説明

情報転送システム

【課題】重要度の有無にかかわらず、より多くの情報を高速で安定して転送することができる情報転送システムを提供する。
【解決手段】送信制御手段13が、画像取得手段11で取得されて符号化手段12で符号化された画像情報を受け取り、その画像情報を複数のパケットに分割する。さらに送信制御手段13は、全てのパケットを2回送信可能に、先頭のパケットから並べたときの各パケットの間に、末尾のパケットから順にパケットを挿入して各パケットを並べ、その並び順に各パケットを複数の送信手段14に振り分ける。各送信手段14は、送信制御手段13で振り分けられたパケットを受け取って、対応する通信回線から送信する。画像受信機15が、各送信手段14から送信された各パケットを受信する受信手段16と、受信手段16で受信した各パケットから元の情報を再構成する再構成手段17とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報転送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報通信技術(ICT)において、より多くの情報を迅速に伝達するシステムの開発が求められている。例えば、医療分野では、救急車での搬送中に患者の状態を画像で医師へ転送することにより、言葉での表現が難しい患者の状態をより詳細に伝達することができ、適切な初動体制を構築するのに非常に有効であることが明らかとなっている。また、大規模災害発生時などでは、より広帯域の通信システムを利用することにより、多くの情報を迅速に伝達することができるようになり、被害の軽減に寄与することができるものと考えられる。
【0003】
このような多くの情報を伝達する方法として、複数の通信回線を並列に使用することが考えられる。従来、複数の通信回線を並列に利用して情報を転送する技術として、符号化された映像情報を複数の分割データに分割し、符号化された映像情報の重要度に応じ、最重要データは複数の通信回線で伝送し、重要度の低いデータは単一の通信回線で伝送する映像情報伝達システムがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−309594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の映像情報伝達システムでは、重要度に応じて通信回線の数を調整しており、重要度を決めることができない情報を転送する場合には、利用できないという課題があった。また、複数の通信回線で同じ最重要データを送信しているため、安定した情報の転送を行うことはできるが、単一の通信回線を使用する場合と比べて転送速度を上げるものではないという課題もあった。
【0006】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、重要度の有無にかかわらず、より多くの情報を高速で安定して転送することができる情報転送システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る情報転送システムは、複数の通信回線と、送信する情報を複数のパケットに分割する送信制御手段と、各通信回線に対応して複数設けられ、前記送信制御手段で分割された前記パケットを受け取って、対応する通信回線から送信する送信手段と、各通信回線に接続され、各送信手段から送信された各パケットを受信する受信手段と、前記受信手段で受信した各パケットから元の情報を再構成する再構成手段とを有し、前記送信制御手段は、全てのパケットを2回以上の同一回数送信可能に、各送信手段に振り分けるよう構成されていることを、特徴とする。
【0008】
本発明に係る情報転送システムは、全てのパケットを2回以上の同一回数送信することができる。このため、全てのパケットを1回ずつ送信する場合と比べて、送信する全てのパケットの損失リスクを小さくすることができる。これにより、各パケットの重要度の有無にかかわらず、いかなる情報であっても、損失リスクの小さい安定した転送を行うことができる。
【0009】
また、使用する通信回線の数よりも各パケットを送信する回数を少なく設定することにより、単一の通信回線を使用する場合と比べて転送速度を上げることができ、より多くの情報を高速に転送することができる。一つの通信回線が通信不能になったり、転送速度が低下したりしたときであっても、残りの通信回線にパケットを多く振り分けることにより、転送速度の低下を抑えることができる。このように、本発明に係る情報転送システムは、損失リスクおよび転送速度の低下を抑えつつ、いかなる情報でも転送することができる汎用的なデータ通信を実現しているといえる。
【0010】
本発明に係る情報転送システムで、各送信手段および前記受信手段は、互いに送受信可能に構成されており、前記再構成手段は、前記受信手段で各パケットを受信している間に、元の情報を再構成可能な全てのパケットが揃ったとき、前記受信手段および一つの送信手段を介して前記送信制御手段に対して送信終了信号を送信するよう構成され、前記送信制御手段は、前記送信終了信号を受け取ったとき、送信中の情報のパケットの振り分けを停止し、次に送信する情報のパケットを各送信手段に振り分けるよう構成されていてもよい。この場合、全てのパケットを同一回数送信する必要がなく、転送効率を高めることができる。
【0011】
本発明に係る情報転送システムで、前記送信制御手段は、全てのパケットを2回送信可能に、先頭のパケットから並べたときの各パケットの間に、末尾のパケットから順にパケットを挿入して各パケットを並べ、その並び順に各パケットを各送信手段に振り分けるよう構成されていてもよい。この場合、ある時点で各通信回線の品質が低下したときであっても、2回送信した同一のパケットが損失する確率を低減することができ、安定性が高い。損失がないときには、分割した全てのパケットが揃うのが速いため、送信終了信号を送信する構成と組み合わせることにより、さらに転送効率を高めることができる。
【0012】
本発明に係る情報転送システムで、前記送信制御手段は、各送信手段で送信したときの各通信回線のスループットに基づいて、各送信手段に振り分けるパケットサイズを決定し、そのパケットサイズに応じて各パケットに分割して各送信手段に振り分けるよう構成されていてもよい。この場合、実際に送信したときの各通信回線のスループットに基づいて、各通信回線で送信するパケットサイズを調整することができ、各通信回線の状況に応じた送信を行うことができる。このため、パケットの損失リスクを低減することができ、安定性が高い。
【0013】
本発明に係る情報転送システムで、各通信回線はそれぞれ異なるキャリアの携帯電話回線から成り、前記情報は画像情報から成り、ユーザー・データグラム・プロトコル(UDP)により前記受信手段に送信されてもよい。この場合、通信状態が悪いキャリアの回線があっても、他のキャリアの回線にパケットを多く振り分けることにより、転送速度の低下を抑えることができる。携帯電話回線を利用するため、場所を問わず画像情報を高速で安定して転送することができ、応用範囲が広い。通信方式としてUDPを使用するため、TCP(トランスミッション・コントロール・プロトコル)のような確認応答を利用した通信と比べて、回線利用率を高めることができる。UDPはTCPと比べてパケットの損失リスクが高いが、各パケットをそれぞれ2回以上の同一回数送信することにより、そのパケットの損失リスクを低減することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、重要度の有無にかかわらず、より多くの情報を高速で安定して転送することができる情報転送システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態の情報転送システムの構成図である。
【図2】図1に示す情報転送システムの各パケットの転送方法を示す説明図である。
【図3】図1に示す情報転送システムの、走行実験における画像受信機で計測した転送速度を示すグラフである。
【図4】図1に示す情報転送システムの、走行実験における各携帯電話回線の転送速度を示すグラフである。
【図5】図1に示す情報転送システムの、ファイル毎のパケットの到達率を示すグラフである。
【図6】図1に示す情報転送システムの、各画像を再構成するのに必要なファイル毎のデータの到達率を示すグラフである。
【図7】図1に示す情報転送システムの、ファイル毎のパケット送信率を示すグラフである。
【図8】図1に示す情報転送システム(Proposed System)およびFTPによるファイル毎の転送速度を示すグラフである。
【図9】(a)図1に示す情報転送システム(Proposed System)および(b)FTPによる画像受信機でのパケットの到達時間間隔を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図9は、本発明の実施の形態の情報転送システムを示している。
図1に示すように、情報転送システム10は、通信回線として複数の携帯電話回線(Cellular Phone Line)を利用して、UDPの転送方式により画像情報を転送するシステムとして構成されている。情報転送システム10は、画像取得手段11と符号化手段12と送信制御手段13と複数の送信手段14と画像受信機15とを有している。
【0017】
図1に示すように、画像取得手段11は、USBカメラ(USB Camera)から成り、デジタル画像を取得可能である。符号化手段12は、コンピュータ(Encode PC)から成り、画像取得手段11に接続されている。符号化手段12は、画像取得手段11で取得された画像情報をJPEG形式のファイルへ変換するよう構成されている。
【0018】
送信制御手段13は、コンピュータ(Master PC)から成り、符号化手段12に接続されている。送信制御手段13は、符号化手段12からJPEG形式の画像情報を受け取り、その画像情報を複数のパケットに分割し、それぞれにヘッダを付けて送信用のパケットを作成するようになっている。さらに、図2に示すように、送信制御手段13は、作成した全てのパケットを2回送信可能に、先頭のパケットから並べたときの各パケットの間に、末尾のパケットから順にパケットを挿入して各パケットを並べ、その並び順に各パケットを各送信手段14に振り分けるよう構成されている。
【0019】
図1に示すように、各送信手段14は、コンピュータ(Gateway PC)および携帯電話(Cellular Phone)から成り、それぞれ各携帯電話回線に対応して設けられている。各送信手段14は、送信制御手段13に無線LAN(Wireless LAN)で接続されており、それぞれ送信制御手段13で振り分けられたパケットを受け取って、対応する携帯電話回線から送信するよう構成されている。各送信手段14は、対応する携帯電話回線を常に監視し、パケットを送信可能となったときに、送信制御手段13へ送信可能メッセージを送るようになっている。また、各送信手段14は、送信を行うたびに送信に要した時間を計測し、その計測時間と送信したパケットサイズからスループットを求めるようになっている。
【0020】
送信制御手段13は、送信を行うたびに、送信を行った送信手段14のスループットを受け取るようになっている。送信制御手段13は、受け取ったスループットに基づいて、以下のようにして、各送信手段14に振り分けるパケットサイズを決定するよう構成されている。まず、ある送信手段14で送信を行うたびに、前回送信したときよりも大きいサイズのパケットを送る。次に、送信を行った送信手段14のスループットの大幅な低下が起こったとき、そのスループット低下前のパケットサイズを、その送信手段14の最適なパケットサイズと判断して各送信手段14に振り分けるパケットサイズとする。送信制御手段13は、各送信手段14から送信可能メッセージを受け取ったとき、各送信手段14に振り分けるパケットサイズに応じて画像情報を各パケットに分割し、各パケットを送信順に並べて、並び順に各パケットを対応する各送信手段14に送るようになっている。
【0021】
画像受信機15(Image Receiver)は、コンピュータから成り、受信手段16と再構成手段17とを有している。受信手段16は、各携帯電話回線に接続され、各送信手段14から送信された各パケットを受信するよう構成されている。また、受信手段16および各送信手段14は、互いに送受信可能に構成されている。
【0022】
図2に示すように、再構成手段17は、受信手段16で受信した各パケットから、各パケットのヘッダ情報に基づいて、元の情報を再構成するよう構成されている。また、再構成手段17は、受信手段16で各パケットを受信している間に、元の情報を再構成可能な全てのパケットが揃ったとき、受信手段16および一つの送信手段14を介して送信制御手段13に対して送信終了信号(ack)を送信するようになっている。再構成手段17は、パケット損失により、元の情報を再構成可能な全てのパケットが揃わないときには、送信終了信号を送信しないようになっている。再構成手段17は、元の情報を再構成可能な全てのパケットが揃わないうちに、次の情報のパケットを受け取ったとき、パケット損失があったものと判断するようになっている。
【0023】
送信制御手段13は、再構成手段17からの送信終了信号を受け取ったとき、送信中の情報のパケットの振り分けを停止し、次に送信する情報のパケットを各送信手段14に振り分けるよう構成されている。また、送信制御手段13は、送信終了信号を受け取る前に、2回送信するパケットを全て振り分けたときには、すぐに次に送信する情報のパケットを各送信手段14に振り分けるようになっている。
【0024】
次に、作用について説明する。
情報転送システム10は、全てのパケットを2回ずつ送信するよう構成されているため、全てのパケットを1回ずつ送信する場合と比べて、送信する全てのパケットの損失リスクを小さくすることができる。このため、各パケットの重要度の有無にかかわらず、いかなる情報であっても、損失リスクの小さい安定した転送を行うことができる。また、各パケットを図2に示すような並び順で振り分けるため、ある時点で各携帯電話回線の品質が低下したときであっても、2回送信した同一のパケットが損失する確率を低減することができ、より安定性が高い。損失がないときには、分割した全てのパケットが揃うのが速いため、全てのパケットを2回送信する必要がなく、転送時間を短縮して転送効率を高めることができる。
【0025】
情報転送システム10は、使用する携帯電話回線を3回線以上に設定することにより、単一の回線を使用する場合と比べて転送速度を上げることができ、より多くの情報を高速に転送することができる。一つの携帯電話回線が通信不能になったり、転送速度が低下したりしたときであっても、残りの携帯電話回線にパケットを多く振り分けることにより、転送速度の低下を抑えることができる。
【0026】
情報転送システム10は、実際に送信したときの各携帯電話回線のスループットに基づいて、各携帯電話回線で送信するパケットサイズを調整することができるため、各携帯電話回線の状況に応じた送信を行うことができる。各携帯電話回線で送信可能な最大限のパケットサイズで送信したとき、各携帯電話回線の状況によっては、ノイズ等によりパケットの損失が多く発生する可能性がある。情報転送システム10は、このような状況に対応するため、小さいパケットサイズで送信するなど、実際の各携帯電話回線の状況に応じたパケットサイズで送信するようになっており、これによりパケットの損失リスクを低減することができ、安定性が高い。
【0027】
情報転送システム10は、異なるキャリアの携帯電話回線を利用することにより、通信状態が悪いキャリアの回線があっても、他のキャリアの回線にパケットを多く振り分けることにより、転送速度の低下を抑えることができる。携帯電話回線を利用するため、場所を問わず画像情報を高速で安定して転送することができ、応用範囲が広い。通信方式としてUDPを使用するため、TCPのような確認応答を利用した通信と比べて、回線利用率を高めることができる。特に、携帯電話回線では遅延が非常に大きくなる場合があるため、回線利用率の観点から、確認応答を利用した通信よりもUDPの方が有利である。UDPはTCPと比べてパケットの損失リスクが高いが、各パケットをそれぞれ2回送信することにより、そのパケットの損失リスクを低減することができる。
【0028】
このように、情報転送システム10は、損失リスクおよび転送速度の低下を抑えつつ、いかなる情報でも転送することができる汎用的なデータ通信を実現しているといえる。
【0029】
情報転送システム10は、送信制御手段13でDHCP(ダイナミック・ホスト・コンフィギュレーション・プロトコル)のデーモンを稼働させておくことにより、携帯電話回線と無線LANとにアクセス可能なデバイスがある場合に、そのデバイスの認証等を必要とすることなく、そのデバイスを動的に追加して通信回線を増やすことができる。この機能は、「転送可能メッセージ」をブロードキャストすることにより実現可能である。情報転送システム10は、デバイスを動的に追加して通信帯域を拡大できる点で、マルチホーミングとは異なっている。
【実施例1】
【0030】
画像取得手段11、符号化手段12、送信制御手段13および各送信手段14を車に乗せて走行しながら、画像情報の転送実験を行った。通信回線として、異なるキャリアの3つの携帯電話回線を使用した。このときの画像受信機15で計測した転送速度を図3に、各携帯電話回線の転送速度を図4に示す。図3に示すように、情報転送システム10では、1Mbps程度の転送速度が得られていることが確認できる。また、図4に示すように、各携帯電話回線では、400kbps程度の転送速度が出ていることが確認できる。このことから、情報転送システム10によれば、ほぼ回線数に比例した転送速度が得られることがわかる。
【実施例2】
【0031】
通信回線として、異なるキャリアの3つの携帯電話回線を使用して、画像情報の転送実験を行った。転送した画像情報のファイルは、約250個である。このときのファイル毎のパケットの到達率を図5に、各画像を再構成するのに必要なファイル毎のデータの到達率を図6に示す。図5に示すように、パケット到達率は、最低で58%であり、40%以上のパケットが損失する場合があることが確認できる。これに対し、図6に示すように、各画像を再構成するのに必要なデータは、ほとんどのファイルで100%受信できていることが確認できる。
【0032】
これは、情報転送システム10では、全てのパケットを2回送信する、いわゆる多重転送を行っていることから、同一パケットのどちらか一方が失われた場合でも、必要なデータが画像受信機15に到達することにより、各画像を再構成するのに必要なデータの到達率が、パケットの到達率と比較して高くなるためである。このことから、情報転送システム10によれば、パケットの損失リスクを低減することができることが確認できる。
【0033】
また、ファイル毎のパケット送信率を図7に示す。ファイル毎のパケット送信率とは、ファイル毎に全てのパケットを2回送信した場合のパケット数と、実際に画像受信機15が受信したパケット数との比率である。図7に示すように、情報転送システム10では、画像を再構成するのに必要な全てのパケットが揃ったとき、画像受信機15が送信終了信号を送信して次のファイルの送信を要求するため、全てのパケットを2回送信することがない場合が多く、転送効率の低下が抑えられていることが確認できる。
【0034】
なお、パケットの損失なしで送信できた場合には、パケット送信率は50%になるはずであるが、図7に示すように、実際のパケット送信率は小さくても55〜57%に留まっている。これは、画像受信機15が送信終了信号を送信してから送信制御手段13がその送信終了信号を受信するまでの間に送信されたパケットによるものであると考えられる。
【実施例3】
【0035】
TCPの一つであるFTP(ファイル転送プロトコル)との比較実験を行った。実験では、一つの携帯電話回線を使用して、FTPによる転送と情報転送システム10による転送とを交互に行い、ファイル毎の転送時間に基づいて転送速度を求めた。その結果を、図8に示す。また、画像受信機15でのパケットの到達時間間隔を図9に示す。図8に示すように、情報転送システム(Proposed System)10は、FTPに比べて約2倍の転送速度であることが確認できる。また、図9に示すように、FTPでは、定期的に到達時間の間隔が大きくなっていることが確認できる。これは、FTPでは確認応答を利用しており、その確認応答の待ち時間が発生するためである。情報転送システム10は、通信方式として確認応答を利用しないUDPを使用しているため、転送速度でFTPより約2倍高速になっている。
【0036】
情報転送システム10は、全てのパケットを2回送信する多重転送を行っても、図7に示すように、全てのパケットを2回送信する必要がないため、転送時間が2倍にまでになることはない。また、情報転送システム10は、図8に示すように、FTPより約2倍高速である。これらから、情報転送システム10は、FTPで全てのパケットを1回送信する場合と比べても、転送速度が速くなることがわかる。情報転送システム10は、全てのパケットを2回送信することにより、パケットの損失リスクを低減することができるため、損失リスクが小さく、FTPより高速な転送を行うことができる。
【符号の説明】
【0037】
10 情報転送システム
11 画像取得手段
12 符号化手段
13 送信制御手段
14 送信手段
15 画像受信機
16 受信手段
17 再構成手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信回線と、
送信する情報を複数のパケットに分割する送信制御手段と、
各通信回線に対応して複数設けられ、前記送信制御手段で分割された前記パケットを受け取って、対応する通信回線から送信する送信手段と、
各通信回線に接続され、各送信手段から送信された各パケットを受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した各パケットから元の情報を再構成する再構成手段とを有し、
前記送信制御手段は、全てのパケットを2回以上の同一回数送信可能に、各送信手段に振り分けるよう構成されていることを、
特徴とする情報転送システム。
【請求項2】
各送信手段および前記受信手段は、互いに送受信可能に構成されており、
前記再構成手段は、前記受信手段で各パケットを受信している間に、元の情報を再構成可能な全てのパケットが揃ったとき、前記受信手段および一つの送信手段を介して前記送信制御手段に対して送信終了信号を送信するよう構成され、
前記送信制御手段は、前記送信終了信号を受け取ったとき、送信中の情報のパケットの振り分けを停止し、次に送信する情報のパケットを各送信手段に振り分けるよう構成されていることを、
特徴とする請求項1記載の情報転送システム。
【請求項3】
前記送信制御手段は、全てのパケットを2回送信可能に、先頭のパケットから並べたときの各パケットの間に、末尾のパケットから順にパケットを挿入して各パケットを並べ、その並び順に各パケットを各送信手段に振り分けるよう構成されていることを、特徴とする請求項1または2記載の情報転送システム。
【請求項4】
前記送信制御手段は、各送信手段で送信したときの各通信回線のスループットに基づいて、各送信手段に振り分けるパケットサイズを決定し、そのパケットサイズに応じて各パケットに分割して各送信手段に振り分けるよう構成されていることを、特徴とする請求項1、2または3記載の情報転送システム。
【請求項5】
各通信回線はそれぞれ異なるキャリアの携帯電話回線から成り、
前記情報は画像情報から成り、ユーザー・データグラム・プロトコル(UDP)により前記受信手段に送信されることを、
特徴とする請求項1、2、3または4記載の情報転送システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−89961(P2012−89961A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233190(P2010−233190)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 発行者名 :社団法人 電子情報通信学会 刊行物名 :電子情報通信学会技術研究報告 発行年月日:2010年(平成22年)4月19日
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】