説明

情報処理装置

【課題】装置の消費電力を効果的に低減可能な技術を提供する。
【解決手段】通電制御部102は、定められた省エネ移行条件が成立した場合に、要報知エラーが発生中であるか否かを確認し、要報知エラーが発生中である場合は、エラーが発生しているか否かを検知するエラー検知部17と、音声を発生する音声発生部16と、音声発生部16に音声を発生させて音声報知処理を行わせる報知処理制御部101とを除くデジタル複合機1の各部に対する電力の供給を制限してデジタル複合機1を暫定省エネルギー状態に移行させる。一方、要報知エラーが発生中でない場合は、エラー検知部17と、音声発生部16と、報知処理制御部101とを含むデジタル複合機1の各部に対する電力の供給を制限してデジタル複合機1を完全省エネルギー状態に移行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報処理装置における消費電力を低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種の情報処理装置において、その消費電力を抑えることが重要な課題となっている。特に、プリンタ、FAX装置、複写機、スキャナ、または、それらの機能を併せ持つ複合機等の情報処理装置は、エナジースター規格の対象ともなっており、消費電力を抑えることが特に重用視されている。
【0003】
このような省エネルギー化への要求に応じるべく、消費電力の低減に有用な技術が各種提案されている。例えば、特許文献1には、装置内において復帰不能なエラーが発生した場合に装置を強制的に省エネルギー状態に移行させる技術が開示されている。復帰不能なエラーが装置内に発生した場合には装置が使用できない状態となってしまうにもかかわらず電力だけが消費されてしまうところ、特許文献1に開示の技術を適用すればこのような無駄な電力消費を低減することができる。
【0004】
特許文献1に開示の技術は、装置内において復帰不能なエラーが発生した場合には有効である。しかしながら、装置内に発生するエラーは必ずしも復帰不能なエラーだけではなく、ユーザの対処により復帰可能なエラーも数多く存在する。この類のエラーが装置内に発生した場合は、ユーザにエラーが発生したことを速やかに知得させるとともに適切な対処を促すことが優先されるべきである。そこで、例えば、特許文献2では、装置が省エネルギー状態に移行している状態であっても、記録紙のジャム、あるいは、記録紙無しのエラーが装置内に発生した場合は、表示部に対する給電を再開してユーザにエラーの報知を行う構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−12848号公報
【特許文献2】特開2003−319119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に開示の技術によると、装置が省エネルギー状態に移行している状態であっても、装置内に記録紙のジャム、あるいは、記録紙無しのエラーが発生した場合には、これをユーザに報知することができる。しかしながら、この構成によると、省エネルギー状態においても、エラーの発生を検知するセンサに給電を行い続ける必要があるため、省エネルギー状態における消費電力がその分だけ大きくなるという難点があった。
【0007】
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、装置の消費電力を効果的に低減可能な技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、エラーが発生しているか否かを検知するエラー検知部と、音声を発生する音声発生部と、ユーザへの報知が必要な要報知エラーが発生した場合に、前記音声発生部に音声を発生させてユーザに前記要報知エラーの発生を報知する音声報知処理を行わせる報知処理制御部と、定められた移行条件が成立した場合に、自装置が備える複数の要素のうちの対象となる複数の要素に対する電力の供給を制限することにより自装置を省エネルギー状態に移行させる通電制御部と、を備え、前記通電制御部が、前記移行条件が成立すると、前記要報知エラーが発生中であるか否かを前記エラー検知部の検知情報に基づいて判断し、前記要報知エラーが発生中でない場合は、前記対象となる複数の要素のうち、前記エラー検知部と、前記音声発生部と、前記報知処理制御部とを含む各要素に対する電力の供給を制限することにより、自装置を第1の省エネルギー状態に移行させ、前記要報知エラーが発生中である場合は、前記対象となる複数の要素のうち、前記エラー検知部と、前記音声発生部と、前記報知処理制御部とを除く各要素に対する電力の供給を制限することにより、自装置を第2の省エネルギー状態に移行させる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理装置であって、前記通電制御部が、自装置を前記第2の省エネルギー状態に移行させている状態において、発生中の前記要報知エラーが解除された場合に、自装置を前記第2の省エネルギー状態から前記第1の省エネルギー状態に移行させる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の情報処理装置であって、自装置において発生しうる前記要報知エラーの種類毎に、自装置が前記省エネルギー状態にある場合にはその発生をユーザに報知する必要がない要報知エラーである旨の除外指定をユーザから受け付ける受付部、を備え、前記通電制御部が、前記移行条件が成立した際に発生中の前記要報知エラーが前記除外指定されたエラーである場合は、自装置を前記第1の省エネルギー状態に移行させる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の情報処理装置であって、前記報知処理制御部が、前記通電制御部が自装置を前記第2の省エネルギー状態に移行させた場合に、前記音声発生部に前記音声報知処理を間隔をあけて繰り返し行わせる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の情報処理装置であって、前記通電制御部が、自装置を前記第2の省エネルギー状態に移行させている状態において、前記音声報知処理の繰り返し回数が定められた値を超えた場合に、自装置を前記第2の省エネルギー状態から前記第1の省エネルギー状態に移行させる。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の情報処理装置であって、前記エラー検知部が、複数のセンサ、を備え、前記通電制御部が、前記第2の省エネルギー状態において、前記複数のセンサのうち、発生中の前記要報知エラーを検知するセンサ以外のセンサに対する電力の供給を制限する。
【0014】
請求項7に記載の発明は、エラーが発生しているか否かを検知するエラー検知部と、ユーザへの報知が必要な要報知エラーが発生した場合に、前記要報知エラーの発生をユーザに報知する報知処理部と、定められた移行条件が成立した場合に、自装置が備える複数の要素のうちの対象となる複数の要素に対する電力の供給を制限することにより自装置を省エネルギー状態に移行させる通電制御部と、を備え、前記通電制御部が、前記移行条件が成立すると、前記要報知エラーが発生中であるか否かを前記エラー検知部の検知情報に基づいて判断し、前記要報知エラーが発生中でない場合は、前記対象となる複数の要素のうち、前記エラー検知部と、前記報知処理部とを含む各要素に対する電力の供給を制限することにより、自装置を第1の省エネルギー状態に移行させ、前記要報知エラーが発生中である場合は、前記対象となる複数の要素のうち、前記エラー検知部と、前記報知処理部とを除く各要素に対する電力の供給を制限することにより、自装置を第2の省エネルギー状態に移行させる。
【0015】
請求項8に記載の発明は、エラーが発生しているか否かを検知するエラー検知部と、音声を発生する音声発生部と、定められた移行条件が成立した場合に、自装置が備える複数の要素のうちの対象となる複数の要素に対する電力の供給を制限することにより自装置を省エネルギー状態に移行させる通電制御部と、前記通電制御部が自装置を前記省エネルギー状態に移行させている状態において、ユーザへの報知が必要な要報知エラーが発生している場合に、前記音声発生部に音声を発生させてユーザに前記要報知エラーの発生を報知する音声報知処理を行わせる報知処理制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によると、移行条件が成立した場合に、要報知エラーが発生中でない場合は、装置は第1の省エネルギー状態に移行され、要報知エラーが発生中の場合は、装置は第2の省エネルギー状態に移行される。第1の省エネルギー状態では、装置の消費電力を小さく抑えることができる。また、第2の省エネルギー状態では、装置の消費電力をある程度小さく抑えつつ、発生中の要報知エラーに係る音声報知処理を行わせ続けることができる。移行条件が成立した時点で適切な省エネルギー状態が選択されることによって、装置において無駄な電力消費が発生する時間帯が短くなる。すなわち、消費電力を効果的に抑えることが可能となる。
【0017】
請求項2に記載の発明によると、発生中の前記要報知エラーが解除された場合に、装置が第2の省エネルギー状態から第1の省エネルギー状態に移行されるので、無駄な電力消費の発生を抑制できる。特に、速やかに要報知エラーが解除されれば、装置を速やかに第1の省エネルギー状態に移行させることができ、消費電力の低減が実現されるところ、ここでは、第2の省エネルギー状態において音声報知処理により要報知エラーがユーザに報知されるので、ユーザに要報知エラーが発生したことを速やかに知得させるとともに適切な対処を促すことができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によると、ユーザが除外指定をした要報知エラーについては、移行条件が成立した際にそれが発生中であっても、装置は第2の省エネルギー状態ではなく第1の省エネルギー状態に移行される。したがって、ユーザが所望しない報知処理が行われることによって、装置の電力が無駄に消費されることがない。
【0019】
請求項4に記載の発明によると、装置が第2の省エネルギー状態に移行している場合に、音声報知処理が間隔をあけて繰り返し行われるので、消費電力を抑えつつ、ユーザに要報知エラーの発生を確実に知得させることができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によると、音声報知処理の繰り返し回数が定められた値を超えた場合に、装置が第2の省エネルギー状態から第1の省エネルギー状態に移行される。この構成によると、無駄な報知処理が行われ続けることにより電力が無駄に消費されることがない。
【0021】
請求項6に記載の発明によると、第2の省エネルギー状態において装置で無駄な消費電力が発生することを抑制できる。
【0022】
請求項7に記載の発明によると、移行条件が成立した場合に、要報知エラーが発生中でない場合は、装置は第1の省エネルギー状態に移行され、要報知エラーが発生中の場合は、装置は第2の省エネルギー状態に移行される。第1の省エネルギー状態では、装置の消費電力を小さく抑えることができる。また、第2の省エネルギー状態では、装置の消費電力をある程度小さく抑えつつ、発生中の要報知エラーに係る報知処理を行わせ続けることができる。移行条件が成立した時点で適切な省エネルギー状態が選択されることによって、装置において無駄な電力消費が発生する時間帯が短くなる。すなわち、消費電力を効果的に抑えることが可能となる。
【0023】
請求項8に記載の発明によると、装置が省エネルギー状態に移行されている状態において、ユーザへの報知が必要な要報知エラーが発生している場合に、報知処理制御部が、音声報知処理により要報知エラーの発生をユーザに報知する。装置が省エネルギー状態にある場合は、ユーザが装置を使用するために装置の近くにやってくる確率が低いところ、音声報知処理であれば装置から離れた場所にいるユーザに対しても要報知エラーの発生を確実に知得させることができる。ユーザが要報知エラーの発生を知得できる確実性が高まることによって、要報知エラーが解除されるまでの時間が短縮され、報知処理に要するトータルの電力量を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】デジタル複合機の構成を示す図である。
【図2】デジタル複合機の機能ブロック図である。
【図3】要報知エラーの報知処理に関する処理の流れを示す図である。
【図4】デジタル複合機を省エネルギー状態に移行させる際の処理の流れを示す図である。
【図5】デジタル複合機の機能ブロック図である。
【図6】デジタル複合機を省エネルギー状態に移行させる際の処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<第1の実施の形態>
この発明の第1の実施の形態に係るデジタル複合機について説明する。
【0026】
<1.デジタル複合機の構成>
図1は、この発明に係る情報処理装置の実施の形態に相当するデジタル複合機1の構成を示す図である。デジタル複合機1は、FAX機能、コピー機能、スキャン機能、プリント機能などの複数の機能を有する複合機(MFP装置)として構成されている。
【0027】
デジタル複合機1は、制御部11と、ROM12と、データメモリ13と、画像メモリ14と、操作パネル15と、音声発生部16と、エラー検知部17と、画像処理部18と、画像読取部19と、画像記録部20と、大容量蓄積部21と、通信関係の処理部31〜34とを、バスラインBLを介して電気的に接続した構成となっている。
【0028】
制御部11は、CPUで構成されている。制御部11は、ROM12に記憶されたプログラムPに基づいて上記のハードウエア各部を制御し、デジタル複合機1の機能を実現する。
【0029】
ROM12は、デジタル複合機1の制御に必要なプログラムPやデータを予め格納した読み出し専用の記憶装置である。
【0030】
データメモリ13は、読み出しと書き込みとが可能な記憶装置であり、画像データ、FAX番号、メールアドレスなどの一時的に蓄積される諸データ、制御部11による演算処理の際に発生するデータなどを一時的に記憶する。データメモリ13はSRAMやフラッシュメモリなどで構成される。
【0031】
画像メモリ14は、LANI/F34やNCU33を通じて外部装置から受信した画像データ、画像読取部19において取得された画像データ、画像処理部18において処理された画像データなどを一時的に記憶するための記憶装置である。画像メモリ14は、読み出しと書き込みとが可能なDRAM等のメモリにより構成される。
【0032】
操作パネル15は、ユーザインタフェースとして機能する処理部である。操作パネル15は、表示部151と、操作キー群152とを有している。
【0033】
表示部151は、各種の情報を表示するとともにユーザ操作を受け付ける。表示部151は、表示パネルと、表示パネルに取り付けられたタッチパネルとを備えている。表示パネルは、デジタル複合機1の動作状態などを表示する装置であり、例えば液晶ディスプレイにより構成される。タッチパネルは、表示パネルの表示画面領域内に指などが触れたことを感知して、その接触情報を取得する。
【0034】
操作キー群152は、文字キー、テンキー、ファンクションキーなどの各種キーによって構成され、コマンドやテキストデータの入力といったユーザ操作を受け付ける。操作キー群152のユーザ操作は信号として制御部11に入力される。制御部11はユーザ操作に基づいて各部の動作を制御する。
【0035】
音声発生部16は、音声(ただし、ここでいう「音声」には、アラーム音等の電子音、音声メッセージ等を含む)を発生する装置である。音声発生部16は、例えば、各種のアラーム音、および、各種の音声メッセージを記憶する音声データメモリと、音声データメモリに記憶されたアラーム音あるいは音声メッセージを可聴音として出力するスピーカとを備える。
【0036】
エラー検知部17は、デジタル複合機1の装置内部におけるエラーの有無(具体的には、エラーの発生、および、エラーの解除)を検知する。エラー検知部17は、具体的には、デジタル複合機1の装置内部の所定箇所に複数配置され、デジタル複合機1の装置内部で発生したエラーの発生を検知するセンサ171を備える。例えば、用紙トレイ内の所定箇所には記録用紙無しエラーを検知するセンサ(用紙センサ)171が配置され、トナーケース内の所定箇所にはトナー無しエラーを検知するセンサ(トナーセンサ)171が配置される。また例えば、原稿や記録用紙の搬送経路上の所定箇所には原稿や記録用紙の詰まりエラーを検知するセンサ(紙詰まりセンサ)171が配置される。また例えば、リムーバブルメディア(例えば、USBメモリ等)等、デジタル複合機1に装着された外部物品の取り残しを検知するセンサ(着脱検知センサ)171が配置される。
【0037】
ところで、デジタル複合機1において発生するエラーの中には、ユーザに報知することが必要なエラーがあり、この類のエラーを以下「要報知エラー」という。例えば、デジタル複合機1における各種処理に必要とされる消耗品の欠如に係るエラー(具体的には、用紙センサ171が検出する記録用紙無しエラー、トナーセンサ171が検出するトナー無しエラー等)は、これをユーザに報知して、ユーザに欠如している消耗品の補充を促す必要がある。また例えば、デジタル複合機1における搬送異常に係るエラー(具体的には、紙詰まりセンサ171が検出する紙詰まりエラー等)は、これをユーザに報知して、ユーザに詰まっている紙を取り除く作業等を促す必要がある。また例えば、デジタル複合機1に装着された外部物品の取り残しに係るエラー(具体的には、着脱検知センサ171が検出する外部物品の取り残し)は、これをユーザに報知して、ユーザに外部物品の取り外しを促す必要がある。このように、要報知エラーには、例えば、消耗品の欠如に係るエラー、搬送異常に係るエラー、外部物品の取り残しに係るエラー等が含まれる。
【0038】
画像処理部18は、受信された画像データ、画像読取部19から取得した画像データ等にA/D変換、表色系の変換、色調整、画像の合成などの種々の処理を行う処理部である。
【0039】
画像読取部19は、原稿上の画像をCCDラインセンサなどの読取素子によって読み取るスキャナである。画像読取部19は、ガラス台上に載置された原稿の表面を読取素子が走査して画像を読み取るタイプのスキャナであってもよく、原稿の載置台(図示省略)に載置された原稿を、ADF(Auto Document Feeder)によって搬送し、搬送される原稿の表面を静止した読取素子によって走査して画像を読み取るタイプのスキャナであってもよい。
【0040】
画像記録部20は、画像メモリ14に格納された画像データなどを記録紙上へ記録するプリンタである。画像記録部20には、例えば、電子写真方式のプリンタを採用することができる。
【0041】
大容量蓄積部21は、ハードディスクなどにより構成される。大容量蓄積部21は、画像読取部19により処理された画像データを蓄積することができる。
【0042】
さらにこのデジタル複合機1には、通信関係の処理部として、画像データ等を複数のプロトコルに対応して符号化/復号化するコーデック(CODEC)31と、送受信データの変調および復調を行うモデム32と、電話回線の開閉制御を行うNCU33と、LANとのインターフェイスに相当するLANI/F34とが、バスラインBLを介して電気的に接続した構成となっている。
【0043】
ここで、デジタル複合機1の通信環境について説明する。デジタル複合機1はLANと接続されておいる。また、LANはルータなどを介してインターネットに接続されている。これにより、デジタル複合機1は、LANを介して接続された外部装置やインターネットを介して接続された外部装置と電子メール通信などを行うことができる。さらに、デジタル複合機1は、アナログ回線用のデータ通信ネットワークであるPSTN(公衆交換電話網)と接続されている。これによって、デジタル複合機1はPSTNを介して接続された外部端末とのFAX通信を行うことができる。なお、外部端末は、例えば、モデム接続されたパソコン、デジタル複合機1と同様の装置、固定電話、携帯電話、FAX専用機等である。
【0044】
<2.機能部>
デジタル複合機1が備える各種の機能部について図2を参照しながら説明する。図2は、デジタル複合機1の機能ブロック図である。
【0045】
<2−1.要報知エラーに対応するための構成>
デジタル複合機1は、エラー検知部17が要報知エラーの発生を検知した場合に、要報知エラーの発生をユーザに報知する処理(以下単に「報知処理」という)をデジタル複合機1が備える各部に実行させる機能部(報知処理制御部101)を備える。当該機能部は、制御部11がROM12上のプログラムPを実行することにより実現される。
【0046】
報知処理制御部101は、音声発生部16から音声(アラーム音、あるいは、音声メッセージ、あるいはその両方)を発生させることによって、要報知エラーの発生をユーザに報知する。より具体的には、音声データメモリに予め格納された複数の音声データから、現在発生している要報知エラーに対応した音声データを選択して読み出して、スピーカから可聴音として出力させる。つまり、報知処理制御部101は、音声発生部16を、要報知エラーの発生をユーザの聴覚に訴えて報知する聴覚的報知手段として機能させる。以下において、音声発生部16から音声を発生させることによって要報知エラーの発生をユーザに報知する処理を、「音声報知処理」という。音声報知処理が行われる場合、報知処理制御部101と音声発生部16とが、要報知エラーの発生をユーザに報知する報知処理部として機能することになる。
【0047】
また、報知処理制御部101は、要報知エラーの発生をユーザに報知するための画面(報知画面)を表示部151のディスプレイに表示させることによって、要報知エラーの発生をユーザに報知する。より具体的には、画像メモリ14に予め格納された複数の報知画面候補の画像データから、現在発生している要報知エラーに対応した報知画面の画像データを選択して読み出して、表示部151のディスプレイに表示させる。つまり、報知処理制御部101は、表示部151を、要報知エラーの発生をユーザの視覚に訴えて報知する視覚的報知手段として機能させる。以下において、表示部151に報知画面を表示させることによって要報知エラーの発生をユーザに報知する処理を、「画面報知処理」という。画面報知処理が行われる場合、報知処理制御部101と表示部151とが、要報知エラーの発生をユーザに報知する報知処理部として機能することになる。
【0048】
報知処理制御部101は、制御部11が備える他の機能部と独立して形成されており、報知処理制御部101に対する電力の供給を独立して制御することができるように構成されている。
【0049】
後に説明するように、デジタル複合機1は、定められた条件が成立した場合に、デジタル複合機1の各部に対する電力の供給を制限してデジタル複合機1を通常状態よりも消費電力が小さい状態(省エネルギー状態)に移行させる機能部(通電制御部102)を備える。ただし、この省エネルギー状態には、後に説明するように「完全省エネルギー状態」と「暫定省エネルギー状態」との二種類が存在する。ここで、通電制御部102は、デジタル複合機1が通常状態、あるいは、暫定省エネルギー状態とされている場合は報知処理制御部101に対する電力の供給を制限せず、デジタル複合機1が完全省エネルギー状態とされている場合は報知処理制御部101に対する電力の供給を制限する。したがって、報知処理制御部101は、デジタル複合機1が通常状態、あるいは、暫定省エネルギー状態とされている場合においてのみ、デジタル複合機1の各部に報知処理を実行させることができ、デジタル複合機1が完全省エネルギー状態とされている場合は、報知処理を実行させることができない。
【0050】
報知処理制御部101は、デジタル複合機1が通常状態とされている場合と、暫定省エネルギー状態とされている場合とで、異なる態様でデジタル複合機1の各部に報知処理を実行させる。
【0051】
デジタル複合機1が通常状態とされている場合、報知処理制御部101は、音声発生部16に音声報知処理を少なくとも一回行わせるとともに、表示部151に画面報知処理を行わせることによって、ユーザに要報知エラーの発生を報知する。
【0052】
一方、デジタル複合機1が暫定省エネルギー状態とされている場合、報知処理制御部101は、表示部151に画面報知処理を行わせることなく、音声発生部16に音声報知処理を間隔をあけて繰り返し行わせることによって、ユーザに要報知エラーの発生を報知する。具体的には、報知処理制御部101は、音声発生部16に最後に音声報知処理を行わせてから定められた所定の時間(以下、「インターバル」という)Tが経過したか否かを、タイマ1011を用いて判断し、インターバルTが経過し、かつ、要報知エラーが解除されていないと判断した場合に、音声発生部16に再び音声報知処理を行わせる。インターバルTの具体的な値は、ユーザが任意に設定可能とする。ただし、音声発生部16に音声報知処理を繰り返し行わせる場合、報知処理制御部101は、音声発生部16において音声報知処理が行われた回数(繰り返し回数)をカウントしており、当該繰り返し回数が定められた回数(以下「規定回数」という)Nを超えたか否かを監視している。そして、繰り返し回数が規定回数Nを超えた場合、以後は音声報知処理を行わない。つまり、音声報知処理が繰り返される回数は最大でN回までとされる。規定回数Nの具体的な値は、ユーザが任意に設定可能とする。
【0053】
<2−2.省エネルギー状態に移行するための構成>
デジタル複合機1は、デジタル複合機1が備える複数の要素のうち、対象となる複数の要素に対する電力の供給を制限することによって、デジタル複合機1を消費電力が通常状態よりも小さい状態(省エネルギー状態)に移行させる機能部(通電制御部)102を備える。当該機能部は、制御部11がROM12上のプログラムPを実行することにより実現される。
【0054】
ただし、通電制御部102による電力の供給制限の対象となる要素(以下「対象要素」という)は、例えば、制御部11において実現される各機能部、ROM12、データメモリ13、画像メモリ14、表示部151、音声発生部16、エラー検知部17、画像処理部18、画像読取部19、画像記録部20、大容量蓄積部21、および、通信関係の処理部31〜34である。なお、上記に列挙した以外の要素が対象要素に加えられてもよいし、上記に列挙した要素のうちの1以上の要素が対象要素から外されてもよい。ただし、少なくとも、音声発生部16、エラー検知部17、および、報知処理制御部101は対象要素に含まれる。また、ここでいう「制限」とは、供給する電力量について通常状態(省エネルギー状態ではない状態)よりも小さい上限値を設けることを意味し、上限値をゼロとする、すなわち、電力の供給を停止する場合もこれに含まれる。
【0055】
通電制御部102は、定められた条件が成立した場合に、デジタル複合機1を省エネルギー状態に移行させる。ここで、通電制御部102がデジタル複合機1を省エネルギー状態に移行させる条件(以下「省エネ移行条件」という)は、任意に設定することができる。例えば、ユーザがデジタル複合機1を省エネルギー状態に移行させる時刻として設定した時刻(設定移行時刻)と現在時刻とが一致すること、を省エネ移行条件とすることができる。また例えば、ユーザがデジタル複合機1に対して何の操作も行わない状態が定められた時間を超えて継続すること、を省エネ移行条件とすることができる。また例えば、所定のキー操作がされたこと(例えば、操作キー群152の1つとして設けられた省エネ移行指示を入力するための専用キーが操作されたこと)、を省エネ移行条件とすることができる。例えば上記の3つの条件が省エネ移行条件として設定されている場合、通電制御部102は、現在時刻が設定移行時刻と一致するか否かをタイマ1021を用いて監視する。また、ユーザがデジタル複合機1に対して最後に操作を行った時刻からの経過時間が定められた時間を超えたか否かをタイマ1021を用いて監視する。また、省エネ移行指示を入力するキーの操作の有無を監視する。そして、いずれかの省エネ移行条件が成立したと判断した場合に、デジタル複合機1を省エネルギー状態に移行させる。
【0056】
デジタル複合機1における省エネルギー状態には、対象要素のうち、音声発生部16、エラー検知部17、および、報知処理制御部101を含む各要素に対する電力の供給が制限される第1の省エネルギー状態(以下「完全省エネルギー状態」という)と、対象要素のうち、音声発生部16、エラー検知部17、および、報知処理制御部101を除く各要素に対する電力の供給が制限される第2の省エネルギー状態(以下「暫定省エネルギー状態」という)とが存在する。暫定省エネルギー状態は、完全省エネルギー状態に移行するまでの暫定的な省エネルギー状態であり、その消費電力は、通常状態より小さく、完全省エネルギー状態より僅かに(音声発生部16、エラー検知部17、および、報知処理制御部101の消費電力分だけ)、大きい状態である。暫定省エネルギー状態においては、音声発生部16、エラー検知部17、および、報知処理制御部101に対する電力の供給は制限されないので、これら各部は通常状態と同じ動作を行い続けることができる。
【0057】
通電制御部102は、デジタル複合機1を完全省エネルギー状態と暫定省エネルギー状態のどちらに移行させるかを、省エネ移行条件が成立した時点においてデジタル複合機1内で要報知エラーが発生中であるか否かに基づいて決定する。すなわち、通電制御部102は、省エネ移行条件が成立した場合、まず、デジタル複合機1内で要報知エラーが発生中であるか否かを確認する。具体的には、例えば、要報知エラーの発生の有無をエラー検知部17に問い合わせる。その結果、要報知エラーが発生中でないと判断した場合は、デジタル複合機1を完全省エネルギー状態に移行させる。一方、要報知エラーが発生中であると判断した場合は、デジタル複合機1を暫定省エネルギー状態に移行させる。
【0058】
<3.処理の流れ>
デジタル複合機1において実行される処理の流れについて説明する。
【0059】
<3−1.要報知エラーに関する処理の流れ>
はじめに、要報知エラーの報知処理に関する処理の流れを、図3を参照しながら説明する。
【0060】
要報知エラーの発生を検知した場合、エラー検知部17は当該検知情報を報知処理制御部101に通知する。エラー検知部17から要報知エラーの検知情報を受けると、報知処理制御部101は、デジタル複合機1が省エネルギー状態(具体的には、暫定省エネルギー状態)に移行されているか否かを判断する(ステップS11)。
【0061】
デジタル複合機1が通常状態にある場合(ステップS11でNO)、報知処理制御部101は、音声発生部16に音声報知処理を少なくとも一回行わせるとともに、表示部151に画面報知処理を行わせる(ステップS12)。ステップS12において行われた報知処理に応じてユーザが適切な対応を行うと、要報知エラーが解除される。エラー検知部17から要報知エラーの解除が検知された旨の通知を受けると(ステップS13でYES)、報知処理制御部101は一連の報知処理を終了する。
【0062】
一方、デジタル複合機1が暫定省エネルギー状態にある場合(すなわち、通電制御部102が、対象要素のうち、音声発生部16、エラー検知部17、および、報知処理制御部101を除く各要素に対する電力の供給を制限している場合)(ステップS11でYES)、報知処理制御部101は、音声発生部16に音声報知処理を行わせる(ステップS14)。
【0063】
ステップS14の音声報知処理が行われた後、エラー検知部17から要報知エラーの解除が検知された旨の通知を受けると(ステップS15でYES)、報知処理制御部101は一連の報知処理を終了する。なお、この場合、報知処理制御部101は、要報知エラーが解除された旨を通電制御部102に通知する。後述するように、当該通知を受けた通電制御部102は、以後、音声発生部16、エラー検知部17、および、報知処理制御部101に対する電力の供給を制限する。
【0064】
一方、ステップS14の音声報知処理が行われてから、エラー検知部17が要報知エラーの解除を検知しないまま(ステップS15でNO)、インターバルTが経過した場合(ステップS16でYES)、報知処理制御部101は、音声発生部16に再び音声報知処理を行わせる(ステップS14)。つまり、報知処理制御部101は、要報知エラーの解除が検知されるまで、音声発生部16に音声報知処理をインターバルTを空けて繰り返し行わせ続ける。
【0065】
ただし、エラー検知部17が要報知エラーの解除を検知しないまま、音声発生部16において音声報知処理が行われた回数(繰り返し回数)が規定回数Nを超えた場合(ステップS17でYES)、報知処理制御部101は一連の報知処理を終了する。なお、この場合も、報知処理制御部101は、音声報知処理の繰り返し回数が規定回数Nを超えた旨を通電制御部102に通知する。後述するように、当該通知を受けた通電制御部102は、以後、音声発生部16、エラー検知部17、および、報知処理制御部101に対する電力の供給を制限する。
【0066】
<3−2.通電制御に係る処理の流れ>
デジタル複合機1を省エネルギー状態に移行させる際の処理の流れを、図4を参照しながら説明する。
【0067】
通電制御部102は、省エネ移行条件が成立したか否かを監視しており、省エネ移行条件が成立した場合(ステップS101でYES)、要報知エラーが発生中であるか否かをエラー検知部17の検知情報に基づいて判断する(ステップS102)。
【0068】
要報知エラーが発生中でない場合(ステップS102でNO)、通電制御部102は、対象要素のうち、音声発生部16、エラー検知部17、および、報知処理制御部101を含む各要素に対する電力の供給を制限することによりデジタル複合機1を完全省エネルギー状態に移行させる(ステップS103)。
【0069】
一方、要報知エラーが発生中である場合(ステップS102でYES)、通電制御部102は、対象要素のうち、音声発生部16、エラー検知部17、および、報知処理制御部101を除く各要素に対する電力の供給を制限することによりデジタル複合機1を暫定省エネルギー状態に移行させる(ステップS104)。
【0070】
デジタル複合機1が暫定省エネルギー状態に移行されても、音声発生部16、エラー検知部17、および、報知処理制御部101は動作を続ける。すなわち、エラー検知部17は、発生中の要報知エラーが解除されたか否かを検知し続ける。また、報知処理制御部101は、音声発生部16に、インターバルTの間隔で音声報知処理を繰り返して行わせ続ける。そして、エラー検知部17が要報知エラーの解除を検知した場合、あるいは、音声報知処理の繰り返し回数が規定回数Nを超えた場合、報知処理制御部101は、その旨を通電制御部102に通知する(図3参照)。
【0071】
報知処理制御部101から発生中の要報知エラーが解除された旨の通知を受けた場合(ステップS105でYES)、あるいは、報知処理制御部101から繰り返し回数が規定回数Nを超えた旨の通知を受けた場合(ステップS106でYES)、通電制御部102は、音声発生部16、エラー検知部17、および、報知処理制御部101に対する電力の供給の制限を開始することにより、デジタル複合機1を暫定省エネルギー状態から完全省エネルギー状態に移行させる(ステップS103)。
【0072】
<4.効果>
上記の実施の形態に係るデジタル複合機1によると、省エネ移行条件が成立した場合に、要報知エラーが発生中でない場合は、デジタル複合機1は完全省エネルギー状態に移行され、要報知エラーが発生中の場合は、デジタル複合機1は暫定省エネルギー状態に移行される。完全省エネルギー状態では、デジタル複合機1の消費電力を小さく抑えることができる。また、暫定省エネルギー状態では、デジタル複合機1の消費電力をある程度小さく抑えつつ、発生中の要報知エラーに係る音声報知処理を行わせ続けることができる。省エネ移行条件が成立した時点で適切な省エネルギー状態が選択されることによって、デジタル複合機1において無駄な電力消費が発生する時間帯が短くなる。すなわち、消費電力を効果的に抑えることが可能となる。
【0073】
また、発生中の要報知エラーが解除された場合に、デジタル複合機1が暫定省エネルギー状態から完全省エネルギー状態に移行されるので、無駄な電力消費の発生を抑制できる。特に、速やかに要報知エラーが解除されれば、デジタル複合機1を速やかに完全省エネルギー状態に移行させることができ、消費電力の低減が実現されるところ、ここでは、暫定省エネルギー状態においても報知処理が行われ続けるので、ユーザに要報知エラーが発生したことを速やかに知得させるとともに適切な対処を促すことができる。
【0074】
特に、省エネ移行条件が成立している状況においてはユーザがデジタル複合機1を使用するためにデジタル複合機1の近くにやってくる確率が低いところ、上記の実施の形態においては、当該状況において音声報知処理により要報知エラーの発生がユーザに報知されるので、デジタル複合機1から離れた場所にいるユーザに対しても要報知エラーの発生を確実に知得させることができる。
【0075】
また、デジタル複合機1が暫定省エネルギー状態に移行している場合には、音声報知処理が間隔をあけて繰り返し行われるので、消費電力を抑えつつ、ユーザに要報知エラーの発生を確実に知得させることができる。
【0076】
また、音声報知処理が何度も行われてもユーザが発生中のエラーに対する対応を行わないということは、デジタル複合機1の周囲にユーザがいない状況が想定されうる。特に、省エネ移行条件が成立している状況においては、その可能性が高い。このような状況においては、音声報知処理を何度行っても無駄であるところ、上記の実施の形態に係るデジタル複合機1においては、音声報知処理の繰り返し回数が規定回数Nを超えた場合に、デジタル複合機1が暫定省エネルギー状態から完全省エネルギー状態に移行されるので、無駄な報知処理が行われ続けることにより電力が無駄に消費されることがない。
【0077】
<第2の実施の形態>
この発明の第2の実施の形態に係るデジタル複合機2について説明する。デジタル複合機2は、第1の実施の形態に係るデジタル複合機1と同じ構成を備える(図1参照)。以下においては、第1の実施の形態に係るデジタル複合機1と同じ構成については、同じ符号を付して示すとともに、その説明を省略する。
【0078】
<1.機能部>
デジタル複合機2が備える各種の機能部について図5を参照しながら説明する。図5は、デジタル複合機2の機能ブロック図である。
【0079】
デジタル複合機2は、エラー検知部17が要報知エラーの発生を検知した場合に報知処理を実行させる機能部(報知処理制御部)101と、省エネ移行条件が成立した場合に、デジタル複合機2を省エネルギー状態に移行させる機能部(通電制御部)202とを備える。さらに、デジタル複合機2は、デジタル複合機2において発生しうる要報知エラーの種類毎に、ユーザから除外指定を受け付ける機能部(除外指定受付部)203を備える。これら各機能部は、制御部11がROM12上のプログラムPを実行することにより実現される。報知処理制御部101の態様は、第1の実施の形態において説明した通りである。
【0080】
除外指定受付部203は、ユーザから、デジタル複合機2において発生しうる要報知エラーの種類毎に除外エラーの指定(除外指定)を受け付ける。ここで、「除外エラー」とは、デジタル複合機2が省エネルギー状態にある場合には、その発生をユーザに報知する必要がない要報知エラーである。後に明らかになるように、除外エラーとして指定された要報知エラーについては、その発生中にデジタル複合機2が省エネルギー状態に移行された場合に、以後、その発生をユーザに報知する報知処理が行われない。つまり、除外エラーとして指定された要報知エラーについては、その報知よりもデジタル複合機2における消費電力の低減が優先されることになる。
【0081】
除外指定受付部203は、具体的には、操作パネル15を介してユーザからの除外指定を受け付ける。例えば、除外指定受付部203は、操作パネル15にデジタル複合機2において発生しうる要報知エラーを一覧表示させるとともに、ユーザに除外指定すべき要報知エラーの選択を促すメッセージ(例えば、「一覧の中から除外指定したいエラーを選択してください」とのメッセージ)を表示させる。ユーザが、除外指定したい要報知エラーの選択を、操作パネル14を介して入力すれば、除外指定受付部203は当該入力を受け付けて、選択された要報知エラーを除外エラーとして記憶する。
【0082】
通電制御部202は、第1の実施の形態に係る通電制御部102と同様、省エネ移行条件が成立したか否かを例えばタイマ2021を用いて監視し、省エネ移行条件が成立した場合に、対象要素の全部、あるいは、一部に対する電力の供給を制限することによって、デジタル複合機2を省エネルギー状態(完全省エネルギー状態、あるいは、暫定省エネルギー状態)に移行させる。
【0083】
通電制御部202は、デジタル複合機2を完全省エネルギー状態と暫定省エネルギー状態のどちらに移行させるかを、省エネ移行条件が成立した時点においてデジタル複合機2内で、除外エラーとして指定されていない要報知エラーが発生中であるか否かに基づいて決定する。すなわち、通電制御部202は、省エネ移行条件が成立した場合、まず、デジタル複合機2内で要報知エラーが発生中であるか否かを確認する。具体的には、例えば、要報知エラーの発生の有無をエラー検知部17に問い合わせる。その結果、要報知エラーが発生中でないと判断した場合は、デジタル複合機2を完全省エネルギー状態に移行させる。一方、要報知エラーが発生中であると判断した場合は、さらに、発生中の要報知エラーが除外エラーとして指定された要報知エラーであるか否かを確認する。具体的には、例えば、発生中の要報知エラーの種類を除外指定受付部203に通知し、当該要報知エラーが除外エラーとして指定されているか否かを除外指定受付部203に問い合わせる。そして、発生中の要報知エラーが除外エラーとして指定されている要報知エラーであると判断した場合は、デジタル複合機2を暫定省エネルギー状態ではなく完全省エネルギー状態に移行させる。この場合は、発生中の要報知エラーに係る報知処理は行われないことになる。また、発生中の要報知エラーが除外エラーとして指定されていない要報知エラーであると判断した場合は、デジタル複合機2を暫定省エネルギー状態に移行させる。この場合は、発生中の要報知エラーに係る報知処理が行われることになる。
【0084】
<2.処理の流れ>
デジタル複合機2において実行される処理の流れについて説明する。なお、要報知エラーの報知処理に関する処理の流れは、第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0085】
デジタル複合機2を省エネルギー状態に移行させる際の処理の流れを、図6を参照しながら説明する。
【0086】
通電制御部202は、省エネ移行条件が成立したか否かを監視しており、省エネ移行条件が成立した場合(ステップS201でYES)、要報知エラーが発生中であるか否かをエラー検知部17の検知情報に基づいて判断する(ステップS202)。
【0087】
要報知エラーが発生中でない場合(ステップS202でNO)、通電制御部202は、対象要素のうち、音声発生部16、エラー検知部17、および、報知処理制御部101を含む各要素に対する電力の供給を制限することによりデジタル複合機2を完全省エネルギー状態に移行させる(ステップS203)。
【0088】
一方、要報知エラーが発生中である場合(ステップS202でYES)、通電制御部202は、当該発生中の要報知エラーが除外エラーとして指定されたものであるか否かを判断する(ステップS204)。具体的には、例えば、発生中の要報知エラーの種類を除外指定受付部203に通知し、当該要報知エラーが除外エラーとして指定されたものであるか否かを除外指定受付部203に問い合わせる。
【0089】
発生中の要報知エラーが除外エラーとして指定されたものである場合(ステップS204でYES)、通電制御部202は、デジタル複合機2を完全省エネルギー状態に移行させる(ステップS203)。
【0090】
これに対し、発生中の要報知エラーが除外エラーとして指定されたものでない場合(ステップS204でNO)、通電制御部202は、対象要素のうち、音声発生部16、エラー検知部17、および、報知処理制御部101を除く各要素に対する電力の供給を制限することによりデジタル複合機2を暫定省エネルギー状態に移行させる(ステップS205)。
【0091】
デジタル複合機2が暫定省エネルギー状態に移行されても、音声発生部16、エラー検知部17、および、報知処理制御部101は動作を続け、エラー検知部17が要報知エラーの解除を検知した場合、あるいは、音声報知処理の繰り返し回数が規定回数Nを超えた場合、報知処理制御部101は、その旨を通電制御部202に通知する(図3参照)。
【0092】
報知処理制御部101から要報知エラーが解除された旨の通知を受けた場合(ステップS206でYES)、あるいは、報知処理制御部101から繰り返し回数が規定回数Nを超えた旨の通知を受けた場合(ステップS207でYES)、通電制御部202は、音声発生部16、エラー検知部17、および、報知処理制御部101に対する電力の供給の制限を開始することにより、デジタル複合機2を暫定省エネルギー状態から完全省エネルギー状態に移行させる(ステップS203)。
【0093】
<3.効果>
上記の実施の形態に係るデジタル複合機2によると、ユーザが除外指定をした要報知エラーについては、省エネ移行条件が成立した際にそれが発生中であっても、デジタル複合機2は、暫定省エネルギー状態ではなく完全省エネルギー状態に移行される。したがって、ユーザが所望しない報知処理が行われることによって、装置の電力が無駄に消費されることがない。
【0094】
<変形例>
上記の各実施の形態においては、通電制御部102,202は、暫定省エネルギー状態において、エラー検知部17に対する電力の供給を制限しない構成としたが、省エネ移行条件が成立した際に発生中の要報知エラーを検知するセンサ171に対する電力の供給だけを制限せず、それ以外のセンサ171に対する電力の供給は制限する構成としてもよい。例えば、省エネ移行条件が成立した際に発生中の要報知エラーが、記録用紙無しエラーの場合、用紙センサ171に対する電力の供給だけを制限せず、それ以外のセンサ(例えば、トナーセンサ171、紙詰まりセンサ171、着脱検知センサ171等)に対する電力の供給は制限する構成としてもよい。この構成によると、暫定省エネルギー状態においてデジタル複合機1,2で無駄な消費電力が発生することを抑制できる。
【0095】
また、上記の各実施の形態においては、報知処理制御部101はデジタル複合機1,2が暫定省エネルギー状態にある場合は音声報知処理を行う構成としたが、暫定省エネルギー状態において報知処理を行う態様は、必ずしも音声報知処理でなくともよい。例えば、音声報知処理に代えて(あるいは、音声報知処理と併せて)、画面報知処理を行う構成としてもよい。また、他にも、メールあるいはインフォモニター等によって要報知エラーの発生をユーザに報知してもよい(メール等報知処理)。なお、暫定省エネルギー状態において音声報知処理に代えて画面報知処理を行う場合、通電制御部102,202は、エラー検知部17と、画面報知処理に係る報知処理部(報知処理制御部101、および、表示部151)とを除く対象要素に対する電力の供給を制限することにより、デジタル複合機1,2を暫定省エネルギー状態に移行させる構成とする。また例えば、暫定省エネルギー状態において、音声報知処理と併せて画面報知処理を行う場合、通電制御部102,202は、エラー検知部17と、音声報知処理に係る報知処理部(報知処理制御部101、および、音声発生部16)と、画面報知処理に係る報知処理部(報知処理制御部101、および、表示部151)とを除く対象要素に対する電力の供給を制限することにより、デジタル複合機1,2を暫定省エネルギー状態に移行させる構成とする。
【符号の説明】
【0096】
1,2 デジタル複合機
16 音声発生部
17 エラー検知部
101 報知処理制御部
102,202 通電制御部
203 除外指定受付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラーが発生しているか否かを検知するエラー検知部と、
音声を発生する音声発生部と、
ユーザへの報知が必要な要報知エラーが発生した場合に、前記音声発生部に音声を発生させてユーザに前記要報知エラーの発生を報知する音声報知処理を行わせる報知処理制御部と、
定められた移行条件が成立した場合に、自装置が備える複数の要素のうちの対象となる複数の要素に対する電力の供給を制限することにより自装置を省エネルギー状態に移行させる通電制御部と、
を備え、
前記通電制御部が、
前記移行条件が成立すると、前記要報知エラーが発生中であるか否かを前記エラー検知部の検知情報に基づいて判断し、
前記要報知エラーが発生中でない場合は、前記対象となる複数の要素のうち、前記エラー検知部と、前記音声発生部と、前記報知処理制御部とを含む各要素に対する電力の供給を制限することにより、自装置を第1の省エネルギー状態に移行させ、
前記要報知エラーが発生中である場合は、前記対象となる複数の要素のうち、前記エラー検知部と、前記音声発生部と、前記報知処理制御部とを除く各要素に対する電力の供給を制限することにより、自装置を第2の省エネルギー状態に移行させる情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記通電制御部が、
自装置を前記第2の省エネルギー状態に移行させている状態において、発生中の前記要報知エラーが解除された場合に、自装置を前記第2の省エネルギー状態から前記第1の省エネルギー状態に移行させる情報処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の情報処理装置であって、
自装置において発生しうる前記要報知エラーの種類毎に、自装置が前記省エネルギー状態にある場合にはその発生をユーザに報知する必要がない要報知エラーである旨の除外指定をユーザから受け付ける受付部、
を備え、
前記通電制御部が、
前記移行条件が成立した際に発生中の前記要報知エラーが前記除外指定されたエラーである場合は、自装置を前記第1の省エネルギー状態に移行させる情報処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の情報処理装置であって、
前記報知処理制御部が、
前記通電制御部が自装置を前記第2の省エネルギー状態に移行させた場合に、前記音声発生部に前記音声報知処理を間隔をあけて繰り返し行わせる情報処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理装置であって、
前記通電制御部が、
自装置を前記第2の省エネルギー状態に移行させている状態において、前記音声報知処理の繰り返し回数が定められた値を超えた場合に、自装置を前記第2の省エネルギー状態から前記第1の省エネルギー状態に移行させる情報処理装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の情報処理装置であって、
前記エラー検知部が、
複数のセンサ、
を備え、
前記通電制御部が、
前記第2の省エネルギー状態において、前記複数のセンサのうち、発生中の前記要報知エラーを検知するセンサ以外のセンサに対する電力の供給を制限する情報処理装置。
【請求項7】
エラーが発生しているか否かを検知するエラー検知部と、
ユーザへの報知が必要な要報知エラーが発生した場合に、前記要報知エラーの発生をユーザに報知する報知処理部と、
定められた移行条件が成立した場合に、自装置が備える複数の要素のうちの対象となる複数の要素に対する電力の供給を制限することにより自装置を省エネルギー状態に移行させる通電制御部と、
を備え、
前記通電制御部が、
前記移行条件が成立すると、前記要報知エラーが発生中であるか否かを前記エラー検知部の検知情報に基づいて判断し、
前記要報知エラーが発生中でない場合は、前記対象となる複数の要素のうち、前記エラー検知部と、前記報知処理部とを含む各要素に対する電力の供給を制限することにより、自装置を第1の省エネルギー状態に移行させ、
前記要報知エラーが発生中である場合は、前記対象となる複数の要素のうち、前記エラー検知部と、前記報知処理部とを除く各要素に対する電力の供給を制限することにより、自装置を第2の省エネルギー状態に移行させる情報処理装置。
【請求項8】
エラーが発生しているか否かを検知するエラー検知部と、
音声を発生する音声発生部と、
定められた移行条件が成立した場合に、自装置が備える複数の要素のうちの対象となる複数の要素に対する電力の供給を制限することにより自装置を省エネルギー状態に移行させる通電制御部と、
前記通電制御部が自装置を前記省エネルギー状態に移行させている状態において、ユーザへの報知が必要な要報知エラーが発生している場合に、前記音声発生部に音声を発生させてユーザに前記要報知エラーの発生を報知する音声報知処理を行わせる報知処理制御部と、
を備える情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−151545(P2012−151545A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6773(P2011−6773)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】