説明

情報出力装置及び情報出力プログラム

【課題】中国語テキストの四声をユーザに分かりやすく表示する。
【解決手段】電子辞書1は、中国語の漢字文字列と当該漢字文字列に対応するピンイン文字列とが含まれる中国語テキストを記憶する中国語会話データベースを備えている。そして、記憶されている中国語テキストから漢字文字列とピンイン文字列とをそれぞれ抽出して、ピンイン文字列に含まれる四声データを漢字文字列の各漢字に対応付けるとともに、この四声データの発音の抑揚を視覚的に示す四声マークを、当該四声データと対応付けられた各漢字の近くに表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報出力装置及び情報出力プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中国語の語学学習に用いられる電子辞書などの情報出力装置として、中国語の漢字とその読みであるピンインとを表示するとともに、発音音声を出力するものが知られている。このような情報出力装置では、一般に、漢字とピンインとを含む中国語テキストの例文が複数記憶されている他、インターネットから中国語テキストをダウンロードすることが可能となっている。
【0003】
ところで、中国語においては、意味をなす最小の構成単位の殆どが1音節で表され、この1音節は全て漢字1文字で表記される。そして、これらの音節の1つ1つは4種類の高低、上げ下げ等の調子をつけて発音され、この抑揚のつけ方を四声という。四声は1声から4声までの4種類があり、ピンインではアルファベットに四声を表す声調符号を主母音上に付加して表記する。図13は、1声〜4声の四声それぞれに対応する声調符号及びその番号(声調番号)を示したものである。
【0004】
この中国語の四声は、音節との組み合わせによってその意味内容が異なる等の性質から、中国人以外には極めて難解である。そこで、各ピンインの単音毎に四声を発音する学習プログラムや、音声出力された漢字の読みが何れの四声かをテストする学習機能を備える情報出力装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−268753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の情報出力装置では、図14に示すように、漢字とピンインとが互いに独立して表示されるために、どの声調符号(四声)がどの漢字の読みに対応しているのか分かりにくい。
【0007】
本発明の課題は、中国語テキストの四声をユーザに分かりやすく表示することのできる情報出力装置及び情報出力プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、情報出力装置において、
中国語の漢字文字列と当該漢字文字列に対応するピンイン文字列とを含む中国語テキストを記憶するテキスト記憶手段と、
前記テキスト記憶手段に記憶された中国語テキストから漢字文字列とピンイン文字列とをそれぞれ抽出する文字列抽出手段と、
前記ピンイン文字列に含まれる四声データを、前記漢字文字列の各漢字に対応付けて設定する漢字四声設定手段と、
前記漢字文字列及び前記ピンイン文字列を表示する文字列表示手段と、
四声データの発音の抑揚を視覚的に示す四声マークを、前記漢字四声設定手段により当該四声データと対応付けられた各漢字の近くに表示する四声マーク表示手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報出力装置において、
前記ピンイン文字列は、四声データとして声調番号又は声調符号を含み、
前記漢字四声設定手段は、
前記ピンイン文字列に声調番号と声調符号との何れが含まれるかを判定する四声データ判定手段と、
前記四声データ判定手段により前記ピンイン文字列に声調番号が含まれると判定された場合には、当該声調番号を漢字文字列の各漢字に対応付け、声調符号が含まれると判定された場合には、当該声調符号を漢字文字列の各漢字に対応付ける判定別漢字四声設定手段と、
からなることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の情報出力装置において、
前記文字列表示手段は、前記ピンイン文字列に四声データとして声調番号が含まれる場合、この声調番号を声調符号に変換した声調符号付きピンイン文字列を表示することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の情報出力装置において、
前記文字列表示手段は、
前記漢字文字列を、単語毎に空白部分を挿入して区切って表示するとともに、対応する単語毎に前記ピンイン文字列と位置を対応させて表示することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の情報出力装置において、
前記文字列表示手段及び前記四声マーク表示手段は、漢字文字列及び四声マークをピンイン文字列よりも大きく表示することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の情報出力装置において、
前記四声マーク表示手段により表示された四声マークをユーザ操作により指定する四声マーク指定手段と、
前記四声マーク指定手段により指定された四声マークに対応する漢字の音声を出力する音声出力手段と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の何れか一項に記載の情報出力装置において、
装置外部から中国語テキストを受信するテキスト受信手段と、
当該テキスト受信手段により受信した中国語テキストを表示する際に、四声マークを表示するか否かを設定する表示設定手段と、
を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、情報出力プログラムにおいて、
コンピュータに、
中国語の漢字文字列と当該漢字文字列に対応するピンイン文字列とを含む中国語テキストを記憶するテキスト記憶機能と、
前記テキスト記憶機能に記憶された中国語テキストから漢字文字列とピンイン文字列とをそれぞれ抽出する文字列抽出機能と、
前記ピンイン文字列に含まれる四声データを、前記漢字文字列の各漢字に対応付けて設定する漢字四声設定機能と、
前記漢字文字列及び前記ピンイン文字列を表示する文字列表示機能と、
四声データの発音の抑揚を視覚的に示す四声マークを、前記漢字四声設定機能により当該四声データと対応付けられた各漢字の近くに表示する四声マーク表示機能と、
を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ピンイン文字列に含まれる四声データが漢字文字列の各漢字に対応付けられ、この四声データの発音の抑揚を視覚的に示す四声マークが、当該四声データと対応付けられた各漢字の近くに表示される。これにより、ユーザは、四声マークによって各漢字の発音の抑揚を視覚的に容易に認識することができる。したがって、中国語テキストの四声をユーザに分かりやすく表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る情報出力装置を適用した電子辞書の平面図である。
【図2】本発明に係る情報出力装置を適用した電子辞書の内部構成を示すブロック図である。
【図3】ピンイン漢字テーブルの構造を示す図である。
【図4】ピンイン表記変換テーブルの構造を示す図である。
【図5】四声データ変換テーブルの構造を示す図である。
【図6】中国語会話表示処理の動作を示すフローチャートである。
【図7】四声マーク表示処理の動作を示すフローチャートである。
【図8】テキストビューワ表示処理の動作を示すフローチャートである。
【図9】中国語会話表示処理における表示内容例を示す図である。
【図10】四声マーク表示処理を説明するための図である。
【図11】テキストビューワ表示処理における表示内容例を示す図である。
【図12】テキストビューワ表示処理における表示内容例を示す図である。
【図13】声調の種類,声調符号及び声調番号を示す図である。
【図14】従来の中国語会話例文の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明に係る情報出力装置の一実施形態である電子辞書について詳細に説明する。
まず、本実施形態における電子辞書の構成を説明する。
【0019】
[外観構成]
図1は、電子辞書1の平面図である。
この図に示すように、電子辞書1は、ディスプレイ10、スピーカ12及びキーボード2を備えている。
【0020】
ディスプレイ10は、ユーザによるキーボード2の操作に応じた文字や符号等、各種データを表示する部分であり、LCD(Liquid Crystal Display)やELD(Electronic Luminescence Display)等によって構成されている。また、本実施形態におけるディスプレイ10は、タッチパネル10a(図2参照)と一体的に形成されており、表面を押下することにより、押下位置に応じた入力操作が可能となっている。
【0021】
スピーカ12は、ユーザによるキーボード2の操作に応じた例文等の音声を出力する部分である。
【0022】
キーボード2は、ユーザが電子辞書1を操作するための各種キーを有している。具体的には、キーボード2は、訳/決定キー2bと、文字キー2cと、中国語会話起動キー2dと、テキストビューワ起動キー2eと、カーソルキー2fと、戻るキー2g等とを有している。
【0023】
ここで、訳/決定キー2bは、ユーザ操作により入力された設定等を有効にするとき等に使用されるキーである。文字キー2cは、ユーザによる文字の入力等に使用されるキーである。中国語会話起動キー2dは、後述する中国語会話表示モードの起動に使用されるキーである。テキストビューワ起動キー2eは、後述するテキストビューワ表示モードの起動に使用されるキーである。
【0024】
カーソルキー2fは、画面内の反転表示位置、つまりカーソル位置の移動等に使用されるキーであり、本実施形態においては上下左右の方向を指定可能となっている。戻るキー2gは、前回表示した画面に戻るとき等に使用されるキーである。
【0025】
[内部構成]
続いて、電子辞書1の内部構成について説明する。図2は、電子辞書1の内部構成を示すブロック図である。
【0026】
この図に示すように、電子辞書1は、表示部40、入力部30、CPU(Central Processing Unit)20、伝送制御部50、音声出力部60、フラッシュROM(Read Only Memory)80、RAM(Random Access Memory)90を備え、各部はバスBで相互にデータ通信可能に接続されて構成されている。
【0027】
表示部40は、上述のディスプレイ10を備えており、CPU20から入力される表示信号に基づいて各種情報をディスプレイ10に表示するようになっている。
【0028】
入力部30は、上述のキーボード2やタッチパネル10aを備えており、押下されたキーやタッチパネル10aの位置に対応する信号をCPU20に出力するようになっている。
【0029】
CPU20は、入力される指示に応じて所定のプログラムに基づいた処理を実行し、各機能部への指示やデータの転送等を行い、電子辞書1を統括的に制御するようになっている。具体的には、CPU20は、入力部30から入力される操作信号等に応じてフラッシュROM80に格納された各種プログラムを読み出し、当該プログラムに従って処理を実行する。そして、CPU20は、処理結果をRAM90に保存するとともに、当該処理結果を表示部40又は音声出力部60に適宜出力させる。
【0030】
伝送制御部50は、通信インターフェースを備えて構成され、通信ネットワークに接続された通信機器(パソコン等)とデータ送受信を行うようになっている。
音声出力部60は、上述のスピーカ12を備えており、CPU20から入力される音声出力信号に基づいて音声データをスピーカ12に再生させるようになっている。
【0031】
フラッシュROM80は、電子辞書1の各種機能を実現するためのプログラムやデータを記憶するメモリである。本実施形態においては、フラッシュROM80は、本発明に係る情報出力プログラム81と、辞書データベース群82と、中国語会話データベース83と、ピンイン漢字テーブル86と、ピンイン表記変換テーブル87と、四声データ変換テーブル88とを記憶している。
【0032】
このうち、情報出力プログラム81は、後述の中国語会話表示処理(図6参照)やテキストビューワ表示処理(図8参照)をCPU20に実行させるためのプログラムである。
【0033】
辞書データベース群82は、複数の辞書データベース84,…を有しており、本実施形態においては、中日辞書の辞書データベース84aや、日中辞書の辞書データベース84b等を有している。これら辞書データベース84には、複数の見出語に対して、この見出語の意味内容からなる説明情報が対応付けされて格納されている。
【0034】
中国語会話データベース83には、複数の中国語会話の例文が記憶されており、本実施形態においては、大項目(例えば「出国時」)と小項目(例えば「機内で」)で区分された各状況において用いられる中国語会話の例文(例えば日本語文で「私の席はどこですか?」)が当該状況毎に記憶されている。この中国語会話データベース83に記憶されている例文には、日本語文とその中国語訳である中国語テキスト、及びその英語訳が含まれている。このうち中国語テキストには、中国語の漢字文字列と当該漢字文字列に対応するピンイン文字列とが含まれている。また、中国語会話データベース83には、ピンイン文字列の音声情報が例文と対応して記憶されている他、単語毎の漢字の音声情報が記憶されている。
【0035】
また、中国語テキストに含まれるピンイン文字列には、四声及び軽声の情報である四声データとして、四声を表す声調番号又は声調符号が含まれている。声調番号は音節毎にその音節の最後のアルファベットの後に付されており、声調符号は主母音のアルファベットの上に付されている(図4参照)。なお、四声データは、声調番号を含むピンイン文字列においては最後のアルファベットの後に数字が付されていない音節として、声調符号を含むピンイン文字列においては主母音の上に何も付されていない音節として、それぞれ軽声を認識することができるため、軽声の情報をも含むものである。
【0036】
ピンイン漢字テーブル86には、図3に示すように、中国語の漢字とそのピンインとが単語毎に対応付けられて記憶されている。このピンイン漢字テーブル86に記憶されているピンインには、四声データとして声調符号が含まれている。
ピンイン表記変換テーブル87には、図4に示すように、声調番号を付して表記されたピンインと、声調符号を付して表記されたピンインとが、単語毎に対応付けられて記憶されている。
【0037】
四声データ変換テーブル88には、図5に示すように、軽声及び四声(1声〜4声)の5種の声調に対して、声調符号、声調番号、四声番号及び四声マークが対応付けられて記憶されている。ここで、四声番号とは、軽声を「0」、1声〜4声を「1」〜「4」の数字で表したものである。また、四声マークとは、四声データの発音の抑揚を視覚的に示したものであり、軽声を「・」で示したマークを含んでいる。
【0038】
RAM90は、CPU20が実行する各種プログラムや、これらプログラムの実行に係るデータ等を一時的に保持するメモリ領域を備えている。このRAM90は、図2に示すように、本実施形態においては、テキストデータ記憶領域91と、言語モード設定記憶領域92と、四声設定データ記憶領域93とを備えている。
【0039】
このうち、テキストデータ記憶領域91には、後述する中国語会話表示処理及びテキストビューワ表示処理において、ユーザにより指定された例文が記憶されるようになっている。このテキストデータ記憶領域91は、後述するように、指定された例文のうちの中国語テキストを処理する際の作業領域となっている。また、テキストデータ記憶領域91には、伝送制御部50により通信ネットワークを介して受信された例文も記憶可能となっている。
【0040】
言語モード設定記憶領域92には、後述するテキストビューワ表示処理において、ユーザにより設定された言語が記憶されるようになっている。なお、本実施形態においては、後述するように、当該言語として日本語,中国語及び韓国語のうちの何れかを設定できるようになっている。
四声設定データ記憶領域93には、後述する四声マーク表示処理において、漢字文字列の各漢字に対応付けられた四声番号が四声設定データとして記憶されるようになっている。
【0041】
[動作]
<中国語会話表示処理>
続いて、電子辞書1の動作のうち、中国語会話表示処理の動作について説明する。
図6は、CPU20が情報出力プログラム81を読み出して実行する中国語会話表示処理の流れを示すフローチャートであり、図7は、中国語会話表示処理のなかで実行される四声マーク表示処理の流れを示すフローチャートである。
【0042】
まず、図6に示すように、ユーザにより中国語会話起動キー2dが操作されて中国語会話表示モードが起動されると(ステップS1)、CPU20は、中国語会話の例文が用いられる状況の区分のうちの大項目を中国語会話データベース83から読み出してディスプレイ10に一覧表示する。
【0043】
次に、ユーザによりカーソルキー2f及び訳/決定キー2bが操作されて、一覧表示された大項目のうちの何れかが指定されると(ステップS2)、CPU20は、指定された大項目に含まれる小項目を中国語会話データベース83から読み出してディスプレイ10に一覧表示する。
【0044】
次に、ユーザによりカーソルキー2f及び訳/決定キー2bが操作されて、一覧表示された小項目のうちの何れかが指定されると(ステップS3)、CPU20は、指定された小項目に含まれる例文の日本語文を中国語会話データベース83から読み出してディスプレイ10に一覧表示する。
【0045】
次に、ユーザによりカーソルキー2f及び訳/決定キー2bが操作されて、一覧表示された例文の日本語文のうちの何れかが指定されると(ステップS4)、CPU20は、指定された日本語文の英語訳と中国語訳である中国語テキストとを中国語会話データベース83から読み出して日本語文とともにディスプレイ10に表示する(ステップS5)。
【0046】
次に、CPU20は、ユーザにより四声マーク表示がONに設定されるか否かを判定する(ステップS6)。ここで、四声マーク表示の設定は、ユーザ操作によりディスプレイ10に表示される四声マーク表示設定ウィンドウ10b(図9(b)参照)によってON/OFFが切り替えられる。
【0047】
ステップS6において四声マーク表示がONに設定されていないと判定した場合(ステップS6;No)には、CPU20は、後述のステップS9の処理へ移行する。一方、ユーザ操作により四声マーク表示がONに設定されたと判定した場合(ステップS6;Yes)には、CPU20は、ステップS4で指定された例文をRAM90のテキストデータ記憶領域91に記憶させた後(ステップS7)、四声マーク表示処理を行う(ステップS8)。
【0048】
この四声マーク表示処理においては、まずCPU20は、図7に示すように、指定された例文の中国語テキストをテキストデータ記憶領域91から読み出した後(ステップT1)、この中国語テキストから漢字文字列とピンイン文字列とをそれぞれ抽出する(ステップT2)。
【0049】
次に、CPU20は、予め単語毎に分かち書きされているピンイン文字列に合わせて、漢字文字列を単語毎に空白部分を挿入して区切る(ステップT3)。
【0050】
次に、CPU20は、ピンイン文字列に数字が含まれているか否かを判定する(ステップT4)。つまり、CPU20は、数字で表される声調番号と声調符号との何れが四声データとしてピンイン文字列に含まれているかを判定する。
【0051】
このステップT4においてピンイン文字列に数字が含まれていないと判定した場合(ステップT4;No)、つまりピンイン文字列に声調符号が含まれていると判定した場合には、CPU20は、四声データである当該声調符号を、漢字文字列の各漢字に対応付けて設定する(ステップT5)。
具体的には、CPU20は、ピンイン漢字テーブル86を参照して漢字文字列とピンイン文字列とを単語毎に対応させるとともに、対応させたピンイン部分の声調符号に応じた四声番号「0」〜「4」を、四声データ変換テーブル88を参照して各漢字に対応付ける。このとき、対応させたピンイン部分に声調符号が付されていない漢字には、軽声を示す四声番号「0」を対応付ける。また、複数の漢字が含まれる単語に対しては、声調符号と漢字との数が一致する場合には先頭から順にそれぞれ対応付ければよく、声調符号が漢字よりも少ない場合には、主母音に声調符号が付されていない音節を軽声とみなし、これを含めて声調符号と漢字との数を一致させたうえで先頭から順にそれぞれ対応付ければよい。なお、ピンイン漢字テーブル86のピンイン部分に軽声を示す四声番号「0」も含め全ての四声番号「0」〜「4」の声調符号を予め記憶するようにして、対応させたピンイン部分の声調符号に応じた四声番号「0」〜「4」を、四声データ変換テーブル88を参照して各漢字に対応付け、ピンイン漢字テーブル86により軽声を含む全ての四声番号「0」〜「4」を各漢字に直接対応付けするようにしても良い。そして、CPU20は、各漢字に対応付けた四声番号を、四声設定データとして四声設定データ記憶領域93に記憶させた後、後述のステップT8の処理へ移行する。
【0052】
一方、ステップT4においてピンイン文字列に数字が含まれていると判定した場合(ステップT4;Yes)、つまりピンイン文字列に声調番号が含まれていると判定した場合には、CPU20は、四声データである当該声調番号を、漢字文字列の各漢字に対応付けて設定する(ステップT6)。
具体的には、CPU20は、ピンイン漢字テーブル86及び四声データ変換テーブル88を参照して漢字文字列とピンイン文字列とを単語毎に対応させるとともに、対応させたピンイン部分の声調番号に応じた四声番号「0」〜「4」を、四声データ変換テーブル88を参照して各漢字に対応付ける。このとき、対応させたピンイン部分に声調番号が付されていない漢字には、軽声を示す四声番号「0」を対応付ける。また、複数の漢字が含まれる単語に対しては、声調番号と漢字との数が一致する場合には先頭から順にそれぞれ対応付ければよく、声調番号が漢字よりも少ない場合には、最後に声調番号が付されていない音節を軽声とみなし、これを含めて声調番号と漢字との数を一致させたうえで先頭から順にそれぞれ対応付ければよい。そして、CPU20は、各漢字に対応付けた四声番号を、四声設定データとして四声設定データ記憶領域93に記憶させる。
【0053】
次に、CPU20は、ピンイン文字列に含まれる声調番号を声調符号に変換する(ステップT7)。具体的には、CPU20は、ピンイン表記変換テーブル87を参照し、声調番号が付されたピンインを声調符号が付されたものに変換することで、ピンイン文字列の表記を声調符号付きに変換する。
【0054】
次に、CPU20は、ピンイン文字列を小さな文字でディスプレイ10に表示する(ステップT8)。ここで「小さな文字」とは、後述のステップT9及びT10で表示される漢字文字列の各文字及び四声マークのサイズよりも小さい文字という意味である。
【0055】
次に、CPU20は、ディスプレイ10におけるピンイン文字列の下段に漢字文字列を表示する(ステップT9)。このとき、CPU20は、対応する単語毎にピンイン文字列と位置を対応させて漢字文字列を表示するとともに、ピンイン文字列の各文字よりも大きな文字で漢字文字列を表示する。
【0056】
次に、CPU20は、ディスプレイ10における漢字文字列の下段に四声マークを表示する(ステップT10)。具体的には、CPU20は、四声設定データ記憶領域93に記憶された四声設定データを読み出し、四声データ変換テーブル88を参照してこの四声設定データの四声番号に応じた四声マークを対応する各漢字に設定する。そして、CPU20は、各漢字に対して設定された四声マークを当該各漢字の近くに、ピンイン文字列の各文字よりも大きなサイズで表示する。
【0057】
次に、CPU20は、テキストデータ記憶領域91から中国語テキスト以外のデータを読み出してディスプレイ10に表示する(ステップT11)。本実施形態においては、日本語文とその英語訳が読み出されて表示される。
【0058】
次に、CPU20は、上述のステップS4で指定された例文のうち、四声マークが表示されていない次の例文があるか否かを判定し(ステップT12)、あると判定した場合には(ステップT12;Yes)、上述のステップT1の処理へ移行して当該次の例文に対して四声マークの表示を実行し、ないと判定した場合には(ステップT12;No)、四声マーク表示処理を終了する。
【0059】
次に、CPU20は、図6に示すように、ユーザにより音声出力モードが選択されるか否かを判定し(ステップS9)、選択されないと判定した場合には(ステップS9;No)、後述のステップS14の処理へ移行する。また、音声出力モードが選択されると判定した場合には(ステップS9;Yes)、CPU20は、ユーザによりタッチパネル10a上で音声出力マーク10c(図9(d)参照)がタッチされたか否かを判定する(ステップS10)。
【0060】
このステップS10において音声出力マーク10cがタッチされたと判定した場合には(ステップS10;Yes)、CPU20は、中国語会話データベース83からピンイン文字列全文の音声情報を読み出して、スピーカ12からピンイン文字列全文の音声出力を行った後(ステップS11)、ステップS9の処理へ移行する。また、音声出力マーク10cがタッチされないと判定した場合には(ステップS10;No)、CPU20は、ユーザによりタッチパネル10a上で四声マークがタッチされたか否かを判定する(ステップS12)。
【0061】
このステップS12において四声マークがタッチされないと判定した場合には(ステップS12;No)、CPU20は、他の処理へ移行する。なお、この場合には、四声マーク自体がディスプレイ10に表示されていない場合も含まれる。また、四声マークがタッチされたと判定した場合には(ステップS12;Yes)、CPU20は、タッチされた四声マークに対応する漢字の音声情報を中国語会話データベース83から読み出して、スピーカ12から当該漢字だけの音声出力を行った後(ステップS13)、上述のステップS9の処理へ移行する。
【0062】
次に、CPU20は、ユーザにより戻るキー2gが操作されたか否かを判定し(ステップS14)、戻るキー2gが操作されたと判定した場合には(ステップS14;Yes)、上述のステップS4の処理へ移行する。また、戻るキー2gが操作されないと判定した場合には(ステップS14;No)、CPU20は、ユーザ操作により中国語会話表示処理が終了されるか否かを判定し(ステップS15)、終了されないと判定した場合には(ステップS15;No)、他の処理へ移行する。そして、終了されると判定した場合には(ステップS15;Yes)、CPU20は、中国語会話表示処理を終了する。
【0063】
<テキストビューワ表示処理>
続いて、電子辞書1の動作のうち、テキストビューワ表示処理の動作について説明する。
図8は、CPU20が情報出力プログラム81を読み出して実行するテキストビューワ表示処理の流れを示すフローチャートである。
【0064】
まず、図8に示すように、ユーザによりテキストビューワ起動キー2eが操作されてテキストビューワ表示モードが起動されると(ステップU1)、CPU20は、ユーザが選択可能な中国語会話の例文をテキストデータ記憶領域91から読み出して、そのファイル名をディスプレイ10に一覧表示する。なお、ここでは、ユーザ操作により予め通信ネットワークを介して複数の例文が受信され、それぞれにファイル名を付けてテキストデータ記憶領域91に記憶されているものとして説明する。また、この中国語会話の例文としては、少なくとも中国語テキスト、つまり漢字文字列及びピンイン文字列が含まれていればよい。
【0065】
次に、ユーザによりカーソルキー2f及び訳/決定キー2bが操作されて、一覧表示されたファイル名のうちの何れかが指定されると(ステップU2)、CPU20は、言語モード設定記憶領域92を参照して、ユーザにより既に例文の言語が設定されているか否かを判定する(ステップU3)。そして、既に例文の言語が設定されていると判定した場合には(ステップU3;Yes)、CPU20は、その言語として中国語が設定されているか否かを判定し(ステップU4)、中国語が設定されていないと判定した場合には(ステップU4;No)、他の処理へ移行する。また、中国語に設定されていると判定した場合には(ステップU4;Yes)、CPU20は、後述のステップU10の処理へ移行する。
【0066】
一方、ステップU3において例文の言語が未だ設定されていないと判定した場合には(ステップU3;No)、CPU20は、例文の言語を設定するための言語設定ウィンドウ10d(図11(b)参照)をディスプレイ10に表示する(ステップU5)。本実施形態においては、この言語設定ウィンドウ10dによって日本語,中国語及び韓国語のうちの何れかを指定できるようになっている。
【0067】
次に、ユーザによりカーソルキー2f及び訳/決定キー2bが操作されて例文の言語が指定されると、CPU20は、指定された言語を言語モード設定記憶領域92に記憶させて設定する(ステップU6)。そして、CPU20は、設定された言語が中国語か否かを判定し(ステップU7)、中国語に設定されていないと判定した場合には(ステップU7;No)、他の処理へ移行する。また、中国語に設定されていると判定した場合には(ステップU7;Yes)、CPU20は、四声マークを表示するか否かの設定のための四声マーク表示ON/OFFボタンを言語設定ウィンドウ10dの中に表示し(ステップU8)、ユーザによりカーソルキー2f及び訳/決定キー2bが操作されて四声マーク表示のON/OFFが設定される(ステップU9)。
【0068】
次に、CPU20は、四声マーク表示がONに設定されているか否かを判定し(ステップU10)、ONに設定されていないと判定した場合には(ステップU10;No)、上述のステップU2で指定されたファイル名の例文をテキストデータ記憶領域91から読み出してディスプレイ10にそのまま表示した後(ステップU11)、後述のステップU13の処理へ移行する。
【0069】
一方、ステップU10において四声マーク表示がONに設定されていると判定した場合には(ステップU10;Yes)、CPU20は、上述のステップU2で指定されたファイル名の例文に対して、上述の中国語会話表示処理におけるステップS8の処理と同様に四声マーク表示処理を行う(ステップU12)。
【0070】
次に、CPU20は、ユーザにより四声マーク表示のON/OFFが変更されるか否かを判定し(ステップU13)、変更されると判定した場合には(ステップU13;Yes)、上述のステップU8の処理へ移行する。また、変更されないと判定した場合には(ステップU13;No)、CPU20は、ユーザにより音声出力モードが選択されるか否かを判定する(ステップU14)。そして、音声出力モードが選択されないと判定した場合には(ステップU14;No)、CPU20は、後述のステップU17の処理へ移行する。
【0071】
一方、ステップU14において音声出力モードが選択されたと判定した場合には(ステップU14;Yes)、CPU20は、ユーザによりタッチパネル10a上で四声マークがタッチされたか否かを判定する(ステップU15)。そして、四声マークがタッチされないと判定した場合には(ステップU15;No)、CPU20は、他の処理へ移行する。なお、この場合には、四声マーク自体がディスプレイ10に表示されていない場合も含まれる。
【0072】
また、ステップU15において四声マークがタッチされたと判定した場合には(ステップU15;Yes)、CPU20は、タッチされた四声マークに対応する漢字の音声情報を中国語会話データベース83から読み出して、スピーカ12から当該漢字だけの音声出力を行う(ステップU16)。
【0073】
次に、CPU20は、ユーザ操作によりテキストビューワ表示処理が終了されるか否かを判定し(ステップU17)、終了されないと判定した場合には(ステップU17;No)、他の処理へ移行する。そして、終了されると判定した場合には(ステップU17;Yes)、CPU20は、テキストビューワ表示処理を終了する。
【0074】
[動作例]
続いて、図9〜図12を参照しつつ、上記の中国語会話表示処理及びテキストビューワ表示処理を具体的に説明する。図9,図11及び図12は、本動作例におけるディスプレイ10の表示画面を示す図であり、図10は、四声マーク表示処理を説明するための図である。
【0075】
(動作例1)
本動作例1では、中国語会話表示処理について説明する。
まず、ユーザにより中国語会話起動キー2dが操作されて中国語会話表示モードが起動された後(ステップS1)、ユーザによりカーソルキー2f及び訳/決定キー2bが操作されて、例文の区分の大項目,小項目,及び例文の日本語文として「出国時」,「機内で」,及び「私の席はどこですか?」が順次指定されると(ステップS2〜S4)、図9(a)に示すように、例文の日本語文,英語訳,漢字文字列及びピンイン文字列が中国語会話データベース83から読み出されて、上からこの順に並べられてディスプレイ10に表示される(ステップS5)。
【0076】
次に、図9(b)に示すように、ユーザ操作により四声マーク表示設定ウィンドウ10bがディスプレイ10に表示され、四声マーク表示がONに設定されると(ステップS6;Yes)、例文がテキストデータ記憶領域91に記憶された後(ステップS7)、四声マーク表示処理が行われる(ステップS8)。
【0077】
この四声マーク表示処理では、まず、図10(a1)に示すように、テキストデータ記憶領域91から読み出された例文の中国語テキストから漢字文字列とピンイン文字列とがそれぞれ抽出される(ステップT1,T2)。そして、図10(a2)に示すように、予め単語毎に分かち書きされているピンイン文字列に合わせて、漢字文字列が単語毎に空白部分を挿入されて区切られる(ステップT3)。
【0078】
次に、ピンイン文字列には声調符号が含まれているので(ステップT4;No)、当該声調符号が漢字文字列の各漢字に対応付けて設定される(ステップT5)。
具体的には、図10(a3)に示すように、ピンイン漢字テーブル86が参照されて漢字文字列とピンイン文字列とが単語毎に対応付けされるとともに、対応付けされたピンイン部分の声調符号に応じた四声番号「0」〜「4」が四声データ変換テーブル88に基づいて各漢字に対応付けされる。このとき、対応付けされたピンイン部分に声調符号が付されていない漢字「的」には、四声番号「0」が対応付けされる。また、2つの漢字が含まれる単語「座位」の各漢字には、対応付けされたピンイン部分の2つの声調符号が先頭から順に対応付けされる。また、対応付けされたピンイン部分の声調符号が漢字よりも少ない単語「那(図面では口へんに那)里」の各漢字には、主母音「i」に声調符号が付されていない音節「li」が軽声とみなされ、これを含めた声調符号と漢字との数が各2つとされたうえで、当該声調符号が先頭から順に対応付けされる。そして、各漢字に対応付けされた四声番号は、四声設定データとして四声設定データ記憶領域93に記憶される。
【0079】
次に、図10(a4)に示すように、ピンイン文字列が小さな文字で表示されて(ステップT8)、その下段には、対応する単語毎にピンイン文字列と位置を対応させた漢字文字列がピンイン文字列の各文字よりも大きな文字で表示される(ステップT9)。そして、漢字文字列の下段には、各漢字に対して設定された四声マークが当該各漢字の近くに、ピンイン文字列の各文字よりも大きなサイズで表示される(ステップT10)。このときの四声マークは、四声データ変換テーブル88に基づいて、四声設定データ記憶領域93から読み出された四声設定データの四声番号に応じたものが、対応する各漢字に対して設定される。こうして処理された中国語テキストの表示データは、図9(c)に示すように、そのままディスプレイ10に表示される。
【0080】
そして、テキストデータ記憶領域91から日本語文とその英語訳が読み出されてディスプレイ10にあらためて表示された後(ステップT11)、四声マークを表示させる次の例文はないので(ステップT12;No)、四声マーク表示処理が終了する。
【0081】
次に、図9(d)に示すように、ユーザによりタッチパネル10a上で音声出力マーク10cがタッチされると(ステップS9;Yes,S10;Yes)、音声出力マーク10cが反転表示されるとともに、中国語会話データベース83からピンイン文字列全文の音声情報が読み出されて、スピーカ12からピンイン文字列全文が音声出力される(ステップS11)。
【0082】
また、図9(e)に示すように、音声出力マーク10cがタッチされずに(ステップS10;No)、漢字「座」に対応する四声マークがタッチされると(ステップS12;Yes)、該当する中国語テキストの部分が反転表示されるとともに、タッチされた四声マークに対応する漢字「座」の音声情報が中国語会話データベース83から読み出されて、スピーカ12から当該漢字「座」だけが音声出力される(ステップS13)。
【0083】
或いは、図9(f)に示すように、単語をなす2つの漢字「座位」に対応する2つの四声マークが続けてタッチされると(ステップS12;Yes)、該当する中国語テキストの部分が反転表示されるとともに、タッチされた2つの四声マークに対応する2つの漢字「座位」の音声情報が中国語会話データベース83から読み出されて、スピーカ12から当該漢字「座位」が音声出力される(ステップS13)。
【0084】
そして、これ以上は音声出力が行われず(ステップS9;No)、戻るキー2gも操作されずに(ステップS14;No)、ユーザにより中国語会話表示処理の終了が操作されると(ステップS15;Yes)、中国語会話表示処理が終了する。
【0085】
(動作例2)
続いて、本動作例2では、テキストビューワ表示処理について説明する。
本動作例2では、図11(a)に示すように、「もっと安くしてもらえませんか」及び「日本語のメニューはありますか」という2つの日本語文と各中国語テキストからなる2つの例文が、通信ネットワークを介して予め受信され、「中国語例文.txt」というファイル名を付けてテキストデータ記憶領域91に記憶されているものとする。
【0086】
まず、ユーザによりテキストビューワ起動キー2eが操作されてテキストビューワ表示モードが起動された後(ステップU1)、図11(b)に示すように、ユーザによりカーソルキー2f及び訳/決定キー2bが操作されてファイル名「中国語例文.txt」が指定されると(ステップU2)、例文の言語は未だ設定されていないため(ステップU3;No)、言語設定ウィンドウ10dがディスプレイ10に表示される(ステップU5)。また、指定されたファイル名「中国語例文.txt」が反転表示される。
【0087】
次に、図11(c)に示すように、ユーザによりカーソルキー2f及び訳/決定キー2bが操作され、例文の言語として「中国語」が設定されると(ステップU6,U7;Yes)、四声マーク表示ON/OFFボタンが言語設定ウィンドウ10dの中に表示される(ステップU8)。そして、ユーザによりカーソルキー2f及び訳/決定キー2bが操作されて四声マーク表示がONに設定されると(ステップU9,U10;Yes)、2つの例文に対して順次四声マーク表示処理が行われる(ステップU12)。
【0088】
この四声マーク表示処理では、2つの例文のうち日本語文「もっと安くしてもらえませんか」の中国語テキストに対しては、図10(b1)〜(b4)に示すように、上記動作例1における四声マーク表示処理と同様に表示処理がなされる。
一方、2つの例文のうち日本語文「日本語のメニューはありますか」の中国語テキストに対しては、当該中国語テキストのピンイン文字列が声調符号でなく声調番号を含むものであるため、上記動作例1における四声マーク表示処理とは若干異なる表示処理がなされる。
【0089】
詳しくは、日本語文「日本語のメニューはありますか」の中国語テキストに対しては、まず、図10(c1)に示すように、テキストデータ記憶領域91から読み出された中国語テキストから漢字文字列とピンイン文字列とがそれぞれ抽出される(ステップT1,T2)。そして、図10(c2)に示すように、予め単語毎に分かち書きされているピンイン文字列に合わせて、漢字文字列が単語毎に空白部分を挿入されて区切られる(ステップT3)。
【0090】
次に、ピンイン文字列には声調番号が含まれているので(ステップT4;Yes)、当該声調番号が漢字文字列の各漢字に対応付けて設定される(ステップT6)。
具体的には、図10(c3)に示すように、ピンイン漢字テーブル86及び四声データ変換テーブル88が参照されて漢字文字列とピンイン文字列とが単語毎に対応付けされるとともに、対応付けされたピンイン部分の声調番号に応じた四声番号「0」〜「4」が四声データ変換テーブル88に基づいて各漢字に対応付けされる。このとき、対応付けされたピンイン部分に声調番号が付されていない漢字「的」には、四声番号「0」が対応付けされる。また、2つの漢字が含まれる単語の各漢字には、対応付けされたピンイン部分の2つの声調符号が先頭から順に対応付けされる。そして、各漢字に対応付けされた四声番号は、四声設定データとして四声設定データ記憶領域93に記憶される。
【0091】
次に、ピンイン表記変換テーブル87が参照されて、声調番号の付されたピンインが声調符号の付されたものに変換されることで、ピンイン文字列の表記が変換される(ステップT7)。そして、図10(c4)に示すように、ピンイン文字列,漢字文字列及び四声マークの表示データが作成され、図12(a)に示すように、ディスプレイ10に表示される(ステップT8〜T10)。この処理、及び以降の処理(ステップT11〜T12)は、上記動作例1における四声マーク表示処理と同様に表示処理がなされる。
【0092】
次に、図12(b)に示すように、四声マーク表示ON/OFFボタンが表示された言語設定ウィンドウ10dがユーザ操作により呼び出され(ステップU13;Yes,U8)、四声マーク表示がOFFに設定されると(ステップU9,U10;No)、図12(c)に示すように、四声マークが表示されていない元の例文がテキストデータ記憶領域91から読み出され、ディスプレイ10にそのまま表示される(ステップU11)。
【0093】
そして、ユーザにより、四声マーク表示の変更や音声出力モードの選択が操作されず(ステップU13;No,U14;No)、テキストビューワ表示処理の終了が操作されると(ステップU17;Yes)、テキストビューワ表示処理が終了する。
【0094】
以上の電子辞書1によれば、図7のステップT5,T6,T10や、図10等に示したように、ピンイン文字列に含まれる四声データが漢字文字列の各漢字に対応付けられ、この四声データの発音の抑揚を視覚的に示す四声マークが、当該四声データと対応付けられた各漢字の近くに表示される。これにより、ユーザは、四声マークによって各漢字の発音の抑揚を視覚的に容易に認識することができる。したがって、中国語テキストの四声をユーザに分かりやすく表示することができる。
【0095】
また、図7のステップT3,T9や、図10等に示したように、漢字文字列が、単語毎に空白部分を挿入されて区切って表示されるとともに、対応する単語毎にピンイン文字列と位置を対応させて表示されるので、ユーザは、漢字とピンインとの対応を更に容易に認識することができる。したがって、中国語テキストの四声をユーザに更に分かりやすく表示することができる。
【0096】
また、図7のステップT9,T10や、図10等に示したように、漢字文字列及び四声マークがピンイン文字列よりも大きく表示されるので、中国語テキストの四声をユーザに更に分かりやすく表示することができる。
【0097】
また、図6のステップS12,S13や、図8のステップU15,16、図9(e),(f)等に示したように、タッチ操作で指定された四声マークに対応する中国語テキストが反転表示されるとともに、当該四声マークに対応する漢字の音声が出力されるので、ユーザは、漢字とその読みとの対応をより正確に認識することができる。
【0098】
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0099】
例えば、本発明に係る情報出力装置を電子辞書1として説明したが、本発明が適用可能なものは、このような製品に限定されず、携帯電話、パソコン、PDA(Personal Digital Assistant)、ゲーム機などの情報出力装置全般に適用可能である。また、本発明に係る情報出力プログラム81は、電子辞書1に対して着脱可能なメモリカード、CD等に記憶されることとしてもよい。
【0100】
また、テキストビューワ表示処理では、伝送制御部50により通信ネットワークを介して例文が受信されるものとして説明したが、電子辞書1に対して着脱可能なメモリカード、CD等を介して例文が記憶されることとしてもよい。
【符号の説明】
【0101】
1 電子辞書
10 ディスプレイ
10a タッチパネル
10b 四声マーク表示設定ウィンドウ
12 スピーカ
20 CPU
30 入力部
50 伝送制御部
81 情報出力プログラム
83 中国語会話データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中国語の漢字文字列と当該漢字文字列に対応するピンイン文字列とを含む中国語テキストを記憶するテキスト記憶手段と、
前記テキスト記憶手段に記憶された中国語テキストから漢字文字列とピンイン文字列とをそれぞれ抽出する文字列抽出手段と、
前記ピンイン文字列に含まれる四声データを、前記漢字文字列の各漢字に対応付けて設定する漢字四声設定手段と、
前記漢字文字列及び前記ピンイン文字列を表示する文字列表示手段と、
四声データの発音の抑揚を視覚的に示す四声マークを、前記漢字四声設定手段により当該四声データと対応付けられた各漢字の近くに表示する四声マーク表示手段と、
を備えることを特徴とする情報出力装置。
【請求項2】
前記ピンイン文字列は、四声データとして声調番号又は声調符号を含み、
前記漢字四声設定手段は、
前記ピンイン文字列に声調番号と声調符号との何れが含まれるかを判定する四声データ判定手段と、
前記四声データ判定手段により前記ピンイン文字列に声調番号が含まれると判定された場合には、当該声調番号を漢字文字列の各漢字に対応付け、声調符号が含まれると判定された場合には、当該声調符号を漢字文字列の各漢字に対応付ける判定別漢字四声設定手段と、
からなることを特徴とする請求項1に記載の情報出力装置。
【請求項3】
前記文字列表示手段は、前記ピンイン文字列に四声データとして声調番号が含まれる場合、この声調番号を声調符号に変換した声調符号付きピンイン文字列を表示することを特徴とする請求項2に記載の情報出力装置。
【請求項4】
前記文字列表示手段は、
前記漢字文字列を、単語毎に空白部分を挿入して区切って表示するとともに、対応する単語毎に前記ピンイン文字列と位置を対応させて表示することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の情報出力装置。
【請求項5】
前記文字列表示手段及び前記四声マーク表示手段は、漢字文字列及び四声マークをピンイン文字列よりも大きく表示することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の情報出力装置。
【請求項6】
前記四声マーク表示手段により表示された四声マークをユーザ操作により指定する四声マーク指定手段と、
前記四声マーク指定手段により指定された四声マークに対応する漢字の音声を出力する音声出力手段と、
を備えることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の情報出力装置。
【請求項7】
装置外部から中国語テキストを受信するテキスト受信手段と、
当該テキスト受信手段により受信した中国語テキストを表示する際に、四声マークを表示するか否かを設定する表示設定手段と、
を備えることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の情報出力装置。
【請求項8】
コンピュータに、
中国語の漢字文字列と当該漢字文字列に対応するピンイン文字列とを含む中国語テキストを記憶するテキスト記憶機能と、
前記テキスト記憶機能に記憶された中国語テキストから漢字文字列とピンイン文字列とをそれぞれ抽出する文字列抽出機能と、
前記ピンイン文字列に含まれる四声データを、前記漢字文字列の各漢字に対応付けて設定する漢字四声設定機能と、
前記漢字文字列及び前記ピンイン文字列を表示する文字列表示機能と、
四声データの発音の抑揚を視覚的に示す四声マークを、前記漢字四声設定機能により当該四声データと対応付けられた各漢字の近くに表示する四声マーク表示機能と、
を実現させることを特徴とする情報出力プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−76384(P2011−76384A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−227377(P2009−227377)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】