説明

情報処理装置

【課題】ピンポイントで穴が開けられた場合でも、不正利用を防止できる、不正改造防止構造を有する情報処理装置を提供する。
【解決手段】基板1と、この基板1のセキュリティエリア22に実装され、不正改造又は不正読取りの対象となる部品と、前記部品に電源供給するバッテリ17とを具備し、前記セキュリティエリア22の前記部品は、前記基板1と前記バッテリ17との間に、前記バッテリ17に覆われるように配置される。また、前記基板1に対向して、サブ基板2が配置され、前記サブ基板2に前記バッテリ17を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、不正改造防止構造を有する情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置には、その装置本体内の基板上にICカードの制御部品や、カード決済に使用する情報を一時的に保管するメモリを配設している。
【0003】
ところで、上記した装置本体を分解して不正に改造が行われることにより、カード情報やセキュリティ情報などが不正利用されてしまうことがあった。
【0004】
そこで、従来においては、装置本体が分解されると、その分解を検出するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−70165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、装置本体を分解するのではなく、工具などを用いて穴をあける手法などを用いられると、分解検知の方法では対応できない問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、実施の形態は、セキュリティエリアを有する基板と、この基板のセキュリティエリアに設けられ、不正改造又は不正読取りの対象となる部品と、前記部品に電源供給し、前記セキュリティエリアを覆う大きさのバッテリとを備え、前記セキュリティエリアの部品は、前記基板と前記バッテリとの間に配置されたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】一実施形態の情報処理装置の内部構成を示す斜視図。
【図2】一実施形態の情報処理装置の制御回路を示すブロック図。
【図3】一実施形態の情報処理装置のメイン基板を示す斜視図。
【図4】一実施形態の情報処理装置の内部構成を示す側面図。
【図5】一実施形態のバッテリのサブ基盤への取付例を示す斜視図。
【図6】一実施形態のメイン基盤と向き合っていないサブ基盤の面に、バッテリが取り付けられた状態を示す側面図。
【図7】一実施形態のメイン基盤にバッテリが支持部材によって取り付けられた一例を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1は、第1の実施の形態である情報処理装置の内部構成を示す斜視図である。
【0011】
図中1は図示しない装置本体内に配置される基板としてのメイン基板で、このメイン基板1の下面側にはサブ基板2が離間対向する状態で配置されている。
【0012】
図2は、上記情報処理装置の制御回路を示すブロック図である。
【0013】
即ち、前記メイン基板1には演算装置・制御装置としてのCPU4が設けられ、このCPU4にはバスラインと各種制御回路を介してキーボード5、ディスプレイ6が接続されている。また、前記CPU4にはバスラインを介してROM8、RAM9、ドライバ10が接続されている。また、前記CPU4にはICカードコントローラ12を介してICカードコネクタ13が接続されている。さらに、前記CPU4には、装置本体が開封されたかを検知するオープン検出回路14が接続されている。
【0014】
ROM8には、前記CPU4によって読み出されて当該CPU4を様々な機能として働かせるプログラムや当該プログラムによるデータ処理の対象となる固定的なデータを格納する。また、RAM9には、プログラムによるデータ処理の作業領域となるワークエリアなどの様々なメモリエリアが動的に形成する。
【0015】
一方、前記サブ基板2には、コネクタ16、バッテリ17、SIMカードコネクタ18及びブザー19が配設されている。前記コネクタ16は、上記したドライバ10、バッテリ17は、上記したオープン検出回路14、SIMカードコネクタ18は上記したICカードコントローラ12、ブザー19は上記したCPU4にそれぞれコネクタ21を介して接続されている。
【0016】
図3は上記メイン基板1の下面を示すもので、このメイン基板1の下面はセキュリティエリア22を有している。このセキュリティエリア22は不正改造などの悪意ある攻撃に対して、防御しなくてはならない部品が配置されている。このセキュリティエリア22に上記したCPU4、ROM8、RAM9、ICカードコントローラ12、オープン検出回路14が搭載されている。
【0017】
図4は、図1の情報処理装置の内部構成を示す側面図である。
【0018】
上記したバッテリ17はサブ基板2の上面部に搭載され、上記したメイン基板1の下面に設けられたセキュリティエリア22と対向している。加えて、バッテリ17はこのセキュリティエリア22を覆うように配置される。また、バッテリ17は図5に示すようにサブ基盤2に取り付けられる。
【0019】
即ち、セキュリティエリア22に搭載されるCPU4、ROM8、RAM9、ICカードコントローラ12、オープン検出回路14は、上記メイン基板1とバッテリ17との間に配置されている。
【0020】
上記した構成において、装置本体が不正改造の目的で分解され、オープン検出回路14によって装置が不正に開封されたことを検出すると、この検出に基づいてCPU4は、バッテリ17からの電源供給を停止させ、RAM9などの記憶するデータを消去することにより、不正改造の防止を図る。
【0021】
ところで、不正改造は、装置本体を開封することなく、装置の本体に穴を開け、セキュリティエリア22に搭載されるCPU4やRAM9などに対して不正改造が行われることがある。
【0022】
しかしながら、この実施の形態では、セキュリティエリア22に搭載されるRAM9などにバッテリ17を対して覆うように配置する。穴を開けて行う不正改造は装置下部から行われることが多い。このため、装置本体に下部に工具などで穴を開けピンポイントでRAM9などを不正に改造しようとすると、バッテリ17が損傷する。バッテリ17がまず破壊されることにより装置を起動することが不可能になり、加えてRAM9に記憶する情報が消去されるため、データの盗難を防ぐことができる。
【0023】
この実施の形態によれば、セキュリティエリア22に配置されるCPU4、ROM8、RAM9、ICカードコントローラ12、オープン検出回路14などの電子部品がピンポイントでアタックされた場合には、バッテリ17を損傷させることができるため、不正改造を確実に防止することができる。
【0024】
なお、上記した実施の形態では、バッテリ17をサブ基板2の上面側に搭載したが、これに限られることなく、図6に示すように、バッテリ17をサブ基板2の下面側に搭載してもよい。バッテリ17がセキュリティエリア22を覆える大きさであり、下面からの不正改造に対して防御できる位置に配置されていれば、サブ基盤2の上面又は下面のどちらにバッテリ17が設けられていてもよい。
【0025】
また、上記した実施の形態では、バッテリ17をサブ基板2に搭載したが、これに限られることなく、図7に示すように、メイン基板1の下面側に支持部材24を介してセキュリティエリア22を覆うようにバッテリ17を取り付けるようにしても良い。また、メイン基板1の下面側に支持部材などを設けずに、セキュリティエリア22を覆うようにバッテリ17を設けてもよい。
【0026】
これらの実施形態によっても、上記した実施の形態と同様にセキュリティエリア22に搭載される電子部品がピンポイントでアタックされた場合には、バッテリ17を損傷させて不正改造を確実に防止することができる。
【0027】
なお、バッテリ17の大きさであるが、基盤に配置されたCPU4とROM8とRAM9とICカードコントローラ12とオープン検出回路14などが配置されたセキュリティエリア22を、少なくともカバーできる大きさであればいい。
【0028】
また、バッテリ17は装置本体に設けてもよい。このとき、直接装置本体に設けてもよいし、支持部材などを介してバッテリ17を取り付けてもよい。
【0029】
また、サブ基盤2に設けるバッテリ17は支持部材などを用いて取り付けてもよい。
【0030】
なお、上記した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0031】
1…メイン基板(基板)、2…サブ基板、4…CPU、8…ROM、9…RAM、12…ICカードコントローラ、14…オープン検出回路、17…バッテリ、22…セキュリティエリア、24…支持部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セキュリティエリアを有する基板と、
この基板のセキュリティエリアに設けられ、不正改造又は不正読取りの対象となる部品と、
前記部品に電源供給し、前記セキュリティエリアを覆う大きさのバッテリとを備え、
前記セキュリティエリアの部品は、前記基板と前記バッテリとの間に配置されたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
筐体と、
前記基盤はこの筐体内に設けられ、
前記バッテリはこの筐体に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記バッテリは支持部材を介して筐体に設けられたことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記基板に対向して配置される第2の基板と、
前記第2の基板に前記バッテリを設けたことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第2の基盤の少なくとも一方の面に前記バッテリを設けたことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記バッテリは、前記基板側に取り付けられたことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記バッテリは、前記基板側に支持部材を介して取り付けられたことを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−64054(P2012−64054A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208599(P2010−208599)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】