説明

感光性着色組成物、これを用いたカラーフィルタ及び液晶表示装置

【課題】透明基板上に少なくとも赤色(R)、緑色(G)、および青色(B)の3色の着色画素を備えたカラーフィルタの表面を平坦化させるために塗布される、熱硬化性オーバーコート層との密着性が良好な着色層用感光性樹脂組成物およびカラーフィルタを提供し、液晶配向乱れのない表示特性良好な液晶表示装置を提供する。
【解決手段】(イ)光重合性モノマー、(ロ)非感光性樹脂および/又は感光性樹脂、(ハ)光重合開始剤、(ニ)着色剤及び(ホ)溶剤を含有して構成されるカラーフィルタ用感光性着色組成物において、(イ)光重合性モノマーと(ロ)非感光性樹脂および/又は感光性樹脂との含有質量比率(モノマー/樹脂)が、0.75以上、2.0以下であり、光照射及び/又は焼成によって硬化した後の塗布膜の純水接触角が、75度以上、100度以下となる感光性着色組成物を用いたカラーフィルタ及び液晶表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ着色層用感光性着色組成物、およびこれを用いたカラーフィルタ、及びこれを備えた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー液晶表示装置は、一般に、カラーフィルタとTFTアレイ基板との間に液晶を封入して構成されるものである。カラーフィルタは、透明基板を構造的支持体として備え、その画面観察者側には偏光膜が積層されている。また、その反対側(背面側)は多数の画素領域に区分されている。画素領域と画素領域の境界に位置する画素間部位には有機樹脂に黒色色材を分散させたブラックマトリクスが設けられ、画素領域のそれぞれには着色画素が配置されている。ブラックマトリクスは、コントラスト向上の目的で着色画素間に配設する。着色画素は、画素ごとに透過光を着色するもので、一般に、光の三原色に相当する赤色(R),緑色(G),青色(B)の三色の着色画素を配列している。なお、ブラックマトリクスは、これら各色に着色された透過光の混色を防止するものである。
【0003】
カラーフィルタの製造工程は、透明基板にブラックマトリックスのパターンを形成した後、着色画素を赤色、緑色、青色の順で入色していくが、この際、画素端部同士が重なることで画素中央部との段差(ツノ段差)が発生する。この表面の平坦性が悪化したカラーフィルタを液晶表示装置に用いると、突起の影響によって液晶分子の配向が乱され、光漏れの原因となり液晶表示装置の表示品質を低下させることになる。
【0004】
このような問題に対して、特許文献1には、着色画素が形成されたカラーフィルタの上に、厚膜のポジ型感光性樹脂を用いて、突起の段差が高いカラーフィルタであっても表面平滑性の優れたオーバーコート層を形成する技術が開示されている。すなわち、感光性着色組成物で形成された着色画素の上に透明樹脂層を形成し、カラーフィルタ表面の段差を平坦化させる技術である。しかしながら、オーバーコート剤の溶剤に着色画素が膨潤するあるいは反対に、オーバーコート層と着色画素との密着性が悪く剥離試験を行なった際、剥がれが生じる等の問題があった。こうした膨潤や剥がれは、より高い品質、高信頼性を求める液晶表示装置にはあってはならず、耐溶剤性と密着性の改善が求められている。
【特許文献1】特開2002−228826号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、透明基板上に少なくとも赤色(R)、緑色(G)、および青色(B)の3色の着色画素を備えたカラーフィルタの表面を平坦化させるために塗布される、熱硬化性オーバーコート層との密着性が良好で、剥離試験によっても全く剥がれの無い、カラーフィルタ着色層用感光性樹脂組成物およびカラーフィルタを提供することを課題としており、また、液晶配向乱れのない表示特性良好な液晶表示装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意検討した結果、光重合性モノマーと非感光性樹脂および/又は感光性樹脂との含有質量比率(モノマー/樹脂)が、0.75以上、2.0以下であり、光照射及び/又は焼成によって硬化した後の塗布膜の純水接触角が、75度以上、100度以下となる感光性着色組成物を用いることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
本発明の請求項1に係る発明は、(イ)光重合性モノマー、(ロ)非感光性樹脂および/又は感光性樹脂、(ハ)光重合開始剤、(ニ)着色剤及び(ホ)溶剤を含有して構成されるカラーフィルタ用感光性着色組成物において、(イ)光重合性モノマーと、(ロ)非感光性樹脂および/又は感光性樹脂との、含有質量比率(モノマー/樹脂)が、0.75以上、2.0以下であることを特徴とするカラーフィルタ用感光性着色組成物である。
【0008】
また、本発明の請求項2に係る発明は、前記(ニ)着色剤が、赤色顔料であることを特徴とする請求項1に記載するカラーフィルタ用感光性着色組成物である。
【0009】
次に、本発明の請求項3に係る発明は、透明基板上に、少なくともブラックマトリクスと複数色の着色画素を有する構成のカラーフィルタにおいて、請求項1または2に記載するカラーフィルタ用感光性着色組成物により形成された着色画素の接触角が75度以上、100度以下であることを特徴とするカラーフィルタである。
ここで、接触角は、JIS R3257の6に規定される静滴法によって定められる、純水に対する室温での接触角である。
【0010】
また、本発明の請求項4に係る発明は、前記複数色の着色画素の1色が赤色画素であることを特徴とする請求項3に記載するカラーフィルタである。
【0011】
また、本発明の請求項5に係る発明は、請求項3または請求項4に記載するカラーフィルタを備えることを特徴とする液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0012】
透明基板上に塗布した感光性着色組成物を光照射によって硬化させる際、大気中に含まれる酸素によって表面硬化が妨げられることが一般的に知られているが、本発明の請求項1に係る発明によれば、光重合性モノマー含有量の多い感光性着色組成物を用いるので、酸素阻害が緩和され表面硬化の促進が可能となる。表面を十分硬化させることで耐溶剤性が向上し、オーバーコート材料と着色画素との界面の乱れが無くなり密着性が良好となる。ここで、モノマー/樹脂の比率が、0.75未満ではオーバーコート層との密着性が低下し、2.0を超え、例えば、2.1以上では感光性着色組成物の現像性が低下する、あるいは、パターンを形成した時に、その形状にガタツキやオーバーハングが見られることがあり好ましくない。また、本発明は、赤色の着色画素とオーバーコート層の密着改善に高い効果がある。
【0013】
また、表面硬化が進むことで、表面がより疎水性になり接触角が高くなる、すなわち表面が疎水性になることで有機物からなるオーバーコート材料となじみやすくなり、着色画素の接触角が75度以上で密着性が良好となる。接触角が100度を超え、例えば、110度以上になると、オーバーコート材料の塗布形成時にはじきが生じ始める傾向にあり好ましくない。
【0014】
本発明の感光性着色組成物を用いることによって、着色画素端部同士の重なりで生じる画素中央部との段差(ツノ段差)を緩和させるために塗布されるオーバーコート層との密着性が良好で、剥がれの無い着色画素の形成が可能となり、光漏れの無い液晶表示装置が提供できる。換言すれば、着色画素とオーバーコート層とのより高い密着性の向上により、より高い画質かつより高信頼性の液晶表示装置を提供できるものである。
【0015】
更に、本発明は、オーバーコート層や、ITOと呼ばれる透明電極を積層しない構成のカラーフィルタ、たとえば横電界方式(IPS方式)向けに、直接カラーフィルタ上に形成するスペーサと着色画素との密着性の向上にも効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の感光性着色組成物、これを用いたカラーフィルタ及び液晶表示装置を、一実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。まず、カラーフィルタ用感光性着色組成物を構成する材料から説明する。
【0017】
(光重合性モノマー)
光重合性モノマーの例として、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。また、水酸基を有する(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られる(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタンアクリレートを用いることが好ましい。なお、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートとの組み合わせは任意であり、特に限定されるものではない。また、1種の多官能ウレタンアクリレートを単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0018】
(非感光性樹脂および/又は感光性樹脂)
本発明の感光性着色組成物の構成材料に用いる非感光性樹脂および/又は感光性樹脂としては、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂を用いることができる。非感光性樹脂および/又は感光性樹脂には、必要に応じて、その前駆体である、放射線照射により硬化して樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーを単独で、または2種以上混合して用いることができる。
【0019】
可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0020】
感光性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0021】
(着色剤)
着色剤は、前記した透明な非感光性樹脂および/又は感光性樹脂の皮膜を着色して、液晶表示装置の表示光を着色するものであり、顔料又は染料をそれぞれ使用する、あるいは併用することができるが、耐久性に優れている点で、顔料を使用することが望ましい。顔料としては、有機顔料と無機顔料のいずれであっても良いが、有機顔料が好ましく使用でき
る。また、その配合量は特に限定されるものではないが、組成物の総量100質量%に対して、5〜70質量%程度であることが好ましく、5〜50質量%程度であることがより好ましく、20〜50質量%程度であることがさらに好ましく、その残部は、顔料担体により提供される非感光性樹脂および/又は感光性樹脂から実質的になる。また、カラーフィルタの分光調整等のために、複数の顔料を組み合わせて用いることもできる。
【0022】
本発明の感光性着色組成物の構成材料に用いる非感光性樹脂および/又は感光性樹脂に併用することのできる着色層用の有機顔料の具体例をカラーインデックス(C.I.)ナンバーで示す。
・Pigment Red:<C.I>1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:3,81:x,83,88,90,97,112,119,122,123,144,146,149,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,180,184,185,187,188,190,192,200,202,206,207,208,209,210,215,216,217,220,223,224,226,227,228,240,246,254,255,264,272,279
また、上記有機顔料と組み合わせて、彩度と明度のバランスを取りつつ、良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、無機顔料を組み合わせて用いることも可能である。無機顔料としては、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑等の金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉等が挙げられる。さらに、調色のため、耐熱性を低下させない範囲内で染料を添加することもできる。
【0023】
(分散剤)
顔料を顔料担体および有機溶剤中に分散する場合には、顔料を分散させるための分散剤、および、界面活性剤を含有させる必要がある。分散剤としては、界面活性剤、顔料の中間体、染料の中間体、ソルスパース等が使用され、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、顔料担体と相溶性のある部位とを有し、顔料に吸着して顔料の顔料担体への分散を安定化する働きをするものである。具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩などの油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル系等が用いられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。分散剤の添加量は特に限定されるものではないが、顔料の配合量100質量%に対して、1〜10質量%とすることが好ましい。また、着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
【0024】
(界面活性剤)
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル
硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0025】
(光重合開始剤)
光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系化合物、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系化合物、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリルs−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、O−(アセチル)-N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ-ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物、ボレート系化合物、カルバゾール系化合物、イミダゾール系化合物、チタノセン系化合物等が挙げられる。これらは1種を単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
(光増感剤)
また、光重合開始剤と光増感剤とを併用することが好ましい。光増感剤として、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物を併用することもできる。光増感剤は、光重合開始剤100質量部に対して、0.1〜60質量部の量で含有させることができる。
【0027】
(多官能チオール)
さらに、感光性着色組成物には、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオールを含有させることができる。多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。これらの多官能チオールは、1種または2種以上混合して用いることができる。多官能チオールは、感光性着色組成物中の顔料100質量部に対して、0.2〜150質量部、好ましくは0.2〜100質量部の量で用いることができる。
【0028】
(貯蔵安定剤)
感光性着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。貯蔵安定剤としては、例えばベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、トリエチルホスフィン、トリフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、感光性着色組成物中の顔料100質量部に対して、0.1〜10質量部の量で含有させることができる。
【0029】
(密着向上剤)
また、感光性着色組成物には、基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。シランカップリング剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等が挙げられる。シランカップリング剤は、感光性着色組成物中の顔料100質量部に対して、0.01〜100質量部の量で含有させることができる。
【0030】
(溶剤)
前記感光性着色組成物には、基板上への均一な塗布を可能とするために、水や有機溶剤等の溶剤が配合される。また、本発明の感光性着色組成物がカラーフィルタの着色層である場合、溶剤は、顔料を均一に分散させる機能も有する。溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2
−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。溶剤は、着色組成物中の顔料100質量部に対して、800〜4000質量部、好ましくは1000〜2500質量部の量で用いることができる。
【0031】
[感光性着色組成物の調製方法]
感光性着色組成物は、公知の方法により調製することができる。例えば、(1)光重合性モノマーを溶剤に溶解した溶液に、顔料と分散剤を予め混合して調製した顔料組成物を添加して分散させ、残りの成分を添加する。 (2)光重合性モノマーを溶剤に溶解した溶液に、顔料と分散剤を別々に添加して分散させた後、残りの成分を添加する。 (3)光重合性モノマーを溶剤に溶解した溶液に、顔料を分散させた後、顔料分散剤を添加し、残りの成分を添加する。 (4)、顔料と分散剤を予め別々に分散させてから、光重合性モノマーを溶剤に溶解した溶液と混合し、残りの成分を添加する等の方法がある。なお、顔料と分散剤のうち一方は溶剤にのみ分散させても良い。
【0032】
ここで、光重合性モノマーを溶剤に溶解した溶液への顔料や分散剤の分散は、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、ディゾルバー、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、アトライター等の各種分散装置を用いて行うことができる。また、分散を良好に行うために、各種界面活性剤を添加して分散を行っても良い。また、顔料と分散剤を予め混合して顔料組成物を調製する場合、粉末の顔料と粉末の分散剤を単に混合するだけでも良いが、(a)ニーダー、ロール、アトライター、スーパーミル等の各種粉砕機により機械的に混合する、(b)顔料を溶剤に分散させた後、分散剤を含む溶液を添加し、顔料表面に分散剤を吸着させる、(c)硫酸等の強い溶解力を持つ溶媒に顔料と分散剤を共溶解した後、水等の貧溶媒を用いて共沈させるなどの混合方法を採用することが好ましい。
【0033】
[カラーフィルタ]
以下、カラーフィルタ用着色層(着色画素)の形成方法について説明する。なお、着色層(着色画素)が設けられた基板表面上に形成された、液晶表示装置のセルギャップを均一化するための対向基板担持層(スペーサ)、セルギャップ制御用かさ上げ層、及び位相差層についても同様の形成方法を適用することができる。
【0034】
図1(a)は、本発明のカラーフィルタの一例の概略断面図である。基板1上には、クロムなどの金属もしくは感光性黒色樹脂組成物をパターン加工してなるブラックマトリクス2が公知の方法により形成されている。用いる基板1としては透明基板が好適であり、具体的には、ガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンフタレート等の樹脂基板が好適に用いられる。また、ガラス板や樹脂板の表面には、液晶パネル化後の液晶駆動のために、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化アンチモンなどの金属酸化物の組み合わせからなる透明電極が形成されていてもよい。
【0035】
はじめに、基板1上に、スプレーコート法、スピンコート法、ロールコート等により、本発明の感光性着色組成物を均一に塗布し乾燥させる。この工程において形成される層のことを「感光性組成物層」と称す。次に、フォトリソグラフィ法により、形成した感光性組成物層をパターニングする。すなわち、所望の遮光パターンを具備するフォトマスクを介して紫外線、電子線等の活性エネルギー線を照射して露光した後、有機溶剤やアルカリ水溶液等の現像液を用いて現像する。ここで、露光工程においては、活性エネルギー線が照射された部分の光重合性モノマーが重合し硬化する。また、感光性樹脂を含有する場合
には、該樹脂も架橋し硬化する。
【0036】
また、露光感度を向上させるために、感光性組成物層を形成した後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂(例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等)の溶液を塗布し乾燥させることにより、酸素による重合阻害を抑制する膜を形成してから、露光を行っても良い。
【0037】
そして、現像工程において、活性エネルギー線が照射されなかった部分を現像液により洗い流すことで所望のパターンが形成される。現像処理方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。なお、現像液としては、炭酸ソーダ、苛性ソーダ等の水溶液や、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリ溶液等のアルカリ現像液が主流になっている。また、現像液としては、必要に応じて消泡剤や界面活性剤が添加されたものが用いられる。
【0038】
最後に焼成し、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。すなわち、基板上に着色層3、及び/または該着色層が設けられた基板表面上に形成された、液晶表示装置のセルギャップを均一化するための対向基板担持層(スペーサ)4を形成することができる。また、図1(b)は本発明のカラーフィルタの他の例の概略断面図である。ここには着色層3が設けられた基板表面上に積層されたオーバーコート層6、さらに液晶表示装置のセルギャップを均一化するためのスペーサ4が示されている。
【0039】
[オーバーコート材料]
本発明のカラーフィルタに適用可能なオーバーコート材料は、液晶パネル工程に耐え、透明性および耐熱性など信頼性を備えた有機材料であれば良い。市販の代表的なオーバーコート材料、例えば、JSR社製のオプトマーSS、日本油脂社製のノフキュアーOP、新日鐵化学社製のV−259PA、日本化薬社製のKAYADADなどが適用できる。
【0040】
次に、本発明のカラーフィルタを備えた液晶表示装置について説明する。
【0041】
図2に、本発明のカラーフィルタを備えた液晶表示装置7の一例の概略断面図を示す。この液晶表示装置7は、ノート型パソコン用のTFT駆動型液晶表示装置の典型例であって、離間対向して配置された一対の透明基板8および9を備え、それらの間には、液晶(LC)5が封入されている。
【0042】
なお、本発明には、TN(Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)、IPS(In−Plane switching)、VA(Vertical Alignment)、OCB(Optically Compensated Birefringence)、強誘電液晶、横電界(IPS)方式等の液晶配向モードの液晶が適用できる。
【0043】
第1の透明基板8の内面には、TFT(薄膜トランジスタ)アレイ10が形成されており、その上には例えばITOからなる透明電極層11が形成されている。透明電極層11の上には、配向層12が設けられている。また、透明基板8の外面には、位相差フィルムを構成に含む偏光板13が形成されている。
【0044】
他方、第2の透明基板9の内面には、本発明のカラーフィルタ14が形成されている。カラーフィルタ14を構成する赤色、緑色および青色のフィルタセグメントは、ブラックマトリックス(図示せず)により分離されている。カラーフィルタ14を覆って、必要に
応じて透明保護膜(図示せず)が形成され、さらにその上に、例えばITOからなる透明電極層15が形成され、透明電極層15を覆って配向層16が設けられている。また、透明基板9の外面には、偏光板17が形成されている。なお、偏光板13の下方には、三波長ランプ18を備えたバックライトユニット19が設けられている。
【実施例】
【0045】
以下に、本発明の実施例及び比較例について説明する。なお、本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においてこれに限定されるものではない。また、本発明で用いる材料は光に対して極めて敏感であるため、自然光などの不要な光による感光を防ぐ必要があり、以下の作業を黄色、または赤色灯下で行うことは言うまでもない。
【0046】
<実施例1>
下記の要領でカラーフィルタ作製に用いる着色組成物を調製した。
(赤色顔料の分散体作製)
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して赤色顔料の分散体を作製した。
・赤色顔料:C.I. Pigment Red 254 19.5質量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガーフォーレッド B−CF」)
・赤色顔料:C.I. Pigment Red 177 2.0質量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「クロモフタールレッド A2B」)
・分散剤 2.0質量部
(味の素ファインテクノ社製「アジスパーPB821」)
・アクリルワニス(固形分20%) 76.5質量部
[赤色着色組成物1の調製]
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルタで濾過して赤色着色組成物1を得た。
・上記赤色顔料の分散体 48.0質量部
・光重合性モノマー 17.5質量部
・アクリル系樹脂 12.5質量部
・光重合開始剤 2.8質量部
(チバガイギー社製「イルガキュア−369」)
・光増感剤 0.2質量部
(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」)
・シクロヘキサノン 19.0質量部
<実施例2〜5及び比較例1〜3>
それぞれの赤色着色組成物の含有量比を、表1に示した含有量比に変更した以外は、実施例1と同様にして赤色着色組成物2〜8を得た。
【0047】
【表1】

表1に示した各赤色着色祖生物(感光性着色組成物)について、耐溶剤性、純水接触角及び密着性を以下のようにして評価した。
【0048】
(耐溶剤性評価)
ガラス基板上に、赤色着色組成物1〜8をそれぞれ、スピンコート法により塗布し、70℃で15分のプリベークを行い、膜厚2.3μmの塗布膜を形成した。次に、露光光源に紫外線を使用した近接露光方式で、幅20μmの線幅のストライプパターンを備えたフォトマスクを介して紫外線露光を行なった。
【0049】
次に、1.25質量%の炭酸ナトリウム溶液を用いてシャワー現像した後、水洗した。現像時間は、それぞれ、未露光の塗布膜を洗い流すのに適正な時間とした。次に、230
℃で60分間加熱処理をして、実施例1〜5及び比較例1〜3の耐溶剤性評価用基板を作製した。その後、50℃のジエチレングリコールジメチルエーテルに2分間浸漬させ、その前後での膜厚測定を行なった。得られた膜厚から下記式1より膨潤率を算出し、膨潤率が102%未満の場合を○、102%を越えている場合を×とした。結果を表2に示す。(式1)膨潤率(%)=浸漬後膜厚(μm)/浸漬前膜厚(μm)×100
(純水接触角評価)
ガラス基板上に、赤色着色組成物1〜8をそれぞれ、スピンコート法により塗布し、70℃で15分のプリベークを行い、膜厚2.3μmの塗布膜を形成した。次に、露光光源に紫外線を使用した近接露光方式で紫外線の全面露光を行なった。
【0050】
次に、1.25質量%の炭酸ナトリウム溶液を用いてシャワー現像した後、水洗した。現像時間は、それぞれ、未露光の塗布膜を洗い流すのに適正な時間とした。次に、230℃で60分間加熱処理をして、実施例1〜5及び比較例1〜3の純水接触角評価用基板を作製した。次に、作製した評価用基板の常温での純水接触角を、協和界面科学株式会社製接触角測定装置CA―VE型にて測定した。測定は、JIS R3257の6に規定される静滴法によった。評価基準は、75度以上、100度以下である場合を○、75度未満である場合を×とした。結果を表2に示す。
【0051】
(密着性評価)
オーバーコート材料と表1に示した各赤色着色組成物から形成された着色皮膜との密着性を以下のようにして評価した。まず、上記純水接触角評価と同様に作製した、実施例1〜5及び比較例1〜3の各赤色着色組成物の塗布膜を、1000mJの露光量で紫外線洗浄した。次に一般的に市販されている、JSR株式会社製熱硬化性オーバーコート材料JSS−727−S2をスピンコート法により塗布し、90℃で5分のプリベークを行い、膜厚1.8μmの塗布膜を形成した後、240℃で30分過熱処理を行なって、実施例1〜5及び比較例1〜3の密着性評価用基板を作製した。
【0052】
密着性評価は、クロスカットピール試験と呼ばれる(JIS―5400)方法で行った。各評価基板表面にカッターナイフによって1mm間隔の碁盤目状の切り込みを入れ、隙間無く貼り付けた市販のセロファンテープを剥がした後、光学顕微鏡にて観察した。評価基準は、オーバーコート層の剥がれが全く無い場合を○、少しでも剥がれが見られた場合を×とした。結果を表2に示す。
【0053】
【表2】

<比較結果>
表2に示した結果より、本発明の感光性着色組成物を使用した実施例1〜5においては、光及び/又は熱による硬化が促進されることで耐溶剤性が向上し、且つ、オーバーコート層との親和性のバランスが適性となり、オーバーコート層との密着性が良好となる結果となった。それに比較して比較例1〜3では、いずれも密着性が不十分となる結果であった。
【0054】
なお、上記した密着性評価で、オーバーコート層の材料に代えて、スペーサの材料である感光性樹脂材料のを塗布して、本発明の実施例の感光性着色組成物の塗布膜との密着性を評価したが、この場合にも良好な密着性を示した。
【0055】
上述の実施例より得られたカラーフィルタは、画素端部同士が重なることで発生する画素中央部との段差(ツノ段差)を緩和するためのオーバーコート層との密着性に優れているので、液晶の配向乱れ起因の光漏れの無い液晶表示装置を提供できる。
【0056】
[液晶表示装置の作製]
上述した実施例で得られたカラーフィルタ上に、ITOからなる透明電極層を形成し、さらにその上にポリイミド配向層を形成した。このガラス基板の他方の表面に偏光板を形成した。一方、別に用意した(第2の)ガラス基板の表面にTFTアレイおよび画素電極を形成し、TFT基板とした。こうして準備されたカラーフィルタとTFT基板を電極層同士が対面するよう対向させ、透明樹脂による柱状のスペーサを介して両基板の間隔を一定に保ちながら位置合わせし、液晶組成物注入用の開口部を残すように周囲を封止剤で封止した。次に、開口部から液晶組成物を注入し、開口部を封止し液晶セルとした。更に偏光板を液晶セルの両面に貼り、液晶パネルとした。この液晶パネルをバックライトユニットと組み合わせて液晶表示装置を得た。一連の工程の中で加熱、冷却、加圧、減圧が行われたが、ツノ段差による光漏れはもちろん、着色層とオーバーコート層との密着不良に起因する不良はなく、いずれの液晶表示装置も良好な表示品質を示した。
【0057】
以上のように、本発明の感光性着色組成物を用いることで、オーバーコート層との密着性の高いカラーフィルタが得られ、表示品質の高い液晶表示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明のカラーフィルタの一実施形態の概略断面図。
【図2】本発明のカラーフィルタを備えた一例の液晶表示装置の概略断面図。
【符号の説明】
【0059】
1・・・基板(ガラス基板) 2・・・ブラックマトリックス
3・・・着色層(着色画素) 4・・・スペーサ 5・・・液晶
6・・・オーバーコート層 7・・・液晶表示装置 8、9・・・透明基板
10・・・TFTアレイ 11、15・・・透明電極 12、16・・・配向層13、17・・・偏光板 14・・・カラーフィルタ 18・・・三波長ランプ19・・・バックライトユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)光重合性モノマー、(ロ)非感光性樹脂および/又は感光性樹脂、(ハ)光重合開始剤、(ニ)着色剤及び(ホ)溶剤を含有して構成されるカラーフィルタ用感光性着色組成物において、
(イ)光重合性モノマーと、(ロ)非感光性樹脂および/又は感光性樹脂との、含有質量比率(モノマー/樹脂)が、0.75以上、2.0以下であることを特徴とするカラーフィルタ用感光性着色組成物。
【請求項2】
(ニ)着色剤が、赤色顔料であることを特徴とする請求項1に記載するカラーフィルタ用感光性着色組成物。
【請求項3】
透明基板上に、少なくともブラックマトリクスと複数色の着色画素を有する構成のカラーフィルタにおいて、
請求項1または2に記載するカラーフィルタ用感光性着色組成物により形成された着色画素の接触角が、75度以上、100度以下であることを特徴とするカラーフィルタ。
ここで、接触角は、JIS R3257の6に規定される静滴法によって定められる、純水に対する室温での接触角である。
【請求項4】
前記複数色の着色画素の1色が赤色画素であることを特徴とする請求項3に記載するカラーフィルタ。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載するカラーフィルタを備えることを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−300564(P2009−300564A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−152574(P2008−152574)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】