説明

情報処理装置及び通信制御方法

【課題】近接無線通信が可能な情報処理装置であって、操作性向上を図ることのできる情報処理装置を提供する。
【解決手段】第1の通信手段と、第2の通信手段と、通信制御手段とを備える。第1の通信手段は、認証不要な近接無線通信である第1の通信方式で通信する。第2の通信手段は、近接無線通信よりも通信可能距離が長い第2の通信方式で通信する。通信制御手段は、第1の通信モジュールが他の情報処理装置と第1の通信方式によりデータ伝送を開始した後、第2の通信方式に切り替えてデータを伝送するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、情報処理装置及び通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばTransferJet(登録商標)等の近距離無線通信が普及しつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009―218845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近接無線通信を行う場合には送信側の装置と受信側の装置を近接させる必要があるため、長時間通信を行う場合には邪魔になって操作性を損なう場合がある。
【0005】
そこで本発明は、近接無線通信が可能な情報処理装置であって、操作性向上を図ることのできる情報処理装置及び通信制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、情報処置装置は、第1の通信手段と、第2の通信手段と、通信制御手段とを備える。第1の通信手段は、認証不要な近接無線通信である第1の通信方式で通信する。第2の通信手段は、近接無線通信よりも通信可能距離が長い第2の通信方式で通信する。通信制御手段は、第1の通信モジュールが他の情報処理装置と第1の通信方式によりデータ伝送を開始した後、第2の通信方式に切り替えてデータを伝送するように制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施形態の情報処理装置の通信方式切替を説明する図。
【図2】実施形態のデータ通信システムの構成の一例を示す図。
【図3】実施形態のデータ伝送を説明する図。
【図4】実施形態の情報処理装置の通信方式切替処理の流れを示す図。
【図5】実施形態の情報処理装置の通信方式切替のユーザ選択画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、本実施の形態における近接無線通信と近距離無線通信との切替を、図1を参照しながら説明する。図1は、実施形態の情報処理装置の通信方式切替を説明する図である。図1(A)は近接無線通信実行時を示す図で、図1(B)は近距離無線通信実行時を示す図である。
【0009】
本実施の形態においては、情報処理装置としてカメラ1とパーソナルコンピュータ2とを例にして2種類の通信方式の切替について説明する。本実施の形態においては、近接無線通信及び近距離無線通信を介して、カメラ1で撮影した静止画像若しくは動画像データをパーソナルコンピュータ2へ送信することができる。例えば、カメラ1で撮影した画像をパーソナルコンピュータ2へ送信し、パーソナルコンピュータ2が備える大きなディスプレイで表示したり、パーソナルコンピュータ2が備える記憶装置に画像データを格納したりする。また、パーソナルコンピュータ2に格納していた画像データをカメラ1に送信し、携帯性に優れるカメラ1に所望の画像データを格納することでカメラ1に設けられるディスプレイで画像データを視聴することもできる。
【0010】
次に、本実施形態で用いる近接無線通信と近距離無線通信とについて説明する。
まず、図1(A)に示す本実施形態における近接無線通信には誘導電界が用いられ、近接無線通信方式の一つにはTransferJet(登録商標)がある。TransferJet(登録商標)はUWBを使用した近接無線通信方式であり、高速なデータ伝送を実現することができる。TransferJet(登録商標)対応のデバイスは、カプラと称される電極を有し、誘導電界を用いた無線信号により外部デバイスとの間でデータ送受信を行う。外部デバイスが通信可能距離(例えば3cm)以内に接近した場合、両デバイスのカプラ間が誘導電界によって結合され、無線通信が実行可能となる。この近接無線通信は、初期認証が不要であり、通信可能距離内にデバイスが存在すると、自動的に無線通信を開始することができる。
【0011】
次に、図1(B)に示す本実施形態における近距離無線通信は、上述の近接無線通信よりも通信可能距離が長い無線通信である。即ち、近距離無線通信においては、通信可能距離が長くデバイス同士を近接させる必要がないので、デバイスの配置関係については自由度が高い。この近距離無線通信の通信方式の例としては、Bluetooth(登録商標)や、WLAN、3G、WiMAX、WirelessUSB等がある。これらの通信方式においては、無線通信を開始するために初期認証が必要となる。
【0012】
以上のような近接無線通信と近距離無線通信に対応しているデバイスにおいて、近接無線通信を行う場合には、デバイス同士を近接させる必要があるため、デバイスの操作に支障をきたす虞がある。特に、大容量データを伝送する場合、データ伝送が完了するまでの一定時間を要するため、その間に並行してデバイスにおいて別の操作を行いたいというニーズがある。例えば図1(A)に示すように、パーソナルコンピュータ2のパームレスト上にカメラ1を載置して近接無線通信を行う場合、データの伝送が終了するまで、パーソナルコンピュータ2のキーボード7等の操作がしにくくなる。
【0013】
そこで、本実施の形態においては、近接無線通信でデータ伝送を開始した後に、近接無線通信よりも通信可能距離が長い近距離無線通信に切り替えてデータ伝送を行う。近距離無線通信は近接無線通信に比べて通信可能距離が長く、デバイス同士を近接状態にする必要がない。即ち、図1(B)に示すように近距離無線通信に切り替えた後は、カメラ1をパームレスト上から下ろすことができるので、キーボード7の操作の妨げにならない。
【0014】
本実施の形態は、初期認証不要の近接無線通信から、近接無線通信よりも通信可能距離の長い近距離無線通信に切り替えてデータ伝送を行う。ユーザは、デバイス同士を近接させる動作のみで無線通信を開始することができ、開始後はデバイスの位置を近接状態から移動させても無線通信が切断することのない近距離無線通信に切り替えることでデバイスの利便性を向上することができる。
【0015】
次に、図1を用いて、カメラ1及びパーソナルコンピュータ2の構造について説明する。
カメラ1は、本体筺体1Aと、本体筺体側面1bに設けられるCCDセンサ101と、本体筺体上面1aに設けられる操作ボタン102と、本体筺体側面1dに設けられるLCD103と、本体筺体側面1cに設けられるSDカードスロット104と、本体筺体底面1f付近に近接無線通信モジュール105及び近接無線通信アンテナ106と、本体筺体上面1a付近に近距離無線通信モジュール107及び近距離無線通信アンテナ108とを有する。
【0016】
パーソナルコンピュータ2は、コンピュータ本体3とディスプレイユニット4とが、ヒンジ5を介して回動自在に設けられている。コンピュータ本体3は、タッチパッド6と、キーボード7と、電源スイッチ8と、近接無線通信モジュール22、近接無線通信アンテナ23と、近距離無線通信モジュール24と、近距離無線通信アンテナ25と、LED26とを有する。
【0017】
コンピュータ本体筺体3aのパームレスト部分には近接無線通信モジュール22及び近接無線通信アンテナ23が内蔵され、このパームレスト部分に通信相手の外部デバイスと載置して近接無線通信を行う。即ち、図1(A)に示すように本実施の形態においては、近接無線通信アンテナ23の設けられているコンピュータ本体筺体3aにカメラ1を載置して、近接無線通信アンテナ23とカメラ1の本体筺体底面100fに設けられる近接無線通信アンテナ106との間で近距離無線通信を行う。
【0018】
ディスプレイユニット4には、中央部にディスプレイ4aが設けられている。またディスプレイユニット4上部には近距離無線通信アンテナ25が設けられている。近距離無線通信モジュール24(図示せず)は本体ユニット側設けられ、近距離無線通信アンテナ25に接続される。近距離無線通信アンテナ25は、通信可能距離内にある外部デバイスと近距離無線通信を行う。即ち、図1(B)に示すように本実施の形態においては、近距離無線通信は近接無線通信よりも通信可能距離が長いので、近距離無線通信アンテナ25にカメラ1を近接させることなく、パーソナルコンピュータ2の周辺にカメラ1を配置していれば近距離無線通信を実行することができる。
【0019】
次に、図2を用いて、本実施の形態におけるカメラ1及びパーソナルコンピュータ2の機能について説明する。図2は、実施形態のデータ通信システムの構成の一例を示す図である。
【0020】
カメラ1は、レンズ100と、CCDセンサ101と、操作ボタン102と、LCD103と、近接無線通信モジュール105と、近接無線通信アンテナ106と、近距離無線通信モジュール107と、近距離無線通信アンテナ108と、メモリ109と、RAM110と、CPU113と、バッテリコントローラ114と、バッテリ115と、SDカードコントローラ116と、SDカード117とを備える。
【0021】
CCDセンサ101は、レンズ100で検出した風景を撮影する。操作ボタン102は、CCDセンサ101で撮影するタイミングや、撮影した画像をLCD103に表示する際の各種処理を指示する。LCD103は、レンズ100で検出している風景や、撮影した画像データ等を表示する。SDカードスロット104は、画像データの複製先であるSDカードを収納するために設けられるスロットである。
【0022】
近接無線通信モジュール105は、誘導電界を用いた無線信号により外部デバイスとの間でデータ送受信を行う。外部デバイスが通信可能距離(例えば3cm)以内に接近した場合、近接無線通信アンテナ106と外部デバイスの近接無線通信アンテナとが誘導電界によって結合され、無線通信が実行可能となる。近接無線通信モジュール105は、近接無線通信アンテナ106で受信した無線信号をデジタル信号に変換したり、内部の制御に用いられるデジタル信号を無線信号に変換し近接無線通信アンテナ106から送信する。
【0023】
近距離無線通信モジュール107は、近距離無線通信アンテナ108を介して、外部デバイスと近距離無線通信を実行する。
メモリ109は、カメラ1に備えられる記憶媒体であり、撮影した静止画像や動画像データを格納する。RAM110は、各種アプリケーションプログラムを展開するためのいわゆるワーキングメモリであり、本実施の形態においては、近接無線通信制御プログラム111及び近距離無線通信制御プログラム112が展開される。本実施の形態における通信方式の切替は、近接無線通信制御プログラム111と近距離無線通信制御プログラム112とが共同して実行する。
【0024】
CPU112は、カメラ1の全体を制御するための制御部である。バッテリコントローラ113は、バッテリ114を用いてカメラ1の各コンポーネントに供給すべきシステム電源を生成する。SDカードコントローラ115は、装着されるSDカード116にアクセスし、格納した画像データの移動や複製を行ったり、画像データをLCD103に出力したりする。
【0025】
パーソナルコンピュータ2は、ディスプレイ4aと、タッチパッド6と、キーボード7と、電源スイッチ8と、CPU10と、ノースブリッジ11と、主メモリ12と、グラフィックスコントローラ13と、VRAM14と、サウスブリッジ15と、HDD16と、BIOS−ROM17と、EC/KBC18と、電源コントローラ19と、バッテリ20と、ACアダプタ21と、近接無線通信モジュール22と、近接無線通信アンテナ23と、近距離無線通信モジュール24と、近距離無線通信アンテナ25と、LED26とを備える。
【0026】
CPU10は、本パーソナルコンピュータ1の動作を制御するために設けられたプロセッサであり、HDD16から主メモリ12にロードされるオペレーティングシステム(OS50)及び各種アプリケーションプログラムを実行する。またCPU10は、BIOS−ROM17に格納されたシステムBIOSを主メモリ12にロードした後、実行する。システムBIOSはハードウェア制御のためのプログラムである。また、CPU10は近接無線通信プログラム51を実行し、近接無線通信モジュール22で行う近接無線通信を制御する。また、CPU10は近距離無線通信プログラム52を実行し、近距離無線通信モジュール24で行う近距離無線通信を制御する。
【0027】
本実施の形態における通信方式の切替は、近接無線通信制御プログラム51と近距離無線通信制御プログラム52とが共同して実行する。近接無線通信制御プログラム51は、通信方式の切替を指示された時、近接無線通信を介して外部デバイスから近距離無線通信に必要な認証情報を取得し、この認証情報を近距離無線通信制御プログラム52へ通知する。近距離無線通信制御プログラム52は、受信した認証情報に基づき、通信相手デバイスの近距離無線通信モジュールと近距離無線通信を開始する。
【0028】
ノースブリッジ11は、CPU10のローカルバスとサウスブリッジ15との間を接続するブリッジデバイスである。ノースブリッジ11には主メモリ12をアクセス制御するメモリコントローラも内蔵されている。またノースブリッジ11はAGP(Accelerated Graphics Port)バス等を介してグラフィックスコントローラ13との通信を実行する機能も有している。
【0029】
主メモリ12は、HDD16に記憶されるオペレーティングシステム(OS50)及び各種アプリケーションプログラムや、BIOS−ROM17に格納されたシステムBIOSを展開されるためのいわゆるワーキングメモリである。
【0030】
グラフィックスコントローラ13は、本コンピュータのディスプレイモニタとして使用されるディスプレイ4aを制御する表示コントローラである。このグラフィックスコントローラ13はオペレーティングシステム/アプリケーションプログラムによってVRAM14に描画された表示データから、ディスプレイ4aに表示すべき表示イメージを形成する映像信号を生成する。
【0031】
サウスブリッジ15は、BIOS−ROM17へのアクセスや、HDD16及びODD(Optical Disk Drive)等のディスクドライブ(I/Oデバイス)の制御を行う。
【0032】
HDD16は、OS50及び各種アプリケーションプログラム等を記憶する記憶装置である。例えば、近接無線通信モジュール22や近距離無線通信モジュール24で実行する各種の無線通信を介して受信した画像データを格納する。
【0033】
BIOS−ROM17は、ハードウェア制御のためのプログラムであるシステムBIOS51を格納する書き換え可能な不揮発性メモリである。
EC/KBC18は、入力手段としてのタッチパッド6、キーボード7の制御を行う。EC/KBC18はパーソナルコンピュータ1のシステム状況に関わらず、各種のデバイス(周辺機器、センサ、電源回路等)を監視し制御するワンチップ・マイコンである。またEC/KBC18は、ユーザによる電源スイッチ8の操作に応じて、電源コントローラ19と共同して、本パーソナルコンピュータ2をパワーオン/パワーオフする機能を有している。
【0034】
電源コントローラ19は、外部電源がACアダプタ21を介して供給されている場合、ACアダプタ21から供給される外部電源を用いてパーソナルコンピュータ2の各コンポーネントに供給すべきシステム電源を生成する。また、電源コントローラ19は、外部電源がACアダプタ21を介して供給されていない場合、バッテリ20を用いてパーソナルコンピュータ2の各コンポーネント(本体ユニット3及びディスプレイユニット4)に供給すべきシステム電源を生成する。
【0035】
近接無線通信モジュール22は、誘導電界を用いた無線信号により外部デバイスとの間でデータ送受信を行う。外部デバイスが通信可能距離(例えば3cm)以内に接近した場合、近接無線通信アンテナ23と外部デバイスの近接無線通信アンテナとが誘導電界によって結合され、無線通信が実行可能となる。近接無線通信モジュール22は、近接無線通信アンテナ23で受信した無線信号をデジタル信号に変換したり、内部の制御に用いられるデジタル信号を無線信号に変換し近接無線通信アンテナ23から送信する。
【0036】
近距離無線通信モジュール24は、近距離無線通信アンテナ25を介して、外部デバイスと近距離無線通信を実行する。
LED26は、実行中の無線通信の通信方式をユーザに提示する。例えば、近接無線通信を実行中は緑色、近距離無線通信を実行中は赤色に点灯する。また、点灯方法によって通信方式を提示するとしても良く、近接無線通信を実行中は点灯、近距離無線通信を実行中は点滅するとしても良い。
【0037】
次に、図3を用いて本実施の形態における2種の無線通信方式を用いるデータ伝送の手順を説明する。図3は、実施形態のデータ伝送を説明する図である。図3の説明においては、パーソナルコンピュータ2に格納していた画像データをカメラ1に送信する場合を例に説明する。
【0038】
本実施の形態における通信方式の切替は、近接無線通信制御プログラム51と近距離無線通信制御プログラム52とが共同して実行する。通信方式の切替は、近接無線通信制御プログラム51内に記憶している閾値時間との比較に応じて自動で行うとしてもよいし、ユーザ選択で行うとしても良い。ユーザ選択による通信方式の切替は図5を用いて後述する。
【0039】
まず、図3(a)に示すように、送信するデータを一定のビット数で分割し、各パケットに送信する順番を示すヘッダを付加する。本実施の形態においては、送信データを所定のビット数で分割し、n個のパケットに分割する。このヘッダを付加して送信することにより、受信側のデバイスはパケットを受信する順番が入れ違いになった場合でも、データを送信時の順番通りに並べ替えることができる。
【0040】
近接無線通信制御プログラム51は、図3(a)に示すように分割されたパケットを順に近接無線通信モジュール22で無線信号に変換して、近接無線通信アンテナ23からカメラ1の近接無線通信アンテナ106へ送信する。
【0041】
図3(b)は、近接無線通信で送信したデータを示す図である。即ち、近接無線通信でn個中の2番目のパケットを送信中に、通信方式の切替を示すコマンドを受信した状態である。通信方式切替を示すコマンドを受信すると、近接無線通信制御プログラム51は、送信中であったパケットのヘッダ情報を近距離無線通信プログラム52へ送信する。図3に示す例においては、n個中の2番目のパケットを送信中であったことを近距離無線通信プログラム52に通知する。
【0042】
図3(c)は、近距離無線通信で送信したデータを示す図である。即ち、近距離無線通信プログラム52は、n個中の2番目のパケットから再送信を開始し、n個中のn番目のパケットまで送信する。即ち、受信側のカメラ1では、2番目のパケットについては両通信方式による無線通信で受信する。
【0043】
以上のようにしてデータの送信が完了すると、受信側のカメラ1では、全てのパケットをヘッダに従って順に並べ直し、データを復元する。
次に、図4を用いて、本実施の形態における通信方式の切替時の処理について説明する。図4は、実施形態の情報処理装置の通信方式切替処理の流れを示す図である。図4の説明においても、パーソナルコンピュータ2に格納していた画像データをカメラ1に送信する場合を例に説明する。
【0044】
まず、近接無線通信制御プログラム51は、近接無線通信アンテナ23とカメラ1の近接無線通信アンテナ106とが近接される(Touch操作)と、近接無線通信接続を行う(ステップS101)。
【0045】
次に、近接無線通信制御プログラム51は、近接無線通信でデータ伝送を開始する(ステップS102)。そして、近接無線通信制御プログラム51は、データ伝送時間を算出する(ステップS103)。即ち、近接無線通信制御プログラム51は、伝送するデータの容量を、データ伝送速度で除算し、データ伝送時間を算出する。データ伝送速度は、近接無線通信アンテナ23における電波強度に基づいて算出される。
【0046】
次に、近接無線通信制御プログラム51は、ステップS103で算出したデータ伝送時間が、記憶している閾値よりも長いか否かを判別する(ステップS104)。ステップS104で判別した結果、記憶している閾値よりも長いと判別した場合(ステップS104のYes)、近接無線通信プログラム51は近距離無線通信に通信方式を切り替える(ステップS105)。
【0047】
近接無線通信制御プログラム51は、通信方式切替を示すコマンドを受信すると、近接無線通信を介してカメラ1の近距離無線通信に関する認証情報(モジュールのアドレスや証明書等)を取得し、近距離無線通信制御プログラム52へ通知する。また、近接無線通信制御プログラム51は送信中であったパケットのヘッダ情報を近距離無線通信制御プログラム52に通知する。近距離無線通信制御プログラム52は、受信した認証情報を元にカメラ1との近距離無線通信接続を確立し、ヘッダ情報の示すパケットからデータの伝送を開始する。
【0048】
次に、近距離無線通信制御プログラム52は、データ伝送が完了したか否かを判別する(ステップS106)。即ち、近接無線通信制御プログラム51から通知されたパケットから送信すべき最後のパケットまでの伝送が実行されたか否かを判別する。
【0049】
ステップS106で判別した結果、データ伝送が完了していないと判別した場合(ステップS106のNo)、ステップS106に戻る。一方、ステップS106で判別した結果、データ伝送が完了したと判別した場合(ステップS106のYes)、本通信方式切替処理を終了する。
【0050】
ステップS104で判別した結果、記憶している閾値よりも長くいないと判別した場合(ステップS104のNo)、近接無線通信制御プログラム51は、データ伝送が完了したか否かを判別する(ステップS107)。即ち、閾値よりもデータ伝送時間が短いと判別した場合には、近接無線通信によるデータ伝送を継続する。
【0051】
ステップS107で判別した結果、データ伝送が完了していないと判別した場合(ステップS107のNo)、ステップS103に戻る。即ち、近接無線通信の通信環境の変化(デバイスの位置関係に変化があった場合等)がある場合も想定されるため、データ伝送時間を再度算出する。
【0052】
一方、ステップS107で判別した結果、データ伝送が完了したと判別した場合(ステップS107のYes)、本通信方式切替処理を終了する。
次に、図5を用いて、通信方式切替をユーザ選択によって行う場合について説明する。図5は、実施形態の情報処理装置の通信方式切替のユーザ選択画面の一例を示す図である。
【0053】
図4では、算出したデータ伝送時間が閾値よりも長いか否かに基づいて自動で通信方式を切り替えるとした(ステップS104)が、算出したデータ伝送時間を通知するユーザ選択画面40をディスプレイ4aに表示させ、ユーザ選択によって通信方式を切り替えるとしても良い。図5の例では、近接無線通信としてTransferJet(登録商標)、近距離無線通信としてBluetooth(登録商標)を例に示す。
【0054】
図5(A)に示すユーザ選択画面40は、算出したデータ伝送時間と共に、TransferJet(登録商標)によるデータ伝送を継続することを選択する近接無線通信選択ボタン41と、Bluetooth(登録商標)によるデータ伝送に切り替えることを選択する近距離無線通信切替ボタン42と、データ伝送を中止することを選択するキャンセルボタン43とが表示される。
【0055】
図5(A)に示すユーザ選択画面40において、近距離無線通信切替ボタン42が選択されると、通信方式の切替を確認するために図5(B)に示すユーザ選択画面40へ遷移する。図5(B)に示すユーザ選択画面40には、近距離無線通信制御プログラム52が算出した近距離無線通信によるデータ伝送時間と共に、Bluetooth(登録商標)に切り替えることを選択する近距離無線通信切替ボタン44と、Bluetooth(登録商標)に切り替えることを中止することを選択するキャンセルボタン45とが表示される。
【0056】
近距離無線通信切替ボタン44が選択されると図4のステップS105に遷移し、
キャンセルボタン45が選択されると図4のステップS107に遷移する。以上のようなユーザ選択画面40を表示させて、ユーザに通信方式の切替を選択させることも可能である。
【0057】
尚、本実施の形態においては、近接無線通信から近距離無線通信へ切り替える場合について説明したが、近距離無線通信へ切替後に再び近接無線通信へ切替可能としても良い。即ち、パーソナルコンピュータ2で操作する必要がなくなった場合には、再びカメラ1をパームレスト上に載置ことで近接無線通信に切り替えて高速データ伝送を行うとしても良い。
【0058】
また、本実施の形態においては、情報処理装置として、カメラ1及びパーソナルコンピュータ2を例に説明したがこの形態に限定されることはなく、近接無線通信モジュール及び近距離無線通信モジュールを備えるものであれば他の装置でも良い。例えば本実施の形態の通信方式切替は、テレビジョン受像機とビデオカメラとの間のデータ伝送に用いても良いし、メインのパーソナルコンピュータと携帯用の小型のパーソナルコンピュータとの間のデータ伝送に用いても良い。
【0059】
以上のように構成される本実施の形態によれば、近接無線通信が可能な情報処理装置の操作性向上を図ることができる。近接無線通信においては、通信可能距離が短いことからデバイス同士を近接しておかなければならなかったが、近接無線通信よりも通信可能距離の長い近距離無線通信へ切替可能とすることで、デバイスを移動させてもデータ伝送を継続することができる。
【0060】
尚、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を構成できる。例えば、実施形態に示される前構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0061】
1…カメラ、2…パーソナルコンピュータ、3…本体ユニット、4…ディスプレイユニット、5…ヒンジ、6…タッチパッド、7…キーボード、8…電源スイッチ、10…CPU、11…ノースブリッジ、12…主メモリ、13…グラフィックスコントローラ、14…VRAM、15…サウスブリッジ、16…HDD、17…BIOS−ROM、18…EC/KBC、19…電源コントローラ、20…バッテリ、21…ACアダプタ、22…近接無線通信モジュール、23…近接無線通信アンテナ、24…近距離無線通信モジュール、25…近距離無線通信アンテナ、26…LED、40…ユーザ選択画面、41…近接無線通信選択ボタン、42…近距離無線通信切替ボタン、43…キャンセルボタン、44…近距離無線通信切替ボタン、45…キャンセルボタン、50…OS、51…近接無線通信制御プログラム、52…近距離無線通信プログラム、100…レンズ、101…CCDセンサ、102…操作ボタン、103…LCD、104…SDカードスロット、105…近接無線通信モジュール、106…近接無線通信アンテナ、107…近距離無線通信モジュール、108…近距離無線通信アンテナ、109…メモリ、110…RAM、111…近接無線通信制御プログラム、112…近距離無線通信制御プログラム、113…CPU、114…バッテリコントローラ、115…バッテリ、116…SDカードコントローラ、117…SDカード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証不要な近接無線通信である第1の通信方式で通信する第1の通信手段と、
前記近接無線通信よりも通信可能距離が長い第2の通信方式で通信する第2の通信手段と、
前記第1の通信モジュールが他の情報処理装置と第1の通信方式によりデータ伝送を開始した後、前記第2の通信方式に切り替えて前記データを伝送するように制御する通信制御手段と
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記第1の通信方式は前記第2の通信方式よりも伝送速度が速い、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第2の通信方式は認証が必要であって、
前記第2の通信方式に用いる認証情報を前記第1の通信方式で前記他の情報処理装置に伝送する、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記通信制御手段は、前記第1の通信方式による前記データの通信完了までの時間が閾値以上である場合に、前記第2の通信方式に切り替える、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記データの伝送を前記第1の通信方式から前記第2の通信方式に切り替えるか否かをユーザに選択させる手段を更に備える、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項6】
認証不要な近接無線通信である第1の通信方式で通信を確立し、
前記第1の通信方式による通信を介して、データ伝送を開始し、
前記データ伝送を開始した後、前記近接無線通信よりも通信可能距離が長い第2の通信方式に切り替えて前記データを伝送するように制御する通信制御方法。
【請求項7】
前記第1の通信方式は前記第2の通信方式よりも伝送速度が速い、請求項6記載の通信制御方法。
【請求項8】
前記第2の通信方式は認証が必要であって、
前記第2の通信方式に用いる認証情報を前記第1の通信方式で前記他の情報処理装置へ伝送する、請求項6記載の通信制御方法。
【請求項9】
前記第1の通信方式による前記データの通信完了までの時間が閾値以上である場合に、前記第2の通信方式に切り替える、請求項6記載の通信制御方法。
【請求項10】
前記データの伝送を前記第1の通信方式から前記第2の通信方式に切り替えるか否かをユーザに選択させる手段を更に備える、請求項6記載の通信制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−80289(P2012−80289A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223189(P2010−223189)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】