説明

情報通知装置、情報通知方法、及びプログラム

【課題】サポート契約していない顧客であれ、アプリケーションソフトウェアを利用している顧客に不具合情報を通知することができる情報通知装置を提供すること。
【解決手段】ユーザコンピュータは、導入されたソフトウェアに組込まれた通信部を実行することにより該ソフトウェアの利用状況を通知する。その通知された利用状況は利用実績管理DB22に記憶される。顧客管理DB25には顧客への連絡先が記憶され、不具合管理DB23にはソフトウェアの不具合が記憶される。管理装置は、利用実績管理DB22に記憶された利用状況から、不具合が発生したソフトウェアを使用中の顧客を抽出し、その顧客にソフトウェアの不具合情報を通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アプリケーションソフトウェアの不具合情報を通知する情報通知装置、情報通知装置、及びプログラムに関するものである。
近年、コンピュータが多くの分野で使用されるようになってきており、コンピュータにインストールするアプリケーションソフトウェアの利用分野も多岐にわたっている。アプリケーションソフトウェアにおける不具合は、アプリケーションソフトウェアを利用する顧客と、そのソフトウェアを提供するメーカとの間に交わされたサポート契約に従って顧客へと提供される。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータにて実行されるアプリケーションソフトウェアに不具合が発生した場合、その提供元であるメーカと提供先である顧客との間で締結されるサポート契約に従って、不具合情報がメーカからメール等の発信手段を介して顧客に通知されている。また、メーカが開設したサポートページに不具合情報が開示されている場合があり、顧客は、メールなどの発信手段を介して受け取ったURLに従ってそのページをアクセスしたり、自発的にアクセスしたりすることで、不具合情報を得ることができるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、メーカから複数種類のアプリケーションソフトウェアを作成しているメーカでは、サポート契約が締結された顧客に対して、全てのアプリケーションソフトウェアにおける不具合をメールやWebにより通知するとともに、アプリケーションソフトウェアのバージョンアップ情報なども通知している。つまり、顧客では、使用しているアプリケーションソフトウェアに対して不要な情報も通知されるため、必要な不具合情報を得るのに多くの時間を費やしたり、見過ごしてしまう場合があった。
【0004】
また、アプリケーションソフトウェアの多くは、サポート契約の終了後も使用することができる。このような場合、メーカは不具合情報を通知しないため、顧客が不具合情報を知ることはできない。
【0005】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、サポート契約していない顧客であれ、アプリケーションソフトウェアを利用している顧客に不具合情報を通知することができる情報通知装置、情報通知方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、顧客が使用するユーザコンピュータに導入されたソフトウェアで発生した不具合の情報を、その顧客へ通知する情報通知装置であって、前記ユーザコンピュータは、前記導入されたソフトウェアに組込まれた通信部を実行することにより該ソフトウェアの利用状況を通知するものであり、その通知された利用状況を記憶する利用実績記憶手段と、少なくとも、前記顧客への連絡先が記憶された顧客記憶手段と、ソフトウェアの不具合が記憶された不具合記憶手段と、前記利用実績記憶手段に記憶された利用状況から、前記不具合が発生したソフトウェアを使用中の顧客を抽出する顧客検索手段と、前記抽出された顧客に前記ソフトウェアの不具合情報を通知する不具合情報通知手段と、を備えたものである。
【0007】
この構成によれば、顧客が使用するユーザコンピュータは、ソフトウェアを使用する毎にそのソフトウェアの利用状況を通知する。情報通知装置は、通知された利用状況に基づいてソフトウェアの不具合を顧客に通知するため、サポート契約をしていない顧客であっても、該当するソフトウェアを利用している顧客には、そのソフトウェアについての不具合が通知される。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報通知装置において、前記ソフトウェアの利用状況を監視する対象範囲が記憶された監視対象基準記憶手段を備え、前記利用実績記憶手段には、前記ソフトウェアの利用日時が記憶され、前記顧客検索手段は、前記利用実績記憶手段の利用日時と前記対象範囲とを比較し、前記対象範囲内に前記ソフトウェアを利用した顧客を抽出するようにした。
【0009】
この構成によれば、対象範囲内にソフトウェアを利用した顧客に対して不具合が通知されるため、ソフトウェアを間欠的に利用する顧客、又はソフトウェアを利用して設計した製品を製造している顧客等、様々な顧客に対して不具合を通知することができる。また、対象範囲を超えた場合に、ソフトウェアを利用していないと判断することで、不要な不具合が通知されなくなり、必要な不具合を容易に判断することができるようになる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の情報通知装置において、前記不具合記憶手段には、不具合の重要度が記憶され、前記顧客記憶手段には、ソフトウェアに関する情報の通知の要否が記憶され、前記不具合情報通知手段は、前記重要度が重大である場合には前記通知の要否に係わらず前記不具合情報を前記顧客に通知し、前記重要度が重大ではない場合には、前記通知が必要と設定された顧客に前記不具合情報を通知し、前記通知が不要と設定された顧客には前記不具合情報を通知しないようにした。
【0011】
この構成によれば、ソフトウェアに関する情報を希望しない顧客であっても、重要な不具合については顧客に通知され、重要ではない不具合については通知を希望していない顧客には通知されないため、顧客にとって重要な不具合のみを容易に知ることが可能となる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、顧客が使用するユーザコンピュータに導入されたソフトウェアで発生した不具合の情報を、その顧客へ通知する情報通知方法であって、前記ユーザコンピュータは、前記導入されたソフトウェアに組込まれた通信部を実行することにより該ソフトウェアの利用状況を通知するものであり、その通知された利用状況を記憶する利用実績記憶手段と、少なくとも、前記顧客への連絡先が記憶された顧客記憶手段と、ソフトウェアの不具合が記憶された不具合記憶手段と、前記利用実績記憶手段に記憶された利用状況から、前記不具合が発生したソフトウェアを使用中の顧客を抽出する顧客検索工程と、前記抽出された顧客に前記ソフトウェアの不具合情報を通知する不具合情報通知工程と、を備えたものである。
【0013】
この構成によれば、顧客が使用するユーザコンピュータは、ソフトウェアを使用する毎にそのソフトウェアの利用状況を通知する。情報通知装置は、通知された利用状況に基づいてソフトウェアの不具合を顧客に通知するため、利用しているソフトウェアについての不具合が通知される。
【0014】
請求項5に記載の発明は、顧客が使用するユーザコンピュータに導入されたソフトウェアで発生した不具合の情報を、その顧客へ通知する情報通知装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、前記ユーザコンピュータは、前記導入されたソフトウェアに組込まれた通信部を実行することにより該ソフトウェアの利用状況を通知するものであり、その通知された利用状況を記憶する利用実績記憶手段と、少なくとも、前記顧客への連絡先が記憶された顧客記憶手段と、ソフトウェアの不具合が記憶された不具合記憶手段と、前記利用実績記憶手段に記憶された利用状況から、前記不具合が発生したソフトウェアを使用中の顧客を抽出する顧客検索手段と、前記抽出された顧客に前記ソフトウェアの不具合情報を通知する不具合情報通知手段と、を備えた情報通知装置として前記コンピュータを機能させるものである。
【0015】
この構成によれば、顧客が使用するユーザコンピュータは、ソフトウェアを使用する毎にそのソフトウェアの利用状況を通知する。情報通知装置は、通知された利用状況に基づいてソフトウェアの不具合を顧客に通知するため、利用しているソフトウェアについての不具合が通知される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、サポート契約していない顧客であれ、アプリケーションソフトウェアを利用している顧客に不具合情報を通知することが可能な情報通知装置、情報通知方法、及びプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図5に従って説明する。
図1は、システムの構成及び接続形態を概略的に示すブロック図である。
ユーザコンピュータ11は、インターネット等のネットワーク12を介してメーカのサーバコンピュータ(以下、単にサーバという)13と相互通信が可能に接続されている。そのサーバ13には、社内ネットワーク14を介して管理装置15、開発者コンピュータ16、販売担当コンピュータ17、及び管理データベース(DB)群20が接続されている。
【0018】
ユーザコンピュータ11には、メーカが提供するアプリケーションソフトウェア(以下、単にソフトウェアという)がインストールされている。図5に示すように、ソフトウェア31は、ユーザが開発等に利用する1つ又は複数のコンポーネントからなるシステム部31aと、このソフトウェア31の利用状況をメーカに通知するための通信部31bとを備えている。通信部31bは、ユーザがこのソフトウェア31を利用する、つまりユーザコンピュータ11がソフトウェア31を実行する毎に、ユーザコンピュータ11により自動的に実行される。コンピュータ11は、通信部31bを実行することにより、ソフトウェア31の利用情報を、図1に示すメーカのサーバ13に送信する。サーバ13は、利用情報を受け取ると、その利用情報を管理DB群20の所定の管理DBに格納する。
【0019】
管理DB群20には、ソフトウェア31を販売した顧客の情報、ソフトウェア31に発生した不具合の情報、等が格納されている。例えば、顧客情報は販売担当者により格納され、不具合情報は開発者により格納される。販売担当者は、顧客との販売契約が成立すると、コンピュータ17を操作することにより、契約されたソフトウェア31の情報や顧客情報を管理DB群20に登録する。ソフトウェア31に不具合が見つかると、開発担当者は、コンピュータ16を操作することにより、その不具合が発生したソフトウェア31に関する情報、不具合の情報、等を管理DB群20に登録する。情報通知装置としての管理装置15は、管理DB群20に格納された各種情報に基づいて、顧客のユーザコンピュータ11にインストールされたソフトウェア31に対応する不具合情報を顧客に通知する。
【0020】
図4は、管理装置15の構成を示す概略図である。
管理装置15はパーソナルコンピュータ、ワークステーション等の汎用的な目的で使用される計算機からなり、中央処理装置(以下、CPU)41、メモリ42、記憶装置43、入出力装置44、通信装置45、及びドライブ装置46を備え、それらはバス47を介して相互に接続されている。
【0021】
CPU41は、メモリ42を利用してプログラムを実行し、デカップリングセル配置に必要な処理を実現する。メモリ42には、デカップリングセル配置処理を行うために必要なプログラムとデータが格納され、メモリ42としては、通常、キャッシュ・メモリ,システム・メモリ,及びディスプレイ・メモリ等(図示略)を含む。
【0022】
入出力装置44は、レイアウト表示、パラメータ入力画面等の表示に用いられる表示装置と、ユーザからの要求や指示、パラメータの入力に用いられる入力装置とを含む。表示装置には通常、CRT,LCD,PDP等(図示略)が用いられる。入力装置にはキーボード及びマウス装置等(図示略)が用いられる。
【0023】
通信装置45は、ネットワーク14への接続に用いられ、通信に伴うデータ変換等を行って、他の情報処理装置(サーバ13またはコンピュータ16,17)との間でプログラムやデータの送受信を行う。
【0024】
記憶装置43は、通常、磁気ディスク装置,光ディスク装置,光磁気ディスク装置等(図示略)を含む。記憶装置43には、図2に示す情報通知処理のためのプログラムデータ(以下、プログラム)が格納される。CPU41は、入出力装置44による指示に応答してプログラムや各種ファイルに格納されるデータを適宜メモリ42へ転送し、プログラムを逐次実行する。そして、CPU41は、プログラムの実行に必要なファイルやデータの読み込み、プログラムの実行によるファイルやデータの作成を、記憶装置43に対して行う。尚、この記憶装置43を、データベースとしても使用してもよい。
【0025】
CPU41が実行するプログラムは、記録媒体48にて提供される。ドライブ装置46は、記録媒体48を駆動し、その記憶内容にアクセスする。CPU41は、ドライブ装置46を介して記録媒体48からプログラムを読み出し、それを記憶装置43にインストールする。尚、記録媒体48に格納して提供するものは、プログラムに限らず、ライブラリ等の各種データを提供しても良い。
【0026】
記録媒体48としては、メモリカード,フレキシブルディスク,光ディスク(CD-ROM,DVD-ROM,… ),光磁気ディスク(MO,MD,…)等(図示略)、任意のコンピュータ読み取り可能な記録媒体を使用することができる。尚、半導体メモリや外部接続されるハードディスク装置等が用いられても良い。この記録媒体48に、上述のプログラムを格納しておき、必要に応じて、メモリ42にロードして使用することもできる。
【0027】
尚、記録媒体48には、通信媒体を介してアップロード又はダウンロードされたプログラムを記録した媒体、ディスク装置、通信媒体を介して管理装置15が接続されるサーバ装置の記憶装置、等を含む。更に、コンピュータによって直接実行可能なプログラムを記録した記録媒体だけでなく、自身又は他の記録媒体(ハードディスク等)にインストールすることによって実行可能となるようなプログラムを記録した記録媒体や、暗号化されたり、圧縮されたりしたプログラムを記録した記録媒体も含む。
【0028】
次に、管理DB群20の構成について説明する。
管理DB群20は、図2に示すように、監視対象基準管理DB21、利用実績管理DB22、不具合管理DB23、契約管理DB24、顧客管理DB25、及び通知履歴管理DB26から構成されている。各DB21〜26には、それぞれ監視対象基準、利用実績、不具合情報、契約情報、顧客情報、通知履歴が格納されている。
【0029】
図3(a)に、監視対象基準のデータ構成例を示す。監視対象基準は、利用中判断、流通迄の期間のデータ項目で構成される。監視対象基準は、ソフトウェア31を購入した顧客のうち、そのソフトウェア31について不具合を通知する顧客であるか否かを監視する基準である。管理装置15のシステム管理者は、ソフトウェアの利用状況を監視する対象範囲管理対象基準として監視対象基準管理DB(監視対象基準記憶手段)21へ設定する。
【0030】
顧客において、バージョンアップや、そのソフトウェアの機能を含む他のソフトウェアをインストールすることにより、ソフトウェアを使用しなくなる場合がある。また、顧客において、仕事の形態やサイクルによって、長期に亘って一時的に使用されなくなる場合がある。ソフトウェアを使用しなくなった場合、そのソフトウェアに発生する不具合は、顧客に通知する必要がなく、また通知することにより他の必要な情報(例えばバージョンが高いソフトウェアにおける不具合情報)が判りにくくなる。このため、ソフトウェアを使用しているか否かを判断し、使用されているソフトウェアについてその不具合情報を通知する。一時的に使用されない場合は不具合情報を通知する必要がある。このため、利用中か否かを判断する基準として、例えば過去1年の期間が設定される。
【0031】
また、流通までの期間が設定される。本実施形態の情報通知装置が対象とするソフトウェアの一例として、半導体集積回路装置(LSI)の設計データを生成するソフトウェア(CADソフトウェア)がある。このソフトウェアの場合、システム部31aのコンポーネントに不具合が発生すると、このソフトウェア31により設計されたLSIの設計データ又はLSIの動作に不具合が内在される場合がある。そして、設計データに内在する不具合や、LSIの動作における不具合(例えば演算ミス)は、実際のチップを作成した後に現れる場合がある。このチップの作成は、設計データの作成、つまりソフトウェア31の使用から所定期間の経過後に行われる。更に、チップに内在する不具合は、そのチップが実際に利用される、つまりチップが流通してから発現する。従って、監視対象基準は、契約終了後も使用され、そのソフトウェア31の使用によって作成される半導体チップのような二次製品が流通するまでに要する期間は、契約期間外であっても不具合情報を通知するように設定されている。
【0032】
図3(b)に、利用実績のデータ構成例を示す。利用実績は、製品名、バージョン、利用日時、利用機能、ライセンス番号のデータ項目で構成される。この利用実績は、上記したように、ソフトウェア31に含まれる通信部31bによりユーザコンピュータ11からサーバ13に通知され、利用実績管理DB(利用実績記憶手段)22に格納される。製品名、バージョンはそれぞれソフトウェア31の製品名、バージョン番号である。利用日時は、ソフトウェア31が使用された、つまりユーザコンピュータ11により実行された日時である。利用機能は、ユーザコンピュータ11が実行した、又はユーザコンピュータ11が活用した機能(コンポーネント)を特定するための情報(名称)である。ライセンス番号は、そのソフトウェア31のサポート契約によりユーザに通知された番号である。
【0033】
図3(c)に、不具合情報のデータ構成例を示す。不具合情報は、不具合ID、製品名、パージョン、発生日、不具合機能、重要度、内容のデータ項目で構成される。不具合IDは、発生した不具合を特定するための識別コードであり、製品名、バージョンは不具合が発生したソフトウェアの製品名、バージョン番号である。発生日は不具合が発生した日付(不具合が発見された日付)であり、不具合機能はその不具合が発生した機能(コンポーネント)の情報である。重要度は、その不具合が及ぼす影響度であり、内容は不具合の内容である。ソフトウェア製品の開発担当者は、ソフトウェアに不具合が見つかると不具合の発生日時や不具合が発生するバージョン、影響度、不具合の内容等を不具合管理DB(不具合記憶手段)23に登録する。
【0034】
図3(d)に、契約情報のデータ構成例を示す。契約情報は、ライセンス番号、契約顧客ID、契約期間、製品名、バージョン、本数、用途のデータ項目で構成される。ライセンス番号はそのソフトウェア31のサポート契約によりユーザに通知された番号であり、契約顧客IDはサポート契約を締結した顧客の識別番号であり、契約期間はサポート契約の期間である。製品名、バージョンはサポート契約の対象であるソフトウェアの製品名、バージョン番号であり、本数は顧客にライセンスされたソフトウェアの本数、用途はソフトウェアの使用用途である。
【0035】
図3(e)に、顧客情報のデータ構成例を示す。顧客情報は、契約顧客ID、会社名、氏名、メールアドレス、電話番号、通知のデータ項目で構成される。契約顧客IDはサポート契約を締結した顧客の識別番号であり、会社名はその会社名であり、氏名、メールアドレス、電話番号はソフトウェアの情報を通知する相手の氏名、メールアドレス、電話番号である。通知は、サポート契約の締結時に顧客が契約したソフトウェア等に関する情報を通知するか否かを示すものである。
【0036】
顧客とソフトウェアの販売契約を締結したら、販売担当者はライセンス番号やサポート契約期間、バージョン情報、利用用途等を契約管理DB(契約記憶手段)24に登録する。また同時に、顧客の個人情報や連絡先、製品情報の通知要否を顧客管理DB(顧客記憶手段)25に登録する。
【0037】
図3(f)に、通知履歴のデータ構成例を示す。通知履歴は、不具合ID、通知顧客ID、通知日のデータ項目で構成される。不具合IDは発生した不具合を特定するための識別コードであり、通知顧客IDは不具合を通知した顧客を特定するために識別コードであり、通知日は不具合を通知した日付である。管理装置15は、不具合を顧客のコンピュータ11へ通知すると、その通知した不具合を特定する識別コード、通知した顧客の識別コード、通知した日付を通知履歴管理DB(通知履歴記憶手段)26に登録する。
【0038】
次に、管理装置15が行う情報通知処理を図2に示すフローチャートに従って説明する。
先ず、ステップ51(監視対象範囲設定工程:監視対象範囲設定手段)において、管理装置15は、監視対象基準管理DB21を参照し、監視対象とする有効期限を設定する。
【0039】
次に、ステップ52(利用実績取得工程:利用実績取得手段)において、管理装置15は、利用実績管理DB22を参照し、ステップ51で取得した有効期限と、参照した利用日時とを比較し、有効期限内に利用されたソフトウェアの製品名/バージョン/ライセンス番号を取得する。
【0040】
次に、ステップ53(不具合取得工程:不具合取得手段)において、管理装置15は、不具合管理DB23を参照し、ステップ52で取得した製品名/バージョンから、利用中のソフトウェアで発生している不具合の情報を取得する。
【0041】
次に、ステップ54(顧客検索工程:顧客検索手段)において、管理装置15は、契約管理DB24を参照し、ステップ52で取得したライセンス番号から、利用中の顧客を特定する。
【0042】
次に、ステップ55(通知判定工程:通知判定手段)において、管理装置15は、顧客管理DB25を参照し、ステップ54において特定した顧客に対する通知の要否を判定する。この時、管理装置15は、ステップ53において取得した不具合の重要度に基づいて、重要度が高い不具合については顧客管理DB25に格納された「通知」項目の内容にかかわらず通知が必要と判断し、重要度が低い不具合については「通知」項目の内容に従って通知が必要と設定された顧客について不具合の通知が必要と判断する。
【0043】
次に、ステップ56において、管理装置15は、通知履歴管理DB26を参照し、ステップ53で取得した不具合が、ステップ54で取得した顧客に対し、通知済みかどうかを確認する。通知済の場合には、処理を終了する。
【0044】
次に、ステップ57(不具合情報通知工程:不具合情報通知手段)において、管理装置15は、ステップ54で取得した顧客の連絡先(メールアドレス)へ、ステップ53で取得した不具合情報を通知する。
【0045】
次に、ステップ58(通知履歴記憶工程)において、管理装置15は、通知した不具合を特定する不具合IDと通知日とを通知履歴管理DB26に登録するとともに、通知した顧客の識別番号を通知顧客IDとして通知履歴管理DB26に登録する。
【0046】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)ユーザコンピュータ11は、導入されたソフトウェア31に組込まれた通信部31bを実行することにより該ソフトウェア31の利用状況を通知する。その通知された利用状況は利用実績管理DB22に記憶される。顧客管理DB25には顧客への連絡先が記憶され、不具合管理DB23にはソフトウェアの不具合が記憶される。管理装置15は、利用実績管理DB22に記憶された利用状況から、不具合が発生したソフトウェアを使用中の顧客を抽出し、その顧客にソフトウェアの不具合情報を通知するようにした。この結果、サポート契約をしていない顧客であっても、該当するソフトウェアを利用している顧客に、そのソフトウェアについての不具合を通知することができる。
【0047】
(2)監視対象基準管理DB21にはソフトウェアの利用状況を監視する対象範囲が記憶され、利用実績管理DB22には、ソフトウェアの利用日時が記憶される。管理装置15は、利用実績管理DB22の利用日時と対象範囲とを比較し、対象範囲内にソフトウェアを利用した顧客を抽出する。従って、対象範囲内にソフトウェアを利用した顧客に対して不具合が通知されるため、ソフトウェアを間欠的に利用する顧客、又はソフトウェアを利用して設計した製品を製造している顧客等、様々な顧客に対して不具合を通知することができる。また、対象範囲を超えた場合に、ソフトウェアを利用していないと判断することで、不要な不具合が通知されなくなり、必要な不具合を容易に判断することができるようになる。
【0048】
(3)不具合管理DB23には、不具合の重要度が記憶され、顧客管理DB25には、ソフトウェアに関する情報の通知の要否が記憶される。管理装置15は、重要度が重大である場合には通知の要否に係わらず不具合情報を顧客に通知し、重要度が重大ではない場合には、通知が必要と設定された顧客に不具合情報を通知し、通知が不要と設定された顧客には不具合情報を通知しないようにした。従って、ソフトウェアに関する情報を希望しない顧客であっても、重要な不具合については顧客に通知され、重要ではない不具合については通知を希望していない顧客には通知されないため、顧客にとって重要な不具合のみを容易に知ることが可能となる。
【0049】
尚、上記各実施の形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記実施形態では、顧客に対する通知の要否を判断する(ステップ55)ようにしたが、不具合の重要度に係わらず全ての不具合情報を顧客に通知する、つまりステップ55を省略してもよい。
【0050】
・上記実施形態において、通知履歴管理DB26の登録内容に基づき、所定の期間(例えば1週間)おきに不具合情報を通知するようにしてもよい。
・上記実施形態では、「通知」項目の内容、重要度に応じて通知の要否を判断するようにしたが、他の情報、例えば利用用途に応じて通知の要否を判断するようにしてもよい。また、利用用途などの複数の情報に基づいて通知の要否を判断するようにしてもよい。例えば、不具合機能と顧客の利用機能とが一致する場合に「通知」項目の内容にかかわらず不具合情報の通知が必要と判断し、不具合機能と顧客の利用機能とが一致しない場合には「重要度」項目と「通知」項目とに基づいて上記実施形態と同様に通知の要否を判断するようにしてもよい。
【0051】
上記各実施の形態から把握できる技術的思想を以下に記載する。
(付記1)
顧客が使用するユーザコンピュータに導入されたソフトウェアで発生した不具合の情報を、その顧客へ通知する情報通知装置であって、
前記ユーザコンピュータは、前記導入されたソフトウェアに組込まれた通信部を実行することにより該ソフトウェアの利用状況を通知するものであり、
その通知された利用状況を記憶する利用実績記憶手段と、
少なくとも、前記顧客への連絡先が記憶された顧客記憶手段と、
ソフトウェアの不具合が記憶された不具合記憶手段と、
前記利用実績記憶手段に記憶された利用状況から、前記不具合が発生したソフトウェアを使用中の顧客を抽出する顧客検索手段と、
前記抽出された顧客に前記ソフトウェアの不具合情報を通知する不具合情報通知手段と、
を備えたことを特徴とする情報通知装置。
(付記2)
前記ソフトウェアの利用状況を監視する対象範囲が記憶された監視対象基準記憶手段を備え、
前記利用実績記憶手段には、前記ソフトウェアの利用日時が記憶され、
前記顧客検索手段は、前記利用実績記憶手段の利用日時と前記対象範囲とを比較し、前記対象範囲内に前記ソフトウェアを利用した顧客を抽出する、ことを特徴とする付記1に記載の情報通知装置。
(付記3)
前記不具合記憶手段には、不具合の重要度が記憶され、
前記顧客記憶手段には、ソフトウェアに関する情報の通知の要否が記憶され、
前記不具合情報通知手段は、前記重要度が重大である場合には前記通知の要否に係わらず前記不具合情報を前記顧客に通知し、前記重要度が重大ではない場合には、前記通知が必要と設定された顧客に前記不具合情報を通知し、前記通知が不要と設定された顧客には前記不具合情報を通知しない、ことを特徴とする付記1又は2に記載の情報通知装置。
(付記4)
通知した不具合を特定するための識別情報と、該不具合を通知した顧客を特定するための通知識別情報とを記憶する通知履歴記憶手段を備え、
前記不具合情報通知手段は、前記顧客検索手段により検索された顧客の識別情報にて前記通知履歴記憶手段の通知識別情報を検索し、前記顧客に対する通知の履歴が存在するその顧客へ不具合を通知しないようにし、前記客に対する通知の履歴が存在しない場合にはその顧客へ不具合を通知する、ことを特徴とする請求項1乃至3のうちの何れか一項に記載の情報通知装置。
(付記5)
顧客が使用するユーザコンピュータに導入されたソフトウェアで発生した不具合の情報を、その顧客へ通知する情報通知方法であって、
前記ユーザコンピュータは、前記導入されたソフトウェアに組込まれた通信部を実行することにより該ソフトウェアの利用状況を通知するものであり、
その通知された利用状況を記憶する利用実績記憶手段と、
少なくとも、前記顧客への連絡先が記憶された顧客記憶手段と、
ソフトウェアの不具合が記憶された不具合記憶手段と、
前記利用実績記憶手段に記憶された利用状況から、前記不具合が発生したソフトウェアを使用中の顧客を抽出する顧客検索工程と、
前記抽出された顧客に前記ソフトウェアの不具合情報を通知する不具合情報通知工程と、
を備えたことを特徴とする情報通知方法。
(付記6)
前記ソフトウェアの利用状況を監視する対象範囲が記憶された監視対象基準記憶手段を備え、
前記利用実績記憶手段には、前記ソフトウェアの利用日時が記憶され、
前記顧客検索工程では、前記利用実績記憶手段の利用日時と前記対象範囲とを比較し、前記対象範囲内に前記ソフトウェアを利用した顧客を抽出する、ことを特徴とする付記5に記載の情報通知方法。
(付記7)
前記不具合記憶手段には、不具合の重要度が記憶され、
前記顧客記憶手段には、ソフトウェアに関する情報の通知の要否が記憶され、
前記不具合情報通知工程では、前記重要度が重大である場合には前記通知の要否に係わらず前記不具合情報を前記顧客に通知し、前記重要度が重大ではない場合には、前記通知が必要と設定された顧客に前記不具合情報を通知し、前記通知が不要と設定された顧客には前記不具合情報を通知しない、ことを特徴とする付記5又は6に記載の情報通知方法。
(付記8)
通知した不具合を特定するための識別情報と、該不具合を通知した顧客を特定するための通知識別情報とを記憶する通知履歴記憶手段を備え、
前記不具合情報通知工程では、前記顧客検索手段により検索された顧客の識別情報にて前記通知履歴記憶手段の通知識別情報を検索し、前記顧客に対する通知の履歴が存在するその顧客へ不具合を通知しないようにし、前記客に対する通知の履歴が存在しない場合にはその顧客へ不具合を通知する、ことを特徴とする付記5乃至7のうちの何れか一項に記載の情報通知方法。
(付記9)
顧客が使用するユーザコンピュータに導入されたソフトウェアで発生した不具合の情報を、その顧客へ通知する情報通知装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記ユーザコンピュータは、前記導入されたソフトウェアに組込まれた通信部を実行することにより該ソフトウェアの利用状況を通知するものであり、
その通知された利用状況を記憶する利用実績記憶手段と、
少なくとも、前記顧客への連絡先が記憶された顧客記憶手段と、
ソフトウェアの不具合が記憶された不具合記憶手段と、
前記利用実績記憶手段に記憶された利用状況から、前記不具合が発生したソフトウェアを使用中の顧客を抽出する顧客検索手段と、
前記抽出された顧客に前記ソフトウェアの不具合情報を通知する不具合情報通知手段と、
を備えた情報通知装置として前記コンピュータを機能させるプログラム。
(付記10)
前記ソフトウェアの利用状況を監視する対象範囲が記憶された監視対象基準記憶手段を備え、
前記利用実績記憶手段には、前記ソフトウェアの利用日時が記憶され、
前記顧客検索手段は、前記利用実績記憶手段の利用日時と前記対象範囲とを比較し、前記対象範囲内に前記ソフトウェアを利用した顧客を抽出する、ことを特徴とする付記9に記載のプログラム。
(付記11)
前記不具合記憶手段には、不具合の重要度が記憶され、
前記顧客記憶手段には、ソフトウェアに関する情報の通知の要否が記憶され、
前記不具合情報通知手段は、前記重要度が重大である場合には前記通知の要否に係わらず前記不具合情報を前記顧客に通知し、前記重要度が重大ではない場合には、前記通知が必要と設定された顧客に前記不具合情報を通知し、前記通知が不要と設定された顧客には前記不具合情報を通知しない、ことを特徴とする付記9又は10に記載のプログラム。
(付記12)
通知した不具合を特定するための識別情報と、該不具合を通知した顧客を特定するための通知識別情報とを記憶する通知履歴記憶手段を備え、
前記不具合情報通知手段は、前記顧客検索手段により検索された顧客の識別情報にて前記通知履歴記憶手段の通知識別情報を検索し、前記顧客に対する通知の履歴が存在するその顧客へ不具合を通知しないようにし、前記客に対する通知の履歴が存在しない場合にはその顧客へ不具合を通知する、ことを特徴とする付記9乃至11のうちの何れか一項に記載のプログラム。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】一実施形態のネットワークシステムの概略構成図である。
【図2】一実施形態の情報通知処理を示すフローチャートである。
【図3】(a)〜(f)は各種情報のデータ構成例を示す説明図である。
【図4】情報通知装置の概略構成図である。
【図5】アプリケーションソフトウェアの構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0053】
11 ユーザコンピュータ
15 管理装置(情報通知装置)
21 監視対象規準管理DB
22 利用実績管理DB
23 不具合管理DB
24 契約管理DB
25 顧客管理DB
26 通知履歴管理DB
31 ソフトウェア
31b 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客が使用するユーザコンピュータに導入されたソフトウェアで発生した不具合の情報を、その顧客へ通知する情報通知装置であって、
前記ユーザコンピュータは、前記導入されたソフトウェアに組込まれた通信部を実行することにより該ソフトウェアの利用状況を通知するものであり、
その通知された利用状況を記憶する利用実績記憶手段と、
少なくとも、前記顧客への連絡先が記憶された顧客記憶手段と、
ソフトウェアの不具合が記憶された不具合記憶手段と、
前記利用実績記憶手段に記憶された利用状況から、前記不具合が発生したソフトウェアを使用中の顧客を抽出する顧客検索手段と、
前記抽出された顧客に前記ソフトウェアの不具合情報を通知する不具合情報通知手段と、
を備えたことを特徴とする情報通知装置。
【請求項2】
前記ソフトウェアの利用状況を監視する対象範囲が記憶された監視対象基準記憶手段を備え、
前記利用実績記憶手段には、前記ソフトウェアの利用日時が記憶され、
前記顧客検索手段は、前記利用実績記憶手段の利用日時と前記対象範囲とを比較し、前記対象範囲内に前記ソフトウェアを利用した顧客を抽出する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報通知装置。
【請求項3】
前記不具合記憶手段には、不具合の重要度が記憶され、
前記顧客記憶手段には、ソフトウェアに関する情報の通知の要否が記憶され、
前記不具合情報通知手段は、前記重要度が重大である場合には前記通知の要否に係わらず前記不具合情報を前記顧客に通知し、前記重要度が重大ではない場合には、前記通知が必要と設定された顧客に前記不具合情報を通知し、前記通知が不要と設定された顧客には前記不具合情報を通知しない、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報通知装置。
【請求項4】
顧客が使用するユーザコンピュータに導入されたソフトウェアで発生した不具合の情報を、その顧客へ通知する情報通知方法であって、
前記ユーザコンピュータは、前記導入されたソフトウェアに組込まれた通信部を実行することにより該ソフトウェアの利用状況を通知するものであり、
その通知された利用状況を記憶する利用実績記憶手段と、
少なくとも、前記顧客への連絡先が記憶された顧客記憶手段と、
ソフトウェアの不具合が記憶された不具合記憶手段と、
前記利用実績記憶手段に記憶された利用状況から、前記不具合が発生したソフトウェアを使用中の顧客を抽出する顧客検索工程と、
前記抽出された顧客に前記ソフトウェアの不具合情報を通知する不具合情報通知工程と、
を備えたことを特徴とする情報通知方法。
【請求項5】
顧客が使用するユーザコンピュータに導入されたソフトウェアで発生した不具合の情報を、その顧客へ通知する情報通知装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記ユーザコンピュータは、前記導入されたソフトウェアに組込まれた通信部を実行することにより該ソフトウェアの利用状況を通知するものであり、
その通知された利用状況を記憶する利用実績記憶手段と、
少なくとも、前記顧客への連絡先が記憶された顧客記憶手段と、
ソフトウェアの不具合が記憶された不具合記憶手段と、
前記利用実績記憶手段に記憶された利用状況から、前記不具合が発生したソフトウェアを使用中の顧客を抽出する顧客検索手段と、
前記抽出された顧客に前記ソフトウェアの不具合情報を通知する不具合情報通知手段と、
を備えた情報通知装置として前記コンピュータを機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−250842(P2008−250842A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−93852(P2007−93852)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】