説明

情報処理装置および鍵復元方法

【課題】十分な著作権保護機能を実現でき、且つ修理後も、録画済みの暗号化された放送番組データを復号することが可能な情報処理装置を実現する。
【解決手段】デジタルTVチューナ117は、受信した放送番組データをEEPROM303に格納された暗号化鍵に基づいて暗号化し、その暗号化された放送番組データを出力する。システム基板50上のシステム部は、暗号化された放送番組データをHDD111に格納する処理、HDD111に格納された暗号化された放送番組データをEEPROM303に格納された暗号化鍵に基づいて復号する処理、および復号された放送番組データを再生する処理等を実行する。また、システム基板50上には、EEPROM303に格納された暗号化鍵を復元するための鍵復元データが格納されたEEPROM118が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパーソナルコンピュータのような情報処理装置に関し、特に放送番組データを受信する受信装置を備えた情報処理装置および同装置で用いられる鍵復元方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、DVD(Digital Versatile Disc)プレーヤ、TV装置のようなオーディオ・ビデオ(AV)機器と同様のAV機能を備えたパーソナルコンピュータが開発されている。この種のパーソナルコンピュータの多くは、放送番組データを受信する機能を有している。
【0003】
最近では、放送のデジタル化に伴い、放送番組データの著作権保護を実現するための仕組みの実現が要求されている。
【0004】
特許文献1には、AV(オーディオ・ビデオ)信号を暗号化し、その暗号化されたAV信号をハードディスク装置に格納する機能を有する記録再生装置が開示されている。
【特許文献1】特開2004−220682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、パーソナルコンピュータはオープンなアーキテクチャによって実現されているので、バス上に流れる放送番組データがハッキングされる可能性がある。このため、パーソナルコンピュータにおいては、より強固な著作権保護の機能が必要である。
【0006】
また、放送番組データを受信する機能を有するパーソナルコンピュータの修理においては、通常、チューナボードやシステムボードの交換が行われる。この場合、録画済みの暗号化された放送番組データを復号するための鍵が消失されてしまう可能性がある。
【0007】
本発明は上述の事情を考慮してなされたものであり、十分な著作権保護機能を実現でき、且つ修理後も、録画済みの暗号化された放送番組データを復号することが可能な情報処理装置および鍵復元方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するため、本発明の情報処理装置は、放送番組データを受信するチューナ部と、暗号化鍵を格納する第1の不揮発性メモリと、前記チューナ部によって受信された放送番組データを前記暗号化鍵に基づいて暗号化する暗号化部とを含む受信装置と、前記受信装置に電気的に接続されるシステム基板上に設けられ、前記第1の不揮発性メモリに格納された暗号化鍵を復元するための鍵復元データを格納する第2の不揮発性メモリとを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、十分な著作権保護機能を実現でき、且つ修理後も、録画済みの暗号化された放送番組データを復号することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
まず、図1および図2を参照して、本発明の一実施形態に係る情報処理装置の構成について説明する。この情報処理装置は、例えば、ノートブック型の携帯型パーソナルコンピュータ10として実現されている。
【0011】
図1はノートブック型パーソナルコンピュータ10のディスプレイユニットを開いた状態における斜視図である。本コンピュータ10は、コンピュータ本体11と、ディスプレイユニット12とから構成されている。ディスプレイユニット12には、TFT−LCD(Thin Film Transistor Liquid Crystal Display)17から構成される表示装置が組み込まれており、そのLCD17の表示画面はディスプレイユニット12のほぼ中央に位置されている。
【0012】
ディスプレイユニット12は、コンピュータ本体11に対して開放位置と閉塞位置との間を回動自在に取り付けられている。コンピュータ本体11は薄い箱形の筐体を有しており、その上面にはキーボード13、本コンピュータ10をパワーオン/パワーオフするためのパワーボタン14、入力操作パネル15、タッチパッド16、およびスピーカ18A,18Bなどが配置されている。
【0013】
入力操作パネル15は、押されたボタンに対応するイベントを入力する入力装置であり、複数の機能をそれぞれ起動するための複数のボタンを備えている。これらボタン群には、本コンピュータ10のTV機能を制御するための操作ボタンも含まれている。
【0014】
また、コンピュータ本体11の正面には、本コンピュータ10のTV機能を制御するリモコンユニットとの通信を実行するためのリモコンユニットインタフェース部20が設けられている。リモコンユニットインタフェース部20は、赤外線信号受信部などから構成されている。
【0015】
本コンピュータ10は、地上波デジタルTV放送のようなデジタル放送番組データを受信および再生することができる。コンピュータ本体11の例えば右側面には、地上波デジタルTV放送用のアンテナ端子19が設けられている。また、コンピュータ本体11の例えば背面には、例えばHDMI(high-definition multimedia interface)規格に対応した外部ディスプレイ接続端子が設けられている。この外部ディスプレイ接続端子は、地上波デジタルTV放送のようなデジタル放送番組データに対応したデジタル映像信号を外部ディスプレイに出力するために用いられる。
【0016】
次に、図2を参照して、本コンピュータ10のシステム構成について説明する。
【0017】
本コンピュータ10は、図2に示されているように、CPU101、ノースブリッジ102、主メモリ103、サウスブリッジ104、グラフィクスプロセッシングユニット(GPU)105、ビデオメモリ(VRAM)105A、サウンドコントローラ106、BIOS−ROM109、LANコントローラ110、ハードディスクドライブ(HDD)111、DVDドライブ112、カードコントローラ113、無線LANコントローラ114、IEEE 1394コントローラ115、エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)116、デジタルTVチューナ117、およびEEPROM118等を備えている。
【0018】
これらコンポーネントの内、CPU101、ノースブリッジ102、主メモリ103、サウスブリッジ104、グラフィクスプロセッシングユニット(GPU)105、ビデオメモリ(VRAM)105A、サウンドコントローラ106、BIOS−ROM109、LANコントローラ110、カードコントローラ113、無線LANコントローラ114、IEEE 1394コントローラ115、エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)116、およびEEPROM118等は、コンピュータ本体11内に設けられたシステム基板上に設けられており、システム部として機能する。
【0019】
デジタルTVチューナ117は、システム基板とは独立したユニットとして実現されている。例えば、TVチューナ117は、システム基板とは異なるチューナ基板上に実装されている。TVチューナ117は、暗号化機能を有しており、受信した放送番組データを暗号化してシステム部に出力する。放送番組データの暗号化は、TVチューナ117内に記憶されている暗号化鍵に基づいて実行される。
【0020】
システム部は、デジタルTVチューナ117から出力される暗号化された放送番組データを記憶装置例えばHDD111に格納する処理と、HDD111に格納された暗号化された放送番組データを、デジタルTVチューナ117に格納されている暗号化鍵に基づいて復号する処理と、復号された放送番組データを再生する処理とを実行する。
【0021】
以下、各コンポーネントの機能について説明する。
【0022】
CPU101は本コンピュータ10の動作を制御するプロセッサであり、ハードディスクドライブ(HDD)111から主メモリ103にロードされる、オペレーティングシステム、および各種アプリケーションプログラムを実行する。また、CPU101は、BIOS−ROM109に格納されたシステムBIOS(Basic Input Output System)も実行する。システムBIOSはハードウェア制御のためのプログラムである。また、BIOS−ROM109には、GPU105を制御するためのビデオBIOS(VGA BIOS)も格納されている。
【0023】
ノースブリッジ112はCPU101のローカルバスとサウスブリッジ104との間を接続するブリッジデバイスである。ノースブリッジ102には、主メモリ103をアクセス制御するメモリコントローラも内蔵されている。また、ノースブリッジ102は、PCI EXPRESS規格のシリアルバスなどを介してGPU105との通信を実行する機能も有している。
【0024】
GPU105は、本コンピュータ10のディスプレイモニタとして使用されるLCD17を制御する表示コントローラである。このGPU105によって生成される表示信号はLCD17に送られる。また、GPU105は、HDMI制御回路3、およびHDMI端子2を介して、外部ディスプレイ装置1にデジタル映像信号を送出することもできる。
【0025】
HDMI端子2は上述の外部ディスプレイ接続端子である。HDMI端子2は、デジタル映像信号とデジタルオーディオ信号とを一本のケーブルでテレビのような外部ディスプレイ装置1に送出することができる。
【0026】
HDMI制御回路3は、HDMIモニタと称される外部ディスプレイ装置1にデジタル映像信号をHDMI端子2を介して送出するためのインタフェースである。このHDMI制御回路3は、HDCP(High-bandwidth Digital Content Protection System)のようなコンテンツ保護機能を有している。HDMI制御回路3は、HDMI端子2に接続された外部ディスプレイ装置1がHDCPのようなコンテンツ保護機能に対応した正当なデバイスであるか否かを判別するための認証処理を実行し、外部ディスプレイ装置1が正当なデバイスであることが判別された場合にのみデジタル映像信号を出力する。これによって、セキュアな状態で、放送番組データのようなデジタル映像信号を外部に出力することができる。
【0027】
サウスブリッジ104は、LPC(Low Pin Count)バス上の各デバイス、およびPCI(Peripheral Component Interconnect)バス上の各デバイスを制御する。また、サウスブリッジ104は、ハードディスクドライブ(HDD)111およびDVDドライブ112を制御するためのIDE(Integrated Drive Electronics)コントローラを内蔵している。さらに、サウスブリッジ104は、サウンドコントローラ106との通信を実行する機能も有している。
【0028】
サウンドコントローラ106は音源デバイスであり、再生対象のオーディオデータをスピーカ18A,18BまたはHDMI制御回路3に出力する。
【0029】
カードコントローラ113は、PCカード、SD(Secure Digital)カードのようなカードデバイスを制御する。無線LANコントローラ114は、たとえばIEEE 802.11規格の無線通信を実行する無線通信デバイスである。IEEE 1394コントローラ115は、IEEE 1394規格のシリアルバスを介して外部機器との通信を実行する。
【0030】
エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)116は、電力管理のためのエンベデッドコントローラと、キーボード(KB)13およびタッチパッド16を制御するためのキーボードコントローラとが集積された1チップマイクロコンピュータである。このエンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)116は、ユーザによるパワーボタン14の操作に応じて本コンピュータ10をパワーオン/パワーオフする機能を有している。さらに、エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)116は、リモコンユニットインタフェース20との通信を実行する機能を有している。
【0031】
デジタルTVチューナ117は地上波デジタルTV放送のようなデジタル放送番組を受信する受信装置であり、アンテナ端子19に接続されている。このデジタルTVチューナ117は、チューナ回路201、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)復調器202、および著作権保護LSI203を備えている。
【0032】
地上波デジタルTV放送においては、各放送番組データ(ビデオ、オーディオ)に対する圧縮符号化方式としてMPEG2が利用されている。また、映像フォーマットとしては、標準解像度のSD(Standard Definition)と高解像度のHD(High Definition)を使用することができる。
【0033】
チューナ回路201およびOFDM復調器202は、放送番組データを受信するチューナ部として機能する。チューナ回路201は、アンテナ端子19から入力されるTV放送信号の中から特定チャネルのTV放送信号を受信する。OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)復調器202は、チューナ回路201によって受信されたTV放送信号を復調して、そのTV放送信号からトランスポートストリーム(TS)を取り出す。トランスポートストリームは、圧縮符号化された複数の放送番組データを多重化したストリームである。トランスポートストリームには、暗号化された放送番組データ(ビデオ、オーディオ)が含まれている。
【0034】
著作権保護LSI203は、暗号化された放送番組データを復号する処理と、復号された放送番組データを再度暗号化し、その暗号化された放送番組データをシステム部に出力する処理とを実行する。
【0035】
暗号化された放送番組データの復号は、例えば、コンピュータ本体11に装着されているB−CASカード204を用いて実行される。B−CASカード204は、暗号化された放送番組データを復号するための情報(鍵、認証情報、契約情報等)を格納したICカードである。著作権保護LSI203は、B−CASカード204に格納された情報を用いて暗号化された放送番組データを復号する。また、著作権保護LSI203は、ローカルな暗号化鍵を有しており、その暗号化鍵に基づいて放送番組データを再度暗号化する。暗号化された放送番組データは、PCIバスを介してシステム部に送られる。
【0036】
システム部のCPU101は、デジタルTVチューナ117から送信される、暗号化された放送番組データを、デジタルTVチューナ117に格納されている暗号化鍵に基づいて復号する。またCPU101は、デジタルTVチューナ117から送信される、暗号化された放送番組データを、HDD111に格納する録画処理を実行することもできる。この場合、暗号化された放送番組データは、暗号化されたままの状態でHDD111に格納される。HDD111に格納された、暗号化された放送番組データを再生する時、CPU101は、デデジタルTVチューナ117に格納されている暗号化鍵に基づいて、暗号化された放送番組データを復号する。
【0037】
このように、暗号化鍵はデジタルTVチューナ117内で管理されている。デジタルTVチューナ117は、システム部に比してセキュアである。このため、暗号化鍵をハッキングから保護することができる。
【0038】
ところで、もし本コンピュータ10が故障した場合、保守サービスセンタの作業員は、専用の解析ツール等を用いて、故障箇所を特定する。デジタルTVチューナ117に障害が発生していることが検出されたならば、保守サービスセンタの作業員は、デジタルTVチューナ117を新たなデジタルTVチューナ117に交換する作業を行う。この場合、既にHDD111に格納されている、暗号化された放送番組データを復号するための暗号化データは、消失されてしまう。この場合、HDD111に格納されている、暗号化された放送番組データを正常に再生することはできなくなる。
【0039】
そこで、本実施形態においては、システム部にはEEPROM118が設けられている。EEPROM118は、鍵復元データを格納した不揮発性メモリである。鍵復元データは、デジタルTVチューナ117に格納された暗号化鍵を復元するためのデータである。この鍵復元データに対して特定の演算を施すことにより、オリジナルの鍵復元データを復元することができる。オリジナルの鍵復元データを復元するための演算方法は非公開である。鍵復元データとしては、例えば、暗号化鍵を生成する途中過程で生成されるデータ(中間成果物)を用いることができる。
【0040】
サービスセンタにおいては、特定のツール(ソフトウェア)によって鍵復元データから暗号化鍵が生成され、その生成された暗号化鍵が新たなデジタルTVチューナ117に格納される。これにより、故障したデジタルTVチューナ117と新たなデジタルTVチューナ117とは同一の暗号化鍵を持つことになる。よって、新たなデジタルTVチューナ117が接続されたシステム部は、その新たなデジタルTVチューナ117から暗号化鍵を取得することにより、既にHDD111に格納されている、暗号化された放送番組データを復号することが可能となる。
【0041】
図3は、デジタルTVチューナ117の構成例が示されている。
【0042】
システム基板50上には、上述のシステム部が実装されている。図3においては、システム部を構成するコンポーネント群の代表として、CPU101、BIOS−ROM109、およびEEPROM118だけが示されている。
【0043】
デジタルTVチューナ117は、システム基板50上に設けられたバススロット51を介してシステム部に電気的に接続される。すなわち、デジタルTVチューナ117は、システム基板50上に設けられたバススロット51に取り外し可能に接続されるチューナ基板上に実装されている。このチューナ基板は、例えば、MiniPCIボードから実現されている。
【0044】
デジタルTVチューナ117は、上述のチューナ回路201、OFDM復調器202、および著作権保護LSI203に加え、PCIインタフェース部204を備えている。PCIインタフェース部204は、バススロット51およびPCIバスを介して、システム部との通信を実行する。
【0045】
著作権保護LSI203は、B−CAS制御部301、暗号化部302、およびEEPROM303を備えている。EEPROM303は、上述の暗号化鍵を格納する不揮発性メモリである。また、EEPROM303には、システム基板50上のEEPROM118に格納された鍵復元データをバックアップするために、EEPROM118に格納された鍵復元データと同じ鍵復元データも格納されている。
【0046】
B−CAS制御部301は、受信された暗号化されている放送番組データを、B−CASカード204に格納された情報を用いて復号する。暗号化部203は、復号された放送番組データを、EEPROM303に格納されている暗号化鍵に基づいて暗号化する。
【0047】
次に、図4を参照して、CPU101によって実行される再生ソフトウェアの機能構成を説明する。
【0048】
再生ソフトウェアは、デジタルTVチューナ117によって受信された放送番組データを記録および再生を実行するためのアプリケーションプログラムである。この再生ソフトウェアは、その機能実行モジュールとして、録画処理部60、暗号鍵取得部61、復号部62、および再生部63を備えている。
【0049】
録画処理部60は、デジタルTVチューナ117から送信される暗号化された放送番組データをHDD111に格納する録画処理を実行する。暗号鍵取得部61は、デジタルTVチューナ117との通信を実行して、デジタルTVチューナ117から暗号化鍵を取得する。復号部62は、デジタルTVチューナ117から送信される暗号化された放送番組データ、またはHDD111から読み出される暗号化された放送番組データを、暗号鍵取得部61によって取得された暗号化鍵に基づいて復号する。再生部63は、復号された放送番組データを再生する再生処理を実行する。この再生処理においては、復号された放送番組データはオーディオデータとビデオデータとに分離される。そして、オーディオデータはサウンドコントローラ106に送られ、ビデオデータはGPU105に送られる。
【0050】
図5には、デジタルTVチューナ117に格納されている暗号化鍵が復元される様子が示されている。
【0051】
上述したように、デジタルTVチューナ117が故障し、その故障したデジタルTVチューナ117が新たなデジタルTVチューナと交換された場合には、HDD111に既に格納されている放送番組データの復号に必要な暗号化鍵が失われてしまう。しかし、本実施形態においては、鍵復元データを格納したEEPROM118がシステム基板50上に設けられている。このため、故障したデジタルTVチューナ117が新たなデジタルTVチューナと交換された場合であっても、故障したデジタルTVチューナ117に格納されていた暗号化鍵を鍵復元データから復元し、その復元された暗号化鍵を、新たなデジタルTVチューナ内のEEPROM303に格納することができる。
【0052】
また、上述したように、デジタルTVチューナ117のEEPROM303には、暗号化鍵のみならず、鍵復元データを格納しておくことも可能である。コンピュータ10が故障した場合、システム基板50が新たなシステム基板に交換される場合もある。この場合、デジタルTVチューナ117の暗号化鍵を復元するための鍵復元データは消失されてしまう。しかし、デジタルTVチューナ117のEEPROM303には鍵復元データが格納されているので、図6に示すように、この鍵復元データをEEPROM303から読み出して、新たシステム基板上のEEPROM118に書き込むことが可能となる。これにより、後にデジタルTVチューナ117が故障しても、暗号化鍵を復元することが可能となる。
【0053】
次に、図7のフローチャートを参照して、暗号化鍵および鍵復元データをデジタルTVチューナ117およびシステム部に格納する鍵格納処理について説明する。この鍵格納処理は、例えば、本コンピュータ10が組み立てられてから出荷されるまでの期間中に、メーカの工場内で専用のツール(鍵格納ソフトウェア)を用いて実行される。
【0054】
この鍵格納ソフトウェアはコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介して本コンピュータ10にインストールされる。CPU101はそのソフトウェアを実行することによって、以下の手順を実行する。
【0055】
まず、CPU101は、鍵復元データを生成する(ステップS11)。鍵復元データは、暗号化鍵を生成するための演算処理の途中過程で中間成果物として得られるデータである。すなわち、本コンピュータ10を一意に識別するID等に所定の関数を適用すること等によって、暗号化鍵を生成するための演算処理を実行する。この演算処理の途中の過程で、鍵復元データが生成される。
【0056】
CPU101は、システム基板50に接続されたデジタルTVチューナ117をPCIバスを介してアクセスして、鍵復元データをデジタルTVチューナ117のEEPROM303に格納する(ステップS12)。また、CPU101は、システム基板50上のEEPROM118をアクセスして、鍵復元データをEEPROM118に格納する(ステップS13)。
【0057】
この後、CPU101は、鍵復元データに対してさらに所定の演算を施すことによって、本コンピュータ10に固有の暗号化鍵を生成する(ステップS14)。そして、CPU101は、デジタルTVチューナ117をPCIバスを介してアクセスして、暗号化鍵をデジタルTVチューナ117のEEPROM303に格納する(ステップS15)。
【0058】
なお、上述の鍵格納処理は、本コンピュータ10の出荷後に実行してもよい。この場合、本コンピュータ10は、上述の鍵格納ソフトウェアがHDD111にプリインストールされた状態で出荷される。そして、例えばオペレーティングシステムの最初のセットアップ時等に、上述の鍵格納処理が自動実行される。
【0059】
次に、図8のフローチャートを参照して、故障したデジタルTVチューナ117の交換時に実行される鍵復元処理の手順を説明する。この鍵格納処理は、故障したデジタルTVチューナ117が新たなデジタルTVチューナに交換された後に、保守サービスセンタ内で専用のツール(鍵復元ソフトウェア)を用いて実行される。
【0060】
この鍵復元ソフトウェアはコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介して本コンピュータ10にインストールされる。CPU101はそのソフトウェアを実行することによって、以下の手順を実行する。
【0061】
CPU101は、まず、システム基板50上のEEPROM118から鍵復元データを読み出し、そしてその鍵復元データに対して所定の演算を施すことにより、本コンピュータ10に固有の暗号化鍵を生成する(ステップS21)。この暗号化鍵は、故障したデジタルTVチューナ117に格納されている暗号化鍵と同じ内容である。
【0062】
次いで、CPU101は、システム基板50に接続された新たなデジタルTVチューナ117をPCIバスを介してアクセスして、暗号化鍵を新たなデジタルTVチューナ117のEEPROM303に格納する(ステップS22)。さらに、CPU101は、システム基板50に接続された新たなデジタルTVチューナ117をPCIバスを介してアクセスして、システム基板50上のEEPROM118に格納されている鍵復元データを新たなデジタルTVチューナ117のEEPROM303に格納する(ステップS23)。
【0063】
次に、図9のフローチャートを参照して、故障したシステム基板50の交換時に実行される鍵復元データコピー処理の手順を説明する。この鍵復元データコピー処理は、故障したシステム基板50が新たなシステム基板に交換された後に、保守サービスセンタ内で専用のツール(鍵復元データコピーソフトウェア)を用いて実行される。
【0064】
この鍵復元データコピーソフトウェアはコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介して本コンピュータ10にインストールされる。CPU101はそのソフトウェアを実行することによって、以下の手順を実行する。
【0065】
CPU101は、システム基板50に接続されたデジタルTVチューナ117をPCIバスを介してアクセスしてデジタルTVチューナ117のEEPROM303から鍵復元データをリードし、そのリードした鍵復元データを、新たなシステム基板50上のEEPROM118に格納する(ステップS31)。
【0066】
以上のように、本実施形態においては、デジタルTVチューナ117は暗号化された放送番組データを出力する。このため、たとえPCIバス上に流れる放送番組データがハッキングされても、その放送番組データを正常に再生することはできない。また、システム基板上50には、鍵復元データを格納したEEPROM118が設けられているので、デジタルTVチューナ117が新たなデジタルTVチューナに交換された後も、オリジナルの鍵復元データを復元することができる。よって、デジタルTVチューナの交換後においても、録画済みの暗号化された放送番組データを正しく復号することが可能となる。
【0067】
また、EEPROM118に格納されている鍵復元データは暗号鍵そのものではないので、たとえEEPROM118の鍵復元データがハッキングされても、暗号鍵自体が盗まれることはない。
【0068】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置の概観を示す斜視図。
【図2】同実施形態に係る情報処理装置のシステム構成の例を示すブロック図。
【図3】同実施形態に係る情報処理装置に設けられた受信装置の構成の例を示すブロック図。
【図4】同実施形態に係る情報処理装置によって実行されるソフトウェアの構成の例を示す図。
【図5】同実施形態に係る情報処理装置によって実行される鍵復元処理の動作を説明するための図。
【図6】同実施形態に係る情報処理装置によって実行される鍵復元データコピー処理の動作を説明するための図。
【図7】同実施形態に係る情報処理装置によって実行される鍵格納処理の手順の例を示すフローチャート。
【図8】同実施形態に係る情報処理装置によって実行される鍵復元処理の手順の例を示すフローチャート。
【図9】同実施形態に係る情報処理装置によって実行される鍵復元データコピー処理の手順の例を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0070】
10…コンピュータ、101…CPU、105…GPU、106…サウンドコントローラ、111…HDD、117…デジタルTVチューナ、118…EEPROM、201…チューナ回路、202…OFDM…復調器、203…著作権保護LSI、203…暗号化部、303…EEPROM。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送番組データを受信するチューナ部と、暗号化鍵を格納する第1の不揮発性メモリと、前記チューナ部によって受信された放送番組データを前記暗号化鍵に基づいて暗号化する暗号化部とを含む受信装置と、
前記受信装置に電気的に接続されるシステム基板上に設けられ、前記第1の不揮発性メモリに格納された暗号化鍵を復元するための鍵復元データを格納する第2の不揮発性メモリとを具備することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記受信装置は、前記システム基板上に設けられたバススロットに取り外し可能に接続されるチューナ基板上に設けられていることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記鍵復元データは、前記暗号化鍵を生成する途中過程で生成されるデータであることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1の不揮発性メモリは、前記暗号化鍵と、前記鍵復元データとを格納していることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項5】
本体と、
前記本体内に設けられたシステム基板と、
前記システム基板上に設けられたバススロットに取り外し可能に接続されるチューナ基板上に設けられた受信装置であって、放送番組データを受信するチューナ部と、暗号化鍵を格納する第1の不揮発性メモリと、前記チューナ部によって受信された放送番組データを前記暗号化鍵に基づいて暗号化し、暗号化された放送番組データを出力する暗号化部とを含む受信装置と、
前記システム基板上に搭載され、前記受信装置から出力される暗号化された放送番組データを記憶装置に格納する処理と、前記記憶装置に格納された前記暗号化された放送番組データを、前記第1の不揮発性メモリに格納された前記暗号化鍵に基づいて復号する処理と、前記復号された放送番組データを再生する処理とを実行するシステム部と、
前記システム基板上に設けられ、前記第1の不揮発性メモリに格納された暗号化鍵を復元するための鍵復元データであって、前記暗号化鍵を生成する途中過程で生成されるデータから構成される鍵復元データを格納する第2の不揮発性メモリとを具備することを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
前記第1の不揮発性メモリは、前記暗号化鍵と、前記鍵復元データとを格納していることを特徴とする請求項5記載の情報処理装置。
【請求項7】
放送番組データを受信するチューナ部と、暗号化鍵を格納する第1の不揮発性メモリと、前記チューナ部によって受信された放送番組データを前記暗号化鍵に基づいて暗号化し、暗号化された放送番組データを出力する暗号化部とを含む受信装置とを含む情報処理装置に適用される鍵復元方法であって、
前記第1の不揮発性メモリに格納された暗号化鍵を復元するための鍵復元データを前記受信装置に電気的に接続されるシステム基板上に設けられた第2の不揮発性メモリに格納する処理を、前記情報処理装置に実行させるステップと、
前記受信装置が新たな受信装置に交換された後、前記第2の不揮発性メモリに格納されている鍵復元データを用いて前記暗号化鍵を復元して当該復元された暗号化鍵を前記新たな受信装置内の第1の不揮発性メモリに格納する処理を前記情報処理装置に実行させるステップとを具備することを特徴とする鍵復元方法。
【請求項8】
前記受信装置は、前記システム基板上に設けられたバススロットに取り外し可能に接続されるチューナ基板上に設けられていることを特徴とする請求項7記載の鍵復元方法。
【請求項9】
前記鍵復元データは、前記暗号化鍵を生成する途中過程で生成されるデータであることを特徴とする請求項7記載の鍵復元方法。
【請求項10】
前記第1の不揮発性メモリは、前記暗号化鍵と、前記鍵復元データとを格納しおり、
前記システム基板が新たなシステム基板に交換された後、前記第1の不揮発性メモリに格納されている前記鍵復元データをリードして、前記新たなシステム基板に設けられた第2の不揮発性メモリに格納する処理を前記情報処理装置に実行させるステップとをさらに具備することを特徴とする請求項7記載の鍵復元方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−195110(P2007−195110A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−13721(P2006−13721)
【出願日】平成18年1月23日(2006.1.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】