情報端末装置
【課題】複数のアンテナをより適切に配置することで受信品質をさらに高める。
【解決手段】第1の筐体と第2の筐体とを接続機構により互いに回動又はスライドが可能な状態に接続した情報端末装置にあって、第1及び第2の筐体内にそれぞれ接地パターン及び給電点が形成された第1及び第2の基板を収容する。そして、第1の筐体の辺に沿って第1、第2及び第3のモノポールアンテナを互いに距離を隔てて配置し、かつダイポール型アンテナを設ける。ダイポール型アンテナは、第1の基板の接地パターンと第2の基板の給電点との間を前記接続機構を介して電気的に接続する導電線路を備え、第1及び第2の基板の各接地パターンをそれぞれアンテナ素子として機能させる。上記第1、第2及び第3のモノポールアンテナ、及びダイポール型アンテナは、同一の周波数帯域の無線信号を送信又は受信する。
【解決手段】第1の筐体と第2の筐体とを接続機構により互いに回動又はスライドが可能な状態に接続した情報端末装置にあって、第1及び第2の筐体内にそれぞれ接地パターン及び給電点が形成された第1及び第2の基板を収容する。そして、第1の筐体の辺に沿って第1、第2及び第3のモノポールアンテナを互いに距離を隔てて配置し、かつダイポール型アンテナを設ける。ダイポール型アンテナは、第1の基板の接地パターンと第2の基板の給電点との間を前記接続機構を介して電気的に接続する導電線路を備え、第1及び第2の基板の各接地パターンをそれぞれアンテナ素子として機能させる。上記第1、第2及び第3のモノポールアンテナ、及びダイポール型アンテナは、同一の周波数帯域の無線信号を送信又は受信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、無線信号を受信する機能を備えた情報端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノート型或いはサブノート型のパーソナル・コンピュータや携帯電話機等のように、無線インタフェースを備えた折り畳み(クラムシェル)型のポータブル情報端末装置が種々開発されている。無線インタフェースとしては、例えば公衆移動通信網や無線LAN(Local Area Network)、WiMAX(登録商標)、Bluetooth(登録商標)を使用して無線通信を行うためのものや、地上ディジタルテレビジョン放送を受信するためのものがある。
【0003】
ところで、この種の情報端末装置において無線信号を高品質に受信するための技術として、複数のアンテナを使用する受信ダイバーシチが知られている。受信ダイバーシチは、例えば複数のアンテナを距離を隔てて異なる位置又は角度で配置し、これらのアンテナにより受信された無線信号の中から受信品質の良い信号を選択するか、或いは各アンテナによる受信信号を位相を合わせて合成することにより受信品質を高めるものである(例えば特許文献1又は特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−265235号公報
【特許文献2】特開2004−153589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来の情報端末装置では、複数のアンテナを単にアンテナ間の干渉やユーザの手や指による全アンテナの遮蔽が発生しないように配置したものとなっている。このため、所期の受信品質が得られない場合があり、受信品質をさらに高めるためのより適切なアンテナ配置技術が切望されている。
【0006】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、端末の折り畳み構造を利用して複数のアンテナをより適切に配置し構成することで受信品質をさらに高めた情報端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、情報端末装置は、第1の筐体と第2の筐体とを接続機構により互いに回動又はスライドが可能な状態に接続した情報端末装置であって、前記第1の筐体内に収容され、接地パターン及び複数の給電点が形成された第1の基板と、前記第2の筐体内に収容され、接地パターン及び給電点が形成された第2の基板と、第1、第2及び第3のモノポールアンテナと、ダイポール型アンテナとを具備する。第1、第2及び第3のモノポールアンテナは、前記第1の筐体の辺に沿って互いに距離を隔てて配置され、基端部が前記第1の基板の各給電点にそれぞれ接続される。ダイポール型アンテナは、前記第1の基板の接地パターンと前記第2の基板の給電点との間を前記接続機構を介して電気的に接続する導電線路を備え、前記第1及び第2の基板の各接地パターンをそれぞれアンテナ素子として機能させる。また、前記第1、第2及び第3のモノポールアンテナ、及び前記ダイポール型アンテナは、同一の周波数帯域の無線信号を送信又は受信する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に係る情報端末装置の外観を示す図。
【図2】第1の実施形態に係る情報端末装置の内部モジュール及びアンテナ装置の構成を示す斜視図。
【図3】図2に示したアンテナ装置のモノポールアンテナの構成を拡大して示した図。
【図4】図2に示したアンテナ装置のダイポール型基板アンテナの給電部付近の構成を拡大して示した図。
【図5】図2に示した内部モジュールのサイズの一例を示す図。
【図6】図5に示した内部モジュール及びアンテナ装置による放射効率の周波数特性を示す図。
【図7】図4に示したダイポール型基板アンテナの代わりにモノポールアンテナを第2の筐体に設けた場合のアンテナ装置の構成例を示す図。
【図8】図7に示したアンテナ装置による放射効率の周波数特性を示す図。
【図9】第2の実施形態に係る情報端末装置のモノポールアンテナ群の配置を示す図。
【図10】図9に示したモノポールアンテナ群による放射効率の周波数特性を示す図。
【図11】第3の実施形態に係る情報端末装置のモノポールアンテナ群の配置を示す図。
【図12】図11に示したモノポールアンテナ群による放射効率の周波数特性を示す図。
【図13】第4の実施形態に係る情報端末装置の内部モジュール及びアンテナ装置の構成を示す斜視図。
【図14】図13に示した内部モジュール及びアンテナ装置におけるアンテナ電流の分布を示す図。
【図15】図2に示した内部モジュール及びアンテナ装置におけるアンテナ電流の分布を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して幾つかの実施形態を説明する。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る情報端末装置の外観を示す斜視図である。
第1の実施形態の情報端末装置は、第1の筐体1に対し第2の筐体2を図示しないヒンジ機構を介して回動可能に接続した逆クラムシェル型のポータブル端末であり、第2の筐体2の背面側に表示パネル3が設けられている。この表示パネル3は、例えば液晶表示パネル或いは有機ELパネルにより構成される。
【0010】
情報端末装置は、地上ディジタル放送を受信する機能を有しており、図1に例示したように第2の筐体2を起こした状態で、受信された放送番組の情報を上記表示パネル3に表示する。したがって、一般的なクラムシェル型のパーソナル・コンピュータを用いる場合に比べ、視聴者は表示パネル3により近づいて放送番組を視聴することが可能となる。
【0011】
ところで、この情報端末装置の内部モジュール及びアンテナ装置は以下のように構成される。図2はその構成を示す斜視図である。
すなわち、第1の筐体1には第1の印刷配線基板11が収容されている。第1の印刷配線基板11は長方形をなし、その一対の長辺が端末の前後辺となり、一対の短辺が側辺となるように第1の筐体1内に配置される。第1の印刷配線基板11の一方の面には、第1の接地パターン12と、この第1の接地パターン12に対し電気的に独立する第2の接地パターン13と、アンテナ給電パターン14が形成されている。また第1の印刷配線基板11の他方の面には、例えば地上波ディジタルチューナ等を構成する集積回路や電子デバイス(図示省略)が実装されている。
【0012】
一方、第2の筐体2には第2の印刷配線基板21が収容されている。第2の印刷配線基板21も長方形をなし、その一対の長辺が上下辺となり、一対の短辺が側辺となるように第2の筐体2内に配置される。第2の印刷配線基板21の一方の面には、接地パターン22と、アンテナ給電点(図示省略)が形成されている。また第2の印刷配線基板21の他方の面には、表示パネル3とその駆動回路等(図示省略)が実装される。
【0013】
さて、第2の筐体2内にはモノポールアンテナ群4が収容される。モノポールアンテナ群4は、3個のモノポールアンテナ41,42,43からなり、このうち第1及び第2のモノポールアンテナ41,42は上記第2の印刷配線基板21の上辺に沿って配置される。これに対し第3のモノポールアンテナ43は、上記第2の印刷配線基板21の側辺の一つに沿って配置される。
【0014】
モノポールアンテナ41は、例えば図3に示すように細長い板状部411と、その基端に垂直に設けられた基端部412と、集中定数部413と、接続端部414とから構成される。なお、モノポールアンテナ42,43もモノポールアンテナ41と同一の構成を有する。このうち第1及び第2のモノポールアンテナ41,42は、その接続端部414が、上記第2の印刷配線基板21の上辺の両端部において当該基板21に形成されたアンテナ給電点(図示省略)に接続される。一方第3のモノポールアンテナ43は、その接続端部が、上記第2の印刷配線基板21の一つの側辺の下端部において、当該印刷配線基板21に形成されたアンテナ給電点(図示せず)に接続される。
【0015】
また、上記第2の印刷配線基板21に形成された接地パターン22は、ヒンジ機構を利用した導電線路6を介して、第1の印刷配線基板11に形成されたアンテナ給電パターン14に接続されている。図4はその構成を拡大して示したもので、導電線路6はヒンジ線路60と、接続線61,62とから構成される。ヒンジ線路60は、ヒンジ機構が導電性を有する金属から構成される場合にはヒンジ機構自体により構成されるが、ヒンジ機構の中空部に導電パターンを形成したり導電線を通したものであってもよい。
【0016】
このように第2の印刷配線基板21に形成された接地パターン22と、第1の印刷配線基板11に形成されたアンテナ給電パターン14との間を、ヒンジ機構を利用した導電線路6を介して接続したことにより、第2の印刷配線基板21に形成された接地パターン22と、第1の印刷配線基板11に形成された接地パターン12をそれぞれアンテナ素子として機能させた、ダイポール型基板アンテナ5が構成される。
【0017】
上記3個のモノポールアンテナ41,42,43及びダイポール型基板アンテナ5は、いずれも地上ディジタル放送信号を受信する。そして、これらのモノポールアンテナ41,42,43及びダイポール型基板アンテナ5により受信された放送信号は、図示しない地上ディジタル放送チューナにおいて受信ダイバーシチ方式により合成される。
【0018】
以上述べたように第1の実施形態では、モノポールアンテナ41,42を第2の筐体2の上辺に沿って配置すると共に、モノポールアンテナ43を第2の筐体2の一つの側辺に沿って配置し、さらに第2の印刷配線基板21の接地パターン22と第1の印刷配線基板11のアンテナ給電パターン14との間をヒンジ機構を利用した導電線路6を介して接続することで、第2の印刷配線基板21の接地パターン22と第1の印刷配線基板11の接地パターン12をそれぞれアンテナ素子として機能させたダイポール型基板アンテナ5を設けている。
【0019】
したがって、例えば4個のモノポールアンテナを第2の筐体2に配置する場合に比べ、合成後の受信品質を高めることが可能となる。しかも、ダイポール型基板アンテナ5は、既存の第2の印刷配線基板21の接地パターン22と第1の印刷配線基板11の接地パターン12をそれぞれアンテナ素子として機能させるものであり、導電線路6についても既存のヒンジ機構を利用して配線されるため、構成の大型化を招く心配もない。
【0020】
上記効果を確認するために、装置各部及びアンテナ装置各部のサイズを例えば図5に示すように設定した端末装置を用いて、実際に地上ディジタル放送(470MHz 〜770MHz )を受信し、その放射効率[dB]を測定した。なお、各モノポールアンテナ41,42,43の集中定数部413におけるインダクタンス値は23nHに、また接続端部414とアンテナ給電点との間のインダクタンス値は105nHに設定した。
【0021】
その測定結果を図6に示す。同図において、A1,A2,A3はそれぞれモノポールアンテナ41,42,43の放射効率を、またB1はダイポール型基板アンテナ5の放射効率をそれぞれ示す。C1はこれらのモノポールアンテナ41,42,43の放射効率A1〜A3及びダイポール型基板アンテナ5の放射効率B1を合成した後の放射効率であり、この合成後の放射効率を見ると地上ディジタル放送の全周波数帯域にわたって図中Wに示す0dB以上の放射効率を維持できることがわかる。
【0022】
ちなみに、同一サイズの4個のモノポールアンテナ71〜74を図7に示すように第2の筐体2に配置した場合の放射効率を測定したところ、図8に示すような結果が得られた。すなわち、各モノポールアンテナ71〜74の放射効率の合成放射効率C1は、490MHz 〜650MHz において0dB以上を維持するが、その他の帯域においては0dB以上を維持することができず、特に720MHz を超える帯域においては最低値Wが−2dBとなってしまう。
【0023】
このように第1の実施形態によれば、図7に示すアンテナ装置を使用する場合に比べ、大きな構成追加を伴うことなく、合成放射効率の最低値を2dB向上させることが可能となる。その結果、地上ディジタル放送の受信可能エリアを半径で約10km拡大することが可能となる。
【0024】
なお、地上ディジタル放送(470MHz 〜770MHz )を受信するためには、モノポールアンテナ41,42のアンテナ長は80mm以上が必要であり、この結果第2の筐体2の上辺の長さは160mm以上に設定する必要がある。したがって、この条件を満たす端末装置に設置可能な表示パネル3のサイズは8インチ以上となる。一方、ポータブル型端末としての可搬性を考慮すると、端末装置のサイズはA4サイズ(210×297mm)以下が適当である。したがって、これらの条件を総合すると、端末装置のサイズとしては、8〜14インチの表示パネル3を搭載可能なサイズが適当である。
【0025】
また、送受信対象のシステムとして地上ディジタル放送システム以外の無線システムも考慮すると、第2の筐体2のサイズの一般値は以下のように設定される。すなわち、第2の筐体2の長辺aの長さは送受信対象システムが使用する周波数に対応する波長の1/4から1/2に相当する長さに設定され、また短辺bの長さは当該システムが使用する周波数に対応する波長の1/8から1/2に相当する長さに設定される。
【0026】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、3個のモノポールアンテナ41〜43を第2の筐体2の上辺に沿って配置するように構成したものである。なお、ダイポール型基板アンテナ5を設置する点及びその構成は第1の実施形態と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0027】
図9は、第2の実施形態に係る情報端末装置のモノポールアンテナ41〜43の配置を示す図である。同図に示すように、3個のモノポールアンテナ41〜43は第2の筐体2に収容される第2の印刷配線基板21の上辺に沿って同じ向きで配置される。具体的には、モノポールアンテナ41,42が第2の印刷配線基板21の上辺の両端部に配置され、モノポールアンテナ43が上記モノポールアンテナ41,42の中間に配置される。
【0028】
図10は、上記したようにモノポールアンテナ41〜43が第2の印刷配線基板21の上辺に沿って同じ向きで配置されたアンテナ装置の放射効率の測定結果を示すものである。この測定結果から明らかなように、モノポールアンテナ43の放射効率A3は第1の実施形態に比べ低下するが、モノポールアンテナ41〜43の合成後の放射効率C2の向上に寄与する。
【0029】
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、モノポールアンテナ41,42を第2の筐体2の上辺に沿って配置する際に、互いに逆向きとなるように配置するか、或いは同じ向きに配置するようにしたものである。なお、ダイポール型基板アンテナ5を設置する点及びその構成は第1の実施形態と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0030】
図11(a),(b)は、第3の実施形態に係る情報端末装置のモノポールアンテナ41,42の配置を示す図である。
同図(a)に示す構成(ver1)は、モノポールアンテナ41,42を第2の筐体2に収容される第2の印刷配線基板21の上辺に沿って逆向きで、かつ開放端が第2の印刷配線基板21の角方向を向くように配置したものとなっている。
一方、同図(b)に示す構成(ver2)は、モノポールアンテナ41,42を第2の筐体2に収容される第2の印刷配線基板21の上辺に沿って同じ向きに配置したものとなっている。
【0031】
図12は、上記ver1及びver2におけるアンテナ放射効率の測定結果を、第1の実施形態に示した配置構成、つまり図2に示したようにモノポールアンテナ41,42を互いに逆向きでかつ基端部が第2の印刷配線基板21の両端部においてアンテナ給電点に接続した構成ver0の測定結果と共に示したものである。この測定結果から明らかなように、ver1及びver2の放射効率は、Ver0の放射効率に比べると低下するが、地上ディジタル放送の全周波数帯域(470MHz 〜770MHz )に渡り−5dB以上の放射効率を維持できる。
【0032】
[第4の実施形態]
第4の実施形態は、ダイポール型基板アンテナ5に対するモノポールアンテナ43の干渉を低減するために、先端が開放されかつ使用周波数帯域の波長の1/20以上の電気長を有するスタブを設けるようにしたものである。
【0033】
図13は、この第4の実施形態に係る情報端末装置の内部モジュール及びアンテナ装置の構成を示す斜視図である。なお、同図において前記図2と同一符号には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0034】
モノポールアンテナ43の給電点付近において、第2の印刷配線基板21の接地パターン22は第1の印刷配線基板11の接地パターン13にスタブ線路8を介して接続されている。このスタブ線路8の接続により、接地パターン22と接地パターン13との間は短絡され、上記接地パターン13がモノポールアンテナ43のオープンスタブとして機能する。
【0035】
図14は、内部モジュール及びアンテナ装置におけるアンテナ電流の分布を示すもので、電流値が大きいほど色が濃くなるように電流値の大きさを色の濃さで表現している。同図から明らかなように、モノポールアンテナ43の給電点付近において接地パターン22をスタブ線路8を介して接地パターン13に接続したことにより、モノポールアンテナ43のアンテナ電流はその主成分が上記スタブ線路8を介して接地パターン13に流れる。このため、モノポールアンテナ43とダイポール型基板アンテナ5との間の電気長が長くなり、この結果ダイポール型基板アンテナ5がモノポールアンテナ43から受ける干渉は低減される。
【0036】
ちなみに、オープンスタブを設けない場合、つまり第1の実施形態に示した構成では、図15の電流分布図に例示したようにモノポールアンテナ43のアンテナ電流の主成分は接地パターン22の下辺に沿ってダイポール型基板アンテナ5に流れる。このため、第4の実施形態に比べると、モノポールアンテナ43とダイポール型基板アンテナ5との間の電気長は短く、ダイポール型基板アンテナ5はモノポールアンテナ43からの干渉を受け易くなる。
【0037】
[その他の実施形態]
前記各実施形態では地上ディジタル放送を受信する場合を例にとって説明したが、対象システムは、地上ディジタルラジオ放送や、自治体が放送する防災放送等のその他のシステムから送信される信号を受信するものであってもよい。
【0038】
また、前記各実施形態では第1の筐体1と第2の筐体2との間をヒンジ機構により回動可能に接続した逆クラムシェル型の端末装置を例にとって説明したが、第1の筐体1と第2の筐体2との間をスライド機構によりスライド可能に接続した端末装置にも、適用可能である。この場合、第2の筐体2の接地パターンを上記スライド機構を介して第2の筐体側に設けられたアンテナ給電点に接続することにより、ダイポール型基板アンテナ5が構成される。
【0039】
さらに、印刷配線基板の代わりに、例えばLCD板金や、筐体面にアルミニウム等の導電性金属テープを貼り付けたものを使用してもよい。要するに、アンテナが設置される基板としては、導電性を有する基板部材であれば如何なるものであってもよい。その他、モノポールアンテナの配置位置やその形状、ダイポール型基板アンテナの構成、端末装置の種類やその形状等についても、種々変形が可能である。
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
1…第1の筐体、2…第2の筐体、3…液晶パネル、4…モノポールアンテナ群、5…ダイポール型基板アンテナ、6…導電線路、8…スタブ線路、11,21…印刷配線基板、12,13,22…接地パターン、14…給電パターン、41,71…第1のモノポールアンテナ、42…第2のモノポールアンテナ、43…第3のモノポールアンテナ、60…ヒンジ線路、61,62…接続線、71〜74…モノポールアンテナ群。
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、無線信号を受信する機能を備えた情報端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノート型或いはサブノート型のパーソナル・コンピュータや携帯電話機等のように、無線インタフェースを備えた折り畳み(クラムシェル)型のポータブル情報端末装置が種々開発されている。無線インタフェースとしては、例えば公衆移動通信網や無線LAN(Local Area Network)、WiMAX(登録商標)、Bluetooth(登録商標)を使用して無線通信を行うためのものや、地上ディジタルテレビジョン放送を受信するためのものがある。
【0003】
ところで、この種の情報端末装置において無線信号を高品質に受信するための技術として、複数のアンテナを使用する受信ダイバーシチが知られている。受信ダイバーシチは、例えば複数のアンテナを距離を隔てて異なる位置又は角度で配置し、これらのアンテナにより受信された無線信号の中から受信品質の良い信号を選択するか、或いは各アンテナによる受信信号を位相を合わせて合成することにより受信品質を高めるものである(例えば特許文献1又は特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−265235号公報
【特許文献2】特開2004−153589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来の情報端末装置では、複数のアンテナを単にアンテナ間の干渉やユーザの手や指による全アンテナの遮蔽が発生しないように配置したものとなっている。このため、所期の受信品質が得られない場合があり、受信品質をさらに高めるためのより適切なアンテナ配置技術が切望されている。
【0006】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、端末の折り畳み構造を利用して複数のアンテナをより適切に配置し構成することで受信品質をさらに高めた情報端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、情報端末装置は、第1の筐体と第2の筐体とを接続機構により互いに回動又はスライドが可能な状態に接続した情報端末装置であって、前記第1の筐体内に収容され、接地パターン及び複数の給電点が形成された第1の基板と、前記第2の筐体内に収容され、接地パターン及び給電点が形成された第2の基板と、第1、第2及び第3のモノポールアンテナと、ダイポール型アンテナとを具備する。第1、第2及び第3のモノポールアンテナは、前記第1の筐体の辺に沿って互いに距離を隔てて配置され、基端部が前記第1の基板の各給電点にそれぞれ接続される。ダイポール型アンテナは、前記第1の基板の接地パターンと前記第2の基板の給電点との間を前記接続機構を介して電気的に接続する導電線路を備え、前記第1及び第2の基板の各接地パターンをそれぞれアンテナ素子として機能させる。また、前記第1、第2及び第3のモノポールアンテナ、及び前記ダイポール型アンテナは、同一の周波数帯域の無線信号を送信又は受信する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に係る情報端末装置の外観を示す図。
【図2】第1の実施形態に係る情報端末装置の内部モジュール及びアンテナ装置の構成を示す斜視図。
【図3】図2に示したアンテナ装置のモノポールアンテナの構成を拡大して示した図。
【図4】図2に示したアンテナ装置のダイポール型基板アンテナの給電部付近の構成を拡大して示した図。
【図5】図2に示した内部モジュールのサイズの一例を示す図。
【図6】図5に示した内部モジュール及びアンテナ装置による放射効率の周波数特性を示す図。
【図7】図4に示したダイポール型基板アンテナの代わりにモノポールアンテナを第2の筐体に設けた場合のアンテナ装置の構成例を示す図。
【図8】図7に示したアンテナ装置による放射効率の周波数特性を示す図。
【図9】第2の実施形態に係る情報端末装置のモノポールアンテナ群の配置を示す図。
【図10】図9に示したモノポールアンテナ群による放射効率の周波数特性を示す図。
【図11】第3の実施形態に係る情報端末装置のモノポールアンテナ群の配置を示す図。
【図12】図11に示したモノポールアンテナ群による放射効率の周波数特性を示す図。
【図13】第4の実施形態に係る情報端末装置の内部モジュール及びアンテナ装置の構成を示す斜視図。
【図14】図13に示した内部モジュール及びアンテナ装置におけるアンテナ電流の分布を示す図。
【図15】図2に示した内部モジュール及びアンテナ装置におけるアンテナ電流の分布を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して幾つかの実施形態を説明する。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る情報端末装置の外観を示す斜視図である。
第1の実施形態の情報端末装置は、第1の筐体1に対し第2の筐体2を図示しないヒンジ機構を介して回動可能に接続した逆クラムシェル型のポータブル端末であり、第2の筐体2の背面側に表示パネル3が設けられている。この表示パネル3は、例えば液晶表示パネル或いは有機ELパネルにより構成される。
【0010】
情報端末装置は、地上ディジタル放送を受信する機能を有しており、図1に例示したように第2の筐体2を起こした状態で、受信された放送番組の情報を上記表示パネル3に表示する。したがって、一般的なクラムシェル型のパーソナル・コンピュータを用いる場合に比べ、視聴者は表示パネル3により近づいて放送番組を視聴することが可能となる。
【0011】
ところで、この情報端末装置の内部モジュール及びアンテナ装置は以下のように構成される。図2はその構成を示す斜視図である。
すなわち、第1の筐体1には第1の印刷配線基板11が収容されている。第1の印刷配線基板11は長方形をなし、その一対の長辺が端末の前後辺となり、一対の短辺が側辺となるように第1の筐体1内に配置される。第1の印刷配線基板11の一方の面には、第1の接地パターン12と、この第1の接地パターン12に対し電気的に独立する第2の接地パターン13と、アンテナ給電パターン14が形成されている。また第1の印刷配線基板11の他方の面には、例えば地上波ディジタルチューナ等を構成する集積回路や電子デバイス(図示省略)が実装されている。
【0012】
一方、第2の筐体2には第2の印刷配線基板21が収容されている。第2の印刷配線基板21も長方形をなし、その一対の長辺が上下辺となり、一対の短辺が側辺となるように第2の筐体2内に配置される。第2の印刷配線基板21の一方の面には、接地パターン22と、アンテナ給電点(図示省略)が形成されている。また第2の印刷配線基板21の他方の面には、表示パネル3とその駆動回路等(図示省略)が実装される。
【0013】
さて、第2の筐体2内にはモノポールアンテナ群4が収容される。モノポールアンテナ群4は、3個のモノポールアンテナ41,42,43からなり、このうち第1及び第2のモノポールアンテナ41,42は上記第2の印刷配線基板21の上辺に沿って配置される。これに対し第3のモノポールアンテナ43は、上記第2の印刷配線基板21の側辺の一つに沿って配置される。
【0014】
モノポールアンテナ41は、例えば図3に示すように細長い板状部411と、その基端に垂直に設けられた基端部412と、集中定数部413と、接続端部414とから構成される。なお、モノポールアンテナ42,43もモノポールアンテナ41と同一の構成を有する。このうち第1及び第2のモノポールアンテナ41,42は、その接続端部414が、上記第2の印刷配線基板21の上辺の両端部において当該基板21に形成されたアンテナ給電点(図示省略)に接続される。一方第3のモノポールアンテナ43は、その接続端部が、上記第2の印刷配線基板21の一つの側辺の下端部において、当該印刷配線基板21に形成されたアンテナ給電点(図示せず)に接続される。
【0015】
また、上記第2の印刷配線基板21に形成された接地パターン22は、ヒンジ機構を利用した導電線路6を介して、第1の印刷配線基板11に形成されたアンテナ給電パターン14に接続されている。図4はその構成を拡大して示したもので、導電線路6はヒンジ線路60と、接続線61,62とから構成される。ヒンジ線路60は、ヒンジ機構が導電性を有する金属から構成される場合にはヒンジ機構自体により構成されるが、ヒンジ機構の中空部に導電パターンを形成したり導電線を通したものであってもよい。
【0016】
このように第2の印刷配線基板21に形成された接地パターン22と、第1の印刷配線基板11に形成されたアンテナ給電パターン14との間を、ヒンジ機構を利用した導電線路6を介して接続したことにより、第2の印刷配線基板21に形成された接地パターン22と、第1の印刷配線基板11に形成された接地パターン12をそれぞれアンテナ素子として機能させた、ダイポール型基板アンテナ5が構成される。
【0017】
上記3個のモノポールアンテナ41,42,43及びダイポール型基板アンテナ5は、いずれも地上ディジタル放送信号を受信する。そして、これらのモノポールアンテナ41,42,43及びダイポール型基板アンテナ5により受信された放送信号は、図示しない地上ディジタル放送チューナにおいて受信ダイバーシチ方式により合成される。
【0018】
以上述べたように第1の実施形態では、モノポールアンテナ41,42を第2の筐体2の上辺に沿って配置すると共に、モノポールアンテナ43を第2の筐体2の一つの側辺に沿って配置し、さらに第2の印刷配線基板21の接地パターン22と第1の印刷配線基板11のアンテナ給電パターン14との間をヒンジ機構を利用した導電線路6を介して接続することで、第2の印刷配線基板21の接地パターン22と第1の印刷配線基板11の接地パターン12をそれぞれアンテナ素子として機能させたダイポール型基板アンテナ5を設けている。
【0019】
したがって、例えば4個のモノポールアンテナを第2の筐体2に配置する場合に比べ、合成後の受信品質を高めることが可能となる。しかも、ダイポール型基板アンテナ5は、既存の第2の印刷配線基板21の接地パターン22と第1の印刷配線基板11の接地パターン12をそれぞれアンテナ素子として機能させるものであり、導電線路6についても既存のヒンジ機構を利用して配線されるため、構成の大型化を招く心配もない。
【0020】
上記効果を確認するために、装置各部及びアンテナ装置各部のサイズを例えば図5に示すように設定した端末装置を用いて、実際に地上ディジタル放送(470MHz 〜770MHz )を受信し、その放射効率[dB]を測定した。なお、各モノポールアンテナ41,42,43の集中定数部413におけるインダクタンス値は23nHに、また接続端部414とアンテナ給電点との間のインダクタンス値は105nHに設定した。
【0021】
その測定結果を図6に示す。同図において、A1,A2,A3はそれぞれモノポールアンテナ41,42,43の放射効率を、またB1はダイポール型基板アンテナ5の放射効率をそれぞれ示す。C1はこれらのモノポールアンテナ41,42,43の放射効率A1〜A3及びダイポール型基板アンテナ5の放射効率B1を合成した後の放射効率であり、この合成後の放射効率を見ると地上ディジタル放送の全周波数帯域にわたって図中Wに示す0dB以上の放射効率を維持できることがわかる。
【0022】
ちなみに、同一サイズの4個のモノポールアンテナ71〜74を図7に示すように第2の筐体2に配置した場合の放射効率を測定したところ、図8に示すような結果が得られた。すなわち、各モノポールアンテナ71〜74の放射効率の合成放射効率C1は、490MHz 〜650MHz において0dB以上を維持するが、その他の帯域においては0dB以上を維持することができず、特に720MHz を超える帯域においては最低値Wが−2dBとなってしまう。
【0023】
このように第1の実施形態によれば、図7に示すアンテナ装置を使用する場合に比べ、大きな構成追加を伴うことなく、合成放射効率の最低値を2dB向上させることが可能となる。その結果、地上ディジタル放送の受信可能エリアを半径で約10km拡大することが可能となる。
【0024】
なお、地上ディジタル放送(470MHz 〜770MHz )を受信するためには、モノポールアンテナ41,42のアンテナ長は80mm以上が必要であり、この結果第2の筐体2の上辺の長さは160mm以上に設定する必要がある。したがって、この条件を満たす端末装置に設置可能な表示パネル3のサイズは8インチ以上となる。一方、ポータブル型端末としての可搬性を考慮すると、端末装置のサイズはA4サイズ(210×297mm)以下が適当である。したがって、これらの条件を総合すると、端末装置のサイズとしては、8〜14インチの表示パネル3を搭載可能なサイズが適当である。
【0025】
また、送受信対象のシステムとして地上ディジタル放送システム以外の無線システムも考慮すると、第2の筐体2のサイズの一般値は以下のように設定される。すなわち、第2の筐体2の長辺aの長さは送受信対象システムが使用する周波数に対応する波長の1/4から1/2に相当する長さに設定され、また短辺bの長さは当該システムが使用する周波数に対応する波長の1/8から1/2に相当する長さに設定される。
【0026】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、3個のモノポールアンテナ41〜43を第2の筐体2の上辺に沿って配置するように構成したものである。なお、ダイポール型基板アンテナ5を設置する点及びその構成は第1の実施形態と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0027】
図9は、第2の実施形態に係る情報端末装置のモノポールアンテナ41〜43の配置を示す図である。同図に示すように、3個のモノポールアンテナ41〜43は第2の筐体2に収容される第2の印刷配線基板21の上辺に沿って同じ向きで配置される。具体的には、モノポールアンテナ41,42が第2の印刷配線基板21の上辺の両端部に配置され、モノポールアンテナ43が上記モノポールアンテナ41,42の中間に配置される。
【0028】
図10は、上記したようにモノポールアンテナ41〜43が第2の印刷配線基板21の上辺に沿って同じ向きで配置されたアンテナ装置の放射効率の測定結果を示すものである。この測定結果から明らかなように、モノポールアンテナ43の放射効率A3は第1の実施形態に比べ低下するが、モノポールアンテナ41〜43の合成後の放射効率C2の向上に寄与する。
【0029】
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、モノポールアンテナ41,42を第2の筐体2の上辺に沿って配置する際に、互いに逆向きとなるように配置するか、或いは同じ向きに配置するようにしたものである。なお、ダイポール型基板アンテナ5を設置する点及びその構成は第1の実施形態と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0030】
図11(a),(b)は、第3の実施形態に係る情報端末装置のモノポールアンテナ41,42の配置を示す図である。
同図(a)に示す構成(ver1)は、モノポールアンテナ41,42を第2の筐体2に収容される第2の印刷配線基板21の上辺に沿って逆向きで、かつ開放端が第2の印刷配線基板21の角方向を向くように配置したものとなっている。
一方、同図(b)に示す構成(ver2)は、モノポールアンテナ41,42を第2の筐体2に収容される第2の印刷配線基板21の上辺に沿って同じ向きに配置したものとなっている。
【0031】
図12は、上記ver1及びver2におけるアンテナ放射効率の測定結果を、第1の実施形態に示した配置構成、つまり図2に示したようにモノポールアンテナ41,42を互いに逆向きでかつ基端部が第2の印刷配線基板21の両端部においてアンテナ給電点に接続した構成ver0の測定結果と共に示したものである。この測定結果から明らかなように、ver1及びver2の放射効率は、Ver0の放射効率に比べると低下するが、地上ディジタル放送の全周波数帯域(470MHz 〜770MHz )に渡り−5dB以上の放射効率を維持できる。
【0032】
[第4の実施形態]
第4の実施形態は、ダイポール型基板アンテナ5に対するモノポールアンテナ43の干渉を低減するために、先端が開放されかつ使用周波数帯域の波長の1/20以上の電気長を有するスタブを設けるようにしたものである。
【0033】
図13は、この第4の実施形態に係る情報端末装置の内部モジュール及びアンテナ装置の構成を示す斜視図である。なお、同図において前記図2と同一符号には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0034】
モノポールアンテナ43の給電点付近において、第2の印刷配線基板21の接地パターン22は第1の印刷配線基板11の接地パターン13にスタブ線路8を介して接続されている。このスタブ線路8の接続により、接地パターン22と接地パターン13との間は短絡され、上記接地パターン13がモノポールアンテナ43のオープンスタブとして機能する。
【0035】
図14は、内部モジュール及びアンテナ装置におけるアンテナ電流の分布を示すもので、電流値が大きいほど色が濃くなるように電流値の大きさを色の濃さで表現している。同図から明らかなように、モノポールアンテナ43の給電点付近において接地パターン22をスタブ線路8を介して接地パターン13に接続したことにより、モノポールアンテナ43のアンテナ電流はその主成分が上記スタブ線路8を介して接地パターン13に流れる。このため、モノポールアンテナ43とダイポール型基板アンテナ5との間の電気長が長くなり、この結果ダイポール型基板アンテナ5がモノポールアンテナ43から受ける干渉は低減される。
【0036】
ちなみに、オープンスタブを設けない場合、つまり第1の実施形態に示した構成では、図15の電流分布図に例示したようにモノポールアンテナ43のアンテナ電流の主成分は接地パターン22の下辺に沿ってダイポール型基板アンテナ5に流れる。このため、第4の実施形態に比べると、モノポールアンテナ43とダイポール型基板アンテナ5との間の電気長は短く、ダイポール型基板アンテナ5はモノポールアンテナ43からの干渉を受け易くなる。
【0037】
[その他の実施形態]
前記各実施形態では地上ディジタル放送を受信する場合を例にとって説明したが、対象システムは、地上ディジタルラジオ放送や、自治体が放送する防災放送等のその他のシステムから送信される信号を受信するものであってもよい。
【0038】
また、前記各実施形態では第1の筐体1と第2の筐体2との間をヒンジ機構により回動可能に接続した逆クラムシェル型の端末装置を例にとって説明したが、第1の筐体1と第2の筐体2との間をスライド機構によりスライド可能に接続した端末装置にも、適用可能である。この場合、第2の筐体2の接地パターンを上記スライド機構を介して第2の筐体側に設けられたアンテナ給電点に接続することにより、ダイポール型基板アンテナ5が構成される。
【0039】
さらに、印刷配線基板の代わりに、例えばLCD板金や、筐体面にアルミニウム等の導電性金属テープを貼り付けたものを使用してもよい。要するに、アンテナが設置される基板としては、導電性を有する基板部材であれば如何なるものであってもよい。その他、モノポールアンテナの配置位置やその形状、ダイポール型基板アンテナの構成、端末装置の種類やその形状等についても、種々変形が可能である。
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
1…第1の筐体、2…第2の筐体、3…液晶パネル、4…モノポールアンテナ群、5…ダイポール型基板アンテナ、6…導電線路、8…スタブ線路、11,21…印刷配線基板、12,13,22…接地パターン、14…給電パターン、41,71…第1のモノポールアンテナ、42…第2のモノポールアンテナ、43…第3のモノポールアンテナ、60…ヒンジ線路、61,62…接続線、71〜74…モノポールアンテナ群。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体と第2の筐体とを接続機構により互いに回動又はスライドが可能な状態に接続した情報端末装置であって、
前記第1の筐体内に収容され、接地パターン及び複数の給電点が形成された第1の基板と、
前記第2の筐体内に収容され、接地パターン及び給電点が形成された第2の基板と、
前記第1の筐体の辺に沿って互いに距離を隔てて配置され、基端部が前記第1の基板の各給電点にそれぞれ接続される第1、第2及び第3のモノポールアンテナと、
前記第1の基板の接地パターンと前記第2の基板の給電点との間を前記接続機構を介して電気的に接続する導電線路を備え、前記第1及び第2の基板の各接地パターンをそれぞれアンテナ素子として機能させるダイポール型アンテナと
を具備し、
前記第1、第2及び第3のモノポールアンテナ、及び前記ダイポール型アンテナは、同一の周波数帯域の無線信号を送信又は受信する情報端末装置。
【請求項2】
前記第1の筐体が、前記接続機構に接続される第1の辺と、この第1の辺と平行する第2の辺と、これら第1及び第2の辺に対し直交する第3及び第4の辺とを有する場合に、
前記第1、第2及び第3のモノポールアンテナは、前記第2、第3及び第4の辺のうち少なくとも2つの辺に分散されて配置される請求項1記載の情報端末装置。
【請求項3】
前記第1及び第2のモノポールアンテナは前記第2の辺に沿って配置され、前記第3のモノポールアンテナは前記第3又は第4の辺に沿って配置される請求項2記載の情報端末装置。
【請求項4】
前記第1及び第2のモノポールアンテナは、その基端部が前記第2の辺の両端部において前記第1の基板の給電点に接続される請求項3記載の情報端末装置。
【請求項5】
先端が開放されかつ前記周波数帯域の波長の1/20以上の電気長を有するスタブをさらに具備し、このスタブの基端部が前記第3のモノポールアンテナと前記ダイポール型アンテナとの間の位置で前記第1の基板の接地パターンに接続される請求項3記載の情報端末装置。
【請求項1】
第1の筐体と第2の筐体とを接続機構により互いに回動又はスライドが可能な状態に接続した情報端末装置であって、
前記第1の筐体内に収容され、接地パターン及び複数の給電点が形成された第1の基板と、
前記第2の筐体内に収容され、接地パターン及び給電点が形成された第2の基板と、
前記第1の筐体の辺に沿って互いに距離を隔てて配置され、基端部が前記第1の基板の各給電点にそれぞれ接続される第1、第2及び第3のモノポールアンテナと、
前記第1の基板の接地パターンと前記第2の基板の給電点との間を前記接続機構を介して電気的に接続する導電線路を備え、前記第1及び第2の基板の各接地パターンをそれぞれアンテナ素子として機能させるダイポール型アンテナと
を具備し、
前記第1、第2及び第3のモノポールアンテナ、及び前記ダイポール型アンテナは、同一の周波数帯域の無線信号を送信又は受信する情報端末装置。
【請求項2】
前記第1の筐体が、前記接続機構に接続される第1の辺と、この第1の辺と平行する第2の辺と、これら第1及び第2の辺に対し直交する第3及び第4の辺とを有する場合に、
前記第1、第2及び第3のモノポールアンテナは、前記第2、第3及び第4の辺のうち少なくとも2つの辺に分散されて配置される請求項1記載の情報端末装置。
【請求項3】
前記第1及び第2のモノポールアンテナは前記第2の辺に沿って配置され、前記第3のモノポールアンテナは前記第3又は第4の辺に沿って配置される請求項2記載の情報端末装置。
【請求項4】
前記第1及び第2のモノポールアンテナは、その基端部が前記第2の辺の両端部において前記第1の基板の給電点に接続される請求項3記載の情報端末装置。
【請求項5】
先端が開放されかつ前記周波数帯域の波長の1/20以上の電気長を有するスタブをさらに具備し、このスタブの基端部が前記第3のモノポールアンテナと前記ダイポール型アンテナとの間の位置で前記第1の基板の接地パターンに接続される請求項3記載の情報端末装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−253455(P2012−253455A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122675(P2011−122675)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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