説明

感光性組成物、並びに、感光性フィルム、永久パターン、永久パターン形成方法、及びプリント基板

【課題】埋め込み性、耐熱衝撃性(TCT)、電気絶縁性(HAST)、はんだ耐熱性、及び解像性に優れ、光透過性が高い高性能な硬化膜を得ることができ、且つ感光フィルムにおける無機充填剤の分散性を向上させることができる感光性組成物、並びに、感光性フィルム、永久パターン、永久パターン形成方法及びプリント基板を提供する。
【解決手段】分散剤、無機充填剤、バインダー、光重合開始剤および重合性化合物をそれぞれ含有する感光性組成物であって、該感光性組成物の全固形分中における該無機充填剤の含有量が、35質量%以上である感光性組成物、並びに、これを用いた感光性フィルム、永久パターン、永久パターン形成方法及びプリント基板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソルダーレジストなどに好適に用いられる感光性組成物、並びに、該感光性組成物を用いた感光性フィルム、高精細な永久パターン(保護膜、層間絶縁膜、ソルダーレジストなど)、永久パターン形成方法、及びプリント基板に関し、特に、配線基板や電子部品モジュールに用いられ、実装時の熱履歴や温度サイクル試験(TCT)に対する耐熱疲労性に優れた永久パターン、その効率的な形成方法、更には該形成方法により永久パターンが形成されたプリント基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器は、移動体通信機器に代表されるように小型、薄型、軽量化と共に、高性能、高機能、高品質、高信頼性が要求されるようになってきている。また、このような電子機器に搭載される電子部品モジュールも小型、高密度化が要求されるようになってきている。このような要求に対して、近年、軽量化、高密度化が可能なガラス繊維とエポキシ樹脂とから成る絶縁基板の表面に低抵抗金属である銅や金等を用いて薄膜形成法により配線導体層を形成した、いわゆるプリント基板が電子部品モジュールに用いられるようになってきている。また、このプリント基板も、より高密度配線化が可能なビルドアップ配線基板へ変わりつつある。
【0003】
このようなビルドアップ配線基板は、例えば、ガラス繊維とエポキシ樹脂とから成る絶縁基板上に、熱硬化性樹脂から成るフィルムをラミネートし熱硬化して絶縁層を形成した後にこれに炭酸ガスレーザーで開口を穿設し、しかる後、絶縁層表面を化学粗化して無電解銅めっき法及び電解銅めっき法を用いて銅膜を被着形成することにより、開口内に導体層を形成するとともに絶縁層表面に配線導体層を形成し、更に、このような絶縁層と配線導体層の形成を繰返すことにより製作される。
【0004】
また、配線基板の表面には、配線導体層の酸化や腐蝕の防止及び配線基板に電子部品を実装する際の熱から絶縁層を保護するために厚みが20μm〜50μmのソルダーレジスト層が被着形成されている。このソルダーレジスト層は、一般に配線導体層及び絶縁層との密着性が良好なアルカリ可溶性光架橋性樹脂と、可撓性を有する樹脂とから成り、熱膨張係数を絶縁層や配線導体層の熱膨張係数と整合させるために無機充填剤を5質量%〜75質量%含有している。
【0005】
さらに、この配線基板は、配線導体層上のソルダーレジスト層に露光及び現像により開口を形成し、開口内の配線導体層に半田等から成る導体バンプを介して電子部品を電気的に接続することにより半導体装置等の電子部品モジュールとなる。
一般に、このような電子部品モジュールに用いられるソルダーレジスト層は、乾燥状態での絶縁抵抗が1011Ω〜1013Ωである。しかしながら、このソルダーレジスト層は、一般に、含有するアルカリ可溶性光架橋性樹脂がソルダーレジスト層に露光及び現像により開口を形成する際の現像性を発現させるために水酸基やカルボキシル基を含有することから、吸水率が高く空気中の水分を徐々に吸収して、この水分がソルダーレジスト層の絶縁抵抗を10Ω以下にまで低下させてしまうことがある。そのため配線導体層間を短絡させたり、更には、この水分が配線導体層を腐食させてしまい、その結果、配線基板の電気信頼性を劣化させてしまうという問題点を有していた。また、BGA(ボールグリッドアレイ)、CSP(チップサイズパッケージ)等の半導体パッケージ基板において、予めクリームはんだを必要部分に印刷し、全体を赤外線で加熱し、はんだをリフローして固定する。この工程ではパッケージ内外部の到達温度は220℃〜240℃と著しく高くなり、熱衝撃により塗膜にクラックが発生したり、基板や射止材から剥離してしまうという、いわゆる耐リフロー性(はんだ耐熱性)低下の問題がありこの改良が求められていた。
【0006】
このような問題の解決のため、ソルダーレジスト中にエラストマーを添加することが提案されている(特許文献1参照)。このエラストマーには、水酸基を有するポリエステル系エラストマーが例として使用され、それ以外にも広範なエラストマーが例示されている。前記エラストマーの含有量は、酸性エチレン性不飽和基を含有させたエポキシ樹脂の100質量部に対し2質量部〜30質量部である必要があるとされている。
しかしながら、これらのエラストマーが、耐クラック性(耐熱衝撃性)を改善しうることは確かであるが、一方で、ソルダーレジストの未露光部の現像性は、十分ではない。
【0007】
そこで、現像性の向上を図るために、ソルダーレジスト中に、カルボキシル基含有ポリウレタンと、分子中にエポキシ基とエチレン性不飽和基を有する化合物とを反応して得られるエラストマーとを添加することが提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、耐熱衝撃性(TCT)、電気絶縁性(HAST)、及びはんだ耐熱性を向上させるために、硫酸バリウム等の無機充填剤の充填量を増量すると、塗布液が増粘し、塗布適性が依然として十分でなく、スクリーン印刷を行うことができなくなるという問題が生じる。また、場合によっては、塗布液を調製する前の無機充填剤分散液が過度に増粘して、無機充填剤が分散できないという問題が起きることがある。
【0008】
また、耐熱衝撃性(TCT)、電気絶縁性(HAST)、及びはんだ耐熱性を向上させるために、無機充填剤を85質量%〜95質量%含有する高い充填率の半導体封止剤が提案されている(特許文献3参照)。
しかしながら、塗布液が増粘して、塗布適性が依然として十分でなく、スクリーン印刷を行うことができないという問題があり、場合によっては、塗布液を調製する前の無機充填剤分散液が増粘して、無機充填剤が分散できないという問題がある。
【0009】
無機充填剤が分散できないという問題の解決のため、熱硬化樹脂と、無機充填剤と、分散剤とを含む絶縁性樹脂組成物が提案されている(特許文献4参照)。
しかしながら、前記絶縁性樹脂組成物は、光により重合が開始されるものではなく、また、前記絶縁性樹脂組成物の乾燥時における無機充填剤の凝集を防止して、前記絶縁性樹脂組成物により形成された絶縁フィルムの溶融粘度をコントロールできるものではなく、また、無機充填剤の粒径が大きいため、前記絶縁性樹脂組成物において、光が通りやすいものではなく、前記絶縁性樹脂組成物の光硬化に時間を要するという問題があった。
【0010】
前記分散剤を含むものとして、着色顔料と、無機充填剤と、光重合性化合物とを含む感光性組成物が提案されている(特許文献5参照)。
しかしながら、前記感光性組成物における無機充填剤の充填量は、30質量%と低く、充填量が高い場合において、また、無機充填剤の粒径が大きいため、前記絶縁性樹脂組成物において、光が通りやすいものではなく、前記絶縁性樹脂組成物の光硬化に時間を要するという問題があった。
【0011】
さらに、溶融粘度が10万ポイズ以下の感光性フィルムが提案されている(特許文献6参照)。
しかしながら、前記感光性組成物における無機充填剤の充填量は、7質量%〜8質量%と低く、充填量をさらに高める場合において、無機充填剤の分散が困難になるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平11−240930号公報
【特許文献2】特開2007−2030号公報
【特許文献3】特開2006−188622号公報
【特許文献4】特開2003−234439号公報
【特許文献5】特開2007−279703号公報
【特許文献6】特開2001−303011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、従来における前記諸問題に対応し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、埋め込み性、耐熱衝撃性(TCT)、電気絶縁性(HAST)、はんだ耐熱性、及び解像性に優れた高性能な硬化膜を得ることができ、且つ感光性フィルムにおける無機充填剤の分散性を向上させることができる感光性組成物、並びに、感光性フィルム、永久パターン、永久パターン形成方法、及びプリント基板を提供することを目的とする。
さらに本発明は、埋め込み性、耐熱衝撃性(TCT)、電気絶縁性(HAST)、はんだ耐熱性、及び解像性に優れ、光透過性が高い高性能な硬化膜を得ることができ、且つ感光性フィルムにおける無機充填剤の分散性を向上させることができる感光性組成物、並びに、感光性フィルム、永久パターン、永久パターン形成方法、及びプリント基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1>分散剤、無機充填剤、バインダー、光重合開始剤および重合性化合物をそれぞれ少なくとも1種含有する感光性組成物であって、該感光性組成物の全固形分中における該無機充填剤の含有量が、35質量%以上である感光性組成物である。
<2>前記無機充填剤の平均粒径(d50)が0.3μm未満である<1>に記載の感光性組成物である。
<3>前記感光性組成物の全固形分中における前記無機充填剤の含有量が、50質量%以上である<1>または<2>に記載の感光性組成物である。
<4>前記分散剤の前記無機充填剤に対する固形分含有量が1質量%以上である<1>〜<3>のいずれか1項に記載の感光性組成物である。
<5>前記分散剤が、前記無機充填剤の表面と相互作用する基を有し、かつエチレン性不飽和基を有さない分散剤である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の感光性組成物である。
<6>前記分散剤が、塩基性基を有する<1>〜<5>のいずれか1項に記載の感光性組成物である。
<7>前記分散剤が、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基及び含窒素ヘテロ環から選択された少なくとも1種の塩基性の官能基を有す<1>〜<6>のいずれか1項に記載の感光性組成物である。
<8>前記分散剤が、数平均分子量が500〜50,000の側鎖ポリマー鎖を有し、該側鎖ポリマー鎖が繰り返し単位を有するホモポリマー乃至コポリマーである<1>〜<7>のいずれか1項に記載の感光性組成物である。
<9>前記無機充填剤の表面が、酸性である<1>〜<8>のいずれか1項に記載の感光性組成物である。
<10>前記無機充填剤が、シリカである<1>〜<9>のいずれか1項に記載の感光性組成物である。
<11>前記バインダーが、酸基およびエチレン性不飽和基含有樹脂であって、かつポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂およびポリアミドもしくはポリイミド樹脂から選択される少なくとも1種の樹脂である<1>〜<10>のいずれか1項に記載の感光性組成物である。
<12>前記バインダーが、酸基およびエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂である<1>〜<11>のいずれか1項に記載の感光性組成物である。
<13>前記バインダーが、質量平均分子量が2,000〜60,000であり、酸価が20mgKOH/g〜120mgKOH/gであり、エチレン性不飽和基当量が0.05mmol/g〜3.0mmol/gである酸基およびエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂である<1>〜<12>のいずれか1項に記載の感光性組成物である。
<14>前記バインダーが、酸基およびエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂であって、かつ側鎖に、下記一般式(1)〜(3)で表される官能基のうち少なくとも1つを含む<1>〜<13>のいずれか1項に記載の感光性組成物である。
【0015】
【化1】

【0016】
一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子又は−N(R12)−を表す。ここで、R12は、水素原子又は1価の有機基を表す。
【0017】
【化2】

【0018】
一般式(2)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、Yは、酸素原子、硫黄原子又は−N(R12)−を表す。ここで、R12は前記一般式(1)のR12と同義である。
【0019】
【化3】

【0020】
一般式(3)中、R〜R11は、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表す。Zは、酸素原子、硫黄原子、−N(R13)−又は置換基を有してもよいフェニレン基を表す。ここで、R13は置換基を有してもよいアルキル基を表す。
<15>前記バインダーが、酸基およびエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂であって、かつ、下記一般式(UG)で表される部分構造を有する<1>〜<14>のいずれか1項に記載の感光性組成物である。
【0021】
【化4】

【0022】
一般式(UG)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、Aは2価の有機残基を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子又は−N(R12)−を表す。ここで、R12は水素原子又は1価の有機基を表す。
<16>前記バインダーが酸基およびエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂であって、かつ、ジイソシアネート化合物と少なくとも2種のジオール化合物との反応生成物であり、該少なくとも2種のジオール化合物のうち少なくとも1種が、(1)エチレン性不飽和基を有し、水酸基の少なくとも1つが2級アルコールであるジオール化合物であり、他の少なくとも1種が、(2)カルボキシル基を有するジオール化合物であることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の感光性組成物である。
<17>前記(1)のエチレン性不飽和基を有し、水酸基の少なくとも1つが2級アルコールであるジオール化合物が、下記一般式(G)で表される化合物である<16>に記載の感光性組成物である。
【0023】
【化5】

【0024】
一般式(G)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、Aは2価の有機残基を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子又は−N(R12)−を表す。ここで、R12は水素原子又は1価の有機基を表す。
<18>熱可塑性エラストマーを更に含有する<1>〜<17>のいずれか1項に記載の感光性組成物である。
<19>前記熱可塑性エラストマーが、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、アクリル系エラストマー、及びシリコーン系エラストマーから選択される少なくとも1種のエラストマーである<18>に記載の感光性組成物である。
<20>支持体上に感光層を有し、
該感光層が、<1>〜<19>のいずれか1項に記載の感光性組成物からなることを特徴とする感光性フィルムである。
<21>支持体上に感光性組成物からなる感光層を有し、
該感光層が、無機充填剤を含み、
該感光性組成物の全固形分中における該無機充填剤の含有量が、35質量%以上であり、
該感光層の30℃での溶融粘度が、1×10Pa・s以上であり、かつ該感光層の70℃での溶融粘度が、該無機充填剤の平均粒径が0.3μm未満の場合、5×10Pa・s以下であり、該無機充填剤の平均粒径が0.3μm以上の場合、2×10Pa・s以下である感光性フィルムである。
<22>前記無機充填剤の平均粒径(d50)が0.3μm未満である<21>に記載の感光性フィルムである。
<23>前記感光性組成物の全固形分中における前記無機充填剤の含有量が、50質量%以上である<21>または<22>に記載の感光性フィルムである。
<24>前記感光層が、分散剤を更に含有する<21>〜<23>のいずれか1項に記載の感光性フィルムである。
<25>前記分散剤の前記無機充填剤に対する固形分含有量が1質量%以上である<24>に記載の感光性フィルムである。
<26>前記分散剤が、前記無機充填剤の表面と相互作用する基を有し、かつエチレン性不飽和基を有さない分散剤である<24>または<25>に記載の感光性フィルムである。
<27>前記分散剤が、塩基性基を有する<24>〜<26>のいずれか1項に記載の感光性フィルムである。
<28>前記分散剤が、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基及び含窒素ヘテロ環から選択された少なくとも1種の塩基性の官能基を有す<24>〜<27>のいずれか1項に記載の感光性フィルムである。
<29>前記分散剤が、数平均分子量が500〜50,000の側鎖ポリマー鎖を有し、該側鎖ポリマー鎖が繰り返し単位を有するホモポリマー乃至コポリマーである<24>〜<28>のいずれか1項に記載の感光性フィルムである。
<30>前記無機充填剤の表面が、酸性である<21>〜<29>のいずれか1項に記載の感光性フィルムである。
<31>前記無機充填剤が、シリカである<21>〜<30>のいずれか1項に記載の感光性フィルムである。
<32>前記感光層が、前記無機充填剤とともに、バインダー、光重合開始剤および重合性化合物をそれぞれ少なくとも1種含有する<21>〜<31>のいずれか1項に記載の感光性フィルムである。
<33>前記バインダーが、酸基およびエチレン性不飽和基含有樹脂であって、かつポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂およびポリアミドもしくはポリイミド樹脂から選択される少なくとも1種の樹脂である<32>に記載の感光性フィルムである。
<34>前記バインダーが、酸基およびエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂である<32>または<33>に記載の感光性フィルムである。
<35>前記バインダーが、質量平均分子量が2,000〜60,000であり、酸価が20mgKOH/g〜120mgKOH/gであり、エチレン性不飽和基当量が0.05mmol/g〜3.0mmol/gである酸基およびエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂である<32>〜<34>のいずれか1項に記載の感光性フィルムである。
<36>前記バインダーが、酸基およびエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂であって、側鎖に、下記一般式(1)〜(3)で表される官能基のうち少なくとも1つを含む<32>〜<35>のいずれか1項に記載の感光性フィルムである。
【0025】
【化6】

【0026】
一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子又は−N(R12)−を表す。ここで、R12は、水素原子又は1価の有機基を表す。
【0027】
【化7】

【0028】
一般式(2)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、Yは、酸素原子、硫黄原子又は−N(R12)−を表す。ここで、R12は前記一般式(1)のR12と同義である。
【0029】
【化8】

【0030】
一般式(3)中、R〜R11は、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表す。
Zは、酸素原子、硫黄原子、−N(R13)−又は置換基を有してもよいフェニレン基を表す。ここで、R13は置換基を有してもよいアルキル基を表す。
<37>前記バインダーが、酸基およびエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂であって、かつ、下記一般式(UG)で表される部分構造を有する<32>〜<36>のいずれか1項に記載の感光性フィルムである。
【0031】
【化9】

【0032】
一般式(UG)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、Aは2価の有機残基を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子又は−N(R12)−を表す。ここで、R12は水素原子又は1価の有機基を表す。
<38>前記バインダーが酸基およびエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂であって、かつ、ジイソシアネート化合物と少なくとも2種のジオール化合物との反応生成物であり、該少なくとも2種のジオール化合物のうち少なくとも1種が、(1)エチレン性不飽和基を有し、水酸基の少なくとも1つが2級アルコールであるジオール化合物であり、他の少なくとも1種が、(2)カルボキシル基を有するジオール化合物である<32>〜<37>のいずれか1項に記載の感光性フィルムである。
<39>前記(1)のエチレン性不飽和基を有し、水酸基の少なくとも1つが2級アルコールであるジオール化合物が、下記一般式(G)で表される化合物である<38>に記載の感光性フィルムである。
【0033】
【化10】

【0034】
一般式(G)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、Aは2価の有機残基を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子又は−N(R12)−を表す。ここで、R12は水素原子又は1価の有機基を表す。
<40>前記<1>〜<19>のいずれか1項に記載の感光性組成物を、基体の表面に塗布し、乾燥して感光層を積層して積層体を形成した後、露光し、現像することを特徴とする永久パターン形成方法である。
<41>前記<40>に記載の永久パターン形成方法により形成されてなることを特徴とする永久パターンである。
<42>前記<40>に記載の永久パターン形成方法により永久パターンが形成されてなることを特徴とするプリント基板である。
【発明の効果】
【0035】
本発明により、埋め込み性、耐熱衝撃性(TCT)、電気絶縁性(HAST)、はんだ耐熱性、及び解像性に優れ、光透過性が高い高性能な硬化膜を得ることができ、且つ感光性フィルムにおける無機充填剤の分散性を向上させることができる感光性組成物、並びに、感光性フィルム、永久パターン、永久パターン形成方法、及びプリント基板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、感光性フィルムの層構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(感光性組成物)
本発明の感光性組成物は、少なくとも1種の無機充填剤を含有し、特に好ましくはバインダー、光重合開始剤、重合性化合物をそれぞれ含有してなり、熱架橋剤、有機溶剤、熱可塑性エラストマー、熱硬化促進剤、着色剤、密着促進剤、熱重合禁止剤、さらに必要に応じてその他の成分を含有してなる。
なお、本明細書において、感光性組成物における固形分含有量とは、感光性組成物の全固形分中における指定された固形物質の含有量(固形分含有量)を意味する。
【0038】
<無機充填剤>
本発明で使用する無機充填剤(無機フィラー)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、粒子の表面が酸性である充填剤が好ましい。
本発明において粒子の表面が酸性である無機充填剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ケイ素原子を構成原子として含む無機充填剤(シリカ、タルク等)、バリウム原子を構成原子として含む無機充填剤(硫酸バリウム等)が挙げられ、ケイ素原子を構成原子として含む無機充填剤が好ましい。
なお、前記無機充填剤がケイ素原子を構成原子として含むことにより、感光性組成物の硬化膜の耐熱性を向上させるとともに、バインダー樹脂、特に好ましくは後述の酸基およびエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂との分散性が良好となり、感光性組成物の粘度を好適な範囲に維持することができ、好適な塗布適性が得られる。
【0039】
ケイ素原子を構成原子として含む無機充填剤は、本発明においては、シリカ(シリカ粒子)が好ましい。シリカとしては、例えば、気相法シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカなどが挙げられる。
【0040】
本発明で使用する無機充填剤の平均粒径(d50)は、3.0μm以下(好ましくは0.2μm〜3.0μm)が好ましく、2.5μm以下(好ましくは0.3μm〜2.5μm、さらに好ましくは0.5μm〜2.5μm)がより好ましい。
特に、無機充填剤の平均粒径が0.3μm未満であると、光透過性に優れることから、本発明において好ましい。このような微粒子の場合、10nm以上0.3μm未満が好ましく、10nm〜250nmがより好ましく、70nm〜150nmがさらに好ましい。
なお、平均粒径が0.3μmを超えると、平滑性を維持することができないことがある。一方、平均粒径(d50)が、上記の好ましい範囲内であると、塗布粘度と硬化膜の平滑性や耐熱性の点でも有利である。
なお、前記無機充填剤の平均粒径(d50)は、積算(累積)質量百分率で表したときの積算値50%の粒度で定義されるもので、d50(D50)などと定義されるものであり、例えば、ダイナミック光散乱光度計(商品名DLS7000、大塚電子製)を用いて、測定原理を動的光散乱法とし、サイズ分布解析手法をキュムラント法及び/又はヒストグラム法として、測定することができる。
【0041】
感光性組成物の全固形分中における該無機充填剤の含有量は、35質量%以上(好ましくは35質量%〜95質量%、より好ましくは35質量%〜80質量%)である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、好ましくは40質量%以上(好ましくは40質量%〜95質量%、より好ましくは40質量%〜80質量%)、より好ましくはが45質量%以上(好ましくは45質量%〜95質量%、より好ましくは45質量%〜80質量%)、さらに好ましくは50質量%以上(好ましくは50質量%〜95質量%、より好ましくは50質量%〜80質量%)である。
この固形分含有量が、35質量%未満であると、TCT特性、半田耐熱性が不十分であることがあり、95質量%を超えると、分散性が不十分であることがある。一方、この固形分含有量が前記より好ましい範囲内であると、分散性とTCT特性及び半田耐熱性のバランスを維持することができる点で有利である。
【0042】
<分散剤>
本発明においては分散剤を含有することが特に好ましい。分散剤は、どのようなものでも構わないが、感光性組成物中に無機充填剤を分散するのに効果的な分散剤が好ましい。特に、感光性組成物の全固形分中における該無機充填剤の含有量で35質量%以上の無機充填剤を安定に、かつ均一に分散するために効果的な分散剤が好ましい。
本発明で使用する分散剤は、例えば、塩基性基、酸性基、ノニオン性基、及び、立体障害基(例えば、高分子の立体障害基)の少なくともいずれかを有する分散剤(例えば、界面活性剤、顔料の中間体、染料の中間体)が挙げられる。
本発明で使用する分散剤は、無機充填剤の表面と相互作用する基、例えば、電荷、静電、イオン等の相互作用、吸着による相互作用(電荷、静電、イオン等の相互作用もしくはこれとは異なる、メルカプト基のような吸着基による吸着相互作用)、または疎水性相互作用等の相互作用する基を有しているものが好ましい。このような基としては、塩基性基または酸性基が挙げられ、特に塩基性基が好ましい。
また、分散剤の分子同士、特に一つの無機充填剤粒子と別の無機充填剤粒子の間での会合を阻害する立体障害基を有する分散剤も好ましい。なお、無機充填剤の表面でこれらの相互作用する基が無機分散剤表面と相互作用した状態で、上記の立体障害基を有する分散剤がさらに好ましい。
このような分散剤としては、高分子の分散剤がこのましい。この場合、高分子分散剤の数平均分子量は500以上が好ましく、500〜1000,000がより好ましい。
【0043】
前記塩基性基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、及び含窒素ヘテロ環、などの塩基性の官能基を含むポリマーが挙げられる。前記ポリマーが塩基性の官能基を含むものでなく、酸性の官能基、塩構造を含むものである場合は、シリカ等の無機充填剤に対して十分な吸着量が得られないため、フィルムにした場合にシリカ同士の凝集が抑制できないために粘度が低下しない。前記ポリマーは、ブロック型であってもよく、単鎖型であってもよい。
【0044】
含窒素へテロ環基としては、環構成原子に窒素原子を含み、該窒素原子が塩基性を示すものであればどのようなものでも構わない。含窒素へテロ環基におけるヘテロ環としては、5または6員のヘテロ環基が好ましく、芳香環であっても、不飽和もしくは飽和の環であっても構わない。含窒素へテロ環はさらに芳香環、ヘテロ環または脂環が縮環してもよく、含窒素ヘテロ環に置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、ウレイド基、ウレタン基などが挙げられる。
【0045】
含窒素ヘテロ環としては、例えば、ピロリジン環、ピロリン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、イミダゾリジン環、イミダゾリン環、イミダゾール環、ピラゾリジン環、ピロリジン環、ピラゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドール環、インダゾール環、プリン環、キノリン環、キノキサリン環、キナゾリン環、インドリン環、キヌクリジン環が挙げられる。
【0046】
酸性基としては、特に制限はなく、酸性基の酸部分の基としては、例えば、カルボキシル基、スルホ基、ホスホニル基、−COCHCO−R、−CONHCO−R、−COCHCN、フェノール性水酸基、−RCHOH、−(RCHOH、アルキルもしくはアリールスルホンアミド基などが挙げられる。ここで、Rは炭素数1〜10の炭化水素基を表し、Rはペルフルオロアルキル基を表す。なお、炭化水素基は、飽和、不飽和または環状の炭化水素基で、好ましくは環状の炭化水素基である。
酸性基のうち、カルボキシル基、スルホ基、ホスホニル基が好ましく、現像性の点で、カルボキシル基が特に好ましい。
また、酸性基の酸部分は、脂肪族基(アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基等)、芳香族基、ヘテロ環基に上記酸部分の基を有してもよく、上記酸部分の基が直接、酸性基となってもよい。
【0047】
前記立体障害基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分岐状のアルキル基、ビシクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基(なかでもアリール基とヘテロ環基は2個以上の置換基を有するものが好ましい)が挙げられる。これらの立体障害基は、繰り返し単位を有するホモポリマー乃至コポリマーであることが好ましく、なかでも数平均分子量が500〜50,000の側鎖ポリマー鎖が挙げられるが、グラフト鎖を有する高分子分散剤が好ましい。
前記立体障害基が、高分子量でなく、低分子量であると、十分な立体反発を得ることができず、フィルムにしたときに、シリカ等の無機充填剤に対して十分な立体反発が得られないため、フィルムにした場合に、無機充填剤同士の凝集を抑制することができず、粘度が低下しない。また、前記立体障害基は、ブロック型のポリマーであってもよく、単鎖型のポリマーであってもよい。
【0048】
前記分散剤の市販品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ソルスパース3000、ソルスパース17000、ソルスパース20000、ソルスパース24000GR、ソルスパース24000SC、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000、ソルスパース32000、ソルスパース33000、ソルスパース38500、ソルスパース39000、ソルスパース41000、ソルスパース55000、ソルスパース56000、ソルスパース71000、ソルスパース76500(いずれもルーブリゾール社製);Disperbyk−161、Disperbyk−167、Disperbyk−182、Disperbyk−2155、Disperbyk−102、Disperbyk−111、Disperbyk−106、Disperbyk−108、Disperbyk−112、Disperbyk−2000、Disperbyk−2001、Disperbyk−2008、Disperbyk−2009、Disperbyk−2015、Disperbyk−2020、Disperbyk−2022、Disperbyk−2025、(いずれもBYK Chemie社製);Efka−4008、Efka−4009、Efka−4010、Efka−4015、Efka−4020、Efka−4046、Efka−4047、Efka−4400、Efka−4401、Efka−4002、Efka−4003、Efka−4480、Efka−4300、Efka−4310、Efka−4320、Efka−4330、Efka−4340、Efka−4061、Efka−5044、Efka−5244、Efka−5054、Efka−5055、Efka−5063、Efka−5065、Efka−5066、Efka−5070、Efka−5071、Efka−5207、Efka−6220、Efka−6225(いずれもBASF社製)などが挙げられる。
これらの中でも、塩基性基を有するもの、立体障害基を有するものが好ましく、塩基性基と立体障害基を有するものがより好ましい。
【0049】
前記分散剤の無機充填剤に対する含有量(100×[分散剤の含有量/無機充填剤の含有量])としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、固形分換算で1質量%以上が好ましい。また、無機充填剤の表面積1mあたりの分散剤の量は、0.1mg〜10mgが好ましく、1mg〜3mgがより好ましい。
前記含有量が、0.1mg未満であると、無機充填剤の分散性が不十分であり、10mgを超えると、フィルムのタック性が悪化することがある。一方、前記含有量が前記より好ましい範囲内であると、分散性とタック性の両立という点で有利である。
【0050】
<バインダー>
バインダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸基およびエチレン性不飽和基含有樹脂が好ましい。このような樹脂としては、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミドもしくはポリイミド樹脂が挙げられる。
ここで、エチレン性不飽和基とは、臭素価やヨウ素価の測定で消費されるエチレン結合を有する基であり、ベンゼンのような芳香族を示す基ではない。エチレン性不飽和基は置換基を有してもよいビニル基が好ましい。
なお、本発明においては、エポキシ樹脂とは、エポキシ基を有する樹脂ではなく、エポキシ樹脂のエポキシ基と反応させた樹脂のことであり、詳細は後述する。
これらの酸基およびエチレン性不飽和基含有樹脂のうち、上記のポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂が好ましく、ポリウレタン樹脂が特に好ましい。
また、酸基としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホ基等が挙げられるが、本発明においてはカルボキシル基が特に好ましい。
【0051】
−酸基およびエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂−
酸基およびエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、側鎖にエチレン性不飽和結合を有するものが好ましい。
ここで、側鎖とは、ポリウレタン樹脂の主鎖を構成する原子の鎖から分岐もしくは主鎖を構成する原子に置換して連結した鎖であり、側鎖にエチレン性不飽和結合を有すとは、エチレン性不飽和基をこのような側鎖に含むか、主鎖を構成する原子にエチレン性不飽和基が直接置換している。例えば、HOCHCH=CHCHOHのジオールとOCN(CHNCOとの反応のみで得られるポリウレタン樹脂は主鎖にエチレン性不飽和結合を含むものである。なお、エチレン性不飽和基含有化合物により、ポリマー末端の封止した部分は側鎖ではない。
【0052】
側鎖にエチレン性不飽和結合を導入するには、(i)エチレン性不飽和基をジイソシアネート化合物またはジオール化合物に有する化合物との重合反応で得る方法と、(ii)カルボキシル基含有ポリウレタンと、分子中にエポキシ基とエチレン性不飽和基を有する化合物とを反応して得る方法がある。
以後、(i)の方法で得られたポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂(i)とも称し、(ii)の方法で得られたポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂(ii)とも称す。また、側鎖にエチレン性不飽和結合を有するポリウレタン樹脂とはポリウレタン樹脂(i)と(ii)の両方を含むものである。
本発明においては、(i)の方法で得られたポリウレタン樹脂(i)が好ましい。
【0053】
−−ポリウレタン樹脂(i)−−
ポリウレタン樹脂(i)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、その側鎖に、下記一般式(1)〜(3)で表される官能基のうち少なくとも1つを有するものが挙げられる。
【0054】
【化11】

【0055】
一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表す。
ここで、1価の有機基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、ウレイド基、ウレタン基などが挙げられ、これらの基はさらにこれらの置換基で置換されていてもよい。なお、以降の各基や各一般式における1価の有機基もしくは置換基も同様の基が挙げられる。
【0056】
は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基が好ましい。これらの中でも、ラジカル反応性が高い点で、水素原子、メチル基がより好ましい。また、R及びRは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基が好ましく、これらの中でも、ラジカル反応性が高い点で、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がより好ましい。
Xは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R12)−を表す。ここで、R12は、水素原子、又は1価の有機基を表す。R12は置換基を有してもよいアルキル基が好ましく、中でも、ラジカル反応性が高い点で、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基がより好ましい。
ここで、置換基を有してもよい基における置換基としては、前記のR〜Rにおける1価の有機基で挙げた基が挙げられ、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基が好ましい。
【0057】
【化12】

【0058】
一般式(2)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表す。R〜Rにおける1価の有機基としては、前記のR〜Rにおける1価の有機基で挙げた基が挙げられる。R〜Rは水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基が好ましく、中でも、ラジカル反応性が高い点で、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がより好ましい。
【0059】
ここで、置換基を有してもよい基における置換基としては、前記のR〜Rにおける1価の有機基で挙げた基が挙げられる。また、Yは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R12)−を表す。ここで、R12は、一般式(1)のR12と同義であり、好ましい範囲および具体例も同じである。
【0060】
【化13】

【0061】
一般式(3)中、R〜R11は、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表す。R〜R11における1価の有機基としては、前記のR〜Rにおける1価の有機基で挙げた基が挙げられる。Rは、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基が好ましく、中でも、ラジカル反応性が高い点で、水素原子、メチル基がより好ましい。R10及びR11は、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基が好ましく、中でも、ラジカル反応性が高い点で、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がより好ましい。
【0062】
ここで、置換基を有してもよい基における置換基としては、前記のR〜Rにおける1価の有機基で挙げた基が挙げられる。また、Zは、酸素原子、硫黄原子、−N(R13)−、又は置換基を有してもよいフェニレン基を表す。ここで、R13は、置換基を有してもよいアルキル基が好ましく、中でも、ラジカル反応性が高い点で、メチル基、エチル基、イソプロピル基がより好ましい。
【0063】
ポリウレタン樹脂(i)は、下記一般式(4)で表されるジイソシアネート化合物の少なくとも1種と、一般式(5)で表されるジオール化合物の少なくとも1種と、の反応生成物で表される構造単位を基本骨格とするポリウレタン樹脂である。
【0064】
OCN−X−NCO 一般式(4)
HO−Y−OH 一般式(5)
【0065】
一般式(4)及び(5)中、XおよびYは、それぞれ独立に2価の有機残基を表す。
【0066】
前記一般式(4)で表されるジイソシアネート化合物、又は、前記一般式(5)で表されるジオール化合物の少なくともどちらか一方が、前記一般式(1)〜(3)で表される基のうち少なくとも1つを有していれば、当該ジイソシアネート化合物と当該ジオール化合物との反応生成物として、側鎖に前記一般式(1)〜(3)で表される基が導入されたポリウレタン樹脂が生成される。かかる方法によれば、ポリウレタン樹脂の反応生成後に所望の側鎖を置換、導入するよりも、側鎖に前記一般式(1)〜(3)で表される基が導入されたポリウレタン樹脂を容易に製造することができる。
【0067】
前記一般式(4)で表されるジイソシアネート化合物としては、特に制限されるものではなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリイソシアネート化合物と、不飽和基を有する単官能のアルコール又は単官能のアミン化合物1当量とを付加反応させて得られる生成物等が挙げられる。
前記トリイソシアネート化合物としては、特に制限されるものではなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2005−250438号公報の段落「0034」〜「0035」に記載された化合物等が挙げられる。
【0068】
前記不飽和基を有する単官能のアルコール又は前記単官能のアミン化合物としては、特に制限されるものではなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2005−250438号公報の段落「0037」〜「0040」に記載された化合物等が挙げられる。
【0069】
ここで、前記ポリウレタン樹脂の側鎖に不飽和基を導入する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ポリウレタン樹脂製造の原料として、側鎖に不飽和基を含有するジイソシアネート化合物を用いる方法が好ましい。前記ジイソシアネート化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、トリイソシアネート化合物と不飽和基を有する単官能のアルコール又は単官能のアミン化合物1当量とを付加反応させることにより得ることできるジイソシアネート化合物であって、例えば、特開2005−250438号公報の段落「0042」〜「0049」に記載された側鎖に不飽和基を有する化合物等が挙げられる。
【0070】
ポリウレタン樹脂(i)は、重合性組成物中の他の成分との相溶性を向上させ、保存安定性を向上させるといった観点から、前記不飽和基を含有するジイソシアネート化合物以外のジイソシアネート化合物を共重合させることもできる。
【0071】
前記共重合させるジイソシアネート化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することでき、例えば、下記一般式(6)で表されるジイソシアネート化合物である。
【0072】
OCN−L−NCO 一般式(6)
【0073】
一般式(6)中、Lは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を表す。必要に応じ、Lは、イソシアネート基と反応しない他の官能基、例えば、エステル、ウレタン、アミド、ウレイド基を有していてもよい。
【0074】
前記一般式(6)で表されるジイソシアネート化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することでき、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートの二量体、2,6−トリレンジレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート等のような芳香族ジイソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4(又は2,6)ジイソシアネート、1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート化合物;1,3−ブチレングリコール1モルとトリレンジイソシアネート2モルとの付加体等のジオールとジイソシアネートとの反応物であるジイソシアネート化合物;などが挙げられる。
【0075】
前記一般式(5)で表されるジオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエーテルジオール化合物、ポリエステルジオール化合物、ポリカーボネートジオール化合物等が挙げられる。
【0076】
ここで、前記ポリウレタン樹脂の側鎖にエチレン性不飽和基を導入する方法としては、前述の方法の他に、ポリウレタン樹脂製造の原料として、側鎖にエチレン性不飽和基を含有するジオール化合物を用いる方法も好ましい。前記側鎖にエチレン性不飽和基を含有するジオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリメチロールプロパンモノアリルエーテルのように市販されているものでもよいし、ハロゲン化ジオール化合物、トリオール化合物、アミノジオール化合物等の化合物と、不飽和基を含有する、カルボン酸、酸塩化物、イソシアネート、アルコール、アミン、チオール、ハロゲン化アルキル化合物等の化合物との反応により容易に製造される化合物であってもよい。前記側鎖にエチレン性不飽和基を含有するジオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0077】
本発明においては、ジイソシアネート化合物(好ましくは、前記一般式(4)または(6)で表される化合物)とエチレン性不飽和基を有し、水酸基の少なくとも1つが2級アルコールであるジオール化合物(好ましくは、エチレン性不飽和基を有し、少なくとも1つの水酸基が2級アルコールであって、かつ他の水酸基が1級アルコールであるジオール化合物)との反応生成物であり、さらに好ましくは、上記ジイソシアネート化合物と2種のジオール化合物との反応性生物であって、1種のジオール化合物が、上記のエチレン性不飽和基を有するジオール化合物であり、残りの1種がカルボキシル基を有するジオール化合物である反応性生物である。
上述した、側鎖にエチレン性不飽和基を含有するジオール化合物としては、例えば、特開2005−250438号公報の段落「0057」〜「0060」に記載された化合物、下記一般式(G)で表される特開2005−250438号公報の段落「0064」〜「0066」に記載された化合物等が挙げられる。これらの中でも、下記一般式(G)で表される特開2005−250438号公報の段落「0064」〜「0066」に記載された化合物が好ましい。
【0078】
【化14】

【0079】
一般式(G)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、Aは2価の有機残基を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R12)−を表す。ここで、R12は、水素原子又は1価の有機基を表す。
なお、前記一般式(G)におけるR〜R及びXは、前記一般式(1)におけるR〜R及びXと同義であり、好ましい態様もまた同様である。
前記一般式(G)で表されるジオール化合物に由来するポリウレタン樹脂を用いることにより、立体障害の大きい2級アルコールに起因するポリマー主鎖の過剰な分子運動を抑制効果により、層の被膜強度の向上が達成できるものと考えられる。
【0080】
ここで、一般式(G)で表されるジオール化合物に由来するポリウレタン樹脂は、下記一般式(UG)で表される部分構造を有する。
【0081】
【化15】

【0082】
一般式(UG)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、Aは2価の有機残基を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子又は−N(R12)−を表す。ここで、R12は水素原子又は1価の有機基を表す。一般式(UG)中のR〜R、AおよびXは一般式(G)中のR〜R、AおよびXと同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0083】
前記側鎖にエチレン性不飽和結合を有するポリウレタン樹脂は、例えば、重合性組成物中の他の成分との相溶性を向上させ、保存安定性を向上させるといった観点から、前記側鎖にエチレン性不飽和基を含有するジオール化合物以外のジオール化合物を共重合させることができる。
前記側鎖にエチレン性不飽和基を含有するジオール化合物以外のジオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエーテルジオール化合物、ポリエステルジオール化合物、ポリカーボネートジオール化合物等が挙げられる。これらは、側鎖にエチレン性不飽和基や後述のようなカルボキシル基を含有しないジオール化合物である。
【0084】
前記側鎖にエチレン性不飽和基を含有するジオール化合物以外のジオール化合物は、好ましくは、下記一般式(U)として表され、ポリウレタン樹脂として組み込まれると、下記一般式(U1)で表される部分構造で組み込まれる。
【0085】
【化16】

【0086】
一般式(U)及び(U1)において、LU1は側鎖にエチレン性不飽和基およびカルボキシル基を含まない2価の連結基を表す。
【0087】
U1は、例えば、アルキレン基、アリーレン基、2価のヘテロ環基が挙げられ、該アルキレン基は、アルキレン基の鎖中に−O−、−OCOO−、フェニレン基、炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合、−OCO−Z−COO−(Zはアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基を表す。)を含んでもよい。
前記一般式(U)、(U1)におけるLU1は、好ましくは、−(CHCHO)nU1CHCH−、−〔CHCH(CH)O〕nU1−CHCH(CH)−、−(CHCHCHO)nU1−CHCHCH−、−〔(CH)nU2−OC(=O)−(CH)nU3−C(=O)O〕nU4−O(CH)nU2−または−〔(CH)nU5−OC(=O)O〕nU6−(CH)nU7−である。ここで、nU1〜nU7は各々独立に1以上の数を表す。
また、前記側鎖にエチレン性不飽和基を含有するジオール化合物以外のジオール化合物は、後述の一般式(III−1)〜(III−5)で表されるジオール化合物も好ましい。
【0088】
前記ポリエーテルジオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2005−250438号公報の段落「0068」〜「0076」に記載された化合物等が挙げられる。
【0089】
前記ポリエステルジオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2005−250438号公報の段落「0077」〜「0079」、段落「0083」〜「0085」におけるNo.1〜No.8及びNo.13〜No.18に記載された化合物等が挙げられる。
【0090】
前記ポリカーボネートジオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2005−250438号公報の段落「0080」〜「0081」及び段落「0084」におけるNo.9〜No.12記載された化合物等が挙げられる。
【0091】
また、前記側鎖にエチレン性不飽和結合を有するポリウレタン樹脂の合成には、上述したジオール化合物の他に、イソシアネート基と反応しない置換基を有するジオール化合物を併用することもできる。
前記イソシアネート基と反応しない置換基を有するジオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2005−250438号公報の段落「0087」〜「0088」に記載された化合物等が挙げられる。
【0092】
さらに、前記側鎖にエチレン性不飽和結合を有するポリウレタン樹脂の合成には、上述したジオール化合物の他に、カルボキシル基を有するジオール化合物を併用することもできる。このようなカルボキシル基を有するジオール化合物としては、例えば、以下の一般式(17)〜(19)に示すものが含まれる。
【0093】
【化17】

【0094】
一般式(17)〜(19)中、R15としては、水素原子、置換基(例えば、シアノ基、ニトロ基、−F、−Cl、−Br、−I等のハロゲン原子、−CONH、−COOR16、−OR16、−NHCONHR16、−NHCOOR16、−NHCOR16、−OCONHR16(ここで、前記R16は、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数7〜15のアラルキル基を表す。)などの各基が含まれる。)を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基を表すものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水素原子、炭素数1〜8個のアルキル基、炭素数6〜15個のアリール基が好ましい。
一般式(17)〜(19)中、L、L10、L11は、それぞれ同一でもよいし、相違していてもよく、単結合、置換基(例えば、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子が好ましい。)を有していてもよい2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を表すものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数1〜20個のアルキレン基、炭素数6〜15個のアリーレン基が好ましく、炭素数1〜8個のアルキレン基がより好ましい。また必要に応じ、前記L〜L11中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えば、カルボニル基、エステル基、ウレタン基、アミド基、ウレイド基、エーテル基を有していてもよい。なお、前記R15、L、L10、L11のうちの2個又は3個で環を形成してもよい。
一般式(18)中、Arとしては、置換基を有していてもよい3価の芳香族炭化水素基を表すものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数6〜15個の芳香族基が好ましい。
【0095】
上記一般式(17)〜(19)で表されるカルボキシル基を有するジオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、酒石酸、N,N−ジヒドロキシエチルグリシン、N,N―ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−カルボキシ−プロピオンアミド等が挙げられる。
【0096】
このようなカルボキシル基の存在により、ポリウレタン樹脂に水素結合性とアルカリ可溶性といった特性を付与できるため好ましい。
【0097】
また、側鎖にエチレン性不飽和結合を有するポリウレタン樹脂の合成には、上述したジオール化合物の他に、テトラカルボン酸二無水物をジオール化合物で開環させた化合物を併用することもできる。
前記テトラカルボン酸二無水物をジオール化合物で開環させた化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2005−250438号公報の段落「0095」〜「0101」に記載された化合物等が挙げられる。
【0098】
前記側鎖にエチレン性不飽和結合を有するポリウレタン樹脂は、上記ジイソシアネート化合物及びジオール化合物を、非プロトン性溶媒中、それぞれの反応性に応じた活性の公知の触媒を添加し、加熱することにより合成される。合成に使用されるジイソシアネート及びジオール化合物のモル比(M:M)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1:1〜1.2:1が好ましく、アルコール類又はアミン類等で処理することにより、分子量あるいは粘度といった所望の物性の生成物が、最終的にイソシアネート基が残存しない形で合成される。
【0099】
また、前記側鎖にエチレン性不飽和結合を有するポリウレタン樹脂としては、ポリマー末端、主鎖に不飽和基を有するものも好適に使用される。ポリマー末端、主鎖に不飽和基を有することにより、さらに、感光性組成物と側鎖にエチレン性不飽和結合を有するポリウレタン樹脂との間、又は側鎖にエチレン性不飽和結合を有するポリウレタン樹脂間で架橋反応性が向上し、光硬化物強度が増す。ここで、不飽和基としては、架橋反応の起こり易さから、エチレン性不飽和基を有することが特に好ましい。
【0100】
ポリマー末端にエチレン性不飽和基を導入する方法としては、以下に示す方法がある。すなわち、上述した側鎖にエチレン性不飽和結合を有するポリウレタン樹脂の合成の工程での、ポリマー末端の残存イソシアネート基と、アルコール類又はアミン類等で処理する工程において、エチレン性不飽和基を有するアルコール類又はアミン類等を用いればよい。このような化合物としては、具体的には、先に、エチレン性不飽和基を有する単官能のアルコール又は単官能のアミン化合物として挙げられた例示化合物と同様のものを挙げることができる。
なお、エチレン性不飽和基は、導入量の制御が容易で導入量を増やすことができ、また、架橋反応効率が向上するといった観点から、ポリマー末端よりもポリマー側鎖に導入されることが好ましい。
導入されるエチレン性不飽和結合基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、架橋硬化膜形成性の点で、メタクリロイル基、アクリロイル基、スチリル基が好ましく、メタクリロイル基、アクリロイル基がより好ましく、架橋硬化膜の形成性と生保存性との両立の点で、メタクリロイル基が特に好ましい。
また、メタクリロイル基の導入量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、エチレン性不飽和基当量としては、0.05mmol/g〜3.0mmol/gが好ましく、0.5mmol/g〜2.7mmol/gがより好ましく、0.75mmol/g〜2.4mmol/gがさらに好ましく、1.20mmol/g〜2.4mmol/gが特に好ましい。
【0101】
主鎖に不飽和基を導入する方法としては、主鎖方向に不飽和基を有するジオール化合物をポリウレタン樹脂の合成に用いる方法がある。前記主鎖方向に不飽和基を有するジオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、cis−2−ブテン−1,4−ジオール、trans−2−ブテン−1,4−ジオール、ポリブタジエンジオール等が挙げられる。
【0102】
前記側鎖にエチレン性不飽和結合を有するポリウレタン樹脂は、該特定ポリウレタン樹脂とは異なる構造を有するポリウレタン樹脂を含むアルカリ可溶性高分子を併用することも可能である。例えば、前記側鎖にエチレン性不飽和結合を有するポリウレタン樹脂は、は、主鎖及び/又は側鎖に芳香族基を含有したポリウレタン樹脂を併用することが可能である。
【0103】
前記側鎖にエチレン性不飽和結合を有するポリウレタン樹脂(i)の具体例としては、例えば、特開2005−250438号公報の段落「0293」〜「0310」に示されたP−1〜P−31のポリマー等が挙げられる。これらの中でも、段落「0308」及び「0309」に示されたP−27及びP−28のポリマーが好ましい。
【0104】
−−(ii)カルボキシル基含有ポリウレタンと分子中にエポキシ基とエチレン性不飽和基を有する化合物とを反応して得られるポリウレタン樹脂−−
ここでのポリウレタン樹脂はポリウレタン樹脂(ii)であり、ジイソシアネートと、カルボン酸基含有ジオールとを必須成分とするカルボキシル基含有ポリウレタンと、分子中にエポキシ基とエチレン性不飽和基を有する化合物とを反応して得られるポリウレタン樹脂である。目的に応じて、ジオール成分として、質量平均分子量300以下の低分子ジオールや質量平均分子量500以上の低分子ジオールを共重合成分として加えてもよい。
ポリウレタン樹脂(ii)を用いることにより、無機充填剤との安定した分散性や耐クラック性や耐衝撃性に優れることから、耐熱性、耐湿熱性、密着性、機械特性、電気特性が向上する。
また、ポリウレタン樹脂(ii)としては、置換基を有していてもよい2価の脂肪族及び芳香族炭化水素のジイソシアネートと、炭素原子及び窒素原子のいずれかを介してCOOH基と2つのOH基を有するカルボン酸含有ジオールとを必須成分とした反応物であって、得られた反応物と、−COO−結合を介して分子中にエポキシ基とエチレン性不飽和基(好ましくは、前記一般式(1)〜(3)で表される基)を有する化合物とを反応して得られるものであってもよい。
また、ポリウレタン樹脂(ii)としては、下記一般式(I)で示されるジイソシアネートと、下記一般式(II−1)〜(II−3)で表されるカルボン酸基含有ジオールから選ばれた少なくとも1種とを必須成分とし、目的に応じて下記一般式(III−1)〜(III−5)で示される質量平均分子量が800〜3,000の範囲にある高分子ジオールから選ばれた少なくとも1種との反応物であって、得られた反応物と、下記一般式(IV−1)〜(IV−16)で表される、分子中にエポキシ基とエチレン性不飽和基を有する化合物とを反応して得られるものであってもよい。
【0105】
【化18】

【0106】
一般式(I)中、Rは、置換基(例えば、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子が好ましい)を有していてもよい2価の脂肪族又は芳香族炭化水素を表す。必要に応じ、前記Rは、イソシアネート基と反応しない他の官能基、例えば、エステル基、ウレタン基、アミド基、ウレイド基のいずれかを有していてもよい。
一般式(II−1)中、Rは、水素原子、置換基〔例えば、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)、−CONH、−COOR、−OR、−NHCONHR、−NHCOOR、−NHCOR、−OCONHR、−CONHR(ここで、Rは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数7〜15のアラルキル基のいずれかを表す)、などの各基が含まれる〕を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、又はアリールオキシ基を表す。これらの中でも、水素原子、炭素数1個〜3個のアルキル基、炭素数6個〜15個のアリール基が好ましい。
一般式(II−1)及び(II−2)中、R、R及びRは、それぞれ同一でも相異していてもよく、単結合、置換基(例えば、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子が好ましい)を有していてもよい2価の脂肪族又は芳香族炭化水素を表す。これらの中でも、炭素数1〜20個のアルキレン基、炭素数6〜15個のアリーレン基が好ましく、炭素数1〜8個のアルキレン基が更に好ましい。また、必要に応じ、前記R、R及びR中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えば、カルボニル基、エステル基、ウレタン基、アミド基、ウレイド基、エーテル基のいずれかを有していてもよい。なお、前記R、R、R及びRのうちの2個又は3個で環を形成してもよい。Arは置換基を有していてもよい3価の芳香族炭化水素を表し、炭素数6個〜15個の芳香族基が好ましい。
【0107】
【化19】

【0108】
一般式(III−1)〜(III−3)中、R、R、R、R10及びR11は、それぞれ同一でもよいし、相異していてもよく、2価の脂肪族又は芳香族炭化水素を表す。前記R、R、R10及びR11は、それぞれ炭素数2個〜20個のアルキレン基又は炭素数6個〜15個のアリーレン基が好ましく、炭素数2個〜10個のアルキレン又は炭素数6個〜10個のアリーレン基がより好ましい。前記Rは、炭素数1個〜20個のアルキレン基又は炭素数6個〜15個のアリーレン基を表し、炭素数1個〜10個のアルキレン又は炭素数6個〜10個のアリーレン基がより好ましい。また、前記R、R、R、R10及びR11中には、イソシアネート基と反応しない他の官能基、例えば、エーテル基、カルボニル基、エステル基、シアノ基、オレフィン基、ウレタン基、アミド基、ウレイド基、又はハロゲン原子などがあってもよい。
一般式(III−4)中、R12は、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。水素原子、炭素数1個〜10個のアルキル基、炭素数6個〜15個のアリール基、炭素数7個〜15個のアラルキル基、シアノ基又はハロゲン原子が好ましく、水素原子、炭素数1個〜6個のアルキル基及び炭素数6個〜10個のアリール基がより好ましい。また、前記R12中には、イソシアネート基と反応しない他の官能基、例えば、アルコキシ基、カルボニル基、オレフィン基、エステル基又はハロゲン原子などがあってもよい。
一般式(III−5)中、R13は、アリール基又はシアノ基を表し、炭素数6個〜10個のアリール基又はシアノ基が好ましい。
一般式(III−4)中、mは、2〜4の数を表す。一般式(III−1)〜(III−5)中、n、n、n、n及びnは、それぞれ2以上の数を表し、2〜100の数が好ましい。前記一般式(III−5)中、nは、0又は2以上の数を示し、0又は2〜100の数が好ましい。
【0109】
【化20】

【0110】
【化21】

【0111】
一般式(IV−1)〜(IV−16)中、R14は、水素原子又はメチル基を表し、R15は、炭素数1〜10のアルキレン基を表し、R16は、炭素数1〜10の炭化水素基を表す。pは、0又は1〜10の数を表す。
【0112】
また、ポリウレタン樹脂(ii)は、さらに第5成分として、カルボン酸基非含有の低分子量ジオールを共重合させてもよく、該低分子量ジオールとしては、前記一般式(III−1)〜(III−5)で表され、質量平均分子量が500以下のものである。該カルボン酸基非含有低分子量ジオールは、アルカリ溶解性が低下しない限り、また、硬化膜の弾性率が十分低く保つことができる範囲で添加することができる。
【0113】
ポリウレタン樹脂(ii)としては、特に、一般式(I)で示されるジイソシアネートと、一般式(II−1)〜(II−3)で示されるカルボン酸基含有ジオールから選ばれた少なくとも1種とを必須成分とし、目的に応じて、一般式(III−1)〜(III−5)で示される質量平均分子量が800〜3,000の範囲にある高分子ジオール化合物から選ばれた少なくとも1種や、一般式(III−1)〜(III−5)で示される質量平均分子量が500以下のカルボン酸基非含有の低分子量ジオールとの反応物に、さらに一般式(IV−1)〜(IV−16)のいずれかで示される分子中に1個のエポキシ基と少なくとも1個の(メタ)アクリル基を有する化合物を反応して得られる、酸価が20mgKOH/g〜120mgKOH/gであるアルカリ可溶性光架橋性ポリウレタン樹脂が好適である。
【0114】
上記の高分子ジオール化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、上記の高分子ジオール化合物の前記酸基とエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂中に占める固形分含有量としては、2質量%〜30質量%が好ましく、5質量%〜25質量%がより好ましい。前記含有量が、2質量%未満では硬化膜の高温時の十分な低弾性率が得られないことがあり、30質量%を超えると現像性劣化や硬化膜の強靱性低下が起きることがある。
【0115】
−カルボキシル基含有ポリウレタンと分子中にエポキシ基とエチレン性不飽和基を有する化合物とを反応して得られるポリウレタン樹脂の合成法−
ポリウレタン樹脂(ii)の合成方法としては、上記ジイソシアネート化合物及びジオール化合物を非プロトン性溶媒中、それぞれの反応性に応じた活性の公知な触媒を添加し、加熱することにより合成される。使用するジイソシアネート及びジオール化合物のモル比は好ましくは、0.8:1〜1.2:1であり、ポリマー末端にイソシアネート基が残存した場合、アルコール類又はアミン類等で処理することにより、最絡的にイソシアネート基が残存しない形で合成される。
【0116】
−−ジイソシアネート−−
前記一般式(I)で示されるジイソシアネート化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2007−2030号公報の段落「0021」に記載された化合物等が挙げられる。
【0117】
−−高分子量ジオール−−
前記一般式(III−1)〜(III−5)で示される高分子量ジオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2007−2030号公報の段落「0022」〜「0046」に記載された化合物等が挙げられる。
【0118】
−−カルボン酸基含有ジオール−−
また、前記一般式(II−1)〜(II−3)で表されるカルボキシル基を有するジオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2007−2030号公報の段落「0047」に記載された化合物等が挙げられる。
【0119】
−−カルボン酸基非含有低分子量ジオール−−
前記カルボン酸基非含有低分子量ジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2007−2030号公報の段落「0048」に記載された化合物等が挙げられる。
前記カルボン酸基非含有ジオールの共重合量としては、低分子量ジオール中の95モル%以下が好ましく、80%以下がより好ましく、50%以下が特に好ましい。前記共重合量が、95モル%を超えると現像性のよいウレタン樹脂が得られないことがある。
【0120】
(ii)カルボキシル基含有ポリウレタンと分子中にエポキシ基とエチレン性不飽和基を有する化合物とを反応して得られるポリウレタン樹脂(ii)の具体例としては、例えば、特開2007−2030号公報の段落「0314」〜「0315」に示されたU1〜U4、U6〜U11のポリマーにおけるエポキシ基及びエチレン性不飽和基含有化合物としてのグリシジルアクリレートを、グリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート(商品名:サイクロマーA400(ダイセル化学製))、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート(商品名:サイクロマーM400(ダイセル化学製))に代えたポリマー等が挙げられる。
【0121】
−−酸基およびエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂の含有量−−
酸基およびエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂(前述のポリウレタン樹脂(i)、(ii)を代表とする)の前記感光性組成物における固形分含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5質量%〜80質量%が好ましく、20質量%〜75質量%がより好ましく、30質量%〜70質量%が特に好ましい。
固形分含有量が5質量%未満であると、耐クラック性が良好に保つことができないことがあり、80質量%を超えると、耐熱性が破綻をきたすことがある。一方、固形分含有量が、前記特に好ましい範囲内であると、良好な耐クラック性と耐熱性の両立の点で有利である。
【0122】
−−酸基およびエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂の質量平均分子量−−
酸基およびエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂(前述のポリウレタン樹脂(i)、(ii)を代表とする)の質量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2,000〜60,000が好ましく、2,000〜50,000がより好ましく、2,000〜30,000がさらに好ましく、3,000〜30,000が特に好ましく、5,000〜30,000が最も好ましい。質量平均分子量が2,000未満であると、硬化膜の高温時の十分な低弾性率が得られないことがあり、60,000を超えると、塗布適性及び現像性が悪化することがある。特に、本発明の感光性組成物を感光性ソルダーレジストに用いた場合には、無機充填剤との分散性に優れ、クラック耐性と耐熱性にも優れ、アルカリ性現像液による非画像部の現像性に優れる。
なお、質量平均分子量は、例えば、高速GPC装置(東洋曹達社製HLC−802A)を使用して、0.5質量%のTHF溶液を試料溶液とし、カラムはTSKgel HZM−M 1本を使用し、200μLの試料を注入し、前記THF溶液で溶離して、25℃で屈折率検出器あるいはUV検出器(検出波長254nm)により測定することができる。次に、標準ポリスチレンで較正した分子量分布曲線より質量平均分子量を求めた。
【0123】
−−酸基およびエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂の酸価−−
酸基およびエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂(前述のポリウレタン樹脂(i)、(ii)を代表とする)の酸価(固形分酸価)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20mgKOH/g〜120mgKOH/gが好ましく、30mgKOH/g〜110mgKOH/gがより好ましく、35mgKOH/g〜100mgKOH/gが特に好ましい。前記酸価が、20mgKOH/g未満であると現像性が不十分となることがあり、120mgKOH/gを超えると現像速度が高すぎるため現像のコントロールが難しくなることがある。
なお、前記酸価は、例えば、JIS K0070に準拠して測定することができる。ただし、サンプルが溶解しない場合は、溶媒としてジオキサン又はテトラヒドロフランなどを使用する。
【0124】
−−酸基およびエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂のエチレン性不飽和基当量−−
酸基およびエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂(前述のポリウレタン樹脂(i)、(ii)を代表とする)のエチレン性不飽和基当量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05mmol/g〜3.0mmol/gが好ましく、0.5mmol/g〜2.7mmol/gがより好ましく、0.75mmol/g〜2.4mmol/gがさらに好ましく、1.20mmol/g〜2.4mmol/gが特に好ましい。特に好ましい。エチレン性不飽和基当量が、0.05mmol/g未満であると、硬化膜の耐熱性が劣ることがあり、3.0mmol/gを超えると、耐クラック性が悪化することがある。
エチレン性不飽和基当量は、例えば、臭素価を測定することにより求めることができる。臭素価は、例えば、JIS K2605に準拠して測定することができる。
なお、ここで、エチレン性不飽和当量は、代表的にはビニル基当量であり、上記臭素価で得られた測定する樹脂100gに対して付加した臭素(Br)のグラム数(gBr/100g)から、樹脂1g当たりの付加した臭素(Br)のモル数に変換した値である。
【0125】
−酸基およびエチレン性不飽和基含有エポキシ樹脂−
酸基およびエチレン性不飽和基含有エポキシ樹脂は、化学構造的には、ポリマー鎖が、1)ポリエーテルの系列と、2)ノボラック型の系列の分類できる。
1)ポリエーテルの系列と2)ノボラック型の系列はともに、代表的には以下のようにして合成される。
第一の合成方法
(a)1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物、(b)1分子中に少なくとも2個の水酸基と1個のカルボキシル基を有する化合物、および(c)エチレン性不飽和基含有モノカルボン化合物、との反応物(I)に、さらに(d)多塩基酸無水物を反応させる。このようにして合成された樹脂としては、例えば、特許第2877659号公報に記載されたもの等が挙げられる。
第二の合成方法
(a)1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物、および(c)エチレン性不飽和基含有モノカルボン化合物、との反応物(II)に、さらに(d)多塩基酸無水物を反応させる。このようにして合成された樹脂としては、例えば、特許第4127010号公報(特開2004−133060号公報)や国際公開第04/034147号パンフレットに記載された樹脂が挙げられる。
【0126】
−ポリアミドもしくはポリイミド樹脂−
ポリアミドもしくはポリイミド樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2010−6946号公報に記載されたもの等が挙げられる。
【0127】
<重合性化合物>
前記重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、分子中に少なくとも1個のラジカル重合可能な基(好ましくは、エチレン性不飽和基)を有する化合物で、モノマーが好ましく、沸点が常圧で100℃以上である化合物がより好ましく、例えば、(メタ)アクリル基を有するモノマーから選択される少なくとも1種が好適に挙げられる。
【0128】
前記(メタ)アクリル基を有するモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの単官能アクリレートや単官能メタクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンやグリセリン、ビスフェノールなどの多官能アルコールに、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加反応した後で(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号公報、特公昭50−6034号公報、特開昭51−37193号公報などの各公報に記載されているウレタンアクリレート類;特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報、特公昭52−30490号公報などの各公報に記載されているポリエステルアクリレート類;エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類などの多官能アクリレートやメタクリレート等が挙げられる。これらの中でも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0129】
重合性化合物の感光性組成物における固形分含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2質量%〜50質量%が好ましく、3質量%〜40質量%がより好ましく、4質量%〜35質量%が特に好ましい。
固形分含有量が2質量%未満であると、パターン形成ができないことがあり、50質量%を超えると、耐クラック性が劣ることがある。一方、固形分含有量が、上記の特に好ましい範囲内であると、良好なパターン形成と耐クラック性とを両立できる点で有利である。
【0130】
<光重合開始剤>
前記光重合開始剤としては、前記重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有するもの、オキサジアゾール骨格を有するもの)、ホスフィンオキサイド、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、ケトオキシムエーテル等が挙げられる。
【0131】
前記トリアジン骨格を有するハロゲン化炭化水素化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42,2924(1969)に記載された化合物、英国特許1388492号明細書に記載された化合物、特開昭53−133428号公報に記載された化合物、独国特許3337024号明細書に記載された化合物、F.C.SchaeferなどによるJ.Org.Chem.,29,1527(1964)に記載された化合物、特開昭62−58241号公報に記載された化合物、特開平5−281728号公報に記載された化合物、特開平5−34920号公報に記載された化合物等が挙げられ、前記オキサジアゾール骨格を有するハロゲン化炭化水素化合物としては、例えば、米国特許第4,212,976号明細書に記載された化合物等が挙げられる。
【0132】
前記オキシム誘導体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2007−2030号公報の段落「0085」に記載された化合物等が挙げられる。
【0133】
前記ケトン化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2007−2030号公報の段落「0087」に記載された化合物等が挙げられる。
【0134】
また、上記以外の光重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2007−2030号公報の段落「0086」に記載された化合物等が挙げられる。
【0135】
また、後述する感光層への露光における露光感度や感光波長を調整する目的で、前記光重合開始剤に加えて、増感剤を添加することが可能である。
前記増感剤は、後述する光照射手段としての可視光線や紫外光レーザ、可視光レーザなどにより適宜選択することができる。
前記増感剤は、活性エネルギー線により励起状態となり、他の物質(例えば、ラジカル発生剤、酸発生剤など)と相互作用(例えば、エネルギー移動、電子移動など)することにより、ラジカルや酸などの有用基を発生することが可能である。
【0136】
前記増感剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2007−2030号公報の段落「0089」に記載された化合物等が挙げられる。
【0137】
前記光重合開始剤と前記増感剤との組合せとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2001−305734号公報に記載の電子移動型開始系[(1)電子供与型開始剤及び増感色素、(2)電子受容型開始剤及び増感色素、(3)電子供与型開始剤、増感色素及び電子受容型開始剤(三元開始系)]などの組合せが挙げられる。
【0138】
前記増感剤の固形分含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、感光性組成物中の全成分に対し、0.05質量%〜30質量%が好ましく、0.1質量%〜20質量%がより好ましく、0.2質量%〜10質量%が特に好ましい。固形分含有量が、0.05質量%未満であると、活性エネルギー線への感度が低下し、露光プロセスに時間がかかり、生産性が低下することがあり、30質量%を超えると、保存時に前記感光層から前記増感剤が析出することがある。
【0139】
光重合開始剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤の特に好ましい例としては、後述する露光において、波長が405nmのレーザ光に対応可能である、前記ホスフィンオキサイド類、前記α−アミノアルキルケトン類、前記トリアジン骨格を有するハロゲン化炭化水素化合物と後述する増感剤としてのアミン化合物とを組合せた複合光開始剤、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、あるいは、チタノセン等が挙げられる。
【0140】
光重合開始剤の感光性組成物における固形分含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5質量%〜20質量%が好ましく、0.5質量%〜15質量%がより好ましく、1質量%〜10質量%が特に好ましい。
固形分含有量が0.5質量%未満であると、露光部が現像中に溶出する傾向があり、20質量%を超えると、耐熱性が低下することがある。一方、固形分含有量が、上記の特に好ましい範囲内であると、良好なパターン形成ができ、耐熱性も良好になる点で有利である。
【0141】
<熱架橋剤>
熱架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エポキシ樹脂、多官能オキセタン化合物等が挙げられる。
これらの中でも、1分子内に少なくとも2つのオキシラン基を有するエポキシ樹脂化合物、1分子内に少なくとも2つのオキセタニル基を有するオキセタン化合物が好ましい。
【0142】
前記エポキシ樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2007−2030号公報の段落「0095」や、特開2010−72340号公報の段落「0130」に記載された化合物等が挙げられる。
【0143】
前記多官能オキセタン化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2007−2030号公報の段落「0096」に記載された化合物等が挙げられる。
【0144】
熱架橋剤の感光性組成物における固形分含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜50質量%が好ましく、2質量%〜40質量%がより好ましく、3質量%〜30質量%が特に好ましい。
固形分含有量が1質量%未満であると、耐熱性が劣ることがあり、50質量%を超えると、現像性や耐クラック性が劣ることがある。一方、固形分含有量が、上記の特に好ましい範囲内であると、良好な感度で硬化膜が作製でき、形成された硬化膜も、耐熱性と耐クラック性とを両立できる点で有利である。
【0145】
<<その他の熱架橋剤>>
その他の熱架橋剤は、前記エポキシ樹脂や多官能オキセタン化合物とは別に添加することができる。前記その他の熱架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2007−2030号公報の段落「0098」〜「0100」に記載された化合物等が挙げられる。
【0146】
<熱可塑性エラストマー>
熱可塑性エラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、アクリル系エラストマー、及びシリコーン系エラストマー、などが挙げられる。
これらのエラストマーは、ハードセグメント成分とソフトセグメント成分から成り立っており、一般に前者が耐熱性、強度に、後者が柔軟性、強靭性に寄与している。
エラストマーは、特開2007−199532号公報の段落「0197」〜「0207」に記載された通りである。
【0147】
<熱硬化促進剤>
熱硬化促進剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2007−2030号公報の段落「0101」に記載された化合物が挙げられる。
【0148】
熱硬化促進剤の前記感光性組成物における固形分含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01質量%〜20質量%が好ましく、0.05質量%〜15質量%がより好ましく、0.1質量%〜10質量%が特に好ましい。
固形分含有量が0.01質量%未満であると、硬化膜の強靭性を発現することができないことがあり、20質量%を超えると、感光性組成物の保存安定性が悪化することがある。一方、固形分含有量が、上記の特に好ましい範囲内であると、感光性組成物の保存安定性と良好な硬化膜物性とを両立できる点で有利である。
【0149】
<着色剤>
着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、着色顔料や、公知の染料の中から、適宜選択した染料を使用することができる。
【0150】
着色顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2007−2030号公報の段落「0106」に記載された化合物が挙げられる。
【0151】
<密着促進剤>
密着促進剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2007−2030号公報の段落「0108」に記載された化合物が挙げられる。
【0152】
密着促進剤の感光性組成物における固形分含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01質量%〜20質量%が好ましく、0.05質量%〜15質量%がより好ましく、0.1質量%〜10質量%が特に好ましい。
固形分含有量が0.01質量%未満であると、硬化膜の強靭性を発現することができないことがあり、20質量%を超えると、感光性組成物の保存性が悪化することがある。一方、固形分含有量が、上記の特に好ましい範囲内であると、感光性組成物の良好な保存安定性と良好な硬化膜物性とを両立できる点で有利である。
【0153】
<熱重合禁止剤>
熱重合禁止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2007−2030号公報の段落「0113」に記載された化合物が挙げられる。
【0154】
<その他の成分>
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベントン、モンモリロナイト、エアロゾル、アミドワックス等のチキソ性付与剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤、レベリング剤のような添加剤類を用いることができる。
【0155】
<有機溶剤>
有機溶剤は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開平11−240930号公報の段落「0043」や、特開2007−2030の段落「0121」に記載された化合物等が挙げられる。
【0156】
有機溶剤の感光性組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜80質量%が好ましく、2質量%〜70質量%がより好ましく、3質量%〜60質量%が特に好ましい。
前記含有量が1質量%未満であると、組成物の粘度が高く塗膜の形成が困難になることがあり、80質量%を超えると、所望の膜厚の制御が困難になることがある。一方、前記含有量が、上記の特に好ましい範囲内であると、塗膜製造適性の点で有利である。
【0157】
(感光性フィルム)
本発明の感光性組成物は、導体配線の形成された基板上に塗布乾燥することにより液状レジストとしても使用可能であるが、感光性フィルムの製造に特に有用である。
感光性フィルムは、図1に示すように、少なくとも支持体1と、感光層2とを有してなり、好ましくは保護フィルム3を有してなり、更に必要に応じて、クッション層、酸素遮断層(以下PC層と省略する。)などのその他の層を有してなる。
感光性フィルムの形態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、支持体上に、感光層、保護膜フィルムをこの順に有してなる形態、支持体上に、PC層、感光性層、保護フィルムをこの順に有してなる形態、支持体上に、クッション層、PC層、感光層、保護フィルムをこの順に有してなる形態、などが挙げられる。なお、感光層は、単層であってもよいし、複数層であってもよい。
【0158】
<感光層>
感光層は、感光性組成物から形成される。
感光性組成物としては、無機充填剤を含む限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上述した本発明の感光性組成物、などが挙げられる。
感光性組成物の全固形分中における無機充填剤の含有量は、35質量%以上(好ましくは35質量%〜95質量%、より好ましくは35質量%〜80質量%)である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、好ましくは40質量%以上(好ましくは40質量%〜95質量%、より好ましくは40質量%〜80質量%)、より好ましくはが45質量%以上(好ましくは45質量%〜95質量%、より好ましくは45質量%〜80質量%)、さらに好ましくは50質量%以上(好ましくは50質量%〜95質量%、より好ましくは50質量%〜80質量%)である。
【0159】
本発明において、感光層の30℃での溶融粘度は、1×10Pa・s以上が特に好ましい。1×10Pa・s未満であると、エッジヒュージョンが悪化することがある。
また、感光層の70℃での溶融粘度は、無機充填剤の平均粒径が0.3μm未満の場合、5×10Pa・s以下が特に好ましく、なかでも2×10Pa・s以下が最も好ましい。5×10Pa・sを超えるとラミネート不良となることがある。
一方、無機充填剤の平均粒径が0.3μm以上の場合、2×10Pa・s以下が特に好ましく、なかでも、1.5×10Pa・s以下が好ましく、1.0×10Pa・s以下がより好ましい。2×10Pa・sを超えると埋め込み性が悪化することがある。
感光層の70℃における溶融粘度が、より好ましい範囲であると、ラミネート不良の充分な改善や埋め込み性が充分得られる点で有利である。
感光層の溶融粘度の測定は、レオメーター・VAR−1000型(レオロジカル株式会社製)やバイブロン・DD−III型(東洋ボールドウイン株式会社製)などの溶融粘度測定装置を用いて測定することができる。
詳細は、特開2007−2030号公報の段落「0115」〜段落「0127」に記載された通りである。
【0160】
なお、感光性組成物からなる塗布液、または感光性組成物に有機溶剤を加えた塗布液の粘度は25℃で50cp以下であることが好ましく、30cp以下がより好ましい。塗布液の粘度はE型粘度計、例えば、TOKI製の商品名:VISCOMETER RE−80で測定できる。
本発明の感光性フィルムは、上記の感光性組成物からなる塗布液、または感光性組成物を含む塗布液で製造することが可能となり、好ましい。
【0161】
(永久パターン及び永久パターン形成方法)
本発明の永久パターンは、本発明の永久パターン形成方法により得られる。
前記永久パターンとしては、特開2007−2030号公報の段落「0128」〜段落「0283」に記載された通りである。
【0162】
(プリント基板)
本発明のプリント基板は、基体上に前記永久パターン形成方法により形成された永久パターンを有する。また、更に、必要に応じて、その他の構成を有してもよい。
その他の構成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基材と前記永久パターン間に、更に絶縁層が設けられたビルドアップ基板などが挙げられる。
【実施例】
【0163】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
【0164】
バインダー樹脂1〜7(合成例1〜7)を以下のように合成した。
【0165】
(合成例1)バインダー樹脂1の合成
クレゾール・ノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、EOCN−104S、軟化点92℃、エポキシ当量220)2,200質量部(10当量)、プロピレングリコールモノメチルエーテル134質量部(1モル)、アクリル酸648.5質量部(9モル)、メチルハイドロキノン4.6質量部、カルビトールアセテート1131質量部及びソルベントナフサ484.9質量部を仕込み、90℃に加熱し撹拌し、反応混合物を溶解した。次いで反応液を60℃まで冷却し、トリフェニルホスフィン13.8質量部を仕込み、100℃に加熱し、約32時間反応し、酸価が0.5mgKOH/gの反応物(水酸基、12当量)を得た。次に、これにテトラヒドロ無水フタル酸364.7質量部(2.4モル)、カルビトールアセテート137.5質量部及びソルベントナフサ58.8質量部を仕込み、95℃に加熱し、約6時間反応し、冷却し、固形分の酸価が40mgKOH/gであり、固形分濃度が40質量%になるようにカルビトールアセテートで希釈して、エチレン性不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(バインダー樹脂1)を得た。
【0166】
(合成例2)バインダー樹脂2の合成
YDF2001(東都化成(株)製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂)475質量部、アクリル酸72質量部、ハイドロキノン0.5質量部、カルビトールアセテート120質量部を仕込み、90℃に加熱、撹拌して反応混合物を溶解した。次に60℃に冷却し、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム2質量部を仕込み、100℃に加熱して、酸価が1mgKOH/gになるまで反応させた。次に無水マレイン酸98質量部とカルビトールアセテート85質量部を仕込み、80℃に加熱し、約6時間反応し冷却し、固形分濃度が40質量%になるようにカルビトールアセテートで希釈して、酸変性エチレン性不飽和基含有エポキシ樹脂を得た。
【0167】
(合成例3)バインダー樹脂3の合成
A1成分であるEXA−7376(大日本インキ化学工業社製)350質量部、A2成分であるアクリル酸70質量部、メチルハイドロキノン0.5質量部、カルビトールアセテート120質量部を入れ、90℃に加熱し攪拌することにより反応させ、混合物を完全に溶解した。次に、得られた溶液を60℃に冷却し、トリフェニルホスフィン2質量部を加え100℃に加熱して、溶液の酸価が1mgKOH/gになるまで反応させた。反応後の溶液にA4成分である無水マレイン酸98質量部とカルビトールアセテート85質量部を加え、80℃に加熱して約6時間反応させた後に冷却し、固形分の濃度が40質量%になるようにカルビトールアセテートで希釈して、A成分の溶液を得た。
前記A成分は、(A1)ビスフェノールホルムアルデヒド樹脂のグリシジルエーテルと、(A2)エチレン性不飽和基及びカルボキシル基を有する不飽和カルボキシル化合物と、を反応させてなる反応物(以下、「A3成分」という。)と、(A4)酸無水物と、を反応させてなるエチレン性不飽和基及びカルボキシル基を有するポリマーである。
【0168】
(合成例4)バインダー樹脂4の合成
A1成分であるYDPF−1000(東都化成社製)400質量部、A2成分であるアクリル酸72質量部、メチルハイドロキノン0.5質量部、カルビトールアセテート120質量部を反応容器入れ、90℃に加熱し攪拌することにより反応させ、混合物を完全に溶解しながら反応させた。次に、得られた溶液を60℃に冷却し、トリフェニルホスフィン2質量部を加え100℃に加熱して、溶液の酸価が1mgKOH/gになるまで反応させた。反応後の溶液にA4成分であるテトラヒドロ無水フタル酸100質量部とカルビトールアセテート85質量部を加え、80℃に加熱して約6時間反応させた後に冷却し、固形分の濃度が40質量%となるようにカルビトールアセテートで希釈して、A成分の溶液を得た。
前記A成分は、(A1)ビスフェノールホルムアルデヒド樹脂のグリシジルエーテルと、(A2)エチレン性不飽和基及びカルボキシル基を有する不飽和カルボキシル化合物と、を反応させてなる反応物(以下、「A3成分」という。)と、(A4)酸無水物と、を反応させてなるエチレン性不飽和基及びカルボキシル基を有するポリマーである。
【0169】
(合成例5)バインダー樹脂5の合成
撹拌機、還流冷却機を備えたフラスコに、アミド結合を有するテトラカルボン酸二無水物(M1)を10g(固形分60重量%、0.01モル)、4,4’−[イソプロピリデンビス(p−フェニレンオキシ)]ジアニリン(BAPP)を2.87g(0.007モル)、ジェファーミンD400(三井化学ファイン)1.36g(0.003モル)、ジメチルアセトアミド2.82gを仕込み、室温で8時間撹拌を行い、(A)成分であるアミド結合を有するポリイミド前駆体(P2)を得た。得られたポリイミド前駆体は、下記に示す繰り返し構造を有し、その質量平均分子量は30,000であり、固形分濃度が40質量%であった。
【0170】
【化22】

【0171】
(合成例6)バインダー樹脂6の合成
コンデンサー、撹拌機を備えた500mLの3つ口丸底フラスコに、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(DMPA)32.00g(0.216モル)と、ポリプロピレングリコール(分子量1,000)(PPG1000)9.00g(0.009モル)をプロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート118mLに溶解した。これに、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)37.54g(0.15モル)、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン0.1g、ネオスタンU−600(日東化成(株)製)0.2gを添加し、75℃で5時間撹拌した後、メチルアルコール9.61g添加した。その後、エチレン性不飽和基含有エポキシとしてのグリシジルメタクリレート(GMA)17.91g(0.126)と触媒のトリフェニルホスフィン5,000ppmとをさらに添加し、110℃で5時間撹拌した後、室温まで冷却し、214gのポリマー溶液を得た。
上記で得られたバインダー樹脂6(酸変性のエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂)は、固形分濃度が40質量%であり、固形分酸価が75mgKOH/gであり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて測定した質量平均分子量(ポリスチレン標準)が12,000であり、エチレン性不飽和基当量が1.3mmol/gであった。
【0172】
(合成例7)バインダー樹脂7の合成
コンデンサー、及び撹拌機を備えた500mLの3つ口丸底フラスコに、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸(DMBA)10.22g(0.069モル)と、グリセロールモノメタクリレート(GLM)12.97g(0.081モル)と、ポリプロピレングリコール(分子量1200)(PPG1200)4.80g(0.004モル)をプロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート79mLに溶解した。これに、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)37.54g(0.15モル)、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン0.1g、触媒として商品名:ネオスタンU−600(日東化成株式会社製)0.2gを添加し、75℃で5時間加熱撹拌した。その後、メチルアルコール9.61mLにて希釈して30分間撹拌し、145gのポリマー溶液(固形分濃度40質量%)を得た。
得られたバインダー樹脂7は、固形分酸価が65mgKOH/gであり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて測定した質量平均分子量(ポリスチレン標準)が15,000であり、エチレン性不飽和基当量が1.26mmol/gであった。
【0173】
(実施例1シリーズ)
(実施例1−1)
<感光性組成物塗布液の調製>
下記の各成分を混合し、感光性組成物塗布液を調製した。
この感光性組成物塗布液の粘度を、E型粘度計(商品名:VISCOMETER RE−80、TOKI製)を用いて、測定した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
合成例1で合成したバインダー樹脂1 32.3質量部
着色顔料:HELIOGEN BLUE D7086(BASF社製)
0.021質量部
着色顔料:Pariotol Yellow D0960(BASF社製)
0.006質量部
分散剤:ソルスパース24000GR(ループリゾール社製)0.22質量部
重合性化合物:DCP−A(共栄社化学社製) 5.3質量部
開始剤:イルガキュア907(BASF(株)製) 0.6質量部
増感剤:DETX−S(日本化薬株式会社製) 0.005質量部
反応助剤:EAB−F(保土ヶ谷化学(株)製) 0.019質量部
硬化剤:メラミン(和光純薬製) 0.16質量部
熱架橋剤:エポトートYDF−170(東都化成(株)製) 2.9質量部
無機充填剤:SO−C2(アドマテックス社製) 16.0質量部
イオントラップ剤:IXE−6107(東亞合成製) 0.82質量部
塗布助剤:メガファックF−780F 0.2質量部
(大日本インキ(株)製:30質量%メチルエチルケトン溶液)
エラストマー:エスぺル1612(日立化成工業(株)製) 2.7質量部
シクロヘキサノン(溶媒) 38.7質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0174】
−感光性フィルムの作製−
支持体として、厚み25μmのポリエチレンテレフタレートフィム(PET)を用い、該支持体1上に前記感光性組成物塗布液をバーコーターにより、乾燥後の感光層の厚みが約30μmになるように塗布し、80℃、30分間熱風循環式乾燥機中で乾燥させ、感光性フィルムを作製した。
なお、分散剤のソルスパース24000GR(ループリゾール社製)は、吸着基として塩基性基(第2級アミノ基である低級アルキレンイミン)を有し、グラフト鎖を有する数平均分子量500以上の高分子分散剤である。また、無機充填剤のSO−C2(アドマテックス社製)は平均粒径(d50)が0.5μmのシリカ粒子である。
【0175】
この感光性フィルムについて、感光層の溶融粘度の測定を、レオメーター・VAR−1000型(レオロジカル株式会社製)を用いて、下記条件により測定を行った。
−−溶融粘度測定条件−−
直径20mmのプレートを用い歪0.005、周波数1Hzで溶融粘弾性を測定した。なお、温度範囲を25℃〜85℃とし、5℃/分の昇温速度で測定を行った。
【0176】
<永久パターンの形成>
−積層体の調製−
次に、基材として、配線形成済みの銅張積層板(スルーホールなし、銅厚み12μmのプリント配線板)の表面に化学研磨処理を施して調製した。該銅張積層板上に、前記感光性フィルムの感光層が前記銅張積層板に接するようにして、真空ラミネーター(ニチゴーモートン(株)製、VP130)を用いて積層させ、前記銅張積層板と、前記感光層と、前記ポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)とがこの順に積層された積層体を調製した。
圧着条件は、圧着温度70℃、圧着圧力0.2MPa、加圧時間10秒とした。
【0177】
−露光工程−
前記調製した積層体における感光層に対し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)側から、回路基板用露光機EXM−1172(オーク製作所社製)を用いて、フォトマスク越しに、40mJ/cmで露光して、前記感光層の一部の領域を硬化させた。
【0178】
−現像工程−
室温にて10分間静置した後、前記積層体からポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)を剥がし取り、銅張積層板上の感光層の全面に、アルカリ現像液として、1質量%炭酸ナトリウム水溶液を用い、30℃にて60秒間、0.18MPa(1.8kgf/cm)の圧力でスプレー現像し、未露光の領域を溶解除去した。その後、水洗し、乾燥させ、永久パターンを形成した。得られた画像を用いて、現像性、光感度を評価した。
【0179】
−硬化処理工程−
前記永久パターンが形成された積層体の全面に対して、150℃で1時間、加熱処理を施し、永久パターンの表面を硬化し、膜強度を高め、試験板を作製した。
【0180】
信頼性試験による測定及び評価は以下のとおりである。
上記の感光性組成物の塗布液粘度、感光層の溶融粘度の測定結果を含め、これらの測定結果をまとめて下記表1に示した。
【0181】
<評価方法>
【0182】
−埋め込み性の評価−
L/S(ライン/スペース)=50μm/50μmの配線パターン間への感光層の埋め込み状態を、光学顕微鏡を用いて50倍〜200倍の倍率で観察し、下記基準に基づいて評価した。
〔評価基準〕
○:前記感光性フィルムが、前記パターン回路とベースフイルムとの段差を埋め込み、前記感光性フィルムと前記回路付き銅張り積層板との間に隙間ができていない場合
△:前記感光性フィルムと上記回路付き銅張り積層板との間に隙間が生じている場合や、パターン回路と感光性積層体との間に空気の泡等が生じている場合
×:溶融粘度が低すぎて、基板への積層時気泡は入らないが、基板と支持体の間から感光層が大量浸みだす場合
×: 溶融粘度が高すぎてラミネートできない場合
【0183】
−耐熱衝撃性(耐クラック性)(TCT)−
信頼性試験項目として、温度サイクル試験(TCT)によりクラックや剥れ等の外観を評価した。TCTは気相冷熱試験機を用い、電子部品モジュールを温度が−55℃及び125℃の気相中に各30分間放置し、これを1サイクルとして1,000サイクル及び1,500サイクルの条件で行い、以下の基準で耐熱衝撃性を評価した。
〔評価基準〕
○:クラック発生無し。
△:浅いクラック発生有り。
×:深いクラック発生有り。
【0184】
−絶縁性(HAST)−
12μm厚の銅箔をガラスエポキシ基材に積層したプリント基板の銅箔にエッチングを施して、ライン幅/スペース幅が50μm/50μmであり、互いのラインが接触しておらず、互いに対向した同一面上の櫛形電極を得た。この基板の櫛形電極上にソルダーレジスト層を定法にて形成し、最適露光量(40mJ/cm)で露光を行った。次いで、常温で1時間静置した後、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液にて20秒間スプレー現像を行った。続いて、オーク製作所社製紫外線照射装置を使用して1J/cmのエネルギー量で感光層に対する紫外線照射を行った。更に感光層を150℃で60分間加熱処理を行うことにより、ソルダーレジストを形成した評価用基板を得た。
加熱後の評価用積層体の櫛形電極間に電圧が印加されるように、ポリテトラフルオロエチレン製のシールド線をSn/Pbはんだによりそれらの櫛形電極に接続した後、評価用積層体に50Vの電圧を印可した状態で、該評価用積層体を130℃、85%RHの超加速高温高湿寿命試験(HAST)槽内に200時間静置した。その後の評価用積層体のソルダーレジストのマイグレーションの発生程度を100倍の金属顕微鏡により観察した。〔評価基準〕
○:マイグレーションの発生が確認できず、絶縁性に優れる。
○△:マイグレーションの発生が銅上僅かに確認されるが、絶縁性良好である。
△:マイグレーションの発生が確認され、絶縁性にやや劣る。
×:電極間が短絡し、絶縁性に劣る。
【0185】
−はんだ耐熱性(耐リフロー性)−
試験片にロジン系フラックス又は水溶性フラックスを塗布し、260℃のはんだ槽に10秒間浸漬した。これを1サイクルとして、6サイクル繰り返した後、塗膜外観を目視観察し、以下の基準で評価した。
〔評価基準〕
○:塗膜外観に異常(剥離、フクレ)が無く、はんだのもぐりの無いもの。
△:塗膜外観に異常(剥離、フクレ)が僅かに有るか、又ははんだのもぐりがあるが程度の軽いもの。
×:塗膜外観に異常(剥離、フクレ)が多く有るか、又ははんだのもぐりのあるが程度の重いもの。
【0186】
−解像性の評価−
前記感光性積層体を室温(23℃)で55%RHにて10分間静置した。得られた感光性積層体のポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)上から、回路基板用露光機EXM−1172(オーク製作所社製)を用いて、直径の幅50μm〜200μmの丸穴パターンを有するフォトマスク越しに40mJ/cmで露光を行った。
この際の露光量は、前記感度の評価における前記感光性フィルムの感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量である。室温にて10分間静置した後、前記感光性積層体からポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)を剥がし取った。
銅張積層板上の感光層の全面に、前記現像液として30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレー圧0.15MPaにて前記最短現像時間の2倍の時間スプレーし、未硬化領域を溶解除去した。
このようにして得られた硬化樹脂パターン付き銅張積層板の表面を光学顕微鏡で観察し、パターンの丸穴底部に残渣が無いこと、パターン部の捲くれ・剥がれなどの異常が無く、かつスペース形成可能な最小の丸穴パターン幅を測定し、これを解像度とし、下記基準で評価した。該解像度は数値が小さいほど良好である。
〔評価基準〕
○:直径90μm以下の丸穴が解像可能で、解像性に優れている。
○△:直径90μmを超え、120μm以下の丸穴が解像可能で、解像性良好である。
△:直径120μmを超え、200μm以下の丸穴が解像可能で、解像性がやや劣る。
×:丸穴が解像不可で、解像性が劣る。
【0187】
(実施例1−2〜1−7)
実施例1−1において、合成例1で合成したバインダー樹脂1に代えて、合成例2〜7で合成したバインダー樹脂2〜7を用いて、各処方の感光性組成物塗布液を、下記表1に示すように、実施例1−1と同様に調製し、該塗布液の粘度を測定し、さらに、該塗布液を用い、実施例1−1と同様に感光性フィルムを作製して、実施例1−1と同様に信頼性評価を行った。得られた結果を下記表1に示した。
【0188】
(実施例1−8)
実施例1−6において、分散剤としてのソルスパース24000GR(ループリゾール社製)に代えて、吸着基として塩基性基(第3級アミノ基)を有する数平均分子量500以上の高分子分散剤であるソルスパース20000(ループリゾール社製)を用いて、感光性組成物塗布液を、下記表2に示すように、実施例1−6と同様に調製し、該塗布液の粘度を測定し、さらに、該塗布液を用い、実施例1−6と同様に感光性フィルムを作製して、実施例1−6と同様に信頼性評価を行った。得られた結果を下記表2に示した。
【0189】
(実施例1−9)
実施例1−6において、無機充填剤としてのSO−C2(アドマテックス社製、平均粒径(d50):0.5μm)に代えて、B−30(堺化学工業社製、平均粒径(d50):0.3μm、硫酸バリウム)を用いて、感光性組成物塗布液を、下記表2に示すように、実施例1−6と同様に調製し、該塗布液の粘度を測定し、さらに、該塗布液を用い、実施例1−6と同様に感光性フィルムを作製して、実施例1−6と同様に信頼性評価を行った。得られた結果を下記表2に示した。
【0190】
(実施例1−10)
実施例1−6において、分散剤としてのソルスパース24000GR(ループリゾール社製)0.22質量部に代えて、分散剤として、吸着基として酸性基を有する数平均分子量500以上の高分子分散剤であるソルスパース26000(ループリゾール社製)0.20質量部を用いて、感光性組成物塗布液を、下記表2に示すように、実施例1−6と同様に調製し、該塗布液の粘度を測定し、さらに、該塗布液を用い、実施例1−6と同様に感光性フィルムを作製して、実施例1−6と同様に信頼性評価を行った。得られた結果を下記表2に示した。
【0191】
(実施例1−11)
実施例1−8において、感光性組成物塗布液を、下記表2の実施例1−11に示す組成比にしたこと以外は、実施例1−8と同様に調製し、該塗布液の粘度を測定し、さらに、該塗布液を用い、実施例1−8と同様に感光性フィルムを作製して、実施例1−8と同様に信頼性評価を行った。得られた結果を下記表2に示した。
【0192】
(実施例1−12〜1−14)
実施例1−6において、感光性組成物塗布液を、下記表2に示す組成比にしたこと以外は、実施例1−6と同様に調製し、該塗布液の粘度を測定し、さらに、該塗布液を用い、実施例1−6と同様に感光性フィルムを作製して、実施例1−6と同様に信頼性評価を行った。得られた結果を下記表2に示した。
【0193】
(比較例1−1、1−3及び1−4)
実施例1−6において、分散剤としてのソルスパース24000GR(ルーブリゾール社製)を添加せずに、下記表3に示すように、実施例1−6と同様に調製し、該塗布液の粘度を測定し、さらに、該塗布液を用い、実施例1−6と同様に感光性フィルムを作製して、実施例1−6と同様に信頼性評価を行った。得られた結果を下記表3に示した。
【0194】
(比較例1−2)
実施例1−1において、分散剤としてのソルスパース24000GR(ルーブリゾール社製)を添加せずに、下記表3に示すように、実施例1−1と同様に調製し、該塗布液の粘度を測定し、さらに、該塗布液を用い、実施例1−1と同様に感光性フィルムを作製して、実施例1−1と同様に信頼性評価を行った。得られた結果を下記表3に示した。
【0195】
(比較例1−5)
実施例1−1において、特開2003−234439号公報における段落「0045」の表1における実施例2の組成の組成物塗布液を調製し、該塗布液の粘度を測定し、さらに、該塗布液を用い、実施例1−1と同様に感光性フィルムを作製して、実施例1−1と同様に信頼性評価を行った。得られた結果を下記表4に示した。
【0196】
【表1】

【0197】
【表2】

【0198】
【表3】

【0199】
【表4】

【0200】
表1〜4に示す結果より、特定の分散剤と無機充填剤とを組み合わせた感光性組成物は、良好な分散性、塗布適性、塗布面状を有する感光性塗布膜を得ることができ、しかも、形成された感光性塗布膜は、埋め込み性、耐熱衝撃性(TCT)、電気絶縁性(HAST)、はんだ耐熱性、解像性に優れた硬化膜を得ることができ、プリント配線板、高密度多層板及び半導体パッケージ等の製造に好適に用いることができる。
また、実施例1−1〜1−14と比較例1−1〜1−5とを比較すると、塗布液粘度には大きな差がないが、フィルム溶融粘度には大きな差があった。これは、比較例1−1〜1−5では、塗布液の乾燥の過程で凝集が起こったためと考えられる。
【0201】
(実施例2シリーズ)
(実施例2−1)
実施例1−1において、分散剤のソルスパース2400GR(ループリゾール社製)の添加量を0.22質量部から1.34質量部に変更し、無機充填剤を、シリカ粒子のSO−C2(アドマテックス社製)から、シリカ粒子のNSS−4N(平均粒径(d50):90nm、トクヤマ社製)に代えた以外は、実施例1−1と同様にして、感光性組成物塗布液を調製し、感光性フィルムの作成、積層体の調製および永久パターンの形成を行った。なお、無機充填剤の添加量は実施例1−1と同じく16.0質量部である。
感光性組成物塗布液の粘度測定および感光層の溶融粘度の測定は実施例1−1と同様にして行った。また信頼性試験による測定は、実施例1−1とは、下記の光透過性(HAZE)の評価を加えた以外は、実施例1−1と同様にして、埋め込み性、耐熱衝撃性(耐クラック性)(TCT)、絶縁性(HAST)、はんだ耐熱性(耐リフロー性)および解像性の各評価を行った。
これらの測定結果をまとめて下記表5に示した。
【0202】
−光透過性(HAZE)の評価−
光透過性(HAZE)の評価は、Opto Design Inc.製 JCH−200S(商品名)を用いて、上記感光性フイルムの拡散透過率(Td)と全光線透過率(Tt)を測定し、(Td/Tt)×100の値を求め、この値で評価した。ここで、この値が低いほど透明性が高いことを示す。
【0203】
(実施例2−2〜2−7)
実施例2−1において、合成例1で合成したバインダー樹脂1に代えて、合成例2〜7で合成したバインダー樹脂2〜7を用いて、各処方の感光性組成物塗布液を、下記表5に示すように、実施例2−1と同様に調製し、該塗布液の粘度を測定し、さらに、該塗布液を用い、実施例2−1と同様に感光性フィルムを作製して、実施例2−1と同様に信頼性評価を行った。得られた結果を下記表5に示した。
【0204】
(実施例2−8及び2−9)
実施例2−6において、分散剤としてのソルスパース24000GR(ループリゾール社製)に代えて、ソルスパース20000(ループリゾール社製)を用いて、感光性組成物塗布液を、下記表6に示すように、実施例2−6と同様に調製し、該塗布液の粘度を測定し、さらに、該塗布液を用い、実施例2−6と同様に感光性フィルムを作製して、実施例2−6と同様に信頼性評価を行った。得られた結果を下記表6に示した。
【0205】
(実施例2−10〜2−11)
実施例2−6において、各感光性組成物塗布液を、下記表6に示すように、実施例2−6と同様に調製し、該塗布液の粘度を測定し、さらに、該塗布液を用い、実施例2−6と同様に感光性フィルムを作製して、実施例2−6と同様に信頼性評価を行った。得られた結果を下記表6に示した。
【0206】
(実施例2−12)
実施例2−6において、無機充填剤としての平均粒径(d50)が90nmのNSS−4N(トクヤマ社製、シリカ)に代えて、平均粒径(d50)が0.3μmのB−30(堺化学工業社製、硫酸バリウム)を平均粒径が0.2μmになるように破砕して用いた。感光性組成物塗布液を、下記表6示すように、実施例2−6と同様に調製し、該塗布液の粘度を測定し、さらに、該塗布液を用い、実施例2−6と同様に感光性フィルムを作製して、実施例2−6と同様に信頼性評価を行った。得られた結果を下記表6に示した。
【0207】
(実施例2−13)
実施例2−6において、分散剤としてのソルスパース24000GR(ループリゾール社製)に代えて、酸性吸着基を有するソルスパース26000(ループリゾール社製)を用いて、感光性組成物塗布液を、下記表6に示すように、実施例2−6と同様に調製し、該塗布液の粘度を測定し、さらに、該塗布液を用い、実施例2−6と同様に感光性フィルムを作製して、実施例2−6と同様に信頼性評価を行った。得られた結果を下記表6に示した。
【0208】
(実施例2−14)
実施例2−12において、無機充填剤としての平均粒径(d50)が0.2μmのB−30(堺化学工業社製、硫酸バリウム)に代えて、平均粒径(d50)が0.07μmのNSS−5N(トクヤマ社製、シリカ)を用いて、感光性組成物塗布液を、下記表6に示すように、実施例2−12と同様に調製し、該塗布液の粘度を測定し、さらに、該塗布液を用い、実施例2−12と同様に感光性フィルムを作製して、実施例2−12と同様に信頼性評価を行った。得られた結果を下記表6に示した。
【0209】
(比較例2−1、2−3及び2−4)
実施例2−6において、分散剤としてのソルスパース24000GR(ルーブリゾール社製)を添加せずに、下記表7に示すように、実施例2−1と同様に調製し、該塗布液の粘度を測定し、さらに、該塗布液を用い、実施例2−1と同様に感光性フィルムを作製して、実施例2−1と同様に信頼性評価を行った。得られた結果を下記表7に示した。
【0210】
(比較例2−2)
実施例2−1において、分散剤としてのソルスパース24000GR(ルーブリゾール社製)を添加せずに、下記表7に示すように、実施例2−1と同様に調製し、該塗布液の粘度を測定し、さらに、該塗布液を用い、実施例2−1と同様に感光性フィルムを作製して、実施例2−1と同様に信頼性評価を行った。得られた結果を下記表7に示した。
【0211】
(比較例2−5)
比較例2−2において、無機充填剤としての平均粒径(d50)が90nmのNSS−4N(トクヤマ社製、シリカ)に代えて、平均粒径(d50)が0.5μmのSO−C2(アドマテックス社製、シリカ)を用いて、感光性組成物塗布液を、下記表7に示すように、比較例2−2と同様に調製し、該塗布液の粘度を測定し、さらに、該塗布液を用い、比較例2−2と同様に感光性フィルムを作製して、比較例2−2と同様に信頼性評価を行った。得られた結果を下記表7に示した。
【0212】
(比較例2−6)
実施例2−1において、特開2003−234439号公報における段落「0045」の表1における実施例2の組成の組成物塗布液を調製し、該塗布液の粘度を測定し、さらに、該塗布液を用い、実施例2−1と同様に感光性フィルムを作製して、実施例2−1と同様に信頼性評価を行った。得られた結果を下記表7に示した。
【0213】
【表5】

【0214】
【表6】

【0215】
【表7】

【0216】
【表8】

【0217】
表5〜8に示す結果より、特定の分散剤と平均粒子径が0.3μm未満の無機微粒子とを組み合わせた感光性組成物は、良好な分散性、塗布適性、塗布面状を有する感光性塗布膜を得ることができ、しかも、形成された感光性塗布膜は、埋め込み性、耐熱衝撃性(TCT)、電気絶縁性(HAST)、はんだ耐熱性、解像性、HAZEに優れ、光透過性が高い硬化膜を得ることができ、プリント配線板、高密度多層板及び半導体パッケージ等の製造に好適に用いることができる。
また、実施例2−1〜2−14と比較例2−1〜2−5とを比較すると、塗布液粘度には大きな差がないが、フィルム溶融粘度には大きな差があった。これは、比較例2−1〜2−5では、塗布液の乾燥の過程で凝集が起こったためと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0218】
本発明の感光性組成物は、ソルダーレジストに好適に用いることができる。
本発明の感光性フィルムは、保護膜、層間絶縁膜、及びソルダーレジストパターン等の永久パターン等の各種パターン形成、カラーフィルタ、柱材、リブ材、スペーサー、隔壁などの液晶構造部材の製造、ホログラム、マイクロマシン、プルーフの製造等に好適に用いることができ、特にプリント基板の永久パターン形成用に好適に用いることができる。
本発明のパターン形成方法は、前記感光性組成物を用いるため、保護膜、層間絶縁膜、及びソルダーレジストパターン等の永久パターン等の各種パターン形成用、カラーフィルタ、柱材、リブ材、スペーサー、隔壁等の液晶構造部材の製造、ホログラム、マイクロマシン、プルーフの製造等に好適に用いることができ、特にプリント基板の永久パターン形成に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0219】
1 支持体
2 感光層
3 保護フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散剤、無機充填剤、バインダー、光重合開始剤および重合性化合物をそれぞれ少なくとも1種含有する感光性組成物であって、該感光性組成物の全固形分中における該無機充填剤の含有量が、35質量%以上であることを特徴とする感光性組成物。
【請求項2】
前記無機充填剤の平均粒径(d50)が0.3μm未満であることを特徴とする請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項3】
前記感光性組成物の全固形分中における前記無機充填剤の含有量が、50質量%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の感光性組成物。
【請求項4】
前記分散剤の前記無機充填剤に対する固形分含有量が1質量%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項5】
前記分散剤が、前記無機充填剤の表面と相互作用する基を有し、かつエチレン性不飽和基を有さない分散剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項6】
前記分散剤が、塩基性基を有すことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項7】
前記分散剤が、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基及び含窒素ヘテロ環から選択された少なくとも1種の塩基性の官能基を有すことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項8】
前記分散剤が、数平均分子量が500〜50,000の側鎖ポリマー鎖を有し、該側鎖ポリマー鎖が繰り返し単位を有するホモポリマー乃至コポリマーであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項9】
前記無機充填剤の表面が、酸性であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項10】
前記無機充填剤が、シリカであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項11】
前記バインダーが、酸基およびエチレン性不飽和基含有樹脂であって、かつポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂およびポリアミドもしくはポリイミド樹脂から選択される少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項12】
前記バインダーが、酸基およびエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項13】
前記バインダーが、質量平均分子量が2,000〜60,000であり、酸価が20mgKOH/g〜120mgKOH/gであり、エチレン性不飽和基当量が0.05mmol/g〜3.0mmol/gである酸基およびエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項14】
前記バインダーが、酸基およびエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂であって、かつ側鎖に、下記一般式(1)〜(3)で表される官能基のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【化1】

一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子又は−N(R12)−を表す。ここで、R12は、水素原子又は1価の有機基を表す。
【化2】

一般式(2)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、Yは、酸素原子、硫黄原子又は−N(R12)−を表す。ここで、R12は前記一般式(1)のR12と同義である。
【化3】

一般式(3)中、R〜R11は、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表す。Zは、酸素原子、硫黄原子、−N(R13)−又は置換基を有してもよいフェニレン基を表す。ここで、R13は置換基を有してもよいアルキル基を表す。
【請求項15】
前記バインダーが、酸基およびエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂であって、かつ、下記一般式(UG)で表される部分構造を有することを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【化4】

一般式(UG)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、Aは2価の有機残基を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子又は−N(R12)−を表す。ここで、R12は水素原子又は1価の有機基を表す。
【請求項16】
前記バインダーが酸基およびエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂であって、かつ、ジイソシアネート化合物と少なくとも2種のジオール化合物との反応生成物であり、該少なくとも2種のジオール化合物のうち少なくとも1種が、(1)エチレン性不飽和基を有し、水酸基の少なくとも1つが2級アルコールであるジオール化合物であり、他の少なくとも1種が、(2)カルボキシル基を有するジオール化合物であることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項17】
前記(1)のエチレン性不飽和基を有し、水酸基の少なくとも1つが2級アルコールであるジオール化合物が、下記一般式(G)で表される化合物であることを特徴とする請求項16に記載の感光性組成物。
【化5】

一般式(G)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、Aは2価の有機残基を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子又は−N(R12)−を表す。ここで、R12は水素原子又は1価の有機基を表す。
【請求項18】
熱可塑性エラストマーを更に含有することを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項19】
前記熱可塑性エラストマーが、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、アクリル系エラストマー、及びシリコーン系エラストマーから選択される少なくとも1種のエラストマーであることを特徴とする請求項18に記載の感光性組成物。
【請求項20】
支持体上に感光層を有し、
該感光層が、請求項1〜19のいずれか1項に記載の感光性組成物からなることを特徴とする感光性フィルム。
【請求項21】
支持体上に感光性組成物からなる感光層を有し、
該感光層が、無機充填剤を含み、
該感光性組成物の全固形分中における該無機充填剤の含有量が、35質量%以上であり、
該感光層の30℃での溶融粘度が、1×10Pa・s以上であり、かつ該感光層の70℃での溶融粘度が、該無機充填剤の平均粒径が0.3μm未満の場合、5×10Pa・s以下であり、該無機充填剤の平均粒径が0.3μm以上の場合、2×10Pa・s以下であることを特徴とする感光性フィルム。
【請求項22】
前記無機充填剤の平均粒径(d50)が0.3μm未満であることを特徴とする請求項21に記載の感光性フィルム。
【請求項23】
前記感光性組成物の全固形分中における前記無機充填剤の含有量が、50質量%以上あることを特徴とする請求項21または22に記載の感光性フィルム。
【請求項24】
前記感光層が、分散剤を更に含有することを特徴とする請求項21〜23のいずれか1項に記載の感光性フィルム。
【請求項25】
前記分散剤の前記無機充填剤に対する固形分含有量が1質量%以上であることを特徴とする請求項24に記載の感光性フィルム。
【請求項26】
前記分散剤が、前記無機充填剤の表面と相互作用する基を有し、かつエチレン性不飽和基を有さない分散剤であることを特徴とする請求項24または25に記載の感光性フィルム。
【請求項27】
前記分散剤が、塩基性基を有することを特徴とする請求項24〜26のいずれか1項に記載の感光性フィルム。
【請求項28】
前記分散剤が、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基及び含窒素ヘテロ環から選択された少なくとも1種の塩基性の官能基を有すことを特徴とする請求項24〜27のいずれか1項に記載の感光性フィルム。
【請求項29】
前記分散剤が、数平均分子量が500〜50,000の側鎖ポリマー鎖を有し、該側鎖ポリマー鎖が繰り返し単位を有するホモポリマー乃至コポリマーあることを特徴とする請求項24〜28のいずれか1項に記載の感光性フィルム。
【請求項30】
前記無機充填剤の表面が、酸性であることを特徴とする請求項21〜29のいずれか1項に記載の感光性フィルム。
【請求項31】
前記無機充填剤が、シリカあることを特徴とする請求項21〜30のいずれか1項に記載の感光性フィルム。
【請求項32】
前記感光層が、前記無機充填剤とともに、バインダー、光重合開始剤および重合性化合物をそれぞれ少なくとも1種含有することを特徴とする請求項21〜31のいずれか1項に記載の感光性フィルム。
【請求項33】
前記バインダーが、酸基およびエチレン性不飽和基含有樹脂であって、かつポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂およびポリアミドもしくはポリイミド樹脂から選択される少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする請求項32に記載の感光性フィルム。
【請求項34】
前記バインダーが、酸基およびエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂あることを特徴とする請求項32または33に記載の感光性フィルム。
【請求項35】
前記バインダーが、質量平均分子量が2,000〜60,000であり、酸価が20mgKOH/g〜120mgKOH/gであり、エチレン性不飽和基当量が0.05mmol/g〜3.0mmol/gである酸基およびエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項32〜34のいずれか1項に記載の感光性フィルム。
【請求項36】
前記バインダーが、酸基およびエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂であって、側鎖に、下記一般式(1)〜(3)で表される官能基のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項32〜35のいずれか1項に記載の感光性フィルム。
【化5】

一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子又は−N(R12)−を表す。ここで、R12は、水素原子又は1価の有機基を表す。
【化6】

一般式(2)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、Yは、酸素原子、硫黄原子又は−N(R12)−を表す。ここで、R12は前記一般式(1)のR12と同義である。
【化7】

一般式(3)中、R〜R11は、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表す。
Zは、酸素原子、硫黄原子、−N(R13)−又は置換基を有してもよいフェニレン基を表す。ここで、R13は置換基を有してもよいアルキル基を表す。
【請求項37】
前記バインダーが、酸基およびエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂であって、かつ、下記一般式(UG)で表される部分構造を有する請求項32〜36のいずれか1項に記載の感光性フィルム。
【化8】

一般式(UG)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、Aは2価の有機残基を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子又は−N(R12)−を表す。ここで、R12は水素原子又は1価の有機基を表す。
【請求項38】
前記バインダーが酸基およびエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂であって、かつ、ジイソシアネート化合物と少なくとも2種のジオール化合物との反応生成物であり、該少なくとも2種のジオール化合物のうち少なくとも1種が、(1)エチレン性不飽和基を有し、水酸基の少なくとも1つが2級アルコールであるジオール化合物であり、他の少なくとも1種が、(2)カルボキシル基を有するジオール化合物であることを特徴とする請求項32〜37のいずれか1項に記載の感光性フィルム。
【請求項39】
前記(1)のエチレン性不飽和基を有し、水酸基の少なくとも1つが2級アルコールであるジオール化合物が、下記一般式(G)で表される化合物あることを特徴とする請求項38に記載の感光性フィルム。
【化9】

一般式(G)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、Aは2価の有機残基を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子又は−N(R12)−を表す。ここで、R12は水素原子又は1価の有機基を表す。
【請求項40】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の感光性組成物を、基体の表面に塗布し、乾燥して感光層を積層して積層体を形成した後、露光し、現像することを特徴とする永久パターン形成方法。
【請求項41】
請求項40に記載の永久パターン形成方法により形成されてなることを特徴とする永久パターン。
【請求項42】
請求項40に記載の永久パターン形成方法により永久パターンが形成されてなることを特徴とするプリント基板。

【図1】
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【公開番号】特開2012−73600(P2012−73600A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182033(P2011−182033)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】