−350533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の関連技術は、情報処理装置の表示部が1つの構成であり、情報処理装置の表示部がキーボード等の入力部を挟んで表示部を複数備える構成ではない。したがって、当該入力部よりユーザの身体に近い場所にさらなる表示部を設け、ユーザビリティを向上させること等については何ら考慮されていない。
【0005】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、複数の表示部を備えることでユーザビリティを向上させることができる情報処理装置および表示制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報処理装置は、キー入力部を挟んで複数の表示部を備える情報処理装置であって、
前記複数の表示部のうちの一の表示部は、前記キー入力部よりユーザの身体に近い側であることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の表示制御方法は、キー入力部を挟んで複数の表示部を備え、該複数の表示部のうちの一の表示部は、前記キー入力部よりユーザの身体に近い側であり、かつ、タッチスクリーンである情報処理装置の表示制御方法であって、
前記一の表示部にタッチスクリーンに対するユーザの入力に応じた表示をさせ、
前記複数の表示部のうちの他の表示部に前記キー入力部に対するユーザの入力に応じた表示をさせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の表示部を備えることでユーザビリティを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
<全体構成の概要>
図1に示す本実施の形態における情報処理装置は、第一の表示部としての液晶ディスプレイ10と、第二の表示部としてのタッチスクリーン20と、キー入力部30と、タッチセンサ部40と、制御部50とから構成されている。そして、ヒンジ部を介して、液晶ディスプレイ10およびタッチセンサ部40を含む第一の筐体が、キー入力部30およびタッチスクリーン20を含む第二の筐体と折り重なるように折り畳み可能に構成されている。なお、筐体に限らずシート状のもの等を広く含み、連続した単一の筐体等でなく複数の構成部分が結合されたものであってもよい。
図2は、本実施の形態における情報処理装置の開いた状態の全体構成を示す斜視図である。
図3は、本実施の形態における情報処理装置を折り畳んだ状態を上面から見た図であり、また、図4は本実施の形態における情報処理装置を折り畳んだ状態を側面から見た図である。
【0010】
液晶ディスプレイ10は、上記の特許文献1等に開示されている構成における表示部に相当し、公知の技術により実現されてよい。液晶ディスプレイに限定されず、表示機能を有する画面を構成に含む表示機構のすべてを含む。もちろん、タッチスクリーン等の付随機能を有するものであってもよい。
【0011】
タッチスクリーン20は、液晶パネル等により実現される表示機能を有している。この表示機能は本装置の使用フェーズ等あるいは外部入力に基づいて使用状況に応じた表示に切り替えられる。
また、タッチスクリーン20は、図5に示すようなスタイラス60等の外部入力装置からの入力情報をタッチセンサ機能により取得し、液晶パネル等に表示する機能も有している。例えば、図6に示すようなメモを記入することで、これまでポストイット等を装置に貼り付けて管理してきた情報をユーザの手元のタッチスクリーン20に保持することができる。
さらに、ポインティング・デバイスとしてのタッチパッド21等により実現される位置入力機能を有している。この位置入力機能により、GUI(Graphical User Interface)においてポインティング・デバイスが指し示している位置を表すカーソルを操作する。このカーソルは矢印等の図形等によりタッチスクリーン20および液晶ディスプレイ10の画面上に表示され得る。
そして、タッチスクリーン20は、表示されているオブジェクト等をユーザが指等で直接に接触して移動させることができる機能を有している。
なお、タッチスクリーン20は、併せてパームレストとして機能させられてもよい。すなわち、これまでパームレストとして機能させていた部材に本タッチスクリーン20を適用してもよい。
必ずしも図1に示すタッチスクリーン20の領域すべてがタッチスクリーン機能を有していなくてもよいことはもちろんである。
【0012】
キー入力部30は、アルファベットキー、数字キーおよび所定の処理を指示する各種のキー等から構成されるが、これらは公知の技術により実現されてよい。なお、キー入力に限定されず、何らかの入力処理を行う機構を広く含む。キーの構造上の厚みは必須ではないことはもちろんである。
【0013】
タッチセンサ部40は、ユーザの指等あるいはスタイラス等の外部入力装置の接触を検出する機能を有している。これは公知の抵抗膜式や静電気式等により実現されてよい。材質や厚みはタッチセンサ機能を実現できるものであれば限定されない。
図3を参照すると、本実施の形態におけるタッチセンサ部40は、透明であるため、情報処理装置を折り畳んだ状態では、タッチセンサ部40と対向するタッチスクリーン20の少なくとも一部の表示が透過されて視覚により判別できる。このように、タッチセンサ部40の色は、タッチスクリーン20の少なくとも一部の表示が透過されて視覚により判別できるように、タッチセンサ部40の少なくとも一部分が透明あるいは半透明であるが、透過可能に色や模様が付加されていてもよい。
なお、図1および図3に示すように、視覚により判別可能なステータスLED機能による電源ボタンのマーク41等が付加されていてもよい。
さらに、タッチセンサ部40は、本実施の形態における情報処理装置が開いた状態において、液晶ディスプレイ10と一体的に同一の表示部として機能してもよく、あるいは液晶ディスプレイ10とは別個であるが何らかの連携を保った表示部として機能してもよく、あるいは液晶ディスプレイ10とは別個ではあるが何らかの表示を行う表示部として機能することであってもよい。
【0014】
制御部50は、CPUや所定の記憶装置等から構成され、本装置の処理動作を司る機能を有している。本装置の任意の場所に設けられてよいが、図1では、上記の第二の筐体のキー入力部30の裏側に相当する位置の筐体内部に格納されている状態を示した。
【0015】
<キー入力部を挟んだ複数の表示部の構成>
液晶ディスプレイ10における単なるデュアルディスプレイとは異なり、ユーザの手許に近い場所(ユーザの身体に近い側)のタッチスクリーン20に対して入力操作が可能である。すなわち、液晶ディスプレイ10もユーザがスタイラス等で画面上から入力可能な場合であっても、ユーザの身体と液晶ディスプレイ10との物理的な距離がタッチスクリーン20とのそれに比して相対的に遠いため入力が困難となる。
【0016】
また、本実施の形態における情報処理装置のOSの起動には一定の時間が必要であり、ユーザには手待ち時間が発生するが、その時間を、タッチスクリーン20におけるメニュー選択等に費やし、有効活用することができる。
すなわち、これまでは情報処理装置の制御としてOSの立上げが完了した後に、液晶ディスプレイ10の画面に表示されたスタートボタン等からユーザが所望のアプリケーション等をカーソルを用いて選択していた。このOSの立上げ中のユーザの手待ち時間に次の処理動作であるメニュー選択を予め行っておけば、時間が節約される。
例えば、図7に示すように、制御部50は、情報処理装置のOSの立上げ中に、タッチスクリーン20にメニュー選択用の所定の図形22を表示させる。ユーザの指等の操作によりこの図形22が直接操作されたり、またユーザのカーソル等の操作により、所望のメニューが選択され、制御部50はその選択されたメニューの識別情報を取得して所定の記憶部に保持し、その識別情報に基づいてユーザにより選択されたメニューをOSの起動完了後に実行することであってもよい。
【0017】
また、制御部50は、ユーザのキーの押下げまたはキーボタンタッチ等によるキー入力部30に対する入力操作がなされたタイミングでタッチスクリーン20に画面ロックを施す制御を行ってもよい。画面ロックは、手のひら等によりタッチスクリーン20上のオブジェクト等が誤ってドラッグされて位置が移動してしまうこと等を回避するためになされる。誤移動等のリスクは、ユーザの手のポジションからキー入力部30に対する入力時が最も高いことを考慮し、当該タイミングで画面ロックを施す。ロック手法は、元の画面表示の状態のままロックしたり、またスクリーンセーバのような画面制御を伴ったり、完全に電源Off状態の画面制御や、その他ロック対象物を限定したロック、ロック領域を画面の一部に限定したロック等を広く含む。
制御部50は、タッチスクリーン20の使用状況に応じて画面ロックを施すか否かを決定することであってもよい。すなわち、タッチスクリーン20上には、手書き入力された文字のみが存在し、オブジェクトが存在しない場合等には、誤移動等のリスクはないので画面ロックを施さないこととしてもよい。
なお、ユーザが自己責任でロックを希望しない場合には、画面ロックがかからないことを選択できる仕組みが設けられていてもよい。
【0018】
図8に示すように、キー入力部30からユーザの押下げ等により入力されたキーに対応するアルファベットや数字等がタッチスクリーン20に表示される仕組みを備えていてもよい。これによりキー入力した回数・総量等がユーザに視覚的に示される。なお、上述の画面ロック時におけるスクリーンセーバ類似の表示に適用可能である。
【0019】
<表示部間の移動>
以下の三パターンについて説明する。
(1)カーソルおよびオブジェクトの移動
(2)オブジェクトのみの移動
(3)カーソルのみの移動
【0020】
ところで、本実施の形態の情報処理装置は、液晶ディスプレイ10とタッチスクリーン20という複数の表示部を備えるため、それぞれ独立した表示部として機能させる制御の他に、これらの複数の表示部を連携させて機能させる制御が考えられる。この点について、以下に、図9および図10のフローチャートを参照して詳細に説明する。なお、図10は、主として上記の「(1)カーソルおよびオブジェクトの移動」に関するものである。
【0021】
図9を参照すると、液晶ディスプレイ10にはオブジェクトである「象のイラスト」が表示されている。
まず、ユーザのタッチパッド21に対する指等の操作により、矢印図形のカーソルが当該「象のイラスト」上に位置させられ、続いてドラッグ操作により液晶ディスプレイ10の画面上を移動させられる(図10のS101)。これらは公知の操作であり、既知の技術が適用され実現されてよい。
【0022】
「象のイラスト」がカーソルによりドラッグされ、液晶ディスプレイ10の画面の最下端に到達すると(図10のS102)、制御部50は、さらに「象のイラスト」を下方に移動させるようにタッチパッド21の操作がなされているか否かを判定する(図10のS103)。
【0023】
そして、「象のイラスト」を下方に移動させるようにユーザのタッチパッド21の操作がなされている場合(図10のS103/Yes)には、制御部50は、「象のイラスト」およびカーソルが存在する液晶ディスプレイ10の画面両端からの座標データを検出し、所定の記憶部に保持する(図10のS104)。さらに、制御部50は、その所定の記憶部に保持した「象のイラスト」およびカーソルの座標データに基づいてタッチスクリーン20の対応する各座標を算出する(図10のS105)。
【0024】
制御部50は、ステップS905で算出された座標に基づき、「象のイラスト」およびカーソルを液晶ディスプレイ10の画面の最下端からタッチスクリーン20の上端に連続してドラッグされているように表示制御する(図10のS106)。
さらに、同様の仕組みで、タッチスクリーン20の上端から液晶ディスプレイ10の画面の最下端に連続してドラッグされているように表示制御されてもよい。液晶ディスプレイ10から移動されてきたオブジェクトの位置を記憶・保持しておき、その位置に戻す等の付加的な処理がなされてもよい。
なお、この複数の表示部間のオブジェクトおよびカーソルの移動は、種々の方法で実現されてよい。
【0025】
また、上記の「(2)オブジェクトのみの移動」として、カーソルは液晶ディスプレイ10の画面の最下端に留まり、オブジェクトのみが表示部間を移動することであってもよい。
なぜなら、タッチスクリーン20に移動させられたオブジェクトについては、タッチスクリーン20に、ユーザの指等の接触による操作により、あたかも指等にカーソルによるドラッグの代替的機能を持たせることで、カーソルを不要とした制御が可能だからである。この場合、オブジェクトは液晶ディスプレイ10の画面の最下端からタッチスクリーン20のタッチパッド21の近傍等の所定の位置に移動後、例えば2秒等の所定時間経過後に自由にユーザの指等の操作に応じて移動可能な状態に遷移することであってもよい。
【0026】
また、液晶ディスプレイ10がタッチスクリーンである場合には、カーソルとは無関係に、ユーザの指等の接触による操作でオブジェクの液晶ディスプレイ10の画面およびタッチスクリーン20間の移動が実現されてもよい。
【0027】
上記の「(3)カーソルのみの移動」として、ユーザのタッチパッド21に対する指等の操作により、カーソルのみが液晶ディスプレイ10からタッチスクリーン20へ移動されてもよい。
これは複数の表示部におけるカーソルの表示の制御として、一の表示部にはまったく表示させないという制御である。
タッチスクリーン20へ移動されたカーソルは、液晶ディスプレイ10上におけるマウス操作でのいわゆる右クリック機能に相当するカーソル独自の機能・処理はそのまま有効とされてもよい。例えば、オブジェクトに対するいわゆるコピー&ペースト操作により、液晶ディスプレイ10に表示されていたオブジェクトをタッチスクリーン20へ追加して表示させることができる。なお、この場合、液晶ディスプレイ10の元のオブジェクトとタッチスクリーン20のコピーされたオブジェクトを対応付けておき、一方のオブジェクトの画面上での移動と同期させて他方のオブジェクトも移動する等の制御がなされてもよい。
【0028】
タッチスクリーン20に移動して表示されたカーソルは、ユーザのタッチパッド21に対する指等の操作による、タッチスクリーン20上での移動の対象となる。また、タッチスクリーン20に移動して表示されたオブジェクトである「象のイラスト」は、カーソルでのドラッグによるタッチスクリーン20上の移動の対象となる。これらは公知の操作であり、既知の技術が適用され実現されてよい。
また、上述のとおり、タッチスクリーン20に移動させられたオブジェクトはユーザの指等の接触による既知の操作により移動可能である。
また、タッチスクリーン20に表示されたカーソルは、タッチスクリーン20の所定の位置、例えば、右下部分をユーザが指等で触れるとタッチセンサ機能によりその触れた位置あるいは予め定められた位置に瞬時に移動することであってもよい。これによりスクリーンの端から端まで連続してカーソルを移動させる場合等の労力が軽減される。
【0029】
<タッチパッドの領域変更>
図1に示す、本実施の形態の情報処理装置のタッチスクリーン20に設けられる、ポインティング・デバイスとしてのタッチパッド21は、そのタッチパッドとしての領域の位置、サイズおよび形状等をタッチスクリーン20内においてユーザの任意に変更することが可能である。以下に、図11のフローチャートを参照して、その処理の一例を説明する。
【0030】
まず、制御部50は、ユーザのモード変更ボタン23(図6参照)等に対する指等の操作に応じて、タッチスクリーン20の表示をタッチパッド21の領域を変更するモード(図12参照)に設定する(S111)。
【0031】
次に、図12に示すように、現在(変更前)のタッチパッド21の領域24がタッチスクリーン20に表示され、ユーザの変更操作に応じて、タッチパッド21の領域はユーザの所望の位置、サイズおよび形状等へ変更されて表示される(S112)。変更操作はボタン25等によってもよく、またユーザの指等によるタッチパッド21への直接の操作によってもよい。
【0032】
制御部50は、ユーザの決定ボタン等の操作により、ステップS112における領域の変更の確定を認識する(S113)。
【0033】
制御部50は、変更後のタッチパッド21の領域情報をタッチスクリーン20から取得し、所定の記憶装置等に格納されているタッチパッド21の既存の領域情報を変更後のものへ更新する(S114)。
【0034】
そして、制御部50は、ユーザのモード変更ボタン23等の操作に応じて、タッチスクリーン20の表示をタッチパッド21の領域を変更するモードから通常使用モードへ戻す(S115)。
【0035】
これにより、個々のユーザの好みの領域とすることができユーザの操作性が向上する。また、タッチパッド21に誤って触れることによる誤操作を最小限とする効果をもたらす。
【0036】
また、タッチパッド21の機能をOFFとする設定(タッチパッドとしての領域のサイズ=0)が可能であってもよい。マウス等の入力装置を接続したり、キー入力部に他の形状のポインティング・デバイスを設けたり、また矢印キーによりカーソルを操作する場合等には、重複した機能は不要だからである。
【0037】
<タッチセンサ部およびタッチスクリーンのセキュリティ・操作>
まず、前提として、上述したとおり、図3等に示す本実施の形態における情報処理装置のタッチセンサ部40は、透明であるため、情報処理装置を折り畳んだ状態では、タッチセンサ部40と対向するタッチスクリーン20の表示が透過されて視覚により判別できる構成となっている。なお、図3等に示すように、タッチスクリーン20の面積がタッチセンサ部40の透明部分よりも大きくてもよいが、逆にタッチスクリーン20の面積がタッチセンサ部40の透明部分以下であってもよい。
【0038】
ここで、本実施の形態における情報処理装置は、ユーザの本装置の利用が終了した場合には、セキュリティ、液晶ディスプレイ10・タッチスクリーン20の画面保護、キー操作部への汚れ付着防止等の観点より、図3等に示すように折り畳んだ状態とされ、次回の利用機会まで待機させられる。なお、本装置を折り畳んだ状態では、タッチセンサ部40を含む第一の筐体と、タッチスクリーン20を含む第二の筐体とが、磁石や物理的な勘合構造等により開いた状態とならないようにロックされる。このロックはヒンジ部の可動性が制限されることで実現されてもよく、広く種々のロック手法を含む。
【0039】
そして、本実施の形態における情報処理装置の利用開始に際しては、以下の処理が順になされる。(1)電源投入、(2)ロック解除用のユーザ認証、(3)ロック解除、(4)OS起動
以下に、図14を参照して本実施の形態における情報処理装置の利用開始に際しての処理フローを詳細に説明する。
【0040】
図13に示すように、折り畳んだ状態の情報処理装置は、タッチセンサ部40に設けられた電源ボタンのマーク41がユーザの指等で押されると、電源投入がなされ(S141)、タッチスクリーン20にロック解除用のユーザ認証のための表示がなされる(S142)。タッチセンサ部40は、透明であるため、タッチスクリーン20の表示をユーザは視認可能である。
図13では、ユーザ認証の方法を、一例として4桁の暗証番号の入力を要求する表示としているが、認証可能であれば、例えば、生体認証等その認証方法の種類は問わない。
【0041】
タッチスクリーン20の表示に従い、タッチセンサ部40がユーザの指等の接触による暗証番号等の入力を受け付けると(S143)、静電気等でその操作がタッチスクリーン20に伝達され、直接にタッチスクリーン20がユーザの指等で接触操作された場合と同様に認識される。
【0042】
制御部50は、所定の記憶装置等に対応付けられて格納されているユーザの識別情報と暗証番号情報に基づいてユーザ認証を行い(S144)、ユーザ認証が適正になされるとロックを解除する(S145)。これにより、タッチセンサ部40を含む第一の筐体と、タッチスクリーン20を含む第二の筐体との間にかけられていたロックが解除され、情報処理装置を開いた状態とさせることができる。
なお、上記のタッチスクリーン20の表示に従う認証に加えて、透明なタッチセンサ部40に、所定の位置を所定の順番で指等で接触すること等によるユーザ認証機構を設けることで、二重のセキュリティを実現できる。所定の位置等はメーカとの装置購入時の取決め等で決定され、なんら入力要求がなされないため、事情に通じていない第三者へのセキュリティ効果は高い。
【0043】
制御部50は、上記のステップS145でのロック解除処理に続いて、情報処理装置のOSを起動させることであってもよい(S146)。すなわち、ロック解除用のユーザ認証がログイン時の認証処理も兼ねる処理フローである。なお、OS起動のためのログイン処理が別途なされてもよい。
【0044】
また、上記した透明なタッチセンサ部40の所定の位置を所定の順番で指等で接触すること等によるユーザ認証を、電源投入段階での認証とすれば、ユーザ認証がなされなければ情報処理装置に電源すら投入されなく、データ漏洩等に対するより強固なセキュリティを確保することができる。これは、ユーザが本装置の利用を終了した場合であっても本装置を図1等に示すように開いた状態のままとしているときにも同様に適用できる。
【0045】
さらに、上述した、図14のステップS142およびステップS143における処理の説明と一部重複するが、折り畳んだ状態の情報処理装置のタッチスクリーン20に、例えば、図15に示すような所定の表示がなされると、タッチセンサ部40は、透明であるため、タッチスクリーン20の表示をユーザは視認可能である。
タッチスクリーン20の表示に応じて、タッチセンサ部40がユーザの指等により操作されると、静電気等でその操作がタッチスクリーン20に伝達され、直接にタッチスクリーン20がユーザの指等で接触操作された場合と同様に認識される。これによりタッチスクリーン20のオブジェクトの移動等やメモ機能が、情報処理装置が折り畳んだ状態であっても、開いた状態におけるタッチスクリーン20に対する操作と同様の感覚で実現される。
なお、この折り畳んだ状態での情報処理装置のタッチスクリーン20の表示・機能は限定的なものとし、例えば、ユーザ認証のレベルを段階的に設定し、折り畳んだ状態の操作のみ可能とするレベルの認証処理がなされてもよい。
【0046】
また、情報処理装置の液晶ディスプレイ10がタッチセンサ部40の領域をも含んでタッチスクリーン20に相当する部材で構成されており、さらにタッチスクリーン20に相当する部分がタッチセンサ部40に相当する透明等の部材で構成される場合には、上記の情報処理装置を折り畳んだ状態を裏返したのと同様となるので、タッチセンサ部およびタッチスクリーンを重ねた状態でのセキュリティ確保および操作を実現可能である。
【0047】
なお、上述する各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更実施が可能である。例えば、情報処理装置の機能を実現するためのプログラムを本装置に読込ませて実行することにより本装置の機能を実現する処理を行ってもよい。さらに、そのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であるCD−ROMまたは光磁気ディスクなどを介して、または伝送媒体であるインターネット、電話回線等を介して伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。また、情報処理装置の機能が他の装置によりまとめて実現されたり、追加の装置により機能が分散されて実現される形態も本発明の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態に係る情報処理装置の開いた状態の正面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る情報処理装置の開いた状態の全体構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る情報処理装置を折り畳んだ状態を上面から見た図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る情報処理装置を折り畳んだ状態を側面から見た図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るタッチスクリーンへの外部入力装置による入力を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る情報処理装置の使用中の表示を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るタッチスクリーンにメニュー選択用の図形を表示させることを示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る入力されたキーに対応する文字等がタッチスクリーンに表示されることを示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る表示部間のカーソルおよびオブジェクトの移動を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る表示部間のカーソルおよびオブジェクトの移動処理のフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態に係るタッチパッドの領域変更処理のフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態に係るタッチスクリーンの領域変更モード時の表示を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る認証サーバ側のデータ構造を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る情報処理装置の利用開始に際しての処理のフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態に係る情報処理装置の折り畳んだ状態のタッチセンサ部と対向するタッチスクリーンの表示・操作を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
10 液晶ディスプレイ
20 タッチスクリーン
21 タッチパッド
22 メニュー選択用の図形
23 モード変更ボタン
30 キー入力部
40 タッチセンサ部
41 電源ボタンのマーク
50 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キー入力部を挟んで複数の表示部を備える情報処理装置であって、
前記複数の表示部のうちの一の表示部は、前記キー入力部よりユーザの身体に近い側であることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記一の表示部は、タッチスクリーンであることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記一の表示部は、外部入力装置からの入力情報をタッチセンサ機能により取得して表示することを特徴とする請求項1または2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記一の表示部は、ポインティング・デバイスとしてのタッチパッドを備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記一の表示部は、パームレスト機能を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
OSの起動中に、前記一の表示部にメニュー選択用画面を表示させ、ユーザにより選択された所望のメニューを前記OSの起動完了後に実行することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記キー入力部に対する入力操作がなされると前記一の表示部に画面ロックを施すことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
キー入力部を挟んで複数の表示部を備え、該複数の表示部のうちの一の表示部は、前記キー入力部よりユーザの身体に近い側であり、かつ、タッチスクリーンである情報処理装置の表示制御方法であって、
前記一の表示部にタッチスクリーンに対するユーザの入力に応じた表示をさせ、
前記複数の表示部のうちの他の表示部に前記キー入力部に対するユーザの入力に応じた表示をさせることを特徴とする表示制御方法。
【請求項9】
OSの起動中に、前記一の表示部にメニュー選択用画面を表示させ、ユーザにより選択された所望のメニューを前記OSの起動完了後に実行して表示させることを特徴とする請求項8記載の表示制御方法。
【請求項10】
前記キー入力部に対する入力操作がなされると前記一の表示部に画面ロックを施すことを特徴とする請求項8または9記載の情表示制御方法。
【請求項1】
キー入力部を挟んで複数の表示部を備える情報処理装置であって、
前記複数の表示部のうちの一の表示部は、前記キー入力部よりユーザの身体に近い側であることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記一の表示部は、タッチスクリーンであることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記一の表示部は、外部入力装置からの入力情報をタッチセンサ機能により取得して表示することを特徴とする請求項1または2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記一の表示部は、ポインティング・デバイスとしてのタッチパッドを備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記一の表示部は、パームレスト機能を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
OSの起動中に、前記一の表示部にメニュー選択用画面を表示させ、ユーザにより選択された所望のメニューを前記OSの起動完了後に実行することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記キー入力部に対する入力操作がなされると前記一の表示部に画面ロックを施すことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
キー入力部を挟んで複数の表示部を備え、該複数の表示部のうちの一の表示部は、前記キー入力部よりユーザの身体に近い側であり、かつ、タッチスクリーンである情報処理装置の表示制御方法であって、
前記一の表示部にタッチスクリーンに対するユーザの入力に応じた表示をさせ、
前記複数の表示部のうちの他の表示部に前記キー入力部に対するユーザの入力に応じた表示をさせることを特徴とする表示制御方法。
【請求項9】
OSの起動中に、前記一の表示部にメニュー選択用画面を表示させ、ユーザにより選択された所望のメニューを前記OSの起動完了後に実行して表示させることを特徴とする請求項8記載の表示制御方法。
【請求項10】
前記キー入力部に対する入力操作がなされると前記一の表示部に画面ロックを施すことを特徴とする請求項8または9記載の情表示制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−66918(P2010−66918A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−231391(P2008−231391)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(302069930)NECパーソナルプロダクツ株式会社 (738)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(302069930)NECパーソナルプロダクツ株式会社 (738)
【Fターム(参考)】
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