説明

情報処理装置及び情報処理方法

【課題】エラー状態になった記憶装置を正常な状態に復帰させることができる情報処理装置及び情報処理方法を提供する。
【解決手段】液晶表示装置11は、メモリーカード20から画像ファイルの読み出し又は転送を行なう旨の制御指令を出力する画像再生制御装置13を備えている。この画像再生制御装置13は、制御指令が出力されてからの経過時間が予め設定された経過時間閾値以上になっても、制御指令に対する応答信号を出力しない、又は制御指令に対応した処理を完了しないエラー状態の記憶装置が検出された場合に、該エラー状態の記憶装置に対してリセット信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリーカードなどの記憶装置の間で各種情報の入出力が可能な情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の情報処理装置には、CPUなどで構成される制御部(制御手段)、内蔵されるハードディスクなどの第1の記憶装置、及びメモリーカードなどの第2の記憶装置が装着されるカードスロットなどが設けられている。こうした情報処理装置において電源が投入された場合、制御部からは第1の記憶装置及びカードスロットにリセット信号が入力され、該第1の記憶装置及びカードスロットは、それぞれ初期化処理を実行する。その後、第1の記憶装置及びカードスロットは、制御部からの制御指令に応じた各処理をそれぞれ行なう。
【0003】
ところで、情報処理装置では、ユーザーによる操作によって、カードスロットに装着された第2の記憶装置に記憶される記憶情報(例えば画像情報)を第1の記憶装置にコピー又は移動させることがある。この場合、情報処理装置の制御部は、第2の記憶装置から所望の記憶情報を読み出し、該読み出した情報を第1の記憶装置側に転送する。こうした処理中に外乱(例えば静電気)などが各記憶装置の少なくとも一方に加わると、第2の記憶装置からの記憶情報の読み出しや第1の記憶装置への記憶情報の転送が不能となるエラー状態になることがある。なお、外乱などによってエラー状態になった記憶装置のことを、「エラー記憶装置」ということもある。こうした場合、情報処理装置の電源をユーザーが一旦切った後に再び投入することにより、情報処理装置全体で初期化処理が行なわれ、エラー記憶装置が正常な状態に復帰していた。
【0004】
ところが、エラー記憶装置が検出される毎に、電源をユーザーに操作させることは、情報処理装置全体を再起動させるため、エラー記憶装置を正常な状態に復帰させるために非常に時間がかかる問題があった。そこで、近年では、エラー記憶装置を正常な状態に復帰させる方法として、例えば特許文献1に記載の解決方法が提案されている。
【0005】
すなわち、この解決方法は、制御部に電気的に接続される各記憶装置の中からエラー記憶装置が検出された場合、該エラー記憶装置を論理的に制御部から切り離した後、エラー記憶装置への電力供給を一時的に停止させ、その後、電力供給を再開させる方法である。その結果、エラー記憶装置では、電力の再供給によって初期化処理が自動的に行なわれ、エラー記憶装置が正常な状態に復帰するようになっていた。なお、正常な他の記憶装置では、論理的な制御部からの切り離し、及び電力供給の一時的な停止が行なわれないため、初期化処理が行なわれない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−204238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、外乱などによってエラー状態になったエラー記憶装置は、制御部からの制御指令などの各種信号に対して応答ができないことがある。こうした場合、制御部は、エラー記憶装置を論理的に切り離すことができない。したがって、上記特許文献1の解決方法では、エラー記憶装置からの応答が制御部に入力されない場合に、エラー記憶装置を正常に復帰させることができない場合があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、エラー状態になった記憶装置を正常な状態に復帰させることができる情報処理装置及び情報処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、リセット信号が入力された場合に初期化処理を行なう記憶装置に電気的に接続される制御手段を備え、該制御手段は、前記記憶装置からの情報の読み出し又は前記記憶装置への情報の転送を行なう旨の制御指令を出力する情報処理装置において、前記制御手段が前記制御指令を出力してからの経過時間を計測する計測手段と、該計測手段によって計測された経過時間が予め設定された経過時間閾値以上になっても、前記制御指令に対する応答信号を出力しない、又は前記制御指令に対応した処理を完了しないエラー状態の記憶装置が検出された場合に、該エラー状態の記憶装置に対してリセット信号を出力するリセット手段と、をさらに備える。
【0010】
一般に、情報処理装置を構成する各デバイス及び情報処理装置に接続される記憶装置では、情報処理装置の電源投入時にリセット信号が入力されると、該リセット信号が入力された順に初期化処理が行なわれる。そこで、本発明では、エラー状態の記憶装置が検出された場合、該エラー状態の記憶装置に対してリセット信号を入力させ、該エラー状態の記憶装置で初期化処理を行なわせる。このとき、エラー状態ではない他のデバイスでは、リセット信号が入力されないため、初期化処理が行なわれない。また、本発明では、従来のように、エラー状態の記憶装置を制御手段から論理的な切り離しを行なう必要がないため、エラー状態の記憶装置から制御手段への応答がない場合であっても、エラー状態の記憶装置に初期化処理を行なわせることが可能となる。したがって、エラー状態になった記憶装置を正常な状態に復帰させることができる。
【0011】
本発明の情報処理装置において、前記制御手段は、制御指令を出力する制御部と、該制御部からの制御指令に基づき前記記憶装置からの情報の読み出し及び情報の書き込みを行なう信号処理部とを有し、前記リセット手段は、前記エラー状態の記憶装置が検出された場合に、該エラー状態の記憶装置及び前記信号処理部に前記リセット信号を出力し、該信号処理部は、前記リセット信号が入力された場合に初期化処理を行なう。
【0012】
上記構成によれば、信号処理部は、制御部から制御指令が入力された場合、記憶装置からの情報の読み出し又は記憶装置への情報の転送などの処理を行なう。こうした回路構成の情報処理装置においてエラー状態の記憶装置が検出された場合、該エラー状態の記憶装置だけではなく、信号処理部にもリセット信号が入力される。その結果、信号処理部でも、エラー状態の記憶装置と同様に初期化処理が行なわれる。そのため、外乱などによって信号処理部がエラー状態になった場合であっても、信号処理部を正常な状態に復帰させることが可能になる。
【0013】
本発明の情報処理装置において、前記制御手段は、前記リセット手段から前記エラー状態の記憶装置にリセット信号が出力される際、出力した制御指令の内容を記憶し、前記リセット信号が入力された前記記憶装置で初期化処理が行なわれた後、前記制御指令を再出力する。
【0014】
上記構成によれば、記憶装置の初期化処理が行なわれた後、制御手段からは、リセット信号の記憶装置への出力前に出力した制御指令が再出力される。そのため、記憶装置の初期化処理前に実行していた途中の処理が最初から実行される。
【0015】
本発明の情報処理装置において、前記制御手段からの報知指令に基づく報知処理を実行する報知手段をさらに備え、前記制御手段は、前記リセット手段から前記エラー状態の記憶装置にリセット信号が出力された回数が予め設定された回数閾値以上である場合に、前記エラー状態の記憶装置の正常な状態への復帰が不能である旨を報知させるための報知指令を前記報知手段に出力する。
【0016】
上記構成によれば、回数閾値に相当する回数だけエラー状態の記憶装置で初期化処理が行なわれても、該エラー状態の記憶装置を正常な状態に復帰させることができない場合には、エラー状態の記憶装置を正常な状態に復帰させることができないと判断される。そのため、エラー状態の記憶装置を正常な状態に復帰させることができない旨を報知することにより、ユーザーに情報処理装置の電源の再投入を促すことが可能になる。
【0017】
一方、本発明の情報処理方法において、リセット信号が入力された場合に初期化処理を行なう記憶装置に制御指令を出力することによって、前記記憶装置からの情報の読み出し又は前記記憶装置への情報の転送を行なう情報処理方法において、前記制御指令を出力させる第1の出力ステップと、該第1の出力ステップが実行されてからの経過時間が予め設定された経過時間閾値以上になっても、前記制御指令に対する応答信号を出力しない、又は前記制御指令に対応した処理を完了しないエラー状態の記憶装置を検出した場合に、該エラー状態の記憶装置に対してリセット信号を出力させる第2の出力ステップと、該第2の出力ステップの実行後、前記リセット信号が入力された前記エラー状態の記憶装置に初期化処理を行なわせる初期化ステップと、を有する。
【0018】
一般に、情報処理装置を構成する各デバイス及び情報処理装置に接続される記憶装置では、情報処理装置の電源投入時にリセット信号が入力されると、該リセット信号が入力された順に初期化処理が行なわれる。そこで、本発明では、エラー状態の記憶装置が検出された場合、該エラー状態の記憶装置に対してリセット信号を入力させ、該エラー状態の記憶装置で初期化処理を行なわせる。このとき、エラー状態ではない他のデバイスでは、リセット信号が入力されないため、初期化処理が行なわれない。また、本発明では、従来のように、エラー状態の記憶装置を制御手段から論理的な切り離しを行なう必要がないため、エラー状態の記憶装置から制御手段への応答がない場合であっても、エラー状態の記憶装置に初期化処理を行なわせることが可能となる。したがって、エラー状態になった記憶装置を正常な状態に復帰させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態における液晶表示装置のブロック図。
【図2】本実施形態におけるカードコントローラーのブロック図。
【図3】コピー処理ルーチンを説明するフローチャート(前半部分)。
【図4】コピー処理ルーチンを説明するフローチャート(後半部分)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態の液晶表示装置11は、液晶ディスプレイ(「LCD」ともいう。)12と、該液晶ディスプレイ12での表示態様を制御する情報処理装置としての画像再生制御装置(制御手段)13とを備えている。液晶ディスプレイ12では、画像再生制御装置13によって選択された画像ファイルに応じた画像信号が供給されることにより、該画像信号に応じた画像が表示される。
【0021】
画像再生制御装置13は、液晶ディスプレイ12の表示態様を制御するメインCPU14、該メインCPU14と電気的に接続されるサブCPU15、ROM16、RAM17及び記憶装置としてのハードディスク(HDD)18を備えている。また、画像再生制御装置13には、メインCPU14と電気的に接続されるカードコントローラー19、記憶装置としてのメモリーカード20が装着されるカードスロット21、色補正IC(Integrated Circuit)22及びカード電源制御回路23などが設けられている。
【0022】
メインCPU14は、マイクロプロセッサーなどから構築されている。例えばハードディスク18に記憶される画像ファイル(画像情報)に基づく画像を液晶ディスプレイ12に表示させる場合、メインCPU14は、ハードディスク18から画像ファイルを読み出してデコード処理を行い、デコード処理済みの画像データをRAM17に転送する。そして、メインCPU14は、RAM17に一時記憶された各画像データを所定のフレーム周波数に応じた周期毎に順番に読み出し、色補正IC22を介して液晶ディスプレイ12に出力する。その結果、液晶ディスプレイ12では、画像ファイルに応じた画像が表示される。
【0023】
サブCPU15は、ユーザーによって操作される入力部24と電気的に接続されており、ユーザーによる入力部24の操作態様に応じた処理を行なう。例えば、サブCPU15は、再生させる画像ファイルを切り替える旨の入力信号が入力部24から入力された場合、その旨を示す信号をメインCPU14に出力する。
【0024】
ROM16には、メインCPU14によって実行される各種制御処理、及び予め設定された表示画面(電源立ち上げ時に表示させる画面など)等が予め記憶されている。こうした各制御処理は、メインCPU14によって適宜読み出されて実行される。RAM17には、液晶表示装置11の図示しない電源がオンである間に適宜書き換えられる各種情報(例えば、再生中の画像ファイルに関する画像データ)が一時記憶される。なお、ROM16及びRAM17には、図示しないリセット端子がそれぞれ設けられており、該各リセット端子は、メインCPU14に電気的にそれぞれ接続されている。そして、ROM16及びRAM17では、メインCPU14からリセット端子を介してリセット信号が入力された場合、初期化処理がそれぞれ行なわれる。
【0025】
ハードディスク18には、画像ファイルが適宜記憶される。また、ハードディスク18には、リセット端子18aが設けられており、該リセット端子18aは、メインCPU14に電気的に接続されている。そして、ハードディスク18では、メインCPU14からリセット端子18aを介してリセット信号が入力された場合、初期化処理が行なわれる。その結果、ハードディスク18内の図示しないレジスターなどが初期状態の値にリセットされる。
【0026】
カードスロット21は、メモリーカード20が装着された場合に、その旨の信号(「カード検出信号」ともいう。)をメインCPU14に出力する。また、カードスロット21は、カードコントローラー19に電気的に接続されている。例えば、カードコントローラー19からメモリーカード20に記憶される画像ファイルを読み出すための制御指令が入力された場合、カードスロット21は、読み出しが可能であることを示す応答信号をカードコントローラー19に出力する。また、カードスロット21には、リセット端子21aが設けられており、該リセット端子21aは、メインCPU14に電気的に接続されている。そして、カードスロット21では、メインCPU14からリセット端子21aを介してリセット信号が入力された場合、初期化処理が行なわれる。その結果、カードスロット21内の図示しないレジスターなどが初期状態の値にリセットされる。
【0027】
色補正IC22は、メインCPU14から出力された画像信号の色調を変換し、変換後の画像信号を液晶ディスプレイ12に供給する。また、色補正IC22には、リセット端子22aが設けられており、該リセット端子22aは、メインCPU14に電気的に接続されている。そして、色補正IC22では、メインCPU14からリセット端子22aを介してリセット信号が入力された場合、初期化処理が行なわれる。その結果、色補正IC22内の図示しないレジスターなどが初期状態の値にリセットされる。
【0028】
カード電源制御回路23は、メインCPU14からの制御指令に応じた電力がカードスロット21に供給されるように電圧調整を行なう。
次に、カードコントローラー19について図1及び図2に基づき説明する。
【0029】
図1及び図2に示すように、カードコントローラー19は、メインCPU14からの制御指令に応じた処理を行なうデバイスであって、カードスロット21と電気的に接続される。また、カードコントローラー19には、初期化処理部25、指令解析部26、指令実行部27、計測手段としてのタイマー28及び記憶部29(図2では破線で囲まれた部分)などが機能部として設けられている。そして、カードコントローラー19は、メインCPU14からの制御指令に応じて、メモリーカード20に記憶される画像ファイルなどをハードディスク18にコピー又は移動させたり、ハードディスク18に記憶される画像ファイルなどをメモリーカード20にコピー又は移動させたりすることが可能である。
【0030】
初期化処理部25は、リセット端子19aを介してメインCPU14からリセット信号が入力された場合にその旨を示す初期化信号を指令実行部27に出力する。指令解析部26は、メインCPU14から入力された制御指令の内容を解析し、その解析結果に関する解析結果信号を指令実行部27に出力する。指令実行部27は、初期化信号が入力された場合には後述する初期化処理を行い、解析結果信号が入力された場合には該信号に応じた処理を行なう。
【0031】
記憶部29は、ステータスレジスター30と、FIFO(First In First Out)メモリー31とを有している。ステータスレジスター30には、メインCPU14からの制御指令に応じた処理をカードコントローラー19が実行するための情報が数値として記憶される。また、FIFOメモリー31には、ハードディスク18やメモリーカード20から読み出した画像ファイルの一部が一時記憶される。
【0032】
次に、本実施形態の画像再生制御装置13が実行するコピー処理ルーチンについて図3及び図4に示すフローチャートに基づき説明する。なお、図3及び図4に示すフローチャートは、カードスロット21に挿入されたメモリーカード20に記憶される画像ファイルをハードディスク18にコピーさせる際の一連の流れを示したものである。
【0033】
さて、液晶表示装置11の図示しない電源が投入された場合、メインCPU14は、電源投入時初期化処理を行なう(ステップS10)。具体的には、メインCPU14は、リセット端子18a,19a,21a,22aを有する各機能部に対してリセット信号を出力する。こうしたリセット信号が入力された各機能部は、それぞれ初期化処理を行なう。続いて、メインCPU14は、サブCPU15から転送リクエスト(例えば、メモリーカード20からハードディスク18への画像ファイルの転送を求めるリクエスト)が入力されたか否かを判定する(ステップS11)。この判定結果が否定判定である場合、メインCPU14は、転送リクエストがサブCPU15から入力されるまでステップS11の判定処理を繰り返し実行する。一方、ステップS11の判定結果が肯定判定である場合、メインCPU14は、転送リクエストがサブCPU15から入力されたため、該転送リクエストの内容を実行させるための制御指令としてのリクエスト信号をカードコントローラー19に出力する(ステップS12)。したがって、本実施形態では、メインCPU14が、制御部としても機能する。また、ステップS12が、第1の出力ステップに相当する。
【0034】
そして、リクエスト信号が入力されたカードコントローラー19において、指令解析部26は、入力されたリクエスト信号の内容を解析し、その解析結果に関する解析結果信号を指令実行部27に出力する。この指令実行部27は、FIFOメモリー31の記憶内容の初期化を行なう(ステップS13)。続いて、指令実行部27は、記憶部29のステータスレジスター30に記憶される数値が所定の規定値RVであるか否かを判定する(ステップS14)。この規定値RVは、メモリーカード20からハードディスク18への画像ファイルの転送を行なわせるための値であって、上記リクエスト信号がカードコントローラー19に出力された際にステータスレジスター30に記憶される数値である。しかし、静電気などの外乱がカードコントローラー19に加わると、ステータスレジスター30の記憶内容が不必要に変わってしまうことがある。ステップS14の判定結果が否定判定である場合、指令実行部27は、ステータスレジスター30に記憶される数値が規定値RVではないため、ステップS13の処理が実行されてからの経過時間である第1計測時間T1をタイマー28から読み出し、該読み出した第1計測時間T1が予め設定された時間閾値Tth以上であるか否かを判定する(ステップS15)。この時間閾値Tthは、画像再生制御装置13内での各種データの転送が正常に行なわれているか否かを判断するための基準値である。すなわち、カードコントローラー19が正常な状態である(即ち、エラー状態ではない)場合、第1計測時間T1が時間閾値Tth以上となる前に、ステータスレジスター30に記憶される数値は、規定値RVに設定されるはずである。
【0035】
ステップS15の判定結果が否定判定(T1<Tth)である場合、指令実行部27は、その処理を前述したステップS14に移行する。一方、ステップS15の判定結果が肯定判定(T1≧Tth)である場合、指令実行部27は、カードコントローラー19が外乱などの影響によりエラー状態になったと判断し、その処理を後述するステップS23に移行する。
【0036】
その一方で、ステップS14の判定結果が肯定判定である場合、指令実行部27は、ステータスレジスター30に記憶される数値が規定値RVである正常な状態であるため、メモリーカード20からの画像ファイルの読み出しを開始させるための制御指令をカードスロット21に出力する(ステップS16)。すると、FIFOメモリー31には、メモリーカード20の画像ファイルがデータとして順次記憶される。したがって、本実施形態では、指令実行部27を有するカードコントローラー19が、信号処理部としても機能する。続いて、指令実行部27は、FIFOメモリー31に最大限まで画像ファイルのデータが記憶されたか否かを判定する(ステップS17)。
【0037】
この判定結果が否定判定である場合、指令実行部27は、FIFOメモリー31内にデータを記憶させる領域が未だあるため、ステップS16の処理が実行されてからの経過時間である第2計測時間T2をタイマー28から読み出し、該読み出した第2計測時間T2が上記時間閾値Tth以上であるか否かを判定する(ステップS18)。この判定結果が否定判定(T2<Tth)である場合、指令実行部27は、その処理を前述したステップS17に移行する。一方、ステップS18の判定結果が肯定判定(T2≧Tth)である場合、指令実行部27は、その処理を後述するステップS23に移行する。すなわち、メモリーカード20が正常な状態である場合、第2計測時間T2が時間閾値Tth以上となるまでに、FIFOメモリー31は、メモリーカード20からのデータでいっぱいになるはずである。
【0038】
その一方で、ステップS17の判定結果が肯定判定である場合、指令実行部27は、FIFOメモリー31内にデータを記憶させる領域がなくなったため、FIFOメモリー31に記憶された全てのデータをハードディスク18に転送させる旨の制御指令をハードディスク18に出力する(ステップS19)。すると、FIFOメモリー31に記憶された全てのデータは、ハードディスク18に順番に出力される。したがって、本実施形態では、ステップS19も、第1の出力ステップに相当する。続いて、指令実行部27は、メモリーカード20からハードディスク18への画像ファイルの全容量の転送が終了したか否かを判定する(ステップS20)。すなわち、指令実行部27は、画像ファイルを複数に分割された各データのうち最後のデータのハードディスク18への転送が完了したか否かを判定する。
【0039】
ステップS20の判定結果が否定判定である場合、指令実行部27は、画像ファイルの転送が未だ完了していないため、その処理を前述したステップS13に移行する。一方、ステップS20の判定結果が肯定判定である場合、指令実行部27は、画像ファイルの転送が完了したため、ハードディスク18に画像ファイルが実際に記憶されたか否かを判定する(ステップS21)。すなわち、ハードディスク18からは、画像ファイルを複数に分割された各データのうち最後のデータが入力された場合、画像ファイルの転送の終了の旨を示す転送終了信号が指令実行部27に出力される。そのため、ステップS21では、ハードディスク18から転送終了信号が入力されたか否かが判定される。ステップS21の判定結果が肯定判定である場合、指令実行部27は、転送終了信号が入力されたため、その処理を前述したステップS11に移行する。
【0040】
一方、ステップS21の判定結果が否定判定である場合、指令実行部27は、ステップS20の判定結果が肯定判定になってからの経過時間である第3計測時間T3をタイマー28から読み出し、該読み出した第3計測時間T3が上記時間閾値Tth以上であるか否かを判定する(ステップS22)。すなわち、ハードディスク18が正常な状態である場合、第3計測時間T3が時間閾値Tth以上となる前に、カードコントローラー19にはハードディスク18から転送終了信号が入力されるはずである。ステップS22の判定結果が否定判定(T3<Tth)である場合、指令実行部27は、その処理を前述したステップS21に移行する。一方、ステップS22の判定結果が肯定判定(T3≧Tth)である場合、指令実行部27は、ハードディスク18から転送終了信号が入力されないと判断し、その処理を次のステップS23に移行する。
【0041】
ステップS23において、指令実行部27は、後述するリセット処理の実行回数であるリトライ回数RKが予め設定された回数閾値RKth(例えば「3」)以下であるか否かを判定する。この回数閾値RKthは、後述するリセット処理ではメモリーカード20からハードディスク18への画像ファイルの転送を完了させることができないと判断するための基準値である。ステップS23の判定結果が否定判定(RK>RKth)である場合、メインCPU14は、エラー処理を行なう(ステップS24)。すなわち、ステップS23の判定結果が否定判定になると、指令実行部27は、メモリーカード20及びハードディスク18のうち少なくとも一方がエラー状態の記憶装置であると判断し、その旨の制御指令をメインCPU14に出力する。すると、メインCPU14は、液晶表示装置11の図示しない電源の再投入を促す旨の報知指令を、色補正IC22を介して液晶ディスプレイ12に出力する。その結果、液晶ディスプレイ12には、液晶表示装置11の図示しない電源の再投入を促す旨のメッセージが表示(報知)される。したがって、本実施形態では、液晶ディスプレイ12が、報知手段としても機能する。その後、画像再生制御装置13は、コピー処理ルーチンを終了する。
【0042】
一方、ステップS23の判定結果が肯定判定(RK≦RKth)である場合、メインCPU14は、メモリーカード20からの画像ファイルの読み出しを停止させる旨の制御指令を指令実行部27に出力する(ステップS25)。すると、指令実行部27は、メモリーカード20からの画像ファイル(即ち、データ)の読み出しを停止する。続いて、メインCPU14は、指令実行部27からハードディスク18への画像ファイルの転送を停止させる旨の制御指令を指令実行部27に出力する(ステップS26)。すると、指令実行部27は、ハードディスク18への画像ファイルの転送を停止する。
【0043】
続いて、画像再生制御装置13は、リセット処理を行なう(ステップS27)。すなわち、メインCPU14は、ハードディスク18、カードコントローラー19及びカードスロット21の各リセット端子18a,19a,21aにリセット信号を出力する。したがって、本実施形態では、メインCPU14が、リセット手段としても機能する。また、ステップS27が、第2の出力ステップに相当する。続いて、リセット信号が入力されたハードディスク18、カードコントローラー19及びカードスロット21では、初期化処理がそれぞれ行なわれる。この点で、ステップS27が、初期化ステップに相当する。その後、画像再生制御装置13は、その処理を前述したステップS12に移行する。
【0044】
したがって、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)一般に、ROM16、RAM17、ハードディスク18、カードコントローラー19、カードスロット21、色補正IC22及びカード電源制御回路23では、液晶表示装置11の電源投入時に、それらのリセット端子にリセット信号がそれぞれ入力される。すると、ROM16、RAM17、ハードディスク18、カードコントローラー19、カードスロット21、色補正IC22及びカード電源制御回路23では、リセット信号が入力された順番に初期化処理が行なわれる。そこで、本実施形態では、画像ファイルの正常な読み出しや正常な転送を行なうことができないエラー状態の記憶装置(例えば、ハードディスク18)が検出された場合、該エラー状態の記憶装置では、メインCPU14からのリセット信号の入力に起因して初期化処理が行なわれる。このとき、エラー状態ではない他の機能部(ROM16、RAM17、カードコントローラー19、カードスロット21、色補正IC22及びカード電源制御回路23)では、リセット信号が入力されないため、初期化処理が行なわれない。また、本実施形態では、従来のように、エラー状態の記憶装置を画像再生制御装置13から論理的な切り離しを行なう必要がないため、エラー状態の記憶装置からメインCPU14への応答がない場合であっても、エラー状態の記憶装置に初期化処理を行なわせることが可能となる。したがって、エラー状態になった記憶装置を正常な状態に復帰させることができる。
【0045】
(2)カードコントローラー19は、メインCPU14からリクエスト信号が入力された場合、記憶装置(例えばメモリーカード20)からの画像ファイル情報の読み出し又は記憶装置(例えばハードディスク18)への画像ファイルの転送などの処理を行なう。こうした回路構成の画像再生制御装置13においてエラー状態の記憶装置(例えばメモリーカード20)が検出された場合、該エラー状態の記憶装置との間で各種信号の入出力を行なうカードコントローラー19にもリセット信号が入力される。その結果、カードコントローラー19でも、エラー状態の記憶装置と同様に、初期化処理が行なわれる。そのため、外乱などによってカードコントローラー19がエラー状態になった場合であっても、カードコントローラー19を正常な状態に復帰させることができる。
【0046】
(3)エラー状態の記憶装置で初期化処理が行なわれた後、メインCPU14からは、エラー状態の記憶装置の初期化処理前に出力されていた制御指令が再出力される。そのため、記憶装置の初期化処理前に行なっていた途中の処理を最初から実行できる。
【0047】
(4)回数閾値RKthに相当する回数だけエラー状態の記憶装置で初期化処理を行なっても、該エラー状態の記憶装置を正常な状態に復帰させることができない場合、エラー状態の記憶装置を正常な状態に復帰させることができないと判断される。そして、エラー状態の記憶装置を正常な状態に復帰させることができない旨が液晶ディスプレイ12に表示され、ユーザーに電源の再投入を催促できる。
【0048】
なお、上記実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・実施形態において、ステップS24のエラー処理では、液晶ディスプレイ12での表示ではなく、図示しないスピーカーなどを用いた音声による報知で、ユーザーに液晶表示装置11の電源の再投入を促してもよい。この場合、スピーカーが報知手段として機能することになる。
【0049】
・実施形態において、エラー処理を実行しなくてもよい。この場合、液晶ディスプレイ12には、ステップS23の判定結果が否定判定であると判断される直前の画像が表示され続けることになる。
【0050】
・実施形態において、回数閾値RKthは、「3」以外の任意の数値(例えば「4」)であってもよい。
・実施形態において、ステップS15が否定判定となったことが契機でリセット処理を行なう場合、カードコントローラー19にだけ初期化処理を実行させてもよい。また、ステップS18が否定判定となったことが契機でリセット処理を行なう場合、ハードディスク18にだけ初期化処理を実行させてもよい。また、ステップS22が否定判定となったことが契機でリセット処理を行なう場合、カードスロット21(メモリカード20)にだけ初期化処理を実行させてもよい。
【0051】
・実施形態において、画像再生制御装置13は、カードコントローラー19を備えない構成であってもよい。この場合、メインCPU14が、図3及び図4のフローチャートに基づく制御処理ルーチンを実行する。
【符号の説明】
【0052】
12…報知手段としての液晶ディスプレイ、13…情報処理装置、制御手段としての画像再生制御装置、14…リセット手段、制御部としてのメインCPU、18…記憶装置としてのハードディスク、19…信号処理部としてのカードコントローラー、20…記憶装置としてのメモリーカード、28…計測手段としてのタイマー、T1,T2,T3…経過時間としての計測時間、Tth…経過時間閾値としての時間閾値。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リセット信号が入力された場合に初期化処理を行なう記憶装置に電気的に接続される制御手段を備え、該制御手段は、前記記憶装置からの情報の読み出し又は前記記憶装置への情報の転送を行なう旨の制御指令を出力する情報処理装置において、
前記制御手段が前記制御指令を出力してからの経過時間を計測する計測手段と、
該計測手段によって計測された経過時間が予め設定された経過時間閾値以上になっても、前記制御指令に対する応答信号を出力しない、又は前記制御指令に対応した処理を完了しないエラー状態の記憶装置が検出された場合に、該エラー状態の記憶装置に対してリセット信号を出力するリセット手段と、をさらに備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、制御指令を出力する制御部と、該制御部からの制御指令に基づき前記記憶装置からの情報の読み出し及び情報の書き込みを行なう信号処理部とを有し、
前記リセット手段は、前記エラー状態の記憶装置が検出された場合に、該エラー状態の記憶装置及び前記信号処理部に前記リセット信号を出力し、
該信号処理部は、前記リセット信号が入力された場合に初期化処理を行なうことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記リセット手段から前記エラー状態の記憶装置にリセット信号が出力される際、出力した制御指令の内容を記憶し、
前記リセット信号が入力された前記記憶装置で初期化処理が行なわれた後、前記制御指令を再出力することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御手段からの報知指令に基づく報知処理を実行する報知手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記リセット手段から前記エラー状態の記憶装置にリセット信号が出力された回数が予め設定された回数閾値以上である場合に、前記エラー状態の記憶装置の正常な状態への復帰が不能である旨を報知させるための報知指令を前記報知手段に出力することを特徴とする請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
リセット信号が入力された場合に初期化処理を行なう記憶装置に制御指令を出力することによって、前記記憶装置からの情報の読み出し又は前記記憶装置への情報の転送を行なう情報処理方法において、
前記制御指令を出力させる第1の出力ステップと、
該第1の出力ステップが実行されてからの経過時間が予め設定された経過時間閾値以上になっても、前記制御指令に対する応答信号を出力しない、又は前記制御指令に対応した処理を完了しないエラー状態の記憶装置を検出した場合に、該エラー状態の記憶装置に対してリセット信号を出力させる第2の出力ステップと、
該第2の出力ステップの実行後、前記リセット信号が入力された前記エラー状態の記憶装置に初期化処理を行なわせる初期化ステップと、を有することを特徴とする情報処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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