説明

情報提供装置及び情報提供方法

【課題】広告等のような電柱に設置される表示媒体と外灯とを共に昇降させることができ、しかも、広告等の表示媒体の入れ替え作業を手軽にできるようにする。
【解決手段】提供情報が描かれた表示媒体31をロール状に巻回保持する媒体保持部32を電柱11に取り付けられた基部102に保持させ、媒体保持部32から引き出した表示媒体31を外灯103付きの昇降体104に保持させ、受動部にハンドル51を差し込んで回す。すると、受動部に生じた回転運動が昇降体104の昇降運動に変換されて伝達されることで昇降体104が上昇し、表示媒体31に描かれた提供情報が媒体保持部32と昇降体104との間に出現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電柱を利用して広告や地域情報等の各種の情報を提供する情報提供装置及び情報提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電柱に広告看板を取り付け、電柱を広告塔として利用することが従来から行なわれている。このような広告看板は、一般的には電柱に対して固定的に取り付けられるため、その設置作業及び撤去作業を手軽に行なうことができない。このため、一度設置された広告看板は、ある程度長期に渡り設置され続けることになる。
【0003】
これに対して、特許文献1には、高所に設置する大型看板を昇降自在とし、手動によって看板の上げ下げを行なうことができるようにした技術が開示されている。このような技術を利用すれば、電柱に設置する広告看板のメンテナンスや広告の入れ替え作業を容易に行なうことができることであろう。
【0004】
また、特許文献2には、広告看板のみならず、電柱に設置されている外灯についても昇降自在とし、これを手動で上げ下げできるようにした技術が開示されている。外灯を下降させれば、そのメンテナンスが容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平7−16973号公報
【特許文献2】特開2006−196442公報
【特許文献3】特開2008−76577公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電柱では、一般的に、外灯の下方に広告看板を設置する(特許文献3参照)。このため、特許文献1が開示する看板の昇降構造と特許文献2が開示する外灯の昇降構造とを共に実現させようとすると、昇降する外灯に広告看板が干渉してしまうという矛盾が発生する。したがって、広告看板の昇降と外灯の昇降とを共に望む場合、特許文献1に記載されている技術と特許文献2に記載されている技術とを単純に組み合わせてもその望みが叶えられない。
【0007】
また、特許文献1に記載されている広告看板の昇降機構にしても、特許文献2に記載されている広告看板及び外灯の昇降機構にしても、比較的大掛かりな構造物となっている。このため、とりわけ広告看板における広告の入れ替え作業については、固定看板と比較すれば容易であるものの、手放しで手軽であるという評価を下すことはできない。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、広告等のような電柱に設置される表示媒体と外灯とを共に昇降可能とし、しかも、表示媒体の入れ替え作業を手軽にできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、電柱に取り付けられる基部と、前記基部に設けられて外灯を有する昇降体を昇降自在に支持する昇降機構と、前記基部に設けられて駆動力を受ける受動部の回転運動を前記昇降体の昇降運動に変換する動力変換機構と、提供情報が描かれた表示媒体をロール状に巻回保持する媒体保持部を前記昇降体の下方位置で前記基部に着脱自在に保持させ、前記媒体保持部から引き出し可能な前記表示媒体を前記昇降体に着脱自在に保持させる媒体装着機構と、を備える情報提供装置によって上記課題を解決する。
【0010】
本発明の別の一態様は、電柱に取り付けられる基部に、提供情報が描かれた表示媒体をロール状に巻回保持する媒体保持部を保持させる工程と、前記基部に昇降自在に設けられて外灯を有する昇降体に、前記媒体保持部から引き出した前記表示媒体を保持させる工程と、前記基部に設けられて駆動力を受ける受動部に生じた回転運動を前記昇降体の昇降運動に変換して伝達することで前記昇降体を昇降させ、前記表示媒体に描かれた前記提供情報を前記媒体保持部と前記昇降体との間に位置付ける工程と、を備える情報提供方法によって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、昇降体の昇降に応じて表示媒体の設置及び撤去と外灯の昇降とが可能となり、したがって、表示媒体と外灯とを共に昇降させることができ、しかも、表示媒体を手軽に入れ替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施の形態として、情報提供装置の外観を示す側面図である。
【図2】情報提供装置の外観を示す正面図である。
【図3】使用の一態様を示す情報提供装置の側面図である。
【図4】(a)は表示媒体が収納されている状態、(b)は表示媒体が少し引き出された状態をそれぞれ示す媒体保持部の斜視図である。
【図5】昇降体を昇降駆動するための鍵付きハンドルを示す斜視図である。
【図6】情報提供装置の縦断側面図である。
【図7】情報提供装置の横断平面図である。
【図8】昇降機構の分解斜視図である。
【図9】昇降体及び昇降機構の縦断側面図である。
【図10】昇降体において表示媒体を保持する媒体保持筒と昇降体のフロントパネルの裏面側との分解斜視図である。
【図11】第2の実施の形態として、一対の保護パネルが保護位置に位置する状態での情報提供装置の外観を示す斜視図である。
【図12】一対の保護パネルが退避位置に位置する状態での情報提供装置の外観を示す斜視図である。
【図13】一対の保護パネルが保護位置に位置して表示媒体を挟持し覆っている状態での情報提供装置の外観を示す斜視図である。
【図14】第3の実施の形態として、情報提供装置の外観を示す斜視図である。
【図15】昇降体及び昇降機構の縦断側面図である。
【図16】各部の電気的接続を示すブロック図である。
【図17】操作パネルをそのLCDの初期表示例と共に示す正面図である。
【図18】表示媒体を全て引き出した状態の一例を示す媒体保持部及び表示媒体の正面図である。
【図19】メモリに登録されている対応関係定義とこの対応関係定義に従い提供される提供情報との対応関係を例示する模式図である。
【図20】制御部が実行する表示媒体設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図21】制御部が実行する表示媒体設置変更処理の流れを示すフローチャートである。
【図22】制御部が実行する運用開始処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態を図1ないし図10に基づいて説明する。
【0014】
図1は、情報提供装置101の外観を示す側面図、図2は、情報提供装置101の外観を示す正面図である。本実施の形態の情報提供装置101は、電柱11に対して、金属ベルト12とサポート13とによって取り付けられている。情報提供装置101は、矩形筐体状の基部102に一対の外灯103を有する昇降体104を昇降自在に設け、昇降体104の昇降動作に応じて広告や地域情報の提供に用いられる表示媒体31を設置できるようにしている。つまり、情報提供装置101において、昇降体104はハンドル51の回転操作によって上げ下げ可能である。そこで、表示媒体31を巻き物のようにして保持する媒体保持部32を基部102の正面下方から飛び出す設置棒105にセットし、昇降体104には表示媒体31の端部に設けられたバー33をセットする。この状態で、基部102の側部に設けた錠部106にハンドル51の鍵部52(図5参照)を差し込み、ハンドル51を回転操作する。すると、昇降体104が上昇し、媒体保持部32から表示媒体31が引き出されて出現する。
【0015】
情報提供装置101は、その錠部106の位置が地表面から2m程度の高さの位置に設置される。そこで、設置棒105に対して媒体保持部32を着脱したり錠部106に取り付けたハンドル51を回転させたりするに際して、作業者は、脚立等に乗って作業を行なうことになる。
【0016】
図3は、使用の一態様を示す情報提供装置101の側面図である。図3に一例を示すように、表示媒体31には広告や地域情報等の提供情報Iが描かれている。そこで、情報提供装置101は、昇降体104と媒体保持部32との間に表示媒体31を出現させることで、提供情報Iを表示して広告宣伝機能、情報提供機能を果たすことができる。しかも、外灯103が点灯すると、提供情報Iは自ずと外灯103に照らされ、その視認性が高まるばかりか、照明による提供情報Iの演出効果も得られる。
【0017】
以下、情報提供装置101の詳細を説明する。
【0018】
図4(a)は表示媒体31が収納されている状態、図4(b)は表示媒体31が少し引き出された状態をそれぞれ示す媒体保持部32の斜視図である。表示媒体31は、筒状の媒体保持部32の内部で中空であって回転自在の中心軸(図示せず)に巻き込まれた状態で保持されており、その端部に設けられたバー33を持って引き出すことで引き出し可能となっている(図4(b)参照)。媒体保持部32は、引き出した表示媒体31をゼンマイ(図示せず)の力で巻き戻すことができる。そのための構造として、媒体保持部32は、その一端側にゼンマイを巻き戻し動力源とする巻戻し機構(図示せず)を内蔵する巻戻し部34を有している。巻戻し部34の内部では、表示媒体31が引き出されるにつれてゼンマイが巻かれていき、巻かれたゼンマイは初期状態への復元力を蓄える。これにより、引き出した表示媒体31をフリーな状態にすると、巻かれたゼンマイの復元力によって表示媒体31が巻き戻されて媒体保持部32に収納される。このような媒体保持部32は、巻戻し部34と反対側の端部にセット部35を有している。セット部35は、表示媒体31を保持する前述の中心軸の中空部分に連通するセット孔36を有し、その周囲に一対のフック溝37を有している。フック溝37は、セット孔36の軸を中心とする円周上に位置する溝であり、それらの一端は溝よりも径が大きな大径部37aとなっている。
【0019】
図1及び図2に示すように、情報提供装置101の基部102は、その正面下方に、媒体保持部32をセットして保持できるようにした棒状の設置棒105を突出させている。設置棒105は、媒体保持部32のセット孔36に嵌合する径に形成され、媒体保持部32の内部でその中心軸(図示せず)の中空部分にも嵌合する。図1中、設置棒105の上下に示されているのは、設置棒105にセットされた媒体保持部32を抜け止めするためのフックピン107である。これらのフックピン107は、設置棒105に媒体保持部32がセットされると、媒体保持部32のセット部35に形成されている一対のフック溝37に嵌合する位置に形成されている。そして、フックピン107は、その頭部が大径となっている。この大径の頭部は、フック溝37の大径部37aには挿通して溝部には挿通しない径に定められている。そこで、設置棒105に対する媒体保持部32のセット作業時、フック溝37の大径部37aをフックピン107に位置合わせして媒体保持部32を押し込み右回転させると、媒体保持部32は設置棒105に確実に保持される。
【0020】
図2に示すように、情報提供装置101の基部102は、その中央部に縦長の長孔108を有しており、この長孔108に沿って昇降体104を移動させる。長孔108は、設置棒105を通る鉛直線上に形成されている。また、昇降体104において、一対の外灯103は長孔108を間にして左右に配置されている。これらの外灯103としては、一例として、LED照明装置が用いられている。
【0021】
図5は、昇降体104を昇降駆動するための鍵付きのハンドル51を示す斜視図である。ハンドル51は、ハンドルアーム53の一端側に把持部54を突出させ、ハンドルアーム53の他端側に鍵部52を突出させて設けている。ハンドルアーム53の面のうち、鍵部52の突出面と把持部54の突出面とは互いに反対側となっている。鍵部52は、情報提供装置101の側に設けられた錠部106に差し込むことができる鍵である。したがって、錠部106及び鍵部52は、用意に真似されない形状に形成されていることが望ましい。また、図1及び図3は、情報提供装置101の左側面を示しているために右側面は示されないが、錠部106は、基部102の左側面のみならず、両側面に形成されていても良い。これにより、右利き及び左利きのいずれの利き腕の作業者にも使い勝手が良いものとなる。
【0022】
図6は、情報提供装置101の縦断側面図、図7は、情報提供装置101の横断平面図である。昇降体104は、長孔108が形成された基部102の基部フロントパネル109に三対のローラ対110によって三点支持される昇降機構111を一体的に有している(図8も参照のこと)。この昇降機構111については、図8に基づいて後述する。ハンドル51の回転操作に基づいて昇降機構111に昇降動作を与えているのは、巻き掛け伝動機構である動力変換機構112である。つまり、基部102は、その内部上下位置に一対のプーリ113を設けている。これらのプーリ113は、基部102に回転自在に取り付けられて互いに水平配置された一対の支軸114に固定され、支軸114の回転と共に回転自在である。これらのプーリ113には、ワイヤWが掛け渡されており、これによって巻き掛け伝動機構が構成されている。そこで、昇降機構111に設けた連結体115をワイヤWに連結固定することで(図9も参照のこと)、一対のプーリ113の回転運動を昇降体104の昇降運動に変換して伝達することが可能となる。本実施の形態においては、下方に位置する下部支軸114aに、基部102の側面に設けられた鍵部52を連結している。これにより、下部支軸114aが駆動力を受ける受動部となり、ハンドル51の回転操作によって生ずる回転駆動力に従い下部支軸114aが回転する。動力変換機構112は、受動部である下部支軸114aの回転運動を上方に位置する支軸114と共にワイヤWに伝達してワイヤWを回転させ、これによって昇降体104を昇降させる。つまり、受動部である下部支軸114aの回転運動を昇降体104の昇降運動に変換するわけである。
【0023】
図8は、昇降機構111の分解斜視図である。昇降機構111は、主フレーム116に三対のローラ対110が固定されて形成されている。ローラ対110のうち、二対は基部102の基部フロントパネル109の外部側に配置され、一対は基部フロントパネル109の内部側に配置される。基部フロントパネル109の外部側に配置される二対のローラ対110は、それぞれ、外側ローラフレーム117の上下に回転自在に取り付けられた一対のローラRである。基部フロントパネル109の内側に配置される一対のローラ対110は、内側ローラフレーム118の左右に回転自在に取り付けられた一対のローラRである。そして、外側ローラフレーム117は、主フレーム116の上下幅と同一寸法の上下幅を有する接合部119を有し、この接合部119を接合させて主フレーム116に固定されている。また、内側ローラフレーム118は、円筒状の連結筒120を介して主フレーム116に固定されている。連結筒120は、基部フロントパネル109に形成された長孔108を通り、基部フロントパネル109の外側においては主フレーム116に連結固定され、基部フロントパネル109の内側においては内側ローラフレーム118に連結固定される。そして、主フレーム116に対する外側ローラフレーム117及び内側ローラフレーム118の固定は、一例としてネジ止めによってなされる。そのために、それらの主フレーム116、外側ローラフレーム117及び内側ローラフレーム118には、ネジ通しのためのネジ通し孔THが複数個形成されている。また、主フレーム116は、その両側が直角に屈曲形成され、この屈曲部分に昇降体104との間の連結固定片121を有している。昇降体104との間の連結固定も、一例としてネジ止めによってなされる。そこで、連結固定片121にも、複数個のネジ通し孔THが形成されている。
【0024】
上記昇降機構111の構成において重要なことは、連結筒120の長さである。連結筒120の長さは、基部フロントパネル109の外側に配置されるローラ対110のローラRと内側に配置されるローラ対110のローラRとの間のクリアランスを決める。この点、図7に示すように、それらの基部フロントパネル109の内外のローラR間のクリアランスは、基部フロントパネル109の厚み分として規定されていなければならない。そこで、連結筒120は、基部フロントパネル109の内外のローラR間のクリアランスを基部フロントパネル109の厚み分とする長さに設定されている。
【0025】
以上説明したように、昇降機構111は、昇降体104に一体的に固定され、基部フロントパネル109の内外で三対のローラ対110によって三点支持され、昇降体104を昇降自在に支持する。
【0026】
図9は、昇降体104及び昇降機構111の縦断側面図、図10は、昇降体104において表示媒体31を保持する媒体保持筒122と昇降体104のフロントパネル123の裏面側との分解斜視図である。昇降体104は、表示媒体31のバー33を着脱自在に保持する構造として、媒体保持筒122を有している。媒体保持筒122は、表示媒体31のバー33を挿入可能な一端開口の筒状部材である。媒体保持筒122は、昇降体104の内部において、一対の外灯103の間の部分となる中央部分に配置されており(図7も参照のこと)、先端側を昇降体104のフロントパネル123に、後端側を昇降機構111の主フレーム116にそれぞれ支持されている。図10に示すように、フロントパネル123においては、その裏面に媒体保持筒122が嵌合するアダプタ124が固定されており、媒体保持筒122はアダプタ124に嵌合して支持されている。そして、昇降体104のフロントパネル123及びアダプタ124とボトムパネル125、それに媒体保持筒122には、表示媒体31を通すためのスリット123a、124a、125a、122aが形成されており、全体として装着用スリット126を形成している。この装着用スリット126は、設置棒105を含む鉛直線上に位置付けられている(図2参照)。
【0027】
媒体保持筒122の後端側は閉塞されており、ネジ通し孔THが形成されている。そして、図9に示すように、昇降機構111における主フレーム116と連結筒120と内側ローラフレーム118とをボルトBと共に一体に結合させるための長ネジLSによって、それらの各部と共に連結固定されている。
【0028】
そして、図2に示すように、昇降体104には、フロントパネル123、アダプタ124及び媒体保持筒122を通り、表示媒体31のバー33をフロントパネル123の前面から挿入するための媒体装着孔SHが形成されている。
【0029】
ここで、前述した設置棒105及びフックピン107は、媒体保持部32を昇降体104の下方位置で基部102に着脱自在に保持させるという役割を担っている。また、媒体保持筒122、媒体装着孔SH及び装着用スリット126は、媒体保持部32から引き出された表示媒体31を昇降体104に着脱自在に保持させる役割を担っている。そこで、これらの設置棒105、フックピン107、媒体保持筒122及び装着用スリット126は、表示媒体31及びこれを保持する媒体保持部32を情報提供装置101にセットし保持するための媒体装着機構127を構成している。
【0030】
このような構成において、本実施の形態の情報提供装置101によれば、媒体保持部32を設置棒105及びフックピン107にセットし、表示媒体31のバー33を昇降体104の媒体装着孔SHに差し込んでセットし、錠部106にハンドル51を取り付けて回転操作すれば、昇降体104が上昇し、表示媒体31に描かれている提供情報Iを表示するこができる。また、昇降体104が上昇位置に位置して表示媒体31に描かれている提供情報Iが表示されている状態で錠部106にハンドル51を取り付けて回転操作すれば、昇降体104を下降させて媒体保持部32を表示媒体31と共に入れ替えることができ、あるいは外灯103のメンテナンスをすることもできる。
【0031】
このように、本実施の形態の情報提供装置101及び情報提供方法によれば、昇降体104の昇降に応じて外灯103を上げ下げすることができ、これに伴い表示媒体31の設置作業と撤去作業とを行なうことができる。つまり、昇降体104の昇降という一つのアクションによって、外灯103の昇降と表示媒体31の昇降という二つの結果を同時に引き起こすことができる。これにより、それらの二種類の動作に互いの干渉を生じさせることなく、表示媒体31と外灯103とを共に昇降させることがでる。
【0032】
また、表示媒体31及びこれを保持する媒体保持部32は、従来の金属製の広告看板やディスプレイ広告のように重量物であったり大掛かりなものであったりしない。このため、本実施の形態の情報提供装置101及び情報提供方法によれば、昇降体104を昇降させることで容易に表示媒体31を設置することができ、また、一旦設置された表示媒体31を媒体保持部32と共に容易に入れ替えることができる。これにより、表示媒体31が表示する提供情報Iを頻繁に変更したいという要望にも、たやすく応えることができる。
【0033】
また、媒体保持部32の巻戻し部34には巻戻し機構が仕組まれているため、表示媒体31を保持している昇降体104を下降させると、これに合せて表示媒体31が媒体保持部32に巻き戻される。したがって、表示媒体31の撤去作業が極めて容易となる。
【0034】
更に、本実施の形態の情報提供装置101及び情報提供方法によれば、外灯103を有する昇降体104を昇降させるに際して、基部102の側の錠部106に適合する鍵部52を有するハンドル51を必要とする。このため、ハンドル51の管理をしっかり行なっていれば、セキュリティ性が高く、愉快犯による犯罪等を防止し抑制することができる。
【0035】
加えて、本実施の形態の情報提供装置101の構造上、外灯103は表示媒体31が表示する提供情報Iの直ぐ真上に位置付けられる。これにより、外灯103を点灯させる時間になると、提供情報Iは外灯103の光に照らされ、その視認性が高まるばかりか、照明による提供情報Iの演出効果も得られる。
【0036】
以上説明したように、本実施の形態の情報提供装置101及び情報提供方法は、従来にない極めてユニークな装置及び方法であり、多大な社会的貢献をもたらすものである。
【0037】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態を図11ないし図13に基づいて説明する。第1の実施の形態と同一部分は同一符号で示し説明も省略する。
【0038】
図11は、一対の保護パネル301が保護位置PPに位置する状態での情報提供装置101の外観を示す斜視図である。図12は、一対の保護パネル301が退避位置EPに位置する状態での情報提供装置101の外観を示す斜視図である。図13は、一対の保護パネル301が保護位置PPに位置して表示媒体31を挟持し覆っている状態での情報提供装置101の外観を示す斜視図である。
【0039】
本実施の形態の情報提供装置101は、昇降体104と設置棒105に保持された媒体保持部32との間の位置である情報提供位置に位置付けられた表示媒体31を保護するために、一対の保護パネル301を有している。これらの保護パネル301は、情報提供位置に位置する表示媒体31をその両側から挟み込む構造のもので、表示媒体31に描かれている提供情報Iの視認性を妨げないように透光性を有している。一例として、保護パネル301は、透光性を有する樹脂パネルによって形成されている。そして、保護パネル301の寸法は、設置棒105に装着される媒体保持部32の上部高さよりも高く、上昇位置に位置付けられる昇降体104の下部高さよりも低くなる寸法に設定されている。
【0040】
また、保護パネル301は、昇降する昇降体104に干渉しないよう、表示媒体31を挟持して覆う保護位置PP(図11、図13参照)と、昇降体104の昇降軌跡に干渉しない退避位置EP(図12参照)との間を移動自在である。そのための構造として、一対の保護パネル301は、基部102の両側縁部に取り付けられた複数個のヒンジ302から情報提供位置の方向に延出する支持アーム303に取り付けられて支持されている。これにより、保護パネル301と支持アーム303とは直角をなし、ヒンジ302を中心に回転した支持アーム303が基部102のフロント面に接する位置では保護パネル301は保護位置PPに位置付けられ(図11、図13参照)、その位置から支持アーム303が90度回転すると保護パネル301は退避位置EPに位置付けられる(図12参照)。
【0041】
更に、一方の保護パネル301は、その縁部に沿って複数個のマグネット304を備え、もう一方の保護パネル301は、その縁部に沿って金属片305を備える。マグネット304と金属片305とは互いに接合する位置に配置されている。これにより、一対の保護パネル301が保護位置PPに位置付けられると、マグネット304が金属片305に磁気的に吸着し、一対の保護パネル301の位置は確実に保護位置PPに維持される。
【0042】
このような構成において、昇降体104を昇降させようとする場合には、一対の保護パネル301を開いて退避位置EPに位置付ける。これにより、保護パネル301に干渉することなく昇降体104を昇降させることが可能となる。そして、昇降体104を上昇位置まで上昇させたならば、一対の保護パネル301を閉じて保護位置PPに位置付ける。これにより、情報提供位置に位置付けられた表示媒体31が一対の保護パネル301に挟持され、表示媒体31を風雨から保護することができる。
【0043】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態を図14ないし図22に基づいて説明する。第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同一部分は同一符号で示し説明も省略する。
【0044】
図14は、情報提供装置101の外観を示す斜視図である。本実施の形態の情報提供装置101は、基本的には第2の実施の形態の情報提供装置101と同様な外観を有している。外観上相違するのは、基部102の上部にスピーカ131が取り付けられている点と、基部102の左側面に操作パネル蓋132が開閉自在に取り付けられている点との二点である。操作パネル蓋132は、錠部106の直ぐ上方に位置付けられ、蓋錠部133でロックされている。操作パネル蓋132を開くには、蓋錠部133に適合する蓋鍵部(図示せず)が必要である。蓋鍵部は、ハンドル51と同様に、管理者が保管して厳重に管理することが望ましい。
【0045】
図15は、昇降体104及び昇降機構111の縦断側面図である。昇降体104は、媒体保持筒122を回転自在に支持している。そのための構造として、昇降体104は、媒体保持筒122の先端部分をアダプタ124によって回転自在に支持し、その後方部分をホルダ141によって回転自在に支持している。そして、媒体保持筒122のホルダ141よりも先端側にはEリング142が装着されている。これにより、媒体保持筒122がその軸方向へ変位しないようにされている。
【0046】
昇降体104は、回転自在に支持した媒体保持筒122を回転駆動するための巻回機構143を内蔵している。この巻回機構143は、減速機構144を介して、アクチュエータとしてのモータMの回転駆動力を媒体保持筒122に伝達するための機構である。減速機構144は、歯車列によって形成され、モータMの回転数を減速して媒体保持筒122に伝達する。媒体保持筒122には、減速機構144の一部をなす従動ギア145が固定されている。
【0047】
図15中には図示しないが、昇降体104には、媒体保持筒122の回転位置を検出するための位置センサS(図16参照)が組み込まれている。昇降体104においては、表示媒体31のバー33を媒体装着孔SHに挿入して装着するに際して、媒体保持筒122に形成されているスリット122aが必ず真下を向いていなければならない。位置センサSは、媒体保持筒122のスリット122aが真下を向いているかどうかを検出するセンサである。一例として、位置センサSとして反射型光電センサを用い、媒体保持筒122にはそのスリット122aが真下を向いた場合に反射型光電センサに反応を生じさせるマークを印しておく。マークは、通常よりも反射率が高くなるもの、あるいは反対に反射率が低くなるものを用いることができる。
【0048】
本実施の形態では、こうして媒体保持筒122を回転駆動することによって、媒体保持筒122にバー33がセットされている表示媒体31が巻き取られ、あるいは巻き戻され、表示媒体31中の所望の提供情報領域IAを昇降体104の直下に出現させることが可能となる。
【0049】
図16は、各部の電気的接続を示すブロック図である。情報提供装置101は、基部102に制御回路151を内蔵している。制御回路151は、情報処理を実行して各部を集中的に制御する制御部152を主体として、この制御部152に、メモリ153、時計回路154、モータ駆動回路155、操作パネル156、及び音声合成回路157が接続されて構成されている。
【0050】
制御部152は、一例として、予め決められたシーケンスを実行する回路が印刷された半導体チップによって構成されている。もっとも、情報処理機能を有していれば、そのような半導体チップ構成のものでなくても良い。
【0051】
メモリ153は、制御部152と共に1チップ化されていても、制御部152とは別体で用意されたものであっても良い。メモリ153は、各種登録内容を記憶保存する。
【0052】
時計回路154は、現在時刻を計時するために用いられる。現在時刻の計時は、制御部152が水晶発信器(図示せず)を有しているならば、これを利用して構成されていても良い。
【0053】
モータ駆動回路155は、媒体保持筒122を回転駆動するためのモータMを駆動するための回路である。また、本実施の形態では、モータ駆動回路155に、位置センサSの出力を取り込むための回路が組み込まれている。
【0054】
操作パネル156は、操作パネル蓋132を開くことによって出現する。操作パネル156には、表示機能を有するLCD158と入力部159とが含まれている。
【0055】
音声合成回路157は、音声データに基づいて音声を合成する音声合成LSIを含み、音声合成LSIの出力をアナログ信号に変換して増幅し、スピーカ131から音声発生させる回路である。
【0056】
図17は、操作パネル156をそのLCD158の初期表示例と共に示す正面図である。操作パネル156は、入力部159として、実行キー(Enter)を含むテンキー159aと選択キー159bとを有している。制御部152は、操作パネル156が有するLCD158の初期画面表示として、「設定」、「設置/変更」、「運用開始」というメニュー表示を表示させる。
【0057】
図18は、表示媒体31を全て引き出した状態の一例を示す媒体保持部32及び表示媒体31の正面図である。本実施の形態では、表示媒体31に複数の提供情報領域IAが予め用意されている。図18に示す一例では、9個の提供情報領域IAが用意されている。
【0058】
図19は、メモリ153に登録されている対応関係定義RDとこの対応関係定義RDに従い提供される提供情報Iとの対応関係を例示する模式図である。対応関係定義RDは、表示媒体31の長手方向に沿って配列された提供情報Iを含む複数の提供情報領域IAと提供期間との間の対応関係を定義するデータである。このような対応関係定義RDは、操作パネル156からの入力によってメモリ153に書き換え自在に登録可能である。
【0059】
図19に示す一例では、対応関係定義RDに、提供期間として1時間毎の時間帯が定義され、
0時〜 7時の時間帯は1番の提供情報領域IA
7時〜 9時の時間帯は2番の提供情報領域IA
9時〜11時の時間帯は4番の提供情報領域IA
11時〜13時の時間帯は5番の提供情報領域IA
13時〜14時の時間帯は6番の提供情報領域IA
14時〜16時の時間帯は3番の提供情報領域IA
16時〜17時の時間帯は5番の提供情報領域IA
17時〜18時の時間帯はデフォルト値
18時〜20時の時間帯は7番の提供情報領域IA
20時〜22時の時間帯は8番の提供情報領域IA
22時〜24時の時間帯はデフォルト値
がそれぞれ登録されている。そして、図19は、デフォルト値〜8番までの9個の提供情報領域IAに描かれている提供情報Iをそれぞれ例示している。
【0060】
デフォルトの提供情報領域IAに描かれている提供情報Iは、一例として一色無地である。この提供情報Iについては、街の美観上の観点、交通安全上の観点等、個々の地域に即した様々な観点から表示内容を決めれば良い。なお、たとえ白一色の表示内容であったとしても、それが表示されると見る者に何らかの内的変化が生ずる。例えば、ある者は牛乳を思い出すかもしれないし、別の者はチーズケーキの匂いを直感するかもしれない。更に別の者は、意識化において何も感じずとも、無意識下において清浄感を感ずるかもしれない。つまり、白一色の表示内容であっても、その表示内容は見る者に何らかの情報を伝達していることになる。したがって、ここでは、デフォルトの提供情報領域IAにも提供情報Iが示されている、更にいうと提供情報Iが描かれていると捉える。
【0061】
1番の提供情報領域IAに描かれている提供情報Iは、夜間早朝の交通安全を呼びかけている。本例の場合、夜間早朝の時間帯である0時〜7時の時間帯に1番の提供情報領域IAが登録されている。
【0062】
2番の提供情報領域IAに描かれている提供情報Iは、スクールゾーンであることを通行禁止時間と共に示している。本例の場合、学童の通学時間に前後余裕を見た7時〜9時の時間帯に2番の提供情報領域IAが登録されている。
【0063】
3番の提供情報領域IAに描かれている提供情報Iは、監視カメラで監視中であることを示している。本例の場合、学童の帰宅時間である14時〜16時の時間帯に3番の提供情報領域IAが登録されている。
【0064】
4番の提供情報領域IAに描かれている提供情報Iは、クリーニング店の宣伝広告である。本例の場合、例えば未就学児童を保育園や幼稚園に送っていった母親の目に留まりやすい9時〜11時の時間帯に4番の提供情報領域IAが登録されている。
【0065】
5番の提供情報領域IAに描かれている提供情報Iは、スーパーマーケットの宣伝広告である。本例の場合、スーパーマーケットでの買い物需要が高まるお昼前後の11時〜13時の時間帯と夕方の16時〜17時の時間帯に5番の提供情報領域IAが登録されている。
【0066】
6番の提供情報領域IAに描かれている提供情報Iは、電気店の宣伝広告である。本例の場合、13時〜14時の時間帯に6番の提供情報領域IAが登録されている。
【0067】
7番の提供情報領域IAに描かれている提供情報Iは、レストランの宣伝広告である。本例の場合、レストラン探しの需要が高まる18時〜20時の時間帯に7番の提供情報領域IAが登録されている。
【0068】
8番の提供情報領域IAに描かれている提供情報Iは、ワインバーの宣伝広告である。本例の場合、酒場探しの需要が高まる20時〜22時の時間帯に8番の提供情報領域IAが登録されている。
【0069】
以上、図19が例示している対応関係定義RDが定義する提供情報Iの例を説明した。この説明からも明らかなように、提供情報Iには、例えば4番〜8番のような純粋に商業的な営利広告もあれば、1番〜3番のような地域情報も含まれている。一般的に、営利広告の広告主は、民間企業、地元商店、民間人等である。地域情報の掲載主は、地元の警察署、交通安全協会、PTA等、程度の差こそあれ公益性を有している団体である。しかも、例示した1番〜3番の地域情報は、地域の安全に関する安全情報である。このようなことから、営利広告の場合、空いている時間帯を自由に購入できるようにすれば良いのに対して、1番〜3番のような地域情報の場合、タイムリーな時間帯が存在するので、営利広告に優先させることが望ましい。
【0070】
なお、地域の安全に関する安全情報としては、災害の場合の非難情報、道路の使用を一時的に制限する道路工事情報、停電を呼びかけたり頭上で作業をしていることを知らせたりする電気工事情報等、各種の情報を提供情報領域IAに描く提供情報Iとすることができる。
【0071】
ここで注意すべきは、メモリ153に登録されている対応関係定義RDが定義しているのは、表示媒体31における提供情報領域IAとその提供期間との間の対応関係である、ということである。つまり、対応関係定義RDは、提供情報領域IAに描かれている提供情報Iそのものについては、一切の定義をしていない。提供情報領域IAとそこに描かれている提供情報Iとは、個々の表示媒体31及びこれを保持する媒体保持部32毎に異なっている。したがって、運用上、媒体保持部32に保持される表示媒体31にどのような提供情報Iが描かれるのかが決まってから対応関係定義RDを登録するか、あるいは反対に、個々の情報提供装置101毎に予め登録されている対応関係定義RDに従い表示媒体31に描く提供情報Iを決めることになる。一般的には、前者の運用を採用することが好ましい。
【0072】
加えて、対応関係定義RDには、時間帯毎に音声報知データの識別コードを登録しておくようにしても良い。この場合、制御部152は、数種類の音声報知データを予め用意し、識別コードを付してメモリ153等に登録しておく。一例として、
音声情報1番 「スクールゾーンです。車の通行はできません。」
音声情報2番 「学童が通学中です。地域の方は安全確保にご協力下さい。」
音声情報3番 「監視カメラでビデオ映像記録中です。」
音声情報4番 「不審者を見たら直ぐに110番。警察官が直ぐに伺います。」
等の音声報知データを登録しておく。そこで、対応関係定義RDには、例えば2番の提供情報領域IAに描かれている提供情報Iに合せて、7時〜9時の時間帯に音声情報1番又は音声情報2番を登録しておく。あるいは、対応関係定義RDに、3番の提供情報領域IAに描かれている提供情報Iに合せて、14時〜16時の時間帯に音声情報3番又は音声情報4番を登録しておく。制御部152は、対応関係定義RDに音声情報の識別コードが登録されている場合、その時間帯になったら、メモリ153等に予め登録している対応する識別コードの音声報知データを定期的に音声合成回路157に入力し、その音声報知データに応じた合成音声をスピーカ131から出力するようにする。
【0073】
図20は、制御部152が実行する表示媒体設定処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、対応関係定義RDを生成するための処理である。まず、蓋錠部133に適合する鍵(図示せず)で操作パネル蓋132を開き、操作パネル156を使用できる状態にしたら、初期画面としてLCD158に表示されている「設定」、「設置/変更」、「運用開始」というメニューから「設定」を選択する。この選択は、選択キー159bとテンキー159aに含まれている実行キー(Enter)で行なう。この操作がなされると、制御部152は、設定の選択を判定し(ステップS101のY)、時間帯選択画面をLCD158に表示する(ステップS102)。時間帯選択画面は、一例として、テンキー159aを用いて時間帯の選択指定を可能とする画面である。そこで、制御部152は、時間帯の入力を判定したら(ステップS103のY)、入力済みの時間をメモリ153にレジストし(ステップS104)、番号選択画面をLCD158に表示する(ステップS105)。番号選択画面は、一例として、テンキー159aを用いて提供情報領域IAの番号の選択指定を可能とする画面である。そこで、制御部152は、提供情報領域IAの番号の入力を判定したら(ステップS106のY)、ステップS104でレジストした既選択の時間帯に対応付けて入力済みである提供情報領域IAの番号をメモリ153にレジストする(ステップS107)。その後、テンキー159aに含まれている実行キー(Enter)の押下を判定したら(ステップS108のY)、時間帯及び提供情報領域IAの番号のレジストデータを確定登録する(ステップS109)。そして、次選択があれば(ステップS110のY)、ステップS102の処理にリターンし、なければ処理を終了する(ステップS110のN)。
【0074】
こうして、対応関係定義RDを生成し、メモリ153に登録することができる。
【0075】
図21は、制御部152が実行する表示媒体設置変更処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、表示媒体31が設置されていない情報提供装置101に表示媒体31を設置するか、あるいは既に設置されている表示媒体31を変更する場合に実行すべき処理である。まず、蓋錠部133に適合する鍵(図示せず)で操作パネル蓋132を開き、操作パネル156を使用できる状態にしたら、初期画面としてLCD158に表示されている「設定」、「設置/変更」、「運用開始」というメニューから「設置/変更」を選択する。この選択は、選択キー159bとテンキー159aに含まれている実行キー(Enter)で行なう。この操作がなされると、制御部152は、設置/変更の選択を判定し(ステップS111のY)、媒体保持筒122が初期位置に位置付けられるようにモータMを駆動制御する(ステップS112)。これにより、モータMの回転駆動力が減速機構144を介して媒体保持筒122に伝達され、媒体保持筒122が回転する。この際、媒体保持筒122に既に表示媒体31がセットされている場合には、バー33に最も近い提供情報領域IAを出現表示するようにモータMを駆動制御する(ステップS112)。そして、初期位置に位置付けられた媒体保持筒122においては、そのスリット122aが真下を向いた状態となる。この位置は、位置センサSの出力によって判定可能である。その後、制御部152は、メモリ153をクリアし(ステップS113)、処理を終了する。ステップS113のメモリクリアによって、メモリ153に登録されていた対応関係定義RDが消去され、次にセットする表示媒体31の提供情報領域IAに合せた内容の登録が可能となる。
【0076】
この状態で錠部106にハンドルをセットして回転操作による昇降体104を下降させれば、既に設置されている表示媒体31を媒体保持部32と共に容易に取り除くことができるし、新規の表示媒体31も媒体保持部32と共に容易に装着することができる。
【0077】
図22は、制御部152が実行する運用開始処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、表示媒体31を媒体保持部32と共に情報提供装置101に設置した後、対応関係定義RDに従い提供情報領域IAを適宜切り替えていく処理である。まず、蓋錠部133に適合する鍵(図示せず)で操作パネル蓋132を開き、操作パネル156を使用できる状態にしたら、初期画面としてLCD158に表示されている「設定」、「設置/変更」、「運用開始」というメニューから「運用開始」を選択する。この選択は、選択キー159bとテンキー159aに含まれている実行キー(Enter)で行なう。この操作がなされると、制御部152は、運用開始の選択を判定し(ステップS121のY)、現在の提供情報領域IAの番号をNULLに設定する(ステップS122)。現在の提供情報領域IAの番号というのは、現在出現させている提供情報領域IAの番号を意味している。その後、制御部152は、時計回路154の計時機能を利用して現在の時刻を含む時間帯を算出する(ステップS123)。この場合の時間帯は、例えば1時間単位である。そして、制御部152は、メモリ153に登録されている対応関係定義RDを検索し、算出した時間帯に提供情報領域IAの番号が登録されているかどうか判定する(ステップS124)。この判定の結果、登録があれば(ステップS124のY)、現在の提供情報領域IAの番号が対応関係定義RDに設定登録されている番号であるかどうかの判定に移り(ステップS125)、登録がなければ(ステップS124のN)、モータMを駆動してデフォルト媒体を出現表示させる(ステップS126)。
【0078】
説明を補足する。ステップS124での判定の結果、対応関係定義RDに提供情報領域IAの番号の登録があるというのは、図19中の17時〜18時の時間帯及び22時〜24時の時間帯以外の時間帯の状態である。これに対して、ステップS124での判定の結果、対応関係定義RDに提供情報領域IAの番号の登録がないというのは、図19中の17時〜18時の時間帯及び22時〜24時の時間帯の状態である。提供情報領域IAの番号の登録があれば、その提供情報領域IAを出現させることになるわけであるが、この際、既にその提供情報領域IAが出現していれば、更にモータMを駆動してその提供情報領域IAを出現させる必要がない。これを見ているのが、ステップS125の処理である。これに対して、提供情報領域IAの番号の登録がなければ、モータMを駆動してデフォルト媒体を出現表示させることになる(ステップS126)。ここでいうデフォルト媒体というのは、デフォルトの提供情報領域IA、図19に示す例では、最も左側に位置する提供情報領域IAである。図19にも示されているように、ステップS123で現在時刻が17時〜18時の時間帯か22時〜24時の時間帯であると判定された場合、ステップS124で提供情報領域IAの番号の登録がないと判定されるので(ステップS124のN)、この場合にはモータMを駆動してデフォルト媒体である図19中の最も左側に位置するデフォルトの提供情報領域IAを表示する。もっとも、既にデフォルト媒体が表示されている場合には、更にモータMを駆動してデフォルト媒体を出現させる必要がないので、この場合にはモータMの駆動はなされない。省略しているが、ステップS126にはこのような処理内容も含まれている。
【0079】
ステップS125の説明に戻る。制御部152は、現在の提供情報領域IAの番号が対応関係定義RDに設定されている番号と一致するかどうかの判定の結果、一致すると判定した場合には(ステップS125のY)、ステップS123の処理にリターンする。これにより、ステップS123〜ステップS125までの処理が繰り返される。この状態は、図19に示す例で説明すると、例えば1番の提供情報領域IAを出現させている0時〜7時の時間帯、ステップS125では必ず一致判定がなされ(ステップS125のY)、ステップS123〜ステップS125までの処理が繰り返し実行されることになる。これに対して、ステップS125で一致しないと判定した場合には(ステップS125のN)、モータMを駆動して対応関係定義RDに設定されている番号の提供情報領域IAを出現させる(ステップS127)。この状態は、図19に示す例で説明すると、例えば、直前ルーチンでのステップS123での算出が6時〜7時の時間帯であった場合にステップS123で7時〜8時の時間帯を初めて算出したような状態である。この場合、対応関係定義RDで定義されている提供情報領域IAの番号は1番から2番に変わっているので、制御部152は、現在の提供情報領域IAの番号が対応関係定義RDに設定されている番号と一致しないと判定することになる(ステップS125のN)。そこで、この場合、制御部152は、ステップS127の処理でモータMを駆動制御し、対応関係定義RDに設定されている2番の提供情報領域IAを昇降体104の直下に出現させる。こうして、対応関係定義RDに定義されている通りの提供情報領域IAを出現させて表示することが可能となる。
【0080】
制御部152は、ステップS127の処理の後、現在の提供情報領域IAの番号を対応関係定義RDに登録されている番号に設定し(ステップS128)、ステップS123の処理にリターンする。こうして、情報提供装置101では、常に、対応関係定義RDに定義されている通りの提供情報領域IAが昇降体104の直下に出現し表示されることになる。
【0081】
以上説明したように、本実施の形態の情報提供装置101によれば、人手を介することなく、対応関係定義RDに定義されている通りの提供情報領域IAを昇降体104の直下に出現させて表示することができる。この場合、対応関係定義RDでの定義如何によっては、図19に例示するような数時間毎というスパンのみならず、分単位でも、極端には秒単位でも提供情報Iの内容を変更することが可能である。したがって、提供情報Iの内容を頻繁に変更したいという要望に十分に応えることができる。
【0082】
また、前述したように、制御部152は、提供情報領域IAに描かれている提供情報Iに合せて音声合成回路157によってスピーカ131から音声報知を出力することができる。この際、とりわけ地域の安全に関する安全情報を表示媒体31による提供情報Iとして出現させ表示している際における音声報知の併用は、表示媒体31による視覚的な情報報知効果をより一層効果的にすることができる。
【符号の説明】
【0083】
11 電柱
31 表示媒体
32 媒体保持部
51 ハンドル
52 鍵部
102 基部
103 外灯(LED照明装置)
104 昇降体
106 錠部
111 昇降機構
112 動力変換機構
114a 下部支軸(受動部)
127 媒体装着機構
143 巻回機構
152 制御部
153 メモリ
301 保護パネル
I 提供情報
IA 提供情報領域
PP 保護位置
EP 退避位置
M モータ(アクチュエータ)
RD 対応関係定義

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電柱に取り付けられる基部と、
前記基部に設けられて外灯を有する昇降体を昇降自在に支持する昇降機構と、
前記基部に設けられて駆動力を受ける受動部の回転運動を前記昇降体の昇降運動に変換する動力変換機構と、
提供情報が描かれた表示媒体をロール状に巻回保持する媒体保持部を前記昇降体の下方位置で前記基部に着脱自在に保持させ、前記媒体保持部から引き出し可能な前記表示媒体を前記昇降体に着脱自在に保持させる媒体装着機構と、
を備える情報提供装置。
【請求項2】
前記受動部は、鍵付きハンドルが有する鍵部と連結する錠部を有している、請求項1記載の情報提供装置。
【請求項3】
引き出された前記表示媒体をゼンマイの力を利用して巻き戻す巻戻し機構を有する前記媒体保持部を更に備える、請求項1又は2記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記外灯は、LED照明装置である、請求項1ないし3のいずれか一記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記昇降体に保持されて当該昇降体の上昇に伴い前記基体に保持された前記媒体保持部から引き出された前記表示媒体を挟持して覆う保護位置と、前記昇降体の昇降軌跡に干渉しない退避位置との間に移動自在に設けられた透光性を有する一対の保護パネルを更に備える、請求項1ないし4のいずれか一記載の情報提供装置。
【請求項6】
アクチュエータの駆動力によって前記昇降体に保持された表示媒体の巻き取り及び巻き戻しを行なう巻回機構と、
メモリに登録されている前記表示媒体の長手方向に沿って配列された前記提供情報を含む複数の提供情報領域と提供期間との間の対応関係定義に従い前記アクチュエータを駆動制御し、現在の提供期間に対応する前記提供情報領域を前記媒体保持部と前記昇降体との間に位置付ける制御部と、
を更に備える請求項3記載の情報提供装置。
【請求項7】
電柱に取り付けられた基部に、提供情報が描かれた表示媒体をロール状に巻回保持する媒体保持部を保持させる工程と、
前記基部に昇降自在に設けられて外灯を有する昇降体に、前記媒体保持部から引き出した前記表示媒体を保持させる工程と、
前記基部に設けられて駆動力を受ける受動部に生じた回転運動を前記昇降体の昇降運動に変換して伝達することで前記昇降体を昇降させ、前記表示媒体に描かれた前記提供情報を前記媒体保持部と前記昇降体との間に位置付ける工程と、
を備える情報提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−81095(P2011−81095A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−232117(P2009−232117)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】