説明

情報処理装置及び情報処理システム

【課題】セキュリティ性を保ちつつ、利便性を向上させることができる情報処理装置を提供する。
【解決手段】PC(情報処理装置)10は、文字や図形を表示するモニタ11と、IDカードや他カードの内容を読み取るICカードリーダ12と、文字情報などを入力するキーボード13と、小型の入力装置としてのマウス14と、キーボード13やマウス14のボタンの押下を検知する検知部15と、第1及び第2の所定の時間を測定するタイマ部16と、PC10全体を制御している制御部17と、IDカードで認証されたときにこのPC10を使用可能とし、認証が解除されたときにこのPC10を使用不可能とし、認証が解除されたときでも、所定の条件を満たした場合には、このPC10を使用可能とする使用許可制御部18と、モニタ11に使用可否の選択画面を表示させる表示制御部19などとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PC(パーソナルコンピュータ)などの情報処理装置及び情報処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来のログインシステムを説明する図である。
従来、ICカードを使用したログインシステムでは、PCに接続されたICカードリーダにICカードを挿入し、PIN認証に成功するとシステムにログインでき、ICカードを抜き取ると、一時的にPCがロックするように実装されることが多い(例えば、特許文献1)。
具体的には、システム利用時にICカードを抜き取ると、図4に示すような画面が自動的にモニタに表示され、ICカードを再び挿入するまではシステムがロックされて、利用できなくなるのが一般的である。
【0003】
このようなログインシステムでは、ログインシステムとは無関係な電子マネーやその他の認証用のカード(以下「他カード」という。)は、ログイン用のカード(以下「IDカード」という。)を抜き取ると、PCがロックされてしまうことから使用することができない。
そこで、他カードを利用するために、複数のICカードリーダをPCに装着することも考えられるが、このような解決策は、コスト面やセキュリティ面から得策ではない。
たとえ、複数のICカードリーダをPCに装着したとしても、どのリーダが認証を行えばよいかなどといった処理が複雑化してしまう。
【特許文献1】特開2002−222174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、セキュリティ性を保ちつつ、利便性を向上させることができる情報処理装置及び情報処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施例に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1の発明は、認証媒体で認証されたときにこの情報処理装置(10)を使用可能とし、前記認証が解除されたときにこの情報処理装置(10)を使用不可能とする使用許可制御部(18)を備える情報処理装置であって、前記使用許可制御部(18)は、前記認証が解除されたときでも、所定の条件を満たした場合には、この情報処理装置(10)を使用可能とすること、を特徴とする情報処理装置である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、表示部(11)と、前記表示部(11)に使用可否の選択画面を表示させる表示制御部(19)とを備え、前記所定の条件は、前記選択画面にて使用可が選択された場合であること、を特徴とする情報処理装置である。
請求項3の発明は、請求項2に記載の情報処理装置において、前記表示制御部(19)は、前記使用可能状態で利用する利用媒体の利用が終了したときに、前記選択画面を表示させること、を特徴とする情報処理装置である。
請求項4の発明は、請求項2又は請求項3に記載の情報処理装置において、第1の所定の時間をカウントする第1のタイマ部(16−1)を備え、前記使用許可制御部(18)は、前記表示制御部(19)が前記選択画面を表示させたときに、前記第1のタイマ部(16−1)を起動させ、前記第1の所定の時間が経過したときに、この情報処理装置(10)を使用不可能とすること、を特徴とする情報処理装置である。
請求項5の発明は、請求項4に記載の情報処理装置において、前記表示制御部(19)は、前記第1の所定の時間が満了するまでの時間を前記表示部(11)に表示させること、を特徴とする情報処理装置である。
請求項6の発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、ボタン部(13、14)と、前記ボタン部(13、14)の押下を検知する検知部(15)とを備え、前記所定の条件は、前記検知部(15)が前記ボタン部(13、14)の押下を検知しているときに、前記認証が解除された場合であること、を特徴とする情報処理装置である。
請求項7の発明は、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の情報処理装置において、第2の所定の時間をカウントする第2のタイマ部(16−2)を備え、前記使用許可制御部(18)は、この情報処理装置(10)を使用可能としたときに、前記第2のタイマ部(16−2)を起動させ、前記第2の所定の時間が経過したときに、この情報処理装置(10)を使用不可能とすること、を特徴とする情報処理装置である。
請求項8の発明は、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の情報処理装置(10)を少なくとも1つ含む情報処理システムである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、認証が解除されたときでも、所定の条件を満たした場合には、この情報処理装置を使用することができるので、利便性が向上する。
また、選択画面を表示させることによって、利用者が使用の可否を選択できるので、セキュリティ性を保ちつつ、利便性も向上させることができる。
さらに、利用者は、ボタン部の押下の有無によって、簡単に使用の可否を選択できる。
一方、タイマ部によって、使用可能な状態を所定の時間に限ることで、利便性の向上に伴うセキュリティの低下を回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、セキュリティ性を保ちつつ、利便性を向上させることができる情報処理装置を提供するという目的を、IDカードが抜き取られたときに、PCのロックの可否を選択できる選択画面をモニタに表示することにより実現する。
【実施例】
【0008】
以下、図面等を参照して、本発明の実施例について、さらに詳しく説明する。
図1は、本発明による情報処理装置の実施例を示すブロック図である。
本実施例のPC(情報処理装置)10は、モニタ(表示部)11と、ICカードリーダ12と、キーボード(ボタン部)13と、マウス(ボタン部)14と、検知部15と、タイマ部16と、制御部17などとを備える。
【0009】
モニタ11は、文字や図形などを表示する装置である。
ICカードリーダ12は、IDカード(認証媒体)や他カード(利用媒体)の内容を読み取る装置である。
【0010】
キーボード13は、複数のボタンを備え、PC10に文字情報などを入力する装置である。
マウス14は、表にボタンが、裏にボールがついた小型の入力装置である。なお、マウス14は、光学式マウスやワイヤレスマウスなどであってもよい。
検知部15は、キーボード13やマウス14のボタンの押下を検知する部分であり、いずれのボタンが押下されたかを判断することができる。
【0011】
タイマ部16は、所定の時間を測定する部分であり、第1の所定の時間T1(例えば10秒)をカウントする第1のタイマ部16−1と、第2の所定の時間T2(例えば3分)をカウントする第2のタイマ部16−2とを備える。
【0012】
制御部17は、PC10全体を制御している部分であり、使用許可制御部18と、表示制御部19とを備える。
使用許可制御部18は、IDカードで認証されたときにこのPC10を使用可能とし、認証が解除されたときにこのPC10を使用不可能とする部分である。
また、使用許可制御部18は、認証が解除されたときでも、所定の条件(詳細は後述)を満たした場合には、このPC10を使用可能とする。
表示制御部19は、モニタ11に使用可否の選択画面などを表示させる部分である。
【0013】
次に、図1を参照しながら、図2及び図3を用いて、PC10の動作を説明する。
図2は、本実施例によるPC10の各状態を示す状態図であり、図3は、モニタに表示される画像を示す図である。
図2の状態Aにおいて、PC10は、ログアウト中の状態(PC10が使用不可能な状態)である。
この状態で、ICカードリーダ12にIDカードを挿入し、認証に成功すると、PC10は、状態Cのログイン中の状態となる。
【0014】
そして、IDカードを抜き取ると、図3に示すように、「ロックしますか?/あと**秒でロックします.../『はい』『いいえ』」などといった選択画面がモニタ11に表示される。
このとき、使用許可制御部18は、第1のタイマ部16−1を起動させ、表示制御部19は、選択画面に、第1の所定の時間T1が満了するまでの時間をカウントダウン表示させる。
【0015】
ここで、キーボード13やマウス14によって、「はい」が押下されると、PC10は即時ロックされ、状態Aのログアウト中の状態に戻る。
一方、「いいえ」が押下(選択画面にて使用可が選択:所定の条件)されると、PC10はロックされず、継続して使用可能となり、状態Bのログイン中の状態となる。
この場合(状態Cで「いいえ」が押下されてPC10を使用可能とした場合)には、使用許可制御部18は、第2のタイマ部16−2を起動させる。
これにより、「はい」又は「いいえ」のいずれも選択されない場合であっても、第1の所定の時間T1が経過すると、使用許可制御部18によってPC10がロックされ、状態Aのログアウト中の状態に戻る。
【0016】
状態Bでは、IDカードがなくても、そのまま他カードを使用することができる。
そして、状態Bにおいて、他カードの利用が終了し、その他カードを抜き取ると、表示制御部19は、再び、図3に示すような選択画面をモニタ11に表示させる。
ここで、「はい」が押下された場合には、状態Aに戻り、「いいえ」が押下された場合には、状態Bのままとなる。
また、状態Bの状態で、第2の所定の時間T2が経過すると、使用許可制御部18は、このPC10を強制的に状態Aの状態に移行させ、使用不可能な状態とする。
【0017】
このように、本実施例によれば、以下のような効果がある。
(1)IDカードが抜き取られたときでも、PC10をロックしないように選択した場合には、PC10を継続して使用することができるので、他カードが利用できるようになり、利便性が向上する。
(2)選択画面の表示により、PC10をロックするか否かを利用者が選択することができるので、セキュリティ性を保ちつつ、利便性も向上させることができる。
【0018】
(3)IDカード抜き取り後に、「はい」又は「いいえ」ボタンを押し忘れて離席することによって、他者にPC10を不正に利用される可能性もあるが、いずれのボタンも押されない場合には、予め決められた時間(T1)だけ経過した後に、自動的にPC10がロックするので、セキュリティ性を保つことができる。
(4)IDカードなしでログイン中(図2の状態B)に、予め決められた時間(T2)が経過した場合には、自動的にPC10がロックするので、IDカードがない状態でのログイン中に離席することによって、他者に不正にPC10が利用される危険性に対処することができる。
【0019】
(5)離席時に他カードを抜き忘れることで、PC10を不正利用される可能性も残されるが、この可能性も第2の所定の時間T2を設定することで回避することができる。
(6)第1の所定の時間T1が満了するまでの時間が表示されるので、ロックされるまでの時間が明確に分かり、作業性が向上する。
(7)他カードの利用が終了した段階でも、選択画面が表示されるので、利便性をより向上させることができる。
【0020】
(変形例)
以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
(1)例えば、所定の条件は、キーボード13の所定のボタン(シフトキーなど)や、マウス14の所定のボタンの押下を検知部15が検知しているときに、IDカードが抜き取られた場合としてもよい。このようにすれば、利用者は、所定のボタンの押下の有無によって、簡単に使用の可否を選択できる。
(2)所定の条件は、単純に、「所定の時間が経過するまで」としてもよい。このようにすれば、制御が簡素化される。
【0021】
(3)情報処理装置は、PCの例で説明したが、本発明の適用は、PCに限定されるものではなく、例えば、個人用の携帯情報端末(PDAなど)や携帯電話機に適用してもよい。
(4)上述した情報処理装置を少なくとも1つ含むログインシステム(情報処理システム)としてもよい。このようにすれば、複数の情報処理装置がネットワーク接続されたシステムであっても、システム全体として、セキュリティ性を保ちながら、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による情報処理装置の実施例を示すブロック図である。
【図2】本実施例によるPC10の各状態を示す状態図である。
【図3】モニタに表示される画像を示す図である。
【図4】従来のログインシステムを説明する図である。
【符号の説明】
【0023】
10 PC(情報処理装置)
11 モニタ(表示部)
12 ICカードリーダ
13 キーボード(ボタン部)
14 マウス(ボタン部)
15 検知部
16 タイマ部
16−1 第1のタイマ部
16−2 第2のタイマ部
17 制御部
18 使用許可制御部
19 表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証媒体で認証されたときにこの情報処理装置を使用可能とし、前記認証が解除されたときにこの情報処理装置を使用不可能とする使用許可制御部を備える情報処理装置であって、
前記使用許可制御部は、前記認証が解除されたときでも、所定の条件を満たした場合には、この情報処理装置を使用可能とすること、
を特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
表示部と、
前記表示部に使用可否の選択画面を表示させる表示制御部とを備え、
前記所定の条件は、前記選択画面にて使用可が選択された場合であること、
を特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理装置において、
前記表示制御部は、前記使用可能状態で利用する利用媒体の利用が終了したときに、前記選択画面を表示させること、
を特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の情報処理装置において、
第1の所定の時間をカウントする第1のタイマ部を備え、
前記使用許可制御部は、前記表示制御部が前記選択画面を表示させたときに、前記第1のタイマ部を起動させ、前記第1の所定の時間が経過したときに、この情報処理装置を使用不可能とすること、
を特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理装置において、
前記表示制御部は、前記第1の所定の時間が満了するまでの時間を前記表示部に表示させること、
を特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の情報処理装置において、
ボタン部と、
前記ボタン部の押下を検知する検知部とを備え、
前記所定の条件は、前記検知部が前記ボタン部の押下を検知しているときに、前記認証が解除された場合であること、
を特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の情報処理装置において、
第2の所定の時間をカウントする第2のタイマ部を備え、
前記使用許可制御部は、この情報処理装置を使用可能としたときに、前記第2のタイマ部を起動させ、前記第2の所定の時間が経過したときに、この情報処理装置を使用不可能とすること、
を特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の情報処理装置を少なくとも1つ含む情報処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−128277(P2007−128277A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−320328(P2005−320328)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】