説明

情報提供システム、車載装置、および携帯端末装置

【課題】車載装置のコストを抑制しつつ、車両の外でも車両の走行実績に関する正確な走行実績情報を提供すること。
【解決手段】車両の動作制御に用いられている車両情報信号を当該車両から取得して携帯端末装置へ送信する車載装置と、当該車載装置から受信した車両情報信号に基づいて前記車載装置を搭載した車両の走行実績に関する走行実績情報を生成して記憶する携帯端末装置とによって走行実績情報を提供するように情報提供システムを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供システム、車載装置、および携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の走行実績に関する情報(以下、「走行実績情報」という)を生成して運転者等へ提供する技術が考案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、運転者等の乗員の携帯電話機がGPS(Global Positioning System)衛星から受信した情報に基づいて運転者の安全運転診断や省燃費運転診断を行うための走行実績情報(診断指標)を作成し、表示出力する技術が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、車載装置が車両の走行状態に基づき、運転者がどれほど省燃費に寄与する運転(エコドライブ)を行ったかを示す走行実績情報(エコ度)を算出し、車載表示装置へ表示させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−276316号公報
【特許文献2】特開2009−126246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、GPS衛星から時間情報および車両の位置情報といった限られた情報しか受信できないため正確な走行実績情報を生成することができない恐れがあるという問題があった。
【0007】
また、特許文献2に記載の技術では、走行実績情報を算出する機能を車載装置に対して新たに設ける必要があるため、車載装置のコストが嵩むという問題があった。しかも、特許文献2に記載の技術では、車載表示装置へ走行実績情報を表示させて走行実績情報の提供を行っているため、車両内でしか走行実績情報を提供することができないという問題もあった。
【0008】
これらのことから、車載装置のコストを抑制しつつ、車両の外でも正確な走行実績情報を提供することができる情報提供システム、車載装置、および携帯端末装置をいかにして実現するかが大きな課題となっている。
【0009】
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであって、車載装置のコストを抑制しつつ、車両の外でも正確な走行実績情報を提供することができる情報提供システム、車載装置、および携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、車載装置を搭載した車両の走行実績に関する走行実績情報を提供する情報提供システムであって、前記車載装置は、前記車両の動作制御に用いられる車両情報信号を前記車両から取得する信号取得部と、前記信号取得部によって取得された前記車両情報信号を携帯端末装置へ送信する信号送信部とを備え、前記携帯端末装置は、前記車載装置から前記車両情報信号を受信する信号受信部と、前記信号受信部によって受信された前記車両情報信号に基づいて前記走行実績情報を生成する情報生成部と、前記情報生成部によって生成された前記走行実績情報を記憶する情報記憶部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、車載装置のコストを抑制しつつ、車両の外でも正確な走行実績情報を提供することができる情報提供システム、車載装置、および携帯端末装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明に係る情報提供手法の概要を示す図である。
【図2】図2は、本実施例に係る情報提供システムの構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、本実施例に係る携帯端末装置による表示の遷移の一例を示す図である。
【図4】図4は、本実施例に係る携帯端末装置による走行実績情報の表示例を示す図である。
【図5】図5は、本実施例に係る携帯端末装置による走行実績情報の表示例を示す図である。
【図6】図6は、本実施例に係る携帯端末装置による走行実績情報の表示例を示す図である。
【図7】図7は、本実施例に係る携帯端末装置による走行実績情報の記憶および削除の一例を示す図である。
【図8】図8は、本実施例に係る携帯端末装置の制御部で実行される処理を示すフローチャートである。
【図9】図9は、本実施例に係る車載装置の制御部で実行される処理を示すフローチャートである。
【図10】図10は、変形例1に係る情報提供システムの構成を示す図である。
【図11】図11は、変形例2に係る情報提供システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る情報提供手法を適用した情報提供システム、車載装置、および携帯端末装置の実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係る情報提供手法の概要について図1を用いて説明した後に、本発明に係る情報提供手法を適用した情報提供システムについての実施例を図2〜図11を用いて説明する。
【0014】
図1は、本発明に係る情報提供手法(以下、「本情報提供手法」という)の概要を示す図である。本情報提供手法は、車両の外でも車両の走行実績に関する正確な情報(以下、「走行実績情報」という)を車両のユーザに対して提供する。
【0015】
たとえば、本情報提供手法は、車両が単位時間当たりに消費した燃料を走行距離で除算した値(以下、「燃費」という)等を走行実績情報として車両のユーザへ提供する。
【0016】
具体的には、図1に示すように、本情報提供手法では、まず、車両に設けられている各ECU(Electronic Control Unit)間で車両の動作制御のために送受信されている信号(以下、「車両情報信号」という)を車載装置によって取得する(ステップS1)。
【0017】
例えば、車載装置は、ECU間で送受信されているエンジンの燃料噴射量を示す信号や車速パルスを車両情報信号として取得する。続いて、車載装置は、取得した車両情報信号をユーザの携帯端末装置へ送信する(ステップS2)。
【0018】
続いて、携帯端末装置では、アプリ実行部が所定のアプリケーションソフト(以下、「アプリ」という)を実行することによって車両情報信号から走行実績情報を生成する(ステップS3)。例えば、アプリ実行部は、車載装置から受信した燃料噴射量を示す信号および車速パルスに基づいて車両の平均燃費や走行距離等を生成する。
【0019】
続いて、携帯端末装置では、アプリ実行部が生成した走行実績情報をデータベース(DB)へ記憶させて保存する(ステップS4)。その後、ユーザが携帯端末装置を操作して走行実績情報の出力要求を行った場合、アプリ実行部は、データベースから走行実績情報を読み出して携帯端末装置の表示部へ出力し(ステップS5)、表示部へ表示させることによって走行実績情報の提供を行う。
【0020】
このように、本情報提供手法では、携帯端末装置の表示部へ車両実績情報を表示させることによってユーザに対して走行実績情報の提供を行うため、ユーザが車両外にいる場合であってもユーザへ車両実績情報を提供することができる。
【0021】
また、本情報提供手法では、携帯端末装置は、車両の各ECUが車両から実際に検出した車両の動作状態を正確に示す車両情報信号を用いて走行実績情報を生成するため、正確な走行実績情報をユーザへ提供することができる。
【0022】
また、本情報提供手法では、携帯端末装置によって走行実績情報の生成を行うため、車載装置には、走行実績情報を生成する機能を設ける必要がない。したがって、本情報提供手法によれば、車載装置のコストを抑制することができる。
【実施例】
【0023】
以下では、図1を用いて説明した本情報提供手法を適用した情報提供システム、車載装置および携帯端末装置の実施例について、図2〜図11を用いて詳細に説明する。なお、以下の実施例では、車載装置によって車両から取得される車両情報信号がエンジンの燃料噴射量を示す信号および車速パルスであり、携帯端末装置によって生成される走行実績情報が車両の平均燃費および走行距離である場合について説明する。
【0024】
ただし、本発明における車両情報信号は、燃料噴射量を示す信号および車速パルスに限るものではなく、走行実績情報についても車両の平均燃費や走行距離に限定するものではない。すなわち、本発明は、車両から取得可能な任意の車両情報信号に基づいて生成することができる任意の走行実績情報を提供する情報提供システム、車載装置、携帯端末装置に対して提供することができる。
【0025】
たとえば、本発明は、運転者による車両の運転操作を示す各車両情報信号等に基づいて、運転者が如何に安全や省燃費に寄与する運転を行ったかを示す走行実績情報を生成して提供する情報提供システム、車載装置、携帯端末装置へ適用することもできる。
【0026】
以下では、まず、図2を用いて本実施例に係る情報提供システムの構成について説明する。図2は、本実施例に係る情報提供システム1の構成を示すブロック図である。なお、図2には、情報提供システム1の特徴を説明するために必要な構成要素のみを示しており、一般的な構成要素については図示を省略している。
【0027】
図2に示すように、情報提供システム1は、車載装置2と、車両のユーザによって携帯される携帯端末装置3とを含んでいる。車載装置2は、車両4の動作制御に用いられている車両情報信号を車両4から取得して携帯端末装置3へ送信する装置であり、制御部20と表示部21とを備えている。
【0028】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)とROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)とを有する情報処理装置を備えている。かかる制御部20は、CPUがROMから各種プログラムを読出し、RAMを作業領域として使用して実行することによって機能する信号取得部201と、信号送信部202と、画像情報受信部203とを備え、車載装置2の動作を統括制御する処理部である。
【0029】
信号取得部201は、車載装置2が搭載されている車両4から車両4の動作制御に用いられている車両情報信号を取得する処理部である。具体的には、信号取得部201は、車両4の内部に構築されている通信ネットワークの一種であるCAN(Controller Area Network)44へ接続されている。
【0030】
かかるCAN44は、車両4が備えている複数の各ECU(ここでは、ECU41、42、43)が車両4の各部から検出した車両の動作状態を示す車両情報信号を他のECU41、42、43との間で送受信する場合等に使用される通信ネットワークである。
【0031】
そして、信号取得部201は、CAN44上を流れている車両情報信号を取得して信号送信部202へ出力する。具体的には、信号取得部201は、CAN44上を流れている車両情報信号から燃料噴射量を示す信号と車速パルスとを選択的に取得して信号送信部202へ出力する。
【0032】
信号送信部202は、信号取得部201から入力される車両情報信号を携帯端末装置3へ送信する処理部である。具体的には、信号送信部202は、携帯端末装置3との間で通信費が不要な近距離無線通信規格(たとえば、Bluetooth(登録商標)等)に準拠した通信が確立された場合に、燃料噴射量を示す信号および車速パルスを携帯端末装置3へ送信する。
【0033】
画像情報受信部203は、携帯端末装置3から画像情報を受信して表示部21へ出力する処理部である。かかる画像情報受信部203も信号送信部202と同様に携帯端末装置3との間で通信費が不要な近距離無線通信規格(たとえば、Bluetooth(登録商標)等)に準拠した通信を行うことによって画像情報の受信を行う。
【0034】
表示部21は、たとえば、液晶表示デバイス等の表示装置により構成されており、画像情報受信部203から入力される画像情報に対応した画像の表示を行う。なお、表示部21によって表示される画像は、携帯端末装置3によって生成されたものである。かかる画像の詳細については、図3を用いて後述する。
【0035】
一方、携帯端末装置3は、車両4のユーザが携帯する携帯電話機であり、車載装置2から受信した車両情報信号に基づいて車両の走行実績に関する走行実績情報331を生成して出力する装置である。なお、携帯端末装置3は、図2に示す携帯端末装置3と同様の機能を備えたPDA(Personal Digital Assistant)であってもよい。
【0036】
かかる携帯端末装置3は、車載装置2から受信した燃料噴射量を示す信号と車速パルスとに基づき、走行実績情報331として車両4の走行距離および平均燃費を算出して出力する装置であり、制御部30と操作部31と表示部32と情報記憶部33とを備えている。
【0037】
操作部31は、一般的な携帯電話機に設けられているテンキー等のスイッチを備えた操作デバイスである。また、表示部32は、液晶表示デバイス等の表示装置により構成されており、携帯端末装置3によって生成された走行実績情報331に対応した画像の表示を行う。
【0038】
なお、本実施例では、操作部31と表示部32とを個別に設けているが、表示部32としてタッチパネル機能を備えた表示デバイスを用いることによって操作部31と表示部32とを一体に構成することもできる。
【0039】
情報記憶部33は、情報の書き込みおよび書き換えが可能なフラッシュメモリ等の不揮発性記憶デバイスによって構成されており、携帯端末装置3によって生成された走行実績情報331を記憶する。
【0040】
制御部30は、CPUとROMとRAMとを有する情報処理装置を備えている。かかる制御部30は、CPUがROMから各種プログラムを読出し、RAMを作業領域として使用して実行することによって機能する信号受信部301と情報生成部302と表示制御部303とを備え、携帯端末装置3の動作を統括制御する処理部である。
【0041】
信号受信部301は、車載装置2から車両情報信号を受信する処理部である。具体的には、信号受信部301は、走行実績情報331を生成するアプリを実行させる操作が行われたことを示す信号が操作部31から入力された場合に、車載装置2との間で通信費が不要な近距離無線通信規格(たとえば、Bluetooth(登録商標)等)に準拠した通信の確立を試行する。
【0042】
続いて、信号受信部301は、車載装置2との間の通信が確立すると、車載装置2から燃料噴射量を示す信号および車速パルスを受信して情報生成部302へ出力する。
【0043】
情報生成部302は、信号受信部301から車両情報信号が入力された場合に、車両情報信号に基づいて走行実績情報331を生成し、情報記憶部33へ記憶させる処理部である。具体的には、情報生成部302は、信号受信部301から入力される燃料噴射量を示す信号と車速パルスとに基づき、車両4の走行距離および平均燃費を算出する。
【0044】
このとき、情報生成部302が走行距離の算出に用いる車速パルスは、車両4の走行速度を検知する車速センサのパルス発生装置から出力される信号である。かかる車速パルスは、各ECU41、42、43間で送受信されてスピード表示制御やエンジン制御等に用いられる。
【0045】
車速センサのパルス発生装置が出力する車速パルスの数と車速との関係は、JIS規格によって定められている。具体的には、JIS規格では、車両4が時速60km/hで走行中に、スピードメータを駆動するワイヤの回転数を毎分637回と規定し、ワイヤが1回転する毎に出力させる車速パルスの数を4、8、16、20、25のいずれかと規定している。
【0046】
そこで、情報生成部302は、車載装置2から1分間に受信した車速パルスの数をカウントすることによって車両4が1分間に走行した走行距離を算出する。たとえば、情報生成部302は、ワイヤが1回転する毎にパルス発生装置から4パルスの車速パルスが出力される場合、1分間に637×4個のパルスが入力されると、1分間の走行距離として60Km/h÷60mim=1kmを算出する。
【0047】
また、情報生成部302が平均燃費の算出に用いる燃料噴射量を示す信号は、エンジンの動作を制御するECUから数msecおきに出力される信号であり、現時点の燃料噴射量と燃料噴射量が変更されたことを示す変更フラグとを含んでいる。
【0048】
そこで、情報生成部302は、燃料噴射量を示す信号に含まれる現時点の燃料噴射量と変更フラグを1分間監視することによって車両4の1分間の消費燃料を算出する。また、情報生成部302は、算出した1分間の消費燃料を1分間の走行距離で除算することによって1分間の平均燃費を算出する。
【0049】
そして、情報生成部302は、算出した1分間の走行距離および平均燃費へ時刻情報を対応付け、それぞれ走行実績情報331として情報記憶部33へ順次記憶させる。さらに、情報生成部302は、情報記憶部33へ記憶させた走行実績情報331を用いて長さの異なる所定期間別の走行実績情報331を生成して情報記憶部33へ記憶させる。
【0050】
具体的には、情報生成部302は、1分毎の平均燃費を用いて1トリップ、1日、月間、年間の各平均燃費および各走行距離を走行実績情報331として生成し情報記憶部33へ記憶させる。なお、ここでの1トリップとは、ユーザがエンジンを始動してから停止させるまでの期間である。
【0051】
また、情報生成部302は、表示部32によって長さの異なる所定期間別の走行実績情報331を表示させるために最低限必要な走行実績情報331を除く走行実績情報331を情報記憶部33から削除する処理を行う。なお、かかる処理の詳細については、図7を用いて後述する。
【0052】
表示制御部303は、走行実績情報331を表示させる操作が行われたことを示す信号が操作部31から入力された場合に、情報記憶部33から走行実績情報331を読み出し、走行実績情報331に対応する画像情報を生成する処理部である。
【0053】
かかる表示制御部303は、走行実績情報331を携帯端末装置3の表示部32へ表示させる信号が操作部31から入力された場合、生成した画像情報を携帯端末装置3の表示部32へ出力して走行実績情報331の表示を行わせる。
【0054】
また、表示制御部303は、走行実績情報331を車載装置2の表示部21へ表示させる信号が操作部31から入力された場合、生成した画像情報を車載装置2へ送信する。このとき、表示制御部303は、車載装置2との間で通信費が不要な近距離無線通信規格(たとえば、Bluetooth(登録商標)等)に準拠した通信によって画像情報を車載装置2へ送信する。
【0055】
車載装置2では、画像情報受信部203が携帯端末装置3から受信した画像情報を表示部21へ出力することによって表示部21へ走行実績情報331に対応した画像の表示を行わせる。
【0056】
このように、情報提供システム1では、携帯端末装置3の表示部32へ走行実績情報331を表示させて走行実績情報331の提供を行うため、ユーザが車両4の外にいる場合であってもユーザへ走行実績情報331を提供することができる。
【0057】
また、携帯端末装置3は、車両4の各ECU41、42、43が車両4から実際に検出した車両の動作状態を正確に示す車両情報信号を用いて走行実績情報331を生成するため、正確な走行実績情報331をユーザへ提供することができる。
【0058】
また、情報提供システム1では、携帯端末装置3が走行実績情報331の生成を行うため、車載装置2には、走行実績情報331を生成する機能を設ける必要がない。したがって、情報提供システム1によれば、車載装置2のコストを抑制することができる。
【0059】
また、情報提供システム1では、携帯端末装置3によって生成された走行実績情報331の画像情報を車載装置2へ送信し、車載装置2の表示部21によって表示させることができる。
【0060】
このため、情報提供システム1によれば、車載装置2の表示領域が携帯端末装置3の表示領域よりも大きい場合、ユーザが車両4内にいれば、車載装置2の表示部21によって走行実績情報331をより大きく表示させて視認性を向上させることができる。
【0061】
ここで、図3〜6を用いて、表示制御部303による表示態様の一例について説明する。なお、表示制御部303が車載装置2の表示部21へ表示させる画像と携帯端末装置3の表示部32へ表示させる画像とは同じものである。このため、以下では、表示制御部303が携帯端末装置3の表示部32へ表示させる画像の表示態様について説明する。
【0062】
図3は、本実施例に係る携帯端末装置3による表示の遷移の一例を示す図であり、図4〜図6は、本実施例に係る携帯端末装置3による走行実績情報331の表示例を示す図である。なお、図3を用いた説明における1トリップ(1Trip)とは、車両4のエンジンが始動されてから停止されるまでに対応する1回の走行のことである。
【0063】
図3に示すように、ユーザが携帯端末装置3の操作部31に対して走行実績情報表示操作を行った場合(ステップS10)、表示制御部303は、表示部32へ走行実績情報メニュー画面を表示させる。
【0064】
具体的には、表示制御部303は、「燃費」、「走行距離」、「終了」のアイコンを表示させ、ユーザへ選択させる。このとき、ユーザが「終了」のアイコンを選択する操作を行った場合、表示制御部303は、所定の待ち受け画面(図示略)を表示部32へ表示させる。
【0065】
一方、ユーザが「燃費」のアイコンを選択する操作を行った場合(ステップS11)、表示制御部303は、走行実績情報331として平均燃費情報画面を表示部32へ表示させる。このとき、表示制御部303は、現時点から所定期間前までに情報生成部302によって生成された走行実績情報331を表示対象として表示させる。
【0066】
具体的には、表示制御部303は、現在日時を表示させるとともに、情報記憶部33によって記憶されている走行実績情報331に基づき、直近の1トリップの平均燃費、直近の1日の平均燃費、直近の月間の平均燃費、直近の年間の平均燃費を一覧表示させる。
【0067】
このように、携帯端末装置3では、表示制御部303が情報記憶部33から走行実績情報331を読み出して車両4の平均燃費を携帯端末装置3の表示部32へ表示させる。このため、携帯端末装置3は、情報記憶部33によって既に走行実績情報331が記憶されている場合、ユーザが車両4の外にいてもユーザへ車両4の平均燃費の情報を提供することができる。
【0068】
また、表示制御部303は、平均燃費の一覧表示の下方に「燃費詳細」、「もどる」のアイコンを表示させ、ユーザへ選択させる。このとき、ユーザが「もどる」のアイコンを選択する操作を行った場合(ステップS12)、表示制御部303は、表示部32による表示を走行実績情報メニュー画面へ戻す。
【0069】
一方、ユーザが「燃費詳細」のアイコンを選択する操作を行った場合(ステップS13)、表示制御部303は、燃費詳細履歴画面を表示部32へ表示させる。かかる燃費詳細履歴画面は、情報記憶部33に走行実績情報331が存在する直近の1トリップにおける平均燃費の詳細を示す画面である。
【0070】
具体的には、表示制御部303は、燃費詳細履歴画面として、表示対象の1トリップにおける1分毎の平均燃費の推移を示す折れ線グラフを表示させる。このとき、表示制御部303は、表示対象の1トリップの開始日時と、折れ線グラフで平均燃費を表示可能な最後の日時を表示させる。
【0071】
また、表示制御部303は、折れ線グラフ中に表示対象の1トリップにおける最良燃費および最悪燃費を表示させる。なお、最良燃費および最悪燃費については、直近の1トリップに限らず、過去のトリップを含めた最良燃費および最悪燃費を表示させてもよい。
【0072】
このように、情報提供システム1では、直近の1トリップに関する平均燃費の時間推移を折れ線グラフで表示させるとともに、グラフ上に1トリップにおける最良燃費および最悪燃費を表示させる。これにより、ユーザは、かかる燃費詳細履歴画面を見ることによって、自身の運転がどれだけ省燃費に寄与していたかを直感的に認識することができる。
【0073】
また、表示制御部303は、1トリップの燃費詳細履歴画面の表示中にユーザによってテンキーの「6」キーが押圧操作される毎に、1日、月間、年間の各燃費詳細履歴画面を表示部32へ順次表示させる。
【0074】
具体的には、表示制御部303は、1日の燃費詳細履歴画面では、直近の1日における30分間毎の平均燃費の推移を示す折れ線グラフを表示させる。また表示制御部303は、月間の燃費詳細履歴画面では、直近の月における日毎の平均燃費の推移を示す折れ線グラフを表示させる。また、表示制御部303は、年間の燃費詳細履歴画面では、直近の年における月毎の平均燃費の推移を示す折れ線グラフを表示させる。
【0075】
また、表示制御部303は、年間の燃費詳細履歴画面の表示中にユーザによってテンキーの「4」キーが押圧操作される毎に、月間、1日、1トリップの各平均燃費の詳細を表示部32へ表示させる。
【0076】
また、表示制御部303は、平均燃費の推移を示す各折れ線グラフを表示させる場合、所定の表示領域内に燃費の最良値および最悪値を含む折れ線グラフが最も大きく表示されるように折れ線グラフの縮尺率を自動調整する。
【0077】
なお、表示制御部303は、燃費詳細履歴画面中に「もどる」のアイコンを表示させる。このとき、ユーザが「もどる」のアイコンを選択する操作を行った場合(ステップS14)、表示制御部303は、表示部32による表示を平均燃費情報画面へ戻す。
【0078】
また、表示制御部303は、走行実績情報メニュー画面を表示中に、ユーザが「走行距離」のアイコンを選択する操作を行った場合(ステップS21)、走行実績情報331として走行距離情報画面を表示部32へ表示させる。このとき、表示制御部303は、現時点から所定期間前までに情報生成部302によって生成された走行実績情報331を表示対象として表示させる。
【0079】
具体的には、表示制御部303は、現在日時を表示させるとともに、情報記憶部33によって記憶されている走行実績情報331に基づき、1トリップの累計走行距離、1日の累計走行距離、月間の累計走行距離、年間の累計走行距離を一覧表示させる。
【0080】
また、表示制御部303は、走行距離の一覧表示の下方に「年間詳細」、「もどる」のアイコンを表示させ、ユーザへ選択させる。このとき、ユーザが「もどる」のアイコンを選択する操作を行った場合(ステップS22)、表示制御部303は、表示部32による表示を走行実績情報メニュー画面へ戻す。
【0081】
一方、ユーザが「年間詳細」のアイコンを選択する操作を行った場合(ステップS23)、表示制御部303は、年間走行距離詳細画面を表示部32へ表示させる。かかる年間走行距離詳細画面は、情報記憶部33に走行実績情報331が存在する直近の年における走行距離の詳細を示す画面である。
【0082】
具体的には、表示制御部303は、年間走行距離詳細画面として、表示対象の年と、同年における月毎の走行距離を示す棒グラフを表示させる。また、表示制御部303は、走行距離が最長の月に対応する棒グラフを他の棒グラフと異なる色や模様、形状等の表示態様で表示させるとともに、同月の走行距離を数値によって表示させる。
【0083】
また、表示制御部303は、月毎の走行距離を示す棒グラフを表示させる場合、所定の表示領域内に走行距離が最長の月に対応する棒グラフが全て収まる最大の大きさとなるように、全棒グラフの縮尺率を自動調整する。
【0084】
また、情報提供システム1では、携帯端末装置3の情報記憶部33に現時点から前年までの各月の走行距離を走行実績情報331として記憶している。そして、表示制御部303は、年間走行距離詳細画面の表示中にユーザによってテンキーの「4」キーが押圧操作された場合に、表示を本年から前年の画面へ切り替え、「6」キーが押圧操作された場合に、表示を前年から本年の画面へ切り替える。
【0085】
また、表示制御部303は、年間走行距離詳細画面中に「もどる」のアイコンを表示させる。このとき、ユーザが「もどる」のアイコンを選択する操作を行った場合(ステップS24)、表示制御部303は、表示部32による表示を走行距離情報画面へ戻す。
【0086】
ところで、表示制御部303は、所定期間が経過する毎に情報生成部302によって生成される所定期間毎の走行実績情報331と、所定期間が経過する前に情報生成部302によって予測される所定期間毎の走行実績情報331とを異なる表示態様で時系列に表示させる。
【0087】
ここで、図4を用いて表示制御部303が情報生成部302によって生成された走行実績情報331と情報生成部302によって予測された走行実績情報331とを異なる表示態様で表示させる場合の一例について説明する。なお、図4には、ある1日における平均燃費の詳細を示す折れ線グラフの一部を示している。
【0088】
図4の上図に示すように、表示制御部303は、たとえば、ユーザが22:45に同日の平均燃費に関する燃費詳細を表示させる操作を行った場合、表示制御部303は、22:30までと22:30分以降とでは折れ線グラフの表示態様を異ならせる。
【0089】
すなわち、表示制御部303は、前述したように、1日の平均燃費の詳細では、1日における30分間毎の平均燃費の推移を示す折れ線グラフを表示させる。ただし、22:45の時点では、情報生成部302は、22:30までの30分毎の平均燃費しか生成することができず、22:30から23:00までの平均燃費については生成することができない。
【0090】
このため、情報生成部302は、22:45に同日の平均燃費に関する燃費詳細を表示させる操作が行われた場合、22:30から22:45までの平均燃費を22:30から23:00までの平均燃費として予測して情報記憶部33へ記憶させる。
【0091】
かかる場合、表示制御部303は、情報記憶部33に記憶されている走行実績情報331に基づき、情報生成部302によって生成(確定)された平均燃費と、予測された平均燃費とを折れ線グラフ上に異なる色または形状のドットで表示させる。
【0092】
さらに、表示制御部303は、情報生成部302によって生成(確定)された平均燃費を示すドット間を実線によって表示させるとともに、確定された平均燃費を示すドットと予測された平均燃費を示すドットとを点線によって表示させる。これにより、情報提供システム1では、現在の運転状態がこのまま継続された場合に、以後、平均燃費がどのように推移するのかをユーザへ直感的に認識させることができる。
【0093】
その後、23:00になると、情報生成部302によって22:30から23:00までの平均燃費が確定される。このため、表示制御部303は、図4の下図に示すように、22:30から23:00までの平均燃費を示す折れ線グラフ上のドットの表示態様を22:30以前の平均燃費を示すドットと同様とし、折れ線グラフ上の点線部分を実線へ変更する。
【0094】
ところで、表示制御部303は、期間別の各走行実績情報331を当該期間に対応する間隔をあけて時間軸上へ時系列表示させる際に、当該期間を超える車両4の非運転時間帯が存在する場合、非運転時間帯が表示に占める領域を非運転時間帯が時間軸によって示されるべき領域よりも狭く表示させる。
【0095】
ここで、図5および図6を用いて非運転時間帯が存在する場合の表示制御部303による表示態様について説明する。図5に示すように、表示制御部303は、たとえば、09:30から17:30までの8時間が非運転時間であった場合、折れ線グラフ上で09:30に対応する平均燃費のドットと17:30に対応する平均燃費のドットとの間を空白として表示させる。
【0096】
さらに、表示制御部303は、09:30から17:30までの8時間の非運転時間を折れ線グラフの時間軸における1メモリ(30分間)分に縮小して表示させる。これにより、平均燃費の詳細を示す折れ線グラフの縮尺率を自動調整して折れ線グラフ全体を所定の表示領域内に表示させる場合に、非運転時間を縮小表示した分、折れ線グラフを拡大表示させて視認性を向上させることができる。
【0097】
一方、表示制御部303は、図6に示すように、1日の平均燃費の詳細を折れ線グラフによって表示させる際に、非運転時間が30分未満であった場合、折れ線グラフ上で非運転時間帯の直前および直後に対応する平均燃費のドット間を実線によって表示させる。
【0098】
これにより、1日の間に極めて短い非運転時間が多数存在する場合に、平均燃費の詳細を示す折れ線グラフが多数箇所で寸断されることを防止することができるため平均燃費の視認性を向上させることができる。
【0099】
次に、図7を用いて情報生成部302が行う情報記憶部33への走行実績情報331の記憶手順および情報記憶部33からの走行実績情報331の削除手順の一例について説明する。図7は、本実施例に係る携帯端末装置3による走行実績情報331の記憶および削除の一例を示す図である。
【0100】
以下では、車両4のユーザが1日目に車両を2回運転し、2日目に1回運転した場合について説明する。なお、以下では、ユーザが車両4を運転している間、情報生成部302が走行実績情報331を生成するアプリを実行しているものとして説明する。
【0101】
また、図7を用いた説明では、1日目の1回目の運転をトリップ(Tr1)、1日目の2回目の運転をトリップ(Tr2)、2日目の運転をトリップ(Tr3)という。
【0102】
また、各トリップ(Tr1)、(Tr2)、(Tr3)における1分毎の平均燃費および走行距離に対応する走行実績情報331をそれぞれ分情報(Tr1)、(Tr2)、(Tr3)という。また、各トリップ(Tr1)、(Tr2)、(Tr3)毎の平均燃費および走行距離に対応する走行実績情報331をそれぞれTr情報(Tr1)、(Tr2)、(Tr3)という。
【0103】
また、トリップ(Tr1)における30分毎の平均燃費および走行距離に対応する走行実績情報331を30分情報(Tr1)という。また、1日目の1日間における平均燃費および走行距離に対応する走行実績情報331を日情報(1日目)といい、2日目の1日間における平均燃費および走行距離に対応する走行実績情報331を日情報(2日目)という。
【0104】
また、図7では、情報生成部302によって確定された走行実績情報331を実線のブロックで示しており、未確定の走行実績情報331については、点線のブロックで示している。
【0105】
情報生成部302は、車両情報信号から走行実績情報331を生成して情報記憶部33へ記憶させた後、情報記憶部33によって記憶されている走行実績情報331を用いて長さの異なる期間別の走行実績情報331を生成して情報記憶部33へ記憶させる。さらに、情報生成部302は、表示制御部303によって表示対象とならなくなった走行実績情報331を情報記憶部33から削除する。
【0106】
たとえば、図7に示すように、情報生成部302は、1日目の時刻T1にトリップ(Tr1)が開始されると、車載装置2から受信された車両情報信号に基づいて分情報(Tr1)を生成し、情報記憶部33へ順次記憶させる。
【0107】
このとき、情報生成部302は、情報記憶部33内にTr情報(Tr1)用の記憶領域および日情報(1日目)用の記憶領域を作成する。そして、情報生成部302は、分情報(Tr1)を用いて現時点までのTr情報(Tr1)および日情報(1日目)を生成し、Tr情報(Tr1)用の記憶領域および日情報(1日目)用の記憶領域へそれぞれ記憶させる。
【0108】
その後、情報生成部302は、1日目の時刻T2にトリップ(Tr1)が終了すると、情報記憶部33へTr情報(Tr1)を記憶させて確定させる。その後、たとえば、時刻00:00:00から30分が経過して時刻00:30:00になると、情報生成部302は、分情報(Tr1)を30分情報(Tr1)へ反映させた後、情報記憶部33から分情報(Tr1)を削除する。
【0109】
その後、情報生成部302は、1日目の時刻T3にトリップ(Tr2)が開始されると、Tr情報(Tr1)を情報記憶部33から削除するとともに、分情報(Tr2)を情報記憶部33へ記憶させ、情報記憶部33内に、Tr情報(Tr2)用の記憶領域を作成する。
【0110】
このように、情報生成部302は、トリップ(Tr2)が開始されると、表示対象とならなくなるトリップ(Tr1)に関する分情報(Tr1)を情報記憶部33から削除することによって記憶領域における空き領域を拡大する。
【0111】
また、情報生成部302は、時刻が30分経過する毎に、分情報を30分情報へ反映させた後、情報記憶部33から削除することによって記憶領域における空き領域を拡大する。しかも、情報生成部302は、分情報(Tr1)を削除する前に、分情報(Tr1)を30分情報(Tr1)へ反映している。
【0112】
このため、情報生成部302は、30分情報(Tr1)と分情報(Tr2)とを用いることによって1日目の燃費詳細履歴画面を表示させるための走行実績情報331を生成することができる。
【0113】
その後、情報生成部302は、時刻T4にトリップ(Tr2)が終了すると、情報記憶部33へTr情報(Tr2)を記憶させて確定させる。その後、たとえば、時刻00:30:00から30分が経過して時刻1:00:00になると、情報生成部302は、分情報(Tr2)を反映させた30分情報(Tr1、Tr2)を情報記憶部33へ記憶させた後、分情報(Tr2)を情報記憶部33から削除する。
【0114】
その後、情報生成部302は、時刻24:00:00に日付が変わると、30分情報(Tr1、Tr2)を日情報(1日目)へ反映させるとともに、情報記憶部33へ日情報(1日目)を記憶させて確定させ、30分情報(Tr1、Tr2)を情報記憶部33から削除する。
【0115】
このように、情報生成部302は、日付が変わると前日の30分情報(Tr1、Tr2)が表示対象とならなくなるため、30分情報(Tr1、Tr2)を情報記憶部33から削除することによって記憶領域の空き領域を拡大する。
【0116】
なお、直近のトリップ(Tr2)に関する分情報(Tr2)は、Tr情報(Tr2)の燃費詳細履歴画面を表示させるために必要となるので削除せずに保存する。また、日情報(1日目)は、月毎の走行実績情報331の画像を表示させるために必要となるので削除せずに保存する。
【0117】
その後、情報生成部302は、2日目の時刻T5にトリップ(Tr3)が開始されると、トリップ(Tr2)に関する走行実績情報331が表示対象とならなくなるため、Tr情報(Tr2)を情報記憶部33から削除する。
【0118】
さらに、情報生成部302は、分情報(Tr3)を情報記憶部33へ記憶させるとともに、情報記憶部33内にTr情報(Tr3)用の記憶領域および日情報(2日目)用の記憶領域を作成する。
【0119】
そして、情報生成部302は、分情報(Tr3)を用いて現時点までのTr情報(Tr3)および日情報(2日目)を生成し、Tr情報(Tr3)用の記憶領域および日情報(2日目)用の記憶領域へそれぞれ記憶させる。
【0120】
その後、情報生成部302は、時刻T6にトリップ(Tr3)が終了すると、Tr情報(Tr3)を情報記憶部33へ記憶させて確定させる。以後、情報生成部302は、1分、1トリップ、1日、月間、年間の走行実績情報331を順次生成し、表示制御部303による表示に必要な走行実績情報331を除く走行実績情報331を情報記憶部33から順次削除する。
【0121】
なお、日毎の走行実績情報331は、月が変わる毎に情報生成部302によって削除され、年毎の走行実績情報331は、前年分までが保存対象となり、前々年の走行実績情報331となった時点で情報生成部302によって削除される。
【0122】
このように、情報生成部302は、1分、1トリップ、1日、1月、1年という長さの異なる所定期間が経過する毎に、情報記憶部33によって記憶されている走行実績情報331を用いて所定期間別の走行実績情報331を生成し、情報記憶部33へ記憶させる。
【0123】
そして、情報生成部302は、表示制御部303による所定期間別の走行実績情報331の表示に最低限必要な走行実績情報331を除く走行実績情報331を情報記憶部33から削除する。これにより、携帯端末装置3は、情報記憶部33の空き領域を拡大して、情報記憶部33の記憶領域を有効に使用することができる。
【0124】
次に、図8を用いて携帯端末装置3の制御部30で実行される処理について説明する。図8は、本実施例に係る携帯端末装置3の制御部30で実行される処理を示すフローチャートである。制御部30では、走行実績情報331を生成するためのアプリが実行された場合に、図8に示すフローチャートに従って処理が実行される。
【0125】
すなわち、制御部30では、走行実績情報331を生成するためのアプリが実行された場合、図8に示すように、信号受信部301が車載装置2との通信の確立を試行し、車両情報信号を受信したか否かを判定する(ステップS101)。そして、信号受信部301は、車両情報信号を受信したと判定した場合(ステップS101,Yes)、車両情報信号を情報生成部302へ出力する。
【0126】
続いて、情報生成部302は、信号受信部301から入力される車両情報信号に基づいて走行実績情報331を算出する(ステップS102)。続いて、情報生成部302は、走行実績情報331を情報記憶部33へ記憶させて保存し(ステップS103)、処理をステップS104へ移す。
【0127】
このとき、情報生成部302は、表示制御部303によって長さの異なる所定期間別の走行実績情報331を表示させるために最低限必要な走行実績情報331を除く走行実績情報331を情報記憶部33から削除する。
【0128】
一方、信号受信部301は、車両情報信号を受信していないと判定した場合(ステップS101,No)、処理をステップS104へ移す。ステップS104において、表示制御部303は、走行実績情報331の表示要求操作があったか否かの判定を行う。
【0129】
そして、表示制御部303は、表示要求操作があったと判定した場合(ステップS104,Yes)、ユーザの操作に対応した走行実績情報331の画像を表示部32へ表示させる(ステップS105)。
【0130】
一方、表示制御部303は、表示要求操作がなかったと判定した場合(ステップS104,No)、処理をステップS106へ移す。
【0131】
ステップS106において、表示制御部303は、アプリを終了させる終了操作があったか否かを判定し、終了操作があったと判定した場合(ステップS106,Yes)、処理を終了する。一方、表示制御部303は、終了操作がなかったと判定した場合(ステップS106,No)、処理をステップS101へ移す。
【0132】
次に、図9を用いて車載装置2の制御部20で実行される処理について説明する。図9は、本実施例に係る車載装置2の制御部20で実行される処理を示すフローチャートである。制御部20では、携帯端末装置3との間で通信が確立されている期間、図9に示すフローチャートに従って処理が繰り返し実行される。
【0133】
すなわち、制御部20では、携帯端末装置3との間で通信が確立された場合、図9に示すように、信号取得部201が車両4から車両情報信号を取得して(ステップS201)、信号送信部202へ出力する。
【0134】
続いて、信号送信部202は、信号取得部201から入力された車両情報信号を携帯端末装置3へ送信する(ステップS202)。続いて、画像情報受信部203は、携帯端末装置3から走行実績情報331に対応した画像情報を受信したか否かを判定する(ステップS203)。
【0135】
そして、画像情報受信部203は、画像情報を受信したと判定した場合(ステップ203,Yes)、画像情報を表示部21へ出力することによって画像情報を表示させ(ステップS204)、処理をリターンさせる。一方、画像情報受信部203は、画像情報を受信していないと判定した場合(ステップS203,No)、処理をリターンさせる。
【0136】
ところで、これまで車載装置2と携帯端末装置3とが1対1の場合について説明したが、車載装置2と携帯端末装置3とは必ずしも1対1である必要はない。たとえば、1台の携帯端末装置によって複数台の各車両に設けられた車載装置から車両情報信号を受信し、車載装置(車両)毎に走行実績情報331を生成して記憶するように情報提供システムを構成してもよい。
【0137】
ここで、図10を用いて1台の携帯端末装置によって複数台の車載装置から車両情報を受信し、車載装置毎に車両の走行実績情報を記憶するように構成した変形例1に係る情報提供システムについて説明する。
【0138】
図10は、変形例1に係る情報提供システム1aの構成を示すブロック図である。なお、図10では、図2に示す情報提供システム1と同様の構成要件については、同一の符号を付している。
【0139】
図10に示すように、情報提供システム1aは、複数台(ここでは、2台)の各車両4、5に設けられた車載装置2a、2bのそれぞれに対して固有の識別情報(以下、「車載装置ID」という)が付与されている点と、携帯端末装置3aの構成とが図2に示す情報提供システム1と異なる。
【0140】
このため、以下では、情報提供システム1aにおける携帯端末装置3aの構成および動作について説明する。携帯端末装置3aは、制御部30aと操作部31と表示部32と情報記憶部33aとを備えている。なお、操作部31および表示部32は、図2に示すものと同様のものである。
【0141】
制御部30aは、信号受信部301aとID識別部304と情報生成部302aと表示制御部303とを備えている。なお、表示制御部303は、図2示すものと同様のものである。かかる制御部30aの信号受信部301aは、車両4に搭載された車載装置2aから車両4の車両情報信号と車載装置ID(ここでは、01)とを受信する。
【0142】
また、信号受信部301aは、車両5に搭載された車載装置2bから車両5の車両情報信号と車載装置ID(ここでは、02)とを受信する。続いて、信号受信部301aは、受信した車両情報信号と車載装置IDとをID識別部304へ出力する。
【0143】
ID識別部304は、信号受信部301aから入力される車載装置IDを識別し、識別した車載装置IDと車両情報信号とを対応付けて情報生成部302aへ出力する。情報生成部302aは、ID識別部304から入力される車両情報信号に基づいて車載装置ID別の走行実績情報331aを生成する。
【0144】
続いて、情報生成部302aは、生成した車載装置ID別の走行実績情報331aを情報記憶部33aへ出力し、情報記憶部33aへ車載装置ID別に走行実績情報331aを記憶させる。これにより、携帯端末装置3aは、走行実績情報331aを車両別に管理することができる。
【0145】
このため、ユーザは、他のユーザが運転する他の車両4、5が車載装置2a、2bを搭載していれば、たとえば、他の車両4、5の平均燃費等の情報を取得することができる。したがって、ユーザは、たとえば、かかる情報を次に購入する車両を決定する際の判断材料として用いることができる。
【0146】
なお、変形例1では、車載装置2a、2bに対して車載装置IDが付与されている場合について説明したが、車載装置IDへ車両4、5の車種や年式、メーカー等の情報を付加してもよい。こうすれば、情報提供システム1aは、ユーザに対して車両の評価材料としてより有用な情報を提供することができる。
【0147】
ところで、1台の車両を複数のユーザで共用する場合、各ユーザが所有する携帯端末装置の間で互いに走行実績情報を共有するように情報提供システムを構成してもよい。
【0148】
ここで、図11を用いて各ユーザが所有する携帯端末装置の間で互いに走行実績情報を共有するように構成した変形例2に係る情報提供システムについて説明する。図11は、変形例2に係る情報提供システム1bの構成を示すブロック図である。
【0149】
以下では、1台の車両Aをユーザαとユーザβとで共用する場合について説明する。また、以下では、ユーザαが所有する携帯端末装置3bへ001という固有の端末IDが付与され、ユーザβが所有する携帯端末装置3cへ002という固有の端末IDが付与されているものとして説明する。また、車両Aに搭載されている車載装置には、固有の車載装置ID332bが付与されているものとする。
【0150】
図11に示すように、変形例2に係る携帯端末装置3bは、制御部30bと操作部31と表示部32と情報記憶部33bとを備えている。なお、操作部31、表示部32は、図2に示すものと同様のものである。
【0151】
制御部30bは、ID判別部305と情報取得部306と表示制御部303とを備えている。なお、表示制御部303は、図2に示すものと同様のものである。なお、ここでは図示を省略しているが、制御部30bは、図2に示すものと同様に、信号受信部301と情報生成部302とを備えている。
【0152】
また、情報記憶部33bは、予め車載装置ID332bを記憶しており、後に、情報生成部302(図2参照)から入力される走行実績情報331および情報取得部306から入力される走行実績情報331bを記憶する。
【0153】
かかる携帯端末装置3cでは、ユーザαが操作部31に対して他のユーザβの携帯端末装置3cから走行実績情報331bを取得する操作を行うと、操作部31からID判別部305へその旨を示す信号が入力される。
【0154】
かかる信号が入力されると、ID判別部305は、ユーザβの携帯端末装置3cとの通信を確立し、ユーザβの携帯端末装置3cから他の携帯端末装置3cの車載装置IDを取得する。
【0155】
続いて、ID判別部305は、情報記憶部33bからユーザαの携帯端末装置3bの端末ID332bを読み出してユーザβの携帯端末装置3cの車載装置IDと一致するか否かを判定し、判定結果を情報取得部306へ出力する。
【0156】
続いて、情報取得部306は、ID判別部305から車載装置IDが一致したことを示す判定結果が入力された場合、ユーザβの携帯端末装置3cとの通信を確立し、ユーザβの携帯端末装置3cから端末ID(ここでは、002)と走行実績情報331bとを取得する。
【0157】
続いて、情報取得部306は、ユーザβの携帯端末装置3cから取得した端末ID(ここでは、002)と走行実績情報331bとを対応付けて情報記憶部33bへ記憶させる。なお、情報取得部306は、情報生成部302(図2参照)によって生成された走行実績情報331が情報記憶部33bに存在する場合、かかる走行実績情報331へユーザαの携帯端末装置3bの端末ID(ここでは、001)を対応付けて情報記憶部33bへ記憶させる。
【0158】
このように、情報提供システム1bでは、ユーザαの携帯端末装置3bが自装置によって生成した走行実績情報331と、ユーザβの携帯端末装置3cによって生成された走行実績情報331bとを区別して情報記憶部33bへ記憶させる。
【0159】
これにより、情報提供システム1bでは、たとえば、ユーザαの携帯端末装置3bによって1台の車両Aをユーザαが運転した場合の走行実績情報331と、他のユーザβが運転した場合の走行実績情報331bとを提供することができる。このため、ユーザαは、自身の運転傾向と他のユーザβの運転傾向とを比較することができる。
【0160】
また、情報提供システム1bは、1台の車両Aに関する全てのユーザα、βの走行実績情報331、331bを平均化して平均走行実績情報を生成するように情報生成部302を構成してもよい。かかる構成とすれば、情報提供システム1bは、たとえば、車両Aの仕様上の平均燃費ではなく、車両Aの実走行に即した平均燃費を提供することができる。
【0161】
また、情報システム1bは、たとえば、平均燃費の高低によってユーザα、βに対して順位を付与し、平均燃費の低い順に各ユーザα、βの平均燃費を一覧表示するように表示制御部303を構成してもよい。かかる構成とすることで、情報提供システム1bは、各ユーザα、βに対して、低燃費運転を促すことがきる。
【0162】
また、変形例1および変形例2の携帯端末装置3a、3bが備える機能を組み合わせ、複数台の車載装置と複数台の携帯端末装置とによって情報提供システムを構成してもよい。かかる構成とすれば、1台の携帯端末装置によって複数のユーザの運転による複数台の車両に関する走行実績情報を提供することができる。
【0163】
また、車両情報信号は、発生頻度がms単位となっているが車載装置側でs単位に集約して通知してもよい。
【0164】
なお、車載装置2は、必ずしも制御部20内の画像情報受信部203、及び表示部21を備える必要はなく、携帯端末装置3を搭載可能なホルダのようなものでもよい。こうすることで、表示部を有した車載装置を持っていないユーザでも携帯端末装置3の表示部32を利用して車両の走行中でも走行実績情報331を確認することができる。
【0165】
また、車両4の複数の各ECUに信号送信部202を備えるようにし、車載装置2を介さずに各ECUから携帯端末装置3に直接車両情報信号を送信するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0166】
1、1a、1b 情報提供システム
2、2a、2b 車載装置
20 制御部
201 信号取得部
202 信号送信部
203 画像情報受信部
21 表示部
3、3a、3b、3c 携帯端末装置
30、30a、30b 制御部
301、301a 信号受信部
302、302a 情報生成部
303 表示制御部
304 ID識別部
305 ID判別部
306 情報取得部
31 操作部
32 表示部
33、33a、33b 情報記憶部
331、331a、331b 走行実績情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載装置を搭載した車両の走行実績に関する走行実績情報を提供する情報提供システムであって、
前記車載装置は、
前記車両の動作制御に用いられる車両情報信号を前記車両から取得する信号取得部と、
前記信号取得部によって取得された前記車両情報信号を携帯端末装置へ送信する信号送信部と
を備え、
前記携帯端末装置は、
前記車載装置から前記車両情報信号を受信する信号受信部と、
前記信号受信部によって受信された前記車両情報信号に基づいて前記走行実績情報を生成する情報生成部と、
前記情報生成部によって生成された前記走行実績情報を記憶する情報記憶部と
を備えたことを特徴とする情報提供システム。
【請求項2】
前記携帯端末装置は、
前記走行実績情報の表示要求操作を受け付ける操作部と、
前記操作部によって前記表示要求操作が受け付けられた場合に、現時点から所定期間前までに前記情報生成部によって生成された前記走行実績情報を表示対象として表示させる表示制御部と
をさらに備え、
前記情報生成部は、
前記情報記憶部によって記憶されている前記走行実績情報を用いて長さの異なる期間別の走行実績情報を生成して前記情報記憶部へ記憶させるとともに、前記表示制御部によって表示対象とならなくなった前記走行実績情報を前記情報記憶部から削除する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項3】
前記表示制御部は、
前記長さの異なる期間が経過する毎に前記情報生成部によって生成された前記期間別の走行実績情報と、前記長さの異なる期間が経過する前に前記情報生成部によって予測された前記期間別の走行実績情報とを異なる表示態様で時系列に表示させる
ことを特徴とする請求項2に記載の情報提供システム。
【請求項4】
前記期間別の各走行実績情報を当該期間に対応する間隔をあけて時間軸上へ時系列表示させる際に、当該期間を超える前記車両の非運転時間帯が存在する場合、前記非運転時間帯が表示に占める領域を前記非運転時間帯が前記時間軸によって示されるべき領域よりも狭く表示させる
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の情報提供システム。
【請求項5】
それぞれ固有の識別情報が付与された複数の前記車載装置を含み、
前記携帯端末装置は、
前記車載装置から前記識別情報を取得し、当該識別情報に基づいて前記車載装置を識別する識別部
をさらに備え、
前記情報生成部は、
前記識別部によって識別された前記車載装置別に前記走行実績情報を生成して前記情報記憶部へ記憶させる
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の情報提供システム。
【請求項6】
前記携帯端末装置は、
前記車載装置に付与された固有の識別情報を記憶する識別情報記憶部と、
他の前記携帯端末装置から前記識別情報を取得し、当該識別情報と前記識別情報記憶部によって記憶されている前記識別情報とが一致するか否かを判別する判別部と
前記判別部によって前記識別情報が一致すると判別された場合に、前記他の携帯端末装置から前記走行実績情報を取得して前記情報記憶部へ記憶させる情報取得部と
を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の情報提供システム。
【請求項7】
車両の動作制御に用いられる車両情報信号を前記車両から取得する信号取得部と、
前記車両情報信号に基づいて前記車両の走行実績に関する走行実績情報を生成する携帯端末装置へ前記信号取得部によって取得された前記車両情報信号を送信する信号送信部と
を備えたことを特徴とする車載装置。
【請求項8】
車両の動作制御に用いられる車両情報信号を前記車両から取得する車載装置から前記車両情報信号を受信する信号受信部と、
前記信号受信部によって受信された前記車両情報信号に基づいて前記車両の走行実績に関する走行実績情報を生成する情報生成部と、
前記情報生成部によって生成された前記走行実績情報を記憶する情報記憶部と
を備えたことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項9】
車両の走行実績に関する走行実績情報を提供する情報提供システムであって、
前記車両は、
前記車両の動作制御に用いられる車両情報信号を携帯端末装置へ送信する信号送信部、
を備え、
前記携帯端末装置は、
前記車両の信号送信部から前記車両情報信号を受信する信号受信部と、
前記信号受信部によって受信された前記車両情報信号に基づいて前記走行実績情報を生成する情報生成部と、
前記情報生成部によって生成された前記走行実績情報を表示させる表示制御部と
を備えたことを特徴とする情報提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−127762(P2012−127762A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278640(P2010−278640)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】