説明

情報記憶媒体及び画像生成装置

【課題】ルールをプレーヤに遵守させながらフィールド上でプレーヤキャラクタを自由自在に移動させることができる情報記憶媒体、画像生成装置の提供。
【解決手段】画像生成装置は、操作手段からの操作データに基づいてプレーヤキャラクタをオブジェクト空間内で移動させる処理を行う移動体演算手段と、侵入禁止エリア設定手段と、画像生成手段とを含む。侵入禁止エリア設定手段が、スポーツゲームのルールに基づく条件である侵入禁止エリア設定条件が成立したか否かを判断する手段と、侵入禁止エリア設定条件が成立したと判断された場合に、フィールド上に侵入禁止エリアの位置と範囲を設定する手段と、侵入禁止エリアの範囲を表す画像であってその輝度が侵入禁止エリアの内側から外側に向かって変化する侵入禁止エリア画像をフィールド上に表示するための処理を行う表示処理手段を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オブジェクト空間における所与の視点から見える画像を生成するための情報記憶媒体及び画像生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、仮想的な3次元空間であるオブジェクト空間内に複数の表示物を配置し、所与の視点から見える画像を生成する画像生成装置が知られており、いわゆる仮想現実を体験できるものとして人気が高い。
【0003】
サッカーゲームを楽しめる画像生成装置を例にとれば、プレーヤは、スクリーン上に映し出されたキャラクタを操作し、ドリブルをしたりシュートをしたりしてゲームを楽しむ。この画像生成装置によれば、実際にサッカーをプレイしているような感覚をプレーヤに与えることができる。
【0004】
さて、これまでのサッカーゲームでは、プレーヤは、自身の操作するキャラクタ(以下、プレーヤキャラクタと呼ぶ)をフィールド上で自由自在に移動させることができなかった。即ちプレーヤキャラクタの動きの多くはコンピュータ側により制限されていた。このためプレーヤの感じる仮想現実感を今一つ高めることができなかった。
【0005】
そこで本発明者は、プレーヤキャラクタをプレーヤの意志によりフィールド上で自由自在に動かすことができるタイプのサッカーゲームの開発を行っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このようにプレーヤキャラクタをフィールド上で自由自在に移動させることができるゲームにおいて、プレーヤがサッカーゲームのルールを遵守しないと、ゲーム進行が妨げられたり、ゲームの面白味が半減してしまうという問題があることが判明した。
【0007】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、ルールをプレーヤに遵守させながらフィールド上でプレーヤキャラクタを自由自在に移動させることができる情報記憶媒体及び画像生成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、プレーヤが操作するプレーヤキャラクタをオブジェクト空間内のフィールド上で移動させスポーツゲームをシミュレートする画像を生成するためのコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体であって、操作手段からの操作データに基づいて、プレーヤキャラクタをオブジェクト空間内で移動させる処理を行う移動体演算手段と、侵入禁止エリアの設定処理を行う侵入禁止エリア設定手段と、プレーヤキャラクタが移動するオブジェクト空間での所与の視点での画像を生成する画像生成手段として、コンピュータを機能させるプログラムを記憶し、侵入禁止エリア設定手段が、スポーツゲームのルールに基づく条件である侵入禁止エリア設定条件が成立したか否かを判断する手段と、侵入禁止エリア設定条件が成立したと判断された場合に、前記フィールド上に侵入禁止エリアの位置と範囲を設定する手段と、前記侵入禁止エリアの範囲を表す侵入禁止エリア画像を、前記フィールド上に表示するための処理を行う表示処理手段を含むことを特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記表示処理手段が、その輝度が侵入禁止エリアの内側から外側に向かって変化する侵入禁止エリア画像を、前記フィールド上に表示するための処理を行うことを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記表示処理手段が、複数のプリミティブ面により構成される侵入禁止エリアオブジェクトの頂点の輝度を、侵入禁止エリアの内側から外側に向かって変化させることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、プレーヤが操作するプレーヤキャラクタをオブジェクト空間内のフィールド上で移動させスポーツゲームをシミュレートする画像を生成するためのコンピュータ読み取り可能な画像生成装置であって、操作手段からの操作データに基づいて、プレーヤキャラクタをオブジェクト空間内で移動させる処理を行う移動体演算手段と、侵入禁止エリアの設定処理を行う侵入禁止エリア設定手段と、プレーヤキャラクタが移動するオブジェクト空間での所与の視点での画像を生成する画像生成手段とを含み、侵入禁止エリア設定手段が、スポーツゲームのルールに基づく条件である侵入禁止エリア設定条件が成立したか否かを判断する手段と、侵入禁止エリア設定条件が成立したと判断された場合に、前記フィールド上に侵入禁止エリアの位置と範囲を設定する手段と、前記侵入禁止エリアの範囲を表す侵入禁止エリア画像を、前記フィールド上に表示するための処理を行う表示処理手段を含むことを特徴とする。
【0012】
また本発明は、プレーヤが操作するプレーヤキャラクタをオブジェクト空間内のフィールド上で移動させスポーツゲームをシミュレートする画像を生成するための情報記憶媒体であって、スポーツゲームのルールに基づく所与の条件が成立した場合に前記フィールド上に侵入禁止エリアを設定し、前記侵入禁止エリアに侵入するプレーヤキャラクタを前記侵入禁止エリアから排除する処理を行うための情報と、オブジェクト空間での所与の視点での画像を生成するための情報とを含むことを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、例えばサッカーゲームにおけるスローイングを敵が行う場合等、スポーツゲームのルールに基づく所与の条件が成立した場合に、フィールド上に侵入禁止エリアが設定される。そしてこの侵入禁止エリアにプレーヤキャラクタが侵入すると、プレーヤキャラクタは侵入禁止エリアから排除される。これにより、プレーヤキャラクタの操作の自由度を残したまま、プレーヤにスポーツゲームのルールを遵守させることが可能となる。
【0014】
また本発明は、前記侵入禁止エリアの内側から外側に向く力ベクトルをプレーヤキャラクタに作用させて、プレーヤキャラクタを前記侵入禁止エリアから排除することを特徴とする。このようにすることで、プレーヤキャラクタを自由に操作したいというプレーヤの意志をある程度尊重しながら、プレーヤキャラクタを侵入禁止エリアから排除することが可能となる。
【0015】
また本発明は、前記力ベクトルにより侵入禁止エリアから排除されるプレーヤキャラクタの速度にリミット値を設定することを特徴とする。このようにすることで、プレーヤキャラクタが大きな速度で侵入禁止エリアから排除されるという事態を防止でき、より自然な画像を提供することが可能となる。
【0016】
また本発明は、プレーヤが操作するプレーヤキャラクタをオブジェクト空間内のフィールド上で移動させスポーツゲームをシミュレートする画像を生成するための情報記憶媒体であって、スポーツゲームのルールに基づく所与の条件が成立した場合に前記フィールド上に侵入禁止エリアを設定し、前記侵入禁止エリアの範囲を表す侵入禁止エリア画像を前記フィールド上に表示するための情報と、オブジェクト空間での所与の視点での画像を生成するための情報とを含むことを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、侵入禁止エリアの存在及びその範囲をプレーヤに理解させることが可能となる。これによりプレーヤに警告を与えスポーツゲームのルールを遵守させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて説明する。
【0019】
まず本実施形態の原理について説明する。なお以下では、本実施形態をサッカーゲームに適用した場合を主に例にとり説明する。但し本発明が適用されるゲームはこれに限られるものではない。
【0020】
さて本発明者は、プレーヤの意志によりプレーヤキャラクタをフィールド上で自由自在に移動させることができるサッカーゲームの開発を行っている。より具体的には、例えばプレーヤが操作するプレーヤキャラクタを1つに固定する。そしてプレーヤはこのプレーヤキャラクタを操作してフィールド上を動き回りながらボール(プレイ対象物)を追いかけてゲームを楽しむ。このようなサッカーゲームによれば、プレーヤは、プレーヤキャラクタにより擬人化されるサッカー選手に自分がなりきったつもりでゲームを楽しむことができる。このため、プレーヤキャラクタの動きがコンピュータ側に強く制限される従来のサッカーゲームに比べて、ゲームへのプレーヤの没入度を格段に高めることができる。
【0021】
しかしながら、サッカーゲームにおいては、敵側がスローイング、ゴールキック、コーナーキック、ペナルティキック等を行っている場合には、これらの敵側のプレイを邪魔することがルール上禁止される。従って、どのような状況においてもプレーヤキャラクタがフィールド上で自由自在に動き回れると、このルールが遵守されず、ゲーム進行が妨げられる事態が生じる。
【0022】
そこで本実施形態はこのような事態を防止するために次のような特徴を有している。即ち図1(A)に示すように、敵側のチームの敵キャラクタCEがスローイング、ゴールキック、コーナーキック、ペナルティーキック等を行う場合(サッカーゲームのルールに基づく所与の条件が成立した場合)に、フィールド上に侵入禁止エリアIPAを設定する。そして侵入禁止エリアIPAに侵入するプレーヤキャラクタCPを、矢印20に示すように侵入禁止エリアIPAから排除する処理を行う。このようにすることで、フィールド上でのプレーヤキャラクタCPの自由自在な移動を許容しながらサッカーゲームのルールを遵守させることが可能となる。
【0023】
このような侵入禁止エリアIPAを設定せず、プレーヤキャラクタCPが侵入禁止エリアに自由自在に入ることができると、次のような問題が生じる。即ち図1(B)に示すように、敵キャラクタCEが投げたり蹴ったりしたボールBがプレーヤキャラクタCPに当たってしまい、ゲーム進行が妨げられる。特にプレーヤが故意に侵入禁止エリアIPAに入り、敵キャラクタCEがボールBを投げたり蹴ったりできないように邪魔をすると、プレーヤの不正を許すことになりゲームの面白さが半減してしまう。
【0024】
本実施形態によれば、プレーヤキャラクタCPが侵入禁止エリアIPAに侵入してもIPAから排除されるように処理が行われるため、上記のような事態を有効に防止できる。
【0025】
なお侵入禁止エリアIPAへのプレーヤキャラクタCPの侵入を防ぐ1つの手法として、スローイングが終了するまで一部を除くすべてのキャラクタの動きをフリーズ(凍結)する手法が考えられる。しかしながらこの手法を採用すると、スローイングの間、プレーヤは、プレーヤキャラクタCPを全く操作できなくなってしまい、プレーヤの操作の自由度が大きく奪われる。本実施形態によれば、スローイング中も、侵入禁止エリアIPAへ侵入しない限り、フィールド上でゲームキャラクタCPを自由に動かすことができる。このためプレーヤの操作の自由度を保つことができる。
【0026】
また本実施形態では図2(A)、(B)に示すように、侵入禁止エリアIPAの範囲を表す侵入禁止エリア画像IPAIをフィールド上に表示している。このような侵入禁止エリア画像IPAIを表示することで、侵入禁止エリアIPAに侵入したことをプレーヤに警告することが可能となる。これにより、なぜプレーヤキャラクタCPが侵入禁止エリアIPAの方向に移動できないかをプレーヤに理解させることができる。更に、どの範囲までが侵入禁止エリアIPAなのかをプレーヤに理解させることも可能となる。
【0027】
また本実施形態では図3(A)に示すように、侵入禁止エリアIPAの内側から外側に向く力ベクトルVFをプレーヤキャラクタCPに作用させて、CPをIPAから排除している。このような力ベクトルVFを働かせることで、侵入禁止エリアIPAの設定前にIPA内にいたプレーヤキャラクタCPをIPA外に排除することができ、且つIPAの設定後にIPA内に入ろうとするCPをIPA内に入れないようにすることもできるようになる。また力ベクトルVFをプレーヤキャラクタCPに作用させて排除することで、CPを動かしているプレーヤの意志もある程度尊重することができる。即ち、操作レバー等を操作してIPAに入ろうとしても、VFの作用によりIPAから排除されてしまうという感覚をプレーヤに与えることが可能となる。
【0028】
なお力ベクトルVFの大きさは、IPAの中心からの距離が短いほど大きくなるようにすることが望ましい。
【0029】
また本実施形態では図3(B)に示すように、力ベクトルVFにより侵入禁止エリアIPAから排除されるプレーヤキャラクタCPの速度にリミット値を設定している。即ちCPの速度がVlimitよりも大きくならないようにしている。侵入禁止エリアIPAの設定前にIPA内にいるプレーヤキャラクタCPを力ベクトルVFによりIPA外に排除した場合、CPの速度が必要以上に大きくなり、プレーヤに不自然感を与えるおそれがある。このようにCPの速度の最大値をVlimitに制限することで、迅速に且つ自然にCPをIPA内から排除することが可能となる。
【0030】
図4(A)、(B)、(C)及び図5に、本実施形態により生成される画像の例を示す。図4(A)は、プレーヤキャラクタの味方チームのキャラクタCTMがボールBをサイドライン30の外に出してしまった場面を示すものである。この場合には、サッカーゲームのルールにしたがい敵チームのスローイングとなる。即ち侵入禁止エリアの設定条件が満たされる。
【0031】
そして図4(A)、(B)に示すように、プレーヤキャラクタCPが侵入禁止エリアIPA内にいる場合には外に排除される。この際、なぜ外に排除されるのかを更に詳細にプレーヤが理解できるように警告32も表示する。
【0032】
また図5に示すように、外に出たプレーヤキャラクタCPが再びIPA内に入ろうとしても中に入ることができないように、プレーヤキャラクタCPがIPA外に排除される。
【0033】
このようにしてスローイング時のルールをプレーヤに遵守させることが可能となる。
【0034】
次に本実施形態の画像生成装置の構成について説明する。図6に本実施形態の画像生成装置の機能ブロック図の一例を示す。
【0035】
ここで操作部10は、パスボタン14、シュートボタン16、操作レバー18等を用いてプレーヤが操作データを入力するためのものであり、操作部10にて得られた操作データは処理部100に入力される。なお本実施形態では、操作レバー18を前に倒すことでプレーヤの操作するプレーヤキャラクタが加速し、中立状態に戻すことでプレーヤキャラクタが減速する。また操作レバー18を左右に倒すことでプレーヤキャラクタが左右に旋回する。またプレーヤがパスボタン14を押すことで他のキャラクタにパスを行い、シュートボタン16を押すことでゴールなどにシュートを行う。
【0036】
処理部100は、上記操作データと、所与のプログラム等に基づいて、表示物が複数配置されるオブジェクト空間の設定処理等を行うものである。この処理部100の機能は、CPU(CISC型、RISC型)、DSP、画像生成専用ICなどのハードウェアにより実現できる。
【0037】
情報記憶媒体190は、プログラムやデータを記憶するものである。この情報記憶媒体190の機能は、CD−ROM、ゲームカセット、ICカード、MO、FD、DVD、ハードディスク、メモリなどのハードウェアにより実現できる。処理部100は、この情報記憶媒体190からのプログラム、データに基づいて種々の処理を行うことになる。
【0038】
処理部100は、ゲーム演算部110と画像生成部150を含む。ここでゲーム演算部110は、ゲームモードの設定処理、ゲームの進行処理、キャラクタなどの移動体の位置や方向を決める処理、視点位置や視線方向を決める処理、オブジェクト空間へ表示物を配置する処理等を行う。画像生成部150は、ゲーム演算部110により設定されたオブジェクト空間での所与の視点での画像を生成する処理を行う。画像生成部150により生成された画像は表示部12において表示される。
【0039】
侵入禁止エリア設定部111は、侵入禁止エリアの設定の条件が成立したか否かの判断、侵入禁止エリアの位置及び範囲の設定、プレーヤキャラクタを侵入禁止エリアから排除するための力ベクトルやリミット速度の設定、侵入禁止エリア画像の表示のための設定等、種々の処理を行う。
【0040】
移動体演算部112は、操作部10から入力される操作データや所与のプログラムに基づき、プレーヤ、他のプレーヤ、コンピュータにより操作されるキャラクタ(移動体)を、オブジェクト空間内で移動させる演算を行う。より具体的には、キャラクタの位置や方向を例えば1インター毎に求める演算を行う。
【0041】
そして移動体演算部112は、プレーヤキャラクタが侵入禁止エリアに侵入していると侵入禁止エリア設定部111が判断した場合に、プレーヤキャラクタを侵入禁止エリアから排除する処理を行う。
【0042】
例えば(k−1)インターでのプレーヤキャラクタの位置をPMk-1、移動速度をVMk-1、加速度をAMk-1、1インターの時間を△tとする。するとkインターでのプレーヤキャラクタの位置PMk、移動速度VMkは例えば下式(1)、(2)のように求められる。
【0043】

PMk=PMk-1+VMk-1×△t (1)

VMk=VMk-1+AMk-1(VXR)×△t (2)

上式(1)、(2)において、加速度AMk-1は、通常、操作部10からの操作データ等により決まる。そして、本実施例では、この加速度AMk-1の中に、力ベクトルに基づく加速度を含める。これにより操作部10を用いてプレーヤキャラクタを操作するプレーヤの意志をある程度尊重しながら、プレーヤキャラクタを侵入禁止エリアから排除することが可能となる。
【0044】
次に本実施形態の動作の詳細例について、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0045】
まず侵入禁止エリアを設定する状況か否かを判断する(ステップS1)。即ちボールがサイドラインやゴールラインを越えたか否か(図4(A)参照)、ペナルティが犯されたか否か等を判断する。
【0046】
次に、敵チームのスローイング、ゴールキック、コーナーキック、ペナルティーキック等か否かを判断する(ステップS2)。即ち味方チームのスローイング等であった場合には侵入禁止エリアを設定してもあまり意味がないため、敵チームのスローイング等の場合にのみ侵入禁止エリアを設定するようにする。
【0047】
次に、プレーヤキャラクタが侵入禁止エリアに入っているか否かを判断する(ステップS3)。これは、図6の移動体演算部112によりリアルタイムに求められるプレーヤキャラクタの位置と、侵入禁止エリアの位置範囲とを比較することで判断できる。
【0048】
次に、侵入禁止エリアの中心からプレーヤキャラクタに向かう方向、侵入禁止エリアの中心とプレーヤキャラクタとの距離に基づき、図3(A)に示すような力ベクトルVFを求める(ステップS4)。より具体的には、中心からの前記方向を力ベクトルの方向とし、中心からの距離が短いほど力ベクトルの大きさが大きくなるようにする。
【0049】
次に力ベクトルをプレーヤキャラクタの移動速度、移動方向に反映させる(ステップS5)。具体的には式(2)の加速度AMk-1に力ベクトルに基づく加速度を含める。
【0050】
次にプレーヤキャラクタの移動速度がVlimitよりも大きいか否かを判定する(ステップS6)。そして大きかった場合には、図3(B)に示すように移動速度をVlimitに制限する(ステップS7)。このようにすることで、力ベクトルによりプレーヤキャラクタが加速されすぎてしまい、非常に大きな速度で侵入禁止エリアからプレーヤキャラクタが出てくるという事態を防止できる。
【0051】
次に図2(A)、(B)に示すように侵入禁止エリア画像IPAIを表示する(ステップS8)。この場合、本実施形態では、侵入禁止エリア画像の輝度を、侵入禁止エリアの外側に向かって波状に変化させている(ステップS9)。より具体的には、侵入禁止エリア画像を表示するための侵入禁止エリアオブジェクトを複数のプリミティブ面(ポリゴン又は曲面)により構成する。そして、これらのプリミティブ面の例えば頂点の輝度を、侵入禁止エリアの内側から外側に向かって波状に変化させる。このようにすることで、侵入禁止エリアの外側に出ることを指示する警告を、プレーヤに視覚的に伝えることが可能となる。
【0052】
次に、本実施形態を実現できるハードウェアの構成の一例について図8を用いて説明する。同図に示す装置では、CPU1000、ROM1002、RAM1004、情報記憶媒体1006、音生成IC1008、画像生成IC1010、I/Oポート1012、1014が、システムバス1016により相互にデータ送受信可能に接続されている。そして前記画像生成IC1010にはディスプレイ1018が接続され、音生成IC1008にはスピーカ1020が接続され、I/Oポート1012にはコントロール装置1022が接続され、I/Oポート1014には通信装置1024が接続されている。
【0053】
情報記憶媒体1006は、プログラム、表示物を表現するための画像データ、音データ等が主に格納されるものである。例えば家庭用ゲーム装置ではゲームプログラム等を格納する情報記憶媒体としてCD−ROM、ゲームカセット、DVD等が用いられる。また業務用ゲーム装置ではROM等のメモリが用いられ、この場合には情報記憶媒体1006はROM1002になる。
【0054】
コントロール装置1022はゲームコントローラ、操作パネル等に相当するものであり、プレーヤがゲーム進行に応じて行う判断の結果を装置本体に入力するための装置である。
【0055】
情報記憶媒体1006に格納されるプログラム、ROM1002に格納されるシステムプログラム(装置本体の初期化情報等)、コントロール装置1022によって入力される信号等に従って、CPU1000は装置全体の制御や各種データ処理を行う。RAM1004はこのCPU1000の作業領域等として用いられる記憶手段であり、情報記憶媒体1006やROM1002の所与の内容、あるいはCPU1000の演算結果等が格納される。またテーブルデータ等の論理的な構成を持つデータ構造は、このRAM又は情報記憶媒体上に構築されることになる。
【0056】
更に、この種の装置には音生成IC1008と画像生成IC1010とが設けられていてゲーム音やゲーム画像の好適な出力が行えるようになっている。音生成IC1008は情報記憶媒体1006やROM1002に記憶される情報に基づいて効果音やバックグラウンド音楽等のゲーム音を生成する集積回路であり、生成されたゲーム音はスピーカ1020によって出力される。また、画像生成IC1010は、RAM1004、ROM1002、情報記憶媒体1006等から送られる画像情報に基づいてディスプレイ1018に出力するための画素情報を生成する集積回路である。なおディスプレイ1018として、いわゆるヘッドマウントディスプレイ(HMD)と呼ばれるものを使用することもできる。
【0057】
また、通信装置1024はゲーム装置内部で利用される各種の情報を外部とやりとりするものであり、他のゲーム装置と接続されてゲームプログラムに応じた所与の情報を送受したり、通信回線を介してゲームプログラム等の情報を送受することなどに利用される。
【0058】
そして図1〜図6で説明した種々の処理は、図7のフローチャートに示す処理等を行うプログラムを格納した情報記憶媒体1006と、該プログラムに従って動作するCPU1000、画像生成IC1010、音生成IC1008等によって実現される。なお画像生成IC1010、音生成IC1008等で行われる処理は、CPU1000あるいは汎用のDSP等によりソフトウェア的に行ってもよい。
【0059】
図9(A)に、本実施形態を業務用ゲーム装置に適用した場合の例を示す。プレーヤは、ディスプレイ1100上に映し出されたゲーム画像を見ながら、レバー1102、ボタン1104等を操作してゲームを楽しむ。装置に内蔵されるシステム基板1106には、CPU、画像生成IC、音生成IC等が実装されている。そしてスポーツゲームのルールに基づく所与の条件が成立した場合にフィールド上に侵入禁止エリアを設定し、侵入禁止エリアに侵入するプレーヤキャラクタを侵入禁止エリアから排除する処理を行うための情報、オブジェクト空間での所与の視点での画像を生成するための情報、侵入禁止エリアの範囲を表す侵入禁止エリア画像をフィールド上に表示するための情報等は、システム基板1106上の情報記憶媒体であるメモリ1108に格納される。以下、これらの情報を格納情報と呼ぶ。これらの格納情報は、上記の種々の処理を行うためのプログラムコード、画像情報、音情報、表示物の形状情報、テーブルデータ、リストデータ、プレーヤ情報等の少なくとも1つを含むものである。
【0060】
図9(B)に、本実施形態を家庭用のゲーム装置に適用した場合の例を示す。プレーヤはディスプレイ1200に映し出されたゲーム画像を見ながら、ゲームコントローラ1202、1204を操作してゲームを楽しむ。この場合、上記格納情報は、本体装置に着脱自在な情報記憶媒体であるCD−ROM1206、ICカード1208、1209等に格納されている。
【0061】
図9(C)に、ホスト装置1300と、このホスト装置1300と通信回線1302を介して接続される端末1304-1〜1304-nとを含むゲーム装置に本実施形態を適用した場合の例を示す。この場合、上記格納情報は、例えばホスト装置1300が制御可能な磁気ディスク装置、磁気テープ装置、メモリ等の情報記憶媒体1306に格納されている。端末1304-1〜1304-nが、CPU、画像生成IC、音生成ICを有し、スタンドアロンでゲーム画像、ゲーム音を生成できるものである場合には、ホスト装置1300からは、ゲーム画像、ゲーム音を生成するためのゲームプログラム等が端末1304-1〜1304-nに配送される。一方、スタンドアロンで生成できない場合には、ホスト装置1300がゲーム画像、ゲーム音を生成し、これを端末1304-1〜1304-nに伝送し端末において出力することになる。
【0062】
なお本発明は、上記実施形態で説明したものに限らず、種々の変形実施が可能である。
【0063】
例えば本発明が適用できるゲームとしては、サッカー以外にも、ルールにより侵入禁止エリアへの侵入が禁止される種々のゲーム、例えばバスケットボール、ラグビー、ホッケー、アメリカンフットボール等のゲームに適用できる。例えばバスケットボールに適用する場合には、図10に示すように、フリースローにおけるフリースローゾーンを侵入禁止エリアに設定できる。このように侵入禁止エリアは円状である必要はない。
【0064】
またプレーヤキャラクタを侵入禁止エリアから排除する処理は、本実施形態で説明したものが特に望ましいが、これに限定されるものではなく種々の変形実施が可能である。例えば侵入禁止エリアに実質的に侵入不能となるように、ソフトウェア的に処理してもよい。
【0065】
また侵入禁止エリア画像を表示する発明においては、侵入禁止エリアからプレーヤキャラクタを排除する処理を行うことが特に望ましいが、排除しないようにしてもよい。
【0066】
また侵入禁止エリア画像の表示処理も本実施形態で説明したものに限られるものではない。
【0067】
また本発明は、家庭用、業務用のゲーム装置のみならず、シミュレータ、多数のプレーヤが参加する大型アトラクション装置、パーソナルコンピュータ、マルチメディア端末、画像を生成するシステム基板等の種々のものに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】図1(A)、(B)は本実施形態の原理について説明するための図である。
【図2】図2(A)、(B)は、侵入禁止エリア画像の表示について説明するための図である。
【図3】図3(A)、(B)は、力ベクトルと速度リミット値について説明するための図である。
【図4】図4(A)、(B)、(C)は、本実施形態により生成される画像の一例を示す図である。
【図5】本実施形態により生成される画像の一例を示す図である。
【図6】本実施形態の機能ブロック図の一例を示す図である。
【図7】本実施形態の詳細な処理例を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図8】本実施形態を実現するハードウェアの構成の一例を示す図である。
【図9】図9(A)、(B)、(C)は、本実施形態が適用される種々の形態の装置について説明するための図である。
【図10】バスケットボールへの本発明の適用例について説明するための図である。
【符号の説明】
【0069】
10 操作部
12 表示部
14 パスボタン
16 シュートボタン
18 操作レバー
100 処理部
110 ゲーム演算部
111 侵入禁止エリア設定部
112 移動体演算部
150 画像生成部
190 情報記憶媒体
CP プレーヤキャラクタ
CE 敵キャラクタ
B ボール
IPA 侵入禁止エリア
IPAI 侵入禁止エリア画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレーヤが操作するプレーヤキャラクタをオブジェクト空間内のフィールド上で移動させスポーツゲームをシミュレートする画像を生成するためのコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体であって、
操作手段からの操作データに基づいて、プレーヤキャラクタをオブジェクト空間内で移動させる処理を行う移動体演算手段と、
侵入禁止エリアの設定処理を行う侵入禁止エリア設定手段と、
プレーヤキャラクタが移動するオブジェクト空間での所与の視点での画像を生成する画像生成手段として、
コンピュータを機能させるプログラムを記憶し、
侵入禁止エリア設定手段が、
スポーツゲームのルールに基づく条件である侵入禁止エリア設定条件が成立したか否かを判断する手段と、
侵入禁止エリア設定条件が成立したと判断された場合に、前記フィールド上に侵入禁止エリアの位置と範囲を設定する手段と、
前記侵入禁止エリアの範囲を表す侵入禁止エリア画像を、前記フィールド上に表示するための処理を行う表示処理手段を含むことを特徴とする情報記憶媒体。
【請求項2】
請求項1において、
前記表示処理手段が、
その輝度が侵入禁止エリアの内側から外側に向かって変化する侵入禁止エリア画像を、前記フィールド上に表示するための処理を行うことを特徴とする情報記憶媒体。
【請求項3】
請求項2において、
前記表示処理手段が、
複数のプリミティブ面により構成される侵入禁止エリアオブジェクトの頂点の輝度を、侵入禁止エリアの内側から外側に向かって変化させることを特徴とする情報記憶媒体。
【請求項4】
プレーヤが操作するプレーヤキャラクタをオブジェクト空間内のフィールド上で移動させスポーツゲームをシミュレートする画像を生成するためのコンピュータ読み取り可能な画像生成装置であって、
操作手段からの操作データに基づいて、プレーヤキャラクタをオブジェクト空間内で移動させる処理を行う移動体演算手段と、
侵入禁止エリアの設定処理を行う侵入禁止エリア設定手段と、
プレーヤキャラクタが移動するオブジェクト空間での所与の視点での画像を生成する画像生成手段とを含み、
侵入禁止エリア設定手段が、
スポーツゲームのルールに基づく条件である侵入禁止エリア設定条件が成立したか否かを判断する手段と、
侵入禁止エリア設定条件が成立したと判断された場合に、前記フィールド上に侵入禁止エリアの位置と範囲を設定する手段と、
前記侵入禁止エリアの範囲を表す侵入禁止エリア画像を、前記フィールド上に表示するための処理を行う表示処理手段を含むことを特徴とする画像生成装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記表示処理手段が、
その輝度が侵入禁止エリアの内側から外側に向かって変化する侵入禁止エリア画像を、前記フィールド上に表示するための処理を行うことを特徴とする画像生成装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記表示処理手段が、
複数のプリミティブ面により構成される侵入禁止エリアオブジェクトの頂点の輝度を、侵入禁止エリアの内側から外側に向かって変化させることを特徴とする画像生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−51397(P2006−51397A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−316525(P2005−316525)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【分割の表示】特願平9−270459の分割
【原出願日】平成9年9月17日(1997.9.17)
【出願人】(000134855)株式会社ナムコ (1,157)
【Fターム(参考)】