説明

情報記憶媒体用リーダライタ

【課題】異常が発生した場合に該異常を容易に解除することの可能な情報記憶媒体用リーダライタを提供する。
【解決手段】所定の情報が記憶された非接触ICカード20を検出すると、非接触ICカード20に記憶された情報の読み書きを行う情報記憶媒体用リーダライタ10において、情報入力部130と、情報出力部140と、所定の異常が発生した場合に情報入力部130を用いた所定の操作が行われると、該異常の内容及び解除方法を情報出力部140に出力させる制御部250とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子マネー残高等の情報が記憶された情報記憶媒体を検出すると、情報記憶媒体に記憶された情報の読み書きを行う情報記憶媒体用リーダライタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の情報記憶媒体用リーダライタとして、所定の情報が記憶された情報記憶媒体を検出すると、情報記憶媒体に記憶された情報の読み書きを行うものが知られている。
【0003】
この情報記憶媒体用リーダライタは、自動販売機等の上位装置に設けられるとともに、電子マネー残高が記憶された情報記憶媒体を検出すると、電子マネー残高を読み書きすることにより電子マネーを用いた決済処理を行うように構成されている。また、情報記憶媒体用リーダライタには、情報出力部としての表示部が設けられており、例えば電子マネー残高が記憶されていない情報記憶媒体を用いた決済処理が行われる場合に、「使用できないカードです」等の異常内容が表示部に表示される。
【特許文献1】特開2006−318029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来例では、異常が発生すると該異常の内容のみが単に表示されるので、利用者やオペレータが異常の解除方法を特定するために多くの時間が必要になり、異常を早期に解除するのが困難になるおそれがあった。
【0005】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、異常が発生した場合に該異常を容易に解除することの可能な情報記憶媒体用リーダライタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記目的を達成するために、所定の情報が記憶された情報記憶媒体を検出すると、情報記憶媒体に記憶された情報の読み書きを行う情報記憶媒体用リーダライタにおいて、情報入力部と、情報出力部と、所定の異常が発生した場合に情報入力部を用いた所定の操作が行われると、該異常の内容及び解除方法を情報出力部に出力させる制御部とを備えている。
【0007】
これにより、所定の異常が発生した場合に情報入力部を用いた所定の操作が行われると、該異常の内容及び解除方法が情報出力部から出力されることから、情報出力部から出力された解除方法に基づき該異常を解除することが可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、情報出力部から出力された解決方法に基づき該異常を解除することができるので、異常が発生した場合でも該異常を容易に解除することができる。従って、異常を早期に解除することができ、円滑な運用を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1乃至図4は本発明の一実施形態を示すもので、図1は情報記憶媒体用リーダライタの斜視図、図2は情報記憶媒体用リーダライタの機能ブロック図、図3はエラー情報及び解除情報のデータ構造の一例を示す図、図4は異常発生時における制御部の動作を示すフロー図である。
【0010】
本実施形態の情報記憶媒体用リーダライタ10(以下、リーダライタ10と称する。)は、自動販売機1に設けられ、例えば電子マネー残高等の電子マネー情報が記憶された情報記憶媒体としての周知の非接触ICカード20を検出すると、該電子マネー情報を読み書きすることにより電子マネーの決済処理を行う装置である。このリーダライタ10は、リーダライタ本体としての第1の筐体100及び第2の筐体200と、各筐体100,200内にそれぞれ設けられた回路基板(図示省略)に接続されたワイヤーハーネス300とから構成されている。なお、電子マネーの決済処理の内容については、周知の処理内容と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0011】
第1の筐体100は、自動販売機1の前面側に設けられた外扉の開口部に前方から取付可能に形成されており、情報記憶媒体検出面としての前面部101、背面部102、上面部103、側面部104及び底面部105から構成されている。前面部101には、非接触ICカード20の形状に合わせて形成された読取面101aと、決済処理に用いられる電子マネーサービスを切替えて選択するためのマネー切替ボタン131と、非接触ICカード20に記憶された電子マネー残高や操作案内等の文字情報を表示する表示部141とが図1に示すようなレイアウトで設けられている。読取面101aの裏面には、非接触ICカード20との間でデータの送受信を行うためのループ状のアンテナ120が設けられている。そして、利用者が、マネー切替ボタン131を用いて電子マネーサービスを選択した後に非接触ICカード20を第1の筐体100の前面部101にかざした際に非接触ICカード20が読取面101aから所定範囲(例えば5センチメートル)内の位置に存在する場合には、アンテナ120と非接触ICカード20との間の非接触通信が可能になる。
【0012】
次に、リーダライタ10の制御系構成について図2を参照して説明する。第1の筐体100には、RF回路部110と、アンテナ120と、情報入力部130としてのマネー切替ボタン131及び操作ボタン132と、情報出力部140としての表示部141及び音声出力部142とが設けられている。
【0013】
RF回路部110は、非接触ICカード20との非接触通信をアンテナ120を介して行うためのものであって、周知のAD/DA変換器及び整流回路等から構成されている。操作ボタン132は、異常発生時に該異常の解除方法を出力させるためのものである。音声出力部142は周知のスピーカであり、決済処理時における効果音等を出力するためのものである。
【0014】
第2の筐体200には、第1のコネクタ210と、モード切替スイッチ220と、記憶部230と、第2のコネクタ240と、制御部250とが設けられており、制御部250には、上記各機器が接続されている。また、制御部250は、リーダライタ10を管理するための管理サーバ50と、第2のコネクタ240、通信装置30及びネットワーク40を介して接続されている。
【0015】
第1のコネクタ210は、日本自動販売機工業会(JVMA)インタフェース仕様に準拠したものであり、制御部250と自動販売機1とを接続するためのインタフェース部として用いられるものである。モード切替スイッチ220は、図1に示すように第2の筐体200の側面に設けられており、運用モードと保守モードとを切替えるためのものである。また、第2のコネクタ240は、制御部250と通信装置30とを接続するために用いられるものである。
【0016】
記憶部230はEEPROM等の書き換え可能な記憶素子であり、制御部250の制御に基づき各種情報を記憶する。記憶部230には、複数の異常内容から構成されたエラー情報231と、複数の異常解除方法から構成された解除情報232と、エラー履歴233とが記憶されており、エラー情報231の各異常内容は、図3に示すように、解除情報232の異常解除方法と事前に関連付けられた状態で記憶されている。また、記憶部230には、複数の電子マネーサービスそれぞれに対応する決済処理プログラム(図示省略)が記憶されており、利用者がマネー切替ボタン131を用いて電子マネーサービスを選択すると、選択された電子マネーに対応する決済処理プログラムが制御部250の制御により実行される。
【0017】
制御部250は、リーダライタ10の全体を制御するためのものであり、CPUと、RAM、ROM等のメモリと、日時を計測するためのタイマーとを備えている。制御部250は、メモリに格納されたデータ及びプログラムに基づいて上記の各機器を制御するようになっている。また、制御部250には、第1の筐体100のRF回路部110、マネー切替ボタン131、操作ボタン132、表示部141及び音声出力部142が、ワイヤーハーネス300を介して接続されている。なお、制御部250の動作の詳細については後述する。
【0018】
通信装置30は、ネットワーク40に接続するためのモデム等の通信機器であり、ネットワーク40を介して管理サーバ50との間で通信を行うようになっている。なお、本実施形態では、ネットワーク40として公衆回線網を用いており、これに対応してモデムを通信装置30として用いている。
【0019】
以上のように構成されたリーダライタ10において、第1の筐体100は、背面部102が自動販売機1の外扉の開口部に前方から嵌合するように取付けられる。また、第2の筐体220は、自動販売機1内の所定位置に設けられており、各筐体100,200の回路基板はワイヤーハーネス300によって相互接続されている。以下に、異常発生時における制御部250の動作について図4のフロー図を参照して説明する。
【0020】
まず、リーダライタ10に電源が投入されると(ステップS1)、制御部250は、運用モードで動作する(ステップS2)。そして、制御部250は、接続された機器から所定の異常信号を受信した、又は自動販売機1や管理サーバ50との通信処理や電子マネーの決済処理等が正常終了しないと判別したことにより異常が発生したことを検出すると(ステップS3)、該異常の内容を記憶部230のエラー情報231から抽出して表示部141に表示させる(ステップS4)。例えば、電子マネーの決済処理において非接触ICカード20に記憶された電子マネー残高が不足している場合には、「コウニュウデキマセン」という異常内容がエラー情報231から抽出される。そして、制御部250は、異常発生日時をタイマーから取得して、異常の内容とともにエラー履歴233に記憶する(ステップS5)。
【0021】
一方、利用者又はオペレータが、異常内容が表示部141に表示された後に操作ボタン132を所定時間(本実施形態では5秒間)押下すると(ステップS6)、制御部250は、該異常内容に関連付けられた解除方法を解除情報232から抽出して、異常内容とともに表示部141に表示させる(ステップS7)。上述した例を用いて説明すると、「コウニュウデキマセン」という異常内容に関連付けられた「デンシマネーヲニュウキンシテクダサイ」という解除方法が解除情報232から抽出されるとともに、表示部141に表示される。
【0022】
そして、利用者又はオペレータがマネー切替ボタン131を押下したときに(ステップS8)、制御部250は、ステップS3において複数の異常が発生していた場合にのみ(ステップS9)、異常内容を切替えて(ステップS10)、ステップS7以降の処理を行う。即ち、マネー切替ボタン131が押下される毎に、表示部141に表示される異常の内容及び解除方法が切替えられる。
【0023】
このようにして、所定の異常が発生した場合に操作ボタン132を用いた所定の操作が行われると、該異常の内容及び解除方法が表示部141に表示されることから、表示部141に表示された解除方法に基づき該異常を解除することが可能になる。
【0024】
なお、ステップS8においてマネー切替ボタン131が押下されていない場合又はステップS9において複数の異常が発生していない場合に、異常内容及び解除方法が表示部141に表示されてから30秒間入力が無いと(ステップS11)、制御部250は、ステップS2の処理に移行する。また、ステップS11において30秒以内に入力があった場合には、制御部250は、ステップS7の処理に移行する。
【0025】
また、ステップS3において異常が発生していないときに、オペレータが自動販売機1の外扉を開放して、第2の筐体200のモード切替スイッチ220を押下すると(ステップS12)、制御部250は、運用モードから保守モードに切替えて動作する(ステップS13)。この場合、制御部250は、エラー履歴233に記憶された異常内容及び異常発生日時と、該異常内容に関連付けられた解除方法とを、ステップS7の処理と同様に表示部141に表示させる(ステップS14)。このとき、オペレータは、表示部141に表示された異常内容及び解除方法を参照することにより、保守作業を行うことができる。
【0026】
また、制御部250は、マネー切替ボタン131が押下されることなく(ステップS15)、モード切替スイッチ220が押下されると(ステップS16)、保守モードから運用モードに切替えて(ステップS17)、ステップS2の処理に移行する。さらに、制御部250は、ステップS15においてマネー切替ボタン131が押下された場合には、エラー履歴233に記憶された他の異常内容に切替えて(ステップS18)、ステップS14の処理に移行する。即ち、マネー切替ボタン131が押下される毎に、表示部141に表示される異常の内容、発生日時及び解除方法が切替えられる。
【0027】
なお、上記フローでは説明を省略したが、制御部250は、第2のコネクタ240、通信装置30及びネットワーク40を介して管理サーバ50と通信を行い、管理サーバ50に記憶された最新のエラー情報231及び解除情報232を取得して記憶部230に記憶する。
【0028】
以上のように、本実施形態のリーダライタ10によれば、表示部141に表示された解決方法に基づき異常を解除することができるので、異常が発生した場合でも異常を容易に解除することができる。従って、異常を早期に解除することができ、円滑な運用を実現することができる。
【0029】
また、情報入力部140を第1の筐体100の前面部101に設けたので、異常の内容及び解除方法を出力させるために自動販売機1の外扉を開放する等の煩雑な動作が不要になることから、解除方法の取得がより容易になるという利点がある。
【0030】
さらに、制御部250は、異常が発生した場合に情報入力部140としての操作ボタン132が所定時間(本実施形態では5秒間)押下されると、異常の内容及び解除方法を表示部141に表示させるので、異常の解除方法を簡単な操作で取得することができる。
【0031】
さらにまた、制御部250は、複数の異常が発生した場合に情報入力部140としてのマネー切替ボタン131が押下される毎に、異常の内容及び解除方法を切替えて表示部141に表示させるので、複数の異常の内容及び解除方法を容易に取得することができる。
【0032】
なお、上記実施形態は本発明の一具体例に過ぎず、本発明が上記実施形態のみに限定されることはない。例えば、前記実施形態では、操作ボタン132が所定時間押下されると、異常の内容及び解除方法を表示部141に表示させるものを示したが、操作ボタン132の代わりにマネー切替ボタン142を用いるように構成してもよい。
【0033】
また、上記実施形態では、異常内容及び解除方法を表示部141に表示させるものを示したが、異常内容及び解除方法が音声出力部142から音声で出力されるように構成してもよい。
【0034】
さらに、上記実施形態では、自動販売機に接続されたリーダライタ10を用いて説明したが、POS端末等の決済端末に接続される場合にも適用可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態を示す情報記憶媒体用リーダライタの斜視図
【図2】情報記憶媒体用リーダライタの機能ブロック図
【図3】エラー情報及び解除情報のデータ構造の一例を示す図
【図4】異常発生時における制御部の動作を示すフロー図
【符号の説明】
【0036】
10…リーダライタ、20…非接触ICカード、100…第1の筐体、101…前面部、130…情報入力部、131…マネー切替ボタン、132…操作ボタン、140…情報出力部、141…表示部、142…音声出力部、200…第2の筐体、230…記憶部、231…エラー情報、232…解除情報、250…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の情報が記憶された情報記憶媒体を検出すると、情報記憶媒体に記憶された情報の読み書きを行う情報記憶媒体用リーダライタにおいて、
情報入力部と、
情報出力部と、
所定の異常が発生した場合に情報入力部を用いた所定の操作が行われると、該異常の内容及び解除方法を情報出力部に出力させる制御部とを備えた
ことを特徴とする情報記憶媒体用リーダライタ。
【請求項2】
前記情報入力部を、リーダライタ本体の情報記憶媒体検出面に設けた
ことを特徴とする請求項1記載の情報記憶媒体用リーダライタ。
【請求項3】
前記制御部は、
前記異常が発生した場合に情報入力部としてのボタンが所定時間押下されると、異常の内容及び解除方法を情報出力部に出力させる
ことを特徴とする請求項1または2記載の情報記憶媒体用リーダライタ。
【請求項4】
前記制御部は、
複数の前記異常が発生した場合に情報入力部としてのボタンが押下される毎に、異常の内容及び解除方法を切替えて情報出力部に出力させる
ことを特徴とする請求項1または2記載の情報記憶媒体用リーダライタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−113406(P2010−113406A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283367(P2008−283367)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】