説明

情報配信サーバ、移動通信端末、情報配信システム及び情報配信方法

【課題】 バッテリ消費の観点で効率的であり、かつユーザの位置の変化に対する追従性の高い情報配信サーバ、移動通信端末、情報配信システム及び情報配信方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明に係る移動通信端末10は、位置情報を含む配信要求信号を情報配信サーバ20に送信して、情報配信サーバ20から位置情報に対応する配信情報を受信する移動通信端末10であって、コンテンツ位置情報と、コンテンツ位置情報に対応するコンテンツ情報と、移動通信端末の位置情報の周辺に位置するコンテンツ情報の分布に関する情報とを含む配信情報を位置情報に対応付けて記憶する情報蓄積部14と、コンテンツ情報の分布に関する情報に基づいて最新の位置情報に近い未配信のコンテンツ情報の存在を判定して情報配信サーバ20に配信要求信号を送信するか否かを決定する送信判断部15と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信端末に対して配信情報の配信を行う情報配信サーバ、移動通信端末、情報配信システム及び情報配信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の移動通信端末に対して、移動通信端末のユーザに有用な情報を配信する通信サービスが広く普及されている。その中でもユーザの現在の位置情報を用いて配信する情報を決定する位置依存通信サービスが広く利用されている。そのような位置依存通信サービスに関する技術を開示するものとしては、特許文献1及び2がある。
【0003】
特許文献1には、位置情報サーバから送出された特定の位置情報を含むコンテンツ取得要求データを送信した携帯電話に対して、そのデータに含まれた特定の位置情報に関連したコンテンツを携帯電話に送信するコンテンツサーバと、過去に位置情報サーバから送出された位置情報、過去にコンテンツサーバから取得したコンテンツなどの組を記憶する情報蓄積部を有し、コンテンツサーバに対して配信要求を行う携帯電話とを備える情報提供システムが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、携帯電話が在圏する通信管理エリアに関する管理エリアの位置情報やコンテンツ情報等の各種情報を配信する位置登録サーバ及び情報提供サーバと、これらのサーバに対して配信要求を行う携帯電話とを備える通信システムが開示されている。
【特許文献1】特開2004−289256号公報
【特許文献2】特開2006−155508号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の情報提供システムにおいては、携帯電話が特定の位置情報に関連するコンテンツを情報蓄積部が記憶していない場合に、コンテンツ取得要求データを生成してコンテンツサーバに配信要求を行う。そのため、取得すべきコンテンツ情報の変化がないような移動を伴わない準静止状態であっても、携帯電話が特定の位置情報に関連するコンテンツを情報蓄積部が記憶していない限り、画一的に配信要求が行われてしまい、電力消費の観点から非効率である。また、特許文献2に記載の情報提供システムにおいては、携帯電話が予め初期設定で設定されているタイミングや利用者が設定したタイミングで配信要求を行う。そのため、取得すべきコンテンツ情報が頻繁に変化する高速移動状態の場合には、タイミング間隔によってはコンテンツ情報の更新が遅れることが生じる。従って、電力消費の効率化と移動に対する情報更新の追従性の両立が困難であった。
【0006】
本発明は、このような問題を鑑みてなされたものであり、消費電力の観点で効率的であり、かつユーザの位置の変化に対する追従性の高い情報配信サーバ、移動通信端末、情報配信システム及び情報配信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するため、本発明に係る移動通信端末は、位置情報を含む配信要求信号を所定の情報配信サーバに送信して、所定の情報配信サーバから位置情報に対応する配信情報を受信する移動通信端末であって、所定の測位周期で位置情報の測位を実行する測位手段と、情報配信サーバから送信された位置情報に近い場所を示すコンテンツ位置情報と、コンテンツ位置情報に対応するコンテンツ情報と、移動通信端末の位置情報の周辺に位置するコンテンツ情報の分布に関する情報とを含む配信情報を位置情報に対応付けて記憶する情報蓄積手段と、情報蓄積手段に記憶されているコンテンツ情報の分布に関する情報に基づいて最新の位置情報に近い未配信のコンテンツ情報の存在を判定して情報配信サーバに配信要求信号を送信するか否かを決定する送信判断手段と、送信判断手段により情報配信サーバに配信要求信号を送信する旨の決定がされると、最新の位置情報を含む配信要求信号を送信する配信要求信号送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る移動通信端末は、情報配信サーバから、移動通信端末の位置情報に近い場所を示すコンテンツ位置情報、及びコンテンツ位置情報に対応するコンテンツ情報のみならず、移動通信端末の位置情報の周辺に位置するコンテンツ情報の分布に関する情報も受信する。
【0009】
これにより、移動通信端末は、コンテンツ情報の分布に関する情報に基づいて最新の位置情報に近い未配信のコンテンツ情報の存在を判定して情報配信サーバに配信要求信号を送信するか否かを決定し、必要である場合にのみ配信要求信号を送信することができる。そのため、従来のように、特定の位置情報に関連するコンテンツを記憶していない時に又は予め決められたタイミング間隔で自動的に配信要求信号が送信されることを回避することができる。従って、本発明に係る移動通信端末によれば、電力消費の効率化と移動に対する情報更新の追従性の両立を図ることができる。
【0010】
また、本発明に係る移動通信端末によれば、その位置情報の周辺の未取得コンテンツ情報を含むコンテンツ情報の分布を推定することができる。これにより、移動通信端末の位置情報の周辺のコンテンツ情報の分布が一様でない場合であっても対応することができると共に、上記の効果を得ることができる。
【0011】
また、コンテンツ情報の分布に関する情報は、移動通信端末の位置情報に近い場所を示すコンテンツ位置情報の周辺の特定領域の内部のコンテンツ密度であることが好適である。
【0012】
移動通信端末の位置情報の周辺に未取得コンテンツ情報を含むコンテンツ情報が多いとき、コンテンツ情報の分布に関する情報として各コンテンツ情報に対応付けられたコンテンツ位置情報そのものを移動通信端末が受信すると、通信量が多くなりバッテリ消費やネットワーク利用の観点から効率的ではない。そのため、コンテンツ情報の分布に関する情報として統計的な値であるコンテンツ密度を利用することで、通信量を軽減し、効率的なバッテリ消費及びネットワーク利用を図ることができる。
【0013】
また、コンテンツ情報の分布に関する情報は、移動通信端末の位置情報に近い場所を示すコンテンツ位置情報の周辺の特定領域の内部に位置づけられたコンテンツ情報に対応するコンテンツ位置情報であることが好適である。
【0014】
これにより、コンテンツ情報の分布に関する情報を精度良く把握することができる。また、移動通信端末の位置情報の周辺にコンテンツ情報が少ない場合には通信量も問題にならない。
【0015】
また、特定領域は、移動通信端末の位置情報を中心とする円環を描き、該円環の外側領域を分割した領域により特定されることが好適である。
【0016】
これにより、移動通信端末が位置情報の周辺のコンテンツ情報を全方位に等しく保持することができ、移動通信端末のユーザが次に進む方向が予測できない場合であっても、効果的に移動に対する追従性を向上させることができる。
【0017】
また、本発明に係る情報配信サーバは、上記の移動通信端末に配信情報を配信する情報配信サーバであって、移動通信端末から送信された位置情報を含む配信要求信号を受信する配信要求信号受信手段と、コンテンツ情報と該コンテンツ情報に対応するコンテンツ位置情報とが関連付けられて記憶されている配信情報記憶手段と、配信要求信号受信手段により受信された位置情報に近い場所を示すコンテンツ位置情報と、コンテンツ位置情報に対応するコンテンツ情報と、移動通信端末の位置情報の周辺に位置するコンテンツ情報の分布に関する情報とを含む配信情報を取得する配信情報取得手段と、配信情報取得部によって取得された配信情報を移動通信端末に配信する情報配信手段と、を備えることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る情報配信サーバでは、位置情報を含む配信要求信号を送信した移動通信端末に対して、移動通信端末の位置情報に近い場所を示すコンテンツ位置情報、及びコンテンツ位置情報に対応するコンテンツ情報のみならず、移動通信端末の位置情報の周辺に位置するコンテンツ情報の分布に関する情報も配信される。
【0019】
これにより、本発明に係る情報配信サーバから配信情報を受信した移動通信端末は、コンテンツ情報の分布に関する情報に基づいて最新の位置情報に近い未配信のコンテンツ情報の存在を判定して情報配信サーバに配信要求信号を送信するか否かを決定し、必要である場合にのみ配信要求信号を送信することができる。そのため、従来のように、特定の位置情報に関連するコンテンツを記憶していない時に又は予め決められたタイミング間隔で、自動的に配信要求信号が送信されることを回避することができる。従って、本発明に係る情報配信サーバによれば、電力消費の効率化と移動に対する情報更新の追従性の両立を図ることができる。
【0020】
また、本発明に係る情報配信サーバによれば、本情報配信サーバから配信情報を受信した移動通信端末は、その位置情報の周辺の未取得コンテンツ情報を含むコンテンツ情報の分布を推定することができる。これにより、移動通信端末の位置情報の周辺のコンテンツ情報の分布が一様でない場合であっても対応することができると共に、上記の効果を得ることができる。
【0021】
また、コンテンツ情報の分布に関する情報は、移動通信端末の位置情報に近い場所を示すコンテンツ位置情報の周辺の特定領域の内部のコンテンツ密度であることが好適である。
【0022】
移動通信端末の位置情報の周辺に未取得コンテンツ情報を含むコンテンツ情報が多いとき、コンテンツ情報の分布に関する情報として各コンテンツ情報に対応付けられたコンテンツ位置情報そのものが情報配信サーバから配信されると、通信量が多くなりバッテリ消費やネットワーク利用の観点から効率的ではない。そのため、コンテンツ情報の分布に関する情報として統計的な値であるコンテンツ密度を利用することで、通信量を軽減し、効率的なバッテリ消費及びネットワーク利用を図ることができる。
【0023】
また、コンテンツ情報の分布に関する情報は、移動通信端末の位置情報に近い場所を示すコンテンツ位置情報の周辺の特定領域の内部に位置づけられたコンテンツ情報に対応するコンテンツ位置情報であることが好適である。
【0024】
これにより、コンテンツ情報の分布に関する情報を精度良く把握することができる。また、移動通信端末の位置情報の周辺にコンテンツ情報が少ない場合には通信量も問題にならない。
【0025】
また、特定領域は、移動通信端末の位置情報を中心とする円環を描き、該円環の外側領域を分割した領域により特定されることが好適である。
【0026】
これにより、移動通信端末が位置情報の周辺のコンテンツ情報を全方位に等しく保持することができ、移動通信端末のユーザが次に進む方向が予測できない場合であっても、効果的に移動に対する追従性を向上させることができる。
【0027】
また、本発明に係る情報配信システムは、上記の移動通信端末と、上記の情報配信サーバと、を備えることを特徴とする。
【0028】
本発明に係る情報配信システムによれば、コンテンツ情報の分布が一様でない場合であっても、バッテリ消費やネットワーク利用の観点での効率性と、移動に対する追従性とが両立する情報配信システムを提供することができる。
【0029】
また、本発明に係る情報配信方法は、位置情報を含む配信要求信号を送信する移動通信端末と、移動通信端末の位置情報に対応する配信情報を移動通信端末に配信する情報配信サーバとを備える情報配信システムで実行される情報配信方法において、移動通信端末が、配信情報に含まれるコンテンツ情報の分布に関する情報に基づいて最新の位置情報に近い未配信のコンテンツ情報の存在を判定して配信要求信号を情報配信サーバに送信するか否かを決定する送信判断ステップと、送信判断ステップにおいて情報配信サーバに対して配信要求信号を送信することが決定されると、最新の位置情報を含む配信要求信号を情報配信サーバに送信する配信要求信号送信ステップと、情報配信サーバが、配信要求信号送信ステップにおいて送信された配信要求信号に含まれた最新の位置情報に近い場所を示すコンテンツ位置情報と、コンテンツ位置情報に対応するコンテンツ情報と、位置情報の周辺に位置するコンテンツ情報の分布に関する情報とを含む配信情報を移動通信端末に送信する情報配信ステップと、を備えることを特徴とする。
【0030】
本発明に係る情報配信方法によれば、移動通信端末は、コンテンツ情報の分布に関する情報に基づいて最新の位置情報に近い未配信のコンテンツ情報の存在を判定して情報配信サーバに配信要求信号を送信するか否かを決定し、必要である場合にのみ配信要求信号を送信することができる。そのため、従来のように、特定の位置情報に関連するコンテンツを記憶していない時に又は予め決められたタイミング間隔で自動的に配信要求信号が送信されることを回避することができる。従って、本発明に係る情報配信方法によれば、電力消費の効率化と移動に対する情報更新の追従性の両立を図ることができる。
【0031】
また、本発明に係る情報配信方法によれば、移動通信端末がその位置情報の周辺の未取得コンテンツ情報を含むコンテンツ情報の分布を推定することができる。これにより、移動通信端末の位置情報の周辺のコンテンツ情報の分布が一様でない場合であっても対応することができると共に、上記の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る情報配信サーバ、移動通信端末、情報配信システム及び情報配信方法によれば、電力消費の効率化と移動に対する情報更新の追従性の両立を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面と共に本発明に係る情報配信サーバ、移動通信端末、情報配信システム及び情報配信方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0034】
図1は、本実施形態に係る情報配信システム1の機能的構成を示す図である。図1に示すように、情報配信システム1は、移動通信端末10と、移動通信網(図示せず)を介して移動通信端末10に接続されている情報配信サーバ20と、を備える。情報配信システム1は、情報配信サーバ20が移動通信端末10に対してユーザにとって有用な情報を含むテキストデータ、映像データ、音声データ等の配信情報を配信するシステムである。
【0035】
移動通信端末10は、物理的には、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)103、入力デバイス104、出力デバイス105、通信モジュール106、補助記憶装置107、電池108aと電池108aのオンオフを制御するコントローラを含む電源ユニット108、及びGPS(Global Positioning System)受信モジュール109により構成されている。これらの構成要素が動作することにより、以下に説明する移動通信端末10の各機能が発揮される。
【0036】
図3に、情報配信サーバ20のハードウェア構成を示す。図3に示すように、CPU201、ROM202、RAM203、情報配信サーバ20に対して情報を入力するためのキーボード等の入力装置204、情報を出力するためのモニタ等の出力装置205、データ送受信デバイスであるネットワークカード等の通信モジュール206、及びハードディスク等の補助記憶装置207を備えるコンピュータとして構成される。これらの構成要素を動作することにより、情報配信サーバ20の後述する機能は発揮される。引き続いて、移動通信端末10及び情報配信サーバ20の機能について説明する。
【0037】
図1に示されるように、移動通信端末10は、機能的な構成として通信部11、タイ
マ13、測位部12、情報蓄積部14、送信判断部15、配信要求信号送信部16及び
出力部17を備える。
【0038】
通信部11は、他の移動通信端末や固定電話などとの通話データやメールなどの各種データの送受信を行う。
【0039】
測位部12は、タイマ13によって計時される時間を監視し、タイマ13での計時値が所定の測位周期Tの時間間隔、例えば5分に到達すると測位周期が経過したと判断してGPS測位を行う。さらに、測位部12は、GPS測位で取得した位置情報を測位時刻に対応付けて情報蓄積部14に記憶させると共に、タイマ13をリセットする。GPS測位では、少なくとも3以上のGPS衛星からのデータに基づいて緯度、経度を算出して、移動通信端末10の位置情報を求める。なお、GPS測位方式の代りに、セルベース測位方式、単一局測位方式、複数局測位方式等が用いられてもよい。
【0040】
情報蓄積部14は、測位部12で取得した位置情報を測位時刻に対応付けで記憶し、複数の位置情報を保存する。さらに、移動通信端末10が送信した位置情報に対して情報配信サーバ20により配信されたその位置情報に近い上位N件のコンテンツ位置情報と、各コンテンツ位置情報に対応するコンテンツ情報と、その測位情報を含む特定エリア内のコンテンツ密度情報とを対応付けて記憶し、複数のコンテンツ情報を保存する。
【0041】
なお、ここで、コンテンツ情報とは、レストラン、小売店、公園または公共施設などの情報が広く含まれるものである。また、コンテンツ位置情報とは、コンテンツ情報によって情報提供される場所を特定するための情報、すなわちコンテンツ情報の提供元となるレストランや小売店、特定の公園や公共施設などの位置を特定するための情報をいう。また、コンテンツ分布情報とは、コンテンツ情報がどの範囲内にどれくらい位置づけられているかを現すものであり、例えばその特定エリア内のコンテンツ密度が挙げられる。
【0042】
また、コンテンツ密度は、測位位置を中心とする所定の円環の内側領域(特定エリア内)に位置づけられたコンテンツ情報の件数をC、同エリアの面積をSとするとき、C/Sで算出される値が挙げられる。また、コンテンツ分布情報は、特定領域の内部に位置づけられたコンテンツ情報に対応するコンテンツ位置情報自体であってもよい。これにより、精度良くコンテンツ情報の分布に関する情報を把握することができる。また、移動通信端末の位置情報の示す位置の周辺にコンテンツ情報が少ない場合には通信量も問題にならない。
【0043】
ただし、本実施形態においては、それぞれのコンテンツ情報に対応付けられたコンテンツ位置情報に基づき、コンテンツ情報を移動通信端末10の位置からの距離について昇順に並べたとき、N番目となるコンテンツ情報を“N位のコンテンツ情報”と呼称する。また、1番目からN番目までのコンテンツ情報を“上位N件のコンテンツ情報”あるいは単に“最寄のコンテンツ情報”と呼ぶものとする。
【0044】
タイマ13は、測位部12によってリセットが行われない限り継続して計時し、測位部12による測位周期Tの経過判定に利用される。
【0045】
送信判断部15は、情報配信サーバ20に配信要求信号を送信するか否かを決定する。具体的には、まず、測位部12により取得した移動通信端末10の位置情報に基づいて測位位置を特定する。その後、情報配信サーバ20から取得し保持し続けているコンテンツ情報のうち最新の測位位置に近いコンテンツ位置情報に対応するN(N>0)件数、例えば5件、のコンテンツ情報と、情報配信サーバ20が保持しているコンテンツ情報のうち最新の位置情報に近いコンテンツ位置情報に対応する(N>0)件数、例えば5件、のコンテンツ情報とを比較し、一致しないコンテンツ情報の件数をCとして、誤り率C/Nを推定する。
【0046】
推定した誤り率が予め設定された所定の閾値(例えば0.6)以上の場合には、情報配信を求める配信要求信号を情報配信サーバに送信することを決定する。一方、推定した誤り率が予め設定された所定の閾値(例えば0.6)未満の場合には、配信要求信号を情報配信サーバに送信しないことを決定する。位置情報を情報配信サーバに送信することの決定がなされた場合には、その旨が配信要求信号送信部16に出力される。
【0047】
配信要求信号送信部16は、送信判断部15から配信要求信号を情報配信サーバに送信する旨の決定の通知を受け、情報配信サーバ20に対して情報配信を求める配信要求信号を送信する。具体的に説明すると、配信要求信号送信部16は、送信判断部15から配信要求信号を情報配信サーバに送信する旨の決定が通知されると、情報蓄積部14に記憶されている位置情報のうち、測位時刻が最新の位置情報を抽出する。その後、その最新の位置情報を含む配信要求信号を情報配信サーバ20に送信する。
【0048】
出力部17は、情報配信サーバ20から配信情報を受信した時に、情報蓄積部14に蓄積されたコンテンツ情報のうち、最新の受信時刻のコンテンツ情報を抽出して出力デバイス105に表示させる。
【0049】
また、移動通信端末10は、コンテンツ情報のジャンルを入力することができる入力部を備えていることが好ましい。これにより、飲食店、ホテルのようなコンテンツ情報のジャンル別に最寄のコンテンツ情報を移動通信端末10のユーザが受信することができる。
【0050】
情報配信サーバ20は、図1に示されるように、機能的な構成として、配信要求信号受信部21、配信情報記憶部22、配信情報取得部23、及び情報配信部24を備える。
配信情報記憶部22には、コンテンツ情報とそのコンテンツ情報が配信される場所を特定するコンテンツ位置情報とが関連付けられて記憶されている。また、各コンテンツ情報には、“飲食店”、“ホテル”等のコンテンツ情報に付随する関連情報が更に関連付けられている。
【0051】
配信要求信号受信部21は、移動通信端末10からの配信要求信号を受信し、その配信要求信号に含まれている移動通信端末10の位置情報を抽出する。また、配信要求信号受信部21は、その抽出された位置情報を配信情報取得部23に通知する。
【0052】
配信情報取得部23は、配信要求信号受信部21から通知された位置情報から特定される緯度、経度、すなわち測位地位に近い上位N件のコンテンツ位置情報と、その各コンテンツ位置情報に対応するコンテンツ情報とを配信情報記憶部22から取得する。また、移動通信端末10の測位位置の周辺のコンテンツ情報の分布に関する情報であるコンテンツ密度情報を取得する。ただし、移動通信端末10のユーザにより入力部に所定の条件が入力された場合には、配信情報取得部23は、その入力された条件に合致する関連情報が対応付けられているコンテンツとそのコンテンツ情報に対応するコンテンツ位置情報を取得し、またコンテンツ密度情報の取得においても、入力された条件に合致する関連情報に対応付けられているコンテンツ情報及びコンテンツ位置情報のみが考慮される。
【0053】
引き続いて、取得したコンテンツ情報、コンテンツ位置情報、及びコンテンツ密度情報は、配信情報取得部23により情報配信部24に出力される。ここで、コンテンツ情報の分布に関する情報としては、測位位置を中心とする円環を描き、その円環の外側領域の全方位をメッシュ分割した領域のうちのある領域に位置づけられたコンテンツ情報の件数をC、同領域の面積をSとするとき、C/Sで算出されるコンテンツ密度であってもよく、同領域の面積Sの内部に位置づけられたコンテンツ情報に対応するコンテンツ位置情報自体であってもよい。
【0054】
情報配信部24は、配信情報取得部23から入力されたコンテンツ情報、コンテンツ位置情報、及びコンテンツ密度情報を移動通信端末10に配信する。
【0055】
引き続いて、本実施形態に係る情報配信システム1による情報配信処理について図4を用いて説明する
まず、測位部12によりタイマ13の計時値が測位周期Tを経過しているか否かが判断される(ステップS11)。計時値が測位周期Tを経過していると判断された場合には、測位部12によりGPS測位が実行されて移動通信端末10の位置情報が取得される(ステップS12)。その後、測位部12は、取得した位置情報とGPS測位が実行された測位時刻とを対応付けて情報蓄積部14に記憶させると共にタイマ13をリセットする(ステップS13)。
【0056】
引き続いて、送信判断部15により、過去に情報配信サーバ20から受信し情報蓄積部14に保持し続けているすべてのコンテンツ情報のうち移動通信端末10の位置情報に近いコンテンツ情報に対応する上位N件のコンテンツ情報と、情報配信サーバ20が保持するすべてのコンテンツ情報のうち最新の移動通信端末10の位置情報に近いコンテンツ位置に対応する上位N件のコンテンツ情報とが比較され、一致しないコンテンツ情報の件数をCとして、保存コンテンツ情報の誤り率(C/N)が推定される(ステップS14)。なお、推定方法の詳細については、後述する。
【0057】
次に、送信判断部15により、推定された誤り率(推定誤り率)が配信要求をする閾値となる誤り率(目標誤り率)より大きいかが判断される(ステップS15)。その結果、推定誤り率が目標誤り率より小さいと判断された場合には、情報配信サーバ20に対する配信要求信号は情報配信サーバ20に送信されずに、ステップS11に戻り、以上のステップが繰り返される。
【0058】
一方、推定誤り率が目標誤り率以上と判断されたときは、送信判断部15により配信要求信号を送信することが決定された旨の通知が配信要求信号送信部16に送信される。その後、配信要求信号送信部16は、情報蓄積部14に記憶されている最新の位置情報を抽出し、その抽出した位置情報を含む配信要求信号を情報配信サーバ20に送信する(ステップS16)。このとき、位置情報と共に測位時刻などの付随情報も送信される。
【0059】
その後、情報配信サーバ20の配信要求信号受信部21は、移動通信端末10から送信された配信要求信号を受信すると共に、その配信要求信号に含まれている移動通信端末10の位置情報を取得する(ステップS21)。その後、配信情報取得部23は、取得した移動通信端末10から特定された緯度、経度、すなわち測位位置に近い上位N件のコンテンツ位置情報に対応するコンテンツ情報と、その各コンテンツ情報に対応するコンテンツ位置情報と、最新の位置情報に基づく周辺のコンテンツ密度とを含む配信情報を移動通信端末10に配信する(ステップS22)。
【0060】
その後、移動通信端末10の通信部11により情報配信サーバ20から配信されたコンテンツ情報と、コンテンツ位置情報と、周辺のコンテンツ密度情報とを含む配信情報が受信され、受信された配信情報は受信時刻に対応付けられて情報蓄積部14に記憶される(ステップS17)。
【0061】
移動通信端末10では、以上のステップS11〜ステップS17の各処理を繰り返し実行し、情報配信サーバ20では、ステップS21及びステップS22の各処理を実行する。すなわち、移動通信端末10では測位周期Tに沿った時間間隔で繰り返しGPS測位を実行し、誤り率を算出し、誤り率が目標誤り率より大きいと判断した場合には、位置情報を含む配信要求信号を情報配信サーバ20に送信する。情報配信サーバ20では、移動通信端末10から取得した位置情報に基づいて測位位置を特定し、測位位置に近い上位N件のコンテンツ位置情報に対応するコンテンツ情報と、その各コンテンツ情報に対応するコンテンツ位置情報と、最新の位置情報に基づく周辺のコンテンツ密度とを含む配信情報を移動通信端末10に配信する。配信情報を受信した移動通信端末10は、その配信情報を受信時刻に対応付けて情報蓄積手段に記憶する。
【0062】
引き続いて、図5及び図6を参照して本実施形態の送信判断部15による保存コンテンツ情報の誤り率の推定処理について説明する。図5は移動通信端末10における誤り率の推定に係る手順を示すフローチャートである。図6は、図5のフローチャートを補足するものである。ここで、誤り率の対象とするコンテンツ情報の件数をNとする。また、ここでは、移動通信端末10は過去に情報配信サーバ20から配信されたコンテンツ情報とコンテンツ位置情報とコンテンツ密度情報を含む配信情報はすべて破棄するものとし、最も新しい配信情報のみを情報蓄積部14に保持するものとする。
【0063】
はじめに、保存コンテンツ情報の誤り率を算出するのに参照される対象となるコンテンツ情報の件数Nが変数nに代入される(ステップS31)。具体的には、移動通信端末10が保持するコンテンツ情報の件数のうち、最新の測位位置を基準としたときに上位2件となるコンテンツ情報について誤り率を推定するときは、N=2となり、nに2が代入される。
【0064】
次に、送信判断部15は、前回配信情報を配信したときの測位位置Pと、その際に受信したコンテンツ情報の中で測位位置Pからの距離が最大となるコンテンツ位置情報の対応付けられたコンテンツ情報Iと測位位置Pとの距離rとを算出する。さらに、前回の情報配信から数えてi回目となる最新の測位位置Pと、前回の情報配信を受けたコンテンツ情報の中で測位位置Pからの距離がn番目に遠いコンテンツ位置情報の対応付けられたコンテンツ情報Ii,nと測位位置Pとの距離ri,nと、測位位置Pと測位位置Pとの距離di,nとを算出する。
【0065】
その後、r>di,n+ri,nの関係が満たされているか否かが判断される(ステップS32)。その関係が満たされていると判断された場合には、誤り率が0と推定されると共に推定処理が終了される(ステップS33)。
【0066】
一方、この関係が満たされていないと判断された場合には、次のステップ(ステップS34)に進む。ステップS34においては、送信判断部15により、測位位置Pを中心としri,nを半径とする円(P,ri,n)の内側であって、測位位置Pを中心としrを半径とする円(P,r)と重なり合わない領域ai,nの面積を算出する。更に、送信判断部15は,図4のステップS17において情報配信サーバ20から受信して情報蓄積部14に記憶されているコンテンツ密度情報を利用し、領域ai,nの内側に位置づけられた未取得のコンテンツ情報の件数ci,nを推定する(ステップS34)。ここでci,nは、測位位置Pからの距離がコンテンツ情報Ii,nよりも近い位置に対応づけられた未取得のコンテンツ情報の件数である。
【0067】
次に、ci,n=N−n又はci,n=N−n+1の関係を満たしているかが判断される(ステップS35)。その結果、それらの関係を満たしている場合には、誤り率がci,n/Nと推定されると共に推定処理が終了する(ステップS36)。一方、これらの関係を満たしていない場合には、ステップS37に進む。
【0068】
ステップS37においては、ci,n<N−nの関係を満たしているかが判断される(ステップS37)。その結果、その関係を満たしていると判断された場合には、誤り率が(N−n)/Nと推定されると共に推定処理が終了する(ステップS38)。
【0069】
一方、この関係を満たしていない場合には、ステップS38に進む。ステップS39においては、n=1の要件を満たしているかが判断される(ステップS39)。その結果、その要件を満たしていると判断された場合には、誤り率が1と推定されると共に推定処理が終了する(ステップS40)。一方、この要件が満たされていないときは、nにn−1の値が代入されると共にステップS35に戻り、誤り率が算出されるまでステップS34〜ステップS41が繰り返される。
【0070】
次に、図5のフローチャートに示した動作手順について、以下に具体例を用いて説明する。ここでは、情報配信サーバ20は、移動通信端末10の位置情報に近いコンテンツ情報として7つのコンテンツ情報C1,C2,C3,C4,C5,C6,C7を保持するものとし、それぞれのコンテンツ情報に対応するコンテンツ位置情報は、移動通信端末10の位置に対して図7のような関係にあるとして情報配信サーバ20に登録されているものとする。情報配信サーバ20からの一度の情報配信において、最新の位置情報に対応する上位5件のコンテンツ情報が移動通信端末10に配信されるものとする。
【0071】
従って、図7の場合には、図8(a)に示す円1内に分布する5件のコンテンツ情報C1,C2,C3,C4,C5のみが移動通信端末10に送信され、情報蓄積部14に記憶される。なお、図8(b)は、情報蓄積部14にコンテンツ情報C1〜C5が記憶されている一例を示す。
【0072】
また、情報配信サーバ20からは最寄のコンテンツ情報(上位5件のコンテンツ情報)とともに、最新の位置情報の周辺におけるコンテンツ密度情報についても移動通信端末10に送信される(ステップS18)。本実施形態おいては、情報配信サーバ20により、図9に挙げたような領域1の内部に位置づけられているコンテンツ情報の件数、および領域1の面積から、移動通信端末10の周辺の領域1内部のコンテンツ密度が算出され、その算出されたコンテンツ情報の密度が移動通信端末10に配信されるものとする。なお、領域1内部のコンテンツ密度が移動通信端末10に配信される際には、領域1以外の円1周辺の全方位のコンテンツ密度値が情報配信サーバ20から移動通信端末10に送信されるものとする。
【0073】
このような条件において、移動通信端末10がもつ5件の保持コンテンツ情報のうち、最新の位置情報を基準としたときの上位2件(すなわち、N=2)となるコンテンツ情報について、誤り率を推定する方法を以下に説明する。
【0074】
はじめに、移動通信端末10が図10に示す測位位置P(i=1)に移動した場合を考える。このとき、図11(a)に示されており移動通信端末10が保持しているコンテンツ情報を、移動前の移動通信端末10の近い方から順に上から下に並べたものが同図(b)に示されている。また、移動通信端末10が保持しているこのコンテンツ情報を移動後の移動通信端末10に近い方から順に上から下に並び替えたものが同図(c)に示されている。(なお、図11(b)に示されているコンテンツ情報は,後述する図13(b)、図15(b)、図16(b)、図17(b)及び、図18(b)に対応するものであり、図11(c)に示されているコンテンツ情報は図13(c)、図15(c)、図16(c)、図17(c)及び図18(c)に対応する)。
【0075】
ここで、移動通信端末10は上位2件(つまりN=2)のコンテンツ情報C2,C1(図11(d)参照)を対象に誤り率の推定を行う。移動前の位置において配信されたコンテンツ情報はC1,C2,C3,C4,C5(図11(b)参照)であったことから、図11(a)に描かれた円1の内部には未取得のコンテンツ情報が位置づけられていない(すなわち、c1,2=0)ことを移動通信端末10は導くことができる。したがって、円1に包含される円2の内部にも未取得コンテンツ情報が存在し得ない(すなわち、c1,2=0)ことが導かれる(同図(c)及び(d)の点線領域参照)。
【0076】
これにより、移動通信端末10は上位2件に誤りがないと判断し、誤り率0と推定する。なお、円1に円2が包含される場合は、図5のフローチャートにおけるステップS32において判断されるr>di,n+ri,nの関係を満たす。また、上記の誤り率0はステップS33における推定値と一致している。
【0077】
次に、移動通信端末10がさらに移動し図12(図13(a)に対応)の測位位置P(i=2)に移った場合を考える。この場合は、ステップS31を経て、ステップS32においてr>di,n+ri,nの関係を満たすかが判断されるが、その関係を満たさないためステップS34に進む。ステップS34において、移動通信端末10は保持しているコンテンツ情報(図13(b)参照)の上位2件(N=2)のうち、最新の測位位置から最も遠い位置に対応づけられているコンテンツ情報C1(図13(c)参照)よりも近くに存在する未取得コンテンツ情報の件数c2,2を推定する(ステップS33)。
【0078】
2,2推定方法としては、ステップS17で受信した、図9に示される領域1のコンテンツ密度と、図13の領域2の面積との積を算出することで、移動通信端末10は領域2の内部に位置づけられている未登録コンテンツ情報の件数c2,2を推定する方法が考えられる。
【0079】
また、情報配信サーバ20から送信されたコンテンツ密度情報が、図14(a)及び(b)のようなメッシュ状の領域毎に求められたコンテンツ密度情報である場合には、以下のようにc2,2を推定することができる。すなわち、図14(a)の場合であれば、図14(c)に示すように、各メッシュ領域について非重複領域と重なる割合(同図においては、単位メッシュ領域Aにおける非重複領域との重なる割合が55%とされている。)を算出して、当該メッシュ領域のコンテンツ密度を掛け合わせ、全メッシュの総和をとることで、非重複領域内の未取得コンテンツ情報の件数を推定することができる。具体的に説明すると、単位メッシュ領域A,B,C,D,E,Fそれぞれのコンテンツ密度をD,D,D,D,D,Dとすると、円3内の未取得コンテンツ情報の件数は(D×55+D×50+D×25+D×15+D×25+D×15)/100で得られた値に該当する。
【0080】
また、図14(a)及び(b)に示すように、情報配信サーバ20から送信されたコンテンツ密度情報がメッシュ状の領域毎に求められたコンテンツ情報の密度である場合には、サービス提供対象エリアにおける主要交通機関の動線に応じて、メッシュ形状を使い分けることが好ましい。具体的に説明すると、京都、札幌のように主要道路が碁盤目状である場合には図14(a)のような矩形状メッシュ形状を用い、国内地方都市、ヨーロッパの都市のように道路や線路が放射状に配置された街の場合には図14(b)のような円形状メッシュ状を用いることが好ましい。
【0081】
図15(d)に挙げたように、2件の未取得コンテンツ情報c2,2が領域2内部に位置づけられている(c2,2=2)と移動通信端末10が推定した場合、コンテンツC1より最新の測位位置に近いと推定されるコンテンツ情報3件のうち2件が未取得コンテンツ情報であるということは推定できるが、図15(d)に示したように、最新の測位位置からの距離の順位までを推定することは出来ない。
【0082】
一般に上位N件の距離の順位が推定可能となるためには、図5のフローチャートのステップS35において判断されるci,n=N−n又はci,n=N−n+1の関係要件を満たすことがその条件となる。すなわち、この条件が満たされるときには距離の順位が推定可能なため、誤り率も推定可能である。しかし、移動通信端末10が測位位置P(i=2)に移った場合には、図15(d)に示すように、c2,2=N=n=2であるため同条件が満たさず、引き続き処理が行われる。さらに、c2,2=N=n=2であるためステップS37及びステップS39における要件も満たさず、ステップS41に進み、n=1となる。その後、ステップS34に戻り、ステップS34からステップS41までが繰り返される。
【0083】
具体的には、移動通信端末10はコンテンツ情報の中で順位がひとつ上のコンテンツ情報C2(n=1)について、図16のように同様の処理を実施する。その結果、図16(d)に示すように領域3の内部に1件の未取得コンテンツ情報が位置づけられていると推定された場合(c2,1=1)には、上位2件のうち1件はC2であり、もう1件は未取得コンテンツ情報であると推定できるため、移動通信端末10はこれを誤り率0.5と判断する(同図(c)及び(d)の点線領域参照)。これを図5のフローチャートに対応させて説明すると、c2,1=1であり、N−n=2−1=1であるため、c2,1=N−nとなり、ステップS35において誤り率c2,1/N=0.5と推定される。
【0084】
一方、図17(d)のように、領域3の内部に2件の未取得コンテンツ情報が位置づけられていると推定された場合(c2,1=2)には、上位2件はともに未取得コンテンツ情報であると推定されるため、誤り率は1であると判断される(同図(c)及び(d)の点線領域参照)。これを図5のフローチャートに対応させて説明すると、c2,1=N−n+1となるため、ステップS35によって誤り率はc2,1/N=2/2=1と推定される。
【0085】
また、図18(d)のように、領域3の内部には未取得コンテンツ情報が位置づけられていないと推定した場合(すなわち、c2,1=0)は、(上位)1位はC2であると推定されるが、これだけでは2位のコンテンツ情報を推定できない。しかし、図15(d)にあるように、上位3件のうち2件は未取得コンテンツ情報であると推定されている(c2,2=2)ため、上位1位が取得済みコンテンツ情報C2であったことを考慮すると2順位は未取得コンテンツ情報であると推定できる(図15(e)参照)。したがって、移動通信端末10は誤り率を0.5と推定する(同図(c)及び(d)の点線領域参照)。これを図5のフローチャートに対応させて説明すると、c2,1 < N−nとなるため、ステップS39において誤り率(N−n)/N=(2−1)/2=0.5と推定される。
【0086】
以上の移動通信端末10、情報配信サーバ20、情報配信システム1及び情報配信方法によれば、情報配信サーバ20は、位置情報を含む配信要求信号を送信した移動通信端末10に対して、移動通信端末10の位置情報に近い上位N件のコンテンツ位置情報、及び各コンテンツ位置情報に対応するコンテンツ情報のみならず、移動通信端末10の位置情報の周辺に位置するコンテンツ情報の分布に関する情報をも配信する。
【0087】
これにより、移動通信端末10は、コンテンツ情報の分布に関する情報を考慮して情報配信サーバに配信要求信号を送信するか否かを決定し、必要である場合にのみ配信要求信号を送信することができる。そのため、従来のように、特定の位置情報に関連するコンテンツを記憶していない時に又は予め決められたタイミング間隔で自動的に配信要求信号が送信されることを回避することができる。従って、電力消費の効率化と移動に対する情報更新の追従性の両立を図ることができる。また、ネットワークの利用の観点からも効率的であり、遅延の少ないコンテンツ情報配信を実現することができる。
【0088】
また、情報配信サーバ20から配信情報を受信した移動通信端末10は、その位置情報の周辺の未取得コンテンツ情報を含むコンテンツ情報の分布を推定することができる。これにより、移動通信端末10の位置情報の周辺のコンテンツ情報の分布が一様でない場合であっても対応することができ、コンテンツ情報の分布が一様でない場合であっても上記の効果を得ることができる。
【0089】
また、コンテンツ情報の分布に関する情報は、移動通信端末10の位置情報に最も近いコンテンツ位置情報の周辺の特定領域の内部のコンテンツ密度又はその特定領域の内部に位置づけられたコンテンツ情報に対応するコンテンツ位置情報である。移動通信端末10の位置情報の周辺に未取得コンテンツ情報を含むコンテンツ情報が多いと、コンテンツ情報の分布に関する情報として各コンテンツ情報に対応付けられたコンテンツ位置情報そのものが情報配信サーバから配信されると、通信量が多くなりバッテリ消費やネットワーク利用の観点から効率的ではない。
【0090】
しかし、コンテンツ情報の分布に関する情報として統計的な値であるコンテンツ密度を利用することで、通信量を軽減し、効率的なバッテリ消費及びネットワーク利用を図ることができる。また、特定領域の内部に位置づけられたコンテンツ情報に対応するコンテンツ位置情報自体をコンテンツ情報の分布に関する情報とすることで、コンテンツ情報の分布に関する情報を精度良く把握することができる。また、移動通信端末の位置情報の周辺にコンテンツ情報が少ない場合には通信量も問題にならない。
【0091】
また、特定領域は、移動通信端末の位置情報を中心とする円環を描き、該円環の外側領域をメッシュ分割した領域により特定される。一般的に、移動通信端末のユーザが次に進む方向は予測できない。これにより、未取得コンテンツ情報を含むコンテンツ情報密度を全方位に等しく移動通信端末が保持することができる。
【0092】
これにより、移動通信端末が位置情報の周辺のコンテンツ情報を全方位に等しく保持することができ、移動通信端末のユーザが次に進む方向は予測できない場合であっても対応することができる。
【0093】
以下、保持コンテンツ情報の誤り率の推定方法の変形例を説明する。本変形例においては、情報配信サーバ20から移動通信端末10に配信される位置情報の周辺に位置するコンテンツ情報の分布に関する情報が、移動通信端末10の位置情報に最も近いコンテンツ位置情報の周辺の特定領域の内部の誤り率である。図19(a)及び19(b)に示すように、この変形例においては、情報配信サーバ20が円1の中心点を中心とする矩形状メッシュあるいは円形状メッシュを一定範囲内に描き移動通信端末10が各メッシュの中心点に移動した場合の誤り率を一定領域内のすべてのメッシュについて情報配信サーバ20が予め算出する。その結果が図19(a)及び(b)において、誤り率が目標誤り率未満であるメッシュには○が付けられており、誤り率が目標誤り率以上であるメッシュには×が付けられている。
【0094】
その後、情報配信サーバ20は、誤り率が目標誤り率未満となるメッシュの位置に関する情報のみを、ステップS22において移動通信端末10に送出する。
【0095】
また、その送出されたメッシュの誤り率に関する情報は、情報蓄積部14に記憶される。また、このような変形例において、送信判断部15による情報配信サーバ20に配信要求信号を送信するか否かの判断は、移動通信端末10の現在位置が、情報蓄積部14に記憶されているメッシュ内部に属するか否かを判断することで決定されることとなる。すなわち、情報蓄積部14に記憶されているメッシュ内部に属さないと判定された場合は、誤り率が目標誤り率以上であると判定され、配信要求信号送信部16により情報配信サーバ20に対して配信要求信号が送信される。
【0096】
本変形例では、情報配信サーバ20から配信される位置情報の周辺に位置するコンテンツ情報の分布に関する情報が、移動通信端末10の位置情報に最も近いコンテンツ位置情報の周辺の特定領域の内部の誤り率であるため、送信判断部15において配信要求信号を送信するが否かが容易に判断せれる。
【0097】
本発明は、前述した種々の実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態では、コンテンツ情報の出力が配信情報を受信した時に、出力デバイスに表示させる態様を例にして説明したが、これに限られるものではない。例えば、折り畳み型の移動通信端末などにおいては、移動通信端末を閉じた状態ではコンテンツ情報の表示は行わず、移動通信端末を開いたときにのみ最新のコンテンツ情報を表示するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本実施形態に係る情報配信システムの機能的構成を示す図である。
【図2】本実施形態に係る移動通信端末のハードウェア構成を示す図である。
【図3】本実施形態に係る情報配信サーバのハードウェア構成を示す図である。
【図4】本実施形態に係る情報配信システムによる情報配信処理を説明するための図である。
【図5】本実施形態に係る移動通信端末における誤り率の推定に係る手順を示すフローチャートである。
【図6】図5のフローチャートを補足するための図である。
【図7】図5のフローチャートに示した動作手順の具体例を説明するための図である。
【図8】図5のフローチャートに示した動作手順の具体例を説明するための図である。
【図9】図5のフローチャートに示した動作手順の具体例を説明するための図である。
【図10】図5のフローチャートに示した動作手順の具体例を説明するための図である。
【図11】図5のフローチャートに示した動作手順の具体例を説明するための図である。
【図12】図5のフローチャートに示した動作手順の具体例を説明するための図である。
【図13】図5のフローチャートに示した動作手順の具体例を説明するための図である。
【図14】本実施形態に係る情報配信サーバから配信されるメッシュ単位のコンテンツ密度情報を示す図である。
【図15】図5のフローチャートに示した動作手順の具体例を説明するための図である。
【図16】図5のフローチャートに示した動作手順の具体例を説明するための図である。
【図17】図5のフローチャートに示した動作手順の具体例を説明するための図である。
【図18】図5のフローチャートに示した動作手順の具体例を説明するための図である。
【図19】本実施形態に係る保持コンテンツ情報の誤り率の推定方法の変形例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0099】
1…情報配信システム、10…移動通信端末、11…通信部、12…測位部、13…タイマ、14…情報蓄積部、15…送信判断部、16…配信要求信号送信部、17…出力部、20…情報配信サーバ、21…配信要求信号受信部、22…配信情報記憶部、23…配信情報取得部、24…情報配信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報を含む配信要求信号を所定の情報配信サーバに送信して、前記所定の情報配信サーバから前記位置情報に対応する配信情報を受信する移動通信端末であって、
所定の測位周期で前記位置情報の測位を実行する測位手段と、
前記情報配信サーバから送信された前記位置情報に近い場所を示すコンテンツ位置情報と、前記コンテンツ位置情報に対応するコンテンツ情報と、前記移動通信端末の前記位置情報の周辺に位置する前記コンテンツ情報の分布に関する情報とを含む前記配信情報を前記位置情報に対応付けて記憶する情報蓄積手段と、
前記情報蓄積手段に記憶されている前記コンテンツ情報の分布に関する情報に基づいて最新の前記位置情報に近い未配信の前記コンテンツ情報の存在を判定して前記情報配信サーバに前記配信要求信号を送信するか否かを決定する送信判断手段と、
前記送信判断手段により前記情報配信サーバに前記配信要求信号を送信する旨の決定がされると、前記最新の位置情報を含む前記配信要求信号を送信する配信要求信号送信手段と、
を備えることを特徴とする移動通信端末。
【請求項2】
前記コンテンツ情報の分布に関する情報は、前記移動通信端末の前記位置情報に近い場所を示す前記コンテンツ位置情報の周辺の特定領域の内部のコンテンツ密度であることを特徴とする請求項1に記載の移動通信端末。
【請求項3】
前記コンテンツ情報の分布に関する情報は、前記移動通信端末の前記位置情報に近い場所を示す前記コンテンツ位置情報の周辺の特定領域の内部に位置づけられた前記コンテンツ情報に対応する前記コンテンツ位置情報であることを特徴とする請求項1に記載の移動通信端末。
【請求項4】
前記特定領域は、前記移動通信端末の前記位置情報を中心とする円環を描き、該円環の外側領域を分割した領域により特定されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の移動通信端末。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の移動通信端末に配信情報を配信する情報配信サーバであって、
移動通信端末から送信された位置情報を含む配信要求信号を受信する配信要求信号受信手段と、
コンテンツ情報と該コンテンツ情報に対応するコンテンツ位置情報とが関連付けられて記憶されている配信情報記憶手段と、
前記配信要求信号受信手段により受信された前記位置情報に近い場所を示す前記コンテンツ位置情報と、前記コンテンツ位置情報に対応する前記コンテンツ情報と、前記移動通信端末の前記位置情報の周辺に位置する前記コンテンツ情報の分布に関する情報とを含む前記配信情報を取得する配信情報取得手段と、
前記配信情報取得手段によって取得された前記配信情報を前記移動通信端末に配信する情報配信手段と、
を備えることを特徴とする情報配信サーバ。
【請求項6】
前記コンテンツ情報の分布に関する情報は、前記移動通信端末の前記位置情報に近い場所を示す前記コンテンツ位置情報の周辺の特定領域の内部のコンテンツ密度であることを特徴とする請求項5に記載の情報配信サーバ。
【請求項7】
前記コンテンツ情報の分布に関する情報は、前記移動通信端末の前記位置情報に近い場所を示す前記コンテンツ位置情報の周辺の特定領域の内部に位置づけられた前記コンテンツ情報に対応する前記コンテンツ位置情報であることを特徴とする請求項5に記載の情報配信サーバ。
【請求項8】
前記の特定領域は、前記移動通信端末の前記位置情報を中心とする円環を描き、該円環の外側領域を分割した領域により特定されることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の情報配信サーバ。
【請求項9】
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の移動通信端末と、
請求項5〜請求項8のいずれか一項に記載の情報配信サーバと、
を備えることを特徴とする情報配信システム。
【請求項10】
位置情報を含む配信要求信号を送信する移動通信端末と、前記移動通信端末の前記位置情報に対応する配信情報を前記移動通信端末に配信する情報配信サーバとを備える情報配信システムで実行される情報配信方法において、
前記移動通信端末が、前記配信情報に含まれるコンテンツ情報の分布に関する情報に基づいて最新の前記位置情報に近い未配信の前記コンテンツ情報の存在を判定して前記配信要求信号を前記情報配信サーバに送信するか否かを決定する送信判断ステップと、
前記送信判断ステップにおいて前記情報配信サーバに対して前記配信要求信号を送信することが決定されると、最新の前記位置情報を含む前記配信要求信号を前記情報配信サーバに送信する配信要求信号送信ステップと、
前記情報配信サーバが、前記配信要求信号送信ステップにおいて送信された前記配信要求信号に含まれた前記最新の位置情報に近い場所を示すコンテンツ位置情報と、前記コンテンツ位置情報に対応するコンテンツ情報と、前記位置情報の周辺に位置する前記コンテンツ情報の分布に関する情報とを含む前記配信情報を前記移動通信端末に送信する情報配信ステップと、
を備えることを特徴とする情報配信方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2009−301213(P2009−301213A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−153297(P2008−153297)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】