説明

情報処理装置および販売システム

【課題】本来忌避する商品を顧客が誤って購入することがないように報知するシステムにおいて、顧客の負担を軽減することにより、顧客にとっての使い勝手を向上させる。
【解決手段】販売システム1に、食材を個々に識別するための識別情報を記憶する食材データベースサーバ2と、商品に含まれる食材を商品ごとに識別情報に従って記憶する商品データベースサーバ3と、食材データベースサーバ2に接続することにより忌避食材を示す識別情報を忌避情報として取得する携帯電話4と、商品データベースサーバ3に接続可能なレジ端末装置6とを設ける。レジ端末装置6は、顧客が携帯する携帯電話4から忌避情報を取得するとともに、顧客が購入を希望する商品に含まれる食材を示す識別情報を食材情報として商品データベースサーバ3から取得して、忌避情報と食材情報とに基づいて、忌避食材が顧客が購入を希望する商品に含まれているか否かを判定し警告する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客が購入を予定している物品に、本来は購入を希望しない物品が含まれていることを報知するシステムに関する。より詳しくは、顧客にとって使い勝手のよいシステムを提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、食品売り場に並べられるお総菜は、一見しただけで使用されている食材を理解することは難しい。もちろんお総菜のラベルには、食材に関する情報が記載されてはいるが、一つ一つの商品についてラベルを確認することは顧客にとって多大な負担となっている。特に、昨今の食品売り場では、お総菜に係る商品が多様化する傾向にあるため、顧客が個々のお総菜の内容について理解することは困難となっている。
【0003】
従来より、顧客にとってのアレルゲン物質を含む商品がレジに持参された場合に、警告のブザー音によって、当該顧客にその旨を報知する技術が提案されている。このような技術が、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されている技術では、ブザー音による報知とともに、ICカードへの購入履歴の記録も行われる。
【0004】
【特許文献1】特開2005−038215号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
顧客がアレルギー反応を起こすアレルギー物質は、日々追加される可能性があるため、アレルギー情報は更新される必要がある。ところが、上記特許文献1に記載されている技術では、アレルギー情報を記憶する記憶媒体としてICカードが用いられているため、情報の書き換えには専用の装置が必要であり、顧客にとって使い勝手が悪いという問題があった。
【0006】
また、一般に、ICカードは個々のシステムに固有のものであるため、顧客は店舗ごとにICカードを持参する必要があり、この点でも従来のシステムでは顧客の負担が増大する。
【0007】
さらに、ICカードに記録された購入履歴は、専用の読み取り装置及び表示装置がなければ内容を確認することができない。したがって、購入履歴を記録したとしても、当該情報は顧客にとって利便性の悪い情報となってしまう。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、本来忌避する商品を顧客が誤って購入することがないように報知するシステムにおいて、顧客の負担を軽減することにより、顧客にとっての使い勝手を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、情報処理装置であって、ユーザが携帯する端末装置から忌避食材を示す忌避情報を取得する第1情報取得手段と、前記ユーザが指定した物品に含まれる食材を示す食材情報を取得する第2情報取得手段と、前記第1情報取得手段により取得された忌避情報と前記第2情報取得手段により取得された食材情報とに基づいて、前記忌避情報に示される忌避食材が前記ユーザが指定した物品に含まれているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果を出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2の発明は、販売システムであって、食材を個々に識別するための識別情報を記憶する食材データベースサーバと、商品に含まれる食材を前記商品ごとに前記識別情報に従って記憶する商品データベースサーバと、ネットワークを介して前記食材データベースサーバに接続することにより忌避食材を示す識別情報を忌避情報として予め取得する端末装置と、前記商品データベースサーバに接続可能であるとともに、顧客が購入を希望する商品に応じて前記顧客に請求する金額を演算するレジ端末装置とを備え、前記レジ端末装置は、顧客が携帯する前記端末装置から忌避情報を取得する第1情報取得手段と、前記顧客が購入を希望する商品に含まれる食材を示す識別情報を食材情報として前記商品データベースサーバから取得する第2情報取得手段と、前記第1情報取得手段により取得された忌避情報と前記第2情報取得手段により取得された食材情報とに基づいて、前記忌避情報に示される忌避食材が前記顧客が購入を希望する商品に含まれているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果を出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明では、ユーザが携帯する端末装置から忌避食材を示す忌避情報を取得する第1情報取得手段と、ユーザが指定した物品に含まれる食材を示す食材情報を取得する第2情報取得手段と、第1情報取得手段により取得された忌避情報と第2情報取得手段により取得された食材情報とに基づいて、忌避情報に示される忌避食材がユーザが指定した物品に含まれているか否かを判定する判定手段と、判定手段による判定結果を出力する出力手段とを備えることにより、ユーザが指定した物品に忌避食材が含まれているか否かを容易に知らせることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明では、食材を個々に識別するための識別情報を記憶する食材データベースサーバと、商品に含まれる食材を商品ごとに識別情報に従って記憶する商品データベースサーバと、ネットワークを介して食材データベースサーバに接続することにより忌避食材を示す識別情報を忌避情報として予め取得する端末装置と、商品データベースサーバに接続可能であるとともに、顧客が購入を希望する商品に応じて顧客に請求する金額を演算するレジ端末装置とを備え、レジ端末装置は、顧客が携帯する端末装置から忌避情報を取得する第1情報取得手段と、顧客が購入を希望する商品に含まれる食材を示す識別情報を食材情報として商品データベースサーバから取得する第2情報取得手段と、第1情報取得手段により取得された忌避情報と第2情報取得手段により取得された食材情報とに基づいて、忌避情報に示される忌避食材が顧客が購入を希望する商品に含まれているか否かを判定する判定手段と、判定手段による判定結果を出力する出力手段とを備えることにより、顧客が購入を希望する商品に忌避食材が含まれているか否かを容易に知らせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0014】
<1. 実施の形態>
図1は、本発明に係る販売システム1の構成を示す図である。販売システム1は、食材データベースサーバ2、商品データベースサーバ3、携帯電話4および店舗サーバ5を備えており、これらは互いにネットワーク8を介して接続されている。また、店舗サーバ5は、店舗内に設置されているLAN9を介して複数のレジ端末装置6と接続されている。
【0015】
図2は、食材データベースサーバ2に記憶される食品テーブル20を例示する図である。食材データベースサーバ2は、一般的なコンピュータとしての構成を有しており、食品テーブル20を記憶している。食品テーブル20は、販売システム1において販売される食材(実質的には世間に流通している食材)と、当該食材を個々に識別するための識別コードとを互いに関連付けた情報である。
【0016】
例えば、図2に示すように、食材「大豆」は「大豆」に関連付けられた識別コード「1000」によって他の食材と識別され、食材「そば」は「そば」に関連付けられた識別コード「2001」によって他の食材と識別される。
【0017】
先述のように、食材データベースサーバ2は、ネットワーク8に接続されており、主に商品データベースサーバ3および携帯電話4によってアクセスされる(詳細は後述する)。すなわち、食材データベースサーバ2は、販売システム1において共有サイトとして機能する装置であって、例えば、信販会社や官公庁等に設置される。なお、食品テーブル20は、新たな食材が世間一般に流通するようになるたびに、随時、食材データベースサーバ2のオペレータによって追加・更新される。
【0018】
図3は、商品データベースサーバ3に記憶される出荷商品テーブル30を例示する図である。出荷商品テーブル30を記憶する商品データベースサーバ3は、主に商品を出荷する出荷元に設置される装置であり、一般的なコンピュータとしての構成を有している。
【0019】
本実施の形態において想定される出荷元としては、農産物を出荷する農協や、お総菜を調理する製造工場等があるが、商品を販売する店舗内で調理が行われる場合には当該店舗も出荷元に含まれてもよい。ただし、商品データベースサーバ3は、必ずしも出荷元にのみ設置されるわけではなく、例えば、商品の検査・管理会社等に設置されてもよい。
【0020】
出荷商品テーブル30は、出荷元から出荷される商品と、当該商品に含まれる食材を示す識別コードとを互いに関連付けた構造の情報である。ここに言う識別コードとは、食材データベースサーバ2(食品テーブル20)において定義された識別コードである。
【0021】
商品データベースサーバ3のオペレータは、新たな商品を出荷商品テーブル30に登録する際に、当該商品に含まれる食材を商品データベースサーバ3に入力する。この操作によって、商品データベースサーバ3は、食材データベースサーバ2にアクセスし、入力された食材に割り当てられている識別コードを食材データベースサーバ2から取得して、出荷商品テーブル30に格納する。
【0022】
このように、販売システム1では、商品の出荷元(製造元)のオペレータが、当該商品にどの食材が含まれているかを入力するように構成している。したがって、比較的商品知識のある者が情報を入力することになるので、情報の誤入力を抑制できる。
【0023】
図3に具体例を示すように、出荷商品テーブル30に登録されている商品「サバの味噌煮」については、出荷商品テーブル30において、商品ごとに、商品コード、商品名、当該商品に含まれる食材(サバ、ショウガ、味噌、大豆、塩、・・・)、および当該食材を示す識別コード(1002,2002,3001,1000,4000,・・・)が互いに関連付けて格納されている。
【0024】
このように、商品データベースサーバ3は、出荷商品テーブル30を記憶することにより、当該出荷元から出荷される商品に含まれる食材を、当該商品ごとに識別コードに従って記憶する機能を有している。
【0025】
なお、商品データベースサーバ3は、通常、出荷元ごとに設置される装置である。図1では、便宜上、1台の商品データベースサーバ3のみを図示しているが、例え、店舗が1つであっても、その店舗に対しては様々な出荷元から商品が納入される。したがって、一般に、販売システム1は複数の商品データベースサーバ3を備えている。
【0026】
図1に戻って、携帯電話4は、ネットワーク8を介して食材データベースサーバ2に接続し、顧客から指定される忌避食材を示す識別コードを忌避情報として取得し、図示しない記憶部に記憶する。
【0027】
顧客が携帯電話4を操作して食材データベースサーバ2にアクセスすると、食品テーブル20に登録されている食材の名称が携帯電話4のディスプレイに一覧表示される。顧客は一覧表示された食材の名称を確認しつつ、携帯電話4の操作ボタンを操作して忌避食材を指定すると、指定された忌避食材を示す識別コードが食材データベースサーバ2から携帯電話4にダウンロードされる。このようにして取得された識別コードは忌避情報として携帯電話4に記憶される。
【0028】
例えば、顧客が食材「大豆」を忌避する食材として指定した場合、食材データベースサーバ2は識別コード「1000」を当該携帯電話4に送信する。識別コード「1000」を受信した携帯電話4は、当該識別コード「1000」を忌避情報として記憶する。
【0029】
販売システム1では、顧客が自らの意思で任意に忌避食材を指定することが可能とされているため、忌避食材はアレルゲンに限定されない。もちろんアレルゲンを忌避食材に指定することも可能であるが、それ以外にも、例えば、乳児にとって不向きな食材(生乳やハチミツ等)や、嗜好にかかる食材(単に嫌いな食材)であっても忌避食材として指定できる。また、顧客自身が忌避する食材に限定されることもないので、例えば家族等の複数人の状況に応じて指定することもできる。このように顧客の意思に基づいて柔軟に対応することができるので、販売システム1は顧客の利便性が向上する。
【0030】
なお、携帯電話4は、本来、ネットワーク8を介して個人と個人との遠距離の通話を実現するために使用される装置である。一方、販売システム1では、先述のように、食材データベースサーバ2に接続して、指定された忌避食材を示す識別コードを忌避情報として取得するために携帯電話4が使用される。
【0031】
すなわち、販売システム1では、無線データ通信端末および忌避情報を記憶する記憶媒体として携帯電話4が機能するのであって、必ずしも携帯電話4の通話機能等が必須となるわけではない。したがって、販売システム1としては、携帯電話4に代えて、必要最小限の機能のみを搭載した廉価な端末装置を採用することによって、コスト抑制を図ることも当然可能である。
【0032】
しかし、携帯電話4は、ネットワーク8に無線通信によって接続される可搬性に優れた端末装置であり、昨今、広く一般に流通している装置である。このように販売システム1は、顧客側において必要となる構成として、既に広く普及している携帯電話4を採用することにより、顧客側に新たな設備を用意しなければならない事態を低減することができる。したがって、例え、一台一台は廉価であったとしても、専用の端末装置を全顧客に対して新たに配布しなければならない場合に比べて、システムの導入コストを抑制することができる。
【0033】
また、携帯電話4は、操作ボタンやディスプレイ等の優れたユーザインタフェースを備えている。したがって、顧客の発意による忌避情報(あるいは購入履歴情報)の確認・更新が容易に可能であり、例えば、記録媒体としてICカードを採用する従来のシステムに比べて、システムの柔軟性および顧客の利便性が大いに向上する。
【0034】
また、顧客は各自の携帯電話4の操作については既に慣れていると期待できるが、専用の端末装置を採用すれば、顧客は新たな装置の操作を覚える必要が生じる。すなわち、販売システム1は、携帯電話4を採用することにより、顧客の操作性が向上するので、顧客にとっての利便性が向上する。
【0035】
また、日頃から携帯電話4を携帯している顧客は、外出等の際に各自の携帯電話4を携帯する習慣が既に身に付いていると想定される。したがって、店舗に出かけようとするたびに、顧客に忌避情報を持参しなければならないことを意識させなくても、忌避情報を記憶させる記憶媒体として携帯電話4を採用することにより、確実に忌避情報を持参させることができる。このような効果は、外出時の予定を変更して店舗に立ち寄る場合に特に有効である。
【0036】
店舗サーバ5は、主に商品を販売する店舗内に設置される装置であり、一般的なコンピュータとしての構成を有している。店舗サーバ5は、ネットワーク8に接続されるとともに、LAN9とも接続されている。すなわち、店舗サーバ5は、ネットワーク8とLAN9とを接続する通信サーバとしての機能を備えている。
【0037】
また、店舗サーバ5は、店舗内で販売される商品に関する様々な情報を、当該商品ごとに関連付けて記憶するための販売商品テーブル(図示せず)を記憶している。商品ごとに記憶される情報には、当該商品についての、「店舗内識別番号」、「商品名」、「納品日時」、「出荷元」、「出荷元識別番号(図3に示す商品コード)」、「製造日時」、「食材」、「識別コード」、「販売価格」等が含まれるが、もちろんこれらの情報に限定されるものではない。
【0038】
販売商品テーブルへの商品の登録は、例えば、当該商品が店舗に到着した際や、当該商品を注文する際に行われる。このとき、店舗サーバ5のオペレータは、納品書や注文書等に従って、当該商品に関する情報を適宜入力して、当該商品を販売商品テーブルに登録するように店舗サーバ5に指示を与える。
【0039】
この指示により、店舗サーバ5は当該商品に店舗内識別番号を付与し、販売商品テーブルに、当該商品のレコードを作成するとともに、入力された情報を、作成したレコードの各項目に格納する。
【0040】
このとき、店舗サーバ5は、「出荷元(ネットワークアドレス等)」に基づいて、ネットワーク8を介して、当該商品を出荷した出荷元に設置されている商品データベースサーバ3にアクセスする。そして、出荷元識別番号を検索キーとして、当該商品データベースサーバ3に記憶されている出荷商品テーブル30を検索し、該当する商品に関連付けられている当該商品に含まれる食材(図3に示す使用食材および原料食材)と、当該食材の識別コードとを取得し、それぞれ「食材」および「識別コード」として販売商品テーブルの当該商品のレコードに格納する。
【0041】
例えば、商品「サバの味噌煮」が登録される場合、図3に示す出荷商品テーブル30は出荷元識別番号(商品コード)「1012」で検索され、「サバ」、「ショウガ」、「味噌」、「大豆」、「塩」が商品に含まれる「食材」として取得されるとともに、「1002」、「2002」、「3001」、「1000」、「4000」が商品に含まれる食材の「識別コード」として取得される。
【0042】
すなわち、販売システム1における店舗サーバ5は、店舗で販売する商品ごとに、当該商品に含まれる食材の識別コードを、商品データベースサーバ3から取得して記憶する機能を有している。
【0043】
また、詳細は後述するが、店舗サーバ5に記憶されている販売商品テーブルは、LAN9を介してレジ端末装置6から参照される。すなわち、店舗サーバ5は、販売商品テーブルを記憶することによって、データベースサーバとしての機能も有している。
【0044】
図4は、レジ端末装置6の構成を示す図である。レジ端末装置6は、レジ担当者によって操作され、顧客がレジに持参した商品(購入を希望する商品)に応じて、当該顧客に請求する金額を演算する装置として機能する。
【0045】
レジ端末装置6は、演算や制御信号の生成を行うCPU60、各種情報を記憶する記憶装置61、各種情報を取得するための入力装置として、バーコードリーダ62、操作部63および読取装置64を備え、情報処理装置としての機能を有している。
【0046】
CPU60は、記憶装置61を参照しつつ、携帯電話4から取得した忌避情報に含まれる識別コード(顧客が忌避する食材の識別コード)と、販売商品テーブルから取得した識別コード(顧客が購入を希望する商品に含まれる食材の識別コード)とを比較して、顧客が購入を希望する商品に当該顧客が忌避する食材が含まれているか否かを判定する。すなわち、CPU60は本発明における判定手段に相当する。
【0047】
具体的には、顧客が購入を希望する商品ごとに販売商品テーブルから取得した識別コードに、携帯電話4から取得した忌避情報に含まれる識別コードが含まれていた場合、CPU60は当該商品に当該顧客が忌避する食材が含まれていると判定する。
【0048】
バーコードリーダ62は、顧客がレジに持参した商品に貼付されている商品ラベルをスキャンすることにより、当該商品ラベルに印字されたバーコードを読み取って、当該商品に割り当てられている店舗内識別番号を取得する。すなわち、バーコードリーダ62は、顧客が購入を希望する商品の店舗内識別番号を取得して、記憶装置61に記憶させる。
【0049】
入力された店舗内識別番号は、レジ端末装置6(CPU60)が販売商品テーブルを参照するために使用される。すなわち、レジ端末装置6は、新たな店舗内識別番号を取得するたびに、店舗サーバ5にアクセスして、取得した店舗内識別番号を検索キーとして店舗サーバ5に記憶されている販売商品テーブルを検索する。そして販売商品テーブルの該当する商品のレコードから、識別コード(当該商品に含まれる食材の識別コード)と販売価格とを取得して、記憶装置61に記憶する。
【0050】
このようにして取得された商品ごとの販売価格は、CPU60によって、全商品について積算され、顧客に請求する金額を演算するために用いられる。一方、商品ごとに販売商品テーブルから取得した識別コードは、先述のように、CPU60によって、携帯電話4から取得した忌避情報に含まれる識別コードと比較される。なお、店舗内識別番号を取得する構成はバーコードリーダ62に限定されるものではない。例えば、レジ担当者が操作部63を操作することによって、店舗内識別番号が入力されてもよい。
【0051】
読取装置64は、顧客が所持している携帯電話4に記憶されている忌避情報を読み取るための装置である。読み取られた忌避情報は、記憶装置61に転送されて、一旦記憶される。読取装置64としては、携帯電話4に搭載された非接触ICチップからデータを読み取る装置や、携帯電話4との間で赤外線等の無線通信を行う装置等が相当する。
【0052】
このように、販売システム1では携帯電話4とレジ端末装置6との間のデータ通信が可能とされているため、顧客は、レジにおいて、読取装置64に携帯電話4をかざすだけで販売システム1のサービスの提供を受けることができる。したがって、従来のICカードを用いたシステムに比べても、顧客の操作性が低下することはない。
【0053】
なお、携帯電話4は顧客の所有物であるため、携帯電話4が読取装置64との間でデータ通信を行う機能を備えていない機種であることも想定される。しかし、このような場合であっても、顧客は、ネットワーク8を介して店舗サーバ5にアクセスし、当該携帯電話4から店舗サーバ5を介してレジ端末装置6に忌避情報を送信することができる。つまり、携帯電話である限り、ネットワーク8に接続する機能は必ず有しているので、顧客が所持する携帯電話4の性能にかかわらず、当該顧客は販売システム1の利用が可能である。
【0054】
また、レジ端末装置6は、様々な情報を出力する出力装置として、顧客用ディスプレイ65、担当用ディスプレイ66、警告音を再生するスピーカ67およびプリンタ68を備えている。
【0055】
顧客用ディスプレイ65は、一般的な液晶ディスプレイであって、顧客に請求する金額等の様々な情報を画面表示する。特に、本実施の形態における顧客用ディスプレイ65は、購入しようとする商品に忌避食材が含まれているか否かの判定結果を警告情報として表示出力する装置である。表示される警告情報は文字や図形等から成る情報であって、点滅や反転等の装飾的な表示がされてもよい。
【0056】
担当用ディスプレイ66は、顧客用ディスプレイ65と同様に一般的な液晶ディスプレイであって、主にレジ担当者に対する様々な情報を画面に表示する。レジ担当者は、担当用ディスプレイ66の表示画面を確認しつつ、レジ端末装置6を操作する。
【0057】
スピーカ67は、例えば記憶装置61に記憶されているデータを再生することにより、警告音(ブザー音)を鳴らす装置である。すなわち、購入しようとする商品に忌避食材が含まれているか否かの判定結果を警告音として出力する装置である。
【0058】
一般に、音による報知は、人間に、ある状態を知らせるという面では優れている。したがって、販売システム1はスピーカ67を備えており、判定結果を出力する装置として使用する。
【0059】
一方、ブザー音は人間にとって心地よいものではないので、店舗内の快適性が低下するという問題がある。例えば、特許文献1に記載された従来のシステムのように、顧客に対する報知手段がブザー音しか準備されていないと、該当商品が持参されるたびにブザー音を鳴らすしかない。このような状態は、複数のレジを備えた大型店舗では特に深刻である。また、ブザー音は遮蔽性に劣るため、顧客のみならず周囲の人間にも聞かれてしまい、個人情報が漏洩するという問題もある。
【0060】
これに対して、販売システム1は、先述のように、購入を希望する商品に忌避食材が含まれていることを示す警告情報を顧客用ディスプレイ65に表示することも可能である。すなわち、スピーカ67以外の報知手段が準備されているので、例えば、店舗内の利用形態に応じてスピーカ67を使用しないモードに設定することも可能である。
【0061】
これにより、顧客用ディスプレイ65に表示される警告情報は店内環境を悪化させるものではないので、販売システム1はスピーカ67しか備えていないシステムに比べて、快適性の低下を抑制することができる。また、顧客用ディスプレイ65に表示されている情報は、顧客以外の人物には視認されにくい(遮蔽性が高い)ので、忌避情報という個人的な情報が周囲に漏洩することも抑制される。
【0062】
プリンタ68は、顧客に請求する金額や、購入商品のリスト等の情報を印字して、レシート7を発行する装置である。特に、本実施の形態におけるプリンタ68は、顧客が購入した商品に忌避食材が含まれているか否かの判定結果を印刷出力する。
【0063】
例えば、ある商品に、子供にとってのアレルゲンである食材が含まれていても、親にとって問題ない場合には、例え警告されたとしても、親が食するつもりで当該商品を購入する場合がある。すなわち、顧客は、警告された商品の購入を必ずしも断念するわけではない。このような場合、顧客用ディスプレイ65やスピーカ67は揮発性の報知手段であるため、これらによってのみ警告が行われた場合、その場を離れた後には、どの商品が警告の対象となった商品であったかを顧客自身が記憶しておかなければならない。
【0064】
これに対して、販売システム1のプリンタ68は、どの商品にどのような忌避食材が含まれているのかを判定結果としてレシート7に印刷する。これにより、顧客は、店舗外においても、レシート7を見るだけで、購入した商品に関する忌避食材の有無を容易に確認することができる。
【0065】
さらに、レジ端末装置6は、通信部69を備えており、先述のように、LAN9を介して、店舗サーバ5とデータ通信を行うことが可能である。店舗サーバ5は商品データベースサーバ3にネットワーク8を介して接続可能であるから、結局、レジ端末装置6は店舗サーバ5を介して商品データベースサーバ3に接続可能と言える。
【0066】
以上が、本実施の形態における販売システム1の構成および機能の説明である。
【0067】
次に、販売システム1における精算処理の動作を簡単に説明する。ただし、精算処理が実行されるまでに、販売システム1では、食品テーブル20、出荷商品テーブル30および販売商品テーブルの作成が終了しており、携帯電話4には忌避情報が記憶されているものとする。また、レジ端末装置6は、新たな顧客に対する精算処理が開始できる状態で待機しているものとする。
【0068】
顧客は、自ら購入を希望する商品をレジに持参し、さらに所持している携帯電話4をレジ端末装置6の読取装置64にかざす。販売システム1では、この顧客の動作によって、当該顧客に対する精算処理が開始される。このとき、読取装置64は、携帯電話4に記憶されている忌避情報を、当該携帯電話4から読み取って記憶装置61に記憶させる。
【0069】
次に、レジ担当者は、顧客がレジに持参した商品に添付されている商品ラベル(バーコード)を、商品ごとにバーコードリーダ62に読み取らせる。これにより、レジ端末装置6に商品ごとの店舗内識別番号が入力され、当該商品に含まれる食材の識別コードと販売価格とが店舗サーバ5(販売商品テーブル)から取得される。
【0070】
取得された販売価格は、CPU60によって、順次積算され、例えば、顧客用ディスプレイ65や担当用ディスプレイ66に表示される。
【0071】
商品の販売価格を積算する処理と並行して、CPU60は、当該商品に含まれる食材の識別コードと、忌避情報に含まれる識別コードとを比較し、当該商品に顧客が忌避する食材が含まれているか否かを判定する。
【0072】
例えば、顧客が商品「サバの味噌煮」をレジに持参した場合、販売商品テーブルに登録されている商品「サバの味噌煮」のレコードから、「1002」、「2002」、「3001」、「1000」、「4000」が、サバの味噌煮に含まれる食材の識別コードとして取得される。
【0073】
先述の例のように、忌避情報として、識別コード「1000」が記憶されている場合、当該識別コード「1000」は、販売商品テーブルから取得した商品「サバの味噌煮」に含まれる食材の識別コードに含まれている。したがって、ここに示す例では、CPU60は、当該商品に顧客が忌避する食材が含まれていると判定する。
【0074】
忌避する食材が含まれていると判定した場合のみ、CPU60は、その旨を顧客用ディスプレイ65に警告情報として表示させるとともに、スピーカ67に警告音を再生させる。ただし、スピーカ67が無効に設定されている場合には、警告音の再生はされない。
【0075】
顧客が購入を希望する商品に、当該顧客が忌避する食材が含まれており、レジ端末装置6によって当該顧客に対して警告がされた場合、顧客は忌避食材が含まれていることを承知の上で、当該商品を購入するか否かをさらに判断し、レジ担当者に意思表示を行う。
【0076】
警告された商品の購入を取り消す旨の意思表示があった場合、レジ担当者は当該商品について取消処理を行う。一方、顧客から取り消す旨の意思表示がなければ、そのまま精算処理を継続する。
【0077】
顧客が持参した商品のすべてについて処理が終了すると、レジ担当者は、担当用ディスプレイ66に表示されている合算された金額に応じて、当該顧客に対して購入代金を請求する。これに対して、顧客から代金が支払われると、レジ担当者は操作部63を操作して、精算が終了した旨を入力する。
【0078】
この動作により、プリンタ68がレシート7を印刷し、レジ担当者は発行されたレシート7を顧客に手渡し、当該顧客に対する精算処理を終了する。このとき、プリンタ68は、商品についての警告が行われたにもかかわらず、当該商品についての取消処理が行われなかった場合、その旨を判定結果としてレシート7に印刷する。
【0079】
<2. 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0080】
例えば、上記実施の形態では、顧客が使用する端末装置として携帯電話4を採用すると説明したが、携帯電話4を所持していない顧客用に、専用の端末装置を配布してもよい。
【0081】
また、上記実施の形態では、店舗サーバ5が、通信サーバの機能とデータベースサーバの機能とを兼ね備えているとして説明したが、もちろんこれらのサーバを別々に設けてもよい。すなわち、販売商品テーブルを記憶するサーバを、店舗サーバ5とは別に、LAN9に接続する形態としてもよい。
【0082】
また、上記実施の形態では、プリンタ68が、レシート7に購入商品のリストとともに、忌避食材が含まれているか否かの判定情報を印刷する。しかし、例えば、レシート7に印刷する情報を顧客が持参している携帯端末(例えば携帯電話)に転送して、記憶させるように構成してもよい。携帯電話はレシート7に比べて紛失や破損の危険性が少ないため、判定情報を確実に持ち帰ることが可能となり、利便性が向上する。さらに、この場合、レシート7に印刷される情報のうち、判定情報のみを携帯電話に転送して、情報量を削減してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明に係る販売システムの構成を示す図である。
【図2】食材データベースサーバに記憶される食品テーブルを例示する図である。
【図3】商品データベースサーバに記憶される出荷商品テーブルを例示する図である。
【図4】レジ端末装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0084】
1 販売システム
2 食材データベースサーバ
20 食品テーブル
3 商品データベースサーバ
30 出荷商品テーブル
4 携帯電話
5 店舗サーバ
6 レジ端末装置
60 CPU
61 記憶装置
62 バーコードリーダ
63 操作部
64 読取装置
65 顧客用ディスプレイ
66 担当用ディスプレイ
67 スピーカ
68 プリンタ
69 通信部
7 レシート
8 ネットワーク
9 LAN

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置であって、
ユーザが携帯する端末装置から忌避食材を示す忌避情報を取得する第1情報取得手段と、
前記ユーザが指定した物品に含まれる食材を示す食材情報を取得する第2情報取得手段と、
前記第1情報取得手段により取得された忌避情報と前記第2情報取得手段により取得された食材情報とに基づいて、前記忌避情報に示される忌避食材が前記ユーザが指定した物品に含まれているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
販売システムであって、
食材を個々に識別するための識別情報を記憶する食材データベースサーバと、
商品に含まれる食材を前記商品ごとに前記識別情報に従って記憶する商品データベースサーバと、
ネットワークを介して前記食材データベースサーバに接続することにより忌避食材を示す識別情報を忌避情報として予め取得する端末装置と、
前記商品データベースサーバに接続可能であるとともに、顧客が購入を希望する商品に応じて前記顧客に請求する金額を演算するレジ端末装置と、
を備え、
前記レジ端末装置は、
顧客が携帯する前記端末装置から忌避情報を取得する第1情報取得手段と、
前記顧客が購入を希望する商品に含まれる食材を示す識別情報を食材情報として前記商品データベースサーバから取得する第2情報取得手段と、
前記第1情報取得手段により取得された忌避情報と前記第2情報取得手段により取得された食材情報とに基づいて、前記忌避情報に示される忌避食材が前記顧客が購入を希望する商品に含まれているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする販売システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−64151(P2009−64151A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−230170(P2007−230170)
【出願日】平成19年9月5日(2007.9.5)
【出願人】(397076567)株式会社ベイシア (1)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】