説明

情報記録装置

【課題】カードなどの記録媒体が搬送経路中で滞留したとき、そのジャム処理作業を簡単な操作で容易に行える情報記録装置を提供する。
【解決手段】ハウジングにカード収納部と、画像形成部にカードを移送する媒体搬送経路を上下に配置し、その間に画像形成部でジャムしたカードを除去するための経路開閉部材を設ける。そして、この経路開閉部材に電子情報記録手段を内蔵し、カード収容部から媒体搬送経路にカードを供給する媒体搬入経路に、電子情報記録手段に向けてカードを移送する媒体搬送パスを設けたことを特徴としている。これによって、カード収納部を開放することで、画像形成部と情報記録部に滞留したカードを容易に装置外に取り出すことが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックカード、厚紙カードなどの記録媒体に電子情報と画像情報を記録する情報記録装置に係わり、装置内にジャムしたカードを除去するジャム処理機構の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の情報記録装置は、各種証明書用カード、決済用カードなどに使用されるカード類に情報記録する装置として広く知られている。例えば、カードに磁気情報、IC情報などの電子情報を記録し、これと同時にカードの表裏面に顔写真、氏名、名称などの画像データを形成する装置として、カード発行システムの端末装置に使用されている。
【0003】
例えば特許文献1には、ハウジング内にカードカセットと、インクリボンカセットと転写フィルムカセットを交換できるように着脱自在に装着する。このカセットの着脱作業はオペレーターが簡単に作業できるように操作性が要求される。
【0004】
これと共に電子情報記録部或いは画像形成部でカードの搬送異常が発生したときにも、その処理が簡単に行えることが要求される。
【0005】
例えば特許文献1の装置は、装置のフロント部に開閉扉を設け、この開閉扉からカードカセットとリボンカセットとフィルムカセットを着脱するレイアウト構成が開示されている。同文献には開示されていないが、カードの搬送異常が発生したときにも装置フロント側の開閉扉を開けて経路中のジャムカードを取り出すことが一般的である。
【0006】
一方、一般的な画像形成装置において、装置内部に媒体の搬送不良が発生したときには、装置ハウジングに開閉扉を設け、この扉を開けて媒体搬送部に装置外部からアクセス出来るようにするジャム開閉機構は広く知られている。
【0007】
またこの場合に、搬送通路を開放するよう搬送機構を構成するユニットを作動姿勢から退避姿勢に姿勢変更することも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−237744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように装置内部のカード搬送経路でジャムが発生したとき、その処理のために装置ハウジング開閉扉を設けることは良く知られている。ところが特許文献1の装置はカードカセットと、リボンカセットと、転写フィルムカセットを装置ハウジングの開閉カバー(例えばフロントカバー)から着脱し、同時にこの開閉カバーを開いて搬送経路からジャムカードを取り出すようにしている。
【0010】
従って、経路中にジャムしたカードは装置内の限られた開閉スペースで取り出さなければならない。このため、ジャムカードの取り出し作業が繁雑で例えばセンサーなどの経路に配置されている部品を破損することがあった。
【0011】
そこで本発明者は、カードカセットの収納部と画像形成部の媒体搬送経路を装置ハウジング内に上下に配置し、この収納部と媒体搬送経路の間の隔壁をジャムしたカードを除去するための経路開閉部材として開閉可能に構成することにより、カードカセットを取り外してジャムカードを除去する作業スペースを大きくすることが出来るとの着想に至った。
【0012】
本発明は、カードなどの記録媒体が搬送経路中で滞留したとき、そのジャム処理作業を簡単な操作で容易に行える情報記録装置の提供をその課題としている。
【0013】
更に本発明は、カードなどの記録媒体に電子情報と画像情報を記録する装置を、小型でコンパクトに構成すると共に、ジャム処理作業が容易である情報記録装置の提供をその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を達成するため本発明は、ハウジングにカード収納部と、画像形成部にカードを移送する媒体搬送経路を上下に配置し、その間に画像形成部でジャムしたカードを除去するための経路開閉部材を設ける。
【0015】
そして、この経路開閉部材に電子情報記録手段を内蔵し、媒体収容部から媒体搬送経路にカードを供給する媒体搬入経路に、電子情報記録手段に向けてカードを移送する媒体搬送パスを設けたことを特徴としている。
【0016】
これによって、カード収納部を開放することで、画像形成部と情報記録部に滞留したカードを容易に装置外に取り出すことが出来る。
【0017】
更に、その構成を詳述すると、ハウジングと、記録媒体を収納する媒体収容部と、記録媒体に電子情報を記録する情報記録部と、記録媒体に画像情報を形成する画像形成部と、媒体収容部から記録媒体を情報記録部に向けて搬入する媒体搬入経路と、媒体搬入経路から送られてきた記録媒体を画像形成部に移送する媒体搬送経路と、この媒体搬送経路に設けられ画像形成部でジャムした記録媒体を除去するための経路開閉部材とを備える。
【0018】
上記媒体収容部と経路開閉部材と画像形成部とは、この順にハウジングに配置し、情報記録部は、経路開閉部材に内蔵された電子情報記録手段と、この電子情報記録手段に向けて媒体搬入経路から記録媒体を移送する媒体搬送パスとで構成する。
【0019】
上記電子情報記録手段は、記録媒体に非接触状態で情報記録する非接触型記録手段で構成する。この非接触型記録手段は、例えば、記録媒体にICチップを内蔵したチップに電子情報を電波信号として発信し、これをICチップで受信するように構成する。
【0020】
上記媒体搬送パスと媒体搬送経路との間には、非接触型記録手段の電波信号を遮閉する遮閉板が配置され、この遮閉板は非接触型記録手段から発信された電波信号と媒体搬送経路中の記録媒体とを遮断するシールド材(電波吸収体)で構成する。このシールド材としては、特定帯域の電波を吸収して遮断する材料を選択する。
【0021】
上記媒体収容部は、記録媒体を収納したカセットを装着可能なカセット装着エリアで構成し、このカセット装着エリアの隔壁(底面壁)を開閉可能にして経路開閉部材を構成する。この経路開閉部材は、閉止状態でカセット装着エリアの底面壁を構成し、開放状態でカセット装着エリアから媒体搬送経路にアクセス可能に構成する。
【0022】
上記媒体搬送経路には記録媒体の搬送方向を第1及び第2と少なくとも2方向に変更する反転ユニットを設け、この反転ユニットは、記録媒体を情報記録部に移送する第1の方向と、記録媒体を媒体搬送経路に移送する第2の方向に切換えるように構成する。
【0023】
上記反転ユニットは、装置フレームに旋回動可能に軸支された回転フレームと、この回転フレームに配置され記録媒体を保持する少なくとも一対のローラ対と、回転フレームを旋回動するユニット駆動手段と、ロール対を正逆回転するロール駆動手段と、を有し、一対のローラ対の正逆転で記録媒体を媒体搬送パスに搬入及び搬出する。
【0024】
上記媒体搬送経路には、画像形成部の下流側にデカール機構を配置し、このデカール機構は、画像形成された記録媒体のカールを修正する押圧部と、この押圧部を保持するユニットフレームで構成する。そして、経路開閉部材を開止状態でデカール機構にハウジング外部からアクセス可能に構成する。
【0025】
上記デカール機構のユニットフレームは、経路開閉部材が開止状態のとき押圧部を媒体搬送経路内から経路外に移動可能に装置フレームに回動可能に軸支持する。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、媒体収容部Cと媒体搬送経路を上下に配置してその間にジャムカードを除去する経路開閉部材を設け、この経路開閉部材に電子情報記録手段を内蔵し、その記録手段にカードを移送する媒体搬送パスを設けたものであるから、以下の効果を奏する。
【0027】
媒体収容部を例えばカードカセットを取り外して開放し、経路開閉部材を開放することによって媒体搬送経路と、非接触型記録手段にカードを移送する媒体搬送パスにカード収容空間からアクセスすることが出来る。従って、画像形成部でジャムしたカード或いは情報記録部でジャムしたカードを簡単に取り除くことが出来る。
【0028】
更に、媒体収容部としてのカードカセットを着脱する構成を採用することによって、この媒体収容部を簡単に開放することが出来る。
【0029】
また、画像形成部の下流側にカール矯正するデカール機構を配置する構成の場合に、このデカール機構でジャムしたカードも画像形成部と同様に容易に取り出すことが出来る。
【0030】
このように本発明は、装置ハウジングにジャム処理のための特別な開閉扉を設けることなく、カード収納空間から装置内部にアクセス出来るようにしてあるので、ハウジングのフレーム構造も柔構造など簡素化することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係わる情報記録装置の一実施形態を示す説明図。
【図2】カードカセット3を取り外した状態を示す図。
【図3】経路開閉部材の蓋体を取り外した状態を示す図。
【図4】経路開閉部材を開放した状態を示す図。
【図5】媒体搬送経路に位置している遮閉板とデカール機構を示す図。
【図6】遮閉板とデカール機構のユニットフレームをそれぞれ開放した状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図示の好適な実施の形態に基づいて本発明を詳述する。図1は本発明に係わる情報記録装置1の全体構成の説明図である。図1の装置は各種証明用のIDカード、商取引用のクレジットカードなどのカード(記録媒体;以下同様)に情報を記録する。このためハウジング2には、情報記録部Aと画像形成部Bと媒体収容部Cとが備えられる。情報記録部Aは、磁気記録部24と、非接触式IC記録部23と、接触式IC記録部27とで構成される。この情報記録部Aは装置仕様に応じて種々の記録部、例えばバーコード記録部などで構成する。
【0033】
上記媒体収容部Cは、複数枚のカードを収納するカセットで構成する。このカセットは例えば装置ハウジング2にホッパ状のカセットを設けるか、装置ハウジング2から分離したカードカセット3で構成する。
【0034】
図2はカードカセット3を装置ハウジング2のカセット装着エリア100から取り外した状態を示している。例えば、本実施形態ではカードカセット3を不図示の取手で引き上げることにより上方向(後述するカード供給方向と略同一方向)に着脱可能に構成することで、供給部でカードジャムを起こしたときにカードカセット3を取り外してジャム解除が可能になる。
【0035】
なお、本実施形態ではカード供給方向は傾斜しているが、カードカセット3の着脱方向は斜めである必要はなく、装置ハウジング2に対して上方向に引き上げられる構成であればよい。
【0036】
[カード供給部]
装置ハウジング2のカセット装着エリア100には媒体収容部Cが設けられ、複数枚のカードを収納するカードカセット3で構成されている。図1に示すカードカセット3は複数のカードを立位姿勢で整列して収納し、同図左端から右端にカードを繰り出す。そしてカードカセット3の先端には分離開口7が設けられ、ピックアップローラ19で最前列のカードから装置内に供給する。
【0037】
[情報記録部の構成]
上述のカードカセット3から送られたカードは搬入ローラ22にて反転ユニットFに送られる。反転ユニットFは装置フレーム60に旋回動可能に軸受け支持された回転フレーム80と、このフレームに支持された一対、或いは複数のローラ対で構成される。
【0038】
図示のものは距離を隔てて前後に配置された2つのローラ対20、21を回転フレーム80に回転自在に軸支持されている。そして、回転フレーム80は旋回モータ(パルスモータなど)で所定角度方向に旋回動し、これに取付けられているローラ対は搬送モータで正逆転方向に回転するように構成されている。この駆動機構は図示しないが、1つのパルスモータで回転フレーム80の旋回動と、ローラ対20、21の回転をクラッチで切り換えるように構成しても、回転フレーム80の旋回動とローラ対20、21の回転を別駆動に構成してもよい。
【0039】
従ってカードカセット3に準備されたカードはピックアップローラ19と分離ローラ(アイドルコロ)9で1枚ずつ分離され下流側の反転ユニットFに送られる。そして反転ユニットFはカードをローラ対20、21でユニット内に搬入し、ローラ対でニップした状態で所定角度方向に姿勢偏向することとなる。
【0040】
上記反転ユニットFの旋回方向外周には、磁気記録部24と、非接触式IC記録部23及び接触式IC記録部27と、リジェクトスタッカ25が配置されている。そして、ローラ対20、21は、これらの情報記録部23、24,27の何れかに向けて搬入する媒体搬入経路65を形成する。尚、図示28はバーコードリーダであり、例えば後述する画像形成部Bで印刷したバーコードを読み取って正誤判別(エラー判別)するためのユニットである。
【0041】
反転ユニットFで所定の角度方向に姿勢偏向されたカードをローラ対20、21にて形成される媒体搬入経路65を通して、磁気記録部24或いは非接触式IC記録部23または接触式IC記録部27に移送すると、カードには磁気的若しくは電気的にデータ入力することが可能となる。またこれらの情報記録部で記録ミスが生じた場合にはリジェクトスタッカ25に搬出する。
【0042】
図1においては、反転ユニットFは非接触式IC記録部23に向けて旋回しており、カードはローラ対20、21により記録部23に向けて媒体搬入経路65を形成している。非接触式IC記録部23は、ICリーダライタ基板67と、ICリーダライタアンテナ69と、媒体搬送パス68とから構成されており、ICリーダライタアンテナ69は、媒体搬入経路65を通して、媒体搬送パス68に導入されたカードに埋設されているICチップに、ICリーダライタ基板67から送られてくる情報を電波信号で送信する。これにより、ICチップには記録情報が記録されることになる。
【0043】
媒体搬送パス68と媒体搬送経路P1との間には、ICリーダライタアンテナ67からの電波信号を遮閉する遮閉板70を配置することで、媒体搬送経路P1にて搬送途中にある他のカードへの誤って記録されるのを防止している。遮閉板70は、シールド材(電波吸収体)で構成するもので、このシールド材としては、特定帯域の電波を吸収して遮断する材料を選択する。
【0044】
上記反転ユニットFの下流側には画像形成部Bが設けられ、この画像形成部Bにカードを移送する媒体搬送経路P1が設けられ、この経路P1に前述の反転ユニットFが配置されている。また、媒体搬送経路P1にはカードを搬送する搬送ローラ(ベルトでも良い)29、30が配置され、図示しない搬送モータに連結されている。この搬送ローラ29、30は正逆転切り換え可能に構成され、反転ユニットFから画像形成部Bにカードを搬送するのと同様に画像形成部Bからカードを反転ユニットFに搬送するようになっている。
【0045】
上記画像形成部Bの下流側には収容スタッカ60にカードを移送する媒体搬送経路P2が設けられている。媒体搬送経路P2にはカードを搬送する搬送ローラ(ベルトでも良い)37、38が配置され、図示しない搬送モータに連結されている。
【0046】
搬送ローラ37と搬送ローラ38の間にはデカール機構36が配置され、搬送ローラ37、38間に保持されたカード中央部を押圧することによって、熱転写により生じたカールを矯正する。このためデカール機構36は図示しない昇降機構(カムなど)で図1に示す上下方向に位置移動可能に構成されている。
【0047】
搬送ローラ37はニップコロ71と、搬送ローラ38はニップコロ72とで、それぞれデカールされるカードをニップしているが、押圧部74が昇降機構によって押し下げられると、受部73は押圧部74を受け止めながらニップコロ71、72と共に下方に移動する。これにより、搬送ローラ37とニップコロ71、及び搬送ローラ38とニップコロ72によるカードのニップが解除されるために、整ったカール矯正を行うことが出来る。
【0048】
「画像形成部」
画像形成部Bは、記録カードの表裏面に顔写真、文字データなど画像を形成する。図示の装置は昇華型インクリボンで画像形成する場合を示している。
【0049】
画像形成部Bにはサーマルヘッド40とインクリボン41が配置されている。インクリボン41はカートリッジ42に収納され、このカートリッジ42に操出ロール43と巻取ロール44が収容され、巻取ロール44には図示しないワインドモータMr1が連結されている。
【0050】
そしてプラテンローラ45に対向する位置にサーマルヘッド40が配置されている。このサーマルヘッド40は、ヘッドコントロール用IC(図示せず)により熱制御される。そして、このヘッドコントロール用ICは、画像データに従ってサーマルヘッド40を加熱制御することにより、インクリボン41を後述する転写フィルム46に画像形成する。このためサーマルヘッド40の熱制御と同期して巻取ロール44が回転し、インクリボン41を所定速度で巻き取るように構成されている。図示39はサーマルヘッド40を冷やす為の冷却ファンである。
【0051】
上記転写フィルム46は巻取ロール47と操出ロール48に巻回され、この転写フィルム46はプラテンローラ31とヒートローラ33に転写画像を移送するように巻装されている。図示49は転写フィルム46の移送ローラであり、その周面にピンチローラ32aと32bが配置され、この移送ローラ49には図示しない駆動モータに連結されている。そして転写フィルム46は、インクリボン41と同一速度で図1反時計方向に移動する。
【0052】
また、ヒートローラ33には、搬入経路P1に配置されているプラテンローラ31に転写フィルム46を介して圧接離間するように昇降機構(不図示)が設けられている。図4に示すダイアル95は、この昇降機構に連動しており、このダイアル95を回すことにより、ヒートローラ33を手動にて昇降させることができる。
【0053】
このヒートローラ33は加熱ローラで構成され、内部に配置されている加熱手段で転写フィルム46上の画像を記録カード表面に転写する。尚、図示Se1はインクリボン41の位置検出センサであり、図示Se2は転写フィルム46の有無検出センサである。尚、画像形成部Bには装置内に発生した熱を外に出す為のファン39が設けられている。
【0054】
「収容部」
収容部Dは図1に示すように画像形成部Bから送られたカードを収容スタッカ60に収容するように構成されている。この収容スタッカ60は図示しない昇降機構61とレベルセンサで、最上カードを検出し、昇降機構61で図1下側に下降移動するように構成されている。
【0055】
上記した本発明に係わる情報記録装置1の全体構成の中で、画像形成部Bにカードカセット3からカードを移送する媒体搬送経路P1、P2にジャムしたカードを除去するための構成について説明する。
【0056】
カードカセット3を装置ハウジング2のカセット装着エリア100から取り外すと、カードカセット3の下方に位置している経路開閉部材66が現れる。経路開閉部材66の上面カバー90は蓋体であり、カセット装着エリア100の隔壁(底面壁)を構成している。そして、経路開閉部材66は、開閉自在に装置ハウジング2に取り付けられており、本実施形態では長手方向の端部が回動自在に装置ハウジング2に支持されている。
【0057】
また、経路開閉部材66は、上面カバー90を取り外すと、図3で示すように、非接触式IC記録部23のICリーダライタ基板85とICリーダライタアンテナ69を内蔵しているのが見える。図4に示すように、経路開閉部材66を開放すると、ICリーダライタ基板85とICリーダライタアンテナ69とが退出するために、媒体搬送パス68と遮閉板70と媒体搬送経路P1、P2の一部が露出されて、このときの露出部分にジャムしたカードを除去することが出来る。図5は、媒体搬送経路P1、P2に位置している遮閉板70及びデカール機構36を示している。
【0058】
図6において、遮閉板70は一端に具備した軸92は回動自在に装置フレーム60に支持されており、軸92を支点に遮閉板70を開放することで、ローラ29とローラ30にて形成される媒体搬送経路P1が完全に露出して外部からアクセスでき、ジャムしたカードを除去することが出来る。
【0059】
デカール機構36は、押圧部74とこの押圧部74を上下に移動させる昇降機構が一体となりユニットフレーム86を構成している。そして、このユニットフレーム86は一端に具備した軸93は、装置フレーム60に回動自在に支持されている。従って、ユニットフレーム86を開放した状態では、ローラ37とローラ38にて形成される媒体搬送経路P2が完全に露出して外部からアクセスでき、同様にジャムしたカードを除去することが出来る。
【0060】
カードがヒートローラ33とプラテンローラ31に挟持した状態でエラーが発生した場合は、挟持を解除してジャムしたカードを除去する必要がある。プラテンローラ31との挟持を解除するには、ヒートローラ33の昇降機構(図示せず)に連動しているダイアル95(図4)を回して、ヒートローラ33を下降させることでカードの除去が可能となる。
【0061】
このように本実施形態では、経路開閉部材66に非接触式IC記録部23のICリーダライタ基板67とICリーダライタアンテナ69を内蔵することで、経路開閉部材66を開放することにより記録部23の媒体搬送パス68にジャムしたカードを除去することが出来るようにしているが、非接触式の記録方式であれば他の電子情報記録手段でも同様な構成が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、プラスチックカード、厚紙カードなどの記録媒体に電子情報と画像情報を記録する情報記録装置に係わり、装置内にジャムしたカードを除去するジャム処理機構の改良に関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0063】
2 ハウジング
3 カードカセット
20、21 ローラ対
23 非接触式IC記録部(電子情報記録手段)
36 デカール機構
65 媒体搬入経路
66 経路開閉部材
67 媒体搬送パス
70 遮閉板
74 押圧部
80 回転フレーム
86 ユニットフレーム
100 カセット装着エリア
A 情報記録部
B 画像形成部
C 媒体収容部
F 反転ユニット
P1、P2 媒体搬送経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に電子情報と画像情報を記録する記録装置であって、
ハウジングと、
記録媒体を収納する媒体収容部と、
記録媒体に電子情報を記録する情報記録部と、
記録媒体に画像情報を形成する画像形成部と、
媒体収容部から記録媒体を情報記録部に向けて搬入する媒体搬入経路と、
媒体搬入経路から送られた記録媒体を前記画像形成部に移送する媒体搬送経路と、
この媒体搬送経路に設けられ画像形成部でジャムした記録媒体を除去するための経路開閉部材と、
を備え、
前記媒体収容部と経路開閉部材と画像形成部とは、この順にハウジングに配置され、
情報記録部は、
前記経路開閉部材に内蔵された電子情報記録手段と、
この電子情報記録手段に向けて前記媒体搬入経路から記録媒体を移送する媒体搬送パスと、
で構成されていることを特徴とする情報記録装置。
【請求項2】
前記電子情報記録手段は、記録媒体に非接触状態で情報記録する非接触型記録手段であることを特徴とする請求項1に記載の情報記録装置。
【請求項3】
前記媒体搬送パスと前記媒体搬送経路との間には、前記非接触型記録手段の電波信号を遮閉する遮閉板が配置され、
この遮閉板は前記非接触型記録手段から発信された電波信号と前記媒体搬送経路中の記録媒体とを遮断することを特徴とする請求項2に記載の情報記録装置。
【請求項4】
前記媒体収容部は、
記録媒体を収納したカセットを装着可能なカセット装着エリアで構成され、
前記経路開閉部材は、
閉止状態でカセット装着エリアの底面壁を構成し、
開止状態でカセット装着エリアから媒体搬送経路にアクセス可能に構成されていることを特徴とする請求項3に記載の情報記録装置。
【請求項5】
前記媒体搬送経路には、
記録媒体の搬送方向を第1及び第2と少なくとも2方向に変更する反転ユニットが設けられ、
この反転ユニットは、
記録媒体を情報記録部に移送する第1の方向と、記録媒体を媒体搬送経路に移送する第2の方向に切換えることを特徴とする請求項1乃至4の何れかの項に記載の情報記録装置。
【請求項6】
前記反転ユニットは、
装置フレームに旋回動可能に軸支された回転フレームと、
この回転フレームに配置され記録媒体を保持する少なくとも一対のローラ対と、
回転フレームを旋回動するユニット駆動手段と、
前記ロール対を正逆回転するロール駆動手段と、
を有し、
前記一対のローラ対の正逆転で記録媒体を媒体搬送パスに搬入及び搬出することを特徴とする請求項5に記載の情報記録装置。
【請求項7】
前記媒体搬送経路には、画像形成部の下流側にデカール機構が配置され、
このデカール機構は、
画像形成された記録媒体のカールを修正する押圧部と、
この押圧部を保持するユニットフレームで構成され、
前記経路開閉部材は、
開止状態で前記デカール機構にハウジング外部からアクセス可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の情報記録装置。
【請求項8】
前記デカール機構のユニットフレームは、
経路開閉部材が開止状態のとき前記押圧部を前記媒体搬送経路内から経路外に移動可能に装置フレームに回動可能に軸支持されていることを特徴とする請求項7に記載の情報記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−123074(P2012−123074A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272183(P2010−272183)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(000231589)ニスカ株式会社 (568)
【Fターム(参考)】