説明

情報処理装置

【課題】例えばトランスポートストリームで送信される放送データとプログラムストリームで送信される放送データとの両方を低コストで暗号化処理を施すことを実現する情報処理装置を提供する。
【解決手段】デジタルTVチューナ201およびOFDMデモジュレータ202からなるデジタルTV放送受信処理部116は、地上波デジタルTV放送のようなデジタル放送番組を受信し、アナログTVチューナ301およびMPEG2エンコーダ302からなるアナログTV放送受信処理部117は、地上波アナログTV放送のようなアナログ放送番組を受信する。暗号化機118は、デジタルTV放送受信処理部116から放送番組データが入力されると、それを第1の方式で復号および暗号化してPCIバス上に出力し、アナログTV放送受信処理部117から放送番組データが入力されると、それを第2の方式で復号および暗号化してPCIバス上に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、テレビジョン放送を受信・視聴するテレビジョン機能を有するパーソナルコンピュータなどに適用して好適な暗号化技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、データ通信用の環境が整備され、また、動画像データの圧縮符号化技術や画像処理技術が向上したことに伴い、テレビジョン放送を受信・視聴するテレビジョン機能を搭載するパーソナルコンピュータが製造・販売されるに至っている。また、最近では、デジタル信号でテレビジョン放送データを送信するデジタル放送も普及し始めているため、不正な複製を防止するための対策として、テレビジョン放送データの受信装置内における暗号化についても種々提案がなされている(例えば特許文献1等参照)。
【0003】
この特許文献1等に記載された暗号化を行えば、その内容を秘匿化してテレビジョン放送データをバスに送出することになるので、著作権等を確実に保護できる。
【特許文献1】特開2001−45432号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、デジタル信号によるHD(High Definition)放送とアナログ信号によるSD(Standard Definition)放送の2形態のテレビジョン放送が並立しており、これら両方を受信・視聴したいというユーザからの要望も強い。デジタル信号によるHD放送のテレビジョン放送データは、トランスポートストリーム(TS)で送信され、アナログ信号によるSD放送のテレビジョン放送データは、プログラムストリーム(PS)で送信されている。
【0005】
この要望に応えるためには、各形態のテレビジョン放送データを受信するチューナをそれぞれパーソナルコンピュータに設けることが必要である。そして、今後、HD放送に加えて、SD放送も暗号化が施された場合、著作権等の保護を考慮すれば、各形態に対応する(復号および再暗号化のための)暗号化機をそれぞれ準備することが好ましい。
【0006】
しかしながら、HD放送用の暗号化機およびSD放送用の暗号化機の2つを搭載するとなると、コストアップを招くのは勿論、例えばノートブックタイプのパーソナルコンピュータの場合、さらに小型軽量化を阻害するといった問題も発生させてしまう。
【0007】
この発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、例えばトランスポートストリーム(TS)で送信されるHD放送のテレビジョン放送データとプログラムストリーム(PS)で送信されるSD放送のテレビジョン放送データとの両方を低コストで暗号化処理を施すことを実現する情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、この発明の情報処理装置は、暗号化された第1のデータ構造の第1のテレビジョン放送データを受信する第1のチューナと、暗号化された第2のデータ構造の第2のテレビジョン放送データを受信する第2のチューナと、各種データを転送するためのバスと、前記第1のチューナで受信された前記第1のテレビジョン放送データを第1の方式で復号および再暗号化して前記バス上に出力し、前記第2のチューナで受信された前記第2のテレビジョン放送データを第2の方式で復号および再暗号化して前記バス上に出力する暗号化機とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、例えばトランスポートストリーム(TS)で送信されるHD放送のテレビジョン放送データとプログラムストリーム(PS)で送信されるSD放送のテレビジョン放送データとの両方を低コストで暗号化処理を施すことを実現する情報処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
まず、図1および図2を参照して、本発明の一実施形態に係る情報処理装置の構成について説明する。この情報処理装置は、例えば、ノートブック型パーソナルコンピュータ10として実現されている。
【0012】
図1はノートブック型パーソナルコンピュータ10のディスプレイユニットを開いた状態における斜視図である。本コンピュータ10は、コンピュータ本体11と、ディスプレイユニット12とから構成されている。ディスプレイユニット12には、TFT−LCD(Thin Film Transistor Liquid Crystal Display)17から構成される表示装置が組み込まれており、そのLCD17の表示画面はディスプレイユニット12のほぼ中央に位置されている。
【0013】
ディスプレイユニット12は、コンピュータ本体11に対して開放位置と閉塞位置との間を回動自在に取り付けられている。コンピュータ本体11は薄い箱形の筐体を有しており、その上面にはキーボード13、本コンピュータ1をパワーオン/パワーオフするためのパワーボタン14、入力操作パネル15、タッチパッド16およびスピーカ18A,18Bなどが配置されている。
【0014】
入力操作パネル15は、押下されたボタンに対応するイベントを入力する入力装置であり、複数の機能をそれぞれ起動するための複数のボタンを備えている。これらボタン群には、TV起動ボタン15AやDVD/CD起動ボタン15Bも含まれている。TV起動ボタン15Aは、TV放送番組データの再生および記録を行うためのTV機能を起動するためのボタンであり、ユーザによって押下されると、このTV機能を実行するためのTVアプリケーションプログラムが起動される。
【0015】
本コンピュータ10においては、汎用の主オペレーティングシステムの他に、AV(オーディオ・ビデオ)データを処理するための専用の副オペレーティングシステムがインストールされている。TVアプリケーションプログラムは、副オペレーティングシステム上で動作するプログラムである。
【0016】
パワーボタン14がユーザによって押下された時、主オペレーティングシステムが起動される。一方、TV起動ボタン15Aがユーザによって押下された時は、主オペレーティングシステムではなく、副オペレーティングシステムが起動され、そしてTVアプリケーションプログラムが自動的に実行される。副オペレーティングシステムはAV機能を実行するための最小限の機能のみを有している。このため、副オペレーティングシステムのブートアップに要する時間は、主オペレーティングシステムのブートアップに要する時間に比べて遙かに短い。よって、ユーザは、TV起動ボタン15Aを押すだけで、TV視聴/録画を即座に行うことが出来る。
【0017】
本コンピュータ10は、地上波デジタルTV放送および地上波アナログTV放送の両方のTV放送を受信、再生することができる。コンピュータ本体11の右側面には、地上波デジタルTV放送用のアンテナ端子19および地上波アナログTV放送用のアンテナ端子20が設けられている。
【0018】
DVD/CD起動ボタン15Bは、DVDまたはCDに記録されたビデオコンテンツを再生するためのボタンである。DVD/CD起動ボタン15Bがユーザによって押下された時、ビデオコンテンツを再生するためのビデオ再生アプリケーションプログラムが起動される。このビデオ再生アプリケーションプログラムも、副オペレーティングシステム上で動作するアプリケーションプログラムである。DVD/CD起動ボタン15Bがユーザによって押下された時は、主オペレーティングシステムではなく、副オペレーティングシステムが起動され、ビデオ再生アプリケーションプログラムが自動的に実行される。
【0019】
次に、図2を参照して、本コンピュータ10のシステム構成について説明する。
【0020】
本コンピュータ10は、図2に示されているように、CPU101、ノースブリッジ(NB)102、システムメモリ103、サウスブリッジ(SB)104、グラフィクスコントローラ105、サウンドコントローラ106、ビデオエンハンサ107、BIOS−ROM108、LANコントローラ109、ハードディスクドライブ(HDD)110、DVDドライブ(DVDD)111、カードコントローラ112、無線LANコントローラ113、IEEE 1394コントローラ114、エンベデッドコントローラ(EC)115、デジタルTV放送受信処理部116、アナログTV放送受信処理部117、暗号化機118を備えている。
【0021】
CPU101は本コンピュータ10の動作を制御するプロセッサであり、HDD110からシステムメモリ103にロードされる、主オペレーティングシステム/副オペレーティングシステムおよびTVアプリケーションプログラムのような各種アプリケーションプログラムを実行する。また、CPU101は、BIOS−ROM108に格納されたシステムBIOS(Basic Input Output System)も実行する。システムBIOSはハードウェア制御のためのプログラムである。
【0022】
NB102は、CPU101のローカルバスとSB104との間を接続するブリッジデバイスである。NB102には、システムメモリ103をアクセス制御するメモリコントローラも内蔵されている。また、NB102は、AGP(Accelerated Graphics Port)バス、PCI express規格のシリアルバスなどを介してグラフィクスコントローラ105との通信を実行する機能も有している。
【0023】
グラフィクスコントローラ105は、本コンピュータ10のディスプレイモニタとして使用されるLCD17を制御する表示コントローラである。このグラフィクスコントローラ105によって生成される映像データは、ビデオエンハンサ107に送られ、映像データを高画質化するための映像処理(画質調整処理)が施される。このビデオエンハンサ107によって高画質化された映像データは、LCD17に送られる。また、このビデオエンハンサ107によって高画質化された映像データは、コンピュータ本体11に設けられたコネクタを介して外部のTVモニタやHDMIモニタに送出することもできる。
【0024】
SB104は、LPC(Low Pin Count)バス上の各デバイスおよびPCI(Peripheral Component Interconnect)バス上の各デバイスを制御する。また、SB104は、HDD110、DVDD111を制御するためのIDE(Integrated Drive Electronics)コントローラを内蔵している。さらに、SB104は、サウンドコントローラ106との通信を実行する機能も有している。
【0025】
サウンドコントローラ106は音源デバイスであり、再生対象のオーディオデータをスピーカ18A,18Bやコネクタを介して接続される外部の5.1チャンネルスピーカシステムに出力する。
【0026】
カードコントローラ112は、PCカード、SD(Secure Digital)カードのようなカードを制御する。無線LANコントローラ113は、例えばIEEE 802.11規格の無線通信を実行する無線通信デバイスである。IEEE 1394コントローラ114は、IEEE 1394規格のシリアルバスを介して外部機器との通信を実行する。EC115は、電力管理のためのエンベデッドコントローラと、キーボード13およびタッチパッド16を制御するためのキーボードコントローラとが集積された1チップマイクロコンピュータである。このEC115は、ユーザによるパワーボタン14の操作に応じて、本コンピュータ10をパワーオン/パワーオフする機能を有している。さらに、EC116は、ユーザによるTV起動ボタン15A、DVD/CD起動ボタン15Bの操作に応じて、本コンピュータ10をパワーオンすることもできる。
【0027】
デジタルTV放送受信処理部116は、地上波デジタルTV放送のようなデジタル放送番組を受信する装置であり、アンテナ端子19に接続されている。このデジタルTV放送受信処理部116は、図示のように、デジタルTVチューナ201およびOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)デモジュレータ202を備えている。デジタルTVチューナ201およびOFDMデモジュレータ202は、地上波デジタルTV放送の放送番組データを受信するチューナモジュールとして機能する。地上波デジタルTV放送においては、各放送番組データ(ビデオ、オーディオ)に対する圧縮符号化方式としてMPEG2が利用されている。また、映像フォーマットとしては、高解像度のHD(High Definition)が使用されている。
【0028】
このデジタルTVチューナ201およびOFDMデモジュレータ202から構成されるデジタルTV放送受信処理部116は、アンテナ端子19から入力されるTV放送信号の中から特定チャネルの放送信号を受信し、その受信したTV放送信号からトランスポートストリーム(TS)を取り出す。トランスポートストリームは、圧縮符号化された放送コンテンツを多重化したストリームである。地上波デジタルTV放送においては、チャネル(物理チャネル)毎に複数の番組が多重化されている。トランスポートストリームは、192バイトのパケットで構成される。
【0029】
一方、アナログTV放送受信処理部117は、地上波アナログTV放送のようなアナログ放送番組を受信する装置であり、アンテナ端子20に接続されている。このアナログTV放送受信処理部117は、図示のように、アナログTVチューナ301およびMPEG2エンコーダ302を備えている。アナログTVチューナ301は、アナログ放送番組を受信するチューナモジュールであり、アンテナ端子20から入力されるTV放送信号の中から特定チャネルの放送信号を受信する。アナログTVチューナ301によって受信された放送番組データは、MPEG2エンコーダ302に送られる。MPEG2エンコーダ302は、放送番組データをMPEG2規格の符号化方式で圧縮符号化して、圧縮符号化されたビデオデータおよび圧縮符号化されたオーディオとが多重化されたプログラムストリーム(PS)を生成する。プログラムストリームは、トランスポートストリームよりも大きい4Kバイトのパケットで構成される。
【0030】
暗号化機118は、デジタルTV放送受信処理部116から入力されるトランスポートストリームを復号した後、TVアプリケーションプログラムと共有する暗号鍵を使って再暗号化し、PCIバスを介してシステムメモリ103に転送する。この復号は、予め与えられた(例えば機種や製造メーカの識別子から構成されるデバイス識別情報である)デバイス鍵とトランスポートストリーム内の所定の情報とから暗号鍵を生成して実施する。そして、この再暗号化によって、たとえPCIバス経由で放送番組データが不正に取り出されても、その取り出された放送番組データが再生されることを防止する。また、暗号化機118は、アナログTV放送受信処理部117から入力されるプログラムストリームについても、デバイス鍵やプログラムストリーム内の所定の情報を使った復号を行った後、TVアプリケーションプログラムと共有する暗号鍵を使って再暗号化し、PCIバスを介してシステムメモリ103に転送する。この暗号化されたトランスポートストリームおよびプログラムストリームは、暗号鍵を共有するTVアプリケーションプログラムによってソフトウェア的に復号されることになる。
【0031】
つまり、本コンピュータ10は、1台の暗号化機118で、デジタルTV放送の復号および再暗号化と、アナログTV放送の復号および再暗号化を行っており、この暗号化機118の共通化によって、(デジタルTV放送用およびアナログTV放送用にそれぞれ設ける場合に比べて)低コスト化を実現している。
【0032】
図3は、本コンピュータ10の暗号化機118の構成を示すブロック図である。図3に示されるように、暗号化機118は、暗号化部401、暗号鍵テーブル402、マルチプレクサ403,404、処理サイズテーブル405、トランスポートストリーム用のバッファ406、プログラムストリーム用のバッファ407を備えている。
【0033】
暗号化機118には、デジタルTV放送受信処理部116およびアナログTV放送受信処理部117からトランスポートストリームおよびプログラムストリームが常時供給されており、192バイト×2段のバッファ406および4Kバイト×2段のバッファ407に巡回的に蓄積されている。このバッファ406とバッファ407とは、マルチプレクサ403に接続されており、TVTVアプリケーションプログラムから送られる制御信号の値に基づき、いずれかの格納データが排他選択的に暗号化部401に供給されるようになっている。また、この制御信号は、マルチプレクサ404にも入力され、その結果、処理サイズテーブル405に格納された192バイトおよび4Kバイトのいずれかの処理サイズを再暗号化処理に適用すべきかが暗号化部401に指示されることになる。
【0034】
より具体的に説明すると、デジタルTV放送の視聴時には、TVアプリケーションプログラムから制御信号”0”が送られてくるので、マルチプレクサ403経由でトランスポートストリームが暗号化部401に供給され、かつ、このトランスポートストリームの暗号化処理を行う単位として、192バイトがマルチプレクサ404経由で暗号化部401に指示される。なお、ここでは、説明を分かり易くするために、暗号化部401によるトランスポートストリームの復号については考慮しない。一方、アナログTV放送の視聴時には、TVアプリケーションプログラムから制御信号”1”が送られてくるので、マルチプレクサ403経由でプログラムストリームが暗号化部401に供給され、かつ、このプログラムストリームの暗号化処理を行う単位として、4Kバイトがマルチプレクサ404経由で暗号化部401に指示される。
【0035】
このように、この暗号化機118は、TVアプリケーションプログラムから送られる制御信号に応じて、トランスポートストリームの暗号化およびプログラムストリームの暗号化を各々に適した処理単位で実行する。つまり、暗号化機構の共有化を実現する。
【0036】
また、暗号化部401は、マルチプレクサ404経由で処理サイズテーブル405から送られる処理サイズに応じて、その暗号化にて使用する暗号鍵を切り換える。暗号鍵テーブル402には、192バイト用の暗号鍵と4Kバイト用の暗号鍵とが予め相当数格納されており、暗号化部401は、このサイズ別の暗号鍵を所定の順序で使用していく。暗号化のサイズに応じて、つまりトランスポートストリームおよびプログラムストリームのいずれかに応じて、使用する暗号鍵を切り換えることにより、万が一、一方の暗号化が破られたとしても、その影響が他方に及ぶことが防止されるので、いわゆる被害の局所化が図られることになる。
【0037】
ところで、以上では、デジタルTV放送およびアナログTV放送のいずれかを排他選択的に視聴することを前提としたが、最近では、図4に示すように、複数の画像を表示する機能もよく利用されている。図4(A)は、ピクチャインピクチャなどと称され、メイン画面上の一部にサブ画面を表示する機能であり、一方、図4(B)は、サイドバイサイドなどと称され、2つの画像を並べて表示する機能である。
【0038】
つまり、このような機能を備える場合には、デジタルTV放送およびアナログTV放送の両方を同時に受信・視聴することが可能となるので、暗号化機118も、トランスポートストリームの暗号化とプログラムストリームの暗号化とを、見かけ上同時に並行して行う必要がある。
【0039】
このような場合、本コンピュータ10は、処理単位の小さい方、具体的には、4Kバイト単位で暗号化するプログラムストリームよりも192バイト単位で暗号化するトランスポートストリームを優先して暗号化を実行する。バッファサイズの小さい方を優先させることにより、必要最小限のバッファ容量を備えれば良くなるので、無用のコストアップを招くことを防止する。この優先制御は、TVアプリケーションプログラムの配下で行っても良いし、暗号化機118が独自に行っても良い。
【0040】
図5は、本コンピュータ10の暗号化機118による暗号化の動作手順を示す基本フローである。
【0041】
トランスポートストリームについて暗号化を行う場合(ステップA1のYES)、処理サイズとして192バイトが設定され(ステップA2)、また、192バイト用の暗号キーが選択される(ステップA3)。そして、設定した処理サイズおよび選択した暗号キーによるトランスポートストリーム用の暗号化が実行される(ステップA4)。
【0042】
一方、プログラムストリームについて暗号化を行う場合(ステップA1のNO)、処理サイズとして4Kバイトが設定され(ステップA5)、また、4Kバイト用の暗号キーが選択される(ステップA6)。そして、設定した処理サイズおよび選択した暗号キーによるプログラムストリーム用の暗号化が実行される(ステップA7)。
【0043】
また、図6には、トランスポートストリームおよびプログラムストリームの両方を並行して暗号化する場合の動作フローが示されている。
【0044】
トランスポートストリームおよびプログラムストリームの両方を並行して暗号化することとなった場合、まず、追加された入力がトランスポートストリームかを調べる(ステップB1)。もし、トランスポートストリームであれば(ステップB1のYES)、それまで行っていたプログラムストリームの暗号化を一旦中断し(ステップB2)、トランスポートストリームの暗号化を開始する(ステップB3)。一方、プログラムストリームであれば(ステップB1のNO)、それまで行っていたプログラムストリームの暗号化をそのまま継続する(ステップB4)。
【0045】
このトランスポートストリームの暗号化が終了すると、プログラムストリームのバッファがフル状態に達したかを調べ(ステップB5)、達していなければ(ステップB5のNO)、トランスポートストリームの暗号化を続いて実行する(ステップB6)。以降、プログラムストリームのバッファがフル状態に達しない間(ステップB7のNO)、トランスポートストリームの暗号化が優先して実行され(ステップB6)、プログラムストリームのバッファがフル状態に達する度(ステップB7のYES)、プログラムストリームの暗号化が実行される(ステップB8)。
【0046】
このように、本コンピュータ10は、1台の暗号化機118でトランスポートストリームの暗号化およびプログラムストリームの暗号化を実行し、低コスト化を実現する。
【0047】
なお、前述の実施形態では、データサイズの小さいトランスポートストリームの暗号化をデータサイズの小さいプログラムストリームの暗号化よりも優先する場合を例に挙げて説明したが、データサイズに限らず、例えば解像度の高い放送番組データの暗号化を解像度の低い放送番組データの暗号化よりも優先することも容易に可能である。
【0048】
つまり、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態に係るコンピュータの概観を示す斜視図。
【図2】図1のコンピュータのシステム構成を示すブロック図。
【図3】図1のコンピュータが備える暗号化機の構成を示すブロック図
【図4】図1のコンピュータにおいてデジタルTV放送およびアナログTV放送の両方が同時に表示される様子を示す図
【図5】図1のコンピュータが備える暗号化機による暗号化の動作手順を示す基本フロー
【図6】図1のコンピュータにおいてトランスポートストリームおよびプログラムストリームの両方を並行して暗号化する場合の動作フロー
【符号の説明】
【0050】
10…コンピュータ、11…コンピュータ本体、12…ディスプレイユニット、13…キーボード、14…パワーボタン、15…入力操作パネル、16…タッチパッド、17…LCD、18A,B…スピーカ、19…地上波デジタルTV放送用アンテナ端子、20…地上波アナログTV放送用アンテナ端子、101…CPU、102…ノースブリッジ(NB)、103…システムメモリ、104…サウスブリッジ(SB)、105…グラフィクスコントローラ、106…サウンドコントローラ、107…ビデオエンハンサ、108…BIOS−ROM、109…LANコントローラ、110…ハードディスクドライブ(HDD)、111…DVDドライブ(DVDD)、112…カードコントローラ、113…無線LANコントローラ、114…IEEE 1394コントローラ、115…エンベデッドコントローラ(EC)、116…デジタルTV放送受信処理部、117…アナログTV放送受信処理部、118…暗号化機、201…デジタルTVチューナ、202…OFDMデモジュレータ、301…アナログTVチューナ、302…MPEG2エンコーダ、401…暗号化部、402…暗号鍵テーブル、403,404…マルチプレクサ、405…処理サイズテーブル、406…トランスポートストリーム用バッファ、407…プログラムストリーム用バッファ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
暗号化された第1のデータ構造の第1のテレビジョン放送データを受信する第1のチューナと、
暗号化された第2のデータ構造の第2のテレビジョン放送データを受信する第2のチューナと、
各種データを転送するためのバスと、
前記第1のチューナで受信された前記第1のテレビジョン放送データを第1の方式で復号および再暗号化して前記バス上に出力し、前記第2のチューナで受信された前記第2のテレビジョン放送データを第2の方式で復号および再暗号化して前記バス上に出力する暗号化機と
を具備することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第1のデータ構造は、トランスポートストリーム(TS)であり、前記第2のデータ構造は、プログラムストリーム(PS)であることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記暗号化機は、前記第1の方式による前記第1のテレビジョン放送データの暗号化と前記第2の方式による前記第2のテレビジョン放送データの暗号化とで処理単位を切り換える手段を有することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記暗号化機は、前記第1の方式による前記第1のテレビジョン放送データの復号および再暗号化と前記第2の方式による前記第2のテレビジョン放送データの復号および再暗号化とで使用する暗号鍵を切り換える手段を有することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記暗号化機は、前記第1の方式による前記第1のテレビジョン放送データの暗号化を前記第2の方式による前記第2のテレビジョン放送データの暗号化よりも短い処理単位で実行し、前記第1のチューナで受信された前記第1のテレビジョン放送データと前記第2のチューナで受信された前記第2のテレビジョン放送データとの両方を並行して暗号化する場合、処理単位が短い前記第1のテレビジョン放送データの暗号化を前記第2のテレビジョン放送データの暗号化よりも優先して実行することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記暗号化機は、前記第2のテレビジョン放送データの暗号化を一旦中断して、前記第1のテレビジョン放送データの暗号化を実行する手段を有することを特徴とする請求項5記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1のテレビジョン放送データは、前記第2のテレビジョン放送データよりも高い解像度を有し、
前記暗号化機は、前記第1のチューナで受信された前記第1のテレビジョン放送データと前記第2のチューナで受信された前記第2のテレビジョン放送データとの両方を並行して暗号化する場合、解像度が高い前記第1のテレビジョン放送データの暗号化を前記第2のテレビジョン放送データの暗号化よりも優先して実行することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記暗号化機は、前記第2のテレビジョン放送データの暗号化を一旦中断して、前記第1のテレビジョン放送データの暗号化を実行する手段を有することを特徴とする請求項7記載の情報処理装置。
【請求項9】
暗号化されたHD(High Definition)放送を受信するHD放送受信チューナと、
暗号化されたSD(Standard Definition)放送を受信するSD放送受信チューナと、
各種データを転送するためのバスと、
前記HD放送受信チューナで受信されたテレビジョン放送データを第1の方式で復号および再暗号化して前記バス上に出力し、前記SD放送受信チューナで受信されたテレビジョン放送データを第2の方式で復号および再暗号化して前記バス上に出力する暗号化機と
を具備することを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
前記暗号化機は、前記HD放送受信チューナで受信されたテレビジョン放送データに対する前記第1の方式による暗号化と前記SD放送受信チューナで受信されたテレビジョン放送データに対する前記第2の方式による暗号化とで処理単位を切り換える手段を有することを特徴とする請求項9記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記暗号化機は、前記HD放送受信チューナで受信されたテレビジョン放送データと前記SD放送受信チューナで受信されたテレビジョン放送データとの両方を並行して暗号化する場合、前記HD放送受信チューナで受信されたテレビジョン放送データの暗号化を前記SD放送受信チューナで受信されたテレビジョン放送データの暗号化よりも優先して実行することを特徴とする請求項10記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記暗号化機は、前記SD放送受信チューナで受信されたテレビジョン放送データの暗号化を一旦中断して、前記前記SD放送受信チューナで受信されたテレビジョン放送データの暗号化を実行する手段を有することを特徴とする請求項11記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−140625(P2006−140625A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−326833(P2004−326833)
【出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】