説明

情報処理装置

【課題】非接触型ICカードの取り扱いを容易にする。
【解決手段】コンピュータ10には、非接触型ICカード25を収納するための非接触型ICカード用スロット22を設ける。非接触型ICカード用スロット22は、収納された非接触型ICカード25が、コンピュータ本体11の上面部に設けられたICカードリーダ/ライタ21と無線通信が可能な位置に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触型ICカードと無線通信を行う通信装置が搭載された情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置において、非接触型ICカードと無線通信を行う通信装置が搭載されたものがある。非接触型ICカードには、電車などの交通機関などにおいて乗車券として使用したり、一般の店舗やネットワークを介したオンラインショッピングなどにおいて電子マネーとして使用したりできる機能を有したものがある。
【0003】
非接触型ICカードは、通信装置から発信される電波をもとに、電磁誘導によって電力を発生させることによってデータの送受信を行う。従って、非接触型ICカードは、通信装置と近接させて載置した状態のままでは、磁界が変化しないために電力が発生せず、使用することができない。非接触型ICカードを使用する場合、利用者は、通信装置にかざす操作(通信装置と離れた位置から所定の距離まで近づけた後に離す操作)を、その都度行う必要がある。
【0004】
従来、非接触型のICカードの内容を他のICカードにコピーすることができるデータ通信方法が考えられている(特許文献1参照)。特許文献1に記載されたデータ通信方法では、リーダ/ライタに2枚のICカードを重ね合わせ、リーダ/ライタのアンテナと2枚のカードのアンテナとを相互に結合することで、カード間のデータのコピーを実現している。
【特許文献1】特開2002−24778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように従来の情報処理装置では、非接触型ICカードからデータを受信して処理する場合、ユーザが非接触型ICカードを情報処理装置に設けられた通信装置にかざす操作をする必要があった。従って、非接触型ICカードを複数回使用する場合には、その都度、同じ操作を繰り返して行わなければならず取り扱いが面倒となっていた。
【0006】
また、特許文献1のデータ通信方法では、2枚のICカードをリーダ/ライタに載置させることでICカード間でのコピーを実現しているが、コピーを実行する前にそれぞれのICカードに対する処理を実行する必要があった。すなわち、第1のICカードをリーダ/ライタを載置させることで、第1のICカードからデータ読み取って所定の処理を実行した後に、第2のICカードの載置を指示する。そして、リーダ/ライタに第2のICカードが載置されると、第2のICカードを認識し、メモリに記憶されている内容を確認する。つまり、特許文献1のデータ通信方法では、2枚のICカードを、個別にリーダ/ライタに載置させる操作が必要となる。従って、2枚のICカード間でデータをコピーする作業を複数回実行する場合には、その都度、2枚のICカードリーダ/ライタに載置させる操作が必要となり取り扱いが面倒となっていた。
【0007】
本発明は上述の事情を考慮してなされたものであり、非接触型ICカードの取り扱いを容易にすることが可能な情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するため、本発明は、筐体内に設けられた、非接触型ICカードと無線通信を行う通信装置と、前記非接触型ICカードを収納するためのものであって、収納された前記非接触型ICカードと前記通信装置とが通信が可能な位置に設けられた収納手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、非接触型ICカードを収納手段に収納した状態で通信装置との間で無線通信を行うので、非接触型ICカードに対する取り扱いを容易にすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
まず、図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る情報処理装置の構成について説明する。この情報処理装置は、例えば、バッテリ駆動可能なノートブック型の携帯型パーソナルコンピュータ10(以下、単にコンピュータ10と称する)として実現されている。
【0011】
図1はコンピュータ10のディスプレイユニットを開いた状態における斜視図である。コンピュータ10は、コンピュータ本体11と、ディスプレイユニット12とから構成されている。ディスプレイユニット12には、LCD(Liquid Crystal Display)17から構成される表示装置が組み込まれており、そのLCD17の表示画面はディスプレイユニット12のほぼ中央に位置されている。LCD17の両側には、一対のスピーカ(ツイータ)19aが配置されている。
【0012】
ディスプレイユニット12は、コンピュータ本体11に対して、コンピュータ本体11の上面が露出される開放位置と上面がディスプレイユニット12によって覆われる閉塞位置との間を回動自在に取り付けられている。コンピュータ本体11はバッテリが取り外し自在に装着可能な薄い箱形の筐体を有している。
【0013】
コンピュータ本体11の筐体の上面にはキーボード13、本コンピュータ10をパワーオン/オフするためのパワーボタンスイッチ14、タッチパッド15、オーディオ・ビデオ(AV)操作パネル16、AVコントローラ、ボリューム制御ダイヤル18、及び一対のスピーカ19bなどが配置されている。キーボード13は、上下左右の4つの方向キーと他の各種キー(アルファベットキー、数字キー、補助キー等)とを含む複数のキーを備えている。
【0014】
コンピュータ10は、TV放送番組、動画像データ、静止画、音楽といった各種メディアを再生するためのAV機能を有している。AV操作パネル16は、コンピュータ10のAV機能を制御するための複数のボタンを備えている。これらボタンの各々は、静電スイッチから構成されている。各静電スイッチの中央には、LED透光部が配置されている。各静電スイッチに対応して設けられたLEDからの光は、対応するLED透光部を介して外部に放出される。
【0015】
AV操作パネル16の複数のボタンには、TVボタン、CD/DVDボタン、LEDオン/オフボタン等が含まれている。TVボタンは、TV放送番組を視聴または録画するためのTV機能の起動を指示するボタンである。CD/DVDボタンは、CDメディアまたはDVDメディアに格納されたコンテンツを再生するためのCD/DVD機能の起動を指示するボタンである。LEDオン/オフボタンは、AV操作パネル16内の各LEDを制御するためのボタンである。
【0016】
また、本実施形態におけるコンピュータ10には、コンピュータ本体11の上面部にICカードリーダ/ライタ21(通信装置)が設けられている。ICカードリーダ/ライタ21は、非接触型ICカード25との間で無線通信によりデータの送受信を行う。ICカードリーダ/ライタ21は、非接触型ICカード25とのデータ送受信を実行する場合には一定磁界を発生させている。非接触型ICカード25は、利用者によってICカードリーダ/ライタ21にかざす(近接させる)操作が行われると、ICカードリーダ/ライタ21により発生されている磁界によって電力が誘起される。ICカードリーダ/ライタ21は、この誘起された電力によりデータ送受信のための動作を実行する。
【0017】
また、本実施形態におけるコンピュータ10には、コンピュータ本体11の筐体側面(図1においては左側面)から非接触型ICカード25を収納させることができる非接触型ICカード用スロット22が設けられている。非接触型ICカード用スロット22は、コンピュータ本体11の筐体上面部に設けられたICカードリーダ/ライタ21の下方部に設けられている。また、非接触型ICカード用スロット22は、その内部に収納された非接触型ICカード25とICカードリーダ/ライタ21とが安定して通信可能となるように、ICカードリーダ/ライタ21と近接させた位置に設けられる。
【0018】
図2は、図1におけるA−A線における断面図である。なお、図2は、非接触型ICカード25が非接触型ICカード用スロット22が収容されている状態を示している。
【0019】
図2に示すように、非接触型ICカード25は、非接触型ICカード用スロット22に収納されることで、ICカードリーダ/ライタ21と近接させた位置でコンピュータ本体11に内蔵される。
【0020】
非接触型ICカード用スロット22には、例えば最も奥にカード検知センサ26が設けられている。カード検知センサ26は、非接触型ICカード25が非接触型ICカード用スロット22に収納されているか否かを検知するためのものある。カード検知センサ26は、非接触型ICカード25が非接触型ICカード用スロット22に完全に収納されると、非接触型ICカード25の端部が接触される位置に設けられている。
【0021】
ただし、非接触型ICカード25は、ICカードリーダ/ライタ21と無線通信をするため、完全な状態で非接触型ICカード用スロット22に収納された状態でなくても、ICカードリーダ/ライタ21との間でデータ送受信が可能である。従って、カード検知センサ26は、非接触型ICカード25がICカードリーダ/ライタ21と無線通信が可能な位置まで収納されたことを検知できれば良い。
【0022】
なお、図2においては、非接触型ICカード用スロット22に挿入された非接触型ICカード25を内部で安定して保持するための機構、また非接触型ICカード25を非接触型ICカード用スロット22から取り出すための機構などの図示を省略している。
【0023】
また、図2においては、カード検知センサ26を設けて物理的に非接触型ICカード25を検知しているが、その他の方法によって非接触型ICカード25が非接触型ICカード用スロット22に収納されたことを検知するようにしても良い(例えば、図10において内蔵ICカード検知処理を示す)。この場合、図2に示す構成からカード検知センサ26を省略することができる。
【0024】
また、図2においては、ICカードリーダ/ライタ21がコンピュータ本体11の上面部に設けられていると説明しているが、非接触型ICカード25との間で電波を送受信するアンテナ部分がコンピュータ本体11の上面部に設けられていれば良い。ICカードリーダ/ライタ21のアンテナ部分以外の構成については、その他の場所に配置して、アンテナとケーブルなどにより接続する構成としても良い。
【0025】
また、ICカードリーダ/ライタ21と非接触型ICカード用スロット22に収納された非接触型ICカード25との無線通信の状態を安定化させるために、非接触型ICカード用スロット22の上面側を、無線通信の障害とならない部材により構成したり、開口部を設けたりしても良い。さらに、コンピュータ本体11の内部に収納された他の電子部品から発生される電磁波の影響を排除するために、ICカードリーダ/ライタ21と非接触型ICカード用スロット22(非接触型ICカード25)の周囲を覆う部材を設けても良い。
【0026】
次に、図3を参照して、本コンピュータ10のシステム構成について説明する。
【0027】
本コンピュータ10は、CPU111、ノースブリッジ114、主メモリ115、グラフィクスプロセッシングユニット(GPU)116、サウスブリッジ117、BIOS−ROM120、ハードディスクドライブ(HDD)121、光ディスクドライブ(ODD)122、サウンドコントローラ123、TVチューナ124、エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)140、及び電源回路141等を備えている。
【0028】
CPU111は本コンピュータ10の動作を制御するために設けられたプロセッサであり、HDD121から主メモリ115にロードされる、オペレーティングシステム(OS)112や、非接触型ICカード25を利用するアプリケーションプログラム113などの各種アプリケーションを実行する。さらに、CPU111は、BIOS−ROM120に格納されたBIOS(Basic Input Output System)も実行する。
【0029】
ノースブリッジ114はCPU111のローカルバスとサウスブリッジ117との間を接続するブリッジデバイスである。ノースブリッジ114には、主メモリ115をアクセス制御するメモリコントローラも内蔵されている。また、ノースブリッジ114は、PCI Expressバスなどを介してグラフィクスプロセッシングユニット(GPU)116との通信を実行する機能も有している。
【0030】
グラフィクスプロセッシングユニット(GPU)116は、本コンピュータ10のディスプレイモニタとして使用されるLCD17を制御する表示コントローラである。GPU116は、OSまたはアプリケーションプログラムによってビデオメモリ(VRAM)116Aに書き込まれた表示データから、LCD17に表示すべき画面イメージを形成する映像信号を生成する。
【0031】
サウスブリッジ117は、ハードディスクドライブ(HDD)121及び光ディスクドライブ(ODD)122を制御するための、IDE(Integrated Drive Electronics)コントローラやSerial ATAコントローラを内蔵している。
【0032】
サウンドコントローラ123は音源デバイスであり、各種オーディオデータに対応する音をスピーカ19a,19bから出力するための処理を実行する。TVチューナ124は、TV放送信号によって放送される放送番組データを受信する。
【0033】
エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)140は、電力管理のためのエンベデッドコントローラと、キーボード(KB)13及びタッチパッド15を制御するためのキーボードコントローラとが集積された1チップマイクロコンピュータである。EC/KBC140には、本コンピュータ10が電源オフされた状態においても、電源回路141から常に動作電源が供給される。また、EC/KBC140は、AV操作パネル16、AVコントローラ20、及びICカードリーダ/ライタ21を制御するためのコントローラとして機能する。EC/KBC140とAVコントローラ20との間の通信は、例えば、シリアルバス等を介して実行される。
【0034】
またEC/KBC140は、ユーザによるパワーボタンスイッチ14の操作に応じて本コンピュータ10をパワーオン/パワーオフする機能を有している。本コンピュータ10のパワーオン/パワーオフの制御は、EC/KBC140と電源回路141との共同動作によって実行される。電源回路141は、コンピュータ本体11に装着されたバッテリ142からの電力、またはコンピュータ本体11に外部電源として接続されるACアダプタ143からの電力を用いて、各コンポーネントへの動作電源を生成する。
【0035】
次に、図4を参照して、ICカードリーダ/ライタ21を制御するためのハードウェアとソフトウェアとの関係について説明する。
【0036】
上述したように、キーボード13、タッチパッド15、及びICカードリーダ/ライタ21等はEC/KBC140に接続されている。キーボード13上の押下キーに対応するキーコードは、EC/KBC140及びOS112を介してアプリケーションプログラムに送られる。また、ICカードリーダ/ライタ21により非接触型ICカード25から入力されたデータは、例えば、EC/KBC140、及びOS12を介して、非接触型ICカード25を利用するアプリケーションプログラム113に送られる。
【0037】
OS112は、アプリケーションプログラム113からの指示に応じて、EC/KBC140を介してICカードリーダ/ライタ21の動作を制御する。例えば、OS112は、アプリケーションプログラム113からの指示に応じて、ICカードリーダ/ライタ21に対して誘導磁界を発生させることができるものとする。すなわち、内蔵非接触型ICカード25が非接触型ICカード用スロット22に収納された状態にある場合(以下、この状態にある内蔵非接触型ICカード25を内蔵非接触型ICカード25と称する)には、ICカードリーダ/ライタ21から放射される一定磁界では誘起電力を発生することができない。従って、内蔵非接触型ICカード25とのデータ送受信を実行する場合には、OS112は、停止状態にある内蔵非接触型ICカード25において誘起電力を発生させることが可能な誘導磁界をICカードリーダ/ライタ21によって発生させる。
【0038】
なお、ICカードリーダ/ライタ21が一定磁界だけでなく誘導磁界を任意に放射することできる磁界放射機能が設けられている場合には、前述のようにして、ICカードリーダ/ライタ21を制御することによって誘導磁界を放射させることができる。これに対して、ICカードリーダ/ライタ21が一定時間のみを放射できる磁界放射機能しか有していない場合には、非接触型ICカード用スロット22(及びICカードリーダ/ライタ21)の近傍に、誘導磁界を放射させる磁界放射機能を設ける構成としても良い。この磁界放射機能は、非接触型ICカード用スロット22の近傍に設置されたアンテナ等を含み、例えばOS112によって制御可能なコントローラにより駆動される。この磁界放射機能によって誘導磁界を発生させることにより、非接触型ICカード25は、電力が誘起され、ICカードリーダ/ライタ21と無線通信が可能な状態となる。
【0039】
次に、非接触型ICカード25の構成について説明する。
図5は、非接触型ICカード25の構成例を示すブロック図である。非接触型ICカード25は、例えば、図に示すようなアンテナ(ループアンテナ)30及びコンデンサ31が設けられており、ICカードリーダ/ライタ21との間で信号を送受信する。
【0040】
インタフェース部37は、アンテナ30を介して受信された信号を検波して復調部38に出力し、変調部40によって変調された信号をループアンテナ30から送信する。また、インタフェース部37は、アンテナ30により誘起された電力を安定化して各部に供給する。また、インタフェース部37は、動作に必要なクロック等を生成して各部に供給する。
【0041】
CPU33は、ROM34に格納されている制御プログラムをRAM35に展開し、非接触型ICカード25の全体の動作を制御する。例えば、CPU33は、ICカードリーダ/ライタ21から放射されている電磁波がアンテナ30において受信され、インタフェース部37より電力が供給されると、EEPROM36あるいはROM34に設定されている、識別情報としてのカードIDやその他のデータをデータ送信部41を通じてICカードリーダ/ライタ21に送信する。また、CPU33は、データ受信部39を通じて入力されるICカードリーダ/ライタ21からのデータを処理する。また、CPU33は、カードIDをICカードリーダ/ライタ21(コンピュータ10)に送信するだけでなく、ICカードリーダ/ライタ21との間での認証処理や、送受信されるデータの暗号化/復号化処理など様々な処理を実行する。例えば、非接触型ICカード25が電子マネーとして使用される場合、CPU33は、電子マネー(残金)を管理する処理を実行する。CPU33は、残金を示すデータをEEPROM36に記録して管理する。
【0042】
次に、コンピュータ10に搭載されたICカードリーダ/ライタ21と非接触型ICカード25との位置関係について説明する。
図6は、コンピュータ本体11の筐体内に設置されたICカードリーダ/ライタ21と、コンピュータ本体11の外部で使用される非接触型ICカード25aと、非接触型ICカード用スロット22に収納された非接触型ICカード25bとの相対的位置関係を横から見た図である。また、図7は、ICカードリーダ/ライタ21と内蔵非接触型ICカード25a,25bの位置関係を上から見た図である。
【0043】
ICカードリーダ/ライタ21は、コンピュータ10を水平に設置した状態において、上下方向に電磁波(信号)を安定して送受信することができる指向性を有している。非接触型ICカード用スロット22はICカードリーダ/ライタ21の下方部に設けられていることにより、非接触型ICカード用スロット22に収納された非接触型ICカード25aと安定した状態で信号の送受信をすることができる。また、非接触型ICカード25aは、利用者によってICカードリーダ/ライタ21が設けられた位置にかざすようにして使用される。従って、ICカードリーダ/ライタ21は、安定した状態で信号の送受信が可能な上方向と下方向のそれぞれにおいて、2枚の非接触型ICカード25a,25bと無線通信を行うことができる。
【0044】
本実施の形態におけるコンピュータ10では、非接触型ICカード25a,25bをそれぞれ単独で使用するだけでなく、図6及び図7に示すように、2枚の非接触型ICカード25a,25bを同時に使用することができる。2枚の内蔵非接触型ICカード25a,25bを同時に使用する場合には、予め非接触型ICカード25bを収納させた状態で非接触型ICカード25aをICカードリーダ/ライタ21にかざして使用する第1の形態、あるいは非接触型ICカード25bを収納させた状態で、非接触型ICカード25aをコンピュータ本体11の上面のICカードリーダ/ライタ21が設けられた位置に載置した状態で使用する第2の形態などがある。
【0045】
次に、2枚の非接触型ICカード25a,25bを同時に使用する場合における、ICカードリーダ/ライタ21と各非接触型ICカード25a,25bとの無線通信のタイミングについて説明する。
図8は、2枚の非接触型ICカード25とICカードリーダ/ライタ21との通信期間を示す図である。ここでは、前述した第2の形態で使用される場合を例にして説明する。
【0046】
ICカードリーダ/ライタ21は、非接触型ICカード25が、非接触型ICカード用スロット22に収納されている、あるいはコンピュータ本体11の上に載置された状態では、一定磁界を発生させている間には、非接触型ICカード25との間でデータ送受信することができない。
【0047】
この場合、ICカードリーダ/ライタ21は、OS112(アプリケーションプログラム113)からの要求に応じて、図8に示すように、非接触型ICカード25に対して電力を発生させることができる誘導磁界を発生させる。これにより、コンピュータ本体11の内外にある非接触型ICカード25a,25bは、それぞれ電力を発生して、ICカードリーダ/ライタ21とのデータ送受信のための動作を開始する(図8(1)(2))。
【0048】
この時、非接触型ICカード25は、ICカードリーダ/ライタ21からの信号を受信して動作を開始する際、例えば乱数を発生させて、その乱数値に応じたタイミングでデータ送受信のための動作を開始する。すなわち、非接触型ICカード25は、個々に決定されるランダムなタイミングでICカードリーダ/ライタ21とのデータ送受信のための動作を開始する。このため、ICカードリーダ/ライタ21が誘導磁界を発生させることによって2枚の非接触型ICカード25a,25bが同時に電力を発生して動作を開始しても、データ送受信のための動作の開始タイミングをずらすことができる。
【0049】
例えば、図8(1)は、先にデータ送受信の動作を開始した第1の非接触型ICカード25の通信期間を示している。図8(1)に示すように、第1の非接触型ICカード25は、動作開始から(RND1)の時間が経過した後に、ICカードリーダ/ライタ21との間で通信を実行する。一方、図8(2)は、後にデータ送受信の動作を開始した第2の非接触型ICカード25の通信期間を示している。図8(2)に示すように、第2の非接触型ICカード25は、(RND1)よりも長い時間(RDN2)を経過した後に、データ送受信のための動作を開始する。すなわち、第2の非接触型ICカード25は、(RDN2)を経過した後にキャリアセンスを実行する。第2の非接触型ICカード25は、第1の非接触型ICカード25によるICカードリーダ/ライタ21との通信が終了した後に、ICカードリーダ/ライタ21との通信を開始する。
【0050】
次に、非接触型ICカード用スロット22に非接触型ICカード25が収納されたことを検知する方法について説明する。
非接触型ICカード用スロット22に非接触型ICカード25が収納されている場合、この非接触型ICカード25との通信を行うためには、前述したように、ICカードリーダ/ライタ21から誘導磁界を発生させる必要がある。コンピュータ10は、ICカードリーダ/ライタ21によって誘導磁界を発生させる必要があるか判別するために、非接触型ICカード用スロット22に非接触型ICカード25が収納されているか検知する。
【0051】
(a)カード検知センサ26を用いて検知する方法。
【0052】
図2に示すように、非接触型ICカード用スロット22にカード検知センサ26を実装することにより、非接触型ICカード用スロット22に非接触型ICカード25が収納されたことを検知する。カード検知センサ26は、例えばEC/KBC140を通じて、CPU111に非接触型ICカード25が収納されたことを検知する。OS112あるいはアプリケーションプログラム113は、非接触型ICカード25が内蔵されていることを示すデータを記録して、非接触型ICカード25の状態を管理する。
【0053】
(b)内蔵ICカード検知処理により検知する方法。
【0054】
コンピュータ10は、図9のフローチャートに示す内蔵ICカード検知処理を実行することにより、非接触型ICカード25が非接触型ICカード用スロット22に収納されているか否かを管理する。なお、内蔵ICカード検知処理は、アプリケーションプログラム113が実行しても良いし、アプリケーションプログラム113からの要求に応じてOS112が実行するものとしても良い。
【0055】
以下、内蔵ICカード検知処理について、図9のフローチャートを参照しながら説明する。
【0056】
ICカードリーダ/ライタ21は、定常状態として一定磁界を発生させている(ステップA1)。この状態では、ICカードリーダ/ライタ21に非接触型ICカード25が近接されることによって、ICカードリーダ/ライタ21と非接触型ICカード25との間でデータの送受信が可能となる。
【0057】
非接触型ICカード25からのデータ受信があった場合(ステップA2)、コンピュータ10は、ICカードリーダ/ライタ21を通じて、非接触型ICカード25からのカードIDを受信して記録しておく(ステップA3)。ここでは、外部の非接触型ICカード25aがICカードリーダ/ライタ21に近接されることによってカードIDが受信されたのか、非接触型ICカード25bが非接触型ICカード用スロット22に挿入されることによってカードIDが受信されたのかは判別できない。
【0058】
ここで、コンピュータ10は、一定時間が経過した後に、ICカードリーダ/ライタ21によって誘導磁界を発生させる(ステップA4)。なお、一定時間は、通常、外部の非接触型ICカード25aが使用される場合の、ICカードリーダ/ライタ21に対する操作が終わる十分な時間(例えば2秒程度)とする。
【0059】
一定時間後に誘導磁界を発生させた時、非接触型ICカード25からのデータ受信がない場合には(ステップA5、No)、コンピュータ10は、非接触型ICカード用スロット22には非接触型ICカード25が収納されていないと判別する。
【0060】
一方、一定時間後に誘導磁界を発生させた時、非接触型ICカード25からのデータ受信があった場合には(ステップA5、Yes)、コンピュータ10は、ここで受信されたカードIDと、先に受信されたカードIDとを比較する(ステップA6)。ここで、カードIDが同じでない場合には(ステップA7、No)、コンピュータ10は、非接触型ICカード用スロット22には非接触型ICカード25が収納されていないと判別する。
【0061】
これに対して、カードIDが同じである場合には(ステップA7、Yes)、コンピュータ10は、非接触型ICカード用スロット22に非接触型ICカード25が収納されたものと判別し、非接触型ICカード25が内蔵された状態にあることを示すデータを記録する(ステップA8)。
【0062】
つまり、非接触型ICカード25を非接触型ICカード用スロット22に収納する操作時にカードIDがICカードリーダ/ライタ21により受信され、その後、同じ非接触型ICカード25が非接触型ICカード用スロット22の内蔵された状態のままであれば、誘導磁界を発生させることで同じ非接触型ICカード25からIDカードが受信される。従って、同じカードIDが一定磁界時と誘導磁界時でそれぞれ受信された場合には、非接触型ICカード25が非接触型ICカード用スロット22に収納されたものと判別できる。
【0063】
その後、コンピュータ10は、ICカードリーダ/ライタ21によって一定磁界を発生させる(ステップA9)。ここで、非接触型ICカード25からカードIDの受信があり(ステップA10、Yes)、このカードIDが内蔵された非接触型ICカード25のカードIDと同じである場合には(ステップA11、Yes)、コンピュータ10は、非接触型ICカード用スロット22から非接触型ICカード25が取り出されたものと判別する。コンピュータ10は、非接触型ICカード25が内蔵された状態にあることを示すデータを消去する(ステップA12)。
【0064】
このようにして、ICカードリーダ/ライタ21から発生される磁界を一定磁界と誘導磁界で切り替えて、それぞれの時に非接触型ICカード25から読み取られるカードIDをもとにして、非接触型ICカード用スロット22に非接触型ICカード25が収納されていることを検知することができる。
【0065】
なお、前述した説明では、予め非接触型ICカード用スロット22に非接触型ICカード25が収納されているかを検知するとしているが、アプリケーションプログラム113によって実行されるアプリケーション処理において、非接触型ICカード25が非接触型ICカード用スロット22に収納されている必要がない場合、すなわち外部と内部の何れの非接触型ICカード25a,25bからデータを読み取っても良い場合には前述した処理を省略することができる。
【0066】
この場合、非接触型ICカード25とのデータ送受信が必要となった時点で誘導磁界を発生させる。この時に、非接触型ICカード25からのデータ受信がなかった場合には、非接触型ICカード用スロット22に非接触型ICカード25が収納されていないものと判別し、ICカードリーダ/ライタ21から一定磁界を発生させる。そして、利用者が非接触型ICカード25をICカードリーダ/ライタ21にかざす操作をすることによって、非接触型ICカード25からデータが受信されるのを待つ。
【0067】
次に、本実施形態におけるコンピュータ10の非接触型ICカード25を利用した具体的な処理について説明する。
図10は、料金決済機能(電子マネー等)を有する非接触型ICカード25によりカード決済を実行するICカード処理を示すフローチャートである。
【0068】
まず、コンピュータ10は、アプリケーションプログラム113によって、カード決済に関係するアプリケーション処理を実行する(ステップB1)。例えば、アプリケーションプログラム113は、利用者からの指示に応じて、非接触型ICカード25によって決済される金額の確定等を行う。ここで、非接触型ICカード25による決済の指示が利用者によって入力された場合、すなわち非接触型ICカード25に対するアクセス要求があると(ステップB2、Yes)、アプリケーションプログラム113は、OS112を介して、ICカードリーダ/ライタ21によって非接触型ICカード25との通信を実行させる。
【0069】
ここで、非接触型ICカード25が非接触型ICカード用スロット22によってコンピュータ本体11に内蔵されている場合(ステップB3、Yes)、アプリケーションプログラム113(あるいはOS112)は、ICカードリーダ/ライタ21によって誘導磁界を発生させて(ステップB4)、内蔵非接触型ICカード25との間でデータを送受信できるようにする。なお、非接触型ICカード25が内蔵されているか否かは、前述したカード検知センサ26あるいは内蔵ICカード検知処理によって予め検知されているものとする。
【0070】
ここで、非接触型ICカード25からデータ受信(カードID等)があった場合には(ステップB5、Yes)、アプリケーションプログラム113は、ICカードリーダ/ライタ21によって非接触型ICカード25との間でカード決済に係わるデータの送受信を実行し、非接触型ICカード25から受信したデータに対するカード決済のための処理を実行する(ステップB8)。例えば、非接触型ICカード25がプリペイド式の料金支払いの機能が搭載されている場合には、決済後のデータ(すなわち残金)を算出し、そのデータをICカードリーダ/ライタ21によって非接触型ICカード25に対して送信する(ステップB9)。
【0071】
なお、非接触型ICカード25がコンピュータ本体11に内蔵されていない場合(ステップB3、No)、あるいは誘導磁界を発生させても非接触型ICカード25からのデータ受信がない場合(ステップB5、No)には、アプリケーションプログラム113(OS112)は、ICカードリーダ/ライタ21により一定磁界を発生させて(ステップB6)、外部の非接触型ICカード25aからデータ受信されるのを待つ。すなわち、利用者による非接触型ICカード25aをICカードリーダ/ライタ21に近接させる操作を待つ。
【0072】
ここで、非接触型ICカード25からのデータ受信があった場合には(ステップB7、Yes)、アプリケーションプログラム113は、前述と同様にして、非接触型ICカード25から受信したデータに対する処理を実行し(ステップB8)、処理後のデータをICカードリーダ/ライタ21によって非接触型ICカード25に送信させる(ステップB9)。
【0073】
このようにして、本実施形態におけるコンピュータ10では、非接触型ICカード用スロット22に非接触型ICカード25に収納させておけば、カード決済時に利用者が非接触型ICカード25をICカードリーダ/ライタ21にかざす(近接させる)操作をすることなくカード処理を実行することができる。従って、複数回にわたってカード決済が必要な場合であっても、非接触型ICカード用スロット22に非接触型ICカード25を入れたままで良いため、非接触型ICカード25に対する利用者の取り扱いが容易となる。
【0074】
次に、本実施形態におけるコンピュータ10により2枚の非接触型ICカード25を同時に利用する場合の具体例について説明する。
本実施形態におけるコンピュータ10では、非接触型ICカード用スロット22に非接触型ICカード25bを収納した状態のままで、ICカードリーダ/ライタ21によって外部の非接触型ICカード25aとのデータ送受信が可能である。これを利用して、図11に示す第1のICカード処理、図12に示す第2のICカード処理を実行することができる。
【0075】
図11は、ICカードリーダ/ライタ21を介して、2枚の非接触型ICカード25a,25bとの間でデータをやりとりする第1のICカード処理を示している。例えば、非接触型ICカード25a,25bは、電子マネーの機能が搭載され、貨幣価値をチャージできるものとする。ここでは、例えば内蔵された非接触型ICカード25bにチャージされた貨幣価値を、外部の非接触型ICカード25aに移す処理を実行する。また、外部の非接触型ICカード25aは、コンピュータ本体11上のICカードリーダ/ライタ21が設けられた位置に載置された状態にあるものとする。
【0076】
また、図12は、ICカードリーダ/ライタ21と内蔵された非接触型ICカード25bとを介して、2枚の外部の非接触型ICカード25a1,25a2との間でデータをやりとりする第2のICカード処理を示している。ここでは、内蔵された非接触型ICカード25bを介して、例えば非接触型ICカード25a1に記録されているポイントを、別の非接触型ICカード25a2に移す処理を実行する。
【0077】
なお、図11及び図12は、ICカードリーダ/ライタ21と非接触型ICカード25a,25bとの関係を示す図であって、物理的な相対的な位置を示すものではない。
【0078】
まず、図11に示す第1のICカード処理について、図13に示すフローチャートを参照しながら説明する。
アプリケーションプログラム113は、利用者によるキーボード13やタッチパッド15に対する操作によって、処理対象とする非接触型ICカード25の設定を行う(ステップC1)。例えば、コンピュータ10は、第1のICカード処理の対象とする非接触型ICカード25について、予めアプリケーションプログラム113の処理によって登録しておく。すなわち、非接触型ICカード25からカードIDを読み込んで記録しておく(ステップC2)。そして、予め登録された複数の非接触型ICカード25(カードID)から貨幣価値のチャージ元と移動先を利用者に選択させる。
【0079】
また、アプリケーションプログラム113は、カード処理内容を設定する。ここでは、貨幣価値のチャージ元とする非接触型ICカード25から移動先の非接触型ICカード25に移動する貨幣価値(金額)を利用者からの指示に応じて設定する。
【0080】
なお、各非接触型ICカード25を使用する人物に関するデータをカードIDと対応付けて記録しておく。これにより、例えば父親が所有している非接触型ICカード25から、子供が所有している非接触型ICカード25に、金額5000円の貨幣価値を移動させるといった指示をすることができる。
【0081】
こうして処理内容が設定されて、処理の実行が指示されると、アプリケーションプログラム113は、処理対象とする非接触型ICカード25のカードID(チャージ元、移動先)と移動する貨幣価値(金額)を示すデータをICカードリーダ/ライタ21に対して通知すると共に、OS112を介して、ICカードリーダ/ライタ21により誘導磁界を発生させる(ステップC3)。
【0082】
ICカードリーダ/ライタ21は、第1の非接触型ICカード25からカードIDやチャージ金額を含むデータを受信すると(ステップC4)、この第1の非接触型ICカード25から受信したデータに対する処理を実行する(ステップC5)。
【0083】
例えば、第1の非接触型ICカード25から受信したカードIDがチャージ元として設定されているカードIDの場合には、現在のチャージ金額からアプリケーションプログラム113から指示された移動分の金額を差し引く。ICカードリーダ/ライタ21は、移動分の金額が差し引かれた処理後のデータを第1の非接触型ICカード25に送信する(ステップC6)。
【0084】
一方、ICカードリーダ/ライタ21は、第2の非接触型ICカード25からカードIDやチャージ金額を含むデータを受信すると(ステップC7)、この第2の非接触型ICカード25から受信したデータに対する処理を実行する(ステップC8)。
【0085】
例えば、第2の非接触型ICカード25から受信したカードIDが移動先として設定されているカードIDの場合には、読み出されたチャージ金額に、第1の非接触型ICカード25のチャージ金額から差し引いた金額(アプリケーションプログラム113から指示された金額)を現在のチャージ金額に加算する。ICカードリーダ/ライタ21は、処理後のデータを第2の非接触型ICカード25に送信する(ステップC9)。
【0086】
なお、前述した説明では、チャージ元とする非接触型ICカード25(内蔵された非接触型ICカード25b)から先にデータが受信された場合について説明しているが、移動先の非接触型ICカード25(外部の非接触型ICカード25a)からの先らデータを受信する場合もある。この場合も、前述と同様にして、チャージ元と移動先の非接触型ICカード25に対して行う処理を実行すれば良い。
【0087】
このようにして、ICカードリーダ/ライタ21を介して、非接触型ICカード用スロット22に内蔵された非接触型ICカード25bと外部の非接触型ICカード25aとの間で、非接触型ICカード25a,25bに対する取り扱いを簡単にしてデータのやり取りを実行することができる。
【0088】
また、非接触型ICカード25aと非接触型ICカード25bとは、ICカードリーダ/ライタ21によってデータのやり取りが行われるのでデータの正当性が保証される。すなわち、非接触型ICカード25a,25bとICカードリーダ/ライタ21との間でデータのやり取りが行われる場合には、認証処理や暗号化/復号化処理などの処理が介在するので、データの改ざんなどを防ぐことができる。
【0089】
なお、図13に示す処理では、アプリケーションプログラム113は、誘導磁界を1回発生させることで、2枚の非接触型ICカード25a,25bに対して、それぞれデータ送受信を実行して処理を完了しているが、非接触型ICカード25a,25bからのデータ受信と、非接触型ICカード25a,25bに対するデータ送信を分けて処理するようにしても良い。
【0090】
例えば、第1回目に発生させた誘導磁界によって2枚の非接触型ICカード25a,25bからデータを受信して、それぞれから受信したデータに対する処理を実行する。この時、何れの非接触型ICカード25から受信したデータにどのような処理を実行するかは、予めアプリケーションプログラム113から指示されたカードIDと処理内容に応じて実行する。ICカードリーダ/ライタ21は、その後に、第2回目の誘導磁界を発生させる。この時、ICカードリーダ/ライタ21は、非接触型ICカード25a,25bから受信されるカードIDをもとに、処理後のデータをそれぞれに対して送信する。
【0091】
第2回目に誘導磁界を発生させた場合には、図8を用いて説明したように、第1回目に誘導磁界を発生された時とは異なる順番で、ICカードリーダ/ライタ21と非接触型ICカード25a,25bとの間で通信が実行される可能性があるが、カードIDをもとにして整合性をとることができる。
【0092】
次に、図12に示す第2のICカード処理について、図14に示すフローチャートを参照しながら説明する。
アプリケーションプログラム113は、利用者によるキーボード13やタッチパッド15に対する操作によって、処理対象とする非接触型ICカード25の設定を行う(ステップD1)。処理対象とする非接触型ICカード25の設定は、前述した第1のICカード処理と同様にして実行する(ステップD2)。次に、アプリケーションプログラム113は、利用者からの指示に応じてカード処理内容を設定する。ここでは、例えば先に通信をした非接触型ICカード25a1に記録されていた全てのポイントを、後に通信をした非接触型ICカード25a2に移動させるものとする。
【0093】
こうして処理内容が設定されて、処理の実行が指示されると、アプリケーションプログラム113は、処理対象とする非接触型ICカード25のカードIDと処理内容(全ポイントの移動)を示すデータをICカードリーダ/ライタ21に対して通知すると共に、OS112を介してICカードリーダ/ライタ21によって一定磁界を放射させて、外部の非接触型ICカード25との無線通信が可能な状態にする。
【0094】
ここで、外部の第1の非接触型ICカード25(非接触型ICカード25a1)からデータを受信すると(ステップD3)、ICカードリーダ/ライタ21は、非接触型ICカード25a1から受信したデータに対する処理を実行する(ステップD4)。すなわち、カードIDをもとに処理対象とする非接触型ICカード25a1であることを確認し、記録されていたポイントを示すデータを取得する。そして、非接触型ICカード25a1に記録されるポイントを0にする。
【0095】
ここで、ICカードリーダ/ライタ21は、誘導磁界を発生させて(ステップD5)、非接触型ICカード用スロット22に内蔵された非接触型ICカード25bに、非接触型ICカード25a1から受信したポイントを送信する(ステップD6)。非接触型ICカード25bは、ICカードリーダ/ライタ21から受信したポイントを記録する。
【0096】
次に、ICカードリーダ/ライタ21は、ポイントの移動先となる外部の第2の非接触型ICカード25(非接触型ICカード25a2)とのデータ通信が可能となるように、一定磁界を放射してデータ受信待ちとなる。
【0097】
ここで、ICカードリーダ/ライタ21は、外部の非接触型ICカード25からカードIDを受信し、処理対象とする非接触型ICカード25a2であることを確認すると(ステップD7)、内蔵された非接触型ICカード25bに記録されたポイントを読み出すために誘導磁界を発生させる(ステップD8)。
【0098】
ICカードリーダ/ライタ21は、非接触型ICカード25bからポイントのデータを受信し(ステップD9)、このデータを非接触型ICカード25a2に送信する(ステップD10)。非接触型ICカード25a2は、ICカードリーダ/ライタ21から受信したポイントのデータを記録する。
【0099】
このようにして、非接触型ICカード用スロット22に内蔵された非接触型ICカード25bを介して、2枚の非接触型ICカード25a1,25a2との間でデータのやり取りを行うことができる。非接触型ICカード25bは、非接触型ICカード用スロット22に収納させたままで処理が可能であるので、3枚の非接触型ICカード25を使用するとしても取り扱いが煩雑となることはない。また、非接触型ICカード25bを介してデータのやり取りを行うのでデータの正当性が保証される。
【0100】
なお、前述した説明では、1つの非接触型ICカード用スロット22を設けているが、複数のスロットを設けて、同時に複数枚の非接触型ICカード25をコンピュータ本体11の筐体内に収納できるようにしても良い。例えば、ICカードリーダ/ライタ21(アンテナ部)をコンピュータ本体11の筐体内に設置し、このICカードリーダ/ライタ21の上下にそれぞれ1つの非接触型ICカード用スロット22を設置する。この場合、複数の非接触型ICカード25を同時にコンピュータ本体11の筐体内に内蔵することができ、この状態において複数の非接触型ICカード25との間でICカードリーダ/ライタ21により通信を行うことができる。
【0101】
また、前述した説明では、非接触型ICカード用スロット22は、非接触型ICカード25を脱着可能としているが、非接触型ICカード25を固定的に収納して取り出せない構成とすることもできる。
【0102】
また、非接触型ICカード用スロット22を非接触型ICカード25が脱着可能とする構成とした場合に、非接触型ICカード25を容易に取り出せないようにするロック機構を設けても良い。すなわち、非接触型ICカード25は、電子マネーとして使用することができる場合、盗難などによって他者に渡ってしまうと不正使用されるおそれがある。このため、コンピュータ10から利用者が離れたとしても、他者が容易に非接触型ICカード用スロット22から非接触型ICカード25を取り出せないようにする。例えば、コンピュータ10に利用者を認証する認証機能が搭載されている場合に、この認証機能によって正当な利用者であることが確認された場合のみロックを解除して、非接触型ICカード用スロット22から非接触型ICカード25を取り出せるようにする。
【0103】
また、前述した説明では、非接触型ICカード用スロット22に収納された非接触型ICカード25は、ICカードリーダ/ライタ21を介して無線通信によって接続されるが、物理的に接続される構成としても良い。この場合、非接触型ICカード25には、電気的に接続可能な外部端子を設ける。この外部端子は、非接触型ICカード25の表裏何れかの面、あるいは何れかの辺に設けることができる。また、非接触型ICカード用スロット22には、非接触型ICカード25が収納された際に、非接触型ICカード25に設けられた外部端子と接触する位置に接続端子を設ける。これにより、非接触型ICカード25が非接触型ICカード用スロット22に収納されると、非接触型ICカード25の外部端子と非接触型ICカード用スロット22の接続端子とが電気的に接続される。
【0104】
コンピュータ10は、非接触型ICカード25と電気的に接続されることにより、非接触型ICカード25が非接触型ICカード用スロット22に収納されたことを検知することができる。また、コンピュータ10は、非接触型ICカード25の動作を制御することができる。例えば、コンピュータ10は、非接触型ICカード25に対して所定の電圧を印加することで、非接触型ICカード25を動作可能な状態、あるいは不可能な状態に切り替えることができる。これにより、コンピュータ10は、アプリケーションによって設定された処理内容に応じて、例えば非接触型ICカード用スロット22に収納された非接触型ICカード25を動作不可能な状態にすることで、外部の非接触型ICカード25とのみ無線通信ができるようにすることができる。
【0105】
また、前述した説明では、コンピュータ本体11には、非接触型ICカード25に対してデータのリード/ライトを実行可能なICカードリーダ/ライタ21が設けられるとしているが、コンピュータ10(アプリケーションプログラム113)により実行されるICカード処理が、非接触型ICカード25に対するデータの書込みを不要とする場合には、非接触型ICカード25からデータを読み込むICカードリーダが実装されるとしても良い。
【0106】
また、前述した説明では、ノートブック型の携帯型パーソナルコンピュータ10を例にして説明しているが、ICカードリーダ/ライタ21(あるいはICカードリーダ)が実装される各種の情報処理装置に本発明を適用することが可能である。
【0107】
また、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】コンピュータ10のディスプレイユニットを開いた状態における斜視図。
【図2】図1におけるA−A線における断面図。
【図3】コンピュータ10のシステム構成を示すブロック図。
【図4】ICカードリーダ/ライタ21を制御するためのハードウェアとソフトウェアとの関係について示す図。
【図5】非接触型ICカード25の構成例を示すブロック図。
【図6】ICカードリーダ/ライタ21と非接触型ICカード25aと非接触型ICカード25bとの相対的位置関係を横から見た図。
【図7】ICカードリーダ/ライタ21と内蔵非接触型ICカード25a,25bの位置関係を上から見た図。
【図8】2枚の非接触型ICカード25とICカードリーダ/ライタ21との通信期間を示す図。
【図9】本実施形態における内蔵ICカード検知処理を示すフローチャート。
【図10】料金決済機能(電子マネー等)を有する非接触型ICカード25によりカード決済を実行するICカード処理を示すフローチャート。
【図11】ICカードリーダ/ライタ21を介して、2枚の非接触型ICカード25a,25bとの間でデータをやりとりする第1のICカード処理を示す図。
【図12】ICカードリーダ/ライタ21と内蔵された非接触型ICカード25bとを介して、2枚の外部の非接触型ICカード25a1,25a2との間でデータをやりとりする第2のICカード処理を示す図。
【図13】第1のICカード処理について示すフローチャート。
【図14】第2のICカード処理について示すフローチャート。
【符号の説明】
【0109】
10…コンピュータ、11…コンピュータ本体、22…非接触型ICカード用スロット、23…ICカードリーダ/ライタ、25…非接触型ICカード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に設けられた、非接触型ICカードと無線通信を行う通信装置と、
前記非接触型ICカードを収納するためのものであって、収納された前記非接触型ICカードと前記通信装置とが通信が可能な位置に設けられた収納手段と
を具備したことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
誘導磁界を放射させる磁界放射手段を前記収納手段の近傍に設けたことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記磁界放射手段は、前記通信装置に設けられたことを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記通信装置は、筐体の上面部に設けられ、
前記収納手段は、前記通信装置の上部に載置された非接触型ICカードと収納された非接触ICカードとが前記通信装置を挟んで対称となるように、前記通信装置が設置された下方部に設けられたことを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記通信装置は、前記収納手段に収納された前記非接触型ICカードと、筐体外の前記非接触型ICカードとの間で、それぞれ無線通信を行うことを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記収納手段は、前記非接触型ICカードを脱着可能となるように収納することを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記収納手段に前記非接触型ICカードが収納されたことを検知する検知手段をさらに具備したことを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記検知手段は、
前記収納手段に前記非接触型ICカードが収納された際に、前記非接触型ICカードと接触して前記非接触型ICカードが収納されたことを検知するセンサを含むことを特徴とする請求項7記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記検知手段は、
前記通信装置から一定磁界を放射している間に、前記非接触型ICカードから受信されたカードの第1識別情報を記録する識別情報記録手段と、
前記識別情報記録手段により前記識別情報を記録した一定時間後に、前記磁界放射手段により誘導磁界を放射させる磁界放射制御手段と、
前記磁界放射制御手段により誘導磁界を放射させた後に前記非接触型ICカードから受信された第2識別情報と、前記識別情報記録手段に記録された前記第1識別情報とが一致する場合に、前記収納手段に前記非接触型ICカードが収納されていると判別する判別手段と
を具備したことを特徴とする請求項7記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−217383(P2009−217383A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−58460(P2008−58460)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】