意匠性の付与されたフェルトヤーンおよびその製造方法ならびにそのフェルトヤーンを使用したカーペット。
【課題】
本発明の課題は、フェルトヤーンのボリューム感を保ったまま意匠性を付与するために、ネップを含んでいたり、太さに大きなムラのある特殊な糸（飾り糸）等をフェルトヤーンに引き揃えて固定し、意匠性をもたせても製織性の変わらないフェルトヤーン及びそのフェルトヤーンを使用したカーペットを提供することにある。
【解決手段】
少なくとも羊毛繊維を５０％以上含むスライバーに、羊毛または異材料からなる飾り糸を引き揃え、温水を加えながら揉んでフェルト加工することにより、撚糸工程を経なくても、飾り糸は抱え込まれるように羊毛繊維の中に固定され、意匠性のあるフェルトヤーンを得ることができる。
本発明の課題は、フェルトヤーンのボリューム感を保ったまま意匠性を付与するために、ネップを含んでいたり、太さに大きなムラのある特殊な糸（飾り糸）等をフェルトヤーンに引き揃えて固定し、意匠性をもたせても製織性の変わらないフェルトヤーン及びそのフェルトヤーンを使用したカーペットを提供することにある。
【解決手段】
少なくとも羊毛繊維を５０％以上含むスライバーに、羊毛または異材料からなる飾り糸を引き揃え、温水を加えながら揉んでフェルト加工することにより、撚糸工程を経なくても、飾り糸は抱え込まれるように羊毛繊維の中に固定され、意匠性のあるフェルトヤーンを得ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、マット、ラグ、カーペット等のインテリア用繊維床材に使用するパイル糸としてのフェルトヤーンに意匠性を付与する技術である。
【背景技術】
【０００２】
以前から、スライバー状の羊毛繊維に熱と水分を含ませ、圧力を加えながら叩いたり、揉んだりすることによって繊維が絡み合って糸状に固まったものをフェルトヤーンと称し、０．２番手〜１．０番手の極太の糸を、カーペット等のインテリア用繊維床材のパイル糸に使用し、豪華でボリュウム感のあるカーペットが提供されている。
【０００３】
しかしながら、フェルトヤーンは羊毛繊維の性質を利用して、撚りを掛けずに作成することから、意匠性を得るために他の繊維や色の着いた糸と共に合撚することはあまりなく、染色等によって糸の状態またはパイル糸の状態で染められることが多かった。
【０００４】
特許文献１においては、ウールフリース（無撚り状態の繊維束）に意匠性を付与するために、ウールフリースとウール以外の異種又は同種の繊維フィラメントとを同一方向に同一撚り数で撚り合わせた構造が開示されており、ウールの風合いを損なわず、ウールの毛羽立ちを少なくして、ウールフリースと他の繊維フィラメントとの絡合性、形態安定性及び整列状態の均整化を向上させることができ、杢調色相を鮮明に表現したり、織物生地の感触や表面性を改善する技術が開示されている。
【０００５】
また、特許文献２においては、糸に意匠性を付与する技術として芯糸と飾り糸を用いて撚り数と加撚方向、フィード量を調整してスパン調、ウール調でしかもソフト感を有したスラブヤーンの製造技術が開示されている。これらの方法は、何れも撚りを加える方法であって、糸に意匠性を付与するものとして広く公知の技術である。
【０００６】
【特許文献１】特開平８−３２５８７２号公報
【特許文献２】特開２００２−１９４６３２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
しかし、上記方法のように撚りを掛ける方法は、撚糸工程が必要で、フェルトヤーンのような極太の糸に撚りを掛ける方法は、糸が細くなりせっかくのボリューム感を失うものである。本発明の課題はフェルトヤーンのボリューム感を保ったまま意匠性を付与することと、ネップを含んでいたり、太さに大きなムラのある特殊な糸（飾り糸）等をフェルトヤーンに引き揃えて意匠性をもたせても、製織性の変わらないフェルトヤーンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明は、上記課題を達成するために以下の手段を提供する。
【０００９】
［１］少なくとも羊毛繊維を５０％以上含むスライバーに、温水を加えながら加工するフェルトヤーンにおいて、羊毛または異材料からなる飾り糸を前記スライバーに引き揃えてフェルト加工されたことを特徴とする意匠性の付与されたフェルトヤーン。
【００１０】
［２］少なくとも羊毛繊維を５０％以上含むスライバーに、温水を加えながら加工するフェルトヤーンの製造方法において、羊毛または異材料からなる飾り糸をスライバーに引き揃えてフェルト加工することを特徴とする意匠性の付与されたフェルトヤーンの製造方法。
【００１１】
［３］前項１記載の意匠性の付与されたフェルトヤーンを、パイル糸の一部または全てに使用したカーペット。
【発明の効果】
【００１２】
少なくとも羊毛繊維を５０％以上含むスライバーに、温水を加え、同時に羊毛または異材料からなる飾り糸をスライバーに引き揃えてフェルト加工するので、撚糸工程を経なくても飾り糸が抱え込まれるように羊毛繊維の中に絡まり、固定され、意匠性のあるフェルトヤーンとすることができる。
【００１３】
また、前記フェルトヤーンをパイル糸として使用したカーペットは、意匠性があり、豪華でボリュウム感のあるカーペットとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
本発明は、マット、ラグ、カーペット等のインテリア用繊維床材に使用するパイル糸としてのフェルトヤーンに意匠性を付与する技術である。インテリア用繊維床材の形態としては、織物、編物、あるいはタフテッドカーペットのような立毛布帛等特に限定されない。インテリア用繊維床材の繊維としても特に限定されないが、少なくとも羊毛繊維を含むスライバーでなければフェルト化して、飾り糸が抱え込まれるようにして羊毛繊維の中に絡まり固定されることはない。羊毛繊維の混綿率は５０％以上が好適で、混綿する羊毛繊維以外の繊維としては、特に限定されずにポリエステル、ポリアミド、アクリルなどの合成繊維、アセテート、レーヨンなどの半合成繊維、絹、木綿、麻などの天然繊維などから選ばれる、1種または複数の繊維と混綿して使用することができる。
【００１５】
スライバーは、一般に紡績工程の中間製品で、精紡工程にかかる前の段階で撚りの掛かっていない繊維束をいい、篠（しの）とも言われるものである。
【００１６】
本発明のメカニズムは、羊毛の塊や毛織物などを水で濡らして揉むと繊維が絡み合って収縮し硬くなる性質を利用したものである。羊毛の表面は魚の鱗のようなスケールといわれるもので覆われた構造をしており、毛根から毛先方向への摩擦係数は低く、毛先から毛根方向への摩擦係数は高くなっている。つまり、毛先方向へは滑りやすく、毛根方向には滑りにくい性質をもっている。この羊毛繊維の集団が水で濡れ揉まれると、毛根の方向に一方的に移動が始まり、羊毛繊維が絡みあって収縮する性質を利用する。
【００１７】
図１は、本発明のフェルトヤーンを製造する工程の概略図である。羊毛繊維を含むスライバー１は送りロール２によってパイプ５に一定速度で送られる。飾り糸３は送りロール２とパイプ５の間に、送りロール４によって０〜６％のオーバーフィードで送られる。パイプ５内に送り込まれたスライバー１と飾り糸３に、パイプ壁面から温水６（６０℃〜７０℃）が送られ、揉みローラー８で揉まれると、羊毛繊維に縮合（絡みあって収縮する）が発現し、飾り糸３を囲むようにスライバー１に固定しフェルト化していく。
【００１８】
飾り糸３の固定されたフェルトヤーン７は引き取りロール９（絞りロール）で引き取られ、乾燥して巻き取られる。
【００１９】
パイプ５は、塩化ビニルの直径４〜６ｍｍ、長さ４０〜８０ｃｍのパイプで、途中から温水６が糸道に沿うように、流し込まれるような構造になっている。羊毛繊維を含むスライバーはこの温水６と、揉みローラー８で揉まれると、フェルト化しフェルトヤーンとなる。
【００２０】
パイプ壁面からの温水５は、６０℃〜７０℃が好ましく、スライバーを巻き込むように流し入れるのが良い。また、温水５はパイプ壁面の１ヶ所から吹き込まれても良いし、何ヶ所か複数の箇所から順次流し込まれるようにしても良い。
【００２１】
飾り糸は、フェルトヤーンに意匠性を付与するもので、特に限定しないが、意匠糸といわれるような異なる繊維や糸を組み合わせたり、形状や配色に変化をもたせた糸が好ましい。形状変化の激しい飾り糸は、カーペットを製織する時、糸切れ発生の原因となり、製織性の低下をきたすものであるが、本発明の場合、羊毛繊維が飾り糸を包み込むように絡み合うため、糸の系外に突出するような形態になりにくく、糸切れの原因にはなりにくいため製織性の低下にもつながらない。飾り糸の材質は、羊毛または異材料からなるもので特に限定されない。形状も特に限定されず、ビーズのような装飾性のある樹脂が糸に通されたようなものや大きなネップがあるような糸でも良く、フェルトヤーンに包み込まれて固定されれば良い。
【００２２】
飾り糸を送り出す供給スピードは、スライバーの供給スピードの０〜６％のオーバーフィードで送られることが好ましい。飾り糸をオーバーフィードしないで供給すると、フェルトヤーンにテンション斑がおきやすく、良好な糸が得られないことがある。
【００２３】
揉みローラー８は、それぞれ上下、左右、斜め方向に動くように設定し、パイプを曲げたり伸ばしたりしながら、パイプ５内を通過するスライバー１を揉む働きをする。
【００２４】
図２は、本発明の意匠性の付与されたフェルトヤーンをタフティング機に仕掛け、カーペットとした時の拡大図である。縮合が発現した羊毛繊維によって飾り糸は絡みながらスライバーに固定され、カーペットのパイル糸として十分な強度をもち、意匠性の優れたボリュム感のあるカーペットが製織されている。
【実施例】
【００２５】
＜実施例１＞
アクリル繊維４０％と、羊毛繊維６０％を混綿し、粗紡機にて０．４番手のスライバーを得た。次ぎに飾り糸として、３番手のポリエステルスパン糸のネップヤーンを３％オーバーフィードしてスライバーと共にパイプに送り込み、パイプ壁面から６５℃の温水を送り出してスライバーにあて、揉みローラーで飾り糸を包み込むように揉んで羊毛繊維を縮合させ、引き取りロール９（絞りロール）で引き取り乾燥して、意匠性のあるスラブヤーンを得た。
【００２６】
次に、このスラブヤーンを使い、５／１６ゲージのカットパイルのタフティング機を用いて、パイル長４５ｍｍ、ステッチ８／１０ｃｍのシャギータイプのカーペットを作成した。糸切れもなく製織性は良好で、意匠性のあるカーペットを得ることができた。
【産業上の利用可能性】
【００２７】
本発明の技術は、従来になく意匠性に富んだ極太の羊毛糸を撚糸工程を経なくても簡単に得ることができ、カーテン、カーペット等のインテリア用品に広く利用される。
【図面の簡単な説明】
【００２８】
【図１】この発明の一実施形態に係る製造工程の概略図である。
【図２】この発明の一実施形態に係るカーペットの概略図である。
【符号の説明】
【００２９】
１…スライバー
２…送りロール
３…飾り糸
４…送りロール
５…パイプ
６…温水
７…フェルトヤーン
８…揉みローラー
９…引き取りロール（絞りロール）
１０…基布
【技術分野】
【０００１】
本発明は、マット、ラグ、カーペット等のインテリア用繊維床材に使用するパイル糸としてのフェルトヤーンに意匠性を付与する技術である。
【背景技術】
【０００２】
以前から、スライバー状の羊毛繊維に熱と水分を含ませ、圧力を加えながら叩いたり、揉んだりすることによって繊維が絡み合って糸状に固まったものをフェルトヤーンと称し、０．２番手〜１．０番手の極太の糸を、カーペット等のインテリア用繊維床材のパイル糸に使用し、豪華でボリュウム感のあるカーペットが提供されている。
【０００３】
しかしながら、フェルトヤーンは羊毛繊維の性質を利用して、撚りを掛けずに作成することから、意匠性を得るために他の繊維や色の着いた糸と共に合撚することはあまりなく、染色等によって糸の状態またはパイル糸の状態で染められることが多かった。
【０００４】
特許文献１においては、ウールフリース（無撚り状態の繊維束）に意匠性を付与するために、ウールフリースとウール以外の異種又は同種の繊維フィラメントとを同一方向に同一撚り数で撚り合わせた構造が開示されており、ウールの風合いを損なわず、ウールの毛羽立ちを少なくして、ウールフリースと他の繊維フィラメントとの絡合性、形態安定性及び整列状態の均整化を向上させることができ、杢調色相を鮮明に表現したり、織物生地の感触や表面性を改善する技術が開示されている。
【０００５】
また、特許文献２においては、糸に意匠性を付与する技術として芯糸と飾り糸を用いて撚り数と加撚方向、フィード量を調整してスパン調、ウール調でしかもソフト感を有したスラブヤーンの製造技術が開示されている。これらの方法は、何れも撚りを加える方法であって、糸に意匠性を付与するものとして広く公知の技術である。
【０００６】
【特許文献１】特開平８−３２５８７２号公報
【特許文献２】特開２００２−１９４６３２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
しかし、上記方法のように撚りを掛ける方法は、撚糸工程が必要で、フェルトヤーンのような極太の糸に撚りを掛ける方法は、糸が細くなりせっかくのボリューム感を失うものである。本発明の課題はフェルトヤーンのボリューム感を保ったまま意匠性を付与することと、ネップを含んでいたり、太さに大きなムラのある特殊な糸（飾り糸）等をフェルトヤーンに引き揃えて意匠性をもたせても、製織性の変わらないフェルトヤーンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明は、上記課題を達成するために以下の手段を提供する。
【０００９】
［１］少なくとも羊毛繊維を５０％以上含むスライバーに、温水を加えながら加工するフェルトヤーンにおいて、羊毛または異材料からなる飾り糸を前記スライバーに引き揃えてフェルト加工されたことを特徴とする意匠性の付与されたフェルトヤーン。
【００１０】
［２］少なくとも羊毛繊維を５０％以上含むスライバーに、温水を加えながら加工するフェルトヤーンの製造方法において、羊毛または異材料からなる飾り糸をスライバーに引き揃えてフェルト加工することを特徴とする意匠性の付与されたフェルトヤーンの製造方法。
【００１１】
［３］前項１記載の意匠性の付与されたフェルトヤーンを、パイル糸の一部または全てに使用したカーペット。
【発明の効果】
【００１２】
少なくとも羊毛繊維を５０％以上含むスライバーに、温水を加え、同時に羊毛または異材料からなる飾り糸をスライバーに引き揃えてフェルト加工するので、撚糸工程を経なくても飾り糸が抱え込まれるように羊毛繊維の中に絡まり、固定され、意匠性のあるフェルトヤーンとすることができる。
【００１３】
また、前記フェルトヤーンをパイル糸として使用したカーペットは、意匠性があり、豪華でボリュウム感のあるカーペットとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
本発明は、マット、ラグ、カーペット等のインテリア用繊維床材に使用するパイル糸としてのフェルトヤーンに意匠性を付与する技術である。インテリア用繊維床材の形態としては、織物、編物、あるいはタフテッドカーペットのような立毛布帛等特に限定されない。インテリア用繊維床材の繊維としても特に限定されないが、少なくとも羊毛繊維を含むスライバーでなければフェルト化して、飾り糸が抱え込まれるようにして羊毛繊維の中に絡まり固定されることはない。羊毛繊維の混綿率は５０％以上が好適で、混綿する羊毛繊維以外の繊維としては、特に限定されずにポリエステル、ポリアミド、アクリルなどの合成繊維、アセテート、レーヨンなどの半合成繊維、絹、木綿、麻などの天然繊維などから選ばれる、1種または複数の繊維と混綿して使用することができる。
【００１５】
スライバーは、一般に紡績工程の中間製品で、精紡工程にかかる前の段階で撚りの掛かっていない繊維束をいい、篠（しの）とも言われるものである。
【００１６】
本発明のメカニズムは、羊毛の塊や毛織物などを水で濡らして揉むと繊維が絡み合って収縮し硬くなる性質を利用したものである。羊毛の表面は魚の鱗のようなスケールといわれるもので覆われた構造をしており、毛根から毛先方向への摩擦係数は低く、毛先から毛根方向への摩擦係数は高くなっている。つまり、毛先方向へは滑りやすく、毛根方向には滑りにくい性質をもっている。この羊毛繊維の集団が水で濡れ揉まれると、毛根の方向に一方的に移動が始まり、羊毛繊維が絡みあって収縮する性質を利用する。
【００１７】
図１は、本発明のフェルトヤーンを製造する工程の概略図である。羊毛繊維を含むスライバー１は送りロール２によってパイプ５に一定速度で送られる。飾り糸３は送りロール２とパイプ５の間に、送りロール４によって０〜６％のオーバーフィードで送られる。パイプ５内に送り込まれたスライバー１と飾り糸３に、パイプ壁面から温水６（６０℃〜７０℃）が送られ、揉みローラー８で揉まれると、羊毛繊維に縮合（絡みあって収縮する）が発現し、飾り糸３を囲むようにスライバー１に固定しフェルト化していく。
【００１８】
飾り糸３の固定されたフェルトヤーン７は引き取りロール９（絞りロール）で引き取られ、乾燥して巻き取られる。
【００１９】
パイプ５は、塩化ビニルの直径４〜６ｍｍ、長さ４０〜８０ｃｍのパイプで、途中から温水６が糸道に沿うように、流し込まれるような構造になっている。羊毛繊維を含むスライバーはこの温水６と、揉みローラー８で揉まれると、フェルト化しフェルトヤーンとなる。
【００２０】
パイプ壁面からの温水５は、６０℃〜７０℃が好ましく、スライバーを巻き込むように流し入れるのが良い。また、温水５はパイプ壁面の１ヶ所から吹き込まれても良いし、何ヶ所か複数の箇所から順次流し込まれるようにしても良い。
【００２１】
飾り糸は、フェルトヤーンに意匠性を付与するもので、特に限定しないが、意匠糸といわれるような異なる繊維や糸を組み合わせたり、形状や配色に変化をもたせた糸が好ましい。形状変化の激しい飾り糸は、カーペットを製織する時、糸切れ発生の原因となり、製織性の低下をきたすものであるが、本発明の場合、羊毛繊維が飾り糸を包み込むように絡み合うため、糸の系外に突出するような形態になりにくく、糸切れの原因にはなりにくいため製織性の低下にもつながらない。飾り糸の材質は、羊毛または異材料からなるもので特に限定されない。形状も特に限定されず、ビーズのような装飾性のある樹脂が糸に通されたようなものや大きなネップがあるような糸でも良く、フェルトヤーンに包み込まれて固定されれば良い。
【００２２】
飾り糸を送り出す供給スピードは、スライバーの供給スピードの０〜６％のオーバーフィードで送られることが好ましい。飾り糸をオーバーフィードしないで供給すると、フェルトヤーンにテンション斑がおきやすく、良好な糸が得られないことがある。
【００２３】
揉みローラー８は、それぞれ上下、左右、斜め方向に動くように設定し、パイプを曲げたり伸ばしたりしながら、パイプ５内を通過するスライバー１を揉む働きをする。
【００２４】
図２は、本発明の意匠性の付与されたフェルトヤーンをタフティング機に仕掛け、カーペットとした時の拡大図である。縮合が発現した羊毛繊維によって飾り糸は絡みながらスライバーに固定され、カーペットのパイル糸として十分な強度をもち、意匠性の優れたボリュム感のあるカーペットが製織されている。
【実施例】
【００２５】
＜実施例１＞
アクリル繊維４０％と、羊毛繊維６０％を混綿し、粗紡機にて０．４番手のスライバーを得た。次ぎに飾り糸として、３番手のポリエステルスパン糸のネップヤーンを３％オーバーフィードしてスライバーと共にパイプに送り込み、パイプ壁面から６５℃の温水を送り出してスライバーにあて、揉みローラーで飾り糸を包み込むように揉んで羊毛繊維を縮合させ、引き取りロール９（絞りロール）で引き取り乾燥して、意匠性のあるスラブヤーンを得た。
【００２６】
次に、このスラブヤーンを使い、５／１６ゲージのカットパイルのタフティング機を用いて、パイル長４５ｍｍ、ステッチ８／１０ｃｍのシャギータイプのカーペットを作成した。糸切れもなく製織性は良好で、意匠性のあるカーペットを得ることができた。
【産業上の利用可能性】
【００２７】
本発明の技術は、従来になく意匠性に富んだ極太の羊毛糸を撚糸工程を経なくても簡単に得ることができ、カーテン、カーペット等のインテリア用品に広く利用される。
【図面の簡単な説明】
【００２８】
【図１】この発明の一実施形態に係る製造工程の概略図である。
【図２】この発明の一実施形態に係るカーペットの概略図である。
【符号の説明】
【００２９】
１…スライバー
２…送りロール
３…飾り糸
４…送りロール
５…パイプ
６…温水
７…フェルトヤーン
８…揉みローラー
９…引き取りロール（絞りロール）
１０…基布
【特許請求の範囲】
【請求項１】
少なくとも羊毛繊維を５０％以上含むスライバーに、温水を加えながら加工するフェルトヤーンにおいて、羊毛または異材料からなる飾り糸を前記スライバーに引き揃えてフェルト加工されたことを特徴とする意匠性の付与されたフェルトヤーン。
【請求項２】
少なくとも羊毛繊維を５０％以上含むスライバーに、温水を加えながら加工するフェルトヤーンの製造方法において、羊毛または異材料からなる飾り糸をスライバーに引き揃えてフェルト加工することを特徴とする意匠性の付与されたフェルトヤーンの製造方法。
【請求項３】
請求項１記載の意匠性の付与されたフェルトヤーンを、パイル糸の一部または全てに使用したカーペット。
【請求項１】
少なくとも羊毛繊維を５０％以上含むスライバーに、温水を加えながら加工するフェルトヤーンにおいて、羊毛または異材料からなる飾り糸を前記スライバーに引き揃えてフェルト加工されたことを特徴とする意匠性の付与されたフェルトヤーン。
【請求項２】
少なくとも羊毛繊維を５０％以上含むスライバーに、温水を加えながら加工するフェルトヤーンの製造方法において、羊毛または異材料からなる飾り糸をスライバーに引き揃えてフェルト加工することを特徴とする意匠性の付与されたフェルトヤーンの製造方法。
【請求項３】
請求項１記載の意匠性の付与されたフェルトヤーンを、パイル糸の一部または全てに使用したカーペット。
【図１】
【図２】
【図２】
【公開番号】特開２００６−１４４１５２（Ｐ２００６−１４４１５２Ａ）
【公開日】平成１８年６月８日（２００６．６．８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００４−３３３８６４（Ｐ２００４−３３３８６４）
【出願日】平成１６年１１月１８日（２００４．１１．１８）
【出願人】（３９００１４４８７）住江織物株式会社 (294)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年６月８日（２００６．６．８）
【国際特許分類】
【出願日】平成１６年１１月１８日（２００４．１１．１８）
【出願人】（３９００１４４８７）住江織物株式会社 (294)
【Ｆターム（参考）】
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