説明

情報記録媒体、情報記録装置、情報記録方法、および該情報記録媒体の製造方法

【課題】光源の消費電力を増大させることなく、情報の記録に要する時間を短縮した情報記録媒体を提供する。
【解決手段】本発明に係る情報記録媒体1aは、基板11上に、連続して形成されている記録層12を有している。記録層12は、複数の凸部12aを有しており、隣接する凸部12aの間には、誘電体13を介して金属体14が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱によるか、または加熱および磁気的な作用により情報を記録することができる情報記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高度情報化社会の到来によって取り扱う情報量が膨大となり、記録装置の大容量化、高密度化が求められている。ハードディスクに代表される磁気記録の分野においては、記録媒体、記録ヘッド、および再生ヘッドの特性の向上によって、面密度で1平方インチ辺り300Gbit(300Gbit/inch)を超える記録密度が達成されつつある。記録媒体の面密度の向上は、現在も進んでおり、将来的には、1平方インチ辺り1Tbit(1Tbit/inch)を超えると考えられている。
【0003】
磁気記録媒体に対して高い空間分解能で磁気ビットを記録できる記録方式としては、光アシスト磁気記録方式が提案されている。光アシスト磁気記録方式は、次世代高密度磁気記録の有望な技術として注目を浴びており、高い保磁力(Hc)を有する熱揺らぎに強い磁気記録媒体に対して磁気記録を行うものである。具体的には、磁気記録媒体の表面に光を集光し、局所的に該磁気記録媒体の温度を上げることにより、該磁気記録媒体の保磁力(Hc)を減少させる。そして、この保磁力(Hc)が減少した部位に外部磁界を印加することによって、該磁気記録媒体に磁気記録を行う。特許文献1には、光アシスト磁気記録方式を用いて、フェリ磁性体からなる記録層を形成した磁気記録媒体に対して情報を記録する方法が開示されている。
【0004】
特許文献2〜4には、光アシスト磁気記録方式において、磁気記録媒体を局所的に加熱するための熱源として、近接場光を用いる手法について開示されている。ここで、本明細書等における「近接場光」とは、光の波長よりも小さな微小構造物、例えば開口部のような構造物に光を入射することにより発生し、該開口部のごく近傍にのみ局在する光(電磁場)のことを指す。
【0005】
このうち、特許文献3には、強い近接場光が発生する点以外の部分で発生する近接場光の影響を小さくするような、平面状の散乱体を用いたプローブ、および該プローブを記録/再生装置に適用した例が開示されている。特許文献4には、導体にレーザ光を照射し、導体の縁部近傍において強い近接場を発生させるとともに、該導体に電流を流すことによって該導体周辺に磁界を発生させることができる電磁界発生素子、および該電磁界発生素子を情報記録再生装置に適用した例が開示されている。
【0006】
また、磁気記録だけでなく、光記録の分野においても、Blu−rayディスク(登録商標)などの高い記録密度を有する記録媒体が開発されている。光記録の分野においても、光源の短波長化、ならびにSIL(Solid Immersion Lens)およびSIM(Solid Immersion Mirror)などの近接場光技術を用いた高密度化が図られている。例えば、特許文献5には、SILと微小開口との組み合わせを用いた近接場ヘッドが開示されている。
【特許文献1】特開平04−176034号公報(特許第2617025号公報)(平成4年6月23日公開)
【特許文献2】特開2000−195002号公報(平成12年7月14日公開)
【特許文献3】特開2004−151046号公報(平成16年5月27日公開)
【特許文献4】特開2006−114099号公報(平成18年4月27日公開)
【特許文献5】特開2000−163797号公報(平成12年6月16日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、光アシスト磁気記録技術および光記録技術では、記録時に磁気記録媒体を、所定の温度にまで加熱する必要がある。そのため、記録の高速化、すなわち記録に要する時間を短縮するためには、光源である半導体レーザーの照射パワーを強くする必要が生じる。言い換えれば、光アシスト磁気記録技術および光記録技術では、半導体レーザーの出力の上限により、記録速度が制限されてしまうという問題がある。逆に、記録速度を高速化するためには、高出力のレーザー光を発生させなければならず、情報記録装置の消費電力が増大してしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、光源の消費電力を増大させることなく、記録に要する時間を短縮した情報記録媒体を提供することである。また、上記情報記録媒体を製造する製造方法、上記情報記録媒体に情報を記録する情報記録装置、および上記情報記録装置による情報の記録方法についても併せて提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る情報記録媒体は、上記課題を解決するために、
基板上に直接または間接的に形成され、かつ、基板面内方向において連続している情報記録層を備えた情報記録媒体であって、
上記情報記録層は、複数の凸部を有しており、隣接する上記凸部の間には、誘電体を介して金属体が設けられていることを特徴としている。
【0010】
本発明に係る情報記録媒体は、情報記録層において隣接する凸部の間に、誘電体を介して金属体が設けられている。そのため、情報記録媒体に光が照射されることにより、金属体と誘電体との界面において高強度の電界集中(局所プラズモン)を生じさせることができる。これによって、情報記録媒体表面からだけではなく、情報記録媒体内部から情報記録層において情報を記録しようとする箇所を加熱することができるため、情報を記録しようとする箇所を効率良く加熱することができる。
【0011】
このように、本発明に係る情報記録媒体では、情報記録層において情報を記録しようとする箇所を効率的に加熱することができるため、情報の記録速度を高速化することができる効果を奏する。
【0012】
また、光源から発せられる光から変換されたプラズモンは、誘電体と金属体との界面を選択的に伝播し、局在化することから、情報記録層において情報を記録しようとする箇所の周囲のみに電界の集中を引き起こすことができる。これによって、情報記録媒体の局所的な加熱を行うことができるため、高密度に情報を記録することができる効果を奏する。
【0013】
さらに、隣接する凸部の間の凹部に金属体が形成されることにより、情報記録媒体の表面を平滑に保ちつつ、金属体を情報記録媒体内部に形成することができる。これによって、記録再生ヘッドを情報記録媒体に近接させて記録再生を行うことのできるため、高密度に情報を記録することを可能にすることができる効果も併せて奏する。
【0014】
本発明に係る情報記録媒体は、さらに、上記情報記録層は、上記基板表面の形状に沿って形成されていることが好ましい。
【0015】
上記の構成によれば、基板上に情報記録層を形成することにより、情報記録層における複数の凸部を形成することができるため、情報記録媒体の製造を容易にすることができる効果を奏する。
【0016】
また、情報記録層の凸部を基板表面の形状に追従する形で形成することができるため、従来の製造方法において必要であった情報記録層の表面に対する大気暴露、また情報記録層をエッチング処理などの工程を回避することができる。このため、情報記録層本来の特性を損なうことを防止することができる効果を併せて奏する。
【0017】
さらに、情報記録層だけでなく、誘電体および金属体も基板上に連続形成することができる効果を奏する。
【0018】
本発明に係る情報記録媒体は、さらに、上記金属体は、上記凸部を取り囲むように、連続して設けられていることが好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、金属体が、情報記録層に形成されている凸部の周囲に連続して設けられているため、この金属体に囲まれた領域を局所的に強く加熱することができる。これによって、情報記録媒体において微小な記録領域を形成することができる効果を奏する。
【0020】
また、情報記録層が磁性体からなる場合には、情報記録媒体をパターンドメディアとして機能させることができる効果を奏する。
【0021】
本発明に係る情報記録媒体は、さらに、上記金属体は、上記凸部の周囲において、複数に分割して設けられていることが好ましい。
【0022】
上記の構成によれば、金属体が、情報記録層に形成されている凸部の周囲において、複数に分割して設けられているため、金属体と誘電体との界面で生じたプラズモンは、分割して設けられている金属体毎に閉じ込められる。これによって、金属体と誘電体との界面において、極めて高い電界の集中を引き起こすことができる。すなわち、電界集中が起こった金属体に囲まれた領域である凸部を局所的に非常に強く加熱することができる。
【0023】
したがって、情報記録媒体において微小な記録領域を形成することができると共に、光源の消費電力を低減することができる効果を奏する。
【0024】
また、情報記録層が磁性体からなる場合には、情報記録媒体をパターンドメディアとして機能させることができる効果を奏する。
【0025】
本発明に係る情報記録媒体は、さらに、上記金属体は、トラック長さ方向に連続して設けられていることが好ましい。
【0026】
上記の構成によれば、金属体に挟まれた領域である情報記録層に形成されている凸部を局所的に強く加熱することができる。これによって、情報記録媒体において微小な記録領域を形成することができる効果を奏する。
【0027】
また、情報記録層が磁性体からなる場合には、情報記録媒体をディスクリートトラックメディアとして機能させることができる効果を奏する。
【0028】
本発明に係る情報記録媒体は、さらに、上記金属体は、金、銀、アルミニウム、白金、またはこれらのうちの少なくともいずれかを含む合金からなることが好ましい。
【0029】
上記の構成によれば、金、銀、アルミニウム、白金、またはこれらのうちの少なくともいずれかを含む合金は、プラズモンの発生効率が高く、プラズモンを金属体と誘電体との界面において、効率よく発生させることができる。
【0030】
したがって、金属体として上記の物質を用いることにより、金属体と誘電体との界面において、強い電界の集中を引き起こすことができる効果を奏する。
【0031】
本発明に係る情報記録媒体は、さらに、上記情報記録層は、磁性体からなることが好ましい。
【0032】
上記の構成によれば、情報記録媒体を光アシスト磁気記録に好適な磁気記録媒体として活用することができる。すなわち、上記構成の情報記録媒体は、光源の消費電力を増加することなく、高密度かつ記録に要する時間を短縮した磁気記録媒体として活用することができる効果を奏する。
【0033】
また、情報記録層は、連続して設けられているため、情報記録層における凸部同士は、磁気異方性の弱い磁性体によって繋がれていることとなる。これによって、凸部同士が弱い交換結合力を生じるため、静磁結合力が緩和されることとなる。これによって、凸部の間隔を狭めた場合であっても、隣り合う記録磁区が強い静磁結合力で結合してしまい、外部磁界による記録が困難となることを防止することができる効果も併せて奏する。
【0034】
本発明に係る情報記録媒体は、さらに、上記情報記録層は、光記録材料からなることが好ましい。
【0035】
上記の構成によれば、情報記録媒体を光情報記録に好適な光情報記録媒体として活用できる、すなわち、上記構成の情報記録媒体は、光源の消費電力を増加することなく、高密度かつ記録に要する時間を短縮した光情報記録媒体として活用することができる効果を奏する。
【0036】
情報記録層が磁性体からなる情報記録媒体または情報記録層が光記録材料からなる情報記録媒体に対して情報を記録すると共に、当該記録媒体から情報を再生する情報記録再生装置も本発明の範疇に含まれる。
【0037】
本発明に係る情報記録再生装置は、さらに、上記光源と上記情報記録媒体との間であり、かつ、上記光の経路上に、近接場光を生成する近接場光生成手段を備えていることが好ましい。
【0038】
上記の構成によれば、情報記録媒体に照射される光のサイズを波長サイズ以下に小さくすることができる。これによって、情報記録層をより一層加熱しやすくなるため、情報の記録に要する時間をより一層短縮することができる効果を奏する。
【0039】
さらに、情報記録層が磁性体からなる情報記録媒体に対して光を照射し、上記情報記録媒体における情報記録領域を加熱する加熱工程と、上記情報記録領域に対して磁界を印加する磁界印加工程と、を含む情報記録方法も本発明の範疇に含まれる。
【0040】
さらに、情報記録層が光記録材料からなる情報記録媒体に対して光を照射し、上記情報記録媒体における情報記録領域を加熱する加熱工程を含む情報記録方法も本発明の範疇に含まれる。
【0041】
さらに、情報記録層が磁性体からなる情報記録媒体から発生する漏洩磁界を検出する漏洩磁界検出工程を含む情報再生方法も本発明の範疇に含まれる。
【0042】
さらに、情報記録層が光記録材料からなる情報記録媒体から反射する反射光の光量を検出する光量検出工程を含む情報再生方法も本発明の範疇に含まれる。
【0043】
また、基板上に直接または間接的に形成された層であって、かつ、基板面内方向において連続して形成されていると共に、複数の凸部を有する情報記録層を形成する工程と、隣接する上記凸部の間に、誘電体を介して金属体を形成する工程と、を含む情報記録媒体の製造方法も本発明の範疇に含まれる。
【発明の効果】
【0044】
本発明に係る情報記録媒体は、以上のように、基板面内方向において連続している情報記録層に形成されている、互いに隣接する凸部の間には、誘電体を介して金属体が設けられている。
【0045】
これによって、光源の消費電力を増加することなく、情報記録媒体の記録密度を高密度化すると共に、記録に要する時間を短縮する(すなわち、記録速度を高速化する)ことができる効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
〔実施形態1〕
本発明に係る情報記録媒体の一実施形態について、図1から7を参照しつつ以下に説明する。
【0047】
(情報記録媒体1aの構成)
本実施形態に係る情報記録媒体1aの構成について、図1および2(a)〜(c)を参照して以下に説明する。図1は、情報記録媒体1aの構成を示す概略断面図である。図2(a)〜(c)は、情報記録媒体1aの構成を示す平面図であり、(a)は図1のAA´線における平面図であり、(b)は図1のBB´における平面図であり、(c)は図1のCC´における平面図である。
【0048】
図1および2(a)〜(c)に示すように、情報記録媒体1aは、基板11、記録層(情報記録層)12、誘電体13、金属体14、保護層15を備えている。なお、図1に示す記録ヘッド70は、情報記録媒体1aを構成する部材ではないが、本発明の理解を容易とするため、便宜上図1に示している。
【0049】
情報記録媒体1aは、記録層12において各種情報を記録する。より具体的には、記録層12のうち、凸部12aの領域において情報を記録する。
【0050】
情報記録媒体1aを構成する各部材について、以下に説明する。
【0051】
(基板11)
基板11は、その上に形成される記録層12などを変形させることなく保持するものであり、その表面に複数の凸部11aを備えている。
【0052】
凸部11aは、基板11の表面に複数設けられている。凸部11aは、後に形成される記録層12の形状(および誘電体13の形状)に反映される。なお、本明細書等では、基板11と凸部11aとが異なる材質からなる場合であっても、凸部11aは基板の一部であるとしている。
【0053】
(記録層12)
記録層12は、情報を記録、保持する記録材料からなる層である。記録層12は、図1に示すように、基板面内方向において連続して形成されている。すなわち、記録層12は、誘電体13および金属体14などにより互いに分離されることなく、連続した層として形成されている。
【0054】
また、記録層12は、基板11における凸部11aの形状に追従するように、凸部12aが設けられている。すなわち、図1に示すように、記録層12の形状は、基板11の表面形状に沿った形状となっている。なお、記録層12の形状は、基板11の表面形状に沿ったものでなくてもよい。記録層12の形状が基板11の表面形状に沿ったものではない場合についての説明は、情報記録媒体1aの変形例の項に記載する。
【0055】
(誘電体13)
誘電体13は、記録層12上に形成され、記録層12を保護するとともに、金属体14との界面において局在プラズモンを高効率で生成するために設けられている。
【0056】
(金属体14)
金属体14は、隣接する凸部12aの間に、誘電体13を介して設けられている。金属体14は、情報記録媒体1aに対する光の照射によって、誘電体13との界面において局在プラズモンを生じるために設けられている。
【0057】
(保護層15)
保護層15は、記録層12、誘電体13、および金属体14を保護するために設けられるものである。なお、保護層15上に、記録ヘッド70または光ピックアップなどとの接触による情報記録媒体1aの損傷を防ぐための潤滑層をさらに設けてもよい。
【0058】
(記録ヘッド70)
最後に、図1に示す記録ヘッド70の構成について、以下に説明する。図1に示すように、記録ヘッド70は、近接場光発生部材73、集光レンズ74、および光源75を備えている。近接場光72の生成について、以下に詳述する。
【0059】
具体的には、光源75から発せられ、集光レンズ74を通過したレーザー光71が、近接場光発生部材73を通過することによって、近接場光72が生成する。生成した近接場光72は、情報記録媒体1aに照射される。なお、レーザー光71は、必ずしも集光レンズ74を通過するものである必要はなく、光源75から発せられた光が直接近接場光発生部材73に到達してもよい。
【0060】
近接場光発生部材73としては、従来公知のものを用いることができる。具体的には、レーザー光源の波長よりも小さな微小開口が形成された金属板または金属薄膜、光導波路または光プローブ、散乱体、および電磁界発生素子などを挙げることができる。
【0061】
なお、本発明に係る情報記録媒体の記録再生に際しては、近接場光発生部材73の利用は必須ではない。すなわち、光源75から発せられる光が、集光レンズ74を通って情報記録媒体1a上に直接照射されるものであってもよい。このとき、集光レンズ74は1枚のレンズであってもよいし、複数のレンズが組み合わされた群レンズであってもよい。
【0062】
(情報記録媒体1aの作用効果)
情報記録媒体1aは、隣接する凸部12aの間に、誘電体13を介して金属体14が設けられている。これによって、近接場光72(伝播光を用いる場合にはレーザー光71)の照射の際に、誘電体13と金属体14との界面において、プラズモンが生成されるため、誘電体13と金属体14との界面において強い電界の集中が引き起こされる。このように、情報記録媒体1aでは、その内部において、電界の集中を引き起こすことができるため、記録層12の所望の箇所(情報を記録する箇所)を内部から加熱することができる。すなわち、記録層12における情報の記録箇所を効率的に加熱することができるため、近接場光72(レーザー光71)の強度を増強することなく、情報の記録速度を高速化することができる。
【0063】
また、光源75から発せられる光から変換されたプラズモンは、誘電体13と金属体14との界面を選択的に伝播し、局在化することから、記録層12において情報を記録しようとする箇所の周囲のみに電界の集中を引き起こすことができる。これによって、情報記録媒体1aにおける局所的な加熱を行うことができるため、高密度に情報を記録することができる。
【0064】
ここで、本明細書等における「プラズモン」とは、金属−誘電体界面に生じる電子の疎密波の一種を指している。近接場光(またはレーザー光)から変換されたプラズモンは、金属と誘電体との界面を伝播し、当該界面の形状変化がある部分において、局在した状態である局所プラズモンとなる。これによって、電界の集中が引き起こされ、局所プラズモンは、熱へと変換される。
【0065】
また、情報記録媒体1aは、金属体14を情報記録媒体1a内部に形成することができる。これによって、情報記録媒体1aの表面を平滑に保つことができるため、記録再生ヘッドを情報記録媒体1aに近接させて記録再生を行うことができる。そのため、高密度に情報を記録することを可能にすることができる。
【0066】
さらに、情報記録媒体1aにおいて、記録層12は、誘電体13および金属体14により分離されることなく、連続した層として設けられている。これによって、金属体14に囲まれた領域を局所的に強く加熱することができるため、情報記録媒体1aにおいて微小な記録領域を形成することができる。
【0067】
なお、記録層12が磁性体からなる場合には、情報記録媒体1aをパターンドメディアとして機能させることができる。この場合、記録層12の凸部12a同士は、磁気異方性の弱い磁性体によって繋がれていることとなる。これによって、凸部12a同士が弱い交換結合力を生じるため、静磁結合力が緩和されることとなる。そのため、凸部12aの間隔を狭めた場合、すなわち記録媒体1aを高密度な記録媒体とする場合であっても、隣り合う記録磁区が強い静磁結合力で結合してしまい、外部磁界による記録が困難となることを防止することができる。
【0068】
(基板11の詳細)
基板11の材質および形状は、記録層12などの各層を変形させることなく保持できれば特に限定されるものではない。
【0069】
基板11の材質としては、例えば、金属、酸化物、窒化物、半導体および樹脂などを用いることができる。より具体的には、二酸化ケイ素、リン化ニッケルをコートしたアルミニウム、ポリカーボネーなどを挙げることができる。また、基板11の形状は、記録媒体1aが円形であることが一般的であるため、円形であることが好ましい。しかし、円形以外の形状であってもよい。
【0070】
(凸部11aの詳細)
凸部11aは、基板11と同一材料からなるものであってもよいし、異なる材料からなってもよい。また、凸部11aは、基板11上に付着することによって形成されてもよく、基板11を削ることにより形成されてもよい。
【0071】
また、凸部11aの断面形状は、図1および2(a)〜(c)に示すような曲率を持った形状であってもよいし、矩形状またはこれに近い形状であってもよい。さらに、上面から見た場合の形状も、円形(凸部11aは円柱状)、矩形(凸部11aは四角柱状)、または六角形など、特に限定されるものではない。凸部11aの断面形状が半円形でない場合については、図4および5に示す。
【0072】
基板11面に対する凸部11aの高さ(すなわち、凸部11aの頂点と底部との距離)は、5nm以上であることが好ましい。これは、記録層12における凸部12aの間に形成される金属体14の厚みを得るためである。
【0073】
(記録層12の詳細)
記録層12の材質は、特に限定されるものではなく、情報記録媒体1aの種類に応じて適宜設定することができる。例えば、情報記録媒体1aが磁気記録媒体である場合には、記録層12は、磁性体からなる。また、情報記録媒体1aが光記録媒体である倍には、記録層12は光記録媒体からなる。
【0074】
記録層12が磁性体からなる場合、磁性体は、例えば、強磁性体材料、フェリ磁性体材料、またはこれらの積層膜からなることが好ましい。これらの積層膜のうち、高密度記録を行う観点から、基板面に対して垂直な方向に磁化容易軸を有する垂直磁化膜であることがより好ましい。より具体的には、コバルト−クロム−白金合金、コバルト−クロム−白金−ホウ素合金、コバルト−白金合金、コバルト−ニッケル−白金合金、鉄−白金合金、鉄−ニッケル−白金合金、テルビウム−鉄合金、テルビウム−鉄−コバルト合金、ディスプロシウム−鉄合金、またはディスプロシウム−鉄−コバルト合金を挙げることができる。また、これらの合金を主体とする強磁性体またはフェリ磁性体であってもよい。
【0075】
記録層12が光記録材料からなる場合、光記録材料としては、ビスマス−ゲルマニウム合金、アンチモン−テルル合金、ゲルマニウム−アンチモン−テルル合金、インジウム−アンチモン−テルル合金、ゲルマニウム−アンチモン−テルル合金などの相変化材料を挙げることができる。また、光記録材料は、これらの合金を主体とする材料であってもよい。もちろん、光記録材料は、相変化材料に限定されるものではなく、追記型材料であってもよい。追記型材料としては、シリコン−銅合金、アルミ−銅合金、またはこれらを主体とする材料を挙げることができる。すなわち、光記録材料は、書き換え型や追記型光ディスクの記録材料に適用される材料であれば特に限定されるものではない。
【0076】
また、記録層12が磁性体からなる場合には、記録層12と基板11(または凸部11a)との間に軟磁性体層(図示しない)が形成されていてもよい。軟磁性体層は、SUL(Soft underlayer)とも称される層であり、記録層12に外部磁界を印加する際に、基板11面に垂直な方向の磁界を増強し、記録を補助するための層である。軟磁性体層の材料としては、例えば、ニッケル−鉄合金、ニッケル−鉄−タンタル合金、コバルト−ジルコニウム合金、またはこれらの合金を主体とする軟磁性体などを挙げることができる。なお、軟磁性体層が形成される場合、凸部11aは、基板11上に形成されず、軟磁性体層の表面に軟磁性体層と同一または異なる材料により形成されてもよい。
【0077】
(誘電体13の詳細)
誘電体13の材質としては、例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、および窒化ガリウムに代表されるような透明誘電体材料を挙げることができる。
【0078】
なお、記録ヘッド70と記録層12とを極力近付ける観点から、保護層15のみで記録層12の保護が可能な場合には、誘電体13は金属体14と接する箇所のみに形成されていればよい。すなわち、記録層12の凸部12a上には形成されていなくてもよい。この場合、情報記録媒体1aは、記録層12と保護層15とが接する構成となる。
【0079】
また、誘電体13の厚みは、2nm以上、30nm以下の範囲であることが特に好ましい。誘電体13の厚みが2nm以上であるとき、金属体14と誘電体13との界面において、電界の集中を引き起こすことができる。誘電体13における幅の上限は、特に限定されるものではないが、近接場光72が記録層12に到達する距離を考慮して、30nm以下とすることが好ましい。
【0080】
(金属体14の詳細)
金属体14の材質としては、プラズモンの発生効率を高める観点から、金、銀、アルミニウム、白金、またはこれらの金属の少なくともいずれかを主体とする合金を用いることが好ましい。これらの金属は、プラズモンの発生効率が高いため、誘電体13との界面においてプラズモンを効率良く発生させることができる。
【0081】
金属体14の材質として、金または金を主体とする合金を用いた場合には、光源75として600nm〜1.5μm程度の波長のレーザー光を発生させる光源を用いることによって、強い電界の集中を引き起こすことができる。金属体14の材質として銀、アルミニウム、白金、またはこれらの金属主体とする合金を用いた場合には、光源75として600nm以下の短波長レーザー光を発生させる光源を用いることによって、強い電界の集中を引き起こすことができる。
【0082】
また、金属体14の基板11面に平行な方向における長さ(以下、幅)は、2nm以上、50nm以下の範囲であることが好ましい。金属体14の幅が2nm以上であるとき、金属体14と誘電体13との界面において電界の集中を引き起こすことができる。金属体14の幅の上限は、特に限定されるものではないが、面密度が1Tbit/inch近傍の高密度な情報記録媒体において使用する場合には、50nm以下とすることが好ましい。なお、金属体14の幅が一様でない場合には、最大幅が上記の範囲であることが好ましい。
【0083】
金属体14の基板11面に垂直な方向における長さ(以下、厚み)は、2nm以上、70nm以下の範囲であることが好ましい。金属体14の厚みが2nm以上であるとき、金属体14と誘電体13との界面において電界の集中を引き起こすことができる。金属体14における厚みの上限は、特に限定されるものではないが、金属体14のアスペクト比が大きくなると、金属体14の膜厚が厚くなる。金属体14の膜厚が厚くなると、金属体14を研磨(エッチング)するために長い時間を要することとなる。このため、金属体14の厚みは、70nm以下程度とすることが望ましい。
【0084】
(保護層15の詳細)
保護層15の材質としては、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)に代表されるような平滑であり、硬質の薄膜、または光硬化樹脂などの保護効果の高い材料を挙げることができる。
【0085】
(情報記録媒体1aの製造方法)
次に、情報記録媒体1aの製造方法について、図3(a)〜(d)を参照して以下に説明する。図3(a)〜(d)は、情報記録媒体1aの製造方法を示した図であり、(a)は、基板11上における凸部11aの形成を示しており、(b)は記録層12、誘電体13、金属体14の形成を示しており、(c)は、金属体14の部分的な除去を示しており、(d)は、保護層15の形成を示している。
【0086】
情報記録媒体1aの製造方法は、主として、複数の凸部12aを有し、連続して備えられている記録層12を形成する工程と、隣接する凸部12aの間に、誘電体13および金属体14を設ける工程と、を含んでいる。これらの工程を含む情報記録媒体1aの製造方法の詳細について、以下に詳述する。
【0087】
(凸部11aの作製)
情報記録媒体1aにおいて、記録層12における凹凸形状は、凸部11aの形状に沿うように記録層12を形成することにより実現している。すなわち、情報記録媒体1aにおける凹凸形状は、基板11aにおける凸部11aの形成に依存している。
【0088】
基板11上に凸部11aを形成については、図3(a)に示す。凸部11aの形成方法は、基板11上に凹凸形状を形成することができるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、電子線リソグラフィーを用いてドット状にしたレジストをマスクとして、基板11をエッチングすることにより形成すればよい。また、自己組織化分子を用いる方法を用いてもよいし、島状形成した金属や酸化物、窒化物を凸部11aとしてもよい。また、これらをマスク材として基板11をエッチングする方法を用いてもよい。基板11のエッチングには、例えば、イオンミリング法またはリアクティブイオンエッチング(RIE)法を用いることができる。また、基板11に対して直接FIB(Focused Ion Beam)で加工を施して凸部11aを形成するようにしてもよい。
【0089】
このとき、記録層12の凸部12a上に形成された部分を情報の記録に用い、個々の凸部12aに対応して1つのビットの情報を記録する場合には、凸部11aの直径を20nm程度とし、凸部11aの間隔を5nm程度とすることが好ましい。これによって、情報記録媒体1aの面密度が1Tbit/inch相当の情報記録媒体とすることができる。もちろん、情報記録媒体1aが、必ずしも個々の凸部12aに対応して1つのビットが記録される媒体である必要はなく、複数の凸部11aにまたがって記録ビットが形成されていてもよい。
【0090】
(記録層12、誘電体13、金属体14の作製)
続いて、図3(b)に示すように、スパッタリングまたは蒸着などの手法を用いて、記録層12を基板11および凸部11a上に形成する。このとき、記録層12の形状は、基板11および凸部11aに沿って形成されるため、凸部11aの形成されている領域の記録層12は、凸部となり、凸部11aの形成されていない領域の記録層12は凹部となる。すなわち、記録層12における凸部12aが形成される。
【0091】
そして、隣接する凸部12aの間に誘電体13を形成すると共に、金属体14を形成する。このとき、金属体14は、誘電体13を介して形成されるようにする。誘電体13および金属体14も、記録層12と同様の手法により形成することができる。
【0092】
続いて、図3(c)に示すように、誘電体13の少なくとも一部が情報記録媒体1aの表面に現れるまで、表面を平坦化する。これにより、凸部12a上に形成された金属体14が削り取られる。この工程は例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)による研磨、スパッタリング装置を用いた逆スパッタ処理、または、イオンミリング処理をすることにより実現することができる。
【0093】
(保護層15の作製)
最後に、図3(d)に示すように、保護層15を形成する。これによって、情報記録媒体1aが完成する。なお、必要に応じて潤滑層を形成するようにしてもよい。
【0094】
(製造方法の作用効果)
このように、情報記録媒体1aの製造方法では、記録層12の凸部12aを基板11および凸部11aの形状に追従する形で形成することができるため、従来の製造方法において必要であった記録層12の表面に対する大気暴露、また記録層12を成膜した後のエッチング処理などの工程を回避することができる。このため、記録層12本来の特性を損なうことを防止することができる。また、記録層12の材料として、酸化または窒化しやすい材料を適用することができる。
【0095】
(情報記録媒体1aの情報記録方法)
次に、情報記録媒体1aにおける情報の記録方法について以下に説明する。本実施形態に係る情報記録媒体1aは、近接場光72を用いて記録するようにしてもよいし、近接場光発生部材73を介さずに伝播光(レーザー光71)を用いて記録するようにしてもよい。本実施形態では、近接場光72を用いることにより情報記録媒体1aに情報を記録する方法について説明する。なお、伝播光(レーザー光71)を用いる場合についても記録媒体内部で起こる現象は同じである。
【0096】
(情報記録媒体1aが磁気記録媒体である場合)
情報記録媒体1aが、磁気記録媒体である場合、情報記録媒体1aに対する記録方法は、主として、情報記録媒体1aに対して近接場光72を照射することにより、記録層12を加熱する加熱工程と、情報記録媒体1aに対して磁界を印加する磁界印加工程と、を含んでいる。
【0097】
(加熱工程)
近接場光72は、上述したように、レーザー光71が近接場光発生部材73を通過することによって生成される。生成された近接場光72は、情報記録媒体1aに照射される。これにより、照射された領域の記録層12が加熱される。より具体的には、近接場光72の照射の際に、誘電体13と金属体14との界面において、プラズモンが生成され、強い電界の集中が引き起こされる。電界の集中が引き起こされることにより、情報記録媒体1aの内部において熱が生成する。
【0098】
(磁界印加工程)
記録層12が加熱されることにより、記録層12を形成する磁性体の保磁力は、キュリー温度に近づくために小さくなる。このとき、情報記録媒体1aに対して、加熱された領域の記録層12の保磁力を上回る外部磁界を印加することによって、記録層12の磁化を反転させることができる。これにより、情報記録媒体1aに対して情報を記録させることができる。
【0099】
(情報記録媒体1aが光情報記録媒体である場合)
情報記録媒体1aが光情報記録媒体である場合、情報記録媒体1aに対する記録方法は、主として、情報記録媒体1aに対して近接場光72を照射することにより、記録層12を加熱する加熱工程を含む。加熱工程は、磁気記録媒体の場合と同様であるため詳細な説明は省略する。具体的には、光情報記録媒体の場合には、加熱された記録層12が相変化したり、または新たに化合物が生成したりすることにより、加熱されていない領域と異なる反射率を持つ状態に変化する。これによって、情報記録媒体1aに対して情報を記録させることができる。
【0100】
(情報記録媒体1aの変形例)
情報記録媒体1aの変形例を図4〜6に示す。図4〜6は、情報記録媒体1aの変形例の構成を示す概略断面図である。
【0101】
(凸部11aの形状)
上記では、凸部11aの断面形状が半円形状である場合を例示しているが、これに限定されるものではない。例えば、図4に示すように、凸部11aの断面形状が、矩形のであってもよいし、図5に示すように、台形状であってもよい。
【0102】
図4および5に示すように凸部11aの断面形状を様々変更した場合であっても、図1に示す情報記録媒体1aと同様の作用により、同様の効果を得ることができる。
【0103】
(凸部11aを設けない場合)
図6には、基板11上に凸部11aが設けられていない情報記録媒体1bの構成を示す概略断面図である。図6に示すように、記録層12において凸部12aが形成されていれば、情報記録媒体1aにおいて、凸部11aは必ずしも必要ではない。
【0104】
記録層12に複数の凸部12aが形成されていれば、隣接する凸部12aの間である凹部に誘電体13を介して金属体14を形成することが可能である。したがって、図6に示す情報記録媒体1bであっても、図1に示す情報記録媒体1aと同様の作用効果を得ることができる。
【0105】
なお、凸部11aを設けない場合であっても、凸部12aの形状および大きさは、凸部11aの形状および大きさと同様である。すなわち、凸部12aの形状については、特に限定されるものではなく、凸部12aの高さについては、5nm以上であることが好ましい。
【0106】
(情報記録媒体1bの製造方法)
基板11上に凸部11aが設けられていない場合の情報記録媒体1bの製造方法について、図7を参照して以下に説明する。図7は、情報記録媒体1bの製造方法を示す図であり、(a)は記録層12の形成を示しており、(b)はマスク部20の形成を示しており、(c)は記録層12のエッチングを示しており、(d)は誘電体13および金属体14の形成を示しており、(e)は金属体14の研削を示しており、(f)は保護層15の形成を示している。
【0107】
まず、図7(a)に示すように、基板11上に記録層12を形成した後、図7(b)に示すようにマスク部20を形成する。マスク部20は、凸部11aの形成と同様の方法により形成することができる。続いて、図7(c)に示すように、記録層12をイオンミリング法またはリアクティブイオンエッチング(RIE)法を用いてエッチングする。このとき、マスク部20がエッチングに対するマスクとして働く。エッチング後、表面に残ったマスク部20を必要に応じて除去し、凸部12aを得る。
【0108】
次に、図7(d)に示すように誘電体13と金属体14とを形成した後、図7(e)に示すように、誘電体13の少なくとも一部が情報記録媒体1bの表面に現れるまで、表面を平坦化しつつ、金属体14を削り取る。この工程は図3(c)において示した方法と同様に、CMP(Chemical Mechanical Polishing)による研磨、もしくはスパッタリング装置を用いた逆スパッタ処理、または、イオンミリング処理により実現可能である。最後に、図7(f)に示すように、保護層15を形成して情報記録媒体1bが完成する。なお、必要に応じて潤滑層を塗布形成してもよい。
【0109】
(付記事項)
情報記録媒体1aにおいて、隣接する凸部12aの間の記録層12の層厚、すなわち記録層12における凹部の層厚は、成膜時のシャドーイング(遮蔽)効果によって、凸部12aにおける層厚よりも薄くなる。加えて、記録層12が垂直磁化を有する磁性体材料で構成される場合には、凸部11aの斜面に形成された記録層12は、磁化容易軸方向が基板11の面内方向に傾いている。すなわち、記録層12における凹部および凸部11aの斜面に形成される記録層12は、基板面に対して垂直な方向の磁気異方性が小さくなる。
【0110】
したがって、記録層12の凸部12aの領域を記録領域として用いる場合には、隣接する凸部12a間の結合が弱まっているため、凸部12a毎に独立した磁化反転を起こしやすくなる。すなわち、記録層12は、連続的に形成されている層でありつつ、個々の凸部12a単位で磁気ビットを形成することができる。
【0111】
情報記録媒体1aにおいて、基板11上に形成されている凸部11aの互いの位置関係は、図2(a)〜(c)に示すような縦方向および横方向のいずれにも整列した配置でなくてもよい。縦方向または横方向にのみ並んだ配置であってもよいし、ランダムに配置されていてもよいし、部分的に凸部11aが存在しない箇所があってもよい。また、凸部11aの大きさは、全て均一の大きさでなくてもよい。
【0112】
〔実施形態2〕
本発明に係る情報記録媒体の他の実施形態について、図8および9(a)〜(c)を参照しつつ以下に説明する。なお、実施形態1と同様の部材に関しては、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0113】
(情報記録媒体1cの構成)
本実施形態に係る情報記録媒体1cの構成について、図8および9(a)〜(c)を参照して説明する。図8は、情報記録媒体1cの構成を示す概略断面図である。図9(a)〜(c)は、情報記録媒体1cの構成を示す平面図であり、(a)は図8のAA´線における平面図であり、(b)は図8のBB´における平面図であり、(c)は図8のCC´における平面図である。
【0114】
図8および9(a)〜(c)に示すように、情報記録媒体1cは、基板11、記録層12、誘電体13、金属体14および保護層15を備えている。また、基板11には凸部11aが形成されており、記録層12は、凸部11aの形状に沿って形成されている。すなわち、凸部11aの形成されている位置の記録層12には、複数の凸部12aが形成されている。これらの部材については、実施形態1において詳述したためここではその説明を省略する。なお、図1と同様に、記録ヘッド70は情報記録媒体1cを構成するものではないが、本発明の理解を容易にするために、便宜上図8に図示している。
【0115】
本実施形態に係る情報記録媒体1cは、図9(a)に示すように、金属体14が凸部11aの周囲(凸部12aの周囲と言い換えることもできる)において、複数に分離して設けられている。これは、金属体14が凸部12aの周囲において離散して設けられていると言い換えることもできる。
【0116】
金属体14が凸部12aの周囲において離散して設けられている場合であっても、図9(b)に示すように、隣接する凸部12aの間に誘電体13を介して金属体14を形成することができる。
【0117】
なお、図8には金属体14が図示されていないが、これは、図8が凸部11aの高さが最も高くなる位置での断面図であるため、離散して設けられている金属体14が当該断面に現れないためである。凸部11aの高さが低い位置における断面図であれば、図1に示す断面図と同様に、金属体14が現れる。
【0118】
(情報記録媒体1cの作用効果)
情報記録媒体1cのように、金属体14が凸部12aの周囲において離散して設けられている場合であっても、近接場光72(伝播光を用いる場合にはレーザー光71)の照射の際に、誘電体13と金属体14との界面において、強い電界の集中を引き起すことができる。そのため、情報記録媒体1cの内部において、記録層12の所望の箇所を内部から加熱することができる。
【0119】
これによって、情報記録媒体1aと同様に、光源75の消費電力を増加することなく、記録密度を高密度化すると共に、情報の記録速度を高速化することができる。
【0120】
また、情報記録層1cにおいて、金属体14と誘電体13との界面において生じたプラズモンは、分割して設けられている金属体14毎に閉じ込められる。これによって、金属体14と誘電体13との界面において、極めて高い電界の集中を引き起こすことができる。すなわち、電界集中が起こった金属体14に囲まれた領域である凸部12aを局所的に非常に強く加熱することができる。
【0121】
したがって、情報記録媒体1cにおいて微小な記録領域を形成することができると共に、光源75の消費電力を低減することができる。なお、記録層12が磁性体からなる場合には、情報記録媒体1cをパターンドメディアとして機能させることができる。
【0122】
(情報記録媒体1cの製造方法)
情報記録媒体1cの製造方法について、以下に説明する。情報記録媒体1cは、上記した情報記録媒体1aとほぼ同様の製造方法により作製することができる。そのため、本実施形態では、情報記録媒体1aの製造方法と相違する点についてのみ以下に説明する。
【0123】
情報記録媒体1cは、金属体14を形成する工程(すなわち、図3(b)に示す工程)において、金属体14の膜厚を情報記録媒体1aを製造する場合よりも薄くすることによって製造することができる。
【0124】
また、金属体14を研磨、エッチングまたはイオンミリング処理する工程(すなわち、図3(d)に示す工程)において、研磨、エッチングまたはイオンミリングの時間を長くすることによっても製造することができる。より具体的には、隣接する凸部12aの間の凹部に形成される誘電体13を介して形成されている金属体14のうち、凹部の浅い領域に形成された金属体14が削り取られて除去されるまで、研磨またはエッチングを施す。これによって、凸部12aの周囲の金属体14が離散している情報記録媒体1cとすることができる。
【0125】
なお、研磨またはエッチングの時間を長くする場合には、記録層12を削り取ってしまうことを防ぐために、誘電体13の膜厚を情報記録媒体1aを製造する場合よりも厚くしておくことが好ましい。
【0126】
〔実施形態3〕
本発明に係る情報記録媒体の他の実施形態について、図10および11(a)および(b)を参照しつつ以下に説明する。なお、実施形態1および2と同様の部材に関しては、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0127】
(情報記録媒体1dの構成)
本実施形態に係る情報記録媒体1dの構成について、図10および11(a)および(b)を参照して説明する。図10は、情報記録媒体1dの構成を示す概略断面図である。図11(a)および(b)は、情報記録媒体1dの構成を示す平面図であり、(a)は図10のAA´線における平面図であり、(b)は図10のBB´における平面図である。
【0128】
図10および11(a)および(b)に示すように、情報記録媒体1dは、基板11、記録層12、誘電体13、金属体14、および保護層15を備えている。また、基板11には情報記録媒体1dのトラック長さ方向に連続して形成された凸部11aが形成されており、記録層12は、凸部11aの形状に沿って形成されている。すなわち、凸部11aの形成されている位置の記録層12には、凸部12aが形成されている。これらの部材については、実施形態1および2において詳述したためここではその説明を省略する。なお、図1および8と同様に、記録ヘッド70は情報記録媒体1d構成するものではないが、本発明の理解を容易にするために、便宜上図10に図示している。
【0129】
(情報記録媒体1dの作用効果)
このように、凸部11aが情報記録媒体1dのトラック長さ方向に連続して形成されている場合であっても、図10および11(a)および(b)に示すように、隣接する凸部12aの間に誘電体13を介して金属体14を形成することができる。したがって、近接場光72(伝播光を用いる場合にはレーザー光71)の照射の際に、誘電体13と金属体14との界面において、強い電界の集中を引き起すことができる。そのため、情報記録媒体1cの内部において、記録層12の所望の箇所を内部から加熱することができる。
【0130】
これによって、情報記録媒体1aの場合と同様に、光源75の消費電力を増加することなく、情報記録媒体1dの記録密度を高密度化すると共に、情報の記録速度を高速化することができる。
【0131】
また、情報記録媒体1dにおいて、金属体14に挟まれた領域である凸部12aを局所的に強く加熱することができる。これによって、情報記録媒体1dにおいて微小な記録領域を形成することができる。なお、記録層12が磁性体からなる場合には、情報記録媒体1dをディスクリートトラックメディアとして機能させることができる。
【0132】
(情報記録媒体1dの製造方法)
情報記録媒体1dの製造方法について以下に説明する。情報記録媒体1dは、上記した情報記録媒体1aとほぼ同様の製造方法により作製することができる。そのため、本実施形態では、情報記録媒体1aの製造方法と相違する点についてのみ以下に説明する。したがって、ここでは、凸部11aを形成する工程についてのみ説明する。
【0133】
情報記録媒体1dの製造では、図3(a)の工程において、凸部11aを情報記録媒体1dのトラック長さ方向に連続して形成する。このとき、トラック長さ方向に連続して形成されている凸部11aは、例えば、電子線リソグラフィーを用いて線状に形成したレジストをマスクとして、基板11をエッチングすることにより形成することができる。基板11のエッチングには、例えば、イオンミリング法またはリアクティブイオンエッチング(RIE)法を用いることができる。
【0134】
また、基板11に対してFIB(Focused Ion Beam)で直接加工することにより、トラック長さ方向に連続して形成されている凸部11aを形成してもよい。
【0135】
なお、情報記録媒体1dにおいて、面密度を1Tbit/inch相当とするためには、例えば、凸部11aのピッチを25nmとする。もちろん、情報記録媒体1dは、必ずしも隣接する凸部11aの間にビットが記録されるものである必要はなく、複数の凸部11aにまたがって記録ビットが形成されていてもよい。
【0136】
このように情報記録媒体1dでは、情報記録媒体1aの製造方法と同様に、従来のディスクリートメディアの製法において必要とされる、記録層12の表面に対する大気暴露、または記録層12を成膜した後のエッチング処理を不要にすることができるため、記録層12に対するダメージ(損傷)を小さくすることができる。また、記録層12の材料として、酸化または窒化しやすい材料を適用することができる。
【0137】
(情報記録媒体1dの変形例)
情報記録媒体1dにおいて、記録層12が磁性体からなる場合には、記録層12と基板11(または凸部11a)との間に軟磁性体層(図示しない)が形成されていてもよい。磁性体層が形成される場合、凸部11aは、基板11上に形成されず、軟磁性体層の表面に軟磁性体層と同一または異なる材料により形成されてもよい。
【0138】
(付記事項)
情報記録媒体1dにおいて、隣接する凸部12aの間の記録層12の層厚、すなわち記録層12における凹部の層厚は、成膜時のシャドーイング(遮蔽)効果によって、凸部12aにおける層厚よりも薄くなる。加えて、記録層12が垂直磁化を有する磁性体材料で構成される場合には、凸部11aの斜面に形成された記録層12は、磁化容易軸方向が基板11の面内方向に傾いている。すなわち、記録層12における凹部および凸部11aの斜面に形成される記録層12は、基板面に対して垂直な方向の磁気異方性が小さくなる。
【0139】
したがって、記録層12の凸部12aの領域を記録領域として用いる場合には、隣接する凸部12a間の結合が弱まっているため、隣接する凸部12aの間の磁気的な結合力も弱まっている。このため、記録層12が連続的に形成されている層でありながら、隣接するトラック同士の磁気的な結合力を断ち切ることができる。これによって、トラック幅を狭くすることができるため、記録媒体1dをディスクリートトラックメディア状の磁気記録媒体とすることができる。
【0140】
情報記録媒体1dは、基板11上にトラッキングを行うための案内溝を備えていても良い。情報記録媒体1dにおいて、特に、案内溝と金属体14が形成されている領域と対応させた場合には、情報を記録する領域を減らすことなく、案内溝の形成と近接場光発生部材の形成とを可能とすることができる。
【0141】
このような情報記録媒体1dを実現するためには、凸部11aを形成する際に、凸部11aを、隣接する凸部12aの間の凹部に金属体14を埋め込むために必要な高さと、案内溝の高さ(深さ)とを合わせた高さ(深さ)に形成しておく必要がある。これは、例えば、レジストをマスクとしたエッチング処理を用いて凸部11aを形成する際に、エッチング時間を長くすることによって実現することができる。
【0142】
なお、実施形態1および2に記載の情報記録媒体1a、1bおよび1cにも、上記のような案内溝を形成することができる。
【0143】
〔実施形態4〕
記録層12に磁性体を適用した実施形態1から3に係る情報記録媒体(すなわち、光アシスト磁気記録媒体)に対して情報を記録すると共に、上記情報記録媒体から情報を読み出す情報記録再生装置について、実施形態4として以下に説明する。なお、実施形態1〜3と同様の部材に関しては、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0144】
(情報記録再生装置500の構成)
情報記録再生装置500の構成について、図12を参照して以下に説明する。図12は、情報記録再生装置500の構成を示すブロック図である。
【0145】
情報記録再生装置500は、磁気記録再生ヘッド501、スライダ502、磁気ディスク503、スピンドル506、サスペンションアーム507、ボイスコイルモータ508、制御部509から構成されている。
【0146】
磁気ディスク503は、実施形態1〜3において説明した情報記録媒体1a〜1dの記録層12に磁性体材料を用いたディスクである。
【0147】
スピンドル506は、磁気ディスク503を回転駆動するものである。また、スライダ502は、サスペンションアーム507に支持されており、サスペンションアーム507は、ボイスコイルモータ508によって磁気ディスク503上で駆動する。スピンドル506、サスペンションアーム507、ボイスコイルモータ508は従来公知のものを用いることができる。磁気記録再生ヘッド501および制御部509については、以下に詳述する。
【0148】
(磁気記録再生ヘッド501)
磁気記録再生ヘッド501は、スライダ502に備えられており、光アシスト記録方式により情報記録媒体に対して情報の記録・再生を行う。すなわち、レーザー光を照射するためのレーザー光源と、情報記録媒体に対して磁界を印加するための磁界印加手段、および、情報記録媒体から発生する漏洩磁界を検出する磁界検出手段を備えている。
【0149】
具体的な磁気記録再生ヘッド501の動作を以下に説明する。まず、スピンドル506が回転することにより磁気ディスク503が回転し、空気流を発生させる。発生した空気流を利用して、スライダ502は、磁気ディスク503上に約5〜10nm程度浮上する。そして、浮上したスライダ502の先端部に備えられた磁気記録再生ヘッド501が、磁気ディスク503に対して光ビームの照射と記録磁界の印加とを行うことによって、情報が記録される。また磁気記録再生ヘッド501に備えられた磁界検出手段が、磁気ディスク503からの漏洩磁界を検出することによって、情報が再生される。
【0150】
磁気記録再生ヘッド501、および磁気記録再生ヘッド501が備えられているスライダ502は、従来公知のものを用いることができる。磁気記録再生ヘッド501は、近接場光発生部材73、光源75、および磁界印加手段(図示しない)を備えており、磁気ディスク503に対してレーザー光71または近接場光72を照射し、磁界を印加できるものであって、かつ磁気ディスク503からの漏洩磁界を検出する磁界検出手段(図示しない)を備えるものであれば、特に限定されるものではない。上記磁界印加手段としては、例えば従来公知の磁気コイルや磁気ポールが、上記磁界検出手段には、例えば、同じく従来公知のGMR(Giant Magneto Resistance)素子やTMR(Tunneling Magneto Resistance)素子を用いることができる。また、スライダ502は、従来のハードディスク装置に用いられるスライダを採用してもよい。光源75についても従来公知のものを用いることができる。近接場光発生部材73は、実施の形態1において上述した通りである。
【0151】
なお、光源75は、レーザー光71が近接場光発生部材73に照射されるのであれば、必ずしも磁気記録再生ヘッド501に備えられている必要はない。例えば、サスペンションアーム507に備えられていてもよい。又、レーザー光71を近接場光発生部材73に照射するに当って、光導波路やグレーチング形状を利用するものであっても構わない。
【0152】
(制御部509)
制御部509は、図12に示すように、回転駆動制御部510、信号処理部511、出力制御部512、および記録部513から構成されており、スライダ502、スピンドル506、サスペンションアーム507、およびボイスコイルモータ508の動作を制御するためのものである。
【0153】
回転駆動制御部510は、スピンドル506の回転駆動を制御している。このときの回転駆動の制御には、例えば、磁気記録再生ヘッド501の半径位置によらず回転速度を一定とするCAV(Constant Angular Velocity)制御、磁気記録再生ヘッド501の半径位置に応じて線速度が一定となるように回転速度を変えるCLV(Constant Linear Velocity)制御、トラックをゾーンごとに分けて回転速度を制御するZCAV(Zoned CAV)制御、およびトラックをゾーンごとに分けて線速度が一定となるように回転速度を変えるZCLV(Zoned CLV)制御を用いることが出来る。
【0154】
CAV制御の場合、回転駆動制御部510は、スピンドル506の回転速度が一定となるよう、あらかじめ決められた回転速度でスピンドル506を駆動する。CLV制御の場合は、磁気記録再生ヘッド501の半径位置を検出し、これに応じて回転速度を制御する。ZCAV制御、およびZCLV制御の場合は、磁気記録再生ヘッド501のゾーン位置を検出し、これに応じて回転速度または線速度が一定となるように制御する。
【0155】
信号処理部511は、磁気記録再生ヘッド501と信号を送受している。具体的には、以下の通りである。記録に際しては、信号処理部511において記録情報をエンコードすることによって、記録再生ヘッド501から磁気ディスク503に対して照射されるレーザー光の発光パターンと、磁界の発生パターンとに記録情報を置き換え、上記のパターンを記録再生ヘッド501へと送る。再生に際しては、磁気記録再生ヘッド501において検出した情報を信号処理部511でデコードすることによって、再生情報として取り出す。
【0156】
出力制御部512は、磁気記録再生ヘッド501から照射されるレーザー光の出力を調節している。また、記憶部513は、磁気ディスク503から読み出した情報や、信号処理部511がレーザー光の発生パターンや磁界の発生パターンを決定するための参照情報、および出力制御部512がレーザー光の出力を決定するための参照情報を蓄積するためのメモリである。
【0157】
(情報記録再生装置500の動作)
次に、情報記録再生装置500の記録、再生の動作について以下に説明する。
【0158】
情報記録再生装置500に電源が投入されると、上述したように、磁気記録再生ヘッド501は、磁気ディスク503上に浮上する。続いて、磁気記録再生ヘッド501が通電することにより、光源75からレーザー光71が発せられ、発せられたレーザー光71は、近接場光発生部材73に照射されることにより近接場光72を生成する。このとき、光源75からレーザー光71が発せられるのに合わせて、磁界発生源から記録磁界が発せられる。このとき、出力制御部512は、磁気ディスク503の記録層12における記録しようとする領域の保磁力が磁気記録再生ヘッド501から印加される記録磁界よりも小さくなるように光源のパワーを調節する。これによって、近接場光によって局所的に加熱された記録層12の記録を行う領域の保磁力が記録磁界よりも小さくなるため、磁気ディスク503に記録が行われる。
【0159】
また、磁気ディスク503の記録情報の再生は、上述したように、磁気ディスク503からの漏洩磁界を磁気記録再生ヘッド501の磁界検出部が検出することによって行われる。検出された漏洩磁界が、電気信号に変換されることによって、磁気ディスク503の記録情報の再生が行われる。
【0160】
なお、本実施形態では、記録層12に磁性体を適用した磁気記録媒体についての記録再生装置についてのみ説明したが、記録層12に光記録材料を用いれば、光情報記録媒体として用いることが可能である。この場合、情報記録再生装置としては、CD、DVD、BDなどの従来公知の光情報記録媒体に対して記録再生可能である光情報記録再生装置、またはその他の公知技術を用いて製造される光情報記録再生装置となる。これらの光情報記録再生装置においては、レーザー光71(近接場光72)の照射によって、情報記録媒体1a〜1dの記録層12の一部が加熱され、加熱された領域の反射率が変化することによって情報が記録される。情報の再生に際しては、記録時よりも低パワーのレーザー光71(近接場光72)を照射し、記録層12からの反射光量を検出することにより情報を再生する。これらの光情報記録再生装置を用いるに当っては、保護層15を透明誘電体、または樹脂材料とし、その膜厚を記録再生装置の光学系に合わせて適宜変更して用いてもよい。また、必ずしも保護層15側からレーザー光71が入射する必要はない。基板11に透明基板を用いる場合には、基板11側からレーザー光71が入射するような構成であってもよい。
【0161】
(付記事項)
実施形態1〜3において説明した情報記録媒体1a〜1dの記録層12に磁性体を用いて、情報記録媒体1a〜1dを光アシスト磁気記録媒体として用いる場合には、再生時には、レーザー光を情報記録媒体1a〜1dに照射し、漏洩磁界を検出する、光アシスト再生方式を適用してもよい。
【0162】
この場合、再生時においても情報記録媒体1a〜1dの内部において電界の集中が発生するため、従来に比べて低いレーザー出力による光アシスト再生が可能である。したがって、光源75の消費電力を低減することができると共に、再生の高速化を実現することもできる。
【0163】
以上、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲において種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0164】
以下、実施例を示し、本発明の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な様態が可能である。
【実施例】
【0165】
〔実施例1〕
情報記録媒体1aにおける電界強度の測定方法および測定結果について、以下に説明する。電界強度は、波長680nmのレーザー光71を照射したときの情報記録媒体1aをFDTD(Finate Difference Time Domain)法を用いてシミレーションすることによって測定した。
【0166】
(電界強度の測定方法)
シミュレーションに際して、以下のような設定を行った。レーザー光71の強度分布をガウス分布とし、スポット径を700nmとした。近接場光発生部材73は、すり鉢状の微小開口(入射部直径400nm、出射部直径20nm)を有する、厚さ100nmの金薄膜とした。近接場光発生部材73と情報記録媒体1aとの距離は5nmとした。また、入射光の偏向は、円偏光とし、レーザー光の電界のピーク強度(|E|)は1(V/m)とした。
【0167】
シミュレーションに用いた情報記録媒体1aは、基板11および凸部11aをともに二酸化ケイ素とし、凸部11aが25nm間隔で並ぶように配置した。凸部11aの高さは15nmとした。記録層12はコバルト−白金合金とした。また、凸部11aの頂点における膜厚は、10nmとした。誘電体13には、二酸化ケイ素を用いた。誘電体13は、膜厚7nmで記録層12上に形成した。金属体14は金を用いた。金属体14は、図1に示した断面で、幅7nm、高さ6nmとなるように形成した。なお、凸部11aの上に設けられた誘電体13の頂部は、幅18nmの範囲で削り取り、保護層15としてカーボン膜を膜厚5nmで形成した。
【0168】
(電界強度の測定結果)
実施形態1に係る情報記録媒体1aにおける電界強度の測定結果を図13に示す。図13は、図1に示した断面について、情報記録媒体1aにレーザー光を照射した場合の電界強度を表した図である。なお、図13は、図1に示した概略断面図と上下が逆となっている。すなわち、図面13中下方向よりレーザー光が照射されている。
【0169】
図13に示すように、レーザー光の照射により近接場光発生部材73の微小開口に近接場光が発生し、情報記録媒体1aの記録層12に照射されていることを確認することができた。さらに、近接場光72が照射された領域の金属体14と誘電体13との界面付近において、情報記録媒体1a内部で局所的な強い電界の集中を観測することができた。
【0170】
電界が集中している箇所の電界強度(|E|)は、図13に示すように、微小開口の出射部における電界強度と同程度(50(V/m)強)であり、非常に強いものであった。
【0171】
これは、情報記録媒体1aの表面に照射された近接場光72が情報記録媒体1aの内部、より詳しくは誘電体13と金属体14との界面においてプラズモンに変換され、局所プラズモンとして、電界の集中を引き起こしたためである。これによって、情報記録媒体1a内部から加熱することができるため、光源75の消費電力を低減しつつ、記録層12の情報を記録しようとする箇所を十分に効率良く加熱することができる。
【0172】
図14には、図2(a)に示した平面における電界強度の測定結果を示した。図14に示すように、誘電体13と金属体14との界面における電界集中は、凸部12aを取り囲むように生じており、電界強度の強い領域に囲まれた記録層12が特に加熱され、情報が記録され易い状態となることが明らかとなった。
【0173】
〔比較例1〕
実施例1において金属体14を用いずに、金属体14の部分を誘電体13で置き換えた以外は実施例1と同じ構成である情報記録媒体101aについて、実施例1と同様の方法によって電界強度を測定した。
【0174】
情報記録媒体101aにおける図1に相当する断面での電界強度の測定結果を図15に示す。図15は、情報記録媒体101aにレーザー光を照射した場合の電界強度を表した図であり、図13と同様に図面15中下方向よりレーザー光が照射されている。
【0175】
図15に示すように、情報記録媒体101a内部において、実施例1で見られたような微小開口の出射部における電界強度に匹敵する程の高強度の電界集中は見られなかった。
【0176】
〔比較例2〕
実施例1において誘電体13を用いずに、誘電体13の部分を全て金属体14で置き換えた以外は実施例1と同じ構成である情報記録媒体102aについて、実施例1と同様の方法によって電界強度を測定した。
【0177】
情報記録媒体102aにおける図1に相当する断面での電界強度の測定結果を図16に示す。図16は、情報記録媒体102aにレーザー光を照射した場合の電界強度を表した図であり、図13および図15と同様に図面16中下方向よりレーザー光が照射されている。
【0178】
図16に示すように、情報記録媒体102a内部において、電界集中は確認されなかった。
【0179】
〔実施例2〕
実施例1の構成において、記録層12を磁性体材料であるコバルト−白金合金から、光情報記録媒体に用いられるビスマス−ゲルマニウム合金に置き換えた以外は実施例1と同じ構成である情報記録媒体1aについて、実施例1と同様の方法によって電界強度を測定した。その結果、記録層12の材料変更に関わらず、図13および14に示した結果と同様の高強度の電界集中が情報記録媒体1a内部(誘電体13と金属体14との界面付近)で確認され、記録層12の材料が光情報記録材料であっても高強度の電界集中が得られることが明らかとなった。
【0180】
〔実施例3〕
実施例1の構成において、近接場発生部材73を取り除き、光源75から発せられた伝播光(レーザー光71)を情報記録媒体1aに照射した場合の電界強度(図1に示した断面)を図17に示した。図17に示すように、近接場発生部材73を用いずに、伝播光を直接情報記録媒体1aに照射した場合においても、情報記録媒体1aの内部では、金属体14と誘電体13との界面近傍で電界集中が確認された。このときの電界ピーク強度(|E|)は5(V/m)を超えており、入射させた伝播光(レーザー光)の電界ピーク強度(1(V/m))を上回る電界集中が得られた。
【0181】
〔比較例3〕
実施例3において、情報記録媒体を、比較例1で示した金属体14を用いない情報記録媒体101aに変更し、実施例3と同様に光源75から発せられた伝播光(レーザー光71)を情報記録媒体101aに照射した場合の電界強度を測定した。
【0182】
その結果、情報記録媒体101a内部において、実施例3で見られたような高強度の電界集中は確認されなかった。
【0183】
〔比較例4〕
実施例3において誘電体13を用いずに、誘電体13の部分を全て金属体14で置き換えた以外は実施例3と同じ情報記録媒体102aについて、実施例3と同様の方法によって電界強度を測定した。
【0184】
その結果、情報記録媒体102a内部において、電界集中は確認されなかった。
【0185】
〔実施例4〕
実施形態2に係る情報記録媒体1cにおける電界強度の測定結果を図18に示す。図18は、情報記録媒体1cにレーザー光を照射した場合の電界強度を図9(a)に示した平面における電界強度の測定結果を示した図である。
【0186】
図18に示すように、金属体14を凸部12aの周囲に離散して配置した場合においても、情報記録媒体1c内部の誘電体13と金属体14との界面付近において、局所的な強い電界の集中を測定することができた。
【0187】
電界が集中している箇所の電界強度(|E|)は、微小開口の出射部における電界強度(50(V/m)強)を遥かに上回り、200(V/m)を超える極めて強いものとなった。これは、金属体14が離散して配置されていたため、誘電体13と金属体14との界面付近に発生したプラズモンが金属体14を伝わって伝播(周囲に拡散)していくことができず、プラズモンが個々の金属体14毎に閉じ込められた効果であると考えられる。
【0188】
これによって、情報記録媒体1b内部から極めて強いパワーで記録層12を加熱することができるため、光源75の消費電力を低減しつつ、記録しようとする箇所を十分に効率良く加熱することができる。また、図18に示すように、誘電体13と金属体14との界面における電界集中は、凸部12aを囲む4点において特に強く生じている様子が確認できた。すなわち、電界が集中している4点に囲まれた領域の記録層12が特に強く加熱され、情報が記録され易い状態となることが明らかとなった。
【0189】
〔実施例5〕
実施例4の構成において、記録層12を磁性体材料であるコバルト−白金合金から、光情報記録媒体に用いられるビスマス−ゲルマニウム合金に置き換えた以外は実施例4と同じ構成である情報記録媒体1cについて、実施例1と同様の方法によって電界強度を測定した。その結果、記録層12の材料変更に関わらず、図18に示した結果と同様の極めて高い強度の電界集中が情報記録媒体1c内部(誘電体13と金属体14との界面付近)で確認され、記録層12の材料が光情報記録材料であっても高強度の電界集中が得られることが明らかとなった。
【0190】
〔実施例6〕
実施例4の構成において、近接場発生部材73を取り除き、光源75から発せられた伝播光を情報記録媒体1bに照射した場合の電界強度を測定した。その結果、近接場発生部材73を用いずに、伝播光(レーザー光71)を直接情報記録媒体1bに照射した場合においても、情報記録媒体1bの内部では、金属体14と誘電体13との界面近傍で入射させた伝播光(レーザー光71)の電界ピーク強度を上回る電界集中が確認された。
【0191】
〔実施例7〕
実施形態3に係る情報記録媒体1dを用い、実施例1と同様の方法によって電界強度を測定した。
【0192】
情報記録媒体1dにおける電界強度の測定結果を図19に示す。図19は、情報記録媒体1dにレーザー光を照射した場合の、図10に示した断面における電界強度を表した図である。図19に示すように、近接場光72が照射された領域の情報記録媒体1d内部(誘電体13と金属体14との界面付近)において、強い電界の集中を測定することができた。
【0193】
電界が集中している箇所の電界強度(|E|)は、図19に示すように、微小開口の出射部における電界強度とほぼ同程度(50(V/m)強)であり、非常に強いものであった。
【0194】
これによって、情報記録媒体1d内部から記録層12を加熱することができるため、光源75の消費電力を低減しつつ、記録層12の情報を記録しようとする箇所を十分に効率良く加熱することができる。
【0195】
〔比較例5〕
実施例7において、金属体14を用いずに、金属体14の部分を誘電体13で置き換えた以外は、実施例7と同じ構成の情報記録媒体101cについて、実施例7と同様の方法によって、電界強度を測定した。
【0196】
その結果、情報記録媒体101c内部において、実施例7で見られたような微小開口の出射部における電界強度に匹敵するような高強度の電界集中は見られなかった。
【0197】
〔比較例6〕
実施例7において誘電体13を用いずに、誘電体13の部分を全て金属体14で置き換えた以外は実施例7と同じ情報記録媒体102cについて、実施例7と同様の方法によって電界強度を測定した。
【0198】
その結果、情報記録媒体102c内部において、電界集中は確認されなかった。
【0199】
〔実施例8〕
実施例7の構成において、近接場発生部材73を取り除き、光源75から発せられた伝播光(レーザー光71)を情報記録媒体1dに照射した場合の電界強度を測定した。その結果、近接場発生部材73を用いずに、伝播光(レーザー光71)を直接情報記録媒体1dに照射した場合においても、情報記録媒体1dの内部では、誘電体13と金属体14との界面近傍で入射させた伝播光(レーザー光71)の電界ピーク強度(1(V/m))を上回る電界集中が確認された。
【産業上の利用可能性】
【0200】
本発明に係る情報記録媒体は、具体的には、ハードディスク、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc)などに代表される情報記録媒体として好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0201】
【図1】実施形態1に係る情報記録媒体の構成を示す概略断面図である。
【図2】実施形態1に係る情報記録媒体の構成を示す平面図であり、(a)は図1のAA´線における平面図であり、(b)は図1のBB´線における平面図であり、(c)は図1のCC´線における平面図である。
【図3】実施形態1に係る情報記録媒体の製造方法を示す図であり、(a)は基板における凸部の形成を示しており、(b)は記録層、誘電体、金属体の形成を示しており、(c)は金属体の部分的な除去を示しており、(d)は保護層の形成を示している。
【図4】実施形態1に係る情報記録媒体の変形例の構成を示す概略断面図である。
【図5】実施形態1に係る情報記録媒体のさらに他の変形例の構成を示す概略断面図である。
【図6】実施形態1に係る情報記録媒体のさらに他の変形例の構成を示す概略断面図である。
【図7】実施形態1に係る情報記録媒体の変形例の製造方法を示す図であり、(a)は記録層の形成を示しており、(b)はマスクの形成を示しており、(c)は記録層のエッチングを示しており、(d)は誘電体および金属体の形成を示しており、(e)は金属体の研削を示しており、(f)は保護層の形成を示している。
【図8】実施形態2に係る情報記録媒体の構成を示す概略断面図である。
【図9】実施形態2に係る情報記録媒体の構成を示す平面図であり、(a)は図8のAA´線における平面図であり、(b)は図8のBB´線における平面図であり、(c)は図8のCC´線における平面図である。
【図10】実施形態3に係る情報記録媒体の構成を示す概略断面図である。
【図11】実施形態3に係る情報記録媒体の構成を示す平面図であり、(a)は図10のAA´線における平面図であり、(b)は図10のBB´線における平面図である。
【図12】実施形態4に係る情報記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図13】実施例1において測定した電界強度を表した図である。
【図14】実施例1において測定した電界強度を表した図である。
【図15】比較例1において測定した電界強度を表した図である。
【図16】比較例2において測定した電界強度を表した図である。
【図17】実施例3において測定した電界強度を表した図である。
【図18】実施例4において測定した電界強度を表した図である。
【図19】実施例7において測定した電界強度を表した図である。
【符号の説明】
【0202】
1a 情報記録媒体
1b 情報記録媒体
1c 情報記録媒体
1d 情報記録媒体
11 基板
11a 凸部
12 記録層(情報記録層)
12a 凸部
13 誘電体
14 金属体
15 保護層
70 記録ヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に直接または間接的に形成され、かつ、基板面内方向において連続している情報記録層を備えた情報記録媒体であって、
上記情報記録層は、複数の凸部を有しており、隣接する上記凸部の間には、誘電体を介して金属体が設けられていることを特徴とする情報記録媒体。
【請求項2】
上記情報記録層は、上記基板表面の形状に沿って形成されていることを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体。
【請求項3】
上記金属体は、上記凸部を取り囲むように、連続して設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の情報記録媒体。
【請求項4】
上記金属体は、上記凸部の周囲において、複数に分割して設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の情報記録媒体。
【請求項5】
上記金属体は、トラック長さ方向に連続して設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の情報記録媒体。
【請求項6】
上記金属体は、金、銀、アルミニウム、白金、またはこれらのうちの少なくともいずれかを含む合金からなることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の情報記録媒体。
【請求項7】
上記情報記録層は、磁性体からなることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の情報記録媒体。
【請求項8】
上記情報記録層は、光記録材料からなることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の情報記録媒体。
【請求項9】
請求項7に記載の情報記録媒体に対して光を照射する光源と、
上記情報記録媒体に対して磁界を印加する磁界印加手段と、
上記情報記録媒体から漏洩する漏洩磁界を検出する磁界検出手段と、
を備えていることを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項10】
請求項8に記載の情報記録媒体に対して光を照射する光源と、
上記記録媒体から反射される光量を検出する光量検出手段と、
を備えていることを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項11】
上記光源と上記情報記録媒体との間であり、かつ、上記光の経路上に、近接場光生成部を備えていることを特徴とする請求項9または10に記載の情報記録再生装置。
【請求項12】
請求項7に記載の情報記録媒体に対して光を照射し、上記情報記録媒体における情報記録領域を加熱する加熱工程と、
上記情報記録領域に対して磁界を印加する磁界印加工程と、
を含むことを特徴とする情報記録方法。
【請求項13】
請求項7に記載の情報記録媒体から発生する漏洩磁界を検出する漏洩磁界検出工程を含むことを特徴とする情報再生方法。
【請求項14】
請求項8に記載の情報記録媒体に対して光を照射し、上記情報記録媒体における情報記録領域を加熱する加熱工程を含むことを特徴とする情報記録方法。
【請求項15】
請求項8に記載の情報記録媒体から反射する反射光の光量を検出する光量検出工程を含むことを特徴とする情報再生方法。
【請求項16】
基板上に直接または間接的に形成された層であって、基板面内方向において連続して形成されていると共に、複数の凸部を有する情報記録層を形成する工程と、
隣接する上記凸部の間に、誘電体を介して金属体を形成する工程と、を含むことを特徴とする情報記録媒体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−259334(P2009−259334A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−107187(P2008−107187)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】