説明

情報提供システム及び車載装置

【課題】搭乗者等の情報提供先の利便性及び快適性を向上させることができる情報提供システム及び車載装置を提供する。
【解決手段】車両に乗車している搭乗者に係る行動履歴情報を収集する行動履歴情報収集部121と、この行動履歴情報を搭乗者の地域的特徴情報に対応付けて行動履歴データベース221aとして管理する履歴情報管理部221と、情報提供先に関する地域的特徴情報に基づいて、行動履歴データベース221aから、情報提供先に提供する提供情報を抽出する提供情報抽出部222と、提供情報を情報提供先に対して提示する提供情報提示部122とをそなえるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供先に情報を提供する情報提供システム及び車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報通信技術の発達により、車両等の移動体に搭載された車載装置に、例えば経路情報(道路地図)以外の情報を提示する技術が盛んに開発されている。例えば、特許文献1には、グループ登録された車両の車載器において、各車載器に登録された地点情報を読み込んだ後編集し、得られた編集済地点情報を各車両に配信する車両用ナビゲーションシステムに係る構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−98883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術においては、全ての情報提供先(例えば車両の搭乗者)に対して、同様の情報(例えば経路情報)を提供している。従って、例えば搭乗者が熟知した場所においても、当該場所を初めて訪れた搭乗者に対して提供される情報と同様の情報が提供されるため、その土地に熟知した搭乗者が提供された経路案内の内容等について煩わしく感じることがある。一方、初めて訪れる場所にあっては、全ての情報提供先に同様の情報が提供されるため、情報提供先において提供される情報が少なすぎると搭乗者が感じることもある。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みて創案されたものであって、その目的は、搭乗者等の情報提供先に応じた最適な情報を提供することができる情報提供システム及び車載装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明の要旨は、情報提供先に情報を提供する情報提供システムであって、車両に搭載され、該車両を用いた行動に関する、該車両に乗車している搭乗者に係る行動履歴情報を収集する行動履歴情報収集部と、該行動履歴情報収集部と通信回線を介して接続され、該行動履歴情報収集部によって収集された該行動履歴情報を該搭乗者の地域的特徴情報に対応付けて行動履歴データベースとして管理する履歴情報管理部と、該情報提供先に関する地域的特徴情報に基づいて、該行動履歴データベースから、該情報提供先に提供する提供情報を抽出する提供情報抽出部と、該提供情報抽出部によって抽出された該提供情報を、該情報提供先に対して提示する提供情報提示部とをそなえることを特徴とする、情報提供システムに関する(請求項1)。
【0007】
このとき、該情報提供先を特定するための情報提供先識別情報、及び該情報提供先の該地域的特徴情報を関連付けて情報提供先データベースとして予め管理する情報提供先情報管理部と、該情報提供先識別情報を取得する情報提供先情報取得部とをそなえ、該提供情報抽出部が、該情報提供先情報取得部によって取得された該情報提供先識別情報に基づいて該情報提供先データベースを参照して、該情報提供者の地域的特徴情報を取得してもよい(請求項2)。
【0008】
また、該情報提供先情報管理部が、該行動履歴情報収集部によって収集された該情報提供先に係る該行動履歴情報を、更に該情報提供先識別情報に関連付けて該情報提供先データベースに管理し、該提供情報抽出部が、該情報提供先データベースを参照して、該情報提供先の該行動履歴情報に応じた該地域的特徴情報を判断して該地域的特徴情報に基づき、該行動履歴データベースから該提供情報を抽出してもよい(請求項3)。
【0009】
更に、該行動履歴データベースが、更に、該行動履歴情報と該車両に関する車両識別情報とを関連付けて管理し、該車両に関する車両識別情報を取得する車両識別情報取得部とをそなえ、該提供情報抽出部が、該車両識別情報取得部によって取得された該車両識別情報に基づいて、該行動履歴データベースから該情報提供先に提供する該提供情報を抽出してもよい(請求項4)。
【0010】
そして、該情報提供先情報取得部が、該情報提供先が携行可能な携帯端末装置から、該情報提供先を特定するための該情報提供先識別情報を取得し、該行動履歴情報収集部によって収集された該行動履歴情報を、該通信回線を介して、該情報提供先識別情報とともに該履歴情報管理部に送信する履歴情報送信部をそなえてもよい(請求項5)。
【0011】
更に、検索キーに基づいて情報供給源から供給情報を収集する外部情報収集部をそなえ、該提供情報提示部が、該外部情報収集部によって収集された該供給情報を、該提供情報として該情報提供先に提示してもよい(請求項6)。
【0012】
そして、検索トリガを検知するトリガ検知部をそなえ、該提供情報抽出部が、該トリガ検知部により検索トリガが検知された際に、該提供情報の抽出を行なってもよい(請求項7)。
【0013】
このとき、該トリガ検知部が、該情報提供先が所定の操作を行なったことを検知することにより、該検索トリガの検知を行なってもよい(請求項8)。
【0014】
また、該トリガ検知部が、該情報提供先に係る状態変化を検知することにより、該検索トリガの検知を行なってもよい(請求項9)。
【0015】
また、該トリガ検知部が、外部状況変化を検知することにより、該検索トリガの検知を行なってもよい(請求項10)。
【0016】
そして、該検索キーを入力可能な入力装置をそなえ、該提供情報抽出部が、該入力装置から入力された該検索キーに基づいて該提供情報を抽出してもよい(請求項11)。
【0017】
また、本発明の別の要旨は、車両に搭載される車載装置であって、該車両に搭載され、該車両を用いた行動に関する、該車両に乗車している情報提供先に係る行動履歴情報を収集する行動履歴情報収集部と、該行動履歴情報収集部によって収集された該行動履歴情報を該情報提供先の地域的特徴情報に対応付けることによって構成された行動履歴データベースから、該情報提供先に関する該地域的特徴情報に基づいて抽出された該情報提供先に提供する提供情報を、該情報提供先に対して提示する提供情報提示部とをそなえることを特徴とする、車載装置に関する(請求項12)。
【0018】
このとき、該情報提供先を特定するための情報提供先識別情報を取得する情報提供先情報取得部をそなえ、該情報提供先情報取得部によって取得された該情報提供先識別情報に基づいて、該情報提供先識別情報と、該情報提供先の地域的特徴情報とを関連付けて管理する情報提供先データベースから、該情報提供者の地域的特徴情報を取得してもよい(請求項13)。
【0019】
また、該提供情報提示部が、該情報提供先データベースから、該行動履歴情報に応じた該地域的特徴情報に基づいて抽出された該提供情報を提示してもよい(請求項14)。
【0020】
更に、該提供情報提示部が、該車両に関する車両識別情報を取得する車両識別情報取得部をそなえ、該車両識別情報取得部によって取得された該車両識別情報に基づいて、該行動履歴データベースから抽出された該提供情報を提示してもよい(請求項15)。
【0021】
そして、該情報提供先情報取得部が、該情報提供先が携行可能な携帯端末装置から、該情報提供先を特定するための該情報提供先識別情報を取得し、該行動履歴情報収集部によって収集された該行動履歴情報を、該通信回線を介して、該情報提供先識別情報とともに該履歴情報管理部に送信する履歴情報送信部をそなえてもよい(請求項16)。
【0022】
更に、検索キーを入力可能な入力装置をそなえ、該提供情報提示部が、該入力装置から入力された該検索キーに基づいて抽出された該提供情報を提示してもよい(請求項17)。
【0023】
また、検索トリガを検知するトリガ検知部をそなえ、該トリガ検知部により該検索トリガが検知された際に、該提供情報の抽出が行なわれてもよい(請求項18)。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、以下の少なくとも何れか1つの効果又は利点を得ることができる。
(1)搭乗者の行動履歴情報を容易に収集でき、収集された行動履歴情報に基づいて情報提供先に情報を提供することにより、情報提供先に対応した最適な情報を提供することができる。
(2)行動履歴情報と搭乗者の地域的特徴情報とを対応付けて行動履歴データベースとして管理することにより、各搭乗者の地域的特徴情報に基づいた行動履歴情報を容易に収集できる。
(3)情報提供先の地域的特徴情報を情報提供先データベースとして予め管理することにより、情報提供先データベースを参照して情報提供先の地域的特徴情報を即時に取得することができる。
(4)行動履歴情報と情報提供先識別情報とを関連付けて情報提供先データベースとして管理することにより、情報提供先の地域的特徴情報に基づいた最適な情報を情報提供先に提供することができる。
(5)行動履歴データベースとして行動履歴情報と車両識別情報とを関連付けて管理することにより、搭乗者等の情報提供先が使用する車両に応じた情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態としての情報提供システム及び車載装置の全体的なハードウェア構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明の一実施形態としての情報提供システムにおける情報提供システム及び車載装置の全体構成を示す模式的に示す図である。
【図3】本発明の一実施形態としての情報提供システムにおいて作成されるデータベースの具体例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態としての情報提供システムにおいて作成されるデータベースの具体例を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態としての情報提供システムにおける行動履歴データベースの作成手法を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態としての情報提供システムにおける統計データベースの作成手法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態としての情報提供システムにおいて作成されるデータベースの具体例を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態としての情報提供システムにおいて作成されるデータベースの具体例を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態としての情報提供システムにおける情報提供の手法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面により、本発明の一実施形態に係る情報提供システム及び車載装置を説明する。
【0027】
<第1実施形態>
図1は本実施形態としての情報提供システム及び車載装置の全体的なハードウェア構成を模式的に示す図、図2は本実施形態に係る情報提供システム及び車載装置の全体構成を模式的に示す図、図3,図4,図7及び図8は本実施形態に係るデータベースの具体例を示す図、図5及び図6は本実施形態に係るデータベースの作成手法を示すフローチャート、図9は情報提供の手法を示すフローチャートである。なお、これらの図3,図4,図7及び図8に示す例においては、便宜上、一部項目内のデータの図示を省略している。
【0028】
本実施形態に係る情報システム1は、図1及び図2に示すように、情報センタ20と1以上の車載装置12とを備えて構成されている。また、車載装置12は、車両10に搭載されるものである。
【0029】
車載装置12は、ROM(Read Only Memory)1202と、RAM(Random access memory)1203と、不揮発性メモリ1204と、HDD(Hard Disk Drive)1205と、通信モジュール1206と、情報送受信アンテナ11と、通信モジュール1207と、CPU(Central Processing Unit)1208と、入力装置127と、表示部1209とを備えて構成されている。また、車載装置12は、ナビシステム1201と接続されている。
【0030】
ナビシステム1201は、図示しないGPS(Global Positioning System)、車速センサ及びジャイロセンサが接続されるように構成されている。
GPSは、GPS衛星の電波を受信して自車位置を割り出すシステムであり、車速センサは、自車の速度を測定するものである。ジャイロセンサ(自律航法ユニット)は、移動体の方向変化を計測するためのものであって、自車両の進行方向を検出するセンサである。そして、これらのGPS、車速センサ及びジャイロセンサにより、自車位置を算出・特定するようになっている。
【0031】
ROM1202は、CPU1208が演算や制御を行なう際に用いるデータやプログラムを予め格納する記憶装置であり、RAM1203は、CPU1208が演算や制御を行なう際に、データやプログラムを一時的に格納・展開する記憶装置である。
【0032】
不揮発性メモリ1204は、電源が供給されなくとも記憶を保持する記憶装置であり、例えば車両10を特定するための車両識別情報(例えば車両10の自動車登録番号)が記憶されている。また、HDD1205は、電源が供給されなくとも記憶を保持する記憶装置であり、例えば搭乗者13の行動履歴情報(例えばリンクID。後述する。)が記憶されている。なお、不揮発性メモリ1204とHDD1205とは、その容量に応じて、何れか1種のみを設ける構成としてもよい。
【0033】
通信モジュール1206は、Bluetooth(登録商標)等の通信手段であって、搭乗者13が携行する携帯端末装置131と通信可能に接続し、この携帯端末装置131に格納されている搭乗者IDを受信するものである。また、通信モジュール1207は、DCM(Data Communication Module)等の手段であって、情報送受信アンテナ11及び通信回線を介して、情報センタ20に設置されたサーバ22とデータをやり取りするものである。
【0034】
入力装置127は、搭乗者13が検索キー(後述)や目的地設定情報等を入力するためのものであって、例えばキーボード、音声認識手段、表示部1209(後述)に設けられたタッチパネルである。また、表示部1209は、CPU1208や必要に応じて接続されるナビシステム1201が演算・制御した結果の情報を表示するためのものである。表示部1209は、例えばディスプレイである。なお、これらの入力装置127や表示部1209には、ナビシステム1201の入力装置や表示装置を用いてもよい。
【0035】
CPU1208は、種々の演算や制御を行なう処理装置であって、車載装置12においては、CPU1208が、例えば、管理プログラムを実行することにより、後述する、行動履歴情報収集部121、提供情報提示部122、情報提供先情報取得部123、車両識別情報取得部124、履歴情報送信部125、トリガ検知部126及び通信部128として機能するようになっている。
【0036】
なお、これらの行動履歴情報収集部121、提供情報提示部122、情報提供先情報取得部123、車両識別情報取得部124、履歴情報送信部125、トリガ検知部126及び通信部128としての機能を実現するためのプログラム(管理プログラム)は、例えばフレキシブルディスク、CD(CD−ROM、CD−R、CD−RW等)、DVD(DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−R、DVD+R、DVD−RW、DVD+RW、HD DVD等)、ブルーレイディスク、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。そして、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記憶装置又は外部記憶装置に転送し格納して用いる。また、そのプログラムを、例えば磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に記録しておき、その記憶装置から通信経路を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0037】
行動履歴情報収集部121、提供情報提示部122、情報提供先情報取得部123、車両識別情報取得部124、履歴情報送信部125、トリガ検知部126及び通信部128としての機能を実現する際には、内部記憶装置(本実施形態では、ROM1202、RAM1203、不揮発性メモリ1204及びHDD1205)に格納されたプログラムがコンピュータのマイクロプロセッサ(本実施形態ではCPU1208)によって実行される。このとき、記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータが読み取って実行するようにしてもよい。
【0038】
車載装置12は、図2に示すように、行動履歴情報収集部121と、提供情報提示部122と、情報提供先情報取得部123と、車両識別情報取得部124と、履歴情報送信部125と、トリガ検知部126と、入力装置127と、通信部128としての機能を備えて構成されている。更に、車載装置12は、情報送受信アンテナ11に接続されている。そして、車両10には搭乗者13が乗車しており、搭乗者13は携帯端末装置131を携行している。また、本実施形態において、車両10の構成や機能についての図示や説明は、便宜上省略する。
【0039】
この搭乗者13は車両10の運転者であってもよく、同乗者であってもよい。なお、本実施形態では、搭乗者13が車両10の運転者である場合を例に、情報提供システム1及び車載装置12を説明する。
【0040】
[1.車載装置]
車両10は、搭乗者を乗せて移動可能な移動体であり、本実施形態においては自動車である。また、車両10は、搭乗者所有の車両であってもよいし、例えば、カーシェアリングシステムやレンタカー、友人若しくは家族の所有する車両等の搭乗者以外の所有する車両(以下、これらをまとめて「PTV(Part Time Vehicle)等」と省略して記載する。)であってもよい。中でも、車両10は、PTVであることが望ましい。
【0041】
行動履歴情報収集部121は、車両10に搭載され、車両10を用いた行動に関する、車両10に乗車している搭乗者13に係る行動履歴情報を収集するものである。搭乗者13に係る行動履歴情報とは、例えば、搭乗者13が搭乗する車両10の停車位置(一定時間停車状態が続いたもの)、停車位置の最寄りの施設(停車施設)若しくは走行ルート、ナビシステム1201の利用時における目的地設定情報、オペレータへの問い合わせ履歴等である。
【0042】
搭乗者13が用いた車両10の停車位置は、例えば搭乗者13が車両10のエンジンを止めて車両10が所定の時間停止した際の停車位置を、ナビシステム1201に接続されたGPSが特定する。そして、該停車位置を行動履歴情報収集部121が収集する。
【0043】
また、車両10の停車施設の特定においては、例えば、はじめに、停車位置と同様にナビシステム1201に接続されたGPSが停車位置を特定する。そして、行動履歴情報収集部121が該停車位置を例えばHDD1205に格納された地図データと比較することにより、行動履歴情報収集部121がこの停車位置から所定範囲内に含まれる施設を停車施設として特定し、収集する。なお、この所定範囲は任意に設定できる。
【0044】
さらに、車両10の走行ルートも同様に、ナビシステム1201がHDD1205等に走行ルートをリンクID等の形式で記録し、この記録された走行ルートの情報を行動履歴情報収集部121が収集する。
【0045】
そして、目的地設定情報に関しては、搭乗者13が入力装置127を用いてナビシステム1201に設定した目的地情報を、行動履歴情報収集部121が取得する。なお、上記目的地設定情報と併せて、搭乗者13がどこでその目的地を設定したかを収集してもよい。
【0046】
さらに、オペレータへの問い合わせ履歴は、例えばG−BOOK(登録商標)のような情報提供サービスのオペレータに対して行なわれた問い合わせ内容を示す情報である。このような問い合わせ履歴は、搭乗者13が入力装置127等を介して意図的に入力するものであってもよく、また、搭乗者13が電話やインターネットを介してオペレータに問い合わせた内容を、オペレータがサーバ22に格納された行動履歴データベース221a(以下、適宜、「データベース」を「DB」と省略して記載する。行動履歴DB221aについては後述する。)に入力したものであってもよい。オペレータが行動履歴DB221aに直接入力する場合、行動履歴情報収集部121は「オペレータへの問い合わせ履歴」を収集しないことになる。
【0047】
提供情報提示部122は、提供情報抽出部222(後述)によって抽出された提供情報(後述)を、提供情報先に対して提示するものである。具体的には、例えば車載装置12の表示部1209や、カーオーディオ(図示しない)のスピーカー等が挙げられる。提供情報の態様としては、道路地図のほかに、例えば危険地帯、危険ルート(例えば走行しにくいルート等)、現地で人気のスポット、現地に住んでいる人に人気のスポット、旅行者に人気のスポット、参加できるイベント、PTV等会員限定ツアーの案内若しくはPTV等予約時間に合わせたリコメンド(車両10がPTV等である場合;例えば予約時間内に走行可能なルート、PTV等返却場所等)、現地特有のニュース若しくは音楽、現地特有の交通ルール、現地のマナー、現地での走行上の注意点(例えば雪道、山道を走行する際の注意点)、観光ガイド等が挙げられ、これらの情報を文字、図形、音響等の任意の形態で情報提供提示部122により、情報提供先に提示されるように構成されている。
【0048】
なお、外部情報収集部224(後述)によって収集された供給情報を、この提供情報提示部122を用いて、上記の提供情報として情報提供先に提示するように構成されてもよい。
【0049】
また、本実施形態においては、情報提供先が搭乗者13である、即ち、提供情報提示部122が車両10に搭載されている例について説明する。ただし、情報提供先が、例えばパーソナルコンピュータ(PC)や携帯端末装置(例えば携帯電話)を用い、例えばインターネットを介して情報センタ20に接続して、車両10以外の場所で該提供情報を受け取ることも可能である。この場合、情報提供先は、車両10に乗車している搭乗者13以外となることもある。
【0050】
情報提供先情報取得部123は、情報提供先を特定するための情報提供先識別情報を取得するものである。本実施形態においては、情報提供先は搭乗者13となるため、情報提供先情報取得部123は搭乗者13の識別情報を取得する。識別情報としては、例えば搭乗者ID、PTV等会員ID等が挙げられる。これらの情報は、搭乗者13が入力装置127を介して意識的に入力してもよく、また、搭乗者13が携行する携帯端末装置131に予め設定された固有のIDを、Bluetooth等の通信手段により通信部128を介して取得してもよい。また、搭乗者13の識別情報をICカード等の媒体に記録しておき、カードリーダ等の読み取り装置を用いて、この識別情報を情報提供先情報取得部123が読み取ってもよく、種々変更して実施することができる。これらの方法により、情報提供先情報取得部123は情報提供先識別情報を取得することができる。なお、搭乗者13は、運転者のみの一人であってもよいし、例えば家族、友人等の運転者以外の同乗者が含まれていてもよい。搭乗者13が二人以上いる場合、各々の識別情報が情報提供先識別情報として取得される。
【0051】
また、上記のように、情報提供先が例えばPCを用いて車両10以外の場所で提供情報を受け取る場合には、この情報提供先が例えばウェブブラウザ上で入力したPTV等会員ID等の識別情報を、情報提供先識別情報とすることもできる。
【0052】
車両識別情報取得部124は、車両10に関する車両識別情報を取得するものである。車両識別情報は、車両10を特定するための識別情報であって、例えば車両10に係る自動車登録番号や車体番号等の任意に設定した情報である。車両識別情報は、例えばROM1202、不揮発性メモリ1204、HDD1205等に記録しておくことができる。
【0053】
履歴情報送信部125は、行動履歴情報収集部121によって収集された行動履歴情報を、通信回線を介して情報提供先識別情報とともにサーバ22に送信するものである。具体的には、履歴情報送信部125は、例えばDCM等の通信モジュール1207を用いて、無線通信により情報センタ20に設けられたサーバ22に接続し、上記行動履歴情報をサーバ22に送信する。なお、履歴情報送信部125が上記DCM以外の携帯電話等の端末通信装置を用いてサーバ22に送信する構成としてもよい。さらに、例えば車載装置12が車両10から取り外して持ち運び可能な場合には、車両10から取り外した車載装置12を、有線ケーブルを介してインターネットに接続し、履歴情報送信部125が該有線ケーブルを介してサーバ22に送信する構成としてもよい。
【0054】
履歴情報送信部125が上記行動履歴情報をサーバ22に送信するタイミングとしては、所定の時間経過毎等、定期的にサーバ22に送信することができる。また、この他、例えば車両10のエンジンを切った時や、新しい走行ルートを走行した時等の行動履歴情報に更新があった時等の所定のタイミングでサーバ22に送信してもよい。
【0055】
トリガ検知部126は、検索トリガを検知するものである。この検索トリガは、提供情報抽出部222(後述)が提供情報の収集(抽出)を行なうきっかけとなるものである。トリガ検知部126は、例えば、情報提供先が旅行計画をウェブサイトに入力する際や、PTV等を予約する際、目的地設定を行なう際、何らかの要求入力を行なった際等において、情報提供先が所定の操作を行なったことを検索トリガとして検知することができる。具体的には、例えば情報提供先が旅行計画をウェブサイトに入力する際には、旅行計画を入力後にウェブブラウザ上で「送信」ボタンを押下することが検索トリガに相当する。また、情報提供先がPTV等の予約を行なう際には、予約が完了した旨の入力を行なうことが、目的地設定を行なう際には、入力装置に目的地を入力し、「ルート案内」開始ボタンを押下することがそれぞれ検索トリガに相当する。さらに、搭乗者等の情報提供先が要求入力を行なう際には、車載装置10上で情報提供先が所定のボタン(例えば「情報要求」ボタン)を押下することが検索トリガに相当する。なお、トリガ検知部126は、サーバ22に設けることもできる。
【0056】
また、トリガ検知部126は、情報提供先が例えば生活圏外(後述)で車両10に乗車しエンジンをオンにすることや、予め規定された危険なルート若しくは危険な地域に車両10が進入したことをGPSが検知すること、情報提供先が車両10から降車してドアロックをかけること、カーシェアリングシステムにおいて車両10を返却する手続きをした後にドアロックをかけること等の情報提供先に係る状態変化を検索トリガとして検知してもよい。
【0057】
更に、トリガ検知部126は、検索トリガとして例えば、新着情報入手(例えば新規オープン、当日券、交通情報、車両10の走行している地域若しくは搭乗者13の出身国のニュース等)や、データベースの更新、同じ目的地に同時刻に到着する他のPTV等会員の認識、情報を提供する時間帯等の外部状況変化(即ち検索トリガが発生する)を検知してもよい。
【0058】
通信部128は、Bluetooth等の手段により、搭乗者13が携行する携帯端末装置131の搭乗者IDを受信するものであり、例えば通信モジュール1206により実現される。ただし、上記のように、搭乗者13の識別情報を記録したICカード等の媒体を用いる場合、カードリーダ等の読み取り装置がこの通信部128として機能する。
【0059】
携帯端末装置131は、搭乗者13の搭乗者IDが記録されたものである。携帯端末装置131は、例えば携帯電話、PHS(Personal Handy-phone System)、携帯情報端末(PDA)、PC等の搭乗者13が携行可能な携帯型情報処理装置である。本実施形態においては、携帯端末装置131として携帯電話が用いられる。なお、1台の携帯端末装置131に必ずしも1つの搭乗者IDのみが記録されている必要はなく、例えば携帯端末装置131としてPCを用いる場合、1台のPCに車両10に搭乗する全ての搭乗者13の搭乗者IDを記録しておき、通信部128がこの1台のPCから複数の搭乗者IDを読みだす構成としてもよい。
【0060】
[2.情報センタ]
サーバ22は情報センタ20内に設置されるサーバコンピュータ(情報処理装置)である。サーバ22は、図1に示すように、ROM2001と、RAM2002と、HDD2003と、通信モジュール2004と、CPU2005とを備えて構成されている。また、サーバ22は通信回線31を介して情報供給源30及び基地局21と接続されている。そして、基地局21は、情報送受信アンテナ11と交信可能な構成となっている。
【0061】
ROM2001は、CPU2005が演算や制御を行なう際に用いるデータやプログラムを予め格納する記憶装置であり、RAM2002は、CPU2005が演算や制御を行なう際に、データやプログラムを一時的に格納・展開する記憶装置である。
【0062】
HDD2003は、電源が供給されなくとも記憶を保持する記憶装置であり、例えば行動履歴DB221a、統計DB221b、情報提供先DB223aが記憶されている。
【0063】
通信モジュール2004は、通信回線31、基地局21及び情報送受信アンテナ11を介して、車載装置12と情報を送受信するためのものである。なお、通信回線31は公衆回線網等である。
【0064】
CPU2005は、種々の演算や制御を行なう処理装置であって、サーバ22においては、CPU2005が、例えば、管理プログラムを実行することにより、後述する、履歴情報管理部221、提供情報抽出部222、情報提供先情報管理部223及び外部情報収集部224として機能するようになっている。
【0065】
なお、これらの履歴情報管理部221、提供情報抽出部222、情報提供先情報管理部223及び外部情報収集部224としての機能を実現するためのプログラム(管理プログラム)は、例えばフレキシブルディスク、CD(CD−ROM、CD−R、CD−RW等)、DVD(DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−R、DVD+R、DVD−RW、DVD+RW、HD DVD等)、ブルーレイディスク、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。そして、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記憶装置又は外部記憶装置に転送し格納して用いる。また、そのプログラムを、例えば磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に記録しておき、その記憶装置から通信経路を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0066】
履歴情報管理部221、提供情報抽出部222、情報提供先情報管理部223及び外部情報収集部224としての機能を実現する際には、内部記憶装置(本実施形態ではROM2001やRAM2002、HDD2003)に格納されたプログラムがコンピュータのマイクロプロセッサ(本実施形態ではCPU2005)によって実行される。このとき、記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータが読み取って実行するようにしてもよい。
【0067】
また、サーバ22は、図2に示すように、行動履歴DB221aを有する履歴情報管理部221と、提供情報抽出部222と、情報提供先DB223aを有する情報提供先情報管理部223と、外部情報収集部224としての機能を備えて構成されている。また、外部情報収集部224は通信回線31を介して外部の情報供給源30と接続されている。
【0068】
履歴情報管理部221は、行動履歴情報収集部121と通信回線31を介して接続され、行動履歴情報収集部121によって収集された行動履歴情報を搭乗者13の地域的特徴情報に対応付けて行動履歴DB221aとして管理するものである。搭乗者13の地域的特徴情報とは、搭乗者13の例えば国籍、出身地、生活圏等である。
【0069】
「生活圏」とは、日常的に行動しているエリアのことを表す。具体的には、行動履歴DB221aに保存されている、例えば、地域、ルート、スポット等の位置情報において、保存されているデータが所定の頻度を超えて繰り返し登録されている位置情報に対応する地域、ルート、スポット等である。即ち、所定期間における累積登録数が所定値以上の地域等がこの生活圏に相当する。この場合、自宅からの距離が近くても生活圏とならない場合があり、逆に自宅からの距離が遠くても生活圏となる場合がある。また、単に自宅や勤務地等の特定の位置を中心とした所定範囲を生活圏としてもよい。なお、これらの所定値や所定範囲は、任意に設定可能である。
【0070】
行動履歴DB221aは、搭乗者13の上記行動履歴情報と地域的特徴情報とを対応付けて管理するものである。図3は行動履歴DB221aとして管理されるデータベースの具体例である。この図3において、X国を母国とする搭乗者Aについて、各国(X国、Y国、Z国)における行動履歴をルート、スポット、イベント、問い合わせ内容及び目的地設定情報に分類して登録する例を示す。この図3に示す例においては、行動履歴DB221aに、ルートとしてよく通るルートと通らないルートとに分けて登録されている。また、この行動履歴DB221aには、同様に、スポットとしてよく行くスポットと行かないスポットとにや、イベントとしてよく行くイベントと行かないイベントとに、更にはオペレータに対して行なわれた問い合わせについて、PTV等使用中に行なわれたものとマイカー使用中に行なわれたものとに分けて登録されている。さらに、目的地設定情報として位置情報と到達予想時刻とに分けて登録されている。即ち、行動履歴DB221aは、搭乗者13の行動履歴を頻度や状況に応じて分類することにより、データベース化されている。
【0071】
なお、「よく通る」及び「通らない」、並びに「よく行く」及び「行かない」について履歴情報管理部221が判断する基準としては、例えば、所定の回数以上通ったルートを「よく通る」ルートとし、また、所定の回数以上行ったスポットやイベントを「よく行く」スポットやイベントとすることができる。また、これらの「よく通る」ルートや、「よく行く」スポットやイベント以外のものを、「通らない」ルートや、「行かない」スポットやイベントとすることができる。なお、閾値として用いられる「所定の回数」は、任意に設定可能である。
【0072】
また、行動履歴DB221aは、更に行動履歴情報(例えば車両10が走行したルートの緯度や経度、座標値リンクID、入力したキーワード)と車両10に関する車両識別情報とを関連付けて管理してもよい。
【0073】
情報提供先情報管理部223は、情報提供先識別情報と情報提供先の地域的特徴情報とを関連付けて情報提供先DB223aとして予め管理するものである。情報提供先の地域的特徴情報とは、例えば情報提供先の国籍、出身地、生活圏等が挙げられる。図4に情報提供先DB223aとして、情報提供先A〜Cのそれぞれについて、情報提供先識別情報と、国籍と、出身地と、生活圏とを関連付けて保存するデータベースの具体例を示す。
【0074】
なお、情報提供先情報管理部223は、行動履歴情報収集部121によって収集された情報提供先に係る行動履歴情報を、更に情報提供先識別情報に関連付けて情報提供先DB223aに管理してもよい。この場合、提供情報抽出部222が情報提供先DB223aを参照して、情報提供先の行動履歴情報に応じた地域的特徴情報を判断して、該地域的特徴情報に基づき行動履歴DB223aから提供情報を抽出するようになっている。
【0075】
外部情報取得部224は、定期的に、及び検索キーに基づいて、通信回線31を介して接続された情報供給源30から供給情報を収集するものである。例えば、外部情報取得部224は情報供給源30から検索キーを用いて検索を行ない、その検索結果を外部情報(供給情報)として収集することにより実現する。また、外部情報取得部224が、供給情報を定期的に収集することもある。この場合、供給情報を収集する頻度は任意に設定可能である。本実施形態においては、外部情報取得部224は、検索キーに基づいて供給情報を収集するものとするが、この検索キーについて、車両10に備えられた入力装置127を用いて搭乗者13が検索キーを入力してもよいし、提供情報抽出部222(後述)が適切な検索キーを決定してもよい。提供情報抽出部222(後述)が適切な検索キーを決定する場合、例えば情報提供先が入力した目的地設定情報、車両10が走行している時間帯、地域の名称等を、提供情報抽出部222(後述)が検索キーとして用いられる。そして、これらの検索キーに基づいて、情報供給源30から供給情報を収集する。なお、情報供給源30は、通信回線31を介してサーバ22と接続されているものである。情報供給源30は、例えばインターネット上のサイト(外部サイト)である。
【0076】
収集する情報としては、例えば施設情報、地域情報(例えば危険地帯、事故多発地帯)、車両10の走行している地域のニュース若しくは音楽、観光地情報、交通ルール、その国のマナーに関する情報、気象情報、その地域での注意事項、観光ガイド、イベント情報等の告知情報、交通規制、事件や事故、自然災害等の緊急情報等が挙げられる。
【0077】
具体的な収集の方法としては、例えばウェブクローラを用いることにより実現することができる。ウェブクローラは、情報供給源である例えばインターネット上のサイトから情報を収集し、得られた情報をデータベース化するものである。なお、このウェブクローラは公知の手法であるため、その詳細な説明は省略する。
【0078】
更に、この外部情報収集部224により収集された情報は、適切な判断基準に従って情報提供先に提示されることが望ましい。本実施形態においては、以下に記載するレベル1〜3の何れかの判断基準に従って情報提供先に情報を提供する例を示す。
・レベル1 外部情報収集部224が外部情報を収集した際に、収集した情報をそのまま情報提供先に提示する。
・レベル2 例えばPTV等の予約情報、旅行計画等の予め入力された情報に基づいて、提供タイミング及び必要な情報を外部情報収集部224が判断し、検索キーを決定する。この際、外部情報収集部224は、予め受信された外部情報と搭乗者13の行動履歴DB、統計DB、及び入力された旅行先等の旅行履歴とを比較することにより検索キーを決定し、共通するキーワード(例えば、目的地までの道路名や都市名、よく行くスポット名としての遊園地名、イベント名称)を検索キーとして用いる。そして、決定された検索キーに基づいて供給情報を収集し、収集された供給情報をそのまま情報提供先に提示する。
・レベル3 レベル2で収集された供給情報の内容を外部情報収集部224が勘案して、その情報を提供するのに相応しいタイミングを外部情報収集部224が判断して、情報提供先に提示する。なお、提供タイミングとして、緊急情報については、搭乗者13の行動後に提供すると搭乗者13が危険に晒される可能性があるため、情報取得後直ちに、また、イベント情報等の告知情報についてはイベント会場到着時に、それぞれ提供するようになっている。
【0079】
上記の判断基準において、レベル1よりもレベル2やレベル3の方が提示される情報の精度が高くなる一方で、その判断・収集の処理が複雑化するため外部情報収集部224への負荷が大きくなることがある。また、情報提供先にとって有益な情報であっても、上記検索キーの設定により、提示情報から除外され、情報提供先に提示されなくなることがある。従って、情報提供先の必要に応じて、外部情報収集部224の機能を停止させても(即ち、外部情報を収集させないようにしても)よい。
【0080】
提供情報抽出部222は、行動履歴DB221aを参照して情報提供先に関する地域的特徴情報に基づいて、統計DB221b(後述)から、情報提供先に提供する提供情報を抽出するものである。なお、この提供情報抽出部222が、情報提供先情報取得部123によって取得された情報提供先識別情報に基づいて情報提供先DB223aを参照して、情報提供先の地域的特徴情報を取得する構成としてもよい。このような構成とすることで、情報提供先に関する地域的特徴情報を容易に知ることができ、情報提供先に応じた情報を迅速に提供することができる。
【0081】
また、提供情報抽出部222が、車両識別情報取得部124によって取得された車両識別情報に基づいて、統計DB221b(後述)から情報提供先に提供する提供情報を抽出する構成としてもよい。例えば、取得された車両識別情報に基づいて、車両10がPTVであることを情報提供抽出部222が認識した場合、統計DB221b(後述)から例えばPTV使用中のオペレータへの問い合わせの多い事項等を、提供情報抽出部222が提供情報として抽出することができる。
【0082】
さらに、提供情報抽出部222が、検索キーを入力可能な入力装置127から入力された検索キーに基づいて提供情報を抽出する構成とすることもできる。そして、提供情報抽出部222が、トリガ検知部126により検索トリガが検知された際に、提供情報の抽出を行なう構成とすることもできる。
【0083】
基地局21は通信回線31を介してサーバ22と接続されている。そして、基地局21と車載装置12に接続された情報送受信アンテナ11とが交信可能に構成されている。通信モジュールとして1207としてDCMを用いる場合には、駅や建物等に設置された基地局21及び通信回線31としての公衆回線網を介して、情報送受信アンテナ11とサーバ22とが情報をやり取りする構成となっている。
【0084】
[3.情報提供システムにおける各ステップ]
上記の如く構成された本実施形態の情報提供システムにおける処理を、図5、図6及び図9のフローチャートに従って説明する。
【0085】
〔3−1.行動履歴DB221aの作成〕
本実施形態の情報提供システム1においては、情報提供先に情報を提供する前に、予め行動履歴DB221aの作成が行なわれる。本実施形態の情報提供システムにおける行動履歴DB221aの作成手法を図5に示すフローチャート(ステップS11〜S13)に従って説明する。
【0086】
まず、予め通信部128を介して搭乗者13が携行する携帯端末装置131から搭乗者IDを取得する。車両10に乗車した搭乗者13(例えば、X国出身の搭乗者A)が、各国内で、どのようなルートを通り、スポットやイベントに行き、どのようなオペレータへの問い合わせや目的地設定を行なったか等の行動履歴情報を、行動履歴情報収集部121が収集する(ステップS11)。
【0087】
次に、行動履歴情報収集部121が収集した行動履歴情報及び搭乗者IDを、履歴情報送信部125が履歴情報管理部221に送信する(ステップS12)。なお、このステップS12は、随時行なわれてもよく、所定時間毎にまとめて行なわれてもよい。そして、履歴情報管理部221では収集された行動履歴情報を、搭乗者IDに基づいて搭乗者13の地域的特徴情報に対応付けて、行動履歴DB221aとして作成し管理する(ステップS13、図3参照)。
【0088】
なお、行動履歴情報収集は、母国であるX国以外の国でも行なわれることが好ましい。また、上記の方法と同様にして、Y国出身の移住者やZ国からの旅行者等のX国における行動履歴情報も収集することが好ましい。同一人に対して様々な国で行動履歴情報を収集し、更に同一国内で様々な人の行動履歴を収集することにより、多岐に渡るデータを収集することができ、より精度の高い行動履歴DB221aを作成することができる。
【0089】
〔3−2.統計DBの作成〕
本実施形態の情報提供システム1においては、情報提供先に情報を提供する前に、行動履歴DB221aと同様に、予め統計DB221bの作成も行なわれる。本実施形態の情報提供システムにおける統計DB221bの作成手法を図6に示すフローチャート(ステップS21〜S23)に従って説明する。
【0090】
まず、情報提供先情報管理部223が行動履歴DB221aを参照する(ステップS21)。そして、情報提供先情報管理部223は、複数の情報提供先(本実施形態においては搭乗者13)の行動履歴DB221aについて地域的特徴情報毎に統計をとり(ステップS22)、図7に示す統計DB221bを作成する(ステップS23)。なお、図7に示す例においては、上記の個人履歴DB221aに基づき、ルート、スポット、イベント、オペレータへの問い合わせ内容、目的地設定情報の5項目について、母国(X国)人、X国以外からの移住者及び旅行者の3種類の地域的特徴に分類された統計DB221bを示している。
【0091】
統計DB221bを作成する際の区分として、例えば何回も(即ち例えば週に所定回数以上)X国に旅行しX国を熟知しているY国の人に対しては、当該人を「旅行者」に区分するのではなく、「母国人」として区分してもよい。また、母国人であっても車両10に搭乗してほとんど外出しない(即ち例えば週に所定回数以下)人に対しては、「旅行者」として区分してもよい。これらの区分の際の条件としては、情報提供先が任意に設定でき、サーバ22が任意に設定することもできる。
【0092】
図8はX国における統計DB221bの各項目を説明するための図であり、各項目に登録されている情報の意義を示している。例えばY国出身の情報提供先BがX国に初めて旅行する際、提供情報抽出部222は、例えばルートとして安全なルート、走行しやすいルート、及び観光地に近いルートを優先的に情報提供先Bに対して提示するように、統計DB221bから抽出する。即ち、提供情報抽出部222が、情報提供先が「母国人」、「X国以外からの移住者」又は「旅行者」のいずれかであるかを判断し、統計DB221bの該当する項目(例えばルート)から抽出する。
【0093】
〔3−3.行動履歴DB及び統計DBを用いた情報提供のフロー〕
次に、本実施形態における情報提供の手法を、図9に示すフローチャート(ステップS31〜S37)に従って説明する。
【0094】
まず、車両10に搭載された車載装置12に備えられているトリガ検知部126がトリガを検知する。トリガが検知されると、通信回線を通じてその情報が提供情報抽出部222に送信されるとともに、情報提供先情報取得部123が情報提供先識別情報を、また、車両識別情報取得部124が車両識別情報をそれぞれ取得する。これらの情報提供先識別情報及び車両識別情報は、通信回線を通じて提供情報抽出部222に送信される。そして、提供情報抽出部222は、これらの情報を受信すると、統計DB221bから提供情報の抽出を開始する。
【0095】
提供情報の抽出を行なうに際して、はじめに、受信した情報提供先識別情報を基に、履歴情報管理部221が情報提供先を特定する。そして、提供情報抽出部222は特定された情報提供先を基に行動履歴DB221aを参照し(ステップS31)、情報提供先が母国にいるか否かを確認する(ステップS32)。情報提供先が母国にいる場合(ステップS32のYESルート参照)、更に母国の統計DB221bを参照し(ステップS34)、該統計DB221bにより情報提供先に提供するべき情報(具体的には、例えば、ルートとしてよく通るルート)を判断する。一方で、情報提供先が母国以外にいる場合(ステップS32のNOルート参照)、旅行先の国の統計DB221bを参照する(ステップS33)。そして、外部情報が必要であるか否かを判断する(ステップS35)。この際の判断は、上記した、外部情報収集224により収集された情報が情報提供先に提示される際の判断方法と同様に行なわれる。
そして、外部情報が必要と判断された場合(ステップS35のYESルート参照)には、外部情報収集部224が最新の外部情報を取得し(ステップS36)、提供情報抽出部222が抽出した情報を提供情報提示部122に送信する。そして、提供情報提示部122が受信した情報を提示することにより、情報提供先へ情報を提供する(ステップS37)。最新の外部情報が情報提供先に提示されることにより、情報提供先が、例えばこれから通行する道路の状態や町の状況、スポットやイベントの最新情報等を適切なタイミングで知ることができる。また、外部情報が不要と判断された場合(ステップS35のNOルート参照)には、外部情報収集部224が外部情報を取得することなく、提供情報提示部122が受信した情報を提示することにより、情報提供先へ情報を提供する(ステップS37)。
【0096】
このように、本発明の情報提供システム及び車載装置によれば、搭乗者13の行動履歴情報を容易に収集でき、収集された行動履歴情報に基づいて情報提供先に情報を提供することにより、情報提供先に対応した最適な情報を提供することができる。また、行動履歴情報と搭乗者13の地域的特徴情報とを対応付けて行動履歴DB221aとして管理することにより、各搭乗者13の地域的特徴情報に基づいた行動履歴情報を容易に収集できる。さらに、情報提供先の地域的特徴情報を情報提供先DB223aとして予め管理することにより、情報提供先DB223aを参照して情報提供先の地域的特徴情報を即時に取得することができる。そして、行動履歴情報と情報提供先識別情報とを関連付けて情報提供先DB223aとして管理することにより、情報提供先の地域的特徴情報に基づいた最適な情報を情報提供先に提供することができる。また、行動履歴DB221aとして行動履歴情報と車両識別情報とを関連付けて管理することにより、搭乗者13等の情報提供先が使用する車両10に応じた情報を提供することができる。
【0097】
さらに、本発明の情報提供システム及び車載装置によれば、必要に応じて外部情報を収集するため、情報提供先に対して最適な情報を提供できる。また、検索トリガを設定することにより、情報提供先が意識することなく、提供情報が抽出される。さらに、外部情報収集部224により収集された情報が適切な判断基準に従って提示されることにより、最適な情報を情報提供先に提示することができる。そして、情報提供先情報管理部223が複数の情報提供先の行動履歴DB221aについて地域的特徴情報毎に統計をとって統計DB221bを作成することにより、容易に地域的特徴情報と行動履歴との連関を把握することができる。
【0098】
<その他>
本発明は、その要旨を逸脱しない限り、任意に変更して実施することができる。例えば、第1実施形態においては各データベースを作成するにあたって国を基準に説明したが、例えば日本国内に限定し、都道府県レベルや地域毎で細分化してもよい。即ち、例えば宮城県(X国)出身であって宮城県仙台市在住の人に対しては、生活圏が宮城県仙台市、生活圏外が宮城県仙台市以外の宮城県内の市町村、Y国としては山形県、岩手県、福島県等となる。
【0099】
なお、本発明において、コンピュータとは、ハードウェアとオペレーティングシステムとを含む概念であり、オペレーティングシステムの制御の下で動作するハードウェアを意味している。また、オペレーティングシステムが不要でアプリケーションプログラム単独でハードウェアを動作させるような場合には、そのハードウェア自体がコンピュータに相当する。ハードウェアは、少なくとも、CPU等のマイクロプロセッサと、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを読み取るための手段とをそなえており、本発明においては、車載装置12やサーバ22がコンピュータとしての機能を有しているのである。
【0100】
さらに、本発明における記録媒体としては、上述したフレキシブルディスク、CD、DVD、ブルーレイディスク、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスクのほか、ICカード、ROMカートリッジ、磁気テープ、パンチカード、コンピュータの内部記憶装置(ROMやRAMなどのメモリ)、外部記憶装置等や、バーコードなどの符号が印刷された印刷物等のコンピュータ読取可能な種々の媒体を利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は情報提供先に情報を提供するために任意の用途に適用することができるが、各々の情報提供先に対して最適な情報を提供する用途に、特に好適に適用できる。
【符号の説明】
【0102】
1 情報提供システム
10 車両
11 情報送受信アンテナ
12 車載装置
1201 ナビシステム
1202 ROM
1203 RAM
1204 不揮発性メモリ
1205 HDD
1206 通信モジュール
1207 通信モジュール
1208 CPU
1209 表示部
121 行動履歴情報収集部
122 提供情報提示部
123 情報提供先情報取得部
124 車両識別情報取得部
125 履歴情報送信部
126 トリガ検知部
127 入力装置
128 通信部
13 搭乗者
131 携帯端末装置
20 情報センタ
2001 ROM
2002 RAM
2003 HDD
2004 通信モジュール
2005 CPU
21 基地局
22 サーバ
221 履歴情報管理部
221a 行動履歴DB
221b 統計DB
222 提供情報抽出部
223 情報提供先情報管理部
223a 情報提供先DB
224 外部情報収集部
30 情報供給源
31 通信回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報提供先に情報を提供する情報提供システムであって、
車両に搭載され、該車両を用いた行動に関する、該車両に乗車している搭乗者に係る行動履歴情報を収集する行動履歴情報収集部と、
該行動履歴情報収集部と通信回線を介して接続され、該行動履歴情報収集部によって収集された該行動履歴情報を該搭乗者の地域的特徴情報に対応付けて行動履歴データベースとして管理する履歴情報管理部と、
該情報提供先に関する地域的特徴情報に基づいて、該行動履歴データベースから、該情報提供先に提供する提供情報を抽出する提供情報抽出部と、
該提供情報抽出部によって抽出された該提供情報を、該情報提供先に対して提示する提供情報提示部とをそなえることを特徴とする、情報提供システム。
【請求項2】
該情報提供先を特定するための情報提供先識別情報、及び該情報提供先の該地域的特徴情報を関連付けて情報提供先データベースとして予め管理する情報提供先情報管理部と、
該情報提供先識別情報を取得する情報提供先情報取得部とをそなえ、
該提供情報抽出部が、該情報提供先情報取得部によって取得された該情報提供先識別情報に基づいて該情報提供先データベースを参照して、該情報提供者の地域的特徴情報を取得することを特徴とする、請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項3】
該情報提供先情報管理部が、該行動履歴情報収集部によって収集された該情報提供先に係る該行動履歴情報を、該情報提供先識別情報に関連付けて該情報提供先データベースに管理し、
該提供情報抽出部が、該情報提供先データベースを参照して、該情報提供先の該行動履歴情報に応じた該地域的特徴情報を判断して該地域的特徴情報に基づき、該行動履歴データベースから該提供情報を抽出することを特徴とする、請求項2に記載の情報提供システム。
【請求項4】
該行動履歴データベースが、更に、該行動履歴情報と該車両に関する車両識別情報とを関連付けて管理し、
該車両に関する車両識別情報を取得する車両識別情報取得部とをそなえ、
該提供情報抽出部が、該車両識別情報取得部によって取得された該車両識別情報に基づいて、該行動履歴データベースから該情報提供先に提供する該提供情報を抽出することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報提供システム。
【請求項5】
該情報提供先情報取得部が、該情報提供先が携行可能な携帯端末装置から、該情報提供先を特定するための該情報提供先識別情報を取得し、
該行動履歴情報収集部によって収集された該行動履歴情報を、該通信回線を介して、該情報提供先識別情報とともに該履歴情報管理部に送信する履歴情報送信部をそなえることを特徴とする、請求項2又は3に記載の情報提供システム。
【請求項6】
検索キーに基づいて情報供給源から供給情報を収集する外部情報収集部をそなえ、
該提供情報提示部が、該外部情報収集部によって収集された該供給情報を、該提供情報として該情報提供先に提示することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の情報提供システム。
【請求項7】
検索トリガを検知するトリガ検知部をそなえ、
該提供情報抽出部が、該トリガ検知部により検索トリガが検知された際に、該提供情報の抽出を行なうことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の情報提供システム。
【請求項8】
該トリガ検知部が、該情報提供先が所定の操作を行なったことを検知することにより、該検索トリガの検知を行なうことを特徴とする、請求項7に記載の情報提供システム。
【請求項9】
該トリガ検知部が、該情報提供先に係る状態変化を検知することにより、該検索トリガの検知を行なうことを特徴とする、請求項7に記載の情報提供システム。
【請求項10】
該トリガ検知部が、外部状況変化を検知することにより、該検索トリガの検知を行なうことを特徴とする、請求項7に記載の情報提供システム。
【請求項11】
該検索キーを入力可能な入力装置をそなえ、
該提供情報抽出部が、該入力装置から入力された該検索キーに基づいて該提供情報を抽出することを特徴とする、請求項6〜10のいずれか1項に記載の情報提供システム。
【請求項12】
車両に搭載される車載装置であって、
該車両に搭載され、該車両を用いた行動に関する、該車両に乗車している情報提供先に係る行動履歴情報を収集する行動履歴情報収集部と、
該行動履歴情報収集部によって収集された該行動履歴情報を該情報提供先の地域的特徴情報に対応付けることによって構成された行動履歴データベースから、該情報提供先に関する該地域的特徴情報に基づいて抽出された該情報提供先に提供する提供情報を、該情報提供先に対して提示する提供情報提示部とをそなえることを特徴とする、車載装置。
【請求項13】
該情報提供先を特定するための情報提供先識別情報を取得する情報提供先情報取得部をそなえ、
該情報提供先情報取得部によって取得された該情報提供先識別情報に基づいて、該情報提供先識別情報と、該情報提供先の地域的特徴情報とを関連付けて管理する情報提供先データベースから、該情報提供者の地域的特徴情報を取得することを特徴とする、請求項12に記載の車載装置。
【請求項14】
該提供情報提示部が、該情報提供先データベースから、該行動履歴情報に応じた該地域的特徴情報に基づいて抽出された該提供情報を提示することを特徴とする、請求項13に記載の車載装置。
【請求項15】
該提供情報提示部が、該車両に関する車両識別情報を取得する車両識別情報取得部をそなえ、
該車両識別情報取得部によって取得された該車両識別情報に基づいて、該行動履歴データベースから抽出された該提供情報を提示することを特徴とする、請求項12〜14のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項16】
該情報提供先情報取得部が、該情報提供先が携行可能な携帯端末装置から、該情報提供先を特定するための該情報提供先識別情報を取得し、
該行動履歴情報収集部によって収集された該行動履歴情報を、該通信回線を介して、該情報提供先識別情報とともに該履歴情報管理部に送信する履歴情報送信部をそなえることを特徴とする、請求項13又は14に記載の車載装置。
【請求項17】
検索キーを入力可能な入力装置をそなえ、
該提供情報提示部が、該入力装置から入力された該検索キーに基づいて抽出された該提供情報を提示することを特徴とする、請求項12〜16のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項18】
検索トリガを検知するトリガ検知部をそなえ、
該トリガ検知部により該検索トリガが検知された際に、該提供情報の抽出が行なわれることを特徴とする、請求項12〜17のいずれか1項に記載の車載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−154536(P2011−154536A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15593(P2010−15593)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】